JP2009067222A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1つのトルクセンサからの複数の検出トルク信号に基づいてトルクセンサ系の異常を判定すると共に、異常発生部位を細分化して検出することによりアシストの有効範囲を広げ、効率的なアシスト制御が可能な電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】トルクセンサからの複数のトルク信号及び車速に基づいて演算された電流指令値により、操舵系にアシストトルクを付与するモータを駆動制御する電動パワーステアリング装置において、複数のトルク信号の異常を診断して切替える異常診断部と、複数のトルク信号の異常を診断する診断補助部と、異常診断部及び診断補助部の診断結果に基づいてトルクセンサ系の異常を判定して出力トルク信号を切替える診断判定制御部とを設ける。
【選択図】図1
【解決手段】トルクセンサからの複数のトルク信号及び車速に基づいて演算された電流指令値により、操舵系にアシストトルクを付与するモータを駆動制御する電動パワーステアリング装置において、複数のトルク信号の異常を診断して切替える異常診断部と、複数のトルク信号の異常を診断する診断補助部と、異常診断部及び診断補助部の診断結果に基づいてトルクセンサ系の異常を判定して出力トルク信号を切替える診断判定制御部とを設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の操舵系にモータによる操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特にトルクセンサ系の異常を検出して効率的に制御する電動パワーステアリング装置に関する。
車両のステアリング装置をモータの回転力で補助負荷付勢する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に補助負荷付勢するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、アシストトルク(操舵補助力)を正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、電流指令値とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデュ−ティ比の調整で行っている。
ここで、電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図4に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5を経て操向車輪のタイロッド6に連結されている。コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が、減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット30には、バッテリ14から電力が供給されると共に、イグニッションキー11を経てイグニッション信号が入力され、コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Vとに基づいてアシスト指令の操舵補助指令値Iの演算を行い、演算された操舵補助指令値Iに基づいてモータ20に供給する電流を制御する。
コントロールユニット30は主としてCPU(MPUやMCUを含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図5のようになる。
図5を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThは操舵補助指令値演算部32に入力され、車速センサ12で検出された車速Vも操舵補助指令値演算部32に入力される。操舵補助指令値演算部32は、入力された操舵トルクTh及び車速Vに基づいて、メモリ33に記憶されているアシストマップを参照してモータ20に供給する電流の制御目標値である操舵補助指令値Iを決定する。操舵補助指令値Iは減算部30Aに入力されると共に、応答速度を高めるためのフィードフォワード系の微分補償部34に入力され、減算部30Aの偏差(I−i)は比例演算部35に入力されると共に、フィードバック系の特性を改善するための積分演算部36に入力され、その比例出力は加算部30Bに入力される。微分補償部34及び積分補償部36の出力も加算部30Bに加算入力され、加算部30Bでの加算結果である電流制御値Eが、モータ駆動信号としてモータ駆動回路37に入力される。モータ駆動回路37にはバッテリ14から電力が供給され、モータ20のモータ電流値iはモータ電流検出部38で検出され、モータ電流値iは減算部30Aに入力されてフィードバックされる。
