JP2008291824A - オイルポンプ - Google Patents

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壽 小野
Akishi Numanami
晃志 沼波
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Abstract

【課題】吐出量が可変であり且つコンパクトな構成のオイルポンプを提供する。
【解決手段】インナーロータ2の中心軸に沿って延設された従動ギア4と、従動ギア4と噛み合い、且つ噛み合い位置における両ギア間の偏心量が両ロータ間の偏心量eと同一となるように、アウターロータ3の中心軸Y上にその中心を有する駆動ギア5と、駆動ギア5の中心軸Yに沿って延設された駆動シャフト6とが備えられると共に、インナーロータ2の中心に凹部2aが形成され、凹部2aに嵌入する軸部7aを有するカム7と、カム7を介してインナーロータ2を駆動ギア5の回転方向とは逆方向に付勢する付勢手段8とが備えられており、インナーロータ2の中心位置が、セル11からの流体圧と駆動シャフト6からの駆動トルクに依存する力と付勢手段8からの付勢力との関係に基づいて、偏心量eを半径とした円の円周上に沿って移動可能に構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、インナーロータ及びアウターロータの歯面間に形成されるセルの容積変化によって流体を吸入及び吐出して、流体を搬送するオイルポンプに関する。
外歯が形成されたインナーロータと、このインナーロータの外歯と噛み合う内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポート及び流体が吐出される吐出ポートが形成されたハウジングとを備え、両ロータが噛み合って回転するとき、両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化によって流体を吸入及び吐出して流体を搬送するオイルポンプが従来から知られている。また、この種のオイルポンプと併せて、その吐出ポートの圧力が所定圧になった場合にリリーフ通路を介して吸入ポートにオイルを戻すリリーフバルブが用いられているが、このリリーフバルブには一定の破損限界圧力(例えば1000kPa以下)が設けられている。
ところで、低温時には、オイルの粘性が上昇することにより、オイルの流れが悪くなり、その結果生じるリリーフバルブのリリーフ能力の低下と、オイルポンプから次々に供給されるオイルにより、オイルポンプの吐出ポート側の油圧が高くなるという事態が生じる。通常は、この油圧上昇がリリーフバルブの破損限界圧力以下となるように設計が行われているが、オイルポンプからは必要以上のオイルが供給される一方、リリーフバルブでは一旦供給されたオイルがリリーフされているので、全体としては無駄な仕事を行っていることになる。
この場合、オイルポンプの吐出量を減少させることにより、かかる無駄な仕事を低減させることが考えられるが、このような吐出量可変のオイルポンプとして、例えば特許文献1に記載のポンプが知られている。このポンプは、内部ロータと外部ロータとから成るギアリング作動セット、流体供給のための低圧ポートと流体放出のための高圧ポートとが形成されたケーシングなどを備えており、このギアリング作動セットの偏心軸の角度がケーシングに対して可変に構成されている。具体的には、ケーシングに対して変動し得る調整リングにより外部ロータが支持されており、この調整リングを変動させることにより、当該偏心軸の角度を変えている。そして、この偏心軸の角度を変化させることにより、吐出量を変えることができる。
特開平10−169571号公報
しかしながら、上記特許文献1のようなオイルポンプでは、吐出量を変えるためにアウターロータを動かす必要があり、そのため、調整リングやこの調整リングを変動させるための駆動機構などが必要となるなど、装置が複雑且つ大型化してしまうという問題がある。
本発明は、かかる問題点に着目して成されたものであり、その目的は、吐出量が可変であり、且つコンパクトな構成のオイルポンプを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明においては、外歯が形成されたインナーロータと、前記インナーロータの外歯と噛み合う内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポート及び流体が吐出される吐出ポートが形成されたハウジングとを備え、両ロータが噛み合って回転するとき、前記両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化によって流体を吸入及び吐出して流体を搬送するオイルポンプにおいて、
前記インナーロータの一方の面に中心軸に沿って延設された従動ギアと、前記従動ギアと噛み合い、且つ噛み合い位置における両ギア間の偏心量が前記両ロータ間の偏心量と同一となるように、前記アウターロータの中心軸上にその中心を有する駆動ギアと、前記駆動ギアの中心軸に沿って延設された駆動シャフトとが備えられると共に、前記インナーロータの他方の面の中心に凹部又は凸部が形成され、前記凹部又は前記凸部に嵌入する軸部又は軸受部を有するカムと、前記カムを介して前記インナーロータを前記駆動ギアの回転方向とは逆方向に付勢する付勢手段とが備えられており、前記インナーロータの中心位置が、前記セルからの流体圧と前記駆動シャフトからの駆動トルクに依存する力と前記付勢手段からの付勢力との関係に基づいて、前記偏心量を半径とした円の円周上に沿って移動可能に構成されている。
すなわち、インナーロータの中心位置が、セルからの流体圧と駆動シャフトからの駆動トルクに依存する力と付勢手段からの付勢力との関係に基づいて、アウターロータの中心をその中心とし、且つロータ偏心量を半径とした円の円周上に沿って移動可能に構成されているので、この三つの力のバランスが取れた位置に自動的に移動することができる。そして、このインナーロータの中心位置が移動することにより、ポートに対するセルの形状が変更され、その結果、吐出量を変えることができる。
