JP2009103479A - 水質モニタ方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 船舶の揺れや水面の波浪に影響されず、より正確にクロロフィルαの濃度の鉛直分布を計測できるとともに、広海域に渡って濃度分布(水平分布)を得ることのできる方法及び装置を提供する。
【解決手段】 本発明の水質モニタ方法は、水中に近紫外パルスレーザー光を照射し(S1)、近紫外パルスレーザー光で励起された、水分子から発せられる水ラマン散乱光と、水中の被モニタ物質から発せられる蛍光とを集光し(S2)、集光した光を水ラマン散乱成分と蛍光成分とに分けて各々の強度を算出し(S3)、蛍光成分強度の水ラマン散乱成分強度に対する比を算出し(S4)、算出した比を被モニタ物質の濃度に換算して表示する(S5)。船舶の揺れや海面の波浪によりレーザーの入射角度が変わってレーザー強度が変わっても、蛍光成分強度の水ラマン散乱成分強度に対する比は変わらないので、被モニタ物質の濃度をより正確に求めることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、海水の水質(海洋クロロフィルαなどの生物環境など)をより正確にモニタできる方法及び装置に関する。特には、海洋クロロフィルα濃度の三次元分布構造をモニタする方法及び装置に関する。
従来より、海洋学や水産学における海水環境の指標として、全ての植物プランクトン中に比較的多く存在するクロロフィルαの濃度が使用されている。クロロフィルの濃度の計測は、調査船からCTD(Conductivity, Temperature and Depth Profiler)センサや採水器を海水中に下ろして行われるのが一般的である。
クロロフィルαは、波長685nm付近の赤色光と440nm付近の青色光の、2つの波長帯で光吸収率が高い(例えば、非特許文献1参照)。クロロフィルαを励起すると、これらの吸光反応は蛍光発光反応となる。そこで、CTDセンサでは、海水中に青色光を照射し、クロロフィルαの励起によって発光される赤色の蛍光量を測定することで、その部分のクロロフィル濃度を推定している。
この方法では、観測を行う度に停泊してセンサを海水中に下ろす作業を行わねばならず、広範囲を連続的に観測するには時間を要する。
そこで、船舶にレーザーパルス照射装置を搭載し、海水中にレーザーパルスを照射し、このレーザーにより励起された海水中の懸濁物の散乱光や植物プランクトンから発せられる蛍光を、船舶に搭載した観測装置で観測する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、海水励起用のパルスレーザー光として、波長が532nm(緑色)のレーザー光を照射し、波長が532nmのレーザー弾性散乱光と波長が685nm(赤色)のクロロフィル蛍光を観測するものである。海水中からの散乱光や蛍光はマイクロチャンネルプレート内蔵の光電子倍増管で検知され、光電子倍増管のゲートタイミングやゲインを変えて、それぞれの深度に応じた時間での光電変換を行うことにより、海面からの反射光、深度に対応した散乱光及び蛍光の同時計測を行っている。この方法では海面からの反射光を測光できるので、海水中への入射光強度を求めることができ、海水中の懸濁物や植物プランクトンの濃度の絶対量を測定することができる。
一般に、船舶搭載型の装置においては、船舶の揺れや水面の波浪によって、レーザーの水面入射角が変わる。すると水中でのレーザー強度が変わり、観測強度が変動してしまい、正確な値を得にくい。そこで、前述の特許文献では、海面からの反射光、深度に対応した散乱光及び蛍光の同時計測を行い、海水中への入射光強度を求めている。
しかし、前述の特許文献では、波長が532nm(緑色)のレーザー光を照射し、波長が532nm(緑色)の散乱光と、波長が685nm(赤色)のクロロフィル蛍光を観測しているが、水中では赤色光は減衰が激しく(例えば、非特許文献2参照)、船舶上の観測装置で受光するまでに強度が低下し、正確なクロロフィル蛍光強度を得にくい。また、散乱光の強度は、水中のレーザー強度に加えて、懸濁物質や動物プランクトン等の量によっても変化するため、船舶上の観測装置で受光した散乱光強度から、正確な水中レーザー強度を得ることは難しい。
特公平6−21862号 G.C.Papageorgiou and Govindjee, Chlorophyll a Fluorescence, Springer(2004)p.3. R.C Smith and K.S.Baker, Applied Optics 20(1981)p.177−184.
