JP2009007945A - 可変容量圧縮機の容量制御システム - Google Patents

可変容量圧縮機の容量制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】種々の条件に基づいて吸入圧力制御又は差圧制御を選択的に実行する、簡素な構成の可変容量圧縮機の容量制御システムを提供する。
【解決手段】可変容量圧縮機の吐出容量制御システム(A)は制御対象設定手段(402A)を有する。制御対象設定手段(402A)は、外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて2つ以上の制御モードのうちから1つの制御モードを選択し、選択した制御モードに則して制御対象を設定する。制御対象設定手段(402A)は、外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて、制御モードの1つである第1制御モードでは、吸入圧力領域及びクランク室のうち一方の圧力の目標圧力を制御対象として設定し、制御モードの1つである第2制御モードでは、吸入圧力領域及びクランク室の圧力のうち一方の圧力と吐出圧力領域の圧力との差の目標である目標作動圧力差を制御対象として設定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、空調システムに適用される可変容量圧縮機の容量制御システムに関する。
例えば車両用空調システムに用いられる往復動型の可変容量圧縮機は、ハウジングを備え、ハウジングの内部には吐出室、吸入室、クランク室及びシリンダボアが区画形成される。クランク室内を延びる駆動軸には斜板が傾動可能に連結され、斜板を含む変換機構は、駆動軸の回転をシリンダボア内に配置されたピストンの往復運動に変換する。ピストンの往復運動は、吸入室からシリンダボア内への作動流体の吸入、吸入した作動流体の圧縮及び圧縮された作動流体の吐出室への吐出工程を実行する。
ピストンのストローク長、即ち圧縮機の吐出容量は、クランク室の圧力(制御圧力)を変化させることにより可変となり、吐出容量を制御するために、吐出室とクランク室とを連通する給気通路には容量制御弁が配置され、クランク室と吸入室とを連通する抽気通路には絞りが配置される。
例えば特許文献1が開示する容量制御弁は、吸入圧力を感知するための感圧部材を内蔵し、この容量制御弁を用いた可変容量圧縮機では、吸入圧力を感知して吐出容量をフィードバック制御する。具体的には、感圧部材は、例えばベローズにより構成され、吸入圧力が低下すると吐出容量を減少すべく伸張し、給気通路の開度を増大させる。
また、特許文献2が開示する可変容量圧縮機の容量制御方法では、2つの圧力監視点の圧力差が目標値に近付くように容量制御が行われる。
更に、特許文献3が開示する容量制御装置は、吐出室の圧力(吐出圧力)と吸入室の圧力との間の圧力差(差圧)が目標値に近付くように、吐出容量をフィードバック制御する。すなわち、特許文献3の制御装置は、差圧を制御対象として容量制御弁への通電量を変化させ、これに伴い吐出容量が変化する。例えば、この制御装置は、差圧が縮小しようとすれば、吐出容量を増大させて差圧を所定値に近付けるように動作する。
特許文献3の容量制御装置が実行する差圧制御も、特許文献2が開示する容量制御方法と同様に、2つの圧力監視点の圧力差を目標値に近付けるものに属すると考えられる。従って、可変容量圧縮機の容量制御装置は、特許文献1に代表されるように吸入圧力を制御対象とする吸入圧力制御方式のものと、特許文献2及び3に代表されるように差圧を制御対象とする差圧制御方式のものとに大別される。
特開平9-268973号公報 特開2001-107854号公報 特開2001-132650号公報
吸入圧力を制御対象とする吸入圧力制御方式は、空調システムに適した吐出容量制御方法であり、現在最も広く利用されている。吸入圧力制御方式において吐出容量を減少させる場合、制御対象となる吸入圧力の目標値が、より高い値に変更される。例えば、冷凍サイクルにかかる熱負荷が大きく、且つ、圧縮機の回転数が低い場合には、十分に吐出容量を減少させられないことがある。更に、実際の吸入圧力が吸入圧力の制御範囲の上限を超えている場合には、吐出容量を全く制御不能となることもある。
また、吸入圧力を制御対象とする場合、容量制御弁が、吸入圧力を感知するベローズやダイアフラム等の感圧部材を内蔵することが必要となり、容量制御弁の構造が複雑化する。その上、感圧部材の寸法には制限があり、吸入圧力の制御範囲の上限を高くしようとすると、ソレノイドを大型化しなければならない。
一方、車両用の空調システムにおいては、可変容量圧縮機の駆動は、車両のエンジンにとって大きな負荷となっている。このため、例えば車両の加速時や登坂時等においては、吐出容量を一時的に減少させて圧縮機の駆動負荷を低減することが行われている。すなわち、ある程度の空調能力を確保しながら、エンジンの動力を走行動力に極力振り向けることが行われている。このような場合に熱負荷が大きいと、吸入圧力制御方式では、吸入圧力が制御不能となって圧縮機の作動を停止しなければならなくなり、車室の空調状態の犠牲が大きくなる。
このような吸入圧力制御方式の欠点を解消すべく考え出されたのが、特許文献2及び3に代表される差圧制御方式であり、差圧制御方式によれば、熱負荷によらず、吐出容量が外部制御により迅速に変更される。しかしながら、差圧制御方式には以下のような欠点がある。
2つの圧力監視点の圧力差が目標値となるように吐出容量をフィードバック制御する場合、圧力差が縮小しようとすれば、圧力差を所定値に近付けるように吐出容量が増大される。このような制御動作から、冷媒の循環路において冷媒循環量が適正量から不足した状態で差圧制御方式の容量制御が行われると、圧力監視点間の圧力差は、冷媒循環量が適正であるときに比べて縮小してしまうため、圧力差を目標値に維持すべく吐出容量が増大されてしまう。そして、圧力差のフィードバック制御では、冷媒量が不足して冷媒循環量不足の状態で可変容量圧縮機を運転し、差圧が目標値に到達しなければ、吐出容量が加速的に増大し、圧縮機は最終的には最大容量で動作し続ける。このような動作は、圧縮機の破損を招く虞がある。
冷媒量不足への対応という観点では、吸入圧力制御方式の方が優れている。冷媒量不足になると、吸入圧力が所定値より低下しようとするが、吸入圧力制御方式によれば、吸入圧力を所定値に維持すべく、吐出容量が減少させられ、最終的には最小容量に移行するからである。つまり、吸入圧力制御方式は、フェールセーフ機能を併せ持っているからである。
以上のように、吸入圧力制御方式及び差圧制御方式ともに長所短所があり、総合的にみてどちらが良いとは必ずしもいえない。理想的には、通常時には空調の快適性を重視して吸入圧力制御方式で吐出容量を制御し、車両の加速時、登坂時等の過渡的な制御が要求されるときには、差圧制御方式で吐出容量を制御するのがよいが、このような制御を実行可能な容量制御装置は存在しない。
本発明は上述した事情に基づいてなされたもので、その目的の一つは、種々の条件に基づいて吸入圧力制御又は差圧制御を選択的に実行する、簡素な構成の可変容量圧縮機の容量制御システムを提供することにある。
上記の目的を達成するべく、本発明によれば、空調システムの冷凍サイクルを構成すべく冷媒が循環する循環路に放熱器、膨張器及び蒸発器とともに介挿される可変容量型圧縮機であって、吐出室、吸入室、クランク室及びシリンダボアが区画形成されたハウジングと、前記シリンダボアに配設されたピストンと、前記ハウジング内に回転可能に支持された駆動軸と、前記駆動軸の回転を前記ピストンの往復運動に変換する傾角可変の斜板要素を含む変換機構と、前記冷凍サイクルの吸入圧力領域及び前記クランク室のうち少なくとも一方の圧力、前記冷凍サイクルの吐出圧力領域の圧力、及び、ソレノイドの電磁力を受けて弁孔を開閉可能な弁体を有し、前記弁孔を開閉することにより前記クランク室の圧力を変化させる容量制御弁とを備える可変容量圧縮機の容量制御システムにおいて、1つ以上の外部情報を検知するための外部情報検知手段と、前記外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて制御対象を設定する制御対象設定手段と、前記制御対象設定手段で設定された制御対象に基づいて吐出容量制御信号を演算する制御信号演算手段と、前記制御信号演算手段により演算された吐出容量制御信号に基づいて前記ソレノイドに電流を供給するソレノイド駆動手段とを具備し、前記制御対象設定手段は、前記外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて2つ以上の制御モードのうちから1つの制御モードを選択し、選択した制御モードに則して前記制御対象を設定し、前記制御モードの1つである第1制御モードでは、前記外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて、前記吸入圧力領域及びクランク室のうち一方の圧力の目標圧力を前記制御対象として設定し、前記制御モードの1つである第2制御モードでは、前記外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて、前記吸入圧力領域及びクランク室の圧力のうち一方の圧力と前記吐出圧力領域の圧力との差の目標である目標作動圧力差を前記制御対象として設定することを特徴とする可変容量圧縮機の容量制御システムが提供される(請求項1)。
好ましくは、前記外部情報検知手段は、前記吐出圧力領域の圧力を検知する吐出圧力検知手段を含み、前記制御信号演算手段は、前記制御対象設定手段が前記第1制御モードを実行したときに、前記吐出圧力検知手段により検知された前記吐出圧力領域の圧力及び前記目標圧力に基づいて前記吐出容量制御信号を演算する(請求項2)。
好ましくは、前記制御信号演算手段は、前記吐出圧力領域の圧力と前記目標圧力との差に基づいて前記吐出容量制御信号を演算する(請求項3)。
好ましくは、前記外部情報検知手段は、前記蒸発器を通過した直後の空気流の温度を検知する蒸発器出口空気温度検知手段と、前記蒸発器を通過した直後の空気流の目標温度を設定する蒸発器目標出口空気温度設定手段とを含み、前記制御対象設定手段は、前記第1制御モードを実行するとき、前記蒸発器出口空気温度検知手段により検知された前記空気流の温度が前記蒸発器目標出口空気温度設定手段により設定された前記目標温度に近付くように前記目標圧力を設定する(請求項4)。
好ましくは、前記外部情報検知手段は、前記可変容量型圧縮機の目標トルクを設定する目標トルク設定手段を含み、前記制御対象設定手段は、前記第2制御モードを実行するとき、前記可変容量型圧縮機のトルクが前記目標トルク設定手段により設定された目標トルクに近付くように前記目標作動圧力差を設定する(請求項5)。
好ましくは、前記外部情報検知手段は、前記空調システムが非作動状態から作動状態に切り替わることを検知するエアコンスイッチ検知手段を含み、前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記エアコンスイッチ検知手段によって、前記空調システムが非作動状態から作動状態に切り替わるのを検知したときという条件である(請求項6)。
好ましくは、前記第2制御モードは、前記第2制御モードの実行開始から所定時間維持される(請求項7)。
好ましくは、前記空調システムは車両に適用され、前記外部情報検知手段は、前記車両のアイドリング状態を検知するアイドリング検知手段を含み、前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記アイドリング検知手段によって、前記車両がアイドリング状態にあることを検知したときという条件である(請求項8)。
好ましくは、前記制御対象設定手段は、前記第1制御モードを解除して前記第2制御モードに移行する直前に前記目標圧力を記憶し、前記第2制御モードが解除されて前記第1制御モードに再び移行したときに、記憶されていた前記目標圧力を初期値として新たに目標圧力を設定する(請求項9)。
好ましくは、前記空調システムは車両に適用され、前記外部情報検知手段は、前記車両のエンジンの負荷を検知するエンジン負荷検知手段を含み、前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記エンジン負荷検知手段により検知された前記エンジンの負荷が所定値以上になるという条件である(請求項10)。
好ましくは、前記空調システムは車両に適用され、前記外部情報検知手段は、前記車両のエンジンの負荷を検知するエンジン負荷検知手段と、前記車両の内外の熱負荷を検知する熱負荷検知手段とを含み、前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記エンジン負荷検知手段により検知された前記エンジンの負荷及び前記熱負荷検知手段により検知された熱負荷の両方が所定値以上になるという条件である(請求項11)。
好ましくは、前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件は、前記第1制御モードを実行中に前記ソレノイドに供給されている電流量が、前記第2制御モードを実行したとするならば前記ソレノイドに供給される電流量よりも大きいという限定事項を更に含む(請求項12)。
好ましくは、前記制御対象設定手段は、前記第1制御モードを解除して前記第2制御モードに移行する直前に前記目標圧力を記憶し、前記第2制御モードが解除されて前記第1制御モードに再び移行したときに、記憶されていた前記目標圧力を初期値として新たに目標圧力を設定する(請求項13)。
好ましくは、前記制御対象設定手段は、前記第2制御モードを実行するとき、前記蒸発器出口空気温度検知手段により検知された前記空気流の温度が前記蒸発器目標出口空気温度設定手段により設定された前記目標温度に近付くように前記目標作動圧力差を設定する(請求項14)。
好ましくは、前記目標作動圧力差に基づいて前記ソレノイドに供給される電流は、予め定められた上限値以下に制限される(請求項15)。
好ましくは、前記空調システムは車両に適用され、前記外部情報検知手段は、前記車両の内外の熱負荷を検知する熱負荷検知手段を含み、前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記熱負荷検知手段により検知された熱負荷が所定値以上であるという条件である(請求項16)。
