JP2008163537A - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度、高伸度の炭素繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】アクリロニトリルとイタコン酸とを重合してなる共重合体を紡糸して単繊維繊度が1.22〜1.33dtexの糸を得、70〜150℃で乾燥緻密化し、温度100〜130℃、延伸比3.0〜5.0倍の条件で湿熱延伸処理し、イオン伝導率1μS/cm以下の水で水分率25〜50質量%に調整された前駆体繊維を得る工程と、前駆体繊維を耐炎化炉の1室目では温度250〜260℃、延伸比1.01〜1.10倍、2室目以降では1室目の温度以上280℃未満の温度、延伸比0.95〜1.00倍の条件で、耐炎化炉でのトータル延伸比が1.01〜1.08倍となるように耐炎化処理して耐炎化繊維を得る工程と、不活性雰囲気中、耐炎化繊維を温度300〜800℃の条件で予備炭素化処理した後、不活性雰囲気中、温度300〜1420℃で炭素化処理する工程とを有する炭素繊維の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高伸度の炭素繊維を安価に効率よく製造できる炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は他の繊維と比較して優れた比強度及び比弾性率を有しており、その軽量且つ優れた機械的特性を利用して樹脂との複合化に用いる補強繊維として広く利用されている。一方、炭素繊維は他の強化繊維と比較して、脆性で伸度が低く、複合材料としてより高性能化を追求するためには改善が必要となっている。
近年、炭素繊維を利用した複合材料の工業的な用途は、多目的に広がりつつあり、特に産業用途、スポーツ・レジャー分野、航空宇宙分野においては、より高性能化(高強度、高弾性で、かつ伸度が高い)に向けた要求が高まっている。複合材料の高性能化を追求する為には、樹脂の持つ物性を向上させることに加え、炭素繊維そのもの自体の物性を向上させることも不可欠である。
従来、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維の製造は、炭素繊維用前駆体繊維を製造する工程と、前駆体繊維を焼成して炭素繊維を製造する工程の2つの工程が必要とされる。これは、ポリマー原液を紡糸して炭素繊維用前駆体繊維を製造する速度と、炭素繊維用前駆体繊維を焼成して炭素繊維を製造する速度が著しく異なっているからである。炭素繊維用前駆体繊維を焼成する工程は、更に耐炎化工程と炭素化工程とからなるが、特に耐炎化工程は、最も律速となっている。
PAN系炭素繊維用前駆体繊維としては、アクリロニトリルと、アクリロニトリルと共重合可能なオレフィン構造を有するコモノマーとの共重合体を用いることが一般的である。コモノマーとして不飽和カルボン酸を用いる場合には、耐炎化反応の進行を促進でき、更にコモノマー比を調整することにより耐炎化反応を制御できることが知られている。不飽和カルボン酸の中でも、イタコン酸は、ジカルボン酸基を有しているため、モノカルボン酸に比較して耐炎化反応をより促進させる作用を有している。
しかしながら、イタコン酸をコモノマーとして使用した場合には、分子鎖に存在するイタコン酸ユニットが環化しやすく、前駆体繊維のもつ分子の配向性を低下させ、ひいては得られる炭素繊維の性能を低下させることが明らかとなっている。
PAN系炭素繊維用前駆体繊維は、炭素繊維用前駆体繊維を製造する工程と、前駆体繊維を焼成して炭素繊維を製造する工程との間に、繊維内部の分子の配向緩和が生じやすい。この分子配向が緩和した繊維を焼成した場合、炭素繊維の強度が低下するという問題点がある。
分子の配向緩和が起こらない様にして高強度炭素繊維を得るための製造方法としては、PANを主成分とする共重合体を紡糸、延伸した後、120〜170℃の熱風中あるいはホットローラー上で熱処理して炭素繊維用前駆体繊維を得、得られた前駆体繊維を炭素化することによって炭素繊維を製造する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、乾熱ローラー等を使用して熱処理することにより、炭素繊維用前駆体繊維の配向緩和を抑制する事を可能としている。しかし、乾熱条件での熱処理により、繊維内の分子の自由度が制限されるため、後工程における200〜300℃での耐炎化処理で、PANの分子内環化及び酸化反応や、環化反応後に生ずる分子の高次構造に影響を与える。その結果、高温で焼成して得られる炭素繊維の強度低下を招き、好ましくない面もある。
また、乾熱ローラーを使用する方法は、ローラーとの接触で糸切れが生じ、毛羽が発生して炭素繊維の品位が低下したり、熱処理の工程が追加されることにより、工程が煩雑化するという問題点がある。
分子の配向緩和がおこらないようにして高強度の炭素繊維を得る他の方法としては、湿熱延伸後、乾熱非接触状態で6〜10倍延伸する方法がある(特許文献2参照)。しかし、乾熱非接触状態で延伸するには、乾熱ローラーと比較してスペースを多く使用することになり、また、工程が煩雑化するという問題点がある。
特公昭62−24526号公報(特許請求の範囲) 特開平11−81053号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的とするところは、アクリロニトリルのコモノマーとしてイタコン酸を使用する共重合体を原料とするPAN系炭素繊維の製造方法であって、耐炎化工程でのイタコン酸ユニットの環化を抑制し、分子の配向を維持したまま焼成することにより、高伸度の炭素繊維を得ることができる炭素繊維の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記問題を解決するために種々検討しているうちに、イタコン酸ユニットの環化は、乾燥雰囲気下、自由に自己収縮できる状態で前駆体繊維の熱処理を施した場合に生じやすいことを知得した。従来行われている乾熱ローラーや乾熱非接触状態による前駆体繊維の熱処理を行わずに、水分を含んだ状態の前駆体繊維をそのまま2つ以上の室を有する耐炎化炉に投入し、繊維を緊張させながら空気中酸素存在下で熱処理することにより、分子鎖中のイタコン酸ユニットのユニット内環化を伴わずに、前駆体繊維の酸化(耐炎化)反応を行うことができることを見出した。更に、湿熱延伸により高い分子配向性を形成した前駆体繊維を所定の条件で耐炎化処理、炭素化処理した場合には、高伸度の炭素繊維を製造することが可能であることを知得し本発明を完成するに到った。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
