JP2008513344A - 亜酸化窒素の精製及び濃縮方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、亜酸化窒素を含むガス混合物の精製方法及びこのように精製されたガス混合物のオレフィン酸化剤としての利用に関する。また他の実施様態において、本発明は、本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物を用いてオレフィンを酸化するケトン類の製造方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、亜酸化窒素を含有するガス混合物の精製方法及びこのようにして精製されたガス混合物のオレフィンの酸化剤としての利用に関する。他の様態において、本発明はまた、を本発明により精製された亜酸化窒素を含有するガス混合物で少なくとも一つのオレフィンを酸化することを特徴とするケトン類の製造方法に関する。
種々の亜酸化窒素の製造方法が知られている。亜酸化窒素がオレフィンの酸化剤として使用できることも公知である。
例えば、国際公開WO98/25698は、酸素を用いるNH3の接触部分酸化による亜酸化窒素の製造方法を開示している。国際公開WO98/25698によれば、酸化マンガン、酸化ビスマス及び酸化アルミニウムからなる触媒を用いて、高い選択性で亜酸化窒素が製造されている。ある科学論文(ノスコフ (Noskov) ら著、Chem. Eng. J. 91 (2003) 235-242)には、類似の触媒システムが、詳細に述べられている。また、US5,849,257は、アンモニアの酸化による亜酸化窒素の製造方法を開示している。この酸化は、酸化銅・酸化マンガン触媒の存在下で進行する。
国際公開WO00/01654に開示されている方法では、NOX及びアンモニアを含むガス流を還元して亜酸化窒素を合成している。
亜酸化窒素を用いるオレフィン化合物のアルデヒド又はケトンへの酸化は、例えばGB649,680、又はそれの相当するUS2,636,898に記載されている。これらの文献はともに、原理的にはこの酸化反応が適当な酸化触媒の存在により影響を受けうることを示している。亜酸化窒素を用いたオレフィン化合物の酸化はまた、最近の化学論文にも記載されている。パノフ(G. L. Panov)他、「亜硝酸窒素を用いたアルケン類の非接触液相酸化1、シクロヘキセンのシクロヘキサノンへの酸化」、React. Kinet. Catal. Lett. Vol. 76, No. 2 (2002)p.401-405、及びK.A.Dubkov他、「亜硝酸窒素を用いたアルケン類の非接触液相酸化2.シクロペンテンのシクロペンタノンへの酸化」、React. Kinet. Catal. Lett. Vol. 77, No. 1 (2002)p.197-205。科学論文「亜硝酸窒素を用いるアルケン類のカルボニル化合物への液相酸化」(E. V. Starokon他、Adv. Synth. Catal. 2004, 346, 268-274)もまた、亜酸化窒素を用いるアルケン類の液相酸化をメカニズム的に検討しいている。
亜酸化窒素を用いたアルケン類のカルボニル化合物群の製造については、多くの国際特許出願書に記載されている。例えば、国際公開WO03/078370は、亜酸化窒素も用いた脂肪族アルケン類からカルボニル化合物群の製造方法を開示している。この反応は20〜350℃の範囲の温度で、0.01〜100atmの圧力で実施される。国際公開WO03/078374は、シクロヘキサノンの製造方法を開示している。国際公開WO03/078372では、炭素原子数4〜5の環状ケトン類が製造されている。国際公開WO03/078375では、上記処理条件下で、炭素原子数7〜20の環状アルケン類から環状ケトン類が合成されている。国際公開WO03/078371では、置換基を有するアルケン類から置換基を有するケトン類を製造する方法が記載されている。国際公開WO04/000777には、亜酸化窒素を用いてジアルケン及びポリアルケン類から相当するカルボニル化合物を製造する方法が開示されている。これらの文献中に、亜酸化窒素の精製に関する記載はない。
亜酸化窒素を含むオフガス流を他の反応に用いることができることも公知である。亜酸化窒素は、各種の化学処理の際、例えば硝酸の酸化の際、特にシクロヘキサノン及び/又はシクロヘキサノールのアジピン酸への酸化の際に、不要副生物として得られる。亜酸化窒素が不要副生物として得られる他のプロセスとしては、シクロドデカノン及び/又はシクロドデカノールの硝酸によるドデカン二酸への酸化やNH3のNOへの部分酸化が挙げられる。
例えば、DE10344595.1、DE10344594.3、及びDE10319489.4には、亜酸化窒素を用いたオレフィン類の酸化プロセス、具体的にはシクロドデカトリエンやシクロドデセン、シクロペンテンの酸化プロセスが開示されている。いずれの出願書においても、オフガス流を、もし例えば蒸留法で精製可能なら、他の亜酸化窒素源と同様に酸化剤として使用できることが開示されている。
亜酸化窒素の製造においても、オフガス流の使用においても、N2Oは最初、他成分を含む低濃度のガス状混合物として得られる。これらの成分中には、特定の用途において悪影響を示すものと、示さないものがある。酸化剤として使用する場合に悪影響を示すガスとしては、NOXや酸素が挙げられる。本発明においては、「NOX」は、N2Oを除く、Nabで表される化合物群を意味し、式中、aは1又は2を、bは1〜6の数字を示す。本発明においては、「NOX」という用語に代えて「窒素酸化物」を用いることもある。他の活性成分としては、NH3と有機酸が挙げられる。
特定の用途においては、反応に使用する前に亜酸化窒素を精製する必要がある。例えば、亜酸化窒素を酸化剤として使用する場合、酸素や窒素酸化物NOXなどの妨害性の二次成分を除去する必要がある。
原理的には、NOXの除去方法は公知である。これらの除去方法は、例えば、ティーマン(M. Thiemann)ら著、ウルマン辞典(Ullmann's Encyclopedia)、第6刷、2000、電子版、「硝酸、亜硝酸、窒素酸化物」、文節1.4.2.3.に記載されている。
国際公開WO出願00/73202には、N2Oを含むガス流中からNOX及びO2を除去する方法が開示されている。NOXはNH3を用いた接触還元で除去され、酸素は水素あるいは他の還元剤を用いた接触還元で除去される。しかしながら、この方法は生成物がNH3で汚染されているという問題を有している。酸素濃度が大幅に(例えば、元の90%以上)低下させても、N2O濃度の減少は小さい(元の3〜5%量)。
特定の用途では、不活性化合物も除去する必要があるようである。これらの化合物が、希釈によりN2Oの還元を低下させるためである。本発明にいう「不活性ガス」とは、N2Oのオレフィンとの反応に関し不活性なガス、つまり、オレフィン類とN2Oの反応条件下でオレフィン類ともN2Oとも反応しないガスをいう。不活性ガスとしては、例えば、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アルゴン、メタン、エタン及びプロパンが挙げられる。しかしながら、不活性ガスは空間・時間歩留まりを低下させるため、この点でも除去が好ましい。
DE2732267A1には、亜酸化窒素の精製方法が開示されている。この方法では、一酸化窒素、二酸化窒素、二酸化炭素及び水をまず除去し、ついで上記ガス混合物を、次いで40〜300barに加圧しまた0〜−88℃に冷却することで、液化させる。この液化ガス混合物から亜酸化窒素を除去する。この方法では、N2Oが精製・濃縮されることとなるが、高圧(60bar)と低温(−85℃)が必要となり、また高い資本経費が必要となり、経済的には不利である。
US4,177,645もまた、オフガス流からの亜酸化窒素の除去方法を開示するが、この方法もまた、前精製及び低温蒸留を必要とする。前記出願EP1076217A1も、N2Oから低温蒸留により低沸点不純物を除去する方法を開示している。
US6,505,482、US6,370,911、及びUS6,387,161も、亜酸化窒素精製方法を開示しており、これら方法のいずれにおいても、特殊な装置を用いて低温蒸留がなされている。
しかしながら、高圧及び低温を使用するため、低温蒸留には高度な装置が必要となり、その結果、この工程での亜酸化窒素の精製が難しくなり、コスト上昇を伴う。この点で特に問題なのは、常圧でのN2Oの融点が、沸点よりわずかに3Kだけ低いことである。このため、高圧を用いることが必要となる。
DT2040219は、亜酸化窒素の製造方法を開示している。この方法では、亜酸化窒素は、合成の後、濃縮・精製された上でえられる。DT2040219によれば、亜酸化窒素は、最初にアンモニアを酸化して合成されている。合成された亜酸化窒素は、酸化ガスを分離し、高圧下の吸収で濃縮し、次いで、減圧下で脱着させることにより、精製されている。二次成分は、例えばアルカリ溶液による処理で除去可能である。DT2040219によれば、ガス混合物の吸着用溶媒として水が使用されている。
DT2040219に開示されている方法では異なる窒素酸化物を分離することができるが、N2Oの水への溶解度が低いため、この工程では吸着に多量の溶媒及び/又は高圧が必要となる。このため、使用設備の規模を拡大するための再設計が必要となる。この結果、この生産工程が経済的に不利となる。
このような既存技術を鑑み、本発明の目的は、効果的かつ経済的に亜酸化窒素を含むガス流を精製・濃縮する工程、すなわち、妨害性成分及び不活性成分を常時に除去可能な工程を提供することにある。このようして精製された亜酸化窒素は、特に酸化剤として需要がある。
本発明によれば、下記工程を含む亜酸化窒素含有ガス混合物の精製方法により、本目的を達成することができる。
A1工程:ガス混合物の有機溶媒中での吸収
A2工程:吸収後の有機溶媒からのガス混合物の脱離(脱着)
B工程:ガス混合物中の窒素酸化物NOXの含有量を、ガス混合物全量当たり容積比でせいぜい0.5%へ調整
本発明に係る方法の利点の一つは、妨害成分及び不活性成分のいずれもが除去されることである。本発明により精製された亜酸化窒素はまた同時に濃縮される。このように精製された亜酸化窒素は、不活性化合物が反応容量を増加させたり反応速度を低下させたりしないため、酸化剤として、特に液状酸化物として好ましく使用できる。
用いる亜酸化窒素含有ガス混合物としては、原理的には、いずれの原料由来のものでもよい。
本発明にいう「ガス混合物」とは、常温常圧でガス状である二種以上化合物の混合物を意味する。異なる温度又は異なる圧力下では、このガス混合物が、他の物質状態、例えば液体であってもよく、そのような場合でも本発明においては、この物質をガス混合物を称する。
ガス混合物を用いる場合、そのガス中の亜酸化窒素の含有量は、本発明の精製が可能である限り、特に限定されるわけではない。
本方法に使用されるN2O含有ガス混合物は、一般的には容積比で、N2Oを2〜80%含む。また、容積比で2〜21%のO2及び最大30%のNOXを不要成分として含む。さらに、N2やH2、CO2、CO、H2O、NH3をいろいろな濃度で含有し、また微量の硝酸や有機化合物も含むこともある。
本発明においては、ガス混合物又は液化ガス混合物の組成を容積比(%)で表示する。またデータは、常温常圧でのガス混合物の組成に関する。
本発明の方法の一実施様態において、少なくとも5容量%(体積%)の亜酸化窒素を含むガス混合物が用いられるが、亜酸化窒素含有量が6〜80容量%の範囲(より好ましくは7〜60容量%の範囲、特に好ましくは8〜50容量%の範囲)にある混合物の使用が好ましい。
本発明においては、この混合物の組成は、原則として既知のいずれの方法を用いて決定してもよい。本発明においては、このガス混合物の組成は、好ましくはガスクロマトグラフィーにより決定する。しかしながら、UV分光法、IR分光法あるいは湿式の化学的な方法などの手段を用いて決めても良い。
本発明の好ましい実施様態では、この亜酸化窒素含有ガス混合物が、少なくとも一つの化学プラントから排出される亜酸化窒素含有オフガスである。単一プラントから排出される少なくとも二種の亜酸化窒素含有オフガスがこの亜酸化窒素を含むガス混合物を構成する場合もまた、本発明の範囲に含まれる。単一のプラントからの少なくとも一つの亜酸化窒素含有オフガスと少なくとももう1つのプラントからの少なくとも一つの一層亜酸化窒素含有オフガスがこの亜酸化窒素を含むガス混合物を構成する場合もまた、本発明の範囲に含まれる。
したがって、本発明はまた、上述の方法であって、その亜酸化窒素を含むガス混合物が少なくとも一つの工業プロセスから排出される少なくとも一つの亜酸化窒素含有オフガスである方法に関する。
本発明において、この「亜酸化窒素を含むガス混合物」は、上記オフガスが、未変成のまま本発明の精製工程にかけられる様態、及び少なくとも一つの上記オフガスが変成を受ける様態の両方に関する。
本発明の範囲に含まれる本発明の「変成」とは、ガス混合物の化学組成の変化を引き起こす何らかのプロセスに関する。したがって、「変成」という用語は、特に、少なくとも一つの適当なプロセスにおいて亜酸化窒素含有オフガスが、亜酸化窒素含有量に関して濃縮される実施様態を含んでいる。オフガスは、変成することなく使用することが好ましい。
更に他の実施様態において、純粋な亜酸化窒素をオフガスに添加して、オフガスの化学組成を変化させてもよい。
用いられるN2O含有ガス混合物の一例は、ある工業プロセスから排出されるオフガスである。好ましくは、アルコール類又はケトン類の硝酸酸化によるカルボン酸の製造プラント(例えばアジピン酸又はドデカン二酸プラントの製造プラントのオフガス)からのオフガス、上記オフガス流を用いる硝酸プラントからのオフガス、NH3の部分酸化プラントからのオフガス、あるいは生成したガス混合物を用いるプラント(例えばヒドロキシルアミン製造プラント)からのオフガスである。
本発明によれば、異なるオフガスの混合物を使用することもできる。
本発明の好ましい実施様態では、上記の少なくとも一つの亜酸化窒素含有オフガスは、アジピン酸プラント、ドデカン二酸プラント、ヒドロキシルアミンプラント及び/又は硝酸プラントに由来するものである。なお、後者は、好ましくは、アジピン酸プラント、ドデカン二酸プラント又はヒドロキシルアミンプラントからの少なくとも一つのオフガスを使用して運転されている。
ある好ましい実施様態においては、アジピン酸プラントからのオフガス流が使用され、ここでは、シクロヘキサノール/シクロヘキサノン混合物の硝酸酸化により一般的には、1モルのアジピン酸当たり0.8〜1.0モルのN2Oが生成される。例えば、ウリアルテ(A. K. Uriarte)等、Stud. Surf. Sci. Catal. 130 (2000)p.743-748に記載されているように、アジピン酸プラントからのオフガスには、いろいろな濃度の他成分、例えば、窒素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素酸化物、水及び揮発性有機化合物が含まれている。
上述のドデカン二酸プラントは、実質的に同一プラント種である。
アジピン酸プラント又はドデカン二酸プラントからのオフガスの具体的な組成の一例を下記の表に示す。
Figure 2008513344
アジピン酸プラント又はドデカン二酸プラントからのオフガス流は、直接本発明の方法において使用してもよい。
同様に、硝酸プラントからのオフガス流は、他のプロセス由来の亜酸化窒素や窒素酸化物を含むオフガスと、完全に又は部分的に混合して使用される。このような硝酸プラントにおいては、窒素酸化物は吸収されて大部分硝酸に変換されるが、亜酸化窒素は変換されない。例えば、アンモニアの選択的燃焼により生成した窒素酸化物とアジピン酸プラントからのオフガス及び/又はドデカン二酸プラントのオフガスを、このような硝酸プラントに供給してもよい。また、このような硝酸プラントに、アジピン酸プラントのオフガス及び/又はデカン二酸プラントのオフガスのみを供給することも可能である。
このような硝酸プラントのオフガス中には、いろいろな濃度の他成分、例えば窒素、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素酸化物、水及び揮発性有機化合物が含まれている。
このような硝酸プラントからの排ガスの典型的な組成の一例を、下記の表に示す。
Figure 2008513344
この硝酸プラントからのオフガス流は、本発明の方法において直接使用してもよい。
