JP2009058034A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】AYC(左右輪駆動力配分手段)及びTCL(駆動力制御手段)を備えた車両において、直進走行時におけるAYC及びTCLの制御を適正化し、走行安定性を向上させることのできる車両の駆動力制御装置を提供すること。
【解決手段】AYC用ECU(28)の駆動力移動量演算部(42)と、TCL用ECU(30)のエンジン制御部(60)とを接続し、当該TCL用ECUによりエンジントルク抑制制御を行う際には、AYC用ECUは駆動力移動量演算パラメータを極低μ路面モードに切り替え、駆動力移動量を抑制する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の駆動力制御装置に係り、詳しくは車両直進時における走行安性を向上させる技術に関する。
近年、主に後輪の左右車輪間に設けられ当該左右後輪の間での駆動力の移動等で駆動力配分量を制御することで、車両の直進走行時には左右車輪間の回転差を抑制させて走行安定性を確保し、旋回走行時には左右車輪間で積極的に駆動力差を発生させることで旋回性能を向上させることのできる左右輪駆動力配分手段、所謂アクティブヨーコントロールシステム(以下AYCという)が開発されている(特許文献1参照)。
また、車両の各車輪の空転(スリップ)により駆動力が伝わらなくなるのを防ぐため、車輪のスリップを検出したときに、駆動源であるエンジンの駆動力(エンジントルク)を抑制したりスリップしている車輪に制動力を与えることで当該スリップを抑制する駆動力制御手段、所謂トラクションコントロールシステム(以下TCLという)が開発されている(特許文献2)。
特開平5−345534号公報 特許第2993400号公報
上記特許文献1に開示されているようなAYCによる左右輪駆動力配分制御では、一般に路面摩擦係数(路面μ)等に応じて駆動力配分制御モードが選択的に設定され、低μ路面モードであれば駆動力配分量を少なめに、高μ路面モードであれば駆動力配分量を多めに制御する。
しかしながら、当該駆動力配分制御モードが実際の路面μに対して適切に選択されていない場合、良好に駆動力制御が行われないという問題がある。
例えば、直進走行時、左右後輪のうちスリップ等により一方の車輪の回転数が上昇すると、AYCは左右輪の回転差を縮小するため回転数の低い他方の車輪へと駆動力の移動を行うが、ここで実際の路面が低μ路面にも関わらず高μ路面モードが選択されていると当該他方の車輪へと過大な駆動力が移動する。このため、当該他方の車輪がスリップ等して回転数が上昇し、これにより駆動力の移動方向が逆転し再び一方の車輪の回転数が上昇することとなる。このようにして、AYCの駆動力移動の繰り返し、即ちハンチングが起こることで、車両に振動が生じたり、車両にヨー運動が生じる等、車両の走行安定性が損なわれるおそれがある。
また、上記特許文献1及び2に開示されているようなAYC及びTCLを両方備える車両がスプリット路面を走行した場合、低μ路面側の車輪がスリップすると、AYCが高μ路面側の車輪へと駆動力を移動するとともに、TCLによりスリップした車輪に制動力が付与される。このため、スリップしていない高μ路面側の車輪の駆動力が低μ路面側に比べて過大となり、車両に過大なヨー運動が生じ走行安定性が損なわれるおそれがある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、AYC及びTCLを備える車両において、直進走行時におけるAYC及びTCLの制御を適正化し、走行安定性を向上させることのできる車両の駆動力制御装置を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1の車両の駆動力制御装置では、車両の車輪の空転を検出する車輪空転検出手段と、前記空転検出手段により車輪の空転を検出した場合に、該空転を抑制するよう該車両の駆動力を制御する駆動力制御手段と、可変可能な所定の駆動力配分量で前記車両の駆動源からの駆動力を左右輪へ伝達する左右輪駆動力配分手段と、前記車両直進走行時に前記左右輪の回転差を縮小させるよう該左右輪駆動力配分手段における前記所定の駆動力配分量を制御する駆動力配分量制御手段とを備え、前記駆動力配分量制御手段は、前記駆動力制御手段による駆動力制御が行われたときには前記所定の駆動力配分量を抑制して制御することを特徴としている。
