JP2008308776A - ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法、炭素繊維の製造方法、および炭素繊維 - Google Patents

ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法、炭素繊維の製造方法、および炭素繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】
生産性およびプロセス性を損なうことなく、高い引張弾性率と圧縮強度を有する炭素繊維とその製造方法および、前記炭素繊維の製造に用いられる炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】
湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により紡糸口金から吐出させ紡糸する紡糸工程と、該紡糸工程で得られた繊維を水浴中で洗浄する水洗工程と、該水洗工程で得られた繊維を水浴中で延伸する水浴延伸工程と、該水浴延伸工程で得られた繊維を乾燥熱処理する乾燥熱処理工程と、該乾燥熱処理工程で得られた繊維をスチーム延伸するスチーム延伸工程からなるポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法において、紡糸原液が、極限粘度が2.0乃至10の範囲にあるポリアクリロニトリル系重合体を含み、かつ、該ポリアクリロニトリル系重合体の濃度が10以上18重量%未満であり、水浴延伸工程では、最高温度が60乃至80℃の水浴中で予備延伸した後、最高温度が80乃至98℃の水浴中で延伸する、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、引張強度および引張弾性率、圧縮強度に優れた炭素繊維、および、その製造方法に関する。さらに、本発明は、前記炭素繊維の製造に用いられる炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は各種繊維強化複合材料の強化繊維として、近年、益々その用途が各種方面に拡がり、重要性が高まっていることから、更なる高性能化が強く求められている。従来は引張特性に対する向上要求が中心であり、その要求に応えて炭素繊維の引張強度は大幅に向上してきた。しかし、圧縮強度や引張弾性率に関しては殆ど向上していないために、曲げ強度などの実用特性が頭打ちになるといった問題が顕在化してきた。特に、航空機の構造材など曲げ強度が要求される分野ではより要求が強く、炭素繊維の引張弾性率および圧縮強度向上は急務である。
最も広く利用されているポリアクリロニトリル系炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を200乃至300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化繊維へ転換する耐炎化工程、300乃至3000℃の不活性雰囲気下で炭素化する炭化工程を経て、工業的に製造される。この際、一般的に炭素繊維の引張弾性率は炭化工程における最高温度を高くするほど、得られる炭素繊維の引張弾性率を高くできることが知られている。しかしながら、炭化工程の最高温度を上げることにより、黒鉛結晶の成長に伴い、得られる炭素繊維の圧縮強度は低下する。すなわち、同一のポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を用いて炭化温度の調整を行う限り、炭素繊維の引張弾性率と圧縮強度はトレードオフの関係にある。そのため、圧縮強度を必要とする用途においては、炭化温度の制御以外で、引張弾性率を高める技術が必要である。
炭素繊維の引張弾性率を向上させるためには、焼成時に繊維を延伸することにより、得られる炭素繊維の配向度を高めることが有効であることが知られている。しかし、単に延伸倍率を高めるだけでは、毛羽の発生や糸切れを誘発し、操業性の低下や、得られる炭素繊維の品位の低下が避けられない。そのため、これまでいくつかの提案がなされている。
これまでに提案されてきた炭化における延伸を安定して行うための技術として、焼成工程の面では、焼成条件を制御することにより、延伸の安定化を図る技術が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。しかし、引張弾性率の向上効果は僅かであった。
また、炭素繊維製造用前駆体繊維を製造するのに用いるポリアクリロニトリル系重合体からのアプローチとして、用いられる前駆体繊維の酸素透過性を向上させ、耐炎化工程における単繊維内の反応を均一化することにより、得られる炭素繊維の引張弾性率を高くする技術が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この提案によれば、確かに引張弾性率の向上効果が認められるものの、酸素透過性を高めるために、1.5%を越える多くの共重合成分の使用が必要であり、そのため前駆体繊維の耐熱性が低下してしまうという問題があった。耐熱性の低下は、製糸工程における乾燥熱処理工程やスチーム延伸工程、耐炎化や炭化のような焼成工程における単繊維同士の接着発生の増加を誘発し、操業性や得られる炭素繊維の引張強度や圧縮強度を低下させるのである。
前述のように重合工程および焼成工程の制御の面から、炭化の延伸性を向上させる提案は数多くあるが、製糸条件の制御により、炭化の延伸性を向上させる提案は多くはなされていなかった。
製糸条件により、炭素繊維物性を向上する技術としては前駆体繊維を緻密にすることにより、炭素繊維の高強度化を図る技術が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、この技術によると炭素繊維の引張強度は向上するものの、本発明者らが検討したところによれば、炭化工程における延伸性を向上させることはできなかったため、引張弾性率は向上しなかった。
従来、一般的には、工業的に製造する上でのコストや、環境面の問題から、前駆体繊維を製造するために用いるポリアクリロニトリル系重合体の濃度は高いほど良いとされてきた。そのため、前述、特許文献4では、重合体の濃度を18重量%以上としており、重合体の濃度が高い場合には緻密性と炭化における延伸性との間には関係が見られなかった。また、一般にポリアクリロニトリル系前駆体繊維は続く耐炎化工程において配向緩和することが知られており、製糸条件の制御により、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を制御し、炭化における延伸性を向上するという概念は着目されてこなかった。

特開2004−91961号公報 特開2004−197278号公報 特開平2−84505号公報 特開昭63−21916号公報
