JP2008216650A - 配向膜の製造方法、液晶装置の製造方法 - Google Patents

配向膜の製造方法、液晶装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性の向上を図り、所望の品質が得られる配向膜の製造方法、液晶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】所定雰囲気のチャンバ内において基板上に無機配向膜を成膜する配向膜の製造方法において、無機材料供給手段から飛来する無機材料をアルキル化して基板上に堆積させるアルキル化処理・堆積工程S4aを含む。
【選択図】図5

Description

本発明は、配向膜の製造方法、液晶装置の製造方法に関するものである。
液晶装置の品質は水分により劣化する可能性が高い。そのため、液晶装置の製造工程中において、配向膜など液晶装置を構成する部材が吸湿したり、その部材に水分が付着することを抑える必要がある。
液晶装置を構成する部材が吸湿した状態、あるいはその部材に水分が付着した状態を放置したままで、その部材を用いた液晶装置の製造を続行すると、製造後の液晶装置の品質は不十分なものとなり、生産性の低下にもつながる。また、水分のみならず、液晶装置を構成する部材の表面が異常な状態を放置したままで、その部材を用いた液晶装置の製造を続行した場合にも、製造後の液晶装置の品質は不十分なものとなり、生産性の低下にもつながる。
液晶装置に用いる配向膜としては、ポリイミド等の有機材料からなる高分子膜をラビング処理したものを用いる場合が多い。ところが、近時においては、耐熱性や耐光性の向上等を目的として、酸化珪素等の無機材料からなる配向膜、すなわち無機配向膜を用いることが提案されている。
無機配向膜は、無機材料の蒸気流と積層構造の最表面とが接触し、積層構造上に無機材料が蒸着されることによって形成される。基板上に蒸着した無機材料は、この無機材料のカラム構造が被成膜面に対して所定の角度で傾斜をなすように、配列することにより堆積している。しかし、斜方蒸着法等により形成された無機配向膜は、その表面に分極した水酸基が多数存在してしまい、特に水等の極性基を持つ化合物を吸着し易い。その結果、特に水を吸着することにより、この水が液晶の劣化を引き起こしてしまい、表示性能が悪くなるといった課題があった。
そのため、無機配向膜の耐久性等を向上させる手段の一つとして、無機配向膜の表面を長鎖アルコールやシランカップリング剤などのアルキル鎖をもつ材料でコーティング(アルキル化)する技術がある(例えば、特許文献1)。このようにして、無機配向膜に撥液性が付与されて水分の浸入を防止したり、液晶が変質することを抑制する。
特開平8−22009号公報
しかしながら、斜方蒸着させた無機配向膜は非常に微細なカラム構造であることから間隙が多く、その隙間にまで十分に撥液処理することが困難である。そのため、上記処理の本来の効果が発揮されていないことがあった。さらに、従来は配向膜形成後、配向膜の水分を除去する工程なども必要であり、表面の撥液化処理には大変な時間を要していたことから、製造時間が長くなり製品の生産効率を低下させる要因となっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産性の向上を図り、所望の品質が得られる配向膜の製造方法、液晶装置の製造方法を提供することにある。
本発明の配向膜の製造方法は、所定雰囲気のチャンバ内において基板上に無機配向膜を成膜する配向膜の製造方法において、無機材料供給手段から飛来する無機材料をアルキル化して基板上に堆積させる処理堆積工程、を含むことを特徴とする。
本発明の配向膜の製造方法によれば、アルキル化された無機材料を基板上に堆積させることによって、カラム構造全体が撥液性を有することになり、カラム間の微細な隙間においても十分な撥液効果が得られるものとなる。これにより、配向膜の表面状態(カラム構造)を変化させることなく耐久性を向上させることができるので、液晶配向性に優れた無機配向膜を成膜することができる。
また、無機材料をアルキル化して基板上に堆積させている本発明では、無機材料の撥液化と堆積とを同じチャンバ内で同時に行なうことができる。よって、処理時間が短縮されて歩留まりが向上する。
本発明の配向膜の製造方法は、所定雰囲気のチャンバ内において基板上に無機配向膜を成膜する配向膜の製造方法において、無機材料供給手段から飛来する無機材料を基板に堆積させる堆積工程と、基板に堆積した無機材料をアルキル化する処理工程と、を含み、堆積工程と処理工程とを交互に繰り返すことによって成膜することを特徴とする。
本発明の配向膜の製造方法によれば、無機材料供給手段から飛来する無機材料を基板上に所定量堆積させる工程と、基板上に堆積した無機材料をアルキル化する工程とを交互に行いつつ無機配向膜を成膜することによって、カラム間の隙間における奥行きが深くなる前、つまり、撥液処理が堆積構造の表面全体に施される状態で当該処理を行うことができ、カラムの表面全体に撥液性を付与することができる。これにより、カラム間の微細な隙間においても十分な撥液効果が得られるものとなる。よって、配向膜の表面状態(カラム構造)を変化させることなく耐久性を向上させることができるので、液晶配向性に優れた無機配向膜を成膜することができる。
また、無機材料の蒸着、及び撥液化は、どちらも水分を排除した状態を必要とする工程であることから、基板上に無機材料を堆積させる工程と、無機材料をアルキル化する工程とを、同じチャンバ内で行なうことができる。よって、処理時間が短縮されて歩留まりが向上する。
また、前記処理工程において、金属アルコキシドで、主にオクタデシルトリメトキシシランを含む、シランカップリング剤、Al系カップリング剤、Mg系カップリング剤の少なくとも、いずれか1つを用いて、無機材料をアルキル化することが好ましい。
この方法によれば、処理材料が金属アルコキシドで、主にオクタデシルトリメトキシシランを含む、シランカップリング剤、Al系カップリング剤、Mg系カップリング剤の少なくともいずれか1つを用いれば、無機材料と容易且つ確実に反応固着させることができる。これにより、無機配向膜が吸湿したり、無機配向膜に水分が付着したりすることを抑えつつ、無機配向膜に所定の性能を与えることができる。
