JP4047624B2 - ミシン - Google Patents

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  • Textile Engineering (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫い始めに針板の下方で上糸を掴む上糸掴み装置を備えるミシンにおいて、生地裏の縫い始め糸の残り長さを安定させるミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
縫い始めの縫い目を確実に形成するとともに、縫い始めの針先に残る上糸の長さを安定させるため、縫い始めにおいて、まず、第一針目の針に挿通された上糸の端部を釜により針板の裏側に引き出すが、その後において、引き出された上糸の端部を針板の裏側で挟持する上糸保持装置が知られている。例えば、特許2671478号公報や特開2000−325683号公報に上糸の端部を挟持する技術が開示されており、これらの技術は、上糸の端部を保持するという機能面において有用な技術となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上糸保持装置を使用し、生地裏の縫い始め糸の残り長さを安定させるためには、縫い始めに安定して上糸を掴み、保持する必要があり、上糸を掴むタイミングや上糸張力を縫製条件によって調整する必要があった。
また、縫製条件(例えば、縫製する生地や上糸の種類)により、上糸保持装置を使用するか否か選択する場合、その上糸保持装置の動作の有無によって、縫い始めの上糸張力やミシンの回転速度を切り替える必要があった。
【0004】
本発明の課題は、上糸保持装置を備えたミシンにおいて、上糸を掴む挟持動作、上糸張力、ミシン速度を制御し、縫製条件毎に安定した縫い始め動作を行うための制御を行うミシンを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、
上下動自在な針(52)と、
主軸を介して前記針を上下に駆動するミシンモータ(主軸モータ36)と、
縫い始めに針(52)に挿通されている上糸の端部を針板(50)の下方で挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放する上糸保持装置(60)とを備えたミシン(100)において、
上糸に張力を与えるとともに、前記張力を変更可能な上糸調子装置(45)と、
前記上糸保持装置の作動による上糸挟持動作を実行する時に、
前記上糸保持装置が前記上糸を挟持するまでの縫い始めの張力が、前記上糸保持装置が前記上糸を開放した後の縫製時の張力より高くなるよう、予め設定されている張力制御手段(制御装置38)と、
縫い始めにおけるミシンモータ起動速度を、上糸挟持動作の実行が設定されなかった場合よりも、高い速度とするように予め設定されているミシンモータ制御手段(制御装置38)と、
を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項1記載の発明によれば、張力制御手段により、上糸保持装置が上糸を挟持するまでの縫い始めの張力が、上糸保持装置が上糸を開放した後の縫製時の張力より高くなるように、上糸調子装置が制御されるので、上糸保持装置が上糸を挟持するまでの余分な上糸の繰り出しが押えられ、生地裏の縫い始め糸の残り長さを安定させることができる。よって、生地裏の糸の絡まり、いわゆる鳥の巣の軽減や、上糸保持装置への糸の絡まりを防止することができ、安定した縫い始め動作を行うことができる。
また、ミシンモータ制御手段が、上糸保持装置による上糸の挟持が行われ、針の目穴からの上糸の抜けが防止できる場合は、ミシンモータの縫い始めの速度を上糸挟持動作の実行が設定されなかった場合よりも、高い速度とするように制御するため、生産効率の向上を図ることができる。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のミシンにおいて、
前記上糸保持装置が前記上糸を挟持するまでの縫い始めの張力を設定する張力設定手段(制御装置38、操作パネル74a)を備え、
前記張力制御手段は、前記張力設定手段により設定された張力に基づき、前記上糸調子装置を制御することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、張力設定手段により、上糸保持装置が上糸を挟持するまでの縫い始めの張力の設定が行われるので、縫製を行う生地素材や上糸の種類等により異なる、生地と上糸の摩擦や、上糸の伸び率等に応じて適切な張力に設定、調整し、ミシンを動作させることができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載のミシンにおいて、
前記上糸保持装置の作動による上糸挟持動作を実行するか否かの設定を行う挟持動作設定手段(制御装置38、操作パネル74a)を備え、
前記挟持動作設定手段により、上糸挟持動作の実行が設定された場合、縫い始めにおける前記上糸の張力が縫製時の張力より高くなるよう予め設定されているとともに、前記張力制御手段は、上糸挟持動作の実行が設定された場合、前記縫製時より高い張力となるように上糸調子装置を制御するとともに、上糸挟持動作の実行が設定されなかった場合、縫い始めにおける前記上糸の張力が縫製時の張力となる制御を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、挟持動作設定手段により、上糸保持装置の上糸挟持動作を実行するか否かの設定が行われるので、縫製条件等により上糸保持装置の動作の有無を切り替えることができ、その上糸挟持動作の有無に対応させ設定された上糸の張力に基づきミシンの動作を行うことができる。
よって、ミシンの起動時、縫製開始時において、針から上糸が抜けないよう、縫い始めにおける上糸の張力が制御されることにより、操作性、利便性、生産性を高めることができる。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載のミシンにおいて、
前記上糸挟持動作の実行が設定された場合の縫い始めにおけるミシンモータ起動速度を設定する起動速度設定手段(制御装置38、操作パネル74a)を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、起動速度設定手段によって、縫製を行う生地素材や上糸の太さや種類に応じて上糸挟持装置が上糸の挟持を行わない場合のミシンモータの縫い始めの起動速度を設定できるので、上糸挟持装置が上糸の挟持を行わない場合の縫い始めのミシンの起動速度を必要以上に低下させることなくミシンモータを起動でき、生産効率の向上を図ることができる。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載のミシンにおいて、
複数の縫製パターンを記憶する記憶手段(制御装置38、EEPROM72)と、
前記複数の縫製パターンの各々に対して、前記上糸保持装置の作動による上糸挟持動作の実行の有無を設定する挟持動作設定手段(制御装置38、操作パネル74a)と、
前記記憶手段に記憶された複数の縫製パターンから所望の縫製パターンを選択する選択手段(制御装置38、操作パネル74a)と、
前記選択された縫製パターンに対応し前記挟持動作設定手段により設定された前記上糸保持装置の作動の制御を行う上糸保持動作制御手段(制御装置38)と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、上糸保持動作制御手段が、選択手段により選択された縫製パターンに基づく縫製を行う際に、その縫製パターンに対応して設定された上糸保持装置の作動の制御を行い、上糸保持装置の作動の有無を切り替えることにより、安定した縫い始め動作を行うことができ、操作性、利便性、生産性を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本発明の上糸保持装置を含むミシン本体の各部材の構成を説明するにあたって、本実施形態では、図中に示したXYZ軸によりそれぞれの方向を定め、特に、X軸方向における+側を左、−側を右;Y軸方向における+側を前、−側を後;Z軸方向における+側を上、−側を下と表現する。
【0020】
図1に示されるミシン100は、被縫製物に本縫いを施すミシンとしての基本構成を具備しているものである。即ち、ミシン100は、略水平なベッド面31aを有するベッド部31と、ベッド部31の後端部に立設された縦胴部32と、縦胴部32の上部からベッド部31と略平行になるように前方に延出するアーム部33と、アーム部33の前端部から下方に向けて延出する針棒35と、針棒35の下端部に取り付けられた針52と、ベッド部31の内部空間に設けられた回転釜(図示略)と、縫製動作の駆動源となる主軸モータ36と、種々のデータ入力を行うために用いる操作パネル74a(図5、図11に図示)と、ミシン100全体を制御する制御装置38(図5に図示)と、を備えている。
【0021】
ベッド部31のベッド面31aには布送り台(図示略)が設けられ、その布送り台に載置された被縫製物(生地、生地素材)は布押え(図示略)により支持され、この被縫製物は布送り台とともに、送り機構としてのX軸モータ76a、Y軸モータ77a等(図5に図示)によって前後方向及び左右方向に送られる。なお、この送り機構は制御装置38によって制御される。
【0022】
針棒35は上下動自在に設けられており、周知の針棒駆動機構により針棒35は主軸モータ36によって駆動され、上下に往復移動する。なお、主軸モータ36の駆動取出軸又は主軸にエンコーダ(図5に図示)が設けられている。エンコーダは主軸モータ36の主軸の回転角度を検知するものであり、例えば、主軸モータ36の主軸が1°回転するごとにパルス信号を制御装置38に出力するようになっている。
また、主軸1回転に伴い、針棒35は1往復の運動を行う。
【0023】
針棒35に針52が固定されている。針52の下端部分に糸通し孔(針の目穴とも言う)が形成されており、上糸供給源から導き出された上糸は針52に至って糸通し孔を通っている。一方、針52の直下に回転釜が配置されており、回転釜は、下降した針52から上糸を捕捉する剣先を具備している。回転釜には、下糸が巻回されているボビンが収納されている。回転釜は、回転運動するように構成されており、主軸モータ36によって駆動される。つまり、回転釜には下軸(図示略)が連結しており、下軸は伝動機構に連結しており、伝動機構は主軸に連結している。従い、主軸モータ36が作動すると、主軸モータ36の運動が主軸、伝動機構及び下軸によって回転釜に伝動して、回転釜が回転運動をする。なお、図1に示すように、ベッド部31のベッド面31aには針板50が固定されており、針板50には針穴51が形成されている。針52は、この針穴51を通ってベッド部31内に挿入される。
