JP2023160807A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023160807A
JP2023160807A JP2023070089A JP2023070089A JP2023160807A JP 2023160807 A JP2023160807 A JP 2023160807A JP 2023070089 A JP2023070089 A JP 2023070089A JP 2023070089 A JP2023070089 A JP 2023070089A JP 2023160807 A JP2023160807 A JP 2023160807A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
pva
mixture
layer
polyolefin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023070089A
Other languages
English (en)
Inventor
友也 深町
Tomoya Fukamachi
雅彦 谷口
Masahiko Taniguchi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Publication of JP2023160807A publication Critical patent/JP2023160807A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、リサイクル性に優れた、ポリオレフィン系樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂を含む樹脂組成物の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)、ポリビニルアルコール系樹脂(C)及び樹脂混合物(D)を含有し、前記樹脂混合物(D)が主成分として融点が90℃以下の樹脂を含む、樹脂組成物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。
従来、包装用材料としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などによる樹脂フィルムが用いられている。飲食品、医薬品、化学薬品など、酸素によって品質が劣化するような物品の包装材としては、上記樹脂の単体フィルムでは充分な酸素ガスバリア性が得られないため、酸素ガスバリア性を有する材料をコーティング、ラミネート、共押出成形などによって複合した積層体が広く用いられている。
このような積層体として、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」とも称する。)とポリオレフィン系樹脂の共押出成形による多層フィルムが用いられている(特許文献1)。
特許第4883281号公報
近年、包装用材料の環境負荷低減のため、包装用材料をリサイクルすることが行われている。しかし、ポリオレフィン系樹脂とPVA系樹脂は相溶性が悪いため、これらの混合物の押出機におけるフィード性が悪い、ダイリップに堆積する相分離により発生する排斥物(以下、「目ヤニ」とも称する。)の量が多い等の問題がある。このため、これらの混合物の端材をリサイクルする適切な手法が存在しなかった。
そこで、本発明は、リサイクル性に優れた、ポリオレフィン系樹脂及びPVA系樹脂を含む樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、ポリオレフィン系樹脂、接着性樹脂及びPVA系樹脂の混合物に、融点が90℃以下の樹脂を主成分として含む樹脂混合物を加えることで、樹脂組成物を繰り返し押出成形した際のフィード性に優れ、ダイリップの目ヤニ堆積が低減され、スクリュー表面への樹脂劣化物の付着性の低減を実現する樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。さらにこの樹脂組成物によって得られる単層フィルムは、フィルム外観に優れ、PVA系樹脂の分散性が良いことが判明した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
本発明の態様1は、ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)、ポリビニルアルコール系樹脂(C)及び樹脂混合物(D)を含有し、前記樹脂混合物(D)が主成分として融点が90℃以下の樹脂を含む、樹脂組成物に関する。
本発明の態様2は、態様1の樹脂組成物において、前記樹脂混合物(D)が、エチレン酢酸ビニル系共重合体(i)及びエチレン含有量70mol%以上のエチレン酢酸ビニル系共重合体ケン化物(ii)を含む樹脂組成物に関する。
本発明の態様3は、態様1又は態様2の樹脂組成物において、前記ポリオレフィン系樹脂(A)がポリプロピレンを含む樹脂組成物に関する。
本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つの樹脂組成物において、前記接着性樹脂(B)が変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物に関する。
本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの樹脂組成物において、前記ポリビニルアルコール系樹脂(C)が変性ポリビニルアルコールを含む樹脂組成物に関する。
本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つの樹脂組成物において、前記樹脂混合物(D)がハイドロタルサイト類または高級脂肪酸金属塩を含む樹脂組成物に関する。
本発明の態様7は、ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)及びポリビニルアルコール系樹脂(C)を含む混合物に、融点が90℃以下の樹脂を主成分として含む樹脂混合物(D)を加える、成形物の製造方法に関する。
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物を繰り返し押出成形した際の優れたフィード性、ダイリップの目ヤニ堆積の低減、スクリュー表面への樹脂劣化物の付着性の低減を示す。また、本発明の樹脂組成物によって得られるフィルムは、フィルム外観に優れ、PVA系樹脂の分散性がよい。これより、本発明の樹脂組成物は、リサイクル性に優れるという利点がある。
図1は、比較例1で作製したフィルムの幅方向中央部の断面に希ヨードチンキを微量塗布してPVA部分を着色した後に顕微鏡にて観察した写真である。 図2は、実施例1で作製したフィルムの幅方向中央部の断面に希ヨードチンキを微量塗布してPVA部分を着色した後に顕微鏡にて観察した写真である。
以下、本発明の樹脂組成物について詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
なお、本明細書において、特に説明のない場合、「部」は「質量部」を表す。
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)、PVA系樹脂(C)及び樹脂混合物(D)を含有し、前記樹脂混合物(D)が主成分として融点が90℃以下の樹脂を含む。上記主成分とは、樹脂混合物(D)に最も多く含まれる成分をいう。
本発明の樹脂組成物中に上記樹脂混合物(D)を含有することで、樹脂混合物(D)がポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)より先に溶融し、押出機のスクリュー上に樹脂混合物(D)の皮膜ができ、また溶融状態の樹脂混合物(D)がポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)の間に入り込み、樹脂混合物(D)がポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)に隣接することでポリオレフィン系樹脂(A)に対するPVA系樹脂(C)の分散性が向上しうる。これにより繰り返し押出成形する際のフィード性が向上し、ダイリップへの目ヤニの堆積を抑制し、スクリュー表面への樹脂劣化物の付着性を低減できるものと想定される。
なお、樹脂組成物中、上記ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)及びPVA系樹脂(C)は、それぞれ互いに異なる樹脂として含有される。
本発明の樹脂組成物における、ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)、PVA系樹脂(C)及び樹脂混合物(D)の含有比率は、質量比で、それぞれ70~97:1~20:1~20:1~20が好ましく、それぞれ80~94:2~10:2~10:2~10がより好ましい。この含有比率であることで、目ヤニ抑制効果が向上し、リサイクル性が優れるという利点がある。
[ポリオレフィン系樹脂(A)]
ポリオレフィン系樹脂(A)としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン-プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン(炭素数4~20のα-オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものやこれらのブレンド物などの広義のポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。
なかでも、ポリオレフィン系樹脂(A)としては、経済性や機械特性の観点から、ポリプロピレンまたはポリエチレンが好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。
ポリエチレンとしては、密度0.86~0.95g/cmのエチレン-α-オレフィン共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく用いられ、密度が上記範囲より小さいときは、積層包装材の機械的諸物性が不足したり、ブロッキングが発生したりする。逆に、大きいときは、耐屈曲疲労性や耐振動疲労性等が不充分となることがあり好ましくない。尚、ここで言う密度とは、20℃においてJIS K6760によって測定される値であり、エチレン-α-オレフィンとは、エチレンとブテン-1,ペンテン-1,4-メチルペンテン-1,ヘキセン-1,オクテン-1等の炭素数18以下の共重合物である。これらの中でも炭素数が4~8のオレフィンを用いたエチレン-α-オレフィン共重合体が好適に用いられる。
