JP2008214664A - 焼結体の製造方法および焼結体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Fe−Al−Si系合金で構成された複数のコア粒子1と、Ni基金属材料で構成された複数のNi基金属粒子2と、バインダとを混合するとともに造粒し、造粒粉末を得る造粒工程と、得られた造粒粉末を所定の形状に成形し、成形体を得る成形工程と、得られた成形体に脱脂処理を施し、脱脂体を得る脱脂工程と、得られた脱脂体を焼成し、焼結体30を得る焼成工程とを有する。このような方法によれば、複数のコア粒子1同士の間に、Ni基金属粒子2が分布してなる焼結体30が得られる。焼結体30では、脆いコア粒子1を、靭性の高いNi基金属粒子2が補強して、全体の靭性が高くなっている。
【選択図】図4
Description
また、Fe−Al−Si系合金材料は、耐摩耗性にも優れていることから、磁気テープと継続的に擦れ合う磁気ヘッドの構成材料としても用いられている。
例えば、特許文献1には、Fe−Al−Si系合金粉末に、バインダとして、ポリビニルアルコール、メチルセルロースおよびポリアクリルアミドのうちの1種または2種を0.1〜2.0wt%の割合で添加し、さらに水を加えて混練するとともに、この混練物からスプレードライヤー装置により、平均粒径20〜400μmの造粒粉末を製造し、この造粒粉末を用いて焼結合金を得ることを特徴とするFe−Al−Si系焼結合金の製造方法が開示されている。
本発明の焼結体の製造方法は、Fe−Al−Si系合金で構成された複数のコア粒子と、Ni基金属材料で構成された複数のNi基金属粒子と、バインダとを混合するとともに造粒し、造粒粒子を得る第1の工程と、
前記造粒粒子を所定の形状に成形し、成形体を得る第2の工程と、
前記成形体を焼成し、焼結体を得る第3の工程とを有することを特徴とする。
これにより、磁気特性に優れるとともに、靭性が高いため、例えば外部応力が加わる機械部品として用いることができるFe−Al−Si系合金の焼結体を容易に製造することができる。
これにより、各コア粒子と各Ni基金属粒子とが均一に分散してなり、脆い各コア粒子を靭性の高い各Ni基金属粒子で効率よく補強してなる成形体が得られる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記Fe−Al−Si系合金は、Feを主成分とし、Alの含有率が3〜8wt%であり、Siの含有率が5〜11wt%であることが好ましい。
これにより、高い透磁率と高い飽和磁束密度とを示す焼結体を得ることができる。
Ni単体は、靭性が特に高いため、焼結体の靭性を特に高めることができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記造粒粒子の平均粒径は、40〜180μmであることが好ましい。
これにより、造粒粒子を成形型に充填して成形体を形成する際に、造粒粒子が、流動性および成形型への充填性に優れたものとなる。
これにより、コア粒子とNi基金属粒子とが混ざり易くなるとともに、Ni基金属粒子がコア粒子を覆うように分布し易くなる。このため、コア粒子の表面や、複数のコア粒子同士の間隙に、Ni基金属粒子が分布してなる造粒粒子が容易に得られる。
これにより、コア粒子とNi基金属粒子とがより混ざり易くなる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記コア粒子の平均粒径は、2〜20μmであることが好ましい。
これにより、焼結体中に形成されるFe−Al−Si系合金の結晶粒のサイズが、比較的小さいものとなる。このため、焼結体中の結晶組織内での破壊確率が低下し、焼結体の抗折強度や靭性等の機械的特性を高めることができる。
これにより、造粒粒子中において、Ni基金属粒子がコア粒子の表面を覆うように分布したり、複数のコア粒子同士の間隙に入り込んだりすることが容易になる。したがって、このような状態の造粒粒子を用いて焼結体を製造することにより、例えコア粒子が非常に脆い粒子であっても、靭性の高い焼結体を得ることができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記造粒粒子における前記コア粒子と前記Ni基金属粒子との混合比は、重量比で99.5:0.5〜90:10であることが好ましい。
これにより、焼結体の磁気特性が著しく低下するのを防止しつつ、焼結体の靭性を高めることができる。
