JP2009154206A - ステッチパルス溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】常に一定のビード幅を実現し、美観を向上させることができるステッチパルス溶接方法を提供する。
【解決手段】溶接電流、溶接電圧および溶接時間を含む溶接条件に基づき、アーク開始点から溶接トーチを停止した状態でアークを発生させ、溶接時間の経過後にアークを停止した後、溶接トーチを溶接進行方向に所定の移動ピッチだけ離間したアーク再開始点に移動させてアークを再発生することを繰り返しながら、1回のアーク発生で形成される溶接痕であるウロコを重ね合わせて溶接ビードを形成するステッチパルス溶接方法において、ウロコ形成数が予め定めた初期形成数Unに到達するまでの期間は初期溶接時間Tiを段階的に短くしながら溶接し、ウロコ形成数が初期形成数Unに到達した後は定常溶接時間Ttで溶接する。このことによってアーク開始点付近のビード幅不足を防止することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、薄板の母材に与える熱影響を最小限に抑えながら溶接を行うステッチパルス溶接方法に関するものである。
ステッチパルス溶接とは、溶接時の入熱と冷却をコントロールすることにより、母材に与える熱影響を最小限に抑える溶接法である。薄板溶接の自動化を目的とした溶接法であって、従来の薄板溶接に比べ、溶接外観を向上させ、溶接歪み量を低減させることができるとされている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、溶接トーチを停止させた状態で予め定めた時間だけアークを発生させて溶接母材を溶融させ、その設定時間が経過した後に、アークを停止させかつ溶接トーチを溶融部外周側のアーク再開始点に移動させる手段が開示されている。以下、この従来技術について説明する。
図9は、従来のステッチパルス溶接方法を適用したステッチパルス溶接装置51を示した図である。
マニピュレータMは、ワークWに対してアーク溶接を自動で行うものであり、上アーム53、下アーム54及び手首部55と、これらを回転駆動するための複数のサーボモータ(図示せず)とによって構成されている。
アーク溶接トーチTは、マニピュレータMの上アーム53の先端部分に取り付けられており、ワイヤリール56に巻回された直径1mm程度の溶接ワイヤ57をワークWの教示された溶接位置に導くためのものである。溶接電源WPは、アーク溶接トーチTとワークWとの間に溶接電圧を供給する。ワークWに溶接を行う際は、溶接ワイヤ57をアーク溶接トーチTの先端から所望の突き出し長Ewだけ突き出した状態で行われる。突き出し長Ewの長さは、一般的に15mm前後にすることが多いが、溶接箇所の開先形状、溶接施工条件等に合わせて作業者が後述するティーチペンダントTPを用いて予め所望長に調整することが可能である。
コンジットケーブル52は、内部に溶接ワイヤ57を案内するためのコイルライナ(図示せず)を備えており、アーク溶接トーチTに接続されている。さらにコンジットケーブル52は、溶接電源WPからの電力及びガスボンベ58からのシールドガスをもアーク溶接トーチTに供給する。
操作手段としてのティーチペンダントTPは、いわゆる可搬式操作盤であって、マニピュレータMの動作、ステッチパルス溶接を行わせるために必要な条件(溶接電流、溶接電圧、移動速度、移動ピッチ、溶接時間および冷却時間)等を設定するためのものである。作業者は、このティーチペンダントTPを用いて、マニピュレータMの動作とともに上記条件を設定した作業プログラムを作成する。
ロボット制御装置RCは、マニピュレータMに溶接動作の制御を実行させるためのものであり、内部に主制御部、動作制御部およびサーボドライバ(いずれも図示せず)等を備えている。そして、作業者がティーチペンダントTPによって教示した作業プログラムに基づき、サーボドライバからマニピュレータMの各サーボモータに動作制御信号を出力し、マニピュレータMの複数の軸をそれぞれ回転させる。ロボット制御装置RCは、マニピュレータMのサーボモータに備えられたエンコーダ(図示せず)からの出力によって現在位置を認識しているのでアーク溶接トーチTの先端位置を制御することができる。そして溶接部においては、以下に説明する溶接、移動、冷却を繰り返しながらステッチパルス溶接を行う。
図10は、ステッチパルス溶接を行っているときの状態を説明するための図である。溶接ワイヤ57はアーク溶接トーチTの先端から突出している。シールドガスGは、溶接開始時から溶接終了時まで常に一定の流量でアーク溶接トーチTから吹き出される。以下、ステッチパルス溶接時の各状態について説明する。
同図(a)は、アーク発生時の様子を示している。設定された溶接電流および溶接電圧に基づいて、アーク開始点において溶接ワイヤ57の先端とワークWとの間にアークAが発生し、溶接ワイヤ57が溶融してワークWに溶融池Yが形成される。アークAが発生してから、設定された溶接時間が経過した後に、アークAを停止する。
同図(b)は、アーク停止後の様子を示している。アーク停止後は、設定された冷却時間が経過するまで溶接後の状態を維持させる。すなわち、マニピュレータMおよびアーク溶接トーチTは溶接時の状態と同様に停止した状態で、アーク溶接トーチTからシールドガスGが吹き出されるだけとなるので、溶融池YがシールドガスGによって実質的に冷却されて凝固する。