〔1〕 アクリロニトリルを94質量%以上、イタコン酸を0.5〜1.5質量%重合してなる共重合体を湿式又は乾湿式紡糸法で紡糸し、得られた糸に前駆体繊維用油剤を付与した後、70〜150℃の乾燥機で乾燥緻密化し、次いで温度100〜130℃、延伸比3.0〜5.0倍の条件で湿熱延伸処理し、イオン伝導率が1μS/cm以下の水を付与して水分率が25〜50質量%に調整された単繊維繊度1.22〜1.33dtexの前駆体繊維を得る工程と、
前駆体繊維の水分率を25〜50質量%の範囲内に保ったまま、前駆体繊維を2室以上に分かれた耐炎化炉に投入し、1室目では温度250〜260℃、延伸比1.01〜1.10倍、2室目以降では1室目の温度以上280℃未満の温度、延伸比0.95〜1.00倍の条件で、耐炎化炉でのトータル延伸比が1.01〜1.08倍となるように耐炎化処理して耐炎化繊維を得る工程と、
不活性雰囲気中、耐炎化繊維を温度300〜800℃の条件で予備炭素化処理した後、更に不活性雰囲気中、温度300〜1420℃で炭素化処理する工程と、
を有する炭素繊維の製造方法。
〔2〕 前駆体繊維のアルキメデス法により測定した比重が1.12〜1.18である〔1〕に記載の炭素繊維の製造方法。
〔3〕 耐炎化炉の1室目出口側で得られる繊維の分子配向度の減少率が、2%未満である〔1〕に記載の炭素繊維の製造方法。
〔4〕 単繊維径が6〜8μm、破断伸度が2.3%以上、破断強度が560kgf/mm以上である〔1〕に記載の製造方法により製造した炭素繊維。
本発明によれば、所定の水分率に調整した前駆体繊維を所定の条件で耐炎化処理、炭素化処理することにより、イタコン酸ユニットの環化が抑制され、分子の配向性を維持した高伸度、高強度のPAN系炭素繊維を容易に得ることができる。
本発明の炭素繊維の製造方法を、以下詳細に説明する。
〔前駆体繊維製造工程〕
本発明のPAN系炭素繊維の原料とする前駆体繊維には、アクリロニトリルと、イタコン酸とを重合してなる共重合体を使用する。
共重合体中のアクリロニトリル由来のモノマー単位の含有量は94質量%以上とするが、95質量%以上が好ましく、96質量%以上がより好ましい。
アクリロニトリルのコモノマーとしてイタコン酸を用いることにより、後述する耐炎化工程で耐炎化反応を促進させ、低コスト化を進めることが可能となる。共重合体中のイタコン酸由来のモノマー単位の含有量は、0.5〜1.5質量%とするが、0.8〜1.4質量%がより好ましい。
前駆体繊維の原料に使用する共重合体には、アクリロニトリルとイタコン酸の他、これらと共重合可能なオレフィン構造を有する他のコモノマーが共重合していてもよい。
他のコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸及びそれらのアンモニウム塩及びアルキルエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド及びそれらの誘導体等を挙げることができる。前駆体繊維として使用する共重合体には、これらのコモノマーの2種類以上が共重合していてもよい。
なお、高強度の炭素繊維を得る為には、前駆体繊維の分子配向性を高くする必要性がある。そのため、前駆体繊維製造工程で、高延伸しやすくする為に、前駆体繊維中の分子自由度を高くする目的で、前駆体繊維の原料として使用する共重合体には不飽和カルボン酸エステルを共重合することが好ましい。
不飽和カルボン酸エステルの例としては、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルがある。好ましいアルキル基の長さは、炭素数が1〜4であり、特に好ましいアルキル基の長さは、炭素数が1〜2である。
不飽和カルボン酸エステル由来のモノマー単位の共重合体中の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、2〜4質量%がより好ましい。
上記共重合体の重合方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等を用いることができるが、そのまま紡糸できることにより溶液重合が最も好ましい。
紡糸する際の液(紡糸原液)は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の有機溶媒や、硝酸、塩化亜鉛水溶液、ロダン塩水溶液等の無機溶媒を溶媒として用い、上記モノマーとコモノマーとを重合させたポリマー溶液を、紡糸原液とすることが好ましい。その中でも、高分子量ポリマーを溶解させるのに優位性がある塩化亜鉛水溶液を溶媒に用いるのがより好ましい。
上記ポリマー溶液から、紡糸、乾燥、湿熱延伸を行うことにより炭素繊維用前駆体繊維を作製することができる。
紡糸は、低温に冷却した凝固液(紡糸する際の溶媒−水混合液:例えば塩化亜鉛水溶液)を入れた凝固浴中に直接紡出する湿式紡糸が好ましい。また、空気中にまず吐出させた後、3〜5mm程度の空間を有して凝固浴に投入し凝固させる乾湿式紡糸法でもよい。
紡出糸は、濃度勾配をかけた凝固浴で徐々に凝固させ、同時に溶媒を除去しながら、水洗して直接浴中延伸する。浴中延伸では、数種の水洗〜熱水浴中で、延伸比2〜6倍に紡出糸を延伸していく。
浴中延伸の条件については、上記凝固浴温度と、水洗温度又は熱水浴温度との温度勾配は最大で98℃にするのが好ましい。ここで、高強度の炭素繊維を得る為には、より高温側の熱水浴中で延伸することが特に好ましい。
その後、乾燥に先立って、耐熱性向上や紡糸安定性を目的として、延伸した紡出糸に前駆体繊維用油剤の付与を行う。
