JP2008174168A - 車両の後輪転舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 後輪側の転舵量を正確にかつ確実に絶対量として認識できる車両の後輪転舵制御装置を提供すること。
【解決手段】 ユニット27はステップS51にて所定の車速V1未満で車両が走行しているか否かを判定し、ステップS53にて車体横すべり角βを「0」とするための左右後輪RW1,RW2の目標転舵角δrdを計算する。そして、ステップS54,56にてRW1,RW2の右側および左側ロック位置までの転舵を判定し、ステップS59にて移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmおよび移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmと等分転舵量δrfs/2との差分量を計算する。これにより、RW1,RW2の転舵角δrr,δrlを絶対角δrra,δrlaとして認識する。また、ステップS61にて右後輪転舵量と左後輪転舵量と最大転舵量δrfsとを比較し、ステップS62にて絶対角δrra,δrlaに基づいて転舵基準位置を修正する。
【選択図】 図3
【解決手段】 ユニット27はステップS51にて所定の車速V1未満で車両が走行しているか否かを判定し、ステップS53にて車体横すべり角βを「0」とするための左右後輪RW1,RW2の目標転舵角δrdを計算する。そして、ステップS54,56にてRW1,RW2の右側および左側ロック位置までの転舵を判定し、ステップS59にて移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmおよび移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmと等分転舵量δrfs/2との差分量を計算する。これにより、RW1,RW2の転舵角δrr,δrlを絶対角δrra,δrlaとして認識する。また、ステップS61にて右後輪転舵量と左後輪転舵量と最大転舵量δrfsとを比較し、ステップS62にて絶対角δrra,δrlaに基づいて転舵基準位置を修正する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、転舵可能に設けられた後輪の転舵動作を制御する車両の後輪転舵制御装置に関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に示された車両の後輪操舵装置は知られている。この従来の車両の後輪操舵装置は、後輪の転舵範囲を規制する基準ストッパを備えており、始動直後における後輪の転舵位置に基づき、同転舵位置と近い側の規準ストッパに対して後輪を転舵させてイニシャルチェックを行うようになっている。これにより、後輪が基準ストッパと接触する際に過大な力が作用することを防止できるため、基準ストッパが変形する恐れがなく、その結果、イニシャルチェックの精度低下を防止するようになっている。
また、従来から、例えば、下記特許文献2に示された舵角補正装置も知られている。この従来の舵角補正装置においては、予め初期最大舵角および初期最小舵角を記憶しておき、この初期最大舵角または初期最小舵角とステアリングが操作されることよる最大舵角または最小舵角とを比較するようになっている。この比較により、最大舵角が初期最大舵角を基準とした不感帯領域外、または、最小舵角が初期最小舵角を基準とした不感帯領域外であるときには、中立点の舵角がずれたものとして、車両停止状態において中立点を補正するようになっている。
また、従来から、例えば、下記特許文献3に示された操舵角検出装置も知られている。この従来の操舵角検出装置は、ステアリングシャフトの単位回転毎にエンコーダから出力されたパルス信号を計数し、この計数値に基づいて前輪の操舵角を検出するようになっている。そして、この操舵角検出装置においては、パルス信号の計数値の増加減少量からステアリングシャフトが中立点からその最大回転量の半分以上回転したか否かを判定し、ステアリングシャフトが半分以上回転したと判定したときには、最大回転量の半分を超えて回転した回転量分だけ、中立点を回転方向に移動させて補正するようになっている。
また、従来から、例えば、下記特許文献4に示された車両の転舵角検出装置も知られている。この従来の車両の転舵角検出装置は、車両のヨー運動状態を検出して前輪の転舵角を推定し、この推定された転舵角を用いて転舵角センサから出力される出力値を修正するようになっている。さらに、従来から、例えば、下記特許文献5に示された車両のヨー運動制御方法も知られている。このヨー運動制御方法においては、上述の推定された転舵角を用いて、転舵角センサから出力される出力値を一定時間内に徐々に修正するようになっている。
特開平5−85393号公報
特開2005−1667号公報
特開昭63−53174号公報
特開平2−40504号公報
特開平2−41979号公報
上述した特許文献1に示されたイニシャルチェックや特許文献2,3に示された中立点の補正は、後輪または前輪の転舵量(舵角、操舵角)を車体に対する絶対量(絶対角)として認識するために行われるものある。そして、後輪または前輪の転舵量を絶対量として認識することによって後輪または前輪の転舵状態を正確に把握することができる。ところで、上述した特許文献1〜3に示された各装置においては、車両が停止している状態において、後輪または前輪を転舵させてイニシャルチェックや中立点を補正(修正)するようになっている。この場合、車輪が、例えば、道路の路側に設けられた縁石などの障害物の近傍に位置しているときには、車輪と障害物とが当接することによって十分に転舵できない可能性がある。このため、イニシャルチェックや中立点を適正に補正(修正)できない場合があり、その結果、後輪または前輪の転舵量を絶対量として正確に認識できない可能性がある。
この場合、例えば、上述した特許文献4,5に示されるように、車両が走行を開始してヨー運動しているすなわち車両が旋回走行しているときに検出されるヨーレートを用いて、転舵角センサからの出力値を修正することにより中立点を補正(修正)し、同出力値を絶対量として認識することは可能であるように思われる。しかしながら、一般的に、車両の旋回に伴ってヨーレートが顕著に発生するのは、中高速で走行している場合であり、車両が低速で走行している状況においては、発生するヨーレートが小さいために正確に検出することが難しい。したがって、車両が低速で走行しているときに検出されたヨーレートを用いて、転舵角センサからの出力値を修正することにより中立点を補正(修正)し、同出力値を絶対量として正確に認識することは難しい。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両の後輪の転舵量を正確に、かつ、確実に絶対量として認識できる車両の後輪転舵制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両の左右後輪に連結されて同後輪を転舵する後輪転舵機構の作動を車両の左右前輪の転舵状態に応じて制御する車両の後輪転舵制御装置において、車両の車速を検出する車速検出手段と、前記後輪転舵機構の作動に伴う前記左右後輪の転舵量を検出する後輪転舵量検出手段と、前記車速検出手段によって検出された車速に基づいて、車両が所定の車速未満で走行しているか否かを判定する走行状態判定手段と、前記所定の車速未満で走行している車両が前記左右前輪の転舵に伴って旋回走行しているときに、車両の重心位置における同車両の進行方向と車体の前後方向とによって表される車体横すべり角を「0」とするための前記左右後輪の目標転舵量を計算する後輪目標転舵量計算手段と、前記計算された左右後輪の目標転舵量に基づいて前記後輪転舵機構が作動することにより、前記左右後輪の転舵動作が同左右後輪の転舵可能範囲を機械的に決定するストッパによって停止するまでに前記左右後輪が転舵した転舵量を表す移動転舵量を、前記後輪転舵量検出手段により検出された転舵量を用いて計算する移動転舵量計算手段と、前記計算された移動転舵量を用いて、前記後輪転舵量検出手段によって検出された左右後輪の転舵量を車体に対する絶対量に変換して認識する転舵絶対量認識手段とを備えたことにある。この場合、前記所定の車速は、例えば、車両の旋回走行に伴って発生する前記車体横すべり角が大きくなる低車速域内で設定されるとよい。
また、車両の後輪転舵制御装置は、さらに、前記左右前輪の転舵量を検出する前輪転舵量検出手段を備え、前記後輪目標転舵量計算手段は、前記検出された左右前輪の転舵量を用いて前記左右後輪の目標転舵量を計算するとよい。この場合、前記後輪目標転舵量計算手段は、例えば、前記検出された左右前輪の転舵量と比例関係にある前記左右後輪の目標転舵量を計算するとよい。
また、前記移動転舵量計算手段は、前記計算された左右後輪の目標転舵量に基づいて前記後輪転舵機構が作動することにより、前記左右後輪の転舵動作が車両の始動直後における前記左右後輪の転舵位置を表す起動転舵位置から前記転舵可能範囲を決定するストッパのうちの一方のストッパによって停止するまでに転舵した転舵量を表す第1移動転舵量、および、前記左右後輪の転舵動作が前記起動転舵位置から前記ストッパのうちの他方のストッパによって停止するまでに転舵した転舵量を表す第2移動転舵量を前記後輪転舵量検出手段により検出された転舵量を用いて計算するとともに、同計算した第1移動転舵量または第2移動転舵量と前記ストッパによって機械的に決定される左右後輪の転舵可能範囲を等分した等分転舵量との差分量を計算し、前記転舵絶対量認識手段は、前記移動転舵量計算手段によって計算された差分量に基づいて、前記後輪転舵量検出手段によって検出された左右後輪の転舵量を車体に対する絶対量に変換して認識するとよい。
この場合、車両の後輪転舵制御装置は、さらに、前記移動転舵量計算手段によって計算された第1移動転舵量と第2移動転舵量との和を表す最大移動転舵量を計算するとともに、同最大移動転舵量と前記転舵可能範囲を表す最大転舵量とを比較する最大移動転舵量比較手段を備え、前記転舵絶対量認識手段は、前記最大移動転舵量比較手段によって前記最大移動転舵量と前記最大転舵量とが等しいと判定されたときに、前記移動転舵量計算手段により計算された差分量に基づいて前記後輪転舵量検出手段により検出された左右後輪の転舵量を車体に対する絶対量に変換して認識するとよい。また、車両の後輪転舵制御装置は、さらに、前記計算された差分量に基づいて前記後輪転舵機構が前記左右後輪を転舵するための転舵基準位置を修正する転舵基準位置修正手段を備えるとよい。
