JP2009165737A - ミシンの糸通し装置及びミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】糸通しのための機構が縫製動作時におけるユーザの針元の視認性を妨げることを防止する。
【解決手段】針棒台9に組込まれる糸通し装置11は、糸通し軸27,28の下端部に糸通しフック31,糸案内部材32等の糸通し機構部29を有し、糸通し用パルスモータを駆動源とした上下移動機構により上下移動される。通常時(縫製動作時)には、糸通しレバー40がガイド軸35の上端に位置し、糸通し機構部29が頭部5の面板内に収容された退避位置に位置される(a)。糸通しキーが1回オン操作されると、糸通し機構部29等が距離aだけ下降されて糸掛け準備位置に移動される(b)。この糸掛け準備位置にてユーザが上糸の糸通しの準備操作(糸掛けの作業)を行う。糸通しキーが再度オン操作されると、糸通し機構部29が距離bだけ下降され、糸通しフック31の高さが縫針7の目孔7aの高さと一致する糸通し動作位置に移動され(c)、糸通し動作が実行される。
【選択図】図2

Description

本発明は、ミシン本体の頭部に設けられ、上糸供給源からの上糸を、針棒の下端部に針抱きを介して装着された縫針の目孔に通すためのミシンの糸通し装置、及び、その糸通し装置を備えたミシンに関する。
この種のミシンの糸通し装置として、例えば特許文献1に記載された構成のものが知られている。この糸通し装置は、針棒の近傍(左側部)に位置して針棒台に上下動及び回動可能に設けられた糸通し軸、この糸通し軸の下端部に設けられた糸通しフック、糸通し軸の下端部に設けられ上糸を保持する第1及び第2の糸案内部材、前記糸通しフックを水平方向に回動させる回動機構、ユーザの操作レバーの操作に基づいて前記糸通し軸を上下動させる昇降機構等を備えて構成されている。
このとき、糸通し軸(ひいては糸通しフックや第1及び第2の糸案内部材)は、最上位置である待機位置と、最下位置である糸通し動作位置(糸通しフックが縫針の目孔と同等となる高さ位置)との間で上下動可能に設けられ、操作レバーが操作されない通常時には、ばね等により待機位置に付勢されている。また、ミシンにおいては、縫製動作の停止時に、針棒は、ミシン本体の頭部に対し所定の上昇位置(針上状態)で停止しているのであるが、上記糸通し装置の待機位置は、針上状態の針棒に対して、上糸のセット作業を行うに適した所定の高さ位置(針抱きのすぐ左側近傍に位置する高さ)とされている。
この糸通し装置を用いて糸通し動作を実行させるにあたっては、ユーザは、その準備作業として、まず上記した待機位置において上糸のセット作業を行う。この上糸のセット作業は、上糸供給源(糸駒)から引出した上糸を、糸調子装置及び天秤を通し、針棒位置案内に掛けた後、第1及び第2の糸案内部材に保持させることにより行われる。
そして、その状態から、ユーザが、ミシン本体の頭部の側面部に設けられた操作レバーを押下げ操作することにより、糸通し軸等が針棒に対して下降して行き、糸通し動作位置まで下降した状態で、今度は回動機構により糸通しフックが回動して縫針の目孔に通され、第1及び第2の糸案内部材に保持された上糸を引掛けて捕捉するようになる。次いで、ユーザが操作レバーの押下げ力を解除すると、糸通しフックが反対方向に戻り回動して、目孔から抜出ることにより、糸通しフックにより捕捉した上糸が目孔を通されるようになる。その後、糸通し軸等が上昇して元の待機位置に戻るようになる。
特開2002−200387号公報
ところで、上記した従来のミシンの糸通し装置では、ミシンの縫製動作中には、糸通し軸は、針棒の近傍(左側部)の所定の高さ位置(待機位置)に停止していることになる。ところが、この待機位置では、糸通しフックや第1及び第2の糸案内部材が、縫針の近傍に位置するため、ユーザが針元部分を見る際の邪魔になり、視認性を低下させる要因(障害物)となっていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ユーザの簡単な操作により縫針の目孔に上糸を確実に通すことができ、しかも、その糸通しのための機構が縫製動作時におけるユーザの針元の視認性を妨げることを効果的に防止することができるミシンの糸通し装置及びミシンを提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1のミシンの糸通し装置は、ミシン本体の頭部に設けられ、上糸供給源からの上糸を、針棒の下端部に針抱きを介して装着された縫針の目孔に通すためのものであって、針棒台に上下動可能に設けられた糸通し軸の下端部に、糸通しフック及び糸案内部材を備え、それら糸通しフック及び糸案内部材が前記針抱きの近傍の高さに位置した糸掛け準備位置において該糸案内部材に前記上糸を保持させる準備操作が行われた状態で、前記糸通し軸を糸通し動作位置まで下降させることによって、前記糸通しフックを回動機構により回動させて前記縫針の目孔を通し、前記糸案内部材に保持された上糸を引掛けた後に該糸通しフックを戻り回動させる糸通し動作を実行するミシンの糸通し装置において、前記糸通しフック及び糸案内部材を、前記糸掛け準備位置と、その糸掛け準備位置から上方に退避させた退避位置との間で移動可能に構成すると共に、前記糸通しフック及び糸案内部材を、前記糸掛け準備位置と退避位置との間を自動で移動させるための、アクチュエータ及び駆動機構からなる位置切替手段を設けたところに特徴を有する。
上記構成によれば、糸通しフック及び糸案内部材の、針抱きの近傍の高さに位置した糸掛け準備位置において、ユーザが糸案内部材に上糸を保持させる準備操作を容易に行うことができ、ひいては、ユーザの簡単な操作により縫針の目孔に上糸を確実に通すことができる。そして、糸通しフック及び糸案内部材を、その糸掛け準備位置とその更に上方の退避位置との間で移動可能としたので、それら糸通しフック及び糸案内部材を退避位置に移動させることによって、縫製動作時におけるユーザの針元の視認性を妨げることを防止することができる。しかも、糸通しフック及び糸案内部材を、位置切替手段により自動で糸掛け準備位置と退避位置との間で移動させることができるので、ユーザの手間を省くことができる。
請求項2のミシンの糸通し装置は、請求項1の発明において、前記位置切替手段の駆動機構は、前記アクチュエータにより上下移動する移動体に回転自在に支持されたピニオンと、前記ミシン本体に上下方向に延びて固定的に設けられ前記ピニオンが噛合する固定ラックと、この固定ラックに対し前記ピニオンを挟んだ反対側に位置して上下移動可能に設けられ該ピニオンが噛合される可動ラックとを備え、前記可動ラックによって前記糸通し軸が上下動されるように構成されているところに特徴を有する。