請求項2の車両の駆動力制御装置では、請求項1において、前記駆動力制御手段は、前記車両の駆動源が発生させる駆動力の抑制及び前記空転検出手段により検出された空転車輪への制動力の付与のうち少なくとも一方を行うことで車両の駆動力を制御することを特徴としている。
請求項3の車両の駆動力制御装置では、請求項2において、前記駆動力制御手段は、前記車両の駆動源が発生させる駆動力の抑制及び前記空転検出手段により検出された空転車輪への制動力の付与の両方を行う場合、前記車両の駆動源が発生させる駆動力の抑制を前記空転車輪への制動力の付与よりも先に行うものであることを特徴としている。
請求項4の車両の駆動力制御装置では、請求項1乃至3において、前記駆動力配分量制御手段は、前記所定の駆動力配分量を演算するための演算パラメータを路面摩擦係数に応じて2以上有しており、前記駆動力制御手段による駆動力制御が行われたときには最も低い路面摩擦係数に対応した演算パラメータに切り替えることで前記所定の駆動力配分量を抑制することを特徴としている。
上記手段を用いる本発明の請求項1の車両の駆動力制御装置によれば、駆動力配分量制御手段は、左右輪駆動力配分手段における所定の駆動力配分量を車両の運転状態に応じて制御するとともに、駆動力制御手段による駆動力制御時には左右輪駆動力配分手段における所定の駆動力配分量を抑制制御するものとする。
つまり、駆動力制御手段により車輪の空転を抑制する際には、左右輪間の駆動力移動量を抑制し、片輪に過大な駆動力が発生することを防止することができる。
これにより、例えば低μ路面走行時における駆動力移動のハンチングやスプリット路面走行時における過大なヨー運動等を抑制させることができ、駆動力制御手段及び左右輪駆動力配分手段とを備えた車両において、走行安定性を向上させることができる。
請求項2の車両の駆動力制御装置によれば、駆動力制御手段は、駆動源が発生させる駆動力の抑制及び空転車輪へ制動力を付与のうち少なくとも一方を行うことで、十分に車輪の空転を抑制させることができる。
請求項3の車両の駆動力制御装置によれば、駆動力制御手段は、車両の駆動源が発生させる駆動力の抑制を前記空転車輪への制動力の付与よりも先に行うことで、車輪の空転を安定した状態で抑制させることができる。
請求項4の車両の駆動力制御装置によれば、駆動力配分量制御手段による駆動力配分量の抑制制御は、最も低い路面摩擦係数に対応した演算パラメータに切り替えて所定の駆動力配分量を演算する。
これにより、簡単な制御で駆動力配分量を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1を参照すると、本発明に係る車両の駆動力制御装置の概略構成図が示されており、図2を参照すると本発明に係る車両の駆動力制御装置のブロック図が示されている。
図1に示す車両1は、駆動源として車体前部にエンジン(駆動源)2が搭載され、駆動輪として左前輪4L、右前輪4R(併せて前輪4ともいう)、左後輪6L、及び右後輪6R(併せて後輪6ともいう)を備える四輪駆動車両である。
エンジン2には変速機10が連結されており、当該変速機10はセンタデフ12と接続されている。
センタデフ12は前輪4の車軸上に配設されており、前輪4側及び後輪6側に駆動力を分配する機能を有している。
また、当該センタデフ12は同じく前輪4の車軸上に配設されたフロントデフ14と接続されている。
フロントデフ14はセンタデフ12により前輪4側に分配された駆動力を左前輪4L及び右前輪4Rに配分する機能を有している。
また、当該センタデフ12はプロペラシャフト16の一端とも接続されている。当該プロペラシャフト16は他端にアクティブヨーコントロールデフ(左右輪駆動力配分手段)18(以下、AYCデフという)が接続されており、センタデフ12により後輪6側に分配された駆動力を当該AYCデフ18に伝達する機能を有している。
AYCデフ18は、後輪6の車軸上に設けられており、プロペラシャフト16から伝達された駆動力を左後輪6L及び右後輪6Rに車両1の運転状態に応じて配分する機能を有している。
