JP5048393B2 - 可変容量形ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車用内燃機関の各摺動部やトランスミッションなどに潤滑油圧を供給する可変容量形ポンプに関する。
この種、従来の可変容量形ポンプとしては、以下の特許文献1に記載された内接式のトロコイド型のものが知られている。
概略を説明すれば、ポンプケーシングの両側部に吸入ポートと吐出ポートが設けられていると共に、略中央に機関のクランク軸から回転力が伝達される駆動軸が貫通配置されている。また、ポンプケーシングの内部に形成された収容凹部内には、駆動軸に連結されたインナロータと、内歯が該インナロータの外周に有する外歯に噛合するアウタロータが互いに回転自在に設けられている。
また、前記収容凹部内には、アウタロータの外周面を回転自在に支持する調整リングが設けられており、この調整リングの外周面は、前記アウターロータの中心と同心であり、前記インナーロータ及び前記駆動軸と同心の前記収容凹部壁面上を摺接することなく回転移動し、この調整リングの回転角度を所定の調整機構を介して調整することにより、前記インナーロータとアウターロータの偏心方向が回転移動して、ポンプ吐出量を可変にするようになっている。
すなわち、前記収容凹部の内周にギア歯部が形成されている一方、前記調整リングの外周に、前記各ギア部と噛合するギア部が形成されて、該調整リングが、調整機構のばね部材のばね力を介してポンプ吐出圧に応じて前記収容凹部の内周ギア部を前記調整リングの外周ギア部が滑ることなく回転移動することにより、ポンプ流量を制御するようになっている。
そして、調整リングの少ない回転移動量及び移動角によって前記アウターロータとインナーロータの偏心方向を大きく回転移動できるため、前記調整機構のばね部材による直線的な付勢力により調整リングの回転移動を制御できるようになっている。
特開平10−169571号公報(図3など)
しかしながら、前記従来の可変容量形ポンプにあっては、前述のように収容凹部の内周や調整リングの外周のそれぞれにギア部が形成されているため、これらギア部の精度の高い加工が要求されることから、かかる加工作業が極めて煩雑となり、コストの高騰が余儀なくされている。
特に、前記ポンプケーシングは、通常、アルミ合金によって形成されており、アルミダイキャストによる成形後に切削加工による成形が必要となり、ギア形状に加工するには小径な工具を用いて複雑な作業を行わなければならず、加工工数が多く掛かって生産性が悪化する
また、前述のように、各ギア部の加工精度が悪い場合は、調整リングの回転移動が安定しないことから、図13に示すような油圧変動を発生するおそれがある。また、精度良く加工した場合であっても、各ギア部の噛み合いが次のギア部との噛み合いに移動するたびに回転力が変動するので、一定の油圧上昇に対して回転角(偏心回動角)が等速とならず、この結果、やはり図13に示すような油圧変動を起こすおそれがある。
本発明は、前記各従来の可変容量形ポンプの実状に鑑みて案出されたもので、請求項1に記載の発明は、吸入ポートと吐出ポートとを有すると共に、収容凹部が形成されたポンプケーシングと、前記収容凹部内に回転自在に収容され、互いの内外歯が噛合しつつ回転するインナーロータ及びアウターロータと、前記インナーロータの中心に固定されて該インナーロータに回転力を付与する駆動軸と、前記収容凹部内に偏心回動自在に収容されて、リング内周面で前記アウターロータの外周面を回転摺動自在に支持する調整リングと、を備え、前記調整リングの回転を得て前記インナーロータに対する前記アウターロータの偏心位置を回転させてポンプ吐出量を可変にする可変容量ポンプであって、
前記インナーロータの中心から任意の長さの半径Rを設定し、