同様に、本発明の方法の好ましい実施様態において、ヒドロキシルアミンプラントからのオフガス流が使用されるが、その際、例えばアンモニアがまず空気又は酸素で酸化されてNOとなり、少量の亜酸化窒素を副生物として生成させる。このNOは次いで水素により還元されて、ヒドロキシルアミンとなる。亜酸化窒素はこの水素化条件では不活性であるため、水素流中で蓄積される。好ましい製造条件においては、ヒドロキシルアミンプラントからのパージガス流中には、亜酸化窒素が水素中に9〜13容量%の範囲で含まれている。このパージガス流をそのまま、本方法の精製に用いることができる。なお、前述のように、このガス流を、亜酸化窒素含有量に関して濃縮することも可能である。
したがって、本発明はまた、前述の方法であって、亜酸化窒素を含むガス混合物が、アジピン酸プラントからの及び/又はドデカン二酸プラント及び/又はヒドロキシルアミンプラントからのオフガスであり、及び/又はアジピン酸プラント及び/又はドデカン二酸プラント及び/又はヒドロキシルアミンプラントからのオフガスで作動する硝酸プラントのオフガスである方法に関する。
また本発明において、このプロセスに使用する亜酸化窒素を選択的に製造することが可能である。例えばUS3,656,899に記載のNH4NO3の熱分解による製造が特に好ましく、それらのこの主題に関する開示内容は引用により本出願に援用される。例えばUS5,849,257又は国際公開WO98/25698に記載のアンモニアの触媒酸化による製造もまた好ましく、それらのこの主題に関する開示内容は引用により本出願に援用される。
好ましい反応産物は、少なくとも50容量%のN2O、より好ましくは少なくとも60容量%のN2O及び最も好ましくは少なくとも75容量%のN2Oを含有する。同時にまた、この反応産物は、1容量%のO2、特に0.5容量%未満のO2、0.5容量%未満のNOX及び1容量%未満のNH3を含有する。
本発明においては、N2O濃度は、A1工程及びA2工程における粗ガス混合物中のN2Oの有機溶媒中への選択的吸収、及び続く溶媒からのN2Oの脱離により影響を受ける。
A1工程での吸収に適した溶媒は、N2Oの溶解性が他の不要成分より高いものである。
本発明によれば、吸収器の通常の運転条件下での、N2Oの溶解度(mol/mol−溶媒)と他の不要成分の溶解度の比率(以下、この比率を□で表す)が5以上であれば、いかなる溶媒も、この有機溶媒として使用することができる。ガス混合物中に存在する個々の成分ごとにこの比率を求めてもよい。好ましい有機溶媒は、例えば30℃で6〜30、好ましくは9〜25の□O2値を有し、10を超える、好ましくは20をこえ、特に好ましくは30を超える□N2値を有する。
好ましい溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素類、好ましくは炭素数が少なくとも5以上、より好ましくは炭素数が少なくとも8以上の置換または無置換の芳香族炭化水素類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類、ラクタム類、ニトリル類、アルキルハライド類、オレフィン類、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
本発明において特に好ましいのは、常圧で低くとも100℃の沸点を持つ溶媒であり、このような溶媒を使用すれば、吸収器及び脱離器からのオフガス流中の溶媒量を減少させることが可能となる。
また、本発明において好ましい溶媒は、亜酸化窒素に対して優れた溶解性を示す。この溶解性は、気相におけるN2O分圧と液相におけるN2O重量比との間の比率(以降、ヘンリー係数HN2Oと呼ぶ)により表され、小さな値ほど、亜酸化窒素の溶媒中の溶解性が高い。本発明において用いられるこの有機溶媒の比率は、好ましくは1000未満、より好ましくは750未満、特に好ましくは500未満、特に260未満である。
適当な溶媒の例としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、スルホラン、N,N−ジメチルアセトアミド又はシクロペンタンが挙げられる。本発明において特に好ましいのは、例えば、トルエン、ニトロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、テトラデカン、例えば主に炭素数が14の飽和炭化水素を含む工業用石油混合物、ジメチルフタレートである。
すでに述べたように、ある好ましい実施様態においては、本発明は、亜酸化窒素を含むガス混合物の精製方法であって、A1工程で使用される有機溶媒が、トルエン、ニトロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、テトラデカン及びジメチルフタレートからなる群から選択される方法である。
原理的には、本発明に係る製造方法のA1工程での吸収に、公知のいずれのプロセスを用いてもよい。特に、N2Oの溶媒中への吸収は、反応性ガスの圧力を上げるか、溶媒の温度を下げるか、あるいはこれらを組み合わせて、実施される。
本発明によれば、この吸収は、気液相界面を有する装置(吸収器)内で行われ、この界面を通じて物質や熱の移動が行われ、また、この装置には、必要に応じて給熱及び/または除熱用の内部装置又は外部装置が取り付けられる。
これらの相は、並流、向流又はこれらの組み合わせで吸収器内に送られる。
本発明によれば、この吸収を一段あるいは多段で行ってもよい。
このような吸収器の例としては、二重キャップトレー又はシーブトレー等を有するトレー型カラム、内部が規則構造をした例えば規則的な充填物を有するカラム、内部が不規則構造の例えばランダム充填のカラム、液相が分散して存在する例えばノズル吹き出し型の装置や、これらの組み合わせが挙げられる。
本発明のA2工程における吸収溶媒からのN2Oの脱離は、溶媒の減圧、溶媒の温度上昇、溶媒蒸気によるストリッピング、あるいはこれらの組み合わせにより行われる。
溶媒からのN2Oの脱離のための装置(脱離器)の仕様や気液相の供給方法は、上記吸収器と同じであり、好ましい装置は気液相界面を有し、この界面を通じて熱や物質の相間輸送が行われ、この装置には、必要に応じて、給熱及び/または除熱のための内部装置又は外部装置が接続されている。
本発明によれば、この脱離を、一段又は多段で行ってもよい。
この脱離器の好ましい例は、単純な(フラッシュ)容器及びカラムの組み合わせである。
本発明の好ましい実施様態は、隔壁カラムであり、このカラム内では、吸収と脱離とが同一装置内で行われる。このカラムでは、温度変化及び溶媒蒸気によるストリッピングにより、吸収と脱離が、多段でかつ向流で進む。
ある好ましい実施様態においては、本発明は、上述の方法であって、A1工程及びA2工程が隔壁カラム内で実施される方法に関する。
本発明の特に好ましい実施様態においては、A1工程においてまず、N2Oを含むガス混合物が向流型のランダム充填吸収塔内で加圧下(Pabso)で吸収されて、A2工程においてある容器に送られ、そこでN2O吸収溶媒が特定の低圧Pdeso<Pabsoまで減圧される。この工程は、事実上等温で、つまり吸収温度と脱離温度間の差が20Kを超えない、好ましくは15Kを超えない、特に好ましくは10Kを超えない状態で、実施することが好ましい。吸収圧力は、1〜100bar、好ましくは5〜65bar、特に好ましくは10〜40barであり、脱離圧力は0.1〜2bar、好ましくは0.5〜1.5bar、より好ましくは1.0〜1.2barである。
本発明の他の実施様態は、2つ以上の亜酸化窒素濃縮工程(A1工程及びA2工程も含む)からなる方法である。
この場合、(i−1)工程からの脱離ガスが、続くi工程の反応物ガスとなる。本発明において特に好ましいのは、二段処理である。
使用する溶媒はすべての段階において同一であってもよい。また、異なる溶媒を異なる段階で使用してもよい。
このため、本発明はまた、複数のA1工程及びA2工程からなる上述の方法に関する。
本発明に係る方法は、更にガス混合物中の窒素酸化物含有量をガス混合物全量に対して多くとも0.5容量%に調整する工程(B工程)を含む。
本発明によれば、このB工程を、A1工程及びA2工程の前或いは後に実施することができる。このため、本発明は、例えば、上述の方法であって、A1工程及びA2工程をB工程の前に実施する方法に関する。また、本発明は、上述の方法であって、B工程をA1工程及びA2工程の前に実施する方法に関する。
本発明においてはまた、本方法が複数のB工程からなっていてもよい。このため、例えば、B工程をA1工程及びA2工程の前に実施し、更にA1工程及びA2工程の後にも実施することができる。
原則的には、いずれのNOX除去法も、本発明にB工程に利用できる。適当な方法としては、例えば、炭化水素類又はアンモニアを用いる接触還元、適当な触媒上での接触分解、強酸化性溶液での吸収や、酸性又はアルカリ性溶液での吸収が挙げられる。
本発明における適当な酸化性溶液とは、例えば過酸化水素溶液である。本発明における適当な強酸性溶液とは、硝酸又は硫酸の溶液である。本発明における適当なアルカリ性溶液とは、例えば、水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムなどの水酸化物又は炭酸塩の溶液である。上述の溶媒以外にスクラビングに適当な液体としては、オフガス中のNOX除去に用いられている公知の液体が挙げられる。適当なスクラビング溶液又は懸濁液としては、例えば、炭酸マグネシウムあるいは水酸化マグネシウムの水溶液又は水懸濁液、バナジウムの亜硝酸溶液、硫化アンモニウム及び硫化水素アンモニウム、石灰水、アンモニア、過酸化水素などが挙げられ、特に炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムの溶液が挙げられる。
適当な方法は、例えば、ティーマン(M. Thiemann)等、ウルマン辞典(Ullmann's Encyclopedia)、第6版、2000、電子版、“硝酸、亜硝酸、及び窒素酸化物”の章、文節1.4.2.3.に記載されている。
一般に、NOX吸収は、気液界面を有する装置内で、同界面を通して物質及び熱が伝達されることで行われ、この装置は、必要に応じて、給熱及び/または除熱用の内部又外部装置に連結されている。この相は、吸収器内で、並流、向流又はこれらの組み合わせで実施してもよい。
本発明においては、この吸収を、一段以上の段階で実施してもよい。
本発明によれば、吸収は、−20〜100℃、好ましくは0〜60℃、より好ましくは0〜40℃の温度で、また0.1〜100bar、好ましくは1〜30barの圧力下で実施される。
このような吸収器の例としては、バブルキャップ・トレー又はシーブトレー等のトレーを有するカラム、一定形状の充填材を有する規則構造カラム、ランダムな充填材を有する不規則構造カラム、ノズル噴射などの液相が分散して存在する装置、あるいはこれらの組み合わせが挙げられる。
更に好ましい実施様態においては、本発明は、上記方法であって、B工程において窒素酸化物が酸性又はアルカリ性溶液に吸収される方法に関する。
本発明においては、NOXは好ましくは、酸性又はアルカリ性溶液に吸収されて除去される。この吸収は、−20〜120℃、特に−10〜75℃、好ましくは0〜60℃、例えば0〜40℃の温度で、0.2〜100bar、特に0.5〜50bar、好ましくは1〜10barの圧力下で実施される。
2O含有ガス混合物中のNOX濃度が1容量%超える場合、B工程で使用する溶媒は、HNO3含有量が0〜69重量%、好ましくは0〜10重量%の硝酸水溶液が好ましい。この場合、気相のNOXの除去により、1〜69重量%のHNO3を含む硝酸が製造されることとなる。より容易とするには、30〜60重量%のHNO3を含む硝酸を製造することが好ましい。
本発明においては、例えばN2O含有反応物ガスがカルボン酸製造プロセス(例えばアジピン酸)由来の場合、つまりNOX濃度が1〜50容量%の場合、この方法を採用することが好ましい。この場合、B工程におけるNOXの除去は、好ましくは、A1工程及びA2工程でのN2Oの濃縮に先立って行われる。
本発明の一実施様態によれば、A1工程及びA2工程の後にさらにB工程を実施してもよく、この工程では、好ましくは化学スクラビング、より好ましくは炭酸ナトリウム溶液又は水酸化ナトリウム溶液でのスクラビングが実施される。
本発明においては、この化学的炭酸物スクラビングを、アンモニアによる選択的接触還元に置き換えることも可能で、その場合N2Oの挙動は不活性となる。この技術、いわゆるSCR-DeNOX技術又はDeNOX技術は、例えばウルマン化学技術辞典(Ullmann's Encyclopedia of Chemical Technology), 「空気」の章、文節7.2.3.1.「煙道ガス及びプロセスオフガス中の窒素酸化物の接触還元」、J. Wolf等、第6版(オンライン版)、2000に記載されている。この本発明の好ましい実施様態において、NOX濃度を、100ppm未満、好ましくは50ppm未満、例えば25ppm未満、より好ましくは未満5ppmに、また製品中のNH3濃度を低濃度、10ppm未満にまで、下げることができる。
本発明の特に好ましい実施様態においては、本発明に係る方法に用いる亜酸化窒素を含むガス混合物が、アジピン酸プラントに由来するものであってもよい。アジピン酸プラントからのオフガスをNO合成ガスと混合して冷却することが好ましい。このガス流を、好ましくは7barまで圧縮し、適当な空気と混合する。圧縮後加熱されたガスは、冷却した後、NOXが除かれた吸収塔に導かれる。好ましくは、塔頂ガスの温度が約40℃で、圧力が7barである。
このオフガスは、直接本発明の方法において使用してもよい。しかしながら、このオフガスを100〜250℃、好ましくは150〜200℃、より好ましくは200℃まで加熱し、DeNOXプラントに送り、B工程の反応をさせることがより好ましい。
続いて、このガス流を冷却、圧縮及び冷却し、その後、A1工程及びA2工程における一段又は多段の吸脱着に供給する。
2O含有ガス混合物中のNOX濃度が<1容量%の場合、例えば硝酸プラントのオフガスの場合、B工程で用いる吸収剤がアルカリ性溶液であることが好ましい。本発明においては、A1工程及びA2工程での濃縮後、N2Oガスを高度に精製するために本方法が用いられる。
本発明に係る方法は、A1工程、A2工程及びB工程に加えて、さらに他の工程を有していてもよい。例えば、本方法は、A工程とB工程の間に、他の処理を含んでいてもよい。このような処理としては、例えば、温度の変更、圧力の変更、または温度及び圧力の変更が挙げられる。
本発明によれば、本発明に係る方法により精製された亜酸化窒素含有ガス混合物を他の反応に利用してもよい。この目的のため、ガス混合物を気相で用いてもよい。あるいは、生成したガス混合物を処理して液状又は超臨界状態とし、次いで他の反応に用いることもできる。圧力又は温度を適当に選択して、このガス混合物を液化させてもよい。
このように、本発明はまた、生成したガス混合物を液化することを特徴とする方法に関する。
本発明に係る方法により得られる亜酸化窒素を含むガス混合物は、原理的には、純粋な亜酸化窒素流が通常用いられる用途なら、どのような用途にも利用可能である。このガス混合物は、特に、例えばメタノールのホルムアルデヒドへの酸化に適している(例えば、EP−A0624565又はDE−A19605211を参照)。したがって、本発明は、本発明の方法により得られる亜酸化窒素を含むガス混合物のメタノール酸化剤としての使用に関する。
本発明に係る方法により、妨害性及び不活性の二次成分をごく微量含有する亜酸化窒素含有ガス混合物が得られる。妨害性及び不活性の二次成分の量が少ない場合、副反応がほとんど抑えられ特に純度の高い製品が得られるため、この亜酸化窒素を含むガス混合物を酸化剤として使用するのに有利である。
したがって、本発明は、上記のように、本発明に係る方法により得られたガス混合物を酸化剤、特にオレフィンの酸化剤として利用することに関する。
原則として、本発明により得られる亜酸化窒素を含むガス混合物はオレフィンの酸化に適している。このようなオレフィン類としては、例えば、一個以上の二重結合を持つ開鎖型又は環状オレフィン類が挙げられる。より好ましい一個以上の二重結合を持つ環状オレフィン類としては、例えばシクロペンテン、シクロへキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5−シクロドデカジエン、及び1,5,9−シクロドデカトリエンが挙げられる。
この濃縮・精製N2O含有ガス流は、特にオレフィン類のケトン類への酸化に適している。このために、気相のN2Oを、好ましくは直接オレフィンにあるいは溶媒に吸収させるか、この気相N2Oを、オレフィンとの反応に先立って液化させる。
