JP2009056708A - 積層体の製造方法およびそれにより得られる積層体 - Google Patents

積層体の製造方法およびそれにより得られる積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】リサイクル層の変色を抑制するとともに、相分離異物(目ヤニ)の発生を抑制することのできる積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物および(B)エチレン含量が70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる層と、(C)ポリオレフィン系樹脂層を備えた積層体の回収物を原料とし、これを溶融成形してなるリサイクル層を備えた積層体を製造する方法である。そして、上記溶融成形する回収物中の上記(B)の含有量を、上記(A)+(C)の合計量に対して0.001重量%以上0.3重量%未満に調整するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層およびポリオレフィン層を備えた積層体を再利用して、リサイクル層を含む新たな積層体を製造する方法およびその積層体であって、詳しくは、上記リサイクル層の変色の抑制、ならびに製造時の目ヤニ(相分離異物)発生を抑制することのできる積層体の製造方法、およびそれにより得られる積層体に関するものである。
従来から、ポリエチレン、ポリプロピレンを始めとするポリオレフィン系樹脂に代表される熱可塑性樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層を備えた積層体は、フィルム、シート、カップ、トレイ、ボトル等の各種形状に成形され、その特性を活かして各種用途に適用されており、特に食品や薬品の包装材料等に汎用されている。そして、上記熱可塑性樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層を備えた積層体から、上記のような各種形状の成形物を得る際に発生するクズや端部、不良品、あるいは成形物を各種用途に使用した後のゴミ等を回収し、この回収物を溶融成形して層を形成し、これを熱可塑性樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層を備えた新たな積層体の少なくとも1層(リサイクル層)として再利用する場合があり、このような再生技術は、廃棄物削減や経済性の点で産業上有用であり、実用化されている。
しかしながら、熱可塑性樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層を備えた積層体の回収物を再利用する際、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が溶融成形時の熱劣化によりゲル化を起こし変質した樹脂が成形物中にしばしば混入したり、成形物において熱可塑性樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の相溶性が悪いため表面に波模様が発生して外観不良が生じたり、相分離異物(目ヤニ)が発生する等、製品の品質が低下するという問題があった。
このような問題を改善するため、上記回収物を溶融成形する際に、ポリオレフィンやポリスチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とともに、特定の組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、高級脂肪酸金属塩を用いた樹脂組成物を用いることが提案されている(特許文献1,2,3参照)。また、特定の組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を、積層体のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層に予め含有させてなる多層容器を回収して溶融成形しリサイクル層(リグラインド層ともいう)として用いることも提案されている(特許文献4参照)。
特開平3−72539号公報 特開平3−72542号公報 特開平3−215032号公報 特開2003−54592号公報
しかしながら、本発明者らは、上記特定の組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を必要量配合すると、形成されるリサイクル層が黄色や赤色に変色してしまうという問題が生じることを突き止めた。さらに、このような変色による着色を抑制するために、上記特定の組成のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の配合量を少なくすることも試みたが、結果、相溶化効果が低下しまい、目ヤニが発生したり、外観不良に対する改善が不充分になったりする等の問題が生じることを突き止めた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、リサイクル層の変色を抑制するとともに、目ヤニの発生を抑制することのできる積層体の製造方法およびそれにより得られる積層体の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、(A)エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物および(B)エチレン含量が70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる層と、(C)ポリオレフィン系樹脂層を備えた積層体の回収物を原料とし、これを溶融成形してなるリサイクル層を備えた積層体を製造する方法であって、上記溶融成形する回収物中の上記(B)の含有量を、上記(A)+(C)の合計量に対して0.001重量%以上0.3重量%未満に調整する積層体の製造方法を第1の要旨とする。
さらに、本発明は、上記第1の要旨である積層体の製造方法により製造されてなる、リサイクル層を少なくとも一層備えた積層体を第2の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、積層体の回収物をリサイクルしてリサイクル層を作製し、これを備えた積層体を製造する際のリサイクル層に生じる変色、およびリサイクル層形成時の目ヤニの発生等を抑制するための態様について鋭意検討した。その結果、上記回収物を溶融成形する際に、(B)エチレン含量が70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を添加して配合するのではなく、上記回収物である積層体を構成する層として、上記(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物および特定の(B)エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる層と、(C)ポリオレフィン系樹脂層を備えた積層体を回収してこれを原料とし、溶融成形してなるリサイクル層を作製する際に、上記溶融成形する回収物中の上記(B)の含有量を、上記(A)+(C)の合計量に対して0.001重量%以上0.3重量%未満に調整すると、得られるリサイクル層の変色を抑制し、かつリサイクル層形成時の目ヤニの発生をも抑制することが可能となることを見出し本発明に到達した。
このように、本発明は、(A)エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物および(B)エチレン含量が70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる層と、(C)ポリオレフィン系樹脂層を備えた積層体の回収物を原料とし、これを溶融成形してなるリサイクル層を備えた積層体を製造する方法であり、上記溶融成形する回収物中の上記(B)の含有量を、上記(A)+(C)の合計量に対して0.001重量%以上0.3重量%未満に調整してなるものである。このため、得られる積層体のリサイクル層の変色が抑制されるとともに、リサイクル層の溶融成形時の相分離異物(目ヤニ)の発生を抑制することができる。したがって、得られる積層体は、食品、薬品等の包装材料として特に有用である。