また、処理工程において、減圧雰囲気下で行うことが好ましい。
このような製造方法によれば、無機材料のアルキル化を減圧雰囲気下で行うことによって、アルキル化する処理材料が揮発し易く、無機材料の撥液化における反応時間(処理時間)が短縮される。処理材料によっては、揮発に高温を必要とする材料もあることから、減圧した状態で処理工程を行うことで、用いる材料の幅を広げることができる。
また、基板を加熱することも好ましい。
このような製造方法によれば、基板を加熱することにより、処理材料が揮発し易く、無機材料の撥液化における反応時間が短縮される。また、基板を加熱することにより、カラム構造の成長段階において無機材料の核発生密度が低下したとしても、基板上に付着した処理材料が新たな核となって微細構造が形成される。そのため、液晶配向性に優れた無機配向膜を形成することができる。
本発明の液晶装置の製造方法は、無機配向膜を備える液晶装置の製造方法であって、上記した配向膜の製造方法により、基板上に無機配向膜を形成する工程を備えたことを特徴とする。
本発明の液晶装置の製造方法によれば、無機配向膜とシール材との間の密着性が高まり、無機配向膜の柱状構造に起因する微小な隙間からの表示領域内への水分即ち水分子の浸入を防止することができる。これにより、配向膜や液晶の劣化を抑制でき、液晶装置の耐湿性を向上させることができる。したがって、優れた表示特性を確保することができるとともに、製造時間が短縮され生産性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の製造方法により製造する液晶装置の概略構成を説明するためのTFTアレイ基板の平面図、図2は、液晶装置の等価回路図、図3は、液晶装置の平面構造の説明図、図4は、液晶装置の断面構造の説明図であり、図3のA−A’線における矢視側断面図である。
「液晶装置」
液晶装置60は、図4に示すように、対向配置された一対の基板10,20間に液晶50が挟持されて構成されている。一対の基板10,20のうちの一方であるTFTアレイ基板10(基板)の中央には、図1に示すように、画像表示領域101が形成されている。この画像表示領域101の周縁部にはシール材19が配設されており、これによって画像表示領域101には液晶50(図4参照)が封止されている。シール材19の外側には、後述する走査線に走査信号を供給する走査線駆動回路110と、後述するデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動素子120とが実装されている。その駆動回路110、120から、TFTアレイ基板10の端部の接続端子79にかけて、配線76が引き廻されている。
一方、TFTアレイ基板10に貼り合わされる対向基板20(図4参照,基板)には、共通電極21(図4参照)が形成されている。この共通電極21は、画像表示領域101の略全域に形成されたもので、その四隅には基板間導通部70が設けられている。この基板間導通部70からは、接続端子79にかけて配線78が引き廻されている。
そして、外部から入力された各種信号が、接続端子79を介して画像表示領域101に供給されることにより、液晶装置60が駆動されるようになっている。
[等価回路図]
液晶装置の画像表示領域101には、図2の等価回路図に示すように、これを構成すべく複数のドットがマトリクス状に配置されており、これら各ドットには、それぞれ画素電極9が形成されている。また、その画素電極9の側方には、該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30が形成されている。このTFT素子30のソースにはデータ線6aが接続されている。各データ線6aには、前述したデータ線駆動素子から画像信号S1、S2、…、Snが供給されるようになっている。
また、TFT素子30のゲートには走査線3aが接続されている。走査線3aには、前述した走査線駆動素子から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。一方、TFT素子30のドレインには画素電極9が接続されている。そして、走査線3aから供給された走査信号G1、G2、…、Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンにすると、データ線6aから供給された画像信号S1、S2、…、Snが、画素電極9を介して各ドットの液晶に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極9と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極9と容量線3bとの間に蓄積容量17が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶に入射した光源光が変調されて、画像光が作製されるようになっている。
また、本実施形態の液晶装置では、図3の平面構造説明図に示すように、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOという)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9(破線9aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されている。さらに、画素電極9の縦横の境界に沿って、データ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。本実施形態では、各画素電極9の形成された矩形領域がドットであり、マトリクス状に配置されたドットごとに表示を行うことが可能な構造になっている。
TFT素子30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層1aを中心として形成されている。半導体層1aのソース領域(後述)には、コンタクトホール5を介して、データ線6aが接続されている。また、半導体層1aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール8を介して、画素電極9が接続されている。一方、半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分には、チャネル領域1a’が形成されている。