例えば、初期状態において、この三つの力のバランスが取れた位置として最大吐出量が得られる位置を設定しておけば、低温時においては、オイルの粘性上昇により、吐出ポート側における油圧や、駆動トルクに依存する力(インナーロータの中心を駆動ギアの回転方向に動かす力)が大きくなり、インナーロータの中心位置がその初期位置から移動することになる。すなわち、最大吐出量が得られる初期位置からインナーロータの中心位置が移動するので、その結果吐出量が減少することになる。これにより、吐出ポート側におけるオイルの過剰供給を低減し、吐出ポート側の油圧を低下させることができる。
このように上記構成によれば、インナーロータの中心位置の移動は、流体圧と駆動トルクに依存する力と付勢力とのバランスにより自動的に行われるので、移動のための駆動・制御手段などを別途設ける必要はなく、コンパクトな構成とすることができる。
また上記構成によれば、従動ギアと駆動ギアのギア比を変更することにより、吐出量を調整することが容易であるという利点も有している。特にギア比を調整して従動ギア、すなわちインナーロータの回転数を大きくすれば、ロータを小さくしても単位時間当たりの吐出量を一定に保つことができる。これにより更なるコンパクト化を図ることもできる。
また、騒音を発生させる脈動の原因となるキャビテーションを抑制するため、本発明に係るオイルポンプの好適な実施形態の一つでは、前記インナーロータの中心位置が前記流体の吐出量が最大となる位置において、前記吸入ポートと前記吐出ポートとの間に設けられた仕切部により封止されたセルが形成され、前記インナーロータの中心位置と前記アウターロータの中心位置とを結ぶ直線で分けられた各側において、前記インナーロータの外歯の少なくとも1つが前記アウターロータと離間している。
前述した付勢手段としては種々の形態を用いることができるが、本発明に係るオイルポンプの好適な実施形態の一つでは、前記付勢手段は、前記インナーロータの中心軸方向に配置されたトーションスプリングで構成されている。
すなわち、このトーションスプリングのねじり弾性力により、カムを介してインナーロータを駆動ギアの回転方向とは逆方向に付勢することができる。また、トーションスプリングの長さ方向の弾性力をカムの軸部方向に与えることにより、インナーロータの中心位置を保持する力として用いることもできる。
また、本発明に係るオイルポンプの好適な別の実施形態の一つでは、前記カムに前記インナーロータの中心軸方向の突起部が延設され、前記付勢手段は、前記インナーロータの中心軸方向と直交する方向に配置され、前記突起部を付勢するように構成されている。
かかる構成によれば、付勢手段をインナーロータの中心軸方向に直交する方向、すなわちロータ面に沿った方向に配置できるので、前述のインナーロータの中心軸方向、すなわちオイルポンプの厚さ方向にトーションスプリングを配置する場合と比べ、オイルポンプの厚さを抑制することができ、よりコンパクトな構成とすることができる。
〔オイルポンプの全体構成〕
以下、本発明に係るオイルポンプの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、オイルポンプOPの一部の構成部材の分解斜視図が示されている。
また、図2には、オイルポンプOPの側面断面図が、図3には図2のIII−IIIの位置における正面断面図が示されている。
図2に示すように、このオイルポンプOPは、前部ハウジング1A及び後部ハウジング1Bにより構成されるハウジング1内に、インナーロータ2やアウターロータ3などを収容して構成されている。このため、前部ハウジング1Aには、後述するカム7やトーションスプリング8を収容する円筒形状の空間が形成されている。また、後部ハウジング1Bには、インナーロータ2とこれに噛み合うアウターロータ3や、従動ギア4とこれに噛み合う駆動ギア5、駆動シャフト6を収容する径が夫々異なる円筒形状の空間が形成されている。さらに、この前部ハウジング1A及び後部ハウジング1Bには、インナーロータ2及びアウターロータ3の歯面間により形成されるセル11に沿って、上側に吐出ポート9が、下側に吸込ポート10が扇形状にて形成されている(図3参照)。
図3に示すように、本実施形態においては、インナーロータ2には6枚の外歯が形成され、アウターロータ3にはインナーロータ2と噛み合う7枚の内歯が形成されている。もちろんロータの歯数はこれに限定されるものではなく、また歯形形状としてもサイクロイド型、トロコイド型など種々の形態が可能である。なお、インナーロータ2の中心OXとアウターロータ3の中心OYとは、所定量(ロータ偏心量:e)だけ偏心している。
図1及び図2に示すように、このインナーロータ2には、一方の面(後部ハウジング側の面)に中心軸Xに沿って従動ギア4が延設されている。この従動ギア4の中心は軸X上に位置し、その周囲には8枚の外歯が形成されている。また、インナーロータ2の他方の面(前部ハウジング側の面)の中心には凹部として円形孔2aが形成されており、この円形孔2aにはカム7に形成された円柱形状の軸部7aが嵌入しており、インナーロータ2はこの軸部7aに対して回転可能に支持されている。なお、このインナーロータとカムの嵌合に関しては、インナーロータ2の中心に凸部を形成し、この凸部が嵌入する軸受部をカムに形成しても良い。
このカム7は、円板形状のディスク7bを有しており、このディスク7bの中心と軸部7aの軸芯(軸X)との偏心量はロータ偏心量eと同一である(図2参照)。すなわち、軸部7aの軸芯とインナーロータ2の中心OXとは軸X上に位置し、ディスク7bの中心とアウターロータ3の中心OYとは軸Y上に位置している。なお、ディスク7bの側方には凸部7cが形成されており、この凸部7cに対応して前部ハウジング1Aには溝部1cが形成されている。後に説明するように、この凸部7cと溝部1cとにより、このカム7の回転、すなわちアウターロータ3の中心OYを中心とし、ロータ偏心量eを半径とした円の円周上に沿ったインナーロータ2の中心OXの移動を規制することができる。