詳しくは、当該AYCデフ18は、プロペラシャフト16から入力された駆動力を、左右後輪6L、6Rの回転差を許容しつつ当該左右後輪6L、6Rのそれぞれの車軸へと駆動力を伝達可能な差動機構18aを有し、さらに当該左右後輪6L、6Rの一方の駆動力を他方の駆動力に移動させることで左右後輪6L、6Rの駆動力を配分する駆動力伝達制御機構18bを有している。当該駆動力伝達制御機構18bは、左右後輪6L、6Rのうち一方の車輪を他方の車輪よりも増速及び減速する増減速機構18cと、増速側の回転を他方の車輪に伝達する第1クラッチ機構18dと減速側の回転を他方の車輪に伝達する第2クラッチ機構18eとを備え構成されている。
また、車両1の各車輪4L、4R、6L、6Rには、当該各車輪4L、4R、6L、6Rに制動力を付与するブレーキ20L、20R、22L、22Rがそれぞれ設けられている。
さらに、当該各車輪4L、4R、6L、6Rには、車輪速を検出する車輪速センサ24L、24R、26L、26Rが設けられている。
そして、車両1には、上記AYCデフ18を制御するAYC用ECU28、及びエンジン2及び各ブレーキ20L、20R、22L、22Rを制御するトラクションコントロール用ECU30(以下TCL用ECUという)が設けられている。
AYC用ECU28は、左右後輪6L、6Rの車輪速センサ26L、26R、及び運転者が高μ路面モード(例えば舗装路)、中μ路面モード(例えば未舗装路)、低μ路面モード(例えば凍結路)の3種の路面状況に応じた制御モードを選択可能なモード切替スイッチ32が電気的に接続されている。
また、当該AYC用ECU28は、上記AYCデフ18の第1及び第2クラッチ機構18d、18eへの油圧を調節するAYC用油圧ユニット34と電気的に接続されており、当該AYC用油圧ユニット34を介して第1及び第2クラッチ機構18d、18eの制御、即ちAYCデフ18の制御を行う。
一方、TCL用ECU30は、各車輪4L、4R、6L、6Rの車輪速センサ24L、24R、26L、26R、及び車両1に作用する前後の加速度を検出する前後Gセンサ36が電気的に接続されている。
また、当該TCL用ECU30は、エンジン2、及び各ブレーキ20L、20R、22L、22Rへの油圧を調整するブレーキ用油圧ユニット38と電気的に接続されており、エンジン2より発生する駆動力(エンジントルク)、及びブレーキ用油圧ユニット38を介して各ブレーキ20L、20R、22L、22Rの制動力を制御する。
さらに、AYC用ECU28及びTCL用ECU30との間も電気的に接続されている。
なお、当該AYC用ECU28及びTCL用ECU30には図示しないヨーレートセンサ、横Gセンサ、ハンドル角センサ等、他のセンサ類も接続されている。
以下図2に基づき当該AYC用ECU28及びTCL用ECU30の入出力関係について説明する。
AYC用ECU28は、入力側にモード切替スイッチ32及び左右後輪6L、6Rの車輪速センサ26L、26Rが接続されており、出力側に上記AYC用油圧ユニット20を介してAYCデフ18が接続されている。
詳しくは、当該車輪速センサ36L、36Rは、AYC用ECU28内の後輪左右回転差演算部40に接続されている。
当該後輪左右回転差演算部40では、車輪速センサ36L、36Rにより検出された左後輪6L及び右後輪6Rにより検出される車輪速から後輪左右回転差が演算される。
また、当該後輪左右回転差演算部40は、モード切替スイッチ24とともにAYC用ECU22内の駆動力移動量演算部(駆動力配分量制御手段)42に接続されている。
当該駆動力移動量演算部42には、モード切替スイッチ24により選択可能な制御モードに対応し、駆動力移動量演算パラメータが予め記憶されている。
そして、当該駆動力移動量演算部42では、モード切替スイッチ24により選択された制御モードの駆動力移動量演算パラメータを用い、後輪左右回転差演算部40により演算された後輪左右回転差に応じ、当該後輪左右回転差を縮小させるに必要な駆動力移動量が演算される。なお、当該駆動力移動量は、例えば、低μ路面モードの駆動力移動量演算パラメータを用いて演算した方が、高μ路面モードの駆動力移動量演算パラメータを用いた場合よりも駆動力移動量が低くなるよう設定されている。
そして、当該駆動力移動量演算部42は、AYC用油圧ユニット20を介してAYCデフ18に接続されており、当該駆動力移動量演算部42において演算された駆動力移動量となるようAYCデフ18を制御する。