[断面構造]
また、この液晶装置60は、図4の断面構造説明図に示すように、TFTアレイ基板10と、これに対向配置された対向基板20と、これらの間に挟持された液晶50とを主体として構成されている。TFTアレイ基板10は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体10A、及びその内側に形成されたTFT素子30や画素電極9、無機配向膜16などを主体として構成されている。一方の対向基板20は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20A、及びその内側に形成された共通電極21や無機配向膜22などを主体として構成されている。
TFTアレイ基板10の表面には、第1遮光膜11a及び第1層間絶縁膜12が形成されている。そして、第1層間絶縁膜12の表面に半導体層1aが形成され、この半導体層1aを中心としてTFT素子30が形成されている。半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分にはチャネル領域1a’が形成され、その両側にソース領域及びドレイン領域が形成されている。このTFT素子30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用しているため、ソース領域及びドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。すなわち、ソース領域には低濃度ソース領域1bと高濃度ソース領域1dとが形成され、ドレイン領域には低濃度ドレイン領域1cと高濃度ドレイン領域1eとが形成されている。
半導体層1aの表面には、ゲート絶縁膜2が形成されている。そして、ゲート絶縁膜2の表面に走査線3aが形成されて、チャネル領域1a’との対向部分がゲート電極を構成している。また、ゲート絶縁膜2及び走査線3aの表面には、第2層間絶縁膜4が形成されている。そして、第2層間絶縁膜4の表面にデータ線6aが形成され、第2層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホール5を介して、そのデータ線6aが高濃度ソース領域1dに接続されている。さらに、第2層間絶縁膜4及びデータ線6aの表面には、第3層間絶縁膜7が形成されている。そして、第3層間絶縁膜7の表面に画素電極9が形成され、第2層間絶縁膜4及び第3層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール8を介して、その画素電極9が高濃度ドレイン領域1eに接続されている。さらに、画素電極9を覆うように無機配向膜16が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向が規制されるようになっている。
なお、本実施形態では、半導体層1aを延設して第1蓄積容量電極1fが形成されている。また、ゲート絶縁膜2を延設して誘電体膜が形成され、その表面に容量線3bが配置されて第2蓄積容量電極が形成されている。これらにより、前述した蓄積容量17が構成されている。
また、TFT素子30の形成領域に対応する基板本体10Aの表面に、第1遮光膜11aが形成されている。第1遮光膜11aは、液晶装置に入射した光が、半導体層1aのチャネル領域1a’、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに侵入することを防止するものである。
一方、対向基板20における基板本体20Aの表面には、第2遮光膜23が形成されている。第2遮光膜23は、液晶装置に入射した光が半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c等に侵入するのを防止するものであり、平面視において半導体層1aと重なる領域に設けられている。また対向基板20の表面には、略全面にわたってITO等の導電体からなる共通電極21が形成されている。さらに、共通電極21の表面には無機配向膜22が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向が規制されるようになっている。
ここで、TFTアレイ基板10側の無機配向膜16、及び対向基板20側の無機配向膜22は、共に本発明の特徴的な構成要素となっている。つまり、無機配向膜16,22には、後述する撥液性有機材料(例えばシランカップリング剤)によるアルキル化処理(撥液化処理)が施されている。これにより、無配配向膜22の耐久性が向上するとともに、表面に配置される液晶の配向が所定方向に規制されるようになっている。
図4に示したように本実施形態の液晶装置60には、上述したようなアルキル化処理を行った無機配向膜16(22)を有するTFTアレイ基板10と対向基板20との間に、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶等からなる液晶50が挟持され、シール材19(図1参照)によって封止されている。
また、両基板10,20の外側には、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素をドープした材料等からなる偏光板21A、21Bが配置されている。なお、各偏光板21A、21Bは、サファイヤガラスや水晶等の高熱伝導率材料からなる支持基板上に装着して、液晶装置60から離間配置することが望ましい。各偏光板21A、21Bは、その吸収軸方向の直線偏光を吸収し、透過軸方向の直線偏光を透過する機能を有する。TFTアレイ基板10側の偏光板21Aは、その透過軸が無機配向膜16の配向規制方向と略一致するように配置され、対向基板20側の偏光板21Bは、その透過軸が無機配向膜22の配向規制方向と略一致するように配置されている。