同図(c)は、アーク溶接トーチTを次の溶接位置に移動させる様子を示している。冷却時間の経過後は、アーク溶接トーチTを溶接進行方向に予め設定された移動ピッチMpだけ離間した位置であるアーク再開始点に移動させる。このときの移動速度は、設定された移動速度である。上記移動ピッチMpは、同図(c)で示すように溶融池Yが凝固した後の溶接痕Y’の外周側に溶接ワイヤ57を位置づけるように調整された距離である。
同図(d)は、アーク再開始点においてアークAを再発生する様子を示している。溶接痕Y’の前端部に新たに溶融池Y’’が形成されて溶接が行われるようになる。このように、ステッチパルス溶接装置51では、アークを発生させて溶接を行っている状態と、冷却、移動を行っている状態とが交互に繰り返されることになる。そして、溶接痕であるウロコが重ね合わさるように溶接ビードが形成される。
図11は、溶接施工後に形成される溶接ビードを説明するための図である。同図に示すように、最初のアーク開始点P1において溶接痕Scが形成され、溶接進行方向Drに向けて移動ピッチMpだけ離間したアーク再開始点P2においても同様の溶接痕Scが形成される。アーク再開始点P3以降においてもさらなる溶接痕Scが順次形成されていく。このように、溶接痕であるウロコが重なり合うように形成された結果、ウロコ状の溶接ビードBが形成される。
特開平6−55268号公報
上述したように、ステッチパルス溶接では、溶接電流および溶接電圧に基づいてアーク開始点で溶接を開始し、溶接時間の経過後に溶接を停止し、冷却時間だけ待機してシールドガスによってアーク開始点を冷却した後、移動ピッチ分だけ離れたアーク再開始点に移動してアーク開始点と同様の溶接および冷却を行うという動作をアーク終了点まで繰り返すことによって、溶接ビードBを形成する。
ところで、上記した図11では溶接痕Scを同一の大きさで表現しているが、実際はアーク開始点付近(アーク開始点から数ヶ所先のアーク再開始点まで)では母材および溶接ワイヤの温度が上昇していないために、溶け込みが不足することによってアーク開始点付近の溶接痕Scが小さくなる。
図12は、アーク開始点付近の溶接痕Scの様子を説明するための図である。同図に示すように、例えばアーク開始点P1からアーク再開始点P3までの間は、母材および溶接ワイヤの温度が上昇していないために、溶接痕Scが小さくなる。その後、アーク再開始点P4以降は、母材および溶接ワイヤの温度が安定するので溶け込みが十分得られるようになり、溶接痕Scは、ほぼ同一の大きさになる。すなわち、アーク開始点付近の溶接ビードBsの幅が、安定後の溶接ビードBtの幅よりも狭くなるという問題があった。
上記問題を解決するために、従来は、アーク開始点から通常のアーク溶接を数mm行うことによって母材温度を上昇させてアークを安定させ、その後、ステッチパルス溶接を開始するという方法を採用していた。しかしながら、この場合、通常のアーク溶接を行った部分にはウロコが形成されないために、外観が好ましくないという問題があった。
そこで、本発明は、アーク開始点から予め定めた期間に溶接条件を徐々に変化させることによって常に一定のビード幅を実現し、美観を向上させることができるステッチパルス溶接方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、第1の発明は、
溶接電流値、溶接電圧値および溶接時間を含む溶接条件に基づき、アーク開始点から溶接トーチを停止した状態でアークを発生させ、前記溶接時間の経過後にアークを停止した後、前記溶接トーチを溶接進行方向に所定の移動ピッチだけ離間したアーク再開始点に移動させてアークを再発生することを繰り返しながら、1回のアーク発生で形成される溶接痕であるウロコを重ね合わせてワーク上に溶接ビードを形成するステッチパルス溶接方法において、
前記ウロコの形成数が予め定めた初期形成数に到達するまでの期間は初期溶接電流値、初期溶接電圧値および初期溶接時間を含む予め定めた初期溶接条件で溶接し、前記ウロコの形成数が前記初期形成数に到達した後は定常溶接電流値、定常溶接電圧値および定常溶接時間を含む予め定めた定常溶接条件で溶接することを特徴とするステッチパルス溶接方法である。
第2の発明は、前記初期溶接条件は、前記形成数が増えるごとに少なくとも前記初期溶接時間を段階的に短くした条件であることを特徴とする第1の発明に記載のステッチパルス溶接方法である。
第3の発明は、前記初期溶接時間は、前記アーク開始点での初期溶接時間、前記初期形成数および前記定常溶接時間に基づいて自動的に算出されることを特徴とする第2の発明に記載のステッチパルス溶接方法である。
第4の発明は、前記初期溶接条件は、前記形成数が増えるごとに少なくとも前記初期溶接電流値を段階的に低くした条件であることを特徴とする第1の発明に記載のステッチパルス溶接方法である。
第5の発明は、前記初期溶接電流値は、前記アーク開始点での初期溶接電流値、前記初期形成数および前記定常溶接電流値に基づいて自動的に算出されることを特徴とする第4の発明に記載のステッチパルス溶接方法である。
第6の発明は、前記初期形成数は、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値を、溶接条件基準値と初期形成数との対応関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって自動的に算出されることを特徴とする第1〜5のいずれか1の発明に記載のステッチパルス溶接方法である。
第7の発明は、前記初期溶接条件は、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値を、溶接条件基準値と前記形成数毎の初期溶接条件との対応関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって自動的に算出されることを特徴とする第1、第2または第4のいずれか1の発明に記載のステッチパルス溶接方法である。