つぎに、本発明について詳細に説明する。
本発明の積層体の製造方法では、ある積層体を回収して、この回収物を原料とし、これを溶融成形することによりリサイクル層を形成して、新たに上記リサイクル層を備えた積層体を製造するものである。
上記回収物となる積層体(いわゆる、バージン品となる積層体)は、その構成として、少なくとも、(A)エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物および(B)エチレン含量が70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる層と、(C)ポリオレフィン系樹脂層を備えた構成の積層体であれば特に限定されるものではなく、積層体の層構成および層の総数や各層の厚み、また上記ポリオレフィン系樹脂層形成材料、さらにこれら各層を接着するための接着性樹脂層の種類等は限定されるものではない。
上記(C)ポリオレフィン系樹脂層形成材料となるポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン類、エチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等の脂肪族炭化水素系樹脂、またはこれらの原料であるオレフィンと、酢酸ビニル等のビニルエステル、アイオノマー、アクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル酸および、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体類等をあげることができる。なかでも、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)共重合体、ポリプロピレン(PP)等の脂肪族炭化水素系樹脂およびエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が、経済性や機械的特性の点から好ましい。特に、ポリプロピレン(PP)やエチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)共重合体の場合においてリサイクル層の変色が発生しやすく、本発明の効果が特に優れるという点から好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸をいう。
なお、上記ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(230℃、荷重2160g)は、通常、0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分程度のものである。上記MFRが小さ過ぎる場合も大き過ぎる場合も、混合時の(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の分散性不良により本発明の効果を充分に発現出来ないという傾向がみられる。
また、上記ポリオレフィン系樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の可塑剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、酸素吸収剤、アンチブロッキング剤等の添加剤が配合されていてもよく、さらに他のポリオレフィン系樹脂や熱可塑性樹脂がブレンドされていてもよい。
上記(A)エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、「EVOH」という)および(B)エチレン含量が70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、「ケン化EVA」という)からなる層形成材料のうち、上記(A)のEVOHとしては、エチレン含有量としては、通常、10〜60モル%であり、好ましくは15〜60モル%、特に好ましくは20〜50モル%である。すなわち、上記エチレン含量が少な過ぎる場合には、高湿時のガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に多過ぎる場合には、充分なガスバリア性が得られない傾向があるからである。
そして、酢酸ビニル成分のケン化度は、特に限定されず、通常、90モル%以上、さらには95モル%以上、特に99モル%以上のものが用いられる。ケン化度が少なすぎた場合には、ガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
また、(A)のEVOHのメルトフローレート(MFR)は、通常、0.5〜50g/10分(210℃、2160g荷重)が好ましく、さらには1〜35g/10分(210℃、2160g荷重)が好ましい。すなわち、MFRが少な過ぎる場合は、粘度が高くなり過ぎて溶融押し出しが困難となることがあり、逆に多過ぎる場合、製膜性が不安定となる傾向がみられるからである。
上記(A)のEVOHは、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することによって得られるものであり、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等により製造され、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行い得るものである。
また、上記(A)のEVOHには、本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合してあってもよく、上記エチレン性不飽和単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等があげられる。また、本発明の趣旨を損なわない範囲で、グリシジル化合物によるヒドロキシエトキシ化、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化等、後変性されても差し支えない。
さらに、本発明では、EVOHが下記の一般式(1)で表される構造単位、すなわち1,2−グリコール構造単位を含有するものであってもよい。上記構造単位を有する場合、この積層体のガスバリア性を保持したまま、この積層体の熱成形性(高延伸時の延伸性、真空圧空成形や深絞り成形などの2次加工性)や製膜安定性等が向上する傾向がある。なお、上記EVOH中の、一般式(1)で表される構造単位の含有量は、通常、0.1〜20モル%である。
Figure 2009056708
上記一般式(1)中の有機基としては特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、水酸基、エステル基、カルボキシル基、スルホン酸基や、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基等があげられ、これらはハロゲン基、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル類、カルボキシル基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
そして、式(1)中、R1 〜R3 は、通常、炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4のアルキル基または水素原子である。また、R4 〜R5 は、通常、炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4のアルキル基または水素原子であり、なかでも水素原子である。殊には、R1 〜R6 がすべて水素で、Xが単結合である。
