JP2008208257A - 液晶性樹脂組成物からなるl字型成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶性樹脂の特性を損なうことなく、屈曲部に力が加わったときに強度に優れたL字型成形品を提供することを課題とする。
【解決手段】液晶性樹脂100重量部に対して、繊維状充填材を20〜90重量部含有してなる液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品を製造するに際し、該L字型の屈曲部から10mm以上離れた部分にゲート位置を設置して射出成型することを特徴とする液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】液晶性樹脂100重量部に対して、繊維状充填材を20〜90重量部含有してなる液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品を製造するに際し、該L字型の屈曲部から10mm以上離れた部分にゲート位置を設置して射出成型することを特徴とする液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、屈曲部の剛性に優れた液晶樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法に関する。
近年の電気機器は小型化、高性能化が進んでおり、それを構成する部品の小型化、薄肉化、細密化が必須となるため、従来使用されていた材料から液晶性樹脂への代替が盛んに行われるようになってきた。
そのため、液晶性樹脂に要求される特性も多様化している。例えば、中でも、液晶性樹脂は良流動性および高耐熱性において優れるという特長から、FPCコネクタなどをはじめとする小型の電気電子部品材料として広く使用されてきた。これらの部品は機能性部品であり、外部からの応力が加わることがほとんどないため、従来の液晶性樹脂が示す剛性や靭性であれば十分であったが、機械的強度が必要となる構造部材への応用は困難であった。特に、流動性に優れることから射出成形時にジェッティングが起こりやすく、その結果としてエアを巻き込みながら充填されるため、成形品内部に空隙ができてしまい、機械的強度の低下を引き起こしてしまう。また、液晶性樹脂は特にウェルド強度が弱いため、ウェルドラインが製品上に現れないように故意に余計な部分を設計し、当該部分を除去している(例えば、特許文献1)。
一方、ウェルドライン同様に、液晶性樹脂成形品はゲート付近では分子配向が乱れているため分子配向が強い部分に比較して弱い強度を示す。一般的にゲート位置は、ゲート残りがあっても問題ない製品部分への設置や、ウェルドラインを考慮した設計をするが、例えば、強度が要求される屈曲部を有する成形品を成形する際に、屈曲部付近にゲートを設置してしまうと液晶性樹脂が本来示すべき強度が発揮されず、良品が得られない場合があった。
特開平9−293338号公報
本発明は、液晶性樹脂の特性を損なうことなく、屈曲部に力が加わったときに強度に優れたL字型成形品を製造することができる液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶性樹脂組成物が元来示す屈曲部強度を最大限に引き出す液晶性樹脂成形体の製造方法を見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法は、以下の(1)の構成からなる。
(1)液晶性樹脂100重量部に対して、繊維状充填材を20〜90重量部含有している液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品を製造するに際し、該L字型の屈曲部から10mm以上離れた部分にゲート位置を設置して射出成型することを特徴とする液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
また、かかる本発明の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法において、具体的により好ましくは、以下の(2)〜(5)のいずれかの構成からなるものである。
(2)前記繊維状充填材が、その数平均繊維径が6μm〜20μmのガラス繊維からなるものであることを特徴とする上記(1)記載の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
(3)ゲート断面形状が、n=5以上の正n角形状または円形状であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
(4)前記ゲート断面形状が、n=5以上の正n角形状または円形状であり、該正n角形状の最長の対角線の長さまたは前記円形状の直径が、3mm以下のゲートサイズであることを特徴とする上記(3)記載の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
(5)成型される成形品の最大厚みが5mm以下のものであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
本発明の方法によれば、以下に説明するとおり、液晶性樹脂が元来示す屈曲部の剛性を最大限に引き出した液晶性樹脂組成物のL字型の成形品を得ることができる。
さらに、本発明方法によれば、低オリゴマなどの不純物が少ない液晶性樹脂組成物による成形品が得られるため、例えば、エアコンや冷蔵庫などの電動機のインシュレータの製造に与える効果が大きいものである。
本発明のL字型成形品の製造方法は、液晶性樹脂100重量部に対して、繊維状充填材を20〜90重量部含有している液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品を製造するに際し、該L字型の屈曲部から10mm以上離れた部分にゲート位置を設置して射出成型することを特徴とするものである。