前駆体繊維用油剤としては、炭素繊維製造の際に前駆体繊維に使用される公知の油剤が使用できる。高強度の炭素繊維を品位よく得る観点から、親水基を持つ浸透性油剤とシリコーン系油剤とを組み合わせた前駆体繊維用油剤を付与することが好ましい。
浸透性油剤は、官能基として、スルフィン酸、スルホン酸、燐酸、カルボン酸やそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はその誘導体を有するものが好ましい。これらの浸透性油剤のうちでも、炭素繊維の高強度化の妨げにならず、高熱の環境下でも耐熱酸化性に優れた燐酸のアンモニウム塩又はその誘導体を用いることが特に好ましい。
シリコーン系油剤は、未変性あるいは変性されたもののいずれでもよいが、エポキシ変性シリコーン、エチレンオキサイド変性シリコーン、ポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アミノ変性ポリシロキサン系油剤が好ましく、アミノ変性ポリシロキサン系油剤が特に好ましい。
前駆体繊維用油剤の付与方法には、公知の方法を使用することができるが、前駆体繊維用油剤を分散させたエマルジョン水溶液に繊維を浸漬することにより行うことが好ましい。
前駆体繊維用油剤の付着量は、0.01〜0.25質量%とすることが好ましく、0.03〜0.13質量%とすることがより好ましい。
乾燥は、温度勾配をかけた幾層にも連なる部屋を有する熱風乾燥機で空気乾燥することが好ましい。熱風乾燥機で空気乾燥を行うことにより糸は乾燥され、緻密化する。乾燥温度については、より緻密性が向上するように、70〜150℃の範囲内で適宜調節して行うことが好ましく、80〜140℃で行うことが更に好ましい。乾燥時間については、1〜10分間が好ましい。
乾燥に引き続き、高温での湿熱延伸を行うことにより、得られる炭素繊維用前駆体繊維の繊度や分子配向を整えることができる。特に加圧スチーム中での湿熱延伸は有効である。
湿熱延伸を行う際の温度は100〜130℃とすることが好ましい。また、湿熱延伸の延伸比は、3.0〜5.0倍とすることが好ましい。
この熱延伸の条件は、炭素繊維用前駆体繊維の緻密性に大きな影響を与える。高強度の炭素繊維を得る為には、緻密性の高い炭素繊維用前駆体繊維を作製することが好ましい。
なお、前駆体繊維の緻密性は、後述する実施例に記載のアルキメデス法による見かけ比重の測定、L値の測定等を行うことにより評価することができる。
L値の測定では、標準白板に対する試料の明度をハンター色差計によって測定し、基準炭素繊維用前駆体繊維に対する試料の明度を算出する。この値は、繊維中のボイドが多い場合に高い値を示し、緻密性が高くなると基準炭素繊維用前駆体繊維の値に近くなる。
前駆体繊維の好ましいL値は20以下、より好ましい値は18以下、更に好ましい値は16以下である。L値がこの範囲内になるように、上述した乾燥及び熱延伸条件を適宜設定することが好ましい。
アルキメデス法による比重の測定においては、水、又は親水性溶媒を溶媒として使用する。
前駆体繊維の比重は、PANの比重1.18より低くなるが、好ましい値は1.12〜1.18、より好ましい値は1.14〜1.17、更に好ましい値は1.15〜1.17である。比重がこの範囲内になるように、L値と同様乾燥及び熱延伸条件を適宜設定することが望ましい。
本発明においては、炭素繊維用前駆体繊維の単繊維繊度は、強度向上の観点から、耐炎化工程での酸化斑(むら)が生じ難いように、1.22〜1.33dtex、好ましくは1.28〜1.33dtexとする。
得られた炭素繊維用前駆体繊維は、繊維内部の熱収縮応力が大きいため分子配向の緩和が生じやすい状態にある。そこで、分子配向の緩和が生じ難いように、前駆体繊維に水分を付与し、その水分率を、25〜50質量%、好ましくは35〜45質量%に保つ必要がある。炭素繊維用前駆体繊維の水分率が低くなりすぎると、分子配向性の低下に加えて、繊維の集束性が低下するため取扱性が悪くなる。水分率が高すぎると水の表面張力により、耐炎化工程中のローラーに巻き付きやすくなりトラブルの原因になる。
前駆体繊維の水分率の調整に使用する水は、金属イオン含有量が少ないものがよい。金属イオン含有量が多いと耐炎化工程で擬似膠着が発生し収束性が高くなり、工程での糸の通過性が良くなるが、一方、擬似膠着が発生する事により炭素繊維の強度が低下する傾向がある。金属イオン含有量については、イオン伝導率で示すことができ、使用する水のイオン伝導率は1.0μS/cm以下である。
上記のようにして作製され、適宜調節された水分率を有する炭素繊維用前駆体繊維は、密閉容器中に一時保存することが可能である。
本発明で使用する炭素繊維用前駆体繊維は、乾熱ローラー等の熱処理を施しておらず、湿熱延伸後の糸を用いている。そのため、水分率が低下した状態で保存すると、繊維の配向緩和が生じ、炭素繊維の強度低下を招く。保存時においても水分率を保持することにより配向緩和や空気による酸化、空気中の異物の付加等が防止でき、高強度、高伸度の炭素繊維を製造することができる。
〔耐炎化工程〕
次いで、上記工程で製造した炭素繊維用前駆体繊維を、耐炎化工程で耐炎化処理する。この耐炎化処理は、加熱空気中2室以上に分かれた炉で、多段ローラー群を介して、1室目では温度250〜260℃、延伸比1.01〜1.10倍の条件で、2室目以降では1室目の温度以上280℃未満、延伸比0.95〜1.00倍の条件で、耐炎化工程でのトータル延伸比が1.01〜1.08倍となるように行う。
耐炎化工程で使用する耐炎化炉は、2つ以上の室を持つものを使用する。耐炎化炉には所定の水分率を有する前駆体繊維が投入されるので、イタコン酸ユニットの環化を防ぐため1室目を分離し、2室目以降とは異なる条件で耐炎化処理を行う。一室目は、温度を250〜260℃の範囲内とし、2本以上のローラーを有する構造とすることが望ましい。
耐炎化炉の2室目以降では、耐炎化反応を促進させる為、その温度を1室目の温度以上280℃未満に設定する。耐炎化反応については一般的に時間がかかる為、2室以降については、温度に勾配を持った室を設けると更に好ましい。耐炎化炉の全室数は、2室以上6室以下がよい。