また、このカム7の他方の面側にはトーションスプリング8が軸X方向(或いは軸Y方向)に配置されており、このトーションスプリング8はその一端8bがカム7に形成された係止溝7dに、他端8aが前部ハウジング1Aに形成された係止溝1aに係止されている。ここで、このトーションスプリング8のねじり弾性力が駆動ギア5の回転方向(図1及び図3の矢印R方向)とは逆方向に働くように、図1の如くトーションスプリング8の端部8bなどの係止位置が決められている。なお、トーションスプリング8の長さ方向の弾性力は、端部8b及び係止溝7dを介してカム7の軸部7a方向に働いており、インナーロータ2の中心位置OXを保持する力として用いられている。
なお、トーションスプリング8には、これを支持するように円柱形状のスプリング支持部材12が挿入されており、このスプリング支持部材12の他端はカム7のディスク7bに接合されている。このスプリング支持部材12の軸芯もまたY軸上に位置している。
一方、インナーロータ2に延設された従動ギア4側には、この従動ギア4と噛み合う13枚の内歯が形成された駆動ギア5が備えられており、この従動ギア4と駆動ギア5とは、その噛み合い位置における両ギア間のギア偏心量が前述したロータ偏心量eと同一となるように構成されている。すなわち、この駆動ギア5の中心もまたY軸上に位置している。
さらに、駆動ギア5の中心軸に沿って、すなわち軸Yに沿って駆動シャフト6が延設されており、従ってこの駆動シャフト6の軸芯もまたY軸上にある。そして、この駆動シャフト6が回転することにより駆動ギア5及び従動ギア4が回転し、インナーロータ2を回転させることができる。そして、インナーロータ2が回転することにより、アウターロータ3が回転し、これにより両ロータの歯面間に形成されるセル11の容積が変化し、ハウジング1に形成された吸込ポート10からオイルを吸入し、吐出ポート9からオイルを吐出してオイルを搬送することができる。
〔温度変化(粘性変化)によるインナーロータの中心位置の変化〕
次に、オイルの温度変化に伴う粘性変化に起因するインナーロータ2の中心OXの位置(中心位置OX)の変化について詳細に説明する。特に低温の場合、前述したように粘性上昇により吐出ポート9側のオイルが出にくくなり、その結果、吐出ポート側において油圧が上昇する。また、オイルの粘性上昇によりインナーロータ2の回転に対する抵抗力が上昇することにより、駆動シャフト6からの駆動トルク、すなわち駆動ギア5が従動ギア4を回転させようとする力の一部が、インナーロータ2の中心OXをその回転方向(図3の矢印R方向)に動かす力(駆動トルクに依存する力)として働く。このように低温時には、油圧及びこの駆動トルクに依存する力により、インナーロータ2の中心位置OXは回転方向(図3の矢印R方向)に移動しようとする。これに対して、前述したようにトーションスプリング8は、この回転方向(図3の矢印R方向)とは反対方向に付勢力を作用させており、従って、この三つの力のバランスが取れた位置においてインナーロータ2の中心位置OXは安定することになる。
図4にはこのように移動するインナーロータ2の中心位置OXとアウターロータ3の中心位置OYとの関係が示されている。まず、図4(a)は、インナーロータ2の中心位置OXとアウターロータ3の中心位置OYとが水平状態にある場合(偏心角度θが0°の場合)であり、吐出ポート9及び吸込ポート10とセル11の形状との関係から、この位置において最大吐出量を得ることができる。
一方、前述したように低温時において油圧及び駆動トルクに依存する力が増すことにより、インナーロータ2の中心位置OXが移動し、図4(b)から(d)に示すように偏心角度θも変化していく。なお、図4(b)は偏心角度30°の場合、図4(c)は偏心角度60°の場合、図4(d)は偏心角度90°の場合を示している。
なお、このインナーロータ2の中心位置OXの移動の際、カム7はその軸部7aでインナーロータ2の中心に形成された円形孔2aを支持しながら、ディスク7bの中心(アウターロータ3の中心OY)を中心として回転することになる。一方、前述したように、ディスク7bの側方には凸部7cが形成されており、この凸部7cに対応して前部ハウジング1Aには溝部1cが形成されている。このため、インナーロータ2の中心位置OXが図4(a)から(d)までの範囲で、すなわち偏心角度0°から90°までの範囲で移動可能なように、この溝部1cは、1/4円の円周形状(中心角90°の扇形の円周形状)をしており、これに凸部7cが係合している。これにより、偏心角度0°から90°までの範囲にインナーロータ2の中心OXの移動が規制されることになる。
そして、この偏心角度θの変化に伴い、吐出ポート9及び吸込ポート10に対するセル11の形状も変化し、これにより吐出量が減少していく。特に図4(d)の偏心角度90°の場合においては、その吐出量は0となる。すなわち、初期状態(常温時)を偏心角度0°の位置にしておけば、温度変化により粘性が上昇するとインナーロータ2の中心位置OXが回転方向(矢印R方向)に移動し、その結果、吐出量も減少することになる。従って、オイルの吐出量が減少することにより、吐出ポート側の圧力を低下させることができる。
これとは反対に、温度上昇により粘性が減少していくと、油圧及び駆動トルクに依存する力が小さくなって、その結果トーションスプリング8の付勢力(ねじり弾性力)によりインナーロータ2の中心位置OXは、元の場所に戻ろうとする。すなわち、偏心角度θが小さくなり吐出量が増すようになる。その結果、常温或いは高温時においては最大吐出量を得ることができる。
このように、油圧と駆動トルクに依存する力と付勢力との関係に基づいてインナーロータの中心位置を移動させることにより、低温始動時における油圧上昇が抑制されると共に、常温或いは高温時においては最大吐出量を得ることができる。また、インナーロータの中心位置を移動させるための駆動・制御手段などを別途設ける必要はなく、コンパクトな構成とすることができる。
さらに、従動ギアと駆動ギアのギア比を変更することにより、吐出量を調整することも容易である。特にギア比を調整してインナーロータの回転数を大きくすれば、ロータを小さくしても単位時間当たりの吐出量を一定に保つことができ、更なるコンパクト化を図ることもできる。
〔別実施形態1〕
前述した実施形態においては、カムを介してインナーロータを付勢する付勢手段としてトーションスプリングを用いたが、もちろんこれ以外にも種々の形態が可能である。