一方、TCL用ECU32は、入力側に各車輪4L、4R、6L、6Rの車輪速センサ34L、34R、36L、36R及び前後Gセンサ38が接続されており、出力側にエンジン2、及びブレーキ用油圧ユニット30を介して各ブレーキ26L、26R、28L、28Rが接続されている。
詳しくは、各車輪速センサ34L、34R、36L、36RはTCL用ECU30内の車体速推定部50及び車輪スリップ量推定部52に接続されており、前後Gセンサ38は車体速推定部50に接続されている。
当該車体速推定部50では、各車輪速センサ34L、34R、36L、36Rにより検出される車輪速、及び前後Gセンサ38により検出される前後Gから車体速が推定される。
そして、当該車体速推定部50は、車輪スリップ量推定部52及び路面摩擦係数推定部54に接続されている。
車輪スリップ量推定部52では、各車輪速センサ34L、34R、36L、36Rにより検出される車輪速、及び上記車体速推定部50において推定された車体速から車輪のスリップが検出され、その車輪スリップ量が推定される(車輪空転検出手段)。なお、当該車輪のスリップの検出及び車輪スリップ量の推定は、例えば、車輪速から推定される車体速と、前後Gから推定される車体速との差に基づき行う。
また、当該車輪スリップ量推定部52は、路面摩擦係数推定部54及びTCL制御量演算部56に接続されている。
路面摩擦係数推定部54では、車体速推定部50において推定された車体速及び車輪スリップ量推定部52において推定された車輪スリップ量から車両1が走行している路面の摩擦係数(路面μ)が推定される。
また、当該路面摩擦係数推定部54は、TCL制御量演算部56に接続されている。
当該TCL制御量演算部56では、車輪スリップ量推定部52において推定された車輪スリップ量、及び路面摩擦係数推定部54において推定された路面摩擦係数から当該車両1のTCL制御量が演算される。詳しくは、当該TCL制御量は、車輪のスリップを抑制のためのエンジン2のエンジントルク抑制量及びスリップ車輪へのブレーキ制動力量が演算される。
そして、当該TCL制御量演算部56は、TCL用ECU内32のブレーキ制御部58及びエンジン制御部60に接続されている。
ブレーキ制御部58は、TCL制御量演算部56において演算されたブレーキ制動力量となるよう、ブレーキ用油圧ユニット30を介してスリップ車輪のブレーキ20L、20R、22L、22Rを制御する。
一方、エンジン制御部60は、TCL制御量演算部56において演算されたエンジントルク抑制量に応じてエンジン2のエンジントルクを制御する。なお、当該エンジン制御部60のエンジントルク抑制制御は、ブレーキ制御部58のブレーキ制御よりも先に実行されるよう設定されている。
また、エンジン制御部60は、上記AYC用ECU22内の駆動力移動量演算部42とも接続されており、当該エンジン制御部60におけるエンジン2のエンジントルク抑制制御が開始されることでOFF状態からON状態に切り替わるTCL制御フラグが駆動力移動量演算部42に出力される。
そして、駆動力移動量演算部42ではTCL制御フラグがON状態に切り替わると駆動力移動量の抑制制御が行われる。
当該駆動力移動量演算部42における駆動力移動量の抑制制御とは、例えば、モード切替スイッチ32により選択可能な低μ路面モードの駆動力移動量演算パラメータよりもさらに低い路面摩擦係数に対応した極低μ路面モードの駆動力移動量演算パラメータを予め記憶させておき、上記TCL制御フラグがON状態となったときに当該極低μ路面モードに切り替える。
つまり、TCL用ECU30においてTCL制御が行われる際には、AYC用ECU28による駆動力移動制御は通常よりも低い値となるよう抑制される。
以下このように構成された本発明に係る車両の駆動力制御装置の作用について説明する。
図3及び4を参照すると、図3には本発明に係る駆動力制御装置を備えた車両の低μ路面走行時のタイムチャートが示されており、図4には本発明に係る駆動力制御装置を備えた車両のスプリット路走行時の制御状態を示す説明図が示されている。
まず、図3に基づき、モード切替スイッチ32の設定が高μ路面モードに設定された状態で低μ路面を走行したときの制御状態について説明する。
