JP2009067693A - 抗菌防黴剤及び抗菌防黴性組成物。 - Google Patents

抗菌防黴剤及び抗菌防黴性組成物。 Download PDF

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Abstract

【課題】実用的な耐熱性、耐光性、耐久性を有する抗菌防黴剤及びこれを含む抗菌防黴性組成物を提供すること。
【解決手段】層状ケイ酸塩、層状リン酸塩、ヒドロキシアパタイト及び5Å以上の細孔径を有するゼオライトからなる群から選ばれる陽イオン交換性無機化合物に一般式(I)で表されるイソチアゾリン化合物の金属錯塩を担持させてなる抗菌防黴剤。
一般式(I)
Figure 2009067693

式中、Rは水素原子またはアルキル基を、X及びYは同一または相異なっている水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基を、またはXとYはそれが結合している炭素原子と共同して5員または6員の縮合環を形成し、Mはコバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、銀、スズ、鉛またはカドミウムであり、nは1〜4の整数を、aは1または2を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、耐光性、耐久性に優れ、広範囲の細菌・黴に対して抗菌防黴効果を有する抗菌防黴剤及びこれを含む抗菌防黴性組成物に関し、特に水懸濁系以外に適用できる抗菌防黴剤及びこれを含む抗菌防黴性組成物に関する。
従来から水懸濁系以外に適用する抗菌防黴剤に関しては、各種材料に抗菌防黴性を付与することを目的として、無機系及び有機系抗菌防黴剤が使用されている。前者は銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属イオンをゼオライト、シリカゲル、モンモリロナイト、活性炭などに担持させた無機系化合物であり、後者はチアゾリルベンツイミダゾールなどのイミダゾール系、塩化ベンザルコニウムなどの4級アンモニウム系、2−メチル−イソチアゾリン−3−オンなどのチアゾリン系、エチルアルコールなどのアルコール系、その他天然系などの有機系化合物である。
しかしながら、従来の無機系抗菌防黴剤は、細菌類に対する抗菌効果に比べ、真菌類に対する防黴効果に劣るという問題があり、一方、有機系抗菌防黴剤は、真菌類に対する防黴効果は無機系抗菌防黴剤よりも優れているものの、耐熱性や耐光性が劣るため、プラスチックや繊維への練り込み加工に使用した際、加工時に揮発、分解を生じ、変色や異臭等を起こしやすいという問題を抱えていた。特に、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンや1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンに代表されるイソチアゾリン化合物は、高い抗菌防黴効果を有するものの耐熱性が低く、プラスチックの成形加工において変色や異臭を発生するため、用途が主に低温成形される部材に限定されていた。更にこれらイソチアゾリン化合物は、プラスチックや塗料等の樹脂マトリックス中における薬剤移行性が非常に高いため、頻繁に水が接触するような部材では短期間に防黴剤が流出し効果を失うという問題も抱えていた。
上記の問題を解決する手段として、イソチアゾリン化合物と酸化亜鉛を混合することで耐熱性、耐光性、耐久性を向上させてプラスチック材に適用する技術が開示されている(特許文献1)。またイソチアゾリン化合物と層状ケイ酸塩を混合することで変色性を向上させる技術も開示されている(特許文献2)。しかしながらこれら技術によっても充分な耐熱性、耐光性、耐久性は得られなかった。
特開平05−025319 特開平08−193013
本発明は、このような従来のイソチアゾリン化合物の問題点に着目し、充分に実用的な耐熱性、耐光性、耐久性を有する抗菌防黴剤及びこれを含む抗菌防黴性組成物を提供することを目的とするものである。
本発明は以下に示す抗菌防黴剤及びこれを含む抗菌防黴性組成物を提供するものである。