このような電動パワーステアリング装置は、運転者から加えられる操舵トルクに応じて、アシスト量を演算するようになっている。つまり、ハンドルに入力された操舵トルク量をトルクセンサで検出し、検出した操舵トルク量を電流指令値演算部に入力し、電流指令値演算部によってアシスト量を演算するようになっている。
このように、トルクセンサ系は電動パワーステアリング装置で重要な役割を果たしているため、トルクセンサ系の異常(故障を含む)を検出して制御する必要がある。かかるトルクセンサの異常を検出する方法として、2つのトルクセンサを備え、それぞれのトルクセンサが検出した検出トルク信号に基づいて、トルクセンサ系が正常であるか或いは異常であるかを判定するものがある。
しかし、2つのトルクセンサによって検出された検出トルク信号に基づいて、トルクセンサの故障を検出する場合、2つのトルクセンサのどちらが異常であるかを判別することができなかった。また、2つのトルクセンサのいずれか1つに異常が発生した場合であっても、装置の動作を停止或いは正確な操舵トルクを検出することができなくなるという問題があった。
かかる問題を解決する装置として、例えば特開平11−78924号公報(特許文献1)に示される電動パワーステアリング装置がある。この特許文献1に示される電動パワーステアリング装置装置では、一方のトルクセンサが故障しても、他方のトルクセンサで操舵トルクを検出することによって操舵フィーリングに影響を与えないようにしている。即ち、操舵トルク検出手段は、操舵トルクセンサと、故障検出手段を有する操舵トルク検出器とを1組として、2組で構成すると共に、制御手段は、一方の操舵トルク検出手段が自己の故障を判定した場合には、故障検出手段からの故障信号に基づいて他方の操舵トルク検出手段へ切替える切替手段を設けている。
また、特開2003−312507号公報(特許文献2)に示される電動パワーステアリング装置では、トルクセンサの異常発生時に、アシストトルクを徐々に低減させるように検出トルク信号を補正するために、複数のトルクセンサを備え、主に制御に使用している主トルクセンサが明らかに故障したときに、正常な副トルクセンサの検出トルク信号に基づいて補正を行いアシスト制限を行うようにしている。即ち、ステアリングの操舵トルクを検出する複数の操舵トルク検出手段と、操舵トルク検出手段からの操舵トルク検出信号に基づき電動機制御信号を決定して出力する電動機制御信号発生手段と、電動機制御信号発生手段からの電動機制御信号に基づいて電動機を駆動する電動機駆動手段と、操舵トルク検出手段の故障を診断する故障診断手段と、操舵トルク検出信号を補正する操舵トルク入力補正手段と、故障診断手段からの指令によって、操舵トルク入力補正手段に入力する操舵トルク検出信号を切替える制御対象入力切替手段とを具備すると共に、制御対象入力切替手段は、複数の操舵トルク検出手段のうちいずれかが故障したときに、他の正常な操舵トルク検出手段の操舵トルク検出信号を操舵トルク入力補正手段に入力するように構成されている。
特開平11−78924号公報
特開2003−312507号公報
しかしながら、特許文献1の装置では、2つのトルクセンサを用いることにより、主トルクセンサが故障した場合、副トルクセンサで操舵トルクを検出することによって操舵フィーリングに影響を与えないようにしている。また、特許文献2の装置では、さらに両方のトルクセンサに異常が発生しても、主トルクセンサの異常発生直前の記憶値に基づいて補正が行われるようにしている。つまり、特許文献1の装置及び特許文献2の装置は、いずれも2つのトルクセンサを用いているため、大幅なコストアップに繋がるという問題がある。
このため、従来1つのトルクセンサからの複数の検出トルク信号に基づいて、トルクセンサ系の異常を判定する方法がある。しかし、複数の検出トルク信号のうち、いずれか1つの検出トルク信号に異常が検出された場合には、アシストを停止するようになっている。
ここで、1つのトルクセンサからの2つの検出トルク信号に基づいて、アシスト継続或いは停止を切替える従来装置の動作例を、図6のフローチャートを参照して説明する。
トルクセンサからのメイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsに基づいて、トルクセンサ系の異常を検出する診断部をコントロールユニットに備えており、この診断部は、入力されたメイントルク信号Tmと予め設定された下限値VL及び上限値VHとを比較することで、メイントルク信号Tmについてのトルクセンサ系の異常を診断する(ステップS30)。メイントルク信号Tmが下限値VLよりも大きく、上限値VHよりも小さければ正常と考えられるので次のステップS31に移行し、メイントルク信号Tmが下限値VL以下の場合、又はメイントルクTmが上限値VH以上の場合は異常と考えられるので、ステップS34に移行してアシストを徐変しながら停止する。上記ステップS30において正常と判断された場合、診断部はさらに、入力されたサブトルク信号Tsが上記下限値VLよりも大きく、上限値よりも小さい範囲であるかの診断を行い(ステップS31)、その範囲内であれば正常と判断して次のステップS32に移行する。また、サブトルク信号Tsが下限値VL以下の場合、又はサブトルク信号Tsが上限値VH以上の場合は、異常と判断し、ステップS34に移行してアシストを徐変しながら停止する。
上記ステップS31において正常と判断された場合、診断部は、入力されたメイントルク信号Tmとサブトルク信号Tsとの差であるメイン−サブ許容差Tp(=|Tm−Ts|)を演算すると共に、メイン−サブ許容差Tpと予め設定された所定値VDとを比較して診断を行い(ステップS32)。メイン−サブ許容差Tpが所定値VDより小さければ正常と判断してステップS33に移行し、メイン−サブ許容差Tpが所定値VD以上であればステップS34に移行してアシストを徐変しながら停止する。上記ステップS32において正常であると診断されると、アシストを継続するために、メイントルク信号Tmが、電流指令値演算部に入力され、演算された電流指令値によりモータが駆動制御される。
なお、ステップS34においては、メイントルク信号Tm、サブトルク信号Ts又はメイン−サブ許容差Tpのいずれかが異常であると診断されているので、メイントルク信号Tmをゲインで制限し、アシストを徐々に減らしながら停止するように制限する。
このようにトルクセンサは1つ設置されているだけであり、出力されるメイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsのいずれか1つの検出トルク信号に異常が検出された場合には、一律にアシストを停止するようになっている。このため、アシストをできるだけ継続させたいという要求に合わないものとなっている。
本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、1つのトルクセンサからの複数の検出トルク信号に基づいてトルクセンサ系の異常を判定すると共に、異常発生部位を細分化して検出することによりアシストの有効範囲を広げ、効率的なアシスト制御が可能な電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、トルクセンサからの複数のトルク信号及び車速に基づいて演算された電流指令値により、操舵系にアシストトルクを付与するモータを駆動制御する電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記複数のトルク信号の異常を診断して切替える異常診断部と、前記複数のトルク信号の異常を診断する診断補助部と、前記異常診断部及び前記診断補助部の診断結果に基づいてトルクセンサ系の異常を判定して出力トルク信号を切替える診断判定制御部とを備えたことにより、達成される。
また、本発明の上記目的は、前記診断判定制御部が前記判定結果に基づいて、前記アシストトルク付与の継続又は前記アシストトルク付与を徐変から停止へと切替制御することにより、或いは前記複数のトルク信号がメイントルク信号及びサブトルク信号であり、前記異常診断部及び前記診断補助部にそれぞれ入力されることにより、或いは前記異常診断部が前記メイントルク信号、サブトルク信号並びに前記メイントルク信号及び前記サブトルク信号の差である第1許容差を所定値と比較して異常を診断すると共に、前記診断補助部が前記メイントルク信号及び前記サブトルク信号の差である第2許容差を前記所定値と比較して異常を診断することにより、或いは前記異常診断部及び前記診断補助部が、それぞれ別のハードウェアに分けて構成されていることにより、より効果的に達成される。
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、1つのトルクセンサを設け、トルクセンサからの複数の検出トルク信号を別のハードウェアに分けた異常診断部及び診断補助部を用いてトルクセンサ系の異常を診断すると共に、異常を細分化して異常発生部位を特定し、異常発生部位が許容範囲のものであればアシストを継続するようにしているので、大きなコストアップを招くことなく、効率的なアシスト継続が可能である。