請求項3のミシンの糸通し装置は、請求項1又は2の発明において、前記糸通しフック及び糸案内部材の前記糸掛け準備位置と退避位置との間での位置の切替を指示するための操作スイッチを備え、この操作スイッチの操作に基づいて前記位置切替手段のアクチュエータが駆動されるように構成されているところに特徴を有する。
請求項4のミシンの糸通し装置は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記縫針の目孔に対する糸通し動作を実行する必要がある状況になったかどうかを検出するための検出手段を備え、通常時には前記位置切替手段により前記糸通しフック及び糸案内部材が退避位置に位置され、前記検出手段により糸通し動作を実行する必要がある状況になったことが検出されたときに、前記位置切替手段により前記糸通しフック及び糸案内部材が糸掛け準備位置に移動されるように構成されているところに特徴を有する。
請求項5のミシンは、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のミシンの糸通し装置を備えたミシンであって、通常時における前記糸通しフック及び糸案内部材の停止位置を、前記退避位置にするか糸掛け準備位置にするかのモードを設定するモード設定手段を備えるところに特徴を有する。これによれば、上記請求項1ないし4と同様の作用・効果を得ることができ、それに加えて、通常時における糸通しフック及び糸案内部材の停止位置の異なる2つのモードを使い分けることができ、ユーザにとっての利便性を高めることができる。
請求項6のミシンは、請求項5の発明において、複数の縫目模様のなかから縫製を行うべき縫目模様を選択するための縫目模様選択手段を備えると共に、前記モード設定手段は、前記縫目模様選択手段により選択されている縫目模様の種類に応じて自動でモードを設定するところに特徴を有する。
請求項1のミシンの糸通し装置によれば、糸通しフック及び糸案内部材を、糸掛け準備位置と退避位置との間で移動可能に構成すると共に、それら糸掛け準備位置と退避位置との間を自動で移動させるための位置切替手段を設けたので、ユーザの簡単な操作により縫針の目孔に上糸を確実に通すことができ、しかも、その糸通しのための機構が縫製動作時におけるユーザの針元の視認性を妨げることを効果的に防止することができる。
請求項2のミシンの糸通し装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、駆動機構をコンパクトに済ませながら、糸通し軸(糸通しフック及び糸案内部材)の上下移動のストロークを大きくすることができる。
請求項3のミシンの糸通し装置によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、糸通しフック及び糸案内部材を、糸掛け準備位置と退避位置とのいずれかのユーザの所望する位置に任意の時点で移動させることができる。
請求項4のミシンの糸通し装置によれば、請求項1ないし3に記載の発明の効果に加え、検出手段により、糸通し動作を実行する必要がある状況になったときには、糸通しフック及び糸案内部材をユーザの指示操作などなくても自動で糸掛け準備位置に移動させることができ、ユーザにとっての利便性を高めることができる。
請求項5のミシンによれば、請求項1ないし4のいずれかに記載のミシンの糸通し装置を備えると共に、通常時における糸通しフック及び糸案内部材の停止位置を、退避位置にするか糸掛け準備位置にするかのモードを設定するモード設定手段を備えるので、請求項1ないし4と同様の効果に加えて、適切なモードを設定することによってユーザにとっての利便性を高めることができる。
請求項6のミシンによれば、請求項5の記載の効果に加え、適切なモードが自動設定されるので、ユーザにとっての利便性をより高めることができる。
(1)第1の実施形態
以下、本発明を、例えば家庭用の電子ミシンに適用した第1の実施形態について、図1ないし図8を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るミシンの全体の外観を示している。ミシン本体1は、左右方向(X方向)に延びるミシンベッド2と、このミシンベッド2の右端部から上方に延びる脚柱部3と、この脚柱部3の上端から図で左方に延びるアーム部4とを一体的に有して構成されている。アーム部4の先端部が、頭部5とされている。
また、前記アーム部4の上部には、カバー4aが開閉可能に設けられている。これも図示はしないが、アーム部4には、前記カバー4aの内側に位置して、上糸供給源としての上糸駒が着脱可能にセットされる糸駒収容部が設けられており、カバー4aを開いた状態で、上糸駒の着脱(交換)の作業が行われるようになっている。
前記アーム部4の先端の頭部5には、針棒6が設けられている。図2にも示すように、この針棒6の下端部には、縫針7が針抱き8を介して装着されている。前記針棒6は、図2(a)に示すように、前記ミシン機枠に対して左右方向(X方向)に揺動可能に取付けられた針棒台9に、上下動可能に支持されている。また、前記頭部5には、図1に示すように、針棒6(縫針7)の下方に位置して押え足10が設けられている。さらに、針棒6(縫針7)の左側には、本実施形態に係る糸通し装置11が設けられる。この糸通し装置11は、前記上糸駒からの上糸T(図6参照)を、前記縫針7の目孔7a(図2,図6参照)に通すためのものであり、その詳細については後述する。
また、詳しく図示はしないが、前記アーム部4内には、ミシンモータ12(図7参照)により回転駆動されるミシン主軸が設けられている。さらに、そのミシン主軸の駆動力により前記針棒6を上下動させる針棒駆動機構、針振りパルスモータ13(図7参照)を駆動源として前記針棒台9ひいては針棒6を布送り方向と直交する方向(X方向)に揺動させる針棒揺動機構、針棒6の上下動に同期して天秤(図示せず)を上下動させる天秤駆動機構、上糸Tの張力を調整する糸調子装置等が設けられている。尚、前記頭部5の正面左側から側面部を覆う外装カバー部材である面板5aには、後述する糸切りカッター部45が設けられている。
図1に示すように、アーム部4の前面側には、縫製作業の起動と停止を指令する起動・停止キー14、返し縫いキー15、針上下キー16、糸切りキー17、操作スイッチたる糸通しキー18、スピード調整つまみ19などの各種の操作キー(スイッチ)が設けられている。前記脚柱部3の前面には、大型で縦長形状をなしフルカラー表示が可能な液晶ディスプレイ20が設けられている。
