しかしながら、特許文献1,2においては、本体部と離れた位置にあるランドと接続される端子によって、該ランドよりも本体部に近い位置にあるランドと接続される端子(ランドとの接続部)に、リフロー時の熱が供給されにくい構造となっている。例えば特許文献2に示される構成においては、端子が、ランドと接続される側において、本体部からプリント基板と略平行に延出され、この平行部位の先端が折曲されてプリント基板の表面に垂直とされ、該垂直部位の先端にランドとの実装部が設けられた構造となっている。また、本体部と離れた位置にあるランドと接続される端子の平行部位ほど、プリント基板の表面からの高さが高く、本体部からの延出長さが長くなっている。したがって、リフロー時において、本体部と離れた位置にあるランドと接続される端子によって、本体部に近い位置にあるランドに接続される端子への熱が遮られ、該接続部において接続信頼性が低下する(はんだ付け不良が生じる)恐れがある。特に、端子の配列方向において、隣接する端子間の間隔が狭くなるほど、接続信頼性が低下する恐れが高まる。
本発明は上記問題点に鑑み、接続信頼性を向上できる電子装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、ランドを有するプリント基板と、電気絶縁性の材料からなる本体部に対して、複数の端子がプリント基板の表面に沿って配列された電子部品とを備え、プリント基板の表面に本体部が配置され、端子が対応するランドとリフローはんだ付けされて電子部品がプリント基板に実装された電子装置であって、ランドとして、端子の配列方向に沿って一列に配置された複数の第1ランドと、第1ランドよりも本体部から離れた位置において端子の配列方向に沿って一列に配置された複数の第2ランドとを有し、第1ランドと第2ランドとで千鳥配置とされており、第2ランドと接続された端子は、プリント基板の表面と略平行であって少なくとも一部が本体部に固定された第1平行部と、プリント基板の表面と略平行であって本体部から露出されて本体部から遠い側の端部に第2ランドとの実装部が連結された第2平行部と、第1平行部と第2平行部とを連結する第1連結部とを有し、第1平行部は、その全てが本体部内に配置されるか、若しくは、本体部からランドの形成側に露出された部位の長さが第2平行部よりも短い長さとされており、第2平行部は、プリント基板の表面に垂直な方向において、第1平行部よりもプリント基板の表面に近い位置とされていることを特徴とする。
このように本発明によれば、第1ランドと第2ランドとを千鳥配置としているので、格子状に配置した構成に比べて、第1ランドと接続された端子(第1ランドとの接続部)にに、リフロー時の熱(特にプリント基板の本体部配置面上方から)が供給されやすい。また、端子のうち、従来の電子装置においてプリント基板の表面と略平行である平行部分を第1平行部と第2平行部に分け、第2平行部の先端に第2ランドとの接続部を設けており、第2平行部を第1平行部よりもプリント基板の表面に近い位置としている。したがって、第1ランドと接続された端子にリフロー時の熱(特にプリント基板の本体部配置面上方から)がより供給されやすく、これによって従来の電子装置よりも接続信頼性を向上できる。
また、端子のうち、プリント基板の表面と略平行である平行部分はリフローの熱が当たりやすい。したがって、本体部から延出された平行部分が長い従来の電子装置においては、この平行部分で受けた熱が本体部に伝わって本体部に悪影響を与える(例えば本体部が溶ける)恐れがあった。これに対し、本発明によれば、第1平行部をその全てが本体部内に配置されるか、若しくは、本体部から露出された部位の長さが第2平行部よりも短い長さとし、第2平行部と第1平行部とを第1連結部によって連結する構造としている。したがって、第1平行部で熱を受けたとしても僅かであり、第2平行部で受けた熱は本体部への伝熱経路が長いので、リフロー時の熱による本体部への悪影響を抑制することができる。
なお、本発明においては、第1ランドと第2ランドとは、端子の配列方向に垂直であってプリント基板の表面に沿う方向において、異なる位置関係にあるランド(異なる列のランド)を示すものである。したがって、複数列のランドが2列に限定されるものではない。例えば3列配置されたランドにおいて、本体部に一番近いランドを第1ランドとし、本体部から最も離れたランドを第2ランドとしても良いし、本体部に一番近いランドを第1ランドとし、真ん中の列のランドを第2ランドとしても良い。また、真ん中の列のランドを第1ランドとし、本体部から最も離れたランドを第2ランドとしても良い。
なお、請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載のように、第1ランドと接続された端子が、プリント基板の表面と略平行であって少なくとも一部が本体部に固定された第3平行部と、一端に第3平行部が連結され、他端に直接、若しくは、プリント基板の表面と略平行であって本体部から露出された部位を介して第1ランドとの実装部が連結された第2連結部とを有する構成とすると良い。
請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載のように、第3平行部が、プリント基板の表面に対して同一側において第2平行部よりもプリント基板の表面に遠い位置とされた構成とすると良い。
このような構成とすると、第3平行部が第2平行部よりもプリント基板の表面に近い位置とされた構成に比べて、第1ランドと接続された端子の第2連結部にリフロー時の熱が当たりやすくなるので、これにより接続信頼性を向上することができる。
請求項2又は請求項3に記載の発明においては、第1連結部及び第2連結部が、請求項4に記載のように、プリント基板の表面に対して略垂直とされ、且つ、端子の配列方向に沿って交互に配置されて一列とされた構成としても良い。好ましくは請求項5に記載のように、プリント基板の表面に対して略垂直とされ、且つ、端子の配列方向に沿ってそれぞれ一列に配置され、第1連結部と第2連結部とで、千鳥配置とされた構成とすると良い。
請求項5に記載の構成とすると、請求項4に記載の構成に比べて、第1連結部と第2連結部で生じるクロストークを抑制することができる。したがって、端子間の間隔をより狭くして、端子の配列方向における体格をより小型化することも可能である。
請求項5に記載の発明においては、第1平行部と第3平行部が、プリント基板の表面に垂直な方向において、本体部に一列に配置された構成とすることも可能であるが、好ましくは請求項6に記載のように、プリント基板の表面に垂直な方向において、第1平行部と第3平行部との位置が互いに異なり、本体部に対して、第1平行部が少なくとも1段配置され、第3平行部が少なくとも1段配置された構成とすると良い。
このような構成とすると、第1平行部と第3平行部が一列配置される構成に比べて、端子の配列方向における体格をより小型化することができる。なお、本体部における端子の段数は、第1平行部による少なくとも1段と第3平行部による少なくとも1段の2段以上であれば良い。
請求項6に記載の発明においては、請求項7に記載のように、端子の配列方向に垂直であってプリント基板の表面に沿う方向において、第1連結部及び第2連結部のうち、第2ランドに対して近い位置とされた連結部の、ランドとの実装部側の一部分を除く部分であって第2ランドに対して遠い位置とされた連結部よりもプリント基板の表面から離れた部分が本体部に保持された構成とすると良い。
このような構成とすると、第1連結部及び第2連結部のうち、第2ランドに対して近い側の連結部の一部(プリント基板の表面に遠い側の上部領域)が本体部によって保持されるので、該連結部が本体部によって保持されない構成に比べて、該連結部を含む端子の実装部と対応するランドとの位置精度を向上することができる。なお、第2ランドに対して近い側の連結部が第1連結部の場合には第1平行部が本体部内に完全に配置され、第2連結部の場合には第3平行部が本体部内に完全に配置された構成となる。
また、第2ランドに対して近い側の連結部のうち、ランドとの実装部側の一部(プリント基板の表面に近い側の下部領域)は本体部に保持されていないので、該連結部の全てが本体部によって保持される構成に比べて、ランドとの実装部に伝達される応力を緩和することができる。
なお、第1連結部と第2連結部がともに同じ高さで本体部に保持される場合、本体部に設けられた溝に対して端子を挿入固定する構成においては、第2ランドに対して近い側の連結部間に第2ランドに対して遠い側の連結部を配置するための溝を設け、端子の配列方向において、第2ランドに対して近い側の連結部、本体部による壁部、溝、本体部による壁部、第2ランドに対して近い側の連結部が順に並んだ構造とすることも考えられる。このように壁部が存在する場合、その強度を確保するために壁部に所定の厚さを持たせる必要があるため、端子間の間隔を狭める際のネックとなる。これに対し、本発明によれば、第2ランドに対して近い側の連結部のうち、第2ランドに対して遠い位置とされた連結部よりも上部領域が本体部によって保持されており、上述の壁部が存在しない構成となっている。したがって、端子間の間隔をより狭くして、端子の配列方向における体格をより小型化することも可能である。
請求項6又は請求項7に記載の発明においては、請求項8に記載のように、第1平行部が、第3平行部よりもプリント基板の表面に遠い位置とされた構成とすると良い。
このような構成とすると、第2平行部から第1平行部までの伝熱経路が長くなり、リフロー時の熱による本体部への悪影響を効果的に抑制することができる。
請求項8に記載の発明においては、請求項9に記載のように、端子の配列方向に垂直であってプリント基板の表面に沿う方向において、第1連結部が第2連結部よりも第2ランドに対して近い位置とされた構成とすることが好ましい。
このような構成とすると、第1ランドに接続された端子と、該端子に隣接する第2ランドに接続された端子とで生じるクロストークを効果的に抑制することができる。したがって、端子間の間隔をさらに狭くして、端子の配列方向における体格をさらに小型化することも可能である。
なお、請求項9に記載の発明においては、請求項10に記載のように、第2連結部が、第3平行部と第1ランドとの実装部との間で応力を緩和する応力緩和部を有する構成としても良い。
このような構成とすると、本体部から延出された部位の長さが第2ランドに接続された端子よりも短い第1ランドに接続された端子において、ランドと端子との接続部に作用する応力を応力緩和部にて緩和することができ、これによって接続部の信頼性を高めることができる。
また、請求項4又は請求項5に記載の発明においては、請求項11に記載のように、プリント基板の表面に垂直な方向において、第1平行部と第3平行部との位置が互いに異なり、本体部に対して、第1平行部が少なくとも1段配置され、第3平行部が少なくとも1段配置され、第3平行部が第1平行部よりもプリント基板の表面に遠い位置とされた構成としても良い。
このような構成とすると、第1ランドに接続された端子の本体部から延出される部位の長さを請求項8に記載の構成よりも長くし、第2ランドに接続された端子と第1ランドに接続された端子とで、本体部から延出される部位の長さを互いに近い値とすることができる。これにより、第1ランドと対応する端子との接続部の信頼性を高めることが可能である。
また、請求項8に記載の構成に比べて、第2連結部にリフロー時の熱が当たりやすくなるので、これにより接続信頼性を向上することも可能である。