特に亜酸化窒素を含む液化ガス混合物を使用する場合、ガス混合物中の不活性ガスの量が微量であることが好ましい。もしそうでなければ、反応器の容量を増やす必要が出てくるためである。
したがって、本発明は、次の工程を含むケトンの製造方法に関する。
A1工程:ガス混合物の有機溶媒中での吸収
A2工程:吸収後の有機溶媒中からのガス混合物の脱離
B工程:ガス混合物中の窒素酸化物NOXの含有量を、ガス混合物全量に対して最大0.5容量%に調整
C工程:ガス混合物を少なくとも一つのオレフィンと接触
上記のA1工程、A2工程及びB工程に関する記述は、この製造方法の工程にも当てはまる。ケトンの製造方法においても、A1工程とA2工程及びB工程の順序は変更可能である。本発明によれば、B工程は、A1工程及びA2工程の後に実施してもよい。あるいは、B工程を、A1工程及びA2工程に先立って実施してもよい。しかし、C工程はいずれの場合も、A1工程、A2工程及びB工程の後に実施する。
原理的には、B工程をA1工程及びA2工程に先立って実施可能である。あるいは、本発明において、B工程をA1工程及びA2工程の後に実施してもよい。ある実施様態において、本発明は、A1工程及びA2工程がB工程に先立って実施されるケトンの製造方法に関する。他の様態において、本発明は、B工程をA1工程及びA2工程に先立って実施するケトンの製造方法に関する。
あるいは、本発明においては、複数のA1工程及びA2工程又は複数のB工程からなる製造方法であって、B工程をA1工程及びA2工程の前又は後ろに実施する方法であってもよい。
一般に、C工程の反応は、オレフィン及び亜酸化窒素を含むガス混合物が反応可能なら、いずれの方法によっても実施可能である。特に、連続多段反応あるいはバッチ反応が利用可能である。本発明によれば、少なくとも一つのオレフィンが本発明により精製されたガス混合物と反応するように、C工程の反応条件が選択される。圧力と温度は適当に選択すればよい。
この反応を適当な溶媒の存在下で行ってもよい。あるいは本発明において、C工程の反応を溶媒の添加なしに行ってもよい。
また、本発明のケトン製造方法は、これ以外の工程を含んでいてもよい。例えば、亜酸化窒素を含むガス混合物を、C工程の前で、またA1工程、A2工程及びB工程の後に、処理してもよい。この処理としては、例えば、圧力の変化及び/又はガス混合物の温度の変化が挙げられる。これ以外の処理としては、例えば溶媒吸収が挙げられ、吸収されたガス混合物をC工程で使用してもよい。この溶媒は、いずれの溶媒であってもよい。この溶媒は、好ましくは、C工程で酸化されるオレフィンである。
しかしながら、本発明においては、C工程の前、及びA1工程、A2工程及びB工程の後に、圧力及び/又温度を制御して亜酸化窒素含有ス混合物を液化させたり超臨界状態としてもよい。この亜酸化窒素含有液化ガス混合物を、直接C工程のオレフィンと接触させてもよい。
したがって、他の実施様態において、本発明は、ケトンの製造方法であって、そのC工程で使用するガス混合物が液化されている方法に関する。
原則として、本発明に係る方法のC工程において、どのようなオレフィンでも、例えば炭素数2〜18のオレフィン類、特に炭素数5〜12のオレフィン類を使用することが可能である。好ましいオレフィン類としては、例えば一個以上の二重結合を有する開鎖型又は環状のオレフィン類が挙げられる。より好ましいのは、一個以上の二重結合を有する環状オレフィン類、例えばシクロペンテン、シクロへキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセン、1,4−シクロヘキサジエン,1,5−シクロオクタジエン、1,5−シクロドデカジエン、1,5,9−シクロドデカトリエンなどである。
特に好ましいオレフィンは、シクロペンテン、シクロドデセン又は1,5,9−シクロドデカトリエンである。したがってある実施携帯において、本発明はケトンの製造方法であって、そのオレフィンがシクロペンテン、シクロドデセン及び1,5,9−シクロドデカトリエンからなる群から選ばれる方法に関する。
本発明が、本発明により精製した亜酸化窒素含有ガス混合物をシクロペンテンに接触させるケトンの製造方法である場合、シクロペンテンを含む混合物G(i)が本発明の方法のC工程で使用される。シクロペンタノンを含む混合物が得られる。以下に、この実施様態の好ましい処理条件を述べる。
原則として、混合物G(i)はシクロペンテン以外に他の化合物を含んでいてもよい。このような化合物とは、例えば、C工程での接触でN2Oと反応できない化合物が挙げられる。好ましくは、原理的にはN2Oと反応するがC工程で選択された反応条件下ではN2Oに対して不活性である化合物である。本発明の実施様態で使用されるこの「不活性」という用語は、その化合物がC工程の選択された反応条件下でN2Oと反応しないか、シクロペンテンのN2Oとの反応と比較して反応が極めて抑制されて進行し、C工程から排出される混合物中のその化合物のN2O反応生成物の量が、C工程から排出される混合物の全体量の多くとも15重量%、好ましくは多くとも10重量%、より好ましくは多くとも5重量%となることを意味する。
したがって、本発明はまた、上述の方法であって混合物G(i)が、シクロペンテン以外に、C工程で接触してもN2Oに対して不活性な少なくとも一つの化合物を含む方法に関する。
このような不活性化合物群としては、アルカン類(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロドデカン)、アルキルベンゼン類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン)、エーテル類(例えば、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル)エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、安息香酸メチル)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル)アルコール類(例えば、ブタノール、2−エチルヘキサノール、エタノール)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール)、アミン類(例えば、アニリン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン)、上記化合物の二種以上の混合物、及び上記化合物の二種以上の混合物が挙げられる。
特に好ましいのは、C工程において選択された反応条件下でN2Oと反応しない化合物である。
本発明に係る方法の実施様態において、好ましくは、この反応物混合物G(i)は、溶媒の存在下でのジシクロペンタジエンの開裂及び部分的な水素化により得られる、シクロペンテンを含む混合物であり、この溶媒は上述の不活性化合物から選択される。好ましくは、ジシクロペンタジエン及びトルエンの2:1混合物の部分的水素化である。この方法は、例えばJP2000053597Aに開示されており、その開示内容は、引用により、本出願に援用される。JP200053597によれば、シクロペンタジエンは、芳香族溶媒、好ましくはトルエンの存在下でジシクロペンタジエンの熱分解により得られ、その変換率は98%である。生成ガスは、パラジウム/アルミナ触媒が充填されたステンレス製の反応管に導かれる。このガスは、反応管出口の冷却管により凝縮させられる。
本発明の方法の他の好ましい実施様態においては、混合物G(i)のうち、混合物G(i)全体量に対して少なくとも99重量%が炭化水素類である。炭化水素類以外に、この混合物G(i)は、最大1重量%まで、少なくとも一つ他の化合物を含んでもよく、また炭化水素以外の上述の好ましい不活性の化合物の少なくとも一つの混合物を最大の1重量%まで含んでいてもよい。また、もしC工程においてシクロペンテンの変換を阻害しないなら、それ以外の化合物を、最大1重量%まで含んでいてもよい。
本発明において使用される用語「炭化水素混合物」は、無置換炭化水素化合物の混合物であり、このためCとHのみからなる。本発明において使用される炭化水素混合物は、特定混合物G(i)の全量に対して最大1重量%まで、他の化合物を含有することができる。この混合物は、より好ましくは他の化合物を最大0.5重量%まで、より好ましくは最大0.1重量%まで、より好ましくは最大0.01重量%、最も好ましくは最大0.001重量%まで含有する。特に好ましいのは、この混合物G(i)が他の化合物を、各種分析方法の測定限度以下の量しか含有しない場合である。
ある好ましい実施様態においては、この混合物G(i)はC工程において選択された反応条件下で液状又は超臨界状態で存在する。液状常温常圧において液状である混合物G(i)が、他の混合物より好ましい。例えば、このような混合物として、各化合物が常温常圧において液状である混合物が挙げられる。他の例としては、それ自体は常温常圧において、例えば固体状の又気体状であるが、混合物G(i)中では常温常圧において液状である化合物を少なくとも一つ含有する常温常圧において液状である混合物が挙げられる。
本発明の方法の他の好ましい実施様態においては、C5炭化水素類及び炭素数が5以上の炭化水素類を少なくとも99重量%含む混合物G(i)が使用される。シクロペンテンに加えて、少なくとも一つのC5炭化水素、少なくとも一つの炭素原子数が5を超える炭化水素、または少なくとも一つのC5炭化水素と少なくとも一つの炭素原子数が5を超える炭化水素の混合物が、G(i)中に含まれていてもよい。
したがって、本発明はまた、上述の方法であって、混合物G(i)が 少なくとも99重量%のC5炭化水素類及び炭素原子数が5を超える炭化水素類を含む方法に関する。
特に好ましい炭素原子数が5を超える炭化水素類としては、不活性化合物として上述した炭化水素類が挙げられる。
すでに述べたように、用いる反応物混合物G(i)は、工業プロセスにおいて得られる混合物が好ましい。本発明においては、C5、C6及びC7炭化水素類を少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも97重量%、及び特に好ましくは少なくとも99重量%含む混合物が好ましい。
したがって、本発明はまた、上述の方法であって、混合物G(i)がC5及びC6炭化水素類を、C5及びC7炭化水素類を、又はC5及びC6及びC7炭化水素類を少なくとも99重量%含む方法に関する。
本発明において、上記混合物G(i)は、シクロペンテン以外に、少なくとも一つのC5炭化水素、少なくとも一つのC6炭化水素、少なくとも一つのC7炭化水素、少なくとも一つのC5炭化水素と少なくとも一つのC6炭化水素の混合物、少なくとも一つのC5炭化水素と少なくとも一つのC7炭化水素の混合物と、少なくとも一つのC5炭化水素と少なくとも一つのC6炭化水素と少なくとも一つのC7炭化水素の混合物のいずれかを含んでいてもよい。
本発明の方法のある好ましい実施様態によれば、用いる反応物混合物G(i)が、水蒸気分解器又は製油所由来のシクロペンテンを含む炭化水素混合物である。したがって、水蒸気分解プラントから排出される実質的にC5及びC6炭化水素類からなるC5留分が好ましい。工業的に得られるC5留分には、炭素原子数が6を超える炭化水素類が含まれず、このようなC5留分には、シクロペンテンに加え、例えば2−ブテン、イソペンタン、1−ペンテン、2−メチルブテン−1、trans−2−ペンテン、n−ペンタン、cis−2−ペンテン、2−メチルブテン−2、シクロペンタン、2,2−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、ノルマルヘキサン及びベンゼンが含まれる。水蒸気分解プラントから出るC5留分は、一般に、シクロペンテンを5〜60重量%、好ましくは15〜50重量%の範囲で含有する。
したがって、本発明はまた、上述の方法であって、上記混合物G(i)がC5及びC6炭化水素類の混合物を少なくとも99重量%含有する方法に関する。
本発明によれば、実質的にC5及びC6炭化水素類からなり、好ましくは水蒸気分解プラントからC5留分として得られるこの混合物を、そのまま使用することができる。好ましくは、C工程で本発明の変換にかける前に、この実質的にC5及びC6炭化水素類からなる混合物を精製にかけて、ここでシクロペンテンと比較して低沸点の化合物群を選択的に除去する。どのような方法を用いてもよいが、この混合物の蒸留分離が好ましい。
本発明において、好ましくはこの混合物G(i)は、シクロペンテンより沸点が低いC5及び/又はC6炭化水素類を、最大10重量%まで含有する。もし混合物G(i)中に存在する少なくとも一つのC4炭化水素を精製する必要がある場合、好ましくは、混合物G(i)がシクロペンテンより沸点が低いC4及び/又はC5及び/又はC6炭化水素類を最大10重量%まで含有するように、蒸留を行う。本発明において特に好ましくは、得られた混合物G(i)が、シクロペンテンより沸点が低いC5及び/又はC6炭化水素類を、最大5重量%、より好ましくは最大3重量%、特に好ましくは最大2重量%までしか含まないことである。もし混合物G(i)中に存在する少なくとも一つのC4炭化水素を更に精製する必要がある場合、蒸留を行って、得られた混合物G(i)がシクロペンテンより沸点が低い、C4及び/又はC5及び/又はC6炭化水素類を、最大5重量%、より好ましくは最大3重量%、最も好ましくは最大2重量%まで含むようにする。
したがって、本発明はまた、上述の方法であって、上記混合物G(i)が、C5及びC6炭化水素類を、混合物G(i)の全量に対して少なくとも99重量%含み、シクロペンテンより沸点が低い炭化水素類を混合物G(i)の全量に対して多くとも2重量%まで含む方法に関する。
本発明の方法の同様に好ましい実施様態において、C5及びC7炭化水素類を少なくとも99重量%含有する混合物G(i)が使用される。シクロペンテンに加え、少なくとも一つのC5炭化水素、少なくとも一つのC7炭化水素、あるいは少なくとも一つのC5炭化水素と少なくとも一つのC7炭化水素の混合物が、G(i)中に含まれていてもよい。
したがって、本発明はまた、上述の方法であって、上記混合物G(i)がC5及びC7炭化水素類を少なくとも99重量%含有する方法に関する。
7炭化水素の好ましい具体例はトルエンである。
本発明に係る方法のある好ましい実施様態において、用いる反応物混合物G(i)が、溶媒としてのトルエンの存在下でジシクロペンタジエンの開裂及び部分的水素化の結果得られるシクロペンテンを含む炭化水素混合物である。好ましくは、ジシクロペンタジエン及びトルエンの2:1混合物の部分水素化物である。この方法は、例えばJP2000053597Aに開示されており、その開示内容は、引用により、本出願に援用される。
このようにして得られる混合物は、一般にシクロペンテンを25〜75重量%、好ましくは35〜65重量%、より好ましくは40〜60重量%の範囲で含有する。この反応混合物は、シクロペンテン以外に主にシクロペンテンとトルエンを含有する。一般に、本発明の方法において混合物G(i)として使用する、ジシクロペンテンとトルエンの混合物の開裂と部分的水素化により得られる混合物は、シクロペンテン、トルエン及びシクロペンタンを少なくとも99重量%の量で含有する。
この実施様態のシクロペンテン、トルエン及びシクロペンタンを少なくとも99重量%含有する好ましい混合物は、そのまま使用してもよい。
より好ましい実施様態においては、ジシクロペンタジエンとトルエンとの混合物の開裂と部分的水素化により得られる混合物を、本発明に係る方法において混合物G(i)として使用する前に、少なくとも一度蒸留分離にかけ、一般に60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%、より好ましくは75〜85重量%の範囲でシクロペンテンを含む塔底混合物を得る。この塔底混合物は、さらにトルエンを一般に最大20重量%、好ましくは最大10重量%、より好ましくは最大5重量%を含み、またシクロペンタンを一般に、5〜25重量%、好ましくは7〜22重量%、より好ましくは10〜20重量%の範囲で含有する。本発明に係る方法中において、この塔底混合物を混合物G(i)として使用する。
より好ましくは、本発明に係る方法で使用する混合物G(i)は、シクロペンテンを、混合物G(i)の全量に対し30〜90重量%、より好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは45〜90重量%、特に好ましく50〜85重量%の範囲で含有する。