また、一般式(1)で表わされる構造単位中のXは代表的には単結合であるが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよく、上記結合鎖としては特に限定されず、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2 O)m −、−(OCH2 m −、−(CH2 O)m CH2 −等のエーテル結合部位を含む構造、−CO−、−COCO−、−CO(CH2 m CO−、−CO(C6 4 )CO−等のカルボニル基を含む構造、−S−、−CS−、−SO−、−SO2 −等の硫黄原子を含む構造、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造、−HPO4 −等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造、−Si(OR)2 −、−OSi(OR)2 −、−OSi(OR)2 O−等の珪素原子を含む構造、−Ti(OR)2 −、−OTi(OR)2 −、−OTi(OR)2 O−等のチタン原子を含む構造、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子を含む構造等の金属原子を含む構造等があげられる(Rは各々独立して任意の置換基であり、特には水素原子、アルキル基である。またmは自然数であり、通常、1〜30、さらには1〜15、特には1〜10である。)。その中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で−CH2 OCH2 −、および炭素数1〜10のアルキル鎖であり、さらには炭素数1〜6のアルキル鎖、特には炭素数1のメチレンである。
このような共重合体は公知であり、例えば、特開2004−359965号公報記載の方法により製造することができる。
また、本発明に用いられるEVOHは、下記の一般式(2)で表される構造単位を含有するものであってもよく、上記構造単位を有する場合、この積層体のガスバリア性を保持したまま、さらに柔軟性や耐屈曲疲労性等が向上するため有用である。なお、EVOH中の一般式(2)で表される構造単位の含有量は、通常、0.1〜50モル%である。
Figure 2009056708
上記一般式(2)におけるR7 は、置換または未置換の炭素数1〜30のアルキレン基であり、好ましくは炭素数2〜15のアルキレン基であり、特には3〜10のアルキレン基である。上記アルキレン基は、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基等の置換基で置換されていてもよい。
このような共重合体は公知であり、例えば、特願2006−109435号公報記載の製造方法により製造することができる。
本発明では(A)EVOHそのものの各種物性を向上させる目的で、上記(A)のEVOHが公知のホウ素化合物、リン酸またはその金属塩、脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。上記ホウ素化合物としては、ホウ酸またはその金属塩、例えば、メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等のリチウム塩、メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等のナトリウム塩、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等のカリウム塩などのアルカリ金属塩、また、ホウ酸カルシウム等のカルシウム塩、オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等のマグネシウム塩、オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等のバリウム塩などのアルカリ土類金属塩、ホウ酸コバルト等のコバルト塩、ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等のマンガン塩、オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等のニッケル塩、ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等の銅塩、メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等のホウ酸銀類、四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等の亜鉛塩、オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等のカドミウム塩、メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等の鉛塩、ホウ酸ビスマス類等のビスマス塩、ホウ酸アルミニウム・カリウム等の複塩類などの他、メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のアンモニウム塩、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物類等があげられ、好適にはホウ砂、ホウ酸およびホウ酸のアルカリ金属塩であり、特に好ましくはホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)が用いられる。
また、上記リン酸またはその金属塩としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム等のカリウム塩などのアルカリ金属塩、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウム等のカルシウム塩、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸バリウム、リン酸水素バリウムなどのバリウム塩などのアルカリ土類金属塩、リン酸水素亜鉛、リン酸水素マンガン等の塩をあげることができ、好適にはリン酸およびそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩であり、特に好ましくはリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素マグネシウムが用いられる。さらに、脂肪酸塩としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の炭素数5以下の脂肪酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)やアルカリ土類塩(マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等)や亜鉛金属塩、マンガン金属塩等をあげることができ、好適には酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等の炭素数5以下の脂肪酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が用いられる。
上記成分の含有量としては、特に限定されないが、上記成分がホウ素化合物の場合は、EVOH中にホウ素換算で、通常、0.001〜1重量%とし、より好ましくは0.002〜0.5重量%、特に好ましくは0.002〜0.1重量%とすることである。上記成分がリン酸またはその化合物の場合は、EVOH中にリン酸根換算で、通常、0.0005〜0.1重量%とし、より好ましくは0.001〜0.05重量%、特に好ましくは0.002〜0.03重量%とすることである。また、上記成分が脂肪酸塩の場合は、EVOH中に金属換算で、通常、0.001〜0.05重量%とし、より好ましくは0.0015〜0.04重量%、特に好ましくは0.002〜0.03重量%とすることである。すなわち、上記成分が少な過ぎる場合、ロングラン成形性や耐層間剥離性が不充分となることがあり、上記成分が多過ぎる場合、得られる成形物の外観が悪化する傾向がある。そして、上記成分として、ホウ素化合物、リン酸またはその金属塩、脂肪酸塩の中から2種以上を併用する場合は、それぞれの含有量が上記の条件を満足することが好ましい。