【0024】
針52が上下に一回往復運動する間に回転釜が回転運動を行う。そして、針52が下降した際に回転釜が剣先で上糸を捕捉することによって縫い目から針52の糸通し孔に至る上糸ループが形成され、回転釜が回転することによって上糸ループが広がり、上糸が下糸に絡む。このような針52と回転釜との協働によって上糸に下糸が絡み、被縫製物に本縫いの縫い目が形成される。
【0025】
更に、図1に示すように、ミシン100は、上糸を上糸供給源から針52へ案内する上糸案内機構39を具備している。上糸案内機構39は、糸案内部材40,41,43と、糸取りバネ42と、天秤44と、糸調子装置45と、を備える。糸案内部材40は、アーム部33の側面に固定されており、アーム部33の後端部に配置されている。糸案内部材40には糸通し孔が形成されており、上糸供給源から導き出された上糸は糸案内部材40の糸通し孔を通って前に向かって曲がっている。糸案内部材41は、糸案内部材40の前方に配置されており、アーム部33の側面の前端部に固定されている。糸案内部材40から導かれた上糸は、糸案内部材41に掛かって下に向かって曲がっている。
【0026】
糸調子装置45は、固定皿及び可動皿からなる調子皿組46と、ソレノイド(図示略)等とを備える。調子皿組46はアーム部33の先端部に設けられており、糸案内部材41の下方に配置されている。調子皿組46は、固定皿に対して可動皿が対向配置されている構成となっている。糸案内部材41から導かれた上糸は、調子皿組46の可動皿と固定皿の間に挟まれている。この調子皿組46は、可動皿及び固定皿で上糸を挟むことで上糸に対して押圧力を与えるものである。これにより、上糸に張力が作用する。
【0027】
後述する上糸張力駆動回路81bに備えられたソレノイドは、調子皿組46に推力(つまり、可動皿を固定皿に近づける力)を与えるものであり、ソレノイドの推力によって調子皿組46から上糸に押圧力が作用する。ソレノイドの推力の大きさは、つまり、調子皿組46から上糸に作用する押圧力の大きさは、ソレノイドに流れる電流のレベルに比例する。制御装置38がソレノイドに流れる電流のレベルを制御することによって、上糸に作用する押圧力の大きさが制御される。なお、ソレノイドとしては、例えば、特開2000−202183号公報に記載されている糸調子装置のソレノイドを用いることができる。このソレノイドは、可動部(つまり、プランジャ)から糸調子皿(つまり、調子皿組)に作用する推力が可動部のストロークに依らない特定ストローク間を有し、ソレノイドに流れる電流が一定であれば糸調子皿から糸に作用する糸張力(つまり、抵抗力、又は、押圧力)が糸の太さってによって異ならない。また、この特定ストローク区間においては、ソレノイドに流れる電流を制御すれば糸調子皿から糸に作用する糸張力を制御することができる。
【0028】
調子皿組46のすぐ前方に糸案内部材43が固定されている。糸案内部材43と調子皿組46との間に糸取りバネ42が配されている。調子皿組46から導かれた上糸は、糸取りバネ42に掛けられて、更に、糸案内部材43に導かれて上に向かっており、糸案内部材43において曲がっている。上糸に張力が全く又はほとんど作用していない場合には、糸取りバネ42は調子皿組46を中心に時計回り側(図1の方向から見た場合。)の原点位置にある。このとき、糸取りバネ42と糸案内部材43と調子皿組46とを結ぶ線は直線状になっておらず、調子皿組46から糸案内部材43までの間の上糸の経路は最も長くなっている。そして、上糸に作用する張力が大きくなるにつれて、糸取りバネ42は調子皿組46を中心に反時計回り(図1の方向から見た場合。)寄りに位置し、上糸の張力が所定以上になった場合には糸取りバネ42と糸案内部材43と調子皿組46とを結ぶ線は直線状になり、調子皿組46から糸案内部材43までの間の上糸の経路は最も短くなる。
【0029】
天秤44は、糸案内部材43のすぐ前方に配されている。天秤44には糸通し孔が形成されている。糸案内部材43から導かれた上糸は、天秤44の糸通し孔を通って下方に向かって曲がっており、針52の糸通し孔に至っている。
【0030】
天秤44は、上下に往復移動可能に設けられており、主軸モータ36によって上下に駆動される。つまり、主軸の回転運動を天秤44の上下の往復運動に変換する伝動機構が主軸と天秤44との間に介在している。従い、主軸モータ36が作動すると、主軸モータ36の運動が主軸及び伝動機構によって天秤44に伝動して、天秤44が上下に往復移動する。なお、天秤44が上下に往復移動する周期は針棒35が上下に往復移動する周期と同じであるが、天秤44の位相と針棒35の位相はずれている。つまり、針棒35が上死点に位置するタイミングと天秤44が上死点に位置するタイミングはずれており、針棒35が下死点に位置するタイミングと天秤44が下死点に位置するタイミングはずれている。
【0031】
天秤44が下死点に位置した場合には天秤44は糸案内部材43に最も近づくため、糸案内部材43から天秤44までの上糸の経路は最も短くなる。また、天秤44が上死点に位置した場合には、天秤44は糸案内部材43から最も離れるため、糸案内部材43から天秤44までの上糸の経路は最も長くなる。天秤44は、このような上下動によって、上糸供給源から針52へ上糸を供給したり、回転釜によって上糸ループが広がる際に上糸を弛ませたり、回転釜の剣先から上糸が開放された後に広がった上糸ループを引いたりする。
【0032】
そして、図1に示すように、上記したミシン100のベッド部31内にの上糸保持装置60が設けられている。
以下、上糸保持装置60に係る具体的な構成を説明する。
図1〜図4に示すように、上糸保持装置60は、主に、単一のアクチュエータとなるステッピングモータ(以下「モータ」という。)Aと、モータAと後述する関連動作手段Cとを連結する連結手段Bと、連結手段Bの移動に機械的に連動する関連動作手段Cと、上糸の端部を挟持(保持)しかつ挟持(保持)した上糸の端部を開放する挟持手段Dと、挟持手段Dの位置を検出する上糸保持装置検出手段E(図1,7,8,9,10に図示)と、検出手段Eからの検出信号に基づいて上糸保持装置60の動作を制御する制御装置38(図5に図示)と、から構成されている。
【0033】
モータAは、上糸保持装置60の駆動源となる単一のアクチュエータであって、制御装置38から出力されるパルス信号に同期して所定角度ずつ回転する周知のステッピングモータである。このモータAは、図1に示すように、シリンダベッド部31aより縦胴部32側のベッド部31内に配置されている。
【0034】
連結手段Bは、図2に示すように、回動腕部(以下「腕部」という。)11と、連結部材12とを備えている。腕部11の一端部は、モータAの軸部10に固定されており、腕部11の他端部には孔部11aが形成されている。モータAが駆動して軸部10が回転すると、腕部11は軸部10を支点として回動する(図2及び図4中矢印L参照)ようになっている。
【0035】
また、図1〜図4に示すように、連結部材12はシリンダベッド部31aの長さ方向に略沿って前後方向に延在する長尺な部材であって、図2に示すように、連結部材12の前側及び後側にはそれぞれ孔部12a、12bが形成されている。そして、腕部11の孔部11aと連結部材12の孔部12bとが、段ネジ13により、摺動可能に固定されている。従って、腕部11が回動する(図2及び図4中矢印L参照)と、連結部材12は前後動する(図2〜図4中矢印M参照)ようになっている。
【0036】
また、連結部材12は、同じくベッド部31内の上部に配置される図示しない送り機構との干渉を防ぐため、孔部12aから後方のミシンの縦胴部32方向に向かう連結部材12の延在方向を、後方向から針の上下動方向と直交する左右の一方向(例えば、左方向)に、該左右の一方向から下方向に、下方向から再び左右の一方向(例えば、左方向)に、該左右の一方向から後方向に、それぞれ向かわせる折曲部12c、12d、12e及び12fを有し、さらに、孔部12bと腕部11との連結部の高さを合わせる折曲部12g、12hを有している。
【0037】
関連動作手段Cは、図1に示すように針板50の下方に配置されるものであって、図2に示すように、その主要部材として、ベッド部31に固定される糸掴み板土台(以下「土台」という。)1と、下部糸掴み板(以下「下板」という。)2と、上部糸掴み板(以下「上板」という。)3と、糸掴み土台蓋(以下「土台蓋」という。)4と、糸掴みカム板リンク(以下「カム板リンク」という。)7と、コイルバネ8と、コロ9と、を備えている。
【0038】
土台1には、その中央部に所定幅を有する溝部1aが前後方向に沿って形成され、さらに溝部1aには、孔部1bが前後方向に沿って形成されている。なお、溝部1aの幅は、下板2及び上板3の幅と略同じである。土台1の溝部1aの左右両側には、スリット状の左孔部1c及び右孔部1dが前後方向に沿ってそれぞれ形成されている。ここで、これら左孔部1c及び右孔部1dは、互いに略平行に形成されているが、左孔部1c及び右孔部1dは互いに前後方向においてややずれた位置関係となっており、相対的に左孔部1cは前側に、右孔部1dは後側に形成されている。また、土台1の左側の縁部には、ネジ1eにより、コロ9が取り付けられている。
【0039】
下板2は、長尺でかつ略平板状の部材である。下板2の前端部2aには略四角形状の孔部2bが形成され、後端部2cにはスリット状の孔部2dが形成されている。なお、前端部2aの孔部2bは、針板50の針穴51(図1及び図7〜図10参照)の下方に位置した場合に、針52(図7(b)参照)が貫通する貫通孔となるものであって、以下、孔部2bを「貫通孔2b」という。下板2には、その略中央部2eから左側にやや突出する左突出片2fが設けられている。また、下板2において、中央部2e及び左突出片2fの下部には、前ピン2g及び左ピン2hがそれぞれ設けられている。