第8の発明は、前記初期形成数は、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値でのウロコ直径値を、ウロコ直径値と前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値との関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力して前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値を算出し、算出した前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値を、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値と初期形成数との関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって算出されることを特徴とする第1〜5のいずれか1の発明に記載のステッチパルス溶接方法である。
第9の発明は、前記アーク開始点での初期溶接時間または初期溶接電流値は、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値でのウロコ直径値を、ウロコ直径値と前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値との関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって算出されることを特徴とする第3または第5の発明に記載のステッチパルス溶接方法である。
第1の発明によれば、ウロコの形成数が予め設定された初期形成数に到達するまでの期間は予め定めた初期溶接条件で溶接し、ウロコの形成数が初期形成数に到達した後は定常溶接条件で溶接することによって、アーク開始点付近における溶接ビードが小さくなることを防止することができる。すなわち溶接ビードの美観を向上させることができる。
第2の発明によれば、初期溶接時に溶接時間をウロコの形成数が増えるごとに段階的に短くするようにしたことによって、第1の発明が奏する効果に加えて、アーク開始点付近における溶接ビードを常に一定の幅にすることができる。すなわち、溶接ビードの美観をより一層向上させることができる。
第3の発明によれば、初期溶接時間を、アーク開始点での初期溶接時間、初期形成数および定常溶接時間に基づいて自動的に算出するようにしたことによって、第2の発明が奏する効果に加えて、初期溶接条件の設定を簡素化することができる。
第4の発明によれば、初期溶接時に溶接電流値をウロコの形成数が増えるごとに段階的に低くするようにしたことによって、第1の発明が奏する効果に加えて、アーク開始点付近における溶接ビードを常に一定の幅にすることができる。すなわち、溶接ビードの美観をより一層向上させることができる。
第5の発明によれば、初期溶接電流値を、アーク開始点での初期溶接電流値、初期形成数および定常溶接電流値に基づいて自動的に算出するようにしたことによって、第4の発明が奏する効果に加えて、初期溶接条件の設定を簡素化することができる。
第6の発明によれば、定常溶接電流値および定常溶接電圧値を、溶接条件基準値と初期形成数との対応関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって、初期形成数を自動的に算出するようにしている。すなわち、定常溶接電流値および定常溶接電圧値を設定すれば初期形成数が自動的に算出されるので、第1〜5の発明が奏する効果に加えて、初期溶接条件の設定をさらに簡素化することができる。
第7の発明によれば、定常溶接電流値および定常溶接電圧値を、溶接条件基準値と前記形成数毎の初期溶接条件との対応関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって、初期溶接条件を自動的に算出するようにしている。すなわち、定常溶接電流値および定常溶接電圧値を設定すれば初期溶接条件が自動的に算出されるので、第1、2および4の発明が奏する効果に加えて、溶接条件の設定工数をさらに低減することができる。
第8の発明によれば、ビード幅に相当するウロコ直径値の所望値を、ウロコ直径値と定常溶接電流および定常溶接電圧との関係が予め定められた溶接条件データベースに入力することによって、初期形成数を自動的に算出するようにしている。すなわち、ウロコ直径値のみを設定すれば初期形成数が自動的に算出されるので、第1〜第5の発明が奏する効果に加えて、溶接条件の設定工数をさらに低減することができる。
第9の発明によれば、ビード幅に相当するウロコ直径値の所望値を、ウロコ直径値と定常溶接電流値および定常溶接電圧値との関係が予め定められた溶接条件データベースに入力することによって、アーク開始点での初期溶接時間または初期溶接電流値を自動的に算出するようにしている。すなわち、ウロコ直径値のみを設定すれば、アーク開始点での初期溶接時間および初期溶接電流値が自動的に算出され、この結果に基づき、ウロコの形成数が予め定めた初期形成数に到達するまでの期間における初期溶接条件が算出される。すなわち、第3または第5の発明が奏する効果に加えて、溶接条件の設定工数をさらに低減することができる。
[実施の形態1]