本発明の目的は、生産性およびプロセス性を損なうことなく、高い引張弾性率と圧縮強度を有する炭素繊維とその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、前記炭素繊維の製造に用いられる炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法は、湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により紡糸口金から吐出させ紡糸する紡糸工程と、該紡糸工程で得られた繊維を水浴中で洗浄する水洗工程と、該水洗工程で得られた繊維を水浴中で延伸する水浴延伸工程と、該水浴延伸工程で得られた繊維を乾燥熱処理する乾燥熱処理工程と、該乾燥熱処理工程で得られた繊維をスチーム延伸するスチーム延伸工程からなるポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法において、紡糸原液が、極限粘度が2.0乃至10の範囲にあるポリアクリロニトリル系重合体を含み、かつ、該ポリアクリロニトリル系重合体の濃度が10以上18重量%未満であり、水浴延伸工程では、最高温度が60乃至80℃の水浴中で予備延伸した後、最高温度が80乃至98℃の水浴中で延伸することを特徴とする。本発明の炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法において、水浴延伸工程後の水浴延伸糸膨潤度が50乃至130%の範囲であり、かつ分散法により測定される水浴延伸糸接着数が3個/3,000本以下であることが好ましい。本発明の炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法において、紡糸口金からの吐出線速度が、2乃至15m/分であることが好ましい。本発明の炭素繊維は、上記記載のポリアクリロニトリル系前駆体繊維を耐炎化した後、炭化張力を5.9mN/dTex−前駆体繊維乃至13.0mN/dTex−前駆体繊維で炭化せしめることを特徴とする。本発明の炭素繊維は、広角X線回折法で測定される結晶サイズLcが2.1乃至2.7nmの範囲にあり、かつストランド弾性率が380GPaを越え、かつ460GPa以下であり、さらに、電子スピン共鳴により測定される伝導電子量が、4.0×1019乃至7.0×1019スピン/gであることを特徴とする。
本発明の炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法により製造された炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を用いることにより、炭素繊維製造のための焼成工程における繊維の高延伸を安定して実現することができる。その結果、引張強度、引張弾性率、さらには品位の優れた炭素繊維を低コストで製造することができる。
本発明者らは、特定範囲の極限粘度を有するポリアクリロニトリル系重合体を、特定範囲の重合体濃度に調整した紡糸原液を用い、紡糸した後、特定の温度範囲の水浴中で延伸することにより製造した、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維が、炭素繊維を製造するための焼成工程において高い延伸性を発現することを見出し、本発明に到達した。前記した特定の紡糸原液を用い、特定の条件で水浴延伸することにより製造した炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維が焼成工程、とりわけ炭化工程において高い延伸性を発現するメカニズムについては必ずしも定かではないが、特定の極限粘度、すなわち、特定の分子量の重合体を用いることで、適度な分子鎖長さを有し、かつ、特定の重合体濃度の紡糸原液と成し紡糸することで、溶液状態での分子鎖の絡み合い状態が適度になり、さらに、特定の条件で水浴延伸することで、適度な絡み合いを有する分子鎖の延伸が行われ、適度な分子鎖間距離と適度な絡み合い状態を有する繊維構造のポリアクリロニトリル系前駆体繊維が得られたためと考えられる。適度な絡み合い状態と適度な分子鎖間距離を有する分子鎖からなる繊維を前駆体繊維として用いることにより、炭化工程における分子間および結晶子間のつながりを発達させることができ、炭化工程における延伸性が向上するものと考えられる。
本発明の炭素繊維の製造方法は、前記炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法により製造された炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を、耐炎化し、該耐炎化工程で得られた繊維を、特定範囲の張力で延伸しながら炭化するものである。
本発明の炭素繊維の製造方法で得られる炭素繊維はストランド引張弾性率が380を越え、かつ460GPa以下である。より好ましいストランド引張弾性率は、390乃至460GPaであり、さらに好ましいストランド引張弾性率は、400乃至460GPaである。本発明においては、炭素繊維のストランド引張弾性率は高い方が好ましく、ストランド引張弾性率が380GPa以下であると、航空機用途などで剛性が必要な部位への適用が難しい。一方、460GPaを越えるとストランド引張弾性率の炭素繊維は、本発明の炭素繊維の製造方法を適用しても実現することは難しい。
ストランド引張弾性率は、主に、前駆体繊維を耐炎化、予備炭化した予備炭化繊維の炭化温度および炭化における張力により制御することができる。炭化温度を高めるほど、ストランド引張弾性率を向上させることができるが、同時に炭素繊維の結晶サイズが大きくなるため、圧縮強度が発現しにくくなる点に留意すべきである。炭素繊維の結晶サイズを特定の範囲に制御しつつ、ストランド引張弾性率を向上させるためには、炭化における張力をいかに高めるかが重要であり、本発明の炭素繊維の製造方法では、本発明のポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法により得られたポリアクリロニトリル系前駆体繊維を用いることにより特定範囲の炭化張力を適用可能となったことで炭素繊維の結晶サイズを2.1乃至2.7nmに制御したまま、ストランド引張弾性率を向上することができたものである。炭素繊維の結晶サイズが2.1nmを下回ると、本発明の目的とする、高い値のストランド引張弾性率が発現しにくくなり好ましくない。また、炭素繊維の結晶サイズが2.7nmを超えると、圧縮強度が低下するという問題がある。