したがって、本発明はまた特に、シクロペンテン含有炭化水素混合物のシクロペンタノン合成原料としての使用であって、このシクロペンタノン含有炭化水素混合物が、シクロペンテンを含む水蒸気分解プラントのC5留分又はシクロペンタジエンの部分的水素化により得られる混合物であるか、シクロペンテンを含む水蒸気分解プラントのC5留分とシクロペンタジエンの分的水素化により得られる混合物との混合物である方法に関する。
C工程の反応は、一般に、シクロペンテンを含む混合物G(i)と亜酸化窒素を含むガス混合物とからシクロペンタノンが生成する限りどのような方法を用いて実施してもよい。特に、連続反応やバッチ反応が可能である。
ある好ましい実施様態において、C工程の反応は、回分的に行われる。この場合好ましくは、まずこの混合物G(i)を適当な反応容器に入れる。後述のように、反応が好ましくは大気圧より高圧で進むため、使用する反応容器はオートクレーブが好ましい。
混合物G(i)は、まず一般的には0〜320℃、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜290℃の範囲の温度で仕込まれる。圧力は、一般的には1〜500bar、好ましくは10〜365bar、より好ましくは25〜250barの範囲である。
上述の温度及び圧力で仕込んだ後、この混合物G(i)を、本発明により精製された亜酸化窒素を含むガス混合物と接触させる。接触前に、反応容器内に存在する空気を、少なくとも部分的に適当な手段で除去してもよい。反応容器を少なくとも一つのガス又はガス混合物でフラッシュすることが好ましく、また例えば窒素、他の不活性ガス、又はこれらのガスの二種以上の混合物をフラッシュすることも好ましい。窒素をフラッシュガスとして使用することが特に好ましい。
この混合物G(i)と本発明により精製したN2O含有混合物とは、それぞれシクロペンテンとN2Oのモル比で、一般的には0.05〜5、好ましくは0.5〜3、より好ましくは0.9〜1.5の範囲で供給される。
混合物G(i)と本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物を接触させるため、後者のガスは、一般に5〜500bar、好ましくは10〜365bar、より好ましくは25〜250barの範囲の圧力で反応容器に導入される。接触温度は、適当な方法で、混合物G(i)中に存在するシクロペンテンと本発明により精製したガス混合物中に存在するN2Oとの反応が好ましくは液相又は超臨界相で進むように調整される。したがって、反応温度は、一般的には150〜320℃、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜290℃の範囲にある。
本発明の方法の特に好ましい実施様態によれば、本発明により精製したガス混合物は、まず反応容器内に上記の圧力で供給され、次いで、反応容器の温度を、一般的には1〜10℃/min、好ましくは1.5〜5℃/min、より好ましくは2〜4℃/minの速度で上昇させる。
上記の反応所要温度に達するまで加熱後、一般的には1〜48h、好ましくは2〜30h、より好ましくは5〜25hの期間、この温度を維持する。温度を一定に保つのでなく、上記の範囲内で適当に変化させてもよい。
したがって、本発明はまた、C工程が少なくとも下記の(a)〜(d)工程を含む上記方法に関する。
(a)工程:0〜320℃の範囲の温度及び1〜500barの範囲の圧力下で混合物G(i)を反応容器に導入
(b)工程:5〜500barの範囲の圧力下での反応容器内で、反応混合物G(i)と本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物とを接触
(c)工程:150〜320℃の範囲の温度まで(b)で得られる混合物を、1〜10℃/minの範囲の速度で加熱
(d)工程:0.1〜48hの範囲の期間で(c)で設定された温度を維持
シクロペンテンとN2O間の反応の終了後、反応容器内の加圧下の混合物を冷却する。
冷却中、冷却後、あるいは両期間中に、反応容器内部を減圧する。
本発明に係る方法は、原理的には、バッチ反応器における上述の反応以外にもいかなる反応装置で実施可能である。また、二種以上の同種又は異種の反応器を組み合わせて使用することも可能である。例えば、C工程の反応を少なくとも一つの気泡塔で行ってもよい。好ましくは、C工程の反応を少なくとも一つの連続反応器で行う。例えば、C工程の反応をCSTR(連続攪拌槽型反応器)又はCSTR装置で行ってよい。より好ましくは、少なくとも一つの連続円管状の連続反応器である。
したがって、本発明はまた、上述の方法であって、混合物G(i)と亜酸化窒素を含む本発明により精製したガス混合物をC工程において連続円管形状反応器内で接触する方法に関する。
更に好ましくは、本発明において使用する少なくとも一つの連続管状反応器が、管束反応器である。
混合物G(i)と本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物とを、シクロペンテンがN2Oと反応してシクロペンタノンを与えるのに適したいずれかの反応条件において、連続反応器内にて接触させてもよい。特に好ましいのは、少なくとも一つの連続反応器の反応条件を、C工程の反応が液相又は超臨界相で進行するように選定することである。より好ましくは、反応器内容物全体が液体となる反応条件である。「反応器内容物」は、反応器内に導入された上記混合物G(i)と本発明により精製されたガス混合物であり、またこれらの混合物の混合物である。
特に好ましいのは、混合物G(i)と本発明により精製されたガス混合物とを、互いに別々に反応器に導入することである。
しかしながら本発明において、本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物と混合物G(i)又は混合物G(i)の一部とを混合し、この混合物を反応器に導入することも、同様に好ましい。本発明によれば、本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物及び混合物G(i)又はその混合物G(i)の一部は、反応が起こらない温度で混合される。好ましくは80〜200℃、更に好ましくは90〜150℃、特に好ましくは100〜120℃の範囲の温度で混合される。
したがって、本発明はまた、上述の方法であって、連続反応器がC工程の反応の間、実質的に完全に液体で満たされている方法に関する。
特に好ましくは、その反応条件が、反応器内の混合物が均一で単一相となるように選ばれる。
この混合物G(i)は、通常0〜320℃、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜290℃の範囲の温度で、また一般に1〜500bar、好ましくは10〜365bar、より好ましくは25〜300barの範囲の圧力で、連続反応器に導入される。
本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物は、通常0〜320℃、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜290℃の範囲の温度で、また一般に5〜500bar、好ましくは10〜365bar、より好ましくは25〜300barの範囲の圧力で連続反応器に投入される。
連続反応器内で、混合物G(i)と本発明により精製した亜酸化窒素を含む混合物が互いに接触される。混合物G(i)と本発明により精製されたガス混合物は、シクロペンテンとN2Oのモル比で一般的には0.05〜10、好ましくは0.5〜7、より好ましくは1〜5の範囲で導入される。
ガス混合物G(i)中に存在するシクロペンテンは、本発明により精製したガス混合物中に存在するN2Oと、少なくとも一つの連続反応器内で、一般的には150〜320℃、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜290℃の範囲の温度で反応させられる。連続反応器内の圧力は、一般的には5〜500bar、好ましくは10〜400bar、より好ましくは100〜365barの範囲にある。
反応混合物の連続反応器内での滞留時間は、一般的には0.1〜48時間、好ましくは0.2〜5時間、より好ましくは0.3〜2.5時間の範囲である。反応器内の温度、圧力、又は双方を一定にする必要はなく、上述の範囲内で変動させてもよい。
したがって、本発明はまた、C工程が次の(aa)工程〜(dd)工程からなる上述の方法に関する。
(aa)工程:混合物G(i)を0〜320℃の範囲の温度で1〜500barの範囲の圧力で連続反応器に投入する
(bb):本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物を0〜320℃の範囲の温度で、5〜500barの範囲の圧力で連続反応器に投入する
(cc):100〜320℃の範囲の温度で5〜500barの範囲の圧力で、この混合物G(i)と本発明により精製されたガス混合物とを連続反応器内で接触させる
(dd):0.1〜48時間の反応混合物の滞留時間で、混合物G(i)と本発明により精製されたガス混合物を連続反応器内で反応させる。
混合物G(i)と本発明により精製されたガス混合物を用いる本発明に係る上述の工程の方法を用いると、シクロペンテン転換率として、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%が得られる。この転換率の上限は、一般的には98%、好ましくは99%、より好ましくは99.9%である。
シクロペンテン当たりの反応のシクロペンタノン選択性は、一般的には、92〜99.5%の範囲である。
したがって、本発明はまた、使用するシクロペンテンが、使用シクロペンテン全量に対して10〜99.9%の範囲で転換され、シクロペンテン当たりのシクロペンタノン選択性が92〜99.5%である上述の方法に関する。
シクロペンタノンを回収するために、C工程で得られるシクロペンタノンを含む混合物をさらに処理してもよい。そのような処理として蒸留処理が挙げられる。
もし本発明が、本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物をシクロドデセンに接触させてケトンを製造する方法に関する場合、本発明の方法のC工程においてシクロドデセンが使用される。シクロドデカノンを含む混合物が得られる。この実施様態での好ましい処理条件を以下に記載する。
シクロドデセンは、好ましくはシクロドデカトリエンの部分的水素化により得られる。本発明の方法によれば、純粋なシクロドデセン、あるいはシクロドデセンを含む混合物を用いることが可能である。また、シクロドデセンは、シス体、トランス体、又はシス体とトランス体の混合物のいずれでもよい。
本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物とシクロドデセンとの間の本発明の反応において、適当な溶媒又は希釈剤を少なくとも一つ使用できる。この溶媒として、例えば、シクロドデカンやシクロドデカノンが挙げられるが、C−C二重結合、C−C三重結合、又アルデヒド基を持たない限り、実質的にはあらゆる常用溶媒及び/又は希釈材が使用できる。
一般に、C工程での本発明の変換において、溶媒又は希釈剤を添加する必要はない。
C工程でのシクロドデセンの変換は、連続的でも、バッチ的でも、あるいは連続とバッチの組み合わせでもよい。好ましくは、連続反応である。
また、適当な反応器ならいずれも反応器として利用できる。C工程におけるシクロドデセンの変換は、例えば、内部又は外部熱交換器を備えた少なくとも一つのCSTR(連続攪拌槽型反応器)、少なくとも一つの円管形状の反応器、少なくとも一つのループ型反応器、又はこれらの反応器のうち少なくとも二種の組み合わせにより行われる。また、これらの反応器のうち少なくとも一つに、少なくとも二種の異なる領域を作ってもよい。これらの領域は、例えば反応条件が、例えば温度又は圧力が異なり、及び/又は領域の寸法、例えば容量又は断面が異なる。軸方向の温度分布も、例えば並流冷却や適当な冷却剤量の調整で、変更が可能である。
シクロドデセンの酸化を、少なくとも一つの円管形状の反応器で行うことが特に好ましい。
したがって、本発明はまた、シクロドデセと亜酸化窒素との反応を少なくとも一つの円管形状の反応器で行う上述の方法に関する。
シクロドデセンの変換は、好ましくは140〜350℃、より好ましくは200〜325℃、及び特に好ましくは225〜300℃の範囲の温度で行われる。
したがって、本発明はまた、C工程の変換が連続的に少なくとも一つの管状反応器中で140〜350℃の範囲の温度で行われる上述の方法に関する。
反応容器の内圧、好ましくは少なくとも一つの円管形状の反応器の内圧は、一般的には反応物混合物又は反応生成物混合物の選択された反応温度又は反応容器の設定反応温度における自己圧力以上、好ましくは自己圧力を超える値である。一般に、反応圧力は、1〜14000bar、好ましくは自己圧力〜3000bar、より好ましくは自己圧力〜1000bar、特に好ましくは自己圧力〜325barの範囲である。
反応物の反応器内滞留時間は、一般的には長くて30時間、好ましくは0.1〜30時間、より好ましくは0.25〜25時間、特に好ましくは0.3〜20時間の範囲である。
亜酸化窒素:シクロドデセン反応物のモル比は、一般的には最大0.05〜5、好ましくは0.07〜2、より好ましくは0.1〜2、特に好ましくは0.1〜1の範囲である。
シクロドデセン転換率が、5〜95%、より好ましくは7〜80%、特に好ましくは10〜50%の範囲になるように、反応条件を選択することが特に好ましい。
ここに使用される用語「転換率」は、シクロドデセンの総変換率である。用いる反応物がすべてcis−シクロドデセン又はtrans−シクロドデセンである場合、総変換率はこの特定の異性体の転換率である。用いる反応物が、シス体とトランス体の混合物(シス体:x mole%、トランス体:y mole%)であり、このシス体の転換率がm%で、トランス体の転換率がn%である場合、総変換率は、mxとnyの合計で計算される。
用いる反応物が異性体混合物である場合、本発明においてC工程の反応を、少なくとも2つの工程で、より好ましくは2つ又は3つの工程で、最も好ましくは2つの工程で実施することが好ましい。
第一の工程では、温度が好ましくは140〜300℃、より好ましくは180〜290℃、特に好ましくは225〜275℃の範囲で選択される。この第一工程では、主にトランス体が酸化されてシクロドデカノンとなる。第二の工程では、温度は、第1の工程より高くなり、好ましくは165〜350℃、より好ましくは225〜325℃、特に好ましくは275〜310℃の範囲で選択される。この第二工程では、シス体が酸化されてシクロドデカノンとなる。
したがって、本発明はまた、cis−シクロドデセンとtrans−シクロドデセンの混合物と亜酸化窒素とを二つの工程で反応させる上述の方法に関する。
また、本発明はまた、第1工程での変換が140〜300℃の範囲の温度で行われ、第二工程での変換が165〜350℃の範囲の温度で行われ、第1の工程での温度が第二工程の温度より低い上述の方法に関する。
上述の好ましい二段工程の他の反応パラメータ、例えば圧力、滞留時間や反応容器に関しては、上述の一段プロセスの一般的実施様態や好ましい実施様態を参照のこと。
上述の二段工程は、適当などのようなプロセスでも実施可能である。例えば、この二段工程を少なくとも二種の反応器を用いて実施することができる。この際、少なくとも一つの反応器の温度を低く設定し、少なくとももう1つの反応器の温度を高く設定する。あるいは、少なくとも二種の異なる温度領域を有する単一の反応器を用いることもできる。少なくとも二種の異なる温度領域をもつ単一の反応器を用いる場合、二つ温度は、互いに連続的であっても、不連続的であってもよい。例えば特に好ましいのは、上述のように軸方向に温度分布を有する管状反応器である。
二段プロセスにおいて少なくとも二種の異なる反応器を使用する場合、少なくとも二種のこれらの反応器間で、反応物の中間処理を行ってもよい。このような中間処理としては、次のものが挙げられる。
・反応物の加熱
・反応物にかかる圧力の変更。この場合、例えば少なくとも一つのポンプ及び/又は少なくとも一つの圧縮機により加圧することが好ましい。
・少なくとも一つの反応物の計量投入。具体的には、亜酸化窒素及び/又はシクロドデセンを計量投入する。シクロドデセンを投入する場合、それは、新たに加えられたシクロドデセンであってもよく、及び/又は第二ステージで変換されず、生成物流から少なくとも一つの適当な手段により分離され、プロセスにリサイクルされたシクロドデセンであってもよい。
・少なくとも一つの適当な手段による生成シクロドデカノンの除去、例えば、好ましくは少なくとも1回の蒸留工程。