上記の直鎖状低密度ポリエチレンにおいては、更に、シングルサイト触媒の存在下に製造されたエチレン-α-オレフィン共重合体であることが好ましい。シングルサイト触媒とは、現行のチーグラー触媒やフィリップス触媒の活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一(シングルサイト)である特徴を有する触媒のことであり、代表的なものとしてメタロセン系触媒等が挙げられる。具体的な商品名としては、『カーネル』(日本ポリケム社製)、『エボリュー』(三井化学社製)、『エグザクト』(エクソンケミカル社製)、『アフィニティー』(ダウケミカル社製)などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂(A)の融点は、好ましくは100~190℃、さらに好ましくは120~180℃、特に好ましくは140~170℃である。かかる融点はJIS K7121の示差走査熱量測定(以下、DSCと略記する。)によって測定したものである。
ポリオレフィン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(230℃、荷重2160g)は、好ましくは0.1~50g/10分であり、さらには0.5~30g/10分程度のものが好ましい。
[接着性樹脂(B)]
接着性樹脂(B)としては、公知のものを使用すればよい。かかる接着性樹脂は適宜選択すればよいが、代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系樹脂を挙げることができる。中でも、接着性樹脂として、変性オレフィン系樹脂が好ましく、無水マレイン酸変性ポリオレフィンがより好ましく、特に無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィンが好ましい。
無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-酢酸ビニル共重合体等であり、これらから選ばれた1種または2種以上の混合物が好ましい。また、これらの接着性樹脂には、エチレン-ビニルエステル系共重合体ケン化物、ポリイソブチレン、エチレン-プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはポリオレフィン系樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり、有用である。
接着性樹脂(B)の融点は、好ましくは100~190℃、さらに好ましくは120~180℃、特に好ましくは140~170℃である。かかる融点はJIS K7121のDSCによって測定したものである。
[ポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂)(C)]
一般的に、PVA系樹脂は、ビニルエステル系単量体の単独重合体、またはビニルエステル系単量体と他の単量体との共重合体(以降、これらを「ビニルエステル系重合体」とも称する。)を、アルカリ触媒等を用いてケン化して得られる樹脂である。
PVA系樹脂(C)としては、押出成形性の観点から、変性PVAを含むことが好ましく、変性PVA系樹脂であることが好ましい。変性PVA系樹脂とは、ビニルエステル系化合物を重合して得られるポリビニルエステル系樹脂をケン化して得られるビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂に対して、共重合や後反応などで変性基を導入した樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とケン化されずに残存したビニルエステル構造単位に加え、共重合による不飽和単量体構造単位もしくは後反応による構造体単位から構成される。
上記ビニルエステル系化合物としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられるが、酢酸ビニルを用いることが好ましい。ビニルエステル系化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
共重合による変性PVA系樹脂(共重合変性PVA系樹脂)としては、ビニルエステル系モノマーと、ビニルエステル系モノマーと共重合可能な不飽和単量体として、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1-(メタ)アクリルアミド-1,1-ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類及びそのアシル化物などの誘導体等との共重合により得られるものなどが挙げられる。
また、後反応による変性PVA系樹脂(後変性PVA系樹脂)としては、例えば、ジケテンとの反応によるアセトアセチル基を有するもの、エチレンオキサイドとの反応によるポリアルキレンオキサイド基を有するもの、エポキシ化合物等との反応によるヒドロキシアルキル基が有するもの、あるいは各種官能基を有するアルデヒド化合物などを、エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化等によってPVA樹脂と反応させて得られたものなどを挙げることができる。
また、変性PVA系樹脂として、1,2-ジオール構造を含有するPVA樹脂が好ましく、下記一般式(1)で示される1,2-ジオール構造単位を有するPVA樹脂がさらに好ましい。一般式(1)におけるR、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を示すものである。
Figure 2023160807000001
特に、一般式(1)で表わされる1,2-ジオール構造単位中のR~R、及びR~Rがすべて水素原子であり、Xが単結合であるものが最も好ましく、下記一般式(1’)で表わされる構造単位を有するPVA系樹脂が好適に用いられる。
Figure 2023160807000002
なお、かかる一般式(1)で表わされる構造単位中のR~R、及びR~Rは、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば炭素数1~4のアルキル基であってもよく、その炭素数1~4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、かかる炭素数1~4のアルキル基は、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の官能基を有していてもよい。
また、一般式(1)で表わされる1,2-ジオール構造単位中のXは熱安定性の点や高温下や酸性条件下での安定性の点で単結合であるものが最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよく、かかる結合鎖としては、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい)の他、-O-、-(CHO)-、-(OCH-、-(CHO)CH-、-CO-、-COCO-、-CO(CHCO-、-CO(C)CO-、-S-、-CS-、-SO-、-SO-、-NR-、-CONR-、-NRCO-、-CSNR-、-NRCS-、-NRNR-、-HPO-、-Si(OR)-、-OSi(OR)-、-OSi(OR)O-、-Ti(OR)-、-OTi(OR)-、-OTi(OR)O-、-Al(OR)-、-OAl(OR)-、-OAl(OR)O-、等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、またはアルキル基が好ましく、またmは自然数である)が挙げられる。中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で炭素数6以下のアルキレン基、特にメチレン基、あるいは-CHOCH-が好ましい。
1,2-ジオール構造を含有するPVA樹脂としては、例えば、Nichigo G-PolymerTM(三菱ケミカル株式会社製)等があげられる。Nichigo G-PolymerTMは、例えば、日本国特開2015―143356号公報の段落〔0026〕~〔0034〕に記載の方法で製造することができる。
1,2-ジオール構造を含有するPVA樹脂中の1,2-ジオール構造単位の含有率は、PVA系樹脂を完全にケン化したもののH-NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができ、具体的には1,2-ジオール単位中の水酸基プロトン、メチンプロトン、およびメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトンなどに由来するピーク面積から算出すればよい。
変性PVA系樹脂の変性量は、1~20モル%であることが好ましく、特に好ましくは2~10モル%、更に好ましくは3~8モル%である。変性量が1モル%以上であることで易押出成形性という利点があり、変性量が高過ぎると金属密着性が向上し、溶融成形時、流れ性が悪くなり、滞留等による熱劣化が生じやすくなる。
上記、ビニルエステル系化合物と、ビニルエステル系化合物と共重合可能な不飽和単量体との共重合方法としては、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等、公知の重合方法を任意に用いることができるが、通常、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合法により行われる。
重合触媒としては、重合方法に応じて、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系触媒、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物触媒等の公知の重合触媒を適宜選択することができる。又、重合の反応温度は50℃~沸点程度の範囲から選択される。