また、本発明者らは、本発明のポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法により得られたポリアクリロニトリル系前駆体繊維を用いた本発明の炭素繊維の製造方法により電子スピン共鳴(ESR)により測定される伝導電子量を特定の範囲に制御することを可能とした。これにより、高いレベルの引張弾性率を有する炭素繊維が得られることを見出し、本発明に到達したのである。本発明の炭素繊維の電子スピン共鳴(以下、ESRと略すことがある)により測定される伝導電子量は4.0×1019乃至7.0×1019スピン/gである。より好ましい伝導電子量は、4.2×1019乃至7.0×1019スピン/gであり、さらに好ましい伝導電子量は4.2×1019乃至6.6×1019スピン/gである。ESRにより測定される伝導電子量は、炭素繊維の結晶における共有結合の量に対応しており、この値が大きいほど黒鉛網面が良く発達し、二次元性が高いことを反映している。本発明の炭素繊維は、従来のストランド引張弾性率が380を越え、かつ460GPa以下の炭素繊維に比べて、この伝導電子量が少なく、三次元性が高いことが特徴である。三次元性が高いことによって、圧縮時の黒鉛結晶のミクロな座屈破壊が抑制されるため、炭素繊維の圧縮強度を向上させることができる。伝導電子量が4.0×1019スピン/gを下回ると、二次元性が低下しすぎて、ストランド引張弾性率が低下する。また、伝導電子量が7.0×1019スピン/gを上回ると、三次元性が低下しすぎて、明確な炭素繊維の圧縮強度向上効果が得られない。伝導電子量は、用いられる炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を製造する際のポリアクリロニトリル系重合体の分子量、紡糸原液中の重合体濃度、および、紡糸工程、水洗工程を経た後の水浴延伸工程の最高温度、更には、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を焼成し、炭素繊維を製造する際の炭化工程における温度などにより制御することができる。
ポリアクリロニトリル系重合体の分子量および重合体濃度を高めるほど、また、水浴延伸工程の最高温度を高めるほど伝導電子量を小さくすることができる。また、炭化温度を高めるほど、伝導電子量を小さくすることができる。しかし、前記したとおり、炭化温度を変えることにより、炭素繊維のストランド引張弾性率や、炭素繊維の結晶サイズも変化するため、本発明の炭素繊維を得るためには、炭化温度以外の方法で、伝導電子量を制御することが重要である。
以下本発明の炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維及び炭素繊維の製造方法について詳しく説明する。
本発明の炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法は、湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により紡糸口金から吐出させ紡糸する紡糸工程と、該紡糸工程で得られた繊維を水浴中で洗浄する水洗工程と、該水洗工程で得られた繊維を水浴中で延伸する水浴延伸工程と、該水浴延伸工程で得られた繊維を乾燥熱処理する乾燥熱処理工程と、該乾燥熱処理工程で得られた繊維をスチーム延伸するスチーム延伸工程からなるポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法において、紡糸原液が、極限粘度が2.0乃至10の範囲にあるポリアクリロニトリル系重合体を含み、かつ、該ポリアクリロニトリル系重合体の濃度が10以上18重量%であり、水浴延伸工程が、少なくとも、60乃至80℃の水浴中で延伸する第1の水浴延伸工程と、80乃至98℃の水浴中で延伸する第2の水浴延伸工程を含むことを特徴とするものである。
本発明の炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法に用いられるポリアクリロニトリル系重合体は、極限粘度が2.0乃至10.0であることを必須とする。より好ましい極限粘度は、2.3乃至8.0であり、さらに好ましい極限粘度は、2.5乃至3.5である。極限粘度が2.0を下回るような低分子量のポリアクリロニトリル系重合体の場合、繊維軸方向の分子同士のつながりが低下するため、焼成工程における延伸性を向上させるという本発明の効果が得られない。また、極限粘度は高い方が好ましいが、10.0を超えるような高分子量のポリアクリロニトリル系重合体を得るのは、紡糸原液のゲル化が顕著となるため、事実上困難である。ポリアクリロニトリル系重合体の極限粘度は、重合時のモノマー、開始剤および連鎖移動剤などの量を変えることにより制御することができる。具体的には、重合開始時のモノマー濃度を高くする、開始剤濃度を低くする、連鎖移動剤の濃度を少なくすることにより、極限粘度を高めることができる。なお、本発明においてポリアクリロニトリル系重合体とは、少なくともアクリロニトリルが重合体骨格の主構成成分となっているものをいい、主構成成分とは、通常、重合体骨格の95乃至100mol%を占めることを言う。
本発明の炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法に用いられるポリアクリロニトリル系重合体は、製糸性の観点および、耐炎化時の空気中での熱処理を効率よく行う観点等から、これらに際しての必要な特性を改善するため共重合成分を含むことが好ましい。製糸性の観点から一般に、共重合成分の量が少ないと(極端な例としてポリアクリロニトリル単独では)、可塑性が低下し製糸延伸性が低下するため好ましくない。共重合体の量が多いと耐熱性が低下し、融着が発生しやすくなるため好ましくない。好ましい共重合成分の量としては、0.1乃至0.5mol%である。また、耐炎化時の空気中での熱処理を効率よく行う観点からは、少なくとも0.1mol%以上の耐炎化促進成分を共重合成分として共重合させることが好ましい。耐炎化促進成分としては、カルボキシル基またはアミド基を一つ以上有するものが好ましく例示される。耐炎化促進成分の共重合量を多くするほど耐炎化反応が促進され、短時間で耐炎化処理でき、生産性を高める目的から好ましい態様である。しかし一方で、該耐炎化促進成分の共重合量が多くなるほど、耐熱性が低下したり、発熱速度が大きくなり暴走反応の危険が生じることがあるため、0.5mol%を超えない範囲とすることが好ましい。共重合成分である耐炎化促進成分の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミドなどが好ましく例示される。耐熱性の低下を防止するという目的からは、耐炎化促進効果の高いモノマーを少量用いることが好ましく、アミド基よりもカルボキシル基を有する耐炎化促進成分を用いることが好ましい。また、含有されるアミド基とカルボキシル基の数は、1つよりも2つ以上であることがより好ましく、その観点からは、共重合成分である耐炎化促進成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸およびメサコン酸が好ましく、イタコン酸、マレイン酸およびメサコン酸がより好ましく、中でも、イタコン酸が最も好ましい。本発明において、製糸性を向上させる目的から、アクリレートやメタクリレートなど、耐炎化促進成分以外の共重合成分を共重合してもよいが、耐熱性の低下を防止するという目的からは、アクリロニトリル以外の共重合成分のトータル量は0.5mol%を超えないことが好ましい。本発明で用いられるポリアクリロニトリル系重合体を製造する重合方法としては、溶液重合、懸濁重合および乳化重合など公知の重合方法を選択することができるが、共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合を用いることが好ましい。溶液重合で用いられる溶液としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどのポリアクリロニトリルが可溶な溶媒を用いることが好ましい。中でも、生成したポリアクリロニトリル系重合体の溶解性の観点から、ジメチルスルホキシドがより好ましく用いられる。