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、船舶の揺れや水面の波浪に影響されず、より正確にクロロフィルαの濃度(鉛直分布)を計測できるとともに、広海域に渡って濃度分布(水平分布)を得ることのできる方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の水質モニタ方法は、 水中に近紫外パルスレーザー光を照射し、 照射された近紫外パルスレーザー光で励起された、水分子から発せられる水ラマン散乱光と、水中の被モニタ物質から発せられる蛍光とを集光し、 集光した光を水ラマン散乱成分と蛍光成分とに分けて各々の強度を算出し、 蛍光成分強度の水ラマン散乱成分強度に対する比を算出し、 算出した比を被モニタ物質の濃度に換算して表示することを特徴とする。
本発明では、蛍光成分強度の水ラマン散乱成分強度に対する比を求めて、その比から被モニタ物質の濃度を求めている。船舶搭載型のレーザー観測装置では、船舶の揺れや海面の波浪によりレーザーの入射角度が変わってレーザー強度が変わり、蛍光成分強度や水ラマン散乱成分強度の絶対値が変化する。しかし、レーザー強度が変わるようなことがあってもこれらの比の値は変わらないので、レーザー入射角度の変動を排除でき、被モニタ物質の濃度をより正確に求めることができる。
さらに、本発明では、被モニタ物質を励起するために近紫外パルスレーザー光を使用し、被モニタ物質から発せられる蛍光を観測している。近紫外レーザー光(波長355nm)は海水中での透過率が比較的高いので、より深い深度までレーザー光を到達させることができる。
本発明においては、 前記換算した被モニタ物質の濃度を水深方向の分布(一次元分布)として表示することが好ましい。
さらに、 前記被モニタ物質濃度の一次元分布を所定の平面内で求めて表示すれば、広い海域内での被モニタ物質の深さ方向の濃度分布を比較的簡単に得ることができる。
本発明においては、 前記被モニタ物質がクロロフィルαであり、前記被モニタ物質から発せられる蛍光が波長が440nm付近の青色の蛍光であることが好ましい。
クロロフィルαは、全ての植物プランクトン中に比較的多く存在するもので、海洋学や水産学における海水環境の指標として、広く使用されている。このクロロフィルαは、近紫外レーザー光で励起されると、波長440nmの青色の蛍光を発する。波長が440nm付近の青色の蛍光は、海水中での透過率が比較的高いので、より深い深度からも受光できる。
本発明の水質モニタ装置は、 船舶や航空機などの移動体に搭載可能な水質モニタ装置であって、 近紫外パルスレーザー光を水中に照射するレーザー光照射手段と、 照射された近紫外パルスレーザー光により励起される、水分子から発せられる水ラマン散乱光と、被モニタ物質から発せられる蛍光とを集光する手段と、 集光された光を水ラマン散乱成分と蛍光成分とに分ける手段と、 分けられた水ラマン散乱成分と蛍光成分の各々の強度を求める手段と、 蛍光成分強度の水ラマン散乱成分強度に対する比を算出する手段と、 該強度比算出手段で算出された比を被モニタ物質の濃度に換算する手段と、 該濃度換算手段で換算された濃度を表示する手段と、を有することを特徴とする。
本発明においては、 前記表示手段は、前記濃度換算手段で換算された濃度を、水深方向の分布(一次元分布)として表示することを特徴とすることが好ましい。
さらに、 前記移動体をさせることにより、所定海域内の被モニタ物質の濃度を、平面内での水深方向の分布(三次元分布)として表示することが好ましい。
また、本発明においては、 前記集光された光を水ラマン散乱成分と蛍光成分とに分ける手段が、ハーフミラーであることが好ましい。