この半径Rに対して半径2R/3の基円を描き、この基円上を転動する半径R/3の転円を設定し、前記基円の中心と前記転円の中心を結ぶ線を基準線とし、該基準線の延長線上に、前記転円の中心から前記基円の中心と反対方向へ前記インナーロータとアウターロータの径方向の偏心量の距離分の定点を設定し、前記転円を、前記基円上を転動させた際における前記定点の軌跡で表されるトロコイド曲線を創成すると共に、該トロコイド曲線上の点より法線上の外側に任意の長さの半径rだけ離れた点の軌跡で表されるトロコイド曲線状の曲線を、前記収容凹部の内周面に所定の位置に形成し、前記調整リングの外周部に、前記収容凹部内周面の前記トロコイド曲線によって形成された曲面部位に摺接する3つの摺接部位を径方向外側に突設し、前記各摺接部位は、前記リング内周面の中心から前記半径Rの位置を中心とする前記半径rの円弧状に形成されていると共に、該各摺接部位の先端面が前記収容凹部の曲面部位を摺接可能に形成したことを特徴としている。
この発明によれば、収容凹部の内周面と調整リングの外周面にギア部を形成する必要がなく、単なる円弧状に形成したことから、これらの加工が容易になり、コストの低減化が図れる。
また、調整リングは、従来のようなギア部の噛み合いによって回転移動させるのではなく、各摺接部位の先端部が、微小クリアランスを介して収容凹部の内周面を摺接しながら回転移動するようになっていることから、油圧の上昇に対する調整リングの回転が等速となり、ポンプの回転上昇に伴う油圧変動の発生を十分に抑制することができる。
さらに、調整リングは、ポンプ吐出圧に応じて調整機構のばね力に抗して回転移動するため、所定の吐出圧を超えるとポンプ容量を減少させ、無駄に油圧を上昇させてフリクションの上昇を十分抑制することが可能になる。
この発明によれば、調整リングが、ポンプケーシングの収容凹部の内周面を3つの摺接部位によって3点で摺接しつつ回転移動するため、安定した回転移動が得られる。
請求項に記載の発明にあっては、前記調整リングは、押圧機構によって前記摺接部位のうちの一つが前記基準線上となる位置に付勢されていると共に、ポンプの吐出圧が上昇するに伴って該吐出圧によって前記押圧機構の押圧力に抗して前記摺接部位が前記収容凹部の内周面に摺接しながら回転することを特徴としている。
請求項に記載の発明は、前記少なくとも1つの摺接部位の前記ポンプ吐出圧を受ける受圧面積を他の摺接部位と異なる大きさに形成したことを特徴としている。
この発明によれば、調整リングの回転方向における各摺接部位の受圧面積に差をもたせたため、ポンプ吐出圧を効率的に自由な倍率によって調整リングの回転力へと変換させることが可能になる。これによって、調整機構のばね部材のばね設定圧を自由に設定することができる。
以下、本発明に係る可変容量形ポンプの実施例を図面に基づいて詳述する。なお、本実施例も自動車用内燃機関の潤滑油を供給するオイルポンプに適用したトロコイド型の可変容量形ポンプを示している。
この可変容量形ポンプは、内燃機関のシリンダブロックの前端部などに設けられ、図1〜図3に示すように、一端開口がカバー2によって閉塞されたポンプケーシング1と、該ポンプケーシング1のほぼ中心部を貫通し、機関のクランク軸から回転力が伝達される駆動軸3と、前記ポンプケーシング1の内部に形成された収容凹部6内に回転自在に収納されたインナロータ4及びアウタロータ5と、前記収容凹部6の内部に回転移動自在に収容され、内周面で前記アウターロータ5の外周面を回転摺動自在に支持する調整リング7と、を備えている。
前記ポンプケーシング1は、図3に示すように、アルミ合金材によって一体に形成され、ほぼ中央位置には駆動軸3を回転自在に支持する挿通孔1aが形成されていると共に、内部に前記ほぼ異形楕円状の収容凹部6が形成されている。また、一端開口部を閉塞するカバー2が6本のボルト9によって固定されるようになっていると共に、図1の右側部に前記調整リング7を図中時計方向へ付勢する調整機構8が設けられている。