好ましくは、前記空調システムは車両に適用され、前記外部情報検知手段は、記車両の内外の熱負荷を検知する熱負荷検知手段と、前記可変容量圧縮機の回転数に相当する物理量を検知する回転数検知手段とを含み、前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記熱負荷検知手段により検知された熱負荷及び前記回転数検知手段により検知された物理量の両方が所定値以上であるという条件である(請求項17)。
好ましくは、前記空調システムは、前記冷凍サイクルと切り換え可能に設けられたホットガスヒータサイクルを更に備え、
前記可変容量圧縮機は、前記空調システムの冷凍サイクルのみならず前記ホットガスヒータサイクルの一部を構成し、
前記外部情報検知手段は、前記冷凍サイクル及びホットガスヒータサイクルのうち何れのサイクルが作動しているかを検知するサイクル検知手段を含み、前記制御対象設定手段は、前記ホットガスヒータサイクルの作動中、前記第2制御モードを実行する(請求項18)。
好ましくは、前記外部情報検知手段は、前記ホットガスヒータサイクルの一部を構成する空気加熱用熱交換器を通過した直後の空気流の温度を検知する熱交換器出口空気温度検知手段と、前記空気加熱用熱交換器を通過した直後の空気流の目標温度を設定する熱交換器目標出口空気温度設定手段とを含み、前記制御対象設定手段は、前記第2制御モードを実行するとき、前記熱交換器出口空気温度検知手段により検知された前記空気流の温度が前記熱交換器目標出口空気温度設定手段により設定された前記目標温度に近付くように前記目標作動圧力差を設定する(請求項19)。
好ましくは、前記吐出圧力検知手段は、前記冷凍サイクル及びホットガスヒータサイクルに共通に含まれる前記循環路の吐出圧力領域の部分にて前記冷媒の圧力を検知する(請求項20)。
好ましくは、前記制御対象設定手段は、前記制御モードの1つである第3制御モードを実行したときに、前記吐出圧力領域の圧力の目標である目標吐出圧力を設定し、前記吐出圧力検知手段により検知された前記吐出圧力領域の圧力が前記目標吐出圧力に近付くように前記目標作動圧力差を設定する(請求項21)。
発明の請求項1の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、制御対象設定手段が外部情報に基づいて第1制御モード及び第2制御モードを選択的に実行可能であり、第1制御モードにより吸入圧力制御を、第2制御モードにより差圧制御を実行可能である。従ってこの容量制御システムによれば、状況に応じて吐出容量の最適化が可能であり、例えば、通常時には吸入圧力制御により吐出容量制御をし、車両の加速時や登坂時等の過渡的な制御が必要なときには差圧制御により吐出容量を制御することができる。
請求項2の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、制御対象設定手段が第1制御モードを実行したときには、制御信号演算手段が吐出圧力領域の圧力と目標圧力とに基づいて吐出容量制御信号を演算するため、簡単な構成の容量制御弁を用いても、吸入圧力制御を実行可能である。
なお、吐出圧力検知手段は、可変容量圧縮機及び空調システムの保護のため従来から必須の構成であり、本発明のために新たに追加するものではない。このため、この容量制御システムを適用することにより空調システムの構成が複雑になることはない。
請求項3の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、吐出圧力領域の圧力と、目標圧力との差に基づいて吐出容量制御信号が演算されることにより吸入圧力領域の圧力又はクランク室の圧力が目標圧力に近付くように、吐出容量が確実に制御される。
請求項4の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、蒸発器を通過した直後の空気流の温度が目標温度に近付くように吐出容量がフィードバック制御される。このため、この容量制御システムを適用した空調システムにより空調が行われる例えば車室の温度の制御精度が向上する。
請求項5の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、可変容量圧縮機のトルク(駆動負荷)を目標トルクに近付けることが可能となり、エンジン制御の安定性や車両の走行性能の確保という観点から容量制御を行うことが可能である。
請求項6の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、空調システムが非作動状態から作動状態に切り替わったときに、可変容量圧縮機のトルクを目標トルクに近付けることが可能となり、エンジン制御の安定性が確保される。
請求項7の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、第2制御モードが所定時間維持されることにより、エンジン制御の安定性が確保される。
請求項8の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、車両がアイドリング状態にあるとき、可変容量圧縮機のトルクを目標トルクに近付けることが可能となり、エンジン制御の安定性が確保される。
請求項9の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、記憶していた目標圧力に基づいて新たに目標圧力を設定することにより、空調システムにより空調される車室等の空調状態が、第2制御モードの解除後、先の第1制御モードでの空調状態まで迅速に回復する。
請求項10の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、エンジンの負荷が所定値以上にあるとき、可変容量圧縮機のトルクを目標トルクに近付けることが可能となり、車両の走行性能が確保される。
請求項11の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、第2制御モードの実行条件をエンジンの負荷及び車両の内外の熱負荷が所定値以上にあるときに限定することで、不必要な第2制御モードの実行が防止され、車室の空調状態が快適に保たれる。
請求項12の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、第2制御モードの実行条件に、第1制御モードによりソレノイドに供給される電流が、第2制御モードを実行したとするならばソレノイドに供給される電流よりも大きいという限定を付加することで、不必要な第2制御モードの実行が防止され、車室の空調状態が快適に保たれる。
請求項13の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、記憶していた目標圧力に基づいて新たに目標圧力を設定することにより、空調システムにより空調される車室等の空調状態が、第2制御モードの解除後、先の第1制御モードでの空調状態まで迅速に回復する。
請求項14の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、例えば外気温度が高いときに、制御対象設定手段が第1制御モードではなく第2制御モードを実行し、当該第2制御モードにて、蒸発器を通過した直後の空気流の温度が目標温度に近付くように作動圧力差を設定する。これにより、外気温度が高く吸入圧力制御では容量制御が不可能になるような場合でも、差圧制御による容量制御によって、空調システムより空調される車室等の空調状態が快適に保たれる。
請求項15の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、ソレノイドに供給される電流を上限値以下に制限することにより、この上限値に対応して可変容量圧縮機のトルクを制限することができる。
請求項16の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、車両の内外の熱負荷が所定値以上であるときに、制御対象設定手段が第1制御モードではなく第2制御モードを実行し、当該第2制御モードにて、蒸発器を通過した直後の空気流の温度が目標温度に近付くように作動圧力差を設定する。これにより、熱負荷が高く吸入圧力制御では容量制御が不可能になるような場合でも、差圧制御による容量制御によって、空調システムより空調される車室等の空調状態が快適に保たれる。
請求項17の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、車両の内外の熱負荷及び可変容量圧縮機の回転数が所定値以上であるときに、制御対象設定手段が第1制御モードではなく第2制御モードを実行し、当該第2制御モードにて、蒸発器を通過した直後の空気流の温度が目標温度に近付くように作動圧力差を設定する。これにより、熱負荷が高く吸入圧力制御では容量制御が不可能になるような場合でも、差圧制御による容量制御によって、空調システムより空調される車室等の空調状態が快適に保たれる。一方、第2制御モードの実行条件を車両の内外の熱負荷及び可変容量圧縮機の回転数が所定値以上にあるときに限定することで、不必要な第2制御モードの実行が防止され、車室の空調状態が快適に保たれる。
請求項18の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、制御対象設定手段が、前記ホットガスヒータサイクルの作動中、第2制御モードを実行する。第2制御モードは、吸入圧力を制御対象としていないため、空調システムに暖房運転をさせるような低温環境下でも、吐出容量が最適に制御され、空調システムにより空調される車室等が快適に保たれる。
請求項19の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、空気加熱用熱交換器を通過した直後の空気流の温度が目標温度に近付くように吐出容量がフィードバック制御される。このため、この容量制御システムを適用した空調システムにより空調が行われる例えば車室の温度の制御精度が向上する。
請求項20の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、吐出圧力検知手段を、冷凍サイクル及びホットガスヒータサイクルに共通に含まれる循環路の吐出圧力領域の部分に配置することにより、吐出圧力検知手段が、冷凍サイクル及びホットガスヒータサイクルのうち何れが作動しているときでも機能する。
請求項21の可変容量圧縮機の容量制御システムでは、吐出圧力領域の圧力が異常に上昇するのが防止され、可変容量圧縮機及び空調システムの信頼性が確保される。
以下、第1実施形態の可変容量圧縮機の容量制御システムAについて説明する。
図1は、容量制御システムAが適用された車両用空調システムの冷凍サイクル10を示し、冷凍サイクル10は、作動流体としての冷媒が循環する循環路12を備える。循環路12には、冷媒の流動方向でみて、圧縮機100、放熱器(凝縮器)14、膨張器(膨張弁)16及び蒸発器18が順次介挿され、圧縮機100が作動すると、循環路12を冷媒が循環する。すなわち、圧縮機100は、冷媒の吸入工程、吸入した冷媒の圧縮工程及び圧縮した冷媒の吐出工程からなる一連のプロセスを行う。
蒸発器18は、車両用空調システムの空気回路の一部も構成しており、蒸発器18を通過する空気流は、蒸発器18内の冷媒によって気化熱を奪われることにより、冷却される。
第1実施形態の容量制御システムAが適用される圧縮機100は可変容量圧縮機であり、例えば斜板式のクラッチレス圧縮機である。圧縮機100はシリンダーブロック101を備え、シリンダーブロック101には、複数のシリンダボア101aが形成されている。シリンダーブロック101の一端にはフロントハウジング102が連結され、シリンダーブロック101の他端には、バルブプレート103を介してリアハウジング(シリンダヘッド)104が連結されている。
シリンダーブロック101及びフロントハウジング102はクランク室105を規定し、クランク室105内を縦断して駆動軸106が延びている。駆動軸106は、クランク室105内に配置された環状の斜板107を貫通し、斜板107は、駆動軸106に固定されたロータ108と連結部109を介してヒンジ結合されている。従って、斜板107は、駆動軸106に沿って移動しながら傾動可能である。
ロータ108と斜板107との間を延びる駆動軸106の部分には、斜板107を最小傾角に向けて付勢するコイルばね110が装着され、斜板107を挟んで反対側の部分、即ち斜板107とシリンダーブロック101との間を延びる駆動軸106の部分には、斜板107を最大傾角に向けて付勢するコイルばね111が装着されている。
駆動軸106は、フロントハウジング102の外側に突出したボス部102a内を貫通し、駆動軸106の外端には、動力伝達装置としてのプーリ112に連結されている。プーリ112は、ボール軸受113を介してボス部102aによって回転自在に支持され、外部駆動源としてのエンジン114との間にベルト115が架け回される。
ボス部102aの内側には軸封装置116が配置され、フロントハウジング102の内部と外部とを遮断している。駆動軸106はラジアル方向及びスラスト方向にベアリング117,118,119,120によって回転自在に支持され、エンジン114からの動力がプーリ112に伝達され、プーリ112の回転と同期して回転可能である。
シリンダボア101a内にはピストン130が配置され、ピストン130には、クランク室105内に突出したテール部が一体に形成されている。テール部に形成された凹所130a内には一対のシュー132が配置され、シュー132は斜板107の外周部に対し挟み込むように摺接している。従って、シュー132を介して、ピストン130と斜板107とは互いに連動し、駆動軸106の回転によりピストン130がシリンダボア101a内を往復動する。
リアハウジング104には、吸入室140及び吐出室142が区画形成され、吸入室140は、バルブプレート103に設けられた吸入孔103aを介してシリンダボア101aと連通可能である。吐出室142は、バルブプレート103に設けられた吐出孔103bを介してシリンダボア101aと連通している。なお、吸入孔103a及び吐出孔103bは、図示しない吸入弁及び吐出弁によってそれぞれ開閉される。