さらに、本発明においては、 前記被モニタ物質がクロロフィルαであり、前記被モニタ物質から発せられる蛍光が波長440nm付近の青色の蛍光であることが好ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、蛍光成分強度の水ラマン散乱成分強度に対する比を求めて、その比から被モニタ物質の濃度を求めている。船舶の揺れや海面の波浪によりレーザーの入射角度が変わってレーザー強度が変わっても、この比の値は変わらないので、レーザー入射角度の変動を排除でき、より正確な被モニタ物質の濃度(分布)を求めることができる。
さらに、被モニタ物質を励起するために近紫外パルスレーザー光を使用している。この近紫外レーザー光は海水中での透過率が比較的高いので、より深い深度までレーザー光を到達させることができる。また、被モニタ物質がクロロフィルαの場合、クロロフィルαの励起により発せられる波長が440nm付近の青色の蛍光を観測している。波長が440nm付近の蛍光は、海水中での透過率が比較的高いので、より深い深度からも受光できる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
最初に、本発明の水質モニタ方法を簡単に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る水質モニタ方法の手順を示す図である。
まず、S1で、海水励起用のパルスレーザー光として、近紫外パルスレーザー光(波長355nm)を海水中に照射する。前述の非特許文献2によれば、近紫外レーザー光は、海水中での減衰が比較的小さいので、より深い深度まで照射することができる。海水中に照射された近紫外パルスレーザー光の一部は、水分子を励起し、水ラマン散乱光(波長404nm)を発光させるとともに、海水中のクロロフィルや有色溶解有機物(CDOM:Colored Dissolved Organic Matter)を励起し、蛍光(波長440nm、青色)を発光させる。この現象を以下に説明する。
図2は、近紫外パルスレーザー光励起による各種水の発光スペクトルを示すグラフである。縦軸は発光強度、横軸は波長である。
ここでは、分光蛍光光度計(F−2500、日立製作所製)を使用して、屋外水槽に溜めた水、クロロフィルα試料(クロロフィルα濃度1.8mg/リットル)、五ヶ所湾の表層水、相模湾の表層水、蒸留水を、波長355nmの近紫外光で励起したときの発光スペクトルを計測した。
グラフに示すように、全てのサンプルで400nm付近(404nm)で水ラマン散乱光が観測された。そして、図の□で示す屋外水槽水、+で示すクロロフィルα試料で波長440〜450付近の青色の蛍光が観測された。一方、五ヶ所湾表層水、相模湾表層水において同波長の蛍光はごく小さく、蒸留水ではほとんど観測されなかった。この結果から、植物プランクトンが存在すると思われる試料から、水中のクロロフィルやCDOMの励起による蛍光(波長440nm、青色、以降クロロフィル蛍光という)が観測されることがわかった。
再度図1を参照して説明する。
次に、S2で、パルスレーザー光の進行方向と逆方向に進行する水ラマン散乱光と蛍光の強度を同時に観測する。前述の非特許文献2によれば、水ラマン散乱光や蛍光も、海水中での強度の減衰が比較的小さいとしている。
S2では、水ラマン散乱光と蛍光とがいっしょに観測されるので、S3で、これを水ラマン散乱光とクロロフィル蛍光とに分けて各々の強度を求めるとともに、観測距離(深度)を求める。次に、S4で、クロロフィル蛍光強度の水ラマン散乱光強度に対する比を求めて、水中に含まれるクロロフィルα(CDOM含む)の濃度を求める。ここで、水ラマン散乱光と蛍光とは同時に観測されたものであり、船舶の揺れや海面の波浪などによりレーザーの海面入射角度が変動しても、両者の比は変わらないので、より正確な濃度を得ることができる。
なお、水ラマン散乱光は、近紫外波長の方が多く発せられるので(G.W.Faris and R.A.Copeland, Applied Optics 36(1987)p.2686−2688参照)、近紫外レーザーを用いると水ラマン散乱光を観測しやすいという利点がある。