1.層状ケイ酸塩、層状リン酸塩、ヒドロキシアパタイト及び5Å以上の細孔径を有するゼオライトからなる群から選ばれる陽イオン交換性無機化合物に一般式(I)で表されるイソチアゾリン化合物の金属錯塩を担持させてなる抗菌防黴剤。

一般式(I)
Figure 2009067693
式中、Rは水素原子またはアルキル基を、X及びYは同一または相異なっている水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基を、またはXとYはそれが結合している炭素原子と共同して5員または6員の縮合環を形成し、Mはコバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、銀、スズ、鉛またはカドミウムであり、nは1〜4の整数を、aは1または2を表す。
2.イソチアゾリン化合物金属錯塩中の金属が亜鉛である上記1記載の抗菌防黴剤。
3.陽イオン交換性無機化合物が5Å以上の細孔径を有するゼオライトである上記1又は2記載の抗菌防黴剤。
4.上記1〜3のいずれか1項記載の抗菌防黴剤を含む抗菌防黴性組成物。
5.樹脂組成物である上記4記載の抗菌防黴性組成物。
6.上記1〜3のいずれか1項記載の抗菌防黴剤を含む製品。
7.上記5又は6記載の抗菌防黴性組成物を含む製品。
本発明の抗菌防黴剤及びこれを含む抗菌防黴性組成物の耐熱性、耐光性、耐久性の向上は以下のように説明される。すなわち、イソチアゾリン化合物を特定の金属塩と錯塩化することで、化学的安定性が向上し、その結果耐熱性や耐光性が著しく改善される。さらにこれらのイソチアゾリン化合物金属錯イオンを陽イオン交換性無機化合物にイオン交換担持させることで、イソチアゾリン化合物を陽イオン交換性無機化合物中にイオン結合的に強固に保持させることが可能となり、その結果、様々な環境下でもイソチアゾリン化合物の溶出が制御され、抗菌防黴効果の持続性が向上する。
本発明におけるイソチアゾリン化合物金属錯塩は、上記一般式(I)で表される。
ここで金属塩と錯体を形成する好ましいイソチアゾリン化合物の具体例としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが挙げられる。これらイソチアゾリン化合物は単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
錯体を形成する金属塩は、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、銀、スズ、鉛またはカドミウム塩であり、これらは、単独または2種以上併用して用いることができる。なかでも、イソチアゾリン化合物との錯塩が無色である亜鉛塩が好適である。
イソチアゾリン化合物金属錯塩の調製法としては、イソチアゾリン化合物と金属塩を水や炭素数1〜10の脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、またはこれらの混合溶媒中で混合することにより容易に得ることができる。また、イソチアゾリン化合物が常温で液体であれば、直接イソチアゾリン化合物の原液に金属塩を添加することも可能である。ここで用いられる金属塩としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩などの水溶性金属塩が好ましい。
イソチアゾリン化合物と金属塩のモル比は好ましくは1〜100:100〜1、さらに好ましくは1〜10:10〜1である。
イソチアゾリン化合物金属錯塩を担持する陽イオン交換性無機化合物としては、ゼオライト、層状ケイ酸塩(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、合成フッ素雲母など)、層状リン酸塩(層状リン酸アルミニウム、層状リン酸チタニウム、層状リン酸ジルコニウムなど)、ヒドロキシアパタイト等が挙げられるが、イソチアゾリン化合物金属錯塩の分子サイズを考慮すると、孔径が5Å以上の細孔を有するゼオライト、または層間距離が比較的自由に変動する層状ケイ酸塩や層状リン酸塩が好ましい。更に好ましくは、5Å以上の細孔を有するゼオライトが好ましい。
本発明における5Å以上の細孔を有するゼオライトとしては、例えば、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、L型ゼオライト、ベータ型ゼオライト、ZSM−5、ZSM−11、シリカライト、モルデナイト等を挙げることができる。
