JP2008290474A - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アンチスキッド制御中の増圧時に外乱があったとしても正確にマスタシリンダ液圧を推定可能なブレーキ制御装置を提供すること。
【解決手段】 マスタシリンダとホイルシリンダとの間に設けられ、車両の走行状態に応じてホイルシリンダの液圧を増減圧制御する液圧制御手段と、マスタシリンダの液圧を推定するマスタシリンダ液圧推定手段と、ホイルシリンダの今回の減圧制御と次回の減圧制御との間に行われる増圧制御の経過時間を検出する増圧経過時間検出手段と、経過時間における瞬時増圧制御量を算出する瞬時増圧制御量算出手段と、経過時間及び前記瞬時増圧制御量に基づいて実マスタシリンダ液圧と前記推定されたマスタシリンダ液圧との最低差圧を推定する最低差圧推定手段と、推定された前記最低差圧に基づいて推定されたマスタシリンダ液圧を補正する補正手段とを備えた。
【選択図】 図2
【解決手段】 マスタシリンダとホイルシリンダとの間に設けられ、車両の走行状態に応じてホイルシリンダの液圧を増減圧制御する液圧制御手段と、マスタシリンダの液圧を推定するマスタシリンダ液圧推定手段と、ホイルシリンダの今回の減圧制御と次回の減圧制御との間に行われる増圧制御の経過時間を検出する増圧経過時間検出手段と、経過時間における瞬時増圧制御量を算出する瞬時増圧制御量算出手段と、経過時間及び前記瞬時増圧制御量に基づいて実マスタシリンダ液圧と前記推定されたマスタシリンダ液圧との最低差圧を推定する最低差圧推定手段と、推定された前記最低差圧に基づいて推定されたマスタシリンダ液圧を補正する補正手段とを備えた。
【選択図】 図2
Description
本発明は、マスタシリンダとホイルシリンダの間に設けられた車両のブレーキ制御装置に関し、特にマスタシリンダ液圧の推定技術に関する。
従来、マスタシリンダ液圧を推定する技術として、特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報には、アンチスキッド制御非作動時における制動操作後の所定時間内は、マスタシリンダ液圧推定値を経過時間に応じて増加させ、所定時間経過後はマスタシリンダ液圧推定値を車両減速度に応じて増加させる。また、アンチスキッド制御作動時は、前回のマスタシリンダ液圧とホイルシリンダ液圧に基づき増圧制御時・減圧制御時それぞれにおいて補正演算を行い、現在のマスタシリンダ液圧を推定している。
特開平9−323634号公報
しかしながら、上記従来技術では、アンチスキッド制御非作動時における車両減速度に基づいてマスタシリンダ液圧の推定値を初期設定し、増圧中は前回推定値に固定係数を掛け合わせた補正値を積み増しするため、増圧中の外乱に起因するマスタシリンダ液圧の変化に対応した補正をすることができず、実際のマスタシリンダ液圧に対して推定マスタシリンダ液圧を少なく見積もる可能性があった。
本発明は、上述の従来の問題点に着目して成されたもので、アンチスキッド制御中の増圧時に外乱があったとしても正確にマスタシリンダ液圧を推定可能なブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願発明のブレーキ制御装置では、運転者のブレーキペダル操作により液圧を発生するマスタシリンダと、供給される液圧に基づいて車輪に制動力を発生させるホイルシリンダと、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの間に設けられ、車両の走行状態に応じて前記ホイルシリンダの液圧を増減圧制御する液圧制御手段と、前記マスタシリンダの液圧を推定するマスタシリンダ液圧推定手段と、前記ホイルシリンダの今回の減圧制御と次回の減圧制御との間に行われる増圧制御の経過時間を検出する増圧経過時間検出手段と、前記経過時間における瞬時増圧制御量を算出する瞬時増圧制御量算出手段と、前記経過時間及び前記瞬時増圧制御量に基づいて実マスタシリンダ液圧と前記推定されたマスタシリンダ液圧との最低差圧を推定する最低差圧推定手段と、推定された前記最低差圧に基づいて前記推定されたマスタシリンダ液圧を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする。