本発明は、上記した液晶装置の製造方法に関するもので、以下に本発明の各実施形態について述べる。
[第1実施形態に係る液晶装置の製造方法]
図5は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置の製造方法を示すフローチャート図である。図6(a)は無機配向膜を形成するための成膜装置の概略構成図であり、(b)は基板の表面に無機配向膜が形成される様子を説明するための模式図である。また、図7(a)〜(c)は液晶装置の無機配向膜を形成する工程を示す断面図である。
なお、以下の説明において、対向基板20の無機配向膜22についてはTFTアレイ基板10に形成される無機配向膜16と同様の工程により形成されるため説明を省略する。
以下、図5のフローチャートに沿って図6,7を用いて説明するとともに、適宜図4を参照する。
図5に示すように、本実施形態に係る製造方法は、無機配向膜を備えた上記液晶装置の製造方法であって、無機配向膜を構成する無機材料をアルキル化してから基板上に堆積させるアルキル化処理・堆積工程S4aを含む、配向膜形成工程S4を備える。
図5に示すように、本実施形態においては、まず、TFTアレイ基板10を作成する基板作成工程S1が行われる。基板作成工程S1は、TFTアレイ基板10を製造する工程と、対向基板20を製造する工程とを含む。
TFTアレイ基板10を製造する工程では、ガラス基板上に、画素電極、薄膜トランジスタ(TFT)、及び蓄積コンデンサ等を含む画素部分と、画素に電気信号等を供給する配線部分とが、例えばフォトリソグラフィ法、あるいはインクジェット法等の所定の手法を用いて形成される。TFTアレイ基板10は、ガラス基板上に形成された種々の金属膜、絶縁膜、半導体層、及び不純物層等を含む。
対向基板20(カラーフィルタ基板)を製造する工程では、ガラス基板上に、ブラックマトリクス、着色パターン(カラーフィルタ)、保護膜、及び電極等が、例えばフォトリソグラフィ法、あるいはインクジェット法等の所定の手法を用いて形成される。
基板作成工程S1の後、洗浄工程S2が行われる。洗浄工程S2では、基板作成工程S1で形成されたTFTアレイ基板10と対向基板20とが洗浄される。洗浄工程S2では、ウエット洗浄処理及びドライ洗浄処理の少なくとも一方が実行される。ウエット洗浄処理は、例えば、洗浄液を用いて基板を洗浄する動作、純水等でリンスする動作、及び超音波等を用いて微粒子を除去する動作を含む。ドライ洗浄処理は、例えば基板に紫外光を照射する動作を含む。
洗浄工程S2が終了した後、基板上に残留している水分を除去するために、乾燥工程S3が実行される。乾燥処理は、例えばホットプレートを用いて基板を乾燥する動作、及び基板に遠赤外光等を照射してその基板を乾燥する動作等を含む。乾燥処理された後の基板は、温度調整(冷却)される。
乾燥工程S3の後、TFTアレイ基板10上に無機配向膜16を形成する配向膜形成工程S4が実行される。本実施形態の配向膜形成工程S4は、無機材料をアルキル化処理(撥液化処理)して基板上へ堆積させるアルキル化処理・堆積工程S4aを含む。
本実施形態においては、図6に示す成膜装置40は従来公知の斜方蒸着法によって、TFTアレイ基板10の表面10aに無機配向膜16を形成する。無機配向膜16は、SiO、SiO等の珪素酸化物、Al、ZnO、MgO、及びITO等の金属酸化物等を含む無機材料により形成される。
[成膜装置の構成]
ここで、無機配向膜を形成する成膜装置40の構成について図6(a)、(b)を参照して説明する。
成膜装置40は、チャンバ503と、無機材料82の蒸気流を発生させる蒸着源512(無機材料供給手段)と、TFTアレイ基板10を保持する保持機構514と、シランカップリング剤85を供給する処理材料供給源515(処理材料供給手段)と、シランカップリング剤85の揮発を促す処理反応促進部516と、を備えている。TFTアレイ基板10は、蒸着源512とTFTアレイ基板10の基板面中心位置とを結ぶ基準線X1と、TFTアレイ基板10の被成膜面と垂直に交わる直線X2とのなす角θ0が、所定値となるように、保持機構514に保持される。従って、図6(a)、(b)において矢印Y1によって示される、蒸着源512で発生された無機材料82の進行方向、すなわち無機材料82が飛ぶ方向と、TFTアレイ基板10において配向膜が形成される表面10a(被成膜面)とのなす角度θ1は、角度θ0を変化させることによって調整可能となっている。なお、この角度θ1は、無機配向膜16において配向制御を行うための表面形状効果が得られるように、後述する柱状構造体を被成膜面上に配列させるための所定値に設定されている。ただし、本実施形態では斜方蒸着を行うことから、角度θ1は90°未満となっている。
処理材料供給源515は、蒸着源512と保持機構514との間に配置され、無機材料82の蒸気流の上昇経路上におけるTFTアレイ基板10近傍に、昇華したシランカップリング剤85を噴霧して供給するものである。これにより、無機材料82の粒子表面がシランカップリング剤85によりコーティングされ、撥液性を有することになる。
処理反応促進部516は、TFTアレイ基板10近傍に光を照射するフラッシュランプであって、シランカップリング剤85と無機材料82との反応を促進させる機能を果たす。本実施形態においてはフラッシュランプを用いたが、レーザやマイクロ波などエネルギーを付与できるものであればこれに限ったものではない。但し、プラズマはTFTアレイ基板10にダメージを与える虞があるため好ましくない。
以下に、上記成膜装置40を用いた配向膜形成工程S4について詳しく述べる。
本実施形態の配向膜形成工程S4は、図5に示すように、無機材料82をアルキル化処理して基板上へ堆積させるアルキル化処理・堆積工程S4aと、アルキル化された無機材料82が堆積してなる無機配向膜16の表面を撥液処理する表面処理工程S4bとを備えている。
