以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。この車載用ナビゲーション装置は、GPS受信器1、車速センサ2、方位センサ3、自車位置方位計算部4、自車位置方位修正部5、地図データベース6、ナビゲーション制御部7、入力操作部8、表示部9、カメラ10、映像取得部11、交差点進入離脱認識部12および交差点道路比較部13から構成されている。
GPS受信機1は、複数のGPS衛星からの電波を受信することにより自車位置を計測することができるGPS信号を生成する。このGPS受信機1で生成されたGPS信号は、自車位置方位計算部4に送られる。車速センサ2は、自車の移動速度を逐次計測する。この車速センサ2で計測された自車の移動速度は、速度信号として自車位置方位計算部4に送られる。車速センサ2は、一般的に、タイヤの回転数を計測するセンサから構成されており、このセンサで計測された回転数に基づき自車の移動速度を算出する。方位センサ3は、自車の進行方向を逐次計測する。この方位センサ3で計測された自車の進行方位は、方位信号として自車位置方位計算部4に送られる。
自車位置方位計算部4は、GPS受信機1から送られてくるGPS信号から自車位置を計算する。なお、トンネルの中や周囲の建造物によって自車の上空が遮られている場合は、電波を受信できるGPS衛星の数がゼロに、または少なくなり、GPS信号だけでは自車位置を計算できなくなったり、計算できても精度が悪化する。そこで、自車位置方位計算部4は、車速センサ2からの車速信号および方位センサ3からの方位信号を使用した自律航法を利用して自車位置および方位を計算し、GPS信号から計算された自車位置を補う処理を行っている。この自車位置方位計算部4で計算された自車位置および方位は、自車位置方位修正部5に送られる。
自車位置方位計算部4で計算された自車位置および方位は、上述したように、GPS衛星からの電波の受信状態に起因する計測精度の悪化や、タイヤの摩耗や温度変化によるタイヤ直径の変動に起因する車速の誤差、GPS受信機1、車速センサ2または方位センサ3自体の精度に起因する誤差などの様々な要因の誤差を含んでいる。そこで、自車位置方位修正部5は、自車位置方位計算部4からの誤差を含んだ自車位置および方位を、地図データベース6から取得した地図データに含まれる道路データを用いたマップマッチングによって修正するとともに、後述するように、交差点道路比較部13によって前後方向のずれが検出された場合には、この検出されたずれの情報を使用して、マップマッチングによって修正したデータを再修正する。これにより、より正確な自車位置および方位が求められる。この自車位置方位修正部5で修正された自車位置および方位は、ナビゲーション制御部7に送られる。
地図データベース6は、道路の位置、道路の種別(高速道路、有料道路、一般道路、細街路等)、道路に関する規制(速度制限、一方通行等)、交差点の近傍のレーン情報、道路周辺の施設等を含む地図データを保持している。道路の位置については、道路をノードとノードとの間を直線で結ぶリンク(「道路リンク」という)で表現し、このノードの緯度および経度を記録することにより道路の位置を表現している。あるノードに3つ以上の道路リンクが接続されている場合には、そのノードの位置で複数の道路が交わっていることを表現している。
ナビゲーション制御部7は、ユーザが入力操作部8を操作して入力した目的地までの誘導経路の計算、誘導経路および自車位置方位修正部5から得られた自車位置および方位に応じたユーザへの案内情報の生成、自車位置の周辺の地図と自車位置を示すマークを合成した映像の生成といった、運転者を目的地に誘導するための基本的な機能を提供するために必要なデータ処理を行う。また、ナビゲーション制御部7は、自車位置、目的地または誘導経路に関連する交通情報や、観光地、飲食店または物販店等の情報の検索、ユーザが入力した条件にマッチした施設の検索といったデータ処理を行う。ナビゲーション制御部7で生成されたユーザ向けの情報や映像は表示部9に送られる。
入力操作部8は、たとえばリモートコントローラ(リモコン)、タッチパネル、音声認識装置などから構成されており、ユーザである運転者または同乗者が、操作によって、目的地を入力したり、車載用ナビゲーション装置によって提供される情報を選択したりするために使用される。表示部9は、たとえば液晶ディスプレイ装置から構成されており、ナビゲーション制御部7から送られてくるユーザ向けの情報や映像を表示し、ユーザに提供する。
カメラ10は、車両の所定部に設置されており、車両の前方、後方または側方のいずれかの路面を撮影する。なお、カメラ10として、周囲全体を含む幅広い方向の路面を一度に撮影できるカメラを用いることもできる。また、これらを組合せて複数のカメラで路面を撮影するように構成することもできる。
カメラ10で前方を撮影する場合は、たとえば、図2に示すような映像が得られる。図2において、映像の下部の「ボディ」で示される部分は自車のボンネット部分である。車載用ナビゲーション装置の設計者は、走行中には車間距離が保たれることによって他車が映り込みにくく、しかも歩行者が映り込まない領域であって、かつ、後述する交差点進入離脱認識部12で認識処理を行うために必要最小限の領域を、図2に示すように、認識対象の範囲を規定する「スキャンエリア」として設ける。なお、カメラ10は、路面上に描かれた道路標示がスキャンエリアに含まれるような角度で設置すればよく、必ずしも遠方を撮影できる必要はない。
たとえば、一般道路では、車両は、信号機の点灯状態などによって制限されることにより、20〜30km/時程度で走行することが多い。また、安全に走行するには、「速度−15m」以上の車間距離をとる必要があると言われている。これらを勘案すると、自車から5m以内は、他車などに隠蔽されない領域であると言うことができる。スキャンエリアを適切に設けることができれば、カメラ10は、自車から5m以内の自車の近傍のみを撮影するものであってもよい。このように、自車の近傍にスキャンエリアを設けた場合は、走行中においては他車との車間距離がある程度確保されることから、認識対象となる路面の映像に他車や歩行者が映り難くなる。その結果、後述する交差点へ進入する地点である進入位置および交差点から離脱する地点である離脱位置を安定して認識することができる。
また、カメラ10は、必ずしも新たに設ける必要はなく、たとえばサイドミラーに既に設けられている、ドライバにとって死角となる側方の領域を監視するためのカメラや、後部の死角を監視するために既に設けられているカメラを利用することもできる。図3は、サイドミラーに設けられたカメラからの映像の例を示す。図3において、映像の右側の「ボディ」で示される部分は自車の車体やタイヤに相当する部分である。この場合も、前方を撮影する場合と同様に、認識対象となる路面の映像に他車や歩行者が映り難くなるので、後述する交差点進入離脱認識部12で認識処理を行うために必要最小限の領域として図3に示すようなスキャンエリアを設定できれば、カメラ10として、サイドミラーに設けられたカメラを利用することができる。
このカメラ10で撮影することにより得られた映像信号は、映像取得部11に送られる。映像取得部11は、カメラ10から送られてくるアナログの映像信号を計算機で処理可能なデジタルの映像信号に変換し、交差点進入離脱認識部12に送る。