すなわち、増圧制御弁制御量によって実際にマスタシリンダからホイルシリンダに移動したブレーキ液量を推定することが可能となり、路面状態の外乱に伴いマスタシリンダ液圧が変動したとしても、精度よく推定マスタシリンダ液圧を補正することができる。
以下に、本発明を実施する最良の形態を実施例として図面に基づいて説明する。
図1は車両用のブレーキ制御装置(液圧ブレーキユニット)の一輪モデルを表す概略図である。ABS制御は、各輪毎に行われるため、図1に示す構成が各輪に設けられているものとする。
まず構成について説明する。ブレーキペダル1には、運転者の踏力に応じたブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダM/Cが設けられている。マスタシリンダM/Cには、主通路10を介して増圧回路11及び還流回路14が接続されている。増圧回路11上にはノーマルオープン型の増圧制御弁2が設けられている。増圧回路11には、制動力を発生させるホイルシリンダW/Cに接続されたホイルシリンダ回路12と、ホイルシリンダW/Cから減圧時にブレーキ液を流出させる減圧回路13が接続されている。減圧回路13上にはノーマルクローズ型の減圧制御弁3が設けられている。減圧回路13には、ホイルシリンダW/Cから流出したブレーキ液を一時的に貯留するリザーバ4が設けられている。また、減圧回路13には、ポンプモータ5aにより駆動するポンプ5及びポンプ5からの流れのみ許容するチェック弁6を介して還流回路14が接続されている。
ABSコントロールユニット20には、各車輪の車輪速を検出する車輪速センサ21が設けられている。ABSコントロールユニット20には、車輪速センサ21から検出された車輪速VWに基づいて擬似車体速Vを演算する擬似車体速演算部20aと、車輪速VWと演算された擬似車体速Vに基づいてスリップ率Sを減少させるように増圧制御弁2,減圧制御弁3に対し、増圧・減圧・保持指令を出力すると共に、リザーバ4に貯留されたブレーキ液をマスタシリンダM/Cへ還流するためのポンプモータ5aに対し駆動指令を出力するABS制御部20bが設けられている。尚、実施例1では、ABS制御部20bから減圧制御弁2及び増圧制御弁3への制御量は開弁時間として出力され、この開弁時間の間は各制御弁が全開状態となる構成とされている。
また、ABSコントロールユニット20には、マスタシリンダ液圧を推定するマスタシリンダ液圧推定部20cと、推定されたマスタシリンダ液圧を補正する推定マスタシリンダ液圧補正部20dが設けられている。マスタシリンダ液圧を推定する手法としては、例えば、アンチスキッド制御非作動時にあっては車体減速度に基づいて推定する。一方、アンチスキッド制御作動時にあっては前回制御周期において推定された推定マスタシリンダ液圧に補正量を加減算することで推定する。例えば、減圧時には増加補正し、増圧時には減少補正をする。尚、推定マスタシリンダ液圧補正部20dは、アンチスキッド制御中の特に増圧時における推定マスタシリンダ液圧を補正するものであり、詳細については後述する。
ここで、スリップ率Sとは擬似車体速Vに対して車輪速VWが路面に対してどの程度すべっているかを表しており、スリップ率S={(V-VW)/V}で表される。車輪速VWが擬似車体速Vに一致すればスリップ率は0となり、車輪速VWと擬似車体速Vがかけ離れるほどスリップ率は増大する。
・ABS制御について
実施例1のABS制御における基本的な制御ロジックを説明する。擬似車体速Vから予め設定された車速V0を差し引いた所(タイヤの摩擦係数特性が最大となる点)に、減圧開始用の最適スリップ値Vopt1及び増圧開始用の最適スリップ値Vopt2を設定する。スリップ率Sが最適スリップ率Sopt1を上回ったときには減圧制御に移行し、ロック傾向による車輪速VWの低下、すなわちスリップ率Sの増大を防止する。スリップ率Sの増大が防止されると保持制御に移行し、スリップ率Sを減少させる。スリップ率Sが減少し、最適スリップ率Sopt2を下回ると増圧制御に移行し、車輪速VWの増大、すなわちスリップ率Sの減少を防止する。尚、Vopt1及びVopt2は同じ値に設定してもよい。