このような構成を備える下板2は、土台1の溝部1aにフィットするように土台1の上部に重なった状態となっている。この場合、下板2の前ピン2gは、土台1の孔部1bを挿通した状態でコイルバネ8の前掛け部8aに掛止し、一方、左ピン2hは土台1の左孔部1cを挿通してさらにカム板リンク7の左孔部7aをも挿通した状態で、ストッパ部材7bによりカム板リンク7に摺動可能に固定されている。
【0040】
上板3は、下板2よりもやや短い略平板状の部材である。上板3の前端部3aには、下方に突出するボス部3bが設けられている。また、上板3には、その略中央部3cから右側にやや突出する右突出片3dが設けられている。上板3において、後端部3e及び右突出片3dの下部には、後ピン3f及び右ピン3gがそれぞれ設けられている。
このような構成を備える上板3は、土台1の溝部1aにフィットするように下板2の上部に重なった状態となっている。この場合、上板3の後ピン3fは、上板2の孔部2d及び土台1の孔部1bを挿通した状態でコイルバネ8の後掛け部8bに掛止し、一方、右ピン3gは土台1の右孔部1dを挿通してさらにカム板リンク7の右孔部7cをも挿通した状態で、ストッパ部材7dによりカム板リンク7に摺動可能に固定されている。
【0041】
土台蓋4は、略平板状の部材であって、四つのネジ4aにより前側及び後側のそれぞれ二箇所の位置で土台1に固定されている。これにより、上述した下板2及び上板3は、土台1及び土台蓋4との間に挟まれ、下板2及び上板3のがたつきを防止できる構造となっている。
【0042】
カム板リンク7は、略左右方向に沿って配置される略平板状の部材である。カム板リンク7の左右両端部には左孔部7a及び右孔部7cが形成されており、上述したように、これらの孔部7a、7cに下板2の左ピン2h及び上板3の右ピン3gが挿通されている。カム板リンク7の下部には、カム板ピン7eが設けられており、カム板ピン7eは、連結部材12の前端部に形成された円形の孔部12aに摺動可能に嵌合されている。従って、モータAの駆動力により連結部材12が前後方向(図2〜図4中矢印M参照)に沿って移動すると、その連結部材12の前後動をカム板リンク7に伝達することができるようになっている。なお、詳細な説明は後述する上糸保持装置60の動作の説明にて行うが、モータAの駆動力からのカム板リンク7への伝達に伴い、関連動作手段Cの各部材が連動するようになっている。
また、カム板リンク7の左縁部には、コロ9の外周面に対応するようにやや湾曲したカム形状部7fが設けられている。なお、詳細な説明は上糸保持装置60の動作の説明にて行うが、このカム形状部7fに、土台1の左側の縁部に取り付けられたコロ9の外周面が接触するようになっている。
【0043】
コイルバネ8は、下板2及び上板3の前後方向の移動を規制する部材である。具体的に、図3に示すように、コイルバネ8の前掛け部8a及び後掛け部8bそれぞれは、下板2の前ピン2g及び上板3の後ピン3fに掛止されている。このコイルバネ8は、前ピン2gと後ピン3fとが前後に離れるように移動すると、これら前ピン2g及び後ピン3fが互いに近づくように付勢する。従って、下板2及び上板3は、このコイルバネ8の付勢力によって、互いに前後方向に接近するように付勢されていることになる。なお、同図に示すように、コイルバネ8は、カム板リンク7の下方に配置されるとともに、平面視してカム板リンク7と交差するように配置されている。
【0044】
図2に示すように、挟持手段Dは、上述した関連動作手段Cの前側に設けられるものであって、貫通孔2bを挿通した上糸の端部を所定の位置にガイドするガイド部材6と、貫通孔2bを挿通した上糸の端部を挟持するための挟持部材5と、を備えている。
【0045】
ガイド部材6は、両側が内側に凹んだテーパ状の側壁(誘導壁6a)を有する部材であって、二つのネジ6bにより下板2の前端部2a、具体的には下板2の貫通孔2bより前側縁側に固定されている。なお、詳細な説明は後述する上糸保持装置Aの動作の説明にて行うが、下板2の貫通孔2bに上糸の端部が挿通した状態においては、この上糸の端部は、下板2の後側への移動に伴いガイド部材6の誘導壁6aにガイドされる。そして、この上糸の端部は、貫通孔2bの前壁2iに係合した状態で保持されることになる。すなわち、貫通孔2bの前壁2iが、上糸の端部を保持する保持部としての機能を有することになる。
【0046】
挟持部材5は、上板3の前端部3aに取り付けられる部材である。詳しくは、挟持部材5の後端部5aには、円形の孔部5bが形成されており、この孔部5bが上板3のボス部3bと嵌合する。この場合、挟持部材5は、ボス部3bを支点として回動可能となる(図2中矢印K参照)。すなわち、挟持部材5は上板3に対して回動可能に支持される状態となる。また、挟持部材5の前端部5cには、下方にやや突出する突起部5dが設けられている。この突起部5dは、孔部5bを上板3のボス部3bに嵌合させた場合に、下板2の前端部2aに形成された貫通孔2bに入り込むようになっている。
【0047】
なお、突起部5dの幅は下板2の貫通孔2bの幅よりやや小さいので、挟持部材5が上板3に対して回動した場合には、突起部5dの左右両端が下板2の貫通孔2bの左右側壁にぶつかり、挟持部材5の回動が規制される構造となっている。逆に言えば、挟持部材5の突起部5dには、貫通孔2b内において左右方向にやや遊びが設けられている。
【0048】
そして、下板2に対して上板3が相対的に前側に移動した場合には、挟持部材5は、上板3のボス部3bを支点として回動しながら前記誘導壁6aに案内されて前側に移動するとともに挟持部材5の突起部5dが貫通孔2bの前壁2iに当接するようになっている。これにより、貫通孔2bを挿通した状態の上糸の端部を挟持できるようになっている。すなわち、挟持部材5の突起部5dが、上糸の端部を挟持する挟持部としての機能を有することになる。
【0049】
なお、上述したように、本実施の形態では、二つのネジ6bでガイド部材6を下板2に固定することで、貫通孔2bの前壁2iとガイド部材6とを一体として保持部を形成する構成としたが、ガイド部材6を設けずに貫通孔2bの前側の形状をテーパ状に形成して、誘導壁を設ける構成としてもよい。このとき、挟持部材5の突起部5dも貫通孔2bの前側の形状に対応するようにテーパ状に形成する必要がある。
また、本実施の形態では、上糸の端部が挿通される部分は、貫通孔2bに対応する開口であるが、この部分がフックとされていてもよい。
【0050】
図1及び図7〜図10に示すように、上糸保持装置検出手段Eは、センサスリット板(以下「スリット板」という。)20と、初期位置検出センサ(以下「初期センサ」という。)21と、待機位置検出センサ(以下「退避センサ」という。)22とを備えている。
【0051】
スリット板20は、連結部材12に固定されており、連結部材12とともに前後動する部材である。スリット板20は、初期センサ21によって挟持手段Dが初期位置(挟持手段Dが最も前側に位置する位置。以下同じ。)に位置しているか否かが検出される第一被検出部20aと、挟持手段Dが待機位置(挟持手段Dが最も後側に位置する位置。以下同じ。)に位置しているか否かが検出される第二被検出部20bとを備えている。
【0052】
初期センサ21は、ミシンフレームに固定されかつ発光素子と受光素子とを備える公知のフォトセンサであって、スリット板20の前後動に伴い、第一被検出部20aが初期センサ21の光線21aを(i)遮蔽するときON状態(ii)遮蔽しないときOFF状態となる。そして、初期センサ21は、ON状態か又はOFF状態かを示す検出信号を制御装置38に出力する。
また、退避センサ22は、初期センサ21と同様に、ミシンフレームに固定されかつ発光素子と受光素子とを備える公知のフォトセンサであって、スリット板20の前後動に伴い、第二被検出部20bが退避センサ22の光線22aを(i)遮蔽するときON状態(ii)遮蔽しないときOFF状態となる。そして、退避センサ22は、ON状態か又はOFF状態かを示す検出信号を制御装置38に出力する。
なお、上糸保持装置検出手段Eは、後述する糸掴み原点センサ80cとして機能する。
【0053】
図5に示すように、制御装置38は、上述した各部材の動作を制御するものである。制御装置38は、例えば、張力制御手段として、上糸調子装置45における上糸張力の制御を行う。
また、制御装置38は、例えば、主軸角度検出手段として、主軸の回転角度を検出する制御を行う。
また、制御装置38は、例えば、判別手段として、設定された主軸の角度と、主軸角度検出手段が検出した、主軸の回転角度とが一致するか否かの判別を行う。
また、制御装置38は、例えば、上糸挟持制御手段として、判別手段が主軸の角度が一致したと判別した際に、上糸保持装置が上糸を挟持する制御を行う。
また、制御装置38は、例えば、ミシンモータ制御手段として、設定されたミシンモータの回転速度によりミシンモータを駆動する制御を行う。
また、制御装置38は、例えば、上糸保持動作制御手段として、上糸保持装置60の作動の制御を行う。
また、具体的に、制御装置38は、その基本構成として、図5に示すように、ROM70、RAM71、EEPROM72及びCPU73を備えている。
【0054】
ROM70は、予めミシン制御するための縫製プログラム及び該縫製プログラムで使用されるデータ等を記憶しているものである。
RAM71は、ROM71から読み出したデータ及び縫製プログラムに基づいてCPU73により算出されたデータ等を記憶するものである。
EEPROM72は、記憶手段として、後述する操作パネル74aから設定されたデータ等を記憶するものである。例えば、縫い目データを含むパターンデータ、ミシン速度データ、上糸張力データ等、また、それらパターンデータ、ミシン速度データ、上糸張力データ等を組み合わせた縫製データとしてのダイレクトパターンデータ等が記憶されている。
【0055】
CPU73は、RAM71を作業領域としてROM70に格納された縫製プログラムに基づく各種の演算処理を行うものである。
具体的には、CPU73は、インターフェース74を介して操作パネル74aに接続されており、操作パネル74aから入力されるデータに基づき縫製データの選択及び変更を行う。
また、CPU73は、インターフェース74を介して布押えスイッチ74b及びスタートスイッチ74cと接続されており、布押えスイッチ74b及びスタートスイッチ74cから指示信号が入力された場合に、前述の縫製データに基づき、布押え機構、布送り機構、駆動機構、糸掴み機構等のその他の縫製に係る機構を制御して、縫製を行わせる処理を行う。
【0056】