請求項1〜11いずれか1項に記載の発明においては、第1ランドに接続される端子及び第2ランドに接続される端子の構成は、リフロー実装されるものであれば特に限定されるものではない。例えば請求項12に記載のように、第1ランドに接続される端子及び第2ランドに接続される端子の少なくとも一方として、プリント基板の表面に対して略垂直とされ、プリント基板に設けられた貫通孔に挿入された状態で、貫通孔の壁面及び開口周辺に設けられた対応するランドにリフローはんだ付けされる挿入部を、ランドとの実装部として少なくとも有する端子を採用することができる。なお、上述以外にも、プリント基板の表面に対して略平行とされた表面部のみを有する端子を採用することもできる。
請求項12に記載の発明においては、請求項13に記載のように、挿入部を有する端子に対応するランドにおいて、開口周辺部位のプリント基板の表面に沿う大きさが、挿入部を有する端子が配列された本体部の配置面の裏面側よりも本体部配置面側の方が大きくされた構成とすると良い。
このような構成とすると、プリント基板における本体部配置面の裏面において、ランドの大きさが小さいので、その分異なる電子部品の実装に活用することができる。
請求項13に記載の発明においては、請求項14に記載のように、挿入部を有する端子に対応するランドのうち、開口周辺部位であって本体部配置面の裏面側の大きさが、貫通孔の孔径の最大公差よりも大きくされた構成とすると良い。
このような構成とすると、本体部配置面の裏面側からリフローする場合(両面側からリフローする場合を含む)において、ランドの受ける熱量が増えるので、接続信頼性を向上することができる。
請求項12〜14いずれか1項に記載の発明においては、請求項15に記載のように、端子として、挿入部と、挿入部と連結され、プリント基板の表面に対して略平行とされた表面部とをランドとの実装部として有し、プリント基板に設けられた貫通孔に挿入部が挿入された状態で、貫通孔の壁面及び開口周辺に設けられた対応するランドに、表面部及び挿入部がリフローはんだ付けされる分岐状端子を含み、端子の配列方向に垂直であってプリント基板の表面に沿う方向において、挿入部が表面部よりも本体部から遠い位置、若しくは、表面部の両端の間の位置とされた構成を採用することもできる。
このような構成とすると、挿入部が表面部よりも本体部に近い位置とされた構成に比べて、リフロー時の熱が挿入部に当たりやすい(表面部によるリフロー熱の遮りが抑制されている)ので、これによって接続信頼性を向上することができる。
また、第1ランドに接続される端子及び第2ランドに接続される端子の少なくとも一方として分岐状端子を採用し、挿入部と表面部がともにリフロー実装されるので、プリント基板表面におけるランドの大型化を抑制しつつ所望の接続信頼性を満足するに足る、端子(ランド)とはんだとの接触面積を確保することができる。
また、貫通孔内に配置された挿入部が位置決めの効果を発揮するので、端子とランドが電気的に接続される前の状態(はんだが溶融状態)で、端子と対応するランドとの間に位置ずれが生じるのを防ぐことができる。すなわち、表面部のみの構成に比べて接続信頼性を向上することができる。
なお、挿入部の位置を、表面部の両端の間(略T字状)とすると、表面部において、挿入部を間に挟む両端部位にそれぞれはんだフィレット(サイドフィレット)が形成されることとなり、これによって接触面積の増加とプリント基板の表面方向の応力に対する接続信頼性の増加が期待できる。また、挿入部を回転中心とする位置ずれ角が同じであれば、挿入部が表面部よりも本体部から遠い位置とされた構成(逆L字状)よりも位置ずれ量を小さくすることができるので、これによって接続信頼性と実装密度を向上することができる。
請求項15に記載の発明においては、請求項16に記載のように、挿入部が表面部の両端に対して中央の位置とされた構成とすることが好ましい。
このような構成とすると、挿入部を回転中心とする表面部と対応するランドとの位置ずれ量をより低減することができる。また、ランドの貫通孔の開口周辺部位であって、貫通孔を間に挟む対称位置から流れ込むはんだ量のばらつきが小さくなるので、表面部の両端に良好なはんだフィレットをそれぞれ形成することができる。さらには、貫通孔を間に挟む対称位置から挿入部へリフロー時の熱が均等に伝わり、各対称位置と対応する表面部との接続状態のばらつきも低減することができる。
請求項15又は請求項16に記載の発明においては、請求項17に記載のように、挿入部の先端が、貫通孔に挿入された状態で、本体部配置面の裏面と同じ位置、又は、電子部品配置面とその裏面との間の位置とされた構成としても良い。
このような構成とすると、ランドの貫通孔の開口周辺部位上のはんだが、毛細管現象によって貫通孔内に流れ込む量を、挿入部の先端が本体部配置面の裏面側に突出する構成に比べて少なくすることができる。すなわち、表面部に良好なフィレットが形成されやすくなり、貫通孔内のはんだにボイドが生じる恐れが低減するので、プリント基板表面におけるランドの大型化を抑制しつつ接続信頼性を向上することができる。
また、プリント基板の本体部配置面の裏面をリフローするに当たり、挿入部が熱を遮らないので、他の電子部品などの接続信頼性を高めることができる。
また、請求項12〜16いずれか1項に記載の発明においては、請求項18に記載のように、挿入部の先端が、貫通孔に挿入された状態で、本体部配置面の裏面側に突出された構成としても良い。
このような構成とすると、本体部配置面の裏面側からリフローする場合(両面側からリフローする場合も含む)において、挿入部の本体部配置面の裏面側に突出された部位にてリフロー熱を受けることができるので、挿入部を有する端子の接続信頼性を向上することができる。
請求項12〜18いずれか1項に記載の発明においては、請求項19に記載のように、本体部として、プリント基板の一面上に配置され、第1ランドと接続される端子が配列された第1本体部と、プリント基板の第1本体部配置面の裏面上に配置され、第2ランドと接続される端子が配列された第2本体部とを有し、端子がランドとの実装部として少なくとも挿入部を有しており、第1ランドと接続される端子及び第2ランドと接続される端子のうち、一方の端子の挿入部先端が、貫通孔に挿入された状態で対応する本体部の配置面の裏面と同じ位置、又は、本体部配置面とその裏面との間の位置とされ、他方の端子の挿入部先端が対応する本体部の配置面の裏面側に突出された構成とすると良い。
このような構成とすると、本体部配置面の裏面側に先端が突出されない端子が配列された本体部配置面において、ランドの貫通孔の開口周辺部位上にはんだを配置すれば、本体部配置面の裏面側に先端が突出されない端子において、請求項15に記載の発明と同様の効果を期待することができる。また、本体部配置面の裏面側に先端が突出される端子において、開口周辺部位上に配置されたはんだを、少なくとも毛細管現象によって貫通孔壁面と挿入部との間に引き込むことができる。
また、第1本体部と第2本体部とが、嵌合などによって一体化された構成としても良い。
請求項19に記載の発明においては、請求項20に記載のように、第1ランドと接続される端子の挿入部先端が、貫通孔に挿入された状態で第1本体部配置面の裏面と同じ位置、又は、第1本体部配置面とその裏面との間の位置とされ、第2ランドと接続される端子の挿入部先端が、第2本体部配置面の裏面側に突出された構成とすることが好ましい。
このような構成とすると、はんだ配置面の裏面側からリフローする場合において、第2ランドに接続される端子によって、第1ランドに接続される端子(第1ランドとの接続部)へのリフロー熱が妨げられることによる接続信頼性への影響を小さくすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態としては、電子部品の一例としてコネクタを示し、電子部品をプリント基板に実装してなる電子装置の一例としてコネクタをプリント基板に実装してなる電子制御装置を示す。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子制御装置の概略構成を説明するための、組み付け前の状態を示す分解図である。図2は、コネクタをプリント基板に実装した状態の実装部周辺の平面図である。図3は、コネクタをプリント基板に実装した状態をプリント基板と端子との接続側から見た平面図である。図4は、コネクタをプリント基板に実装した状態を外部コネクタとの接続側から見た平面図である。図5は、図2の破線で囲まれた領域のハウジング配置面側の拡大平面図である。図6は、図2の破線で囲まれた領域における、プリント基板のハウジング配置面の拡大平面図である。図7は、図2の破線で囲まれた領域における、プリント基板のハウジング配置面の裏面側を示した拡大平面図である。図8は、図4に示すVIII−VIII線に沿う断面図である。図9(a)は、図8のIX−IX線に沿う模式的な断面図であり、図9(b)は、(a)の比較例を示す模式的な断面図である。なお、図5においては、便宜上、はんだとコネクタ以外の電子部品を省略して図示している。また、図6,7においては、便宜上、はんだとソルダレジストを省略して図示している。
本実施形態に示す電子制御装置は、非防水構造の電子制御装置であり、例えば車両のエンジンECU(Electric Control Unit)として用いられる。
図1に示す電子制御装置1は、特許請求の範囲に記載の電子装置に相当するものであり、主要部として、プリント基板31に電子部品32を実装してなる回路基板30と、特許請求の範囲に記載の電子部品に相当し、主としてハウジング60及びリフローはんだ付けされる実装部を備えた端子70を有するコネクタ50とを含んでいる。また上述の構成要素以外にも、本実施形態においては、回路基板30及びコネクタ50を収容する筐体10を含んでいる。このような電子制御装置は、基本的な構成及び製造方法が本出願人による特願2007−000888号と同様であるので参照されたい。
筐体10は、アルミニウム、鉄等の金属材料や合成樹脂材料からなり、回路基板30とコネクタ50の一部とを収容するものである。筐体10の構成部材の個数は特に限定されるものではなく、1つの部材から構成されても良いし、複数の部材から構成されても良い。本実施形態においては、図1に示すように、一方が開放された箱状のケース11と、ケース11の開放面を閉塞する略矩形板状の底の浅いカバー12との2つの部材により構成される。そして、ケース11とカバー12とを組み付けることで、回路基板30とコネクタ50を収容する内部空間を有した筐体10を構成する。また、筐体10(ケース11)には、コネクタ50に対応したコネクタ用切り欠き部(図示略)が設けられており、回路基板30を収容するようにケース11とカバー12を螺子締結(図示略)した状態で、回路基板30及びコネクタ50の一部(端子70の回路基板30との接続側を含む)が筐体10内に収容され、コネクタ50の残りの部分(端子70の外部コネクタとの接続側を含む)が筐体10外に露出される。
回路基板30は、図1に示すように、電極としてのランドを含む配線、配線間を接続するビアホール等が形成されてなるプリント基板31に、マイコン、パワートランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子部品32を実装してなるものである。本実施形態においては、電子部品32の1つとして、回路基板30と外部とを電気的に接続するコネクタ50が、プリント基板31実装されている。また、プリント基板31には、端子70の実装部がリフローはんだ付けされるランドが、ハウジング60に対する端子70の配列方向に沿って複数設けられている。このランドは、端子70の配列方向に垂直であってプリント基板31のハウジング配置面に沿う方向に複数列設けられ、各列のランドが千鳥配置とされている。