本発明に係る電動パワーステアリング装置は、複数の検出トルク信号を別のハードウェアに分けた2つの異常診断部で診断することにより、異常発生部位を特定する。そして、特定した異常発生部位が許容範囲のものであればアシストを継続できるようにするため、許容範囲のものであるか否かを判定すると共に、アシスト継続とアシスト停止とを切替制御する異常診断判定部を設けている。
以下に本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
本発明を実施するために適したトルクセンサ系の異常を診断する診断部の構成例を、図1に示して説明する。本発明の診断部は、メインCPUで成る診断制御部40と、サブCPUで成る診断補助部50とで構成されており、診断制御部40は異常診断部41と、切替部42と、異常診断判定部43と、制御部44とで構成されている。診断部40から出力されているトルク信号T2及び車速センサ12からの車速Vはモータ駆動制御部60に入力され、電流指令値を演算してモータを駆動制御するようになっている。なお、切替部42、異常診断判定部43及び制御部44で診断判定制御部を構成している。
トルクセンサ10からのメイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsは、それぞれ診断部40内の異常診断部41と診断補助部50に入力される。
異常診断部41では、入力されたメイントルク信号Tm及びサブトルク信号TsがそれぞれA/D変換部413及び414でA/D変換されて検出トルク診断部412に入力されると共に、メイントルク信号Tmが切替部411の接点c1に、サブトルク信号Tsが切替部411の接点c2にそれぞれ入力される。
検出トルク診断部412は、メイントルク信号Tmが予め設定された下限値VL及び上限値VHに対して“VL<Tm<VH”であれば正常と診断し、サブトルク信号Tsが“VL<Ts<VH”であれば正常と診断する。そして、メイントルク信号Tmが“VL≧Tm、Tm≧VH”のとき、又はサブトルク信号Tsが“VL≧Ts、Ts≧VH”のときに異常と診断する。
そして、検出トルク診断部412は、メイントルク信号Tmが正常と診断したときに切替部411の接点を“c1”に切替え、メイントルク信号Tmが異常でサブトルク信号Tsが正常と診断したときに切替部411の接点を“c2”に切替える切替信号CS1を出力する。メイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsが共に正常の場合、検出トルク診断部412は、切替部411の接点を“c1”にする切替信号CS1を出力する。
さらに、検出トルク診断部412は、メイントルク信号Tmとサブトルク信号Tsの差であるメイン−サブ許容差Tp1(=|Tm−Ts|)を演算すると共に、メイン−サブ許容差Tp1を予め設定された所定値VDと比較し、所定値未満(Tp1<VD)であれば正常と診断し、所定値以上(Tp1≧VD)であれば異常と診断する。このような検出トルク診断部412におけるメイントルク信号Tm、サブトルク信号Ts及びメイン−サブ許容差Tp1の各診断結果は、診断信号D1として異常診断判定部43に入力される。
また、診断補助部50では、メイントルク信号Tm及びサブトルク信号TsがそれぞれA/D変換部51及び52でA/D変換されて検出トルク診断補助部53に入力される。検出トルク診断補助部53では、入力されたメイントルク信号Tmとサブトルク信号Tsとの差であるメイン−サブ許容差Tp2(=|Tm−Ts|)を演算すると共に、メイン−サブ許容差Tp2を予め設定された所定値VDと比較し、所定値未満(Tp2<VD)であれば正常と診断し、所定値以上(Tp2≧VD)であれば異常と診断する。このような、診断補助部50におけるメイン−サブ許容差Tp2の診断結果は、診断信号D2として診断補助部50から異常診断判定部43に入力される。
異常診断判定部43は、異常診断部41からの診断信号D1及び診断補助部50からの診断信号D2に基づいて、切替部42の接点c3及び接点c4を切替信号CS2によって切替えることで、制御部44の制御をアシスト継続制御441或いはアシストを徐々に減らしながらアシストを停止するアシスト停止制御442に切替える。
異常診断判定部43からの切替信号CS2により、切替部42の接点が“c3”の場合、切替部411からのトルク信号T1が制御部44内のアシスト継続制御441を経て、つまり何らのアシスト制限を加えられることなくモータ駆動制御部60に入力される。また、異常診断判定部43からの切替信号CS2により、切替部42の接点が“c4”の場合、切替部411からのトルク信号T1は制御部44内のアシスト停止制御442を経てトルク信号T1は、時間に比例して徐々に小さく、やがて停止するようにゲインで制限されて、モータ駆動制御部60に入力される。