本発明の炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法に用いられる紡糸原液は、前記したポリアクリロニトリル系重合体を、ジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどのポリアクリロニトリルが可溶な溶媒に溶解したものである。溶液重合を用いる場合、重合に用いられる溶媒と紡糸溶媒を同じものにしておくと、得られたポリアクリロニトリル系重合体を分離し紡糸溶媒に再溶解する工程が不要となるため好ましい。本発明に用いるポリアクリロニトリル系重合体は濃度を10以上18重量%未満の紡糸原液とすることが必須である。該紡糸原液の濃度が10重量%に満たないと、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の紡糸原液に対する収率が悪く、また、該紡糸原液の濃度が18重量%を超えると、本発明の目的とする、炭化における延伸性の向上効果が得られないためである。本発明の炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法に用いられる紡糸原液中のポリアクリロニトリル系重合体の濃度を10以上18重量%未満とすることで炭化における延伸性が向上するメカニズムについては必ずしも定かではないが、特定範囲の重合体濃度とすることで、溶液状態における分子鎖の絡み合い状態が適当なものとなり、繊維化した際の分子鎖配向状態が変化したものと考えられる。
本発明では、高強度な炭素繊維を得るため、前述紡糸原液を紡糸する前に目開き1μm以下のフィルターに通し、ポリアクリロニトリル系重合体原料および各工程において混入した不純物を除去することが好ましい。紡糸原液を、湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により口金から紡出し、凝固浴に導入して繊維を凝固せしめる。得られる炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の緻密性を高め、また得られる炭素繊維の力学物性を高める目的からは、乾湿式紡糸法を用いることが、好ましい。本発明において、紡糸口金紡糸原液を吐出する際の吐出線速度は、2乃至15m/分であることが好ましい。吐出線速度は、2乃至10m/分であることがより好ましく、4乃至8m/分であることがさらに好ましい。下限については、本発明において、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の炭化工程での延伸性を高めるという目的からは、吐出線速度は小さいほど好ましいが、製糸の安定性の観点からは、吐出線速度を小さくしていくと、吐出時の安定性が低下し、繊度ムラや糸切れなどが発生しやすくなり、吐出線速度が2m/分を下回ると安定して製糸することが困難となり、好ましくない。上限については、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の炭化工程での延伸性の観点から、吐出線速度が15m/分を超えると、炭化工程における、延伸性向上効果が必ずしも得られなくなり好ましくない。吐出線速度を特定の範囲に制御することにより、炭化での延伸性をさらに向上できるメカニズムについては、必ずしも定かではないが、吐出線速度を小さくすると、吐出時の紡糸口金の吐出孔における剪断速度が小さくなり、それに伴い、吐出時の剪断による分子間の絡み合いの解消が抑制されると考えられる。従って、前記した特定範囲の極限粘度と重合体濃度を制御することにより、分子間に適度な絡み合いをもたせた状態が、吐出によって大きく変化することなく、そのまま繊維構造に反映されるためと考えられる。分子間に適度な絡み合いをもたせたポリアクリロニトリル系重合体からなる繊維を前駆体繊維として用いることにより、炭化工程における分子間および結晶子間のつながりを発達させることができ、炭化工程における延伸性が向上しているものと考えられる。吐出線速度は、紡糸原液の紡糸口金からの吐出量をA(ml/分)、紡糸口金の吐出孔径をd(mm)、吐出口数をnとすると、次のように定義される。
吐出線速度(m/分)=A/((d/2)×π×n)
従って、一定のフィラメント数の炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を製造する場合、吐出線速度は、吐出量を変更するか、および/または、吐出孔径を変更することにより、任意の値に設定することができる。吐出量の増減は、得られる炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維繊度や、製糸設備の生産性の増減につながる場合があるため、必要な吐出量に合わせて、適切な吐出孔径を設定することが、より好ましい。
本発明において、前記凝固浴には、紡糸原液の溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどの溶媒と、いわゆる凝固促進成分を含ませることが好ましい。凝固促進成分としては、前記ポリアクリロニトリル系重合体を溶解せず、かつ紡糸原液に用いる溶媒と相溶性があるものを使用することができる。具体的には、凝固促進成分として水を使用することが好ましい。凝固浴中に紡糸した繊維糸条を導入して凝固せしめる紡糸工程の後、水洗工程、水浴延伸工程、乾燥熱処理工程およびスチーム延伸工程を経て、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維が得られる。