この液晶ディスプレイ20の表面にはタッチパネル21(図7参照)が設けられている。液晶ディスプレイ20には、後述する送り歯で加工布を移送しながら直線縫いやジグザグ縫い等の縫目を形成する実用模様や各種の刺繍模様等の多数の縫目模様、縫製作業に必要な各種の機能を実行させる機能名、各種のメッセージ等が表示されるようになっている。このとき、タッチパネル21上に、各種の入力操作キーが設定されるようになっており、液晶ディスプレイ20及びタッチパネル21が縫目模様を選択するための縫目模様選択手段としても機能する。
前記ミシンベッド2の上面には、針板(図示せず)が設けられている。図示はしないが、ミシンベッド2内には、その針板の下側に位置して、前記針棒6の上下動と同期して送り歯を駆動させる送り歯駆動機構、下糸ボビンを収容し縫針7と協働して縫目を形成する全回転釜、糸切り機構等が設けられている。また、前記ミシンベッド2の左端側部分には、刺繍機(刺繍枠移動装置)22が着脱可能に装着されている。
この刺繍機22は、加工布(図示せず)を保持した刺繍枠(図示せず)を装着して、ミシンベッド2(針板)上において、X方向(左右方向)及びそれとは直交するY方向(前後方向)に自在に移動させるものである。この刺繍機22がミシンベッド2に装着された状態では、ミシンベッド2に設けられたコネクタ23(図7にのみ図示)を介して、後述するミシンの制御装置62(コントロールユニット)に対して刺繍機22が電気的に接続される。このとき、実用縫いモードに代えて刺繍縫いモードが自動で設定されるようになっている。
さて、前記糸通し装置11及びその周辺部分について、図2ないし図7も参照して説明する。図2に示すように、前記針棒台9は上下方向に延び、その上下部に位置して右方に延びる支持片部9a、9bが設けられている。前記針棒6は、それら支持片部9a、9bに上下動可能に挿通支持されている。また、針棒6は、それら支持片部9a、9b間に位置して針棒抱き24によって前記針棒駆動機構に連結され、所定のストロークで上下動されるようになっている。このとき、縫製動作(ミシンモータ12)の停止時には、針棒6は、図2に示す所定の上昇位置(針上位置)に停止されるようになっている。また、針棒6の前記針棒抱き24の連結部分のすぐ上部には、左方に突出する突出片25aを有する位置決め部材25が取付けられている。尚、針棒6の下端部には、針棒糸案内26が設けられている。
そして、糸通し装置11は、針棒台9に、針棒6の図で左側に位置して組込まれ、第1,第2の2本の糸通し軸27,28、これら第1,第2の糸通し軸27,28の下端部に設けられた糸通し機構部29、第1の糸通し軸27を回動させるための回動機構30などを備えている。前記糸通し機構部29は、前記第1の糸通し軸27の下端部に設けられた糸通しフック31(図6参照)及び糸案内部材32、前記第2の糸通し軸28の下端部に設けられた糸保持部材33等から構成される。さらに、頭部5内の針棒台9の後部側(背面側)に位置して、前記第1,第2の糸通し軸27,28等を自動で上下移動させる上下移動機構34(図3参照)が設けられる。この上下移動機構34が、位置切替手段として機能する。
図2に示すように、前記第1の糸通し軸27は、針棒6のすぐ左側を上下方向に延び、針棒台9に上下動及び回動可能に支持されている。前記第2の糸通し軸28は、該第1の糸通し軸27のすぐ左側に位置して針棒台9に上下動可能に支持されている。この第2の糸通し軸28は、図示しないコイルばねによって、針棒台9に対し常に上方(後述する退避位置)に向けて付勢されている。また、これら第1及び第2の糸通し軸27及び28は、上端の位置を合わせた状態で、一体的に上下動するようになっている。更に、針棒台9には、第2の糸通し軸28のすぐ左側に上下方向に延びて、後述する糸通しレバー40をガイドするためのガイド軸35が固定的に設けられている。
前記第1の糸通し軸27及び第2の糸通し軸28の上端部には、それら双方に跨るように、糸通しスライダ36が上下動可能に挿通されている。この糸通しスライダ36は、前記第1の糸通し軸27の上部の左半部を囲む半円筒状の壁部を有しており、その壁部に斜め方向に延びるカム溝36aが形成されている。これに対し、第1の糸通し軸27の上部部位には、水平方向に延びる摺動ピン37が貫通するように設けられており、その摺動ピン37が前記カム溝36aに挿通され、もって回動機構30が構成されている。第1の糸通し軸27には、前記摺動ピン37のやや下方に位置してばね受けピン38が設けられ、そのばね受けピン38と、前記糸通しスライダ36の下端部との間に、コイルばね39が設けられている。
前記ガイド軸35には、前記第1,第2の糸通し軸27,28を上下動させるための糸通しレバー40及びレバー板41が上下動可能に嵌挿されている。前記糸通しレバー40は、図で左方に延び、ガイド軸35に挿通される筒状部40aを一体に有して構成されている。尚、前記糸通しレバー40の筒状部40aには、図3(b)にのみ示すように、背面側に突出する突起40bが設けられており、この突起40b部分が後述する上下移動機構34によって上下駆動されるようになっている。
前記レバー板41は、ガイド軸35に上下動可能に嵌挿される摺動リング部41a,41aを有し、それら摺動リング部41a,41aが前記糸通しレバー40の筒状部40aを上下から挟むように配置されている。更に、このレバー板41には、摺動リング部41a,41aから右方に延びる板部と、その板部の上端に位置して、前記糸通しスライダ36の上面に接して押下げるための操作片部41bとが一体に設けられている。そして、ガイド軸35には、糸通しレバー40及びレバー板41を常に上方に付勢する圧縮コイルばね42が設けられている。
これにて、糸通しレバー40に対して下方への押下げ力が作用していない状態では、図2(a)に示すように、圧縮コイルばね42のばね力により、糸通しレバー40及びレバー板41がガイド軸35の上端に位置している。この状態では、糸通しスライダ36及び第1,第2の糸通し軸27,28も、針棒台9に対して最上位置に位置されている。この位置が、第1,第2の糸通し軸27,28の下端に設けられる糸通し機構部29(糸通しフック31及び糸案内部材32等)が上方に退避し、頭部5の面板5a内に収容された退避位置とされる。