また、CPU73は、インターフェース75を介して、主軸モータ36を駆動する主軸モータ駆動回路75bに接続され、主軸モータ36の回転を制御することにより、駆動機構(例えば、針52が取り付けられた針棒、主軸等)の動作を制御する。なお、主軸モータ36はエンコーダを備えており、主軸モータ36を駆動する主軸モータ駆動回路75dにおいて、前記エンコーダから出力されるパルス信号を主軸の回転角度に対応するように処理して生成される信号が、インターフェース75cを介してCPU73に入力され、この信号によって、CPU73は主軸の回転角度を認識できる。例えば、前述の信号としては、針52が上位置、即ち、主軸角度が針棒35の上死点を0°として45〜65°の間にあるときにオンとなる針上位置信号、主軸1回転中に90回、即ち、4°毎にオンとなる回転角度信号、制御の基準となる125〜145°の間にあるときにオンとなる基準信号とがある(図6参照)。なお、これらの信号は、主軸モータのエンコーダのパルス信号を用いずに、例えば、主軸に回転角度を検知するエンコーダやセンサを設けて、これらエンコーダやセンサを用いて生成するものとしてもよい。
また、CPU73は、インターフェース76及びインターフェース77を介して、縫製すべき布の布送り機構に備えられるX軸モータ76a及びY軸モータ77aをそれぞれ駆動するX軸モータ駆動回路76b及びY軸モータ駆動回路77bが接続され、布送り機構のX軸方向及びY軸方向の動作を制御する。
【0057】
また、CPU73は、インターフェース78を介して、上糸保持装置60を、初期位置、挟持位置、保持位置、開放位置、待機位置へ移動するための上糸掴みモータ78a(モータA)を駆動する上糸掴みモータ駆動回路78bが接続され、上糸掴みの動作を制御する。
また、CPU73は、インターフェース79を介して、布押えを上下に移動する布押えモータ79aを駆動する布押えモータ駆動回路79bが接続され、布押えの動作を制御する。
【0058】
また、CPU73は、インターフェース80を介して、布送り機構に備えられた布送り台(図示略)の原点位置(布送り台の初期位置)を検出するためのX軸原点センサ80a及びY軸原点センサ80bに接続され、布送り台が原点位置に戻っているか否かを示す信号を入力されて、該信号に基づく制御を行う。
また、CPU73は、インターフェース80を介して、上糸保持装置60の原点位置(待機位置)を検出するための糸掴み原点センサ80cに接続され、上糸保持装置60の挟持手段Dが正規の位置に位置しているか否かを示す信号を入力されて、該信号に基づく制御を行う。
また、CPU73は、インターフェース80を介して、布押え機構に備えられた布押え(図示しない)の原点位置を検出するための布押え原点センサ80dに接続され、布押えが原点位置に戻っているか否かを示す信号を入力されて、該信号に基づく制御を行う。
【0059】
また、CPU73は、D/A変換81を介して、上糸張力マグネット81aに備えられた前述のソレノイドの電流値を制御するための上糸張力駆動回路81bに接続され、0〜255段階に設定、制御された電流値に比例し、上糸張力マグネット81aの張力を制御し、糸調子装置45の制御を行う。
【0060】
次に、布に縫製を行う際の上記した上糸保持装置60に係る各部材の動作を説明する。
まず、図7を参照して、縫製開始前から縫製開始直後にかけてのモータA、連結手段B、関連動作手段C、挟持手段D及び上糸保持装置検出手段Eを構成する各部材の動作を説明する。
【0061】
各部材の動作は、以下に示すとおりである。
(O1)腕部11は、モータAの回転により軸部10を支点として、所定角度をもって前側に回動する(図7(a)中矢印L0参照)。また、段ネジ13により腕部11に摺動可能に固定された連結部材12も、前側に移動(以下「前移動」という。)する(図7(a)中矢印M0参照)。
【0062】
(O2)連結部材12とピン結合しているカム板リンク7は、連結部材12の前移動に伴い全体として前移動する。
【0063】
(O3)カム板リンク7とピン結合している上板3の右ピン3gは、カム板リンク7の前移動に伴い、土台1の右孔部1dに沿って前移動して右孔部1dの前壁にぶつかり(係止し)、右ピン3gの前移動が規制された状態となる。この場合、右ピン3gと一体とされた上板3も前移動し、上板3は最前位置に位置する。
【0064】
(O4)カム板リンク7とピン結合している下板2の左ピン2hは、カム板リンク7の前移動に伴い、土台1の左孔部1cに沿って前移動する。この際、土台1の左孔部1cと右孔部1dとでは、相対的に左孔部1cの方が右孔部1dよりやや前方に形成されているので、上板3の右ピン3gの方が下板2の左ピン2hより早く右孔部1dの前壁にぶつかり(O3の状態)、その後は、下板2の左ピン2hは、上板3の右ピン3gを支点とするように土台1の左孔部1cに沿って、前移動する。そして、この左ピン2hの前移動、すなわち下板2の前移動は、下板2の貫通孔2bが針板50の針穴51直下の所定の最前位置に到達するまで続けられ、その時点で制御装置38がモータAを停止させることにより停止する。なお、土台1の左孔部1cの前方向の長さは、左ピン2hが前記最前位置に到達したときも左孔部1cの前壁とぶつからないように余裕を持った適当な大きさに形成され、左ピン2hが左孔部1cの前壁にぶつかってモータAが脱調するのを防いでいるとともに、万一、モータAが脱調した場合における連結部材12の不都合な移動を規制して上糸保持装置の機構を保護している。
【0065】
(O5)下板2及び上板3が最前位置に位置するとき、下板2の前ピン2gと上板3の後ピン3fは、互いにコイルバネ8の付勢力に抗して離間した状態となる。なお、この場合、コイルバネ8の付勢力により下板2の前ピン2gと上板3の後ピン3fとが前後方向に互いに近づくように付勢されているが、コイルバネ8の付勢力よりもモータAの駆動力のほうが大きいので、下板2は、コイルバネ8の付勢力に抗して、最前位置に位置することができる。
【0066】
(O6)また、下板2及び上板3が最前位置に位置するとき、下板2の貫通孔2bにおける前壁2iと、上板3の前端部3aに取り付けられた挟持部材5の突起部5dとが離間しており、貫通孔2bが開いた状態となる。このとき、貫通孔2bと針板50の針穴51とが上下に重なった状態となっており、縫製開始後の第一針目の針52がこれら貫通孔2b及び針板50の針穴51を貫通して上下動できるようになる。
【0067】
(O7)連結部材12が前移動した状態となり、初期センサ21及び退避センサ22は、ともにOFF状態となる。
【0068】
なお、各部材が上記(O1)〜(O7)に示した状態となる位置は、挟持手段Dが針52の上下動経路上に位置する位置であって、以下の説明では、この位置を各部材の「初期位置」という。
【0069】
また、上記(O7)に関して、各部材が「初期位置」に位置した際に、初期センサ21及び退避センサ22の少なくとも一方のセンサがON状態であるとき、この一方のセンサによる検出信号に基づいて、制御装置38はミシン100自体の起動又は駆動を停止するように制御する。すなわち、縫製開始前の挟持手段Dが、正規の「初期位置」からずれた位置に配置されている場合等に、ミシンの起動又は駆動を停止させることができるようになっている。これにより、挟持手段Dが第一針目の針52と干渉するのを防止できる。
【0070】
(O8)そして、各部材が正規の「初期位置」に位置すると、上糸の端部が挿通されている第一針目の針52が、針穴51及び貫通孔2bを貫通するように上下動する。なお、上糸の端部は、針52が下降したとき釜(図示略)によって下方に引き出され、その後、針52が上昇したときには、貫通孔2b及び針穴51に挿通された状態で垂れ下がった状態となる。
【0071】
次に、図8を参照して、縫製開始後(第一針目の針52の上下動後)におけるモータA、連結手段B、関連動作手段C、挟持手段D及び上糸保持装置検出手段Eを構成する各部材の動作を説明する。
【0072】
各部材の動作は、以下に示すとおりである。
(P1)腕部11は、モータAの回転により軸部10を支点として、所定角度をもって後側に回動する(図8(a)中矢印L1参照)。また、段ネジ13により腕部11に摺動可能に固定された連結部材12も、後側に移動(以下「後移動」という。)する(図8(a)中矢印M1参照)。
【0073】
(P2)連結部材12とピン結合しているカム板リンク7は、連結部材12の後移動に伴い全体として後移動する。
【0074】
(P3)カム板リンク7が後移動を始めると、上板3は、コイルバネ8の付勢力によって上板3の後ピン3fが前方に引っ張られて上板3の右ピン3gが土台1右孔部1dの前壁とぶつかったままであるので、最初、後移動せず、下板2のみが後移動を開始する。そして、互いに離間していた前ピン2g及び後ピン3f(O5参照)は、カム板リンク7の後移動に伴い、下板2の前ピン2g及び上板3の後ピン3fに掛止されたコイルバネ8の付勢力によって互いに近づき、これらピンと一体とされた下板2及び上板3もやや後移動する。
なお、上板3も下板2との距離が小さくなるにつれて、徐々に後移動をするようになるが、下板2の後移動量の方が大きいため、上板3と下板2とは互いに接近する。
【0075】
(P4)上板3の右ピン3gは、上板3の後移動に伴い、土台1の右孔部1dとの規制(O3参照)が解除されるとともに土台1の右孔部1dに沿ってやや後移動する。この場合、上板3の右ピン3g及び下板2の左ピン2hの両ピンがピン結合したカム板リンク7は、前後方向に対して略直交した状態となり、この時点では、上板3も下板2も略同量ずつ移動する。
【0076】
(P5)下板2及び上板3が後移動する場合、下板2及び上板3が後移動を開始してからは、下板2の後移動量の方が上板3の後移動量よりも大きいので(P4参照)、下板2の貫通孔2bの前壁2i及び前端部2aに固定されたガイド部材6は、上板3の前端部3aに取り付けられた挟持部材5に近づくように後移動する。この場合、挟持部材5の突起部5dと下板2の貫通孔2bにおける前壁2iとが互いに当接する状態となり、貫通孔2bが閉じた状態となる。そして、貫通孔2bが閉じる際に、開いた状態の貫通孔2bに挿通された上糸の端部が、突起部5dと前壁2iとの間に挟持される。
【0077】
ここで、貫通孔2bが閉じる際に、貫通孔2bに挿通された上糸の端部は、ガイド部材6の誘導壁6aに係合しながら前壁2iの中央部に誘導されるようになっている。また、挟持部材5の突起部5dには貫通孔2b内において左右方向にやや遊びが設けられた状態で挟持部材5は上板3に対して回動可能に支持されているので、突起部5dは前壁2iに対して左右にやや揺動しながら前壁2iに当接する。このような構成により、突起部5dと前壁2iとを強制的に当接するためにコイルバネ8の付勢力を大きくする必要は無く、突起部5dと前壁2iとの間で柔軟かつ確実に上糸の端部を挟持できるようになっている。