ケン化は公知の方法で行うことができ、通常、得られた共重合体をアルコールに溶解してケン化触媒の存在下で行われる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコール中の共重合体の濃度は、溶解率の観点から20~50質量%の範囲から選択される。
ケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることができ、酸触媒を用いることも可能である。ケン化触媒の使用量はビニルエステル系化合物に対して1~100ミリモル当量にすることが好ましい。
本発明の樹脂組成物に含まれるPVA系樹脂(C)の平均ケン化度は、70~100モル%であることが好ましく、特に好ましくは90~99.9モル%、更に好ましくは98~99.8モル%である。かかる平均ケン化度が低過ぎると熱分解し易くなる傾向がある。なお、上記PVA系樹脂のケン化度とは、JIS K 6726:1994年に準拠して測定される値である。
PVA系樹脂(C)の融点は、好ましくは150~230℃、さらに好ましくは160~225℃、特に好ましくは170~220℃である。かかる融点はJIS K7121のDSCによって測定したものである。
[樹脂混合物(D)]
樹脂混合物(D)は、主成分として融点が90℃以下の樹脂(以下、「主成分樹脂」とも称する。)を含む。上記主成分とは、樹脂混合物(D)に最も多く含まれる成分を言い、樹脂混合物(D)中、50質量%以上含まれることが好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
本発明において、樹脂混合物(D)の主成分樹脂は、融点が90℃以下かつポリオレフィン系樹脂(A)およびポリビニルアルコール系樹脂(C)の融点よりも低いものであることが好ましく、融点が90℃以下かつポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)およびポリビニルアルコール系樹脂(C)の融点よりも低いものであることが好ましい。
樹脂混合物(D)の主成分樹脂の融点が、ポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)の融点よりも低いと、押出機内において、樹脂混合物(D)がポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)よりも先に溶融するため、スクリュー上に樹脂混合物(D)の皮膜ができ、スクリュー上に付着するPVA系樹脂(C)が減少し、押出機内の樹脂の搬送および可塑化プロセスが改善され、フィード性の改善に寄与すると考えられる。
また、樹脂混合物(D)がポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)より先に溶融することで、溶融状態の樹脂混合物(D)がポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)の間に入り込み、樹脂混合物(D)がポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)に満遍なく隣接していることでポリオレフィン系樹脂(A)に対するPVA系樹脂(C)の分散性が向上し、PVA系樹脂(C)のポリオレフィン系樹脂(A)の溶融プールの外側への排斥が抑制され、ダイリップに堆積する目ヤニが減少すると考えられる。
樹脂混合物(D)の主成分樹脂の融点とポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)の融点との差は、50~130℃であることが好ましく、60~110℃であることがさらに好ましく、70~90℃であることが特に好ましい。
具体的に、樹脂混合物(D)の主成分樹脂の融点は、好ましくは50~90℃、さらに好ましくは55~85℃、特に好ましくは60~80℃である。かかる融点はJIS K7121のDSCによって測定したものである。
また、樹脂混合物(D)の主成分樹脂の融点は、押出機スクリューのフィードゾーンの設定温度より低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましく、50℃以上低いことがさらに好ましい。上記樹脂混合物(D)の主成分樹脂の融点が押出機スクリューのフィードゾーンの設定温度より低いことで、スクリュー内で上記樹脂混合物(D)の溶融性が向上する。
主成分樹脂としては、例えば、エチレン酢酸ビニル系共重合体(EVA)、α-オレフィンコポリマー、エチレンアクリル酸エステルコポリマー等が挙げられる。中でも汎用性と価格の観点から、エチレン酢酸ビニル系共重合体(EVA)であるのが好ましい。
(エチレン酢酸ビニル系共重合体(EVA)(i))
エチレン酢酸ビニル系共重合体(EVA)とは、エチレンと、酢酸ビニルを共重合した重合体をいい、必要に応じて変性したものであってもよい。
上記EVA(i)中の酢酸ビニルの含有量としては、好ましくは1~60モル%であり、さらには2~50モル%、特には3~30モル%であることが好ましい。すなわち、酢酸ビニル含有量が1モル%以上である場合、本発明の効果(目ヤニ抑制、成形物の外観改善等)を良好に発揮できる傾向があり、60モル%以下の場合、上記樹脂混合物(D)自体の熱安定性や押出成形性が良好である傾向にある。
上記EVA(i)のメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2160g)としては、好ましくは0.1~100g/10分であり、さらには0.5~50g/10分、特には1~30g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲内であることで、他樹脂と混合時の他樹脂に対する分散性が良好になる傾向がある。
上記EVA(i)は、本発明の趣旨を阻害しない範囲で不飽和カルボン酸またはその無水物を、付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性体であってもよい。かかる変性量は、例えば具体的には10モル%以下が好ましい。上記不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸や、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸やその無水物、ハーフエステル等があげられ、中でも、無水マレイン酸が好適に用いられる。
また、上記EVA(i)は、単独で、もしくはエチレン含有量、分子量、MFR、密度、変性基やその変性量等の異なるEVAを2種以上併せて用いることができる。
EVA(i)は、樹脂混合物(D)中、50質量%以上含まれることが好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
(α-オレフィンコポリマー)
α-オレフィンコポリマーは、α-オレフィンの1種又は2種以上を構成モノマーとする共重合体である。α-オレフィンコポリマーにおけるα-オレフィンとしては、特に限定されないが、好ましくは炭素数2~30、より好ましくは炭素数3~20、さらに好ましくは6~16のα-オレフィンが挙げられ、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン等が挙げられる。α-オレフィンに共重合できるコモノマーとしては、スチレン、ブタジエン等が挙げられる。
上記α-オレフィンコポリマーのメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2160g)としては、好ましくは0.1~100g/10分であり、さらには0.5~50g/10分、特には1~30g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲内であることで、他樹脂と混合時の他樹脂に対する分散性が良好になる傾向がある。
α-オレフィンコポリマーは、樹脂混合物(D)中、50質量%以上含まれることが好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
(エチレンアクリル酸エステルコポリマー)
上記エチレンアクリル酸エステルコポリマーのメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2160g)としては、好ましくは0.1~100g/10分であり、さらには0.5~50g/10分、特には1~30g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲内であることで、他樹脂と混合時の他樹脂に対する分散性が良好になる傾向がある。上記エチレンアクリル酸エステルコポリマーとしては、例えば、エチレンアクリル酸メチル共重合体が挙げられる。
エチレンアクリル酸エステルコポリマーは、樹脂混合物(D)中、50質量%以上含まれることが好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
(エチレン含有量70mol%以上のEVAケン化物(ii))
樹脂混合物(D)には、相溶性の観点から、エチレン含有量70mol%以上のEVAケン化物(ii)(以下、「エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)」とも称する。)を含有するのが好ましい。このエチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)は、エチレン含有量70モル%以上のEVAの酢酸ビニル成分をケン化することによって得られるものであり、ケン化という点においてEVAとは異なるものである。すなわち、上記EVAはエチレン酢酸ビニル系共重合体をケン化していないものであるが、EVAケン化物はエチレン酢酸ビニル系共重合体をケン化したものである。
かかるエチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)は必要に応じて変性したものであってもよい。上記エチレン酢酸ビニル系共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等により製造され、上記エチレン酢酸ビニル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得るものである。このエチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)のエチレン含有量は、70モル%以上であればよく、好ましくは98モル%以下であり、さらには75~95モル%、特には80~95モル%であることが好ましい。エチレン含有量が70モル%以上であることで、本発明の効果(目ヤニ抑制等)を発揮できる傾向にある。