耐炎化炉におけるローラーの本数に関しては、繊維の配向性を保持する目的で、ある程度本数が多いことが好ましい。但し、あまり本数が多いと、繊維がローラーと接触する機会が多くなり、摩擦による毛羽や巻付きトラブル等が発生しやすくなる。そのため、耐炎化炉の好ましいローラーの本数は、8〜30本程度である。
耐炎化工程でのトータル延伸比は1.01〜1.08倍とするが、1室目の延伸比は1.01〜1.10倍とする必要がある。1室目の延伸比を高くすることにより、耐炎化初期のイタコン酸ユニットの環化やその他の物理的な熱収縮による配向緩和による分子配向性の低下を極力防ぐことができる。1室目の出口側での繊維の分子配向度の減少率が2%未満となるように延伸比を上記範囲内で調節することが好ましい。
2室目以降の延伸比は、0.95〜1.00倍とほぼ定長か若干倍率を低く設定する。通常耐炎化が進むにつれて繊維が脆弱化するため、2室目以降の延伸比が高すぎると、単糸切れによる毛羽が発生し、後に得られる炭素繊維の品位を著しく低下させる。一方、0.95〜1.00倍の倍率を保持していれば、この工程での分子配向の低下を抑制できる。
なお、耐炎化工程で各ローラー間の糸把持(テンション)が高くなりすぎると工程糸をキズ付けてしまい、後の炭素繊維の強度低下や品位の低下を招く傾向がある。耐炎化工程でのテンションは、炭素繊維の単糸1本当たり0.290g以下とすることが好ましい。
耐炎化工程では、前駆体繊維の成分であるPANの分子内環化及び酸化反応、及び糸の物理的な収縮が生ずる。この耐炎化工程の初期の段階(1室目)では、上記延伸比の緊張下で行うことにより、分子の配向緩和を抑制することができる。
また、PANの分子内環化における分子の再配列化についても、緊張下で行うことにより、再配列化の際の配向性を、高く保持しながら耐炎化を行うことが可能となる。このように、分子の高次構造を制御することにより、炭素化炉における高温焼成で得られる炭素繊維のグラファイト構造の乱れを制御することが可能となり、高強度の炭素繊維を得ることが可能となる。
耐炎化工程においては、多段ローラー群のローラー速度を徐々に低速にし、弛緩条件で耐炎化することが一般的である。
これに対し、本発明の製造方法においては、繊維を緊張下で、繊維内部の分子配向性を保持させながら耐炎化反応を進める目的で、耐炎化工程初期にローラー速度を徐々に上げ、その後、中間、出側部では、ほぼ等速に、糸の張力を緊張下に調整、即ち耐炎化処理時の延伸比を調整する。
なお、繊維の耐炎化の度合いは、耐炎化処理をした糸(耐炎化繊維)の比重を測定することにより評価できる。比重の測定は、炭素繊維用前駆体繊維と同様にアルキメデス法を用いることが可能である。
耐炎化繊維の比重の好ましい値は1.30〜1.42、より好ましい値は1.34〜1.40、更に好ましい値は1.35〜1.39である。
〔炭素化工程〕
上記耐炎化繊維は、窒素等の不活性雰囲気下、3室以上に分けた焼成炉(第一炭素化炉)で徐々に温度勾配をかけて300〜800℃まで昇温し、耐炎化繊維の張力を制御して緊張下で1段目の炭素化(予備炭素化)をする。
この予備炭素化の度合いは、予備炭素化処理後の繊維の比重をアルキメデス法等の方法を用いて測定することにより評価できる。
予備炭素化処理後の繊維の比重の好ましい値は1.50〜1.60、より好ましい値は1.52〜1.57である。
予備炭素化を行った後、より繊維の炭素化を進め且つグラファイト化(炭素の高結晶化)を進める為に、窒素等の不活性ガス雰囲気下で更に焼成を行う。焼成は、2室以上に分けた焼成炉(第二炭素化炉)で徐々に温度勾配をかけて昇温し、糸(予備炭素化繊維)の張力を制御して弛緩条件で行う。弛緩条件は、好ましくは延伸比が0.9〜1.0倍の範囲である。
第二炭素化炉での焼成温度は、300〜1420℃とするが、好ましくは300〜1400℃である。
第一及び第二炭素化炉での昇温の温度勾配は、好ましくは500℃/分以上、より好ましくは600〜1200℃/分、更に好ましくは800〜1100℃/分である。昇温の温度勾配が500℃/分未満では炉長が長くなるため、生産性が低下し、製造コストが高くなる傾向がある。また、炉内の高温部での滞留時間が長くなるので、グラファイト化が進み過ぎ、炭素繊維が脆性化する傾向がある。
〔表面処理工程〕
得られた炭素繊維は、用途に応じ、酸若しくはアルカリ水溶液を用いた電解層中で電解酸化処理して表面処理することが好ましい。特に、炭素繊維を樹脂と複合化させて材料として使用する場合は、炭素繊維とマトリックス樹脂との親和性や接着性を向上させる目的で電解酸化処理を行うことが望ましい。
電解処理の電解液としては、酸性若しくはアルカリ性のものが使用できる。酸性のものとして、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、それらのアンモニウム塩、硫酸水素アンモニウム等がある。
これらの電解液のうちでも、好ましくは、弱酸性を示す硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム等のアンモニウム塩がよい。
電解酸化する際の電気量は、炭素繊維外層部のグラファイト化の度合いに伴い調整する必要がある。樹脂との複合化を行う場合、炭素繊維1g当り6c以上が好ましい。なお、電気量が多すぎると炭素繊維表面の小規模欠陥を取り除く以上に表面が酸化され、欠陥を新たに生じさせる場合があり、多くとも30c程度までとすることが好ましい。
また、電解酸化による表面処理を施した後は、電解液やその副生成物等が炭素繊維に付着しているので、よく水洗し、乾燥する必要がある。
さらに、炭素繊維の後加工をしやすくし、取扱性を向上させる目的で、炭素繊維のサイジング処理を行う。サイジング処理は、用途に即して適宜組成を変更した公知のサイジング剤を公知の方法により繊維に均一に付与後、乾燥することにより行う。サイジング剤の付着量は、好ましくは0.1〜2.0質量%である。
本発明の製造方法で得られる炭素繊維及びその製造過程で得られる工程糸の化学的な構造は、FT−IR、固体NMR等で評価することができる。特に、FT−IRでの評価方法は簡便で測定しやすい。