例えば、図5に示すように、ディスク7bにその中心から偏心してX軸方向に円柱形状の突起部7fを形成し、この突起部7fの軸芯と直交し、且つ駆動ギア5の回転方向と反対方向(図5(b)の矢印Z方向)に付勢力が働くようにスプリング21を配置する。かかる構成によっても、カム7の軸部7aを介してインナーロータ2を駆動ギア5の回転方向(図5(b)の矢印R方向)と反対方向に付勢することができる。ここで、図5(a)において図2と同様の部材については同じ付号を用いている。また、図5(b)は、図5(a)を後部ハウジング1B側から見たときの模式図であり、本実施形態に特に関係する部材のみを示している。
なお、図5に示すように、スプリング21と突起部7fとの間には円柱形状の押圧片22が配置されており、このスプリング21と押圧片22とを収容する収容部20が前部ハウジング1Aに形成されている。また、この収容部20の底面には開口部20aが設けられ、大気開放されている。もちろん押圧片22を省略することも可能である。
そして、この構成によれば、スプリング21をオイルポンプのロータ面に沿った方向に配置できるので、図2のようにオイルポンプの厚さ方向にトーションスプリングを配置する場合と比べ、オイルポンプの厚さを抑制することができ、よりコンパクトな構成とすることができる。
〔別実施形態2〕
前述した実施形態においては油圧と駆動トルクに依存する力と付勢力とのバランスによりインナーロータの中心位置を移動可能に構成しているが、この際、駆動トルクに依存する力は温度変化に対して感度が良いことに着目し、この力の寄与を相対的に大きくするように構成すると良い。
すなわち、前述した別実施形態1の如く付勢手段を構成した場合、前記カムの突起部と前記付勢手段との間に押圧片を備え、前記付勢手段及び前記押圧片を収容する収容部と、前記収容部と前記吐出ポートとの間を連通する連通路とを前記ハウジングに設け、前記収容部内の流体の流体圧により、前記押圧片が前記付勢手段の付勢方向に付勢されるように構成する。
かかる構成によれば、付勢手段と押圧片とを収容する収容部に対して連通路を介して吐出ポートから流体を流入させることができ、これにより、吐出ポート側の流体圧を低減させることができると共に、収容部内の流体の流体圧により付勢手段の付勢力をアシストすることができる。その結果、付勢手段からの付勢力に対抗する、吐出ポート側のセルからの流体圧及び駆動トルクに依存する力の関係において、流体圧の寄与が相対的に小さくなり、駆動トルクに依存する力の寄与を相対的に大きくすることができる。
ここで、駆動トルクに依存する力(インナーロータの中心を駆動ギアの回転方向に動かす力)は、流体の粘性が上昇するほど大きくなり、また、流体圧に比べこの粘性変化に対する感度(力の大きさの変化)も高い。従って、オイルなど温度変化に伴いその粘性が変化する流体においては、この駆動トルクに依存する力は、温度変化に対して感度が高いものとなる。そこで、前述の構成の如く、この駆動トルクに依存する力の寄与を相対的に大きくすることにより、温度変化に対する三つの力のバランスの感度を良くすることができ、その結果、温度変化によるインナーロータの中心位置の移動が早く行われることになる。すなわち、温度変化により吐出量を変化させ易くなる。
また、収容部内の流体の流体圧により、押圧片が付勢手段の付勢方向に付勢されるので、付勢手段の付勢力を小さくすることもでき、付勢手段の小型化を図ることもできる。
このように、この駆動トルクに依存する力の寄与を相対的に大きくすることにより、温度変化に対して三つの力のバランスの感度が良くなり、温度変化によるインナーロータの中心位置の移動が早く行われることになる。すなわち、温度変化により吐出量が変化し易いオイルポンプを構成することができる。
このような形態の一例として、図5において開口部20aを設けて大気開放をする代わりに、収容部20と吐出ポート9との間を連通する連通路18を前部ハウジング1Aに設けた場合を図6に示している。すなわち、図5においては収容部20の底面に開口部20aを設けて大気開放していたが、この実施形態においては収容部20のうち押圧片22で密封されるスプリング側収容部20Sの底部に形成された連通口20bが連通路18と連通しており、これによりスプリング側収容部20Sが吐出ポート9からのオイルで充填されている。
この場合、吐出ポート9にあるオイルの一部がこのスプリング側収容部20Sに流入することにより、吐出ポート9側の油圧を低下させることができる。また、スプリング側収容部20S内のオイルの油圧により、押圧片22がスプリング21の付勢方向(図6の矢印Z方向)に付勢され、付勢力をアシストすることができる。
従って、付勢力に対抗する、吐出ポート9側のセルからの油圧及び駆動トルクに依存する力の関係において、油圧の寄与が相対的に小さくなり、駆動トルクに依存する力の寄与を相対的に大きくすることができる。また、油圧により付勢力がアシストされるので、付勢手段自体の付勢力を小さくすることもでき、付勢手段の小型化を図ることもできる。
前述の例では、スプリング側収容部20Sにオイルを充填する構成としたが、これ以外の形態ももちろん可能である。例えば、図7においては、上面23aの径が下面23bの径よりも大きい押圧片23を用い、この押圧片23の上面23aと下面23bとの間に押圧片側収容部20Pを形成する。そして、この押圧片側収容部20Pに連通口20cを形成し、さらに吐出ポート9と連通する連通路19を前部ハウジング1Aに形成し、これにより押圧片側収容部20Pにオイルを充填させる。
このような構成によっても、吐出ポート9側の油圧を低下させることができる。また、上面23aの径が下面23bの径よりも大きいので、押圧片側収容部20P内のオイルの油圧により、押圧片23がスプリング21の付勢方向(図7の矢印Z方向)に付勢され、付勢力をアシストすることができる。従って、油圧と駆動トルクに依存する力との関係において、後者の寄与を相対的に大きくすることができる。また、油圧により付勢力がアシストされるので、付勢手段自体の付勢力を小さくすることもでき、付勢手段の小型化を図ることもできる。