上記のように構成した本発明においては、まず、車両が所定の車速未満で旋回走行しているときの左右後輪の目標転舵量を、旋回走行に伴って発生する車体横すべり角が「0」となるように計算する。この場合、所定の車速は、車体横すべり角が大きくなる低車速域内で設定されるため、実際に旋回走行している車両においては、大きな車体横すべり角が発生する。ここで、計算される左右後輪の目標転舵量は、この大きな車体横すべり角を「0」とするために、例えば、左右前輪の転舵量に比例する大きな転舵量として計算される。そして、左右後輪は、後輪転舵機構の作動によって計算された目標転舵量となるように転舵される。このとき、左右後輪は、大きな目標転舵量となるように転舵されるため、転舵可能範囲を機械的に決定するストッパによって、必然的にその転舵動作が停止される。すなわち、左右後輪は、転舵可能範囲内の全域で転舵することができる。
そして、転舵可能範囲内の全域で転舵する左右後輪の移動転舵量を用いることによって、左右後輪の転舵量を車体に対する絶対量として認識することができる。より具体的には、左右後輪が、車両の始動直後に検出された転舵量によって表される起動転舵位置から一方のストッパまで転舵するときの第1移動転舵量と、起動転舵位置から他方のストッパまで転舵するときの第2移動転舵量とが計算される。そして、この第1移動転舵量または第2移動転舵量と、転舵可能範囲を等分した等分転舵量との差分量を計算することによって、起動転舵位置と転舵可能範囲の等分位置すなわち車体に対する絶対的な中立位置とのずれ量を認識することができる。これにより、この差分量すなわちずれ量に基づいて、検出される左右後輪の転舵量を絶対量として認識することができる。
したがって、車両が走行しているため、左右後輪が、例えば、道路の路側に設けられた縁石等の障害物によって転舵動作できない状況は発生せず、また、左右後輪の転舵量を絶対量として認識するために用いる車両の運動状態量すなわち車体横すべり角を正確に把握することができる。このため、車両の左右後輪の転舵量を正確に、かつ、確実に絶対量として認識することができる。
また、第1移動転舵量と第2移動転舵量との和で表される最大移動転舵量と転舵可能範囲を表す最大転舵量とを比較し、左右後輪が実際に転舵したときの最大移動転舵量と予め設定された最大転舵量とが一致する場合、言い換えれば、左右後輪が実際に転舵可能範囲内の全域を転舵した場合に、左右後輪の転舵量を絶対量として認識することができる。これにより、より確実にかつより正確に左右後輪の転舵量を絶対量として認識することができる。さらに、計算された差分量すなわちずれ量に基づいて、左右後輪を転舵するための転舵基準位置を修正することができる。これにより、左右前輪の転舵状態に応じて、左右後輪を正確に転舵させることができ、その結果、車両の旋回挙動を良好に安定化させることができる。
以下、本発明の実施形態に係る車両の後輪転舵制御装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両の後輪転舵制御装置が搭載された車両を概略的に示している。
この車両は、運転者によって回動操作される操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11はステアリングシャフト12の上端に固定され、ステアリングシャフト12の下端は、例えば、ラックアンドピニオン機構を備えるとともに運転者による操舵ハンドル11の回動操作力をアシストするアシストモータを備えた前輪転舵機構13に接続されている。そして、前輪転舵機構13により、ステアリングシャフト12の回転運動が車両左右方向の軸線方向運動に変換され、タイロッドおよびナックルアームを介して接続された左右前輪FW1,FW2が左右に転舵されるようになっている。
また、左右後輪RW1,RW2には、それぞれ、後輪転舵機構としての転舵アクチュエータ14,15が組み付けられており、左右後輪RW1,RW2は左右独立的に転舵可能に設けられている。転舵アクチュエータ14,15は、それぞれ、電動モータおよび減速機構と、減速された電動モータの回転運動を軸線方向運動に変換する軸線方向運動変換機構とを備えて構成されており、左右後輪RW1,RW2のトーコントロールアームに対して接続されている。これにより、運転者による操舵ハンドル11の回動操作状態に応じて、すなわち、左右前輪FW1,FW2の転舵状態に応じて転舵アクチュエータ14,15のそれぞれの電動モータが回転駆動し、減速機構によって減速された回転が軸線方向運動変換機構によって軸線方向運動に変換される。そして、この軸線方向運動がトーコントロールアームに伝達され、同トーコントロールアームに接続された左右後輪RW1,RW2が左右に転舵されるようになっている。
また、軸線方向運動変換機構には、軸線方向運動範囲すなわち左右後輪RW1,RW2の転舵可能範囲を機械的に決定するストッパ16が設けられている。このストッパ16は、左右後輪RW1,RW2の右方向への転舵可能範囲を規制するストッパ16aと左方向への転舵可能範囲を規制するストッパ16bとから構成される。なお、本実施形態においては、左右後輪RW1,RW2はストッパ16a,16bによって、左右に僅かに(数度程度)転舵されるようになっている。
次に、転舵アクチュエータ14,15の駆動を制御する後輪転舵制御装置としての電気制御装置20について説明する。電気制御装置20は、操舵角センサ21、前輪転舵角センサ22、後輪転舵角センサ23,24、車速センサ25およびヨーレートセンサ26を備えている。
操舵角センサ21は、ステアリングシャフト12に組み付けられていて、操舵ハンドル11の中立位置からの回転角を検出して操舵角θとして出力する。前輪転舵角センサ22は、前輪転舵機構13に組み付けられていて、同機構13を構成するラックバーの軸線方向変位に基づく左右前輪FW1,FW2の転舵量を検出して転舵角δfとして出力する。後輪転舵角センサ23,24は、それぞれ、転舵アクチュエータ14,15に組み付けられていて、同アクチュエータ14,15の軸線方向運動変換機構を構成する例えばラックバーの車体に対する相対的な軸線方向変位を検出し、同検出した相対的な軸線方向変位に基づき左右後輪RW1,RW2の相対的な転舵量を転舵角δrr,δrlとして出力する。なお、操舵角θ、転舵角δf、転舵角δrrおよび転舵角δrlは、車体に対して右方向の回転角を正の値で表すとともに、車体に対して左方向の回転角を負の値で表す。車速センサ25は、車速Vを検出して出力する。ヨーレートセンサ26は、車両に発生したヨーレートγを検出して出力する
また、これらの各センサ21〜26は、電子制御ユニット27に接続されている。電子制御ユニット27は、CPU、不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)、揮発性メモリ(例えば、RAM)などからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、後述するプログラムを含む各種プログラムを実行することにより、転舵アクチュエータ14,15の作動をそれぞれ制御する。このため、電子制御ユニット27の出力側には、転舵アクチュエータ14,15をそれぞれ駆動するための駆動回路28,29が接続されている。駆動回路28,29内には、転舵アクチュエータ14,15内の電動モータに流れる駆動電流を検出するための電流検出器28a,29aが設けられている。電流検出器28a,29aによって検出された駆動電流は、両電動モータの駆動を制御するために、電子制御ユニット27にフィードバックされている。
このように構成された車両においては、運転者によって操舵ハンドル11が回動操作されると、同回動操作がステアリングシャフト12を介して前輪転舵機構13に伝達され、左右前輪FW1,FW2が転舵される。これにより、車両は、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に応じた態様で旋回することができる。ところで、旋回する車両においては、必然的に、車両の重心位置にて車両の進行方向と車体前後方向とによって形成される角度すなわち車体横すべり角が発生するため、車両の走行状態(例えば、車速や旋回半径など)あるいは走行環境(例えば、路面の摩擦係数や横風など)によっては、この発生した車体横すべり角が車両の旋回挙動に影響を及ぼす場合がある。
このため、電子制御ユニット27は、図示しないプログラムを実行することにより、挙動が安定した状態で車両を旋回させるための適切な目標車体横すべり角を計算し、この目標車体横すべり角が車体に発生するように左右後輪RW1,RW2を転舵制御する。ここで、計算した目標車体横すべり角を適切に発生させるためには、左右後輪RW1,RW2を正確に転舵させる必要がある。すなわち、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置(例えば、中立位置)を常に正確に認識しておく必要がある。
したがって、電子制御ユニット27は、運転者によって図示しないイグニッションスイッチが投入されると、車両の車速Vに応じて、左右後輪RW1,RW2の絶対角を認識するとともに左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を認識した絶対角に基いて修正するために、図2、図3および図5に示す「後輪の絶対角認識プログラム」の実行を開始する。以下、車両が停止しているときに実行される「後輪の絶対角認識プログラム」から順に詳細に説明する。
なお、以下に順に説明する「後輪の絶対角認識プログラム」を実行する際には、イグニッションスイッチの投入直後に図示しない所定の初期チェックプログラムが実行される。そして、この初期チェックプログラムの実行によって左右後輪RW1,RW2の転舵動作に異常が発生している場合には、運転者に対して異常の発生が報知されるとともに「後輪の絶対角認識プログラム」は実行されない。
a.車両停止時