交差点進入離脱認識部12は、映像取得部11から送られてくる映像信号によって表される路面の映像から自車が交差点に進入したことを認識し、自車位置方位修正部5から得られる自車位置を用いて、交差点への進入位置および交差点からの離脱位置を計算する。この交差点進入離脱認識部12で計算された交差点への進入位置および交差点からの離脱位置は、交差点道路比較部13に送られる。
ここで、交差点進入離脱認識部12において行われる交差点進入離脱認識処理を、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、交差点進入離脱認識処理に先立って、カメラ10から取得される映像上の、他車や歩行者が映り込みにくい領域に、図2および図3に示すようなスキャンエリアが設定される。スキャンエリアは、交差点前後の道路上に描かれた横断歩道、停止線、横断歩道有りの菱形マークまたは前方優先道路を表す三角マークなどといった道路標示に自車が差し掛かったこと、そして、その道路標示から走り抜けたことを認識可能にするために必要な最小限の領域である。このスキャンエリアの設定方法については、後に、認識対象の種類毎に例を挙げて詳細に説明する。
なお、交差点は必ずしも道路と道路の交点とは限らず、道路と鉄道の交点である踏切についても、道路標示を認識する代わりに道路と交差するレールを認識すれば、交差点として取り扱うことができる。この明細書で記述している交差点は、道路と鉄道の交点である踏切を含む。
交差点進入離脱認識処理においては、まず、交差点進入検出処理が行われる(ステップST1)。この交差点進入検出処理においては、交差点への進入位置および方位が検出され、交差点離脱検出処理(ステップST2)に渡される。この交差点進入検出処理については、後に詳細に説明する。次いで、交差点離脱検出処理が行われる(ステップST2)。この交差点離脱検出処理においては、交差点進入検出処理(ステップST1)から受け取った交差点への進入位置および方位を用いて、交差点からの離脱位置および方位が検出され、交差点進入検出処理から受け取った交差点への進入位置および方位とともに、ステップST3の処理に渡される。この交差点離脱検出処理については、後に詳細に説明する。
次いで、交差点が検出されたかどうかが調べられる(ステップST3)。具体的には、交差点離脱検出処理(ステップST2)から交差点への進入位置および交差点からの離脱位置が得られたかどうかが調べられる。このステップST3において、交差点が検出されなかったことが判断されると、シーケンスはステップST1に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、交差点が検出されたことが判断されると、進入位置および離脱位置の出力処理が行われる(ステップST4)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、交差点への進入位置と交差点からの離脱位置とを交差点道路比較部13に渡す。その後、シーケンスはステップST1に戻り、上述した処理が繰り返される。
次に、図4に示した交差点進入離脱認識処理のステップST1で行われる交差点進入検出処理の詳細を、認識対象として横断歩道が用いられる場合を例に挙げて、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
この交差点進入検出処理においては、非検出状態と検出中状態といった2つの値をとるフラグが用意されており、初期状態では非検出状態にセットされている。また、自車の位置と方位を保存するための検出開始位置および方位と検出終了位置および方位といった2つの値を記録する領域が用意される。また、スキャンエリアは、横断歩道の白黒の縞を複数捉えることができるように、たとえば図2および図3に示すように、自車の進行方向に直交する方向を長手方向とする矩形に設定されている。
交差点進入検出処理においては、まず、次フレーム取得処理が行われる(ステップST101)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、映像取得部11から送られてくる映像の、ある時点の静止画の画像データを取り出す。ある時点の静止画の画像データを「フレーム」と言い、処理が繰り返される度に、次の時点におけるフレームが取得される。
次いで、2値化処理が行われる(ステップST102)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、ステップST101で取得した画面データのスキャンエリアに含まれる各画素の輝度を所定のしきい値と比較することにより、各画素を白の画素または黒の画素に分けて2値画像を生成する。ここで使用される所定のしきい値は、あらかじめ適宜に決定するように構成できる。また、所定のしきい値は、画像の平均的な明るさを使用して動的に変更するように構成することもできる。
次いで、領域比計算が行われる(ステップST103)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、ステップST102で生成したスキャンエリア内の2値画像の面積のうち、白の画素によって形成される領域の面積と黒の画素によって形成される領域の面積との比を計算する。次いで、フラグが非検出状態または検出中状態のいずれに設定されているかが調べられる(ステップST104)。
このステップST104において、フラグが非検出状態に設定されていることが判断されると、次いで、面積比は「おおよそ1対1」であるかどうかが調べられる(ステップST105)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、ステップST103で計算された白の画素によって形成される領域の面積と黒の画素によって形成される領域の面積との比が「おおよそ1対1」であるかどうかを調べる。ここで、「おおよそ1対1」と判断する条件については、設計者が適宜に決めることができる。このステップST105において、面積比が「おおよそ1対1」でないことが判断されると、スキャンエリア内の画像は横断歩道ではないことが認識され、シーケンスはステップST101に戻って上述した処理が繰り返される。
上記ステップST105において、面積比が「おおよそ1対1」であることが判断されると、次いで、フラグが検出中状態に変更される(ステップST106)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、横断歩道へ進入したことを認識し、フラグを非検出状態から検出中状態に変更する。次いで、検出開始位置および方向が取得される(ステップST107)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、その時点の自車位置および方位を自車位置方位修正部5から取得して、検出開始位置および方位として記録する。その後、シーケンスはステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。
上記ステップST104において、フラグが検出中状態に設定されていることが判断されると、ステップST108以下に示す、横断歩道に差し掛かった状態に対応する処理が行われる。この処理においては、まず、現在位置および方位が取得される(ステップST108)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、自車位置方位修正部5から自車位置および方位を取得する。次いで、方向および位置が不正であるかどうかが調べられる(ステップST109)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、ステップST107で取得して記録されている検出開始位置および方位と、ステップST108で取得した現在の自車位置および方位とを比較し、方位の変動が一定値以上である場合には、横断歩道を通過中に直線的に走行していないものとして不正と判断する。また、交差点進入離脱認識部12は、検出開始位置と現在の位置との差が、現実に存在する横断歩道の大きさと比べ明らかに大きい場合にも不正と判断する。