そして、図2(a)に示す退避位置から、糸通しレバー40ひいては第1,第2の糸通し軸27,28、糸通し機構部29等が距離aだけ下降された位置が、図2(b)に示す糸掛け準備位置とされる。この糸掛け準備位置では、糸通し機構部29(糸通しフック31及び糸案内部材32等)が、針上位置にある針棒6の針抱き8の近傍の高さに位置しており、後述するように、この糸掛け準備位置にてユーザが上糸Tの糸通しの準備操作(糸掛けの作業)を行うようになっている。
更に、図2(b)に示す糸掛け準備位置から、糸通しレバー40ひいては第1,第2の糸通し軸27,28、糸通し機構部29が下降されていくと、距離bだけ下降された位置にて、第1の糸通し軸27に設けられた摺動ピン37が、針棒6に設けられた位置決め部材25の突出片25aに係合し、第1の糸通し軸27のそれ以上の下降が規制される。この位置が、図2(c)に示す糸通し動作位置とされ、この糸通し動作位置にて糸通しフック31の高さ位置が縫針7の目孔7aの高さと一致し、糸通し動作が可能となる。
このとき、糸通し動作時においては、糸通しレバー40が上記距離bだけ下降された位置から更に距離cだけ押下げられるようになっている。この糸通しレバー40の下降により、レバー板41を介して糸通しスライダ36が、圧縮コイルばね39のばね力に抗して、第1,第2の糸通し軸27,28に対して距離cだけ下降する。これにより、糸通しスライダ36のカム溝36a内を、第1の糸通し軸27の摺動ピン37が斜め方向に相対的に上昇し、以て、回動機構30により第1の糸通し軸27ひいては糸通しフック31等が回動され、糸通し動作が行われるようになっている。
尚、この後、糸通しレバー40に対する押下げ力が解除されると、圧縮コイルばね39のばね力により、糸通しレバー40ひいては糸通しスライダ36が第1,第2の糸通し軸27,28に対してまず距離cだけ上昇する。この際、糸通しスライダ36のカム溝36a内を、第1の糸通し軸27の摺動ピン37が相対的に下降することにより、第1の糸通し軸27ひいては糸通しフック31が戻り方向に回動される。その後、糸通しレバー40が上記距離(b+a)だけ上昇され、第1,第2の糸通し軸27,28や糸通し機構部29も上昇され、図2(a)に示す退避位置に戻される。
次に、前記第1,第2の糸通し軸27,28の下端部に設けられる糸通し機構部29について述べる。前記第1の糸通し軸27の下端部に設けられた糸通しフック31は、図6に示すように、先端に下向きのフック部31aを有しており、前記縫針7の目孔7aに対し挿通可能なものとされている。そして、第1の糸通し軸27の下端部には、その糸通しフック31の両側に位置するガイド部材43,43や、糸保持ワイヤ44も設けられている。また、詳しく図示はしないが、第1の糸通し軸27の下端部に設けられた糸案内部材32は、糸通し動作時に、図6(a)に示すように、縫針7の目孔7aの前方において上糸Tを水平状態に保持する機能を果たすようになっている。
また、第2の糸通し軸28の下端部に設けられた糸保持部材33は、上糸Tの先端部分を微圧保持するようになっている。このとき、図1,図5に示すように、前記頭部5の面板5aの左側面には、糸切りカッター部45が設けられている。この糸切りカッター部45は、図5(a)に示すように、上糸Tが通される溝45aと、上糸Tを切断する糸切り刃46とを備えている。
又は、図5(b)に示す構成の糸切りカッター部45としても良い。この糸切りカッター部45は、上糸Tが通される溝45aと、上糸Tを切断する糸切り刃46と、前記溝45aに通された上糸Tが下方に引っ張られて切断される際に上糸Tにより下方に押されて揺動する揺動レバー76と、この揺動レバー76を揺動可能に支持する支持ピン74と、この支持ピン74に外装されて前記揺動レバー76を図で時計回り方向に弱い弾性力で付勢するねじりバネ75と、前記揺動レバー76の揺動を検出する上糸切り検出スイッチ47とを備えて構成されている。なお、前記揺動レバー76は、前記ねじりバネ75の弾性力により、常には図5(b)に示す姿勢に保持されている。前記上糸切り検出スイッチ47により、前記揺動レバー76の揺動が検出される。即ち、ユーザが、上糸Tを糸切り刃46で切断して糸通し準備が完了したかどうかが判断される。
この場合、ユーザは、次のようにして糸通しの準備操作を行う。即ち、糸通し機構部29が糸掛け準備位置(図2(b)参照)に位置されている状態において、ユーザは、上糸駒から引出され糸調子装置や天秤といった所定の上糸経路を通された上糸Tを、針棒6の針棒糸案内26を通した後、糸案内部材32に引掛けて保持させ、さらに糸保持部材33に保持させた後、糸切りカッター部45の溝45aを通して、その先端を切断除去する。これにて、上糸Tは必要な経路を通されて保持されると共に、最適な長さで切断され、糸通しの準備が完了するようになっている。
そして、この状態から、上記のように糸通し機構部29が糸通し動作位置まで下降され、第1の糸通し軸27が回動されることにより、図6(a)に示すように、糸通しフック31が矢印A方向に移動して縫針7の目孔7aを通り、糸案内部材32により保持された上糸Tをフック部31aにより引掛ける。その後、第1の糸通し軸27が戻り回動されることにより、図6(b)に示すように、糸通しフック31が矢印B方向に戻り移動して上糸Tが糸通しフック31と共に目孔7aを通されて糸通しが行われるのである。尚、上記した糸通し機構部29の詳細な構成や動作については、本出願人の先の出願に係る特開2006−158412号公報に詳しい。
さて、前記糸通しレバー40を上下動させるための上下移動機構34について、図3及び図4を参照して述べる。この上下移動機構34は、大きく分けて、アクチュエータとしての糸通し用パルスモータ49及びギヤ機構(減速機構)50、それらの前部側に設けられた駆動機構としてのラック・ピニオン機構52を備えて構成されている。前記糸通し用パルスモータ49及びギヤ機構50は、頭部5内に固定的に取付けられた板状のユニットベース48に組込まれてユニット化されている。前記ラック・ピニオン機構52は、前記ユニットベース48よりも前部側に固定的に設けられた板状のサブフレーム51の背面側に組込まれている。
図3に示すように、前記糸通し用パルスモータ49は、ユニットベース48の裏面側に、回転軸49aが表面側に突出するように前向きに取付けられ、その回転軸49aに小径のギヤ53が取付けられている。前記ギヤ機構50は、ユニットベース48の表面側の中段部に回転自在に取付けられた中間ギヤ54と、その上部に回転自在に取付けられた駆動ギヤ55とからなる。
