JP2008540674A - Raf阻害化合物およびその使用方法 - Google Patents

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Abstract

化学式(I)の化合物は、Rafキナーゼを阻害し、それにより媒介される障害を処置するのに有用である。化学式(I)の化合物、並びにそれらの立体異性体、互変体、溶媒和物及び薬学的に許容される塩を、哺乳動物細胞におけるこのような障害又は関連する病理学的状態のin vitro、in situ及びin vivo診断、予防又は処置に使用する方法が開示される。本発明は、Rafキナーゼの阻害物質、特にB−Rafキナーゼの阻害物質である化合物に関する。特定の過増殖性障害は、例えばRafキナーゼの突然変異又は過発現による、Rafキナーゼ機能の過活動を特徴とする。従って、本発明の化合物は、癌等の過増殖性障害の処置に使用することができる。

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、本明細書において援用される2005年5月20日に出願された米国仮出願第60/683,175号に関連しており、そして米国特許法第119条第(e)項の下に上記仮出願に対し優先権を主張する。
(発明の分野)
一態様において、本発明は、Rafキナーゼの阻害物質である化合物、並びにこれらの化合物を含有する組成物、及び使用方法に関する。本化合物は、Rafキナーゼを阻害し、それにより媒介される障害を処置するのに有用である。本発明は又、本発明の化合物を、哺乳動物細胞又は関連する病理学的状態のin vitro、in situ及びin vivo診断、予防又は処置に使用する方法にも関する。
(技術の状態の説明)
Raf/MEK/ERK(細胞外シグナル制御キナーゼ)キナーゼカスケードは、膜受容体から遺伝子発現を制御する転写因子へのシグナル伝達に決定的な役割を果たし、最終的には細胞周期進行の制御に係わる(非特許文献1)。このカスケードは、ERK2及びp90(Rsk)の活性化及びアポトーシスタンパク質及び細胞周期制御タンパク質のリン酸化により細胞死を予防することができる(非特許文献2)。又、PI3K/Aktキナーゼカスケードは又、アポトーシスを制御し、多くのアポトーシスタンパク質及び細胞周期制御タンパク質をリン酸化することができる。これらの経路は、AktがRafをリン酸化できるために絡み合い、その不活化が起こり、RafがAktの抗アポトーシス作用のために必要とされることもある。Rafは、成長、抗アポトーシス及び分化のメッセージの伝達に関与する重要なセリン−スレオニンタンパク質キナーゼである。これらのシグナルは受容体へのリガンド結合により開始し、MAPキナーゼカスケードのメンバーに伝達され、それにより遺伝子発現を制御する転写因子が活性化する。Rafは、腫瘍タンパク質キナーゼ:Raf−1、A−Raf及びB−Rafを発現する多重遺伝子ファミリーである(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。この3種類のRafキナーゼは全て、特定のヒト造血細胞に機能的に存在しており、これらの発現異常はサイトカイン依存性の抑制を引き起こす。C−Raf及びA−Rafは完全な活性を有するためにキナーゼドメインのN領域内で更にセリン及びチロシンをリン酸化することが必要であり(Mason, et al., (1999) EMBO J. 18:2137−2148)、B−RafはA−Raf又はC−Rafよりも基本的なキナーゼ活性がはるかに高いことから、これらの3種類の制御機序は異なる。3種類のRaf腫瘍タンパク質は、有糸***及び抗アポトーシスシグナルの伝達に重要な役割を果たす。近年、B−Rafは種々のヒト癌において突然変異することが多いことが明らかになった(Wan, et al., (2004) Cell 116:855−867)。特異的Raf阻害物質の開発は、癌治療において有効であることが明らかにされている。細胞質セリン/スレオニンキナーゼB−Raf及び血小板由来成長因子受容体(PDGFR)受容体チロシンキナーゼのファミリーは、同等のアミノ酸の突然変異によって癌で活性化することが多い。構造に関する試験は、これらの極めて異なるキナーゼがなぜ同様の癌のホットスポットを共にし、PDGFRの膜近傍領域も癌標的となることが多いのかに関する重要な洞察のきっかけを提供してきた(Dibb, NJ (2004) Nature Reviews Cancer 4(9):718−27)。
正常なメラノサイトのメラノーマ細胞への転化は、成長刺激経路の活性化により達成され、通常は細胞増殖へと至り、アポトーシス経路及び腫瘍抑制経路が不活性化する。成長刺激経路におけるタンパク質の低分子阻害物質を現在調査中であり、それをメラノーマ患者に適用することが、細胞増殖を阻害し細胞死を誘導する新しい治療戦略になると考えられている(Polsky, D., (2003) Oncogene 22(20):3087−3091; Konopleva, M., et al., (2003) Blood 102 (11):625a)。
B−Rafは、細胞増殖及び悪性転化キナーゼ経路の活性化を媒介するRAS制御キナーゼをコードする。B−Raf突然変異の活性化は、メラノーマの66%で認められており、他のヒト癌でもこれよりは低率であるが認められている。B−Raf突然変異も、V600E及び新たに同定された他の突然変異をはじめとして、非小細胞肺癌(NSCLC)によく認められるMAPキナーゼ経路の活性化の原因であり、AKT媒介性のB−Rafリン酸化で重要な残基を変化させ、このことは、AKT誘発性B−Raf阻害の中断が悪性転化において役割を果たしていることを示唆している。メラノーマにおけるB−Rafの突然変異の90%超がコドン600に関与しているが(60中57)、NSCLCにおいて今日までに報告されている9件のB−Raf突然変異のうちの8件が非V600であり(89%;p<10(−7))、NSCLCにおけるB−Raf突然変異はメラノーマにおけるそれと質的に異なることを強く示唆している。そのため、RAF阻害物質への応答において肺癌とメラノーマには治療的な差があるものと考えられる。まれではあるが、ヒト肺癌におけるB−Raf突然変異は、標的治療に感受性を有する腫瘍のサブセットを同定することがある(Brose, MS, et al., (2002) Cancer Research 62(23):6997−7000)。
Rafタンパク質キナーゼは、特異的な細胞外刺激がそれによって哺乳動物細胞の正確な細胞応答を誘発させるシグナル伝達経路の重要な成分である。活性化した細胞表面受容体は、細胞膜の内側でras/rapタンパク質を活性化させ、それにより、Rafタンパク質を動員し活性化する。活性化したRafタンパク質は、細胞内タンパク質キナーゼMEK1及びMEK2を活性化する。今度は活性化したMEKが、p42/p44マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)のリン酸化及び活性化を触媒する。活性化MAPKの種々の細胞質基質及び核基質が知られており、それらは直接又は間接的に、環境変化に対する細胞応答に寄与する。哺乳動物ではRafタンパク質をコードする3種類の遺伝子が同定されている。A−Raf、B−Raf及びC−Raf(Raf−1とも呼ばれる)であり、mRNAのスプライシングの差から生じる亜型が知られている。
Rafキナーゼの阻害物質は、腫瘍細胞の成長の中断に、従って、組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌及び膵癌及び乳癌といった癌の処置、心停止後の脳虚血、卒中及び多発脳梗塞性認知症、頭部外傷、手術及び/又は分娩中に生じた脳虚血事象(神経外傷)をはじめとする虚血性事象により生じる神経変性を伴う障害の処置及び/又は予防に使用できることが示唆されてきた。特に、B−Rafは、キナーゼ活性化によるNGF誘発性の細胞外シグナリングにおいて、ニューロトロフィン、神経成長因子(NGF)により活性化される主要なRaf亜型であることが示唆されてきた(York, et al., (2000) Mol. and Cell. Biol. 20(21):8069−8083)。
Robinson, MJ and Cobb,MH Curr. Opin. Cell Biol.(1997) 9:180−186 Shelton, JG, et al.,Oncogene(2003)22 (16):2478−92 McCubrey, JA., et al.,Leukemia(1998)12(12):1903−1929 Ikawa, et al.,Mol. and Cell. Biol.(1988)8(6):2651−2654 Sithanandam, et al.,Oncogene(1990)5:1775−1780 Konishi, et al.,Biochem. and Biophys. Res. Comm.(1995)216(2):526−534
(発明の要旨)
本発明は、Rafキナーゼの阻害物質、特にB−Rafキナーゼの阻害物質である化合物に関する。特定の過増殖性障害は、例えばRafキナーゼの突然変異又は過発現による、Rafキナーゼ機能の過活動を特徴とする。従って、本発明の化合物は、癌等の過増殖性障害の処置に使用することができる。
より具体的には、本発明の一態様は、以下の化学式(I)を有する化合物:
Figure 2008540674
並びにそれらの立体異性体、互変体、溶媒和物及び薬学的に許容される塩を提供し、
式中:
XはNR、CH又はCOであり;
はC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、Z−アリール、ヘテロアリール、−C(=O)R12、−C(=O)OR12、−C(=O)NR1213、−NR1213、−N(R13)C(=O)R12、−N(R13)C(=O)OR12、−N(R12)C(=O)NR1314、−S(O)R14、−S(O)14、又は−S(O)NR1213であって、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分は、必要に応じてF、Cl、Br、I、NO、オキソ(但し、前記アリール又はヘテロアリール上にないことを条件とする)アルキル、Z−アリール、Z−ヘテロシクロアルキル、Z−ヘテロアリール、Z−CN、Z−OR12、Z−C(O)R12、Z−C(O)OR12、Z−C(O)−ヘテロシクロアルキル、Z−NR1515、Z−NR12C(O)R13、Z−NR12C(O)OR13、Z−SR12、Z−SOR12、Z−SO12、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)NR1213、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)OR12、Z−O−(C−Cアルキル)−ヘテロシクロアルキル、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)−ヘテロシクロアルキル、Z−C(O)NR1213、Z−NR12−(C−Cアルキル)−C(O)NR1213、Z−NR12−(C−Cアルキル)−C(O)OR12、Z−NR12−(C−Cアルキル)−OC(O)NR1213、Z−NR12C(=O)NR13−R16、及びZ−NR12−(C−Cアルキル)−NR12C(O)NR1213から独立して選択される1つ以上の基で置換され;
、R及びRは、H、F、Cl、Br、I、−C(=O)R12、−C(=O)OR12、−C(=O)NR1213、−NR1214、−OR12、−OC(=O)R12、−OC(=O)OR12、−OC(=O)NR1213、−NR12C(O)−R13、−NR12−C(O)NR1314及び−NR12−C(O)OR13から独立して選択され;
はH、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20へテロシクロアルキル、−C(O)R12、又は−C(O)OR12であって、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル部分は、必要に応じてハロゲン、OH、O−アルキル及びアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
Figure 2008540674
であって、式中、
(i)R及びRが、=Yで置換される5〜6員環の縮合炭素環式環を形成し、R、R10及びR11がH、F、Cl、Br及びIから独立して選択されるか、
(ii)R及びRが、=Yで置換される5〜6員環の縮合炭素環式環を形成し、R、R10及びR11がH、F、Cl、Br及びIから独立して選択され;
YはO又はN−OHであり;
12、R13及びR14は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分は必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル、アミノ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
15はH、−SO−アルキル、−SONR1314、(C−Cアルキル)−OH、−C(O)O−アルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであって、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分は必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル、アミノ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
16は1つ以上のアルキル、アルケニル又はアルキニルで置換されるヘテロアリールであり;
Zは1〜4個の炭素を有するアルキレン、又は2〜4個の炭素を有するアルケニレン若しくはアルキニレンであって、式中、前記アルキレン、アルケニレン及びアルキニレンは必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル及びアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
nは0、1、2、3又は4である。
本発明の別の態様は、Rafキナーゼを化学式Iの化合物又は化学式Iの化合物を含有する組成物の有効な抑制量と接触させることを含む、Rafキナーゼ活性の抑制方法を提供する。
本発明の別の態様は、化学式Iの化合物又は化学式Iの化合物を含有する組成物の有効量を、当該処置を必要とする哺乳動物に投与することを含む、Rafキナーゼにより調節される疾患又は障害を予防又は処置する方法を提供する。このような疾患及び障害の例には、過増殖性障害、神経変性、心肥大、疼痛、偏頭痛又は神経外傷性疾患が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の別の態様は、化学式Iの化合物の有効量を単独で、又は抗癌作用を有する1つ以上の追加的化合物との併用で、当該処置を必要とする哺乳動物に投与することを含む、癌を予防又は処置する方法を提供する。
本発明の別の態様は、内科的治療に使用するための化学式Iの化合物を提供する。
本発明の別の態様は、ヒト又は動物における異常な細胞増殖を処置する医薬品として使用される化学式Iの化合物を提供する。
本発明の別の態様は、ヒト又は動物における異常な細胞増殖を処置する医薬品の製造における、化学式Iの化合物の使用を提供する。
本発明の別の態様には、化学式Iの化合物、容器、添付文書又は処置を指示するラベルを含むキット等の製造品が含まれる。
本発明の別の態様には、化学式Iの化合物を調製する方法が含まれる。
(発明の詳細な説明)
Raf阻害化合物
本発明は、Rafキナーゼで調節される疾患、病態及び/又は障害の処置に潜在的な有用性を有する化合物及びその薬学的組成物を提供する。
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子を含む飽和直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基を指し、アルキル基は必要に応じて下に記載する1つ以上の置換基で独立して置換されることができる。アルキル基の例には、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH、2−メチル−2−ブチル(−CH(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH)3、1−ヘプチル、1−オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルケニル」という用語は、不飽和の部位、例えば炭素−炭素、sp2二重結合が少なくとも1つある、2〜12個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基で、アルケニル基は必要に応じて、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して置換され、”cis”及び”trans”の配置を有する基、或いは”E”及び”Z”配置を有する基を含む。例としては、エチレン又はビニル(−CH=CH)、アリール(−CHCH=CH)、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、5−ヘキセニル(−CHCHCHCHCH=CH)、1−シクロヘキス−1−エニル、1−シクロへキス−2−エニル及び1−シクロへキス−3−エニルが含まれるが、これらに限定されない。
「アルキニル」という用語は、不飽和の部位、例えば炭素−炭素、sp三重結合が少なくとも1つある、2〜12個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基で、アルキニル基は必要に応じて、本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して置換される。例としては、アセチレン(−C≡CH)及びプロパルギル(−CHC≡CH)が含まれるが、これらに限定されない。
「アルキレン」という用語は、1〜18個の炭素原子からなり、親アルカンの同じ又は2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することにより誘導された2個の一価ラジカル中心を有する、飽和直鎖又は分枝鎖又は環状の炭化水素基を指す。代表的なアルキレン基には、メチレン(−CH)、1,2−エチル(−CHCH−)、1,3−プロピル(−CHCHCH−)、1,4−ブチル(−CHCHCHCH−)等が含まれるが、これらに限定されない。
「アルケニレン」という用語は、2〜18個の炭素原子からなり、親アルケンの同じ又は2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することにより誘導された2個の一価ラジカル中心を有する、不飽和の分枝又は直鎖又は環状の炭化水素基を指す。代表的なアルケニレン基には、1,2−エチレン(−CH=CH−)が含まれるが、これに限定されない。