シリンダーブロック101の外側にはマフラ150が設けられ、マフラケーシング152は、シリンダーブロック101に一体に形成されたマフラベース101bに図示しないシール部材を介して接合されている。マフラケーシング152及びマフラベース101bはマフラ空間154を規定し、マフラ空間154は、リアハウジング104、バルブプレート103及びマフラベース101bを貫通する吐出通路156を介して吐出室142と連通している。
マフラケーシング152には吐出ポート152aが形成され、マフラ空間154には、吐出通路156と吐出ポート152aとの間を遮るように逆止弁200が配置されている。具体的には、逆止弁200は、吐出通路156側の圧力とマフラ空間154側の圧力との圧力差に応じて開閉し、圧力差が所定値より小さい場合閉作動し、圧力差が所定値より大きい場合開作動する。
したがって吐出室142は、吐出通路156、マフラ空間154及び吐出ポート152aを介して循環路12の往路部分と連通可能であり、マフラ空間154は逆止弁200によって断続される。一方、吸入室140は、リアハウジング104に形成された吸入ポート104aを介して循環路12の復路部分と連通している。
リアハウジング104には、容量制御弁(電磁制御弁)300が収容され、容量制御弁300は給気通路160に介挿されている。給気通路160は、吐出室142とクランク室105との間を連通するようにリアハウジング104からバルブプレート103を経てシリンダーブロック101にまで亘っている。
一方、吸入室140は、クランク室105と抽気通路162を介して連通している。抽気通路162は、駆動軸106とベアリング119,120との隙間、空間164及びバルブプレート103に形成された固定オリフィス103cからなる。
また、吸入室140は、リアハウジング104に形成された感圧通路166を通じて、給気通路160とは独立して容量制御弁300に接続されている。
より詳しくは、図2に示したように、容量制御弁300は、弁ユニットと弁ユニットを開閉作動させる駆動ユニットとからなる。弁ユニットは、円筒状の弁ハウジング301を有し、弁ハウジング301の一端には入口ポート(弁孔301a)が形成されている。弁孔301aは、給気通路160の上流側部分を介して吐出室142と連通し、且つ、弁ハウジング301の内部に区画された弁室303に開口している。
弁室303内には、円柱状の弁体304が収容されている。弁体304は、弁室303内を弁ハウジング301の軸線方向に移動可能であり、弁ハウジング301の端面に当接することで弁孔301aを閉塞可能である。すなわち、弁ハウジング301の端面は弁座として機能する。
また、弁ハウジング301の外周面には出口ポート301bが形成され、出口ポート301bは、給気通路160の下流側部分を介してクランク室105と連通する。出口ポート301bも弁室303に開口しており、弁孔301a、弁室303及び出口ポート301bを通じて、吐出室142とクランク室105とは連通可能である。
駆動ユニットは円筒状のソレノイドハウジング310を有し、ソレノイドハウジング310は弁ハウジング301の他端に同軸的に連結されている。ソレノイドハウジング310の開口端は、エンドキャップ312によって閉塞され、ソレノイドハウジング310内には、ボビン314に巻回されたソレノイド316が収容されている。
またソレノイドハウジング310内には、同心上に円筒状の固定コア318が収容され、固定コア318は、弁ハウジング301からエンドキャップ312に向けてソレノイド316の中央まで延びている。固定コア318のエンドキャップ312側はスリーブ320によって囲まれ、スリーブ320は、エンドキャップ312側に閉塞端を有する。
固定コア318は、中央に挿通孔318aを有し、挿通孔318aの一端は弁室303に開口している。また、固定コア318とスリーブ320の閉塞端との間には、円筒状の可動コア322を収容する可動コア収容空間324が規定され、挿通孔318aの他端は、可動コア収容空間324に開口している。
挿通孔318aには、ソレノイドロッド326が摺動可能に挿通され、ソレノイドロッド326の一端に弁体304が一体且つ同軸的に連結されている。ソレノイドロッド326の他端は可動コア収容空間324内に突出し、ソレノイドロッド326の他端部は、可動コア322に形成された貫通孔に嵌合され、ソレノイドロッド326と可動コア322とは一体化されている。また、可動コア322の段差面と固定コア318の端面との間には、開放ばね328が配置され、可動コア322と固定コア318との間には所定の隙間が確保されている。
可動コア322、固定コア318、ソレノイドハウジング310及びエンドキャップ312は磁性材料で形成され、磁気回路を構成する。スリーブ320は非磁性材料のステンレス系材料で形成されている。
ソレノイドハウジング310には感圧ポート310aが形成され、感圧ポート310aには、感圧通路166を介して吸入室140が接続されている。固定コア318の外周面には、軸線方向に延びる感圧溝318bが形成され、感圧ポート310aと感圧溝318bとは互いに連通している。従って、感圧ポート310a及び感圧溝318bを通じて、吸入室140と可動コア収容空間324とが連通し、ソレノイドロッド326を介して、弁体304の背面側には、閉弁方向に吸入室140の圧力(以下、吸入圧力Psと呼ぶ)が作用する。
容量制御弁300にあっては、好ましくは、弁体304が弁孔301aを閉じた時に吐出室142の圧力(以下、吐出圧力Pdと呼ぶ)が作用する弁体304の受圧面積(シール面積Svと呼ぶ)と、吸入圧力Psが作用する弁体304の面積、即ちソレノイドロッド326の断面積とが同等に形成される。この場合、弁体304には、開閉方向にクランク室105の圧力(以下、クランク圧力Pcと呼ぶ)は作用しない。
ソレノイド316には、圧縮機100の外部に設けられた制御装置400Aが接続され、制御装置400Aから制御電流Iが供給されると、ソレノイド316は電磁力F(I)を発生する。ソレノイド316の電磁力F(I)は、可動コア322を固定コア318に向けて吸引し、弁体304に対して閉弁方向に作用する。
図3は、制御装置400Aを含む容量制御システムAの概略構成を示したブロック図である。
容量制御システムAは1つ以上の外部情報を検知する外部情報検知手段を有し、外部情報検知手段は、吐出圧力検知手段500及び目標吐出圧力設定手段502を含む。
吐出圧力検知手段500は、冷凍サイクル10の吐出圧力領域の何れかの部位にて冷媒の圧力(吐出圧力Pd)を検知する手段である。例えば、吐出圧力検知手段500としての圧力センサ500aは、放熱器14の入口側に装着され、当該部位における冷媒の圧力を吐出圧力Pdとして検知し、制御装置400Aに入力する(図1参照)。
目標吐出圧力設定手段502は、吐出圧力Pdの目標値である目標吐出圧力Pdset2を設定し、制御装置400Aに入力する。目標吐出圧力設定手段502は、例えば、空調システム全体の動作を制御するエアコン用ECUの一部により構成することができる。
なお、冷凍サイクル10の吐出圧力領域とは、吐出室142から放熱器14の入口までの領域をさす。これに対し、冷凍サイクル10の吸入圧力領域とは、蒸発器18の出口から吸入室140に亘る領域をさす。また、吐出圧力領域には、圧縮工程にあるシリンダボア101aも含まれ、吸入圧力領域には、吸入工程にあるシリンダボア101aも含まれる。
また、外部情報検知手段は、蒸発器出口空気温度検知手段510及び蒸発器目標出口空気温度設定手段512を含む。
蒸発器出口空気温度検知手段510は、車両用空調システムの空気回路における蒸発器18の出口での空気流の温度Teoを検知して制御装置400Aに入力する手段であり、温度センサ510aによって構成される。温度センサ510aは、空気回路における蒸発器18の出口に設置され、蒸発器18を通過した直後の空気温度Teoを検知する(図1参照)。
蒸発器目標出口空気温度設定手段512は、車室内温度設定を含む種々の外部情報に基づいて、圧縮機100の吐出容量制御の目標となる蒸発器18の出口での空気温度Teoの目標値(蒸発器目標出口空気温度)Tsetを設定して制御装置400Aに入力する手段である。
目標吐出圧力設定手段502及び蒸発器目標出口空気温度設定手段512は、例えば、空調システム全体の動作を制御するエアコン用ECUの一部により構成することができる。
更に、外部情報検知手段は、目標トルク設定手段520を含み、目標トルク設定手段520は目標トルクTrsetを設定して制御装置400Aに入力する。目標トルクTrsetは、作動中の圧縮機100の駆動負荷であるトルクTrの目標値であり、エンジン114を制御するためのエンジン用ECU又はエアコン用ECUからの指令に基づいて設定される。目標トルク設定手段520は、例えば、エンジン用ECU又はエアコン用ECUの一部により構成することができる。
また更に、外部情報検知手段は、エアコン(A/C)スイッチセンサ530、アクセル開度センサ532、及び、エンジン回転数センサ534を含む。
エアコン(A/C)スイッチセンサ530は、空調システム(冷凍サイクル10)の電源スイッチがオン状態であるかオフ状態であるかを検知して制御装置400Aに入力する。アクセル開度センサ532は車両のアクセル開度を検知して制御装置400Aに入力する。エンジン回転数センサ534は、エンジン114の回転数を検知して制御装置400Aに入力する。
制御装置400Aは、例えば、独立したECU(電子制御ユニット)によって構成されるが、エアコン用ECU又はエンジン用ECUに含ませてもよい。また、目標吐出圧力設定手段502、蒸発器出口空気温度検知手段510、蒸発器目標出口空気温度設定手段512、及び、目標トルク設定手段520を制御装置400Aに含ませてもよい。
制御装置400Aは、制御対象設定手段402A、制御信号演算手段404及びソレノイド駆動手段406を有する。
制御対象設定手段402Aは、2つ以上の制御モードに基づいて制御対象を設定可能であり、外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて1つの制御モードを選択し、選択した制御モードに則して制御対象を設定する。本実施形態では、制御対象設定手段402Aは、第1制御モード、第2制御モード及び第3制御モードを実行可能である。
制御信号演算手段404は、制御対象設定手段402Aで設定された制御対象に基づいて、所定の演算式により、吐出容量制御信号を演算する。吐出容量制御信号は、ソレノイド駆動手段406により容量制御弁300のソレノイド316に供給される電流(制御電流I)を調整するための信号であり、例えば、ソレノイド316に供給される制御電流Iの電流値そのものに対応する信号である。ただし、ソレノイド駆動手段406における制御電流Iの調整が、所定の駆動周波数(例えば400〜500Hz)のPWM(パルス幅変調)にてデューティ比を変更することにより行われる場合には、吐出容量制御信号は、デューティ比に対応する信号であってもよい。
ソレノイド駆動手段406は、制御信号演算手段404で演算された制御電流I又はデューティ比にて容量制御弁300のソレノイド316に電流を供給する。なお、ソレノイド駆動手段406は、PMWにてデューティ比を変更する場合には、ソレノイド316に流れる電流を検出して、これが制御信号演算手段404で演算された制御電流Iの電流値となるようにフィードバック制御する。
より詳しくは、制御対象設定手段402Aにおける制御モードの選択は、外部情報として、例えば、吐出圧力Pd、車両の運転状況、車両の内外の熱負荷、又は、これらのうち複数に基づいて行われる。
第1制御モードの制御対象は吸入圧力Psであり、第1制御モードでは、吸入圧力Psの目標値である目標吸入圧力Pssetが設定される。具体的には、第1制御モードでは、蒸発器出口空気温度検知手段510によって実際に検知された蒸発器出口空気温度Teoと、蒸発器目標出口空気温度設定手段512によって設定された蒸発器目標出口空気温度Tsetとの偏差ΔTに基づいて、目標吸入圧力Pssetが設定される。
第2制御モードの制御対象は、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差(作動圧力差ΔPw)であり、第2制御モードでは、作動圧力差ΔPwの目標値である目標作動圧力差ΔPwsetが設定される。具体的には、目標作動圧力差ΔPwsetは、可変容量圧縮機100のトルクTrの目標値である目標トルクTrsetに基づいて演算される。
第3制御モードの制御対象は吐出圧力Pdであり、第3制御モードでは、吐出圧力Pdの目標値である目標吐出圧力Pdset2が設定される。
すなわち容量制御システムAは、制御対象設定手段402Aが第1制御モードを実行するとき吐出容量を吸入圧力制御方式にて制御し、第2制御モードを実行するときには吐出容量を差圧制御方式にて制御する。
以下、上述した容量制御システムAの動作(使用方法)を説明する。
図4は制御装置400Aが実行するメインルーチンを示したフローチャートである。メインルーチンは、例えば車両のエンジンキーがオン状態になると起動され、オフ状態になると停止される。
このメインルーチンでは、起動すると先ず、初期条件が設定される(S10)。具体的には、フラグF1,F2,F3,フラグN及び経過時間ta,tbがゼロに設定される。また、容量制御弁300のソレノイド316に供給される制御電流Iは、圧縮機100の吐出容量が最小容量となるIに設定される。Iはゼロであってもよい。
次に、車両用空調システムのエアコンスイッチ(A/C)がオンであるか否かが判定される(S11)。即ち、乗員が、車室の冷房又は除湿を要求しているか否かが判定される。エアコンスイッチがオンの場合(Yesの場合)、吐出圧力検知手段500により検知された吐出圧力Pdが読み込まれる(S12)。
それから、読み込んだ吐出圧力Pdと予め設定されている吐出圧力上限値Pdset1とが比較判定される(S13)。この判定結果で、吐出圧力Pdが吐出圧力上限値Pdset1以下である場合(Yesの場合)、フラグF1が0であるか否かが判定される(S14)。