前記バインダを溶媒に溶解してなるバインダ溶液を供給しつつ、前記混合物を造粒し、前記造粒粒子を得る工程とを有することが好ましい。
これにより、例えば、Ni基金属粒子の粒径が比較的大きいために、バインダ溶液中に均一に分散させ難い場合でも、コア粒子とNi基金属粒子とを均一に分散させることができる。
該分散液を供給しつつ、前記複数のコア粒子を造粒し、前記造粒粒子を得る工程とを有することが好ましい。
これにより、Ni基金属粒子をバインダ溶液に乗せて効率よく拡散させることができる。このため、コア粒子とNi基金属粒子とをさらに均一に分散させることができる。
これにより、粒度分布の比較的狭い造粒粉末を効率よく製造することができる。
本発明の焼結体の製造方法では、前記第3の工程において、前記焼成の温度を1100〜1270℃とし、前記焼成の時間を0.5〜8時間とすることが好ましい。
これにより、コア粒子の溶融を防止しつつ、成形体を確実に焼結させることができる。
これにより、磁気特性に優れるとともに、靭性が高いFe−Al−Si系合金の焼結体が得られる。
本発明の焼結体は、Fe−Al−Si系合金で構成された複数のコア粒子同士の間に、Ni基金属材料が分布してなることを特徴とする。
これにより、磁気特性に優れるとともに、靭性が高いFe−Al−Si系合金の焼結体が得られる。
これにより、得られるFe−Al−Si系合金の焼結体は、その優れた磁気特性を維持しつつ、機械的特性が特に高いものとなるため、例えば、機械部品等として好適に適用可能なものとなる。
本発明の焼結体では、空孔率が1〜10%であることが好ましい。
これにより、得られるFe−Al−Si系合金の焼結体は、その機械的特性が特に高くなるとともに、磁気特性もさらに高くなる。
<第1実施形態>
まず、本発明の焼結体の製造方法および焼結体の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の焼結体の製造方法の第1実施形態を示す工程図、図2は、第1実施形態にかかる焼結体の製造方法で用いる造粒粉末の縦断面を模式的に示す図、図3は、第1実施形態にかかる焼結体の製造方法で得られた成形体の縦断面を模式的に示す図、図4は、本発明の焼結体の縦断面を模式的に示す図である。
本実施形態では、まず、コア粒子となるFe−Si−Al系合金で構成された複数の粒子を含むFe−Si−Al系合金粉末と、Ni基金属粒子となるNi基金属材料で構成された複数の粒子を含むNi基金属粉末とを、混合して混合物を得る。
ここで、コア粒子は、前述したように、Fe−Al−Si系合金で構成されている。
一方、Ni基金属粒子は、前述したように、Ni基金属材料で構成されている。このNi基金属材料は、Niを主成分として含む金属材料である。
一方、粉末冶金技術により、Fe−Al−Si系合金粉末とバインダとを混合・造粒して造粒粉末を得るとともに、この造粒粉末を用いて焼結体を得ることも行われてきた。しかしながら、Fe−Al−Si系合金粉末は、その各粒子自体の脆性が維持された状態で焼結体を構成しているため、焼結体の機械的特性が低いという問題があった。
すなわち、本実施形態にかかる焼結体の製造方法は、図1に示すように、Fe−Al−Si系合金で構成された複数のコア粒子(Fe−Al−Si系合金粉末)と、Ni基金属材料で構成された複数のNi基金属粒子(Ni基金属粉末)と、バインダとを混合するとともに造粒し、造粒粉末を得る造粒工程(第1の工程)[A]と、得られた造粒粉末を所定の形状に成形し、成形体を得る成形工程(第2の工程)[B]と、得られた成形体に脱脂処理を施し、脱脂体を得る脱脂工程[C]と、得られた脱脂体を焼成し、焼結体を得る焼成工程(第3の工程)[D]とを有する。
このような各工程を経て焼結体を製造することにより、磁気特性に優れるとともに、靭性が高い焼結体を得ることができる。
[A]造粒工程(第1の工程)
本実施形態では、この造粒工程において、まず、Fe−Al−Si系合金粉末(複数のコア粒子)と、Ni金属粉末(複数のNi基金属粒子)とを混合して混合物を得る工程と、バインダを溶媒に溶解して、バインダ溶液を調製する工程とを行い、次いで、調製したバインダ溶液を供給しつつ、得られた混合物を造粒する工程を行うことにより、造粒粉末(複数の造粒粒子)を得る。
このうち、Fe−Al−Si系合金粉末1を構成するFe−Al−Si系合金は、Fe、Al、Siの各元素がいかなる組成比で含まれた合金でもよいが、Feを主成分とする合金であるのが好ましい。