「アルキニレン」という用語は、2〜18個の炭素原子からなり、親アルキンの同じ又は2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することにより誘導された2個の一価ラジカル中心を有する、不飽和の分枝又は直鎖又は環状炭化水素基を指す。代表的なアルキニレン基には、アセチレン(−C≡C−)、プロパルギル(−CHC≡C−)及び4−ペンチニル(=CHCHCHC≡C−)が含まれるが、これらに限定されない。
「炭素環式」及び「カルボシクリル」は、非芳香族の飽和又は不飽和の3〜12個の炭素原子を含む単環式化合物又は7〜12個の炭素原子を含む二環式化合物を意味する。二環式の炭素環は、7〜12個の炭素原子を有し、例えばビシクロ[4,5][5,5][5,6]又は[6,6]系に配置されるか、9〜10個の炭素原子を有し、ビシクロ[5,6]又は[6,6]系に配置されるか、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナン等の架橋系に配置される。単環式炭素環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロへキス−1−エニル、1−シクロへキス−2−エニル、1−シクロへキス−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルが含まれるが、これらに限定されない。
「アリール」は、親芳香環系の単一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導された6個〜20個の炭素原子を含む一価芳香族炭化水素基を意味する。幾つかのアリール基は、”Ar”としての例示的構造で示される。アリールは、縮合非芳香環又は部分飽和環と共に芳香環を含む二環式基を含む。代表的なアリール基は、ベンゼン、飽和ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、インデニル、インダニル、1,2−ジヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル等から誘導されるラジカルを含むが、これらに限定されない。
「ヘテロアルキル」という用語は、1〜12個の炭素原子を含む飽和直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基を指し、少なくとも炭素原子の1個がN、O又はSから選択されるヘテロ原子で置換され、その基が炭素基又はヘテロ原子基であることができる(例えば、ヘテロ原子はその基の中央又は末端に現れる)。ヘテロアルキル基は、必要に応じて本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して置換される。「ヘテロアルキル」という用語は、アルコキシ及びヘテロアルコキシ基を含む。
「ヘテロアルケニル」という用語は、2〜12個の炭素原子からなり、少なくとも1つの二重結合、例えばエテニル、プロペニル等を含有する、直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基を指し、炭素原子の少なくとも1個がN、O又はSから選択されるヘテロ原子で置換され、その基が炭素基又はヘテロ原子基であることができる(例えば、ヘテロ原子はその基の中央又は末端に現れる)。ヘテロアルケニル基は、必要に応じて本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して置換され、”cis”及び”trans”の配置を有する基、或いは”E”及び”Z”配置を有する基を含む。
「ヘテロアルキニル」という用語は、2〜12個の炭素原子からなり、少なくとも1つの三重結合を含む、直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素基を指す。例としては、少なくとも炭素原子の1個がN、O又はSから選択されるヘテロ原子で置換され、その基が炭素基又はヘテロ原子基である場合がある(例えば、ヘテロ原子はその基の中央又は末端に現れる)、エチニル、プロピニル等が含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアルキニル基は、必要に応じて本明細書に記載の1つ以上の置換基で独立して置換される。
「ヘテロシクロアルキル」、「複素環式」又は「ヘテロシクリル」という用語は、3〜8個の炭素原子からなり、少なくとも1個の原子が窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子であり、残る原子がCであり、1個以上の原子が必要に応じて下に記載する1つ以上の置換基で独立して置換される、飽和又は部分不飽和のカルボシクリル基を指す。この基は炭素基又はヘテロ原子基であることができる。この用語は更に、1つ以上の炭素環又は複素環を縮合した複素環を含む、二環式及び三環式の縮合環系を含む。「ヘテロシクロアルキル」は、複素環基が芳香環又はヘテロ芳香環と縮合する基も含む。ヘテロシクロアルキル環の例には、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルフォリノ、チオモルフォリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、3H−インドリル及びキノリジニルが含まれるが、これらに限定されない。スピロ成分も本定義の範囲内に含まれる。前記の基は、上記の基から誘導されたものとして、可能であればC結合又はN結合であることができる。例えば、ピロルから誘導された基は、ピロル−1−イル(N結合)又はピロル−3−イル(C結合)であることができる。更に、イミダゾールから誘導された基は、イミダゾール−1−イル(N結合)又はイミダゾール−3−イル(C結合)であることができる。2個の炭素原子がオキソ(=O)成分で置換される複素環基の例は、1,1−ジオキソ−チオモルフォリニルである。本明細書の複素環基は、置換されないか、特定されれば1つ以上の置換可能位において種々の基で置換されることができる。
「ヘテロアリール」という用語は、5〜10個の原子からなり、窒素、酸素又は硫黄から選択される少なくとも1個から4個までのヘテロ原子を含有する縮合環系(その少なくとも1つは芳香環である)を含む5、6又は7員環の一価芳香族基を指す。ヘテロアリール基の例には、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル及びフロピリジニルが含まれるが、これらに限定されない。スピロ成分も本定義の範囲内に含まれる。ヘテロアリール基は、必要に応じて例えばハロゲン、低アルキル、低アルコキシ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヒドロキシで一置換、二置換又は三置換される。
限定ではなく例として、炭素が結合した複素環及びヘテロアリールは、ピリジンの2位、3位、4位、5位又は6位、ピリダジンの3位、4位、5位又は6位、ピリミジンの2位、4位、5位又は6位、ピラジンの2位、3位、5位又は6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール又はテトラヒドロピロールの2位、3位、4位又は5位、オキサゾール、イミダゾール又はチアゾールの2位、4位又は5位、イソキサゾール、ピラゾール又はイソチアゾールの3位、4位又は5位、アジリジンの2又は3位、アゼチジンの2位、3位又は4位、キノリンの2位、3位、4位、5位、6位、7位又は8位、イソキノリンの1位、3位、4位、5位、6位、7位又は8位に結合する。炭素結合複素環の例には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル又は5−チアゾリルが含まれるが、これらに限定されない。
「置換型アルキル」、「置換型アリール」、「置換型複素環式」及び「置換型シクロアルキル」は、それぞれ、1つ以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置換されるアルキル、アリール、複素環式及びシクロアルキルを意味する。代表的な置換基としては、F、Cl、Br、I、OH、OR、R、=O、=S、=NR、=N+(O)(R)、=N(OR)、=N+(O)(OR)、=N−NRR’、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NRR’、−NRR’、−N+RR’R”、−N(R)C(=O)R’、−N(R)C(=O)OR’、−N(R)C(=O)NR’R”、−SR、−OC(=O)R、−OC(=O)OR、−OC(=O)NRR’、−OS(O)(OR)、−OP(=O)(OR)2、−OP(OR)2、−P(=O)(OR)2、−P(=O)(OR)NR’R”、−S(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−S(O)(OR)、−S(O)(OR)、−SC(=O)R、−SC(=O)OR、=O及び−SC(=O)NRR’であって、式中各R、R’及びR”はH、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20アリール及びC2−C20複素環から独立して選択されるものを含むが、これらに限定されない。上述のように、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン及びアルキニレン基も同様に置換することができる。
一実施形態において、本発明は化学式Iの化合物であって、
式中:
XはNR、CH又はCOであり;
はC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、Z−アリール、ヘテロアリール、−C(=O)R12、−C(=O)OR12、−C(=O)NR1213、−NR1213、−N(R13)C(=O)R12、−N(R13)C(=O)OR12、−N(R12)C(=O)NR1314、−S(O)R14、−S(O)14又は−S(O)NR1213であって、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分が必要に応じて、F、Cl、Br、I、NO、オキソ(但し、前記アリール又はヘテロアリール上にないことを条件とする)アルキル、Z−アリール、Z−ヘテロシクロアルキル、Z−ヘテロアリール、Z−CN、Z−OR12、Z−C(O)R12、Z−C(O)OR12、Z−C(O)−ヘテロシクロアルキル、Z−NR1215、Z−NR12C(O)R13、Z−NR12C(O)OR13、Z−SR12、Z−SOR12、Z−SO12、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)NR1213、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)OR12、Z−O−(C−Cアルキル)−ヘテロシクロアルキル、Z−C(O)NR1213、Z−NR12−(C−Cアルキル)−C(O)NR1213、Z−NR12−(C−Cアルキル)−C(O)OR12、Z−NR12−(C−Cアルキル)−OC(O)NR1213、Z−NR12C(=O)NR13、及びZ−NR12−(C−Cアルキル)−NR12C(O)NR1213から独立して選択される1つ以上の基で置換され;
、R及びRは、H、F、Cl、Br、I、−C(=O)R12、−C(=O)OR12、−C(=O)NR1213、−NR1214、−OR12、−OC(=O)R12、−OC(=O)OR12、−OC(=O)NR1213、−NR12C(O)−R13、−NR12−C(O)NR1314及び−NR12−C(O)OR13から独立して選択され;
はH、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20へテロシクロアルキル、−C(O)R12、又は−C(O)OR12であって、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル部分が必要に応じてハロゲン、OH、O−アルキル及びアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
Figure 2008540674
であって、式中、
(i)R及びRが、=Yで置換される5〜6員環の縮合炭素環式環を形成し、R、R10及びR11がH、F、Cl、Br及びIから独立して選択されるか、
(ii)R及びRが、=Y及びRで置換される5〜6員環の縮合炭素環式環を形成し、R10及びR11がH、F、Cl、Br及びIから独立して選択され;
YはO又はN−OHであり;
12、R13及びR14は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル、アミノ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
15はH、−SO−アルキル、−SONR1314、(C−Cアルキル)−OH、−C(O)O−アルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであって、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分は必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル及びアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
Zは1〜4個の炭素を有するアルキレン又は2〜4個の炭素を有するアルケニレン又はアルキニレンであって、式中、前記アルキレン、アルケニレン及びアルキニレンは必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル及びアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
nは0、1、2、3又は4である。
化学式Iの化合物のRの例示的実施形態には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、2−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−フラニル、3−フラニル、2−チエニル、3−チエニル、フェニル、3−インドリル、並びにそれらの置換形態、並びに以下の化学式で示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
Figure 2008540674
化学式Iの化合物のRの例示的実施形態には、1つ以上のヒドロキシメチル、メチルアミノカルボニルメトキシ、アミノ、2−(ジメチルアミノ)−エチルアミノカルボニル、メトキシカルボニルメトキシ、エチルアミノ、アシルアミノ、ジメチルアミノカルボニルメトキシ、カルボキシメトキシ、ヒドロキシ、アミノカルボニルメトキシ、メトキシ、フルオロ、メチル、メチルアミノカルボニル、モルフォリノカルボニルメトキシ、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアミノカルボニルメトキシ、イソプロピルアミノカルボニル、メトキシカルボニル、カルボキシ、アシルアミノメチル、ニトロ、メチルスルホニルアミノ、モルフォリノ、メチルスルホニル、ジメチルアミノ、シアノ、メチルチオ、t−ブトキシカルボニルアミノ、N−(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ、アミノメチル、モルフォリノカルボニル、2−メトキシエトキシ、ピラゾール−1−イル、N−(t−ブトキシカルボニル)エチルアミノ、3,5−ジメチルピラゾール−1−イル又はN,N−ジ(メチルスルホニル)アミノで必要に応じて置換されるアリールが含まれるが、これらに限定されない。
化学式Iの化合物のRの例示的実施形態には、1つ以上のヒドロキシメチル、メチルアミノカルボニルメトキシ、アミノ、2−(ジメチルアミノ)−エチルアミノカルボニル、メトキシカルボニルメトキシ、エチルアミノ、アシルアミノ、ジメチルアミノカルボニルメトキシ、カルボキシメトキシ、ヒドロキシ、アミノカルボニルメトキシ、メトキシ、フルオロ、メチル、メチルアミノカルボニル、モルフォリノカルボニルメトキシ、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアミノカルボニルメトキシ、イソプロピルアミノカルボニル、メトキシカルボニル、カルボキシ、アシルアミノメチル、ニトロ、メチルスルホニルアミノ、モルフォリノ、メチルスルホニル、ジメチルアミノ、シアノ、メチルチオ、t−ブトキシカルボニルアミノ、N−(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ、アミノメチル、モルフォリノカルボニル、2−メトキシエトキシ、ピラゾール−1−イル、N−(t−ブトキシカルボニル)エチルアミノ、3,5−ジメチルピラゾール−1−イル又はN,N−ジ(メチルスルホニル)アミノで必要に応じて置換されるフェニルが含まれるが、これらに限定されない。
化学式Iの化合物のRの例示的実施形態には、1−メチル−1H−インドール−3−イル、2−フリル、2−チエニル、2−チアゾイル、1−メチルピラゾール−4−イル、3−フリル、6−アミノピリド−3−イル−1−メチルピロル−2−イル、1−エチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリド−5−イル、1−(ピリド−3−イル)ピロール−2−イル、3−チエニル、5−チアゾリル、5−シアノ−6−メチルチオピリド−2−イル、6−メトキシピリド−3−イル、2−ピロリル、6−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ピリド−3−イル、1,2,3チアジアゾール−4−イル、2−キノリル、3−ピリジル、5−メトキシピリド−2−イル、2−ヒドロキシプロピル、ベンジル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリド−5−イル、2−(メトキシカルボニル)エチル、1−(2−シアノエチル)ピロール−2−イル、3−ピペリジニル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリド−4−イル、3−アミノプロピル、メチル、4−メトキシベンジル、1−(2−チアゾリル)ピロール−2−イル、2−テトラヒドロフラニル、1−(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン−3−イル、2−アミノエチル、1−(4−メチルピリド−2−イル))ピロール−2−イル、1−(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル、又は4−ピペリジルが含まれるが、これらに限定されない。
化学式Iの化合物の例示的実施形態には、以下の化学式Ia及びIbが含まれ:
Figure 2008540674
式中、Aは=Yで置換される5又は6員環縮合炭素環である。