実施例1のABS制御における基本的な制御ロジックを説明する。擬似車体速Vから予め設定された車速V0を差し引いた所(タイヤの摩擦係数特性が最大となる点)に、減圧開始用の最適スリップ値Vopt1及び増圧開始用の最適スリップ値Vopt2を設定する。スリップ率Sが最適スリップ率Sopt1を上回ったときには減圧制御に移行し、ロック傾向による車輪速VWの低下、すなわちスリップ率Sの増大を防止する。スリップ率Sの増大が防止されると保持制御に移行し、スリップ率Sを減少させる。スリップ率Sが減少し、最適スリップ率Sopt2を下回ると増圧制御に移行し、車輪速VWの増大、すなわちスリップ率Sの減少を防止する。尚、Vopt1及びVopt2は同じ値に設定してもよい。
このとき、減圧指令における減圧制御量は、車体減速度等に基づくフィードフォワード量として演算される。最初の減圧制御から次の減圧制御開始までを増減圧制御周期とすると、最初の減圧制御量によっておおむね増減圧制御周期は決定される。また、増圧指令における増圧制御量は、車輪加速度等に基づいてフィードバック量として演算される。よって、車輪速が減圧開始用のスリップ率Vopt1を回復するように増圧制御量が決定される。
・ABS制御時の各アクチュエータの作用
次に、上記ABS制御実行時の増圧制御弁2,減圧制御弁3の作用について説明する。減圧制御時は、増圧制御弁2を閉じ、減圧制御弁3を開くことでホイルシリンダW/Cからブレーキ液を減圧回路13へ流出させ、リザーバ4へ一時的に貯留する。保持制御時は、増圧制御弁2及び減圧制御弁3の両方を閉じ、ホイルシリンダW/Cの液圧を保持する。増圧制御時は、減圧制御弁3を閉じ、増圧制御弁2を開くことでマスタシリンダM/Cから高圧のブレーキ液を、主通路10,増圧回路11及びホイルシリンダ回路12を介してホイルシリンダW/Cへ供給する。
次に、上記ABS制御実行時の増圧制御弁2,減圧制御弁3の作用について説明する。減圧制御時は、増圧制御弁2を閉じ、減圧制御弁3を開くことでホイルシリンダW/Cからブレーキ液を減圧回路13へ流出させ、リザーバ4へ一時的に貯留する。保持制御時は、増圧制御弁2及び減圧制御弁3の両方を閉じ、ホイルシリンダW/Cの液圧を保持する。増圧制御時は、減圧制御弁3を閉じ、増圧制御弁2を開くことでマスタシリンダM/Cから高圧のブレーキ液を、主通路10,増圧回路11及びホイルシリンダ回路12を介してホイルシリンダW/Cへ供給する。
リザーバ4に貯留されたブレーキ液(例えば、減圧時間の合計により推定した値)がリザーバ4が満杯になったことを表す所定量以上になると、ポンプモータ5aに対し駆動指令を出力し、リザーバ4から還流回路14へブレーキ液をくみ上げ、主通路10を介してマスタシリンダM/C側に戻すことでブレーキ液量収支を確保している。
尚、ブレーキ液を還流させる際、運転者がブレーキペダルを強く踏み込み、マスタシリンダ液圧が高い状態であっても確実にリザーバ4内のブレーキ液を戻す必要がある。そこで、無駄なバッテリ消費を回避しつつマスタシリンダ液圧等に応じた適正なモータ駆動量を確保すべく、推定されたマスタシリンダ液圧に基づいて目標モータ回転数を設定し、この値と一致するように、モータ回転数フィードバック制御が実行されている。
(推定マスタシリンダ液圧補正処理)
次に、実施例1における推定マスタシリンダ液圧補正処理について説明する。推定マスタシリンダ液圧補正部20dは、特に増圧時に減少補正するときの補正量を適正に算出するものである。以下、何故、アンチスキッド制御における増圧時に推定マスタシリンダ液圧を補正しなければならないか、及び、補正が不適切だと何が課題となるかについて説明する。