なお、押圧片側収容部20Pと併せてスプリング側収容部20Sにも吐出ポート9側のオイルを流入させ、押圧片側収容部20P及びスプリング側収容部20Sをオイルで充填させるように構成しても良い。
〔別実施形態3〕
前述した実施形態においては、例えば図4に示すように、吐出ポート9と吸入ポート10の間にハウジング1によって形成された小仕切部13及び大仕切部14のうち、大仕切部14により封止されたセル11が形成されている。このセルはインナーロータの中心位置OXが移動した時においても封止されたままである。一方、インナーロータの中心位置OXの移動により吸入ポート10側のセルの容量は減少するが、かかるセルにより吸入されたオイルが大仕切部14により封止されたセルに流入した場合、この封止されたセルの容量が相対的に大きいことから、キャビテーションが発生して脈動増加による騒音発生の原因となる可能性がある。
そこで、このキャビテーションを抑制するため、この別実施形態においては、図8のような形状のインナーロータ2及びアウターロータ3を用いている。なお、図8(a)から(d)に示す偏心角度θは、夫々図4(a)から(d)の偏心角度に対応させてあり、図8(a)は偏心角度0°で最大吐出量の場合、図8(b)は偏心角度30°の場合、図8(c)は偏心角度60°の場合、図8(d)は偏心角度90°の場合を示している。
図8に示すように、この別実施形態におけるインナーロータ2及ぶアウターロータ3は、インナーロータ2の中心位置OXが最大吐出量となる偏心角度0°の位置において、大仕切部14により封止されたセル11が形成されており、このインナーロータ2の中心位置OXとアウターロータ3の中心位置OYとを結ぶ直線で分けられた各側において、インナーロータ2の外歯の少なくとも1つがアウターロータ3と離間している。すなわち、図4に示すように、インナーロータ2の外歯が全てアウターロータ3と接触している状態とはならない。
このような形状とすることにより、図8(a)の最大吐出量の場合において、インナーロータ2の外歯とアウターロータ3の内歯と大仕切部14とで封止されたセル11が、図8(b)から(d)のようにインナーロータ2の中心位置OXが移動した時には、もはや封止されず、吐出ポート9或いは吸入ポート10側のセルと連通することになる。すなわち、大仕切部14の吐出ポート9側或いは吸入ポート10側の端部上において、インナーロータ2の外歯とアウターロータ3の内歯とが離間することにより、大仕切部14により封止されるセルが形成されず、吐出ポート9或いは吸入ポート10と連通することにより、キャビテーションの発生を抑制することができる。なお、かかる連通は吐出量の減少につながるが、そもそもインナーロータ2の中心位置OXの移動は吐出量を減少させることを目的としており、必要な吐出量を得るためには各歯の離間量などを適宜調整すれば良い。
図9から図11には、図8に示すインナーロータ2及びアウターロータ3の歯形形状を形成するための説明図が示されている。まず、図9及び図10は、図8のインナーロータ2を形成するための説明図である。このうち図9は、サイクロイド曲線によって構成された歯形形状に対して周方向への変形を施した変形後の歯形形状を示したものであり、図10は、周方向への変形後の歯形形状に対して径方向への変形を施した変形後の歯形形状を示したものである。
図9には、サイクロイド曲線によって構成された歯形形状U’Cのうち歯先形状U’1C及び歯溝形状U’2Cが点線で示されている。また、このサイクロイド曲線の基礎円半径をRa、外転円半径をRa1、内転円半径をRa2とすると、歯先形状U’1Cと内接する歯先円A1の半径はRa+2Ra1、歯溝形状U’2Cと外接する歯溝円A2の半径はRa−2Ra2で表すことができる。このように、半径Ra1の外転円によるサイクロイド曲線によって歯先形状U’1Cが、半径Ra2の内転円によるサイクロイド曲線によって歯溝形状U’2Cが形成されている。
なお、このような基礎円半径をRa、外転円半径をRa1、内転円半径をRa2とする周知のサイクロイド曲線の座標は、以下の式により表すことができる。
10=(Ra+Ra1)×cosθ10
−Ra1×cos〔{(Ra+Ra1)/Ra1}×θ10〕 式(1)
10=(Ra+Ra1)×sinθ10
−Ra1×sin〔{(Ra+Ra1)/Ra1}×θ10〕 式(2)
20=(Ra−Ra2)×cosθ20
+Ra2×cos〔{(Ra2−Ra)/Ra2}×θ20〕 式(3)
20=(Ra−Ra2)×sinθ20
+Ra2×sin〔{(Ra2−Ra)/Ra2}×θ20〕 式(4)
a=n×(Ra1+Ra2) 式(5)
ここで、インナーロータの中心O1を通る直線をX座標軸、X座標軸と直交しインナーロータの中心O1を通る直線をY座標軸とし、式(1)から(5)において、θ10は外転円の中心とインナーロータの中心O1とを通る直線がX座標軸となす角度、θ20は内転円の中心とインナーロータの中心O1とを通る直線がX座標軸となす角度、(X10、Y10)は外転円により形成されるサイクロイド曲線の座標、(X20、Y20)は内転円により形成されるサイクロイド曲線の座標である。
そして、この歯先円A1の半径Ra+2Ra1と歯溝円A2の半径Ra−2Ra2との間の距離を維持しつつ、周方向へ所定の変形率で変形することにより、変形された歯形形状UCを得ることができる。図9では、基礎円半径Raの外側、すなわち歯先形状U’1Cが変形される場合は第1の変形率γ1=θ1C/θ’1Cで変形され、基礎円半径Raの内側、すなわち歯溝形状U’2Cが変形される場合は第2の変形率γ2=θ2C/θ’2Cで変形される。このように、この変形率は、インナーロータの中心O1と歯先形状(或いは歯溝形状)を構成する曲線の一方の端部とを結ぶ半直線と、インナーロータの中心O1と当該曲線の他方の端部とを結ぶ半直線とが成す角度の変形前後の比率である。かかる周方向への変形により、変形された歯形形状UC(歯先形状U1C及び歯溝形状U2C)が得られる。なお、この周方向への変形前後のインナーロータの歯数を夫々n’及びnとすると、n’×(θ’1C+θ’2C)=n×(θ1C+θ2C)という関係式が成立する。