化学式Iの化合物の例示的実施形態には、以下の化学式Ic〜Ipも含まれる。
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
式中、=Yが=N−OHである化学式Ic〜Ipの化合物の実施形態において、オキシム成分は、E若しくはZ異性体又は両方の混合物として存在することができる。
化学式Iの化合物の例示的実施形態には、以下の化学式Iq〜Iddも含まれる。
Figure 2008540674
Figure 2008540674
式中=Yが=N−OHである化学式Iq〜Iddの化合物の実施形態において、オキシム成分はE又はZ異性体又は両方の混合物として存在することができる。
化学式Iの化合物に加えて、本発明は、このような化合物の溶媒和物、薬学的に許容されるプロドラッグ、製剤学的に活性を有する代謝物及び薬学的に許容される塩も含む。
「溶媒和物」という用語は、1つ以上の溶媒分子との分子の凝集物を指す。
本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、化学式Iの化合物の前駆体又は誘導体であって、化学式Iの親化合物に比して腫瘍細胞への細胞毒性が低く、酵素又は加水分解によって活性化するかより活性を有する親形態へと変換することができるものを指す。例えば、Wilman, ”Prodrugs in Cancer Chemotherapy” Biochemical Society Transactions, 14, pp.375−382, 615th Meeting Belfast (1986)及びStella, et al., ”Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,” Directed Drug Delivery, Borchardt, et al., (ed.), pp.247−267, Humana Press (1985)を参照されたい。本発明のプロドラッグには、リン酸塩含有プロドラッグ、チオリン酸塩含有プロドラッグ、硫化物含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、βラクタム含有プロドラッグ、任意の置換型フェノキシアセタミド含有プロドラッグ又は任意の置換型フェニルアセタミド含有プロドラッグ、より活性の高い細胞毒性を有さない薬物に変換されることができる5−フルオロシトシンプロドラッグ及び5−フルオロウリジンプロドラッグが含まれるが、これらに限定されない。プロドラッグは、アミノ酸残基又は2つ以上(2、3又は4等)のアミノ酸残基の鎖がアミド又はエステル結合を介して化学式Iの化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ又はカルボン酸基と共有結合する、化学式Iの化合物も含む。アミノ酸残基は、一般的には3文字で示される天然に発生する20のアミノ酸を含み、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、βアラニン、γアミノ酪酸、シルツリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン及びメチオニンスルホンも含む。
この他の種類のプロドラッグも包含される。例えば、化学式Iの化合物の遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化することができる。又別の例として、遊離ヒドロキシル基を含む本発明の化合物は、Advanced Drug Delivery Reviews, 1996, 19, 115に概略のある通り、ヒドロキシ基をリン酸エステル、ヘミスクシネート、ジメチルアミノアセテート又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニルへ変換することによって、プロドラッグとして誘導体化することができる。ヒドロキシ及びアミノ基のカルバメートプロドラッグも、カルボネートプロドラッグ、ヒドロキシ基のスルホネートエステル及びスルファートエステルも含まれる。アシル基がアルキルエステルであることができ、必要に応じてエーテル、アミン及びカルボン酸官能基を含むがこれらに限定されない基で置換されるか、アシル基が上述のようなアミノ酸エステルである、(アシロキシ)メチル及び(アシロキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も含まれる。この種のプロドラッグについては、J. Med. Chem., 1996, 39, 10に記載がある。より具体的な例には、アルコール基の水素原子を、(C−C)アルカノイルオキシメチル、1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、(C−C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C−C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C−C)アルカノイル、α−アミノ(C1−C4)アルカノイル、アリールアシル及びα−アミノアシル又は、各α−アミノアシル基が天然発生のL−アミノ酸、P(O)(OH)、−P(O)(O(C−C)アルキル)又はグリコシルから独立して選択されるα−アミノアシル−α−アミノアシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去によって生じるラジカル)等の基による置換が含まれる。
化学式Iの化合物の遊離アミンも、アミド、スルホンアミド又はホスホンアミドプロドラッグとして誘導体化することができる。これらのプロドラッグ成分は全て、エーテル、アミン及びカルボン酸官能基を含むがこれらに限定されない基に組み込むことができる。例えば、プロドラッグは、アミン基の水素原子を、式中R及びR’がそれぞれ独立して(C−C10)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ベンジルであるか、R−カルボニルが天然のα−アミノアシル又は天然のα−アミノアシル−天然のα−アミノアシルであるR−カルボニル、RO−カルボニル、NRR”−カルボニル、式中YがHである−C(OH)C(O)OY、(C−C)アルキル又はベンジル、式中Yが(C−C)アルキルであり、Yが(C−C)アルキル、カルボキシ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキル又はモノ−N−又はジ−N,N−(C−C)アルキルアミノアルキルである−C(OY)Y、式中YがH又はメチルであり、Yがモノ−N−又はジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ、モルフォリノ、ピペリジン−1−イル又はピロリジン−1−イルであるC(Y)Yで置換することによって生成することができる。
「代謝物」は、特定の化合物又はその塩から身体での代謝を通じて生成された生成物である。ある化合物の代謝物は、当該技術分野で既知の通常の手法を使用して同定することができ、その活性は本明細書に記載のような検査を使用して測定することができる。
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の薬学的に許容される有機又は無機塩を指す。塩の例には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びパモエート(1,1’−メチレン−bis−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩は、酢酸塩イオン、コハク酸塩イオン又は他の対イオン等の別の分子の包含を伴うことができる。対イオンは、親化合物の電荷を安定させるあらゆる有機又は無機成分であることができる。更に、薬学的に許容される塩は、その構造内に1つ以上の帯電原子を有することができる。複数の帯電原子が薬学的に許容される塩の一部をなしていれば、複数の対イオンを有することができる。このように、薬学的に許容される塩は、1つ以上の帯電原子及び/又は1つ以上の対イオンを有することができる。
本発明の化合物が主成分である場合、望ましい薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸又は、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸等の有機酸、グルクロン酸又はガラクツロン酸等のピラノシジル酸、クエン酸又は酒石酸等のαヒドロキシ酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸等のアミノ酸、安息香酸又は桂皮酸等の芳香族酸、p−トルエンスルホン酸又はエタンスルホン酸等のスルホン酸で遊離塩基を処理する等の当業界で利用可能なあらゆる好適な方法で調製することができる。
本発明の化合物が酸性である場合、望ましい薬学的に許容される塩は、例えば、アミン(一級、二級又は三級)、水酸化アルカリ金属又は水酸化アルカリ土類金属等の無機又は有機塩基で、遊離酸を処理する等のあらゆる好適な方法で調製することができる。好適な塩の例示的な例には、グリシン及びアルギニン等のアミノ酸、アンモニア、一級、二級及び三級アミン及びピペリジン、モルフォリン及びピペラジン等の環状アミンから誘導される有機塩、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから誘導される無機塩が含まれるが、これらに限定されない。
「薬学的に許容される」という用語は、その物質又は組成物が、配合物を含む他の成分及び/又はそれで処置される哺乳動物と、化学的及び/又は毒性学的に適合しなければならないことを示す。
本発明の化合物は、不斉中心又はキラル中心を有することができ、そのため、種々の立体異性体の形態で存在することができる。「キラル」という用語は、自らの鏡像と重ね合わすことができない特性を有する分子を指すのに対し、「アキラル」という用語は自らの鏡像に重ね合わすことができる分子を指す。ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体並びにラセミ混合物のようなその混合物を含むがこれらに限定されない、本発明の化合物の全ての立体異性体の形態は、本発明の一部をなすことを意図する。「立体異性体」という用語は、同一の化学構造を有するが、空間中の原子又は基の配位の点で異なる化合物を指す。「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラル中心を有し、その分子が互いの鏡像になっていない立体異性体を指す。ジアステレオマーは種々の物理学的特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィーのような高分解能の分析手段によって分離することができる。「エナンチオマー」は、互いの鏡像を重ね合わすことができない、化合物の2つの立体異性体を指す。本明細書で使用される立体化学的な定義及び表記法は一般的に、S.P. Parker, Ed., McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw−Hill Book Company, New York; and Eliel, E. and Wilen, S., ”Stereochemistry of Organic Compounds”, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。多くの有機化合物が光学的に活性を有する形態で、即ち、平面偏光の偏光面を回転する能力を有する形態で存在する。光学的に活性を有する化合物の説明において、接頭辞D及びL又はR及びSを使用して、そのキラル中心に関する分子の絶対配位を示す。接頭辞d及びl又は(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転の性質を示すのに使用する。(−)又はlは化合物が左旋性であることを意味する。接頭辞(+)又はdのついた化合物は右旋性である。所定の化学構造において、これらの立体異性体は互いが互いの鏡像であることを除いては同一である。特異的な立体異性体は、エナンチオマーを指すものもあり、このような異性体の混合物はエナンチオマー混合物と呼ぶことも多い。エナンチオマーの50:50の混合物は、ラセミ混合物又はラセミ酸塩と呼び、化学反応又はプロセスにおいて立体選択も立体特異性もない場合に生じることがある。「ラセミ混合物」及び「ラセミ酸塩」という用語は、光学活性を有さない2つのエナンチオマーの等モル混合物を指す。
又、本発明はあらゆる幾何学的及び位置的異性体を含む。例えば、本発明の化合物が二重結合又は縮合環を組み込んでいる場合、そのcis及びtrans形態並びにその混合物は本発明の適用範囲内である。単一の位置異性体も、ピリミジン及びピラジン環のN酸化によって生じる複数の位置異性体の混合物も、本発明の適用範囲内である。
本明細書に示す化学構造において、特殊なキラル原子の立体化学が何ら特定されていない場合、全ての立体異性体が検討され、本発明の化合物として含まれる。立体化学が、特殊な配位を示す実線の楔又は点線で特定されている場合、その立体異性体はそのように特定され定義される。
本発明の化合物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒に非溶媒和並びに溶媒和の形態で存在することができ、本発明は溶媒和及び非溶媒和の形態の両方を含むことを意図する。
又、本発明の化合物は、種々の互変異性型で存在することができ、このような全ての型は本発明の適用範囲内に包含される。「互変異性」又は「互変異性型」という用語は、低エネルギーのバリアを介して互いに変換することのできる種々のエネルギーを有する異性体の構造を指す。例えば、プロトン互変異性(プロトロピック互変異性とも呼ぶ)は、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化等、プロトンの移動を介する互変換を含む。原子価互変異性は、結合電子の幾つかの再構成による互変換を含む。
本発明は、本明細書に記載のものと同一であるが、1つ以上の原子が自然に通常認められる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子で置換される本発明の同位体標識化合物も含む。特定されたあらゆる特殊な原子又は元素の同位体の全て及びその使用は、本発明の化合物の適用範囲内で検討される。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、3P、35S、18F、36Cl、123I及び125I等の水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体が含まれる。本発明の特定の同位体標識化合物(3H及び14Cで標識されたもの等)は、化合物及び/又は基質の組織内分布試験に有用である。トリチウム化(H)及び炭素14(14C)同位体は、調製及び検出が容易であるため有用である。更に、ジュウテリウム(H)等の重同位体での置換は、代謝安定性が高まるため特定の治療的利点を提供し(in vivoでの半減期の延長又は投与要件の減少)、従って幾つかの状況では望ましい。15O、13N、11C及び18F等の陽電子放出同位体は、基質−受容体占有状況を確認するための陽電子放出断層撮影法(PET)試験に有用である。本発明の同位体標識化合物は一般的には、本明細書の図式及び/又は実施例に開示されているのと似た手法に従って、非同位体標識試薬ではなく同位体標識試薬を使用することによって調製することができる。
Raf阻害化合物の合成
化学式Iの化合物は、化学の技術分野で周知のものに似たプロセスを含む合成経路により、特に本明細書に含まれる記載内容に照らして合成される場合がある。出発材料は一般的にAldrich Chemicals(Milwaukee, WI)等から購入することができるか、当業界で周知の方法(一般的にLouis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1−19, Wiley, N.Y. (1967−1999 ed.)又は付録を含むBeilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. 3d. Springer−Verlag, Berlin(Beilsteinオンラインデータベースを介しても入手可能)に記載の方法で調製)を使用して容易に調製される。
例示のため、以下に示す図式1及び2は、本発明の化合物を合成するための可能性のある経路、並びに重要な中間生成物を提供する。個々の反応手順のより詳細な説明については、実施例を参照されたい。当業者であれば、本発明の化合物を合成するのにその他の合成経路が使用される場合があることを理解するであろう。特定の出発材料及び試薬が図式に示され、以下で考察されているが、その他の出発材料及び試薬に代えて、種々の誘導体及び/又は反応条件を容易に提供することができる。又、以下に記載の方法で調製される化合物の多くは、当業者に周知の従来の化学を使用し、本開示内容に照らして更に改変することもできる。
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図式1及び2で示す化学式Iuの化合物の一般的な合成手順は、適切なピラジン(1)、イソニトリル(2a又は2b)及びアルデヒド(3)成分に関与する[4+1]環化反応を含む(例えば、Blackburn, C., et al., Tet. Letters, 39 (1998), 3635−3638及びGroebke, K. and Mehlin, F., Synlet, (1998), 661−663を参照)。この反応は図式1に示すオキシム誘導体を使用して望ましいオキシムを得るか、図式2に示すケトン誘導体を使用して、イミダゾピラジン中間生成物4をヒドロキシルアミンによる処理でオキシムIuに変換するかの何れかで実施することができる。全ての化合物をプロトンNMR及びMSで確認した。
図式3及び4は本発明の化合物に至る追加の経路を示す。ピラジン誘導体のアルキル又はアリール官能基化αハロケトンによる縮合を実施し、2,3−置換型イミダゾピラジンを調製することができる(Rimoli, M. G., et al., Eur. J. Med. Chem., 32 (1997), 195−203及びSablayrolles, C., et al., J. Med. Chem., 27 (1984), 206−212を参照)。C3におけるメチル基の臭素化をNBSと実施し、中間生成物の臭化物を得て、それを鈴木カップリング反応でボロン酸と結合させて、官能基化したイミダゾピラジンを調製することができる。
Figure 2008540674