本発明における陽イオン交換性無機化合物の粒径については特に限定されるものではないが、プラスチック、繊維、塗料等への練り込み加工に使用する場合は、平均粒子径が50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下である。
本発明において陽イオン交換性無機化合物に担持させるイソチアゾリン化合物金属錯塩イオンの好ましい担持量の下限は、陽イオン交換性無機化合物100部(以下特に明記しない限り「部」は質量部を示す)当たり0.1部であり、より好ましくは0.5部である。担持量が0.1部未満の場合、十分な防黴効果が得ることが困難となる。一方、担持量の上限については特に限定されず、用いる陽イオン交換性無機化合物のイオン交換容量に相当する量まで担持させることが可能である。陽イオン交換性無機化合物のイオン交換容量は、例えば、X型ゼオライトは640meq/100g、モルデナイトは260meq/100g、合成フッ素雲母は120meq/100gである。
これらの陽イオン交換性無機化合物にイソチアゾリン化合物金属錯塩を担持させる方法については特に制限はなく、基本的には陽イオン交換性無機化合物とイソチアゾリン化合物金属錯塩を接触させれば良い。例えば、陽イオン交換性無機化合物を水等の溶媒に懸濁させた液体に、上述の調製法で得られたイソチアゾリン化合物金属錯塩含有溶液を攪拌条件下にて滴下混合し、ろ過、水洗後、更に乾燥、粉砕することにより本発明の抗菌防黴剤を粉末の状態で得ることが可能である。
また、別の方法として、予めイソチアゾリン化合物と錯イオンを形成する金属イオンを陽イオン交換性無機化合物中にイオン交換担持させておき、後からイソチアゾリン化合物を溶解させた溶液、またはイソチアゾリン化合物の原液を添加することで、担持体内部で金属錯イオン化させることも可能である。但しこの場合、予め陽イオン交換性無機化合物に坦持させておいた金属イオンのモル数に対して、イソチアゾリン化合物は2倍モル量以下に設定する必要がある。それ以上のモル数を加えた場合、金属イオンと錯塩を形成できない未反応のイソチアゾリン化合物が存在するため好ましくない。
上記の担持条件は特に制限はなく、イソチアゾリン化合物金属錯塩の種類や、担持体となる陽イオン交換性無機化合物の種類で適宜変化させることができる。具体的には、常温から90℃程度、pHは1〜13、処理時間は0.1〜72時間程度が適当である。
本発明における抗菌防黴剤は、その耐光性能を更に向上させることを目的として、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤を配合することが特に好ましい。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシ)−4,6−ジフェニルトリアジン等の有機系紫外線吸収剤や、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機系紫外線吸収剤が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ブタンテトラカルボキシレート、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン等が挙げられる。
紫外線吸収剤、またはヒンダードアミン系光安定剤の好ましい配合量は、本発明の抗菌防黴剤100部あたり1〜500部であり、より好ましくは10〜200部である。
更に、本発明の抗菌防黴剤には、使用する用途によって公知の添加剤、例えば、無機充填剤、酸化防止剤、界面活性剤、分散剤、他の抗菌剤や防黴剤などを添加してもよい。特に、本発明の抗菌防黴剤の抗菌防黴性能をより向上させることを目的として、界面活性剤を併用することが可能である。界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、高分子界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の好ましい配合量は、本発明の抗菌防黴剤100部あたり1〜500部であり、より好ましくは10〜200部である。