また、上記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)のケン化度としては、好ましくは20モル%以上であり、さらには40~99.5モル%、特には80~99モル%であることが好ましい。すなわち、上記ケン化度が20モル%以上であることで、本発明の効果(目ヤニ抑制等)を発揮できる傾向にある。
上記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)のメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2160g)としては、好ましくは0.5~100g/10分であり、さらには1~50g/10分、特には2~30g/10分であることが、分散性に優れ本発明の効果に優れる点で好ましい。
上記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)は、本発明の趣旨を阻害しない範囲で不飽和カルボン酸またはその無水物を、付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性体であってもよい。かかる変性量は、例えば具体的には10モル%以下が好ましい。上記不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸や、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸やその無水物、ハーフエステル等があげられ、中でも、無水マレイン酸が好適に用いられる。
上記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)は、単独で、もしくはエチレン含有量、ケン化度、分子量、MFR、密度、変性基やその変性量等の異なるエチレン含有量の高いEVAケン化物を2種以上併せて用いることができる。
上記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)の含有量は、前記EVA(i)100部に対して、1~30部であるのが好ましく、さらには1.5~15部、特には2~10部であることが好ましい。すなわち、エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)の含有量が上記範囲内であることで、目ヤニの発生率を抑えられる傾向がある。
また、上記樹脂混合物(D)全体における、上記EVA(i)と上記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)成分を足し合わせた総量は、上記樹脂混合物(D)全体に対して70~100質量%が好ましい。
なお、上記樹脂混合物(D)には、本願の効果を阻害しない範囲、例えば上記樹脂混合物(D)全体に対して30質量%未満にて、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の、上記EVA(i)と上記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)以外の他の熱可塑性樹脂を配合してもよい。
また、上記樹脂混合物(D)には、上記EVA(i)と上記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)成分と共に、例えば、ハイドロタルサイト類および高級脂肪酸金属塩から選ばれた少なくとも1つを併用することが目ヤニの抑制効果が向上するため好ましく、中でもハイドロタルサイト類が、成形安定性や目ヤニ抑制効果および着色抑制効果に特に優れる点で好ましく用いられる。
(ハイドロタルサイト類)
上記ハイドロタルサイト類としては、例えば、下記式(1)で示されるハイドロタルサイト系固溶体があげられる。
〔(M 2+y1(M 2+y21-x 3+(OH)n- x/n・mHO ……(1)
[式中M 2+は、Mg,Ca,SrおよびBaから選ばれる金属の少なくとも1種、M 2+は、Zn,Cd,Pb,Snから選ばれる金属の少なくとも1種、M 3+は3価金属、An-はn価のアニオン、x,y1,y2,mはそれぞれ0<x≦0.5、0.5<y1<1、y1+y2=1、0≦m<2で示される正数である。]
上記式(1)中、M 2+としては、Mg,Caが好ましく、M 2+としては、Zn,Cdが好ましい。さらにM 3+としては、例えば、Al,Bi,In,Sb,B,Ga,Ti等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられるが、中でもAlが実用的である。また、上記一般式(1)中、An-としては、例えば、CO 2-,OH,HCO ,サリチル酸イオン,クエン酸イオン,酒石酸イオン,NO ,I,(OOC-COO)2-,ClO4-,CHCOO,CO 2-,(OOCHC=CHCOO)2-,〔Fe(CN)4-等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられるが、中でもCO 2-やOHが有用である。
そして、上記ハイドロタルサイト系固溶体の具体例として、[Mg0.75Zn0.250.67Al0.33(OH)(CO0.165・0.45HO、[Mg0.79Zn0.210.7Al0.3(OH)(CO0.15、[Mg1/7Ca3/7Zn3/70.7Al0.3(OH)(OOCHC=CHCOO)0.15・0.41HO、[Mg6/7Cd1/70.7Al0.3(OH)(CHCOO)0.3・0.34HO、[Mg5/7Pd2/70.7Al0.30(OH)(CO0.15・0.52HO、[Mg0.74Zn0.260.68Al0.32(OH)(CO0.16、[Mg0.56Zn0.440.68Al0.32(OH)(CO0.16・0.2HO、[Mg0.81Zn0.190.74Al0.26(OH)(CO0.13、[Mg0.75Zn0.250.8Al0.20(OH)(CO0.10・0.16HO、[Mg0.71Zn0.290.7Al0.30(OH)(NO0.30、[Mg0.71Zn0.290.7Al0.30(OH)(OOCHC=CHCOO)0.15、[Mg0.14Ca0.57Zn0.280.7Al0.30(OH)2.3・0.25HO等があげられ、中でも、[Mg0.75Zn0.250.67Al0.33(OH)(CO0.165・0.45HO、[Mg0.79Zn0.210.7Al0.3(OH)(CO0.15、[Mg6/7Cd1/70.7Al0.3(OH)(CHCOO)0.3・0.34HO、[Mg5/7Pd2/70.7Al0.30(OH))(CO0.15・0.52HO等があげられる。
また、他にも、例えば、下記の式(2)で表される化合物があげられる。
Al(OH)2x+3y-2z(E)・aHO ……(2)
[式中、MはMg,CaまたはZn、EはCOまたはHPOであり、x,y,zは正数、aは0または正数である。]
上記式(2)で示される化合物として、具体的には、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、MgAl(OH)14CO・4HO,MgAl(OH)16CO・4HO、MgAl(OH)20CO・5HO,Mg10Al(OH)22(CO・4HO、MgAl(OH)16HPO・4HO、CaAl(OH)16CO・4HO、ZnAl(OH)16CO・4HO等があげられる。また、以上に限らず、例えば、MgAl(OH)・3HO中のOHの一部がCOまたはHPOに置換されたような化学式の明確に示されないものや、さらには結晶水の除去されたもの(a=0)であっても同等の効果が期待できる。特に、これらのうちMがMgで、EがCOである化合物が、成形安定性や目ヤニの抑制効果を示して好適に使用される。
上記ハイドロタルサイト類の粒子径については、例えば、平均粒子径は好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。すなわち、上記平均粒子径が大きすぎた場合、本発明の効果を充分に得られない傾向がみられる。なお、ここで言う平均粒子径とはLUZEX法によって測定される値である。
上記ハイドロタルサイト類のなかでも、目ヤニ抑制効果が高い点から、特に上記式(1)で示されるハイドロタルサイト系固溶体を用いることが好ましい。
(高級脂肪酸金属塩)
前記高級脂肪酸金属塩としては、例えば、炭素数8以上(さらに好ましくは炭素数12~30、特に好ましくは炭素数12~20)の有機酸の、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マンガン等の遷移金属塩などの金属塩をあげることができ、中でも、目ヤニの抑制効果の点で、炭素数12~20のアルカリ土類金属塩および遷移金属塩が好ましく、特には、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸のマグネシウム、カルシウム、亜鉛塩が好ましい。
上記樹脂混合物(D)中のハイドロタルサイト類および高級脂肪酸金属塩のそれぞれの含有量は、例えば、前記EVA(i)100部に対し、好ましくは1~30部であり、さらには2~25部、特には5~20部であることが好ましい。すなわち、上記成分の含有量が少なすぎた場合には、本発明の効果(目ヤニ抑制等)を充分に得られない傾向があり、逆に多すぎた場合、得られる成形物の外観が悪化したりする傾向にある。
また、ハイドロタルサイト類、高級脂肪酸金属塩は、それぞれ単独でもしくは2種以上を併せて用いることができ、2種以上を併用する場合の配合量についても、上記の範囲内にあることが好ましい。
また、上記樹脂混合物(D)には、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば上記樹脂混合物(D)全体に対して30質量%未満)で、前記ハイドロタルサイト類成分,高級脂肪酸金属塩以外の、滑剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、結晶核剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、酸素吸収剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を配合することも可能である。