以下、発明の実施形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るステッチパルス溶接方法を適用したステッチパルス溶接装置1のブロック図である。同図において、従来技術の図9との相違は、ロボット制御装置RCおよびティーチペンダントTPである。その他、図9で説明したマニピュレータM、溶接電源WP、ワイヤリール56、ガスボンベ58等は、図示せずに省略している。以下、本発明の主要部分を構成するロボット制御装置RCおよびティーチペンダントTPについて、説明する。
ロボット制御装置RCは、マニピュレータMに溶接動作の制御を実行させるためのものであり、その中枢となる主制御部3、溶接の制御を司る溶接条件出力制御部13、マニピュレータMの軌跡演算等を行って演算結果を駆動信号として駆動指令部12に出力する動作制御部11、マニピュレータMの各サーボモータを回転制御するためのサーボ制御信号を出力する駆動指令部12、作業プログラムおよび各種パラメータ等を記憶するためのハードディスク4、一時的な計算領域であるRAM5、中央演算処理装置であるCPU6および図示しないサーボドライバを備えており、これらは図示しないバスを介して接続されている。
操作手段であるティーチペンダントTPは、各種情報を表示する表示部41と、マニピュレータMの位置データ、溶接条件、動作パラメータ等の各種データを設定する設定部42とを備えている。設定部42によって入力された各種データはロボット制御装置RCの主制御部3に入力される。
主制御部3は、教示処理部20、表示処理部21および解釈実行部22を備えている。教示処理部20は、ステッチパルス溶接条件である初期形成数、初期溶接条件、定常溶接条件、移動速度、移動ピッチおよび冷却時間が設定部42から入力されると、初期形成数Un、初期溶接条件Ic、定常溶接条件Tc、移動速度Sp、移動ピッチMpおよび冷却時間Cdをハードディスク4に記憶する。表示処理部21は、入力された各種データを必要に応じてティーチペンダントTPの表示部41に表示する。解釈実行部22は、ハードディスク4に記憶された位置データおよびステッチパルス溶接条件等に基づき動作制御部11および溶接条件出力制御部13のそれぞれに指令信号を出力する。
ここで、初期形成数Unとは、初期溶接を行う期間を設定するものであって、ウロコの数で指定される。例えば3個が設定されると、アーク開始点を含む最初の3個のウロコ形成部が初期溶接を行う期間として設定されることになる。
初期溶接条件Icとは、初期溶接を行う期間における各ウロコ形成部の溶接条件を設定するものであり、初期溶接電流値Ci、初期溶接電圧値Viおよび初期溶接時間Tiを示している。この初期溶接条件Icは、後述する定常溶接条件Tcよりも高い条件値が作業者の経験または実験に基づいた値が設定される。定常溶接条件Tcよりも高い条件値が設定される理由については、次のとおりである。ウロコの大きさは、溶接電流値、溶接電圧値および溶接時間の組合せによって決定される。例えば、溶接時間が長ければ長いほどウロコは大きくなるし短ければ短いほどウロコは小さくなる。従来技術で説明したように、アーク開始点付近では母材および溶接ワイヤの温度が上昇していないためにウロコの大きさが小さくなることから、定常溶接条件Tcより高い初期溶接条件Ic(初期溶接電流値Ci、初期溶接電圧値Viおよび初期溶接時間Ti)が設定される。
なお、初期溶接条件Icは、ウロコ形成部毎に設定するように構成しても良いし、アーク開始点での初期溶接条件のみを予め設定しておき、アーク開始点以降における各ウロコ形成部の溶接条件は自動的に算出するように構成しても良い。以下では、後者の方法を採用することを前提に説明する。
定常溶接条件Tcとは、ウロコ形成数が初期形成数Unに到達した後の定常的な溶接条件を設定するためのものであり、本来のステッチパルス溶接を行うべき溶接電流値、溶接電圧値および溶接時間を示している。以下では、これらを定常溶接電流値Ct、定常溶接電圧Vtおよび定常溶接時間Ttと呼ぶことにする。移動速度Sp、移動ピッチMpおよび冷却時間Cdは、従来技術で説明した条件と同一である。
溶接条件出力制御部13は、所定のタイミングで溶接制御信号Wcを溶接電源WPに出力する。より具体的には、アーク開始点において、初期溶接条件Ic(初期溶接電流値Ci、初期溶接電圧値Viおよび初期溶接時間Ti)を含む溶接開始のための溶接制御信号Wcを溶接電源WPに出力する。そして、ウロコ形成数をカウントしてウロコ形成数が初期形成数Unに到達するまで、初期溶接条件Icから定常溶接条件Tc(定常溶接電流値Ct、定常溶接電圧値Vtおよび定常溶接時間Tt)まで段階的に溶接条件を下げて出力する、いわゆるダウンスロープ制御を行う。ウロコ形成数が初期形成数Unに到達した後は定常溶接条件Tcを溶接電源WPに出力して定常のステッチパルス溶接を継続する。
以下、溶接条件出力制御部13のダウンスロープ制御について詳細に説明する。
図2は、溶接条件出力制御部13の処理の流れを示すフローチャートである。以下、アーク開始点から、ウロコ形成数が設定された初期形成数Unに到達するまでダウンスロープ制御を行い、定常のステッチパルス溶接へと移行するまでの処理を説明する。定常のステッチパルス溶接へと移行した後の処理は従来と同様であるので説明を省略する。
ステップS1において、ウロコ形成数を0(ゼロ)にするとともに、設定されている初期形成数Unおよび初期溶接条件Icをハードディスク4から読み出す。
ステップS2において、初期溶接条件Icを溶接電源WPに出力する。
ステップS3において、溶接電源WPからの溶接完了信号の入力をチェックする。溶接が完了していなければそのまま待機し、溶接が完了していれば、ステップS4に移行する。
ステップS4において、ウロコ形成数を+1する。