本発明の抗菌防黴剤は、耐熱性、耐光性、耐久性に優れているため、プラスチック、繊維、塗料、接着剤、皮革、紙、石膏等、各種組成物、各種材料、各種部材に配合することが可能である。とりわけ加工時に熱負荷を受けるプラスチック製品や繊維製品、また抗菌防黴持続性が要求される各種部材への応用が、本発明品の優れた耐熱性、耐光性、耐久性の観点から有用である。
本発明の抗菌防黴剤を各種組成物、材料、部材、製品に配合するときの好ましい割合は、各種組成物、材料、部材、製品100部あたり0.05〜20部であり、より好ましくは0.1〜5部である。
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。
〔抗菌防黴剤の調製〕
実施例1
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、OIT)21g(これ自体が液体)と硝酸亜鉛六水和物30gを水/エタノール混合溶液(混合体積比(1:1))1000mlに添加し、室温下で1時間攪拌し、亜鉛−OIT錯イオン含有水溶液を得た。陽イオン交換性無機化合物としてX型ゼオライト100gを上記亜鉛−OIT錯イオン含有水溶液に添加し、50℃にて24時間攪拌し亜鉛−OIT錯イオンをX型ゼオライトにイオン交換担持させた。固相をろ過、水洗後、100℃で真空乾燥を24時間行い、亜鉛−OIT錯イオンを15質量%担持した白色の抗菌防黴剤A(Zn−OIT/X型ゼオライト)を得た。尚、亜鉛−OIT錯イオンの担持量については、蛍光X線測定による組成分析より得られた亜鉛と硫黄の含有量より算出した。
実施例2
X型ゼオライト100gと硝酸亜鉛六水和物30gを水1000mlに懸濁し、X型ゼオライト中のナトリウムイオンを亜鉛イオンでイオン交換し、固相をろ過、水洗後、300℃で24時間乾燥を行い、亜鉛イオン置換X型ゼオライト粉末を得た。得られた亜鉛イオン置換X型ゼオライト粉末100gにOIT21gを噴霧添加し、室温下で2時間ロッキングミキサーにて攪拌した後、100℃で24時間真空乾燥を行い、亜鉛−OIT錯イオンを22質量%担持した白色の抗菌防黴剤B(Zn−OIT/X型ゼオラト)を得た。
実施例3
硝酸亜鉛六水和物30gの代わりに硝酸第一鉄七水和物28gを使用して調製した鉄イオン置換X型ゼオライト粉末を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、鉄−OIT錯イオンを21質量%担持した微黄色の抗菌防黴剤C(Fe−OIT/X型ゼオライト)を得た。
実施例4
X型ゼオライト100gの代わりに合成フッ素雲母100g(コープケミカル(株)製 シマシフME100)を、硝酸亜鉛六水和物30gの代わりに硝酸銅三水和物12gを、OIT溶液21gを11gに変更した以外は実施例2と同様の操作を行い、銅−OIT錯イオンを11質量%担持した薄青色の抗菌防黴剤D(Cu−OIT/合成フッ素雲母)を得た。
比較例1
硝酸亜鉛六水和物30gの代わりに硝酸カルシウム四水和物24gを使用して調製したカルシウムイオン置換X型ゼオライト粉末を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、カルシウム−OIT錯イオンを20質量%担持した白色の比較剤1の抗菌防黴剤a(Ca−OIT/X型ゼオライト)を得た。
比較例2
X型ゼオライト100gの代わりに細孔径が5Å未満の細孔径を有するA型ゼオライト100gを使用した以外は、実施例2と同様の操作を行い、OIT単体として17質量%担持した比較剤2の抗菌防黴剤b(OIT/Zn−A型ゼオライト)を得た。尚、担持されたOITは後述のIR測定結果の通り亜鉛イオンとは錯体を形成しておらず、OIT単体としてA型ゼオライト表面に吸着していることが確認された。
比較例3(特開平05−025319の発明品)
酸化亜鉛粉末100gにOIT21gを噴霧添加し、50℃で2時間ロッキングミキサーにて攪拌した後、100℃で真空乾燥を行い、OIT単体として17%担持した比較剤3の抗菌防黴剤c(OIT/ZnO)を得た。
実施例5
OIT溶液21gの代わりにN−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(以下、BBIT)20g(これ自体が液体)を使用した以外は実施例2と同様の操作を行い、亜鉛−BBIT錯イオンを22質量%担持した抗菌防黴剤E(Zn−BBIT/X型ゼオライト)を得た。