次に、実施例1における推定マスタシリンダ液圧補正処理について説明する。推定マスタシリンダ液圧補正部20dは、特に増圧時に減少補正するときの補正量を適正に算出するものである。以下、何故、アンチスキッド制御における増圧時に推定マスタシリンダ液圧を補正しなければならないか、及び、補正が不適切だと何が課題となるかについて説明する。
基本的に、減圧するときは、増圧制御弁2を閉じ、減圧制御弁3を開弁することで減圧する。このとき、リザーバ4は大気圧として一定であるため、減圧制御弁3の開弁時間と流量(液圧の変化)とは概ね相関が確保できる。
一方、増圧するときは、減圧制御弁3を閉じ、増圧制御弁2を開くことで増圧する。このとき、ホイルシリンダ液圧は路面摩擦係数の変化によって車輪を回そうとする力が変化する場合がある。路面摩擦係数が高い方向に変化すると、高めのホイルシリンダ液圧が要求されるため、その分、マスタシリンダ液圧は低下することとなる。一方、路面摩擦係数が低い方向に変化すると、低めのホイルシリンダ液圧が要求されるため、その分、マスタシリンダ液圧は低下できなくなる。
上記理由から、増圧時に一定の推定マスタシリンダ液圧補正量を与えている場合、推定値が実際の値よりも高めに推定される場合と低めに推定される場合があり得る。高めに推定される場合は、ポンプモータ5aの駆動指令として高めの駆動指令が出力されるのみであり、確実にマスタシリンダ側へブレーキ液を還流できることから問題はない。しかしながら、低めに推定された場合は、確実にマスタシリンダ側へブレーキ液を還流できなくなるため問題となる。そこで、推定マスタシリンダ液圧補正部20dでは、アンチスキッド制御中の増圧時に推定マスタシリンダ液圧が低めに推定されることがないように補正するものである。
図2は推定マスタシリンダ液圧補正処理を表すフローチャートである。尚、本フローはアンチスキッド制御中の増圧中に実行される。
ステップS1では、アンチスキッド制御における増圧制御中か否かを判断し、増圧制御中のときはステップS2へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。
ステップS1では、アンチスキッド制御における増圧制御中か否かを判断し、増圧制御中のときはステップS2へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。
ステップS2では、増圧経過時間検出処理を実行する。この詳細については後述の図3において説明する。
ステップS3では、瞬時増圧制御量を算出する。この瞬時増圧制御量とは、増圧開始から現時点までの時間と、その間で行われた増圧制御弁3の開弁時間の合計との関係に基づいて算出される値であり、例えば、(開弁時間の合計)/(増圧開始から現時点までの時間)によって算出される現時点における平均増圧制御量を表すものである。すなわち、現時点においてマスタシリンダM/CからホイルシリンダW/Cへどの程度の流量移動が行われるか否かを判断する値である。
ステップS4では、最低差圧演算を行う。この最低差圧とは、実マスタシリンダ液圧と推定マスタシリンダ液圧との液圧差として、最低この程度の差圧が発生していると考えられる値である。詳細については後述する。
ステップS5では、推定マスタシリンダ液圧補正処理を実行する。具体的には、推定マスタシリンダ液圧に上記最低差圧を上乗せして高めの推定マスタシリンダ液圧となるように補正する。これにより、ポンプモータ5aの駆動指令を確実に確保することでリザーバ4のブレーキ液をマスタシリンダ側に還流させる。
図3は増圧経過時間検出処理を表すフローチャートである。
ステップS21では、増圧指令を入力しているか否かを判断し、増圧指令が入力されたときはステップS22へ進み、それ以外のときはステップS25へ進む。
ステップS22では、減圧後の最初の増圧か否かを判断し、最初の増圧のときはステップS23へ進み、それ以外のときはステップS24へ進む。
ステップS23では、増圧経過時間のカウントを開始する。
ステップS24では、増圧経過時間のカウントを継続する。