このようなFe−Al−Si系合金材料は、高い透磁率と高い飽和磁束密度を示す磁気特性に優れた軟磁性材料である。このため、前述したような組成のFe−Al−Si系合金材料で構成されたコア粒子1を原材料として用いることにより、焼結体は、磁気特性に優れたものとなる。
その他の成分としては、Ni、Ti等が挙げられる。例えば、Niを0.5〜5wt%程度添加することにより、Fe−Al−Si系合金の軟磁性特性を維持しつつ、飽和磁束密度をより高めることができる。また、Tiを添加することによっても、磁気特性を高めることができる。
このNi基金属材料におけるNiの含有率は、50〜100wt%程度であるのが好ましく、80〜100wt%程度であるのがより好ましい。これにより、Ni基金属粒子2の靭性をより高めることができる。その結果、最終的に得られるFe−Al−Si系合金の焼結体も、高い靭性を示すものとなる。
このようなNi基金属粉末2の平均粒径(Ni基金属粒子2の平均粒径)は、特に限定されないが、0.5〜10μm程度であるのが好ましく、0.5〜5μm程度であるのがより好ましい。Ni基金属粉末2の平均粒径を前記範囲内とすることにより、後述する造粒粉末中において、Ni基金属粒子2が、コア粒子1の表面を覆うように分布したり、複数のコア粒子1同士の間隙に入り込んだりすることが容易になる。したがって、このような状態の造粒粉末を用いて焼結体を製造することにより、例えFe−Al−Si系合金粒子1が非常に脆い粒子であっても、靭性の高い焼結体を得ることができる。なお、この作用・効果については、後に詳述する。
なお、Ni基金属粉末2は、いかなる方法で製造されたものであってもよく、前述したFe−Al−Si系合金粉末1の製造方法と同様の方法により製造することができる。
この混合は、特に限定されないが、V型混合機、ダルトン混合機、転動混合機等の各種混合機を用いて行うことができる。
本実施形態では、このように、Fe−Al−Si系合金粉末1とNi基金属粉末2とを、あらかじめ混合しているので、例えば、Ni基金属粉末2の粒径が比較的大きいために、バインダ溶液中に均一に分散させ難い場合でも、Fe−Al−Si系合金粉末1とNi基金属粉末2とを均一に分散させることができる。
バインダ3としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、エチレンビスステアロアミド、エチレンビニル共重合体、パラフィン、ワックス、アルギン酸ソーダ、寒天、アラビアゴム、レジン、しょ糖等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この中でも、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンが好ましい。このようなバインダは、低価格で入手が容易であるにもかかわらず、結合力が強い。また、加熱によって容易に熱分解するため、意図しない成分が残留し難い、すなわち脱バインダ特性が高いという利点もある。
この造粒は、例えば、転動流動造粒法、転動造粒法、噴霧乾燥法(スプレードライヤー)、撹拌混合造粒、押出造粒、破砕造粒、圧縮造粒等の各種造粒方法により行うことができるが、特に、転動流動造粒法、転動造粒法または噴霧乾燥法により行うのが好ましい。これらの方法によれば、粒度分布の比較的狭い造粒粉末を効率よく製造することができる。
また、得られた造粒粉末10は、各コア粒子1を覆うように、各Ni基金属粒子2およびバインダ3が分布してなる造粒粒子を含んでいるのが好ましい(図2参照)。このような造粒粉末10は、成形型に充填されて成形される際に、コア粒子1とNi基金属粒子2とが均一に分散することができる。このため、かかる造粒粉末10を用いることにより、脆いコア粒子1を、靭性の高いNi基金属粒子2で効率よく補強してなる成形体を製造することができる。
このような造粒粉末10は、後述する工程で成形され、さらに焼成されることにより、複数のコア粒子1の間隙を、Ni基金属粒子2が充填してなる焼結体を得ることができる。
また、特に、転動流動造粒法または転動造粒法によれば、前述の混合物を転動させつつ造粒するので、転動する際に、コア粒子1の表面にNi基金属粒子2が付着し易い。このため、これらの造粒方法によれば、図2に示すような造粒粉末10を効率よく製造することができる。
また、造粒を行う時間は、特に限定されないが、30〜120分間程度であるのが好ましく、40〜100分間程度であるのがより好ましく、50〜90分間程度であるのがさらに好ましい。