前記中間ギヤ54は、大径部54aと小径部54bとを同軸に一体回転するように有しており、そのうち大径部54aが前記回転軸49aのギヤ53に噛合っている。前記駆動ギヤ55は、大径部55aと小径部55bとを同軸に一体回転するように有しており、そのうち大径部55aが、前記中間ギヤ54の小径部54bに噛合っている。また、駆動ギヤ55の小径部55bが、次に述べる移動体側ラック56に噛合っている。
前記サブフレーム51の裏面側に組込まれる駆動機構としてのラック・ピニオン機構52は、図4に示すように、サブフレーム51に上下に延びて設けられたスライド軸77に上下方向に移動可能に支持された移動体57、この移動体57の左側部に突出する突片部57aの表面側に回動自在に取付けられたピニオン58、サブフレーム51の左寄り中段部位に右向きに上下方向に延びて設けられた固定ラック59、サブフレーム51の左右方向中間部に上下に延びて設けられたスライダ軸60に上下動自在に嵌挿支持された可動ラック61を備えている。
前記移動体57の裏面側には、移動体側ラック56が左向きに上下方向に延びて取付けられており、この移動体側ラック56に駆動ギヤ55の小径部55bが噛合っている。これにより、前記糸通し用パルスモータ49の駆動によって、ギヤ機構50を介して移動体57が上下移動する。そして、前記ピニオン58が固定ラック59の右側に噛合っていると共に、その固定ラック59に対し前記ピニオン58を挟んだ反対側に位置して可動ラック61が噛合っている。これにて、移動体57の上下移動量、つまりピニオン58の固定ラック59に対する移動量の、2倍のストロークで可動ラック61が上下移動するのである。
そして、図4に示すように、前記サブフレーム51の中央部には上下に長い縦長の開口部51aが形成されており、前記可動ラック61の前面側には、図3に示すように、前記開口部51aを貫通してサブフレーム51の前面側に位置される作動片61aが一体に設けられている。図3(b)に示すように、前記作動片61aは、前記糸通しレバー40の突起40bの上側に配置されている。従って、可動ラック61ひいては作動片61aが下降することにより、前記糸通しレバー40が下方に押下げられ、もって第1,第2の糸通し軸27,28(糸通し機構部29)等が下降されるようになっているのである。
このとき、図7に示すように、前記糸通し用パルスモータ49は、後述する制御装置62により駆動回路63を介して制御される。この場合、後の作用説明でも述べるように、制御装置62の糸通し用パルスモータ49に対する制御により、図8に示すような動作が実現される。即ち、通常時(ユーザによる操作がない状態)には、図4(a)に示すように、可動ラック61は最上位置にあり、作動片61aが糸通しレバー40の突起40bを押下げることなく、糸通し機構部29が退避位置(図2(a)参照)に位置される。
そして、この状態から、ユーザにより糸通しキー18が1回オン操作されると、糸通し用パルスモータ49に所定のパルス数P1だけ通電され、図4(b)に示すように、可動ラック61(作動片61a)が下降し、前記糸通しレバー40が下方に寸法aだけ押下げられる。これにて、図2(b)に示すように、糸通し機構部29が糸掛け準備位置に移動される。
さらに、その状態から、ユーザにより糸通しキー18が再度オン操作されると、糸通し用パルスモータ49に所定のパルス数P2だけ通電され、図4(c)に示すように、可動ラック61(作動片61a)が更に下降し、前記糸通しレバー40が下方に寸法(b+c)だけ押下げられる。これにて、図2(c)に示すように、糸通し機構部29が糸通し動作位置まで下降され、糸通し動作が実行される。この後、糸通し用パルスモータ49が逆方向にパルス数(P1+P2)だけ回転され、可動ラック61等が図4(a)に示す元の位置に戻される。これに伴い、糸通しレバー40や第1,第2の糸通し軸27,28、糸通し機構部29等も図2(a)に示す退避位置に戻される。
ここで、糸通し機構部29が糸掛け準備位置に移動した後、ユーザにより糸通しキー18を再度オン操作する代わりに、図5(b)に示す糸切り検出スイッチ47が動作すると、糸通し用パルスモータ49を動作させるようにしても良い。この場合には、ユーザは、糸通しキー18を再度オン操作する必要がないので、操作が簡単化できる。
図7は、本実施形態に係るミシンの電気的構成を概略的に示している。ここで、前記制御装置62は、マイクロコンピュータを主体として構成され、CPU64、ROM65、RAM66、EEPROM67、入力インターフェイス68、出力インターフェイス69をバス70により相互に接続して構成されている。前記ROM65には、縫製動作を制御するための制御プログラムや、縫製動作に必要な縫目データ等の各種のデータが記憶されている。
前記入力インターフェイス68には、前記上糸切り検出スイッチ47、タッチパネル21、起動・停止キー14、返し縫いキー15、針上下キー16、糸切りキー17、糸通しキー18、スピード調整つまみ19が接続されており、それらの操作信号が制御装置62に入力されるようになっている。そして、前記出力インターフェイス69には、駆動回路71を介して前記液晶ディスプレイ20が接続されていると共に、駆動回路72,73,63を夫々介してミシンモータ12,針振りパルスモータ13,糸通し用パルスモータ49が接続され、制御装置62は、それらを制御して縫製動作を実行するようになっている。尚、出力インターフェイス69には、前記コネクタ23も接続されている。
このとき、本実施形態では、制御装置62は、そのソフトウエア的構成(制御プログラムの実行)により、上記したように、ユーザの糸通しキー18の操作に応じて、糸通し装置11(糸通し用パルスモータ49)に対する制御を行い、図8に示すような動作を実現する。これにより、ユーザの糸通しキー18の操作により、糸通し装置11の糸通し機構部29が、退避位置と糸掛け準備位置との間を自動で移動されると共に、糸通し動作が自動で実行されるのである。
次に、上記構成の作用について述べる。図8は、本実施形態における、糸通し装置11の糸通しに関する動作の流れ、つまりユーザの操作、糸通し用パルスモータ49の動作、糸通し装置11の状態の関係を示している。即ち、ここでは、通常時(ユーザによる糸通しキー18の操作がない状態)において、可動ラック61(作動片61a)は最上位置にあり(図3及び図4(a)参照)、糸通し機構部29が退避位置(図2(a)参照)に位置されている。