比較例4(特開平08−193013の発明品)
金属イオンとしてナトリウムイオンを含有する合成フッ素雲母100gにBBIT20gを噴霧添加し、50℃で2時間ロッキングミキサーにて攪拌した後、100℃で24時間真空乾燥を行い、BBIT担体として17質量%担持した比較剤4の抗菌防黴剤d(Na−BBIT/合成フッ素雲母)を得た。
比較例5
酸化亜鉛粉末100gにBBIT20gを噴霧添加し、50℃で2時間ロッキングミキサーにて攪拌した後、100℃で24時間真空乾燥を行い、BBIT単体として17質量%担持した比較剤5の抗菌防黴剤e(BBIT/ZnO)を得た。
試験例1〔IR測定〕
抗菌防黴剤A〜E、a〜e、およびOIT、BBITの赤外線吸収スペクトルを、KBrを用いてFT−IR赤外分光光度計(日本分光株式会社 FT/IR−4100)で測定し、OITおよびBBIT中のC=O伸縮振動由来の吸収を観察した。結果を表1、表2に示す。また抗菌防黴剤B、抗菌防黴剤c、OITのIRチャートを図1〜図3に示す。図1の抗菌防黴剤Bのチャート中の、1000cm-1、および3500cm-1前後の大きな吸収は、X型ゼオライト由来のものである。
抗菌防黴剤A〜EにおけるC=O由来の吸収が、亜鉛イオン,鉄イオン,銅イオンとの錯体形成により低波数側にシフトしていることが確認された。また、図1の比較剤1の抗菌防黴剤aも僅かであるが低波数側にシフトしていることから、比較剤1の抗菌防黴剤aもカルシウム−OIT錯イオンとして担持されていると思われる。一方、比較剤2〜5の抗菌防黴剤b〜eは、OITやBBITと同じ波数の吸収を示したことから、これらの剤については錯体を形成せずにOITやBBIT単独で担持されていると判断できる。
試験例2〔耐熱性評価〕
抗菌防黴剤A〜E、a〜e、およびOIT,BBITの熱分析測定を行い、重量減少の開始温度より各抗菌防黴剤の耐熱性を評価した。結果を表1、表2に示す。
尚、熱分析測定は下記の条件で実施した。
装置 :理学電機株式会社 TG8120
試料量 :12mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気 :Air
[耐熱性判定]
◎:単独OITまたはBBITと比較して、100℃以上の耐熱性向上が認められる。
○:単独OITまたはBBITと比較して、50〜100℃の耐熱性向上が認められる。
△:単独OITまたはBBITと比較して、10〜50℃の耐熱性向上が認められる。
×:単独OITまたはBBITと同じ耐熱性。
抗菌防黴剤A〜E全てにおいて著しい耐熱性の向上が認められた。金属錯塩化による熱安定性の向上と、陽イオン交換性無機化合物の細孔内部へのイオン結合的な担持による効果の両面が作用しているものと思われる。
試験例3〔樹脂練り込み品の変色評価〕
ポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製、J106G)100質量部に、本発明の抗菌防黴剤A〜Eを1質量部、フィラーとして炭酸カルシウムを3質量部、さらに必要に応じて紫外線吸収剤として酸化亜鉛を1質量部添加し、射出成形機を用いて加熱温度210℃で射出成形し、50mm×50mm×2mmの試験片を作成し(滞留時間:約5分)、成形時の臭気発生の有無、および得られた試験片の着色を目視にて評価した。また、得られた試験片1〜14について、キセノン耐光促進試験機を用いて耐光変色性を評価した。
尚、比較として、本発明の抗菌防黴剤A〜Eに替えて、比較剤1〜5の抗菌防黴剤a〜eを1質量部、またはOIT、BBITを0.2質量部添加した試験片も作成した。結果を表3、表4に示す。
[臭気判定]
1:成形時の臭気は殆ど感じられない
2:成形時の臭気が少し感じられる
3:成形時の臭気が著しい
[着色判定(成形時、耐光変色)]
○:着色は認められない
△:着色が認められる
×:大幅な着色が認められる