これらの成分をEVOHに含有させるにあたっては、特に限定されず、公知の方法を採用することができ、例えば、(ア)含水率20〜80重量%のEVOHの多孔性析出物を、上記成分の水溶液と接触させて、上記成分を含有させてから乾燥する方法、(イ)EVOHの均一溶液(水/アルコール溶液等)に上記成分を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、ついで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法、(ウ)EVOHと上記成分を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法、(エ)EVOHの製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の酸類で中和して、残存する酢酸等の酸類や副生成する酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属塩の量を水洗処理により調整したりする方法等をあげることができる。なかでも、その効果をより顕著に得るためには、酸類やその金属塩の分散性に優れる(ア)、(イ)または(エ)の方法が好ましい。
さらに、本発明においては、上記(A)のEVOHに本発明の目的を阻害しない範囲において、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10, 000程度の低分子量ポリエチレン、または低分子量ポリプロピレン等)等の滑剤、無機塩(例えばハイドロタルサイト等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール等)、酸素吸収剤(例えば還元鉄粉類、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸類、ハイドロキノン等)、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤(例えばタルク微粒子等)、スリップ剤(例えば無定形シリカ等)、充填材(例えば無機フィラー等)、他樹脂(例えばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等)等を配合してもよい。
また、上記(A)のEVOHとして、異なる2種以上のEVOHを用いることも可能で、このときは、エチレン含有量が5モル%以上異なる、ケン化度が1モル%以上異なる、MFRの比が2以上である、これら特性の少なくとも一つを備えたEVOHのブレンド物を用いることにより、ガスバリア性や耐屈曲疲労性を保持したまま、さらに柔軟性、熱成形性(高延伸時の延伸性、真空圧空成形や深絞り成形等の2次加工性)、製膜安定性等が向上するので有用である。上記異なる2種以上のEVOHの製造方法は特に限定されず、例えばケン化前のEVAの各ペーストを混合後ケン化する方法、ケン化後の各EVOHのアルコールまたは水とアルコールの混合溶液を混合後ペレット化する方法、各EVOHペレットを混合後溶融混練する方法等があげられる。
上記(A)のEVOHとともに用いられる、(B)のケン化EVAは、(A)と同様にエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル成分を(部分的に)ケン化することによって得られるものであり、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等により製造され、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行い得るものである。
上記(B)ケン化EVA中のエチレン含量は、70モル%以上であるが、上限は通常98モル%であり、より好ましくは75〜95モル%、特には好ましくは80〜95モル%のものが用いられる。すなわち、エチレン含量が少な過ぎる場合、本発明の効果(目ヤニ抑制等)が不充分となる傾向にあり好ましくない。
上記(B)ケン化EVAとしては、その酢酸ビニル成分のケン化度が、通常、20モル%以上、より好ましくは40〜99.5モル%、特に好ましくは80〜99モル%のものが用いられる。すなわち、上記ケン化度が小さ過ぎる場合、本発明の効果(目ヤニ抑制等)が不充分となることがある。上記(B)ケン化EVAのメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2160g)は、通常、0.5〜100g/10分、より好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは2〜30g/10分であることが、本発明の効果に優れる点で好ましい。
そして、上記(A)EVOHおよび(B)ケン化EVAからなる層において、(A)EVOHに対する(B)ケン化EVAの添加量は、通常、1〜30重量%に設定するが、より好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは2〜8重量%である。すなわち、(B)ケン化EVAの添加量が少な過ぎると、本発明の効果(目ヤニ抑制等)が不充分となることがあり、(B)ケン化EVAの添加量が多過ぎると、充分なガスバリア性が得られなかったり得られる成形物の外観が悪化する傾向がみられるからである。
このように、上記積層体(バージン品)は、少なくとも、(C)ポリオレフィン系樹脂層と、(A)EVOHと(B)ケン化EVAからなる層を備えたものであるが、その層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができる。上記接着性樹脂層形成材料としては、種々のものを使用することができ、上記(C)ポリオレフィン系樹脂層の形成材料の種類によって適宜に設定され一概には言えないが、例えば、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(前述のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体をあげることができる。具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックまたはランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとしてあげられる。このときの、オレフィン系重合体に含有される不飽和カルボン酸またはその無水物の量は、通常、0.001〜3重量%であり、より好ましくは0.01〜1重量%、特に好ましくは0.03〜0.5重量%である。上記変性物中の変性量が少な過ぎる場合、層間接着性が不充分となることがあり、逆に変性物中の変性量が多過ぎる場合、接着性樹脂が架橋反応を起こし、成形性が悪くなる傾向がある。また、これらの接着性樹脂には、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、スチレン−水添ブタジエンブロック共重合体(SEBS)等のゴム・エラストマー成分、さらには他の熱可塑性樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
上記積層体の各層の厚みは、層構成、ポリオレフィン系樹脂の種類、用途や容器形態、要求される物性等により一概に言えないが、ポリオレフィン系樹脂層は、通常、5〜5000μm、より好ましくは30〜1000μm、EVOHおよびケン化EVAからなる層は、通常、5〜500μm、より好ましくは10〜200μm、接着性樹脂層は、通常、5〜400μm、より好ましくは10〜150μm程度の範囲から適宜選択することが好ましい。