今、ユーザが、例えば新たな上糸Tを縫針7の目孔7aに通す糸通し動作を行わせたい場合には、まず、糸通しキー18をオン操作する。すると、糸通し用パルスモータ49への通電がなされ(パルス数P1)、可動ラック61(作動片61a)が下降し、前記糸通しレバー40が下方に寸法aだけ押下げられる(図4(b)参照)。これにて、糸通し機構部29が糸掛け準備位置(図2(b)参照)に移動される。
この糸掛け準備位置では、糸通し機構部29(糸通しフック31、糸案内部材32、糸保持部材33)が、針棒6の針棒抱き8のすぐ左側に位置されており、この状態でユーザは、糸通しの準備操作(糸掛け操作)を行う。この準備操作は、ユーザが、糸調子装置等の所定の経路を通された上糸Tの先端側部分を、針棒6の針棒糸案内26を通した後、糸案内部材32に引掛けて保持させ、さらに糸保持部材33に保持させた後、糸切りカッター部45の溝45aを通して、その先端の余分な部分を糸切り刃46にて切断除去することにより行われる。
次に、ユーザは、糸通しキー18を再度オン操作する。すると、糸通し用パルスモータ49に通電(パルス数P2)され、可動ラック61(作動片61a)が更に下降し(図4(c)参照)、糸通しレバー40が下方に寸法(b+c)だけ押下げられる。これにて、糸通し機構部29が糸通し動作位置まで(寸法bだけ)下降され(図2(c)参照)、更に回動機構30により糸通しフック31が矢印A方向及びB方向に往復回動され(図6参照)、糸通し動作が実行される。ここで、前述のように、ユーザにより糸通しキー18を再度オン操作する代わりに、図5(b)に示す糸切り検出スイッチ47が動作すると、糸通し用パルスモータ49を動作させるようにしても良い。
この後、糸通し用パルスモータ49が逆方向にパルス数(P1+P2)だけ回転されることにより、可動ラック61(作動片61a)が寸法(a+b+c)だけ上昇されて元の位置(図3及び図4(a)参照)に戻され、これに伴い、ばね力等により糸通しレバー40が寸法(a+b+c)だけ上昇し、第1,第2の糸通し軸27,28等も寸法(a+b)だけ上昇して糸通し機構部29が退避位置(図2(a))に戻される。この状態でミシン本体1の縫製動作の実行が可能となり、この縫製動作中には、糸通し機構部29(糸通しフック31や糸案内部材32など)が退避位置に位置している状態が維持されるのである。
尚、図8には示されていないが、糸通し機構部29を糸掛け準備位置に移動させた後、何らかの事情が生じてユーザが糸通し動作を中止したいケースが考えられる(例えば糸通しキー18を誤って操作してしまった場合等)。図示はしないが、そのような場合には、液晶ディスプレイ20に表示された(タッチパネル21上に設定された)糸通しキャンセルキーをユーザがタッチ操作すると、糸通し用パルスモータ49が逆方向にパルス数P1だけ回転されて糸通しレバー40が寸法aだけ上昇し、糸通し機構部29が退避位置に戻されるようになっている。
このように本実施形態によれば、縫針7の目孔7aに対する上糸Tの糸通し動作を実行する糸通し装置11を備えたものにあって、ミシン本体1の縫製動作中には、糸通し機構部29(糸通しフック31や糸案内部材32など)が、頭部5の面板5aの内側まで上昇させた退避位置に移動されるので、糸通しのための機構が、ユーザが針元部分を見る際の邪魔になることがなくなり、ユーザの針元の視認性を高めることができるという優れた効果を得ることができる。
また、糸通し動作を実行させるためには、糸通し機構部29を糸掛け準備位置に一旦移動させ、ユーザによる準備操作を行う必要がある。本実施形態では、第1,第2の糸通し軸27,28ひいては糸通し機構部29を、糸通し用パルスモータ49を駆動源とした上下移動機構34により自動で上下移動させる構成とすると共に、ユーザの糸通しキー18のオン操作により糸通し機構部29を退避位置から糸掛け準備位置まで自動で移動させる構成としたので、ユーザの簡単な操作で、糸通し機構部29等を糸掛け準備位置に任意の時点で移動させることが可能となる。しかも、糸通しキー18の再度のオン操作といった簡単な操作により、自動で確実に糸通し動作を行なうことができる。
更に、特に本実施形態では、駆動機構を構成するラック・ピニオン機構52を、ピニオン58を有する移動体57、固定ラック59、可動ラック61を組合わせた構成としたので、移動体57の上下移動量、つまりピニオン58の固定ラック59に対する移動量の2倍のストローク(速度)で可動ラック61ひいては糸通し軸27,28等を上下動させることができる。従って、ラック・ピニオン機構52を特に高さ方向にコンパクトに済ませながら、糸通し軸27,28や糸通し機構部29を大きなストロークで上下動させることができるといったメリットを得ることができる。
(2)第2、第3の実施形態、その他の実施形態
次に、図9及び図10(並びに図8)を参照しながら、本発明の第2の実施形態について述べる。尚、以下に述べる各実施形態については、ミシン本体1や糸通し装置11のハードウエア的構成等については、上記第1の実施形態と共通するので、同一部分には符号を共通して使用すると共に、それらの新たな図示や詳しい説明を省略し、以下、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
この第2の実施形態に係るミシンは、やはり上記第1の実施形態と同等の構成の糸通し装置11を備えているのであるが、糸通し用パルスモータ49を制御する制御装置62のソフトウエア的構成により、通常時(縫製動作時及び停止時)における前記糸通し機構部29の停止位置を、前記退避位置にするか糸掛け準備位置にするかの2種類の糸通しモードが設けられ、そのどちらかのモードに設定されるようになっている。
即ち、第1のモードは、上記第1の実施形態で説明した通りの、図8に示された糸通しの動作の流れであり、通常時には糸通し機構部29が退避位置に位置されており、ユーザの糸通しキー18の1回のオン操作により糸通し機構部29が糸掛け準備位置に移動され、その後糸通しキー18が再度オン操作されることにより、糸通し動作が実行されるモードである。
これに対し、第2のモードでは、通常時には糸通し機構部29が糸掛け準備位置に位置されるもので、糸通しに関する動作の流れが図10に示す通りとなる。この場合、通常時においては可動ラック61(作動片61a)が図4(b)に示す位置に停止されており、図2(b)に示すように、糸通し機構部29が糸掛け準備位置に位置されている。従って、ユーザは糸通し機構部29に上糸Tを掛ける準備操作をそのまま行うことができる。