まず、アルキル化処理・堆積工程S4aにおいて、図6(b)中の矢印Y1で示すように、CVD法により、蒸着源512にて昇華された無機材料82の粒子表面を処理材料供給源515より供給されたシランカップリング剤85によりアルキル化処理し、当該無機材料82を被成膜面10a上に堆積させる。具体的には、蒸着源512により無機材料82の蒸気流を発生させた後、あるいは発生と同時に、シランカップリング剤85を蒸気としてチャンバ503内に導入する。蒸着源512から飛来する無機材料82は、その上昇経路上に供給されたシランカップリング剤85の蒸気に晒されることにより、無機材料82(粒子の表面)がシランカップリング剤85によってコーティングされ、撥液性が付与される。
このとき、成膜装置40内の温度を例えば100〜200℃の所定温度に設定した状態で、無機材料82のアルキル化(撥液化)を行う。
シランカップリング剤85による無機材料82のアルキル化は、処理反応促進部516(フラッシュランプ)の光の照射により促進されることから、処理期間中、フラッシュランプでエネルギーを与えることで反応速度を高めるようにする。これにより処理時間が短縮される。この処理により、図7(a)に示すように、無機材料82の表面がシランカップリング剤85でコーティングされる。
そして、図7(b)に示すように、撥液性を有した無機材料82が、所定の温度(150〜200℃)で加熱されたTFTアレイ基板10に対して一定の入射角度(傾斜角度)で連続入射する。これにより、図7(c)に示すように、TFTアレイ基板10にアルキル化された無機材料82が斜め柱状に堆積し、無機材料82(珪素酸化物)の柱状構造体16aが形成される。
本実施形態において無機配向膜16は、TFTアレイ基板10の被成膜面10aに無数に形成された柱状構造体16aにより構成されている。本実施形態においては、アルキル化された無機材料82が堆積することで構成される配向膜であることから、無機配向膜16の表面(柱状構造体16a,16aの間隙)は確実に撥液性を有したものとなる。
ここで、シランカップリング剤85としては、液晶を無機配向膜16の表面に対して垂直配向させる配向規制力を無機配向膜16の表面に付与する場合に用いるシランカップリング剤85と、液晶を無機配向膜16の表面に対して水平配向させる配向規制力を無機配向膜16の表面に付与する場合に用いるシランカップリング剤85とで異なる。
垂直配向させる配向規制力を付与する場合、シランカップリング剤85としては、有機官能基が良好な撥液性を有し、かつ良好な耐光性を有するものであれば良く、具体的には、有機官能基(Y)がアルキル基であるものが用いられ、より具体的にはSi(OCH(C1837)が好適に用いられる。さらには、アルキル基を有するシランカップリング剤の一部又は全部の有機官能基をCF基に置換しても良い。これにより、より無機配向膜16の表面の撥液性を向上させることができる。
そして、図4に示す液晶装置60が、上記アルキル基を有するシランカップリング剤85を用いて処理した無機配向膜16,22を備えて構成された場合、電圧を印加していない状態において液晶分子は、無機配向膜16,22の表面に対して略垂直に配向する。一方、電圧を印加している状態において液晶分子は、電極9,21間の電界により、無機配向膜16,22の表面に対して略水平に配向する。
シランカップリング剤85はアルキル基を有するため、アルキル化処理された無機材料82を蒸着させることで、撥液性を有した無機配向膜16,22となる。そのため、無機配向膜16,22の表面の表面エネルギーが小さくなり、電圧を印加していない状態においては液晶分子を無機配向膜16,22の表面に対して簡易に略垂直に配向させることができるようになっている。
水平配向させる配向規制力を付与する場合、シランカップリング剤85としては、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、芳香族を有するシランカップリング剤、脂肪族に少なくとも1つの酸素原子を有する脂肪族シランカップリング剤、脂環式シランカップリング剤、鎖中に芳香環及び数個の酸素原子を有するシランカップリング剤、脂肪鎖中に枝分かれを有するシランカップリング剤、又はテロ環芳香族基を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
そして、図4に示す液晶装置60が、上記エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、又は芳香族を有するシランカップリング剤85を用いて処理した無機配向膜16,22を備えて構成された場合、電圧を印加していない状態において液晶分子は、無機配向膜16,22の表面に対して略水平に配向する。一方、電圧を印加している状態において液晶分子は、電極9,21間の電界により、無機配向膜16,22の表面に対して略垂直に配向する。
このように、シランカップリング剤85に上記材料を用いることにより、撥液性を有した無機配向膜16,22を形成できるとともに、無機配向膜16,22の表面の液晶を配向させる規制力が変化するため、液晶分子を無機配向膜16,22の表面に対して簡易に略水平方向に配向させることができる。
以上、無機配向膜16,22が所定の膜厚となったところで蒸着源512からの無機材料82の供給を停止し、次の表面処理工程S4bへと移行する。
次に、表面処理工程S4bにおいて、TFTアレイ基板10上の無機配向膜16の表面を撥液処理する。蒸着源512による無機材料82の供給を停止した後も、処理材料供給源515からのシランカップリング剤85の供給を続け、無機配向膜16の表面全体にシランカップリング剤85による表面処理を施す。これにより、柱状構造体16a同士の隙間がシランカップリング剤85により埋め込まれ、無機配向膜16の表面がより緻密となる。
無機配向膜16の表面を処理した後は、組立工程S5が実行される。組立工程S5は、TFTアレイ基板10と対向基板20との貼り合わせ工程、貼り合わせた基板10,20同士を所望の大きさに切断する工程等を含む。貼り合わせ工程は、TFTアレイ基板10と対向基板20とのギャップからの液晶の流出を防止するためのシール材を配置する工程とを含む。
例えば、図8(a)の模式図に示すように、TFTアレイ基板10上及び対向基板20上の少なくとも一方に、シール材19が配置され、TFTアレイ基板10と対向基板20とが貼り合わせられる。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、TFTアレイ基板10の表面10aに形成された無機配向膜16と、対向基板20の表面20aに形成された無機配向膜22とが対向するように、貼り合わせられる。