(酸化防止剤)
特に、上記樹脂混合物(D)の熱劣化を低減する目的で、上記EVA(i)と上記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)成分と共に、酸化防止剤を併用することも好ましい。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物:ジブチルヒドロキシトルエン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、4,4’-チオビス-(6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、N,N’-ヘキサメチレン-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレート、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス{2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-プロピオニロキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5・5)ウンデカン等;ホスファイト系化合物:トリフェニルホスファイト、トリス(p-ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等のトリアリールホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイトの如きモノアルキルジフェニルホスファイトや、フェニルジイソオクチルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイトの如きジアルキルモノフェニルホスファイト等のアルキルアリールホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリステアリルホスファイト等のトリアルキルホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト等;チオエーテル系化合物:ペンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリルチオプロピオネート)、テトラキス〔メチレン-3-(ドデシルチオ)プロピオネート〕メタン、ビス〔2-メチル-4-{3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ}-5-t-ブチルフェニル〕スルフィド、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミスチリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリル-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、2-メルカプトベンズイミダゾール等;ヒンダードアミン系化合物:コハク酸ジメチル・1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルペピリジン重縮合物、ポリ{[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]}、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル等;ベンゾトリアゾール系化合物:2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート-ポリエチレングリコール縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラ-ヒドロフタリミド-メチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール等;ベンゾフェノン系化合物:2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクチロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン等;等をあげることができ、これらの中から少なくとも1種以上を選ぶことができる。この酸化防止剤の性状としては、粉末状、顆粒状、液体状、ペースト状、エマルジョン状等、任意の形態のものが使用可能である。
中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、特には、ペンタエリスリトール-テトラキス-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートやオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが、上記樹脂混合物(D)の熱劣化の低減効果に優れ、さらに本発明の効果を阻害しない点で好ましく用いられる。
酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャルティケミカルズ社製、“イルガノックス1010”)を用いることができる。
上記酸化防止剤の含有量は、例えば、前記EVA(i)100部に対し、好ましくは0.001~10部であり、好ましくは0.01~5部、特に好ましくは0.05~1部である。上記酸化防止剤の含有量が少なすぎた場合、上記樹脂混合物(D)の熱劣化を充分に低減出来ない傾向があり、逆に多すぎた場合、得られる成形物の外観が悪化したり、変色防止効果が低下したり、機械的特性が低下したりする傾向にある。
また、上記樹脂混合物(D)は、ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)およびポリビニルアルコール系樹脂(C)の混合物に含有させて用いられ、例えば、[I]予め調製された樹脂混合物(D)を、ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)およびポリビニルアルコール系樹脂(C)の混合物に含有させる方法、[II]ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)およびポリビニルアルコール系樹脂(C)の混合物に、樹脂混合物(D)を構成する各成分を順次含有させる方法等があげられる。
通常、[I]の方法が好適に用いられるが、この[I]の方法において、上記樹脂混合物(D)を得るに当たっては、[i]樹脂混合物(D)を構成する各成分を溶融混練して混合する方法、[ii]溶剤に樹脂混合物(D)を構成する各成分を加え均一に溶解し混合した後に、該溶剤を除去する方法等により、得ることが可能となる。また、樹脂混合物(D)の形状は任意であるが、通常、取り扱い性の点からペレットにすることが好ましい。
上記の中でも、工業上好適には、上記[i]の混合方法が用いられる。なお、この方法の操作例につき詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
上記[i]の溶融混練では、主成分及び任意の成分をドライブレンドして一括して押出機等に供給する方法、主成分を押出機等に供給して溶融させたところに残りの任意成分を供給する方法(サイドフィード法)等をあげることができる。
また、上記[i]の溶融混練手段としては、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミル等の公知の溶融混練装置を使用して行うことができ、通常は100~300℃、さらには150~250℃で、1~20分間程度溶融混練することが好ましい。上記溶融混練装置の中でも、特に単軸または二軸の押出機を用いることが、容易に上記樹脂混合物(D)のペレットが得られる点で工業上好ましく、また必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。特に、水分や揮発成分、副生成物(熱分解低分子量物等)等を除去するために、押出機に1個以上のベント孔を設けて減圧下に吸引したり、押出機中への酸素の混入を防ぐために、ホッパー内に窒素等の不活性ガスを連続的に供給したりすることも、上記樹脂混合物(D)の熱変色や熱劣化を軽減することができる点で好ましい。
[樹脂組成物を製造する方法]
ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)およびPVA系樹脂(C)を含む積層体等の混合物は、その製造時に、製品のクズ,端部等の不要部分や不良品、あるいはその成形物を各種用途に使用した後のゴミ等が発生する。これらのゴミ等のスクラップを回収物として、再利用(一般にスクラップリターンあるいはリグラインドとも呼ばれる)する際に、融点が90℃以下の樹脂を主成分として含む樹脂混合物(D)を用いることができる。
なお、再利用する際に用いるのは、一般に、1つの成形物に関連するスクラップ等が用いられるが、2種以上の成形物に関連するスクラップ等を回収物として使用してもよい。
また、上記積層体等の混合物が、つぎに示す製造方法よりなる場合には、大量にスクラップが発生するため、回収物の再利用の要求が高く、樹脂混合物(D)を用いて、回収物を再利用することが好ましい。例えば、ダイレクトブロー成形(連続式、アキュムレーター式)方法や、多層シートの二次加工成(真空成形、圧空成形、真空圧空成形等)方法等があげられる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)を共押出して得られたパリソンを、金型に挟み空気を吹き込んでブロー成形し、ボトルやチューブを作製したり、任意の方法により得られたポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)からなる多層シートを、真空力や圧空力により絞り成形し、カップやトレイ等を作製したりする方法等である。
樹脂混合物(D)の用い方としては、例えば、上記回収物に樹脂混合物(D)を配合して、溶融成形することにより成形品等を得る方法等があげられる。以下、樹脂混合物(D)を回収物に配合して溶融成形する方法について、説明する。
まず、前記した積層体等の混合物の回収物を、再び押出機等で溶融成形に供するためには、回収物を粉砕することが好ましい。