初期条件ではフラグF1が0であるので判定結果はYesとなる。よって次に、フラグNが0であるか否かが判定される(S20)。フラグNの初期値は0であるため、判定結果はYesとなり、フラグNが1に設定されるとともに(S21)、タイマがスタートさせられて経過時間taが計測される(S22)。この後、差圧制御ルーチンS23が実行される。
差圧制御ルーチンS23の実行後にはS11に戻り、S11、S13及びS14の判定結果がYesであれば、S20に至る。S20では、先にフラグNが1に設定されたため、その判定結果がNoとなり、経過時間taが0であるか否かが判定される(S24)。S22でタイマがスタートさせられたため、経過時間taは0ではなく、その判定結果はNoとなる。
それから、経過時間taが予め設定された所定の時間ta1以下であるか否であるか判定され(S25)、その判定結果がYesの場合、再び差圧制御ルーチンS23が実行される。すなわち、エアコンスイッチがオンの状態になってから所定時間ta1の間、差圧制御ルーチンS23が実行される。
一方、経過時間taが所定時間ta1を超えてS25の判定結果がNoの場合、即ちタイマがタイムアップした場合、タイマが停止されて経過時間taが0に設定され(S26)、アクセル開度がAccとして読み込まれる(S27)。この後、アクセル開度Accが0であるか否かが判定され(S28)、その判定結果がYesの場合、エンジン回転数がNcとして読み込まれる(S29)。
それから、エンジン回転数Ncが所定の回転数N1以下であるか否かが判定され(S30)、その判定結果がYesの場合、フラグF2及び経過時間tbがそれぞれ0に設定されてから(S31)、差圧制御ルーチンS23が実行される。ここで、回転数N1は、アイドリング回転数と同等かそれよりも若干大きな値に設定されており、車両がアイドリング状態にあるときに、S30での判定(アイドリング判定)結果がYesとなる。従って、車両がアイドリング状態にあるとき、差圧制御ルーチンS23が実行される。
一方、S30の判定結果がNoの場合、即ち、車両がアイドリング状態でない場合には、アクセル開度Accが所定の開度Accs1以下であるか否かが判定される(S32)。この判定結果がNoの場合、フラグF2が0であるか否かが判定される(S33)。判定結果がYesの場合、フラグF2が1に設定され(S34)、タイマがスタートさせられて経過時間tbが計測される(S35)。
S35でのタイマのスタート後、経過時間tbは、所定の時間tb1以下であるか否かが判定され(S36)、その判定結果がYesの場合、差圧制御ルーチンS23が実行される。
この差圧制御ルーチンS23の実行後、S11等を経て再びS32の判定が実行され、S32の判定結果がYesの場合には、フラグF2がゼロであるか否かが判定される(S37)。先のS34において、フラグF2は1に設定されているため、S37の判定結果はNoとなり、再びS36の判定が実行される。すなわち、経過時間tbが時間tb1を超えてタイムアップするまで、差圧制御ルーチンS23が実行される。
一方、経過時間tbが時間tb1を超えると、S36の判定結果がNoとなり、タイマが停止されて経過時間tbが0に設定される(S38)とともに、フラグF2が0に設定される(S39)。そして、吸入圧力制御ルーチンS40が実行される。吸入圧力制御ルーチンS40は、S37の判定結果がYesの場合にも実行される。
なお、S33の判定結果がNoの場合には、S34及びS35をスキップしてS36が実行される。
一方、S13の判定結果がNoの場合、すなわち、吐出圧力Pdが吐出圧力上限値Pdset1を超えている場合、フラグF1が1に設定されるとともに、フラグF2,F3及び経過時間ta,tbが0に設定される(S42)。そしてこの後、吐出圧力制御ルーチン(保護制御)S43が実行される。つまり、吐出圧力Pdが吐出圧力上限値Pdset1を超えている場合、吐出圧力制御ルーチンS43が、吸入圧力制御ルーチンS40や差圧制御ルーチンS23に優先して実行される。
なお、エアコンスイッチがオフにされS11の判定結果がNoになると、フラグF1,F2,F3,N、経過時間ta,tb及び制御電流Iがリセットされる(S18)。
上述したように、第1実施形態の容量制御システムAは、吸入圧力制御ルーチンS40、差圧制御ルーチンS23及び吐出圧力制御ルーチンS43のうち何れか一つを選択的に実行可能である。
図5は、図4中の吸入圧力制御ルーチンS40の詳細を示すフローチャートである。吸入圧力制御ルーチンS40では、まず、フラグF3が0であるか否かが判定される(S100)。初期条件ではフラグF3は0であるので判定結果はYesとなり、タイマがスタートさせられて経過時間tcが計測され(S101)、フラグF3が1に設定される(S102)。
それから、目標吸入圧力設定ルーチンS103にて、制御目標となる目標吸入圧力Pssetが設定される。この後、S103で設定された目標吸入圧力Pssetと、吐出圧力検知手段500で検知された吐出圧力Pdとから所定の演算式により、ソレノイド316へ通電される制御電流Iが演算される(S104)。例えば図5に示したように、制御電流Iは、吐出圧力Pdと目標吸入圧力Pssetとの差に比例定数a1を乗じた値に定数a2を足した値として演算される。
S104で演算された制御電流Iは、予め設定された下限値I1と比較判定される(S105)。S105の判定の結果、演算された制御電流Iが下限値I1よりも小さい場合(Noの場合)、下限値I1が制御電流値Iとして読み込まれ(S106)、制御電流Iがソレノイド316に出力される(S107)。
一方、S105の判定の結果、演算された制御電流Iが下限値I1以上であれば(Yesの場合)、予め設定された下限値I1より大きい上限値I2と演算された制御電流Iが比較判定される(S108)。S108の判定の結果、制御電流値Iが上限値I2を超えていれば(Noの場合)、上限値I2が制御電流Iとして読み込まれ(S109)、制御電流Iがソレノイド316に出力される(S107)。
従って、S105及びS106の判定の結果、I1≦I≦I2であれば、S104で演算された制御電流Iがそのままソレノイド316に出力される(S107)。
S107の後、制御装置400Aは吸入圧力制御ルーチンS40からメインルーチンに戻り、S12で、吐出圧力検知手段500によって再び検知された吐出圧力Pdが読み込まれる。それから、S13及びS14の判定結果がYesであれば、2回目の吸入圧力制御ルーチンS40が実行される。
2回目の吸入圧力制御ルーチンS40では、前回のS102でフラグF3が1に設定されたためS100の判定結果がNoとなり、タイマにより計測された経過時間tcが所定時間tc1に到達したか否かが判定される(S110)。S110の判定の結果、タイマのスタートから所定時間tc1経過していなければ(Yesの場合)、前回のS103で設定された目標吸入圧力PssetとS12で再び読み込まれた吐出圧力Pdから制御電流Iが演算される(S104)。この後、初回と同様にS107を経由し、制御装置400Aはメインルーチンに戻る。
一方、タイマの経過時間tcが所定時間tc1を超えると、S110の判定結果がNoとなり、タイマがリセットされ(S111)、フラグF3が0に設定される(S112)。つまり目標吸入圧力Pssetは所定時間tc1毎に更新される。この更新時間としての所定時間tc1は、例えば5秒に設定される。
つまり吸入圧力制御ルーチンS40は、常時吐出圧力Pdを読込み、変動する吐出圧力Pdに応じて制御電流Iを演算・調整するものであり、目標吸入圧力Pssetは所定時間tc1ごとに間欠的に更新される。
図6は、図5中の目標吸入圧力設定ルーチンS103の詳細を示すフローチャートであり、目標吸入圧力設定ルーチンS103は、制御対象設定手段402Aの第1制御モードに対応する。
具体的には、目標吸入圧力設定ルーチンS103では、まず圧縮機100の吐出容量制御の目標となる蒸発器目標出口空気温度Tsetが設定され読み込まれる(S200)。次に、蒸発器出口空気温度検知手段510により検知された蒸発器出口空気温度Teoが読み込まれ(S201)、蒸発器目標出口空気温度設定手段512で設定された蒸発器目標出口空気温度Tsetと、蒸発器出口空気温度検知手段510で検知された実際の蒸発器出口空気温度Teoとの偏差ΔTが演算される(S202)。そして、演算された偏差ΔTに基づいて、例えばPI制御のための所定の演算式により目標吸入圧力Pssetが演算される(S203)。
なお、S203の演算式中、目標吸入圧力Pssetが含まれているが、目標吸入圧力Pssetの初期値は、例えば、外気温度Tambに応じて次式により設定される。
Psset=K1・Tamb+K2 (K1,K2は定数)
また、目標吸入圧力設定ルーチンS103を1回実行するごとに、S202で偏差ΔTが演算され、S203の演算式中の偏差ΔTの添字nは、偏差ΔTが今回のS202で演算されたものであることを示す。同様に添字n−1は、偏差ΔTが前回のS202で演算されたものであることを示す。
この後、演算された目標吸入圧力Pssetと予め設定された下限値Ps1とが比較判定される(S204)。S204の判定の結果がNoであれば下限値Ps1が目標吸入圧力Pssetとして読み込まれる(S205)。
一方、S204の判定の結果がYesであれば、予め設定されたPs1より大きい上限値Ps2とPssetが比較判定され(S206)、S206の判定結果がNoであれば、上限値Ps2が目標吸入圧力Pssetとして読み込まれる(S207)。
従って、S204及びS206の判定の結果、Ps1≦Psset≦Ps2であれば、S203で演算された目標吸入圧力Pssetがそのまま目標吸入圧力Pssetとして読み込まれる。
図7は、図4中の差圧制御ルーチンS23を示し、差圧制御ルーチンS23では、制御対象設定手段402Aが、第2制御モードを実行して目標作動圧力差ΔPwsetを設定する。目標作動圧力差ΔPwsetは、作動圧力差ΔPwの目標であり、作動圧力差ΔPwとは、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差(Pd−Ps)である。
具体的には、制御対象設定手段402Aは、目標トルク設定手段520で設定された目標トルクTrsetを読み込み(S300)、そして、目標トルクTrsetに基づいて、所定の演算式により目標作動圧力差ΔPwsetを演算する(S301)。具体的な演算式は、ΔPwset=c1・(Trset−c2)0.5+c3であり、演算式中のc1、c2、c3はそれぞれ定数である。つまり、トルクTrは作動圧力差ΔPwと相関があり、目標トルクTrsetから、目標作動圧力差ΔPwsetを設定することができる。
この後、設定された目標作動圧力差ΔPwsetに基づいて、所定の演算式により、ソレノイド316へ通電される制御電流Iが演算される(S302)。例えば制御電流Iは、目標作動圧力差ΔPwsetに比例定数a1を乗じた値に定数a2を足した値として演算される。
S302で演算された制御電流Iは、予め設定された下限値I3と比較判定される(S303)。S303の判定の結果、演算された制御電流Iが下限値I3よりも小さい場合(Noの場合)、下限値I3が制御電流値Iとして読み込まれ(S304)、制御電流Iがソレノイド316に出力される(S305)。
一方、S303の判定の結果、演算された制御電流Iが下限値I3以上であれば(Yesの場合)、予め設定された下限値I3より大きい上限値I4と演算された制御電流Iが比較判定される(S306)。S306の判定の結果、制御電流値Iが上限値I4を超えていれば(Noの場合)、上限値I4が制御電流Iとして読み込まれ(S307)、制御電流Iがソレノイド316に出力される(S305)。
従って、S303及びS306の判定の結果、I3≦I≦I4であれば、S302で演算された制御電流Iがそのままソレノイド316に出力される(S305)。
上述した差圧制御ルーチンS23によれば、目標トルクTrsetに基づいて目標作動圧力差ΔPwsetが設定され、目標作動圧力差ΔPwsetに基づいて制御電流Iが演算される。これにより、差圧制御ルーチンS23では、圧縮機100のトルクTrが目標トルクTrsetに近付くように吐出容量が制御される。
すなわち、差圧制御ルーチンS23は、車両の運転状態等に応じて圧縮機100のトルクTrを調整するものであり、ある程度の空調能力を確保しながら、車両の走行性能の確保することやエンジン制御の安定化に寄与する。
そして、容量制御システムAは、例えば、車両用空調システムの起動時、車両のアイドリング時又は加速時に差圧制御ルーチンS23を選択して実行することができ、目標トルク設定手段520は、それぞれの場合において異なる目標トルクTrsetを設定してもよい。換言すれば、目標トルク設定手段520は、起動モード、アイドリングモード及び加速モードのうち、何れか1つのモードに基づいて目標トルクTrsetを設定することができる。
より詳しくは、空調システムを起動にしたときに選択される起動モードの場合、図8の左側のグラフに示したように、目標トルクTrsetは、エアコンスイッチをオンにした時(t=ta0)に起動初期目標トルクTrs0に設定され、時間の経過とともに、起動後目標トルクTrs1まで徐々に増大される。
なお、起動後目標トルクTrs1は、起動初期目標トルクTrs0よりも大きい値に設定されるが、図8の右側のグラフに示したように、外気温度が低いほど起動後目標トルクTrs1を低く設定し、外気温度が高いほど起動後目標トルクTrs1を高く設定してもよい。
このような起動モードは、圧縮機100の起動時のトルクTrが調整され、エンジン制御の安定化に寄与する。
車両のアイドリング時に選択されるアイドリングモードの場合、目標トルクTrsetは、アイドリング目標トルクTrs2に設定される。アイドリング目標トルクTrs2も、図9に示したように、外気温度が低いほど低く設定し、外気温度が高いほど高く設定してもよい。
アイドリングモードは、車両がアイドリング状態にあるときのエンジン回転数の安定化に寄与する。
なお、車両がアイドリングしていると判定される場合は、メインルーチンのS28でアクセル開度Accが0であり、S30でエンジン回転数Ncが所定の回転数N1以下であると判定された場合であるが、車両が渋滞時に低速で走行しているようなときも、アイドリング状態にあると判定するようにしてもよい。