このステップST109において、方向および位置が不正であると判断されると、不正とみなされた道路標示の検出を改めてやり直すために、フラグが検出中状態から非検出状態に変更される(ステップST110)。その後、シーケンスはステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST109において、方向および位置が適正であると判断されると、次いで、面積比は「おおよそ1対1」であるかどうかが調べられる(ステップST111)。このステップST111の処理は、上述したステップST105の処理と同じである。
このステップST111において、面積比が「おおよそ1対1」であることが判断されると、横断歩道の終わりが未だ検出されていないと認識され、シーケンスはステップST101に戻って上述した処理が繰り返される。一方、ステップST111において、面積比が「おおよそ1対1」でないことが判断されると、次いで、フラグが非検出状態に変更される(ステップST112)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、横断歩道の終わりを検出したことを認識し、フラグを検出中状態から非検出状態に変更する。次いで、検出終了位置が取得される(ステップST113)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、自車位置方位修正部5から取得した自車位置および方位を、検出終了位置および方位として記録する。
次いで、検出結果が妥当であるかどうかが調べられる(ステップST114)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、検出開始位置と検出終了位置の差から検出距離を算出し、この距離が横断歩道の幅としてあり得る一定範囲(小さ過ぎずかつ大き過ぎない)であるかどうかを調べる。このステップST114において、検出結果が妥当でないことが判断されると、横断歩道の検出に失敗したと認識されて、シーケンスはステップST101に戻り、再度、上述した処理がやり直される。一方、ステップST114において、検出結果が妥当であると判断されると、検出終了位置および方位が交差点への進入位置および方位として交差点離脱検出処理(ステップST2)に渡され、交差点進入検出処理は終了する。
次に、図4に示した交差点進入離脱認識処理のステップST2で行われる交差点離脱検出処理の詳細を、認識対象として横断歩道が用いられる場合を例に挙げて、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
この交差点離脱検出処理においては、非検出状態と検出中状態といった2つの値をとるフラグが用意されており、このフラグは、初期状態では非検出状態にセットされている。また、自車の位置を保存するための検出開始位置および検出終了位置を記録する領域が用意されている。
交差点離脱検出処理においては、まず、次フレーム取得処理が行われる(ステップST201)。このステップST201の処理は、図5のステップST101の処理と同じである。次いで、現在位置および方位が取得される(ステップST202)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、自車位置方位修正部5から自車位置および方位を取得する。
次いで、位置および方位は妥当であるか否かが調べられる(ステップST203)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、交差点進入検出処理(ステップST1)から受け取った交差点への進入位置および方位とステップST202で取得した自車位置および方位とを比較する。具体的には、まず、交差点へ進入時の方位と現在の方位とを比較し、その方位差が一定値以上になった場合は、交差点に進入してから離脱するまでに直線的な走行をせず、右左折や車線変更などを行った旨が認識される。この場合は、前後方向の補正を行うことは不適切であるので、位置および方位は妥当でないと判断される。また、現在の自車位置と交差点への進入位置との距離が、現実的な交差点の長さと考えられる最大値を上回る場合も、交差点を検出できないので、位置および方位は妥当でないと判断される。上述した方位差の一定値や、現実的な交差点の長さの最大値は、設計者が適宜に設定するように構成できる。
上記ステップST203において、位置および方位が妥当でないことが判断されると、交差点離脱検出処理は終了する。一方、ステップST203において、位置および方位が妥当であることが判断されると、次いで、2値化処理が行われる(ステップST204)。このステップST204の処理は、図5のステップST102の処理と同じである。次いで、領域比計算処理が行われる(ステップST205)。このステップST205の処理は、図5のステップST103の処理と同じである。次いで、フラグが非検出状態または検出中状態のいずれに設定されているかが調べられる(ステップST206)。このステップST206の処理は、図5のステップST104の処理と同じである。
このステップST206において、フラグが非検出状態に設定されていることが判断されると、次いで、面積比は「おおよそ1対1」であるかどうかが調べられる(ステップST207)。このステップST207の処理は、図5のステップST105の処理と同じである。このステップST207において、面積比が「おおよそ1対1」でないことが判断されると、スキャンエリア内の画像は横断歩道ではないことが認識され、シーケンスはステップST201に戻って上述した処理が繰り返される。
上記ステップST207において、面積比が「おおよそ1対1」であることが判断されると、次いで、フラグが検出中状態に変更される(ステップST208)。このステップST208の処理は、図5のステップST106の処理と同じである。次いで、検出開始位置および方向が取得される(ステップST209)。このステップST209の処理は、図5のステップST107の処理と同じである。その後、シーケンスはステップST201に戻り、上述した処理が繰り返される。
上記ステップST206において、フラグが検出中状態に設定されていることが判断されると、次いで、面積比は「おおよそ1対1」であるかどうかが調べられる(ステップST210)。このステップST210の処理は、上述したステップST207の処理と同じである。このステップST210において、面積比が「おおよそ1対1」であることが判断されると、横断歩道の終わりが未だ検出されていないと認識され、シーケンスはステップST201に戻って上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST210において、面積比が「おおよそ1対1」であることが判断されると、次いで、フラグが非検出状態に変更される(ステップST211)。このステップST211の処理は、図5のステップST112の処理と同じである。次いで、検出終了位置が取得される(ステップST212)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、ステップST202において自車位置方位修正部5から取得した自車位置を、検出終了位置として記録する。