次に、液晶注入工程S6が実行される。図8(b)の模式図に示すように、注入口19aより、TFTアレイ基板10と対向基板20とのギャップに液晶50が注入される。ギャップに液晶50が注入された後、注入口19aが封止される。そして、図8(c)の模式図に示すように、TFTアレイ基板10の裏面に偏光板21Aが設けられるとともに、対向基板20の裏面に偏光板21Bが設けられ、液晶装置60が形成される。
なお、表面処理工程S4bと組立工程S5との間において、必要に応じて、基板の洗浄処理が行われる。また、組立工程S5と液晶注入工程S6との間において、必要に応じて、TFTアレイ基板10の乾燥処理が実行される。
以上説明したように本実施形態においては、液晶装置60の製造過程において、液晶装置60を構成する無機配向膜16、22を、アルキル化した無機材料82を堆積させることにより形成している。液晶装置60の性能は、水分により劣化しやすい可能性が高いが、吸湿しやすい無機配向膜16、22であっても、その無機配向膜16、22を構成する無機材料82自体をアルキル化して、撥液性を有した無機材料82を基板上に堆積させることで、耐湿性に優れた無機配向膜16、22を得ることができる。これにより、無機配向膜16,22のの性能低下を抑制し、所望の品質を有する液晶装置60を製造するための適切な処置を講ずることができる。
具体的には、無機配向膜16,22をSiO2により形成する場合、その表面には分極した水酸基が多数存在することになるが、水酸基とシランカップリング剤85との反応により水酸基を除去することができる。これにより、水酸基の影響を抑制することができるので、耐湿性に優れた無機配向膜が得られる。
また、配向膜形成工程S4において、無機配向膜16,22の表面に柱状構造体16a,22aに起因するポーラスな孔(柱状構造体同士の隙間)が形成されるが、本実施形態では、シランカップリング剤85によりアルキル化処理された無機材料82を蒸着させることで、ポーラスな孔を含む表面全体が撥液性を有した無機配向膜16,22とすることができる。したがって、無機配向膜16,22の耐湿性が向上し、無機配向膜16,22の劣化を抑えることができる。また、アルキル化と堆積を同時に行なうことができるので、製造時間が短縮されて歩留まりが向上する。
さらに、アルキル化処理・堆積工程S4a後に表面処理工程S4bを設けることで、無機配向膜16,22の表面のポーラスな孔(柱状構造体同士の隙間)がシランカップリング剤により埋め込まれることになり、無機配向膜16,22の表面が緻密となる。これにより、例えばシール材19と無機配向膜16,22との界面からの水分の浸入経路が遮断される。したがって、無機配向膜16,22とシール材19との間の密着性が高まり、液晶装置60の耐湿性、及び信頼性の向上をさらに図ることができる。
また、本実施形態のアルキル化処理は、無機配向膜16,22の材料としてSiOに限定されないため、上記したようなAl、ZnO、MgF若しくはITO等の金属酸化物等の多種の材料を用いて多種の方法により無機配向膜16,22を形成することができる。なお、本実施形態においては、斜方蒸着法により無機配向膜16,22を形成しているが、他の方法として、イオンビームスパッタ法等の方法を採用することができる。
なお、本実施形態においては、撥液性有機材料としてシランカップリング剤85を用いたが、Al系カップリング剤あるいはMg系カップリング剤を用いることとしてもよい。
アルコールとしては、例えば側鎖を持つものであっても良いし、水素原子の一部又は全部をフッ素、窒素等で置換したものであってもよい。また、置換基としては、水素基、フッ素基、窒素基のみならず、その他の置換基であってもよい。アルコールは、無機材料82がSiOである場合に特に好適である。
[第2実施形態に係る液晶装置の製造方法]
図9に、本発明の第2実施形態に係る液晶装置の製造方法を示すフローチャートを示す。図10は第2実施形態において無機配向膜を形成するための成膜装置の概略構成図であり、図11(a)〜(g)は液晶装置の無機配向膜を形成する工程を示す断面図である。
なお、以下の説明においては、配向膜形成工程S4についてのみ説明し、その他の液晶装置の製造工程については上記第1実施形態と同様の方法が採用されるため、説明を省略する。
以下、図9のフローチャートに沿って図10,11を用いて説明するとともに、適宜図4を参照する。
本実施形態の配向膜形成工程S4は、図9に示すように、無機材料82を基板上へ堆積させる堆積工程S4eと、無機材料82をアルキル化処理するアルキル化処理工程S4fと、交互に繰り返し、TFTアレイ基板10上に無機配向膜16を形成する。
[成膜装置の構成]
ここで、無機配向膜16を形成する成膜装置90の構成について図10を参照して説明する。
成膜装置90は、チャンバ内に、無機材料82の蒸気流を発生させる蒸着源512と、TFTアレイ基板10を保持する保持機構514と、シランカップリング剤を供給する処理材料供給源515と、シランカップリング剤と無機材料82との反応を促進させる処理反応促進部516と、蒸着源512からの無機材料82の蒸気流を遮断する遮断機構517と、を備えている。TFTアレイ基板10は、蒸着源512とTFTアレイ基板10の基板面中心位置とを結ぶ基準線X1と、TFTアレイ基板10の被成膜面と垂直に交わる直線X2とのなす角θ0が、所定値となるように、保持機構514に保持される。従って、図10において矢印Y1によって示される、蒸着源512で発生された無機材料82の進行方向、すなわち無機材料82が飛ぶ方向と、TFTアレイ基板10において配向膜が形成される基板面(被成膜面)とのなす角度θ1は、角度θ0を変化させることによって調整可能となっている。なお、この角度θ1は、無機配向膜16において配向制御を行うための表面形状効果が得られるように、後述する柱状構造体を被成膜面上に配列させるための所定値に設定されている。ただし、本実施形態では斜方蒸着を行うことから、角度θ1は90°未満となっている。