上記回収物の粉砕に当たっては、公知の粉砕機を使用することにより行うことができる。この粉砕品の形状や粒径については、例えば、JIS-K6891の「5.3見かけ密度」試験方法に準拠して測定される値で、好ましくは0.25~0.85g/mlであり、さらには0.3~0.7g/ml、特には0.35~0.6g/mlであることが好ましい。この見掛け密度が小さすぎた場合、後述するリグラインド層中のPVA系樹脂(C)の分散が不良となり、得られる成形品のリグラインド層の溶融成形性や機械的特性が低下する傾向があり、大きすぎた場合、押出機での供給不良の発生によって得られる成形品のリグラインド層の溶融成形性が低下する傾向がある。
この見掛け密度については、粉砕機の粉砕刃の形状、粉砕刃の回転数、粉砕の処理速度、使用するメッシュの目開きの大きさ等を任意に調整することにより、コントロールすることが可能である。
ここで、上記回収物中のPVA系樹脂(C)の含有量については、回収物の総質量に対して好ましくは0.5~30質量%となるものであり、本発明の効果が特に発揮されるためには、さらには1~20質量%、特には2~10質量%に設定されることが好ましい。本発明においては、いずれの含有量の回収物についても改善効果が発揮されるものであるが、上記範囲において、改善効果が特に発揮されるためである。
上記回収物中のPVA系樹脂(C)の含有量は、積層体中のPVA系樹脂(C)層の厚み比に依存するものであり、PVA系樹脂(C)の含有量が少なすぎた場合には、必要に応じて、未使用の同様または異なるPVA系樹脂(C)を適当量混合して、その含有量を調節してもよい。逆に、PVA系樹脂(C)の含有量が多すぎた場合には、未使用の同じPVA系樹脂や異なるPVA系樹脂を適当量混合して、その含有量を調節することも実用上好ましい。
ついで、上記得られた回収物に、前記した樹脂混合物(D)を配合する。この樹脂混合物(D)を配合するに当たっては、例えば、ロッキングミキサー、リボンブレンダー、スーパーミキサー、ラインミキサー等の公知の混合装置を用いて配合することができる。
上記回収物に対する樹脂混合物(D)の配合量は、回収物の層構成、ポリオレフィン系樹脂(A)の種類、PVA系樹脂(C)の含有量、容器形態、製品の用途や要求される物性等により一概に言えないが、回収物(x)/樹脂混合物(D)(y)との比〔(x)/(y)〕が、質量比にて、好ましくは(x)/(y)=70/30~99.5/0.5であり、さらには80/20~99/1、特には90/10~98/2であることが好ましい。樹脂混合物(D)の配合量が少なすぎた場合、本発明の効果を得ることが困難になる傾向があり、逆に、多すぎた場合、得られる成形物の外観が悪化する傾向がある。
このようにポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)およびPVA系樹脂(C)を含む回収物に樹脂混合物(D)を配合し、混合することにより、回収物と樹脂混合物(D)を混合した、樹脂組成物が得られる。
上記得られた樹脂組成物は、そのまま成形品用の押出機に供給することもできるし、事前に一軸押出機や二軸押出機等の溶融混練機を用い、公知の方法で再ペレット化を行ってから、このペレットを成形品用の押出機に供給することも可能である。上記の溶融押出時の溶融成形温度は、通常150~300℃の範囲から選ぶことが多い。
また、回収物でない同種のポリオレフィン系樹脂や異なるポリオレフィン系樹脂を適当量混合して押出機に供給することも可能であるが、上記樹脂組成物を、そのまま成形品用の押出機に供給する方が、生産性や経済性の点では好ましい。
そして、樹脂組成物においては、前記樹脂混合物(D)が前記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)を含む場合、前記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)の含有量が、この樹脂組成物中のポリオレフィン系樹脂(A)およびPVA系樹脂(C)の合計100部に対して、好ましくは0.3部未満となるように設定されており、上記上限値としてさらには0.28部、特には0.25部であることが好ましい。下限値として特に限定するものではないが、好ましくは0.001部、さらには0.01部、特には0.05部であることが好ましい。エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)の含有量が、少なすぎた場合、排斥物(目ヤニ)の発生抑制の効果に劣る傾向があり、逆に、多すぎた場合、リグラインド層の変色の抑制効果に劣る傾向がみられる。
なお、粉砕物中の各樹脂が、前記エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)を含んでいる場合は、樹脂混合物(D)におけるエチレン含有量の高いEVAケン化物(ii)の総量に加算して考慮する。
[樹脂組成物の物性]
本発明の樹脂組成物のMFR(230℃、荷重2160g)は、0.5~20(g/10min)であることが好ましい。MFRが上記範囲内であることで、成形時のドローダウンが起こり難く、厚みが均一なフィルムを得られやすいという利点がある。
また、上記成形に供する樹脂組成物は、任意の成形物に成形でき、形状としては、例えば、フィルム、シート、テープ、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物、各種不定形成形物等が例示される。
さらに成形においては、成形物の物性を改善したり、目的とする任意の容器形状に成形したりするために、加熱延伸処理が施されることも多い。ここで加熱延伸処理とは、熱的に均一に加熱されたフィルム、シート、パリソン状の成形物を、チャック、プラグ、真空力、圧空力、ブロー等により、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、フィルム状に均一に成形する操作を意味する。そして、この延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等があげられる。一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよいが、二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は通常60~170℃であり、さらには80~160℃が好ましい。
また、上記成形物の例示の他にも、樹脂組成物は、積層体の少なくとも1層(リグラインド層)として用いられることが一般的である。以下、このリグラインド層を含有した積層体について、詳細に説明する。
[リグラインド層含有積層体について]
リグラインド層含有積層体としては、上記樹脂組成物を、その積層中に少なくとも1層有していればよく、一般的には、リグラインド層の他に、ポリオレフィン系樹脂層およびPVA層、そして必要に応じ接着性樹脂層を含有してなる積層体が好ましい。
具体的なリグラインド層含有積層体の層構成としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂層/リグラインド層/接着性樹脂層/PVA層、ポリオレフィン系樹脂層/リグラインド層/接着性樹脂層/PVA層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂層、ポリオレフィン系樹脂層/リグラインド層/接着性樹脂層/PVA層/接着性樹脂層/リグラインド層/ポリオレフィン系樹脂層や、さらにはリグラインド層/PVA層、リグラインド層/接着性樹脂層/PVA層、リグラインド層/接着性樹脂層/PVA層/接着性樹脂層/PVA層、リグラインド層/接着性樹脂層/PVA層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂層、リグラインド層/接着性樹脂層/PVA層/接着性樹脂層/リグラインド層/ポリオレフィン系樹脂層、ポリオレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/PVA層/リグラインド層/PVA層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系樹脂層等があげられる。
リグラインド層含有積層体の各層の厚みは、層構成、ポリオレフィン系樹脂の種類、用途や容器形態、要求される物性等により一概に言えないが、リグラインド層は好ましくは5~5000μmであり、さらには30~1000μmが好ましい。PVA層は好ましくは1~200μmであり、さらには2~100μmが好ましい。ポリオレフィン系樹脂層は通常5~5000μmであり、さらには30~1000μmが好ましい。このとき、接着性樹脂層を有する場合には、その接着性樹脂層は好ましくは5~400μmであり、さらには10~150μmが好ましい。
また、リグラインド層/ポリオレフィン系樹脂層の厚み比率は、好ましくは1/5~10/1であり、さらには1/2~5/1が好ましい。また、リグラインド層/PVA層の厚み比率は、好ましくは1/1~100/1であり、さらには5/1~20/1が好ましい。
[リグラインド層含有積層体の製造方法]
このようなリグラインド層含有積層体の製造方法としては、例えば、前記回収物となる積層体と同種の樹脂を材料として、同種の方法により成形することが可能である。具体的には、前記回収物となる積層体に例示したポリオレフィン系樹脂層に用いられるポリオレフィン系樹脂、PVA層に用いられるPVA、接着性樹脂層に用いられる接着性樹脂を用い、下記に例示される積層方法によって製造することができる。
上記積層体の積層方法としては、例えば、PVAのフィルム、シート等に樹脂組成物を溶融押出ラミネートする方法、ポリオレフィン層からなる基材に樹脂組成物を溶融押出ラミネートする方法、PVAまたはポリオレフィン系樹脂と樹脂組成物を共押出する方法、PVAまたはポリオレフィン系樹脂のフィルム、シート等と樹脂組成物のフィルム、シート等とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の接着剤を用いてドライラミネートする方法等があげられる。上記の溶融押出時の溶融成形温度は、好ましくは150~300℃の範囲である。
リグラインド層含有積層体は、そのまま各種形状のものに使用されるが、さらにこの積層体の物性を改善し、目的とする任意の容器形状に成形するためには、加熱延伸処理が施されることも好ましい。
ここで加熱延伸処理とは、熱的に均一に加熱されたフィルム、シート、パリソン状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブロー等により、カップ、トレイ、チューブ、ボトル、フィルム状に均一に成形する操作を意味する。