本発明において、重要なことは、ゲートの設置位置を該L字型の屈曲部から10mm以上離れた部分に設置することであり、該L字型の屈曲部から10mm未満しか離れていない場合には、該屈曲部において液晶性樹脂の分子配向がみだれてしまい、機械的強度が低下する。
本発明で用いられる液晶性樹脂としては、異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルおよび液晶性ポリエステルアミドなどが挙げられ、その具体例としては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、および上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドが挙げられる。
異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルの例としては、好ましくは下記の(I)、(II)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、および、(I)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
(ただし式中のR1 は、
から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は、
から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示し、構造単位(II)および(III)の合計と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
上記構造単位(I)は、p−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステルの構造単位であり、構造単位(II)は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)は、エチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1 が
であり、R2 が
であるものが特に好ましい。
また、液晶性ポリエステルアミドの例としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、p−アミノフェノールとテレフタル酸から生成した液晶性ポリエステルアミド、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸、p−アミノ安息香酸およびポリエチレンテレフタレートから生成した液晶性ポリエステルアミド(特開昭64−33123号公報)などが挙げられる。
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合体、または、(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合体であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、流動性の点から次の共重合量であることが好ましい。
すなわち、上記構造単位(III)を含む場合は、耐熱性、難燃性および機械的特性の点から、上記構造単位(I)および(II)の合計は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して60〜95モル%が好ましく、75〜93モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は、構造単位(I),(II)および(III)の合計に対して40〜5モル%が好ましく、25〜7モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の構造単位(II)に対するモル比[(I)/(II)]は、耐熱性と流動性のバランスの点から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルである。
一方、上記構造単位(III)を含まない場合は、流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(II)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましい。構造単位(IV)は構造単位(II)と実質的に等モルである。
なお、上記において「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマ主鎖を構成するユニットとしてはジオキシ単位とジカルボニル単位が等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
なお、本発明で好ましく使用できる上記液晶性ポリエステルを重縮合する際には、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族、脂環式ジオール、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸などを、本発明の効果が損なわれない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめることができる。
また、液晶性ポリエステルアミドとしては、上記好ましい液晶性ポリエステルに、さらにp−アミノフェノールおよび/またはp−アミノ安息香酸を共重合したものも好ましく挙げることができる。