前記駆動軸3は、一端部に設けられた図外のプーリを介してクランクシャフトからの回転駆動力が伝達されて、図中矢印方向(時計方向)へ回転駆動されるようになっている。
前記インナロータ4は、その中央部が駆動軸2に結合されていると共に、外周にトロコイド曲線で形成された6つの外歯4aが形成されている。前記アウタロータ5は、その中心がインナロータ4の中心から所定量eだけ偏心していると共に、内周には前記外歯4a…と噛合するトロコイド曲線で形成された7つの内歯5aが形成されている。したがって、各ロータ4,5の歯先接点と歯底で囲われる空間のポンプ室10が形成されており、このポンプ室10の容積が各ロータ4,5の回転に伴い変化するようになっている。
また、ポンプケーシング1の図1中の下部位置には、略円弧状の吸入室11が設けられている一方、これと反対の上部位置には、吐出室12が設けられており、上下端には、前記吸入室11と吐出室12とにそれぞれ連通する吸入ポート13と吐出ポート14が設けられている。前記吸入ポート13は、吸入口13aに接続された図外の吸入通路を介して機関本体の下端部に設けられたオイルパン内部とストレーナに連通している一方、吐出ポート14は、吐出口14aに接続された図外の吐出通路を介して機関のオイルメインギャラリーに接続されている。
また、前記ポンプケーシング1の前記吸入室11と吐出室12の対向する両端部位置には、前記ポンプ室10の容積がほぼ最大となる部位10aに第1シールランド部15が形成され、これと反対側のほぼ最小となる部位10bに第2シールランド部16がそれぞれ形成されている。本実施例では、最大容積側の第1シールランド部15は、最大容積のポンプ室10aの形状とほぼ同じ形状に形成されている。
なお、前記カバー2のポンプケーシング1との合わせ面側にも、前記吸入室11と吐出室12と対応した位置に凹部が形成されて、この間にシールランド部が形成される場合もある。
前記収容凹部6は、その内周面の円周方向のほぼ120°の角度位置、つまり前記ポンプ室10の最大容積部位10aにほぼ対応する第1曲面部位6aと、この第1曲面部位6aから円周方向のほぼ120°に位置する第2、第3曲面部位6b、6cがそれぞれトロコイド曲線によって形成されている。
この第1〜第3曲面部位6a〜6cは、その形成手順を図5及び図6に基づいて具体的に説明すれば、前記インナーロータ4の中心Oから任意の長さの半径Rを設定し、この半径Rに対して半径2R/3の基円αを描き、この基円α上を転動する半径R/3の仮想転円βを設定し、前記基円αの中心Oと前記仮想転円βの中心O’を結ぶ線を基準線Jとする。この基準線Jは、前記第1シールランド部15の中心を通るように設定されており、この上方位置に前記吐出室12及び吐出ポート14が位置し、下方位置に前記吸入室11及び吸入ポート13が位置している。
この基準線Jの延長線上に、前記仮想転円βの中心O’から前記基円αの中心Oと反対方向へ前記インナーロータ4に対するアウターロータ5の径方向の偏心量eの距離分の定点Eを設定する。
前記仮想転円βを、前記基円α上を滑ることなく転動させた際における前記定点E、E’の軌跡で表される曲線がトロコイド曲線γとなる。
前記仮想転円βが基円α上のθの位置まで滑ることなく転がると、転円βは2θだけ自転するので定点Eは基準線Jに対しては3θだけ回転したことになる。
このことは、図6に示すように書き換えられる。つまり、インナーロータ4の中心Oから偏心量eだけ離れた点Eを取り、さらに半径Rだけ延長した位置に点Tを取り、前記中心点Oと点Eと点Tを直線で結ぶ方向に基準線Jを取る。点Eが中心点O回りに3θ回転した点E’より、基準線Jに対してθだけ傾き距離Rの点T’の軌跡が前記トロコイド曲線γとなる。したがって、点Tが点T’へ角度θだけ回転移動したとき、点Eは点E’へ角度3θ回転移動したことになる。つまり、調整リング7が角度θだけ回転移動したとき、調整リング7の中心Xが3θ回転移動することを表す。