まず、車両が停止しているときに実行される「後輪の絶対角認識プログラム」について、詳細に説明する。この車両停止時に実行される「後輪の絶対角認識プログラム」は、運転者によってイグニッションスイッチが投入されると、図2に示すように、ステップS10にてその実行を開始する。そして、電子制御ユニット27は、ステップS11にて、車速センサ25から検出車速Vを入力するとともに、同入力した車速Vが車両の停止状態を表す「0」であるか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット27は、入力した車速Vが「0」であれば、「Yes」と判定してステップS12以降の各ステップ処理を実行する。一方、入力した車速Vが「0」でなければ、すなわち、車両が走行を開始していれば、電子制御ユニット27は「No」と判定してステップS21に進み、本プログラムの実行を終了する。なお、ステップS11における「No」判定によってプログラムの実行を終了する場合には、検出車速Vの大きさに応じて、後述する低速域または中高速域における「後輪の絶対角認識プログラム」が実行される。
まず、車両が停止しているときに実行される「後輪の絶対角認識プログラム」について、詳細に説明する。この車両停止時に実行される「後輪の絶対角認識プログラム」は、運転者によってイグニッションスイッチが投入されると、図2に示すように、ステップS10にてその実行を開始する。そして、電子制御ユニット27は、ステップS11にて、車速センサ25から検出車速Vを入力するとともに、同入力した車速Vが車両の停止状態を表す「0」であるか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット27は、入力した車速Vが「0」であれば、「Yes」と判定してステップS12以降の各ステップ処理を実行する。一方、入力した車速Vが「0」でなければ、すなわち、車両が走行を開始していれば、電子制御ユニット27は「No」と判定してステップS21に進み、本プログラムの実行を終了する。なお、ステップS11における「No」判定によってプログラムの実行を終了する場合には、検出車速Vの大きさに応じて、後述する低速域または中高速域における「後輪の絶対角認識プログラム」が実行される。
前記ステップS11にて「Yes」と判定すると、電子制御ユニット27は、ステップS12にて、後輪転舵角センサ23,24によって検出された現在の左右後輪RW1,RW2の転舵角、言い換えれば、前回イグニッションスイッチが遮断されたときの左右後輪RW1,RW2の相対的な転舵角δrro,δrlo(以下、この検出された転舵角δrro,δrloをまとめて起動転舵位置ともいう)を入力する。そして、電子制御ユニット27は、入力した転舵角δrro,δrloを、例えば、EEPROM内の所定記憶位置に記憶する。このように、左右後輪RW1,RW2のそれぞれの起動転舵位置を記憶すると、電子制御ユニット27は、続くステップS13を実行する。
ステップS13においては、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2を、それぞれ、左右逆方向(逆相)にて、機械的にロックされる位置(以下、この位置をロック位置という)まで転舵させる。すなわち、電子制御ユニット27は、駆動回路28を駆動制御することにより、転舵アクチュエータ14を回転駆動させて、後輪RW1を図1における右方向にロック位置まで転舵させる。また、電子制御ユニット27は、駆動回路29を駆動制御することにより、転舵アクチュエータ15を回転駆動させて、後輪RW2を図1における左方向にロック位置まで転舵させる。このように、左右後輪RW1,RW2をそれぞれ逆方向に転舵させて、これら後輪RW1,RW2を互いに所謂トーアウト状態にすると、電子制御ユニット27はステップS14に進む。
ステップS14においては、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2がそれぞれ起動転舵位置からロック位置まで転舵したときの転舵量(転舵角)を算出して記憶する。具体的に説明すると、電子制御ユニット27は、前記ステップS12にて記憶した起動転舵位置を表す転舵角δrro,δrloを基準とし、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が機械的に停止した時点において後輪転舵角センサ23,24によって検出された転舵角δrr,δrlを入力する。そして、電子制御ユニット27は、転舵角δrroと転舵角δrrとの差分および転舵角δrloと転舵角δrlとの差分をそれぞれ移動角δrr_rock1,δrl_rock1としてEEPROM内の所定記憶位置に記憶し、ステップS15に進む。
ステップS15においては、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2を前記ステップS13におけるロック位置と逆方向のロック位置まで転舵させる。すなわち、電子制御ユニット27は、駆動回路28を駆動制御することにより、転舵アクチュエータ14を回転駆動させて、後輪RW1を図1における左方向にロック位置まで転舵させる。また、電子制御ユニット27は、駆動回路29を駆動制御することにより、転舵アクチュエータ15を回転駆動させて、後輪RW2を図1における右方向にロック位置まで転舵させる。このように左右後輪RW1,RW2をそれぞれ転舵させることにより、これら後輪RW1,RW2は前記ステップS13におけるトーアウト状態から所謂トーイン状態へと移行する。そして、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2を転舵させると、ステップS16に進む。
ステップS16においては、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2がそれぞれ前記ステップS13におけるトーアウト状態からトーイン状態となるまで転舵したときの転舵量(転舵角)を算出して記憶する。具体的に説明すると、電子制御ユニット27は、前記ステップS14にて記憶した移動角δrr_rock1,δrl_rock1を基準とし、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が機械的に停止した時点において後輪転舵角センサ23,24によって検出された転舵角δrr,δrlの絶対値を入力する。そして、電子制御ユニット27は、転舵角δrr_rock1と転舵角δrrとの差分および転舵角δrl_rock1と転舵角δrlとの差分をそれぞれ移動角δrr_rock2,δrl_rock2としてEEPROM内の所定記憶位置に記憶し、ステップS17に進む。
ステップS17においては、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2をそれぞれ起動転舵位置に復帰させる。具体的には、電子制御ユニット27は、後輪転舵角センサ23から検出転舵角δrrを入力するとともに駆動回路28を駆動制御することにより、現在左方向に転舵されている後輪RW1を起動転舵位置すなわち転舵角δrroとなるように転舵させる。また、電子制御ユニット27は、後輪転舵角センサ24から検出転舵角δrlを入力するとともに駆動回路29を駆動制御することにより、現在右方向に転舵されている後輪RW2を起動転舵位置すなわち転舵角δrloとなるように転舵させる。このように、左右後輪RW1,RW2をそれぞれ起動転舵位置に復帰させると、電子制御ユニット27は、ステップS18に進む。
ステップS18においては、前記ステップS12にて相対的な起動転舵位置として記憶した転舵角δrro,δrloの絶対角を認識する。すなわち、電子制御ユニット27は、下記式1および式2に従って、起動転舵位置を表す絶対角δrra,δrlaを計算する。
δrra=δrfs/2−δrr_rock1 …式1
δrla=−δrfs/2+δrl_rock1 …式2
ただし、前記式1,2中におけるδrfsは、左右後輪RW1,RW2の転舵可能範囲を機械的に決定するために設けられたストッパ16a,16b間において左右後輪RW1,RW2が転舵し得る最大転舵量(最大転舵角)として予め設定される定数である。また、前記式1中のδrr_rock1および前記式2中のδrl_rock1は、前記ステップS14にて計算された右側の後輪RW1および左側の後輪RW2の移動角をそれぞれ表すものである。
δrra=δrfs/2−δrr_rock1 …式1
δrla=−δrfs/2+δrl_rock1 …式2
ただし、前記式1,2中におけるδrfsは、左右後輪RW1,RW2の転舵可能範囲を機械的に決定するために設けられたストッパ16a,16b間において左右後輪RW1,RW2が転舵し得る最大転舵量(最大転舵角)として予め設定される定数である。また、前記式1中のδrr_rock1および前記式2中のδrl_rock1は、前記ステップS14にて計算された右側の後輪RW1および左側の後輪RW2の移動角をそれぞれ表すものである。
ここで、絶対角δrra,δrlaは、後輪転舵角センサ23,24によって検出された相対的な転舵角δrro,δrloすなわち起動転舵位置と車体を基準とした絶対角座標上における原点(以下、絶対的な中立位置という)とのずれ量(角度)として計算されるものである。具体的に右側の後輪RW1を例示して説明すると、前記式1中のδrfs/2は転舵可能範囲を等分する等分転舵量であって、後輪RW1の絶対的な中立位置を表すとともに同中立位置から左右方向に転舵可能な転舵量(転舵角)を表すものである。
このため、例えば、後輪RW1が絶対的な中立位置から左右いずれかの方向に転舵しており、絶対的な中立位置からずれた起動転舵位置(すなわち転舵角δrro)を基準として移動角δrr_rock1を検出した場合には、実際の移動角δrr_rock1とδrfs/2で表される右方向の等分転舵量とが一致しなくなる。したがって、等分転舵量δrfs/2と移動角δrr_rock1との差分量すなわち絶対角δrraは、起動転舵位置としての転舵角δrroと絶対的な中立位置とのずれ量(角度)を表す。
ただし、このように等分転舵量δrfs/2と移動角δrr_rock1とが一致しない状況すなわち差分量としての絶対角δrraが「0」とならない状況としては、上述した起動転舵位置と絶対的な中立位置とが一致しないことの他に、左右後輪RW1,RW2が、例えば、路側に設けられた縁石等に接触していて転舵できず、その結果、移動角δrr_rock1,δrl_rock1が等分転舵量δrfs/2に比して小さくなる状況が考えられる。この状況においては、起動転舵位置と絶対的な中立位置とが一致しているにもかかわらず、絶対角δrra,δrlaが「0」とならない。このため、電子制御ユニット27は、ステップS19にて、左右後輪RW1,RW2が最大転舵量(最大転舵角)δrfsだけ転舵できたか否かを判定する。