本発明における液晶性樹脂の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記の好ましく用いられる液晶性ポリエステルの製造において、上記構造単位(III)を含まない場合は下記(1)および(2)の製造方法が、構造単位(III)を含む場合は下記(3)の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、4,4’−ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、(1)または(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方法。
これらの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましいときもある。
本発明における液晶性樹脂は、ペンタフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが可能なものもあり、その際には0.1g/dlの濃度で60℃で測定した値で0.5dl/g以上が好ましく、特に上記構造単位(III)を含む場合は1.0〜3.0dl/gが好ましく、上記構造単位(III)を含まない場合は2.0〜10.0dl/gが好ましい。
また、本発明における(A)液晶性樹脂の溶融粘度は、1〜2,000Pa・sが好ましく、特に2〜1,000Pa・sがより好ましい。
なお、上記の溶融粘度は、液晶性樹脂の融点(Tm)+10℃の条件で、ズリ速度1,000/秒の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定によりポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度Tm1 の観測後、(Tm1 +20)℃の温度でまで昇温し、同温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温までいったん冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を指す。
本発明で用いる繊維状充填材は、ガラス繊維が好ましく、具体的には例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
本発明で用いる繊維状充填材の数平均繊維径は6〜20μmのものが好ましく、6〜12μmのものが特に好ましい。数平均繊維長さが55〜1000μm、さらには55〜700μmがより好ましい。本発明で用いるガラス繊維の数平均繊維径が20μm以上のものを使用することで、薄肉成形性を低下させるため好ましくない。また、本発明で用いるガラス繊維の数平均繊維長さが1000μm以下のものを使用することで、成形時の流動性が低下することがなく、ガラス繊維の数平均繊維長さが55μm以上のものを使用することで、得られる成形品の剛性および靭性を高くすることができるため好ましい。ここで、ガラス繊維の数平均繊維径および数平均繊維長さの測定方法として、液晶性樹脂およびガラス繊維などを含む組成物からなるペレット10gを空気中において550℃で8時間加熱して樹脂を除去し、光学式顕微鏡を用いて残存した繊維状充填材の任意の500個の長径および繊維長を倍率120倍にて測定したものから数平均繊維径および数平均繊維長さを算出した。
さらに、本発明で用いる繊維状充填材の特性を最大限に発揮するために、液晶性樹脂100重量部に対して、20〜90重量部配合するのが重要であり、さらに好ましくは30〜70重量部用いられる。繊維状充填材を20重量部以上配合することで、射出成形工程が安定するため好ましい。また、繊維状充填材の配合量を100重量部以下とすることで、薄肉成形性が阻害されることがなく好ましい。
本発明に用いられる液晶性樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない程度の範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、可塑剤、難燃剤、難燃助剤などの通常の添加剤や他の熱可塑性樹脂(フッ素樹脂など)を添加して、所定の特性を付与することができる。この場合、低オリゴマ成分等の不純物は好ましくないので、種類および添加量に注意が必要である。
本発明に用いられる液晶性樹脂組成物は、溶融混練により製造することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用いることができる。これらのうち、本発明の液晶性樹脂組成物は、強化材を均質に分散性良く混練する必要性から、押出機を用いることが好ましく、二軸押出機を用いることがより好ましく、なかでも中間添加口を有する二軸押出機を用いることが特に好ましい。溶融混練方法は、原料供給口から、液晶性樹脂を二軸押出機に供給し、液晶性樹脂を溶融させ、該溶融状態の液晶性樹脂、中間添加口から繊維状充填材を供給するのが好ましい。
本発明におけるゲート断面形状はn=5以上の正n角形状または円形状が好ましい。前記n未満の頂点を持つ正多角形のゲート断面形状では樹脂圧力が均一に伝わらずに空隙ができ、エアを巻き込みやすくなり、強度低下を引き起こしやすい。
また、本発明におけるゲートサイズは正多角形であれば、最長の対角線の長さが3〜0.5mmが好ましく、あるいは、円形であれば直径3〜0.5mmが好ましく、それぞれ、さらに2〜1mmがより好ましい。直径が前記範囲よりも大きいと、ランナなど廃棄される樹脂量が増え、さらにはジェッティングを起こして強度低下を引き起こしやすくなる場合があるので好ましくない。また、直径が前記範囲よりも小さいとゲート部での圧力損失が大きくなり、成形が困難となるので好ましくない。
また、本発明におけるL字型成形品の最大厚みは5〜0.3mmが好ましく、さらには3〜0.5mmがより好ましい。前記厚みよりも厚いと、ゲート位置を屈曲部から10mm以上の距離を置いて設置しても、成形品内部でジェッティングを起こして強度低下を引き起こす場合があり好ましくない。また、前記厚みよりも薄いと、一般的な射出成形では充填しにくくなるので好ましくない。