本発明の抗菌防黴剤A〜Eでは、イソチアゾリン化合物に認められる熱分解に伴う臭気発生や着色は殆ど認められなかった。一方、比較剤1〜5の抗菌防黴剤a〜e、OIT、BBIT単独においては、程度の違いはあるが臭気発生や着色が確認された。イソチアゾリン化合物金属錯塩の耐熱性の高さと、さらにその金属錯塩が陽イオン交換性無機化合物にイオン結合的に担持されていることにより熱安定性の大幅な向上が実現したものと思われる。また、カルシウム−OIT錯イオンである比較剤1においては著しい着色が認められたことから、イソチアゾリン化合物と錯塩を形成する金属イオンの種類が、その耐熱性および樹脂練り込み加工時における着色に大きく影響することが確認された。
試験例4〔樹脂練り込み品の抗菌・防黴試験〕
試験例3で得た試験片1〜14を50℃の温水中に1日および10日間浸漬し、それぞれの試験片について防黴試験および抗菌試験(10日間浸漬処理のみ)を実施した。結果を表3、表4に示す。
尚、抗菌試験および防黴試験は次の方法に従って実施した。
[抗菌試験]
試験法 :JIS Z−2801
試験細菌:黄色ブドウ球菌(NBRC12732)
大腸菌(NBRC3972)
判定 :○:99.9%減少
△:90.0%以上99.9%未満
×:90%未満の減少
[抗黴試験]
試験法 :JIS Z−2911 プラスチック製品の試験 方法B
供試黴 :Aspergillus niger ATCC6275
:Penicillium funiculosum ATCC 9644
:Paecilomyces Variotii ATCC 10121
:Gliocladium virens ATCC 9645
:Chaetomium globosum ATCC 6205
判定法 :(0)肉眼および顕微鏡下で黴の生育は認められない。
(1)黴の生育は肉眼では認められないが、顕微鏡下では認められる。
(2)黴の生育は試料面積の25%以内。
(3)黴の生育は試料面積の25〜50%以内。
(4)黴の生育は試料面積の50〜100%。
(5)菌糸の発育は激しく、試料全体を覆っている。
本発明の抗菌防黴剤A〜Eを配合した試験片は、10日間温水に浸漬した後でも十分な抗菌防黴性能を示した。これは、イソチアゾリン化合物金属錯塩が、陽イオン交換体にイオン結合的に強固に担持されているため、イソチアゾリン化合物の溶出が低レベルに抑制され、その結果、抗菌防黴性能の持続性が向上したと思われる。








Figure 2009067693
Figure 2009067693
Figure 2009067693
*:剤自身が茶色(C),青色(D)を呈しているが、剤の初期時点以上には着色が増していない。





Figure 2009067693
実施例2の抗菌防黴剤BのIRチャートを示す。 比較剤3の抗菌防黴剤cのIRチャートを示す。 OITのIRチャートを示す。

Claims (7)

  1. 層状ケイ酸塩、層状リン酸塩、ヒドロキシアパタイト及び5Å以上の細孔径を有するゼオライトからなる群から選ばれる陽イオン交換性無機化合物に一般式(I)で表されるイソチアゾリン化合物の金属錯塩を担持させてなる抗菌防黴剤。
    一般式(I)
    Figure 2009067693
    式中、Rは水素原子またはアルキル基を、X及びYは同一または相異なっている水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基を、またはXとYはそれが結合している炭素原子と共同して5員または6員の縮合環を形成し、Mはコバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、銀、スズ、鉛またはカドミウムであり、nは1〜4の整数を、aは1または2を表す。
  2. イソチアゾリン化合物金属錯塩中の金属が亜鉛である請求項1記載の抗菌防黴剤。
  3. 陽イオン交換性無機化合物が5Å以上の細孔径を有するゼオライトである請求項1又は2記載の抗菌防黴剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の抗菌防黴剤を含む抗菌防黴性組成物。
  5. 樹脂組成物である請求項4記載の抗菌防黴性組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項記載の抗菌防黴剤を含む製品。
  7. 請求項5又は6記載の抗菌防黴性組成物を含む製品。
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