上記加熱延伸処理における延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等があげられる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は好ましくは60~170℃であり、さらには80~160℃程度が好ましい。一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、できるだけ高倍率の延伸を行ったほうが物性的に良好で、延伸時にピンホールやクラック、延伸ムラや偏肉、デラミ等の生じない、ガスバリア性に優れた延伸成形物が得られる。
なお、前記したように、リグラインド層に用いる回収物も、その回収物中にリグラインド層を有していてもよく、このような回収物を含有するリグラインド層を少なくとも1層有する積層体は、回収物と同種の樹脂を原料として同種の方法により成形することが可能である。すなわち、回収物から得られた樹脂組成物を用いて、リグラインド層を少なくとも1層有する積層体(再生品)を製造し、その成形物の回収物を、再び同様の積層体のリグラインド層に用いてもよい(再々生品)。
また、これに限定されず、[1]異なる複数種のポリオレフィン系樹脂層や異なる複数種のPVA層を有する積層体の回収物、および/または異なる複数種の積層体の回収物を、同一のリグラインド層に用いることや、[2]回収物を、この回収物中に含まれるポリオレフィン系樹脂およびPVAとは異なる種類のポリオレフィン系樹脂およびPVAを有する積層体のリグラインド層に用いることも可能である。
本発明の樹脂組成物を用いた積層体の製造方法を2回以上繰り返した、リグラインド層を少なくとも1層有する積層体の、ポリオレフィン系樹脂層に用いられるポリオレフィン系樹脂、PVA層に用いられるPVA、接着性樹脂層に用いられる接着性樹脂としては、例えば、前記した積層体に例示されるものを用いることができる。
また、本発明で得られる積層体の各層には、成形加工性、物性等の向上のために酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、酸素吸収剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、無機・有機充填材等を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。
上記の積層体は、前記した積層体と同様にして、シートやフィルム状だけでなく、上記と同様の成形法により、パイプ・チューブ状やタンク・ボトル等の容器等に成形することができ、さらには該積層体を通常60~170℃程度に再度加熱して、ブロー延伸法や絞り成形法(真空成形、圧空成形、真空圧空成形等)等上記と同様の方法により延伸して、ボトル、チューブ、カップ、トレイ等の容器等に成形することも可能である。
また、得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液または溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
このようにして得られた積層体は、再生品、再々生品を問わず、一般的な食品、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、スープ、飲料、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料等各種の容器として有用であるが、特に、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、味噌、わさび、からし、焼肉等のたれ等の半固形状食品・調味料、サラダ油、みりん、清酒、ビール、ワイン、ジュース、紅茶、スポーツドリンク、ミネラルウォーター、牛乳等の液体状飲料・調味料用のボトル状容器やチューブ状容器、フルーツ、ゼリー、プリン、ヨーグルト、マヨネーズ、味噌、加工米、調理済み食品、スープ等の半固形状食品・調味料用のカップ状容器や、生肉、畜肉加工品(ハム、ベーコン、ウインナー等)、米飯、ペットフード用のトレー状容器の用途に有用である。
以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
[ポリオレフィン系樹脂(A)]
ポリプロピレン[密度:0.90g/cm、MFR:1.5g/10分(JIS K7210により測定)、融点:160℃(JIS K7121の示差走査熱量により測定)、日本ポリプロ株式会社製 “ノバテックPP EA7AD”]
[接着性樹脂(B)]
変性ポリオレフィン[融点:155℃(JIS K7121の示差走査熱量により測定)、Lyondellbasell社製 Plexar 6005]
[PVA系樹脂(C)]
変性PVA系樹脂[ケン化度99mol%、重合度450、1,2-ジオール変性6mol%、融点:185℃(JIS K7121の示差走査熱量により測定)]
[樹脂混合物]
<樹脂混合物(D1)>
以下に記載するエチレン酢酸ビニル系共重合体(88部)、エチレン酢酸ビニル系共重合体ケン化物(2部)、ハイドロタルサイト固溶体(5部)およびステアリン酸カルシウム(5部)を混合して、同方向二軸押出機にて溶融混練することにより、目的とする樹脂混合物(D1)のペレットを作製した。なお、溶融混練条件は、後述の通りである。
<樹脂混合物(D2)>
以下に記載するαオレフィンコポリマー(88部)、エチレン酢酸ビニル系共重合体ケン化物(2部)、ハイドロタルサイト固溶体(5部)およびステアリン酸カルシウム(5部)を混合したこと以外は樹脂混合物(D1)と同様にして、樹脂混合物(D2)のペレットを作製した。
<樹脂混合物(D3)>
以下に記載するエチレンアクリル酸メチル共重合体(88部)、エチレン酢酸ビニル系共重合体ケン化物(2部)、ハイドロタルサイト固溶体(5部)およびステアリン酸カルシウム(5部)を混合したこと以外は樹脂混合物(D1)と同様にして、樹脂混合物(D3)のペレットを作製した。
<樹脂混合物(X1)>
以下に記載するエチレンアクリル酸メチル無水マレイン酸共重合体(88部)、エチレン酢酸ビニル系共重合体ケン化物(2部)、ハイドロタルサイト固溶体(5部)およびステアリン酸カルシウム(5部)を混合したこと以外は樹脂混合物(D1)と同様にして、樹脂混合物(X1)のペレットを作製した。
<樹脂混合物(X2)>
以下に記載する酸変性ポリプロピレン(88部)、エチレン酢酸ビニル系共重合体ケン化物(2部)、ハイドロタルサイト固溶体(5部)およびステアリン酸カルシウム(5部)を混合したこと以外は樹脂混合物(D1)と同様にして、樹脂混合物(X2)のペレットを作製した。
[溶融混練条件]
・溶融混練装置:径30mm同方向二軸押出機、L/D=42
・設定条件:210℃で、スクリュー回転数160rpm、吐出量10kg/hr、混合物の平均混練時間2分
(EVA(i))
エチレン酢酸ビニル系共重合体〔融点:71℃(JIS K7121の示差走査熱量により測定)、酢酸ビニル含有率:28質量%、MFR:5.7g/10分(190℃、荷重2160g)、東ソー社製、“ウルトラセン3B53A”〕
(エチレン含有量の高いEVAケン化物(ii))
エチレン酢酸ビニル系共重合体ケン化物〔エチレン含有量:89モル%、ケン化度:99モル%、MFR:6.5g/10分(190℃、荷重2160g)、東ソー社製、“メルセンH0051K”〕
(αオレフィンコポリマー)
エチレン-αオレフィンコポリマー〔融点:50℃(JIS K7121の示差走査熱量により測定)、MFR:3.6g/10分(190℃、荷重2160g)、三井化学社製、“タフマー(登録商標) DF640”〕
(EMA)
エチレンアクリル酸メチル共重合体〔融点:77℃(JIS K7121の示差走査熱量により測定)、MFR:6g/10分(190℃、荷重2160g)、日本ポリエチレン社製、“レクスパール(登録商標) EB240H”〕
(酸変性EMA)
エチレンアクリル酸メチル無水マレイン酸共重合体〔融点:99℃(JIS K7121の示差走査熱量により測定)、MFR:8g/10分(190℃、荷重2160g)、日本ポリエチレン社製、“レクスパール(登録商標) ET220H”〕
(酸変性ポリオレフィン)
酸変性ポリプロピレン〔融点:141℃(JIS K7121の示差走査熱量により測定)、MFR:3.4g/10分(230℃、荷重2160g)、三菱ケミカル社製、“modic(登録商標) P674V”〕
(ハイドロタルサイト類)
ハイドロタルサイト固溶体(協和化学工業社製、“ZHT-4A”)
(高級脂肪酸金属塩)
ステアリン酸カルシウム(日本油脂社製、“ニッサンカルシウムステアレートS”)
[実施例1~3、比較例1~3]
上記材料を用いて以下のように繰り返し押出ペレット化を行い、得られたペレットを製膜してフィルムを得た。
[繰り返し押出ペレット化]
下記の表1に示す各成分のペレットを同表に示す割合で混合した。これらの混合ペレットを単軸押出機のホッパーへ投入後、回転数40rpmで溶融混練した。ストランドダイスから吐出された樹脂をベルトコンベアーに乗せ、樹脂を固化させた後、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングした。ここで採取したペレットを1passとした。1passのペレットを再び単軸押出機のホッパーへ投入し、同様の方法でペレット状にカッティングすることで、2passのペレットを得た。同様の手法を繰り返し、5passのペレットを取得した。
(繰り返し押出ペレット化の条件)
・押出機:径40mm単軸押出機、L/D=28
・スクリュー:フルフライトタイプ(CR=3.4)
・ダイ:ストランドダイス(3.5mm×3穴)
・スクリーン:90/90メッシュ
・設定温度:C1/C2/C3/C4/A/D=180℃/220℃/230℃/230℃/230℃/230℃
・スクリュー回転数:40rpm
実施例1~3および比較例1~3における5passのペレットを得る工程で、フィード性、ストランドダイスのダイリップに堆積する目ヤニ堆積量およびスクリュー表面に付着する樹脂劣化物の量を評価した。結果を表1に示す。
<フィード性の評価>
繰り返し押出ペレット化の実験中、1pass目から5pass目において、単軸押出機のヘッド部の樹脂圧力が極端に低下することがないか監視し、以下の基準で評価した。