ランドによる千鳥の列数(段数)は特に限定されるものではない。本実施形態においては、ランドとして、図5〜図7に示すように、端子70の配列方向に沿って一列に配置された複数の第1ランド34と、第1ランド34よりもハウジング60から離れた位置(プリント基板31の一端面から離れた位置)において端子70の配列方向に沿って一列に配置された複数の第2ランド35とを有している。そして、第1ランド34と第2ランド35とで、2段の千鳥配置とされている。このような構成とすると、第1ランド34と第2ランド35を一列配置とする構成に比べて、端子70の配列方向において、端子70の側面に形成されるサイドフィレットを大きくとることができ、これによって接続信頼性を向上することができる。また、端子70の配列方向において、プリント基板31を小さく、ひいては電子制御装置1を小さくすることができる。また、第1ランド34と第2ランド35を格子状配置とする構成に比べて、各ランド34,35から引き出される配線36のパターンを簡素化することができる。また、図6及び図7に示すように、各ランド34,35の近傍に、コネクタ50以外の電子部品32を配置することも可能である。各ランド34,35の近傍に配置される電子部品32としては、サージ吸収用のコンデンサや位相固定用抵抗などが効果的である。さらには、後述にて説明するが、各ランド34,35(特にハウジング60(プリント基板31の一端面)に近い第1ランド34)がリフロー時の熱を受けやすくなり、これによって接続信頼性を向上することができる。なお、図6及び図7に示す符号37は、電子部品32がリフローはんだ付けされるランドである。
第1ランド34と第2ランド35は、後述する端子70の実装部に応じて、プリント基板31のハウジング60の配置面及びその裏面を貫通する貫通孔33の壁面及び開口周辺に設けられている。詳しくは、図5〜図8に示すように、各ランド34,35が、貫通孔33の開口周辺であってプリント基板31のハウジング配置面に設けられ、対応する端子70の実装部の一部がリフローはんだ付けされる表面部34a,35aと、貫通孔33の壁面に設けられ、対応する端子70の実装部の一部が貫通孔33に挿入された状態でリフローはんだ付けされる壁面部34b,35bと、貫通孔33の開口周辺であってプリント基板31のハウジング配置面の裏面に設けられた裏面部34c,35cをそれぞれ有している。そして、表面部34a、壁面部34b、及び裏面部34cが第1ランド34として一体化され、表面部35a、壁面部35b、及び裏面部35cが第2ランド35として一体化されている。なお、本実施形態においては、表面部34a,35aと壁面部34b,35bが一体化(連結)される構成を示すが、表面部34a,35aと壁面部34b,35bが一体化されずに、間にソルダレジストが介在された構成(電気的に分離された構成)としても良い。これらの構成は、本出願人による特願2007−000888号に記載されているので参照されたい。
貫通孔33の壁面及び開口周辺に設けられるランド34,35の形態は特に限定されるものではない。本実施形態においては、平面矩形状の表面部34a,35aの中心に貫通孔33が位置している。このような構成とすると、後述するように、表面部34a,35a上に配置されたはんだが、リフロー時において、貫通孔33を挟む対称位置から均等に貫通孔33内に流れ込むこととなるので、各対称位置に対向配置された端子70の実装部に良好なはんだフィレットを形成することができる。また、対称位置から貫通孔33内に配置された端子70の実装部へリフロー時の熱が均等に伝わり、各対称位置と端子70の実装部との接続状態のばらつきも低減することができる。また、第1ランド34と第2ランド35において、表面部34a,35aのほうが、裏面部34c,35cよりも大きくなっている。このような構成とすると、裏面部34c,35cのほうが表面部34a,35aよりも大きいか、両者が等しい構成と比べて、プリント基板31のハウジング配置面の裏面における電子部品32の実装禁止領域を小さくし、ひいてはプリント基板31の体格を小型化することができる。
なお、貫通孔33の形状及び大きさは、貫通孔33に挿入される端子70(実装部の径)に応じて適宜設定されれば良い。本実施形態においては、図5〜図7に示すように、プリント基板31が、径の細い端子73〜76に対応する径の小さい貫通孔33と、端子73〜76よりも径の太い端子71,72に対応する径の大きい貫通孔33との、径の異なる2種類の貫通孔33を有している。なお、本実施形態において、径の細い端子73〜76は信号伝送用のシグナル端子であり、径の太い端子71,72は電力伝送用のパワー端子である。したがって、貫通孔33の大きさのみならず、流れる電流量に応じて表面部34a,35aの大きさと配線36の幅が設定されている。
コネクタ50は、導電材料からなる複数の端子70を、電気絶縁性の材料(本実施形態においては樹脂)からなるハウジング60(特許請求の範囲に記載の本体部に相当)に対してプリント基板31の表面に沿って配列してなるものである。端子70は、ハウジング60から延出された一方の端部(実装部)が、対応するランド34,35にリフローはんだ付けされ、ハウジング60から延出された他方の端部が筐体10外に露出されて外部コネクタと電気的に接続される構成であれば採用することができる。このような端子70としては、予め折曲された所定形状に金属板を打ち抜いてなり、インサート成形によってハウジング60と一体化された所謂打ち抜き端子や、金属板を打ち抜いた棒状の端子部材を、ハウジング60に設けた孔部に挿入し、その後折り曲げてなる所謂曲げ端子を採用することができる。
本実施形態においては、全ての端子70が黄銅を金属メッキしてなる打ち抜き端子であり、互いに干渉しないようにそれぞれの一部がハウジング60に保持された状態で、図2〜図4に示すように平面矩形状のハウジング60の長手方向に沿って配列されている。このように、端子70として打ち抜き端子を採用した場合、金属板の厚さによって端子70の配列方向(ハウジング60の長手方向)における各端子70の幅を決定することができるので、金属板の厚さを適宜選択することで、ハウジング60の長手方向においてプリント基板31やハウジング60の反り等によって生じる応力を端子70のばね性で緩和し、はんだ接続部に作用する応力を低減することができる。
また、上述したように、本実施形態においては、端子70として、パワー端子71,72とシグナル端子73〜76を有している。この端子71〜76のうち、端子71,73,75が、ハウジング60に近い側の第1ランド34と接続されており、端子71,73,75よりも高い端子72,74,76が、ハウジング60に遠い側の第2ランド35と接続されている。
第1ランド34と接続される端子70(71,73,75)は、プリント基板31のハウジング配置面と略平行であって少なくとも一部がハウジング60に固定された第3平行部と、一端に第3平行部が連結され、他端に直接、若しくは、プリント基板31のハウジング配置面と略平行であってハウジング60から露出された部位を介して第1ランド34との実装部が連結された第2連結部とを有していれば良い。例えば図8に示すように、第1ランド34と接続されるパワー端子71は、プリント基板31のハウジング配置面と略平行であって、ハウジング60内に配置されて固定された部位とこの部位に連結してハウジング60からランド34,35の形成側に僅かに突出された部位からなる第3平行部71aと、上端に第3平行部71aが連結され、下端に第1ランド34との実装部である表面実装部71d及び挿入実装部71eが直接連結された第2連結部71bとを有する構成となっている。なお、第3平行部71aの、第2連結部71bが連結された端部の他方の端部には、ハウジング60からランド34,35の形成側とは反対側に露出されて外部コネクタと接続される接続部が連結されている。また、図示されないが、第1ランド34と接続されるシグナル端子73,75も、パワー端子71と同様の構成となっている。
また、第2ランド35と接続される端子70(72,74,76)は、プリント基板31のハウジング配置面と略平行であって少なくとも一部がハウジング60に固定された第1平行部と、プリント基板31のハウジング配置面と略平行であってハウジング60から露出されてハウジング60から遠い側の端部に第2ランド35との実装部が連結された第2平行部と、第1平行部と第2平行部とを連結する第1連結部とを有していれば良い。また、第1平行部は、その全てがハウジング60内に配置されるか、若しくは、ハウジング60からランド34,35の形成側に露出された部位の長さが第2平行部よりも短い長さとされ、第2平行部は、プリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向において、第1平行部よりもプリント基板31のハウジング配置面に近い位置とされていれば良い。例えば図8に示すように、第2ランド35と接続されるパワー端子72は、プリント基板31のハウジング配置面と略平行であって、ハウジング60内に配置されて固定された部位とこの部位に連結してハウジング60からランド34,35の形成側に突出された部位からなる第1平行部72aと、プリント基板31のハウジング配置面と略平行であって、ハウジング60から露出されてハウジング60から遠い側の端部に第2ランド35との実装部である表面実装部72d及び挿入実装部72eが連結された第2平行部72cと、上端に第1平行部72aを連結し、下端に第2平行部72cを連結する第1連結部72bとを有する構成となっている。また、第1平行部72aは、ハウジング60からランド34,35の形成側に露出された部位の長さが第2平行部72cよりも短い長さとされ、第2平行部72cは、プリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向において、第1平行部72aよりもプリント基板31のハウジング配置面に近い位置とされている。なお、第1平行部72aの、第1連結部72bが連結された端部の他方の端部には、ハウジング60からランド34,35の形成側とは反対側に露出されて外部コネクタと接続される接続部が連結されている。また、図示されないが、第2ランド35と接続されるシグナル端子74,76も、パワー端子72と同様の構成となっている。
さらに、第1ランド34と接続される端子70(71,73,75)と第2ランド35と接続される端子70(72,74,76)とにおいて、第1連結部72bと第2連結部71bは、プリント基板31のハウジング配置面に対して略垂直とされ、且つ、端子70の配列方向に沿って交互に配置されて一列となっている。また、第3平行部71aが、プリント基板31のハウジング配置面に対して同一側において第2平行部72cよりもプリント基板31のハウジング配置面に遠い位置とされている。
プリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向において、ハウジング60に対する端子70(71〜76)の段数は特に限定されるものではないが、多段配置とすると、1段配置に比べて端子70の配列方向における体格をより小型化することができる。本実施形態においては、図3,図4,及び図8に示すように、端子70が、ハウジング60に対してプリント基板31の表面に垂直な方向に多段に配置されている。より詳しくは、パワー端子71,72が、ハウジング60に対してプリント基板31側からパワー端子71,パワー端子72の順で2段配置されている。そして、図4に示すように、ハウジング60に対してパワー端子71とパワー端子72が千鳥配置とされている。また、シグナル端子73〜76が、ハウジング60に対してプリント基板31側からシグナル端子73,シグナル端子75,シグナル端子74,シグナル端子76の順で4段配置されている。そして、端子70の配列方向において、図4に示すように、ハウジング60に対してシグナル端子73,シグナル端子74,シグナル端子75,シグナル端子76の順で千鳥配置とされている。さらに、例えば図8に示したように、第2ランド35と接続される端子70(72,74,76)の第1平行部72aが、第1ランド34と接続される端子70(71,73,75)の第3平行部71aよりも、プリント基板31のハウジング配置面から遠い位置とされている。なお、端子70の構成が本実施形態の主とする特徴部分であり、その効果については後述する。
端子70の実装部は、対応するランド34,35にリフローはんだ付けされる形態であれば特に限定されるものではない。例えば、実装部がプリント基板31の表面に対して略平行とされた所謂表面実装構造でも良いし、プリント基板31の表面に対して略垂直とされ、プリント基板31の貫通孔に挿入される挿入実装構造でも良い。本実施形態においては、各端子70が、実装部として、上述したように表面実装構造の表面実装部71d,72dと挿入実装構造の挿入実装部71e,72eを併せもつ分岐状端子として構成されている。そして、端子70の表面実装部71d,72dが、対応するランド34,35の表面部34a,35a上にそれぞれ対向配置され、はんだ90を介して機械的且つ電気的に接続されている。また、端子70の挿入実装部71e,72eが、対応する貫通孔33内に挿入された状態で、対応するランド34,35の少なくとも壁面部34b,35bと、はんだ90を介して機械的且つ電気的に接続されている。
このような構成を採用すると、端子70の挿入実装部71e,72eが、プリント基板31の対応する貫通孔33内に配置された状態で、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向に対する位置決めの効果を発揮することができる。したがって、プリント基板31とコネクタ50のハウジング60との線膨張係数差によって、例えばリフロー時にプリント基板31及びハウジング60の少なくとも一方に反り等の変形が生じても、端子70と対応するランド34,35との接続を確保することができる。また、挿入実装部71e,72eは、その一部が貫通孔33内に配置された状態で、対応するランド34,35の壁面部34b,35bとはんだ90を介して電気的且つ機械的に接続されている。したがって、ハウジング60の長手方向における端子70の個数が多くても、表面実装部71d,72dと対応するランド34,35の表面部34a,35aとのコプラナリティを確保することができる。したがって、所望の接続信頼性を満足するに足る、端子70(ランド34,35)とはんだ90との接触面積を確保することができる。すなわち、実装部が表面実装構造とされた構成に比べて接続信頼性を向上することができる。特に本実施形態にいては、全ての端子70を分岐状端子としているので、接続信頼性をより向上することができる。
また、本実施形態においては、第2ランド35に接続される端子70(72,74,76)において、例えば図8に示すように、端子70の配列方向に垂直であってプリント基板31の表面に沿う方向において、第2平行部72cの先端からハウジング60に対して離反する方向に表面実装部72dが延びている。また、第1ランド34に接続される端子70(71,73,75)において、例えば図8に示すように、端子70の配列方向に垂直であってプリント基板31の表面に沿う方向において、第2連結部71bの下端からハウジング60に対して離反する方向に表面実装部71dが延びている。したがって、実装部にリフロー熱が当たりやすい構成となっている。
また、本実施形態においては、端子70の配列方向に垂直であってプリント基板31の表面に沿う方向において、端子70の実装部が、表面実装部71d,72d、挿入実装部71e,72e、表面実装部71d,72dの順で構成されている。すなわち、略T字構造となっている。このような、略T字構造の端子70を採用すると、端子70が表面実装部71d,72dと挿入実装部71e,72eを有する構成において、挿入実装部71e,72eが表面実装部71d,72dよりもハウジング60に近い位置とされた構成(所謂踵構造)に比べて、リフロー時に表面実装部71d,72dによって遮られる熱が抑制され、その分挿入実装部71e,72e(と対応する壁面部34b,35bとの接続部)に熱が伝わりやくなる。その結果、接続信頼性を向上することができる。なお、挿入実装部71e,72eが表面実装部71d,72dよりもハウジング60に遠い位置とされた構成(所謂逆L字構造)としても、同様の効果を期待することができる。また、本実施形態においては、全ての端子70において、挿入実装部71e,72eが表面実装部71d,72dの両端に対して中央の位置とされている。したがって、挿入実装部71e,72eを間に挟む表面実装部71d,72dから挿入実装部71e,72e(壁面部34b,35bとの接続部)へリフロー時の熱が均等に伝わるので、表面実装部71d,72dと対向する表面部34a,35aとの接続状態のばらつきを低減することができる。
なお、略T字構造の端子70による効果(表面実装部71d,72dの長手方向の端部に挿入実装部71e,72eが設けられた構成と比較した効果)は、上述以外にも種々考えられる。これらの効果は、本出願人による特願2007−000888号に詳細に記載されているので本実施形態においては詳細な記載は省略する。例えば、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向における大きさが同じであれば、略T字構造のほうが、電子部品32の実装密度をより向上することが可能である。また、挿入実装部71e,72eを中心とした回転による位置ずれが生じたとしても、略T字構造のほうが表面部34a,35aから表面実装部71d,72dがはみ出にくく、接続信頼性(品質)を確保しやすい。また、プリント基板31の表面に対して斜めに傾いたとしても、略T字構造のほうが接続信頼性(品質)を確保しやすい。また、表面部34a,35a上のはんだ90がリフロー時に貫通孔33内に流れ込んでも、略T字構造のほうが貫通孔33を挟んで対向するそれぞれの表面部34a,35a上のはんだ厚をほぼ等しい厚さに保って接続信頼性(品質)を確保しやすい。また、略T字構造のほうが表面実装部71d,72dにおけるサイドフィレット箇所を多くとることができ、これによって接続信頼性を向上することができる。
また、本実施形態においては、全ての端子70において、例えば図8に示すように、挿入実装部71e,72eの先端が、対応する貫通孔33に挿入された状態で、プリント基板31のハウジング配置面とその裏面との間の位置とされている。このような構成とすると、挿入実装部71e,72eと貫通孔33の壁面(壁面部34b,35b)との対向する長さが短いので、リフロー時において、ランド34,35の表面部34a,35a上に塗布されたはんだ90が、重力や毛細管現象によって貫通孔33内に流れ込む量を、挿入実装部71e,72eの先端がハウジング配置面の裏面側に突出する構成に比べて少なくすることができる。したがって、表面部34a,35a上のはんだ90が確保されて端子70の表面実装部71d、72dに良好なフィレットが形成されやすくなる。また、貫通孔33内のはんだ90にボイドが生じる恐れが低減する。これらによって、プリント基板31の表面におけるランド34,35(表面部34a,35a)の大型化を抑制しつつ接続信頼性を向上することができる。また、プリント基板31のハウジング配置面の裏面をリフローする際に、挿入実装部71e,72eが熱を遮らないので、他の電子部品32などの接続信頼性を高めることができる。なお、挿入実装部71e,72eの先端が、プリント基板31のハウジング配置面の裏面と同じ位置とされた構成としても、上述と同様の効果を期待することができる。
このような端子70を含むコネクタ50は、図2〜図4に示すように、ハウジング60の長手方向において、複数のシグナル端子73〜76のみが集められた端子ブロック51と、複数のシグナル端子73〜76と複数のパワー端子71,72が集められた端子ブロック52とを、外部コネクタとの接続に供せられる端子ブロックとしてそれぞれ有している。本実施形態においては、エンジン関係の各系統と電気的に接続される3つの外部コネクタと接続され、この接続に供せられる端子ブロックとして、1つの端子ブロック51と2つの端子ブロック52を有している。そして、図4に示すように、外部コネクタとの接続側において、各端子ブロック51,52がハウジング60によって分離されている。したがって、ハウジング60の長手方向において、ハウジング60の反りを低減することができる。なお、複数の端子ブロックの配置や端子ブロックにおける端子70の配置については、本出願人による特願2007−000888号に記載されているので、本実施形態における詳細な説明は省略する。
なお、図2及び図3に示す符号53は、プリント基板31に対するコネクタ50の接続信頼性を向上するための補強ピンである。本実施形態においては、補強ピン53を、ハウジング60の長手方向において、互いに離間して複数箇所(4箇所)に設けることで、補強効果を高めるようにしている。しかしながら、本実施形態においては、端子70が、対応するランド34,35との実装部として表面実装部71d,72dと挿入実装部71e,72eを有しているので、補強ピン53のない構成としても、接続信頼性を確保することができる。
このように構成される電子制御装置1は、主として以下に示す効果を有している。先ず、本実施形態においては、第1ランド34と第2ランド35とを千鳥配置としているので、格子状に配置した構成に比べて、第1ランド34と接続された端子71,73,75(特に実装部)に、プリント基板31のハウジング配置面上方からのリフロー熱が当たりやすくなっている。
また、第2ランド35と接続される端子70(72,74,76)を、第1平行部72a、第1連結部72b、第2平行部72cの順で連結した構成とし、プリント基板31のハウジング配置面と略平行である第1平行部72aと第2平行部72cのうち、第2平行部72cを図9(a)に示すように第1平行部72aよりもプリント基板31のハウジング配置面に近い位置としている。これに対し、従来の電子制御装置においては、例えば図9(b)に示すように、第1平行部72aと第2平行部72cが連結されて1つの平行部となっており、第2平行部72cの第1平行部72aとの連結端の他端に第1連結部72bが連結され、第1連結部72bの下端に実装部が設けられた構成となっている。したがって、図9(a),(b)にそれぞれ一点鎖線間の範囲で示すように、第1ランド34(表面部34a)と接続される端子70(71)の実装部(表面実装部71d)に対し、第2平行部72cに遮られること無くプリント基板31のハウジング配置面上方から供給されるリフロー熱の範囲を、本実施形態に示す構成(図9(a)に示す構成)のほうが広くできることが明らかである。なお、図9(b)においては、便宜上、本実施形態と同一の構成要素に同一符号を付与している。
このように、本実施形態に係る電子制御装置1によれば、上述した千鳥配置の効果と第2平行部72cの効果によって、ハウジング60に近い第1ランド34と接続される端子70(71,73,75)の実装部71d,71e(対応するランド34との接続部)にも、効率よくリフロー熱が印加される。したがって、熱不足による接続不良が生じるのを抑制し、接続信頼性を向上することができる。