ステップS5において、ウロコ形成数が初期形成数Unに達したか否かを確認する。達していない場合は、ステップS6に移行する。達している場合は、ステップS7に移行する。
ステップS6において、次回溶接条件(次のアーク再開始点での次回溶接電流値、次回溶接電圧値および次回溶接時間)を、以下のように算出する。各形成部での溶接条件が設定されている場合は、その条件をハードディスク4から読み出す。
初期溶接電流値をCi、初期溶接電圧値をVi、初期溶接時間をTi、定常溶接電流値をCt、定常溶接電圧値をVt、定常溶接時間をTt、初期形成数をUn、現在までのウロコ形成数をUcとしたとき、次回溶接電流値Cn、次回溶接電圧値Vnおよび次回溶接時間Tnは、次式で容易に算出できる。
次回溶接電流値Cn=Ci−(Ci−Ct)/Un×Uc
次回溶接電圧値Vn=Vi−(Vi−Vt)/Un×Uc
次回溶接時間 Tn=Ti−(Ti−Tt)/Un×Uc
そして、ステップS2に戻り、次回溶接条件を溶接電源WPに出力する。この後は、ウロコ形成数が初期形成数Unに到達するまでステップS3〜S6を繰り返す。
ステップS7において、ウロコ形成数が初期形成数Unに到達した後は、設定されている定常溶接条件Tcをハードディスクから読み出す。
そして、ステップS8において、定常のステッチパルス溶接へと移行する。すなわち、定常溶接条件Tcを溶接電源WPに出力することによって、アーク終了点までステッチパルス溶接を継続する。
このように、溶接条件出力制御部13では、ウロコ形成数をカウントしながら、このウロコ形成数が設定された初期形成数Unに到達するまで初期溶接条件Icから定常溶接条件Tcまで段階的に条件を下げるダウンスロープ制御を行い、ウロコ形成数が初期形成数Icに到達した後は定常溶接条件Tcを溶接電源WPに出力して定常のステッチパルス溶接を継続する。
図3は、例えば溶接時間を段階的に短くした場合の波形図である。同図においては、初期溶接時間を1.3秒、定常溶接時間を1.0秒、初期形成数を3個と設定している。すなわち、ウロコ形成数が4個になる時点で溶接時間が定常溶接時間1.0秒になるように段階的に遷移させている。
上述したように、ウロコの形成数が予め設定された初期形成数に到達するまでの期間は溶接条件を予め定めた初期溶接条件で溶接し、ウロコの形成数が初期形成数に到達した後は定常溶接条件で溶接することによって、アーク開始点付近における溶接ビードが小さくなることを防止することができる。すなわち溶接ビードの美観を向上させることができる。
本発明においては、溶接電流、溶接電圧および溶接時間の全てをダウンスロープ制御できるように構成しているが、一般的には、溶接時間または溶接電流のいずれか一方をダウンスロープ制御することが望ましい。そこで、上述した実施の形態1においては、ウロコの形成数が増えるごとに溶接時間を段階的に短くするか、溶接電流を段階的に低くするようにしている。このことによって、上記効果に加えて、アーク開始点付近における溶接ビードを常に一定の幅にすることができる。すなわち、溶接ビードの美観をより一層向上させることができる。
また、初期溶接時間をアーク開始点での初期溶接時間、初期形成数および定常溶接時間に基づいて自動的に算出するようにし、初期溶接電流値をアーク開始点での初期溶接電流値、初期形成数および定常溶接電流値に基づいて自動的に算出するようにしている。このことによって、上記効果に加えて、初期溶接条件の設定を簡素化することができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、定常溶接電流および定常溶接電圧を、溶接条件基準値と初期形成数との対応関係を予め記憶したウロコ形成数毎の溶接時間を記憶した溶接条件データベースに入力することによって、初期形成数および初期溶接条件を自動的に算出する。
図4は、本発明の実施の形態2に係るステッチパルス溶接装置である。同図において、実施の形態1である図1との相違は、ハードディスク4に備えられた溶接条件データベース24および主制御部3に備えられた溶接条件算出部23である。以下、溶接条件データベース24および溶接条件算出部23について説明する。その他は、図1で同符号を付与したものと同一であるので、説明を省略する。
溶接条件データベース24は、使用するワークの板厚、溶接ワイヤの材質や直径値等、実際の溶接環境におけるステッチパルス溶接の施工結果を蓄積したデータベースである。溶接条件算出部23は、定常溶接条件Tc(定常溶接電流値Ct、定常溶接電圧値Vt、定常溶接時間Tt)を入力として溶接条件データベース24から初期形成数Unおよび初期溶接条件Ic(初期溶接電流値Ci、初期溶接電圧値Vi、初期溶接時間Ti)を自動的に算出する。
図5は、溶接条件データベース24の概念を説明するための図である。溶接条件データベース24は、縦軸に溶接電圧の基準値、横軸に溶接電流の基準値を設け、これらが交差する条件下において、初期溶接に必要なウロコ形成数、初期溶接を行う期間でのウロコ直径値を均一にするために必要な溶接時間をデータベース化したものである。例えば、同図の太線枠に記載されたデータは、溶接電流値が90〜100Aの間、溶接電圧値が15〜17Vの間でステッチパルス溶接を行った場合において、初期溶接に必要なウロコ形成数(初期形成数Unに相当する)は7個であり、この間のウロコ直径値を均一にするための溶接時間がウロコ形成数に応じて定められている。溶接時間は、直接的な値ではなく、予め定められた定常溶接時間Ttに対する割合としているので、%で表記している。