このようにして得られた造粒粉末10は、その平均粒径が、40〜180μm程度であるのが好ましく、45〜140μm程度であるのがより好ましく、50〜100μm程度であるのがさらに好ましい。造粒粉末10の平均粒径を前記範囲内に設定することにより、造粒粉末10を成形型に充填して成形体を形成する際に、造粒粉末10が、流動性および成形型への充填性に優れたものとなる。
なお、平均粒径が前記下限値を下回ると、造粒粉末10の流動性が安定せず、焼結体(成形体)の寸法バラツキが大きくなる可能性がある。一方、平均粒径が前記上限値を上回ると、特に小さい成形体を形成する際に、造粒粉末10の充填ムラが起こり易くなり、焼結体(成形体)の寸法バラツキが大きくなる可能性がある。
なお、造粒粉末10は、その他の成分として、可塑剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤等の各種添加物を含んでいてもよい。このような各種添加物は、例えば、原料粉末やバインダ溶液等に含ませておけばよい。
次に、得られた造粒粉末10を成形型に充填し、成形することにより成形体を得る。
このとき、成形方法としては、例えば、圧粉成形(圧縮成形)法、金属粉末射出成形(MIM:Metal Injection Molding)法、押出成形法等の各種成形法を用いることができる。
また、押出成形法の場合の成形条件は、諸条件によって異なるものの、材料温度が80〜210℃程度、押出圧力が50〜500MPa(0.5〜5t/cm2)程度であるのが好ましい。
このようにして得られた成形体20は、図3に示すように、複数のコア粒子1の間隙に、複数のNi基金属粒子2およびバインダ3が分布した状態となる。
なお、作製される成形体20の形状寸法は、以降の脱脂工程および焼成工程における成形体20の収縮分等を見込んで決定される。
次に、得られた成形体20に脱脂処理(脱バインダ処理)を施し、脱脂体を得る。
この脱脂処理は、特に限定されないが、非酸化性雰囲気中、例えば真空または減圧状態下(例えば1×10−1〜1×10−6Torr(13.3〜1.33×10−4Pa))、または、窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス、アンモニア分解ガス等のガス中で、熱処理を行うことによりなされる。
この場合、熱処理の条件は、バインダの分解開始温度等によって若干異なるが、好ましくは温度100〜750℃程度で0.5〜20時間程度、より好ましくは温度150〜700℃程度で1〜10時間程度とされる。
なお、バインダは、脱脂処理によって完全に除去されなくてもよく、例えば、脱脂処理の完了時点で、その一部が残存していてもよい。
次に、得られた脱脂体を焼成する。この焼成により、造粒粉末を構成していた原料粉末が焼結され、焼結体となる。
このようにして得られた焼結体30では、図4に示すように、複数のコア粒子1同士の間隙を埋めるように、Ni基金属材料が隙間なく分布している。このため、脆いコア粒子1を、靭性の高いNi基金属粒子2が補強することになり、靭性の高い焼結体30が得られる。
さらに、Niは、Fe−Al−Si系合金の主要な元素ではないため、Niが、Fe−Al−Si系合金中に拡散しても、Fe−Al−Si系合金の組成が著しく変化することがない。このため、前述のようなNiの拡散が生じても、Fe−Al−Si系合金の優れた磁気特性を維持することができる。
このうち、具体的な減圧(真空)下の焼成雰囲気としては、1Torr(133Pa)以下の減圧(真空)下であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−2Torr(1.33×10−4〜1.33Pa)の減圧(真空)下であるのがより好ましい。
また、具体的な非酸化性雰囲気としては、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、水素ガス等の還元性ガス雰囲気であるのが好ましい。
また、焼成工程は、2段階またはそれ以上に分けて行ってもよい。これにより、造粒粉末の焼結の効率が向上し、より短い焼結時間で焼結を行うことができる。
また、焼成工程は、前述の脱脂工程と連続して行うのが好ましい。これにより、脱脂工程は、焼結前工程を兼ねることができ、脱脂体に予熱を与えて、脱脂体をより確実に焼結させることができる。