ここで、歯形形状U’Cから歯形形状UCを得るための変換式は、この変形率γ1或いはγ2を用いることにより簡単に表すことができる。例えば、歯先形状については、周方向への変形前の歯先形状U’1Cは上記のサイクロイド曲線(X10、Y10)であり、周方向への変形後の歯先形状U1Cの座標(X11、Y11)は、以下の式(6)から(9)のように表すことができる。
11=(X10 2+Y10 21/2 式(6)
θ11=arccos(X10/R11) 式(7)
11=R11×cos(θ11×γ1) 式(8)
11=R11×sin(θ11×γ1) 式(9)
ここで、R11はインナーロータの中心O1から座標(X10、Y10)までの距離、θ11はインナーロータの中心O1と座標(X10、Y10)とを通る直線がX座標軸となす角度である。
周方向への変形後の歯溝形状U2Cの座標(X21、Y21)についても、周方向への変形前の歯溝形状U’2Cである上記のサイクロイド曲線(X20、Y20)から、変形率γ2を用いることにより、同様にして簡単に求めることができるので、ここでは省略する。
次に、この周方向に変形された歯形形状UCに対して、図10に示すような径方向の変形を行なう。まず、Ra+2Ra1>RD1≧Ra≧RD2>Ra−2Ra2を満たす半径RD1の円D1の外側(歯先側)では、図10(a)に示すように、以下の式(10)から(13)で表される座標(X12、Y12)により形成される曲線を変形後の歯先形状とする。
12=(X11 2+Y11 21/2 式(10)
θ12=arccos(X11/R12) 式(11)
12={(R12−RD1)×β10+RD1}×cosθ12 式(12)
12={(R12−RD1)×β10+RD1}×sinθ12 式(13)
ここで、(X11、Y11)は径方向への変形前の歯先形状U1Cの座標、(X12、Y12)は径方向への変形後の歯先形状U1inの座標、R12はインナーロータの中心O1から座標(X11、Y11)までの距離、θ12はインナーロータの中心O1と座標(X11、Y11)とを通る直線がX座標軸となす角度、β10は変形の為の修正係数である。
また、Ra+2Ra1>RD1≧Ra≧RD2>Ra−2Ra2を満たす半径RD2の円D2の内側(歯溝側)では、図10(b)に示すように、以下の式(14)から(17)で表される座標(X22、Y22)により形成される曲線を変形後の歯溝形状とする。
22=(X21 2+Y21 21/2 式(14)
θ22=arccos(X21/R22) 式(15)
22={RD2−(RD2−R22)×β20}×cosθ22 式(16)
22={RD2−(RD2−R22)×β20}×sinθ22 式(17)
ここで、(X21、Y21)は径方向への変形前の歯溝形状U2Cの座標、(X22、Y22)は径方向への変形後の歯溝形状U2inの座標、R22はインナーロータの中心O1から座標(X21、Y21)までの距離、θ22はインナーロータの中心O1と座標(X21、Y21)とを通る直線がX座標軸となす角度、β20は変形の為の修正係数である。
すなわち、図10(a)に示す径方向への変形により歯先形状U1Cから歯先形状U1inが得られ、図10(b)に示す径方向への変形により歯溝形状U2Cから歯溝形状U2inが得られる。このようにサイクロイド曲線によって構成された歯形形状U’に対して、上述した周方向への変形及び径方向への変形を行うことにより、変形されたサイクロイド曲線によって構成されたインナーロータの歯形形状Uin(歯先形状U1in及び歯溝形状U2in)を得ることができ、図8に示すインナーロータの外歯形状を形成することができる。
このインナーロータと噛み合うアウターロータは、サイクロイド曲線により形成されたアウターロータの歯形に対して、上述したインナーロータと同様に周方向及び径方向の変形を施すことにより形成することができる。以下にその概略を示す。まず、変形前のアウターロータについて、基礎円半径をRb、外転円半径をRb1、内転円半径をRb2とする周知のサイクロイド曲線の座標は、以下の式により表すことができる。
30=(Rb+Rb1)cosθ30
−Rb1×cos〔{(Rb+Rb1)/Rb1}×θ30〕 式(18)
30=(Rb+Rb1)sinθ30
−Rb1×sin〔{(Rb+Rb1)/Rb1}×θ30〕 式(19)
40=(Rb−Rb2)cosθ40
+Rb2×cos〔{(Rb2−Rb)/Rb2}×θ40〕 式(20)
40=(Rb−Rb2)sinθ40
+Rb2×sin〔{(Rb2−Rb)/Rb2}×θ40〕 式(21)
b=(n+1)×(Rb1+Rb2) 式(22)
ここで、アウターロータの中心O2を通る直線をX座標軸、X座標軸と直交しアウターロータの中心O2を通る直線をY座標軸とし、式(18)から(22)において、θ30は外転円の中心とアウターロータの中心O2とを通る直線がX座標軸となす角度、θ40は内転円の中心とアウターロータの中心O2とを通る直線がX座標軸となす角度、(X30、Y30)は外転円によるサイクロイド曲線の座標、(X40、Y40)は内転円によるサイクロイド曲線の座標である。
ここで、歯溝円B1の半径はRb+2Rb1、歯先円B2の半径はRb−2Rb2であり、この歯溝円B1と歯先円B2との間の距離を維持しつつ、周方向へ所定の変形率で変形することにより、周方向へ変形された歯形形状を得ることができる。所定の変形率としては、基礎円半径Rbの外側(歯溝形状)が変形される場合は第3の変形率δ3=θ3C/θ’3C、基礎円半径Rbの内側(歯先形状)が変形される場合は第4の変形率δ4=θ4C/θ’4Cとすることができる。この角度θ3Cなどの定義については、インナーロータの場合と同様であり、従ってこの変形率は、アウターロータの中心O2と歯先形状(或いは歯溝形状)を構成する曲線の一方の端部とを結ぶ半直線と、アウターロータの中心O2と当該曲線の他方の端部とを結ぶ半直線とが成す角度の変形前後の比率である。かかる変形により、周方向へ変形された歯形形状が得られる。なお、この周方向への変形前後のアウターロータの歯数を夫々(n’+1)及び(n+1)とすると、(n’+1)×(θ’3C+θ’4C)=(n+1)×(θ3C+θ4C)という関係式が成立する。