次に、動作を説明する。溶接条件算出部23は、入力された定常溶接条件Tcに基づいて、溶接条件データベース24から、初期形成数Unおよび初期溶接条件Icを算出する。以下、定常溶接条件Tcとして「定常溶接電流値Ct=120A、定常溶接電圧値Vt=16V、定常溶接時間Tt=1.0秒」が入力されている場合を例にして説明する。
まず、初期形成数Unを算出する。定常溶接電流値Ct=120A、定常溶接電圧値Vt=16Vなので、溶接条件データベース24から該当する条件を検索する。その結果、点線枠で示した条件が該当するので、初期形成数Unは5個となる。
次に、初期溶接時間Tiを算出する。定常溶接時間Ttは1.0秒であり、点線枠で示した条件は、ウロコ1個目は溶接時間が140%、2個目は130%、3個目は120%、4個目は110%、5個目は100%となっている。すなわち、初期溶接時間Tiは、ウロコ1個目は1.0×140%=1.4秒、2個目は1.0×130%=1.3秒、3個目は1.0×120%=1.2秒、4個目は1.0×110%=1.1秒、5個目は1.0×100%=1.0秒、となる。なお、初期溶接電流値Ciは定常溶接電流値Ctと、初期溶接電圧値Viは定常溶接電圧値Vtと、それぞれ同一の値とすればよい。算出した初期形成数Unおよび初期溶接条件Icは、ハードディスク4に記憶する。
そして、実施の形態1と同様に、ステッチパルス溶接を行うに際しては、算出された初期形成数Unおよび初期溶接条件Icに基づき、溶接制御信号Wcを溶接電源WPに出力する。そして、ウロコ形成数をカウントしてウロコ形成数が初期形成数Unに到達するまで、初期溶接条件Icから定常溶接条件Tcまで段階的に溶接条件を下げて出力する(本実施例では溶接時間のみを段階的に下げて出力する)。ウロコ形成数が初期形成数Unに到達した後は定常溶接条件Tcを溶接電源WPに出力して定常のステッチパルス溶接を継続する。
上述したように、実施の形態2においては、定常溶接電流値および定常溶接電圧値を、溶接条件基準値と初期形成数との対応関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって、初期形成数および初期溶接条件を自動的に算出するようにしている。すなわち、定常溶接電流値および定常溶接電圧値を設定すれば初期形成数および初期溶接条件が自動的に算出されるので、溶接条件の設定工数を低減することができる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、ビード幅に相当するウロコ直径値を、ウロコ直径値と定常溶接電流値および定常溶接電圧値との関係が予め定められた溶接条件データベースに入力することによって、初期形成数、初期溶接条件および定常溶接条件を自動的に算出する。
図6は、本発明の実施の形態3に係るステッチパルス溶接装置である。同図において、実施の形態1である図1との相違は、ハードディスク4に記憶されるウロコ直径値Srならびに溶接条件データベース24、および主制御部3に備えられた溶接条件算出部23である。以下ではこれらについて説明し、その他は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
ウロコ直径値Srは、ステッチパルス溶接時に形成されるウロコの直径値(ビード幅に相当する)であり、ティーチペンダントTPの設定部42から入力される。溶接条件データベース24は、所定の溶接条件下で形成されるウロコ直径値との関係がウロコの形成数毎に関連づけられたデータベースである。溶接条件算出部23は、ウロコ直径値Srを入力として溶接条件データベース24から初期形成数Un、初期溶接条件Icおよび定常溶接条件Tcを自動的に算出する。
図7は、溶接条件データベース24の概念を説明するための図である。溶接条件データベース24は、使用するワークの板厚、溶接ワイヤの材質や直径値等、実際の溶接環境下において、溶接電流および溶接電圧の基準値を設け、この基準値に応じたステッチパルス溶接を行い、ウロコ形成数毎のウロコ直径値を計測するという手法で蓄積したデータを、データベース化したものである。以下、計測結果を蓄積した溶接条件データベース24の各データについて具体的に説明する。
同図(a)は、溶接時間を0.7秒に固定し、溶接電流値および溶接電圧値を変化させながらステッチパルス溶接を行ったときに形成されるウロコ直径値を、ウロコ形成数毎に計測した結果をデータベース化したものである。例えば、同図(a)の太線枠に記載されたデータは、溶接時間が0.7秒、溶接電流値が90A、溶接電圧値が15Vの溶接条件下において、1個目に形成されたウロコの直径値が1.9mm、2個目が2.1mmとなり、最後の7個目が3.5mmとなったことを示している。8個目以降のデータがないのは、8個目以降はウロコ直径値が安定して3.5mmとなったからである。
さらに、溶接時間を0.1秒刻み(0.8秒、0.9秒、…)で増加させ、溶接電流および溶接電圧を変化させながらウロコ形成数毎のウロコ直径値を計測した結果もデータベース化されている。同図(b)は、例えば溶接時間が1.3秒のときのデータを示している。なお、同図(a)および(b)においては、説明の便宜上、溶接電圧値が15V以外の値のときは、値を記入せずに省略している。また、斜線はデータが存在しない、すなわちウロコ直径値が安定するのでデータは不要であることを示している。さらに、同図に示したAd1〜Ad10は、各溶接条件にてウロコ直径値が安定した段階のデータを示している。以下では、これらのデータのことを安定時データAdと呼ぶ。
次に、動作を説明する。溶接条件算出部23は、入力されたウロコ直径値Srに基づいて、溶接条件データベース24から、初期形成数Un、初期溶接条件Icおよび定常溶接条件Tcを算出する。以下、入力されたウロコ直径値Srが3.5mmである場合を例にして説明する。