本発明のポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法は、溶媒を水洗工程により除去した後に該水洗工程で得られた繊維を水浴中で延伸する水浴延伸工程を有する。ここで、水浴延伸工程とは、膨潤度を280%以下と成した水洗工程後の糸条を水浴中で少なくとも1.3倍延伸する工程のことであり、本発明においては、最高温度60乃至80℃の水浴中で予備延伸した後、最高温度80乃至98℃の水浴中で延伸することが必要である。最高温度60乃至80℃の水浴中で予備延伸した後、最高温度80乃至98℃の水浴中で延伸することで、水浴延伸糸の後述する接着度を低い状態のまま、水浴延伸糸の繊維構造を緻密化することができる。 水浴延伸工程における予備延伸の最高温度のより好ましい範囲は、62〜78℃であり、さらに好ましい範囲は65〜75℃である。該最高温度が60℃に満たないと、本発明の目的とする効果が得られず、また、該最高温度が80℃を超えると、水浴延伸糸の後述する接着度が高まりやすく好ましくない。水浴延伸工程における予備延伸後の水浴の最高温度のより好ましい範囲は、80乃至97℃であり、さらに好ましい範囲は、80乃至95℃である。該最高温度が80℃を下回ると、本発明の目的とする効果が得られず、また、水浴の最高温度が98℃を越えると水浴延伸糸の後述する接着度が高まりやすく好ましくない。ここで、水浴延伸工程の予備延伸とそれに引き続く延伸工程は、それぞれ単数の延伸浴または複数の延伸浴で構成することができる。なお、水洗工程後の糸条の膨潤度は後述する水浴延伸糸膨潤度と同一の方法にて測定される。
本発明において、前記した水浴における延伸により、水浴延伸糸の膨潤度が、50乃至130%、かつ、分散法により測定される該水浴延伸糸接着数が3個/3,000本以下とすることが好ましい。水浴延伸糸の膨潤度を50%よりも小さくするためには、98℃を超える高温の水浴中で延伸することが必要であるが、水浴延伸糸の接着度が高まりやすく好ましくない。また、該水浴延伸糸の膨潤度が130%を上回ると本発明の目的とする炭化における延伸性の向上効果が得られない。該水浴延伸糸の接着数が3個/3,000本を上回ると炭素繊維とした際のストランド引張強度が著しく低下するばかりではなく、炭化における延伸性も低下するため好ましくない。
水浴延伸糸の膨潤度は、水浴の最高温度や水浴中の糸条の滞留時間で制御することができる。水浴の最高温度を上げるほど、また、水浴中の糸条の滞留時間を長くするほど、該膨潤度を低くすることができるが、設備生産性の観点からは水浴の最高温度を制御することが好ましい。 また、前述接着度を3個以下とするため、延伸浴入り側のロールが水浴外に具備されていることが好ましく、また、水洗工程における水浴温度が10乃至60℃の複数段からなる水洗浴を用い水洗することが好ましい。また、水浴中延伸における延伸倍率は、1.3〜5倍であることが好ましく、より好ましくは2〜4倍である。
浴中延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する目的から、糸条にシリコーン等からなる油剤を付与することが好ましい。かかるシリコーン油剤は、変性されたシリコーンを用いることが好ましく、耐熱性の高いアミノ変性シリコーンを含有するものを用いることができる。
前記した水洗工程、水浴延伸工程および必要に応じ油剤付与工程の後、乾燥熱処理およびスチーム延伸を行うことにより、炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維が得られる。
本発明において、乾燥熱処理は、繊維軸方向の結晶性を高める目的から、160〜200℃の温度で行うことが好ましい。乾燥熱処理は、糸条を加熱されたローラーに直接接触させても、加熱された雰囲気を走行させ非接触で乾燥させてもよいが、乾燥効率という観点からは、加熱されたローラーに直接接触させることが好ましく、糸条の含有水分量が1重量%となるまで乾燥し、繊維構造を緻密化させることが好ましい。
また、本発明において、スチーム延伸は、加圧スチーム中において、少なくとも3倍以上、より好ましくは4倍以上、さらに好ましくは5倍以上延伸するのがよい。前記した水洗工程、水浴延伸工程とスチーム延伸工程を含めたトータルの延伸倍率は、繊維軸方向の結晶性を高める観点から、11〜15倍であることが好ましい。延伸倍率が11倍を下回ると、繊維軸方向の結晶性が低くストランド引張強度が発現しにくく、また、延伸倍率が15倍を超えると延伸切れが顕著となり、得られる炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維および炭素繊維の品位が低下する傾向を示す。
また、本発明において、炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の1糸条当たりのフィラメント数は、好ましくは1,000〜3,000,000本であり、より好ましくは6,000〜3,000,000本であり、さらに好ましくは12,000〜2,500,000本である。該フィラメント数は、生産性の向上の目的からは、1,000本以上で多い方が好ましいが、3,000,000本を超えると炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維糸条内部まで均一に耐炎化処理できないことがある。
次に、本発明の炭素繊維の製造方法について説明する。
本発明の炭素繊維の製造方法は、前記した本発明の炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法で得た炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を耐炎化した後、延伸張力5.9乃至13mN/dTex−前駆体繊維で延伸しながら炭化することにより製造するものである。
本発明において、耐炎化は、暴走反応を生じない範囲でできるだけ高い温度で行うことが好ましく、具体的には200乃至300℃の空気中において行うことが好ましい。
本発明において、耐炎化する際の延伸比は得られる耐炎化繊維の配向性を高める観点で高いほど好ましいが、延伸比が高すぎると、毛羽発生、糸切れ発生によりプロセス性が低下することがあるため、両者を勘案して設定するのがよい。
本発明において、耐炎化の処理時間は、好適には10〜100分の範囲で適宜選択することができるが、つづく炭化工程(後述する予備炭化工程)のプロセス性および得られる炭素繊維の力学物性向上の目的から、得られる耐炎化繊維の比重が1.3〜1.38の範囲となるように設定することが好ましい。
本発明において、耐炎化した後に炭化を行う工程は、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において行う予備炭化工程と、1000〜2000℃の温度の不活性雰囲気中において行う炭化工程を含むことが好ましく、必要に応じて2000〜3000℃の温度の不活性雰囲気中において行う黒鉛化工程を含んでも良い。
本発明において、予備炭化工程、炭化工程および黒鉛化工程は不活性雰囲気中で行なわれるが、用いられる不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴンおよびキセノンなどが好ましく例示され、経済的な観点からは窒素が好ましく用いられる。
本発明において、予備炭化工程における温度は300〜800℃であることが好ましく、延伸比は得られる予備炭化繊維の配向性を高める観点から高いほど好ましいが、毛羽発生や糸切れ発生によりプロセス性が低下することがあるため、両者を勘案して設定するのがよい。本発明において、炭化工程における温度は1000〜2000℃であることが好ましく、より好ましくは1300〜1700℃であり、さらに好ましくは1400〜1650℃である。その最高温度が高いほど、引張弾性率は高まるものの、黒鉛化が進行し、炭素構造の二次元性が高まり、その結果、伝導電子量が増加、ひいては圧縮強度の低下が生じることがあるので、両者のバランスを勘案して、炭化工程における温度を設定する。