【0078】
なお、この場合、上述した保持部としての機能を有する貫通孔2bの前壁2iに対して、上述した挟持部としての機能を有する挟持部材5の突起部5dが相対的に移動して上糸の端部を挟持するので、挟持手段Dは、「挟持位置」に位置することになる。
【0079】
(P6)そして、挟持部材5の突起部5dと貫通孔2bの前壁2iとの間に上糸の端部を挟持した状態で、挟持手段Dはさらにやや後移動して、上糸保持装置Aは不動状態となる。この状態において、針52による所定針数(例えば、2〜3針)の針落ちが行われる。
【0080】
(P7)連結部材12の後移動に伴い、スリット板20の第一被検出部20aが初期センサ21の光線21aを遮蔽し、初期センサ21はON状態となる。この場合、退避センサ22はOFF状態のままとなっている。
【0081】
なお、各部材が上記(P1)〜(P7)に示した状態となる位置は、挟持手段Dが上糸の端部を挟持する「挟持位置」を経由しかつ「初期位置」より針52(図7(b)参照)の上下動経路から縦胴部32に向かって後側に離間する位置である。また、各部材が上記(P1)〜(P7)に示した状態となる位置は、挟持手段Dが挟持した上糸の端部を保持部としての機能を有する貫通孔2bの前壁2iに保持する位置であって、以下の説明では、この位置を各部材の「保持位置」という。
【0082】
また、上記(P6)(P7)に関して、各部材が「保持位置」に位置する際に、初期センサ21はOFF状態からON状態となるが、挟持手段Dが正規の「保持位置」に位置し初期センサ21がON状態となった場合に、初期センサ21の検出信号に基づいて、制御装置38は、針52による所定針数(例えば、2〜3針)の針落ちを行うように制御している。これにより、挟持手段Dが第二針目以降の針52と干渉するのを防止できる。
【0083】
次に、図9を参照して、上糸の端部の挟持(保持)後におけるモータA、連結手段B、関連動作手段C、挟持手段D及び上糸保持装置検出手段Eを構成する各部材の動作を説明する。
【0084】
各部材の動作は、以下に示すとおりである。
(Q1)腕部11は、モータAの回転により軸部10を支点として、所定角度をもって後側に回動する(図9(a)中矢印L2参照)。また、段ネジ13により腕部11に摺動可能に固定された連結部材12も、後移動する(図9(a)中矢印M2参照)。
【0085】
(Q2)連結部材12とピン結合しているカム板リンク7は、連結部材12の後移動に伴い全体として後移動する。そして、所定の後移動量を超えたところで、カム板リンク7のカム形状部7fは、コロ9の外周面と接触する。
【0086】
(Q3)カム板リンク7の後移動に伴い、下板2の左ピン2h及び上板3の右ピン3gも、土台1の左孔部1c及び右孔部1dに沿ってやや後移動する。この場合、下板2の左ピン2h及び上板3の右ピン3g両方ともが後移動するので、これらピンと一体とされた下板2及び上板3もやや後移動する。
【0087】
ここで、カム板リンク7が所定の後移動量を超えると、カム形状部7fはコロ9の外周面と接触するようになっているので(Q2参照)、この接触部を支点とするように、上板3の右ピン3gは後移動する。この場合、カム形状部7fとコロ9の接触により下板2の左ピン2hにおける後移動は、やや規制されるので、右ピン3gの後移動量の方が左ピン2hの後移動量よりも大きくなる。従って、右ピン3g及び左ピン2hが一体とされた上板3及び下板2の後移動量に関しても、上板3の後移動量の方が下板2の後移動量よりも大きくなる。
【0088】
(Q4)下板2及び上板3が後移動する場合、上板3の後移動量の方が下板2の後移動量よりも大きいので(Q3参照)、上板3の前端部3aに取り付けられた挟持部材5の突起部5d(P5参照)も、前壁2iから離間するように後移動するため、貫通孔2bがやや開いた状態となる。要約すると、下板2及び上板3の両板が後移動しつつ、貫通孔2bが閉じた状態からやや開いた状態となる。そして、この場合に、挟持部材5の突起部5と貫通孔2bの前壁2iとの間に挟持されていた上糸の端部(P5及びP6参照)が開放される。
【0089】
(Q5)連結部材12の後移動に伴いスリット板20も後移動するが、第二被検出部20bが退避センサ22の光線22aを遮蔽するほどにはスリット板20は後移動していない。従って、この場合、初期センサ21はON状態のままであり、また、退避センサ22もOFF状態のままである。
【0090】
なお、各部材が上記(Q1)〜(Q5)に示した状態となる位置は、挟持手段Dが「保持位置」より更に針52(図5(b)参照)の上下動経路から縦胴部32に向かって後側に離間する位置である。また、各部材が上記(Q1)〜(Q5)に示した状態となる位置は、上述した挟持部としての機能を有する挟持部材5の突起部5dが、上述した保持部としての機能を有する貫通孔2bの前壁2iに対して、相対的に移動して上糸の端部を開放する位置でもあり、以下の説明では、この位置を各部材の「開放位置」という。
【0091】
次に、図10を参照して、上糸の端部の開放後におけるモータA、連結手段B、関連動作手段C、挟持手段D及び上糸保持装置検出手段Eを構成する各部材の動作を説明する。
【0092】
各部材の動作は、以下に示すとおりである。
(R1)腕部11は、モータAの回転により軸部10を支点として、所定角度をもってさらに後側に回動する(図10(a)中矢印L3参照)。また、段ネジ13により腕部11に摺動可能に固定された連結部材12も、さらに後移動する(図10(a)中矢印M3参照)。
【0093】
(R2)連結部材12とピン結合しているカム板リンク7は、連結部材12の後移動に伴い全体としてさらに後移動する。この場合、カム板リンク7のカム形状部7fがコロ9の外周面と接触し続けながら、カム板リンク7は後移動する。
【0094】
(R3)カム板リンク7のさらなる後移動に伴い、下板2の左ピン2h及び上板3の右ピン3gも、土台1の左孔部1c及び右孔部1dに沿ってさらに後移動する。この場合、左ピン2h及び右ピン3g両方ともが後移動するので、これらピンと一体とされた下板2及び上板3もさらに後移動する。
【0095】
ここで、左ピン2h及び右ピン3gの後移動の際に、カム板リンク7のカム形状部7fがコロ9に接触すること、及び、土台1の左孔部1cと右孔部1dとで相対的に右孔部1dの方が左孔部1cよりやや後側に形成されていることから、上板3の右ピン3gは、カム形状部7fとコロ9との接触点を支点とするように後移動するので、右ピン3gの後移動量も左ピン2hより大きくなる。この場合、左ピン2h及び右ピン3gの両ピンがピン結合したカム板リンク7は、左右方向に対してやや傾斜した状態となる。
そして、左ピン2hは、土台1の左孔部1cの後壁にぶつかり(係止し)、左ピン2hの後移動が規制された状態となる。また、右ピン3gの後移動は、所定の最後位置で、制御装置38(図示しない。)がモータAを停止することにより停止する。なお、土台1の右孔部1dの後方向の長さは、右ピン3gが前記最後位置に到達したときも右孔部1dの後壁とぶつからないように余裕を持った適当な大きさに形成され、右ピン3gが右孔部1dの後壁にぶつかってモータAが脱調するのを防いでいるとともに、万一、モータAが脱調した場合における連結部材12の不都合な移動を規制して上糸保持装置の機構を保護している。この場合、左ピン2h及び右ピン3gと一体とされた下板2及び上板3は、最後位置に位置することになる。
【0096】
(R4)下板2及び上板3が最後位置に位置しているとき、下板2の前ピン2gと上板3の後ピン3fは、互いにコイルバネ8の付勢力に抗して離間した状態となる。なお、この場合、コイルバネ8の付勢力により下板2の前ピン2gと上板3の後ピン3fとが互いに近づくように付勢されているが、コイルバネ8の付勢力よりもモータAの駆動力のほうが大きいので、上板3は、コイルバネ8の付勢力に抗して、最後位置に位置することができる。
【0097】
(R5)また、下板2及び上板3が最後位置に位置しているとき、下板2の貫通孔2bにおける前壁2iと、上板3の前端部3aに取り付けられた挟持部材5の突起部5dとがさらに離間し、貫通孔2bがやや開いた状態(Q4参照)から全開した状態となる。
【0098】
(R6)連結部材12のさらなる後移動に伴い、スリット板20の第二被検出部20bが退避センサ22の光線22aを遮蔽し、退避センサ22はON状態となる。この場合、初期センサ21及び退避センサ22の両センサがON状態となる。
【0099】
なお、各部材が上記(R1)〜(R6)に示した状態となる位置は、挟持手段Dが「保持位置」より更に針52(図7(b)参照)の上下動経路から縦胴部32に向かって後側に離間する位置で、かつ、挟持手段Dが針52(図7(b)参照)の上下動経路から最も後側に退避する位置であって、以下の説明では、この位置を各部材の「待機位置」という。
【0100】
この「待機位置」は、保持部(前壁2i)に係合している上糸の端部を釜(詳しくは釜の剣先)の移動経路から離間させるのに十分な距離を有する位置に設定されている。従って、挟持手段Dが「開放位置」から「待機位置」に移動する際に、挟持手段Dが「保持位置」に停止しているとき釜によって布に縫い込まれた上糸の端部を、布から引き抜いて釜の通過経路から離間させることができる。
【0101】
(R7)挟持手段Dが「開放位置」から「待機位置」に移動すると、開放された状態の上糸の端部を、釜の通過経路から離間させて、布から出た上糸が、貫通孔2bを経て再び布に縫い込まれるのを防止することができる。
また、「待機位置」を上記した位置よりもさらに針52の上下動経路から離れた位置に設定し、上糸の端部が貫通孔2bから抜け出るようにすれば、その後形成される縫い目に縫い込ませることも可能となる。
【0102】
そして、上述したように、上糸保持装置100の各部材が、「初期位置」から「挟持位置」、「保持位置」及び「開放位置」を経て「待機位置」に到達すると、所要針数の針落ちが行われ、縫製に係る一サイクルが終了するようになっている。
【0103】
次に、本発明にかかるミシン100の操作パネル74aを参照しつつ、制御装置38における設定項目について説明する。
なお、操作パネル74aは、制御装置38とともに、設定手段としての機能を有する。
例えば、張力設定手段として、操作パネル74aにおいて、縫い始めの張力の設定が行われる。