そして、糸通しの準備完了後に、ユーザにより糸通しキー18がオン操作されると、糸通し用パルスモータ49に所定のパルス数P2だけ通電され、可動ラック61(作動片61a)が下降し(図4(c)参照)、糸通しレバー40が下方に寸法(b+c)だけ押下げられる。これにて、図2(c)に示すように、糸通し機構部29が糸通し動作位置まで下降され、糸通し動作が実行される。この後、糸通し用パルスモータ49が逆方向にパルス数P2だけ回転され、可動ラック61等が図4(b)に示す位置に戻される。これに伴い、糸通しレバー40や第1,第2の糸通し軸27,28等も上昇され、糸通し機構部29が図2(b)に示す糸掛け準備位置に戻される。
本実施形態では、制御装置62は、ミシン本体1の電源オン時に、図9のフローチャートに示す手順により、上記した2つの糸通しのモードのいずれかを設定するようになっている。また、本実施形態では、ユーザのタッチパネル21の操作により、モードを選択することも可能となっている。従って、制御装置62及びタッチパネル21がモード設定手段として機能する。
まず、ステップS1では、刺繍縫製動作を実行するかどうかが判断される。この場合、刺繍縫製動作を実行するかどうかの判断は、タッチパネル21上で選択されている縫目模様の種類が、刺繍模様か実用模様かどうかにより行うことができる。刺繍模様が選択されている場合に、刺繍縫製動作を実行すると判断されることは勿論である。或いは、ミシンベッド2に刺繍機22が装着されているときに、刺繍縫製動作を実行すると判断すること等も可能である。刺繍縫製動作を実行すると判断された場合には(ステップS1にてYes)、ステップS2にて第2のモードが設定される。
一方、刺繍縫製動作を実行すると判断されない(実用模様が選択されている)場合には(ステップS1にてNo)、ステップS3に進み、タッチパネル21において第2のモードへのモード切替え操作があったかどうかが判断される。ここで、実用模様が選択されている場合には、ユーザがモード設定に係る操作を行わなければ(ステップS3にてNo)、そのまま第1のモードが自動的に設定されるようになっている(ステップS4)。従って、ユーザが、実用縫いを実行させる場合でも、第2のモードを選びたい場合には、タッチパネル21により第2のモードへのモード切替え操作を行うことにより(ステップS3にてYes)、第2のモードに設定することができるのである(ステップS2)。
ここで、ミシン本体1により実用縫いの縫製動作を実行させる場合には、上糸Tの交換の頻度は少なく、上記第1の実施形態で述べたように、針元部分の視認性を高めることを重視したい事情がある。従って、このような場合には、第1のモードに設定されていることにより、縫製動作時に糸通し機構部29が退避位置に位置されるので、針元部分の視認性を高めることができる。
これに対し、刺繍縫製を行うような場合、上糸Tの交換(色替え)を比較的頻繁に行うため、糸通し機構部29をいちいち退避位置から糸掛け準備位置に戻すといった動作を行わせると、ユーザのキー操作の回数も多くなり、作業の能率が低下する事情がある。つまり、刺繍縫製の場合には、針元部分の視認性はあまり重要視されず、むしろ作業性、作業効率を高めたい要望がある。従って、このような場合に、第2のモードが選ばれることによって、糸通し機構部29が常に糸掛け準備位置に位置されているので、上糸Tの交換(セット)の作業効率を高めることができるのである。
このような第2の実施形態によれば、通常時(縫製動作時及び停止時)における糸通し機構部29の停止位置を、退避位置にするか糸掛け準備位置にするかのモードの設定を可能としたので、上糸Tの交換の頻度やユーザの好みなどに応じて2つのモードを使い分けることができ、ユーザにとっての利便性を高めることができる。特に、縫目模様の種類に応じて自動でモードを設定することにより、ユーザによるモード設定の操作が不要となり、より一層利便性を高めることができるものである。
図11は、本発明の第3の実施形態を示すものである。この第3の実施形態では、制御装置62は、縫製動作の停止時において、図11のフローチャートに示す手順にて、糸通しに関する処理を実行する。このとき、通常時においては、糸通し機構部29は退避位置に位置されている。そして、本実施形態では、図示はしないが、ミシン本体1には、縫針7の目孔7aに対する糸通し動作を実行する必要がある状況になったかどうかを検出するための検出手段が設けられている。
この検出手段としては、例えば縫針7の目孔7aに上糸Tが通されているかどうか(抜かれたかどうか)を、間接的或いは直接的に検出するセンサやスイッチ等を採用することができる。より具体的には、上糸駒が交換(取外し後取付け)されたことを検出するスイッチ、上糸Tの張力の変動に基づいて経路中のどこかで上糸Tが切れたことを検出するセンサ、上糸経路中の所定位置において上糸Tの存在(なくなったこと)を検出する光センサ、さらには、縫針7の目孔7a部分をCCDカメラ等により撮影して上糸Tの抜けを監視する装置などを、検出手段として用いることができる。
図11に示すように、まず通常時においては、糸通し機構部29は退避位置に位置されている(ステップS11)。ステップS12では、糸通しキー18がオン操作されたかどうかが監視され、ユーザにより糸通しキー18がオン操作された場合には(ステップS12にてYes)、ステップS14に進む。糸通しキー18がオン操作されないときには(ステップS12にてNo)、次のステップS13にて、上記検出手段による検出があったかどうかが判断される。検出がない場合には(ステップS13にてNo)、ステップS11に戻る。
これに対し、検出手段により糸通し動作を実行する必要がある状況になったことが検出されたときには(ステップS13にてYes)、ステップS14にて、上下移動機構34の制御により、糸通し機構部29が糸掛け準備位置に移動される。上記糸通しキー18がオン操作された場合にも(ステップS12にてYes)、糸通し機構部29が糸掛け準備位置に移動される。これにて、ユーザは、糸通しの準備操作(糸掛け操作)を行うことができる。
そして、上糸Tが糸切り刃46によって切断された(糸通しの準備が完了した)後、ユーザにより糸通しキー18がオン操作されると(ステップS15にてYes)、糸通し動作が実行される(ステップS16)。糸通し動作が完了すると、糸通し機構部29が退避位置に戻される(ステップS17)。なお、ステップS15において、ユーザが糸通しキー18をオン操作するのを検出する代わりに、上糸切り検出スイッチ47が動作したことを検出するようにしても良い。