この周方向へ変形された歯形形状を得るための変換式は、インナーロータにおいて説明したとおり、変形率δ3或いはδ4を用いることにより簡単に表すことができる。例えば、歯溝形状については、周方向への変形前の歯溝形状は上記のサイクロイド曲線(X30、Y30)であり、周方向への変形後の歯溝形状の座標(X31、Y31)は、以下の式(23)から(26)のように表すことができる。
31=(X30 2+Y30 21/2 式(23)
θ31=arccos(X30/R31) 式(24)
31=R31×cos(θ31×δ3) 式(25)
31=R31×sin(θ31×δ3) 式(26)
ここで、R31はアウターロータの中心O2から座標(X30、Y30)までの距離、θ31はアウターロータの中心O2と座標(X30、Y30)とを通る直線がX座標軸となす角度である。なお、周方向への変形後の歯先形状の座標(X41、Y41)についても、周方向への変形前の歯先形状である上記のサイクロイド曲線(X40、Y40)から、変形率δ4を用いることにより、同様にして簡単に求めることができるので、ここでは省略する。
次に、この周方向へ変形された歯形形状に対して、径方向への変形を行なう。まず、Rb+2Rb1>RD3≧Rb≧RD4>Rb−2Rb2を満たす半径RD3の円D3の外側(歯溝側)では、以下の式(27)から(30)で表される座標(X32、Y32)により形成される曲線を変形後の歯溝形状とする。
32=(X31 2+Y31 21/2 式(27)
θ32=arccos(X31/R32) 式(28)
32={(R32−RD3)×β30+RD3}×cosθ32 式(29)
32={(R32−RD3)×β30+RD3}×sinθ32 式(30)
ここで、(X31、Y31)は径方向への変形前の歯溝形状の座標、(X32、Y32)は径方向への変形後の歯溝形状の座標、R32はアウターロータの中心O2から座標(X31、Y31)までの距離、θ32はアウターロータの中心O2と座標(X31、Y31)とを通る直線がX座標軸となす角度、β30は変形の為の修正係数である。
また、Rb+2Rb1>RD3≧Rb≧RD4>Rb−2Rb2を満たす半径RD4の円D4の内側(歯先側)では、以下の式(31)から(34)で表される座標(X42、Y42)により形成される曲線を変形後の歯先形状とする。
42=(X41 2+Y41 21/2 式(31)
θ42=arccos(X41/R42) 式(32)
42={RD4−(RD4−R42)×β40}×cosθ42 式(33)
42={RD4−(RD4−R42)×β40}×sinθ42 式(34)
ここで、(X41、Y41)は径方向への変形前の歯先形状の座標、(X42、Y42)は径方向への変形後の歯先形状の座標、R42はアウターロータの中心O2から座標(X41、Y41)までの距離、θ42はアウターロータの中心O2と座標(X41、Y41)とを通る直線がX座標軸となす角度、β40は変形の為の修正係数である。
さらに、このアウターロータは上記のインナーロータと次の式(35)から(39)の関係を満たすように形成される。
a=n×(Ra1×γ1+Ra2×γ2) 式(35)
b=(n+1)×(Rb1×δ3+Rb2×δ4) 式(36)
b=Ra+Ra1+Ra2+H1 式(37)
b2=Ra2+H2 式(38)
e=Ra1+Ra2+H3 式(39)
ここで、eはインナーロータの中心O1とアウターロータの中心O2との距離(偏心量)、H1、H2、H3はアウターロータがクリアランスをもって回動するための補正値である。
なお、アウターロータの歯形形状については、上述した方法の他にも、以下に示す任意の形状のインナーロータと好適に噛み合うアウターロータの歯形形状の形成方法を用いて形成することもできる。この形成方法は、インナーロータを、その中心から所定距離e離間した位置を中心とした前記所定距離と同一の半径eの円Fの円周上を角速度ωで公転させると共に、公転方向とは逆の回転方向に前記公転の角速度ωの1/n倍の角速度ω/nで自転させて形成される包絡線について、前記円Fの中心から公転開始時の前記インナーロータの中心を見た角度を公転角度0方向として、少なくとも、前記包絡線と前記公転角度0方向の軸との交差部分近傍を外径方向に変形すると共に、前記包絡線と前記インナーロータの公転角度π/(n+1)方向の軸との交差部分近傍を外径方向に変形し、かつ、公転角度0以上π/(n+1)以下で定められる領域に含まれる部分を部分包絡線として抽出し、前記部分包絡線を前記円Fの中心を基点として公転方向に微小角度α回転すると共に、前記領域外に延出した箇所を切り取り、かつ、前記部分包絡線と前記公転角度0方向の軸との間に生じる隙間を接続して修正部分包絡線を形成し、前記修正部分包絡線を前記公転角度0方向の軸に対して線対称に複写して部分歯形を形成し、さらに、前記部分歯形を前記円Fの中心を基点として、角度2π/(n+1)ずつ回転複写して形成するものである。
このようにしてアウターロータの歯形形状を形成する場合の例を、図11を用いて説明する。図11(a)に示すように、インナーロータ2の中心O1を通る直線をX座標軸、X座標軸と直交しインナーロータ2の中心O1を通る直線をY座標軸、インナーロータ2の中心O1を原点とする。また、インナーロータ2の中心O1から所定距離e離間した位置として座標(e,0)をとり、この座標(e,0)を中心とした半径eの円を円Fとする。
まず、インナーロータ2の中心O1をこの円Fの円周上に沿って角速度ωで時計周りに公転させると共に、反時計周りに角速度ω/n(nはインナーロータの歯数)で自転させると図11(a)に示すように、包絡線Z0を形成することができる。なお、図11においては、円Fの中心(e,0)から公転開始時のインナーロータ2の中心O1を見た角度、すなわちX座標軸の負方向を公転角度0方向として、時計周りの回転に対して値が増加するように公転角度をとっている。
そして、この包絡線Z0について、本実施形態においては、少なくとも、包絡線Z0と公転角度0方向の軸との交差部分近傍を外径方向に変形すると共に、包絡線Z0と公転角度θ2(=π/(n+1))方向の軸との交差部分近傍を、公転角度0方向の軸との交差部分近傍における外径方向の変形よりも小さく外径方向に変形した曲線を得るため、次のような操作を行なう。すなわち、インナーロータ2の中心O1を円Fの円周上に沿って自転させながら公転させるとき、公転角度0以上θ1以下の間は、インナーロータ2の歯先形状を拡張修正係数β1で外径方向に変形し、公転角度θ1以上2πの間は、インナーロータ2の歯先形状を拡張修正係数β2で外径方向に変形させる。