本発明の炭素繊維は前記前駆体繊維を耐炎化、予備炭化した後、特定の範囲の張力条件下で炭化することにより得られる。本発明の炭素繊維は炭化工程において炭化張力を5.9mN/dTex−前駆体繊維乃至13.0mN/dTex−前駆体繊維で炭化することが好ましい。炭化張力を5.9mN/dTex−前駆体繊維を下回ると本発明の目的とする引張弾性率を発現することができない場合があり好ましくない。また、13.0mN/dTex−前駆体繊維を超える炭化張力で炭化することは、糸条を搬送するためのロールなどの設備上の限界により困難な場合があり、好ましくない。
ここで、炭化工程における張力とは炭化炉出側のロールで測定した張力(mN)を炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の絶乾時の繊度(dTex)で割った値で示すものとする。
得られた炭素繊維は、その表面改質のため、電解処理することができる。電解処理に用いられる電解液には、硫酸、硝酸および塩酸等の酸性溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムのようなアルカリまたはそれらの塩を水溶液として使用することができる。ここで、電解処理に要する電気量は、適用する炭素繊維の炭化度に応じて適宜選択することができる。かかる電解処理により、得られる複合材料において炭素繊維とマトリックスとの接着性が適正化でき、接着が強すぎることによる複合材料のブリトルな破壊や、繊維方向の引張強度が低下する問題や、繊維方向における引張強度は高いものの、樹脂との接着性に劣り、非繊維方向における強度特性が発現しないというような問題が解消され、得られる複合材料において、繊維方向と非繊維方向の両方向にバランスのとれた強度特性が発現されるようになる。
かかる電解処理の後、得られた炭素繊維に集束性を付与するため、サイジング処理をすることもできる。サイジング剤には、複合材料に使用されるマトリックス樹脂の種類に応じて、マトリックス樹脂との相溶性の良いサイジング剤を適宜選択することができる。
本発明により得られる炭素繊維は、圧縮強度および引張弾性率が高い。従って、本発明の炭素繊維は、プリプレグとしてオートクレーブ成形、織物などのプリフォームとしてレジントランスファーモールディングで成形、フィラメントワインディングで成形するなど種々の成形法により、航空機部材、圧力容器部材、自動車部材、釣り竿およびゴルフシャフトなどのスポーツ部材として、好適に用いることができる。
本明細書に記載の各種物性値の測定方法は、次の通りである。
<極限粘度>
120℃の温度で2時間熱処理し乾燥したポリアクリロニトリル系重合体150mgを、60℃の温度において、50mlのチオシアン酸ナトリウム0.1mol/リットル添加ジメチルフォルムアミドに溶解する。得られた溶液について、25℃の温度においてオストワルド粘度計を用いて標線間の落下時間を1/100秒の精度で測定する。測定した落下時間をt(秒)とする。同様に、ポリアクリロニトリル系重合体を溶解していないチオシアン酸ナトリウム0.1mol/リットル添加ジメチルフォルムアミドについても測定し、その落下時間をt(秒)とする。次式を用いて、極限粘度[η]を算出する。
[η]={(1+1.32×ηsp)(1/2)−1}/0.198
ηsp=(t/t)−1
上記測定を3回行い、その算術平均を、そのポリアクリロニトリル系重合体の極限粘度[η]とする。
なお、後述の実施例および比較例においては、上記チオシアン酸ナトリウム、および、ジメチルフォルムアミドとして、いずれも和光純薬社製特級を用いた。
<紡糸原液中のポリアクリロニトリル系重合体濃度>
測定に供する紡糸原液約10gを、その太さが2mm以下となるように水中に滴下し、凝固させる。凝固させた重合体を80℃の流水中で4時間洗浄する。洗浄した重合体を、熱風乾燥機により、120℃で2時間乾燥する。水中に滴下した紡糸原液の重量をA(g)、洗浄、乾燥後の重合体の重量をB(g)とし、次式により、紡糸原液中のポリアクリロニトリル系重合体濃度(%)を求める。
紡糸原液中のポリアクリロニトリル系重合体濃度(%)=B/A×100
上記測定を3回行い、その算術平均を、その紡糸原液のポリアクリロニトリル系重合体濃度とする。
<水浴延伸糸膨潤度>
測定に供する水浴延伸糸を約5gにカットし、常温の流水中で2時間洗浄する。洗浄した水浴延伸糸を遠心脱水機を用いて3000rpmにて5分間遠心脱水する。遠心脱水した水浴延伸糸を熱風乾燥機により、120℃で2時間乾燥する。遠心脱水後の水浴延伸糸重量をA(g)、乾燥後の水浴延伸糸重量をB(g)とし、次式により、水浴延伸糸膨潤度(%)を求める。
水浴延伸糸膨潤度(%)=(A−B)/B×100 。
上記測定を3回行い、その算術平均を、その水浴延伸糸の膨潤度とする。
<水浴延伸糸接着数>
水浴延伸糸の接着数判定は、測定に供する水浴延伸糸をフィラメント数3,000とし、約5mmに切断し非イオン系界面活性剤の0.1重量%水溶液に分散させ、60rpmで撹拌後、黒色ろ紙でろ過し、接着数を目視にて測定する。ここで、接着とは、5本以上のフィラメントが接着しているものをいう。また、水浴延伸糸の接着数判定については、3回実施し、各測定結果の算術平均値を、その水浴延伸糸の接着数とする。なお、後述の実施例および比較例においては、上記非イオン系界面活性剤として、第一工業製薬(株)製ノイゲンSSを用いた。
<炭素繊維の結晶サイズ>
測定に供する炭素繊維を引き揃え、コロジオン・アルコール溶液を用いて固めることにより、長さ4cm、1辺の長さが1mmの四角柱の測定試料を用意する。用意された測定試料について、広角X線回折装置を用いて、次の条件により測定を行う。
・X線源:CuKα線(管電圧40kV、管電流30mA)
・検出器:ゴニオメーター+モノクロメーター+シンチレーションカウンター
・走査範囲:2θ=10乃至40°
・走査モード:ステップスキャン、ステップ単位0.02°、計数時間2秒。
得られた回折パターンにおいて、2θ=25乃至26°付近に現れるピークについて、半値幅を求め、この値から、次のシェラー(Scherrer)の式により結晶サイズを算出する。
結晶サイズ(nm)=Kλ/βcosθ
但し、
K:1.0、λ:0.15418nm(X線の波長)
β:(β −β 1/2
β:見かけの半値幅(測定値)rad、β:1.046×10−2rad
θ:Braggの回析角。
上記測定を3回行い、その算術平均を、その炭素繊維の結晶サイズとする。
なお、後述の実施例および比較例においては、上記広角X線回折装置として、島津製作所製XRD−6100を用いた。
<炭素繊維のストランド引張弾性率および強度>