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本発明の化合物の調製において、中間生成物の遠隔官能性(remote functionality)(一級又は二級アミン等)の保護が必要になることがある。このような保護の必要は、遠隔官能性の性質及び調製方法の条件によって異なる。好適なアミノ保護基(NH−Pg)には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。このような保護の必要は、当業者は容易に判断できる。保護基及びその使用に関する一般的な説明については、T.W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照されたい。
分離方法
例示的図式のそれぞれにおいて、反応生成物を互いに又は出発材料から分離することが有益である。各段階又は一連の段階の望ましい生成物を分離及び/又は精製(今後は分離と表記)して、当該技術分野でよく行われる手技で望ましい程度の均一性にする。代表的なこのような分離には、多相抽出、溶媒又は溶媒混合物からの結晶化、蒸留、昇華又はクロマトグラフィーが含まれる。クロマトグラフィーは、例えば、逆相及び順相、サイズ排除、イオン交換、高、中及び低圧液体クロマトグラフィーの方法及び装置、小規模分析、擬似移動床(SMB)及び準備的薄層又は厚層クロマトグラフィー並びに小規模薄層及びフラッシュクロマトグラフィーの手技をはじめとして、あらゆる種類の方法を使用してもよい。
別の分離方法は、目標の生成物又は無反応出発材料と結合するべく選択されるか、別の方法で分離可能にする試薬による混合物の処理、生成物による反応等が含まれる。このような試薬には、活性炭、分子ふるい、イオン交換培地等の吸着剤又は吸収剤が含まれる。或いは、塩基性材料の場合、試薬は酸性であることができ、酸性材料の場合、試薬は塩基性であることができ、抗体、結合タンパク質等の結合試薬、クラウンエーテル等の選択的キレート化剤、液体/液対イオン抽出試薬(LIX)等であることができる。
適切な分離方法の選択は、関与する材料の性質に基づく。例えば、蒸留及び昇華における沸点及び分子量、クロマトグラフィーにおける極性官能基の有無、多相抽出における酸性及び塩基性培地における材料の安定性等である。当業者は望ましい分離を行うのに最も都合のよい手技を適用できる。
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶等の、当業界に周知の方法により、その物理的化学的差異に基づいて個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマーは、適切な光学活性を有する化合物(キラルアルコール又はMosher’s酸塩化物等のキラル補助基等)と反応させることによって、エナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換することによって分離し、そのジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換(加水分解等)することができる。又、本発明の化合物の幾つかはアトロプ異性体(置換型ビアリール等)であることができ、それらも本発明の一部とみなされる。又、エナンチオマーはキラルHPLCカラムを使用することによって分離することができる。
実質的に自らの立体異性体を有さない単一の立体異性体、例えばエナンチオマーは、光学活性を有する分解剤を使用したジアステレオマーの形成といった方法を使用して、ラセミ混合物を分解することによって得ることができる(Eliel, E. and Wilen, S. ”Stereochemistry of Organic Compounds”, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994; Lochmuller, C.H., (1975) J. Chromatogr., 113(3):283−302)。本発明のキラル化合物のラセミ混合物は、以下のあらゆる好適な方法により分離及び単離することができる。(1)キラル化合物とイオン性のジアステレオマー塩を形成し、分別結晶又は他の方法により分離する、(2)キラル誘導剤でジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、純粋な立体異性体に変換する、(3)キラル条件下で直接的に実質的に純粋な又は豊富な立体異性体を分離する。”Drug Stereochemistry, Analytical Methods and Pharmacology”, Irving W. Wainer, Ed., Marcel Dekker, Inc., New York (1993)を参照されたい。
方法(1)では、ジアステレオマー塩を、ブルシン、キニン、エフェドリン、ストリキーネ、α−メチル−β−フェニルエチルアミン(アンフェタミン)等のエナンチオマー的に純粋なキラル塩基を、カルボン酸及びスルホン酸等の酸性官能基を有する不斉化合物と反応させることによって形成することができる。ジアスとレオマー塩を誘導して、分別結晶又はイオンクロマトグラフィーにより分離することができる。アミノ化合物の光学的異性体の分離のため、カンフォスルホン酸、酒石酸、マンデリン酸又は乳酸等のキラルカルボン酸又はスルホン酸を添加することによって、ジアステレオマー塩を形成することができる。
或いは、方法(2)により、分解対象の基質がキラル化合物の1個のエナンチオマーと反応して、ジアステレオマー対を形成する(E. and Wilen, S. ”Stereochemistry of Organic Compounds”, John Wiley & Sons, Inc., 1994, p.322)。ジアステレオマー化合物は、不斉化合物をメンチル誘導体等のエナンチオマー的に純粋なキラル誘導試薬と反応させることで形成することができ、その後ジアステレオマーを分離し、加水分解して純粋又は豊富なエナンチオマーを回収する。光学的純度の測定方法は、メンチルエステル等のキラルエステル、例えば(−)メンチルクロロホルメートを、ラセミ混合物の塩基、モッシャーエステル、α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニルアセテート(Jacob III. (1982) J. Org. Chem. 47:4165)の存在下で作製し、2個のアトロプ異性エナンチオマー又はジアステレオマーが存在するかどうかをNMRスペクトルを分析する。アトロプ異性化合物の安定なジアステレオマーは、アトロプ異性ナフチル−イソキノリンの分離方法(国際公開第96/15111号)に従って、順相及び逆相クロマトグラフィーにより分離し単離することができる。方法(3)では、2個のエナンチオマーのラセミ混合物を、キラル固定相を使用したクロマトグラフィーによって分離することができる(”Chiral Liquid Chromatography” (1989) W. J. Lough, Ed., Chapman and Hall, New York; Okamoto, (1990) J. of Chromatogr. 513:375−378)。豊富又は純粋なエナンチオマーは、他のキラル分子と不斉炭素原子とを識別するのに使用する方法、例えば光学回転及び円二色性によって識別することができる。
化学式Iの化合物の投与
本発明の化合物は、処置対象の病態にとって適切なあらゆる経路により投与することができる。好適な経路には、経口、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、皮内、髄腔内及び硬膜外を含む)、経皮、経直腸、経鼻、局所(口腔及び舌下を含む)、経膣、腹腔内、肺内及び鼻内投与が含まれる。免疫抑制剤の局所投与では、化合物は病変内投与で投与することができる。これには移植前に抑制剤を移植片に注入するか接触させることが含まれる。望ましい経路は、例えばレシピエントの状態により異なることは理解される。化合物を経口投与する場合、化合物は薬学的に許容される担体又は調剤と共に丸薬、カプセル剤、錠剤等として配合することができる。化合物を非経口投与する場合、化合物は薬学的に許容される非経口用賦形剤と共に、下述のような単一の注射用量として配合することができる。
薬学的配合物
これまでに示した通り、化学式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩及びプロドラッグは、虚血性事象、癌、慢性神経変性、疼痛、偏頭痛及び心肥大から生じる神経変性を伴う障害の処置及び/又は予防に有用である。従って、本発明の別の態様は、当該処置を必要とする哺乳動物に、化学式Iの化合物又は化学式Iの化合物を含有する組成物の有効量を投与することにより、過増殖性障害、神経変性、心肥大、疼痛、偏頭痛又は神経外傷性疾患を予防又は処置する方法を提供する。又、本発明は更に、薬学的組成物、即ち化学式Iの化合物の治療有効量を含む配合物を提供する。本発明の更なる態様によれば、過増殖性障害、神経変性、心肥大、疼痛、偏頭痛又は神経外傷性疾患又は事象により悪化するか生じる、ヒト又は他の哺乳動物におけるあらゆる病態の予防的又は治療的処置のための医薬品の製造における、化学式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩又はプロドラッグの使用が提供される。
本明細書に規定される神経外傷性疾患/事象は、手術により生じたような開放性又は穿通性頭部外傷又は頭部への外傷により生じたような閉鎖性頭部外傷の両方を含む。又、この定義には、特に脳領域の虚血性卒中、冠動脈バイパス術後の一過性の虚血性発作及び他の一過性虚血性疾患による認知症も含まれる。
虚血性発作は、塞栓、血栓又は血管の局所性のアテローム性閉鎖によって通常生じる、特に脳領域への血液供給の不足により生じる、局所性神経学的障害として定義することができる。この領域におけるストレス刺激(無酸素症等)、レドックス障害、過度の神経興奮刺激及び炎症性サイトカインの役割が明らかになりつつあり、本発明はこれらの障害を処置し得る手段を提供する。これらのような急性障害に対しては、これまで殆ど処置を行うことができなかった。
「癌」及び「癌性」という用語は、制御不能の細胞増殖を通常は特徴とする哺乳動物における病理学的状態を指すか、説明したものである。「腫瘍」は、1つ以上の癌細胞を含む。癌の例には、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫及び白血病又はリンパ性悪性腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。このような癌のより具体的な例には、表皮癌(扁平上皮癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(”NSCLC”)、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌をはじめとする肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝腫瘍、乳癌、大腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌並びに頭頚部癌が含まれる。
「処置する」及び「処置」という用語は、癌の発現又は広がりといった望ましくない病理学的変化又は障害を後退させる、予防する又は遅延(低減)することを目的とした、治療的処置及び予防的措置の両方を指す。本発明において、有益又は望ましい臨床的転帰には、症状の緩和、疾患の範囲の減少、病態の安定化(悪化ではない)、疾患の進行の遅延又は緩徐化、病態の改善又は緩和及び検出できるかできないかにかかわらない寛解(部分又は完全寛解)が含まれるが、これらに限定されない。「処置」は、処置を行わない場合に予測される生存期間に比して長い生存期間も意味することができる。処置を必要とするものはには、既にその病態又は障害を有するもの、又はその病態又は障害を来しやすいもの、又はその病態又は障害を予防しなければならないものが含まれる。このように、「処置する」又は「処置」は、予防的及び緩和的処置の両方を含む。
「治療有効量」という文章は、(i)特定の疾患、病態又は障害を処置するか、(ii)特定の疾患、病態又は障害の症状の1つ以上を緩和、改善又は除去するか、(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病態又は障害の症状の1つ以上の発症を予防又は遅延させる、化学式Iの化合物の量を意味する。癌の場合、化学式Iの化合物の治療有効量は、癌細胞の数を減少させ、腫瘍のサイズを縮小させ、隣接臓器への癌細胞の浸潤を阻害し(ある程度まで遅延させ、望ましくは止め)、腫瘍の転移を阻害し(ある程度まで遅延させ、望ましくは止め)、ある程度まで腫瘍の増殖を阻害し、癌に起因する症状の1つ以上をある程度まで緩和することができる。化学式Iの化合物が癌細胞の増殖を予防するか、既存の癌細胞を死滅させることが出来る限り、この化合物は細胞増殖抑制性又は細胞毒性を有する。癌治療では、有効性は、例えば疾患進行までの時間(TTP)を評価すること及び/又は奏功率(RR)を測定することにより測定することができる。
代表的な配合物は、本発明の化合物と、担体、希釈剤又は調剤とを混合することによって調製する。好適な担体、希釈剤又は調剤は当業者に周知であり、炭水化物、ワックス、水溶性及び/又は膨張可能なポリマー、親水性又は疎水性の材料、ゼラチン、油、溶媒、水等の材料を含む。使用する特別な担体、希釈剤又は調剤は、本発明の化合物を適用する手段及び目的によって異なる。溶媒は一般的には、哺乳動物に投与するのに当業者に安全であることが認知(GRAS)されている溶媒に基づいて選択する。一般的に安全な溶媒は、水等の非毒性の水性溶媒又は、水に可溶性か混和性のその他の非毒性の溶媒である。好適な水性溶媒には、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG400、PEG300等)及びその混合物が含まれる。又、配合剤は1つ以上の緩衝剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、抗酸化剤、造影剤、グライダント、加工補助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、風味剤及びその他、薬剤(即ち、本発明の化合物又はその薬学的組成物)の外観を良くするため、又は薬学製品(即ち、医薬品)を製造するのを補助するための既知の添加剤を含むことができる。
配合物は、従来からの溶解及び混合手順を使用して調製することができる。例えば、バルク製剤(本発明の化合物又は化合物の安定した形態、例えばシクロデキストリン誘導体との複合体又は他の既知の複合体剤)を、上述の1つ以上の調剤の存在下で、好適な溶媒に溶解する。本発明の化合物は、一般的には医薬品の剤型に配合され、薬物の用量を制御しやすくし、患者が処方を遵守することができるようなものにする。
申請用の薬学的組成物(又は配合物)は、薬物の投与に使用する方法に従って種々の方法で包装することができる。一般的に、配布用の物品には、その中に適切な形態の薬学的組成物を含む容器が含まれる。好適な容器は当業者に周知であり、ビン(プラスチック又はガラス)、袋、アンプル、ナイロン袋、金属シリンダー等といった材料を含む。又、容器はいたずら防止の組み立て品を含んで、包装の内容物に不正に手が届かないようにすることができる。又、容器はその上に容器の内容物を記載したラベルを添付される。ラベルは適切な警告も含むことができる。
本発明の化合物の薬学的配合物は、種々の投与経路及び投与形態のために調製することができる。例えば、望ましい純度を有する化学式Iの化合物は、必要に応じて薬学的に許容される希釈剤、担体、調剤又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences (1980) 16th edition, Osol, A. Ed.)と混合されて、凍結乾燥配合物、製粉又は水性溶液の形態にすることができる。配合は、室温にて適切なpHにおいて、望ましい純度で、生理学的に許容される担体、即ち使用する用量及び濃度においてレシピエントに非毒性の担体と混合することによって実施する。配合物のpHは、主として化合物の特殊な使用及び濃度によって異なる学問分野、約3〜約8であることができる。pH5の酢酸緩衝液における配合は好適な実施形態である。
本明細書で使用される抑制目的の化合物は、望ましくは滅菌状態である。特に、in vivo投与で使用する配合物は滅菌状態でなければならない。このような滅菌は、滅菌濾過膜での濾過によって容易に達成できる。
化合物は、通常は固形の組成物、凍結乾燥の配合物又は水性溶液として保管することができる。
本発明の薬学的組成物は、GMPに合致した方法、例えば量、濃度、スケジュール、クール、賦形剤及び投与経路で配合され、用量化され、投与されなければならない。この文脈において検討される因子には、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与計画及び医療従事者に既知の因子が含まれる。投与する化合物の「治療有効量」は、このような検討により決定され、凝固因子が媒介する障害を予防、改善又は処置するのに必要な最小量である。このような量は望ましくは宿主に対する毒性量未満であるか、宿主を著明に出血させやすくする量未満であるのがよい。
一般的な提案として、投与毎に非経口投与されるこの阻害剤の製剤学的に有効な初回量は、約0.01〜100mg/kg、即ち1日当たり約0.1〜20mg/kgであり、使用するか合物の代表的な初回用量は0.3〜15mg/kg/日である。
許容される希釈剤、担体、調剤及び安定剤は、使用する用量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸等の緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンをはじめとする抗酸化剤、保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール、メチル等のアルキルパラベン又はプロピルパラベン、カテコール、レソルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール及びm−クレゾール)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン等のタンパク質、ポリビニルピロリドン等の疎水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン等のアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース又はデキストリンをはじめとする他の炭水化物、EDTA等のキレート化剤、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩生成対イオン、金属複合体(Z−タンパク質複合体等)及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。薬学的活性成分も、調製したマイクロカプセルに、例えばコアセルベーション又は界面重合によってそれぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル又はポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに、コロイド薬物送達系(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンにおいて封入することができる。このような手技は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載がある。「リポソーム」は種々の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤を含む小さな賦形剤で、哺乳動物への薬物(本明細書に開示するRaf阻害剤及び必要に応じて化学療法剤等)の送達に有用である。リポソームの成分は、生物学的膜における脂質の配位に似た2層構造をとるのが普通である。