まず、定常溶接条件Tcおよび初期形成数Unを算出する。定常溶接条件Tcは、ウロコ直径値が安定したときの溶接条件とする。また、初期形成数Unは、ウロコ直径値が安定するまでのウロコ形成数とする。
定常溶接条件Tcおよび初期形成数Unを算出するために、各溶接条件における安定時データAdの中から、入力されたウロコ直径値Srに一致するデータを抽出する。一致するものがなければ、入力されたウロコ直径値Srに最も近いデータを抽出する。図7で示した溶接条件データベース24の場合を例にすると、ウロコ直径値が3.5mmである安定時データAd1および安定時データAd2が選択される。安定時データAd1は、溶接電流値90A、溶接電圧値15V、溶接時間0.7秒であり、この条件は定常溶接条件Tcの候補となる。また、上記条件でのウロコ形成数は7個であり、これは初期形成数Unの候補となる。同様に、安定時データAd2は、溶接電流値100A、溶接電圧値15V、溶接時間0.7秒であり、この条件は定常溶接条件Tcの候補となる。また、上記条件でのウロコ形成数は5個であり、これは初期形成数Unの候補となる。
条件の候補が複数ある場合、いずれを選択するかは、算出された定常溶接条件Tcおよび初期形成数の候補をティーチペンダントTPの表示部41に表示して、作業者に選択させる。もちろん、定常溶接条件Tcおよび初期形成数Unの候補が1通りしかなければ、作業者に選択させる必要はない。このようにして、定常溶接条件Tcおよび初期形成数Unを算出し、必要であれば作業者に選択させてハードディスク4に記憶する。
次に、初期溶接条件Icを算出する。上記までの処理によって、定常溶接条件Tcおよび初期形成数Unが算出されている。以下では、入力されたウロコ直径値Srが3.5mmのときに、定常溶接条件Tcとして安定時データAd1に相当する溶接電流値90A、溶接電圧値15Vおよび溶接時間0.7秒が算出され、初期形成数Unとして7個が算出されているものとして、初期溶接条件Icの算出方法について説明する。
各溶接条件におけるウロコ形成数が1個のときのデータの中から、ウロコ直径値Srが3.5mmに一致するデータを抽出する。一致するものがなければ、入力されたウロコ直径値Srに最も近いデータを抽出する。図7で示した溶接条件データベース24の場合を例にすると、ウロコ直径値が3.5mmであるデータBd1が選択される。そして、このデータBd1と安定時データAd1とに基づき、自動的に初期溶接条件Icを算出する。
図8は、初期溶接条件Icを自動的に算出した例を示す図である。同図(a)に示すように、ウロコ1個目の溶接条件は、データBd1と同一とする。ウロコ7個目および8個目以降の溶接条件は、安定時データAd1と同一とする。そして、ウロコ2〜6個目の溶接条件は、データBd1と安定時データAd1の両者の溶接電流値を均等に分割し、ウロコ形成数が多くなるにつれて溶接電流値が低くなるようにした値(同図中、下線部で示した値)とする。
なお、上記ではデータBd1を選択し、このデータBd1と安定時データAd1とに基づき、両者の溶接電流値を均等分割して自動的に初期溶接条件Icを算出したが、ウロコ直径値が3.5mmに近いデータBd2を選択しても良い。この場合は、同図(b)に示すように、ウロコ1個目の溶接条件は、データBd2と同一とする。ウロコ7個目および8個目以降の溶接条件は、安定時データAd1と同一とする。そして、ウロコ2〜6個目の溶接条件は、データBd2と安定時データAd1の両者の溶接時間を均等に分割し、ウロコ形成数が増えるごとに段階的に溶接時間が短くなるようにした値(同図中、下線部で示した値)とする。
そして、算出した初期形成数Un、初期溶接条件Icおよび定常溶接条件Tcをハードディスク4に記憶する。以降の処理は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
上述したように、実施の形態3においては、ビード幅に相当するウロコ直径値の所望値を予め定めておき、このウロコ直径値を、ウロコ直径値と定常溶接電流および定常溶接電圧との関係が予め定められた溶接条件データベースに入力することによって、初期形成数、初期溶接条件および定常溶接条件を自動的に算出するようにしている。すなわち、アーク開始点付近における溶接ビードを常に一定の幅にすることができる効果に加えて、溶接条件の設定工数を低減することができる。
本発明に係るステッチパルス溶接方法を適用したステッチパルス溶接装置のブロック図である。 ダウンスロープ制御を行う一例として、溶接時間のみを段階的に短くした場合の波形図である。 溶接条件出力制御部のフローチャートである。 実施の形態2に係るステッチパルス溶接方法を適用したステッチパルス溶接装置のブロック図である。 実施の形態2に係る溶接条件データベースの一例を示す図である。 実施の形態3に係るステッチパルス溶接方法を適用したステッチパルス溶接装置のブロック図である。 実施の形態3に係る溶接条件データベースの一例を示す図である。 初期溶接条件を自動的に算出した例を示す図である。 従来のステッチパルス溶接方法を適用したステッチパルス溶接装置を示した図である。 ステッチパルス溶接を行っているときの状態を説明するための図である。 溶接施工後に形成される溶接ビードを説明するための図である。 アーク開始点付近の溶接痕の様子を説明するための図である。
符号の説明
1 ステッチパルス溶接装置
3 主制御部
4 ハードディスク
5 RAM
6 CPU
7 溶接ワイヤ
11 動作制御部
12 駆動指令部
13 溶接条件出力制御部
20 教示処理部
21 表示処理部
22 解釈実行部
23 溶接条件算出部
24 溶接条件データベース