また、端子70のうち、プリント基板31のハウジング配置面と略平行である平行部分は、垂直部分と比べてプリント基板31のハウジング配置面上方からのリフロー熱が当たりやすい。したがって、ハウジング60から延出された平行部分が長い従来の電子制御装置1においては、この平行部分で受けた熱がハウジング60に伝わって悪影響を与える(例えば樹脂製のハウジング60が溶ける)恐れがあった。これに対し、本実施形態においては、図8に示すように、第1平行部72aをその全てがハウジング60内に配置されるか、若しくは、ハウジング60から露出された部位の長さが第2平行部72cよりも短い長さとし、第2平行部72cと第1平行部72aとを第1連結部72bによって連結する構成としている。したがって、第1平行部72aで熱を受けたとしても僅かであり、第2平行部72cで受けた熱はハウジング60までの伝熱経路が長いので、リフロー時の熱によるハウジング60への悪影響を抑制することができる。
なお、本実施形態においては、図8に示すように、第1平行部72aが、第3平行部71aよりもプリント基板31のハウジング配置面に遠い位置とされており、これによって、第2平行部72cから第1平行部72aまでの伝熱経路が長くなっている。したがって、リフロー時の熱によるハウジング60への悪影響を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態においては、図8に示すように、第1ランド34と接続される端子70(71,73,75)の第3平行部71aが、プリント基板31のハウジング配置面に対して同一側において第2平行部72cよりもプリント基板31のハウジング配置面に遠い位置されている。換言すれば、第3平行部71aが第2平行部72cよりもプリント基板31のハウジング配置面に近い位置とされた構成に比べて、第1ランド34と接続される端子70(71,73,75)の第2連結部71bにもリフロー時の熱が当たりやすくなっている。したがって、接続信頼性をより向上することができる。
なお、このように構成される電子制御装置1は、例えば以下に示す製造方法によって形成することができる。図10は、電子制御装置の製造工程のうち、特徴部分である塗布工程を示す図であり、(a)は塗布工程のうち第1工程、(b)は塗布工程のうち第2工程、(c)は塗布工程完了後を示している。図11は、端子と接続されるランドと、塗布工程において用いられるスクリーンのランドに対応した開口部との位置関係を示す平面図である。なお、上述した電子制御装置1の製造方法としては、本出願人による特願2007−000888号に記載された種々の方法を採用することができるが、以下においてはその一例を示す。
電子制御装置1を製造するに当たって、先ず上述した構成のプリント基板31と上述した構成のコネクタ50を、公知の製造方法を用いてそれぞれ準備する。例えば貫通孔33は、プリント基板31の厚さや貫通孔33の径に応じて、プリント基板31における端子70の挿入実装部71e,72eに対応する位置に、ドリル等の機械的加工やレーザ加工等によって形成することができる。また、各ランド34,35は、めっきや金属箔のエッチング等の公知技術によって形成することができる。なお、本実施形態においては、金属板を打ち抜いて端子70を形成する際に、コネクタ50をプリント基板31に実装した状態で、端子70の挿入実装部71e,72eの先端がプリント基板31のハウジング配置面の裏面側に突出しないように挿入実装部71e,72eの長さを設定する。また、同一の端子70に対応する表面実装部71d,72dと挿入実装部71e,72eとを、一体的に形成する。
次に、準備されたプリント基板31に対し、ハウジング配置面側の実装を行う。先ず、図10(a)〜(c)に示すように、スクリーン印刷法を用いて、ランド34,35上(表面部34a,35a上及び貫通孔33内の壁面部34b,35b上)に、所定粘度に調整されたペースト状のはんだ90を塗布する。塗布工程においては、表面部34a,35a上及び貫通孔33内の壁面部34b,35b上に一括ではんだ90を塗布することも可能であるが、本実施形態においては、異なるマスク形状のスクリーンをそれぞれ用いた第1工程と第2工程の2回に分けて塗布を実施する。
第1工程においては、図10(a)及び図11に示すように、貫通孔33に対応する位置に、貫通孔33とほぼ一致(大きさ及び形状)するように開口部111が設けられた第1スクリーン110を用いる。そして、第1スクリーン110上にペースト状のはんだ90を供給し、スキージ112を走行させて、スクリーン印刷を実行する。これにより、開口部111を通してはんだ90がプリント基板31側に転写され、ハウジング配置面側からペースト状のはんだ90が貫通孔33内に充填される。このとき、貫通孔33内の空気は、プリント基板31の裏面側開口部から外部へ逃げるので、貫通孔33内にはんだ90を充填することができる。なお、第1スクリーン110の厚さ(マスク厚さ)は、貫通孔33内にはんだ90を充填するために、できる限り薄いほうが好ましい。
第1工程終了後、第2工程を実施する。第2工程においては、図10(b)及び図11に示すように、表面部34a,35a及び貫通孔33に対応する位置に、表面部34a,35aの外形とほぼ一致(大きさ及び形状)するように開口部114が設けられるとともに、ランド37に対応する位置に、ランド37の外形とほぼ一致(大きさ及び形状)するように開口部115が設けられた第2スクリーン113を用いる。そして、第2スクリーン113上にペースト状のはんだ90を供給し、スキージ112を走行させて、スクリーン印刷を実行する。これにより、開口部114,115を通してはんだ90がプリント基板31側に転写され、ハウジング配置面側からペースト状のはんだ90がランド34,35の表面部34a,35a上とランド37上に配置されるとともに、第1工程で配置されたはんだ90上にも積層配置される。なお、第2スクリーン113の厚さ(マスク厚さ)は、表面部34a,35a上にはんだ90を配置するために、できる限り厚いほうが好ましい。本実施形態においては、第1スクリーン110の厚さを第2スクリーンの厚さ113の厚さよりも薄くすることで、貫通孔33内にはんだ90を効率よく充填しつつ、表面部34a,35a上のはんだ厚さを確保するようにしている。
このように塗布工程を、複数回のスクリーン印刷工程によって構成すると、1回のスクリーン印刷工程のように部分的なマスク厚さや印圧等の調整をしなくとも、貫通孔33内により多くのはんだ90を供給することができ、ひいては表面部34a,35a上に配置されるはんだ90を厚くすることができる。したがって、表面実装部71d,72d及び挿入実装部71e,72eとはんだ90、各ランド34,35とはんだ90との接触面積を増やすことができる。また、複数回スクリーン印刷を行う構成でありながら、スクリーン裏面の汚れ(プリント基板側からの転写)を防ぐことができる。さらには、リフロー前に予め貫通孔33内にもはんだ90を充填するので、後述するリフロー工程において、表面部34a,35a上から貫通孔33内に流れ込むはんだ90を低減する、又は、貫通孔33内に流れ込むはんだ90を無くすことができる。
なお、複数回に分けてスクリーン印刷を実行する場合、前段のスクリーン印刷(第1工程)によってプリント基板31に転写されたはんだ90が、後段のスクリーン印刷(第2工程)時にスクリーンの裏面に付着して、汚れ等の不具合が生じる恐れがある。これに対し、本実施形態においては、図11に示すように、第1工程で用いる第1スクリーン110の開口部111よりも第2工程で用いる第2スクリーン113の開口部114のほうが大きく、開口部111を開口部114内に含むようにしている。したがって、上述の汚れの問題を防ぐことができる。また、上述したように、表面部34a,35aと壁面部34b,35bが一体化されているので、両者が分離された構成よりも開口部の数を少なくし、これによっても汚れが生じるのを低減することができる。また、第2工程において、コネクタ50以外の電子部品32に対応するランド37上にはんだ90を塗布することで印刷工程を少なくしており、これによっても汚れが生じるのを低減するようにしている。また、ランド37上のはんだ厚を確保するようにしている。
第1工程及び第2工程(塗布工程)が終了すると、図10(c)に示すように、表面部34a,35a上、貫通孔33内の壁面部34b,35b上、及びランド37上にはんだ90が配置されたプリント基板31が準備される。そして、コネクタ50を含む電子部品32を、プリント基板31のハウジング配置面上に位置決め配置する。これにより、端子70の各挿入実装部71e,72eが、はんだ90を突き抜けて貫通孔33内に挿入される。また、端子70の各表面実装部71d,72dが、対応するランド34,35の表面部34a,35a上に対向配置されてはんだ90と接触する。このように本実施形態においては、挿入実装部71e,72eを貫通孔33内に挿入するので、プリント基板31に対するコネクタ50の位置決めが容易である。また、挿入実装部71e,72eがアンカーの役割を果たすので、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向における端子70と対応する各ランド34,35との位置ずれを抑制することができる。
そして、コネクタ50を含む電子部品32をプリント基板31上に配置した状態で、リフローを実施する。これにより溶融されたはんだ90は濡れ広がり、好ましくは表面実装部71d,72dとの間にフィレットを形成した状態で冷却・固化される。
本実施形態においては、挿入実装部71e,72eの先端が、貫通孔33に挿入された状態で、プリント基板31のハウジング配置面とその裏面との間に位置する。また、塗布工程において、貫通孔33の途中まではんだ90が充填される。さらには、各ランド34,35を構成する表面部34a,35a、壁面部34b,35b、及び裏面部34c,35cがそれぞれ一体化されている。したがって、表面実装部71d,72dが表面部34a,35a上のはんだ90と接触していると、リフロー時に表面部34a,35a上のはんだ90の一部が、壁面部34b,35bと挿入実装部71e,72eとが互いに対向して構成される隙間(以下、貫通孔33と挿入実装部71e,72eとの隙間と示す)に毛細管現象及び/又は重力によって流れ込む。図8は、この状態ではんだ90が冷却・固化された構造を示している。また、ハウジング配置面に対する端子70の高さ方向のばらつきによって、リフロー前の状態で表面実装部71d,72dと表面部34a,35a上のはんだ90との接触が十分でないと、貫通孔33と挿入実装部71e,72eとの隙間を介して、溶融されたはんだ90が表面実装部71d,72dに毛細管現象によって濡れあがり、接続信頼性を確保するに足る、端子70とはんだ90との所望の接触面積を確保することができる。すなわち、いずれの場合も、はんだ90を介して端子70と各ランド34,35とを電気的且つ機械的に接続(接合)することができる。特に本実施形態においては、塗布工程において貫通孔33内に効率よくはんだ90を充填し、表面部34a,35a上のはんだ90の厚さを確保するので、接続信頼性をより向上することができる。また、貫通孔33内に予めはんだ90を充填するので、リフロー工程において、表面部34a,35a上から貫通孔33内に流れ込むはんだ90の量を、貫通孔33内にはんだ90が予め充填されない構成に比べて低減することができる。したがって、これによっても、表面部34a,35a上のはんだ90の厚さを確保し、接続信頼性をより向上することができる。また、貫通孔33内に十分な量のはんだ90が配置されるので、ボイドの発生を抑制することができる。