化学式Iの化合物の徐放製剤を調製することができる。徐放製剤の好適な例には、化学式Iの化合物を含有する固形の疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、そのマトリックスはフィルム又はマイクロカプセル等の形状をした物品の形態をとる。徐放マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール)等)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸のコポリマー及びγ−エチル−L−グルタメート、非分解性のエチレン−ビニルアセテート、LUPRON DEPOTTM等の分解性の乳酸−グリコール酸コポリマー(乳酸−グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドを含む注射可能なミクロスフェア)及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
配合物は、本明細書に詳述する投与経路に好適な配合物を含む。配合物は、利便的には用量単位で存在することができ、薬学の技術分野で周知のあらゆる方法で調製することができる。手技及び配合物は一般的にRemington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., Easton, PA)に記載がある。このような方法には、活性成分を1つ以上の副次的成分を構成する担体と会合させる段階を含む。一般的に、配合物は、均一且つ直接的に活性成分と液体担体又は微細分化された固形担体又はその両方と会合させ、その後、必要に応じて製品の形状を形成することによって調製することができる。
経口投与に好適な化学式Iの化合物の配合物は、それぞれが予め定められた量の化学式Iの化合物を含有する丸薬、カプセル剤、カシェ剤又は錠剤等の個別的な単位として調製することができる。
圧縮錠剤は、粉末又は顆粒等の流動形態の活性成分と、任意に混合した結合剤、滑沢剤、不活希釈剤、保存剤、界面活性剤又は分散剤とを好適な機械内で圧縮することによって調製できる。成型した錠剤は、粉末化した活性成分を不活の液体希釈剤で湿潤した混合物を好適な機械内で成型することによって製造することができる。錠剤は必要に応じてコーティングするか、割線を入れ、必要に応じて配合して活性成分が緩徐に放出されるか、放出を制御できるようにすることができる。
錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル、例えばゼラチンカプセル、シロップ又はエリキシルを経口用に調製することができる。経口投与を目的とした化学式Iの化合物の配合物は、薬学的組成物の製造業界に既知のあらゆる方法に従って調製される場合があり、このような組成物は、甘味剤、風味剤、着色剤、及び保存剤をはじめとする1つ以上の物質を含有することができ、嗜好性の良い製剤を提供することができる。活性成分を、錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容される調剤と混合して含有する錠剤は許容される。これらの調剤は、例えば、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等の不活の希釈剤、トウモロコシデンプン又はアルギニン酸等の顆粒剤及び崩壊剤、デンプン、ゼラチン又はアカシア等の結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク等の滑沢剤であることができる。錠剤はコーティングされてなくてもよく、マイクロカプセル化をはじめとする既知の手法によりコーティングを施して、消化管での崩壊及び吸着を遅延させ、それにより作用をより長時間持続させることができる。例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレート等の遅延剤を単独又はワックスと共に使用することができる。
眼又は他の外部組織例えば口腔及び皮膚の処置には、配合物は望ましくは、活性成分を例えば0.075〜20% w/wで含有する局所用軟膏又はクリームとして塗布されるのがよい。軟膏として配合された場合、活性成分はパラフィン又は水分混和性の軟膏基剤の何れかと使用することができる。或いは、活性成分は水中油クリーム基剤と共にクリームとして配合することができる。
必要に応じて、クリーム基剤の水相は、多価アルコール、例えばプロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG400を含む)等の2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール及びその混合物を含むことができる。局所塗布用の配合物は望ましくは、活性成分の皮膚又は他の罹患領域を経た吸収又は侵入を促進する化合物を含むのがよい。このような皮膚侵入促進剤の例には、ジメチルスルホキシド及び関連類似体が含まれる。
本発明のエマルジョンの油相は、既知の成分から既知の手法で構築することができる。この相は単に乳化剤を含むこともできるが、望ましくは少なくとも1つの乳化剤と油脂の何れか、又は油脂の両方との混合物を含むのがよい。望ましくは、親水性の乳化剤が、安定剤として働く親油性の乳化剤と共に含まれているのがよい。又、油脂の両方が含まれているのも望ましい。乳化剤は安定剤の有無にかかわらず、共にいわゆる乳化ワックスを形成し、ワックスは油脂と共にいわゆる乳化軟膏基剤を形成し、これはクリーム配合物の油性の分散相を形成する。本発明の配合物に使用するのに好適な乳化剤及びエマルジョン安定剤には、Tween(登録商標) 60、Span(登録商標) 80、セトステアリールアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレート及び硫酸ラウリルナトリウムが含まれる。
本発明の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な調剤と混合して活性成分を含有する。このような調剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロース、ポピドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギニン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアカシアゴム、及び天然のホスファチド(レシチン等)等の分散剤又は湿潤剤、酸化アルキレンと脂肪酸との縮合生成物(ポリオキシエチレンステアレート)、酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(ヘプタデカエチレンオキシセタノール等)、酸化エチレンと脂肪酸由来の部分エステル及びヘキシトール無水物との縮合生成物(ポリオキシエチレン粗ルビタンモノオレエート等)が含まれる。水性懸濁液は、エチル又はn−プロピルp−ヒドロキシ−ベンゾエート等の1つ以上の保存剤、1つ以上の着色剤、1つ以上の風味剤及びスクロース又はサッカリン等の1つ以上の甘味剤も含有することができる。
化学式Iの化合物の薬学的組成物は、滅菌性の注射可能の水性又は油性懸濁液等の滅菌性注射製剤の形態であることができる。この懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤及び上述のような懸濁剤を使用して、既知の方法に従って配合することができる。滅菌性注射製剤は、1,3−ブタン−ジオール中の溶液等、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌性注射溶液又は懸濁液であるか、凍結乾燥粉末として調製することができる。使用することができる許容される賦形剤及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。又、滅菌性の固定油は従来から溶媒又は懸濁培地として使用することができる。この目的のためには、合成モノ−又はジグリセリドをはじめとするあらゆる商標の固定油を使用することができる。又、オレイン酸等の脂肪酸も同様に注射製剤に使用することができる。
担体材料と結合させて単一の剤型を生成するための活性成分の量は、処置される宿主、及び特殊な投与方式によって異なる。例えば、ヒトへの経口投与を意図した徐放性の配合物は、約1〜1000mgの活性材料を含有することができ、それを組成物全体の約5〜約95%(重量:重量)の適切な利便性の高い量の担体材料と結合させることができる。薬学的組成物は容易に計測可能な投与用の量を提供すべく調製することができる。例えば、静脈内注射を意図した水性溶液は、溶液1mL当たり約3〜500μgの活性成分を含有して、好適な容積を約30mL/時で注入できるようにすることができる。
非経口投与に好適な配合物は、水性及び非水性の滅菌注射液を含み、これは抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び配合物を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有することができ、又懸濁剤及び濃化剤を含むことのできる水性及び非水性の滅菌懸濁液を含むことができる。
眼への局所投与に好適な配合物は、活性成分が好適な担体、特に活性成分のための水性溶媒中に溶解又は懸濁している点眼剤も含む。活性成分は望ましくはこのような配合物中に0.5〜20%、有利には0.5〜10%、特には約1.5% w/wの濃度で存在するのがよい。
口腔への局所投与に好適な配合物には、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント等の風味剤を使用した基剤中の活性成分を含むロゼンジ、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアといった不活の基剤中の活性成分を含むトローチ剤及び好適な液体担体中の活性成分を含むマウスウォッシュが含まれる。
直腸投与のための配合物は、例えばココアバター又はサリチル酸塩を含む好適な基剤と共に坐剤として提供することができる。
肺内又は経鼻投与に好適な配合物は、粒径が例えば0.1〜500ミクロン(0.1〜500ミクロンの範囲で、0.5、1、30、35ミクロンの目盛り単位の粒径を含む)であり、経鼻通過により迅速な吸入で投与されるか、口腔を通過して吸入されて、肺胞嚢に届くことができる。好適な配合物は、活性成分の水性又は油性溶液を含む。エアロゾル又は乾燥粉末投与に好適な配合物は、従来の方法に従って調製することができ、以下に記載する障害の処置又は予防にこれまで使用されてきた化合物等の他の治療剤と共に送達することができる。
経膣投与に好適な配合物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー配合物として提供され、活性成分に加えて当業界で適切とされているこのような担体を含有する。
配合物は、単位用量又は複数用量の容器、例えば密封アンプル及びバイアルに包装することができ、凍結乾燥状態で保管して、直前に水等の滅菌性の液体担体を添加するのみで使用できるようにする。即時調合の注射液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び前述のような種類の錠剤から調製される。望ましい単位剤型の配合物は、本明細書の上で言及したような活性成分の一日用量又は1日に分けて服用する用量単位、又はその適切な分画を含有するものである。
更に、本発明は、上に規定した少なくとも1つの活性成分及びそのための獣医学的担体を含む獣医学的組成物も提供する。獣医学的担体とは、組成物を投与する目的において有用な材料であり、他の状態では不活であるか、獣医業界で許容可能であって、活性成分と適合する個体、液体又はガス材料であることができる。
併用療法
化学式Iの化合物及び薬学的に許容されるその誘導体は、上述の病態の処置のため、単独又は他の治療薬との併用で使用されることができる。特に、化学式Iの化合物は、薬学的併用配合物において、又は併用療法としての投与計画において、抗過増殖性を有するか、過増殖性障害(癌等)を処置するのに有用な第二の化合物と結合させることができる。薬学的併用配合物又は投与計画の第二の化合物は、望ましくは化学式Iの化合物を補う活性を有して、互いに悪影響を与えないようにするのがよい。このような分子は、意図する目的のための有効量で、併用状態において好適に存在する。
併用療法は、同時又は連続的な投与計画として投与することができる。連続的に投与する場合、その併用療法は2回以上の投与で投与される。併用投与には別個の配合物又は単一の薬学的配合物を使用した同時投与、及び何れかの順序で行われる連続投与が含まれ、その場合望ましくは両方(又は全て)の活性成分が同時にその生物学的活性を発揮できるような時間間隔を空けるのがよい。
上述の同時投与されるあらゆる薬剤に好適な用量は、現在使用している用量であるか、新たに同定された薬剤及び他の化学療法剤又は治療の作用と結合する(相乗)ことから低用量であることができる。
併用療法は「相乗作用」を提供することができ、「相乗的」であることが確認されている。即ち、活性成分を一緒に使用した場合に得られる効果が、化合物を別々に使用した場合に得られる効果の合計よりも大きい。相乗効果が得られるのは、活性成分が、(1)同時に配合され、投与されるか、結合した単位用量配合物のかたちで同時に送達される場合、(2)別々の配合物として交互に又は並行して送達される場合、(3)何らかの他の投与計画による場合である。交互投与で送達される場合、相乗効果は、例えば別個のシリンジによる異なる注射により、化合物を連続的に投与又は送達する場合に得られる。一般的に、交互投与においては、各活性成分の有効用量が順番に、即ち連続的に投与されるのに対し、併用投与では2つ以上の活性成分の有効用量が一緒に投与される。
特別な実施形態において、抗癌治療では、化学式Iの化合物は他の化学療法剤、ホルモン剤又は抗体剤と併用すると共に、手術及び放射線療法とも併用する。本発明に基づく併用療法は、従って、少なくとも1つの化学式Iの化合物又は薬学的に許容されるその誘導体の投与及び少なくとも1つの他の癌治療法の使用を含む。望ましくは、本発明に基づく併用療法は、少なくとも1つの化学式Iの化合物又は薬学的に許容されるその誘導体及び、少なくとも1つの他の製剤学的に活性を有する化学療法剤の投与を含むのがよい。これらには既存及び将来の化学療法剤が含まれる。化学式Iの化合物及び製剤学的に活性を有する他の化学療法剤は、単一の薬学的組成物として一緒に、又は別々に投与することができ、別々に投与する場合は同時に又はあらゆる順序で連続的に投与することにより併用療法となる。このような連続投与のタイミングは近いこともあれば離れていることもある。化学式Iの化合物及び他の製剤学的に活性を有する化学療法剤の量、並びにその投与時機は、望ましい結合治療効果を達成できるように選択しなければならない。
化学式Iの化合物又は薬学的に許容されるその誘導体との併用に有用であることのできる製剤学的に活性を有する化学療法剤は、以下を含むがそれらに限定されない。
(1)パクリタキセル及びその類似体であるドセタキシル等のジテルペノイド、タキソ/タキサン又はビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン及びビノレルビン等のビンカアルカロイドといったチューブリン毒、エトポシド及びテニポシド等のエピポドフィロトキシン、5−フルオロウラシル及びフルオロデオキシウリジン等のフルオロピリミジン、アロプリノール、フルダラビン、メトトレキセート、クラドラビン、シタラビン、メルカプトプリン、ゲンシタビン及びチオグアニンといった抗代謝剤、9−アミノカンプトテシン、イリノテカン、トポテカン及び7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシンの種々の光学形態等のカンプトテシンを含むがこれに限定されない細胞周期特異的抗新生物剤、
(2)メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ダカルバジン及びニトロソウレア等のアルキル化剤、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、ブレオマイシン及びミトラマイシン等の抗腫瘍抗生剤、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチン等の白金配位化合物を含むがこれらに限定されない細胞毒性化学療法剤、及び、
(3)タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン及びヨードキシフェン等の抗エストロゲン剤、酢酸メゲストロール等のプロゲストロゲン、アナストロゾール、レトラゾール、ボラゾール及びエキセメスタン等のアロマターゼ阻害剤、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド及び酢酸シプロテロン等の抗アンドロゲン剤、酢酸ゴセルリン及びルプロリド等のLHRH作動剤及び拮抗剤、フィナステリド等のテストステロン−5α−ジヒドロレダクターゼ阻害剤、マリマスタット等のメタロプロテイナーゼ阻害剤、抗プロゲストロゲン剤、ミトキサントロン、1−アスパラギナーゼ、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体機能阻害剤、阻害剤又はc−キット及びbcr/ablチロシンキナーゼ(Gleevec等)、免疫療法、免疫抱合体、サイトカイン(IL−2、IFNα及びβ等)、腫瘍ワクチン(樹状細胞ワクチンを含む)、タリドミド、COX−2阻害剤、グルココルチコイド(プレドニゾン及びデカドロンを含む)、放射線増感剤(テマゾラミド等)、幹細胞増殖因子、erb−B2、erb−B4、上皮増殖因子受容体(EGFR)及び血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)の機能の阻害剤等の増殖因子機能阻害剤、Ephrin受容体(EphB4)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)及びアンギオポイエチン受容体(Tie1及びTie2)の機能の阻害剤等の血管新生阻害剤、CDK2及びCDK4の阻害剤等のその他のキナーゼ阻害剤を含むがこれらに限定されないその他の化学療法剤。