次いで、検出判断が行われる(ステップST213)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、検出開始位置と検出終了位置の差から検出距離を算出し、この距離が横断歩道の幅としてあり得る一定範囲(小さ過ぎずかつ大き過ぎない)であれば、検出開始位置を交差点からの離脱位置とする。そして、交差点進入検出処理(ステップST1)から受け取った交差点への進入位置と、この交差点離脱検出処理で算出した交差点からの離脱位置とをステップST3の処理に渡し、交差点離脱検出処理を終了する。なお、検出開始位置と検出終了位置の差が一定範囲外であれば、ステップST3の処理に何も渡さずに交差点離脱検出処理を終了する。
以上説明した交差点進入検出処理(ステップST1)および交差点離脱検出処理(ステップST2)においては、認識対象として横断歩道を用いた場合の例であるが、以下では、認識対象として停止線を用いる場合について説明する。
停止線を認識対象とする場合は、スキャンエリアは、停止線に向かって自車が垂直に進行した場合に、スキャンエリアが完全に停止線の白色領域で満たされるように、自車の進行方向に直交する方向(図2および図3にスキャンエリアとして示す矩形の横方向)は長く、かつ縦方向は映像上の停止線の幅より短く設定するのが望ましい。また、撮影により得られる停止線の映像は、透視変換の影響やひずみなどによって長方形にはならないので、映像上の停止線の形状に合致させるように、スキャンエリアを台形とすることもできる。
スキャンエリアを上記のように設定することにより、停止線に進入してから離脱するまでの間だけスキャンエリアの映像はおおむね白色になる。それゆえ、停止線を認識対象とする交差点進入検出処理(ステップST1)は、図5に示すフローチャートのステップST105およびステップST111において「面積比はおおよそ1対1か?」と判断している部分を、「おおむね白色のみか?」と判断するように置き換えることによって実現することができる。
同様に、停止線を認識対象とする交差点離脱検出処理(ステップST2)は、図6に示すフローチャートのステップST207およびステップST210において「面積比はおおよそ1対1か?」と判断している部分を、「おおむね白色のみか?」と判断するように置き換えることによって実現することができる。なお、上述した「おおむね白色のみか?」と判断する場合の判断基準は、設計者が望ましい結果が得られるように調整して設定するように構成できる。
また、交差点進入離脱認識部12は、認識対象を横断歩道または停止線として処理するように構成したが、この発明では必ずしも認識対象として横断歩道または停止線のいずれか一つを選択する必要はなく、交差点進入検出処理(ステップST1)および交差点離脱検出処理(ステップST2)の各々において、横断歩道および停止線の双方を認識対象とする処理を行い、交差点進入検出処理においては、いずれかの処理結果を用いて交差点への進入を検出し、交差点離脱検出処理においては、いずれかの処理結果を用いて交差点からの離脱を検出するように構成することができる。この構成によれば、交差点の前には停止線しかなく、交差点の後には横断歩道しかない場合であっても、交差点への進入および交差点からの離脱を検出することができる。
さらに、横断歩道、停止線などの道路標示は、交差点前後で配置される順番が決められている。たとえば、交差点の手前に横断歩道および停止線のいずれもある場合には、手前に停止線、その後に横断歩道がある。このような順番を考慮して、交差点進入検出処理(ステップST1)および交差点離脱検出処理(ステップST2)を行うように構成できる。この構成によれば、複数の道路標示が交差点前後にある場合にも正確に交差点への進入および交差点からの離脱を検出することが可能になる。
図1に示す交差点道路比較部13は、交差点進入離脱認識部12から、自車の交差点への進入位置および交差点からの離脱位置が送られてきた場合は、進入位置と離脱位置とを結ぶ直線と、地図データベース6を検索することによって得られる、その交差点で交差する道路の道路リンクとの幾何学的計算によって前後方向のずれを計算し、この計算結果を自車位置方位修正部5に送る。なお、交差点進入離脱認識部12が、自車の交差点への進入位置とおよび交差点からの離脱位置を出力するのは、進入位置と離脱位置とを結ぶ直線が、おおむね自車の走行軌跡に一致している場合に限られる。
交差点道路比較部13において行われる処理を説明するために、まず、自車位置方位修正部5から得られるマップマッチング後の自車の位置にずれがない場合の交差点への進入位置および交差点からの離脱位置と、地図データベース6から得られるノードおよび道路リンクとの関係を、図7を参照しながら説明する。図7において、一点鎖線は道路リンクを、丸印はノードをそれぞれ表している。図7に示すような、ほぼ直角に交差する交差点の場合は、自車位置方位修正部5から得られるマップマッチング後の自車位置が正確であれば、交差点への進入位置と交差点からの離脱位置とを結ぶ直線と、交差する道路の道路リンクとの交点は、進入位置と離脱位置のほぼ中央になる。
しかしながら、自車位置方位修正部5から得られるマップマッチング後の自車の位置が実際の位置に比べ前後方向にずれている場合は、交差点進入離脱認識部12から出力される交差点への進入位置および交差点からの離脱位置は、このずれを含んでいる。たとえば、実際の自車位置よりも進行方向で後ろにずれている場合の例を図8に示す。交差点進入離脱認識部12において交差点への進入が検出された位置は、実際の位置よりもずれの大きさ分だけ後ろになる。同様に、交差点から離脱した位置も、実際よりもずれの大きさ分だけ後ろになる。それゆえ、交差点道路比較部13は、このずれを計算して自車位置方位修正部5へ送る。
ずれの計算は以下のようにして行われる。図8に示す例の場合は、検出された交差点への進入位置と交差点からの離脱位置を通る直線と交差する道路リンクとの交点と、交差点への進入位置と交差点からの離脱位置の中央点との差が「ずれ」として計算される。詳細は以下のとおりである。
交差する道路リンクが接する2つのノードの位置をN1およびN2、交差点への進入位置および交差点からの離脱位置をそれぞれPentryおよびPexitとすると、進入位置Pentryと離脱位置Pexitとの中央点Pcenterは「Pcenter=(Pentry+Pexit)/2」によって求められる。また、ノードN1とノードN2とを結ぶ道路リンク(直線)をN1N2で表し、進入位置Pentryと離脱位置Pexitとを結ぶ直線をPentryPexitで表し、直線N1N2と直線PentryPexitとの交点をPcpとすると、ずれErrは「Pcenter−Pcp」となる。
また、図9に示すように、交差する道路に中央分離帯が存在し、交差する道路リンクが2つ存在する場合のずれの計算方法を図10に示す。交差点進入離脱認識部12から出力される交差点への進入位置と交差点からの離脱位置の中央を中点1とする。次に、交差点への進入位置と交差点からの離脱位置を通過する直線と交差する道路リンク1および道路リンク2との2つの交点を交点1および交点2とし、これら交点1と交点2の中央を中点2とする。これら中点1と中点2の差がずれとして計算される。3以上の道路リンクと交差する場合にも上記と同様の方法で計算を行うことにより、ずれを算出することができる。