そして、前記トロコイド曲線γ上の点T’を中心とする半径rの円で創成されるトロコイド曲線状の創成曲線をγ’、言い換えれば、点T’より法線上外側に半径長さrだけ離れた点の軌跡で表されるトロコイド曲線上の曲線γ’として収容凹部6の各曲面部位6a〜6cの壁面形状としたものである。
また、前記吐出室12側に位置する一つの曲面部位6cのポンプ回転方向側の位置には、ほぼ逆L字形状に折曲されたストッパ面17が連続して形成されている。
一方、前記調整リング7は、図1及び図4に示すように、リング本体18がほぼ円環状に形成され、このリング本体18の内周面18aで前記アウターロータ5の外周面を回転摺接自在に支持していると共に、外周に前記収容凹部6の各曲面部位6a〜6cに各先端面が摺接する3つの摺接部位19〜21が径方向外側に一体に突設されている。
この第1〜第3摺接部位19〜21は、前記第1〜第3曲面部位6a〜6cに対応したリング本体18の円周方向のほぼ120°位置に設けられ、内周面18aの中心Xから前記Rの距離を中心として半径rの半円状に各先端面19a〜21aが形成されている。
すなわち、前記第1摺接部位19の先端面19aまでの長さは、前記内周面18aの中心Xから半径Raの距離の位置に中心Taが設定されて、この中心Taから半径raの半円弧状に形成され、第2摺接部位20の先端面20aまでの長さは、前記中心Xから半径Rbの距離の位置に中心Tbが設定されて、この中心Tbから半径rbの半円弧状に形成されている。また、第3摺接部位21の先端面21aまでの長さは、前記中心Xから半径Rcの距離の位置に中心Tcが設定されて、この中心Tcから半径rcの半円弧状に形成されている。
そして、前記最大容積となるポンプ室10a側に位置する第1摺接部位19が半径Raの最大突出量に形成され、前記吸入側に位置する第2摺接部位20が半径Rbの中程度の突出量に形成され、吐出側に位置する第3摺接部位21が半径Rcの最小突出量にそれぞれ形成されている。
したがって、吐出ポート14から吐出されたポンプ油圧に対する受圧面積は、前記第3摺接部位21の一側面21bよりも前記第1摺接部位19の一側面19bの方が大きくなっている。
また、前記第3摺接部位21の回転方向の側部には、調整リング7が図1中、時計方向へ回転移動した際に、前記ポンプケーシング1のストッパ面17に側面が当接してそれ以上の回転移動を規制する規制突部22がリング本体18と一体に設けられている。
また、前述した収容凹部6の第1曲面部位6aの円周方向の範囲は、前記e、Ra、raを用いて、前記θ=0°を中心とした両方向の所定角度(θ−θ1、θ+θ2)に設定され、第2曲面部位6bの円周方向の範囲は、前記e、Rb、rbを用いて反時計回りにθ=120°から両方向の所定角度に設定され、さらに、第3曲面部位6cの円周方向の範囲は、前記e、Rc、rcを用いてθ=−120°から両方向の所定角度に設定されている。
これによって、各摺接部位19〜21の先端面19a〜21aが、各曲面部位6a〜6cにそれぞれ微小クリアランスを介して摺接可能になっている。
さらに、前記第2摺接部位20の調整リング7の回転方向側の位置には前記調整機構8の後述するプランジャが当接して調整リング7を反時計方向に回転させる円弧状の当接部23が一体に設けられている。