本発明の液晶性樹脂組成物は、電気、電子、自動車、機械、雑貨などの用途に限定なく使用できるが、エアコンや冷蔵庫などの電動機のモーターインシュレータ用途に好ましく使用できる。
〔液晶性樹脂の製造方法〕
参考例1
p−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1367重量部(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を、撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃で昇温しながら2時間反応させ、145℃から320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃、1.0時間で133Paに減圧し、さらに約1.5時間攪拌を続け重縮合を行った。p−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4’−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル当量、4,4’−ジオキシビフェニル単位が4,4’−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル当量、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して65モル当量からなる融点314℃、溶融粘度25Pa・s(324℃、オリフィス0.5mm直径×10mm、ズリ速度1,000/秒)の液晶性ポリエステル(A1)を得た。
参考例1
p−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル327重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1367重量部(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を、撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら室温から145℃で昇温しながら2時間反応させ、145℃から320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃、1.0時間で133Paに減圧し、さらに約1.5時間攪拌を続け重縮合を行った。p−オキシベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、4,4’−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル当量、4,4’−ジオキシビフェニル単位が4,4’−ジオキシビフェニル単位および1,4−ジオキシベンゼン単位の合計に対して70モル当量、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して65モル当量からなる融点314℃、溶融粘度25Pa・s(324℃、オリフィス0.5mm直径×10mm、ズリ速度1,000/秒)の液晶性ポリエステル(A1)を得た。
実施例1〜3、比較例1〜4
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
シリンダー設定温度を液晶性樹脂の融点+10℃、スクリュウ回転数を250rpmに設定した、44mm直径の中間添加口を有する2軸押出機(日本製鋼所製TEX−44)を用いて、参考例1で得た液晶性樹脂100重量部を原料供給口から添加して溶融状態とし、ガラス繊維を表1に示す割合で中間添加口から供給し、吐出量40kg/時間で溶融混練してペレットを得た。このペレットを用いて下記の各特性を評価した。なお、実施例中の物性の測定および試験は次の方法で行った。また、溶融混練して得られたペレットを用いて、ガラス繊維の平均繊維長を以下の手法で測定した。その結果を表1に示す。
なお、繊維状充填材としては、それぞれ下記のもの(B1、B2)を使用した。
B1:チョップドガラス繊維(日本電気硝子製 ECS03T−779H 平均繊維径10.5μm、長さ3mm)
B2:チョップドガラス繊維(日本電気硝子製 ECS03T−790DE 平均繊維径6.5μm、長さ3mm)
B1:チョップドガラス繊維(日本電気硝子製 ECS03T−779H 平均繊維径10.5μm、長さ3mm)
B2:チョップドガラス繊維(日本電気硝子製 ECS03T−790DE 平均繊維径6.5μm、長さ3mm)
ガラス繊維長の測定法
ガラス繊維の数平均繊維径および数平均繊維長さの測定方法として、液晶性樹脂およびガラス繊維などを含む組成物からなるペレット10gを空気中において550℃で8時間加熱して樹脂を除去し、光学式顕微鏡を用いて残存した繊維状充填材の任意の500個の長径および繊維長を倍率120倍にて測定したものから数平均繊維径および数平均繊維長さを算出した。
ガラス繊維の数平均繊維径および数平均繊維長さの測定方法として、液晶性樹脂およびガラス繊維などを含む組成物からなるペレット10gを空気中において550℃で8時間加熱して樹脂を除去し、光学式顕微鏡を用いて残存した繊維状充填材の任意の500個の長径および繊維長を倍率120倍にて測定したものから数平均繊維径および数平均繊維長さを算出した。
特性の測定法
(1)屈曲部強度
・成形:ペレットをFANUCROBOSHOTα−30i射出成形機(ファナック株式会社製)に供し、射出速度200mm/秒、射出圧力20MPa、シリンダー設定温度は液晶性樹脂の融点の条件で連続成形(射出時間/冷却時間=7.0/10.0秒、スクリュウ回転数100rpm、背圧1MPa、サックバック10mm、金型温度90℃)を行い、ゲート(円形、直径1mm)位置が変更可能なL字型成形品(長手方向長さ90mm、垂直方向長さ30mm、幅17mm、厚み3mm)を成形した。