すなわち、電子制御ユニット27は、ステップS19にて、前記ステップS16にて記憶した移動角δrr_rock2および移動角δrl_rock2と、最大転舵量(最大転舵角)δrfsとをそれぞれ比較する。そして、電子制御ユニット27は、移動角δrr_rock2および移動角δrl_rock2と最大転舵量(最大転舵角)δrfsとがそれぞれ略一致していれば、左右後輪RW1,RW2が最大転舵量(最大転舵角)δrfsまで転舵できており、前記ステップS18にて計算した絶対角δrra,δrlaを有効な値として採用する。このため、電子制御ユニット27は、ステップS19にて「Yes」と判定してステップS20に進む。
一方、電子制御ユニット27は、移動角δrr_rock2および移動角δrl_rock2と最大転舵量(最大転舵角)δrfsとがそれぞれ略一致していなければ、左右後輪RW1,RW2が最大転舵量(最大転舵角)δrfsまで転舵できておらず、前記ステップS18にて計算した絶対角δrra,δrlaを有効な値として採用しない。このため、電子制御ユニット27は、ステップS19にて「No」と判定してステップS21に進み、本プログラムの実行を終了する。なお、この場合には、後述するように、車両が走行を開始した後に左右後輪RW1,RW2における絶対角δrra,δrlaが認識される。このため、電子制御ユニット27は、駆動回路28,29を駆動制御して、左右後輪RW1,RW2が僅かにトーイン状態となるように転舵アクチュエータ14,15を駆動させて、車両の直進安定性を確保する。
ステップS20においては、電子制御ユニット27は、前記ステップS18にて計算した絶対角δrra,δrlaに基づき、左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正する。すなわち、電子制御ユニット27は、後輪転舵角センサ23,24からの検出転舵角δrr,δrlを入力するとともに駆動回路28,29を駆動制御して、転舵アクチュエータ14,15を駆動させる。そして、電子制御ユニット27は、絶対角δrra,δrlaが「0」となるように、左右後輪RW1,RW2を転舵させる。これにより、左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を絶対的な中立位置に一致させ、同中立位置を基準として左右後輪RW1,RW2は転舵制御される。このように、左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正すると、電子制御ユニット27は、ステップS21に進み、本プログラムの実行を終了する。
b.低速走行時
次に、車両が低速走行しているときに実行される「後輪の絶対角認識プログラム」について、詳細に説明する。この低速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」は、上述した車両停止時に実行される「後輪の絶対角認識プログラム」において絶対角δrra,δrlaが認識されなかった場合に実行される。具体的には、低速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」は、図3に示すように、ステップS50にてその実行が開始され、ステップS51にて、電子制御ユニット27は、車速センサ25から入力した検出車速Vを用いて、車両が所定の車速V1未満で走行しているか否かを判定する。
次に、車両が低速走行しているときに実行される「後輪の絶対角認識プログラム」について、詳細に説明する。この低速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」は、上述した車両停止時に実行される「後輪の絶対角認識プログラム」において絶対角δrra,δrlaが認識されなかった場合に実行される。具体的には、低速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」は、図3に示すように、ステップS50にてその実行が開始され、ステップS51にて、電子制御ユニット27は、車速センサ25から入力した検出車速Vを用いて、車両が所定の車速V1未満で走行しているか否かを判定する。
すなわち、電子制御ユニット27は、車速センサ25から入力した検出車速Vが「0」よりも大きく、言い換えれば、車両が走行しており、かつ、所定の車速V1未満であれば、「Yes」と判定してステップS52に進む。一方、入力した検出車速Vが所定の車速V1以上または検出車速Vが「0」であれば、電子制御ユニット27は「No」と判定してステップS62に進み、本プログラムの実行を一旦終了する。なお、ステップS51において検出車速Vが所定の車速V1以上であり、「No」判定によってプログラムの実行を終了する場合には、後述する中高速域における「後輪の絶対角認識プログラム」が引き続き実行される。また、検出車速Vが「0」である場合には、再度、上述した車両停止時の「後輪の絶対角認識プログラム」を実行することも可能である。
ここで、上述した所定の車速V1について説明しておく。後述するように、この低速域における「後輪の絶対角認識プログラム」は、車体横すべり角βが「0」となるように左右後輪RW1,RW2を転舵動作させることによって、絶対角δrra,δrlaを認識するとともに転舵基準位置を修正するものである。ところで、一般的に、車両が旋回状態にあるときに発生する車体横すべり角βの大きさは、車速Vの変化に対して図4に示すような変化特性を有する。このように変化する車体横すべり角βの変化特性において、所定の車速V1は、左右後輪RW1,RW2を転舵範囲内で最大限に転舵させることができるように、車体横すべり角βが大きく発生する低車速域内で設定される。なお、所定の車速V1としては、例えば、30Km/h程度に設定されるとよい。
ふたたび、図3のフローチャートに戻り、電子制御ユニット27は、ステップS52にて、低速で走行している車両の左右後輪RW1,RW2を若干トーイン状態とし、このときの左右後輪RW1,RW2の転舵位置を仮の中立位置として設定する。具体的に説明すると、電子制御ユニット27は、下記式3,4に従って、仮の中立位置を表す転舵角δrrk,δrlkを設定する。そして、この仮の中立位置に転舵させることにより、左右後輪RW1,RW2をトーイン状態とし、車両の直進安定性を確保する。なお、この場合、上述した車両停止時に実行される「後輪の絶対角認識プログラム」において、前記ステップS19にて「No」と判定された場合には、このときに設定された左右後輪RW1,RW2の転舵位置が仮の中立点として設定される。
δrrk=−Kin・δrfs …式3
δrlk=Kin・δrfs …式4
ただし、前記式3,4中におけるKinは、0≦Kin≦1の範囲で設定されるトーイン係数である。また、前記式3,4中のδrfsは、上述した左右後輪RW1,RW2の最大転舵量(最大転舵角)として予め設定される定数である。
δrrk=−Kin・δrfs …式3
δrlk=Kin・δrfs …式4
ただし、前記式3,4中におけるKinは、0≦Kin≦1の範囲で設定されるトーイン係数である。また、前記式3,4中のδrfsは、上述した左右後輪RW1,RW2の最大転舵量(最大転舵角)として予め設定される定数である。
このように、トーイン係数Kinを用いて最大転舵量(最大転舵角)δrfsを小さく、言い換えれば、左右後輪RW1,RW2の転舵可能範囲を縮小することによって、左右後輪RW1,RW2は相対的にトーイン状態に転舵される。そして、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2を若干トーイン状態となるように転舵させると、ステップS53に進む。なお、上述した車両停止時における「後輪の絶対角認識プログラム」の前記ステップS11にて「No」と判定して本プログラムを実行する場合には、トーイン状態に転舵する前の起動転舵位置を表す転舵角δrro,δrloをEEPROM内の所定記憶位置に記憶する。
ステップS53においては、電子制御ユニット27は、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に伴って旋回状態にある車両に発生する車体横すべり角βが「0」となるように、下記式5に従って、左右前輪FW1,FW2の転舵角δfと比例関係にある左右後輪RW1,RW2の目標転舵角δrdを計算する。
δrd=Ko・δf …式5
ここで、前記式5中のδfは、前輪転舵角センサ22によって検出される左右前輪FW1,FW2の転舵角である。なお、本実施形態においては、左右後輪RW1,RW2は、車体横すべり角βを「0」とするために同相方向にて同一の目標転舵角δrdとなるように転舵される。
δrd=Ko・δf …式5
ここで、前記式5中のδfは、前輪転舵角センサ22によって検出される左右前輪FW1,FW2の転舵角である。なお、本実施形態においては、左右後輪RW1,RW2は、車体横すべり角βを「0」とするために同相方向にて同一の目標転舵角δrdとなるように転舵される。
ここで、前記式5中の比例定数Koは、車速Vに応じて変化するものであって、下記式6に従って計算される。
Ko=−(Lr−m・Lf・V2/(2・L・Kr))/(Lf+m・Lr・V2/(2・L・Kf)) …式6
ただし、前記式6中のLfは車両重心点と前輪側車軸との間の距離であり、Lrは車両重心点と後輪側車軸との間の距離である。また、前記式6中のLは、ホイールベースであり、L=Lf+Lrの関係が成立する。また、前記式6中のKfは前輪タイヤのコーナリングパワーを表し、Krは後輪タイヤのコーナリングパワーを表す。また、前記式6中のmは車重を表し、Vは車速センサ25によって検出される車速である。そして、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2の目標転舵角δrdを計算すると、ステップS54に進む。
Ko=−(Lr−m・Lf・V2/(2・L・Kr))/(Lf+m・Lr・V2/(2・L・Kf)) …式6