炭素繊維前駆体繊維の耐炎化が進むに従い、繊維の色は白から、黄、褐色、茶色、黒色へと徐々に変化していく。黒色化した耐炎化繊維を、FT−IRの一般的な測定方法である反射法を用いて測定を行うと、光の吸収により測定強度が著しく低くなって測定することが困難である。従って、耐炎化繊維、炭素繊維のFT−IRの測定は、反射法ではなく、後述する実施例に記載のKBr粉末を使用する方法(透過法)によって行う。
耐炎化繊維の耐炎化反応の進み具合については、分子鎖中のアクリロニトリルユニットに由来するニトリル基と、アクリロニトリルユニットが環化することによって形成されるアミド基の透過率による強度比によって求めることができる。
また、分子鎖中のイタコン酸ユニット内環化の有無についても、FT−IRで測定することが可能である。
一方、一連の炭素繊維前駆体繊維から炭素繊維に至るまでの結晶−非晶構造の解析は、X線回折測定で行うことが一般的である。X線回折により、炭素繊維前駆体繊維内の共重合分子の配向性を判断することができる。
焼成が進むに従い、繊維内にはグラファイトが成長するが、グラファイト構造の結晶子サイズ及びその配向性についてもX線回折により解析することができる。
炭素繊維内のグラファイトの配向度は、次のようにして求めることができる。
炭素繊維ストランドの単繊維数を約24000本(例えば単繊維12000本の炭素繊維束を2束)とし、アセトンを用いて収束させながら繊維軸方向に繊維を引揃える。直径1cmの穴をあけた台紙に、穴の部分が繊維の中央に来るように、繊維を引揃えた長さ3cmの炭素繊維ストランドを貼付ける。繊維軸と治具の軸が平行になるように、台紙に貼った炭素繊維ストランドを試料調整用治具に、緊張させた状態で固定する。
更に、この治具を透過法による広角X線回折測定試料台に固定する。X線源として、CuのKα線を使用し、試料に照射すると、2θが17度付近に回折パターンが現れる。このピーク角度に対して360度の範囲について配向度測定を行う。得られたX線回折チャートのグラフ上にベースラインを引き、ピークの半値幅H1/2、H'1/2(度)を求め、下式
配向度={360−(H1/2+H'1/2)}/360
によって配向度を計算する。
炭素繊維は、グラファイト面が成長した結晶部とアモルファスな非晶部が混在した内部構造を有している。高強度の炭素繊維を得るためには、結晶部の配向性を高めることに加え、非晶部においてもグラファイト構造が未発達ながら存在するので、非晶部のグラファイトを繊維軸方向へ引揃えることが重要となる。これらの炭素繊維内部の高次構造を制御することによって、より高強度、高伸度な炭素繊維を製造することが可能となることが考えられる。
繊維内部の分子構造の並びにおいて、結晶部はX線回折パターンに現れるのに対し、非晶部はX線回折パターンに現れないため、X線回折パターンによる結晶子サイズLcや配向度での数値の差としては、はっきりとは現れない。
しかし、焼成途中の、特に、炭素繊維前駆体繊維から耐炎化繊維の構造変化については、X線回折測定を実施すると、2θで、17度及び26度付近に2つのピークが得られ、一部に炭素繊維前駆体繊維の構造が残り、炭素繊維製造過程の繊維内部の構造変化を判断することができる。
本発明の製造方法で得られる炭素繊維は、繊維内部における非晶部も含めた全体としての分子構造の並びが優れているために、高伸度の炭素繊維となっているものと考えられる。
高配向かつ緻密な炭素繊維用前駆体繊維を製造し、かかる前駆体繊維を焼成することによって、各温度領域で耐炎化、炭素化が進行すると同時に、グラファイト面及び層の成長が進み、高伸度の炭素繊維を製造することができる。
前述したように従来既存の技術、即ち前駆体繊維を湿熱延伸後、乾熱ローラー等を使用して熱処理することにより、又は乾熱非接触状態で6〜10倍延伸する熱処理をすることにより、高配向かつ緻密な炭素繊維用前駆体繊維を製造することも可能である。
しかし、乾熱ローラー等を使用し、熱処理した繊維は、熱処理していない繊維と比較して、繊維内部の熱収縮応力が小さく、耐炎化処理において、初期の物理的な収縮が緩和されるので(縮まないので)、分子の高次構造を保持するために、糸(前駆体繊維)の張力を高く保とうとすると、過剰な延伸が必要となる。
過剰な延伸を行うと、延伸度合いの制御が難しくなって延伸度合いにバラツキが生じ、部分的により過剰な延伸が掛かる。このため、単糸切れによる毛羽立ちが多くなり、得られる炭素繊維の強度低下や品位の悪化が生じやすい。
乾熱非接触状態で延伸する場合は、乾熱ローラーと比較してスペースを多く使用することになり、また、工程が煩雑化するという問題点がある。
更に、従来の方法で熱処理した前駆体繊維は、耐炎化初期にイタコン酸ユニットが無水化により環化するため分子の配列にゆがみが生じ、前駆体繊維が耐炎化していく段階で繊維を構成する分子の配向性が低下する。イタコン酸の環構造は比較的安定であるため、分子内の耐炎化反応を一時的に抑制してしまい、目的の耐炎化構造に至るまでに時間がかかってしまうことも考えられる。耐炎化反応が初期の段階で抑制されることにより、その後のイタコン酸無水物ユニットで脱炭酸反応が起こるまで耐炎化反応が進みにくいことも考えられる。
従来の方法で熱処理した前駆体繊維を耐炎化処理した場合の繊維の化学構造を(I)に、本発明の方法で前駆体繊維を耐炎化処理した場合の繊維の化学構造を(II)に示す。
Figure 2008163537
従来既存の技術に対し、本発明の炭素繊維の製造方法では、前駆体繊維製造工程における湿熱延伸後の熱処理を行わずに、所定の水分率に調整した炭素繊維前駆体繊維をそのまま2つ以上の室を有する耐炎化炉に投入し、緊張させながら空気中酸素存在下で焼成を行う。この方法により、分子鎖中のイタコン酸ユニットのユニット内環化を伴わずに、PANの酸化反応に伴う分子内環化及び生成した環への酸化反応を行うことが可能である。更に、湿熱延伸によって得られた炭素繊維前駆体繊維の内部の分子配向性を保持させながら耐炎化し、その耐炎化繊維を炭素化することにより高伸度の炭素繊維を製造する事ができる。
なお、耐炎化工程において炭素繊維用前駆体繊維の分子配向性を高く維持しながら、分子内環化反応を行うことは、配向している分子の立体的な規則性により、分子間の絡みが緩和され、アクリロニトリルユニットの環化反応が進みやすくなるという利点を有している。