以上のようにして、磁気特性に優れるとともに、靭性が高いため、例えば外部応力が加わる機械部品として用いることが可能なFe−Al−Si系合金の焼結体を容易に製造することができる。
なお、得られたFe−Al−Si系合金の焼結体は、いかなる目的で用いられるものであってもよく、例えば、機械部品(電子機械部品、航空部品、自動車部品等)、磁心、磁気ヘッド等として用いることができる。
次に、本発明の焼結体の製造方法の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる焼結体の製造方法は、造粒工程におけるNi基金属粒子の混合方法が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
なお、本実施形態では、このように、Ni基金属粉末をバインダ溶液に分散させた状態で、Fe−Al−Si系合金粉末に供給されるため、例えば、Ni基金属粉末の粒径が比較的小さいために、Ni基金属粉末に凝集が起こり易い場合でも、Fe−Al−Si系合金粉末とNi基金属粉末とを均一に分散させることができる。
例えば、Fe−Al−Si系合金粉末とNi基金属粉末とバインダとの混合方法は、いかなる順序で混合されてもよい。
(実施例1)
<1>まず、原料粉末として、水アトマイズ法により製造された平均粒径8.2μmのFe−Al−Si系合金粉末と、平均粒径1μmのNi粉末とを用意した。ここで用いたFe−Al−Si系合金粉末は、Fe−5.5wt%Al−9.5wt%Siの粉末である。
次いで、Fe−Al−Si系合金粉末とNi粉末とをV型混合機により混合して、混合物を得た。なお、Fe−Al−Si系合金粉末とNi粉末との混合比は、重量比で99:1とした。
なお、バインダ溶液におけるバインダの量は、Fe−Al−Si系合金粉末とNi粉末との合計重量1kg当たり12gとした。
また、バインダ溶液における溶媒の量は、バインダ1gあたり50gとした。
なお、バインダ溶液の供給速度は、Fe−Al−Si系合金粉末とNi粉末との合計重量1kg当たり10g/分とした。
また、造粒時間は、90分とした。
<成形条件>
・成形方法 :圧粉成形
・成形圧力 :600MPa(6t/cm2)
<5>次に、この成形体を以下の脱脂条件で脱脂し、脱脂体を得た。
<脱脂条件>
・脱脂温度 :600℃
・脱脂時間 :1時間
・脱脂雰囲気:水素ガス雰囲気
<焼成条件>
・焼成温度 :1250℃
・焼成時間 :2時間
・焼成雰囲気:真空雰囲気
Fe−Al−Si系合金粉末とNi粉末との混合比、および、焼成温度を表1に示すように設定した以外は、前記実施例1と同様にして焼結体を得た。
(実施例5)
Ni粉末として、平均粒径3μmのものを用いた以外は、前記実施例3と同様にして焼結体を得た。
以下のようにして造粒粉末を得るようにした以外は、前記実施例3と同様にして焼結体を得た。
まず、原料粉末として、水アトマイズ法により製造された平均粒径8.2μmのFe−Al−Si系合金粉末を用意した。ここで用いたFe−Al−Si系合金粉末は、Fe−5.5wt%Al−9.5wt%Siの粉末である。
また、バインダ溶液におけるバインダの量は、Fe−Al−Si系合金粉末とNi粉末との合計重量1kg当たり12gとし、溶媒の量は、バインダ1gあたり50gとした。
なお、バインダ溶液の供給速度は、Fe−Al−Si系合金粉末とNi粉末との合計重量1kg当たり20g/分とした。
また、造粒時間は、50分とした。
(実施例7)
Fe−Al−Si系合金粉末として、Fe−4.0wt%Al−6.0wt%Si−3.2wt%Niの粉末を用いた以外は、前記実施例3と同様にして焼結体を得た。
Ni粉末の添加を省略した以外は、前記実施例2と同様にして焼結体を得た。
(比較例2)
Ni粉末の添加を省略した以外は、前記実施例3と同様にして焼結体を得た。
(比較例3)
Ni粉末の添加を省略した以外は、前記実施例7と同様にして焼結体を得た。
2.1 焼結体の密度の評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、それぞれ密度を測定した。なお、密度の測定は、アルキメデス法(JIS Z 2501に規定)に準じた方法により行った。
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、それぞれ抗折強度を測定した。なお、抗折強度の測定は、金属材料の曲げ強さ試験方法(JIS Z 2248に規定)に準じた方法により行った。
2.3 焼結体の硬度の評価