本発明の方法のより好ましい実施様態によれば、cis−及びtrans−シクロドデセンの混合物が反応物の場合、シクロドデセンの転換のために選択された反応条件下でシス体とトランス体が平衡状態となるように、少なくとも一つの触媒が添加される。
原理的には、いかなる適当な触媒も使用することが可能である。本発明に係る方法において、この目的のために、また例えばオレフィン又はポリエンの水素化のために、少なくとも一つの触媒を使用することが、特に好ましい。本発明に係る方法において、少なくとも一つの遷移金属、好ましくはRuを含有する異性化触媒を使用することが特に好ましい。
シス体とトランス体間の平衡状態を達成するためのこの異性化触媒は、均一触媒であっても不均一触媒であってもよい。また、少なくとも一つの均一触媒と少なくとも一つの不均一触媒を用いてもよい。不均一触媒は、懸濁触媒又は固定床触媒として使用してもよい。また、少なくとも一つの均一触媒に加えて、もし可能なら少なくとも一つの不均一懸濁触媒と少なくとも一つの不均一固定床触媒を併用してもよい。少なくとも一つ均一触媒を用いることが特に好ましい。
原理的にはすべての適当な均一触媒を使用可能であるが、Ruを活性金属として含有する触媒を使用することが好ましい。更に好ましい触媒としては、例えば、US5,180,870、US5,321,176、US5,177,278、US3,804,914、US5,210,349、US5,128,296、USB316,917及びD. R. Fahey, J. Org. Chem. 38 (1973)p.80-87に記載の触媒が上げられ、それらの本件に関する開示内容は本出願に援用される。このような触媒としては、例えば、(TPP)2(CO)3Ru、[Ru(CO)43、(TPP)2Ru(CO)2Cl2、(TPP)3(CO)RuH2、(TPP)2(CO)2RuH2、(TPP)2(CO)2RuClH、及び(TPP)3(CO)RuCl2が挙げられる。
特に好ましい触媒としては、(TPP)2(CO)2RuCl2 又は対応するCl−フリーの変異体、例えば(TPP)2(CO)2RuH2が挙げられる。なお、TPPはトリフェニルホスフィンを表す。
更に好ましくは、使用触媒は、本発明の方法中その場で合成される。この現場調整において好ましい出発物質は、例えば、塩化ルテニウム、酢酸ルテニウム、ルテニウムアセチルアセトネートなどの化合物や他のRu化合物である。
一般に、少なくとも一つのRu成分とともに、NR3、PR3、AsR3又はSbR3で表される化合物の少なくとも一つを酸化のために添加する。なお、式中、Rはアルキル、アラルキル、アルカリール又はアリール基で好ましくは炭素原子数が1〜20である。本発明において特に好ましいのは、トリフェニルホスフィンである。
他の実施様態においては、DE19856862A1に記載のように、少なくとも一つのカルボン酸の存在下で酸化を行う。この特許の本件に関する開示内容は本出願に援用される。
使用するカルボン酸は、例えば脂肪族、環状脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族カルボン酸である。反応系の反応条件で溶解するカルボン酸を使用することが好ましい。好ましくは、例えばC1〜C20モノカルボン酸、C2〜C6ジカルボン酸、シクロヘキシルカルボン酸、安息香酸、テレフタル酸、フタル酸又はフェニル酢酸である。特に好ましい酸としては、酢酸やプロピオン酸などの脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸、C12〜C20脂肪酸、コハク酸やアジピン酸である。
触媒を現場製造するに当たり、少なくとも一つのCO源を使用することが特に好ましい。COそれ自体であってもよい。他のCO源としては、例えば、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール又は他の適当な第一級アルコール類、ベンジルアルコール又は少なくとも一つ一級アルコール基を有するジオール類又はポリオール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールが挙げられる。
本発明のシクロドデセンの酸化では、一般的には、生成物の混合物が得られる。この生成物混合物は、シクロドデカノンを、20℃まで冷却し標準圧力まで戻した後の生成物混合物の総量当たり、好ましくは5〜95重量%、より好ましくは7〜80重量%、特に好ましくは10〜75重量%の範囲で含有する。
後述のように、この反応生成物混合物は、これ以外に、酸化段階以前で使用され除去されなかった触媒、未反応のシクロドデセン、反応物とともに酸化に用いられた化合物、例えばシクロドデカン、及び亜酸化窒素との反応で生成する他の化合物を含有する。
反応に用いる異性化触媒を、リサイクルして再使用してもよく、廃棄しても、あるいは処理して、例えば触媒中の少なくとも一つの金属を回収してもよい。この触媒をリサイクルして再利用する場合、亜酸化窒素との反応の処理段階に戻してもよいし、あるいは本発明に係る方法の他の段階に戻してもよい。特に好ましい実施様態においては、本発明に係る方法は、シクロドデカトリエンの少なくとも一つの箇所を部分水素化する工程を更に含んでいる。シクロドデセンのシス体とトランス体間の平衡状態をもたらすための異性化触媒と同じ触媒の存在下でこの部分水素化を行うことがより好ましい。したがって、除去された触媒をこの部分水素化に添加してもよく、その場合、この触媒は添加前に適当な再生工程に付される。
反応物として使用されるシクロドデセンは、シス体、トランス体、又はシス体及びトランス体の混合物であり、原理的には、どのような原料由来のものでもよい。
本発明において特に好ましいのは、少なくとも一つのシクロドデカトリエンの部分水素化、好ましくは少なくとも一つの1,5,9−シクロドデカトリエンの、例えばcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン又はcis,cis,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン又はall−trans−1,5,9―シクロドデカトリエン、特に好ましくはcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンの部分水素化により、シクロドデセンを製造することである。
これらの好ましい化合物は、例えば、シッファ(T. Schiffer), エーンブリンク(G. Oenbrink)、"シクロデカトリエン、シクロオクタジエン、及び4-ビニルシクロへキセン"、ウルマン工業薬品辞典(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry)、第6版、(2000)、電子版、ワイリー(Wiley VCH)に記載のように、純粋な1,3-ブタジエンの三量化によって得られる。例えばチーグラー触媒の存在下での三量化の場合、例えばウェーバ(Weber)等、「チタン含有触媒を用いたcis,trans,trans−シクロドデカトリエン−(1.5.9)の合成」、Liebigs Ann. Chem. 681 (1965) p.10-20に記載のように、この工程により、cis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン、cis,cis,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン及びall−trans−1,5,9―シクロドデカトリエンが生成する。本発明に係わる方法によれば、これらのシクロドデカトリエン類はすべて部分水素化されうるが、既述のように、本発明の方法によりcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンの部分水素化が特に好ましい。このcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンは、上述のウェーバ(Weber)等の論文にしたがって製造することがより好ましく、その本件に関する開示内容は本出願に援用される。
したがって、本発明はまた、チタン触媒を用いて1,3−ブタジエンを三量化してシクロドデカトリエンを合成する上述の方法に関する。
原理的には、いかなる適当なチタン触媒も三量化に用いることができるが、特に好ましいのは、ウェーバ(Weber)らの論文に記載のように、四塩化チタン/六塩化エチルアルミニウム触媒である。
三量化に使用するブタジエンは、ガスクロマトグラフィーにより決定した純度として、少なくとも99.6%、より好ましくは少なくとも99.65%の純度を持つことが特に好ましい。特に、使用する1,3−ブタジエン中の1,2−ブタジエン及び2−ブチンの量が、検出限度以下であることが好ましい。
この好ましい三量化により、cis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンを一般的には少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも96重量%、より好ましくは少なくとも97重量%の量で含む混合物が得られる。例えば、約98重量%のcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンを含む混合物が特に好ましい。
したがって、本発明はまた、C工程で用いるシクロドデカノンがシクロドデカトリエンの部分水素化により得られるシクロドデカノンの製造方法に関する。
この工程で使用されるシクロドデカトリエンは、1,3−ブタジエンの三量化により合成することが好ましい。
この三量化はチタン触媒の存在下で行われ、生成するシクロドデカトリエンは、好ましくはcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンである。
本発明はまた、下記の(a)工程、(b)工程、(i)工程、(ii)工程からなるシクロドデカノン一貫製造方法に関する。
(a)工程:1,3−ブタジエンからシクロドデカトリエンを製造
(b)工程:シクロドデカトリエンのシクロドデセンへの部分水素化
(i)工程:アジピン酸プラント及び/又は硝酸プラント及び/又はヒドロキシルアミンプラント及び/又は硝酸プラントからのオフガス流の少なくとも一つ当たり酸素及び/又は窒素酸化物が0〜0.5容量%になるように、亜酸化窒素含有ガス混合物をアジピン酸プラント及び/又はドデカン二酸プラント及び/又はヒドロキシルアミンプラントのオフガスに供給
(ii)工程:(b)で得られるシクロデセンと(i)で得られるガス混合物との反応によりシクロドデカノンを製造。
シクロドデカトリエンの触媒的部分水素化方法は、文献に記載されている。一般に、この反応の収率が高いことが必要である。質量及び極性のほんの小さな差でも、反応物や生成物の蒸留による分離を難しくさせ、コストアップをもたらすことがあるためである。したがって、このシクロドデカトリエン変換は実質的には定量的に進行すべきである。
均一なRu触媒上での水添加によるポリエンのモノエンへの水素化については、例えばUS5,180,870に記載例がある。この特許の実施例2では、水添加で反応時間が4時間の場合、シクロドデカトリエン変換率として98.4%が得られている。シクロドデセン収率に関しては、記載されていない。この特許の実施例1では、水の添加量を実施例2よりやや少なくし反応時間を8時間として、やや低い転換率85.8%が得られている。
US5,321,176は、均一触媒水素化の際のアミン類の添加について述べている。
US5,177,278においては、シクロドデカトリエンの均一Ru触媒による水素化を、エーテルあるいはエステルの溶媒の存在下で行っている。この特許の実施例では、最高のシクロドデセン選択率が96〜98%である。しかし、定量的な変換は不可能で、その処理では分離に問題が発生した。
US3,925,494では、処理を同様に溶媒中で行っている。最高のシクロドデセン収率は約95%という。しかし、ここでも変換は定量的でなかった。
J. Org. Chem. 38 (1973) p 80-87、D. R. Faheyは、各種の均一Ru触媒状でのシクロドデカトリエンの水素化について報告している。すべての例において、操作は比較的多量の溶媒の存在下で行われている。約98%のシクロドデセン収率が報告されている。しかし、シクロドデカトリエン当たりのRu使用量が非常に大きい。
DE19856862A1は、カルボン酸存在下での均一Ru触媒によるシクロドデカトリエンの水素化について述べている。この場合、最大で98%のシクロドデセン収率が得られている。
本発明においては、このシクロドデカトリエンのシクロドデセンへの触媒的部分水素化を、いずれの適当な方法で行ってもよい。
特に、この触媒的部分水素化に均一触媒を用いても不均一触媒を用いてもよく、また不均一触媒は、懸濁状態で用いてもよく固定床として用いてもよい。
使用する不均一触媒系は、Pd、Pt、Ru、Ir、Ni、Rh等の少なくとも一つの元素を活性水素化金属として有する触媒が好ましい。
特に好ましい実施様態では、少なくとも一つの均一水素化触媒の存在下で、シクロドデカトリエンが本発明に係る方法によりシクロドデセンに部分水素添加される。
原理的にはあらゆる適当な均一触媒を使用可能であるが、好ましくは、Ruを活性水素化金属として含有する触媒である。特に好ましくは、US5,180,870、US5,321,176、US5,177,278、US3,804,914、US5,210,349、US5,128,296、US B 316,917及びD. R. Fahey、J. Org. Chem. 38 (1973)p.80-87に記載の触媒であり、これらの本件に関する開示内容は本出願に援用される。このような触媒の例としては、(TPP)2(CO)3Ru、[Ru(CO)43、(TPP)2Ru(CO)2Cl2、(TPP)3(CO)RuH2、(TPP)2(CO)2RuH2、(TPP)2(CO)2RuClH又は(TPP)3(CO)RuCl2が挙げられる。
特に好ましく使用される触媒としては、(TPP)2(CO)2RuCl2又はClフリー誘導体、例えば(TPP)2(CO)2RuH2が挙げられる。なお、TPPはトリフェニルホスフィンである。
更に好ましくは、部分水素化に用いる触媒を、本発明の方法においてその場で合成する。この場合、出発原料としては、例えば、好ましくは、塩化ルテニウム、酢酸ルテニウム、ルテニウムアセチルアセトネートなどの化合物や他のRu化合物が挙げられる。
一般に、NR3、PR3、AsR3又はSbR3で示される化合物の少なくとも一つが、更に上記少なくとも一つのRu成分に加えて、水素化反応に添加される。なお、Rは、炭素原子数が好ましくは1〜20のアルキル基、アラルキル基、アルカリール基又はアリール基である。本発明において特に好ましいのは、トリフェニルホスフィンである。
一般的には、シクロドデカトリエン1kg当たり金属として0.1〜2000mgの量の活性水素化金属、より好ましくはRuが本発明の方法において使用される。好ましくは1〜1000mg、特に好ましくは10〜200mgの量で使用される。
本発明の方法のある実施様態においては、部分水素化終了後、触媒が反応生成物から除去される。本発明の他の実施様態においては、この除去された触媒をいずれかの工程に送り、特に好ましくは本発明の方法中で再利用する。本発明によれば、触媒は、より好ましくは少なくとも1回の蒸留で除かれ、その場合、部分的水素化生成物のシクロドデセンは塔頂から、一方、触媒は、場合によってはシクロドデセン留分とともに塔底から抜き出される。
上述のように触媒材料の量が少なくまたコストも非常に小さいため、一般的には、本発明に係る方法において、部分的水素化後、触媒を反応混合物から分離して工程で再利用する必要はない。
他の様態においては、DE19856862A1に記載のように、この部分水素化を少なくとも一つのカルボン酸の存在下で実施する。その本件に関する開示内容は、引用により本出願に援用される。
使用するカルボン酸は、例えば脂肪族、環状脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族カルボン酸である。反応条件において反応系に可溶である酸が好ましい。その例としては、C1〜C20のモノカルボン酸、C2〜C6のジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、テレフタル酸、フタル酸又はフェニル酢酸が挙げられる。特に好ましい酸としては、脂肪族モノ及びジカルボン酸、特に酢酸、プロピオン酸、C12〜C20の脂肪酸、コハク酸やアジピン酸が挙げられる。