前記調整機構8は、図1にも示すように、ポンプケーシング1の側部から傾斜状に突設された円筒状のシリンダ部24と、該シリンダ部24内に摺動自在に保持され、先端部が前記当接部23に当接するプランジャ25と、前記シリンダ部24の開口端を閉塞するプラグ26と、一端がプラグ26の先端面に弾接し、他端が前記プランジャ25の後端面に弾接して該プランジャ25と前記当接部23を介して調整リング7を図中時計方向に付勢するばね部材27とから構成されている。したがって、このばね部材27のばね力によって調整リング7の第1摺接部位19は基準線J上の位置となり、リング内周面8aの中心Xも基準線J上となり、アウターロータ5の中心も基準線J上となる。すなわち、インナーロータ4に対するアウターロータ5の偏心方向は、基準線J方向の角度θ=0°であり、前記第1シールランド部15も基準線Jにある。これによって、第1シールランド部15と最大容積ポンプ室10aの位置が一致して、ポンプ吐出量が最大となるように設定されている。
以下、本実施例におけるポンプ吐出圧と調整リング7の回転作動との関係を図7及び図8に基づいて説明する。
調整リング7の第1、第3摺接部位19、21の先端面19a、21aと収容凹部6の第1、第3曲面部位6a、6cとの当接点Q1、Q2で囲まれる空間は、吐出ポート14と連通していることから、斯かる空間に位置する調整リング7の図中上側外周部には、ポンプ吐出圧が作用し、このポンプ吐出圧は前記当接点Q1、Q2を結ぶ直線に垂直に作用する面圧P(矢印)となり、前記当接点Q1,Q2の中央部に合力Fとして作用する。前記調整リング7は、その中心Xがアウターロータ5の中心点Eと同じであるからインナーロータ4の中心Oとは偏心量e分だけずれており、したがって、前記合力Fは調整リング7をインナーロータ4の中心Oに対して図中反時計方向に回転させる力として作用する。
このとき、調整リング7の第1,第3摺接部位19,21の長さは、(Ra+ra)>(Rc+rc)であって、第1摺動部位19の方が長いから、前記合力Fの作用する位置がインナーロータ4の中心Oから離れるため、調整リング7にはより大きな反時計方向の回転力が付与される。さらに、図8に示すように、受圧面積が第3摺接部位21の一側面21bよりも第1摺接部位19の一側面19bの方が大きいことから、調整リング7に対して反時計方向への回転力が大きくなるのである。
このように、3つの摺接部位19〜21のR+rの値を異ならせることによって、調整リング7に作用するポンプ吐出圧で発生する回転力の大きさを制御することができる。
次に、機関運転時(ポンプ運転時)における作用について説明する。
まず、機関始動後(ポンプ始動後)には、駆動軸3の回転に伴ってインナーロータ4とアウターロータ5が互いの各内外歯4a、5aを噛み合わせながら回転すると、前記ポンプ室10が吸入室11側で膨張し、第1シールランド部15を通過した後に吐出室12側で収縮し、かかる容積を変化させることによってポンプ作用が行なわれる。
そして、ポンプ始動前あるいは始動直後のポンプ吐出圧がゼロあるいは極めて低い場合には、図9に示すように、調整リング7は、調整機構8のばね部材27のばね力によってプランジャ25が当接部23を押圧付勢していることから、時計方向に回転付勢されている。この状態では前記規制突部22がストッパ面17に当接して調整リング7のそれ以上の時計方向の回転が規制されている。
この状態では、調整リング7を介してインナーロータ4に対するアウターロータ5の偏心方向は、基準線J方向で前記第1シールランド部15と一致しているので、吸入室11側から吐出室11側へポンプ室10aの容積が最大で第1シールランド部15を通過する一方、吐出室12側から吸入室11側へのポンプ室10bの容積が最小となって、第2シールランド部16を通過することからポンプ吐出量が最大となる。このため、ポンプ低回転時には、ポンプ吐出圧は、図12に示すように速やかに立ち上がる特性となる。
続いて、ポンプ回転数の増加に伴いポンプ吐出圧が上昇すると、前述のように、ポンプ吐出圧が吐出ポート14から調整リング7に作用して、該調整リング7は、図10に示すように、ストッパ面17から離れつつ各摺接部位19〜21を介して、前記ばね力に抗して例えば約15°の角度をもって反時計方向へ回転する。そして、調整リング7は、前記ポンプ吐出圧とばね部材27のばね力との釣り合った位置で回転が停止される。