遮断機構517は、無機材料82を放出する蒸着源512の放出口512A上を被覆可能な大きさを有し、図中E方向に移動する。この遮断機構517は、蒸着源512から放出される無機材料82の上昇を適宜遮断する目的で、その上昇経路上における放出口512A近傍に進退可能に設けられ、破線で示す遮断位置で停止することにより無機材料82を遮断する。本実施形態の遮断機構517は、基板に対する無機材料82の蒸着を一時的に停止可能とする構成であればこれに限ったものではなく、例えば蒸着源512と一体に形成してもよい。
以下に、上記成膜装置90を用いた配向膜形成工程S4について詳しく述べる。
まず、堆積工程S4eにおいて、上記成膜装置90を用いてTFTアレイ基板10上に斜方蒸着すると、図11(a)中矢印で示すように、蒸着源512から昇華した無機材料82がTFTアレイ基板10に対して一定の入射角度(傾斜角度)で連続入射し、TFTアレイ基板10上に最初に蒸着した無機材料粒子が核となって後に続く粒子がその上に堆積していく。このようにして、TFTアレイ基板10上に無機材料82を所定量堆積させる。
ここで、蒸着を行う期間は、無機材料の種類等その他蒸着条件により適宜設定されるものとする。この時点では、TFTアレイ基板10上の堆積構造が、後のアルキル化処理工程S4fにおいて、シランカップリング剤85による表面処理を効果的に行うことのできる構造である必要がある。すなわち、無機材料82がTFTアレイ基板10上に斜め柱状に堆積し、堆積部36が成長していくことで柱状構造体16aが構成されることになるが、堆積部36同士の隙間の奥行きが深くなりすぎず、堆積部36の表面全体を確実にシランカップリング剤85にてコーティングすることのできる堆積構造とする。この条件に基づいて処理時間が設定される。所定時間蒸着を行った後、遮断機構517を作動させて図10中破線で示した遮断位置へと移動させる。
次に、アルキル化処理工程S4fにおいて、CVD法により、図11(b)に示すように、TFTアレイ基板10上に堆積した堆積部36の表面を処理材料供給源515より供給されたシランカップリング剤85によりアルキル化処理する。このとき、蒸着源512からの無機材料82は、図10に示す遮断機構517に捕捉されてその進行が阻害され、TFTアレイ基板10まで達しない。そのため、堆積部36の表面全体がシランカップリング剤85でコーティングされて堆積構造に撥液性が付与される。処理は数分程度行われ、堆積構造の表面処理が全て終了した時点でシランカップリング剤85の供給を停止する。
その後、再び遮断機構517を作動させて遮蔽位置から後退させ、図11(c)に示すように、TFTアレイ基板10に対する無機材料82の堆積工程S4eを行う。ここでは、前工程においてアルキル化処理された堆積構造上に新たな堆積部36aが形成されることになる。そして、再び遮断機構517を遮蔽位置に移動させて無機材料82を遮断して、図11(d)に示すように、新たに形成された堆積部36aを含む堆積構造の表面全体を撥液処理するアルキル化処理工程S4fを行う。続けて、図11(e)に示すように堆積工程S4eを行い、図11(f)に示すようにアルキル化処理工程S4fを行う。
本実施形態においては、図11(a)〜(f)に示すように、堆積工程S4eとアルキル化処理工程S4fとを交互に行い、堆積構造が所定の膜厚となるまで繰り返す。この処理により、図11(g)に示すように、無機材料82とシランカップリング剤85とが積層するようにして構成された柱状構造体16aが多数形成され、無機配向膜16がTFTアレイ基板10上に形成される。
ここで、上記したように、アルキル化処理工程S4f及び堆積工程S4eの各工程において、成膜装置90内の圧力調整を行うようにしてもよい。なお、成膜装置90内の圧力調整が(用いる材料の種類等によって)難しい場合には、アルキル化処理工程S4fと堆積工程S4eとを異なるチャンバ内で行うようにしてもよい。この場合、成膜装置の構成を、例えば各チャンバ内の空調をそれぞれの処理に最適な環境に調整し、両チャンバ内を基板が自由に移動可能な構成とすることで可能となる。このように、各処理に最適な環境の下で作業を行うことにより、各処理における本来の効果を確実に発揮させることができる。
次に、TFTアレイ基板10上の無機配向膜16の表面を撥液処理する表面処理工程S4gが実行される。蒸着源512による無機材料82の供給を停止した後も、処理材料供給源515からのシランカップリング剤85の供給を続け、無機配向膜16の表面全体にシランカップリング剤85によるコーティングを施す。これにより、柱状構造体16a同士の隙間がシランカップリング剤85により埋め込まれ、無機配向膜16の表面がより緻密となる。この表面処理工程S4gは、上記第1実施形態における表面処理工程S4bと同様の処理である。
蒸着源512から飛来する無機材料82を基板10上に所定量堆積させる堆積工程S4eと、基板10上に堆積した無機材料82に対して撥液性を付与するアルキル化処理工程S4fとを交互に行いつつ無機配向膜16を成膜することによって、柱状構造体16a(堆積部36)間の隙間における奥行きが深くなる前、つまり、アルキル化処理が堆積構造の表面全体に行き届く状態でアルキル化処理を施すことができ、堆積部36(堆積構造)の表面全体にアルキル化処理を施すことができる。これにより、柱状構造体16a同士の間の微細な隙間においても十分な撥液効果が得られるものとなる。よって、配向膜の表面状態(カラム構造)を変化させることなく耐久性を向上させることができるので、液晶配向性に優れた無機配向膜16を成膜することができる。
また、無機材料82の蒸着(上記堆積工程S4e)、及びアルキル化(上記アルキル化処理工程S4f)は、どちらも水分を排除した状態を必要とする工程であることから、無機材料82に撥液性を付与する工程と、基板10上に無機材料82を堆積させる工程とを、同じチャンバ内で行なうことができる。よって、処理時間が短縮されて歩留まりが向上する。
[プロジェクタ]
図12は、本実施形態に係る製造方法を用いて製造された液晶装置60を備えたプロジェクタを示す図である。図12に示すプロジェクタPJは、上述の実施形態に係る液晶装置を光変調手段として備えたものである。