酸の添加量は、シクロドデカトリエン1kg当たり一般的には0.001〜100g、好ましくは0.01〜50g、より好ましくは0.05〜25gの範囲である。
触媒を現場で製造する場合、少なくとも一つのCO源を使用することが好ましい。COそれ自体であってもよい。他のCO源としては、例えば、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール又は他の適当な第一級アルコール類、ベンジルアルコール又は少なくとも一つ一級アルコール基を有するジオール類又はポリオール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールが挙げられる。
本発明の方法によれば、部分的水素化は、一般的には50〜300℃、好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜200℃の範囲の温度で進行する。反応圧力は、1〜300bar、好ましくは1〜200bar、より好ましくは1〜100barの範囲である。
バッチ方式での1バッチの反応時間あるいは連続工程の場合の滞留時間は、一般的には0.5〜48時間の範囲である。これらは、実質的にはバッチのサイズやエネルギーの給排が可能かどうかにより決まる。上記のカルボン酸の添加により、必要以上に長期間、反応バッチを反応条件下におく必要がなくなる。この結果、反応制御や反応の計測がかなり単純となる。
この部分水素化の好ましい処理方法は連続式である。好ましい反応器の例としては攪拌型反応器又はポンプ混合による反応器が挙げられ、このような反応器では水素導入が非常に容易である。水素の導入は、例えば攪拌型システム又は他のシステム中で邪魔板を用いて行う。
本発明の好ましい実施様態においては、水素化が起こる位置で発生する熱を除き、例えばスチームを作るのに利用することができる。このような工程は、例えば好ましくは少なくとも一つの管束反応器を用いて実施する。管状反応器システムを使用する場合、例えば充填型気泡塔内で通常行われているように、適当な間隔で水素の混合を加速させることが好ましい。
本発明においては、転換を完全に行うため少なくとも二種の反応器を連続して使用することができる。例えば、最初の反応器では、例えばポンプを用いて副生成物を再利用しながら激しく攪拌し、第二の反応器、また場合によっては第三の反応器では、通過するだけとし、必要に応じて水素を添加してもよい。好ましいより具体的な実施様態では、第1の反応器において80〜98%の転換が行われ、続く一つ以上の反応器において残りが転換される。
水素化を開始する時には、シクロドデカトリエン反応物を供給しないことが、あるいは純粋なシクロドデカトリエンを触媒及び/又は触媒前駆体とともに供給しないことが特に好ましい。好ましくない発熱反応が起こるためである。一般に、少なくとも一つの適当な溶媒又は希釈剤が添加される。有用な溶媒又は希釈剤としては、例えばシクロドデカン、シクロドデセン、飽和脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類又はこれらの二種以上の混合物が挙げられる。ある好ましい実施様態においては、シクロドデセン、シクロドデカン、
シクロドデセンとシクロドデカンの混合物、シクロドデセンとシクロドデカトリエンの混合物、シクロドデカンとシクロドデカトリエンの混合物、又はシクロドデセンとシクロドデカンとシクロドデカトリエンの混合物が、最初に供給される。該当する混合物中のシクロドデカトリエン含有量は一般的に重要ではないが、連続プロセスでは最大30重量%、より好ましくは最大25重量%、特に好ましく最大20重量%である。
したがって、本発明はまた、部分水素化を、シクロドデカン及び/又はシクロドデセンの混合物をシクロドデカトリエンとともに供給しして開始し、その際この混合物中のシクロドデカトリエン含有量が最大で30重量%である上述の方法に関する。
本発明の部分水素化により得られる生成物は、一般的には混合物である。ある好ましい実施様態において、この混合物は、生成物混合物の総量当たり92〜99.9重量%、より好ましくは94〜99重量%、特に好ましくは96〜98重量%の範囲でシクロドデセンを含有する。
一般に、シクロドデセンは、シス体とトランス体の混合物として得られる。一般に、シス体とトランス体のモル比は、0.4:1〜2.0:1の範囲にある。
この生成物混合物は、一般的にはシクロドデセン以外に、シクロドデカンを、生成物混合物の総量当たり0.1〜8重量%、好ましくは0.3〜7重量%、より好ましくは0.5〜6.5重量%の範囲で含有する。
シクロドデセンとシクロドデカン以外に、反応生成物混合物は、微量のシクロドデカジエン及び/又は未反応のシクロドデカトリエン及び/又は触媒を含んでいてもよい。本発明に係る方法は、原理的には、使用するシクロドデカトリエンが完全にシクロドデセンに転換されるまで実施する。一般に、反応生成物混合物は、未反応のシクロドデカトリエン反応物を、生成物混合物の総量当たり0.5重量%未満、好ましくは0.25重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満の量で含有する。
もしよければ、少なくとも一回の適当な方法で、例えば好ましくは少なくとも1回の蒸留手段で、未反応シクロドデカトリエンを反応生成物混合物から分離して、本プロセスで再利用してもよい。シクロドデカトリエンの変換率が非常に高いため、本発明に係る方法においては、これを部分水素化反応生成物混合物から分離することなく、シクロドデセンとともに微量のシクロドデカトリエンを送り、C工程で亜酸化窒素により酸化させることが特に好ましい。
本発明の方法のある好ましい実施様態においては、部分水素化に用いる少なくとも一つの触媒を、部分水素化反応生成物の混合物から分離してもよい。この分離は、使用する触媒に応じて適当なプロセスで実施される。
部分水素化に用いる触媒が例えば懸濁触媒のような不均一触媒である場合、本発明においては、この触媒を少なくとも1回のろ過工程で除去することが好ましい。このように分離された触媒は、リサイクルして工程で再利用してもよいし、他の工程で利用するか、廃棄するか、再処理して例えば触媒中の少なくとも一つの金属を回収してもよい。
部分水素化に用いた触媒が例えば均一な触媒の場合、本発明において、少なくとも1回の蒸留工程により触媒を除去することが好ましい。蒸留に際して、蒸留塔を一本以上用いてもよい。
この少なくとも一本の蒸留塔において、部分水素化反応生成物の混合物は少なくとも2つの留分に分離される。高沸点留分は、実質的に全量が均一水素化触媒からなる。このように分離された触媒は、必要に応じて少なくとも一つの適当な再生処理の後、工程で再利用するか、廃棄するか、処理して例えば触媒中に存在する少なくとも一つの金属を回収してもよい。分離された触媒を他の工程で使用することも可能である。
本発明の方法の特に好ましい実施様態においては、分離された均一水素化触媒の一部を工程で再利用し、残りの触媒を工程から除去してもよい。
上述の部分水素化反応生成物の混合物の蒸留処理による主留分は、実質的にシクロドデセンを含むが、上述のように更に微量のシクロドデカン及び場合によっては微量のシクロドデカジエンを含む。
本発明の方法のある好ましい実施様態においては、この主留分はC工程における亜酸化窒素での酸化に供される。
また、酸化に供する前に、少なくとも一つの適当な蒸留工程において主留分から低沸点物を除去してもよい。
本発明の方法のより好ましい実施様態においては、部分水素化に用いる少なくとも一つの触媒は部分水素化反応生成物の混合物から分離されない。特に均一触媒が水素化に用いられる場合、この実施様態が好ましい。この場合、部分水素化反応生成物混合物を処理せず、直ちにC工程における亜酸化窒素での酸化に供することが特に好ましい。
上に述べたように、C工程におけるシクロドデセンの亜酸化窒素による酸化の好ましい実施様態において、シクロドデセンのシス体とトランス体が平衡状態となるように触媒する適当な触媒が使用される。
特に好ましい実施様態においては、平衡状態をもたらすために使用される触媒がシクロドデカトリエンの部分水素化に用いられる触媒と同一である。
したがって、本発明はまた、C工程におけるシクロドデカトリエンのシクロドデセンへの水素化及び亜酸化窒素によるシクロドデセンのシクロドデカノンへの変換が同一の触媒の存在下で実施される上述の方法に関する。
本発明に係る方法の大きな技術的プロセス的利点は、同一の均一触媒を部分的水素化と亜酸化窒素酸化に使用する場合、この触媒を部分水素化反応生成物混合物から除く必要がないこと、また触媒をコストをかけて面倒な蒸留をすることなくこの混合物を直ちに亜酸化窒素による酸化にかけることが可能であることである。
したがって、本発明はまた、均一触媒存在下でのシクロドデカトリエンのシクロドデセンへの水素化の際に生じるシクロドデセンと均一触媒を含む混合物を亜酸化窒素との反応に用いる反応物として利用する上述の方法に関する。
本発明において、部分水素化反応生成物の混合物中の触媒の一部のみを除去して、シクロドデセンと残りの残留触媒とを含むその混合物を亜酸化窒素での酸化に供給することもできる。この場合、少なくとも一つの異なる触媒を、亜酸化窒素での酸化に添加してもよい。また、部分水素化反応生成物の混合物からこの触媒を除去せず、同一及び/又は少なくとも一つの異なる触媒を亜酸化窒素での酸化に添加することも可能である。
本発明に係る上述のシクロドデカノン製造方法の利点の一つは、シクロドデカノンが少ない工程数でかつ高い選択性で得られることである。他の大きな利点は、本発明に係る方法に用いる反応物が、好ましくは工業用プラントから排出される亜酸化窒素含有オフガスであることである。このようなガスは、容易にかつ低コストで入手可能であり、本発明に係る方法を、既存の統合型のプラントシステムに応用することを可能とする。更に、反応物の輸送経路が最小限となり、また、上記オフガス、つまり潜在的温室効果ガスの廃棄に特別な処理が必要なく、むしろこのオフガスが有価生成物中に直接利用することが可能となる。
本発明により製造したシクロドデカノンは、例えば、特に好ましくは、ドデカン二酸及び/又はラウロラクタム及び/又はこれら由来のポリマー類、例えばナイロン12又はナイロン6,12などのポリアミド類の製造に使用される。
本発明が本発明により精製した亜酸化窒素を含むガス混合物とシクロドデカトリエンとを接触させるケトンの製造方法の場合、シクロドデカトリエンが本発明の方法のC工程で使用される。シクロドデカジエノンの混合物が得られる。この実施様態の好ましい処理条件を以下に示す。
生成するシクロドデカジエノンは、好ましくは水素化されてシクロドデカノンに転換される。
1,5,9−シクロドデカトリエンからシクロドデカ−4,8−ジエノンの製造は、二段合成でおこなわれ、第一のステップでは、1,5,9−シクロドデカトリエンが1,2−エポキシシクロドデカ−5,9−ジエンにエポキシ化され、第二のステップで、このエポキサイドが、触媒的に転移してシクロドデカ−4,8−ジエノンとなる。このプロセスは、例えばUS3,063,986に記載されている。この従来法は、二つの決定的な欠点を有する。一つは、選択的にモノエポキシ化をすることが難しいことである。他方は、工程が当然二段となることである。
したがって、上記の発明の方法の好ましい実施様態においては、1,5,9−シクロドデカトリエンからシクロドデカ−4,8−ジエノンを、単一ステップで高い選択性で得ることができる可能性がある。
本発明に係るシクロドデカノン製造の全体プロセスは、A1工程、A2工程、B工程及びC工程からなり、この場合、シクロドデカトリエンは、C工程で亜酸化窒素と反応し、シクロドデカジエノンを与え、別の工程でこのシクロドデカジエノンが水素添加されてシクロドデカノンとなる。
シクロドデカトリエンのシクロドデカンへの完全水素化、
ホウ酸存在下でのシクロドデカンのシクロドデシルボレートへの空気酸化、
このボレートのシクロドデカノールへの加水分解、及び
シクロドデカノールのシクロドデカノンへの脱水素の4工程を含む上述の既存のプロセスと比較してとりわけ注目すべきは、
本発明に係るシクロドデカノンの製造方法では、同一反応物、シクロドデカトリエンから出発して、二段階の反応を省いてシクロドデカノン生成物を製造できる、つまり反応段階の数を半減できるという点である。
本発明のC工程におけるシクロドデカトリエンと亜酸化窒素の反応において、少なくとも一つの適当な溶媒又は希釈剤を使用することができる。もしC−C二重結合、C−C三重結合、又はアルデヒド基を含まないなら実質的にあらゆる通常の溶媒及び/又は希釈剤が使用可能であるが、このような物質として適当なものとして、シクロドデカン、シクロドデカノン、アルキル置換基を有してもよい飽和脂肪族又は芳香族炭化水素類が挙げられる。
一般に、C工程における亜酸化窒素との本発明の反応においては、溶媒又は希釈剤を添加する必要はない。
一般に、シクロドデカ−4,8−ジエノンが反応により得られる限り、C工程におけるシクロドデカトリエン変換の反応条件に関し特に制限はない。
シクロドデカトリエンと亜酸化窒素との反応の温度は、好ましくは140〜350℃、より好ましくは180〜320℃、好ましくは200〜300℃の範囲にある。
本発明においての方法によれば、C工程の反応を、二種以上温度又は二種以上の温度領域(いずれも上記の特定限度内)で行うことが可能である。反応中の温度変化は連続的に行ってもよいし不連続的に行ってもよい。
C工程におけるシクロドデカトリエンと亜酸化窒素の反応の圧力は、選択された反応温度における反応物混合物又は反応生成物混合物の自己圧力より高いことが好ましい。圧力は、好ましくは1〜1000bar、より好ましくは40〜300bar、特に好ましくは50〜200barの範囲である。
本発明に方法によれば、二種以上圧力又は二種以上圧力領域(いずれも上記限度内)で反応を行うことが可能である。反応中の圧力変化は連続的に行ってもよいし不連続的に行ってもよい。
したがって、本発明はまた、C工程の反応を140〜350℃の範囲の温度で1〜1000barの範囲の圧力で行う上述の方法に関する。
C工程の変換に使用できる反応器には特に制限はない。特に、この変換はバッチ方式でも連続方式でもよい。したがって、使用する反応器としては、例えば、少なくとも一つの内部熱交換器及び/又は少なくとも一つの外部熱交換器を備えた少なくとも一つのCSTR(連続攪拌槽型反応器)や、少なくとも一つの管状の反応器又は少なくとも一つのループ状反応器が挙げられる。また、これらの反応器の少なくとも一つを用いて、少なくとも二種の異なる領域ができるようにしてもよい。このような領域は、例えば反応条件、具体的には温度、圧力、及び/又は領域のサイズ、例えば容量又は断面の点で異なる。変換を二種以上の反応器で行う場合、二つ以上の同一の反応器を用いてもよいし、二種の異なる反応器を用いてもよい。
ある好ましい実施様態において、C工程における本発明の亜酸化窒素との反応は単一の反応器内で行われる。例えば好ましくは、反応は連続方式で行われる。
少なくとも一つの反応器中の反応物の滞留時間は、一般に、最大20時間、好ましくは0.1〜20時間、より好ましくは0.2〜15時間、特に好ましくは0.25〜10時間の範囲である。
C工程において亜酸化窒素とシクロドデカトリエンの反応に供せられる液中の亜酸化窒素とシクロドデカトリエンのモル比は、一般的には、0.05〜4、好ましくは0.06〜1、より好ましくは0.07〜0.5、特に好ましくは0.1〜0.4の範囲にある。
特に好ましい実施様態では、シクロドデカジエノンへの選択性が非常に高く、かつシクロドデカトリエンの変換率が最大50%、好ましくは5〜30%、特に好ましくは10〜20%の範囲となるように、本発明に係る方法が実施される。シクロドデカジエノンの選択性は、一般的には、少なくとも90%、好ましくは少なくとも92.5%、より好ましくは少なくとも95%である。
したがって、本発明はまた、C工程における亜酸化窒素とシクロドデカトリエンの反応を、シクロドデカトリエン変換率が1〜80%、好ましくは5〜30%となるように、またシクロドデカジエノンの選択性が少なくとも90%となるように実施する上述の方法に関する。
本発明において、原理的には、本発明により精製し亜酸化窒素を含む混合物を用いて、C工程においていかなるシクロドデカトリエンあるいはいかなる二種以上の異なるシクロドデカトリエンの混合物を転換することができる。これらのシクロデカトリエンとしては、例えば1,5,9−シクロドデカトリエン類、例えばcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン、cis,cis,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンやall−トランス1,5,9−シクロドデカトリエンが挙げられる。