このような構成において、その動作例を図2のフローチャートを参照して説明する。
トルクセンサ10からのメイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsが、異常診断部41及び診断補助部50へ入力される。
A/D変換部413及び414でA/D変換されたメイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsは、検出トルク診断部412及び切替部411に入力され、検出トルク診断部412は切替部411を接点c1に設定し、異常診断部41からのトルク信号T1をメイントルク信号Tmに設定する(ステップS10)。そして、検出トルク診断部412は、入力されたメイントルク信号Tmを予め設定された下限値VL及び上限値VHと比較し、“VL<Tm<VH”であるか否かを診断する(ステップS11)。メイントルク信号Tmが“VL<Tm<VH”であればステップ12に移行し、“VL<Tm<VH”を満たさなければステップS14に移行する。
ステップS12において検出トルク診断部412は、サブトルク信号Tsを予め設定された下限値VL及び上限値VHと比較し、“VL<Ts<VH”であるか否かを診断し、サブトルク信号Tsが“VL<Ts<VH”であればステップ13に移行し、“VL<Ts<VH”を満たさなければ、メイントルク信号Tmは正常であるが、サブトルク信号Tsは異常である診断信号D1を出力してステップS16に移行する。
上記ステップS12において“VL<Ts<VH”の場合、検出トルク診断部412は演算したメイン−サブ許容差Tp1と所定値VDとを比較し、メイン−サブ許容差Tp1が所定値VDより小さい場合(Tp1<VD)、正常と診断し、メイントルク信号Tm、サブトルク信号Ts及びメイン−サブ許容差Tp1が正常である診断信号D1を出力してステップS17に移行する(ステップS13)。一方、上記ステップS13においてメイン−サブ許容差Tp1が所定値VD以上の場合、メイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsが正常であり、メイン−サブ許容差Tp1が異常である診断信号D1を出力してステップS16に移行する。
一方、上記ステップS11においてメイントルク信号Tmが“VL<Tm<VH”を満たさない場合、検出トルク診断部412は、サブトルク信号Tsを予め設定された下限値VL及び上限値VHと比較し、“VL<Ts<VH”であるか否かを診断する(ステップS14)。サブトルク信号Tsが“VL<Ts<VH”の場合、検出トルク診断部412は、メイントルク信号Tmが異常であり、サブトルク信号Tsが正常である診断結果の診断信号D1を出力してステップS15に移行する。また、サブトルク信号Tsが“VL<Ts<VH”を満たさない場合、検出トルク診断部412は、メイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsが異常である診断結果の診断信号D1を出力してステップS18に移行する。
上記、ステップS14においてサブトルク信号Tsが“VL<Ts<VH”を満たす場合、検出トルク診断部412は、切替部411の接点を“c2”に切替える切替信号CS1を出力し、アシスト制御に用いるトルク信号T1をサブトルク信号Tsに設定する(ステップS15)。その後、或いは上記ステップS12において“VL<Ts<VH”を満たさない場合、或いは上記ステップS13においてメイン−サブ許容差Tp1が所定値VD以上の場合、検出トルク診断補助部53は、メイントルク信号Tmとサブトルク信号Tsとの差であるメイン−サブ許容差Tp2を演算すると共に、メイン−サブ許容差Tp2と所定値VDとを比較する(ステップS16)。そして、メイン−サブ許容差Tp2が所定値VDより小さい場合(Tp2<VD)、メイン−サブ許容差Tp2が正常である診断信号D2を出力してステップS17に移行し、メイン−サブ許容差Tp2が所定値VD以上の場合は、メイン−サブ許容差Tp2が異常である診断結果としての診断信号D2を出力してステップS18に移行する。
異常診断判定部43は、入力された診断信号D1及びD2に基づいて切替信号CS2を切替部42に入力して接点c3又はc4に切替えるが、ステップS17のアシスト継続では接点c3とし、ステップS18のアシスト停止では接点c4とする切替信号CS2を出力する。
上述した構成例における判定結果の例を図3に示して説明する。また、図3に示される“○”は正常を表し、“×”は異常を表し、“−”は診断無しを表している。