本発明においては、耐炎化工程での分子の配向を維持することにより、その後の炭素化炉での高温焼成により得られる炭素繊維のグラファイト構造の乱れを抑制し、高強度、高伸度の炭素繊維を得ることが可能となる。
本発明の製造方法によれば、製造条件を上記範囲内で適宜選択することにより、炭素繊維の破断強度を560kgf/mm(5.5GPa)以上、より好ましくは570kgf/mm(5.6GPa)以上、更に好ましくは580kgf/mm(5.7GPa)以上とすることができる。
釣竿、ゴルフシャフトなどのエネルギー吸収部材、圧力容器や航空宇宙分野の用途では、伸度の高い炭素繊維が要望されている。
本発明の製造方法により製造した炭素繊維は、高強度且つ伸度が高く、これらの用途への適用が可能である。
これらの用途に使用する場合、炭素繊維の伸度は、破断伸度で2.2%以上であることが好ましく、2.3%以上が更に好ましい。
なお、これらの用途に使用する場合、複合材料に配合する炭素繊維の単繊維径は、特に限定されるものではないが、上述した製造条件から得られる単繊維径は通常6〜8μmである。
以下の実施例及び比較例の条件により前駆体繊維、耐炎化繊維及び炭素繊維を作製し、得られた前駆体繊維、耐炎化繊維及び炭素繊維の諸物性値を、下記の方法により測定した。
〔L値の測定〕
前駆体繊維を約5cmに切断した後、ハンドカードにて綿状に開繊した。開繊した繊維を2g採取し、油圧プレス機でプレスした後、アニソール中に浸漬して脱泡したものを試料とした。ハンター色差計にかけて、標準白板に対する試料の明度を測定して測定値とした。基準炭素繊維用前駆体繊維の基準値に対する明度(L値)を下記式により算出した。
L値=測定値−基準値
〔アルキメデス法による比重の測定〕
前駆体繊維を約2g採取し、直径3cm以内のリング状にまとめ、形状が崩れないようにした。次に、上記リング状に形成したサンプルを溶媒(アセトン)中に浸漬し、減圧下で脱泡した。常温下で、溶媒中のサンプルの質量を測定した後、サンプルを加熱乾燥して乾燥質量を求め、前駆体繊維の見かけ比重を算出した。
〔引張り(破断)強度〕
炭素繊維束(炭素繊維ストランド)に、エピコート828/無水メチルハイミック酸/ベンジルジメチルアミン/アセトン=100/90/1/50質量部の割合で混合した樹脂含有液を含浸させた。得られた樹脂含浸ストランドをプリキュア後、150℃で2時間加熱、更に170℃で30分間加熱して硬化させた。JIS−R−7601に規定する樹脂含浸ストランド試験法に準拠して炭素繊維の引張り(破断)強度を測定した。
〔破断伸度〕
炭素繊維の破断伸度は、上述した方法により測定した樹脂含浸ストランドの破断強度を弾性率で割ることにより算出した。なお、樹脂含浸ストランドの弾性率はJIS−R−7601に従って測定した。
〔配向度〕
前駆体繊維の配向度は、X線回折により測定した。前駆体繊維については、2θが17度付近にピークが現れ、その反射のデバイ環上を360度走査し、次いで得られたX線回折チャートのグラフ上にベースラインを引き、ピークの半値幅H1/2、H'1/2(度)を求めた。下式
配向度={360−(H1/2+H'1/2)}/360
によって配向度を計算した。
〔FT−IRの測定〕
はさみもしくはカッター等で、測定する繊維を長さ約0.5mm以下に裁断した。裁断した繊維の質量に対して約5倍の質量のKBrを、乳鉢を使用してすりつぶし、裁断した繊維と混ぜ、すりつぶしたKBr粉末の中に、乳棒を用いて裁断した繊維を分散させた。繊維が均一に分散したKBr粉末を、IR用の錠剤成型機を用いてペレット化し、FT−IRで400〜4000cm−1の範囲のスペクトルを測定した。
FT−IRで測定したチャート(400〜4000cm−1範囲)から、1150cm−1付近のニトリル基の伸縮振動の強度ICNと、1680cm−1付近のアミド基のカルボニル基(C=O)の伸縮振動の強度ICONH2の強度比AIを下記式により算出し、耐炎化繊維の耐炎化反応の進み具合を判断した。
AI=ICONH2/(ICONH2+ICN
更に、耐炎化繊維の分子鎖中のイタコン酸ユニットの内環化を、1780及び1850cm−1付近に現れる酸無水物のカルボニル基(C=O)の伸縮振動の有無により判断した。
実施例1
塩化亜鉛水溶液を溶媒とする溶液重合法により、アクリロニトリル95質量%、アクリル酸メチル4質量%、イタコン酸1質量%とからなる重合度が1.61、ポリマー濃度8質量%、粘度7Pa・s〔70ポアズ(45℃)〕のポリマー原液を得た。
このポリマー原液を、12000フィラメント用の口金を通して、5℃の25質量%塩化亜鉛水溶液中に吐出して凝固させ、凝固糸を得た。
この凝固糸を水洗し、90℃で熱延伸した後、燐酸アンモニウム誘導体とアミノ変性シリコーン系油剤を質量比で1:1に混合した前駆体繊維用油剤を分散させたエマルジョンに浸漬し、前駆体繊維用油剤を0.1質量%付着させた。その後、熱風乾燥機を用いて80〜140℃で乾燥した。
更に、加圧スチーム中100〜120℃で延伸比3.8倍まで湿熱延伸し、単繊維繊度が1.31dtex、水分率(水分の調整に使用した水のイオン伝導率は、0.6μS/cm)が40質量%の炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.165、L値は15、X線回折測定による配向度は88.4%であった。
得られた炭素繊維用前駆体繊維を、空気中、1室目入口側250℃から3室目出口側270℃まで温度勾配を持った耐炎化炉で(但し、1室目の温度は260℃以下)耐炎化させた。延伸比は、1室目で1.05倍、2室目、3室目で定長下とした。耐炎化糸の比重は1.37であった。
この耐炎化糸を、不活性雰囲気中300〜700℃の温度分布を持った第一炭素化炉において炭素化させ、更に、不活性雰囲気中で最高温度が1350℃になるように設定(雰囲気中の温度分布:300〜1350℃)した第二炭素化炉で炭素化させた。
即ち、第一炭素化炉において炭素化させた耐炎化糸を、第二炭素化炉内において、0.95倍に延伸させながら、最高温度域の温度が1350℃になるよう、第二炭素化炉内の昇温速度を900℃/分に設定して炭素化した。