なお、交差する道路リンクを地図データベース6から検索する場合には、交差点への進入位置および交差点からの離脱位置に近接するという条件だけでなく、交差する道路リンクが道路幅の情報を有する場合は、この道路幅と交差点への進入位置と交差点からの離脱位置の差がおおむね一致するものを選択するように構成できる。
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置によれば、スキャンエリアを設けて路面の限られた領域を認識対象としているので、他車や歩行者が映り込みにくく、安定的な認識処理を行うことができる。また、認識対象とする領域をスキャンエリアに限定したので、認識に必要な計算量を削減することができる。また、スキャンエリア内の映像を2値化し、白の画素によって形成される領域の面積と黒の画素によって形成される領域の面積との割合に基づき交差点への進入位置および交差点からの離脱位置を認識するように構成したので、認識に必要な計算量を削減するとともに、安定的な認識が可能になる。
また、カメラ10で撮影する領域は、車両に既設の側方カメラや後方カメラの撮影領域と一致していることから、そのカメラをそのまま利用することが可能である。また、路面の限られた領域を対象に交差点の前後に設置されている道路標示に差し掛かったり、走り抜けたことを認識する処理を行うことにより、特許文献1に開示されているような前方にある認識対象そのものの形状を認識する方法に比べ、遙かに少ない計算量で安定的に交差点に対する進入および離脱を検出することができる。そして、交差する道路リンクとの幾何学的計算によりずれ量を計算できるので、既存の地図データベースをそのまま利用できる。
実施の形態2.
上述した実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置では、図2および図3に示すスキャンエリアを設け、交差点進入離脱認識部12は、そのスキャンエリア内の画像を認識対象として、道路標示への差し掛かりや走り抜けを認識している。これに対し、この発明の実施の形態2に係る車載用ナビゲーション装置においては、図11および図12に示すようなスキャンラインを設け、このスキャンライン上の直線領域のみを認識対象にしている。
この発明の実施の形態2に係る車載用ナビゲーション装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置の構成と同じである。
交差点進入離脱認識部12において行われる、スキャンラインを用いた交差点進入離脱認識処理は、交差点進入検出処理(ステップST1)および交差点離脱検出処理(ステップST2)の各々の処理内容が異なることを除けば、図4のフローチャートを参照して説明した実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置における交差点進入離脱認識処理と同じである。したがって、以下では、交差点進入検出処理および交差点離脱検出処理のみを説明する。
図4に示した交差点進入離脱認識処理のステップST1において、スキャンエリアの代わりにスキャンラインを用いて行われる交差点進入検出処理の詳細を、認識対象として横断歩道が用いられる場合を例に挙げて、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
交差点進入検出処理においては、まず、次フレーム取得処理が行われる(ステップST301)。このステップST301の処理は、図5のステップST101の処理と同じである。次いで、2値化処理が行われる(ステップST302)。このステップST302の処理は、図5のステップST102の処理と同じである。
次いで、パターン解析が行われる(ステップST303)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、ステップST302で生成した2値画像に基づき、スキャンライン上の白の画素と黒の画素の出現パターンを解析し、一定数以上連続した白の画素と一定数以上連続した黒の画素が、交互に何度か出現するかどうかを調べる。そして、連続した白の画素と連続した黒の画素が交互に何度か出現した場合は、横断歩道パターンを認識できたと判断し、それ以外の場合は何も認識できなかったと判断する。白の画素または黒の画素が連続する数は、カメラ10の取り付け位置や横断歩道の白線の幅などを考慮して、最適な認識結果が得られるように、設計者が設定するように構成することができる。また、連続した白の画素と連続した黒の画素とが交互に出現する回数も、設計者が適宜に設定するように構成することができる。
次いで、フラグが非検出状態または検出中状態のいずれに設定されているかが調べられる(ステップST304)。このステップST304の処理は、図5のステップST104の処理と同じである。このステップST304において、フラグが非検出状態に設定されていることが判断されると、次いで、横断歩道パターンであるかどうかが調べられる(ステップST305)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、ステップST303で解析された結果が、横断歩道パターンを示しているかどうかを調べる。このステップST305において、横断歩道パターンでないことが判断されると、シーケンスはステップST301に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST305において、横断歩道パターンであることが判断されると、次いで、フラグが検出中状態に変更される(ステップST306)。このステップST306の処理は、図5のステップST106の処理と同じである。次いで、検出開始位置および方向が取得される(ステップST307)。このステップST307の処理は、図5のステップST107の処理と同じである。その後、シーケンスはステップST301に戻り、上述した処理が繰り返される。
上記ステップST304において、フラグが検出中状態に設定されていることが判断されると、ステップST308以下に示す、横断歩道に差し掛かった状態に対する処理が行われる。この処理においては、まず、現在位置および方位が取得される(ステップST308)。このステップST308の処理は、図5のステップST108の処理と同じである。次いで、方向および位置が不正であるかどうかが調べられる(ステップST309)。このステップST309の処理は、図5のステップST109の処理と同じである。
このステップST309において、方向および位置が不正であると判断されると、不正とみなされた道路標示の検出を改めてやり直すために、フラグが検出中状態から非検出状態に変更される(ステップST310)。このステップST310の処理は、図5のステップST110の処理と同じである。その後、シーケンスはステップST301に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST309において、方向および位置が適正であると判断されると、次いで、横断歩道パターンであるかどうかが調べられる(ステップST311)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、ステップST302で解析された結果が、横断歩道パターンを示しているかどうかを調べる。このステップST311において、横断歩道パターンであることが判断されると、横断歩道を横切っている最中であると認識され、シーケンスはステップST301に戻って上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST311において、横断歩道パターンでないことが判断されると、フラグが非検出状態に変更される(ステップST312)。このステップST312の処理は、図5のステップST112の処理と同じである。次いで、検出終了位置が取得される(ステップST313)。このステップST313の処理は、図5のステップST113の処理と同じである。