ただし、前記式6中のLfは車両重心点と前輪側車軸との間の距離であり、Lrは車両重心点と後輪側車軸との間の距離である。また、前記式6中のLは、ホイールベースであり、L=Lf+Lrの関係が成立する。また、前記式6中のKfは前輪タイヤのコーナリングパワーを表し、Krは後輪タイヤのコーナリングパワーを表す。また、前記式6中のmは車重を表し、Vは車速センサ25によって検出される車速である。そして、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2の目標転舵角δrdを計算すると、ステップS54に進む。
ステップS54および後述するステップS56においては、電子制御ユニット27は、前記ステップS53にて計算した目標転舵角δrdとなるように左右後輪RW1,RW2を転舵させたときに、左右後輪RW1,RW2が転舵範囲を機械的に決定するストッパ16によって停止するロック位置まで転舵したか否かを判定する。以下、これらの判定を具体的に説明する。
上述したように、車両が所定の車速V1未満で旋回する状況においては、発生する車体横すべり角βは大きくなる。このため、前記ステップS53にて計算される左右後輪RW1,RW2の目標転舵角δrdは、この大きな車体横すべり角βを「0」とするように計算されるため、大きな値を有する。一方、左右後輪RW1,RW2の転舵範囲は、ストッパ16a、16bによって数度程度に設定されている。したがって、車両が所定の車速V1未満で走行している状況において、運転者がある程度大きく操舵ハンドル11を回動操作して左右前輪FW1,FW2を転舵させた場合には、左右後輪RW1,RW2が目標転舵角δrdに向けて転舵動作するものの、ストッパ16aまたはストッパ16bによってその転舵動作が機械的に停止される。なお、本実施形態においては、所定の車速V1未満で車両が走行している場合には、左右前輪FW1,FW2の転舵方向に対して、左右後輪RW1,RW2が逆方向に(逆相的に)転舵されるものとする。
この状況において、電子制御ユニット27は、ステップS54にて、運転者によって操舵ハンドル11が左方向に回動操作すなわち左右前輪FW1,FW2が左方向に転舵されることに伴って、左右後輪RW1,RW2が右方向に設けられたストッパ16aにより停止されたか否かを判定する。具体的には、電子制御ユニット27は、前記ステップS53にて計算した目標転舵角δrdに基づき、駆動回路28,29を駆動制御して、転舵アクチュエータ14,15を回転駆動させて左右後輪RW1,RW2を右方向に転舵させる。このとき、電子制御ユニット27は、駆動回路28,29のそれぞれに設けられた電流検出器28a,29aから両電動モータに流れる駆動電流を取得しており、この取得した駆動電流の変化に基づき、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が右方向のストッパ16aによって停止されたか否かを判定する。
そして、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が右方向に設けられたストッパ16aによって停止されていれば、「Yes」と判定してステップS55に進む。ステップS55においては、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2がそれぞれ起動転舵位置から右方向のロック位置まで転舵したときの相対的な転舵量(転舵角)を算出して記憶する。具体的に説明すると、電子制御ユニット27は、EEPROM内の所定記憶位置に記憶している起動転舵位置を表す転舵角δrro,δrloを基準とし、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が機械的に停止した時点において後輪転舵角センサ23,24によって検出された転舵角δrr,δrlを入力する。そして、電子制御ユニット27は、転舵角δrroと転舵角δrrとの差分および転舵角δrloと転舵角δrlとの差分をそれぞれ移動角δrr_Rrockm,δrl_RrockmとしてEEPROM内の所定記憶位置に記憶し、ステップS58に進む。
一方、電子制御ユニット27は、ステップS54にて、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が右方向に設けられたストッパ16aによって停止されていなければ、「No」と判定してステップS56に進む。ステップS56においては、電子制御ユニット27は、運転者によって操舵ハンドル11が右方向に回動操作すなわち左右前輪FW1,FW2が右方向に転舵されることに伴って、左右後輪RW1,RW2が左方向に設けられたストッパ16bにより停止されたか否かを判定する。具体的には、電子制御ユニット27は、前記ステップS53にて計算した目標転舵角δrdに基づき、駆動回路28,29を駆動制御して、転舵アクチュエータ14,15を回転駆動させて左右後輪RW1,RW2を左方向に転舵させる。この場合においても、電子制御ユニット27は、駆動回路28,29のそれぞれに設けられた電流検出器28a,29aから両電動モータに流れる駆動電流を取得しており、この取得した駆動電流の変化に基づき、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が左方向のストッパ16bによって停止されたか否かを判定する。
そして、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が左方向に設けられたストッパ16bによって停止されていれば、「Yes」と判定してステップS57に進む。ステップS57においては、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2がそれぞれ起動転舵位置から左方向のロック位置まで転舵したときの相対的な転舵量(転舵角)を算出して記憶する。具体的に説明すると、電子制御ユニット27は、EEPROM内の所定記憶位置に記憶している起動転舵位置を表す転舵角δrro,δrloを基準とし、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が機械的に停止した時点において後輪転舵角センサ23,24によって検出された転舵角δrr,δrlを入力する。そして、電子制御ユニット27は、転舵角δrroと転舵角δrrとの差分および転舵角δrloと転舵角δrlとの差分をそれぞれ移動角δrr_Lrockm,δrl_LrockmとしてEEPROM内の所定記憶位置に記憶し、ステップS58に進む。
一方、電子制御ユニット27は、ステップS56にて、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が左方向に設けられたストッパ16bによって停止されていなければ、「No」と判定してステップS51に戻る。すなわち、この場合は、前記ステップS54およびステップS56の判定処理において、ともに「No」と判定されており、左右後輪RW1,RW2が左右いずれのストッパ16a,16bによっても転舵動作が停止されていない状態である。このため、電子制御ユニット27は、ステップS56にて、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が左方向のストッパ16bによって停止されて「Yes」と判定するまで、ステップS51以降の各ステップ処理を繰り返し実行する。
ステップS58においては、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が左右のストッパ16a,16bによって停止された結果、右方向の移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmおよび左方向の移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmがそれぞれ更新されて、EEPROM内の所定記憶位置に記憶されたか否かを判定する。これは、上述した車両停止時における「後輪の絶対角認識プログラム」の前記ステップS11にて「No」と判定した場合においては、左右後輪RW1,RW2が左右方向に転舵したときの移動角δrr_rock1,δrl_rock1がEEPROM内に記憶されていない。したがって、この場合には、右方向の移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmおよび左方向の移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmがそれぞれ新規に記憶される。
一方、上述した車両停止時における「後輪の絶対角認識プログラム」の前記ステップS19にて「No」と判定した場合においては、左右後輪RW1,RW2が左右方向に転舵したときの移動角δrr_rock1,δrl_rock1がEEPROM内に記憶されている。したがって、この場合には、これらの移動角δrr_rock1,δrl_rock1を更新して、右方向の移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmおよび左方向の移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmがそれぞれ記憶される。
そして、電子制御ユニット27は、右方向の移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmおよび左方向の移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmがそれぞれ更新されて、EEPROM内の所定記憶位置に記憶されていれば、「Yes」と判定してステップS59に進む。一方、電子制御ユニット27は、右方向の移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmおよび左方向の移動角δrr_Lrockm,δrl_LrockmがそれぞれEEPROM内の所定記憶位置に記憶されていなければ、「No」と判定して前記ステップS51に戻る。そして、電子制御ユニット27は、右方向の移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmおよび左方向の移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmがそれぞれ更新されて、EEPROM内の所定記憶位置に記憶されるまでステップS58にて「No」判定を繰り返す。