車両がアイドリング状態にあるか否かを判定する手段としては、アクセル開度センサ532、エンジン回転数センサ534の他にも、圧縮機100の回転数センサ、車速センサ、車両停止信号センサ、ギアシフト位置センサ等を適宜組み合わせて用いることができる。
車両の加速時に選択される加速モードの場合、目標トルクTrsetを一定の値に設定してもよいが、図10に示したように、アクセル開度Accに応じて可変としてもよい。すなわち、第1加速目標トルクTrs3と第2加速目標トルクTrs4との間の値に設定してもよい。そしてこの場合、アクセル開度Accが所定の開度Accs1を超えている範囲では、アクセル開度Accが大きいほど目標トルクTrsetを低く設定してもよい。
なお、図10中の加速判定がYesである場合とは、メインルーチンのS32でアクセル開度Accが所定の開度Accs1よりも大きい場合であり、Noの場合とは、アクセル開度Accが所定の開度Accs1以下である場合である。加速モードは、加速判定の結果が一度Yesになると、S36で経過時間tbがタイムアップするまで実行される。このため、加速判定がNoの場合であっても、目標トルクTrsetが第2加速目標トルクTrs4に設定されることがあり得る。
このような加速モードは、車両の加速時、圧縮機100のトルクTrを低減してエンジン114の負荷を低減し、もって車両の加速性能の向上に寄与する。また、加速モードを加速終了から所定時間tb1維持することは、エンジン制御の安定化に大きく寄与する。
なお、アクセルの開度及びエンジン114の回転数のうち少なくとも一方が所定値以上であるときに加速モードを実行するようにしてもよい。エンジン回転数が所定の回転数を超えたときに加速モードを実行するようにすれば、車両の高速性能が確保される。
図11は、エアコンスイッチをオンにしてから一定時間経過するまでの目標トルクTrsetの変動の一例を示す図であり、エアコンスイッチがオンになったとき、差圧制御ルーチンS23の起動モードが実行される。従って、目標トルクTrsetは、起動初期目標トルクTrs0に設定される。
時間ta1が経過したとき、車両がアイドリングしていれば、差圧制御ルーチンS23のアイドリングモードが実行される。従って、目標トルクTrsetは、アイドリング目標トルクTrs2に設定され、その後、時間ta1をかけて、起動後目標トルクTrs1に設定される。
アイドリング状態から車両が加速し、アクセル開度Accが所定の開度Accs1を超えると、差圧制御ルーチンS23の加速モードが実行される。従って、目標トルクTrsetは、第1加速目標トルクTrs3に設定される。
この後、アクセル開度Accが所定の開度Accs1以下になっても、時間tb1が経過するまで、加速モードが実行される。なお、加速モードでの目標トルクTrsetが、図10に示すようにアクセル開度Accに対応して変化するように設定されている場合、アクセル開度Accが所定の開度Accs1以下になってから時間tb1が経過するまでの間、目標トルクTrsetは、第2加速目標トルクTrs4に設定される。
時間tb1が経過したときに後に、車両が一定速度で走行していると、吸入圧力制御ルーチンS40が実行される。なお、吸入圧力制御ルーチンS40が実行されている間は、目標トルクTrsetは設定されないため、図11中の一点鎖線は、圧縮機100の実際のトルクTrの変動を概略的に示している。実際のトルクTrは、目標吸入圧力Pssetが目標吸入圧力設定ルーチンS103のS203でPI制御にて徐々に補正されるのに伴い適当な値まで徐々に増加し、その後、適当な値を維持する。
それから、車両が停止して再びアイドリング状態になると、吸入圧力制御ルーチンS40から差圧制御ルーチンS23に切り替わり、差圧制御ルーチンS23のアイドリングモードが実行される。この切り替わる直前に、制御対象設定手段は、吸入圧力制御ルーチンS40で最後に設定された目標吸入圧力Pssetを記憶するのが好ましい。
そして、車両がアイドリング状態からゆっくり加速して定速走行すると、2回目の吸入圧力制御ルーチンS40が実行される。この2回目の吸入圧力制御ルーチンS40においては、S203の目標吸入圧力Pssetの初期値として、前回の空調制御ルーチンS40で最後に設定され記憶された目標吸入圧力Pssetを用いるのが好ましい。これにより、吸入圧力制御ルーチンS40が中断しても、中断後に再び吸入圧力制御ルーチンS40を実行するときに、短時間で最適な目標吸入圧力Pssetが得られ、車室の快適性が維持されるからである。
このように目標トルクTrsetは、吐出容量制御の目標ではあるが、圧縮機100の駆動負荷としてのトルクTrや動力に基づいて設定され、エンジン114側の要求に基づいて設定することができる。
図12は、図4中の吐出圧力制御ルーチンS43の詳細を示すフローチャートである。
吐出圧力制御ルーチンS43では、まず、目標吐出圧力設定手段502により設定された目標吐出圧力Pdset2が読込まれる(S400)。なお、目標吐出圧力Pdset2は、吐出圧力上限値Pdset1よりも小である(Pdset2<Pdset1)。
次に、目標吐出圧力Pdset2と吐出圧力検知手段500で検知された吐出圧力Pdとの偏差ΔPが演算される(S401)。この偏差ΔPに基づいて、例えばPID制御のための所定の演算式により、ソレノイド316へ通電される制御電流Iが演算される(S402)。
なお、吐出圧力制御ルーチンS43を1回実行するごとに、S401で偏差ΔPが演算され、S402の演算式中の偏差ΔPの添字nは、偏差ΔPが今回のS401で演算されたものであることを示す。同様に添字n−1は、偏差ΔPが前回のS401で演算されたものであることを示し、添字n−2は、偏差ΔPが前々回のS401で演算されたものであることを示す。
S402で演算された制御電流Iは、予め設定された下限値I5と比較判定される(S403)。S403の判定の結果、演算された制御電流Iが下限値I5よりも小であれば(Noの場合)、下限値I5が制御電流Iとして読み込まれ(S404)、制御電流Iが出力される(S405)。一方、S403の判定の結果がYesであれば、予め設定された下限値I5より大きい閾値Isetと演算された制御電流Iとが比較判定され(S406)、S406の判定の結果、演算された制御電流Iが閾値Iset以下であれば(Yesの場合)、演算された制御電流Iがそのままソレノイド316に出力される(S405)。
また、S406の判定結果がNoであれば、閾値Iset以上の上限値I6と演算された制御電流Iが比較判定され(S407)、S407の判定の結果、制御電流Iが上限値I6以下であれば(Yesの場合)、フラグF1が0に設定された後(S408)、制御電流Iがそのままソレノイド316に出力される(S405)。
S407の判定の結果がNoであれば、上限値I6が制御電流Iとして読み込まれてから(S409)、フラグF1が0に設定された後(S408)、制御電流Iが出力される(S405)。
以上説明したように、吐出圧力制御ルーチンS43は、目標吐出圧力Pdset2と、吐出圧力検知手段500で検知された吐出圧力Pdとの偏差ΔPを演算し、その偏差ΔPに基づいて、制御電流Iを補正して、吐出圧力Pdが目標吐出圧力Pdset2に近付くよう吐出容量を制御するものである。
なお、吐出圧力制御ルーチンS43の解除条件は閾値Isetで決定され、例えばIset=I6とすれば、吐出圧力制御ルーチンS43から吸入圧力制御ルーチンS40に切り替わった直後に再び吐出圧力制御ルーチンS43に移行するケースの発生を最も少なくできる。
上述した第1実施形態の容量制御システムAによれば、制御対象設定手段402Aが外部情報に基づいて第1制御モード、第2制御モード及び第3制御モードのうち何れかを選択的に実行可能である。そして、容量制御システムAは、第1制御モードにより吸入圧力制御を、第2制御モードにより差圧制御を、第3制御モードにより吐出圧力制御を実行可能である。
従ってこの容量制御システムAによれば、状況に応じて制御方式を切り換えることにより、吐出容量の最適化が可能である。
具体的には、容量制御システムAでは、通常時には、車室の快適性を重視した空調を行うべく吸入圧力制御を実行することにより吐出容量制御をし、車両の加速時や登坂時等の過渡的な制御が必要なときには、可変容量圧縮機100のトルク制御を重視した差圧制御により吐出容量を制御することができる。一方、吐出圧力制御を実行することにより、吐出圧力領域の圧力である吐出圧力Pdが異常に上昇するのが防止され、可変容量圧縮機100及び空調システムの信頼性が確保される。
容量制御システムAによれば、制御対象設定手段402Aが第1制御モードを実行したときには、制御信号演算手段404が吐出圧力領域の圧力である吐出圧力Pdと目標吸入圧力Pssetとに基づいて吐出容量制御信号を演算するため、簡単な構成の容量制御弁300を用いても、吸入圧力制御を実行可能である。
なお、吐出圧力検知手段500は、可変容量圧縮機100及び空調システムの保護のため従来から必須の構成であり、本発明のために新たに追加するものではない。このため、この容量制御システムAを適用することにより空調システムの構成が複雑になることはない。
容量制御システムAによれば、吐出圧力Pdと、目標吸入圧力Pssetとの差に基づいて吐出容量制御信号が演算されることにより吸入圧力領域の圧力である吸入圧力Psが目標吸入圧力Pssetに近付くように、吐出容量が確実に制御される。
容量制御システムAによれば、吸入圧力制御により、蒸発器18を通過した直後の空気流の温度Teoが蒸発器目標出口空気温度Tsetに近付くように吐出容量がフィードバック制御される。このため、この容量制御システムAを適用した空調システムにより空調が行われる例えば車室の温度の制御精度が向上する。
容量制御システムAによれば、差圧制御により、可変容量圧縮機100のトルクTrを目標トルクTrsetに近付けることが可能となり、エンジン制御の安定性や車両の走行性能の確保という観点から容量制御を行うことが可能である。
容量制御システムAによれば、差圧制御により、空調システムが非作動状態から作動状態に切り替わったときに、可変容量圧縮機100のトルクTrを目標トルクTrsetに近付けることが可能となり、エンジン制御の安定性が確保される。
容量制御システムAによれば、第2制御モード即ち差圧制御が所定時間tb1だけ維持されることにより、エンジン制御の安定性が確保される。
容量制御システムAによれば、車両がアイドリング状態にあるとき、可変容量圧縮機100のトルクTrを目標トルクTrsetに近付けることが可能となり、エンジン制御の安定性が確保される。
容量制御システムAによれば、記憶していた目標吸入圧力Pssetに基づいて新たに目標吸入圧力Pssetを設定することにより、空調システムにより空調される車室等の空調状態が、第2制御モードの解除後、先の第1制御モードでの空調状態まで迅速に回復する。
容量制御システムAでは、上限値Ps2及び下限値Ps1により目標吸入圧力Pssetの設定範囲を制限することにより、目標吸入圧力Pssetが適正な範囲に設定される。特に、目標吸入圧力Pssetに下限値Ps1を設けることにより、冷媒不足時の吐出容量制御点が決定される。すなわち、冷媒不足時でも、吐出容量が最大になるのが確実に防止され、圧縮機100の破損が防止される。
容量制御システムAによれば、差圧制御ルーチンS23の実行中、制御電流Iを上限値I4以下に制限することにより、この上限値I4に対応して可変容量圧縮機100のトルクTrを制限することができる。
容量制御システムAは、吸入圧力制御ルーチンS40の実行中、吸入圧力Psを制御対象としている。このため、冷媒不足により吸入圧力Psが低下したときには、吸入圧力Psが目標吸入圧力Pssetを維持するよう、吐出容量が減少させられ、最終的には最小容量に移行する。この結果として、容量制御弁300が従来のベローズ等により構成される感圧部材を有しない簡素な構造であっても、冷媒不足時に吐出容量が最大容量になることが回避され、圧縮機100が保護される。
容量制御システムAでは、1つの容量制御弁300により、吸入圧力制御及び差圧制御を実行可能である。
容量制御システムAでは、吸入圧力Psを制御対象としても、吸入圧力Psの制御範囲が広い。これは以下の理由による。
容量制御弁300において、弁体304に作用する力は、吐出圧力Pdと、吸入圧力Psと、ソレノイド316の電磁力F(I)と、開放ばね328の付勢力fsであり、吐出圧力Pd及び開放ばね328の付勢力fsは開弁方向、それ以外の吸入圧力Ps及びソレノイド316の電磁力F(I)は、開弁方向とは対抗する閉弁方向に作用する。
この関係は、式(1)で示され、式(1)を変形すると式(2)となる。これらの式(1)、(2)から、吐出圧力Pdと、電磁力F(I)即ち制御電流Iが決まれば、吸入圧力Psが決まることがわかる。
Figure 2009007945
このような関係に基づけば、図13に示したように、目標吸入圧力Pssetを予め決定し、変動する吐出圧力Pdの情報がわかれば、発生させるべき電磁力F(I)つまり制御電流Iの値を演算できる。そして、ソレノイド316への通電量をこの演算された制御電流Iに基づいて調整すれば、吸入圧力Psが目標吸入圧力Pssetに近付くように弁体304が動作し、クランク圧力Pcが調整される。すなわち、吸入圧力Psが目標吸入圧力Pssetを近付くように吐出容量が制御される。
このように吸入圧力Psを目標吸入圧力Pssetに近付けるような制御では、図13を参照すれば、吐出圧力Pdの高低に応じて、吸入圧力Psの制御範囲を高低スライド可能である。すなわち、任意の吐出圧力Pd1のときの吸入圧力Psの制御範囲は、吐出圧力Pd1よりも低い吐出圧力Pd2のときの吸入圧力Psの制御範囲よりも高圧側にスライドさせられる。
また式(1)、(2)から、シール面積Svを小さく設定すれば、小さな電磁力F(I)で、任意の吐出圧力Pdにおける目標吸入圧力Pssetの制御範囲を拡大可能であることがわかる。上記目標吸入圧力Pssetの制御範囲のスライドと、この制御範囲の拡大との相乗効果を発揮させれば、目標吸入圧力Pssetの制御範囲が大幅に拡大される。
なお、ソレノイド316への通電量を増加させると、吸入圧力Psを低下させることができる。一方、ソレノイド316への通電量をゼロとすれば、開放ばね328の付勢力fsにより弁体304が離間して弁孔301aが強制開放される。これにより吐出室142からクランク室105に冷媒が導入され、吐出容量は最小に維持される。