次いで、検出結果が妥当であるかどうかが調べられる(ステップST314)。このステップST314の処理は、図5のステップST114の処理と同じである。このステップST314において、検出結果が妥当でない、つまり検出距離が一定範囲外であることが判断されると、横断歩道の検出に失敗したと認識されて、シーケンスはステップST301に戻り、再度、上述した処理がやり直される。一方、ステップST314において、検出結果が妥当である、つまり検出距離が一定範囲内であると判断されると、検出終了位置および方位が交差点への進入位置および方位として交差点離脱検出処理(ステップST2)に渡され、交差点進入検出処理は終了する。
次に、図4に示した交差点進入離脱認識処理のステップST2において、スキャンエリアの代わりにスキャンラインを用いて行われる交差点離脱検出処理の詳細を、認識対象として横断歩道が用いられる場合を例に挙げて、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
交差点離脱検出処理においては、まず、次フレーム取得処理が行われる(ステップST401)。このステップST401の処理は、図6のステップST201の処理と同じである。次いで、現在位置および方位が取得される(ステップST402)。このステップST402の処理は、図6のステップST202の処理と同じである。次いで、位置および方位は妥当であるか否かが調べられる(ステップST403)。このステップST403の処理は、図6のステップST203の処理と同じである。このステップST403において、位置および方位が妥当でないことが判断されると、交差点離脱検出処理は終了する。
一方、ステップST403において、位置および方位が妥当であることが判断されると、次いで、2値化処理が行われる(ステップST404)。このステップST404の処理は、図6のステップST204の処理と同じである。次いで、パターン解析が行われる(ステップST405)。このステップST405の処理は、図13のステップST303の処理と同じである。次いで、フラグが非検出状態または検出中状態のいずれに設定されているかが調べられる(ステップST406)。このステップST406の処理は、図6のステップST206の処理と同じである。
このステップST406において、フラグが非検出状態に設定されていることが判断されると、次いで、横断歩道パターンであるかどうかが調べられる(ステップST407)。このステップST407の処理は、図13のステップST305の処理と同じである。このステップST407において、横断歩道パターンでないことが判断されると、シーケンスはステップST401に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST407において、横断歩道パターンであることが判断されると、次いで、フラグが検出中状態に変更される(ステップST408)。このステップST408の処理は、図6のステップST208の処理と同じである。次いで、検出開始位置および方向が取得される(ステップST409)。このステップST409の処理は、図6のステップST209の処理と同じである。その後、シーケンスはステップST401に戻り、上述した処理が繰り返される。
上記ステップST406において、フラグが検出中状態に設定されていることが判断されると、次いで、横断歩道パターンであるかどうかが調べられる(ステップST410)。このステップST410の処理は、ステップST407の処理と同じである。このステップST410において、横断歩道パターンであることが判断されると、シーケンスはステップST401に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST410において、横断歩道パターンでないことが判断されると、フラグが非検出状態に変更される(ステップST411)。このステップST411の処理は、図6のステップST211の処理と同じである。次いで、検出終了位置が取得される(ステップST412)。このステップST412の処理は、図6のステップST212の処理と同じである。
次いで、検出判断が行われる(ステップST413)。すなわち、交差点進入離脱認識部12は、検出開始位置と検出終了位置の差から検出距離を算出し、この距離が横断歩道の幅としてあり得る一定範囲(小さ過ぎずかつ大き過ぎない)であれば、検出開始位置を交差点からの離脱位置とする。そして、交差点進入検出処理(ステップST1)から受け取った交差点への進入位置と、この交差点離脱検出処理で算出した交差点からの離脱位置とをステップST3の処理に渡し、交差点離脱検出処理を終了する。なお、検出開始位置と検出終了位置の差が一定範囲外であれば、ステップST3の処理に何も渡さずに交差点離脱検出処理を終了する。
以上説明した交差点進入検出処理(ステップST1)および交差点離脱検出処理(ステップST2)においては、認識対象が存在する領域としてスキャンラインを用い、認識対象として横断歩道を用いた場合の例であるが、以下では、認識対象が存在する領域としてスキャンラインを用い、認識対象として停止線を用いた場合について説明する。
スキャンラインが停止線上に存在する場合は、スキャンライン上の2値化画像に、白い画素が一定数以上連続して存在するかどうかが調べられる。このとき、しきい値となる白の画素数は、スキャンライン上において、映像上の停止線の全長より短くなり、横断歩道の白線の幅よりも長くなるように設定される。カメラ10が車両の側方に取り付けられており、映像上に停止線が映らない場合は、設計者が白の画素数のしきい値を適宜に調整するように構成できる。
スキャンラインを上記のように設定し、白の画素数が一定数以上連続するかどうかが調べられ、白の画素数が一定数以上連続する場合に停止線パターンであると判断される。具体的には、交差点進入検出処理(ステップST1)は、図13に示すフローチャートのステップST305およびステップST311において「横断歩道パターンであるか?」と判断している部分を、「停止線パターンであるか?」と判断するように置き換えることによって実現することができる。
同様に、停止線を認識対象とした交差点離脱検出処理(ステップST2)は、図14に示すフローチャートのステップST407およびステップST410において「横断歩道パターンであるか?」と判断している部分を、「停止線パターンであるか?」と判断するように置き換えることによって実現することができる。
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る車載用ナビゲーション装置によれば、道路標示を認識する際に、スキャンエリアの代わりにスキャンラインを用いることにより、画像認識を行う範囲が狭くなるので、計算量が減少させることができる。また、限定された領域のみで道路標示の認識が可能となるため、雨天や夜間といった撮影条件であっても安定した計算結果が得られる。
実施の形態3.