次に、S5で深度方向のクロロフィル濃度(CDOM含む)の、深さ方向の分布(一次元分布)を求める。ここまでの作業を船舶を移動しながら観測海域中の全観測点で行う(S6〜S7)。全ての観測点での観測が終了すると、クロロフィル濃度の観測海域中での深さ方向の分布(三次元分布)を得ることができる。
次に、水質モニタ装置を説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る水質モニタ装置のブロック図である。
図4は、図3の水質モニタ装置の測定原理を説明する図である。
この水質モニタ装置1は、図3に示すように、主に、近紫外パルスレーザー光照射手段10、散乱光及び蛍光受光手段20、遅延パルスジェネレータ30、オシロスコープ40、PC(信号処理部)50などから主に構成されている。近紫外パルスレーザー光照射手段10と散乱光及び蛍光受光手段20はユニット化されて、船舶の右舷船首2に搭載されている。
レーザー光照射手段10は、Nd:YAGレーザーの第3高調波(波長355nm)を発振するレーザー発振装置11(CFR400(商品名)、Quantel BigSky Laser社製)と、同レーザー発振装置11に電力を供給するレーザー電源装置12とを備える。レーザー電源装置12のフラッシュランプの作動に応じて、遅延ディレイパルスジェネレータ30によりQスイッチのオンオフのタイミングが制御され、レーザー発振装置11から、最大で10Hzのパルスレーザー光が発振される。このパルスレーザー光の射出エネルギーは約90mJ/パルスであり、凹レンズによりビーム拡がり角が約40mradに調整されている。なお、レーザー発振装置11には、レーザー電源装置12から電力が送られるとともに、冷却用の水が供給される。
レーザー発振装置11は、前述のように、船首部2に搭載され、海面に対して10°の入射角となるように設置される。これにより、レーザーの海面への入射角をできるだけ0°に近づけながら、海面反射光が受光手段20に当るのを避けることができる。また、船舶の航行の引き波が発生していない海面にレーザーL1を照射できる。
図4に示すように、照射されたパルスレーザーL1の一部L2は海面Sで反射し、その他L3は海面Sを透過して海水中を進行しつつ、徐々に水に吸収・散乱される。近紫外パルスレーザー光は電磁波であるので、真空中では速度c=2.9979×10m/sで進行し、大気中では速度c/nair、水中ではc/nwaterで進行する。nair、nwaterはそれぞれ空気の絶対屈折率、水の絶対屈折率で、それぞれ1.0003、1.33である。
水中を進行する近紫外パルスレーザー光L3の一部は水分子を励起し、水ラマン散乱光L4を発光さる。また、一部は、水深0m〜30m付近に存在するクロロフィルα(図4の符号C)やCDOMを励起して、クロロフィル蛍光L5を発光させる。水ラマン散乱光L4は波長が404nmの紫色であり、ほぼ等方に発光される。発光強度は水分子の密度に比例する。クロロフィル蛍光L5は波長が440nmの青色であり、ほぼ等方に発光される。発光強度はクロロフィルやCDOMの濃度に比例する。
これらの水ラマン散乱光L4やクロロフィル蛍光L5の一部は、海水中を後方(パルスレーザーの進行方向と逆方向)に進行しつつ、徐々に水に吸収・散乱される。そして、海面に達すると、一部は海面で反射し、一部は海面を透過して大気中を進行し、水質モニタ装置1の散乱光及び蛍光受光手段20(図3参照)に達する。
図3に示す散乱光及び蛍光受光手段20は、このような水ラマン散乱光L4やクロロフィル蛍光L5を観測するもので、直径20cmのカタディオプトリック式反射望遠鏡21(VMC200L(商品名)、ビクセン社製)、ハーフミラー22、ハーフミラー22の各下流に配置された狭帯域光学フィルタ23(中心波長435.8nm)、24(中心波長405.0nm)と光センサ25、26などにより構成される。望遠鏡21は、光軸が、レーザー発振装置11の中心軸と平行になるように配置されており、同光軸とレーザー発振装置11の中心軸との距離は約20cmである。この望遠鏡21で集光された光は、ハーフミラー22で2つに分けられる。