このように容量制御システムAの吸入圧力Psの制御範囲が広いため、車両用空調システムの運転状況に対応して吸入圧力Psが広い範囲に亘って変化したとしても、吐出容量が確実に制御される。例えば、熱負荷が高い場合であっても、目標吸入圧力Psset及び吐出圧力Pdに基づいて適当な制御電流Iが演算され、吐出容量制御が確実に制御される。
また、上述した容量制御システムAによれば、容量制御弁300の吐出圧力Pdのシール面積(受圧面積)Svを小さくできるため、吐出圧力Pdが高くなっても、ソレノイド316の大型化を招くことなく、吸入圧力Psの制御範囲を広くすることができる。
一方、容量制御システムAでは、式(1)、(2)及び図14からわかるように、シール面積Svを小さく設定することにより、差圧制御における作動圧力差ΔPw(=Pd―Ps)の制御範囲も広くすることができる。
容量制御システムAでは、容量制御弁300において吐出圧力Pdが作用する弁体304の受圧面積を小さくでき、吸入圧力Psの制御範囲が広い。このため、この容量制御システムによれば、二酸化炭素を冷媒とする空調システムに使用されて吐出圧力Pd及び吸入圧力Psが高くても、ソレノイド316の大型化を招くことなく、吐出容量制御が確実に実行される。
一方、上述した容量制御システムAでは、制御信号演算手段404が、吐出圧力Pdが予め定められた吐出圧力上限値Pdset1を超えているとき、吐出圧力Pdが吐出圧力上限値Pdset1よりも低い目標吐出圧力Pdset2になるようにソレノイド316への制御電流Iを演算する。この結果として、吐出圧力Pdが異常に上昇することが回避され、空調システムの安全性が確保される。
以下、第2実施形態の容量制御システムBについて説明する。
図15は、第2実施形態の容量制御システムBの概略を示す。容量制御システムBは、外部情報検知手段として、車両の内外の熱負荷を検知する手段を有し、具体的には、外気温度センサ536を更に有する。
図16は、容量制御システムBが実行するメインルーチンの一部を示す。図13中に示されていない容量制御システムBのメインルーチンの部分は、対応する容量制御システムAのメインルーチンの部分と同一である。
容量制御システムBのメインルーチンでは、吸入圧力制御ルーチンS40の直前に、外気温度センサ536により検知された車外の気温(外気温度Tout)が所定の上限値T1以下であるか否かが判定される(S50)。外気温度Toutが上限値T1以下である場合(Yesの場合)、吸入圧力制御ルーチンS40が実行される。
一方、外気温度Toutが上限値T1よりも高く、S50の判定結果がNoの場合、差圧制御ルーチンS51が実行される。第1実施形態の差圧制御ルーチンS23がトルク制御を主な目的とするのに対し、第2実施形態の差圧制御ルーチンS51は、車室の快適性を重視した空調を主な目的としている。
具体的には、図17は、差圧制御ルーチンS51の詳細を示し、差圧制御ルーチンS51のS500〜S502は、吸入圧力制御ルーチンS40のS200〜S202と同一である。差圧制御ルーチンS51では、S502で演算された偏差ΔTに基づいて、所定の演算式により、制御電流Iが演算される(S503)。
なお、差圧制御ルーチンS51を1回実行するごとに、S502で偏差ΔTが演算され、S503の演算式中の偏差ΔTの添字nは、偏差ΔTが今回のS502で演算されたものであることを示す。同様に添字n−1は、偏差ΔTが前回のS502で演算されたものであることを示す。
S503で演算された制御電流Iは、予め設定された下限値I7と比較判定される(S504)。S504の判定の結果、演算された制御電流Iが下限値I7よりも小さい場合(Noの場合)、下限値I7が制御電流値Iとして読み込まれ(S505)、制御電流Iがソレノイド316に出力される(S506)。
一方、S504の判定の結果、演算された制御電流Iが下限値I7以上であれば(Yesの場合)、予め設定された下限値I7より大きい上限値I8と演算された制御電流Iが比較判定される(S507)。S507の判定の結果、制御電流値Iが上限値I8を超えていれば(Noの場合)、上限値I2が制御電流Iとして読み込まれ(S508)、制御電流Iがソレノイド316に出力される(S506)。
従って、S504及びS507の判定の結果、I7≦I≦I8であれば、S503で演算された制御電流Iがそのままソレノイド316に出力される(S506)。
ここで、差圧制御ルーチンS51中には、目標作動圧力差ΔPwsetが明示されていないが、S503で制御電流Iに基づいて新しい制御電流Iを設定していることから、差圧制御ルーチンS51は、実質的に、目標作動圧力差ΔPwsetを設定し、作動圧力差ΔPwが目標作動圧力差ΔPwsetに近付くように制御している。このため、差圧制御ルーチンS51は差圧制御方式であり、差圧制御ルーチンS51では、制御対象設定手段402Bは第2制御モードを実行しているといえる。
第2実施形態の容量制御システムBによれば、車両の内外の熱負荷が所定値以上であるときとして、外気温度Toutが上限値T1よりも高いときに、制御対象設定手段402Aが第1制御モードではなく第2制御モードを実行する。そして、当該第2制御モードにて、蒸発器18を通過した直後の空気流の温度Teoが蒸発器目標出口空気温度Tsetに近付くように目標作動圧力差ΔPwsetを設定する。これにより、吸入圧力制御では容量制御が不可能になるような、熱負荷としての外気温度Toutが高く蒸発器18の熱負荷が大きい場合でも、差圧制御による容量制御によって、空調システムより空調される車室の空調状態が快適に保たれる。
容量制御システムBによれば、制御電流Iの上限値I8を設けることにより、外気温度Toutが非常に高く、蒸発器18の熱負荷が大きいときや、冷媒循環量が不足しているときでも、可変容量圧縮機100が最大吐出容量で連続的に作動するのが防止され、可変容量圧縮機100の信頼性が確保される。
なお、容量制御システムBは、図18に一部を示したメインルーチンを実行してもよい。
この場合、外気温度Toutが上限値T1よりも高くなると、S50の判定結果がNoとなり、フラグF4が1に設定され(S52)されてから、差圧制御ルーチンS51が実行される。なお、フラグF4は、このメインルーチンのために新規に設定されるフラグである。
差圧制御ルーチンS51の実行後、次回のS50で外気温度Toutが上限値T1以下と判定された場合(Yesの場合)、外気温度Toutが、上限値T1よりも低い閾値T2以下であるか否かが判定される(S53)。外気温度Toutが閾値T2よりも大きい場合、判定結果がNoとなり、フラグF4が0であるか否かが判定される(S54)。先にフラグF4が1に設定されているため、S54の判定結果はNoとなり、再び差圧制御ルーチンS51が実行される。
一方、S53において、外気温度Toutが閾値T2よりも小さい場合、判定結果がYesとなり、フラグF4が0に設定されてから(S55)、吸入圧力制御ルーチンS40が実行される。
つまり、図18に一部を示したメインルーチンでは、吸入圧力制御ルーチンS40から差圧制御ルーチンS51へは、外気温度Toutが上限値T1を超えたときに移行する。一方、差圧制御ルーチンS51から吸入圧力制御ルーチンS40へは、外気温度Toutが閾値T2以下になったときに移行する。
なお、図19は、上述した外気温度Toutの判定に基づくスイッチ動作を説明する図であり、判定結果がYES(ON)の場合、差圧制御ルーチンS51が実行され、NO(OFF)の場合吸入圧力制御ルーチンS40が実行される。
また、容量制御システムBは、エンジン回転数Ncが高いときに、差圧制御ルーチンS23ではなく、差圧制御ルーチンS51を実行しても良い。
以下、第3実施形態の可変容量圧縮機の容量制御システムCについて説明する。
図20は、容量制御システムCを適用した車両用空調システムの概略構成を示す。車両用空調システムは冷凍サイクル20を有し、冷凍サイクル20の循環路12には、冷媒が流動する方向でみて、可変容量圧縮機100、第1開閉弁21、放熱器14、レシーバ22、逆止弁23、膨張器16、蒸発器18及びアキュムレータ24が順次介挿されている。なお、膨張器16は、冷媒を膨張させるだけでなく、蒸発器18の出口での冷媒の過熱度によって冷媒の循環量を調節可能である。
また、車両用空調システムは、ホットガスヒータサイクル26を有し、ホットガスヒータサイクル26は、可変容量圧縮機100から吐出された冷媒(ホットガス)が循環するホットガス循環路28を有する。具体的には、ホットガス循環路28は、循環路12に接続されたバイパス路29を含み、循環路12の一部及びバイパス路29により構成される。
バイパス路29は、可変容量圧縮機100と第1開閉弁21との間を延びる循環路12の部分と、膨張器16と蒸発器18との間を延びる循環路12の部分とを繋いでおり、バイパス路29には、第2開閉弁30及び固定絞り31が介挿されている。
従って、ホットガス循環路28には、ホットガスが流動する方向でみて、可変容量圧縮機100、第2開閉弁30、固定絞り31、蒸発器18及びアキュムレータ24が順次介挿されている。
第1開閉弁21及び第2開閉弁30の開閉作動は、例えばエアコン用ECUにより制御される。第1開閉弁21が開弁状態にあり、第2開閉弁30が閉弁状態にあるとき、冷凍サイクル20が作動し、車室を冷房又は除湿可能である。つまり、冷凍サイクル20の作動中は、蒸発器18内で低温の気液二相の冷媒が蒸発し、蒸発器18は、空気を冷却する空気冷却用熱交換器として機能する。
一方、第1開閉弁21が閉弁状態にあり、第2開閉弁30が開弁状態にあるとき、ホットガスヒータサイクル26が作動し、車室を暖房可能である。つまり、ホットガスヒータサイクル26の作動中は、蒸発器18内を高温のガス冷媒が流れ、蒸発器18は、空気を加熱する空気加熱用熱交換器(補助暖房用装置)として機能する。
容量制御システムCは、図15に示した容量制御システムBの構成に加えて、サイクル検知手段を更に有し、サイクル検知手段は、冷凍サイクル20及びホットガスヒータサイクル26のうち何れが作動しているかを検知する。サイクル検知手段は、例えばエアコン用ECUに内蔵される。
なお、吐出圧力検知手段500としての圧力センサ500aは、可変容量圧縮機100よりも下流であって、第1開閉弁21及び第2開閉弁よりも上流に設けられている。換言すれば、圧力センサ500aは、冷凍サイクル20及びホットガスヒータサイクル26に共通に含まれる循環路12の吐出圧力領域の部分に設けられている。
第3実施形態の可変容量圧縮機の容量制御システムCは、冷凍サイクル20が作動しているときは、容量制御システムA又はBと同様に、図4、図16又は図18に示したメインルーチンに則して可変容量圧縮機100の吐出容量を制御する。
一方、容量制御システムCは、ホットガスヒータサイクル26が作動しているときには、図17の差圧制御ルーチンS51に則して可変容量圧縮機100の吐出容量を制御する。差圧制御ルーチンS51によれば、蒸発器目標出口空気温度Tsetが、蒸発器目標出口空気温度Tsetに近付くように吐出容量が制御される。
なお当然のことながら、ホットガスヒータサイクル26が作動しているときの蒸発器目標出口空気温度Tsetは、冷凍サイクル20が作動しているときの蒸発器目標出口空気温度Tsetよりも高く設定される。
第3実施形態の容量制御システムCによれば、ホットガスヒータサイクル26の作動中、差圧制御方式により吐出容量を制御することで、吸入圧力を制御対象としていないため、空調システムに暖房運転をさせるような低温環境下でも、吐出容量が最適に制御され、空調システムにより空調される車室等が快適に保たれる。
容量制御システムCでは、空気加熱用熱交換器(蒸発器18)を通過した直後の空気流の温度Teoが蒸発器目標出口空気温度Tsetに近付くように吐出容量がフィードバック制御される。このため、容量制御システムCを適用した空調システムにより空調が行われる車室の温度の制御精度が向上する。
容量制御システムCでは、吐出圧力検知手段500を、冷凍サイクル20及びホットガスヒータサイクル26に共通に含まれる循環路12の吐出圧力領域の部分に配置したことにより、吐出圧力検知手段500は、冷凍サイクル20及びホットガスヒータサイクル26のうち何れが作動しているときでも機能する。つまり、容量制御システムCでは、ホットガスヒータサイクル26の作動中、吐出圧力検知手段500により、吐出圧力領域の異常な圧力上昇を監視することができ、更には、吐出圧力制御ルーチンS43を実行可能である。
本発明は、上記した第1乃至第3実施形態に限定されることはなく、種々の変更が可能である。
例えば、第1乃至第3実施形態では、メインルーチンにおいてのみ、吸入圧力制御ルーチンS40から差圧制御ルーチンS23への切り替えを判断したが、その他の条件で切り替えてもよい。
例えば、エンジン114の負荷が所定値以上にあるときに、吸入圧力制御ルーチンS40から差圧制御ルーチンS23へ切り替えてもよい。この場合、エンジン114の負荷が所定値以上になると、可変容量圧縮機100のトルクTrを目標トルクTrsetに近付けることが可能となり、車両の走行性能が確保される。
また、エンジン114の負荷及び車両の内外の熱負荷の両方が所定値以上であるときに、吸入圧力制御ルーチンS40から差圧制御ルーチンS23へ切り替えてもよい。これにより、不必要な差圧制御ルーチンS23の実行が防止され、車室の空調状態が快適に保たれる。
あるいは、差圧制御ルーチンS23を実行する追加の条件として、差圧制御ルーチンS23のS313で出力される制御電流Iが、吸入圧力制御ルーチンS40のS107で出力される制御電流Iよりも小さいときのみ、差圧制御ルーチンS23を実行するようにしてもよい。これにより、不必要な差圧制御ルーチンS23の実行が防止され、車室の空調状態が快適に保たれる。
第2実施形態では、車両の内外の熱負荷にのみ基づいて、吸入圧力制御S40から差圧制御ルーチンS51への切り替えを判断したが、その他の条件で切り替えても良い。