ステップS59においては、電子制御ユニット27は、相対的な起動転舵位置として記憶した転舵角δrro,δrloの絶対角を認識する。すなわち、電子制御ユニット27は、下記式7および式8または下記式9および式10に従って、起動転舵位置を表す絶対角δrra,δrlaを計算する。
δrra=δrfs/2−δrr_Rrockm …式7
δrla=δrfs/2−δrl_Rrockm …式8
δrra=−δrfs/2+δrr_Lrockm …式9
δrla=−δrfs/2+δrl_Lrockm …式10
ただし、前記式7から式10中におけるδrfsは、上述した最大転舵量(最大転舵角)として予め設定される定数である。また、前記式7中のδrr_Rrockmおよび前記式8中のδrl_Rrockmは、前記ステップS55にて計算された後輪RW1および後輪RW2の右方向への移動角をそれぞれ表すものである。また、前記式9中のδrr_Lrockmおよび前記式10中のδrl_Lrockmは、前記ステップS57にて計算された後輪RW1および後輪RW2の右方向への移動角をそれぞれ表すものである。このように、絶対角δrra,δrlaを計算すると、電子制御ユニット27はステップS60に進む。
δrra=δrfs/2−δrr_Rrockm …式7
δrla=δrfs/2−δrl_Rrockm …式8
δrra=−δrfs/2+δrr_Lrockm …式9
δrla=−δrfs/2+δrl_Lrockm …式10
ただし、前記式7から式10中におけるδrfsは、上述した最大転舵量(最大転舵角)として予め設定される定数である。また、前記式7中のδrr_Rrockmおよび前記式8中のδrl_Rrockmは、前記ステップS55にて計算された後輪RW1および後輪RW2の右方向への移動角をそれぞれ表すものである。また、前記式9中のδrr_Lrockmおよび前記式10中のδrl_Lrockmは、前記ステップS57にて計算された後輪RW1および後輪RW2の右方向への移動角をそれぞれ表すものである。このように、絶対角δrra,δrlaを計算すると、電子制御ユニット27はステップS60に進む。
ステップS60においては、電子制御ユニット27は、左右後輪RW1,RW2が最大転舵量(最大転舵角)δrfsだけ転舵できたか否かを判定して確認する。すなわち、電子制御ユニット27は、前記ステップS54,56の実行により、左右後輪RW1,RW2の転舵動作が停止したことは確認できるものの、実際にストッパ16a,16bによって左右後輪RW1,RW2の転舵動作が停止したか否かは不確定である。
このため、電子制御ユニット27は、後輪RW1に関し、前記ステップS55にて記憶した右方向の移動角δrr_Rrockmと前記ステップS57にて記憶した左方向の移動角δrr_Lrockmとの和(以下、右後輪転舵量という)を計算する。また、電子制御ユニット27は、後輪RW2に関し、前記ステップS55にて記憶した右方向の移動角δrl_Rrockmと前記ステップS57にて記憶した左方向の移動角δrl_Lrockmとの和(以下、左後輪転舵量という)を計算する。そして、電子制御ユニット27は、右後輪転舵量および左後輪転舵量のそれぞれと、最大転舵量(最大転舵角)δrfsとを比較する。この比較において、電子制御ユニット27は、右後輪転舵量および左後輪転舵量と最大転舵量(最大転舵角)δrfsとが略一致していれば、左右後輪RW1,RW2が最大転舵量(最大転舵角)δrfsまで転舵できているため、前記ステップS59にて計算した絶対角δrra,δrlaを有効な値として採用する。そして、電子制御ユニット27は、ステップS60にて「Yes」と判定してステップS61に進む。
一方、電子制御ユニット27は、右後輪転舵量および左後輪転舵量と最大転舵量(最大転舵角)δrfsとが略一致していなければ、左右後輪RW1,RW2が最大転舵量(最大転舵角)δrfsまで転舵できていないため、前記ステップS59にて計算した絶対角δrra,δrlaを有効な値として採用しない。そして、電子制御ユニット27は、ステップS60にて「No」と判定して前記ステップS51に戻り、ふたたびステップS51以降の各ステップ処理を実行する。
ステップS61においては、電子制御ユニット27は、前記ステップS59にて計算した絶対角δrra,δrlaに基づき、車両が低速走行時(または停止時)において、トーイン状態にある左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正する。すなわち、電子制御ユニット27は、後輪転舵角センサ23,24からの検出転舵角δrr,δrlを入力するとともに駆動回路28,29を駆動制御して、転舵アクチュエータ14,15を駆動させる。そして、電子制御ユニット27は、絶対角δrra,δrlaが「0」となるように、左右後輪RW1,RW2を転舵させる。これにより、左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を絶対的な中立位置に一致させることができ、電子制御ユニット27は、転舵基準位置を基準として左右後輪RW1,RW2を転舵制御する。このように、左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正すると、電子制御ユニット27は、ステップS62に進み、本プログラムの実行を終了する。
c.中高速走行時
次に、車両が中高速走行しているときに実行される「後輪の絶対角認識プログラム」について、詳細に説明する。この中高速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」は、上述した低速走行時に実行される「後輪の絶対角認識プログラム」において検出車速Vが所定の車速V1以上となり、絶対角δrra,δrlaが認識されなかった場合に実行される。このため、中高速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」は、図5に示すように、ステップS100にてその実行が開始され、ステップS101にて、電子制御ユニット27は、車速センサ25から入力した検出車速Vを用いて、車両が所定の車速V1以上で走行しているか否かを判定する。
次に、車両が中高速走行しているときに実行される「後輪の絶対角認識プログラム」について、詳細に説明する。この中高速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」は、上述した低速走行時に実行される「後輪の絶対角認識プログラム」において検出車速Vが所定の車速V1以上となり、絶対角δrra,δrlaが認識されなかった場合に実行される。このため、中高速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」は、図5に示すように、ステップS100にてその実行が開始され、ステップS101にて、電子制御ユニット27は、車速センサ25から入力した検出車速Vを用いて、車両が所定の車速V1以上で走行しているか否かを判定する。
すなわち、電子制御ユニット27は、車速センサ25から入力した検出車速Vが所定の車速V1以上であれば、「Yes」と判定してステップS102に進む。一方、入力した検出車速Vが所定の車速V1未満であれば、電子制御ユニット27は「No」と判定してステップS109に進み、本プログラムの実行を一旦終了する。なお、ステップS101における「No」判定によってプログラムの実行を終了する場合には、上述した車両停止時または低速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」を実行することも可能である。
ステップS102においては、電子制御ユニット27は、車両の直進走行状態または旋回走行状態に応じて、左右後輪RW1,RW2の転舵角rr,δrlを絶対角として認識して転舵基準位置を補正するために、ヨーレートセンサ26から出力されたヨーレートγに基づいて車両が直進走行しているか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット27は、ヨーレートセンサ26によって検出された検出ヨーレートγが車両の直進走行を判定するために予め設定された所定の基準ヨーレートγo未満であれば、車両が直進走行しているために「Yes」と判定してステップS103に進む。
ステップS103においては、電子制御ユニット27は、直進走行時における左右前輪FW1,FW2の転舵角δfに基づいて左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正する。以下、この直進走行時における左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置の補正について詳細に説明する。
左右前輪FW1,FW2と左右後輪RW1,RW2がそれぞれ転舵可能な4輪転舵車両(所謂、4WS車両)においては、左右後輪RW1,RW2が中立位置(例えば、車両の進行方向と車両の前後方向とを一致させて直進走行させる転舵位置)と異なる転舵位置に転舵されている状態であっても、運転者が操舵ハンドル11を回動操作して左右前輪FW1,FW2を転舵させることによって車両を直進走行状態に保つことができる。すなわち、運転者は、左右後輪RW1,RW2の中立位置と異なる転舵位置によって決定される車両の進行方向と一致するように、操舵ハンドル11を回動操作して左右前輪FW1,FW2を転舵させることにより、車両を直進状態に保つことができる。なお、この場合、車両の進行方向と車体の前後方向とが僅かに角度を有する走行状態(所謂、かに走り状態)で、車両は直進走行する。
このため、左右後輪RW1,RW2における中立位置と転舵位置とのずれ量は、左右前輪FW1,FW2における中立位置からのずれ量、言い換えれば、運転者が操舵ハンドル11を回動操作して左右前輪FW1,FW2を転舵させた転舵角δfに等しくなる。したがって、左右後輪RW1,RW2を、左右前輪FW1,FW2の転舵角δf分だけ、左右前輪FW1,FW2の中立位置方向に一致する方向に同相的に転舵させることにより、直進走行時における左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正することができる。