本発明の積層体の製造方法では、上記回収物となる積層体(バージン品)を、好ましくは、粉砕して、粉砕物の組成(成分の含有量)を調整した後、再溶融してリサイクル層を形成し、このリサイクル層を備えた新たな積層体を製造するものである。そして、本発明では、上記回収物中の組成に関して、前記(B)ケン化EVAの含有量を、上記(A)EVOH+(C)ポリオレフィン系樹脂の合計量に対して0.001重量%以上0.3重量%未満に調整することを最大の特徴とする。より好ましくは0.01重量%以上0.3重量%未満であり、特に好ましくは0.05〜0.25重量%である。
そして、上記回収物を粉砕してなる粉砕物の組成を調整する際に、リサイクル層の外観や相溶性を良好にする目的で、公知の添加物を適宜添加使用してもよい。
上記公知の添加物としては、例えば、ハイドロタルサイト系固溶体、ハイドロタルサイト系化合物、高級脂肪酸金属塩等があげられる。
上記ハイドロタルサイト系固溶体としては、例えば、下記の一般式で表される化合物があげられる。
〔化3〕
[〔(M1 2+ y1(M2 2+ y21-x x 3+(OH)2 n- x/n・mH2 O]
〔式中、M1 2+ は、Mg ,Ca ,SrおよびBaからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属、M2 2+ は、Zn,Cd,PbおよびSnからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属、Mx 3+は3価金属、An-はn価のアニオン、x,y1 ,y2 ,mはそれぞれ0<x≦0.5、0.5<y1 <1、y1 +y2 =1、0≦m<2で示される正数〕
上記一般式において、M1 2+ としては、Mg ,Ca が好ましく、M2 2+ としては、Zn,Cdが好ましい。さらに、Mx 3+としてはAl,Bi,In,Sb,B,Ga,Ti等が例示できるが、Alが実用的である。また、An-としては、CO3 2- ,OH- ,HCO3 - ,サリチル酸イオン,クエン酸イオン,酒石酸イオン,NO3 - ,I- ,(OOC−COO)2-,ClO4-,CH3 COO- ,CO3 2- ,(OOCHC=CHCOO)2-,〔Fe( CN)64-があげられ、CO3 2- やOH- が有用である。
上記ハイドロタルサイト系固溶体の具体的実例としては、[Mg0.75Zn0.250.67Al0.33(OH)2(CO3 0.165 ・0.45H2 O、[Mg0.79Zn0.210.7 Al0.3 (OH)2(CO3 0.15、[Mg1/7 Ca3/7 Zn3/7 0.7 Al0.3 (OH)2(OOCHC=CHCOO)0.15・0. 41H2 O、[Mg6/7 Cd1/7 0.7 Al0.3 (OH)2(CH3 COO)0.3 ・0. 34H2 O、[Mg5/7 Pd2/70.7 Al0.30(OH)2(CO3 0.15・0. 52H2 O、[Mg0.74Zn0.260.68Al0.32(OH)2(CO3 0.16、[Mg0.56Zn0.440.68Al0.32(OH)2(CO3 0.16・0. 2H2 O、[Mg0.81Zn0.190.74Al0.26(OH)2(CO3 0.13、[Mg0.75Zn0.25]0.8Al0.20(OH)2(CO3 0.10・0. 16H2 O、[Mg0.71Zn0.290.7 Al0.30(OH)2(NO3 0.30、[Mg0.71Zn0.290.7 Al0.30(OH)2(OOCHC=CHCOO)0.15、[Mg0.14Ca0.57Zn0.280.7 Al0.30(OH)2.3・0. 25H2 O等があげられる。なかでも、[Mg0.75Zn0.250.67Al0.33(OH)2(CO3 0.165 ・0. 45H2 O、[Mg0.79Zn0.210.7 Al0.3 (OH)2(CO3 0.15、[Mg6/7 Cd1/7 0.7 Al0.3 (OH)2(CH3 COO)0.3 ・0. 34H2 O、[Mg5/7 Pd2/7 0.7 Al0.30(OH)2(CO3 0.15・0. 52H2 Oがロングラン成形性や相分離により発生する相分離異物(目ヤニ)の抑制効果を示して好適に使用される。
上記ハイドロタルサイト系化合物としては、例えば、下記の一般式で表される化合物があげられる。
〔化4〕
x Aly (OH) 2x+3y-2z(E)z ・aH2
〔式中、Mは、Mg,CaまたはZn、EはCO3 またはHPO4 であり、x,y,zは正数、aは0または正数〕
具体的には、Mg4.5 Al2 (OH)13CO3 ・3.5H2 O、Mg5 Al2 (OH)14CO3 ・4H2 O、Mg6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 O、Mg8 Al2 (OH)20CO3 ・5H2 O、Mg10Al2 (OH)222(CO3 2 ・4H2 O、Mg6 Al2 (OH)16HPO4 ・4H2 O、Ca6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 O、Zn6 Al6 (OH)16CO3 ・4H2 O等があげられる。また、これら化合物に限らず、例えば、Mg2 Al(OH)9 ・3H2 O中のOHの一部がCO3 またはHPO4 に置換されたような化学式に明確に示されないものや、さらには結晶水の除去されたもの(a=0)であっても同等の効果が期待できる。特に、これらのなかでも、MがMgで、EがCO3 である化合物が、ロングラン成形性や相分離により発生する相分離異物(目ヤニ)の抑制効果を示して好適に使用される。
上記高級脂肪酸金属塩としては、特に限定されず、通常、炭素数8以上(さらには炭素数12〜30、特に好ましくは炭素数12〜20)の有機酸の、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マンガン等の遷移金属塩などの金属塩をあげることができ、なかでもロングラン成形性や相分離により発生する相分離異物(目ヤニ)の抑制効果の点で、特には炭素数12〜20のアルカリ土類金属塩および遷移金属塩が好ましく、殊にはステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸のマグネシウム、カルシウム、亜鉛塩が好ましい。
そして、これら公知の添加物の中でも、上記ハイドロタルサイト系固溶体が本発明の効果(リサイクル層の変色抑制)に特に優れる点で好ましい。
本発明では、先に述べた、(A)EVOHおよび(B)ケン化EVAからなる層と、(C)ポリオレフィン系樹脂層を備えた積層体の屑や端部、不良品や、あるいは成形物を各種用途に使用した後のゴミ等の回収物を用いて再利用(スクラップリターンまたはリグラインド)するものであり、スクラップやバリが大量に発生するダイレクトブロー成形(連続式、アキュムレーター式)方法や、多層シートの二次加工成形(真空成形、圧空成形、真空圧空成形等)方法等に特に有用であり、上記成形方法とは、例えば、EVOHと熱可塑性樹脂を共押出して得られたパリソンを金型で挟んで空気を吹き込んでブロー成形して、ボトルやチューブを作製したり、任意の方法で得たEVOHと熱可塑性樹脂からなる多層シートを真空力や圧空力により絞り成形して、カップやトレイを作製したりする方法である。
上記(A)EVOHおよび(B)ケン化EVAからなる層と、(C)ポリオレフィン系樹脂層を備えた積層体の屑や端部、不良品や、あるいは成形物を各種用途に使用した後のゴミ等の回収物を再利用するに際しては、再び押出機等にて溶融成形に供する必要がある。この際、上記回収物は粉砕することが好ましい。