41 表示部
42 設定部
51 従来のステッチパルス溶接装置
52 コンジットケーブル
53 上アーム
54 下アーム
55 手首部
56 ワイヤリール
57 溶接ワイヤ
58 ガスボンベ
A アーク
Ad 安定時データ
B 溶接ビード
Bd データ
Bs アーク開始点付近の溶接ビード
Bt 安定後の溶接ビード
Ci 初期溶接電流値
Cd 冷却時間
Cn 次回溶接電流値
Ct 定常溶接電流値
Dr 溶接進行方向
Ew 突き出し長
G シールドガス
Ic 初期溶接条件
M マニピュレータ
Mp 移動ピッチ
P1 アーク開始点
P2〜P6 アーク再開始点
RC ロボット制御装置
Sc 溶接痕
Sp 移動速度
Sr ウロコ直径値
T アーク溶接トーチ
Tc 定常溶接条件
Ti 初期溶接時間
Tn 次回溶接時間
TP ティーチペンダント
Tt 定常溶接時間
Uc ウロコ形成数
Un 初期形成数
Vi 初期溶接電圧値
Vn 次回溶接電圧値
Vt 定常溶接電圧値
W ワーク
Wc 溶接制御信号
WP 溶接電源
Y 溶融池
Y’ 溶接痕
Y’’ 溶接痕

Claims (9)

  1. 溶接電流値、溶接電圧値および溶接時間を含む溶接条件に基づき、アーク開始点から溶接トーチを停止した状態でアークを発生させ、前記溶接時間の経過後にアークを停止した後、前記溶接トーチを溶接進行方向に所定の移動ピッチだけ離間したアーク再開始点に移動させてアークを再発生することを繰り返しながら、1回のアーク発生で形成される溶接痕であるウロコを重ね合わせてワーク上に溶接ビードを形成するステッチパルス溶接方法において、
    前記ウロコの形成数が予め定めた初期形成数に到達するまでの期間は初期溶接電流値、初期溶接電圧値および初期溶接時間を含む予め定めた初期溶接条件で溶接し、前記ウロコの形成数が前記初期形成数に到達した後は定常溶接電流値、定常溶接電圧値および定常溶接時間を含む予め定めた定常溶接条件で溶接することを特徴とするステッチパルス溶接方法。
  2. 前記初期溶接条件は、前記形成数が増えるごとに少なくとも前記初期溶接時間を段階的に短くした条件であることを特徴とする請求項1記載のステッチパルス溶接方法。
  3. 前記初期溶接時間は、前記アーク開始点での初期溶接時間、前記初期形成数および前記定常溶接時間に基づいて自動的に算出されることを特徴とする請求項2記載のステッチパルス溶接方法。
  4. 前記初期溶接条件は、前記形成数が増えるごとに少なくとも前記初期溶接電流値を段階的に低くした条件であることを特徴とする請求項1記載のステッチパルス溶接方法。
  5. 前記初期溶接電流値は、前記アーク開始点での初期溶接電流値、前記初期形成数および前記定常溶接電流値に基づいて自動的に算出されることを特徴とする請求項4記載のステッチパルス溶接方法。
  6. 前記初期形成数は、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値を、溶接条件基準値と初期形成数との対応関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって自動的に算出されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のステッチパルス溶接方法。
  7. 前記初期溶接条件は、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値を、溶接条件基準値と前記形成数毎の初期溶接条件との対応関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって自動的に算出されることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項4のいずれか1項に記載のステッチパルス溶接方法。
  8. 前記初期形成数は、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値でのウロコ直径値を、ウロコ直径値と前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値との関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力して前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値を算出し、算出した前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値を、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値と初期形成数との関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって算出されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のステッチパルス溶接方法。
  9. 前記アーク開始点での初期溶接時間または初期溶接電流値は、前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値でのウロコ直径値を、ウロコ直径値と前記定常溶接電流値および前記定常溶接電圧値との関係を予め記憶した溶接条件データベースに入力することによって算出されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のステッチパルス溶接方法。
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