図3のタイムチャートは、駆動力移動量演算パラメータ、各車輪速、AYC用ECU28にて演算された駆動力移動量、車両1のヨーレート、TCL用ECU30におけるTCL制御フラグの各状態が時系列的に示されている。
車両1は低μ路面においてモード切替スイッチ32が高μ路面モードに設定された状態で発進を行っている。
車両1の発進直後には各車輪4L、4R、6L、6Rに振動が生じ、その後車輪速が除々に上昇する。
そして、t1時点にて、TCL用ECU30にて車両1のスリップが検出され、TCL用ECU30によるエンジントルク抑制制御が行われる。同時にTCL制御フラグはOFFからONに切り替わるため、当該TCL制御フラグを受けたAYC用ECU28の駆動力移動量演算部42は駆動力移動量演算パラメータを高μ路面モードから極低μ路面モードに切り替える。
一方ここで、図3において鎖線で示す従来の制御では、t1時点以降も高μ路面モードの駆動力移動量にて走行する。そして、t2時点で左右後輪6L、6Rに回転差が生じると、高μ路面に対応した駆動力移動量演算パラメータにより演算された過大な駆動力移動が生じ、当該駆動力移動のハンチングが生じる。詳しくはt2時点において、左後輪6Lが右後輪6Rに比べて車輪速が高くなると、AYCデフ18を介して右後輪6Rに過大な駆動力が移動し、当該右後輪6Rがスリップ等して車輪速が上昇する。これにより次には右後輪6Rから左後輪6Rに過大な駆動力が移動することとなり、このような駆動力移動が繰り返されることでハンチングが生じる。そして、当該駆動力移動のハンチングにより、車両1のヨーレートに示されているように車両1が僅かに左右に振れ、車両1の走行が不安定となる。
これに対し、本発明に係る車両の駆動力制御装置では、t1時点以降、極低μ路面に対応した駆動力移動量演算パラメータに切り替えられることで、駆動力を移動させない、または駆動力を移動させる場合にも十分に抑制された微小な駆動力移動量となる。つまり、駆動力が移動を受けた車輪がスリップすることを防止することができ、これにより、駆動力移動量のハンチングを抑制させることができる。
次に、図4に基づき、車両1が左右の路面摩擦係数が異なる所謂スプリット路面を走行したときの制御状態について説明する。
図4は、車両1の左側が高μ路面、右側が低μ路面のスプリット路面であり、モード切替スイッチ32は低μ路面モードに設定されている。
車両1が当該スプリット路面を走行中、低μ路面側である右後輪6Rがスリップした場合、TCL用ECU30では、まずエンジン2のエンジントルクを抑制し、スリップ車輪である右後輪6Rにブレーキ22Rにより制動力を与える。
また、当該TCL用ECU30のTCL制御フラグがONとなり、当該TCL制御フラグを受けたAYC用ECU28の駆動力移動量演算部42では駆動力移動量演算パラメータを低μ路面モードから極低μ路面モードに切り替える。
一方ここで、図3において鎖線で示す従来の制御では、左右後輪6L、6Rの回転差を縮小させるため、AYC用ECU28は低μ路面モードの駆動力移送量演算パラメータを用いて駆動力移動量が演算され、当該駆動力移動量でAYCデフ18を介して左後輪6Lに駆動力が移動する。また、このときTCL用ECU30の制御により右後輪6Rには制動力も作用するために、右後輪6Rに対して左後輪6Lの駆動力が過大となる。このため、車両1に上方から視て反時計回りに過大なヨー運動が生じる。
これに対して、本発明に係る車両の駆動力制御装置では、低μ路面用モードよりもさらに低い駆動力移動量に演算する極低μ路面用モードに切り替えられることで、左後輪6Lへの駆動力移動量は抑制される。これにより、左後輪6Lの駆動力は抑制され、車両1に生じるヨー運動を抑制させることができる。
以上のように、本発明に係る車両の駆動力制御装置では、TCL用ECU30のエンジン制御部とAYC用ECU28の駆動力移動量演算部とを接続し、TCL用ECU30によるエンジントルク抑制制御の開始とともに、AYC用ECU28における駆動力移動量を抑制させることで、駆動力移動量のハンチングやスプリット路面走行時におけるヨー運動を防止し、車両走行性を安定させることができる。
以上で本発明に係る車両の駆動力制御装置の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