上記回収物の粉砕に際しては、公知の粉砕機を使用することにより行なうことができる。上記粉砕してなる回収物(粉砕品)の形状や粒径については特に限定されないが、その見掛け密度は、通常、0.25〜0.85g/ccであり、より好ましくは0.3〜0.7g/cc、特に好ましくは0.35〜0.6g/ccである。すなわち、上記見掛け密度が少な過ぎる場合では、リサイクル層中のEVOHの分散が不良となり、得られる成形品のリサイクル層の溶融成形性や機械的特性が低下することがあり、逆に多過ぎる場合、押出機での供給不良の発生によって得られる成形品のリサイクル層の溶融成形性が低下する傾向がみられるからである。
上記見掛け密度については、粉砕機の粉砕刃の形状、粉砕刃の回転数、粉砕の処理速度、使用するメッシュの目開きの大きさ等を任意に調整することにより、コントロールすることが可能である。なお、上記見かけ密度とは、JIS−K6891の「5.3見かけ密度」試験方法に準拠して測定される値である。
そして、本発明は、前述のように、(A)EVOHおよび(B)ケン化EVAからなる層と、(C)ポリオレフィン系樹脂層を備えた積層体の回収物を原料とし、好ましくは、回収物を粉砕して、粉砕物の組成を調整した後、これを再び溶融成形してなるリサイクル層を形成し、このリサイクル層を備えた新たな積層体を製造する方法であって、上記溶融成形する回収物中の上記(B)ケン化EVAの含有量を、上記(A)EVOH+(C)ポリオレフィン系樹脂の合計量に対して0.001重量%以上0.3重量%未満に調節する必要がある。より好ましくは、0.01重量%以上0.3重量%未満であり、特に好ましくは0.05〜0.25重量%である。すなわち、上記(B)ケン化EVAの含有量が少な過ぎる場合は、積層体粉砕物の溶融成形時のロングラン成形性の低下や相分離異物(目ヤニ)の発生等がみられ、逆に多過ぎる場合、リサイクル層の変色を抑制するという本発明の効果を得ることができない。
上記(B)ケン化EVAの含有量については、積層体(バージン品)中のケン化EVAの含有量に依存するものであり、例えば、積層体(バージン品)中のケン化EVAの含有量を調整したり、(A)EVOHおよび(B)ケン化EVAからなる層および(C)ポリオレフィン系樹脂層の厚み比を適宜調整することにより上記範囲に設定される。さらに、積層体(バージン品)中の上記(B)ケン化EVAの含有量が0.3重量%以上となる場合は、ポリオレフィン系樹脂を適当量混合して、(B)ケン化EVAの含有量を0.3重量%未満に調整する方法があげられる。このように、上記(B)ケン化EVAの含有量の調整方法としては、バージン品の回収物中のみで上記含有量となるように積層体(バージン品)の構成を調整する方法に加えて、回収物を粉砕し、これに(B)ケン化EVA含有量調整の目的でさらにポリオレフィン系樹脂を添加し、(B)ケン化EVAの含有量を上記範囲内となるよう調整する方法があげられる。なお、(B)ケン化EVAの含有量の調整に際して、ポリオレフィン系樹脂をさらに添加する方法以外にEVOHを新たに混合することが考えられるが、コスト等を考慮した場合、一般的には、EVOHをさらに追加し混合するという方法は採られず、通常、上記ポリオレフィン系樹脂をさらに添加する方法が採用される。
さらに、上記(A)EVOHと(C)ポリオレフィン系樹脂の混合重量比〔(A)/(C)〕は、通常、(A)/(C)=0.1/99.9〜30/70とし、より好ましくは(A)/(C)=0.3/99.7〜25/75、特に好ましくは(A)/(C)=0.5/99.5〜20/80である。すなわち、上記混合重量比において、(A)EVOHの混合重量比率が高くなり過ぎると、得られる成形物の外観が悪化したり機械的特性が低下する傾向にあり好ましくなく、(A)EVOHの混合重量比率が低くなり過ぎると、リサイクル層の変色や目ヤニ(相分離異物)といった問題が発生しないことがあり、その改善の必要性に乏しくなる。
このようにして、積層体(バージン品)の粉砕物が得られるのであるが、本発明においては、上記粉砕物に前述のハイドロタルサイト系固溶体やハイドロタルサイト系化合物,高級脂肪酸金属塩等他の添加剤(リグラインド助剤)を適宜配合して溶融成形するのである。上記粉砕物に他の添加剤(リグラインド助剤)を配合するに当たっては、ロッキングミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、ラインミキサー等の公知の混合装置を用いて配合させることができる。上記粉砕物と他の添加剤(リグラインド助剤)は、直接成形品用の押出機に供給することもできるし、事前に1軸押出機や2軸押出機等の溶融混練機を用いて再ペレット化を行ってから、成形品用の押出機に供給することも可能である。
上記回収物を用いての新たな層構造であるリサイクル層を備えた積層体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、その積層方法としては、例えば、他のポリマーからなるフィルム、シート等に、上記他の添加剤を配合した粉砕品を溶融押出してラミネートする方法、逆に他の添加剤を配合した粉砕品からなる基材に他のポリマーを溶融押出ラミネートする方法、他の添加剤を配合した粉砕品と他のポリマーとを共押出する方法、他の添加剤を配合した粉砕品からなる層と他のポリマーからなる層とを、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等があげられる。上記の溶融押出時の溶融成形温度は、通常、150〜300℃の範囲から適宜選択される。
上記リサイクル層を備えた積層体は、そのまま各種形状のものに使用されるが、さらにこの積層体の物性を改善したり目的とする任意の容器形状に成形するためには、加熱延伸処理を施してもよい。ここで加熱延伸処理とは、熱的に均一に加熱されたフィルム、シート、パリソン状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブロー等により、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、フィルム状に均一に成形する操作を意味する。
また、上記延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等があげられる。そして、二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。さらに、延伸温度としては、通常、60〜170℃、より好ましくは80〜160℃程度の範囲から適宜選択される。そして、上記延伸については、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、可能な限り高倍率の延伸を行なった方が物性的に良好であり、延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラや偏肉、デラミ等の生じない、ガスバリア性に優れた延伸成形物が得られる。
得られる積層体の形状としては任意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。また、得られる積層体は、必要に応じて、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液または溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
なお、リサイクル層を形成するために使用する回収物(積層体)中に、リサイクル層を有していてもよく、上記回収物を使用してなるリサイクル層を少なくとも一層有する積層体は、回収物と同じ樹脂を原料として同じ方法により成形することが可能である。すなわち、回収物から得られたリサイクル層形成材料を用い、リサイクル層を少なくとも一層有する積層体(再生品)を作製し、その積層体(再生品)の回収物を、再び積層体のリサイクル層形成材料に用いてもよい(再々生品)。また、これに限定するものではなく、(1)異なる複数種のポリオレフィン系樹脂や異なる複数種のEVOH層を有する積層体の回収物、および、異なる複数種の積層体の回収物の少なくとも一方を、同一のリサイクル層形成材料として用いること、(2)回収物を、この回収物に含まれるポリオレフィン系樹脂およびEVOHとは異なる種類のポリオレフィン系樹脂およびEVOHを有する積層体のリサイクル層形成材料として用いること、等も可能である。そして、新たに作製された積層体の、リサイクル層以外の他の層は、前述の各層、ポリオレフィン系樹脂(PO)層、EVOH層、接着性樹脂層等である。