図3の判定例1は、異常診断部41においてメイントルク信号Tm、サブトルク信号Ts及びメイン−サブ許容差Tp1が全て正常である判定例であり、異常診断判定部43も正常と判定した判定例である。つまり、異常診断部41からメイントルク信号Tmがトルク信号T1として切替部42に入力され、異常診断判定部43が切替部42の接点を“c3”に設定し、アシスト継続制御441を経てアシスト継続する状態である。
判定例2は、異常診断部41において、メイントルク信号Tmが正常と診断され、サブトルク信号Tsが異常と診断された場合の判定例である。サブトルク信号Tsが異常と診断されているため、診断補助部50におけるメイン−サブ許容差Tp2の診断結果によって異常診断判定部43の判定が定まる。つまり、異常診断部41においてメイントルク信号Tmが正常と診断され、サブトルク信号Tsが異常と診断され、さらに診断補助部50においてメイン−サブ許容差Tp2が異常と診断されると、異常診断判定部43によって異常の判定がなされ、切替部42の接点が“c4”に切替えられ、アシスト停止制御を経て、アシスト徐変からアシスト停止となる。一方、診断補助部50においてメイン−サブ許容差Tp2が正常と診断されると、異常診断判定部43によって正常の判定がなされ、切替部42の接点は“c3”に切替えられ、メイントルク信号Tmのトルク信号T1に基づいてアシスト継続となる。
判定例3は、異常診断部41においてメイントルク信号Tmが異常と診断され、サブトルク信号Tsが正常と診断された場合の判定例である。メイントルクTmが異常と診断されているため、診断補助部50における診断結果によって異常診断判定部43の判定が定まる。つまり、異常診断部41において、サブトルク信号Tsが正常であると診断されても、メイントルク信号Tmが異常と診断され、さらに診断補助部50におけるメイン−サブ許容差Tp2が異常と診断されると、異常診断判定部43によって異常の判定がなされ、切替部42の接点は“c4”に切替えられ、アシスト停止となる。一方、診断補助部50におけるメイン−サブ許容差Tp2が正常と診断されると、異常診断判定部43によって正常の判定がなされ、切替部42の接点は“c3”に切替えられ、サブトルク信号Tsのトルク信号T1に基づいてアシスト継続制御となる。
判定例4は、異常診断部41においてメイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsが正常と診断され、メイン−サブ許容差Tp1が異常と診断された場合の判定例である。メイン−サブ許容差Tp1が異常と診断されているため、診断補助部50の診断結果によって異常診断判定部43の判定が定まる。つまり、診断補助部50においてメイン−サブ許容差Tp2が異常と診断されると、メイントルク信号Tm或いはサブトルク信号Tsのいずれかが異常であると予測されるので、異常診断判定部43によって異常の判定がなされ、切替部42の接点は“c4”に切替えられ、アシスト停止となる。しかし、診断補助部50においてメイン−サブ許容差Tp2が正常と診断されると、異常診断判定部43によって正常の判定がなされ、切替部42の接点が“c3”に切替えられ、メイントルク信号Tmのトルク信号T1に基づいたアシスト継続制御となる。
判定例5は、異常診断部41において、メイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsが異常と診断された場合の判定例である。つまり、異常診断部41及び診断補助部50において共にメイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsの異常が診断されたので、異常診断判定部43によって異常の判定がなされ、切替部42の接点は“c4”に切替えられ、アシスト停止となる。
また、判定結果(従来)においては、判定例1のみ正常と判定することが可能であり、判定例3〜5については全て異常と判定してしまうため、本発明の効果的な制御が一目瞭然な結果となる。
ここで、判定例3のように、異常診断部41に入力されるメイントルク信号Tmに異常が発生した場合、例えばメイントルク信号Tmの電圧値を読取るためのA/D変換部413のA/D変換ポートに異常が発生し、読取る電圧が範囲外になるような異常の発生が考えられる。このようにトルクセンサの故障や異常に直接関係のないような状態で、メイントルク信号Tmが異常と診断された場合、異常が許容範囲内であればアシストを継続するために、異常診断判定部43が診断補助部50における診断結果に基づいて判定を行うようになっている。つまり、診断補助部50においてメイン−サブ許容差Tp2が正常と診断されているならば、トルクセンサ10は正常であり、異常診断部41のメイントルク信号Tmを検出する部位に異常が発生したと判定し、アシストを継続するため、異常診断判定部43は、切替部42の接点を“c3”に設定し、サブトルク信号Tsを用いてアシストを継続する。