炭素繊維のストランド引張弾性率および強度はJIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求める。なお、試験片は、次の樹脂組成物を炭素繊維に含浸し、130℃で35分熱処理の硬化条件により作製した。
樹脂組成:3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)
また、ストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の算術平均値を、その炭素繊維のストランド引張弾性率および強度とする。
なお、後述の実施例および比較例においては、上記3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボキシレートとしては、ユニオンカーバイド(株)製、“BAKELITE(登録商標)”ERL−4221を用いた。
<炭素繊維のESRによる伝導電子量>
測定に供する炭素繊維の重量を精秤した後、ESR装置を用い、下記条件のように、温度を変えて、g=2.002付近のシグナルを測定する。
・中心磁場:3377G付近
・磁場掃引幅:200G
・変調:100KHz、2G
・マイクロ波:9.46GHz、1mW
・掃引時間:83.886秒×4回
・時定数:327.68ms
・データポイント数:1024点
・測定温度:10、50、100、150、200、250、296K。
得られた微分曲線のスペクトルを2回積分して、信号強度を算出する。この信号強度を、重量当たりのスピン数が既知の標準試料(例えば、硫酸銅5水和物を標準試料としてスピン数を定量したイオン注入を施したポリエチレンフィルム)を用いて、重量当たりのスピン数に換算する。得られた各温度における重量当たりのスピン数をy、測定温度の絶対温度の逆数をxとして、y=ax+bの一次式に基づき、最小自乗法により、係数a、bを求め、係数bのスピン数を伝導電子量(スピン/g)とする。1回の測定を以て、その炭素繊維の伝導電子量とする。
なお、後述の実施例および比較例においては、上記ESR装置として、ブルカー社製ESR装置ESP350Eを用いた。
以下に記載する実施例1〜6および比較例1〜8は、次の包括的実施例に記載の実施方法において、表1および表2に記載の各実施例および各比較例における各条件を用いて行ったものである。
包括的実施例:
アクリロニトリル99.5mol%とイタコン酸0.5mol%からなる共重合体を、
ジメチルスルホキシドを溶媒とし、2,2'-アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として溶液重合法により重合させ、表1に示した極限粘度を有するポリアクリロニトリル系共重合体(以下、単に、ポリアクリロニトリル系重合体と記載する場合がある)を製造した。製造されたポリアクリロニトリル系重合体の紡糸原液中における重合体濃度(重量%)が表1に示す値となるように、重合体濃度を調整した後、アンモニアガスをpH8.5になるまで吹き込み、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基をポリアクリロニトリル系共重合体に導入し、紡糸原液を得た。得られた紡糸原液について、極限粘度を測定した。測定結果を表1に示す。
得られた紡糸原液を、40℃で、直径0.15mm、孔数3,000の紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた後、3℃にコントロールした35%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸条とした。
この凝固糸条を、常法により水洗した後、水浴延伸工程を独立した2槽の温水槽を用い、それぞれの温水槽に対して、予備延伸の最高温度、予備延伸後の最高温度を設定することにより、3.5倍の延伸を行い、水浴延伸延伸糸を得た。この際、表1に示す温水温度中で延伸した。さらにアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与した後、水浴延伸糸に、160℃の加熱ローラーを用いて、乾燥緻密化処理を行い、次いで、加圧スチーム中で3.7倍延伸することにより、製糸全延伸倍率を13倍とし、単繊維繊度0.7dtex、単繊維本数3,000本のポリアクリロニトリル系繊維を得た。次に、得られたアクリル系繊維を4本合糸し、単繊維本数12,000本とし、温度240乃至260℃の空気中において延伸張力2.7mN/dTex−前駆体繊維で熱処理し繊維比重1.35の耐炎化繊維束を得た。得られた耐炎化繊維束を、温度300℃乃至800℃の窒素雰囲気中において、延伸張力1.4mN/dTex−前駆体繊維で延伸しながら予備炭化処理を行い、予備炭化繊維束を得た。得られた予備炭化繊維束を、最高温度1,650℃の窒素雰囲気中において、張力を2.2mN/dTex−前駆体繊維から0.1mN/dTex−前駆体繊維ずつ上げていき、糸切れが生じない最高の張力、すなわち、炭化延伸限界張力を見出し、この炭化延伸限界張力において、予備炭化繊維束の炭化処理を行い炭素繊維束を得た。炭化延伸限界張力は、表2に示す。
[実施例1]上記包括的実施例において、表1及び表2の実施例1の列に記載の条件を採用して、炭素繊維束を製造した。得られた炭素繊維束について、ストランド引張強度(MPa)、ストランド引張弾性率(MPa)、結晶サイズ(nm)、伝導電子量(スピン/g)を測定した。各測定結果を表2に合わせて示す。
[実施例2]上記包括的実施例において、表1及び表2の実施例2の列に記載の条件を採用して、炭素繊維束を製造した。得られた炭素繊維束について、ストランド引張強度(MPa)、ストランド引張弾性率(MPa)、結晶サイズ(nm)、伝導電子量(スピン/g)を測定した。各測定結果を表2に合わせて示す。
[実施例3]上記包括的実施例において、表1及び表2の実施例3の列に記載の条件を採用して、炭素繊維束を製造した。得られた炭素繊維束について、ストランド引張強度(MPa)、ストランド引張弾性率(MPa)、結晶サイズ(nm)、伝導電子量(スピン/g)を測定した。各測定結果を表2に合わせて示す。
[実施例4]上記包括的実施例において、表1及び表2の実施例4の列に記載の条件を採用して、炭素繊維束を製造した。得られた炭素繊維束について、ストランド引張強度(MPa)、ストランド引張弾性率(MPa)、結晶サイズ(nm)、伝導電子量(スピン/g)を測定した。各測定結果を表2に合わせて示す。
[実施例5]上記包括的実施例において、表1及び表2の実施例5の列に記載の条件を採用して、炭素繊維束を製造した。得られた炭素繊維束について、ストランド引張強度(MPa)、ストランド引張弾性率(MPa)、結晶サイズ(nm)、伝導電子量(スピン/g)を測定した。各測定結果を表2に合わせて示す。
[実施例6]上記包括的実施例において、予備炭化繊維束の炭化処理を、最高温度1,850℃に変更した以外は実施例5と同様に炭素繊維束を製造した。得られた炭素繊維束について、ストランド引張強度(MPa)、ストランド引張弾性率(MPa)、結晶サイズ(nm)、伝導電子量(スピン/g)を測定した。各測定結果を表2に合わせて示す。