かかる操作により、図11(a)に示すように、インナーロータ2が点線I0の位置にあるときには、拡張修正係数β1により外径方向に変形され、点線I1の位置にあるときには、拡張修正係数β2によりβ1の場合より小さく外径方向に変形されるので、この場合に得られる包絡線Z1は、包絡線Z0と比べて、公転角度0方向の軸との交差部分近傍が外径方向に変形すると共に、公転角度θ2方向の軸との交差部分近傍が公転角度0方向の軸との交差部分近傍における外径方向の変形よりも小さく外径方向に変形した形状となる。なお、本実施形態においては、拡張修正係数β2の値が拡張修正係数β1の値よりも小さい場合を説明したが、拡張修正係数β2の値と拡張修正係数β1の値とは、この関係にとらわれることなく任意に設定できる。
次に、図11(b)に示すように、この包絡線Z1のうち、公転角度0以上θ2以下の角度で定められる領域W(公転角度0方向の軸と公転角度θ2方向の軸との間の領域)に含まれる部分を部分包絡線PZ1として抽出する。
そして、抽出された部分包絡線PZ1を円Fの中心(e,0)を基点として公転方向に微小角度α回転すると共に、回転により領域W外に延出した箇所を切り取り、かつ、部分包絡線PZ1と公転角度0方向の軸との間に生じる隙間Gを接続して修正部分包絡線MZ1を形成する。なお、この実施形態では隙間Gを直線で接続しているが、直線に限らず曲線で接続しても良い。
さらに、この修正部分包絡線MZ1を公転角度0方向の軸に対して線対称に複写して部分歯形PTを形成し、この部分歯形PTを円Fの中心(e,0)を基点として、角度2π/(n+1)ずつ回転複写することにより、アウターロータ3の歯形形状が形成される。
包絡線Z0を変形した上記の如く構成された包絡線Z1を用いてアウターロータを形成することにより、インナーロータ2とアウターロータ3の間の適正なクリアランスが確保される。また、部分包絡線PZ1を微小角度αで回転することにより、適正なバックラッシュを得ることができる。これにより、変形したインナーロータ2と円滑に噛み合い回転するアウターロータ3を得ることができる。
なお、ここではサイクロイド曲線に対して周方向及び径方向の変形を施したが、もちろんサイクロイド曲線以外にもトロコイド曲線などその他の数学曲線を用いて形成された歯形に対して、上述したような変形を施しても良い。また、周方向或いは径方向のいずれか一方の変形を施すようにしても良いし、歯先側或いは歯溝側のいずれか一方に変形を施すようにしても良い。
本実施形態に係るオイルポンプの一部の構成部材の分解斜視図 本実施形態に係るオイルポンプの側面断面図 図2のIII−III位置における正面断面図 アウターロータとインナーロータの偏心角度の変化を説明する説明図 別実施形態1に係るオイルポンプの断面図 別実施形態2に係るオイルポンプの説明図 別実施形態2に係るオイルポンプの説明図 別実施形態3に係るオイルポンプのロータの説明図 インナーロータを形成するための説明図(周方向への変形) インナーロータを形成するための説明図(径方向への変形) アウターロータを形成するための説明図
符号の説明
OP オイルポンプ
1 ハウジング
1A 前部ハウジング
1B 後部ハウジング
2 インナーロータ
2a 円形孔(凹部)
3 アウターロータ
4 従動ギア
5 駆動ギア
6 駆動シャフト
7 カム
7a 軸部
7f 突起部
8 トーションスプリング(付勢手段)
9 吐出ポート
10 吸込ポート
11 セル
13 小仕切部
14 大仕切部
21 スプリング(付勢手段)
22、23 押圧片
18、19 連通路
20S スプリング側収容部
20P 押圧片側収容部

Claims (4)

  1. 外歯が形成されたインナーロータと、前記インナーロータの外歯と噛み合う内歯が形成されたアウターロータと、流体が吸入される吸入ポート及び流体が吐出される吐出ポートが形成されたハウジングとを備え、
    両ロータが噛み合って回転するとき、前記両ロータの歯面間に形成されるセルの容積変化によって流体を吸入及び吐出して流体を搬送するオイルポンプであって、
    前記インナーロータの一方の面に中心軸に沿って延設された従動ギアと、前記従動ギアと噛み合い、且つ噛み合い位置における両ギア間の偏心量が前記両ロータ間の偏心量と同一となるように、前記アウターロータの中心軸上にその中心を有する駆動ギアと、前記駆動ギアの中心軸に沿って延設された駆動シャフトとが備えられると共に、
    前記インナーロータの他方の面の中心に凹部又は凸部が形成され、前記凹部又は前記凸部に嵌入する軸部又は軸受部を有するカムと、前記カムを介して前記インナーロータを前記駆動ギアの回転方向とは逆方向に付勢する付勢手段とが備えられており、
    前記インナーロータの中心位置が、前記セルからの流体圧と前記駆動シャフトからの駆動トルクに依存する力と前記付勢手段からの付勢力との関係に基づいて、前記偏心量を半径とした円の円周上に沿って移動可能に構成されているオイルポンプ。
  2. 前記インナーロータの中心位置が前記流体の吐出量が最大となる位置において、前記吸入ポートと前記吐出ポートとの間に設けられた仕切部により封止されたセルが形成され、
    前記インナーロータの中心位置と前記アウターロータの中心位置とを結ぶ直線で分けられた各側において、前記インナーロータの外歯の少なくとも1つが前記アウターロータと離間している請求項1に記載のオイルポンプ。
  3. 前記付勢手段は、前記インナーロータの中心軸方向に配置されたトーションスプリングで構成されている請求項1又は2に記載のオイルポンプ。
  4. 前記カムに前記インナーロータの中心軸方向の突起部が延設され、
    前記付勢手段は、前記インナーロータの中心軸方向と直交する方向に配置され、前記突起部を付勢するように構成されている請求項1又は2に記載のオイルポンプ。
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