上記ポリオレフィン系樹脂(PO)層としては、前記(C)ポリオレフィン系樹脂層形成材料と同様のものが用いられる。
また、上記EVOH層としては、前記(A)エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)および(B)エチレン含量が70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(ケン化EVA)からなる層形成材料と同様のものが用いられる。
そして、上記接着性樹脂層としては、先に述べたと同様の接着性樹脂が用いられる。
さらに、本発明の積層体の製造方法により得られる積層体の各層には、成形加工性、物性等の向上のために酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、乾燥剤、酸素吸収剤、無機・有機充填剤等を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。
本発明の積層体の製造方法により得られる積層体としては、基本に、ポリオレフィン系樹脂(PO)層とEVOH層とリサイクル(Re)層を備えた層構成であれば特に限定するものではない。具体的には、上記ポリオレフィン系樹脂(PO)層とEVOH層とリサイクル(Re)層とともに、接着性樹脂(AD)層を備えた、例えば、つぎのような層構成があげられる。すなわち、PO層/Re層/AD層/EVOH層、PO層/Re層/AD層/EVOH層/AD層/PO層、PO層/Re層/AD層/EVOH層/AD層/Re層/PO層や、さらにはRe層/EVOH層、Re層/AD層/EVOH層、Re層/AD層/EVOH層/AD層/EVOH層、Re層/AD層/EVOH層/AD層/PO層、Re層/AD層/EVOH層/AD層/Re層/PO層、PO層/AD層/EVOH層/Re層/EVOH層/AD層/PO層等があげられる。
上記積層体の各層の厚みは、層構成、ポリオレフィン系樹脂の種類、用途や容器形態、要求される物性等により一概に言えないが、ポリオレフィン系樹脂(PO)層は、通常、5〜5000μm、より好ましくは30〜1000μm、EVOH層は、通常、5〜500μm、より好ましくは10〜200μm、接着性樹脂(AD)層は、通常、5〜400μm、より好ましくは10〜150μm、リサイクル(Re)層は、通常、5〜5000μm、より好ましくは30〜1000μm程度の範囲から適宜選択することが好ましい。また、リサイクル層/ポリオレフィン系樹脂(PO)層の厚み比率は、通常、1/5〜10/1であり、好ましくは1/2〜5/1である。さらに、リサイクル層/EVOH層の厚み比率は、通常、1/1〜100/1であり、好ましくは5/1〜20/1である。
上記積層体は、シートやフィルム状だけでなく、前述の共押出成形法、共射出成形法、共押出インフレ成形法やブロー成形法等により、パイプ・チューブ状やタンク・ボトル等の容器等に成形することができ、さらには上記積層体を、通常、60〜170℃程度に再度加熱して、ブロー延伸法や絞り成形法(真空成形、圧空成形、真空圧空成形等)等により延伸して、ボトル、チューブ、カップ、トレイ等の容器等に成形することも可能である。また、得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液または溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行なうことができる。
このようにして得られた積層体は、上記再生品、再々生品を問わず、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料等各種の容器として有用であるが、特に、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、味噌、わさび、からし、焼肉等のたれ等の半固形状食品・調味料、サラダ油、みりん、清酒、ビール、ワイン、ジュース、紅茶、スポーツドリンク、ミネラルウォーター、牛乳等の液体状飲料・調味料用のボトル状容器やチューブ状容器、フルーツ、ゼリー、プリン、ヨーグルト、マヨネーズ、味噌、加工米、調理済み食品等の半固形状食品・調味料用のカップ状容器や、生肉、畜肉加工品(ハム、ベーコン、ウインナー等)用のトレー状容器の用途に有用である。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断わりのない限り、重量基準を意味する。
下記の実施例においては、回収物としての積層体を原料組成とするものではないが、積層体の各構成成分を積層体と同様の割合となるよう配合してなるものを出発原料(モデル組成物)としており、上記構成成分からなる積層体を用いた場合と同等の評価および効果が得られるものである。
〔実施例1〕
予め、二軸押出機にて(A)EVOH〔エチレン含量32モル%、ケン化度99.6モル%、MFR(210℃、荷重2160g)3.5g/10分、ホウ酸をホウ素換算で0.015%、酢酸ナトリウムをナトリウム換算で0.015%、リン酸二水素カルシウムをリン酸根換算で0.005%含有と、エチレン含量44モル%、ケン化度97.0モル%、MFR(210℃、荷重2160g)3.5g/10分、ホウ酸をホウ素換算で0.01%、酢酸ナトリウムをナトリウム換算で0.01%含有の、75/25重量比の混合物〕に、(B)ケン化EVA〔東ソー社製、メルセンH0051K、エチレン含量89モル%、ケン化度99モル%、MFR(190℃、荷重2160g)6.5g/10分〕を、(A)EVOH/(B)ケン化EVA=95/5(重量比)にて溶融混練することにより、ペレット状のEVOH(3−1)を調製した。
つぎに、(C)ポリプロピレン〔日本ポリプロ社製、ノバテックPP EA9、密度0.90、MFR(230℃、荷重2160g)0.5g/10分〕ペレット89部、接着樹脂〔三菱化学社製、モディックAP P604V、密度0.90、MFR(230℃、荷重2160g)3.2g/10分〕ペレット2部、および、上記EVOH(3−1)ペレット5部〔組成比率:(A)EVOH4.75部,(B)ケン化EVA0.25部〕をドライブレンドし、原料となるEVOH積層体回収物のモデル組成物を作製した。
一方、二軸押出機にて(C)ポリエチレン〔日本ポリエチレン社製、ノバテックLD
LF320H、MFR(190℃、荷重2160g)1.1g/10分〕90部、ハイドロタルサイト系固溶体(協和化学工業社製、ZHT−4A)5部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂社製、ニッサンカルシウムステアレートS)5部を溶融混練してリグラインド助剤(4−1)を作製した。
そして、前記EVOH積層体回収物のモデル組成物に、得られたリグラインド助剤(4−1)4部をドライブレンドして、単軸押出機にて下記の条件にて溶融押出を繰り返し5回行ない、操作中にダイリップに発生した相分離異物(目ヤニ)を採取して、その積算重量にて評価した。
〔溶融押出条件〕
押出機:40mmD,L/D=28
スクリュー:フルフライトタイプ,圧縮比=3.5
スクリーンパック:90/120/90メッシュ
ダイ:3.5mm径×3穴,ストランドダイス
設定温度:C1/C2/C3/C4/A/D=180℃/200℃/220℃/230℃/230℃/230℃
スクリュー回転数:40rpm
配合重量比率:(ポリプロピレン)/(接着樹脂)/(EVOH)/(リグラインド助剤)=89/2/5/4
なお、上記配合条件において、(B)ケン化EVAの含有量は、(C)PO〔ポリプロピレン+ポリエチレン+接着樹脂(変性PO)〕および(A)EVOHの合計量に対して0.25重量%に設定した。