図12において、プロジェクタPJは、光源810と、ダイクロイックミラー813、814と、反射ミラー815、816、817と、入射レンズ818と、リレーレンズ819と、射出レンズ820と、液晶装置60からなる光変調手段822、823、824と、クロスダイクロイックプリズム825と、投射レンズ826とを備えている。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とを含む。
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射して、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射した緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射し、緑色光用光変調手段823に入射する。さらに、ダイクロイックミラー813で反射した青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および射出レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。
各光変調手段822、823、824により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、スクリーン827上に画像を形成する。
上述の構成を有するプロジェクタPJは、上述の製造方法で製造された液晶装置60を光変調手段として備えている。液晶装置60の無機配向膜16、22は、耐光性および耐熱性に優れており、光源810から照射される強い光や熱による劣化が抑えられる。また、プロジェクタPJは、吸湿に起因する品質の劣化が抑制された液晶装置60を備えているので、そのプロジェクタPJ自体の吸湿に起因する品質の劣化も抑制される。
なお、本発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、上述の実施形態においては、スイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を備えた液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、液晶装置としては、透過型液晶装置であってもよいし、反射型液晶装置であってもよい。
また、液晶装置としては、TN(Twisted Nematic)モードで機能する液晶装置であってもよいし、VA(Vertical Alignment)モードで機能する液晶装置であってもよい。また、上述の実施形態においては、3板式の投射型表示装置(プロジェクタ)を例にして説明したが、単板式の投射型表示装置や直視型表示装置であってもよい。
また、本発明の液晶装置を、プロジェクタ以外の電子機器に適用することも可能である。その具体例として、携帯電話を挙げることができる。この携帯電話は、上述の実施形態、またはその変形例に係る液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
液晶装置の概略構成を示す平面図である。 液晶装置の等価回路図である。 TFTの構成を示す平面図である。 図3に示すTFTのA−A’線に沿った断面図である。 第1実施形態に係る液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る斜方成膜装置の概略構成を示す図である。 第1実施形態に係る配向膜形成工程を示す断面図である。 第1実施形態に係る液晶装置の製造工程を示す図である。 第2実施形態に係る液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る斜方成膜装置の概略構成を示す図である。 第2実施形態に係る配向膜形成工程を示す断面図である。 プロジェクタの概略構成を示す平面図である。
符号の説明
40,90…成膜装置、60…液晶装置、16,22…無機配向膜、16a…柱状構造体、82…無機材料,85…シランカップリング剤、10,20…基板、503…チャンバ、512…蒸着源(無機材料供給手段)、515…処理材料供給源(処理材料供給手段)

Claims (6)

  1. 所定雰囲気のチャンバ内において基板上に無機配向膜を成膜する配向膜の製造方法において、
    無機材料供給手段から飛来する無機材料をアルキル化して前記基板上に堆積させる処理堆積工程、を含むことを特徴とする配向膜の製造方法。
  2. 所定雰囲気のチャンバ内において基板上に無機配向膜を成膜する配向膜の製造方法において、
    無機材料供給手段から飛来する無機材料を前記基板上に堆積させる堆積工程と、
    前記基板上に堆積した前記無機材料をアルキル化する処理工程と、を含み、
    前記堆積工程と前記処理工程とを交互に繰り返すことによって成膜することを特徴とする配向膜の製造方法。
  3. 前記処理工程において、
    金属アルコキシドで、主にオクタデシルトリメトキシシランを含む、シランカップリング剤、Al系カップリング剤、Mg系カップリング剤の少なくとも、いずれか1つを用いて、前記無機材料をアルキル化することを特徴とする請求項1又は2記載の配向膜の製造方法。
  4. 前記処理工程において、
    減圧雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配向膜の製造方法。
  5. 前記基板を加熱することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の配向膜の製造方法。
  6. 無機配向膜を備える液晶装置の製造方法であって、
    上記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の配向膜の製造方法により、基板上に前記無機配向膜を形成する工程を備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
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