例えば、車両の内外の熱負荷及び可変容量圧縮機100の回転数に相当する物理量が所定値以上であるときに、差圧制御ルーチンS51を実行するようにしてもよい。これにより、熱負荷が高く吸入圧力制御では容量制御が不可能になるような場合でも、差圧制御による容量制御によって、空調システムより空調される車室の空調状態が快適に保たれる。一方、差圧制御ルーチンS51の実行条件を車両の内外の熱負荷及び可変容量圧縮機100の回転数が所定値以上にあるときに限定することで、不必要な差圧制御ルーチンS51の実行が防止され、車室の空調状態が快適に保たれる。
なお、可変容量圧縮機100の回転数に相当する物理量には、可変容量圧縮機100の回転数自体も含まれる。
第1乃至第3実施形態では、外部情報検知手段の構成は特に限定されず、吐出圧力検知手段、蒸発器出口空気温度検知手段510、蒸発器目標出口空気温度設定手段512、目標トルク設定手段520、エアコンスイッチセンサ530、アクセル開度センサ532、エンジン回転数センサ534及び外気温度センサ526の他にも、外気湿度センサ、日射量センサ、蒸発器18用ファンの送風量センサ、内外気切換ドア位置センサ、吹き出し口位置センサ、エアミックスドア位置センサ、車室内温度センサ、車室内湿度センサ、蒸発器入口空気温度センサ、蒸発器入口空気湿度センサ、蒸発器の冷却状態を表す温度センサ若しくは湿度センサ、可変容量圧縮機100の回転数センサ、車速センサ、スロットル開度センサ、ギアシフト位置センサ等を適宜用いることができる。
第1乃至第3実施形態では、蒸発器出口空気温度検知手段510としての温度センサ510aを用いずに、他の外部情報検知手段により得られる1つ又は複数の外部情報と目標吸入圧力Psset又は目標作動圧力差ΔPwsetとの関係を予めマップ化しておき、当該1つ又は複数の外部情報とマップに基づいて目標吸入圧力Psset又は目標作動圧力差ΔPwsetを設定してもよい。
第1乃至第3実施形態において、車両がアイドリング状態にあるか否かの判定は、アクセル開度、スロットル開度、エンジン回転数Nc、可変容量圧縮機100の回転数、車速、及び、ギアシフト位置から選択された1つ又は複数の外部情報に基づいて判定してもよい。
第2実施形態において、車室の内外の熱負荷は、外気温度Tout、外気湿度、吐出圧力Pd、日射量、エアコンスイッチのON/OFF、蒸発器18用ファンの送風量、内外気切換ドア位置、吹き出し口位置、エアミックスドア位置、車室内温度、車室内湿度、蒸発器入口空気温度、及び、蒸発器入口空気湿度、蒸発器の冷却状態を表す温度若しくは湿度から選択された1つ又は複数の外部情報に基づいて判定してもよい。
第1乃至第3実施形態では、容量制御弁300の弁体304には、吐出室142での冷媒の圧力である吐出圧力Pdが作用していたが、吐出圧力Pdに代えて、冷凍サイクル10,20の高圧領域のいずれかの部位での冷媒の圧力(高圧圧力)が作用するようにしてもよい。
また、容量制御弁300の弁体304には、吸入室140での冷媒の圧力である吸入圧力Psが作用していたが、吸入圧力Psに代えて、冷凍サイクル10,20の吸入圧力領域のいずれかの部位での冷媒の圧力(低圧圧力)が作用するようにしてもよい。
ただし、冷凍サイクル10,20の構成を簡単にするために、容量制御弁300は圧縮機100に内蔵されるのが好ましい。このため通常は、容量制御弁300の弁体304には、吐出圧力Pd及び吸入圧力Psをそれぞれ作用させる。
なお、冷凍サイクル10,20の高圧領域とは、吐出室142から膨張器16の入口までの領域をさす。また、高圧領域には、圧縮工程にあるシリンダボア101aも含まれる。
一方、第1乃至第3実施形態では、吐出圧力検知手段500により、放熱器14の入口側での冷媒の圧力を吐出圧力Pdとして検知したが、吐出圧力検知手段500は、吐出圧力Pdに代えて、冷凍サイクル10,20の高圧領域のいずれかの部位での冷媒の圧力(高圧圧力)を検知してもよい。つまり、吐出圧力検知手段500は、高圧圧力検知手段であってもよい。このため、これらの容量制御システムA,Bでは、構成の自由度が高い。
ここで、容量制御システムA〜Cにあっては、目標吸入圧力PssetをPI制御又はPID制御によって変化させることで、吐出圧力検知手段500により検知される圧力と、容量制御弁300の弁体304に作用する圧力との間に偏差があったとしても、容量制御が的確に実行される。
また、吐出圧力検知手段500は、高圧圧力を検知した後、高圧圧力に基づいて吐出圧力Pdを演算により間接的に検知してもよい。例えば、第1乃至第3実施形態では、圧力センサ500aの位置と容量制御弁300の位置が異なるため、圧力センサ500aで検知した吐出圧力Pdと弁体304が受圧している吐出圧力Pdとの間に差が生じる。これを補正するために、圧力センサ500aで検知した吐出圧力Pdの読込値に補正係数をかけ、この補正係数をかけた値を用いて制御電流Iを演算してもよい。
更に、吐出圧力検知手段500は、高圧圧力を間接的に検知してもよい。例えば、吐出圧力検知手段500は、高圧領域のいずれかの部位にて冷媒の温度を検知する温度センサを含み、高圧領域での冷媒の温度に基づいて高圧圧力を演算により検知してもよい。このように吐出圧力検知手段500の構成を限定しないことで、容量制御システムの構成の自由度が高くなる。
また、吐出圧力検知手段500は、車両の内外の熱負荷、圧縮機100の回転数に対応する物理量、放熱器14及び車両のラジエータのうち少なくとも一方のために動作するファンに供給される電圧、並びに、車両の速度に基づいて吐出圧力Pdを演算してもよい。
この場合には、吐出圧力検知手段500は、熱負荷を検知する熱負荷センサと、圧縮機100の回転数に対応する物理量を検知する回転数センサと、放熱器14及び車両のラジエータのうち少なくとも一方のために動作するファンに供給される電圧を検知するファン電圧センサと、車両の速度を検知する車速センサとを含む。この場合、高圧圧力を間接的に検知することにより、空調システムの構成の自由度が高くなる。
あるいは、吐出圧力検知手段500は、車両の内外の熱負荷、圧縮機100の回転数に対応する物理量、放熱器14及び車両のラジエータのうち少なくとも一方のために動作するファンに供給される電圧、車両の速度、並びに、制御対象設定手段402A,Bにより設定された目標圧力Pssetに基づいて高圧圧力を検知してもよい。この場合も、高圧圧力を間接的に検知することにより、空調システムの構成の自由度が高くなる。
第1乃至第3実施形態では、制御対象設定手段402A,Bは、吸入圧力Psの目標値として目標吸入圧力Psを設定したけれども、冷凍サイクル10,20の吸入圧力領域のいずれかの部位での冷媒の圧力(低圧圧力)の目標値を設定してもよい。このため、この容量制御システムA〜Cでは、構成の自由度が高い。
なお、吐出圧力検知手段500は、冷凍サイクル10,20の吐出圧力領域のいずれかの部位における冷媒の圧力を検知するのが好ましく、吐出室142における冷媒の圧力を直接的又は間接的に検知するのがより好ましい。そして、制御対象設定手段402A,Bは、吸入室140における冷媒の圧力の目標値を設定するのが好ましい。この場合、高圧領域における冷媒の圧力のばらつきに関係なく、容量制御弁300の弁体304が実際に受圧する吐出圧力Pdと吸入圧力Psとを正確に反映して、ソレノイド316に供給される制御電流Iが調整され、吸入圧力Psの制御精度が向上する。
第1乃至第3実施形態において、制御装置400A,Bは、必ずしも吐出圧力制御ルーチンS43を実行する必要がないが、可変容量圧縮機100を保護するために、吐出圧力制御ルーチンS43を実行可能であるのが好ましい。
また、制御装置400A,Bのメインルーチンに、例えば車両の加速時やエンジン回転数Ncが所定値よりも高いときに、吐出圧力制御ルーチンS43に優先して、吐出容量を最小とする緊急避難的な制御を付加しても良い。
第1乃至第3実施形態において、制御装置400A,Bのメインルーチンに、エンジン114の負荷調整を行うべく、制御電流Iに基づいて可変容量圧縮機100のトルクTrを推定し、推定したトルクTrをエンジン用ECUに出力するステップを付加してもよい。この場合、エンジン用ECUは、推定された可変容量圧縮機100のトルクTrに基づいてエンジン114の出力制御を行うことができる。
第1乃至第3実施形態では、目標吸入圧力Pssetの下限値Ps1及び上限値Ps2を熱負荷検知手段、車両運転状態検知手段又は圧縮機運転状態検知手段等の外部情報検知手段の出力値に応じて可変としても良い。このように下限値Ps1及び上限値Ps2を外部情報に基づいてそれぞれ変更することで、外部情報に見合った適切な目標吸入圧力Pssetが設定される。
また、制御電流Iの下限値I1,I3,I5及び上限値I2,I4,I6を熱負荷検知手段や運転状態検知手段等の外部情報検知手段の出力値に応じて可変としても良い。
更に、吐出圧力制御ルーチンS43に移行するか否かを判定する吐出圧力上限値Pdset1や吐出圧力制御ルーチンS43での目標吐出圧力Pdset2を熱負荷検知手段や運転状態検知手段等の外部情報検知手段の出力値に応じて可変としても良い。
第1乃至第3実施形態では、目標吸入圧力設定ルーチンS103では、蒸発器目標出口空気温度設定手段512で設定された蒸発器目標出口空気温度Tsetと、蒸発器出口空気温度検知手段510で検知された実際の蒸発器出口空気温度Teoとの偏差ΔTに基づいて、所定の演算式により目標吸入圧力Pssetを演算したが、目標吸入圧力Pssetの設定方法はこれに限定されない。
第1乃至第3実施形態では、各演算式は実施例に限定されない。例えば、図5の吸入圧力制御ルーチンS40での制御電流演算式(S104)を、a・Pd−b・Psset+c(ただしa、b、cは定数)としても良いし、(Pd−Psset)の項を含めて非線形としても良い。
図6の目標吸入圧力設定ルーチンS103のS203では、蒸発器出口空気温度Teoが蒸発器出口空気温度の目標値Tsetに近付くように、目標吸入圧力Pssetを演算するものであれば、どのような演算式であっても良い。
図7のトルク制御ルーチンS23のS301の演算式には、変数として圧縮機100の回転数や熱負荷情報を加えてもよく、各定数c1,c2,c3を圧縮機100の回転数や熱負荷情報に基づいて変化させても良い。
図12の吐出圧力制御ルーチンS43のS402では、吐出圧力Pdが目標吐出圧力Pdset2に近付くように制御電流Iを演算するものであれば、どのような演算式であっても良い。
図17の差圧制御ルーチンS51のS502では、蒸発器出口空気温度Teoが蒸発器出口空気温度の目標値Tsetに近付くように目標吸入圧力Pssetを演算するものであれば、どのような演算式であっても良い。
第1乃至第3実施形態では、ソレノイド駆動手段406でソレノイド316に流す電流量を検出したが、ソレノイド駆動手段406でソレノイド316に流す電流量を検出しなくてもよい。この場合、制御信号演算手段404で、吐出容量制御信号として直接デューティ比を演算し、ソレノイド駆動手段406は、制御信号演算手段404で演算されたデューティ比にてソレノイド316に通電すればよい。
第1乃至第3実施形態では、制御装置400A,BはECUにより構成されていたが、このECUはエアコン用ECUやエンジン用ECUと一体に設けられていてもよい。
第1乃至第3実施形態では、容量制御弁300の感圧ポート310aには吸入室140が連通し、可動コア収容空間324の圧力は吸入圧力Psとされていたが、感圧ポート310aにクランク室105を連通させ、可動コア収容空間324の圧力をクランク室105の圧力(クランク圧力Pc)と一致させても良い。
この場合、クランク圧力Pcが弁体304に作用し、制御装置400A,Bの制御対象設定手段402A,Bは、目標吸入圧力Pssetに代えて、クランク圧力Pcの目標値(目標クランク圧力Pcset)を設定する。そして、制御装置400A,Bの制御信号演算手段404は、吐出圧力Pdと目標クランク圧力Pcsetとの差に基づいて、制御電流Iを演算する。
ここでクランク圧力Pcは、圧縮機100の容量を変化させる制御圧力であり、本発明によれば、吐出圧力Pd(高圧圧力)と、吸入圧力Ps(低圧圧力)又は制御圧力のうち一方の目標値とに基づいて、容量制御弁300のソレノイド316に供給される制御電流Iを調整することができる。
第1乃至第3実施形態では、圧縮機100はクラッチレス圧縮機であったが、電磁クラッチを装着した可変容量圧縮機であってもよい。また、圧縮機100は斜板式の往復動圧縮機であったけれども、揺動板式の往復動圧縮機であってもよく、更には、電動モータで駆動される可変容量圧縮機であってもよい。
第1乃至第3実施形態では、抽気通路162の流量を規制してクランク圧力Pcを昇圧するために、抽気通路162に固定オリフィス103cを配置したが、固定オリフィス103cに代えて、流量可変の絞りを用いてもよく、また、弁を配置して弁開度を調整してもよい。
また、容量制御弁300の弁体304には、吐出圧力Pdに対し、吸入圧力Ps又はクランク圧力Pcが対抗するように作用するが、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとが対抗しているときに、更にクランク圧力Pcが作用してもよく、吐出圧力Pdとクランク圧力Pcとが対抗しているときに、更に吸入圧力Psが作用してもよい。また、容量制御弁300にベローズやダイアフラム等を適用し、ベローズやダイアフラム等に対し、両側から吐出圧力Pdと吸入圧力Ps又はクランク圧力Pcとが作用するようにしてもよい。
更に、容量制御弁300は、吐出室142とクランク室105との間を繋ぐ給気通路160に配置されていたけれども、給気通路160に容量制御弁300を配置せずに、クランク室105と吸入室140との間を繋ぐ抽気通路162に容量制御弁を配置してもよい。即ち、給気通路160の開度を制御する入口制御に限定されず、抽気通路162の開度を制御する出口制御であってもよい。
上述した第1乃至第3実施形態では、冷媒はR134aや二酸化炭素に限定されず、空調システムは、その他の新冷媒を使用してもよい。なお、容量制御弁300において、シール面積Svを小さくすることにより、冷媒として二酸化炭素を用いても、目標吸入圧力Pssetの制御範囲を広くすることができる。
最後に、本発明の可変容量圧縮機の容量制御システムは、車両用空調システム以外の室内用空調システムの冷凍サイクルや、冷凍・冷蔵庫等の冷凍装置の冷凍サイクル等、冷凍サイクル全般に適用可能である。