抗新生物剤は、細胞周期特異的な方法で抗新生物作用を含む、即ち相特異的であり、細胞周期の特異的な相で働くか、DNAと結合し、非細胞周期特異的な方法で働き、即ち、非細胞周期特異的であって別の機序で作用する。
化学式Iの化合物の代謝物
本明細書に記載の化学式Iの化合物のin vivoにおける代謝生成物も、本発明の適用範囲内に含まれる。「代謝物」は、特定の化合物又はその塩の体内における代謝によって生じた薬理学的に活性を有する生成物である。このような生成物は例えば、投与した化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、脱エステル、酵素分解等によって生じる。従って、本発明は、本発明の化合物と哺乳動物をその代謝生成物を回収するのに十分な期間接触させることを含むプロセスによって生じる化合物をはじめとして、化学式Iの化合物の代謝物を含む。
通常、代謝生成物は、本発明の化合物の放射線標識同位体(14C又は3H等)を調製し、それを検出可能な用量でラット、マウス、モルモット、サル又はヒト等の動物に投与し、代謝が生じるのに十分な時間をおき(通常は約30秒から30時間)、尿、血液又は他の生物学的試料からその変換生成物を単離することによって特定することができる。これらの生成物は標識されているため容易に単離することができる(他にも代謝物中で生存するエピトープに結合することのできる抗体を使用して単離することができる)。代謝物の構造は、MS、LC/MS又はNMR解析等の従来の方法で測定する。一般的に、代謝物の解析は、当業者に周知の従来の薬物代謝試験と同じ方法で行う。代謝生成物は、in vivoで認められないものでないかぎり、本発明の化合物の治療的用量の投与において診断的試験で有用である。
製造品
本発明の別の実施形態において、製造品又は、上述の障害の処置に有用な材料を含む「キット」が提供される。一実施形態において、キットは化学式Iの組成物を含む容器を含む。このキットは更に、容器の上又は容器と共にラベル又は添付文書を含む。「添付文書」という用語は、薬学製品の商業的包装に習慣的に含まれる説明書を指し、適応症、使用方法、用量、投与法、禁忌及び/又はこのような薬学製品の使用に関する警告に関する情報を含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ブリスターパックが含まれる。容器は、ガラスやプラスチック等の種々の材料から形成されることができる。容器には、病態を処置するのに有用な化学式Iの化合物又はその配合物が入っており、滅菌のアクセスポートを有することができる(例えば、容器は皮下注射針で穴を開けることのできるストッパーの付いた静脈注射液バッグ又はバイアルであることができる)。ラベル又は添付文書は、その組成物が選択の病態、例えば癌を処置するために使用するものであることを示す。一実施形態において、ラベル又は添付文書は、化学式Iの化合物を含む組成物が、異常な細胞増殖から生じた障害を処置するために使用することができることを示す。又、ラベル又は添付文書は、処置対象の患者が、過増殖性障害、神経変性、心肥大、疼痛、偏頭痛又は神経外傷性疾患又は事象等の障害を有することを示すことができる。又、ラベル又は添付文書は、組成物を他の障害を処置するのに使用することができることを示すことができる。或いは又は加えて、製造品は更に、注射用静菌性水(BWFI)、リン酸緩衝生食水、リンゲル液及びデキストロース溶液等の薬学的に許容される緩衝剤を含む第二の容器を含むことができる。又、更に、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針及びシリンジをはじめとして、商業的立場及びユーザーの立場から望ましい他の材料を含むことができる。
キットは更に、化学式Iの化合物及び存在する場合は第二の製剤学的配合物を投与するための指示書を含むことができる。例えば、キットが化学式Iの化合物を含む第一の組成物及び第二の製剤学的配合物を含む場合、キットは更に第一及び第二の薬学的組成物をそれを必要とする患者に同時、連続的又は別々に投与するための指示書を含むことができる。
又別の実施形態において、キットは錠剤又はカプセル剤等の化学式Iの化合物の経口固形剤型の送達に好適である。このようなキットは望ましくは、単位用量を多数含むのがよい。このようなキットは、それが意図する使用のための用量用法を記載したカードを含むことができる。このようなキットの例は「ブリスターパック」である。ブリスターパックは包装業界で周知であり、医薬品の剤型単位の包装に広く使用されている。必要に応じて記憶補助材、例えば投与計画の中で用量を投与する日を示すための、数字、文字又は他の印とカレンダーを供給することができる。
一実施形態によれば、製造品は(a)化学式Iの化合物をその中に含む第一の容器及び必要に応じて(b)第二の製剤学的配合物をその中に含む第二の容器を包含し、第二の製剤学的配合物は抗過増殖作用を有する第二の化合物を含むことができる。或いは、又はそれに加えて、製造品は更に、注射用静菌性水(BWFI)、リン酸緩衝生食水、リンゲル液及びデキストロース溶液等の薬学的に許容される緩衝剤を含む第三の容器を含むことができる。これは更に、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針及びシリンジをはじめとして、商業的立場及びユーザーの立場から望ましい他の材料を含むことができる。
キットが化学式Iの組成物及び第二の薬剤を含む他の特定の実施形態において、キットは分割ボトル又は分割ホイル袋といった別の組成物を含有する容器を含むことができるが、別々の組成物を単一の分割されていない容器に含めることもできる。一般的には、キットは別々の成分を投与する指示書を含む。別々の成分が望ましくは異なる用法(経口及び非経口等)で投与されるのがよい場合、投与間隔を空けて投与されるのがよい場合、又は処方医師が併用の個々の成分の滴定を望む場合には、キットの形態が特に有益である。
生物学的評価
B−Raf突然変異タンパク質447−717(V600E)を、Hsp90と複合体にしたシャペロンタンパク質Cdc37と共に発現させた(Roe, et al., (2004) Cell 116:87−98; Stancato, et al., (1993) J. Biol. Chem. 268:21711−21716)。
試料中のRafの活性の測定は、多数の直接的又は間接的な検出法により可能である(米国特許出願公開第2004/082014号)。ヒト遺伝子組換えB−Rafタンパク質の活性は、米国特許出願公開第2004/127496号及び国際公開第03/022840号に従い、放射線標識したリン酸塩を、B−Rafの既知の生理学的基質である遺伝子組換えMAPキナーゼ(MEK)に組み込んだ試験でin vitroで評価することができる。V600E完全長B−Rafの活性/阻害は、放射線標識したリン酸塩の、[γ−33P]からFSBA修飾野生型MEKへの組み込みを測定することによって評価した(実施例8)。
Raf活性の好適な測定方法は試料の性状によって異なる。細胞内でのRafの活性は、一方では細胞内に発現しているRafの量によって、もう一方では活性化Rafの量によって測定される。Rafタンパク質、特にB−Rafタンパク質をコードしている遺伝子の転写活性は、例えばRaf mRNAの量を測定することによって行うことができる。先行技術の標準的な方法は、例えば、DNAチップのハイブリダイゼーション、RT−PCR、プライマー伸長法及びRNA保護を包含する。更に、個々のRaf遺伝子の転写の誘導又は抑制に基づいたRaf活性の測定も、Rafプロモータを好適なリポーター遺伝子構築物に結合させることによって実施することができる。好適なリポーター遺伝子の例は、クロラムフェニコール変換酵素遺伝子、緑蛍光タンパク質(GFP)及びその亜型、ルシフェラーゼ遺伝子及びRenilla遺伝子である。但し、Rafタンパク質の発現量の増加の検出は、ここでもタンパク質の量に基づいて行い、この場合Rafタンパク質に対する抗体によりタンパク質の量が検出される。Rafタンパク質の活性の変化は、タンパク質のリン酸化又は脱リン酸の増減に帰せられる。例えば、B−Rafキナーゼは599Thr及び602Serリマインダーのリン酸化によって制御される(Zhang B.H. and Guan K.L. (2000) EMBO J. 19:5429)。B−Rafタンパク質のリン酸化の変化は、例えばリン酸化スレオニン又はセリンに対する抗体によって検出することができる。
Rafタンパク質はスレオニン/セリンキナーゼであるため、Rafタンパク質の活性はその酵素活性によって測定することができる。タンパク質MEKは、例えばB−Rafの基質であり、MEKのリン酸化の程度により試料中のB−Raf活性の測定が可能になる。同じように、他の基質、例えばRafタンパク質のRaf(Salh, et al., (1999) Anticancer Res. 19:731−740; Bondzi, et al., (2000) Oncogene 19:5030−5033)により特異的にリン酸化されるMBP及びペプチドを、個別の活性を測定するのに使用することができる。Rafは、一連のキナーゼがそれぞれリン酸化され、上位のキナーゼで活性化されるシグナルカスケードの一部であるため、Rafの活性はRafの下位の各キナーゼのリン酸化の程度を評価することによって測定することができる。他の特性の中でもこのいわゆるMAPキナーゼ経路により、転写因子が特異的に活性化し、遺伝子が転写活性をもち、Rafの活性をこれらの標的遺伝子の活性を測定することによって、間接的に測定することができる。
表1の例示的化合物を調製し、同定し、そのB−Raf結合活性及び腫瘍細胞に対するin vitro活性を定量した。B−Raf結合活性の範囲は1nM未満から約10μMであった。本発明の特定の例示的化合物のB−Raf結合活性IC50値は、10nM未満であった。本発明の特定の化合物の細胞を主体とする活性、即ちB−Raf標的キナーゼの活性化変異株を発現している細胞のIC50値は100nMであった。
本発明を説明するために以下の実施例を含める。但し、これらの実施例は本発明を限定するものでなく、単に本発明を実践する方法を示唆することを目的としたものであることを理解されたい。当業者であれば、記載の化学反応を容易に適応させて、本発明のその他幾つかのRaf阻害剤を調製することができ、本発明の化合物を調製する代替の方法も本発明の適用範囲内に含まれるとみなされることを認識するであろう。例えば、本発明に基づく例示されていない化合物の合成は、当業者に明らかな改変によって、例えば、妨害基を適切に保護することによって、記載されているものの他に当該技術分野で既知の好適な他の試薬を使用することによって、及び/又は反応条件に通常の改変を加えることによって、成功裏に実施される場合がある。或いは、本明細書に記載されているか、当該技術分野で既知のその他の反応は、本発明の他の化合物を調製するための適用性を有するものとして認識されるであろう。
(実施例1:イソニトリルオキシムの一般的な調製)
Figure 2008540674
手順A:5−アミノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オン(5)及びギ酸ブチルの混合物(5 eq.)を一晩潅流させた。反応混合物を、静置により固体化した油へと濃縮した。粗材料[N−(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)ホルムアミド(15.00g, 73mmol)]を冷却した(0℃)THF(300mL)及びトリエチルアミン(81mL, 582mmol)中に懸濁させた。これに6.6mL(1 eq.)のPOCl3を緩徐に添加した。2時間後のHPLCはほぼ完全な変換を示した。この粗反応混合物をシリカゲルに添加し、濃縮し(水槽の温度は約25℃に保った)、濃縮した混合物をシリカカラムに添加した。この生成物をDCM(100%)で溶出し、5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オン(6)を得た。
手順B:5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オン(6)(3.00g、19.1mmol)を100mLのCHCl3中で、1.4 eq.のO−(t−ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミン(3.94g、26.7mmol)及びTsOH−H2O(0.363g、1.91mmol)と結合させ、一晩の潅流で加熱した。TLCは少量の出発材料の残留及びオキシム異性体に対応する2つの非極性スポットを示した。この反応混合物を濾過し、茶色の半固体へと濃縮し、その後すぐにDCMと共にシリカカラムに添加して、1%MeOH/DCMで溶出することによって精製し、4.1g(75%)の5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オンO−t−ブチルジメチルシリルオキシム(7)を得た。
(実施例2:5−(2−(4−(ヒドロキシメチル)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オンオキシム(13)の調製)
Figure 2008540674
手順A:冷却した(0℃)MeOH(50mL)中の4−(ジエチオキシメチル)ベンズアルデヒド(5.2g、24mmol)にNaBH4(0.93g、24mmol)を添加し、反応混合物を3時間攪拌した。MeOHを除去し、残留物をDCM中に採取し、水で希釈した。水層をDCMで抽出した(3×50mL)。結合有機層を乾燥し、濾過し、濃縮した。粗油をMeOH(50mL)に溶解し、0℃まで冷却した。これにエーテル中の2N HCl(10.0mL)を添加した。反応混合物を24時間室温に静置した。MeOHを除去し、粗生成物をEtOAc/ヘキサン(3:7)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、無色の油である2.92gの4−(ヒドロキシメチル)ベンズアルデヒド(11)を得た。
Figure 2008540674
手順B:ピラジン−2−アミン(12)(0.10g、1.1mmol)を0.21g(1.3mmol)の4−(ヒドロキシメチル)ベンズアルデヒド(11)及びSc(OTf)3(0.053g、0.11mmol)と結合させ、結合生成物をDCM/MeOH(1:1)に溶解して、1時間攪拌した。これに、0.310g(1.1mmol)の5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オンO−t−ブチルジメチルシリルオキシム(7)を添加し、反応混合物を室温にて一晩静置した。この反応混合物を濃縮し、DCM、DCM/MeOH(50:1)及びDCM/MeOH(25:1)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、0.175gの目的の生成物(13)を得た。
Figure 2008540674
(実施例3:2−(4−(3−(1−(ヒドロキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)フェノキシ)−N−メチルアセタミド(14)の調製)
Figure 2008540674
手順A:2−(4−ホルミルフェノキシ)酢酸を、0℃のDCM 20mL中に懸濁し、0.5mLのDMFを添加した後、塩化オキサリルを滴下により添加した。この溶液をガスの発現が停止し、溶液が均一になるまで、攪拌しながら室温に温めた。粗塩酸を含有するこの溶液を真空下で濃縮し、残留物を0℃に冷却したDCM中に再懸濁し、メチルアミン及びDIEAを添加した。混合物を12時間以上攪拌しながら室温まで温めた。その後、この反応混合物を5%HClに注ぎ、EtOAcで3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、粘度の高い茶色の油へと濃縮し、それをDMC/MeOHを使用したカラムで精製して、オフホワイトの固形物として2−(4−ホルミルフェノキシ)−N−メチルアセタミド(9)を得た。
Figure 2008540674
手順B:ピラジン−2−アミン(12)(1.1 eq.)、2−(4−ホルミルフェノキシ)−N−メチルアセタミド(9)(1.1 eq.)及びSc(OTf)3の触媒量の混合物を、2mLの1:1DCM/MeOH中で室温にて30分間攪拌した。これに、5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オンO−t−ブチルジメチルシリルオキシム(1 eq.)を1:1DCM/MeOH中の溶液2mLとして添加し、混合物を室温にて18時間攪拌した。この反応混合物を真空下で濃縮し、採取した残留物をEtOAcに採取して(少量のメタノールを溶解を助けるために添加した)、1〜5% MeOH/EtOAc + 1% NH4OHを使用したカラムで精製した。目的の生成物(14)を淡黄色の固形物として単離した。
Figure 2008540674
(実施例4:5−(2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オンオキシム(17)の調製)
Figure 2008540674
手順A:5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オン(6)(60.0mg、379μmol)を、DCM/MeOH中のピラジン−2−アミン(12)(36.1mg、379μmol)、1−メチル−1H−インドール−3−カルバルデヒド(15)(60.4mg、379μmol)及びSc(OTf)3(18.7mg、37.9μmol)と結合させ、室温にて一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、2% MeOH/EtOAcを使用したシリカにより精製して、5−(2−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イルアミノ)−2,3−ジヒドロインデン−1−オン(16)を得た。
Figure 2008540674
手順B:ケトン(16)を20mLの1:1のEtOH/H2Oで懸濁し、加熱して超過の水性H2NOH(2mL)と潅流した。TLCは6時間後に反応が完了したことを示し、LCMSで確認した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物を分液漏斗に移し、EtOAc及び水の間で抽出した。有機層を乾燥させ、濾過し、黄色の固形物になるまで濃縮した。精製は2% MeOH/EtOAcを使用してシリカゲルクロマトグラフィーで実施した。目的の生成物(17)を単離した(収率13%)。
(実施例5:5−(2−(4−アミノフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オンオキシム(20)の調製)
Figure 2008540674