(1)屈曲部強度
・成形:ペレットをFANUCROBOSHOTα−30i射出成形機(ファナック株式会社製)に供し、射出速度200mm/秒、射出圧力20MPa、シリンダー設定温度は液晶性樹脂の融点の条件で連続成形(射出時間/冷却時間=7.0/10.0秒、スクリュウ回転数100rpm、背圧1MPa、サックバック10mm、金型温度90℃)を行い、ゲート(円形、直径1mm)位置が変更可能なL字型成形品(長手方向長さ90mm、垂直方向長さ30mm、幅17mm、厚み3mm)を成形した。
引張試験は、図1に概略を示した試験片を用い、ついで引張試験機(AG500C、商標、島津製作所製)を用いて試験片の長手方向をチャックで直接固定し、長手方向に対して垂直方向の部分をワイヤで固定してもう一方のチャックで固定し(チャック間距離80mm)、クロスヘッドスピード1mm/分で引っ張り、屈曲部が破断したときの荷重を測定した。屈曲部強度が500N以上のものを「優れる」(◎で表記)、それより小さいものを「劣る」(×で表記)とした。図1において、ゲートGが設けられる面を正面位置として、(a)は側面図、(b)は正面図であり、hは屈曲部からゲートまでの距離であり、実施例1〜3は10mm、比較例1は5mm、比較例2〜4は8mmとした。
以上の結果から、本発明の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品は、同組成である比較例の成形品と比較して、液晶性樹脂組成物が本来示す屈曲部強度を引き出すことができたことがわかる。
本発明の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品は、液晶性樹脂元来の優れた耐熱性、流動性を維持したまま、潜在的に有する剛性を引き出すことができるので、構造部材に好適に使用される部品、とりわけ電気電子部品、具体的には、電動機のモーターインシュレータなどに好適に使用することができる。
G ゲート位置
h 屈曲部からゲートまでの距離
h 屈曲部からゲートまでの距離
Claims (5)
- 液晶性樹脂100重量部に対して、繊維状充填材を20〜90重量部含有してなる液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品を製造するに際し、該L字型の屈曲部から10mm以上離れた部分にゲート位置を設置して射出成型することを特徴とする液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
- 前記繊維状充填材が、その数平均繊維径が6μm〜20μmのガラス繊維からなるものであることを特徴とする請求項1記載の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
- ゲート断面形状が、n=5以上の正n角形状または円形状であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
- 前記ゲート断面形状が、n=5以上の正n角形状または円形状であり、該正n角形状の最長の対角線の長さまたは前記円形状の直径が、3mm以下のゲートサイズであることを特徴とする請求項3記載の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
- 成型される成形品の最大厚みが5mm以下のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶性樹脂組成物からなるL字型成形品の製造方法。
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JP2007047492A JP2008208257A (ja) | 2007-02-27 | 2007-02-27 | 液晶性樹脂組成物からなるl字型成形品の製造方法 |
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JP2007047492A Pending JP2008208257A (ja) | 2007-02-27 | 2007-02-27 | 液晶性樹脂組成物からなるl字型成形品の製造方法 |
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JP (1) | JP2008208257A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014167950A1 (ja) * | 2013-04-09 | 2014-10-16 | Fujita Masanori | 複合形成材料、射出成形品及び複合形成材料の製造方法 |
WO2021193074A1 (ja) * | 2020-03-26 | 2021-09-30 | 株式会社小糸製作所 | 画像生成装置、反射鏡及びヘッドアップディスプレイ |
-
2007
- 2007-02-27 JP JP2007047492A patent/JP2008208257A/ja active Pending
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WO2014167950A1 (ja) * | 2013-04-09 | 2014-10-16 | Fujita Masanori | 複合形成材料、射出成形品及び複合形成材料の製造方法 |
WO2021193074A1 (ja) * | 2020-03-26 | 2021-09-30 | 株式会社小糸製作所 | 画像生成装置、反射鏡及びヘッドアップディスプレイ |
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