このことに基づき、電子制御ユニット27は、ステップS103にて、まず、前輪転舵角センサ22によって検出された転舵角δfを入力する。次に、電子制御ユニット27は、駆動回路28,29をそれぞれ駆動制御し、左右後輪RW1,RW2を同相方向に転舵させて転舵基準位置を修正する。これを具体的に図6に基づいて説明する。
図6(a)は、左右後輪RW1,RW2がともに左右前輪FW1,FW2の転舵角δfと同等程度だけ右方向に転舵した転舵基準位置にある状態を概略的に示している。この場合においては、電子制御ユニット27が左右前輪FW1,FW2の転舵角δfだけ左右後輪RW1,RW2を左方向に転舵させて修正することにより、左右後輪RW1,RW2はそれぞれ転舵角δrr,δrlが略「0」となる転舵基準位置に転舵される。図6(b)は、後輪RW2が左右前輪FW1,FW2の転舵角δfよりも大きく右方向に転舵し、後輪RW1が転舵角δfよりも小さく右方向に転舵した転舵基準位置にある状態を概略的に示している。この場合においても、電子制御ユニット27が左右前輪FW1,FW2の転舵角δfだけ左右後輪RW1,RW2を左方向に転舵させて転舵基準位置を修正する。その結果、この場合には、左右後輪RW1,RW2は互いにトーイン状態となる転舵基準位置に転舵される。図6(c)は、後輪RW1が左右前輪FW1,FW2の転舵角δfよりも大きく右方向に転舵し、後輪RW2が転舵角δfよりも小さく右方向に転舵した転舵基準位置にある状態を概略的に示している。この場合においても、電子制御ユニット27が左右前輪FW1,FW2の転舵角δfだけ左右後輪RW1,RW2を左方向に転舵させて転舵位置を修正する。その結果、この場合には、左右後輪RW1,RW2は互いにトーアウト状態となる転舵基準位置に転舵される。
このように、直進走行時における左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正すると、電子制御ユニット27は、ステップS108に進む。
一方、前記ステップS102にて、ヨーレートセンサ26によって検出された検出ヨーレートγが所定の基準ヨーレートγo以上であれば、電子制御ユニット27は、車両が旋回走行しているために「No」と判定してステップS104に進む。ステップS104においては、電子制御ユニット27は、車速Vが一定であり、左右前輪FW1,FW2が一定の転舵角δfで保持された状態で、車両が一定の半径を有する円旋回走行しているか、すなわち、車両が定常旋回走行しているか否かを判定する。
すなわち、電子制御ユニット27は、車速センサ25から入力した検出車速Vの時間変化量に基づいて車速Vが一定であり、前輪転舵角センサ22から入力した左右前輪FW1,FW2の転舵角δfの時間変化量に基づいて転舵角δfが一定であれば、車両が定常旋回走行しているために「Yes」と判定してステップS105に進む。一方、検出車速Vの時間変化量に基づいて車速Vが変化している、または、検出転舵角δfの時間変化量に基づいて転舵角δfが変化していれば、車両が定常旋回走行していないために「No」と判定してステップS101に戻る。そして、ステップS101以降の各ステップ処理を実行し、ステップS104にて車両が定常旋回走行していると判定されるまで「No」判定を繰り返す。
ステップS105においては、電子制御ユニット27は、最終的に左右後輪RW1,RW2の転舵角δrr,δrlを絶対角δrra,δrlaとして認識する前に、定常旋回走行している車両の転舵特性(すなわちオーバーステア特性やアンダーステア特性)を表すスタビリティーファクタKhを推定演算する。以下、このスタビリティーファクタKhの推定演算について具体的に説明する。
一般的に、定常旋回走行している車両に発生するヨーレートγは、スタビリティーファクタKh、左右前輪FW1,FW2の転舵角δfおよび検出車速Vを用いた下記式11によって計算できる。
γ=(1/(1+Kh・V2))・(V/L)・δf …式11
ただし、前記式11中のLは車両のホイールベースを表す。
γ=(1/(1+Kh・V2))・(V/L)・δf …式11
ただし、前記式11中のLは車両のホイールベースを表す。
これにより、スタビリティーファクタKhは、前記式11を変形した下記式12に従って計算できる。
Kh=(1/V2)・((1/γ)・(V/L)・δf−1) …式12
したがって、電子制御ユニット27は、ヨーレートセンサ26によって検出された検出ヨーレートγを用い、前記式12に従ってスタビリティーファクタKhを演算する。そして、電子制御ユニット27は、現在の定常旋回走行におけるスタビリティーファクタKhを計算すると、ステップS106に進む。
Kh=(1/V2)・((1/γ)・(V/L)・δf−1) …式12
したがって、電子制御ユニット27は、ヨーレートセンサ26によって検出された検出ヨーレートγを用い、前記式12に従ってスタビリティーファクタKhを演算する。そして、電子制御ユニット27は、現在の定常旋回走行におけるスタビリティーファクタKhを計算すると、ステップS106に進む。
ステップS106においては、電子制御ユニット27は、前記ステップS105におけるスタビリティーファクタKhの推定演算回数が所定の回数だけ実行されたか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット27は、未だ所定の回数だけスタビリティーファクタKhの演算が実行されていなければ「No」と判定してステップS101以降の各ステップ処理を実行する。そして、スタビリティーファクタKhの推定演算実行回数が所定の回数に到達すると、電子制御ユニット27は、所定の回数だけ推定演算された各スタビリティーファクタKhを例えば平均化し、「Yes」と判定してステップS107に進む。なお、以下の説明においては、平均化したスタビリティーファクタKhをスタビリティーファクタKhaという。
ステップS107においては、電子制御ユニット27は、スタビリティーファクタKhaの正負によって表される転舵特性、すなわち、オーバーステア特性やアンダーステア特性に合わせて、左右後輪RW1,RW2のそれぞれをトーイン状態またはトーアウト状態に修正する。具体的には、電子制御ユニット27は、駆動回路28,29を駆動制御することによって、転舵アクチュエータ14,15を駆動させ、スタビリティーファクタKhaによって表される転舵特性となるように左右後輪RW1,RW2のそれぞれを転舵させる。このように、左右後輪RW1,RW2を転舵させると、電子制御ユニット27は、ステップS108に進む。
ステップS108においては、電子制御ユニット27は、前記ステップS103にて修正した左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置と前記ステップS107にて修正した左右後輪RW1,RW2のトーイン状態またはトーアウト状態が適切であるか否かを判定する。具体的に説明すると、上述したように、前記ステップS103にて直進走行時に修正した転舵基準位置に左右後輪RW1,RW2が転舵されていれば、左右前輪FW1,FW2の転舵角δfは「0」となる。また、前記ステップS107にて旋回走行時に修正した左右後輪RW1,RW2のトーイン状態またはトーアウト状態で車両が定常旋回走行していれば、実際のスタビリティーファクタKhは平均化したスタビリティーファクタKhaとほぼ一致する。
このため、電子制御ユニット27は、まず、前輪転舵角センサ22から入力した左右前輪FW1,FW2の転舵角δfが「0」であるか否かを判定する。一方で、電子制御ユニット27は、スタビリティーファクタKhaを前記式11に代入することにより、同スタビリティーファクタKhaで定常旋回走行するときの目標ヨーレートγdを計算する。そして、電子制御ユニット27は、車両が定常旋回走行しているときにヨーレートセンサ26によって検出された実ヨーレートγを入力し、目標ヨーレートγdと実ヨーレートγとがほぼ一致するか、言い換えれば、前記式12に従って実ヨーレートγを代入して計算したスタビリティーファクタKhがスタビリティーファクタKhaとがほぼ一致するか否かを判定する。
これらの判定に基づき、車両が直進走行しているときの左右前輪FW1,FW2の転舵角δfが「0」であり、かつ、車両が定常旋回走行しているときのスタビリティーファクタKhがスタビリティーファクタKhaとほぼ一致していれば、電子制御ユニット27は「Yes」と判定してステップS109に進む。そして、電子制御ユニット27は、ステップS109にて本プログラムの実行を終了する。
すなわち、この場合には、前記ステップS103および前記ステップS107における修正が適切であり、後輪転舵角センサ23,24によって検出される転舵角δrr,δrlを有効な値として採用できる。言い換えれば、前記ステップS103および前記ステップS107において、左右後輪RW1,RW2の転舵状態を修正することにより、左右後輪RW1,RW2を車体を基準とする絶対角座標上で転舵させることができる。したがって、電子制御ユニット27は、後輪転舵角センサ23,24によってそれぞれ検出された転舵角δrr,δrlを絶対角δrra,δrlaとして認識して左右後輪RW1,RW2の転舵制御を実行する。
一方、車両が直進走行しているときの左右前輪FW1,FW2の転舵角δfが「0」ではない、または、車両が定常旋回走行しているときのスタビリティーファクタKhがスタビリティーファクタKhaと明らかに一致していなければ、電子制御ユニット27は「No」と判定してステップS101以降の各ステップ処理を実行する。すなわち、この場合には、前記ステップS103および前記ステップS107における修正が不十分であり、後輪転舵角センサ23,24によって検出される転舵角δrr,δrlを未だ有効な値として採用することができない。したがって、電子制御ユニット27は、ステップS101以降の各ステップ処理を、ステップS108にて「Yes」と判定するまで繰り返し実行する。