なお、リフロー時において、プリント基板31とコネクタ50のハウジング60との線膨張係数差により、はんだ90が冷却・固化される前の状態(溶融状態)で、プリント基板31及びハウジング60の少なくとも一方に反り等の変形が生じることがある。特に、本実施形態に示すコネクタ50のように、プリント基板31の厚さ方向に垂直な方向において、一方向に長い形状を有し、複数の端子70がその長手方向に沿って配列された構成においては、上述の変形量が長手方向の端部側ほど大きくなる。すなわち、端子70と対応する各ランド34,35との接続において、端部側ほど接続信頼性が低下しやすい。しかしながら、本実施形態においては、上述したように、貫通孔33に挿入される挿入実装部71e,72eがアンカーとしての役割を果たすので、はんだ90が冷却・固化される前の状態(溶融状態)で、端子70と対応する各ランド34,35との間に位置ずれが生じるのを防ぐことができる。
プリント基板31のハウジング配置面側のリフロー終了後、プリント基板31の裏面において、同様に電子部品32のリフロー実装を実行する。これにより、図1に示す電子制御装置1が形成される。
このように、本実施形態においては、端子70が、表面実装部71d,72dと挿入実装部71e,72eを有する分岐状端子であり、挿入実装部71e,72eが貫通孔33に対して挿入された状態で、リフローが実行される。したがって、接続信頼性を向上することができる。
また、貫通孔33に挿入実装部71e,72eを挿入する構成でありながら、フローはんだ付けを不要とするので、プリント基板31のハウジング配置面の裏面において、電子部品32の実装禁止領域を小さくすることができる。すなわち、実装密度を向上することができる。
なお、本実施形態においては、塗布工程を、異なるマスク形状のスクリーン110,113をそれぞれ用いた第1工程と第2工程の2回に分ける例を示した。しかしながら、スクリーン印刷の回数は2回に限定されるものではない。3回以上としても良い。また、1回のスクリーン印刷によって、ランド34,35の壁面部34b,35b上と表面部34a,35a上,及びランド37上に一括ではんだ90を塗布することも可能である。例えば、スクリーンの厚さ(マスク厚さ)を部分的に変えても良いし、スキージ112の走行速度を調整(各ランド34,35上においてランド37よりも遅く)したり、印圧を調整(各ランド34,35上においてランド37よりも強く)することで、接続信頼性を向上することもできる。
また、本実施形態においては、第2スクリーン113の開口部114を、ランド34,35の表面部34a,35aと略同一とする例を示した。しかしながら、本実施形態に示す構成は、貫通孔33の壁面部34b,35bがある分だけ、ランド34,35として表面部34a,35aのみを有する構成に比べて、表面部34a,35a上のはんだ量が不足することが考えられる。そこで、隣接するランド34,35間で短絡が生じない範囲で、開口部114を表面部34a,35aを含んで表面部34a,35aよりも大きくしても良い。こうすることで、はんだ90の厚さを変えずに、表面部34a,35a上のはんだ90の厚さを稼ぐことができる。
また、本実施形態においては、例えば図6に示すように、プリント基板31の厚さ方向に対して垂直な方向において、ランド34,35の表面部34a,35aの外形形状が矩形状である例を示した。しかしながら、端子70の径(貫通孔33の径)によっては、端子70の配列方向において、図12に示すように、ランド34,35の表面部34a,35aのうち、貫通孔33の回りの部分だけ他の部分よりも大きい構成としても良い。このように、表面部34a,35aのうち、貫通孔33の周りのみ太らせた形状としても、表面実装部71d,72dに好適なサイドフィレットを形成すべく表面部34a,35a上におけるはんだ量を最適量にすることができ、且つ、貫通孔33と挿入実装部71e,72eのはんだ量を増やすことができる。具体的には、表面部34a,35aの幅(端子70の配列方向における貫通孔33の回り部分を除く他の部分の幅)は、貫通孔33の穴径程度あれば良い。なお、図12に示すように、ハウジング60から遠い第2ランド35(貫通孔33及び表面部35a)の位置を、ハウジング60の離反方向においてずらした構成とすると、ハウジング60の長手方向におけるプリント基板31の体格、ひいては電子制御装置1の体格を小型化することができる。しかしながら、ハウジング60から延出される端子70の長さが異なるので、端子種類が増えることとなる。図12は、変形例を示すプリント基板31の平面図である。なお、図12においては、便宜上、はんだとソルダレジストを省略して図示している。
また、本実施形態においては、プリント基板31におけるハウジング配置面側のリフロー終了後、裏面側のリフロー実装を実行する例を示した。しかしながら、プリント基板31におけるハウジング配置面の裏面側のリフロー終了後、ハウジング配置面側のリフロー実装を実行しても良い。この場合、挿入実装部71e,72eがプリント基板31のハウジング配置面の裏面側に突出する構成であっても、挿入実装部71e,72eによってプリント基板31におけるハウジング配置面の裏面側における電子部品32へのリフローの熱を妨げることはない。
また、本実施形態においては、プリント基板31のハウジング配置面側に設けられたランド34,35の表面部34a,35a上にはんだ90が配置され、ハウジング配置面側のリフローによって、コネクタ50がプリント基板31に実装される例を示した。しかしながら、端子70が実装部として挿入実装部71e,72eを有する構成(プリント基板31に貫通孔33を有する構成)においては、ハウジング配置面の裏面側のリフロー熱を実装に活用しても良い。すなわち、両面側からのリフローによって、コネクタ50をプリント基板31に実装しても良い。こうすることで、特に第1ランド34と対応する端子70(71,73,75)の接続部に十分な熱が供給され、はんだ90が溶融されて、ランド34と端子70との接続信頼性を高めることができる。この場合、挿入実装部71e,72eのうち、図13に示すように、少なくとも挿入実装部71eをプリント基板31のハウジング配置面の裏面側に突出する構成とすると、挿入実装部71eの突出部位がハウジング配置面の裏面側のリフロー熱を受けるので、ハウジング配置面側のリフローによって端子71の実装部(特に挿入実装部71e)に十分な熱が供給されなくとも、接続信頼性を確保することができる。また、挿入実装部71e,72eをプリント基板31のハウジング配置面の裏面側に突出する構成とすると、例えばリフロー時にプリント基板31及びハウジング60の少なくとも一方に反り等の変形が生じても、端子70と対応するランド34,35との接続をより確実に確保することができる。図13は、変形例を示す断面図である。
また、ハウジング配置面の裏面側のリフローを活用してコネクタ50をプリント基板31に実装する場合、ランド34,35において、裏面部34c,35cの大きさを、表面部34a,35aよりも小さい関係を満たす範囲で、貫通孔33の孔径の最大公差よりも大きくすると良い。例えば図13においては、裏面部34cの大きさを、表面部34aよりも若干小さい大きさとしている。このような構成とすると、裏面部34c,35c、ひいてはランド34,35の受ける熱量が増えるので、接続信頼性を向上することができる。
また、ハウジング配置面の裏面側のリフローを活用してコネクタ50をプリント基板31に実装する場合、ランド34,35の表面部34a,35a上にはんだ90を塗布する例に限定されるものではない。例えば図14に示すように、プリント基板31のハウジング配置面の裏面側において、貫通孔33の開口周辺に設けられた裏面部34c,35c上にはんだ90を塗布する。そして、貫通孔33内に挿入実装部71e,72eを挿入され、表面部34a,35a上に表面実装部71d,72dが対向配置されるように、端子70を含むハウジング60を、プリント基板31のハウジング配置面上に固定(例えば、接着、螺子締結、クリップなど)した状態で、ハウジング配置面を下にしてハウジング配置面の裏面側からリフローを実施しても良い。このようにすると、はんだ90の自重によって貫通孔33内にはんだ90が流れ込んで、壁面部34b、35bと挿入実装部71e,72eを接続することができる。また、表面実装部71d,72dを有する場合には、表面実装部71d,72dにてはんだ90を受けることができるので、表面部34a,35aと表面実装部71d,72dを接続することができる。なお、上述においては、ハウジング60をプリント基板31に固定した状態で、挿入実装部71e,72eの先端がハウジング配置面の裏面側に突出する構成(図13参照)とすると、自重の効果に毛細管現象による効果が加味されて、貫通孔33内にはんだ90を引き込みやすくなる。図14は、変形例を示す断面図である。
また、本実施形態においては、第1ランド34に接続される端子70(71,73,75)として、第2連結部71bと第1ランド34との実装部(表面実装部71d)とが連結される構成を示した。しかしながら、第2連結部71bの下端に、プリント基板31のハウジング配置面と略平行であり、ハウジング60から露出されて第3平行部71aよりもプリント基板31のハウジング配置面に対して近い位置とされた平行部が連結され、該平行部のハウジング60から遠い側の端部に第1ランド34との実装部が連結される構成としても良い。すなわち、平行部を介して第2連結部71bと実装部とが連結される構成としても良い。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図15〜図19に基づいて説明する。図15は、第2実施形態に係る電子制御装置のうち、プリント基板とコネクタの実装部周辺の拡大断面図である。図16は、図15のXVI−XVI線に沿う断面図である。図17は、図15のXVII−XVII線に沿う断面図である。図18、図19は、それぞれ比較例としての断面図である。なお、図15は、第1実施形態に示した図8に対応している。
第2実施形態における電子制御装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成要素について、同一の符号を付与するものとする。
第1実施形態においては、第1ランド34に接続される端子70(71,73,75)と第2ランド35に接続される端子70(72,74,76)とにおいて、第1連結部72bと第2連結部71bが、端子70の配列方向に沿って交互に配置されて一列とされた例を示した。これに対し、本実施形態においては、例えば図17に示すように、端子70の配列方向に沿って、第1連結部72bと第2連結部71bがそれぞれ一列に配置され、第1連結部72bと第2連結部71bとで千鳥配置とされている点を特徴とする。さらに、第1平行部72aが第3平行部71aよりも、プリント基板31のハウジング配置面に対して遠い位置とされ、されている点を特徴とする。