また、操作パネル74aにおいて、例えば、挟持動作設定手段として、上糸保持装置60の上糸挟持動作の有無の設定が行われる。
また、操作パネル74aにおいて、例えば、主軸角度設定手段として、上糸保持装置60が上糸を保持すべき際の主軸の回転角度の設定が行われる。
また、操作パネル74aにおいて、例えば、起動速度設定手段として、上糸保持装置60の作動の有無に応じてミシンモータの縫い始めにおける起動速度の設定が行われる。
また、操作パネル74aにおいて、例えば、選択手段として、所望の縫製パターンの選択が行われる。
図11に示す、操作パネル74aには、データ表示部74d、準備キー74e、リセットキー74f、+/前進キー74g、−/後退キー74h、パターンNo.キー74i、X拡大縮小率キー74j、Y拡大縮小率キー74k、スピードキー74l、上糸張力キー74m、上糸掴みキー74n、ダイレクトキー(P1,P2,P3,P4)74o、および各キー等の動作状態を示すLED90、91、92、等が設けられている。
【0104】
データ表示部74dには、LED91が点灯している箇所、キーに対応した各種データ番号や、データ数値等が表示される。
+/前進キー74g、−/後退キー74hは、各種データ番号やデータ数値の変更(順送り;+、逆送り;−)を行う操作を行うためのキーである。
【0105】
パターンNo.キー74iは、例えば、予め設定され、記憶された縫製パターンによる縫製を行う際に、縫製パターンを選択するため縫製パターンNo.を呼び出し表示するためのキーである。
ここで、縫製パターンについて説明する。縫製パターンは、縫製を行う際の運針パターンであって、その運針パターンを実行するために、布送り機構のX方向移動量、Y方向移動量のデータ(針落ち位置データ)である。実際のパターンデータと、運針パターンを、縫い終わりなどで補強縫いをする際のかん止めパターンを例に、図12に示す。原点位置(0,0)から図12(a)に示すパターンデータに従い運針が行われると、図12(b)に示す運針が行われ、縫い目が形成される。
【0106】
X拡大縮小率キー74j、Y拡大縮小率キー74kは、縫製パターンを実行する際に、そのパターンの拡大縮小率の表示を行うためのキーである。
スピードキー74lは、縫製時のミシン速度を表示するためのキーである。
上糸張力キー74mは、縫製時の上糸張力を表示するためのキーである。
上糸掴みキー74nは、上糸掴みを実行するか否かの選択を行うキーである。
ダイレクトキー(P1,P2,P3,P4)74oは、縫製パターン、拡大縮小率、ミシン速度、上糸張力、上糸掴みの実行有無等が組み合わされた、カスタマイズな縫製を行うためのデータ(ダイレクトパターンデータ)を選択するためのキーである。
【0107】
次に、本発明にかかるミシン100の動作の流れについて、図13、14に示すフローチャートに沿い、説明する。
まず、ミシンの主電源(図示略)のオン操作の際に、準備キー74eも同時にオン操作した場合、つまりステップS100においてYESの場合は、ステップS101に移り、後述するメモリスイッチの設定を行う。
また、ステップS100においてNOの場合、あるいはステップS101におけるメモリスイッチデータ設定後、ステップS102に移行する。
また、ミシンの主電源(図示略)のオン操作の際に、ダイレクトキー(P1,P2,P3,P4)74oも同時にオン操作した場合、つまりステップS102においてYESの場合は、ステップS103に移り、後述するダイレクトパターンの設定を行う。
また、ステップS102においてNOの場合、あるいはステップS103におけるダイレクトパターンデータ設定後、ステップS104に移行する。
【0108】
次いで、ステップS104において、パターンNo.キー74i、X拡大縮小率キー74j、Y拡大縮小率キー74k、スピードキー74l、上糸張力キー74m、の操作を監視し、何れかのキーがオン操作された場合、つまり、YESの場合、ステップS105に移り、ステップS104でオン操作されたキーに応じて設定内容をデータ表示部74dに表示し、対応するLEDを点灯する。
また、ステップS104においてNOの場合、あるいはステップS105における動作後、ステップS106に移行する。
ステップS106において、+/前進キー74g、−/後退キー74hが操作されるか否かを監視し、オン操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS107に移り、データ表示部74dに表示されている各設定内容の更新を行う。
ステップS106においてNOの場合、あるいはステップS107における設定内容の更新後、ステップS108に移行する。
【0109】
ステップS108において、上糸掴みキー74nが操作されるか否かを監視し、オン操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS109に移り、上糸掴みLED92が点灯時は消灯に、消灯時は点灯に更新する。なお、点灯時が上糸掴み有りを選択している。また、上糸掴みキー74nを操作する毎にオン、オフを交互に切り替え設定される。
ステップS108においてNOの場合、あるいはステップS109における設定内容の更新後、ステップS110に移行する。
ステップS110において、ダイレクトキー(P1,P2,P3,P4)74oが操作されるか否かを監視し、オン操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS111に移り、オン操作されたダイレクトパターン選択とし、ダイレクトパターンにおける、パターンNo.、X拡大縮小率、Y拡大縮小率、スピード、上糸張力の設定値とする。ステップS110においてNOの場合、あるいはステップS111におけるパターン選択後、ステップS112に移行する。
【0110】
ステップS112では、準備キー74eの操作を監視する。そして、操作されない場合、つまりNOの場合は、ステップS104に戻る。また、操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS113において、上糸掴みモータ78a(モータA)を駆動し、上糸掴み原点センサ80cの検出位置まで移動させる原点検索を行う。なお、ここでは、原点位置=上糸掴み待機位置とする。
次いで、ステップS114において、布押えモータ79aを駆動し、布押え原点センサ80dの検出位置まで移動させる原点検索を行う。なお、ここでは、原点位置=布押え下降位置とする。
次いで、ステップS115において、X軸モータ76a、Y軸モータ77aを駆動し、X軸原点センサ80a、Y軸原点センサ80bの検出位置まで移動させる原点検索を行った後、選択されたパターンデータの縫い始め位置まで布送り台を移動させる。そして、ステップS116で布押えモータ79aを駆動し、布押えを上昇させる。
【0111】
ステップS117において、布押えスイッチ74bの操作を監視し、操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS118において、布押えモータ79aを駆動し、布押えを下降させる。そして、ステップS119において、再度布押えスイッチ74bの操作を監視し、操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS120において、布押えモータ79aを駆動し、布押えを上昇させ、ステップS117に戻る。また、ステップS119において、布押えスイッチ74bの操作を監視し、操作されない場合、つまりNOの場合は、ステップS121に移行する。
ステップS121において、スタートスイッチ74cの操作を監視し、操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS122に移行し、縫製動作処理を行う。また、ステップS121において、スタートスイッチ74cの操作を監視し、操作されない場合、つまりNOの場合は、ステップS119に戻る。
ステップS122において、後述する縫製動作処理を行い、その処理の終了後は、ステップS123に移行し、X軸モータ76a、Y軸モータ77aを駆動し、縫い終わり位置から縫い始め位置まで移動させ、上糸掴みモータ78aを原点位置(待機位置)まで移動させる。次いで、ステップS124において、布押えモータ79aを駆動し、布押えを上昇させ、ステップS117へ戻り、縫製動作が繰り返される。
【0112】
なお、次にメモリスイッチの設定内容およびこの設定による動作について説明する。メモリスイッチには、図16に示すように予め標準値が設定されており、特に設定を変更しない場合は、標準値の設定によってミシンが駆動される。例えば、上糸保持装置60が上糸を掴むまでの縫い始めの上糸調子装置45が上糸に与える張力は、上糸保持装置60が上糸を開放した後の縫製時の張力10(メモリスイッチNo.14)よりも高い200(メモリスイッチNo.6)が予め設定されており、CPU73が縫い始めにこの設定値を読み取って上糸調子装置45を制御することにより上糸保持装置60が上糸を掴む前後において、上糸に適正な張力を与えることができる。
【0113】
また、上糸挟持動作の実行の有りおよび無しの設定に応じて上糸調子装置45が上糸に与える張力を制御する場合も、挟持動作の有無の設定に応じてCPU73が上記した張力の各設定値200(メモリスイッチNo.6)、あるいは10(メモリスイッチNo.14)を読み込んで上糸調子装置45を制御することにより、上糸挟持動作の実行の有りの場合は、実行なしの場合の張力(10)よりも高い張力(200)を上糸に与えることができる。
【0114】
また、上糸挟持動作の実行の有りおよび無しの設定に応じて、ミシンモータ(モータA)の縫い始めの起動速度を制御する場合も、上糸挟持動作の実行ありの場合は、1針目および2針目の回転速度がそれぞれ1500rpm(メモリスイッチNo.1)と2700rpm(メモリスイッチNo.2)に設定されており、これらは上糸挟持動作の実行無しの場合の1針目および2針目の回転速度400rpm(メモリスイッチNo.9)と900rpm(メモリスイッチNo.10)よりも高い回転速度に設定されており、CPU73が上糸挟持動作の実行の有無に応じて、これらの設定を読み込んでのミシンモータ(モータA)の起動速度を制御することにより、上糸挟持動作の実行有りの場合は、実行無しの場合よりも高い起動速度でミシンモータを起動でき、上糸挟持動作に適応した起動速度でミシンを起動することができる。