本発明の方法のとりわけ好ましい実施様態によれば、使用するシクロドデカトリエンはcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンである。
したがって、本発明はまた、使用するシクロドデカトリエンがcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンである上述の方法に関する。
したがって、特に、本発明はまた、cis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンをC工程で亜酸化窒素と反応させてシクロドデカ−4,8−ジエノンを製造する上述の方法に関する。
一般に、C工程において、cis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンと亜酸化窒素間の本発明の反応によりシクロドデカ−4,8−ジエノン異性体混合物が得られ、この混合物は、次の異性体、cis,trans−シクロドデカ−4,8−ジエノン、trans,cis−シクロドデカ−4,8−ジエノン及びtrans,trans−シクロドデカ−4,8−ジエノンのうち少なくとも二種の異性体を含んでいる。本発明によれば、トランス・シス体及びシス・トランス体がほぼ同量含まれ、トランス・トランス体が他の異性体と比べて少量含まれる異性体混合物を得ることが好ましい。したがって、典型的な異性体混合物の一例は、モル比で約1:1:0.08の混合物である。
C工程における本発明の少なくとも一つのシクロドデカトリエン変換、好ましくは少なくとも一つの1,5,9−シクロドデカトリエン変換、あるいは特に好ましくはcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンの変換は、原理的には、触媒の存在下で行ってもよい。本発明の方法の特に好ましい実施様態によれば、C工程における亜酸化窒素との反応を、触媒の添加なしに実施する。
したがって、本発明はまた、C工程におけるシクロドデカトリエンと亜酸化窒素との反応を触媒の添加なしに実施する上述の方法に関する。
一般に、本発明のC工程の亜酸化窒素との反応に、溶媒又は希釈剤を加える必要はない。
好ましく使用される1,5,9-シクロドデカトリエンは、例えばシッファー(T. Schiffer), エーンブリンク(G. Oenbrink)、"シクロデカトリエン、シクロオクタジエン、及び4-ビニルシクロへキセン"、ウルマン工業薬品辞典(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry)、第6版、(2000)、電子版、ワイリー(Wiley VCH)に記載のように、例えば純粋な1,3-ブタジエンの三量化によって合成される。例えば、ウェーバ(H. Weber)等、「チタン含有触媒を用いるcis,trans,trans−シクロドデカトリエン−(1.5.9)の合成」、Liebigs Ann. Chem. 681 (1965)p.10-20に記載のように、例えばチーグラー触媒存在下での三量化の場合、この工程により、cis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン、cis,cis,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン及びall−trans−1,5,9−シクロドデカトリエンが生成する。本発明の方法により、すべてのシクロドデカトリエンを、個別にあるいは二種以上の混合物として亜酸化窒素を用いて酸化することができるが、上に述べたように、本発明の方法によりcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンを変換することが特に好ましい。このcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンは、より好ましくは上述のウェーバらの論文にしたがって合成される。なお、その本件に関する開示内容は本出願に援用される。
したがって、本発明はまた、反応物として使用するシクロドデカトリエンがチタン触媒を用いて1,3−ブタジエンを三量化したものである上述の方法に関する。
原理的にはいかなる適当なチタン触媒をも三量化に用いることができるが、上述のウェーバらの論文に記載の四塩化チタン/六塩化エチルアルミニウム触媒を用いることが特に好ましい。
三量化に用いるブタジエンは、ガスクロマトグラフィー純度として少なくとも99.6%、より好ましくは少なくとも99.65%の純度を持つことが特に好ましい。
1,3−ブタジエンは、1,2−ブタジエン及び2−ブチンを、検出限度以下の量で含有するが好ましい。
この好ましい三量化により、一般的には、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも96重量%、より好ましくは少なくとも97重量%のcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンを含む混合物が得られる。例えば特に好ましくは、この混合物は、約98重量%のcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンを含んでいる。
このcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン含有混合物は、そのままC工程における亜酸化窒素との反応に使用してよい。また、少なくとも一つの適当な方法により、例えば好ましくは少なくとも1回の蒸留によりこのcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンを混合物から除去してから、亜酸化窒素との反応に用いてもよい。好ましくは、本発明の方法においてこのような精製を行わない。
三量化の詳細については、ウェーバらの論文を参照されたい。
C工程におけるシクロドデカトリエンと亜酸化窒素との本発明の反応により、一般的には、シクロドデカジエノン、好ましくはシクロドデカ−4,8−ジエノンを含み、更に未反応の反応物や少なくとも一つの副生物を含むあるいは含まない混合物が得られる。後の利用及び/又は処理によっては、この混合物中から、シクロドデカジエノン、好ましくはシクロドデカ−4,8−ジエノンを除いてもよい。もし混合物がシクロドデカジエノン及び例えばシクロドデセンジオンなどのジケトンを含む場合、シクロドデカジエノン、好ましくはシクロドデカ−4,8−ジエノンを簡単に除去でき、次の工程、例えばシクロドデセノンの部分水素化又は好ましくはシクロドデセノンの水素化に供することができる。
この混合物より、シクロドデカ−4,8−ジエノンを少なくとも一つの適当な方法により除去してもよい。好ましくは蒸留による除去である。この蒸留は、一般的には、0.001〜2bar、好ましくは0.01〜1bar、特に好ましくは0.03〜0.5barの範囲の圧力で実施される。
シクロドデカトリエンと亜酸化窒素の反応で得られる本発明のシクロドデカジエノンを、他の一種以上のプロセスに供してもよい。例えば、シクロドデカジエノンのケト基を化学反応させてもよい。また、少なくとも一つのC−C二重結合を化学反応させてもよい。例えば好ましくは、少なくとも一つのC−C二重結合、好ましくは両方のC−C二重結合を水素化させてもよい。
本発明の亜酸化窒素との反応によりどのようなシクロドデカジエノンの位置異性体が得られたか、又はどのような少なくとも二種のシクロドデカジエノン位置異性体の混合物が得られたかに関係なく、この位置異性体又は位置異性体混合物を、水素添加してシクロドデカノンに転換することが好ましい。
本発明の方法の特に好ましい実施様態によれば、シクロドデカ−4,8−ジエノンを水素添加して、シクロドデカノンとする。
したがって、本発明はまた、C工程においてシクロドデカトリエンと亜酸化窒素の反応で得られるシクロドデカジエノンをシクロドデカノンに水素添加する上述の方法に関する。
シクロドデカジエノン及び特に好ましくはシクロドデカ−4,8−ジエノンの水素化にいずれか適当な触媒を用いてもよい。特に、少なくとも一つの均一触媒、少なくとも一つの不均一触媒、又は少なくとも一つの均一触媒と少なくとも一つの不均一触媒の組み合わせを用いることができる。
好ましくは、使用可能な触媒は、元素の周期律表の第7、8、9、10又は11族の遷移金属の少なくとも一つを含んでいる。より好ましくは、本発明で使用可能な触媒は、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu及びAuからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含有している。特に好ましいのは、本発明で使用する触媒が、Fe、Ni、Pd、Pt及びCuからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含有している。特に好ましくは、本発明で使用する触媒がPdを含有している。
本発明に係る方法に関して使用される均一触媒は、8、9又は10族遷移元素中の1つの元素を含有している。より好ましくは、この均一触媒はRu、Rh、Ir及び/又はNiを含有している。この例としては、RhCl(TTP)3とRu44(CO)12が挙げられる。特に好ましくは、これら均一触媒がRuを含有している。例えば、均一触媒として、US5,180,870、US5,321,176、US5,177,278、US3,804,914、US5,210,349、US5,128,296、USB316,917及びファーヘイ(D. R. Fahey), J. Org. Chem. 38 (1973) p. 80-87に記載のもの挙げられる。これらの本件に関する開示内容は本出願に援用される。このような触媒として、例えば(TPP)2(CO)3Ru、[Ru(CO)43、(TPP)2Ru(CO)2Cl2、(TPP)3(CO)RuH2、(TPP)2(CO)2RuH2、(TPP)2(CO)2RuClHや(TPP)3(CO)RuCl2が挙げられる。
本発明に係る方法において、少なくとも一つの不均一触媒を用いることが特に好ましく、その場合、上述の金属の少なくとも一つが、そのまま金属として、ラネー触媒の形で及び/又は通常の担体の上に塗布した上で使用される。好ましい担体としては、例えば活性炭又はアルミナ類、シリカ類、チタニア類、ジルコニア類等の酸化物が挙げられる。他の言及にたる担体としては、ベントナイト類が挙げられる。二種以上の金属を使用する場合、それらは別々でもよく、合金であってもよい。この場合、少なくとも一つの金属をそのまま、少なくとも一つの金属をラネー触媒の形態で、少なくとも一つの金属をそのままかつ少なくとも一つの他の金属を少なくとも一つの担体に塗布して、少なくとも一つの金属をラネー触媒の形態でかつ少なくとも一つの金属を少なくとも一つの担体に塗布して、あるいは少なくとも一つの金属をそのままかつ少なくとも一つの他の金属をラネー触媒の形態で更に少なくとももう一つの金属を少なくとも一つの担体に塗布して、使用する。
本発明に係る方法で用いる触媒は、例えば、いわゆる沈殿触媒であってもよい。このような触媒は、例えば、触媒活性をもつ成分の塩溶液、特にその硝酸塩及び/又は酢酸塩の溶液に、例えば、アルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物及び/又は炭酸物溶液(例えば、難溶性水酸化物、水和酸化物、塩基性塩類又は炭酸塩類)の溶液を添加して、触媒活性成分を沈殿させ、次いで生成する沈殿を乾燥させ、一般的には300〜700℃、特に400〜600℃で焼結して該当する酸化物、混合酸化物及び/又は混合価数酸化物とし、一般的には50〜700℃、特に100〜400℃の範囲の温度で水素又は水素含有ガスで処理して目的の金属及び/又は低酸化状態の酸化物化合物群とし、実際に触媒活性のある形として合成される。還元は、通常水の発生がなくなるまで行われる。担体を含む沈殿触媒を製造するにあたり、目的の担体の存在下で触媒活性成分を沈殿させてもよい。好ましくは、この触媒活性成分を、目的の塩の溶液から担体とともに沈殿させる。
このように担体上に析出された水素化を触媒する金属類又は金属化合物群を含有する本発明に係る方法の水素化触媒を用いることが好ましい。
触媒活性成分と担体とからなる上述の沈殿触媒以外に、一般的には、本発明に係る方法に適した担体として、水素化触媒成分が担体に含浸されたものが挙げられる。
触媒活性金属を担体に塗布する方法は特に重要ではなく、いろいろな方法で実施可能である。この触媒活性金属類は、目的の酸化物の塩類又は酸化物の溶液又は懸濁液を含浸、乾燥、次いでその金属化合物群の目的とする金属類又は低酸化状態の化合物群への還元、好ましくは水素又は複合水素化物による還元により、担体に塗布される。他の触媒活性金属類をこれらの担体に塗布する方法としては、硝酸塩などの熱的に容易に分解する塩又は触媒活性金属のカルルボニル錯体又は水素化錯体などの熱的に容易に分解する錯体の溶液を担体に含浸させ、この含浸担体を300〜600℃の範囲の温度で加熱して吸収した金属化合物を分解させる方法が挙げられる。この熱分解は、好ましくは保護ガス雰囲気下で行われる。適当な保護ガスとしては、例えば窒素、二酸化炭素、水素又は希ガスが挙げられる。また、この触媒活性金属類を、触媒担体上に蒸着又フレーム溶射により塗布してもよい。触媒活性金属の担持触媒中の含有量は、原理的には本発明の方法の方法を実施するにあたり重要ではない。一般に、担持触媒中の触媒活性金属の含有量が高くなると、低い場合に比べて、時空間転換率がより高くなる。一般に、触媒の全体量と比べて触媒活性金属の含有量が0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜40重量%である担持触媒が使用される。この含有量データは、担体を含む全体の触媒当たりの値であるが、異なる担体はそれに特異的に大きく異なる重量や表面積を持つため、含有量がこれより低く又は高くても、本発明の方法の結果に悪影響を及ぼさないこともありうる。特定の担体に複数の触媒活性金属を塗布してもよい。また、触媒活性物質を、例えばDE−A2519817又はEP0285420A1に記載の方法で担体に塗布してもよい。上記文献に記載の触媒においては、これらの触媒活性金属が、例えば上記金属の塩又は錯体の含浸により熱処理及び/又は還元されて合金状態で存在する。
これら沈殿触媒及び担持触媒はいずれも、そこに存在する水素により反応が始まるときに活性化されてもよい。しかし好ましくは、使用前に、個別にこれらの触媒を活性化することが好ましい。
使用される担体としては、一般的には、酸化アルミニウム及び酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、粘土鉱物、例えばモンモリロナイト、ケイ酸塩、例えばケイ酸マグネシウム又はケイ酸アルミニウム、ZSM−5又はZSM−10などのゼオライト、活性炭などが挙げられる。好ましい担体は、アルミナ、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム及び活性炭である。異なる担体の混合物も本発明の方法において使用する触媒の担体として当然有効である。
上記の少なくとも一つの不均一触媒は、例えば懸濁触媒の状態及び/又は固定床触媒の状態で使用できる。
例えば本発明に係る方法において、少なくとも一つの懸濁触媒を用いて水素化する場合、好ましくは、少なくとも一つの管状反応器、少なくとも一つの気泡塔、又は少なくとも一つの充填型気泡塔、二種以上の同種又は異種の反応器の組み合わせで水素化を行うことが好ましい。
本発明では、この「異種の反応器」とは、機種の異なる反応器、及びサイズ、例えば容積及び/又は断面及び/又は反応器の水素化条件が異なる同種の反応器の両方を意味する。
本発明に係る方法において、例えば少なくとも一つの固定床触媒で水素化を行う場合、少なくとも一つの円管形状の反応器を用いる、例えば液相方式又はトリクル(細流)方式の単一反応器として作動する少なくとも一つの軸型反応器及び/又は少なくとも一つの管束反応器を用いることが好ましい。二種以上の反応器を使用する場合は、少なくとも一つを液相方式で、少なくとも一つをトリクル方式で運転してもよい。
本発明の方法のある好ましい実施様態によれば、水素化に用いた少なくとも一つの触媒を水素化反応生成物混合物から分離する。この分離は、使用した触媒に応じて適当な工程で実施される。