なお、診断補助部50の検出トルク診断補助部53が、さらにメイントルク信号Tm及びサブトルク信号Tsの異常を診断するようにしても良く、また、2つのトルクセンサで、複数の検出トルク信号を用いて、異常を診断するようにしても異常の検出精度を向上することができる。
1 ハンドル
10 トルクセンサ
12 車速センサ
20 モータ
30 コントロールユニット
40 メインCPU
41 異常診断部
42 切替部
43 異常診断判定部
44 制御部
50 サブCPU
51 A/D変換部
52 A/D変換部
53 検出トルク診断補助部
60 モータ駆動制御部
411 切替部
412 検出トルク診断部
413 A/D変換部
414 A/D変換部
10 トルクセンサ
12 車速センサ
20 モータ
30 コントロールユニット
40 メインCPU
41 異常診断部
42 切替部
43 異常診断判定部
44 制御部
50 サブCPU
51 A/D変換部
52 A/D変換部
53 検出トルク診断補助部
60 モータ駆動制御部
411 切替部
412 検出トルク診断部
413 A/D変換部
414 A/D変換部
Claims (5)
- トルクセンサからの複数のトルク信号及び車速に基づいて演算された電流指令値により、操舵系にアシストトルクを付与するモータを駆動制御する電動パワーステアリング装置において、前記複数のトルク信号の異常を診断して切替える異常診断部と、前記複数のトルク信号の異常を診断する診断補助部と、前記異常診断部及び前記診断補助部の診断結果に基づいてトルクセンサ系の異常を判定して出力トルク信号を切替える診断判定制御部とを備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- 前記診断判定制御部が前記判定結果に基づいて、前記アシストトルク付与の継続又は前記アシストトルク付与を徐変から停止へと切替制御する請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記複数のトルク信号がメイントルク信号及びサブトルク信号であり、前記異常診断部及び前記診断補助部にそれぞれ入力される請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記異常診断部が前記メイントルク信号、サブトルク信号並びに前記メイントルク信号及び前記サブトルク信号の差である第1許容差を所定値と比較して異常を診断すると共に、前記診断補助部が前記メイントルク信号及び前記サブトルク信号の差である第2許容差を前記所定値と比較して異常を診断する請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記異常診断部及び前記診断補助部が、それぞれ別のハードウェアに分けて構成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
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JP2007237698A JP2009067222A (ja) | 2007-09-13 | 2007-09-13 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007237698A JP2009067222A (ja) | 2007-09-13 | 2007-09-13 | 電動パワーステアリング装置 |
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ID=40603948
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011105056A (ja) * | 2009-11-13 | 2011-06-02 | Jtekt Corp | 電動パワーステアリング装置 |
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-
2007
- 2007-09-13 JP JP2007237698A patent/JP2009067222A/ja active Pending
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