分けられた各光は、狭帯域光学フィルタ23、24を通って光センサ25、26で受光される。一方の狭帯域光学フィルタ23は、青色だけを透過させるもので、集光されて分けられた光のうちのクロロフィル蛍光が主に透過する。もう一方の狭帯域光学フィルタ24は、紫色だけを透過させるもので、集光されて分けられた光のうちの水ラマン散乱光が主に透過する。各光センサ25、26は、ゲート付き光電子倍増管(ゲイン:最大10)(H7680−01(商品名)、浜松ホトニクス社製)であり、レーザー電源装置12のQスイッチのタイミングに応じて遅延パルスジェネレータ30から発生されるトリガ信号により、露光時間が制御される。これにより、各光センサ25、26で、クロロフィル蛍光と水ラマン散乱光の強度が検知される。検知された信号はオシロスコープ40でデジタル化されて記録・表示された後、信号処理部50に送られる。オシロスコープ40は、周波数帯域:600MHz、サンプリングレート:2.5GHz、解像度:8ビットの性能を有する。
信号処理部50では、検知された値から近紫外パルスレーザー光の飛行時間(TOF:Time of Flight)と水ラマン散乱光及びクロロフィル蛍光のTOFの合計時間を算出し、観測距離(深度)に応じた水ラマン散乱光及びクロロフィル蛍光の強度を求める。さらに、信号処理部では、クロロフィル蛍光強度の水ラマン散乱光強度に対する比を求め、この比から水中に含まれるクロロフィルαやCDOMの濃度の深さ方向の分布(一次元分布)を求めて、ディスプレイなどに表示する。
実験例
次に、この水質モニタ装置の有効性を確認するための実験を行った結果を説明する。
水槽(深さ35m)に水道水と同程度の清水である井戸水(淡水)を溜め、深さ5、10、20m、30mの深さ位置にそれぞれ緑茶を散布した。緑茶にはクロロフィルが含まれており、植物プランクトンの豊富な海水と同様の蛍光スペクトルを示す。そして、水面から高さ4mの位置に、図3の水質モニタ装置を設置して観測を行った。光電子倍増管のゲートタイミングとゲインについては、ターゲットの深さに合わせてそれぞれ調整した。
図5は、計測された水ラマン散乱光及び蛍光の強度を示すグラフである。縦軸は強度、横軸は時間(レーザーパルス往復時間)を示す。
このグラフを参照すると、水深が10mの場合、図の◇で示すように、往復時間が230ns付近で蛍光のピークが観測されたが、図の◆で示される水ラマン散乱のピークは観測されなかった。また、水深が20mの場合も、図の□で示すように、往復時間が320ns付近で蛍光のピークが観測されたが、図の■で示される水ラマン散乱のピークは観測されなかった。さらに、水深が30mの場合も、図の○で示すように、往復時間が410ns付近で蛍光のピークが観測されたが、図の●で示される水ラマン散乱のピークは観測されなかった。
この結果から、この水質モニタ装置1は、水中の水質変化(クロロフィルの有無)に対して感度を有することが示された。
図6は、蛍光強度ピーク値のレーザーパルス往復時間を、深さに対してプロットしたグラフである。縦軸は往復時間、横軸は深さを示す。
この図に示すように、蛍光強度ピーク値のレーザーパルス往復時間と深さとは比例関係にあり、本発明の水質モニタ装置1は水深方向の距離分解能があることがわかった。
次に、図3の水質モニタ装置1を使用して、実際の海域の水質をモニタした例を説明する。
図7は、水質モニタ例を示す図である。
この図は、水質モニタ装置1を搭載したヘリコプターを相模湾から浦賀水道を通って東京湾にかけて飛行させ、前述の方法で海面付近のクロロフィル蛍光強度の水ラマン散乱光強度に対する比を求め、同比を色で表したものである。比の値が高い(クロロフィル濃度が高い)ほど黄色に表され、比の値が低い(クロロフィル濃度が低い)ほど青色に表される。図に示されるように、相模湾から三浦半島の沖合い付近までは、青から緑色に表されており、クロロフィル濃度が低いことがわかる。そして、浦賀水道から東京湾に進むに従い、黄緑色から黄色に表されており、徐々にクロロフィル濃度が高くなっていることがわかる。