前述のように、調整リング7の回転角度θに対し、内周面18aの中心点X、すなわち、アウターロータ5の中心点Eはインナーロータ4の中心点O回りに角度3θ回転するので、この状態では、偏心方向が45°となる。そのため、第1シールランド部15を通過するポンプ室10の容積が若干減少する一方、第2シールランド部16を通過するポンプ室10の容積が若干増加するので、吸入室11側から吐出室12側へ流動するオイル量が減少し、つまり、ポンプ吐出量が減少してポンプ吐出圧は、図12に示すように、なだらかに立ち上がるものの急激な立ち上がりが抑制される。
また、調整リング7は、前記各摺接部位19〜21の先端面19a〜21aがそれぞれ円弧面に形成されていることから、各曲面部位6a〜6cに対して滑らかに摺接回転する。
さらに、ポンプ回転数が上昇すると、調整リング7に作用するポンプ吐出圧がさらに大きくなることから、前記調整リング7は、図11に示すように、ばね部材27のばね力に抗してさらに反時計方向へ回転して約30°の角度まで回転する。このため、アウターロータ5は、その中心点Eが約90°移動したことになり、インナーロータ4との偏心方向がほぼ90°角度位置になる。このため、ポンプ室10は、吸入室11から吐出室12へシールランド部15を通過する際の容積と、吐出室12から吸入室11へシールランド部16を通過する際の容積がほぼ等しくなり、ポンプ吐出量が最小になる。
このように、ポンプ吐出圧によって調整リング7を回転させることにより、インナーロータ4とアウターロータ5の偏心方向をポンプケーシング1に対して可変とすることによって、ポンプ吐出量を可変として不要な流体仕事を削減することができる。この結果、動力損失の低減化が図れる。
そして、本実施例によれば、収容凹部6の内周面と調整リング7の外周面にギア部を形成する必要がなく、収容凹部6の内周面にトロコイド曲線からなる3つの曲面部位6a〜6cを形成する一方、調整リング7の外周に対応する3つの摺接部位19〜21を設けるだけであるから、これらの加工が容易になり、コストの低減化が図れる。
また、調整リング7は、従来のようなギア部の噛み合いによって回転移動させるのではなく、各摺接部位19〜21の先端面19a〜21aが、微小クリアランスを介して前記各曲面部位6a〜6cを摺接しながら回転移動するようになっていることから、図12に示すように、油圧の上昇に対する調整リング7の回転が等速となり、ポンプの回転上昇に伴う油圧変動の発生を十分に抑制することができる。
さらに、調整リング7は、ポンプ吐出圧に応じて調整機構8のばね部材27のばね力に抗して回転移動するため、所定の吐出圧を超えるとポンプ容量を減少させ、無駄に油圧を上昇させてフリクションの上昇を十分抑制することが可能になる。
前記各摺接部位19〜21を調整リング7の円周方向のほぼ120°の間隔位置に3つ設けたことから、調整リング7が、ポンプケーシング1の各曲面部位6a〜6cを3点で摺接しつつ回転移動するため、安定した回転移動が得られる。
しかも、調整リング7の回転方向における第1摺接部位19と第3摺接部位12の各受圧面積に差をもたせたため、ポンプ吐出圧を効率的に自由な倍率によって調整リング7の回転力へと変換させることが可能になる。これによって、調整機構8のばね部材27のばね設定圧を自由に設定することができる。
本発明は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、例えば各曲面部位6a〜6cの表面、あるいは各摺接部位19〜21の先端面19a〜21aに低摩擦材を形成することも可能であり、これによってシール性を向上させつつ調整リング7のより滑らかな回転をえることができる。また、内燃機関以外の油圧機器類等に適用することも可能である。