次に、10質量%硫酸アンモニウム水溶液を電解液として、炭素繊維1g当り15cの電解酸化処理をした後、水洗、更にサイジング処理してサイジング剤−水エマルジョン溶液を3質量%付着させ、これを150℃で乾燥した。サイジング剤の付着量は1質量%であった。
実施例2
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中、1室目入口側250℃から3室目出口側270℃まで温度勾配を持った耐炎化炉で(但し、1室目の温度は260℃以下)耐炎化させた。延伸比は、1室目で1.01倍、2室目、3室目で定長下とした。耐炎化糸の比重は1.37であった。
以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
実施例3
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中、1室目入口側250℃から3室目出口側270℃まで温度勾配を持った耐炎化炉で(但し、1室目の温度は260℃以下)耐炎化させた。延伸比は、1室目で1.03倍、2室目、3室目で定長下とした。耐炎化糸の比重は1.37であった。
以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
実施例4
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中、1室目入口側250℃から3室目出口側270℃まで温度勾配を持った耐炎化炉で(但し、1室目の温度は260℃以下)耐炎化させた。延伸比は、1室目で1.08倍、2室目、3室目で定長下とした。耐炎化糸の比重は1.37であった。
以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
実施例5
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中、1室目入口側250℃から3室目出口側270℃まで温度勾配を持った耐炎化炉で(但し、1室目の温度は260℃以下)耐炎化させた。延伸比は、1室目で1.05倍、2室目、3室目で0.97倍とした。耐炎化糸の比重は1.37であった。
以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
実施例6
前駆体繊維の水分率(水分の調整に使用した水のイオン伝導率は、0.6μS/cm)を35質量%とした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.165、L値は15、X線回折測定による配向度は、88.4%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の、耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
実施例7
前駆体繊維の水分率(水分の調整に使用した水のイオン伝導率は、0.6μS/cm)を45質量%とした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.165、L値は15、X線回折測定による配向度は、88.4%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の、耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
実施例8
前駆体繊維の水分率の調整に使用した水のイオン伝導率を1.0μS/cmとした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.165、L値は15、X線回折測定による配向度は、88.4%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の、耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
実施例9
湿熱延伸を加圧スチーム中100〜120℃で延伸比3.9倍まで行い、単繊維繊度1.28dtex、水分率(水分の調整に使用した水のイオン伝導率は、0.6μS/cm)40質量%とした以外は実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.168、L値は15、X線回折測定による配向度は89.0%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
実施例10
湿熱延伸を加圧スチーム中100〜120℃で延伸比3.7倍まで行い、単繊維繊度1.33dtex、水分率(水分の調整に使用した水のイオン伝導率は、0.6μS/cm)40質量%とした以外は実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.163、L値は16、X線回折測定による配向度は88.0%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
実施例11
第二炭素化炉の最高温度領域を1300℃に変更(雰囲気中の温度分布:300〜1300℃)した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
実施例12
第二炭素化炉の最高温度領域を1400℃に変更(雰囲気中の温度分布:300〜1400℃)した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
比較例1
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中、1室目入口側250℃から3室目出口側270℃まで温度勾配を持った耐炎化炉で(但し、1室目の温度は260℃以下)耐炎化させた。延伸比は、1室目で0.99倍、2室目、3室目で定長下とした。耐炎化糸の比重は1.38であった。
以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