この例では、ヘリコプターの飛行跡に沿って海面付近のクロロフィル濃度比を求めたが、観測海域平面内の所定の観測点で計測を行うことにより、平面内でのクロロフィル濃度の深さ方向分布(三次元分布)を求めることができる。
本発明の実施の形態に係る水質モニタ方法の手順を示す図である。 近紫外パルスレーザー光励起による各種水の発光スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る水質モニタ装置のブロック図である。 図3の水質モニタ装置の測定原理を説明する図である。 計測された水ラマン散乱光及び蛍光の強度を示すグラフである。 蛍光強度ピーク値のレーザーパルス往復時間を、深さに対してプロットしたグラフである。 水質モニタ例を示す図である。
符号の説明
1 水質モニタ装置
10 近紫外パルスレーザー光照射手段
11 レーザー発振装置 12 レーザー電源
20 散乱光及び蛍光受光手段 21 反射望遠鏡
22 ハーフミラー 23、24 光学フィルタ
25、26 光センサ
30 遅延パルスジェネレータ 40 オシロスコープ
50 信号処理部

Claims (9)

  1. 水中に近紫外パルスレーザー光を照射し、
    照射された近紫外パルスレーザー光で励起された、水分子から発せられる水ラマン散乱光と、水中の被モニタ物質から発せられる蛍光とを集光し、
    集光した光を水ラマン散乱成分と蛍光成分とに分けて各々の強度を算出し、
    蛍光成分強度の水ラマン散乱成分強度に対する比を算出し、
    算出した比を被モニタ物質の濃度に換算して表示することを特徴とする水質モニタ方法。
  2. 前記換算した被モニタ物質の濃度を水深方向の分布(一次元分布)として表示することを特徴とする請求項1記載の水質モニタ方法。
  3. 前記被モニタ物質濃度の一次元分布を所定の平面内で求めて表示すること特徴とする請求項1又は2記載の水質モニタ方法。
  4. 前記被モニタ物質がクロロフィルαであり、前記被モニタ物質から発せられる蛍光が波長が440nm付近の青色の蛍光であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の水質モニタ方法。
  5. 船舶や航空機などの移動体に搭載可能な水質モニタ装置であって、
    近紫外パルスレーザー光を水中に照射するレーザー光照射手段と、
    照射された近紫外パルスレーザー光により励起される、水分子から発せられる水ラマン散乱光と、被モニタ物質から発せられる蛍光とを集光する手段と、
    集光された光を水ラマン散乱成分と蛍光成分とに分ける手段と、
    分けられた水ラマン散乱成分と蛍光成分の各々の強度を求める手段と、
    蛍光成分強度の水ラマン散乱成分強度に対する比を算出する手段と、
    該強度比算出手段で算出された比を被モニタ物質の濃度に換算する手段と、
    該濃度換算手段で換算された濃度を表示する手段と、
    を有することを特徴とする水質モニタ装置。
  6. 前記表示手段は、前記濃度換算手段で換算された濃度を、水深方向の分布(一次元分布)として表示することを特徴とすることを特徴とする請求項5記載の水質モニタ装置。
  7. 前記移動体をさせることにより、所定海域内の被モニタ物質の濃度を、平面内での水深方向の分布(三次元分布)として表示すること特徴とする請求項5又は6記載の水質モニタ装置。
  8. 前記集光された光を水ラマン散乱成分と蛍光成分とに分ける手段が、ハーフミラーであることを特徴とする請求項5、6又は7記載の水質モニタ装置。
  9. 前記被モニタ物質がクロロフィルαであり、前記被モニタ物質から発せられる蛍光が波長440nm付近の青色の蛍光であることを特徴とする請求項5〜8いずれか1項に記載の水質モニタ装置。
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