手順A:ピラジン−2−アミン(12)(0.060g、0.63mmol)、2−(4−ホルミルフェノキシ)−N−メチルアセタミド(18)(0.12g、0.76mmol)及びSc(OTf)3(0.031g、0.063mmol)を、DCM/MeOH(1:1)中に溶解し、1時間攪拌した。これに、5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オン(6)(0.100g、0.63mmol)を添加し、反応混合物を室温にて一晩静置した。この反応混合物を濃縮し、DCM、DCM/MeOH(50:1)、DCM/MeOH(25:1)で溶出しながら、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、オレンジ色の固形物として0.111gのN−(4−(3−(1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)フェニル)アセタミド(19)を得た。
Figure 2008540674
手順B:アセタミド(19)(0.108g、0.26mmol)及びヒドロキシルアミン(50% wt、2.0mL)の混合物をEtOH(5mL)中で48時間潅流した。結果得られた黄色の沈殿物を濾過で収集し、MeOH及びDCMで洗浄し、0.040gの目的の生成物(20)を得た。
Figure 2008540674
(実施例6:N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−4−(3−(1−(ヒドロキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)ベンズアミド(22)の調製)
Figure 2008540674
ピラジン−2−アミン(12)(0.05g、0.52mmol、1.0等量)、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−4−ホルミルベンズアミド(21)(0.12g、0.52mmol、1.0等量)及びトルエンスルホン酸(0.12g、0.65mmol、1.25等量)の混合物を、2mLの1:1のMeOH/DCM中で室温にて45分間攪拌した。これに、1mLの1:1のDCM/MeOH中の5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オンO−t−ブチルジメチルシリルオキシム(7)(0.150g、0.52mmol、1.0等量)を添加し、触媒量のSc(OTf)3を添加した。室温にて3時間攪拌した。TLCは生成物を示し(10% MeOH/EtOAc、1% NH4OH)、MS及びLC/MSで確認した。水(0.5mL)の次に固体の重炭酸ナトリウムを添加した。溶液を30分間撹拌し、固形の硫酸ナトリウムを添加した。この反応混合物を1時間後に濾過し、黄色の固形物になるまで濃縮した。残留物を酢酸エチルに採取し、水で洗浄し、乾燥し、DCM−MeOHを使用してカラムクロマトグラフィーで精製した。黄色の固形物として、目的の生成物(22)を単離した。
Figure 2008540674
(実施例7:メチル2−(4−(3−(1−(ヒドロキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)フェノキシ)アセテート(24)の調製)
Figure 2008540674
1:1のDCM/MeOHの1mL溶液中に、ピラジン−2−アミン(12)(0.0498g、0.524mmol)、メチル2−(4−ホルミルフェノキシ)アセテート(23)(0.102g、0.524mmol)(酸及びトリメチルシリルジアゾメタンから調製)及び触媒量のSc(OTf)3を添加した。この混合物を1時間攪拌した後、1mLのDCM/MeOH中の(E)−5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オンO−t−ブチルジメチルシリルオキシム(7)(0.150g、0.524mmol)を添加し、更に12時間攪拌した。TFA(2滴)をこの反応物に添加し、1時間攪拌した。飽和重炭酸ナトリウムを添加することによりTFAを急冷し、硫酸ナトリウム及び少量のシリカゲルを添加した。混合物を乾燥するまで濃縮し、予め濡らしておいたカラム(1% MeOH/DCM)に入れ、1〜4% MeOH/DCM + 1% NH4OHで溶出した。淡黄色の固形物として、化合物(24)を単離した。
Figure 2008540674
(実施例8:5−(2−(3−(エチルアミノ)フェニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オンオキシム(31)の調製)
Figure 2008540674
手順A:メチル3−アミノベンゾエート(25)(5.0g)をDCM(120mL)中で、DIEA(7.5mL)及びAc2O(3.7mL)と結合した。DMAPをこの溶液に添加し、この反応混合物を室温にて一晩攪拌した。水をこの反応混合物に添加し、層を分離した。有機層をCHCl3で希釈し、1N NaOH、1N HCl、水及び塩水で連続的に洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、ピンク色の固形物として、化合物(26)を得た(5.5g、収率86%)。
Figure 2008540674
手順B:THF中のメチル3−アセタミドベンゾエート(26)(1.5g)の溶液をLAH(THF中の1M溶液30mL)で処理し、一晩50℃まで加熱した。この溶液を氷浴で冷却し、水(1.1mL)、15% NaOH(1.1mL)及び水(3.3mL)で連続的に丁寧に急冷した。沈殿物を濾過し、DCMで洗い流した。粗混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、茶色の油として、生成物(27)を得た(941mg、80%)。
Figure 2008540674
手順C:t−BuOH(6mL)及びBoc2O(1.33g、1.1等量)中の(3−(エチルアミノ)フェニル)メタノール(27)(838mg)溶液に、1N NaOH(1.1等量、6.09mL)を添加した。この反応物を室温にて一晩攪拌した。白色の沈殿物を濾過して、ケーキをEtOAcで洗浄した。濾過物に水を添加し、有機層を収集し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー後に、薄いオレンジ色の油として、生成物(27)を得た(825mg、59%)。
Figure 2008540674
手順D:0℃のDMSO及びDCM(14mL)の1:1v/vの混合物中のt−ブチルエチル(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)カルバメート(28)(793mg)及びTEA(2.0mL)の溶液に、三酸化硫黄−ピリジン(1.8g)を一気に添加した。この反応物を0℃で1時間攪拌した後、エーテルで希釈し、水、飽和クエン酸、水及び塩水で連続的に洗浄した。結合水層をEtOAcで一回抽出し、収集した有機物に添加し、無水MgSO4で乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)により、黄色の油として、生成物を得た(691mg、88%)。
Figure 2008540674
手順E:1:1のDCM:MeOH(4mL)中のアミノピラジン(12)(38mg)及びt−ブチルエチル(3−ホルミルフェニル)カルバメート(29)(105mg)と触媒量のSc(OTf)3(17mg)との混合物を、1時間室温にて振盪した。Neat5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オンO−t−ブチルジメチルシリルオキシム(7)(113mg)を反応混合物に添加し、この混合物を室温にて一晩攪拌した。回転蒸発により揮発物を除去し、残留物をDCMに採取し、Sep−Pakカラム(100%酢酸エチル)で精製して、粗生成物(30)を得て、それを次の手順に直接使用した。
Figure 2008540674
手順F:Tert−ブチルエチル(3−(3−(1−(ヒドロキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)フェニル)カルバメート(30)(81mg)を氷浴でDCM(2mL)中に溶解した。これに、TFA(2mL)を添加し、混合物を0℃で30分間攪拌した。回転蒸発により揮発物を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色の固形物として、生成物(31)を得た(61mg、94%)。
Figure 2008540674
(実施例9:N−(3−(3−(1−(ヒドロキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)フェニル)アセタミド(34)の調製)
Figure 2008540674
手順A:メチル3−アセタミドベンゾエート(26)(2.0g)をTHF(30mL)に採取した。LiBH4の溶液(THF中の2.0M溶液50mL)を添加し、反応物を一晩50℃まで加熱し、氷浴で冷却し、1N HClで丁寧に急冷した。この粗反応混合物を、水及びEtOAcで希釈した。この層を分離し、有機層をカラムクロマトグラフィー(100%EtOAc)で精製し、白色の固形物として、生成物(32)を得た(872mg、51%)。
Figure 2008540674
手順B:0℃のDMSO及びDCM(12mL)の1:1v/vの混合物中のN−(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)アセタミド(32)(872mg)及びTEA(3.3mL)の溶液に、三酸化硫黄−ピリジン(2.9g)を一気に添加した。この反応物を0℃で1時間攪拌した後、エーテルで希釈し、水、飽和クエン酸、水及び塩水で連続的に洗浄した。結合水層をEtOAcで4回抽出し、収集した有機物に添加し、無水MgSO4で乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィー(75%EtOAc/ヘキサン)により、無色のガラス状物質として、生成物(33)を得た(761mg、88%)。
Figure 2008540674
手順C:アミノピラジン(12)(54mg)及びN−(3−ホルミルフェニル)アセタミド(33)(109mg)を、1:1のDCM/MeOH(4mL)中で、触媒量のSc(OTf)(36mg)と結合させた。この反応混合物を室温にて1時間振盪し、neat5−イソシアノ−2,3−ジヒドロインデン−1−オンO−t−ブチルジメチルシリルオキシム(7)(160mg)を添加し、その後室温にて一晩攪拌した。回転蒸発により揮発物を除去し、残留物をDCMで希釈して、シリカゲルクロマトグラフィー(5% MeOH/EtOAc)で精製して、生成物(34)を得た。
(実施例10:5−(2−(3−アミノフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−3−イルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オンオキシム(35)の調製)
Figure 2008540674
N−(3−(3−(1−(ヒドロキシイミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルアミノ)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−2−イル)フェニル)アセタミド(34)(83mg)をEtOH(10mL)中で溶解し、水(5mL)中の50% wt. H2NOH溶液で処理した。この溶液を100℃で一晩潅流した。回転蒸発により揮発物を除去し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、生成物(35)を得た。
Figure 2008540674
表1に示す下の化合物を、これまでに記載された方法を使用して調製した。示したオキシム幾何学が伴う。但し、化合物36〜119のオキシム成分は、E又はZ異性体の何れかとして、又は両方の混合物として存在することができる。
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
Figure 2008540674
(実施例11:B−Raf IC50試験プロトコール)
ヒト遺伝子組換えB−Rafタンパク質の活性は、米国特許出願公開第2004/127496号及び国際公開第03/022840号に従い、放射線標識したリン酸塩を、B−Rafの既知の生理学的基質である遺伝子組換えMAPキナーゼ(MEK)に組み込んだ試験でin vitroで評価することができる。触媒的に活性なヒト遺伝子組換えB−Rafタンパク質を、ヒトB−Raf遺伝子組換えバキュロウイルス発現ベクターに感染させたsf9昆虫細胞を精製することによって入手した。全ての基質のリン酸化がB−Rafの活性によるものであることを確認するため、触媒的に不活性なMEKを使用した。このタンパク質は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST−kdMEK)との融合タンパク質として、細菌細胞で発現する変異型不活性MEKから精製される。
V600E完全長B−Rafの活性/阻害を、放射線標識したリン酸塩の、[γ−33P]からFSBA修飾野生型MEKへの組み込みを測定することによって評価した。30μLの試験混合物には、25mM Na Pipes、pH7.2、100mM KCl, 10mM MgCl2、5mM β−グリセロホスフェート、100μM バナジン酸ナトリウム、4μM ATP、500 nCi [γ−33P]ATP、1μM FSBA−MEK及び20nM V600E完全長B−Rafを含めた。Costar3365プレート(Corning)で22℃で培養を実施した。試験に先だち、B−Raf及びFSBA−MEKを共に試験緩衝液中で1.5回(それぞれ30nM及び1.5μMを20μL)15分間予め培養し、10μLの12μM ATPの添加により試験を開始した。60分間の培養の後、試験混合物を200μLの25% TCAの添加により急冷し、回転振盪機上でプレートを10分間混合し、得られた生成物をTomtec Mach III Harvesterを使用して、Perkin−Elmer GF/Bフィルタープレートに捕捉した。プレートの底を密封した後、32μLのBio−Safe II(Research Products International)シンチレーションカクテルを各ウェルに添加し、プレートをトップシールして、Topcount NXT(Packard)で計数した。
(実施例12:細胞内ERK1/2リン酸化試験)
基底細胞のERK1/2リン酸化の抑制状況を、細胞を化学式Iの化合物と共に1時間培養し、固定細胞上の蛍光pERKシグナルを定量し、ERKシグナルの合計に正規化することを含むin vitroの細胞増殖試験の後に測定した。
材料及び方法:Malme−3M細胞をATCCから入手し、RPMI−1640を添加した10%ウシ胎児血清中で増殖させた。細胞を15,000/ウェルで96ウェルプレートに入れ、1〜2時間接着させた。次に、希釈した化合物を1% DMSOの最終濃度で添加した。1時間後、細胞をPBSで洗浄し、PBS中の3.7%ホルムアルデヒドで15分間固定した。その後、PBS/0.2% Triton X−100で洗浄し、100% MeOHで15分間透過させた。細胞をOdysseyブロック緩衝液(LI−COR Biosciences)で少なくとも1時間ブロックした。リン酸化ERKに対する抗体(細胞シグナル#9106、モノクローナル)及び合計ERK(Santa Cruz Biotechnology #sc−94、ポリクローナル)を細胞に添加し、少なくとも1時間培養した。PBS/0.2% Triton X−100で洗浄した後、細胞を蛍光標識した二次抗体(ヤギ抗ウサギIgG−IRDye800、Rockland及びヤギ抗マウスIgG−Alexa Fluor680、Molecular Probes)と共に更に1時間培養した。次に細胞を洗浄し、Odyssey Infrared Imaging System(LI−COR Biosciences)を使用して両方の波長における蛍光を解析した。リン酸化ERKのシグナルをERK合計シグナルに正規化した。
(実施例13:細胞生存試験)
化学式Iの化合物と3日間培養した後の生存細胞を、PromegaのMTS/PMS比色定量法を使用して定量した。
材料及び方法:Malme−3M細胞を20,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに入れた。1〜2時間をかけて細胞を接着させた。次に、希釈した化合物を1% DMSOの最終濃度で添加した。3日後、MTS試験(Promega、CellTiter 96 Aqueous Non−radioactive Cell Proliferation Assay)を使用して生存細胞の数を測定した。簡潔に、MTS試薬を細胞に添加し、1時間培養した。マイクロプレートリーダーを使用して、490nmにおける吸光度を読み取った。培地のみのウェルのバックグラウンドをサブトラクトした。
以上において一連の実施形態と共に本発明を説明してきたが、これらは本発明をこれらの実施形態に限定することを目的としたものではないことが理解されたい。それどころか、本発明は、以下の特許請求の範囲に定義される通り本発明の適用範囲内に含まれる場合がある、全ての代替事項、改変事項及び等価事項を対象とするものとして意図される。このため、以上の記載内容は単に本発明の原則を例示するものにしかすぎないとみなされる。
「含む」、「を含む」「含まれる」、「はじめとする」という用語は、本明細書及び以下の請求項で使用される場合、言及されている特性、整数、成分又は手順の存在を特定することを目的としたものであり、それらの1つ以上の他の特性、整数、成分、手順又は群の存在又は追加を排除するものではない。

Claims (40)

  1. 以下の化学式(I)の化合物であって:
    Figure 2008540674
    式中:
    XがNR、CH又はCOであり;
    がC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、Z−アリール、ヘテロアリール、−C(=O)R12、−C(=O)OR12、−C(=O)NR1213、−NR1213、−N(R13)C(=O)R12、−N(R13)C(=O)OR12、−N(R12)C(=O)NR1314、−S(O)R14、−S(O)14、又は−S(O)NR1213であって、式中、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分が、必要に応じてF、Cl、Br、I、NO、オキソ(但し、該アリール又はヘテロアリール上にないことを条件とする)アルキル、Z−アリール、Z−ヘテロシクロアルキル、Z−ヘテロアリール、Z−CN、Z−OR12、Z−C(O)R12、Z−C(O)OR12、Z−C(O)−ヘテロシクロアルキル、Z−NR1215、Z−NR12C(O)R13、Z−NR12C(O)OR13、Z−SR12、Z−SOR12、Z−SO12、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)NR1213、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)OR12、Z−O−(C−Cアルキル)−ヘテロシクロアルキル、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)−ヘテロシクロアルキル、Z−C(O)NR1213、Z−NR12−(C−Cアルキル)−C(O)NR1213、Z−NR12−(C−Cアルキル)−C(O)OR12、Z−NR12−(C−Cアルキル)−OC(O)NR1213、Z−NR12C(=O)NR13−R16、及びZ−NR12−(C−Cアルキル)−NR12C(O)NR1213から独立して選択される1つ以上の基で置換され;