さらに、上糸挟持装置60が上糸を挟持する場合のミシンの主軸の回転角度60(回転角度位置R)および、上糸挟持装置60が上糸を開放するまでの針数2がそれぞれ、メモリスイッチNo.7とNo.8に設定されており、CPU73がこれらの設定値を読み込むことにより上糸挟持装置60の上糸の挟持および開放のタイミングが決定される。
【0115】
次に、ステップS101におけるメモリスイッチ設定の流れについて、図15のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS300において、メモリスイッチNo.=1が最初に選択され、メモリスイッチNo.「1」が操作パネル74aのデータ表示部74dに表示される。
次いで、ステップS301において、+/前進キー74g、−/後退キー74hの操作を監視し、オン操作された場合、つまりYESの場合、ステップS302においてメモリスイッチNo.を更新し、更新されたメモリスイッチNo.を、データ表示部74dに表示する。
ステップS302の後、あるいはステップS301でNOの場合はステップS303に移行する。
【0116】
ステップ303では、準備キー74eの操作を監視し、オン操作されない場合、つまりNOの場合はステップS301に戻り、オン操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS304に移行し、メモリスイッチNo.に対応した現在のメモリスイッチに設定されたメモリスイッチデータがデータ表示部74dに表示され、その後ステップS305に移行する。
次いで、ステップS305において、+/前進キー74g、−/後退キー74hの操作を監視し、オン操作された場合、つまりYESの場合、ステップS306において、データ表示部74dに表示されているメモリスイッチデータ設定を更新し、更新されたメモリスイッチデータを、データ表示部74dに表示する。ステップS306の後、あるいはステップS305でNOの場合はステップS307に移行する。
【0117】
ステップS307では準備キー74eの操作を監視し、オン操作されない場合、つまりNOの場合はステップS305に戻り、オン操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS308に移行し、設定されたメモリスイッチデータがEEPROM72に記憶され、その後ステップS301に移行する。
なお、メモリスイッチの内容としては、例えば、ミシン速度、上糸張力、上糸掴み位置等があり、その内容例を、図16に示す。
【0118】
次に、ステップS103におけるダイレクトパターン設定の流れについて、図17のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS400において、電源オン時に押されたダイレクトキー(P1,P2,P3,P4)74oに対応したダイレクトパターンが設定対象とされる。
次いで、ステップS401において、パターンNo.キー74i、X拡大縮小率キー74j、Y拡大縮小率キー74k、スピードキー74l、上糸張力キー74m、の操作を監視し、何れかのキーがオン操作された場合、つまり、YESの場合、ステップS402に移り、ステップS401でオン操作されたキーに応じて設定内容をデータ表示部74dに表示し、対応するLEDを点灯する。
また、ステップS401においてNOの場合、あるいはステップS402における動作後、ステップS403に移行する。
ステップS403において、+/前進キー74g、−/後退キー74hが操作されるか否かを監視し、オン操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS404に移り、データ表示部74dに表示されている各設定内容の更新を行う。
【0119】
ステップS403においてNOの場合、あるいはステップS404における設定内容の更新後、ステップS405に移行する。
ステップS405において、上糸掴みキー74nが操作されるか否かを監視し、オン操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS406に移り、上糸掴みLED92が点灯時は消灯に、消灯時は点灯に更新する。なお、点灯時が上糸掴み有りを選択している。
【0120】
ステップS405においてNOの場合、あるいはステップS406における設定後、ステップS407に移行する。
ステップS407では準備キー74eの操作を監視し、オン操作されない場合、つまりNOの場合はステップS401に戻り、オン操作された場合、つまりYESの場合は、ステップS408に移行し、設定されたダイレクトパターンデータがEEPROM72に記憶され、その後ステップS104に戻る。
【0121】
次に、ステップS122における縫製動作における縫製処理の流れについて、図18,19,20のフローチャートを用いて説明する。
なお、フローチャートに記述してある、上糸掴み有無、設定上糸張力、設定スピードは、操作パネル74aで入力、設定された値、もしくはダイレクトパターンとして記憶、設定された値である。また、メモリスイッチの設定内容例は、図16に示す。
ステップS200において、上糸掴みキー74nまたはダイレクトパターンキー74o(P1,P2,P3,P4)で設定されている上糸掴みの実行の有無の設定を確認し、上糸掴みが有り(YES)の場合、ステップS201に移行し、メモリスイッチNo.6で設定された、上糸掴み有りのときの縫い始め上糸張力を出力し、次いで、ステップS202において、メモリスイッチNo.1の上糸掴み有りのときの縫い始め1針目のミシン速度をミシン速度指令(主軸モータ駆動回路75d)に出力し、ミシン回転指令をオンとしミシンを起動する。
一方、上糸掴みが無し(NO)の場合、ステップS203に移行し、メモリスイッチNo.14で設定された、上糸掴み無しのときの縫い始め上糸張力を出力し、次いで、ステップS204において、メモリスイッチNo.9の上糸掴み無しのときの縫い始め1針目のミシン速度をミシン速度指令(主軸モータ駆動回路75d)に出力し、ミシン回転指令をオンとしミシンを起動する。
【0122】
ミシンが起動されると、ステップS205において、針上位置信号がオフするまでウエイトし、針上位置信号がオフ時、すなわち針が上昇位置から下降位置に移動したときにはステップS206において、針数Nを0に、回転角度位置Rは、65°における回転角度位置Rである75を設定する。
ステップS207において、ミシン基準信号を監視し、オフからオンになった場合、ステップS208に移り、針数Nを+1更新し、回転角度位置Rを0にクリアする。ステップS207においてNOの場合、あるいはステップS208における設定内容の更新後、ステップS209に移行する。
ステップS209において、ミシンの回転角度信号を監視し、オフからオンになった場合、ステップS210に移り、回転角度位置Rを+1更新する。ステップS209においてNOの場合、あるいはステップS210における設定内容の更新後、ステップS211に移行する。なお、回転角度位置Rは主軸の1回転を0から90の等間隔で分解した回転位置である。
ステップS211において、上糸掴み有り、かつ針数1、かつ回転角度位置RがメモリスイッチNo.7の上糸掴み回転角度位置のとき、ステップS212に移り、上糸掴みを原点位置から挟持位置へ移動させ、上糸を掴む。
【0123】
そして、ステップS213において、上糸掴み有り、かつ針数N=メモリスイッチNo.8の上糸掴み開放針数N、かつ回転角度位置Rが予めROMに記憶された所定の上糸開放位置(例えばR=77)のとき、ステップS214に移り、上糸掴みを開放位置へ移動させ、上糸の開放を行う。
次いで、ステップS215において、回転角度位置Rが予めROMに記憶された所定のミシン速度切り替え位置(例えば、R=83)のとき、ステップS223に移行する。
ステップS223において、パターンデータでXYデータが終了(YES)のとき、ステップS224に移り、ミシン回転指令にオフを出力し、ステップS225において、ミシン針が針上位置で停止するまでウエイトし、縫製処理を終える。
一方、ステップS223において、パターンデータでXYデータが終了でない(NO)とき、ステップS226に移行し、縫い始めからの針数Nが1〜5のとき(YES)は、さらにステップS227へ移行する。
ステップS227において、上糸掴み動作の有無を確認し、上糸掴み動作有り(YES)のとき、ステップS228へ移り、メモリスイッチNo.1〜5の上糸掴み有りのときの縫い始め1〜5針目のミシン速度をミシン速度指令(主軸モータ駆動回路75d)に出力する。また、上糸掴み動作無し(NO)のとき、ステップS229へ移り、メモリスイッチNo.9〜13の上糸掴み無しのときの縫い始め1〜5針目のミシン速度をミシン速度指令(主軸モータ駆動回路75d)に出力する。
ステップS226において、針数Nが1〜5以外のとき(NO)、即ち縫製が開始されてから5針の縫い目が形成された後は、ステップS230において、スピードキー74lまたはダイレクトパターンキー74o(P1,P2,P3,P4)で設定されている設定スピードをミシン速度指令(主軸モータ駆動回路75d)に出力する。
そして、ステップS288、S229、S230の処理後、ステップS216に移行する。
【0124】
ステップS216において、回転角度位置Rが予めROMに記憶された所定の上糸張力切り替え位置(例えば、R=77)のとき(YES)は、ステップS217に移り、ステップS200における場合と同様に、上糸掴み動作の有無を確認する。上糸掴み動作が有りの場合(YES)、ステップS218に移り、針数Nが1であると判断されると、ステップS219において、設定上糸張力を出力する。一方、上糸掴み動作が無しの場合(NO)、ステップS220に移り、針数Nが0であると判断されると、ステップS219に移行する。
ステップS219の処理後、あるいはステップS216において回転角度位置Rが所定の位置でない場合(NO)、あるいはステップS218、S220において所定の針数Nでない場合は、ステップS221に移行する。
【0125】
ステップS221において、回転角度位置Rが予めROMに記憶された所定のXY送り開始位置(例えば、R=36)のとき、ステップS222に移行し、N針目のパターンデータのX/Y移動量に設定された、X/Y拡大縮小率を乗じた値でX軸モータ76a、Y軸モータ77aを駆動する。そして、ステップS207へ戻る。
【0126】