以上の説明からも理解できるように、本実施形態によれば、車両停止時において、例えば、縁石等によって左右後輪RW1,RW2が転舵できない状況では、車両が走行を開始した後に後輪転舵角センサ23,24によって検出される転舵角δrr,δrlを絶対角δrra,δrlaとして認識することができる。すなわち、上述した低速走行時における「後輪の絶対角認識プログラム」を実行することにより、車両が所定の車速V1未満で旋回走行しているときの左右後輪RW1,RW2の目標転舵角δrdを、旋回走行に伴って発生する車体横すべり角βが「0」となるように計算する。この場合、所定の車速V1は、車体横すべり角βが大きくなる低車速域内で設定されるため、実際に旋回走行している車両においては、大きな車体横すべり角βが発生する。このため、計算される左右後輪RW1,RW2の目標転舵角δrdは、この大きな車体横すべり角βを「0」とするために、左右前輪FW1,FW2の転舵角δfに比例する大きな値に計算される。そして、左右後輪RW1,RW2は、転舵アクチュエータ14,15の作動によって計算された目標転舵角δrdとなるように転舵される。このとき、左右後輪RW1,RW2は、大きな目標転舵角δrdとなるように転舵されるため、転舵可能範囲を機械的に決定するストッパ16a,16bによって、必然的にその転舵動作が停止される。すなわち、左右後輪RW1,RW2は、転舵可能範囲内の全域で転舵することができる。
そして、左右後輪RW1,RW2が、車両の始動直後に検出された相対的な転舵角δrro,δrloによって表される起動転舵位置から右側のストッパ16aまで転舵するときの第1移動転舵量としての移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmと、起動転舵位置から左側のストッパ16bまで転舵するときの第2移動転舵量としての移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmが計算される。そして、この移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmまたは移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmと、転舵可能範囲を表す最大転舵量(最大転舵角)δrfsを等分した等分転舵量δrfs/2との差分量を計算することによって、起動転舵位置と転舵可能範囲の等分位置すなわち車体を基準とする絶対的な中立位置とのずれ量を認識することができる。これにより、この差分量すなわちずれ量に基づいて、検出される左右後輪RW1,RW2の転舵角δrr,δrlを絶対角δrra,δrlaとして正確に、かつ、確実に認識することができる。
また、移動角δrr_Rrockm,δrl_Rrockmと移動角δrr_Lrockm,δrl_Lrockmとの和で表される最大移動転舵量としての右後輪転舵量および左後輪転舵量と最大転舵量(最大転舵角)δrfsとを比較することができる。そして、左右後輪RW1,RW2が実際に転舵したときの右後輪転舵量および左後輪転舵量と最大転舵量(最大転舵角)δrfsとが一致する場合、言い換えれば、左右後輪RW1,RW2が実際に転舵可能範囲内の全域を転舵した場合に、左右後輪RW1,RW2の転舵角δrr,δrlを絶対角δrra,δrlaとして認識することができる。これにより、より確実にかつより正確に左右後輪RW1,RW2の転舵角δrr,δrlを絶対角δrra,δrlaとして認識することができる。
さらに、計算された差分量すなわち絶対角δrra,δrlaに基づいて、左右後輪RW1,RW2を転舵するための転舵基準位置を修正することができる。これにより、左右前輪FW1,FW2の転舵状態に応じて、左右後輪RW1,RW2を正確に転舵させることができ、その結果、車両の旋回挙動を良好に安定化させることができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、車両停止時および低速走行時に実行される「後輪の絶対角認識プログラム」におけるステップS20およびステップS61にて、左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正するように実施した。しかしながら、電子制御ユニット27が後輪転舵角センサ23,24によって検出される転舵角δrr,δrlを絶対角δrra,δrlaとして認識していれば、左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正しなくても、適切に転舵制御することができる。すなわち、電子制御ユニット27が絶対角δrra,δrlaを認識している状況においては、起動転舵位置と絶対的な中立位置とのずれ量を加味して左右後輪RW1,RW2を転舵制御できる。このため、「後輪の絶対角認識プログラム」の実行において、左右後輪RW1,RW2の転舵基準位置を修正することなく、実施することが可能となる。
また、上記実施形態にて、中高速走行時に実行される「後輪の絶対角認識プログラム」においては、ステップS102にて、電子制御ユニット27がヨーレートセンサ26からの検出ヨーレートγに基づいて車両が直進走行しているか否かを判定するように実施した。この場合、ヨーレートセンサ26による検出ヨーレートγに基づくことに代えて、または、加えて、例えば、操舵角センサ21によって検出された操舵ハンドル11の操舵角θに基づいて、車両が直進状態であるか否かを判定することも可能である。また、左右前輪FW1,FW2に対して、これら各輪の車輪速度を検出する車輪速センサが設けられている場合には、この車輪速センサによって検出された左右前輪FW1,FW2の車輪速度差に基づいて、車両が直進状態であるか否かを判定することも可能である。
FW1,FW2…左右前輪、RW1,RW2…左右後輪、11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、13…前輪転舵機構、14,15…転舵アクチュエータ(後輪転舵機構)、16,16a,16b…ストッパ、20…電気制御装置(後輪転舵制御装置)、21…操舵角センサ、22…前輪転舵角センサ(前輪転舵量検出手段)、23,24…後輪転舵角センサ(後輪転舵量検出手段)、25…車速センサ(車速検出手段)、26…ヨーレートセンサ、27…電子制御ユニット、28,29…駆動回路、28a,29a…電流検出器
Claims (7)
- 車両の左右後輪に連結されて同後輪を転舵する後輪転舵機構の作動を車両の左右前輪の転舵状態に応じて制御する車両の後輪転舵制御装置において、
車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記後輪転舵機構の作動に伴う前記左右後輪の転舵量を検出する後輪転舵量検出手段と、
前記車速検出手段によって検出された車速に基づいて、車両が所定の車速未満で走行しているか否かを判定する走行状態判定手段と、
前記所定の車速未満で走行している車両が前記左右前輪の転舵に伴って旋回走行しているときに、車両の重心位置における同車両の進行方向と車体の前後方向とによって表される車体横すべり角を「0」とするための前記左右後輪の目標転舵量を計算する後輪目標転舵量計算手段と、
前記計算された左右後輪の目標転舵量に基づいて前記後輪転舵機構が作動することにより、前記左右後輪の転舵動作が同左右後輪の転舵可能範囲を機械的に決定するストッパによって停止するまでに前記左右後輪が転舵した転舵量を表す移動転舵量を、前記後輪転舵量検出手段により検出された転舵量を用いて計算する移動転舵量計算手段と、
前記計算された移動転舵量を用いて、前記後輪転舵量検出手段によって検出された左右後輪の転舵量を車体に対する絶対量に変換して認識する転舵絶対量認識手段とを備えたことを特徴とする車両の後輪転舵制御装置。 - 請求項1に記載した車両の後輪転舵制御装置において、
前記所定の車速は、
車両の旋回走行に伴って発生する前記車体横すべり角が大きくなる低車速域内で設定されることを特徴とする車両の後輪転舵制御装置。 - 請求項1に記載した車両の後輪転舵制御装置において、
さらに、前記左右前輪の転舵量を検出する前輪転舵量検出手段を備え、
前記後輪目標転舵量計算手段は、
前記検出された左右前輪の転舵量を用いて前記左右後輪の目標転舵量を計算することを特徴とする車両の後輪転舵制御装置。 - 請求項3に記載した車両の後輪転舵制御装置において、
前記後輪目標転舵量計算手段は、
前記検出された左右前輪の転舵量と比例関係にある前記左右後輪の目標転舵量を計算することを特徴とする車両の後輪転舵制御装置。 - 請求項1に記載した車両の後輪転舵制御装置において、
前記移動転舵量計算手段は、
前記計算された左右後輪の目標転舵量に基づいて前記後輪転舵機構が作動することにより、前記左右後輪の転舵動作が車両の始動直後における前記左右後輪の転舵位置を表す起動転舵位置から前記転舵可能範囲を決定するストッパのうちの一方のストッパによって停止するまでに転舵した転舵量を表す第1移動転舵量、および、前記左右後輪の転舵動作が前記起動転舵位置から前記ストッパのうちの他方のストッパによって停止するまでに転舵した転舵量を表す第2移動転舵量を前記後輪転舵量検出手段により検出された転舵量を用いて計算するとともに、同計算した第1移動転舵量または第2移動転舵量と前記ストッパによって機械的に決定される左右後輪の転舵可能範囲を等分した等分転舵量との差分量を計算し、
前記転舵絶対量認識手段は、
前記移動転舵量計算手段によって計算された差分量に基づいて、前記後輪転舵量検出手段によって検出された左右後輪の転舵量を車体に対する絶対量に変換して認識することを特徴とする車両の後輪転舵制御装置。 - 請求項5に記載した車両の後輪転舵制御装置において、
さらに、前記移動転舵量計算手段によって計算された第1移動転舵量と第2移動転舵量との和を表す最大移動転舵量を計算するとともに、同最大移動転舵量と前記転舵可能範囲を表す最大転舵量とを比較する最大移動転舵量比較手段を備え、
前記転舵絶対量認識手段は、
前記最大移動転舵量比較手段によって前記最大移動転舵量と前記最大転舵量とが等しいと判定されたときに、前記移動転舵量計算手段により計算された差分量に基づいて前記後輪転舵量検出手段により検出された左右後輪の転舵量を車体に対する絶対量に変換して認識することを特徴とする車両の後輪転舵制御装置。 - 請求項5に記載した車両の後輪転舵制御装置において、
さらに、前記計算された差分量に基づいて前記後輪転舵機構が前記左右後輪を転舵するための転舵基準位置を修正する転舵基準位置修正手段を備えたことを特徴とする車両の後輪転舵制御装置。
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