このような第3の実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様に、通常時には糸通し機構部29が退避位置に位置されているので、縫製動作時におけるユーザの針元部分の視認性を高めることができる。そして、検出手段により糸通し動作を実行する必要がある状況になったことが検出されたときに、糸通し機構部29を自動で糸掛け準備位置に移動させることができるので、ユーザの指示操作の手間を省くことができ、操作性をより良好とすることができるものである。
尚、上記実施形態では、上下移動機構34として、ギヤ機構50やラック・ピニオン機構52を備えた構成としたが、駆動機構の具体的な構成としては様々な変形が可能であることは勿論である。この場合、アクチュエータとしても、パルスモータ49に限定されず、DCモータ、エアシリンダ、又はソレノイドなどを採用することも可能である。糸通し機構11の構成についても種々の変形が可能である。また、糸切りカッター部45に設けられる揺動レバー76の揺動を検出するための糸切り検出スイッチ47に代えて、フォトインタラプタなどの光学センサや、磁気センサ等を採用しても良い。
また、上記実施形態では、刺繍機22が装着可能な(刺繍縫製可能な)ミシンに本発明を適用するようにしたが、刺繍機22を備えないミシンにおいても本発明を適用できることは言うまでもない。その他、例えば上記第2の実施形態において、刺繍縫製が実行される場合であっても、ユーザの操作によって第1のモードを選択できるように構成しても良い等、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
本発明の第1の実施形態を示すもので、ミシン本体の正面図 糸通し装置部分の構成を、糸通し機構部が退避位置(a)、糸掛け準備位置(b)、糸通し動作位置(c)にある状態で示す縦断正面図 上下移動機構部分の縦断正面図(a)及び縦断左側面図(b) ラック・ピニオン機構の構成を、図2の(a),(b),(c)の状態に夫々対応した位置に可動ラックが存在する状態で示す縦断正面図 糸切りカッター部部分の構成を(a)、(b)の2種類について示す縦断正面図 糸通し時の糸通しフックの動作を説明するための拡大斜視図 ミシンの電気的構成を概略的に示すブロック図 糸通しに係る動作の流れを示す図(第1のモード) 本発明の第2の実施形態を示すもので、制御装置が実行するモード設定の手順を示すフローチャート 図8とは異なる第2のモードにおける糸通しに係る動作の流れを示す図 本発明の第3の実施形態を示すもので、制御装置が実行する糸通しに係る制御手順を示すフローチャート
符号の説明
1 ミシン本体
5 頭部
6 針棒
7 縫針
7a 目孔
8 針抱き
9 針棒台
11 糸通し装置
18 糸通しキー(操作スイッチ)
27,28 糸通し軸
29 糸通し機構部
30 回動機構
31 糸通しフック
32 糸案内部材
34 上下移動機構(位置切替手段)
45 糸切りカッター部
47 上糸切り検出スイッチ
49 糸通し用パルスモータ(アクチュエータ)
52 ラック・ピニオン機構(駆動機構)
57 移動体
58 ピニオン
59 固定ラック
61 可動ラック
62 制御装置

Claims (6)

  1. ミシン本体の頭部に設けられ、上糸供給源からの上糸を、針棒の下端部に針抱きを介して装着された縫針の目孔に通すためのものであって、
    針棒台に上下動可能に設けられた糸通し軸の下端部に、糸通しフック及び糸案内部材を備え、それら糸通しフック及び糸案内部材が前記針抱きの近傍の高さに位置した糸掛け準備位置において該糸案内部材に前記上糸を保持させる準備操作が行われた状態で、前記糸通し軸を糸通し動作位置まで下降させることによって、前記糸通しフックを回動機構により回動させて前記縫針の目孔を通し、前記糸案内部材に保持された上糸を引掛けた後に該糸通しフックを戻り回動させる糸通し動作を実行するミシンの糸通し装置において、
    前記糸通しフック及び糸案内部材を、前記糸掛け準備位置と、その糸掛け準備位置から上方に退避させた退避位置との間で移動可能に構成すると共に、
    前記糸通しフック及び糸案内部材を、前記糸掛け準備位置と退避位置との間を自動で移動させるための、アクチュエータ及び駆動機構からなる位置切替手段を設けたことを特徴とするミシンの糸通し装置。
  2. 前記位置切替手段の駆動機構は、前記アクチュエータにより上下移動する移動体に回転自在に支持されたピニオンと、前記ミシン本体に上下方向に延びて固定的に設けられ前記ピニオンが噛合する固定ラックと、この固定ラックに対し前記ピニオンを挟んだ反対側に位置して上下移動可能に設けられ該ピニオンが噛合される可動ラックとを備え、前記可動ラックによって前記糸通し軸が上下動されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のミシンの糸通し装置。
  3. 前記糸通しフック及び糸案内部材の前記糸掛け準備位置と退避位置と間での位置の切替を指示するための操作スイッチを備え、この操作スイッチの操作に基づいて前記位置切替手段のアクチュエータが駆動されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のミシンの糸通し装置。
  4. 前記縫針の目孔に対する糸通し動作を実行する必要がある状況になったかどうかを検出するための検出手段を備え、通常時には前記位置切替手段により前記糸通しフック及び糸案内部材が退避位置に位置され、前記検出手段により糸通し動作を実行する必要がある状況になったことが検出されたときに、前記位置切替手段により前記糸通しフック及び糸案内部材が糸掛け準備位置に移動されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のミシンの糸通し装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のミシンの糸通し装置を備えたミシンであって、
    通常時における前記糸通しフック及び糸案内部材の停止位置を、前記退避位置にするか糸掛け準備位置にするかのモードを設定するモード設定手段を備えることを特徴とするミシン。
  6. 複数の縫目模様のなかから縫製を行うべき縫目模様を選択するための縫目模様選択手段を備えると共に、前記モード設定手段は、前記縫目模様選択手段により選択されている縫目模様の種類に応じて自動でモードを設定することを特徴とする請求項5記載のミシン。
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