結果、ダイリップに発生した相分離異物(目ヤニ)の5回操作中の積算重量は0.072gと少なかった。また、作製したペレットの着色度合いを目視により観察した結果、着色(ピンキング)も認められなかった。
〔実施例2〜3、比較例1〕
EVOH積層体回収物のモデル組成物となる、(C)ポリプロピレンの使用量、(A)EVOHの使用量、上記(A)EVOHに予め配合するケン化EVAの使用量、接着樹脂の使用量をそれぞれ後記の表1に示す割合に設定した。また、リグラインド助剤の配合成分である、ポリエチレンの使用量、ケン化EVAの使用量、ハイドロタルサイト系固溶体の使用量、高級脂肪酸金属塩であるステアリン酸カルシウムの使用量をそれぞれ後記の表1に示す割合に設定した。それ以外は実施例1と同様にして、EVOH積層体回収物のモデル組成物に、リグラインド助剤をドライブレンドして、単軸押出機にて前記条件にて溶融押出を繰り返し5回行ない、操作中にダイリップに発生した相分離異物(目ヤニ)を採取して、その積算重量にて評価した。
なお、上記配合条件において、(C)PO〔ポリプロピレン+ポリエチレン+接着樹脂(変性PO)〕および(A)EVOHの合計量に対する(B)ケン化EVAの含有量を後記の表1に示した。
そして、上記ダイリップに発生した相分離異物(目ヤニ)の5回操作中の積算重量を後記の表1に示すとともに、作製したペレットの着色度合いを目視により観察した結果を同表に示した。
〔比較例2〕
(ケン化EVAの事前ブレンド無し)
ケン化EVAの事前ブレンド無しの、EVOH(実施例1に同じ)を用いてEVOH積層体回収物のモデル組成物とした。
また、リグラインド助剤として、前記リグラインド助剤(4−1)に代えて、二軸押出機にてポリエチレン〔日本ポリエチレン社製、ノバテックLD LF320H、MFR(190℃、荷重2160g)1.1g/10分〕70部、ケン化EVA〔東ソー社製、メルセンH0051K、エチレン含量89モル%、ケン化度99モル%、MFR(190℃、荷重2160g)6.5g/10分〕20部、ハイドロタルサイト系固溶体(協和化学工業社製、ZHT−4A)5部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂社製、ニッサンカルシウムステアレートS)5部を溶融混練してなるリグラインド助剤を作製し、これを用いた。
それ以外は実施例1と同様にしてEVOH積層体回収物のモデル組成物に、リグラインド助剤をドライブレンドして、単軸押出機にて前記条件にて溶融押出を繰り返し5回行ない、操作中にダイリップに発生した相分離異物(目ヤニ)を採取して、その積算重量にて評価した。
上記配合条件において、(B)ケン化EVAの含有量は、(C)PO〔ポリプロピレン+ポリエチレン+接着樹脂(変性PO)〕および(A)EVOHの合計量に対して0.81重量%に設定した。ただし、EVOH積層体回収物のモデル組成物において、ケン化EVAの事前ブレンドは行なわなかった。
そして、上記ダイリップに発生した相分離異物(目ヤニ)の5回操作中の積算重量は0.070gと少なかったが、顕著な赤い着色(ピンキング)が認められた。
〔比較例3〕
(ケン化EVAの事前ブレンド無し)
ケン化EVAの事前ブレンド無しの、EVOH〔実施例1に同じを用いてEVOH積層体回収物のモデル組成物とした。
また、リグラインド助剤として、リグラインド助剤(4−1)にかえて、二軸押出機にてポリエチレン〔日本ポリエチレン社製、ノバテックLD LF320H、MFR(190℃、荷重2160g)1.1g/10分〕85部、ケン化EVA〔東ソー社製、メルセンH0051K、エチレン含量89モル%、ケン化度99モル%、MFR(190℃、荷重2160g)6.5g/10分〕5部、ハイドロタルサイト系固溶体(協和化学工業社製、ZHT−4A)5部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂社製、ニッサンカルシウムステアレートS)5部を溶融混練してリグラインド助剤を作製した。
それ以外は実施例1と同様にしてEVOH積層体回収物のモデル組成物に、リグラインド助剤をドライブレンドして、単軸押出機にて前記条件にて溶融押出を繰り返し5回行ない、操作中にダイリップに発生した相分離異物(目ヤニ)を採取して、その積算重量にて評価した。
上記配合条件において、(B)ケン化EVAの含有量は、(C)PO〔ポリプロピレン+ポリエチレン+接着樹脂(変性PO)〕および(A)EVOHの合計量に対して0.20重量%に設定した。ただし、EVOH積層体回収物のモデル組成物において、ケン化EVAの事前ブレンドは行なわなかった。
そして、上記ダイリップに発生した相分離異物(目ヤニ)の5回操作中の積算重量は0.229gと非常に多かった。一方、着色(ピンキング)に関しては認められなかった。
Figure 2009056708
上記結果から、EVOH積層体回収物のモデル組成物として、ケン化EVAを事前にブレンドし、かつその使用量がPO〔ポリプロピレン+ポリエチレン+接着樹脂(変性PO)〕およびEVOHの合計量に対して特定の範囲となる実施例は、いずれも相分離異物(目ヤニ)の5回操作中の積算重量が少なく、かつ着色(ピンキング)も認められなかった。このことから、積層体の回収物を用いて再生してなるリサイクル層の変色の抑制、および、目ヤニ発生の抑制の双方に関して優れた効果を奏することがわかる。
これに対して、EVOH積層体回収物のモデル組成物として、ケン化EVAを事前にブレンドし、かつその使用量がPO〔ポリプロピレン+ポリエチレン+接着樹脂(変性PO)〕およびEVOHの合計量に対して特定の範囲を超える比較例1は、相分離異物(目ヤニ)の5回操作中の積算重量は少なかったが、顕著な赤い着色(ピンキング)が認められた。一方、EVOH積層体回収物のモデル組成物として、事前にケン化EVAをブレンドしなかった比較例のうち、ケン化EVAの含有量が、PO〔ポリプロピレン+ポリエチレン+接着樹脂(変性PO)〕およびEVOHの合計量に対して非常に多く設定された比較例2は、前述のとおり、相分離異物(目ヤニ)の5回操作中の積算重量は少なかったが、顕著な赤い着色(ピンキング)が認められた。また、ケン化EVAの含有量が、PO〔ポリプロピレン+ポリエチレン+接着樹脂(変性PO)〕およびEVOHの合計量に対して特定範囲となる比較例3(ただしケン化EVAの事前ブレンド無し)は、前述のとおり、着色(ピンキング)は認められなかったが、相分離異物(目ヤニ)の5回操作中の積算重量が非常に多かった。
本発明の積層体の製造方法では、EVOH層およびポリオレフィン層を備えた積層体製品の製造時に発生する製品屑や端部、不良品、あるいは各種用途に使用した後のゴミ等を回収して溶融成形し再利用する際の、リサイクル層(リグラインド層)の変色の抑制、ならびに製造時の目ヤニ(相分離異物)発生が抑制された積層体を製造することができる。したがって、このようなリサイクル層を層構成の一部とする積層体は、各種の容器として有用であり、なかでも食品、薬品等の容器材料として特に有用である。

Claims (2)

  1. (A)エチレン含量が10〜60モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物および(B)エチレン含量が70モル%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物からなる層と、(C)ポリオレフィン系樹脂層を備えた積層体の回収物を原料とし、これを溶融成形してなるリサイクル層を備えた積層体を製造する方法であって、上記溶融成形する回収物中の上記(B)の含有量を、上記(A)+(C)の合計量に対して0.001重量%以上0.3重量%未満に調整することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 請求項1記載の積層体の製造方法により製造されてなる、リサイクル層を少なくとも一層備えたことを特徴とする積層体。
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