このように、本発明にかかるミシン100において、上糸掴み装置60が上糸を掴む挟持動作、上糸調子装置45における上糸張力、ミシン速度等を制御することにより、生地裏の縫い始め糸の残り長さを安定させることができ、生地裏の糸の絡まり、上糸保持装置60への糸の絡まりを軽減、防止することができ、安定した縫い始め動作を行うことができる。
【0127】
なお、以上の実施の形態においては、上糸保持装置60はモータAによる駆動としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前記した特許2671478号公報や、特開2000−325683号公報記載のエアシリンダやマグネット等を使用する上糸保持装置であってもよい。
また、上糸の張力の制御は、糸調子を別に設け、上糸掴み動作時のみ働くような2段階の糸張力切り替え構成としてもよい。その場合、上糸掴み動作なしの際は通常のミシン動作とし、上糸掴み有りの際は、別に設けられた上糸調子が駆動するようにし、上糸の張力を高くするようにすればよい。
また、上糸掴みの動作の有無の選択は、パターンデータに直接記憶されていてもよい。
また、針の位置の検出は、90分割の回転角度信号等を使用しなくても、例えば、各制御タイミング毎にオンするようなセンサを取り付け、センサ位置を調整するような方式であってもよい。
また、各アクチュエータは、特に逸脱するものでなければ任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
なお、上記本発明の実施の形態においては、メモリスイッチの各設定内容は、変更可能に構成したが、これらは全てまたは一部を固定的に設定して、同様の制御を行ってもよいことはもちろんである。
【0128】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、張力制御手段により、上糸保持装置が上糸を挟持するまでの縫い始めの張力が、上糸保持装置が上糸を開放した後の縫製時の張力より高くなるように、上糸調子装置が制御されるので、上糸保持装置が上糸を挟持するまでの余分な上糸の繰り出しが押えられ、生地裏の縫い始め糸の残り長さを安定させることができる。よって、生地裏の糸の絡まり、いわゆる鳥の巣の軽減や、上糸保持装置への糸の絡まりを防止することができ、安定した縫い始め動作を行うことができる。
また、ミシンモータ制御手段が、上糸保持装置による上糸の挟持が行われ、針の目穴からの上糸の抜けが防止できる場合は、ミシンモータの縫い始めの速度を上糸挟持動作の実行が設定されなかった場合よりも、高い速度とするように制御するため、生産効率の向上を図ることができる。
【0129】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、張力設定手段により、上糸保持装置が上糸を挟持するまでの縫い始めの張力の設定が行われるので、縫製を行う生地素材や上糸の種類等により異なる、生地と上糸の摩擦や、上糸の伸び率等に応じて適切な張力に設定、調整し、ミシンを動作させることができる。
【0130】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、挟持動作設定手段により、上糸保持装置の上糸挟持動作を実行するか否かの設定が行われるので、縫製条件等により上糸保持装置の動作の有無を切り替えることができ、その上糸挟持動作の有無に対応させ設定された上糸の張力に基づきミシンの動作を行うことができる。
よって、ミシンの起動時、縫製開始時において、針から上糸が抜けないよう、縫い始めにおける上糸の張力が制御されることにより、操作性、利便性、生産性を高めることができる。
【0133】
請求項記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、起動速度設定手段によって、縫製を行う生地素材や上糸の太さや種類に応じて上糸挟持装置が上糸の挟持を行わない場合のミシンモータの縫い始めの起動速度を設定できるので、上糸挟持装置が上糸の挟持を行わない場合の縫い始めのミシンの起動速度を必要以上に低下させることなくミシンモータを起動でき、生産効率の向上を図ることができる。
【0134】
請求項記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、上糸保持動作制御手段が、選択手段により選択された縫製パターンに基づく縫製を行う際に、その縫製パターンに対応して設定された上糸保持装置の作動の制御を行い、上糸保持装置の作動の有無を切り替えることにより、安定した縫い始め動作を行うことができ、操作性、利便性、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る上糸保持装置が設けられたミシンを示す一部破断概観側面図である。
【図2】前記上糸保持装置を示す分解斜視図である。
【図3】前記上糸保持装置を下から見た斜視図である。
【図4】前記上糸保持装置を上から見た斜視図である。
【図5】前記ミシンの制御装置を示すブロック図である。
【図6】前記ミシンの主軸モータからの信号のパターン例を示す説明図である。
【図7】本実施の形態に係るアクチュエータ、連結手段、関連動作手段、挟持手段及び検出手段等を構成する各部材の「初期位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図8】前記アクチュエータ、連結手段、関連動作手段、挟持手段及び検出手段等を構成する各部材の「挟持位置」及び「保持位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図9】前記アクチュエータ、連結手段、関連動作手段、挟持手段及び検出手段等を構成する各部材の「開放位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図10】前記アクチュエータ、連結手段、関連動作手段、挟持手段及び検出手段等を構成する各部材の「待機位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図11】前記ミシンの操作パネルを示す平面図である。
【図12】前記ミシンにおけるパターンデータ(a)と、そのパターンデータに基づく運針(縫い目)(b)を示す説明図である。
【図13】本発明にかかるミシンの動作の流れを示すフローチャートである。
【図14】本発明にかかるミシンの動作の流れを示すフローチャートである。
【図15】本発明にかかるミシンの動作におけるメモリスイッチ設定の流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明にかかるミシンのメモリスイッチの内容の一例を示す説明図である。
【図17】本発明にかかるミシンの動作におけるダイレクトパターン設定の流れを示すフローチャートである。
【図18】本発明にかかるミシンの縫製処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図19】本発明にかかるミシンの縫製処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図20】本発明にかかるミシンの縫製処理動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
36 主軸モータ
38 制御装置
45 上糸調子装置
50 針板
52 針
60 上糸保持装置
72 EEPROM
74a 操作パネル
100 ミシン

Claims (5)

  1. 上下動自在な針と、
    主軸を介して前記針を上下に駆動するミシンモータと、
    縫い始めに針に挿通されている上糸の端部を針板の下方で挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放する上糸保持装置とを備えたミシンにおいて、
    上糸に張力を与えるとともに、前記張力を変更可能な上糸調子装置と、
    前記上糸保持装置の作動による上糸挟持動作を実行する時に、
    前記上糸保持装置が前記上糸を挟持するまでの縫い始めの張力が、前記上糸保持装置が前記上糸を開放した後の縫製時の張力より高くなるよう、予め設定されている張力制御手段と、
    縫い始めにおけるミシンモータ起動速度を、上糸挟持動作の実行が設定されなかった場合よりも、高い速度とするように予め設定されているミシンモータ制御手段と、
    を備えることを特徴とするミシン。
  2. 請求項1記載のミシンにおいて、
    前記上糸保持装置が前記上糸を挟持するまでの縫い始めの張力を設定する張力設定手段を備え、
    前記張力制御手段は、前記張力設定手段により設定された張力に基づき、前記上糸調子装置を制御することを特徴とするミシン。
  3. 請求項1または2に記載のミシンにおいて、
    前記上糸保持装置の作動による上糸挟持動作を実行するか否かの設定を行う挟持動作設定手段を備え、
    前記挟持動作設定手段により、上糸挟持動作の実行が設定された場合、縫い始めにおける前記上糸の張力が縫製時の張力より高くなるよう予め設定されているとともに、前記張力制御手段は、上糸挟持動作の実行が設定された場合、前記縫製時より高い張力となるように上糸調子装置を制御するとともに、上糸挟持動作の実行が設定されなかった場合、縫い始めにおける前記上糸の張力が縫製時の張力となる制御を行うことを特徴とするミシン。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のミシンにおいて、
    前記上糸挟持動作の実行が設定された場合の縫い始めにおけるミシンモータ起動速度を設定する起動速度設定手段を備えることを特徴とするミシン。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載のミシンにおいて、
    複数の縫製パターンを記憶する記憶手段と、
    前記複数の縫製パターンの各々に対して、前記上糸保持装置の作動による上糸挟持動作の実行の有無を設定する挟持動作設定手段と、
    前記記憶手段に記憶された複数の縫製パターンから所望の縫製パターンを選択する選択手段と、
    前記選択された縫製パターンに対応し前記挟持動作設定手段により設定された前記上糸保持装置の作動の制御を行う上糸保持動作制御手段と、
    を備えることを特徴とするミシン。
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