比較例2
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中、1室目入口側250℃から3室目出口側270℃まで温度勾配を持った耐炎化炉で(但し、1室目の温度は260℃以下)耐炎化させた。延伸比は、1室目で1.09倍、2室目、3室目で定長下とした。耐炎化糸の比重は1.36であった。
以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
比較例3
実施例1で得た炭素繊維用前駆体繊維を、空気中、1室目入口側250℃から3室目出口側270℃まで温度勾配を持った耐炎化炉で(但し、1室目の温度は260℃以下)耐炎化させた。延伸比は、1室目で1.05倍、2室目、3室目で延伸比1.03倍とした。耐炎化糸の比重は1.36であった。
以下、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
比較例4
前駆体繊維の水分率の調整に使用した水のイオン伝導率を、1.1μS/cmとした以外は実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.165、L値は15、X線回折測定による配向度は、88.4%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
比較例5
前駆体繊維の水分率の調整に使用した水のイオン伝導率を、1.9μS/cmとした以外は実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.165、L値は15、X線回折測定による配向度は、88.4%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
比較例6
前駆体繊維の水分率(水分の調整に使用した水のイオン伝導率は、0.6μS/cm)を20質量%とした以外は実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.165、L値は15、X線回折測定による配向度は、88.4%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
比較例7
前駆体繊維の水分率(水分の調整に使用した水のイオン伝導率は、0.6μS/cm)を10質量%とした以外は実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.168、L値は16、X線回折測定による配向度は、88.0%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
比較例8
湿熱延伸を加圧スチーム中100〜120℃で延伸比4.5倍まで行い、単繊維繊度1.11dtex、水分率(水分の調整に使用した水のイオン伝導率は、0.6μS/cm)40質量%とした以外は実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.170、L値は14、X線回折測定による配向度は90.1%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
比較例9
湿熱延伸を加圧スチーム中100〜120℃で延伸比3.6倍まで行い、単繊維繊度1.36dtex、水分率(水分の調整に使用した水のイオン伝導率は、0.6μS/cm)40質量%とした以外は実施例1と同様にして炭素繊維用前駆体繊維を得た。繊維比重は、1.160、L値は17、X線回折測定による配向度は87.9%であった。
以下、得られた炭素繊維用前駆体繊維の耐炎化処理、炭素化処理、その後の電解酸化処理、更にサイジング処理については、実施例1と同様に行い、炭素繊維を得た。
比較例10
第二炭素化炉の最高温度領域を1450℃に変更(雰囲気中の温度分布:300〜1450℃)した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を作製した。
実施例1〜12、比較例1〜10における前駆体繊維、耐炎化糸、炭素繊維の製造条件及び物性を表1〜3に示す。
Figure 2008163537
Figure 2008163537
Figure 2008163537

Claims (4)

  1. アクリロニトリルを94質量%以上、イタコン酸を0.5〜1.5質量%重合してなる共重合体を湿式又は乾湿式紡糸法で紡糸し、得られた糸に前駆体繊維用油剤を付与した後、70〜150℃の乾燥機で乾燥緻密化し、次いで温度100〜130℃、延伸比3.0〜5.0倍の条件で湿熱延伸処理し、イオン伝導率が1μS/cm以下の水を付与して水分率が25〜50質量%に調整された単繊維繊度1.22〜1.33dtexの前駆体繊維を得る工程と、
    前駆体繊維の水分率を25〜50質量%の範囲内に保ったまま、前駆体繊維を2室以上に分かれた耐炎化炉に投入し、1室目では温度250〜260℃、延伸比1.01〜1.10倍、2室目以降では1室目の温度以上280℃未満の温度、延伸比0.95〜1.00倍の条件で、耐炎化炉でのトータル延伸比が1.01〜1.08倍となるように耐炎化処理して耐炎化繊維を得る工程と、
    不活性雰囲気中、耐炎化繊維を温度300〜800℃の条件で予備炭素化処理した後、更に不活性雰囲気中、温度300〜1420℃で炭素化処理する工程と、
    を有する炭素繊維の製造方法。
  2. 前駆体繊維のアルキメデス法により測定した比重が1.12〜1.18である請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。
  3. 耐炎化炉の1室目出口側で得られる繊維の分子配向度の減少率が2%未満である請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。
  4. 単繊維径が6〜8μm、破断伸度が2.3%以上、破断強度が560kgf/mm以上である請求項1に記載の製造方法により製造した炭素繊維。
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