上述した実施の形態1および実施の形態2に係る車載用ナビゲーション装置においては、図15に示すように、カメラ10の取り付け位置によっては、スキャンエリアを設定した路面と自車位置との間に、オフセットが存在することがある。カメラ10が自車の側方に取り付けられており、真下の映像を取得する場合は、オフセットは0mであるが、カメラ10が前方に取り付けられており、ボンネットが大きい場合は、オフセットは大きくなる。上述した実施の形態1および実施の形態2に係る車載用ナビゲーション装置では、このオフセットは考慮されていないが、この発明の実施の形態3に係る車載用ナビゲーション装置は、交差点進入離脱認識部12において、オフセットを考慮して自車位置を決定するようにしたものである。
図16は、この発明の実施の形態3に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。この車載用ナビゲーション装置は、実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置に、オフセット設定部14が追加されて構成されている。オフセット設定部14は、映像取得部11から得られる映像および入力操作部8から入力された操作データから、オフセットを決定する。
たとえば、車両の購入時からカメラ10が備え付けられている場合は、車両の製造者があらかじめ画角やひずみ等といったカメラパラメータを取得しておけばよいが、車両の購入後にカメラを取り付ける場合は、ユーザが、自分でオフセットの値を設定することになる。ユーザが自分でオフセットの値を設定する方法を、図17に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ユーザは、映像取得部11から得られた映像上に、スキャンエリアの位置を示す基準線を重畳表示させる(ステップST501)。基準線は、設計者があらかじめ用意しておく。ユーザがスキャンエリアを自由に変更できるように、スキャンエリアが固定されていない場合は、現在設定されているスキャンエリアの画面の縦方向の中心位置を基準線として表示することができる。
次いで、ユーザは、基準線と、路面上の特徴物とが一致する位置に車両を停止させる(ステップST502)。特徴物は、白線や石などといった路面に存在するものであれば何であってもよいが、厚みが少ないものが望ましい。次いで、ステップST502において基準線と一致させた特徴物と、自車の中心との間の、自車の進行方向に沿った距離を計測する(ステップST503)。次いで、ステップST503で計測された距離を、入力操作部8を操作して入力する(ステップST504)。
交差点進入離脱認識部12は、映像取得部11から得られる路面の映像から自車が交差点に進入したと認識し、自車位置方位修正部5から得られる自車位置と、オフセット設定部14から得られるオフセットとを使用して、交差点へ進入した地点の位置を計算する。同様に、交差点から離脱した地点の位置も計算する。
交差点進入離脱認識部12では、基本的には、実施の形態1において図4〜図6を用いて説明した処理と同じ処理が行われる。ただし、図5に示すフローチャートのステップST108および図6に示すフローチャートのステップST202で行う現在位置および方位を取得する処理においては、交差点進入離脱認識部12は、自車位置方位修正部5から得られた自車位置および方位を、オフセット設定部14から得られたオフセットで補正して現在の自車位置および方位を計測する。
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る車載用ナビゲーション装置によれば、オフセット設定部14を設けて、カメラ10で撮影できる路面と、自車位置とのオフセットを設定し、交差点への進入位置および交差点からの離脱位置を取得する際に、オフセットを考慮するように構成したので、前後方向のずれを、より正確に修正できる。
実施の形態4.
上述した実施の形態1〜3に係る車載用ナビゲーション装置においては、横断歩道などの道路標示を認識する際に、2値化画像を用いて交差点への進入および交差点からの離脱を認識するように構成したが、この発明の実施の形態4に係る車載用ナビゲーション装置においては、カメラ10で撮影する範囲に光を投射して画像認識を行いやすくしたものである。
図18は、この発明の実施の形態4に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。この車載用ナビゲーション装置は、実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置に投射機15が追加されて構成されている。投射機15は、光線をカメラ10で撮影する範囲に投射する。これにより、交差点進入離脱認識部12において行われる画像認識処理が行いやすくなる。投射機15としては、たとえばヘッドライトなどの車に既設されているライトを用いることができる。また、投射機15として、小型の投光機などを新しく設置することもできる。また、カメラ10が赤外線の反射を検知できる機能を有する場合は、投射機15として赤外線投射機を用い、可視光線以外の光線を投射するように構成することもできる。
映像取得部11は、実施の形態1のそれと同じであるが、投射機15が赤外線以外の可視光線を投射する場合には、カメラ10から可視光線の反射映像を取得し、投射機15が赤外線を投射する場合には、カメラ10から赤外線の反射映像を取得するといったように、投射機15が投射する光の種類に応じた映像を取得する。
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係る車載用ナビゲーション装置によれば、投射機15を設けることにより、交差点進入離脱認識部12は、カメラ10から画像認識を行いやすい映像を取得することができるので、夜間や雨天といった環境の変化に強い車載用ナビゲーション装置が得られる。
なお、実施の形態4に係る車載用ナビゲーション装置は、実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置に投射機15を追加するように構成したが、実施の形態2または実施の形態3に係る車載用ナビゲーション装置に投射機15を追加するように構成することができ、この場合も上記と同様の作用および効果を奏する。
実施の形態5.