本発明に係る可変容量形ポンプの実施形態を示すカバーを外した状態の正面図である。 同じく可変容量形ポンプの分解斜視図である。 本実施例に供されるポンプケーシングを示す斜視図である。 本実施例に供される調整リングの正面図である。 本実施例における収容凹部の各曲面部位を形成する手順説明図である。 同じく各曲面部位を形成する手順説明図である。 調整リングに作用するポンプ吐出圧の圧力作用を説明する図である。 同じく調整リングに作用するポンプ吐出圧の作用説明図である。 ポンプ停止または低回転時における調整リングの作動説明図である。 ポンプ中回転時における調整リングの作動説明図である。 ポンプ高回転時における調整リングの作動説明図である。 本実施例の可変容量形ポンプのポンプ回転数とポンプ吐出圧との関係を示す特性図である。 従来の可変容量形ポンプにおけるポンプ回転数とポンプ吐出圧の関係を示す特性図である。
符号の説明
1…ポンプケーシング
3…駆動軸
4…インナロータ
5…アウタロータ
4a…内歯
5a…外歯
6…収容凹部
6a〜6c…曲面部位
7…調整リング
8…調整機構
10…ポンプ室
11…吸入室
12…吐出室
13…吸入ポート
14…吐出ポート
17…ストッパ面
19〜21…摺接部位
19a〜21a…先端面
22…規制突部

Claims (3)

  1. 吸入ポートと吐出ポートとを有すると共に、収容凹部が形成されたポンプケーシングと、
    前記収容凹部内に回転自在に収容され、互いの内外歯が噛合しつつ回転するインナーロータ及びアウターロータと、
    前記インナーロータの中心に固定されて該インナーロータに回転力を付与する駆動軸と、
    前記収容凹部内に偏心回動自在に収容されて、リング内周面で前記アウターロータの外周面を回転摺動自在に支持する調整リングと、を備え、
    前記調整リングの回転を得て前記インナーロータに対する前記アウターロータの偏心位置を回転させてポンプ吐出量を可変にする可変容量ポンプであって、
    前記インナーロータの中心から任意の長さの半径Rを設定し、
    この半径Rに対して半径2R/3の基円を描き、この基円上を転動する半径R/3の転円を設定し、
    前記基円の中心と前記転円の中心を結ぶ線を基準線とし、
    該基準線の延長線上に、前記転円の中心から前記基円の中心と反対方向へ前記インナーロータとアウターロータの径方向の偏心量の距離分の定点を設定し、
    前記転円を、前記基円上を転動させた際における前記定点の軌跡で表されるトロコイド曲線を創成すると共に、該トロコイド曲線上の点より法線上の外側に任意の長さの半径rだけ離れた点の軌跡で表されるトロコイド曲線状の曲線を、前記収容凹部の内周面に所定の位置に形成し、
    前記調整リングの外周部に、前記収容凹部内周面の前記トロコイド曲線によって形成された曲面部位に摺接する3つの摺接部位を径方向外側に突設し、
    前記各摺接部位は、前記リング内周面の中心から前記半径Rの位置を中心とする前記半径rの円弧状に形成されていると共に、
    該各摺接部位の先端面が前記収容凹部の曲面部位を摺接可能に形成したことを特徴とする可変容量形ポンプ。
  2. 前記調整リングは、押圧機構によって前記摺接部位のうちの一つが前記基準線上となる位置に付勢されていると共に、ポンプの吐出圧が上昇するに伴って該吐出圧によって前記押圧機構の押圧力に抗して前記摺接部位が前記収容凹部の内周面に摺接しながら回転することを特徴とする請求項1に記載の可変容量形ポンプ。
  3. 前記少なくとも1つの摺接部位の前記ポンプ吐出圧を受ける受圧面積を他の摺接部位と異なる大きさに形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の可変容量形ポンプ。
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