なお、図16に示す符号61は、ハウジング60に設けられた第1連結部72bを保持するための溝部であり、符号62は、溝部61間(第1連結部72b間)の壁部である。図17に示す符号63は、ハウジング60に設けられた第2連結部71bを保持するための溝部であり、符号64は、溝部63間(第2連結部71b間)の壁部である。本実施形態においては、各端子70が、ハウジング60に設けられた凹部(上述した溝部61,62を含む)に挿入固定されている。詳しくは、ハウジング60は、ランド34,35側の一面に設けられた溝部61,62と、該溝部に連結し、溝部形成面の裏面に貫通する貫通孔を有している。そして、各端子70は、溝部形成面側から外部コネクタとの接続端を先頭として貫通孔に挿入され、第1平行部72a、第3平行部71aの全体がハウジング60の貫通孔内に挿入されて固定されている。また、この固定状態で、第1連結部72b及び第2連結部71bが、対応する溝部61,62内に収まって、ハウジング60に保持(固定ではない)されている。
本実施形態に示すように、第1連結部72bと第2連結部71bとで千鳥配置された構成とすると、隣接する端子70の第1連結部72bと第2連結部71b間の距離は、図17に示すように距離L1となる。これに対し、第1連結部72bと第2連結部71bが端子70の配列方向に沿って交互に配置されて一列とされた場合、隣接する端子70の第1連結部72bと第2連結部71b間の距離は、例えば図18に示すように上述した距離L1よりも短い距離L2となる。このように、本実施形態に係る電子制御装置1によれば、隣接する端子70間の距離を長くすることができるので、クロストークを抑制することができる。したがって、品質を確保(クロストークを抑制)しつつ、端子70の配列方向における体格を小型化することができる。なお、図18に示す符号65は、溝部61,63間(連結部71b,72b間)の壁部65である。図18においては、便宜上、本実施形態と同一の構成要素に同一符号を付与している。
また、本実施形態においては、第1実施形態同様図15に示すように、第1平行部72aが、第3平行部71aよりもプリント基板31のハウジング配置面に対して遠い位置とされている。また、端子70の配列方向に垂直であってプリント基板31のハウジング配置面に沿う方向において、第1連結部72bが、第2連結部71bよりも第2ランド35に対して近い位置とされている。すなわち、端子70の配列方向だけでなく、プリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向や端子70の配列方向に垂直であってプリント基板31のハウジング配置面に沿う方向においても、端子71と端子72が重ならない(クロスしない)構成となっている。したがって、第1ランド34に接続された端子70(71,73,75)と、該端子70(71,73,75)に隣接する第2ランド35に接続された端子70(72,74,76)とで生じるクロストークをより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態においては、図15〜図17に示すように、第2連結部71bと第1連結部72bのうち、第2ランド35に対して近い位置とされた第1連結部72bの、第1平行部72aとの連結部位から所定範囲(より詳しくは、第3平行部71aよりもプリント基板31のハウジング配置面に対して高い範囲)が、上述したように溝部61によってハウジング60に保持されている。これにより、第1実施形態に示したように、第1連結部72b全体がハウジング60から露出された構成(第1平行部72aの一部もハウジング60から露出された構成)に比べて、ハウジング60から露出される端子72の長さが短くなっている。したがって、第1連結部72bがハウジング60に保持されない構成と比べて、表面実装部72d及び挿入実装部72eと対応する第2ランド35(貫通孔33)との位置精度を向上することができる。また、第1連結部72bのうち、第2平行部72cとの連結部位から所定範囲は、ハウジング60に保持されていないので、第1連結部72bの全てがハウジング60によって保持される構成に比べて、第1連結部72bによって、表面実装部72d及び挿入実装部72eと第2ランド35との接続部に作用する応力を効果的に緩和することができる。なお、本実施形態においては、図15に示すように、第2連結部71bの第3平行部71aとの連結部位から所定範囲(換言すれば、表面実装部71d及び挿入実装部71eとの連結部位から所定範囲を除く部分)もハウジング60に保持されているので、第1連結部72bと同様乃至それに準ずる効果を期待することができる。また、図示されないシグナル端子73〜76においても、第1ランド34と接続される下2段(下半分)の端子73,75が、端子71と同様の構成とされており、第2ランド35と接続される上2段(上半分)の端子74,76が、端子72と同様の構成とされている。
なお、上述したようにハウジング60が連結部を保持する溝部(溝部による壁部)を有する場合、強度確保と電気的な絶縁性の確保のために壁部に所定の厚さを持たせる必要がある。ところが、図18に例示した構成のように、第1連結部72bと第2連結部71bがともに同じ高さでハウジング60に保持される場合、溝部61,63間(連結部71b,72b間)の壁部65の厚さは、図16,17に示した壁部62,64の厚さよりも薄くなる。特に本実施形態に示すように、第1連結部72bと第2連結部71bとで千鳥配置とされた構成において、第1連結部72bが、第3平行部71aよりもプリント基板31のハウジング配置面に対して低い位置までハウジング60に保持されていると、図19に示すように、溝部61,63間(連結部71b,72b間)の壁部66は、厚さが薄く、溝部63が深い分長くなる。したがって、図18及び図19に示す構成においては、壁部65,66がネックとなって、端子70の配列方向における体格の小型化が困難である。これに対し、本実施形態に示したように、プリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向において、第1連結部72bと第2連結部71bとで、ハウジング60による保持位置が重ならない構成とすると、図18及び図19に示す構成よりも、端子70の配列方向において体格を小型化することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図20に基づいて説明する。図20は、第3実施形態に係る電子制御装置のうち、プリント基板とコネクタの実装部周辺の拡大断面図である。なお、図20は、第1実施形態に示した図8に対応している。
第3実施形態における電子制御装置は、第1実施形態及び第2実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成要素について、同一の符号を付与するものとする。
上述した各実施形態においては、第2ランド35に接続される端子70(72,74,76)の第1平行部72aのほうが、第1ランド34に接続される端子70(71,73,75)の第3平行部71aよりも、プリント基板31のハウジング配置面から離れた位置とされる例を示した。このような構成においては、第1ランド34に接続される端子70(71,73,75)のハウジング60から露出される部分が、第2ランド35に接続される端子70(72,74,76)のハウジング60から露出される部分に比べて、プリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向及び端子70の配列方向に垂直であってハウジング配置面に沿う方向のそれぞれに短い構成となっている。すなわち、第1ランド34に接続される端子70(71,73,75)のほうが、第2ランド35に接続される端子70(72,74,76)よりも接続信頼性の点で不利である。
そこで、本実施形態においては、第1ランド34に接続される端子70(71,73,75)の第2連結部71bに、第1ランド34と表面実装部71d及び挿入実装部71eとの接続部に作用する応力を緩和する応力緩和部を設けている。例えば図20においては、プリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向の応力を緩和するように、第2連結部71bの途中に、応力緩和部としての外部コネクタとの嵌合側に突のU字状の折曲部71fを設けることで、第2連結部71bがばね変形しやすいようにしている。このように、応力緩和部を設けると、第1ランド34と表面実装部71d及び挿入実装部71eとの接続部に作用する応力を、ランドと端子との接続部に作用する応力を第2連結部71bにて効率よく緩和することができ、これによって接続部の信頼性を高めることができる。
なお、本実施形態においては、第1ランド34に接続される端子70(71,73,75)の第2連結部71bに応力緩和部を設ける例を示したが、第2ランド35に接続される端子70(72,74,76)の第1連結部72bにも応力緩和部を設けてた構成としても良い。
また、端子70がハウジング60に対して複数段配置された構成において、最下段と2段目の端子70に応力緩和部を設ける場合には、最下段の端子70と2段目の端子70とで、折曲部71fの突条の向きを異なる構成とすると良い。例えば、図21においては、上述したシグナル端子73〜76において、第1ランド34と接続される端子73,75のうち、ハウジング60に対する保持位置が最下段である端子73の折曲部71fをプリント基板31にハウジング配置面と離反する方向に突のU字状とし、ハウジング60に対する保持位置が2段目である端子75の折曲部71fを外部コネクタとの嵌合側に突のU字状としている。このような構成とすると、ハウジング60に対して最下段の端子70(73)において、第2連結部71bの長さ、すなわちプリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向の長さを、折曲部71fがハウジング配置面と離反する方向に突とされる構成よりも短くしつつ、応力緩和部を構成することができる。すなわち、段数が多い構成において、コネクタ50の高さ方向の大きさを抑制しつつ、応力緩和部を設けて接続信頼性を向上することができる。図21は、変形例を示す断面図である。このように折曲部71fを有する構成においても、第1実施形態に示したように、折曲部71fを有する第2連結部71bと実装部(表面実装部71d)との間に、プリント基板31のハウジング配置面に略平行な平行部を設け、該平行部を第2連結部71bと実装部が連結される構成としても良い。
なお、本実施形態においては、U字状の折曲部71fによって応力緩和部が構成される例を示したが、形状はU字状に限定されるものではない。また、折曲でなく、切り欠きなどの形成によって、連結部をばね変形しやすい構成としても良い。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図22に基づいて説明する。図22は、第4実施形態に係る電子制御装置のうち、プリント基板とコネクタの実装部周辺の拡大断面図である。なお、図22は、第1実施形態に示した図8に対応している。
第4実施形態における電子制御装置は、第1実施形態〜第3実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成要素について、同一の符号を付与するものとする。
上述した各実施形態においては、第1平行部72aが第3平行部71aよりも、プリント基板31のハウジング配置面に対して遠い位置とされる例を示した。これに対し、本実施形態においては、例えば図22に示すように、第3平行部71aが、第1平行部72aよりもプリント基板31のハウジング配置面に対して遠い位置とされている点を特徴とする。