ステップS25では、減圧指令を入力しているか否かを判断し、減圧指令が入力されたときはステップS26へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。
ステップS21では、増圧指令を入力しているか否かを判断し、増圧指令が入力されたときはステップS22へ進み、それ以外のときはステップS25へ進む。
ステップS22では、減圧後の最初の増圧か否かを判断し、最初の増圧のときはステップS23へ進み、それ以外のときはステップS24へ進む。
ステップS23では、増圧経過時間のカウントを開始する。
ステップS24では、増圧経過時間のカウントを継続する。
ステップS25では、減圧指令を入力しているか否かを判断し、減圧指令が入力されたときはステップS26へ進み、それ以外のときは本制御フローを終了する。
次に、上記制御フローに基づく作用について説明する。図4はアンチスキッド制御実行時における減圧指令,増圧指令,増圧経過時間及びマスタシリンダ液圧の関係を表すタイムチャートである。アンチスキッド制御が開始され、時刻t1において、増圧指令が出力されると、増圧経過時間のカウントが開始される。
以下、増圧制御中のマスタシリンダ液圧推定及び補正処理について説明する。上述したように、マスタシリンダ液圧を推定する際、基本的な推定値として増圧制御中は時間の経過に伴い一定の割合で値を減算している。このとき、増圧制御量が小さいと、実マスタシリンダ液圧は上記基本的な推定値よりも高めになっていると考えられる。
そこで、増圧経過時間と瞬時増圧制御量とに基づいて、図4に示すマップから最低差圧を推定する。最低差圧とは、実マスタシリンダ液圧と基本的な推定値にこの最低差圧を加算した値とを比較したとき、実マスタシリンダ液圧がこの加算された推定値よりも高いことはないと考えられる値であり、実マスタシリンダ液圧の方が場合によっては低いときがあるものの、高いことはないと考えられる値である。言い換えると、このような補正された推定値に基づいてポンプモータ5aを駆動すれば、確実にリザーバ4のブレーキ液をマスタシリンダ側に還流できるとの観点から求められる値である。
ここで、図5の最低差圧マップの特性について説明する。最低差圧とは、実マスタシリンダ液圧と基本的な推定値である推定マスタシリンダ液圧との想定されうる最大差圧を表している。この最低差圧マップは、増圧経過時間に応じて瞬時増圧制御量と最低差圧の関係が設定されている。以下、各特性の設定根拠について説明する。
(i)増圧経過時間が短いとき、すなわち、とりあえず現時点では減圧制御が行われていない状態では、次の瞬間に減圧が行われる場合が想定され、この場合、一気に増圧がなされたと推定される。一気に増圧が成されるとは、マスタシリンダ液圧とホイルシリンダ液圧との液圧差が大きい場合と想定される。よって、増圧制御弁3を開いたときの流量が大きいと推定できる。流量が大きければ、マスタシリンダ液圧は大きく低下する可能性があるため、実マスタシリンダ液圧と基本的な推定値との差は大きいと推定される。よって、最低差圧は大きめに設定される。
(ii)増圧経過時間が長いとき、すなわち、ある程度時間が経過しているにも係わらず減圧制御が行われていない状態では、増圧制御弁が開弁したとしてもさほど増圧されていないと推定される。さほど増圧が成されていないとは、マスタシリンダ液圧とホイルシリンダ液圧との液圧差が小さい場合と想定される。よって、増圧制御弁3を開いたときの流量が小さいと推定できる。流量が小さければ、マスタシリンダ液圧はさほど低下しないため、実マスタシリンダ液圧と基本的な推定値との差は小さいと推定される。よって、最低差圧は小さめに設定される。
(iii)瞬時増圧制御量が多いとき、すなわち、ある時刻における増圧制御弁3の流量が大きいときは、それだけマスタシリンダ液圧の低下を招くため、実マスタシリンダ液圧と基本的な推定値との差は大きいと推定される。よって、最低差圧は大きめに設定される。
(iv)瞬時増圧制御量が少ないとき、すなわち、ある時刻における増圧制御弁3の流量が小さいときは、それだけマスタシリンダ液圧の低下がなされないため、実マスタシリンダ液圧と基本的な推定値との差は小さいと推定される。よって、最低差圧は小さめに設定される。