〇:1pass目から5pass目のすべてのpassにおいて、単軸押出機ヘッド部の樹脂圧力が1MPa以上を維持し、樹脂が正常に吐出された。
×:1pass目から5pass目において、1回以上、単軸押出機ヘッド部の樹脂圧力が1MPa未満となり、吐出される樹脂が極端に少なくなった。
<目ヤニ堆積量の評価>
繰り返し押出ペレット化の5pass終了後、ストランドダイスのダイリップに堆積する目ヤニ(排斥物)を採取し、精密天秤を用いて採取した目ヤニの総堆積量を測定した。
<スクリュー表面への樹脂劣化物の付着性の評価>
繰り返し押出ペレット化の5pass終了後、単軸押出機からスクリューを抜き出し、スクリュー表面に付着する樹脂劣化物の量を、以下の基準で目視で評価した。
〇:スクリュー表面に付着する樹脂劣化物が殆ど認められなかった。
×:スクリュー表面に付着する樹脂劣化物が認められた。
[単層製膜の評価]
繰り返し押出ペレット化で得られた5Passのペレットを単軸押出機のホッパーへ投入後、40rpmで運転し、吐出された樹脂をフィルム引取装置の冷却ロールへ通し、厚さ100μmの単層フィルムを製膜した。取得したフィルムのフィッシュアイの数およびPVAの分散性を評価した。結果を表1に示す。
(単層製膜の条件)
・押出機:径40mm単軸押出機、L/D=28
・スクリュー:フルフライトタイプ(CR=3.0)
・ダイ:コートハンガータイプ(450mm幅)
・スクリーン:90/90メッシュ
・設定温度:C1/C2/C3/C4/A/D=180℃/220℃/230℃/230℃/230℃/230℃
・スクリュー回転数:40rpm
・フィルム厚み:100μm
<フィッシュアイの数>
フィルムのフィッシュアイ数をカウントした。A4サイズに裁断したフィルムをDefect Analyzer Model GX-70W(Mamiya OP社製)にセットし、幅10cm×長さ10cmの範囲にて、直径0.1mm以上のフィッシュアイの数を測定した。
<PVAの分散性>
フィルム幅方向中央部の断面に希ヨードチンキを微量塗布してPVA部分を着色した後、着色した箇所を顕微鏡で観察した。比較例1および実施例1で作製したフィルム断面を顕微鏡にて観察した結果を、それぞれ図1および図2に示す。以下の基準に基づき、PVAの分散性を評価した。
〇:フィルム幅方向の中央部において、PVAが凝集していない。
×:フィルム幅方向の中央部において、PVAが層状に凝集している。
<全ヘイズ>
測定装置NDH4000(日本電色工業株式会社製)を使用し、空気中(装置内が空の状態)で標準校正を行い、上記作製した単層フィルムの全ヘイズを測定した。全ヘイズ測定の際は、単層フィルムを5cm角に裁断し、単層フィルムの端部を厚紙で挟んで固定後、フィルムを装置内にセットして測定を行った。同サンプルにつき3回測定を行い、その平均値を算出した。なお、全ヘイズは数値が低いほど透明度が高いことを示している。
Figure 2023160807000003
上記結果より、混合ペレット中に樹脂混合物(D)を入れない場合、繰り返し押出ペレット化を行うと、フィード性が悪く、目ヤニ堆積量が136mgであり、スクリュー表面への樹脂劣化物の付着性が認められた。また、得られた単層フィルムについては、フィッシュアイが多発し、さらに比較例1は図1に示すように、PVAが層状に凝集し分散性が悪い結果となった。樹脂混合物の主成分として、融点が99℃である酸変性EMAを用いる場合、全ヘイズが60であり、樹脂混合物の主成分として、融点が141℃である酸変性ポリオレフィンを用いる場合、目ヤニ堆積量が65mgであった。
一方、混合ペレット中に樹脂混合物(D)を入れる場合、繰り返し押出ペレット化を行っても、フィード性に優れ、目ヤニ堆積量が1mgと少量であり、スクリュー表面への樹脂劣化物の付着性が認められなかった。また、得られた単層フィルムについては、フィッシュアイの多発が抑制され、さらに実施例1は図2に示すように、PVAが層状に凝集しないという、優れた効果が得られた。
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)、PVA系樹脂(C)および樹脂混合物(D)を含有し、前記樹脂混合物(D)が主成分として融点が90℃以下の樹脂を含む。このような組成であることで、本発明の樹脂組成物は、繰り返し押出ペレット化を行っても、フィード性に優れ、ストランドダイスのダイリップに堆積する目ヤニ堆積量が少量であり、スクリュー表面への樹脂劣化物の付着性が認められない。また、本発明の樹脂組成物を用いて得られるフィルムは、フィッシュアイの多発が抑制され、PVAが層状に凝集しないという、優れた効果を示すものである。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)、ポリビニルアルコール系樹脂(C)及び樹脂混合物(D)を含有し、前記樹脂混合物(D)が主成分として融点が90℃以下の樹脂を含む、樹脂組成物。
  2. 前記樹脂混合物(D)が、エチレン酢酸ビニル系共重合体(i)及びエチレン含有量70mol%以上のエチレン酢酸ビニル系共重合体ケン化物(ii)を含む樹脂混合物である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂(A)がポリプロピレンを含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記接着性樹脂(B)が変性ポリオレフィンを含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリビニルアルコール系樹脂(C)が変性ポリビニルアルコールを含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂混合物(D)がハイドロタルサイト類または高級脂肪酸金属塩を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  7. ポリオレフィン系樹脂(A)、接着性樹脂(B)及びポリビニルアルコール系樹脂(C)を含む混合物に、融点が90℃以下の樹脂を主成分として含む樹脂混合物(D)を加える、成形物の製造方法。
JP2023070089A 2022-04-22 2023-04-21 樹脂組成物 Pending JP2023160807A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022071136 2022-04-22
JP2022071136 2022-04-22

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023160807A true JP2023160807A (ja) 2023-11-02

Family

ID=88516255

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023070089A Pending JP2023160807A (ja) 2022-04-22 2023-04-21 樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023160807A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2194093B1 (en) Resin composition, molding resin composition prepared by using the same, laminates, and process for the production of laminates
US11560464B2 (en) Resin composition, production method for resin composition, and molded body using resin composition
JP4225769B2 (ja) 樹脂組成物
JP4642195B2 (ja) 樹脂組成物ペレットおよび成形物
US20220135778A1 (en) Resin composition
JP4678930B2 (ja) 樹脂組成物の使用方法
JP5660848B2 (ja) エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物ペレットおよびそれから得られる成形物およびその製造方法並びにエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物ペレットの製造方法
JP2002234971A (ja) 樹脂組成物及びその使用方法
JP4850799B2 (ja) 積層体の製造方法およびそれにより得られる積層体
JP2002234979A (ja) 樹脂組成物及びその使用方法
JP7413914B2 (ja) 樹脂組成物および樹脂組成物の製造方法、ならびに樹脂組成物を用いた成形体および多層構造体および包装体
JP2023160807A (ja) 樹脂組成物
CN115362219B (zh) 树脂组合物和树脂组合物的制造方法、成型体、多层结构体和包装体
EP4130159B1 (en) Resin composition, method for manufacturing resin composition, molded object, multilayer structure, and packaging body
JP4968650B2 (ja) 樹脂組成物及びその使用方法
US11845882B2 (en) Multilayer structure, resin composition for adhesive resin layer, and multilayer structure production method
CN110382616B (zh) 树脂组合物和由其构成的成型材料以及多层结构体
WO2023176784A1 (ja) 多層構造体
JP2001288323A (ja) 樹脂組成物ペレットおよびその用途
WO2021256436A1 (ja) エチレン-ビニルアルコール系共重合体樹脂組成物、多層構造体および包装体
WO2022239729A1 (ja) 重合体組成物及びその成形品
JP2022174020A (ja) 重合体組成物及びその成形品
WO2023182479A1 (ja) 樹脂組成物およびその成形品、多層構造体、ならびにエチレン-ビニルアルコール系共重合体回収助剤