水素化に用いた触媒が例えば懸濁触媒のような不均一触媒の場合は、本発明においては、少なくとも一つのろ過工程で分離することが好ましい。このように分離された触媒は、水素化に再利用してもよく、少なくとも一つの他の工程に供給してもよい。また、触媒を処理して、例えば触媒中に存在する金属を回収してもよい。
水素化に用いた触媒が例えば均一触媒である場合は、本発明においては、少なくとも一つの蒸留工程でこれを除去することが好ましい。この蒸留では一本以上の蒸留塔を用いることができる。このように分離した触媒は、水素化に再利用してもよく、少なくともいずれか1つの他の工程に供給してもよい。また、触媒を処理して、例えば触媒中に存在する金属を回収してもよい。
いずれかの工程で使用前に、例えば本発明の方法で再利用する前に、必要なら少なくとも一つの適当な工程で、上記少なくとも一つの均一触媒又は少なくとも一つの不均一触媒を再生してもよい。
本発明の反応器においては、排熱は内部より例えば内蔵の冷却コイルにより、及び/又は外部より例えば少なくとも一つの熱交換器により行われる。例えば好ましくは、水素化に少なくとも一つの管状の反応器が用いられる場合、好ましくは、外部循環水を用いて熱を除去しながら反応を実施する。
本発明の方法のある好ましい実施様態によれば、水素化を連続的に行う場合、より好ましくは少なくとも二種の反応器を用い、より好ましくは少なくとも二種の円管形状の反応器を用い、より好ましくは少なくとも二種の直列に連結された円管形状の反応器を用い、また特に好ましくは二種の直列に連結された円管形状の反応器を用いる。各々の反応器の水素化条件は同一であっても異なっていてもよいが、上述の範囲内である。
少なくとも一つの分散触媒上で水素化を行う場合、滞留時間は一般的には0.5〜50時間、好ましくは1〜30時間、より好ましくは1.5〜25時間の範囲である。本発明によれば、反応器が一つであろうが少なくとも二種の反応器が直列に連結されていようが重要ではない。これらすべての実施様態において、総滞留時間は上記の範囲内である。
本発明の方法によれば、連続方式で少なくとも一つの固定床触媒上で水素化を行う場合、滞留時間は一般的には0.1〜20時間、好ましくは0.2〜15時間、より好ましくは0.3〜10時間の範囲である。本発明によれば、反応器が一つであろうが少なくとも二種の反応器が直列に連結されていようが重要ではない。というのも、これらすべての実施様態において、総滞留時間は上記の範囲内であるからである。
第1の管状の反応器から得られる混合物は、シクロドデカノンを、C12成分混合物総量当たり好ましくは50〜99.9重量%、より好ましくは70〜99.5重量%の量で含有する。適当な少なくとも一つの適当な中間処理の後に、この混合物は第二の円管形状反応器に供給される。第二の管状反応器から得られる混合物は、シクロドデカノンを少なくとも99.5%、より好ましくは99.9%、特に好ましくは99.99重量%の量で含有している。
本発明の水素化における水素圧は、一般的には1〜325bar、好ましくは1.5〜200bar、より好ましくは2〜100bar、特に好ましくは2.5〜50barの範囲である。
水素化温度は、一般的には0〜250℃、好ましくは20〜200℃、より好ましくは30〜180℃、特に好ましくは40〜170℃の範囲である。
したがって、本発明はまた、水素化が水素化触媒の存在下、好ましくは不均一水素化触媒の存在下、0〜250℃の範囲の温度でかつ1〜325barの範囲の圧力で実施される上述の方法に関する。
本発明の水素化において、少なくとも一つの適当な溶媒又は希釈剤を使用してもよい。これに適する物質としては、シクロドデカノンやシクロドデカンがあげられるが、水素化条件下で水素化されたり他の方法で転換されたりしないなら、原理的にはいずれの溶媒及び希釈剤も使用可能である。
本発明の方法のある好ましい実施様態においては、溶媒又は希釈剤を添加せずに水素化を行ってもよい。
本発明の水素化により、シクロドデカノンに加えて、場合によっては少なくとも一つの副生成物及び/又は少なくとも一つの未反応の反応物及び/又は少なくとも一つの水素化に用いられた他の化合物例えば反応物を含む混合物を含む混合物が一般に得られる。この混合物より、少なくとも一つの適当な方法で、例えば好ましくは少なくとも一回の蒸留により、シクロドデカノンを除去してもよい。
上述の本発明に係るシクロドデカノンの製造方法の一つの利点はシクロドデカノン及びシクロドデカジエノンが少ない工程数でかつ高い選択性で得られることである。他の利点は、第一に、好ましくは工業用プラントからの亜酸化窒素含有オフガスが本発明の方法の反応物として利用でき、低コストで容易に入手できること、また第二に、本発明に係る方法を既存の統合プラントシステムと一体化でき、その結果、反応物の輸送を最小限とでき、この亜硝酸窒素含有オフガス、つまり潜在的な温室効果ガスを、特別な処理にまわす必要がなく、むしろ有価生産物に直接回すことができることである。
本発明において好ましく得られる、場合により生成物ガス混合物から分離されたシクロドデカノンは、例えば特に好ましくは、ドデカン二酸及び/又はラウロラクタム及び/又はこれら由来のポリマー、例えばナイロン12やナイロン6,12などのポリアミド類の製造に使用される。
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例
実施例1
テトラデカンでの一段吸収
表1.1に示した組成の反応剤ガス(151mol/h)を25絶対気圧まで圧縮し、30℃に冷却した後、吸収カラム(Φ=8cm、高さ=400cm、充填材=クーニロンボパック)に供給した。塔頂より、工業用テトラデカン(脱離段階からの)を96kg/hの速度で供給した。塔頂から排出されるオフガスは廃棄した。吸収塔の塔底の吸収溶媒は、フラッシュ容器(Φ=20cm、高さ=50cm、30℃で運転)中で1絶対気圧まで減圧した。この溶媒は、吸収段階までポンプで返送した。吸収された生成物ガス(12.9mol/h)は分析後、廃棄した。その組成も、表1.1に示した。
Figure 2008513344
2Oの見かけ収率(100×(生成物ガス中のN2Oのモル数)/(反応剤ガス中のN2Oモル数))は66%である。
実施例2
テトラデカンによる二段吸収
第1の脱離段階から排出される表1.2に示した組成の生成物ガス混合物(12.9mol/h)を25絶対気圧まで圧縮し、30℃まで冷却し、第二吸収カラム(Φ=5cm、高さ=400cm、充填材=クーニロンボパック)の最下段に供給したこと以外は同様にして、実施例1の操作を繰り返した。塔頂より工業用テトラデカン(第二脱離段階より)を12kg/hの速度で供給した。塔頂より排出される第二吸収塔のオフガスは廃棄した。第二吸収塔塔底の吸収溶媒は、第二フラッシュ容器(Φ=10cm、高さ=40cm、30℃で運転)にて、1絶対気圧まで減圧した。この溶媒はポンプにて第二の吸収段階に返送した。次いで、第二塔からの脱着された生成物ガス(6.8mol/h)を分析した。この組成も、表1.2に示した。
Figure 2008513344
2Oの見かけ収率(100×(第二段階生成物ガス中のN2Oのモル数)/(第一段階反応剤ガス中のN2Oのモル数))は63%である。
実施例3
テトラデカンでの二段吸収と、続くスクラビング
第二の脱離段階から排出される表1.3に記載の組成を持つ生成物ガス(6.8mol/h)をスクラビングカラム(Φ:5cm、高さ:300cm、充填材:10mmポールリング)に供した以外は、実施例2を繰り返した。塔頂よりNaHCO3水溶液(濃度:40g/kg)を20kg/hの速度で投入した。次いで、スクラビングカラム塔頂のガスを分析した。この組成も、表1.3に示す。
Figure 2008513344
2Oの見かけ収率(100×(スクラビングカラムから排出される生成物ガス中のN2Oのモル数)/(第一ステージの反応剤ガス中のN2Oのモル数))は62%である。
実施例4
テトラデカンでの二段吸収と、続くスクラビング及び液化
スクラビングカラムから排出される表1.4に示す組成を持つ生成物ガス(6.7mol/h)を徐々に25絶対気圧まで加圧し、−30℃まで冷却したこと以外同様にして、実施例3の操作を繰り返した。次いで凝縮した生成物(6.6mol/h)を分析した。この組成も表1.4に示した。
Figure 2008513344
2Oの見かけ収率(100×(液化ガス中のN2Oのモル数)/(第一ステージ反応剤ガス中のN2Oのモル数))は61%である。
実施例5
トロベンゼンでの二段吸収
表1.5に示す組成の反応剤ガス(150mol/h)を25barまで圧縮し、30℃まで冷却した後、第一吸収カラム(Φ=8cm、高さ=400cm、充填材=クーニロンボパック)の最下段に供給した。塔頂より、ニトロベンゼン(第1脱離器ステージより)を63kg/hの速度で供給した。第一吸収塔塔頂から排出されるオフガスは廃棄した。第一吸収塔塔底の吸収溶媒は、フラッシュ容器(Φ=20cm、高さ=50cm、30℃で運転)中で1barまで減圧した。この溶媒をポンプで第1吸収器ステージに返送した。第1脱離器ステージからの脱着された生成物ガスは、25barまで加圧し、30℃まで冷却した後、第二吸収カラム(Φ=5cm、高さ=400cm、充填材=クーニロンボパック)の最下段に供給した。塔頂より、ニトロベンゼン(第二脱離器段階より)を5kg/hの速度で供給した。第二吸収塔塔頂から排出されるオフガスは廃棄した。第二吸収塔塔底の吸収溶媒は、第二フラッシュ容器(Φ=10cm、高さ=40cm、30℃で運転)内で1barまで圧縮した。この溶媒は、ポンプで第二の吸収器段階に返送した。次いで、第二カラムから脱着した生成物(8.4mol/h)を分析した。この組成も表1.5に示した。
Figure 2008513344
2Oの見かけ収率(100×(第二ステージ生成物ガス中のN2Oのモル数)/(第一ステージ反応剤ガス中のN2Oのモル数))は56%である。
実施例6
スクラビング、ニトロベンゼンでの二段吸収、炭酸水素塩スクラビング及び液化
表1.6に示す組成をもつ反応剤ガス(210mol/h)を4barまで圧縮し、40℃のスクラビングカラム(Φ=8cm、高さ=400cm、充填材=クーニロンボパック)に水を3.3kg/hの速度で供給しながら洗浄した。得られた希硝酸は再利用に回した。スクラビング後のガスは25barまで圧縮し、30℃まで冷却した後、第一吸収カラム(Φ=8cm、高さ=400cm、充填材=クーニロンボパック)の最下段に供給した。塔頂より、工業用ニトロベンゼン(第1脱離器ステージより)を73kg/hの速度で供給した。第一吸収塔塔頂より排出されるオフガスは廃棄した。第一吸収塔塔底の吸収溶媒は、フラッシュ容器(Φ=20cm、高さ=50cm、30℃で運転)内で1barまで減圧した。次いで、この溶媒をポンプにて第1吸収器ステージに返送した。第1脱離器ステージからの脱着された生成物ガスは25barまで圧縮し、30℃まで冷却した後、第二吸収カラム(Φ=5cm、高さ=400cm、充填材=クーニロンボパック)の最下段に供給した。塔頂より、工業用ニトロベンゼン(第二脱離器ステージより)を16kg/hの速度で供給した。第二吸収塔塔頂より排出されるオフガスは廃棄した。第二吸収塔塔底の吸収溶媒は、第二フラッシュ容器(Φ=10cm、高さ=40cm、30℃で運転)内にて1barまで減圧した。この溶媒をポンプで、第二吸収器ステージに返送した。第二脱離器ステージからの脱着された生成物ガスは第二スクラビングカラム(Φ=0.5cm、高さ=300cm、充填材=10mmポールリング)の最下段に供給した。塔頂より、NaHCO3水溶液(濃度:40a/ka)を24kg/hの速度で供給した。第二スクラビングカラム塔頂のガス(34.2mol/h)は次いで、25barまで圧縮し、−30℃に冷却した後、この液体生成物を分析した。この組成も表1.6に示す。
Figure 2008513344
2Oの見かけ収率(100×(液化ガス中のN2Oのモル数)/(第一ステージ反応剤ガス中のN2Oのモル数))は69%である。
実施例7
適当な貯蔵容器より、2000g/hのcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン(うち、200g/hは新品、1800g/hは回収品)及び73g/hのN2Oが93.5重量%である混合液を、スタティックミキサーを用いて、円管形状の反応器 (ジャケット付保温管、巻き管、内径=6mm、長さ=36m)に供給した。ジャケットに熱媒を循環させることで、この反応管を280℃に保温した。反応器内圧力は100barにコントロールした。反応ゾーンを通過した反応混合物は、二台のフラッシュ容器中で、まず3barに、次いで60mbarに減圧して、生成したN2、未反応のN2O及びN2O中に存在する不活性成分(主にN2及びCO2)を除いた。
次いで、この液体生成物を、少なくとも7理論段数を持つカラム(Tbottom=170℃、Ttop=130℃)中で蒸留した。平均1800g/hの速度で未反応のcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエンが塔頂から得られ、これをリサイクルして反応に用いた。主としてシクロドデカ−4,8−ジエノンからなる塔底液は、少なくとも12理論段数を持つもう一つの蒸留塔に送られ、そこで45mbarで蒸留した。ここでは、シクロドデカ−4,8−ジエノンが、異性体混合物(Tbottom:193℃、Ttop:160℃)として、塔頂から留出した。
平均して、209g/hのシクロドデカ−4,8−ジエノンが得られた。シクロドデカ−4,8−ジエノンの選択性は95%(転換されたcis,trans,trans−1,5,9−シクロドデカトリエン当たり)であった。

Claims (15)

  1. 少なくとも下記の工程を含むことを特徴とする亜酸化窒素を含むガス混合物の精製方法:
    A1工程:ガス混合物を有機溶媒中で吸収する工程、
    A2工程:吸収後の有機溶媒中からのガス混合物を脱離する工程、
    B工程:ガス混合物中の窒素酸化物NOXの含有量をガス混合物全量当たり最大0.5容量%に調整する工程。
  2. 前記亜酸化窒素を含むガス混合物がアジピン酸プラント及び/又はドデカン二酸プラント及び/又はヒドロキシルアミンプラント及び/又はアジピン酸プラントからのオフガスで運転される硝酸プラント及び/又はドデカン二酸プラント及び/又はヒドロキシルアミンプラントのオフガスである請求項1に記載の方法、
  3. 前記有機溶媒がトルエン、ニトロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、テトラデカン、及びジメチルフタレートからなる群から選ばれる前記請求項のいずれかに記載の方法。
  4. 前記A1工程とA2工程が、隔壁カラムで実施される前記請求項のいずれかに記載の方法。
  5. 前記方法が複数のA1工程とA2工程からなる前記請求項のいずれかに記載の方法。
  6. 前記B工程が窒素酸化物を酸性溶液又はアルカリ性溶液に吸収する工程である前記請求項のいずれかに記載の方法。
  7. A1工程とA2工程がB工程の前に実施される前記請求項のいずれかに記載の方法。
  8. B工程がA1工程とA2工程の前に実施される請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  9. 得られるガス混合物が液化される前記請求項のいずれかに記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法により得られたガス混合物をオレフィン酸化剤として使用する方法。
  11. 下記の工程を含むことを特徴とするケトンの製造方法:
    A1工程:ガス混合物を有機溶媒中で吸収する工程、
    A2工程:吸収後の有機溶媒中からのガス混合物を脱離する工程、
    B工程:ガス混合物中の窒素酸化物NOXの含有量をガス混合物全量当たり最大0.5容量%に調整する工程、
    C工程:ガス混合物と少なくとも一種のオレフィンとを接触する工程。
  12. A1工程とA2工程がB工程の前に実施される請求項11記載の方法。
  13. B工程がA1工程とA2工程の前に実施される請求項11記載の方法。
  14. C工程で使用される前記ガス混合物が液化される請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記オレフィンがシクロペンテン、シクロドデセン、及び1,5,9−シクロドデカトリエンから選ばれる請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
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