上記実施形態では、TCL用ECU30のエンジン制御部からのTCL制御フラグに応じて、AYC用ECU28の駆動力移動量パラメータを極低μ路面モードに切り替えることで駆動力移動量を抑制するものであるが、駆動力移動量を抑制する手段はこれに限られるものではない。例えば、TCL用ECUにより制御されるエンジントルク抑制量またはブレーキ制動力の制御量に応じてAYCデフ18による駆動力移動量、または当該駆動力移動量の上限値をAYC用ECUに指示する構成としても構わない。
また上記実施形態では、TCL用ECU30のエンジン制御部60からのTCL制御フラグに応じて、AYC用ECU28の駆動力移動量の抑制制御を開始するものであるが、当該駆動力移動量の抑制制御開始の判定手段は当該TCL制御フラグに限られるものではない。例えば、車速、前後Gヨーレートまたはヨーレート変化率、ハンドル角またはタイヤの切れ角、横G、スプリット路面の判定、電子制御四輪駆動制御量に応じて、推定路面摩擦係数、TCL用ECUにより制御されるブレーキ作動状況、TCL用ECUによるエンジントルク抑制量、アクセル開度、エンジントルク、変速機のギヤ情報、変速機の制御モード等からも判定しても構わない。
本発明に係る車両の駆動力制御装置の概略構成図である。 本発明に係る車両の駆動力制御装置のブロック図である。 本発明に係る駆動力制御装置を備えた車両の低μ路面走行時のタイムチャートである。 本発明に係る駆動力制御装置を備えた車両のスプリット路走行時の制御状態を示す説明図である。
符号の説明
1 車両
2 エンジン(駆動源)
4L、4R、6L、6R 車輪
18 アクティブヨーコントロールデフ(AYCデフ)(左右輪駆動力配分手段)
20L、20R、22L、22R ブレーキ
24L、24R、26L、26R 車輪速センサ
28 AYC用ECU28(駆動力配分量制御手段)
30 TCL用ECU30(駆動力制御手段)
32 モード切替スイッチ
34 AYC用油圧ユニット
36 前後Gセンサ
38 ブレーキ用油圧ユニット
40 後輪左右回転差演算部
42 駆動力移動量演算部
50 車体速推定部
52 車輪スリップ量推定部(空転検出手段)
54 路面摩擦係数推定部
56 TCL制御量演算部
58 ブレーキ制御部
60 エンジン制御部

Claims (4)

  1. 車両の車輪の空転を検出する車輪空転検出手段と、
    前記空転検出手段により車輪の空転を検出した場合に、該空転を抑制するよう該車両の駆動力を制御する駆動力制御手段と、
    可変可能な所定の駆動力配分量で前記車両の駆動源からの駆動力を左右輪へ伝達する左右輪駆動力配分手段と、
    前記車両直進走行時に前記左右輪の回転差を縮小させるよう該左右輪駆動力配分手段における前記所定の駆動力配分量を制御する駆動力配分量制御手段とを備え、
    前記駆動力配分量制御手段は、前記駆動力制御手段による駆動力制御が行われたときには前記所定の駆動力配分量を抑制して制御することを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 前記駆動力制御手段は、前記車両の駆動源が発生させる駆動力の抑制及び前記空転検出手段により検出された空転車輪への制動力の付与のうち少なくとも一方を行うことで車両の駆動力を制御することを特徴とする請求項1記載の車両の駆動力制御装置。
  3. 前記駆動力制御手段は、前記車両の駆動源が発生させる駆動力の抑制及び前記空転検出手段により検出された空転車輪への制動力の付与の両方を行う場合、前記車両の駆動源が発生させる駆動力の抑制を前記空転車輪への制動力の付与よりも先に行うものであることを特徴とする請求項2記載の車両の駆動力制御装置。
  4. 前記駆動力配分量制御手段は、前記所定の駆動力配分量を演算するための演算パラメータを路面摩擦係数に応じて2以上有しており、前記駆動力制御手段による駆動力制御が行われたときには最も低い路面摩擦係数に対応した演算パラメータに切り替えることで前記所定の駆動力配分量を抑制することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の車両の駆動力制御装置。
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