このような構成とすると、第1ランド34に接続された端子70(71,73,75)のハウジング60から延出される部位の長さを、上述した各実施形態に示した構成よりも長くし、第2ランド35に接続された端子70(72,74,76)と第1ランド34に接続された端子端子70(71,73,75)とで、ハウジング60から延出される部位の長さを互いに近い値とすることができる。したがって、第1ランド34と端子端子70(71,73,75)との接続部の信頼性を高めることができる。
また、上述した各実施形態に示した構成に比べて、第2連結部71bにリフロー熱が当たりやすくなるので、これにより接続信頼性を向上することも可能である。なお、本実施形態においては、第2実施形態同様、第1連結部72bと第2連結部71bとで千鳥配置とされており、端子70の配列方向に垂直であってプリント基板31のハウジング配置面に沿う方向において、第2連結部71bが第1連結部72bよりも第2ランド35に対して近い位置となっている。したがって、第2連結部71bにリフロー熱がより当たりやすい構成となっている。
また、本実施形態においては、上述したように、第1連結部72bと第2連結部71bとで千鳥配置とされているので、第3平行部71aが、第1平行部72aよりもプリント基板31のハウジング配置面に対して遠い位置とされた構成でありながら、クロストークが抑制された構成となっている。しかしながら、第3平行部71aが、第1平行部72aよりもプリント基板31のハウジング配置面に対して遠い位置とされた構成においては、第1ランド34に接続された端子70(71,73,75)と第2ランド35に接続された端子70(72,74,76)とで、クロスする位置が少なからずできるので、クロストーク抑制においては、第2実施形態に示した構成のほうが好ましい。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を、図23及び図24に基づいて説明する。図23は、第5実施形態に係る電子制御装置のうち、プリント基板とコネクタの実装部周辺の拡大断面図である。図24は、塗布工程を示す断面図である。なお、図23は、第1実施形態に示した図8に対応している。
第5実施形態における電子制御装置は、上述した各実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。また、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成要素について、同一の符号を付与するものとする。
上述した各実施形態においては、プリント基板31の一表面上のみにハウジング60が配置される例を示した。これに対し、本実施形態においては、プリント基板31の対向する両表面にそれぞれハウジングが配置されており、一方のハウジングに保持された端子が第1ランド34と接続され、他方のハウジングに保持された端子が第2ランドと接続されている。そして、第1ランド34と接続される端子及び第2ランド35と接続される端子のうち、一方の端子の挿入実装部の先端が、貫通孔33に挿入された状態で対応するハウジング配置面の裏面と同じ位置、又は、ハウジング配置面とその裏面との間の位置とされ、他方の端子の挿入実装部の先端が、対応する本体部の配置面の裏面側に突出された構成となっている点を特徴とする。
その一例を図23に示す。図23においては、ハウジング60が、第1ランド34と接続される端子を保持するハウジングと、第2ランド35と接続される端子を保持するハウジングの2つに分けられている点以外は、上述した実施形態と同様の構成となっている。具体的には、ハウジング60として、プリント基板31の一面上に配置され、ハウジング60(プリント基板31の一端面)に近い側の第1ランド34と接続される端子71が配列されたハウジング60aと、プリント基板31のハウジング60aの配置面の裏面上に配置され、第2ランド35と接続される端子72が配列されたハウジング60bとを有している。そして、端子70(71,72)がランド34,35との実装部として表面実装部71d,72d及び挿入実装部71e,72eを有しており、第1ランド34と接続される端子71及び第2ランド35と接続される端子72のうち、端子71の挿入実装部71eの先端が、貫通孔33に挿入された状態でハウジング60aの配置面とその裏面との間の位置とされている。また、端子72の挿入実装部72eの先端が、貫通孔33に挿入された状態でハウジング60bの配置面の裏面(ハウジング60aの配置面)側に突出されている。
このような構成とすると、例えば図24に示すように、ランド34,35の、ハウジング60aの配置面側の部位(表面部34a,裏面部35c)上にはんだ90を塗布して、ハウジング60aの配置面側からリフローする場合、第1ランド34と接続される端子71へのリフロー熱が、第2ランド35と接続される端子72によって妨げられないので、接続信頼性を向上することができる。また、挿入実装部71eの先端が、貫通孔33を貫通してハウジング60bの配置面側に突出していないので、第1実施形態に示した効果と同様の効果を期待することができる。
また、第2ランド35と接続される端子72は、挿入実装部72eの先端が、貫通孔33を貫通してハウジング60aの配置面側に突出している。したがって、第1実施形態の変形例(図13及び図14参照)として示したように、裏面部35c上のはんだ90を、重力や毛細管現象によって、貫通孔33内に引き込むことができる。したがって、壁面部35bと挿入実装部72e及び表面部35aと表面実装部72dの接続信頼性を確保することができる。
また、第2ランド35に接続される端子72において、上述した実施形態同様、第2平行部72cが、第1平行部72aよりも、プリント基板31のハウジング60bの配置面に近い位置とされている。したがって、ハウジング60bの配置面側からもリフローする(両面側からリフローする)場合において、第2ランド35に接続される端子72によって、第1ランド34に接続される端子71へのリフロー熱が妨げられることによる接続信頼性への影響を小さくすることができる。
なお、本実施形態においては、ハウジング60aとハウジング60bが、例えば嵌合によって互いに一体化された状態で、1つのコネクタ50として構成されている。それ以外にも、他部材によって固定されて、1つのコネクタ50として構成されても良い。このような、ハウジング60を複数備えるコネクタ50の構成や固定方法などについては、本出願人による特願2006−232602号に詳細に記載されているので、本実施形態においての説明は省略する。
なお、プリント基板31に対して、第1ランド34と接続される端子71を含むハウジング60aを先にリフロー実装し、その後第2ランド35と接続される端子72を含むハウジング60bをリフロー実装することによっても、上述した電子制御装置1を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
本実施形態においては、プリント基板31が、端子70の配列方向に垂直であってプリント基板31のハウジング配置面に沿う方向において、異なる位置関係にある2つのランドを有し、2つのうちのハウジング60に近い(プリント基板31のコネクタ50が配置される側の一端面に近い)側を第1ランド34、ハウジング60に遠い側を第2ランド35とする例を示した。しかしながら、複数列のランドが2列に限定されるものではない。例えば3列配置されたランドにおいて、本体部に一番近いランドを第1ランドとし、本体部から最も離れたランドを第2ランドとしても良い。また、本体部に一番近いランドを第1ランドとし、真ん中の列のランドを第2ランドとしても良い。さらには、真ん中の列のランドを第1ランドとし、本体部から最も離れたランドを第2ランドとしても良い。
本実施形態においては、第1平行部72aと第3平行部71aが、プリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向において、互いに位置が異なり、ハウジング60に対して、第1平行部72aが少なくとも1段配置され、第3平行部が少なくとも1段配置される例を示した。しかしながら、第1平行部72aと第3平行部71aが、プリント基板31のハウジング配置面に垂直な方向において、ハウジング60に一列に配置された構成とすることも可能である。
本実施形態においては、電子部品の一例としてコネクタ50を示し、電子部品をプリント基板に実装してなる電子装置の一例として、コネクタ50をプリント基板31に実装してなる電子制御装置1を示した。しかしながら、複数の端子が本体部から延出される構成の電子部品であれば上述した構成を採用することができ、上述した各実施形態に示した効果と同等の効果乃至それに準ずる効果を期待することができる。例えば、図1に示したコネクタ50以外の電子部品32(例えばマイコン)に適用しても良い。
また、本実施形態においては、コネクタ50(電子部品)のハウジング60(本体部)の一面から、端子70のプリント基板31に実装される側の端部が延出される例を示した。しかしながら、本体部の複数の面からプリント基板31に実装される側の端部が延出された構成においても、上述した構成及び製造方法を採用することができる。
本実施形態においては、端子70として、パワー端子71,72とシグナル端子73〜76を含む例を示した。しかしながら、端子70の種類は特に限定されるものではない。少なくとも、第1ランド34に接続される端子と第2ランド35に接続される端子を含めば良い。
本実施形態においては、電子装置として非防水構造の電子制御装置1の例を示した。しかしながら、防水構造の電子制御装置にも適用することができる。
本実施形態においては、塗布工程において、貫通孔33内にはんだ90を充填する例を示した。しかしながら、表面部34a,35aと壁面部34b,35bとを1つのランド34,35として一体的に形成する場合には、貫通孔33内にはんだ90を充填せず、表面部34a,35a上のみにはんだ90を配置しても良い。この場合、リフロー工程において、表面部34a,35a上のはんだ90が、重力や毛細管現象によって、貫通孔33内に流れ込むので、壁面部34b,35bと挿入実装部71e,72eとが接続された構成とすることができる。しかしながら、表面部34a,35a上のはんだ90のみによって、表面部34a,35aと表面実装部71d,72d、及び、壁面部34b,35bと挿入実装部71e,72eの良好な接合状態を確保するのは困難であるので、上述したように、塗布工程において、貫通孔33内にはんだ90を充填することが好ましい。
本実施形態においては、塗布工程において、貫通孔33内にはんだ90を充填する例を示した。このように、貫通孔33であれば、孔内にはんだ90を充填しやすい。ところが、リフロー実装時において、例えば図25(a)に示すように、端子71が浮いて、表面実装部71dとはんだ90との接触面積が減少し、接続信頼性が低下することも考えられる。このようにリフロー実装時に端子71が浮く場合には、塗布工程後に、例えば図25(b)に示すように、プリント基板31のハウジング配置面の裏面側に蓋部材130(例えば耐熱性を有するシール部材)を固定して、貫通孔33の開口部を蓋すると良い。このようにすれば、リフロー時の熱によって貫通孔33内に閉じ込められた空気が膨張し、これによって貫通孔33内のはんだ90がハウジング配置面側に押し上げられる。したがって、はんだ90と端子71の実装部(表面実装部71d及び挿入実装部71e)との接触面積を確保し、ひいては接続信頼性を確保することができる。なお、蓋部材130を固定した状態のままだと、使用環境の温度変化によって貫通孔33内の空気が膨張収縮し、接続信頼性に影響を与えることも考えられる。したがって、リフロー後に除去することが好ましい。図25(a)は比較例としての断面図であり、図25(b)は変形例を示す断面図である。