各実施例および各比較例で得られた焼結体について、それぞれロックウェル硬度(HRC)を測定した。なお、ロックウェル硬度の測定は、ロックウェル硬さ試験方法(JIS Z 2245に規定)に準じた方法により行った。
以上、2.1〜2.3の評価結果について、表1に示す。
また、各実施例では、いずれも抗折強度およびロックウェル硬度が十分に高い焼結体が得られた。
一方、各比較例で得られた焼結体は、いずれも、抗折強度が低かった。また、密度やロックウェル硬度が特に低いものもあった。
なお、各実施例および各比較例で得られた焼結体の透磁率および飽和磁束密度を測定したところ、いずれも、ほぼ同等の磁気特性であった。
Claims (18)
- Fe−Al−Si系合金で構成された複数のコア粒子と、Ni基金属材料で構成された複数のNi基金属粒子と、バインダとを混合するとともに造粒し、造粒粒子を得る第1の工程と、
前記造粒粒子を所定の形状に成形し、成形体を得る第2の工程と、
前記成形体を焼成し、焼結体を得る第3の工程とを有することを特徴とする焼結体の製造方法。 - 前記造粒粒子は、前記各コア粒子を覆うように、前記各Ni基金属粒子および前記バインダが位置してなるものである請求項1に記載の焼結体の製造方法。
- 前記Fe−Al−Si系合金は、Feを主成分とし、Alの含有率が3〜8wt%であり、Siの含有率が5〜11wt%である請求項1または2に記載の焼結体の製造方法。
- 前記Ni基金属材料は、Ni単体である請求項1ないし3のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記造粒粒子の平均粒径は、40〜180μmである請求項1ないし4のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記Ni基金属粒子の平均粒径は、前記コア粒子の平均粒径よりも小さい請求項1ないし5のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記Ni基金属粒子の平均粒径は、前記コア粒子の平均粒径の5〜50%である請求項6に記載の焼結体の製造方法。
- 前記コア粒子の平均粒径は、2〜20μmである請求項1ないし7のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記Ni基金属粒子の平均粒径は、0.5〜10μmである請求項1ないし8のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記造粒粒子における前記コア粒子と前記Ni基金属粒子との混合比は、重量比で99.5:0.5〜90:10である請求項1ないし9のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記第1の工程は、前記複数のコア粒子と、前記複数のNi基金属粒子とを混合して混合物を得る工程と、
前記バインダを溶媒に溶解してなるバインダ溶液を供給しつつ、前記混合物を造粒し、前記造粒粒子を得る工程とを有する請求項1ないし10のいずれかに記載の焼結体の製造方法。 - 前記第1の工程は、前記バインダを溶媒に溶解してなるバインダ溶液に前記複数のNi基金属粒子を分散させ、分散液を得る工程と、
該分散液を供給しつつ、前記複数のコア粒子を造粒し、前記造粒粒子を得る工程とを有する請求項1ないし10のいずれかに記載の焼結体の製造方法。 - 前記第1の工程おいて、転動造粒法、転動流動造粒法または噴霧乾燥法により前記造粒を行う請求項1ないし12のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 前記第3の工程において、前記焼成の温度を1100〜1270℃とし、前記焼成の時間を0.5〜8時間とする請求項1ないし13のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
- 請求項1ないし14のいずれかに記載の焼結体の製造方法により製造されたことを特徴とする焼結体。
- Fe−Al−Si系合金で構成された複数のコア粒子同士の間に、Ni基金属材料が分布してなることを特徴とする焼結体。
- 抗折強度が680N/mm2以上である請求項15または16に記載の焼結体。
- 空孔率が1〜10%である請求項15ないし17のいずれかに記載の焼結体。
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