上述のように設定された図5の最低差圧マップに基づいて最低差圧を算出し、基本的な推定値にこの最低差圧を加算した値をマスタシリンダ液圧推定値とする。これにより、推定マスタシリンダ液圧推定値を精度よく補正することが可能となり、路面状態の外乱に伴いマスタシリンダ液圧が変動したとしても、精度よく推定マスタシリンダ液圧を補正することができる。
次に、実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため異なる点についてのみ説明する。実施例1では、ABS制御部20bから減圧制御弁2及び増圧制御弁3への制御量は開弁時間として出力され、この開弁時間の間は各制御弁が全開状態となる構成とされていた。これに対し、実施例2では、ABS制御部20bから減圧制御弁2及び増圧制御弁3への制御量は開弁量として出力され、この開弁量に応じて各制御弁が中間開度等を確保する構成とされている点で異なる。尚、開弁量の制御は、ON-OFFデューティ比によって制御される。増圧制御弁3はノーマルオープンタイプであることから、ONデューティ比を100%とすることで閉弁され、ONデューティ比を小さくしていくことで開弁量を大きくする構成とされている。
図6はアンチスキッド制御実行時における減圧指令,増圧指令,増圧経過時間及びマスタシリンダ液圧の関係を表すタイムチャートである。実施例1では増圧制御中の瞬時増圧制御量を、現時点における平均増圧制御量として算出していた。これに対し、実施例2では、現時点におけるONデューティ比を瞬時増圧制御量として算出する。ONデューティ比が小さいときは開弁量は大きく、ONデューティ比が大きいときは開弁量は小さい。実施例2の構成にあっても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
2 増圧制御弁
3 減圧制御弁
4 リザーバ
5 ポンプ
20 ABSコントロールユニット
21 車輪速センサ
20c マスタシリンダ液圧推定部
20d 推定マスタシリンダ液圧補正部
3 減圧制御弁
4 リザーバ
5 ポンプ
20 ABSコントロールユニット
21 車輪速センサ
20c マスタシリンダ液圧推定部
20d 推定マスタシリンダ液圧補正部
Claims (3)
- 運転者のブレーキペダル操作により液圧を発生するマスタシリンダと、
供給される液圧に基づいて車輪に制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの間に設けられ、車両の走行状態に応じて前記ホイルシリンダの液圧を増減圧制御する液圧制御手段と、
前記マスタシリンダの液圧を推定するマスタシリンダ液圧推定手段と、
前記ホイルシリンダの今回の減圧制御と次回の減圧制御との間に行われる増圧制御の経過時間を検出する増圧経過時間検出手段と、
前記経過時間における瞬時増圧制御量を算出する瞬時増圧制御量算出手段と、
前記経過時間及び前記瞬時増圧制御量に基づいて実マスタシリンダ液圧と前記推定されたマスタシリンダ液圧との最低差圧を推定する最低差圧推定手段と、
推定された前記最低差圧に基づいて前記推定されたマスタシリンダ液圧を補正する補正手段と、
を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記液圧制御手段は開弁量指令に応じて開弁する増圧制御弁を有し、
前記瞬時増圧制御量算出手段は、前記増圧制御弁の開弁量指令に基づいて瞬時増圧制御量を算出することを特徴とするブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記液圧制御手段は開弁時間指令に応じて開弁する増圧制御弁を有し、
前記瞬時増圧制御量算出手段は、前記増圧制御弁の開弁時間指令に基づいて瞬時増圧制御量を算出することを特徴とするブレーキ制御装置。
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