    、R及びRが、H、F、Cl、Br、I、−C(=O)R12、−C(=O)OR12、−C(=O)NR1213、−NR1214、−OR12、−OC(=O)R12、−OC(=O)OR12、−OC(=O)NR1213、−NR12C(O)−R13、−NR12−C(O)NR1314、及び−NR12−C(O)OR13から独立して選択され;
    がH、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20へテロシクロアルキル、−C(O)R12、又は−C(O)OR12であって、式中、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル部分が、必要に応じてハロゲン、OH、O−アルキル及びアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;

    Figure 2008540674
    であって、式中、
    (i)R及びRが、=Yで置換される5〜6員環の縮合炭素環式環を形成し、R、R10及びR11がH、F、Cl、Br及びIから独立して選択されるか、
    (ii)R及びRが、=Yで置換される5〜6員環の縮合炭素環式環を形成し、R、R10及びR11がH、F、Cl、Br及びIから独立して選択され;
    YがO又はN−OHであり;
    12、R13及びR14が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分が必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル、アミノ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
    15がH、−SO−アルキル、−SONR1314、(C−Cアルキル)−OH、−C(O)O−アルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであって、式中、該アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分が必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル、アミノ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
    16が1つ以上のアルキル、アルケニル又はアルキニルで置換されるヘテロアリールであり;
    Zが1〜4個の炭素を有するアルキレン、又は2〜4個の炭素を有するアルケニレン若しくはアルキニレンであって、式中、前記アルキレン、アルケニレン及びアルキニレンが必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル及びアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換され;
    nが0、1、2、3又は4である、
    化合物;並びにその立体異性体、互変体、溶媒和物及び薬学的に許容される塩。
  2. がC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、Z−アリール、ヘテロアリール、−C(=O)R12、−C(=O)OR12、−C(=O)NR1213、−NR1213、−N(R13)C(=O)R12、−N(R13)C(=O)OR12、−N(R12)C(=O)NR1314、−S(O)R14、−S(O)14、又は−S(O)NR1213であって、式中、該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分が必要に応じて、F、Cl、Br、I、NO、オキソ(但し、該アリール又はヘテロアリール上にないことを条件とする)アルキル、Z−アリール、Z−ヘテロシクロアルキル、Z−ヘテロアリール、Z−CN、Z−OR12、Z−C(O)R12、Z−C(O)OR12、Z−C(O)−ヘテロシクロアルキル、Z−NR1215、Z−NR12C(O)R13、Z−NR12C(O)OR13、Z−SR12、Z−SOR12、Z−SO12、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)NR1213、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)OR12、Z−O−(C−Cアルキル)−ヘテロシクロアルキル、Z−C(O)NR1213、Z−NR12−(C−Cアルキル)−C(O)NR1213、Z−NR12−(C−Cアルキル)−C(O)OR12、Z−NR12−(C−Cアルキル)−OC(O)NR1213、Z−NR12C(=O)NR13、及びZ−NR12−(C−Cアルキル)−NR12C(O)NR1213から独立して選択される1つ以上の基で置換され、
    15がH、−SO−アルキル、−SONR1314、(C−Cアルキル)−OH、−C(O)O−アルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであって、式中、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール部分が必要に応じて、ハロゲン、OH、O−アルキル、及びアミノから独立して選択される1つ以上の基で置換される、請求項1に記載の化合物。
  3. XがNRである、請求項1に記載の化合物。
  4. がH又はC−C10アルキルである、請求項2に記載の化合物。
  5. XがCHである、請求項1に記載の化合物。
  6. YがN−OHである、請求項1に記載の化合物。
  7. YがOである、請求項1に記載の化合物。
  8. がアリールである、請求項2に記載の化合物。
  9. 前記アリールが、Z−OR12、Z−C(O)OR12、Z−NR1215、Z−NR12C(O)R13、Z−O−(C−Cアルキル)−C(O)NR1213、及びZ−O−(C−Cアルキル)−C(O)OR12から独立して選択される1つ以上の基で置換される、請求項8に記載の化合物。
  10. がヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
  11. 前記ヘテロアリールが、アルキル及びZ−OR12から独立して選択される1つ以上の基で置換される、請求項10に記載の化合物。
  12. 及びRが5員環の縮合炭素環を形成する、請求項1に記載の化合物。
  13. が2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、2−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−フラニル、3−フラニル、2−チエニル、3−チエニル、フェニル、3−インドリル及びそれらの置換形態から選択される、請求項1に記載の化合物。
  14. がフェニル、2−フラニル、2−チアゾリル、2−ピロリル、3−イドリル及び3−ピリジルから選択される、請求項1に記載の化合物。
  15. 以下の化学式Ia及びIbから選択され:
    Figure 2008540674
    式中、Aが=Yで置換される5又は6員環縮合炭素環である、請求項1に記載の化合物。
  16. 以下の化学式Ic〜Ipから選択される、請求項1に記載の化合物。
    Figure 2008540674
    Figure 2008540674
    Figure 2008540674
  17. 以下の化学式Iq〜Idd:
    Figure 2008540674
    Figure 2008540674
    Figure 2008540674
    から選択される、請求項1に記載の化合物。
  18. 以下の化学式:
    Figure 2008540674
    Figure 2008540674
    Figure 2008540674
    から選択される、請求項1に記載の化合物。
  19. が1つ以上のヒドロキシメチル、メチルアミノカルボニルメトキシ、アミノ、2−(ジメチルアミノ)−エチルアミノカルボニル、メトキシカルボニルメトキシ、エチルアミノ、アシルアミノ、ジメチルアミノカルボニルメトキシ、カルボキシメトキシ、ヒドロキシ、アミノカルボニルメトキシ、メトキシ、フルオロ、メチル、メチルアミノカルボニル、モルフォリノカルボニルメトキシ、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアミノカルボニルメトキシ、イソプロピルアミノカルボニル、メトキシカルボニル、カルボキシ、アシルアミノメチル、ニトロ、メチルスルホニルアミノ、モルフォリノ、メチルスルホニル、ジメチルアミノ、シアノ、メチルチオ、t−ブトキシカルボニルアミノ、N−(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ、アミノメチル、モルフォリノカルボニル、2−メトキシエトキシ、ピラゾール−1−イル、N−(t−ブトキシカルボニル)エチルアミノ、3,5−ジメチルピラゾール−1−イル、又はN,N−ジ(メチルスルホニル)アミノで必要に応じて置換されるアリールである、請求項1に記載の化合物。
  20. が1つ以上のヒドロキシメチル、メチルアミノカルボニルメトキシ、アミノ、2−(ジメチルアミノ)−エチルアミノカルボニル、メトキシカルボニルメトキシ、エチルアミノ、アシルアミノ、ジメチルアミノカルボニルメトキシ、カルボキシメトキシ、ヒドロキシ、アミノカルボニルメトキシ、メトキシ、フルオロ、メチル、メチルアミノカルボニル、モルフォリノカルボニルメトキシ、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアミノカルボニルメトキシ、イソプロピルアミノカルボニル、メトキシカルボニル、カルボキシ、アシルアミノメチル、ニトロ、メチルスルホニルアミノ、モルフォリノ、メチルスルホニル、ジメチルアミノ、シアノ、メチルチオ、t−ブトキシカルボニルアミノ、N−(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ、アミノメチル、モルフォリノカルボニル、2−メトキシエトキシ、ピラゾール−1−イル、N−(t−ブトキシカルボニル)エチルアミノ、3,5−ジメチルピラゾール−1−イル、又はN,N−ジ(メチルスルホニル)アミノで必要に応じて置換されるフェニルである、請求項19に記載の化合物。
  21. が1−メチル−1H−インドール−3−イル、2−フリル、2−チエニル、2−チアゾイル、1−メチルピラゾール−4−イル、3−フリル、6−アミノピリド−3−イル−1−メチルピロル−2−イル、1−エチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリド−5−イル、1−(ピリド−3−イル)ピロール−2−イル、3−チエニル、5−チアゾリル、5−シアノ−6−メチルチオピリド−2−イル、6−メトキシピリド−3−イル、2−ピロリル、6−(t−ブトキシカルボニルアミノ)ピリド−3−イル、1,2,3チアジアゾール−4−イル、2−キノリル、3−ピリジル、5−メトキシピリド−2−イル、2−ヒドロキシプロピル、ベンジル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリド−5−イル、2−(メトキシカルボニル)エチル、1−(2−シアノエチル)ピロール−2−イル、3−ピペリジニル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリド−4−イル、3−アミノプロピル、メチル、4−メトキシベンジル、1−(2−チアゾリル)ピロール−2−イル、2−テトラヒドロフラニル、1−(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン−3−イル、2−アミノエチル、1−(4−メチルピリド−2−イル))ピロール−2−イル、1−(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル、又は4−ピペリジルである、請求項1に記載の化合物。
  22. 本明細書において記載したような化合物13、14、16、17、19、20、22、24、30、31及び34〜119から選択される化合物、並びにそれらの立体異性体、互変体、溶媒和物及び薬学的に許容される塩。
  23. 請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
  24. 抗増殖剤、抗炎症剤、免疫調節剤、神経栄養因子、心血管疾患の治療薬、肝疾患の治療薬、抗ウイルス剤、血液障害の治療薬、糖尿病の治療薬、又は免疫不全障害の治療薬から選択される追加の治療薬を更に含む、請求項23に記載の組成物。
  25. 細胞の増殖を抑制する方法であって、前記細胞を請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物の有効量と接触させることを含む、方法。
  26. 前記細胞が癌細胞である、請求項25に記載の方法。
  27. 異常な細胞増殖状態を処置するキットであって、
    a)請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又はプロドラッグを含む第一の薬学的組成物;及び
    b)必要に応じて取扱説明書
    を含む、キット。
  28. 更に(c)上記キットに含まれる第二の薬学的組成物を含み、該第二の薬学的組成物が抗過増殖活性を有する第二の化合物を含む、請求項27に記載の化合物。
  29. 更に、前記第一及び第二の薬学的組成物を、これらを必要とする患者に同時、連続又は別々に投与するための説明書を含む、請求項28に記載のキット。
  30. 前記第一及び第二の薬学的組成物が別々の容器に含まれる、請求項28に記載のキット。
  31. 前記第一及び第二の薬学的組成物が同じ容器に含まれる、請求項28に記載のキット。
  32. 医学的治療に使用するための、請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物。
  33. ヒト又は動物における異常な細胞増殖状態を処置する医薬品として使用するための、請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物。
  34. ヒト又は動物における異常な細胞増殖状態を処置する医薬品の製造における、請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物の使用。
  35. 患者における癌、卒中、糖尿病、肝腫大、心血管疾患、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ウイルス性疾患、自己免疫性疾患、アテローム性硬化症、再狭窄、乾癬、アレルギー性障害、炎症、神経学的障害、ホルモン関連障害、臓器移植に伴う病態、免疫不全障害、骨破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、細胞死に伴う病態、トロンビン誘発性血小板凝集、慢性骨髄性白血病(CML)、肝疾患、T細胞活性化に関与する病理的免疫状態、及びCNS障害からなる群から選択される疾患又は病態を処置するか、その重症度を軽減する方法であって、請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物を該患者に投与することを含む、方法。
  36. 癌の処置を必要とする哺乳動物における癌を処置又は予防する方法であって、請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物の治療有効量を該哺乳動物に投与することを含む、方法。
  37. 前記癌が、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、前立腺癌、精巣癌、生殖泌尿器癌、食道癌、咽頭癌、神経膠芽腫、神経芽腫、胃癌、皮膚癌、角化性棘細胞腫、肺癌、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞癌、肺腺癌、骨癌、結腸癌、腺腫、膵癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞癌、未分化癌、乳頭癌、セミノーマ、メラノーマ、肉腫、膀胱癌、肝臓癌、胆管癌、腎臓癌、骨髄性障害、リンパ性障害、ヘアリー細胞、口腔及び咽頭癌(口部)、唇癌、舌癌、口癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳腫瘍及び中枢神経系癌、ホジキン病及び白血病から選択される、請求項36に記載の方法。
  38. 再狭窄、心肥大、アテローム性硬化症、心筋梗塞又はうっ血性心疾患から選択される心血管疾患の処置を必要とする哺乳動物における、再狭窄、心肥大、アテローム性硬化症、心筋梗塞又はうっ血性心疾患から選択される心血管疾患を処置又は予防する方法であって、請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物の治療有効量を該哺乳動物に投与することを含む、方法。
  39. アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、脳虚血又は外傷に起因する神経変性疾患、グルタミン酸塩の神経毒性又は低酸素症から選択される神経変性疾患の処置を必要とする哺乳動物における、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、脳虚血又は外傷に起因する神経変性疾患、グルタミン酸塩の神経毒性又は低酸素症から選択される神経変性疾患を処置又は予防する方法であって、請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物の治療有効量を該哺乳動物に投与することを含む、方法。
  40. リウマチ性関節炎、乾癬、接触性皮膚炎、及び遅延過敏反応から選択される炎症性疾患の処置を必要とする哺乳動物における、リウマチ性関節炎、乾癬、接触性皮膚炎、及び遅延過敏反応から選択される炎症性疾患を処置又は予防する方法であって、請求項1〜22の何れか1項に記載の化合物の治療有効量を該哺乳動物に投与することを含む、方法。
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