第1実施形態の容量制御システムAを適用した車両用空調システムの冷凍サイクルの概略構成を可変容量縮機の縦断面とともに示す図である。 図1の可変容量圧縮機における容量制御弁の接続状態を説明するための図である。 第1実施形態の容量制御システムの概略構成を示すブロック図である。 図3の容量制御システムが実行するメインルーチンを示す制御フローチャートである。 図4のメインルーチンに含まれる吸入圧力制御ルーチンの制御フローチャートである。 図5の吸入圧力制御ルーチンに含まれる目標吸入圧力設定ルーチンの制御フローチャートである。 図4のメインルーチンに含まれる差圧制御ルーチンの制御フローチャートである。 図7の差圧制御ルーチンで読み込まれる目標トルクの起動モードでの設定方法について説明する図である。 図7の差圧制御ルーチンで読み込まれる目標トルクのアイドリングモードでの設定方法について説明する図である。 図7の差圧制御ルーチンで読み込まれる目標トルクの加速モードでの設定方法について説明する図である。 車両のエンジン起動から所定時間に渡る図3の容量制御システムの動作を説明する図である。 図4のメインルーチンに含まれる吐出圧力制御ルーチンの制御フローチャートである。 制御電流と目標吸入圧力と吐出圧力の関係を示すグラフである。 制御電流と作動圧力差(Pd−Ps)との関係を示すグラフである。 第2実施形態の容量制御システムの概略構成を示すブロック図である。 図15の容量制御システムが実行するメインルーチンの一部を示す制御フローチャートである。 図16のメインルーチンに含まれる差圧制御ルーチン(空調制御用)の制御フローチャートである。 図15の容量制御システムが実行する他のメインルーチンの一部を示す制御フローチャートである。 図18の制御フローチャートにおける外気温度の判定に基づくスイッチ動作の説明図である。 第3実施形態の容量制御システムを適用した車両用空調システムの冷凍サイクル及びホットガスヒータサイクルの概略構成を示す図である。
符号の説明
316 ソレノイド
500 吐出圧力検知手段
510 蒸発器出口空気温度検知手段
512 蒸発器目標出口空気温度設定手段
402A 制御対象設定手段
404 制御信号演算手段
406 ソレノイド駆動手段

Claims (21)

  1. 空調システムの冷凍サイクルを構成すべく冷媒が循環する循環路に放熱器、膨張器及び蒸発器とともに介挿される可変容量型圧縮機であって、吐出室、吸入室、クランク室及びシリンダボアが区画形成されたハウジングと、前記シリンダボアに配設されたピストンと、前記ハウジング内に回転可能に支持された駆動軸と、前記駆動軸の回転を前記ピストンの往復運動に変換する傾角可変の斜板要素を含む変換機構と、前記冷凍サイクルの吸入圧力領域及び前記クランク室のうち少なくとも一方の圧力、前記冷凍サイクルの吐出圧力領域の圧力、及び、ソレノイドの電磁力を受けて弁孔を開閉可能な弁体を有し、前記弁孔を開閉することにより前記クランク室の圧力を変化させる容量制御弁とを備える可変容量圧縮機の容量制御システムにおいて、
    1つ以上の外部情報を検知するための外部情報検知手段と、
    前記外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて制御対象を設定する制御対象設定手段と、
    前記制御対象設定手段で設定された制御対象に基づいて吐出容量制御信号を演算する制御信号演算手段と、
    前記制御信号演算手段により演算された吐出容量制御信号に基づいて前記ソレノイドに電流を供給するソレノイド駆動手段とを具備し、
    前記制御対象設定手段は、
    前記外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて2つ以上の制御モードのうちから1つの制御モードを選択し、選択した制御モードに則して前記制御対象を設定し、
    前記制御モードの1つである第1制御モードでは、前記外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて、前記吸入圧力領域及びクランク室のうち一方の圧力の目標圧力を前記制御対象として設定し、
    前記制御モードの1つである第2制御モードでは、前記外部情報検知手段により検知された外部情報に基づいて、前記吸入圧力領域及びクランク室の圧力のうち一方の圧力と前記吐出圧力領域の圧力との差の目標である目標作動圧力差を前記制御対象として設定する
    ことを特徴とする可変容量圧縮機の容量制御システム。
  2. 前記外部情報検知手段は、前記吐出圧力領域の圧力を検知する吐出圧力検知手段を含み、
    前記制御信号演算手段は、前記制御対象設定手段が前記第1制御モードを実行したときに、前記吐出圧力検知手段により検知された前記吐出圧力領域の圧力及び前記目標圧力に基づいて前記吐出容量制御信号を演算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  3. 前記制御信号演算手段は、前記吐出圧力領域の圧力と前記目標圧力との差に基づいて前記吐出容量制御信号を演算することを特徴とする請求項2に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  4. 前記外部情報検知手段は、前記蒸発器を通過した直後の空気流の温度を検知する蒸発器出口空気温度検知手段と、前記蒸発器を通過した直後の空気流の目標温度を設定する蒸発器目標出口空気温度設定手段とを含み、
    前記制御対象設定手段は、前記第1制御モードを実行するとき、前記蒸発器出口空気温度検知手段により検知された前記空気流の温度が前記蒸発器目標出口空気温度設定手段により設定された前記目標温度に近付くように前記目標圧力を設定する
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  5. 前記外部情報検知手段は、前記可変容量型圧縮機の目標トルクを設定する目標トルク設定手段を含み、
    前記制御対象設定手段は、前記第2制御モードを実行するとき、前記可変容量型圧縮機のトルクが前記目標トルク設定手段により設定された目標トルクに近付くように前記目標作動圧力差を設定することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  6. 前記外部情報検知手段は、前記空調システムが非作動状態から作動状態に切り替わることを検知するエアコンスイッチ検知手段を含み、
    前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記エアコンスイッチ検知手段によって、前記空調システムが非作動状態から作動状態に切り替わるのを検知したときという条件である
    ことを特徴とする請求項5に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  7. 前記第2制御モードは、前記第2制御モードの実行開始から所定時間維持されることを特徴とする請求項6に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  8. 前記空調システムは車両に適用され、
    前記外部情報検知手段は、前記車両のアイドリング状態を検知するアイドリング検知手段を含み、
    前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記アイドリング検知手段によって、前記車両がアイドリング状態にあることを検知したときという条件である
    ことを特徴とする請求項5に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  9. 前記制御対象設定手段は、前記第1制御モードを解除して前記第2制御モードに移行する直前に前記目標圧力を記憶し、前記第2制御モードが解除されて前記第1制御モードに再び移行したときに、記憶されていた前記目標圧力を初期値として新たに目標圧力を設定することを特徴とする請求項8に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  10. 前記空調システムは車両に適用され、
    前記外部情報検知手段は、前記車両のエンジンの負荷を検知するエンジン負荷検知手段を含み、
    前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記エンジン負荷検知手段により検知された前記エンジンの負荷が所定値以上になるという条件である
    ことを特徴とする請求項5に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  11. 前記空調システムは車両に適用され、
    前記外部情報検知手段は、前記車両のエンジンの負荷を検知するエンジン負荷検知手段と、前記車両の内外の熱負荷を検知する熱負荷検知手段とを含み、
    前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記エンジン負荷検知手段により検知された前記エンジンの負荷及び前記熱負荷検知手段により検知された熱負荷の両方が所定値以上になるという条件である
    ことを特徴とする請求項5に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  12. 前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件は、前記第1制御モードを実行中に前記ソレノイドに供給されている電流量が、前記第2制御モードを実行したとするならば前記ソレノイドに供給される電流量よりも大きいという限定事項を更に含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  13. 前記制御対象設定手段は、前記第1制御モードを解除して前記第2制御モードに移行する直前に前記目標圧力を記憶し、前記第2制御モードが解除されて前記第1制御モードに再び移行したときに、記憶されていた前記目標圧力を初期値として新たに目標圧力を設定することを特徴とする請求項10又は11に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  14. 前記制御対象設定手段は、前記第2制御モードを実行するとき、前記蒸発器出口空気温度検知手段により検知された前記空気流の温度が前記蒸発器目標出口空気温度設定手段により設定された前記目標温度に近付くように前記目標作動圧力差を設定することを特徴とする請求項4に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  15. 前記目標作動圧力差に基づいて前記ソレノイドに供給される電流は、予め定められた上限値以下に制限されることを特徴とする請求項14に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  16. 前記空調システムは車両に適用され、
    前記外部情報検知手段は、前記車両の内外の熱負荷を検知する熱負荷検知手段を含み、
    前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記熱負荷検知手段により検知された熱負荷が所定値以上であるという条件である
    ことを特徴とする請求項14又は15に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  17. 前記空調システムは車両に適用され、
    前記外部情報検知手段は、記車両の内外の熱負荷を検知する熱負荷検知手段と、前記可変容量圧縮機の回転数に相当する物理量を検知する回転数検知手段とを含み、
    前記制御対象設定手段が前記第2制御モードを実行する条件の1つは、前記熱負荷検知手段により検知された熱負荷及び前記回転数検知手段により検知された物理量の両方が所定値以上であるという条件である
    ことを特徴とする請求項14又は15に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  18. 前記空調システムは、前記冷凍サイクルと切り換え可能に設けられたホットガスヒータサイクルを更に備え、
    前記可変容量圧縮機は、前記空調システムの冷凍サイクルのみならず前記ホットガスヒータサイクルの一部を構成し、
    前記外部情報検知手段は、前記冷凍サイクル及びホットガスヒータサイクルのうち何れのサイクルが作動しているかを検知するサイクル検知手段を含み、
    前記制御対象設定手段は、前記ホットガスヒータサイクルの作動中、前記第2制御モードを実行する
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  19. 前記外部情報検知手段は、前記ホットガスヒータサイクルの一部を構成する空気加熱用熱交換器を通過した直後の空気流の温度を検知する熱交換器出口空気温度検知手段と、前記空気加熱用熱交換器を通過した直後の空気流の目標温度を設定する熱交換器目標出口空気温度設定手段とを含み、
    前記制御対象設定手段は、前記第2制御モードを実行するとき、前記熱交換器出口空気温度検知手段により検知された前記空気流の温度が前記熱交換器目標出口空気温度設定手段により設定された前記目標温度に近付くように前記目標作動圧力差を設定する
    ことを特徴とする請求項18に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  20. 前記吐出圧力検知手段は、前記冷凍サイクル及びホットガスヒータサイクルに共通に含まれる前記循環路の吐出圧力領域の部分にて前記冷媒の圧力を検知することを特徴とする請求項18又は19に記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
  21. 前記制御対象設定手段は、前記制御モードの1つである第3制御モードを実行したときに、前記吐出圧力領域の圧力の目標である目標吐出圧力を設定し、前記吐出圧力検知手段により検知された前記吐出圧力領域の圧力が前記目標吐出圧力に近付くように前記目標作動圧力差を設定することを特徴とする請求項1乃至20の何れかに記載の可変容量圧縮機の容量制御システム。
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