図19は、この発明の実施の形態5に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。この車載用ナビゲーション装置は、実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置に、画像取得位置計算部16が追加されるとともに、映像取得部11および交差点進入離脱認識部12の機能が変更されて構成されている。
映像取得部11は、カメラ10から送られてくるアナログの映像信号を計算機で処理可能なデジタルの映像信号に変換して交差点進入離脱認識部12に送るとともに、デジタルの映像信号から静止画の画像データを取得する。この画像データによって表される静止画を、以下では、単に「画像」と呼ぶ。映像取得部11は、1枚の画像を取得するたびに、画像を取得した旨および画像取得周期を画像取得位置計算部16に送る。
画像取得位置計算部16は、映像取得部11から画像を取得した旨が送られてくると、同時に映像取得部11から送られてくる画像取得周期と、車速センサ2から得られる速度信号によって示されるその時点の自車の速度とに応じて、画像上に設定されている認識対象とする領域を変更する。この画像取得位置計算部16で変更された認識対象とする領域は、交差点進入離脱認識部12に送られる。
交差点進入離脱認識部12は、映像取得部11から送られてくる映像信号によって表される路面の映像のうちの、画像取得位置計算部16から送られてくる認識対象とする領域に含まれる映像から自車が交差点に進入したことを認識し、自車位置方位修正部5から得られる自車位置を用いて、交差点への進入位置および交差点からの離脱位置を計算し、交差点道路比較部13に送る。
なお、この実施の形態5に係る車載用ナビゲーション装置では、画像取得位置計算部16は、画像取得周期を映像取得部11から取得するように構成しているが、画像取得周期が一定であることが既知である場合は、画像取得周期を、あらかじめ画像取得位置計算部16の内部に設定しておくように構成することができる。また、画像取得位置計算部16は、自車の速度を車速センサ2から取得するように構成しているが、自車位置方位計算部4に保持されている自車位置を取得し、この自車位置の時間変化を用いて自車の速度を計算するように構成することができる。
以下、画像取得位置計算部16の動作について説明する。今、映像取得部11における画像取得周期を、1秒あたりf枚とする。また、その時点の自車の速度を、1秒あたりsメートルとする。このとき、1枚の画像を取得する間に自車が進む距離はs/fメートルになる。この距離s/fが大きくなりすぎれば、例えば、認識対象としての横断歩道の幅よりも大きくなれば、実施の形態1で使用されるスキャンエリア(図2参照)または実施の形態2で使用されるスキャンライン(図11および図12参照)に、横断歩道が掛からない場合が発生する。
そこで、画像取得位置計算部16は、画像取得周期および自車の速度に基づきスキャンエリアまたはスキャンラインの数および位置を計算し、既に設定されているスキャンエリアまたはスキャンラインの数および位置を変更する。この画像取得位置計算部16で行われる計算の例を、図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の計算の例では、図11および図12に示したスキャンラインを例に挙げて説明するが、図2に示したスキャンエリアの場合も同様に対処することができる。
スキャンラインの数および位置の計算に先立って、設計者は、認識対象(例えば、横断歩道)の大きさから、最小認識間隔minSpanを適切に決定しておく。ここで、最小認識間隔minSpanとは、少なくともこの間隔でスキャンラインを設ければ、認識対象がスキャンラインの間に挟まれて認識できなくなるという問題が発生しない道路上の距離を言う。例えば、横断歩道であれば、通常2m以上の幅があることが予測されるので、最小認識間隔minSpanは2m以下に設定すればよい。通常、自車の速度の計測誤差等も見込んで、最小認識間隔minSpanを、道路上の1.5mに設定すれば横断歩道を検出できると考えられる。以下では、この最小認識間隔minSpanは、画像取得位置計算部16にあらかじめ与えられているものとする。
まず、画像の取得待ちが行われる(ステップST601)。すなわち、画像取得位置計算部16は、映像取得部11から画像を取得した旨が送られてくるまで処理を停止して待機しており、画像を取得した旨が送られてきた場合に、映像取得部11から画像取得周期fを取得する。次いで、自車の速度sが取得される(ステップST602)。すなわち、画像取得位置計算部16は、車速センサ2から送られてくる速度信号に基づき、その時点における速度を計算し、自車の速度sとして取得する。
次いで、「s/f≧minSpan」であるかどうかが調べられる(ステップST603)。すなわち、画像取得位置計算部16は、ステップST601で取得した画像取得周期fとステップST602で取得した自車の速度sとから距離s/fを計算し、この距離s/fが、最小認識間隔minSpan以上であるかどうかを調べる。このステップST603において、「s/f≧minSpan」でない、つまり「s/f<minSpan」であることが判断されると、スキャンラインは、認識対象(例えば、横断歩道)に必ず掛かる旨が認識され、スキャンライン数nが「1」に設定される(ステップST606)。その後、シーケンスはステップST601に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST603において、「s/f≧minSpan」であることが判断されると、スキャンラインは、認識対象(例えば、横断歩道)に掛からない場合が発生する旨が認識され、スキャンライン数の計算が行われる(ステップST604)。すなわち、画像取得位置計算部16は、スキャンライン数nを、以下の(1)式を満たすものから選ぶ。
minSpan*(n−1)≦s/f<minSpan*n (nは2以上の整数)・・・(1)
次いで、スキャンラインの位置が計算される(ステップST605)。すなわち、画像取得位置計算部16は、スキャンラインの位置を、以下の(2)式にしたがって計算する。ここで、L1をスキャンラインが1本の時のスキャンラインの位置とし、Lnをn本目のスキャンラインの位置とする。なお、Lnの位置は道路上の位置であり、交差点進入離脱認識部12で実際に認識する画素は、道路上の位置を撮影することにより得られた画像上の位置の画素である。その後、シーケンスはステップST601に戻り、上述した処理が繰り返される。
Ln=Ln−1+s/(f*n) (nは2以上の整数)・・・(2)
これらの関係を、具体的な数値を用いて、図21を参照しながら説明する。この図21に示す例では、f=5(1秒間に5枚の映像を撮影)、minSpan=1.5m、自車の速度s=10m/sec(時速36kmで一定速度で走行している)とする。
このとき、ステップST602では、s/f=10/5=2が取得され、画像を1フレーム取得する間に2mだけ進むことがわかる。この距離2mは、最小認識間隔minSpanである1.5mを上回るので、ステップST603では、「s/f≧minSpan」であると判断され、ステップST604へ進む。ステップST604においては、スキャンライン数n=2が(1)式を満たすため、n=2と決定される。
次いで、ステップST605において、2スキャンラインの位置Lnが算出される。すなわち、n=2を(2)式に代入し、
L2=L1+10/(5*2)=L1+1
となる。つまり、2本目のスキャンラインの位置L2は、1本目のスキャンラインの位置L1の道路上で1メートルだけ前方となる。
なお、このままの一定速度で走行すれば、次の映像が得られるときは、車は2mだけ前方に進み、その時のL1の位置は、図21に示すXの位置、L2の位置はXより1mだけ前方となる。したがって、1mの等間隔で道路面をスキャンできることになる。
以上説明したように、この発明の実施の形態5に係る車載用ナビゲーション装置によれば、画像取得位置計算部16を設けることにより、自車の速度に応じて認識すべき画像上の位置を変更することができるので、映像を取得する回数が少ない場合であっても所望の機能を実現することが可能となる。
なお、上述した実施の形態5に係る車載用ナビゲーション装置では、上述した(1)式を満たすスキャンライン数nを見つけることにより所望の機能を得るように構成したが、スキャンライン数nを固定し、画像取得周期fを変数として上記(1)式を満たすような画像取得周期fを設定することによっても同様の効果を得ることが可能である。
1 GPS受信機、2 車速センサ、3 方位センサ、4 自車位置方位計算部、5 自車位置方位修正部、6 地図データベース、7 ナビゲーション制御部、8 入力操作部、9 表示部、10 カメラ、11 映像取得部、12 交差点進入離脱認識部、13 交差点道路比較部、14 オフセット設定部、15 投射機、16 画像取得位置計算部。