[比較例1]水浴延伸工程の予備延伸の最高温度を50℃、水浴延伸工程の予備延伸後の最高温度を70℃とした以外は実施例2と同様に製糸し、焼成し、評価を行った。予備延伸の最高温度、予備延伸後の最高温度が低いと、得られる予備炭化糸の炭化限界延伸比が低く、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率は低くなることがわかった。
[比較例2]水浴延伸工程の予備延伸の最高温度を50℃とした以外は実施例4と同様に製糸し、焼成し、評価を行った。水浴延伸工程の予備延伸の最高温度が低いと水浴延伸工程の予備延伸後の最高温度が本発明に規定する範囲内であっても、得られる予備炭化糸の炭化限界延伸比が低く、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率は低くなることがわかった。
[比較例3]水浴延伸工程の予備延伸の最高温度を90℃とした以外は実施例4と同様に製糸し、焼成し、評価を行った。水浴延伸工程の予備延伸の最高温度が高すぎると水浴延伸工程における予備延伸後の最高温度が本発明に規定する範囲内であっても、延伸糸接着度(個)が高くなり、得られる予備炭化糸の炭化限界延伸比が低く、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率は低くなることがわかった。
[比較例4]水浴延伸工程における予備延伸後の最高温度を70℃とした以外は実施例2と同様に製糸し、焼成し、評価を行った。水浴延伸工程における予備延伸の最高温度が本発明に規定する範囲内であっても水浴延伸工程における予備延伸後の最高温度が低いと、得られる予備炭化糸の炭化限界延伸比が低く、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率は低くなることがわかった。
[比較例5]水浴延伸工程における予備延伸後の最高温度を99℃とした以外は実施例2と同様に製糸し、焼成し、評価を行った。水浴延伸工程における予備延伸後の最高温度が高すぎると延伸糸接着度(個)が高くなり得られる予備炭化糸の炭化限界延伸比が低く、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率は低くなることがわかった。
[比較例6]紡糸原液の極限粘度を1.6とし、ポリアクリロニトリル系重合体の紡糸原液中における重合体濃度を19重量%とした以外は実施例1と同様に製糸し、焼成し、評価を行った。紡糸原液の極限粘度が小さく、重合体濃度(重量%)が高いと、予備延伸の最高温度及び予備延伸後の最高温度の温水温度が本発明に規定する範囲内であっても、得られる予備炭化糸の炭化限界延伸比が低く、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率は低くなることがわかった。
[比較例7]水浴延伸工程の予備延伸の最高温度を50℃、水浴延伸工程の予備延伸後の最高温度を70℃とした以外は比較例6と同様に製糸し、焼成し、評価を行った。得られる予備炭化糸の炭化限界延伸比が低く、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率は低くなることがわかった。
[比較例8]ポリアクリロニトリル系重合体の紡糸原液中における重合体濃度(重量%)を8%とした以外は実施例5と同様に製糸し、焼成し、評価を行った。ポリアクリロニトリル系重合体の紡糸原液中における重合体濃度(重量%)が低すぎると得られる予備炭化糸の炭化限界延伸比が低く、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率は低くなることがわかった。
[比較例9]紡糸原液の極限粘度を11.0とし、ポリアクリロニトリル系重合体の紡糸原液中における重合体濃度を7重量%とした以外は実施例1と同様に製糸した。しかし、凝固工程で糸切れが多発し、安定して紡糸することができなかった。
Figure 2008308776
Figure 2008308776
ポリアクリロニトリル重合体の極限粘度が高く、かつ、紡糸原液中の該重合体の濃度がを特定範囲とし、さらに、水浴延伸糸の膨潤度を接着のない範囲で下げることにより、紡糸、焼成して得られる予備炭化糸の炭化限界延伸比が高く、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率も高い結果を示すことがわかった。
本発明によれば、生産性とプロセス性を損なうことなく、焼成工程での高延伸を安定して実現することができ、それによりストランド引張弾性率さらには引張強度および品位の優れた炭素繊維を低コストで製造することができる。
本発明により得られる炭素繊維は、高いストランド引張弾性率を有する。従って、本発明の炭素繊維は、プリプレグを用いたオートクレーブ成型法、織物などのプリフォームを用いたレジントランスファーモールディング成型法、フィラメントワインディング成型法などの種々の成型法に適用可能であり、これらの成型法を用いた、航空機部材、圧力容器部材、自動車部材、釣り竿およびゴルフシャフトなどのスポーツ部材の形成に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により紡糸口金から吐出させ紡糸する紡糸工程と、該紡糸工程で得られた繊維を水浴中で洗浄する水洗工程と、該水洗工程で得られた繊維を水浴中で延伸する水浴延伸工程と、該水浴延伸工程で得られた繊維を乾燥熱処理する乾燥熱処理工程と、該乾燥熱処理工程で得られた繊維をスチーム延伸するスチーム延伸工程からなるポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法において、紡糸原液が、極限粘度が2.0乃至10の範囲にあるポリアクリロニトリル系重合体を含み、かつ、該ポリアクリロニトリル系重合体の濃度が10以上18重量%未満であり、水浴延伸工程では、最高温度が60乃至80℃の水浴中で予備延伸した後、最高温度が80乃至98℃の水浴中で延伸する、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
  2. 水浴延伸工程後の水浴延伸糸膨潤度が50乃至130%の範囲であり、かつ分散法により測定される水浴延伸糸接着数が3個/3,000本以下である請求項1記載のポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
  3. 請求項1または2記載のポリアクリロニトリル系繊維の製造方法において、紡糸口金からの吐出線速度が、2乃至15m/分であるポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
  4. 請求項1乃至3記載の製造方法で得られたポリアクリロニトリル系前駆体繊維を耐炎化した後、炭化張力を5.9mN/dTex−前駆体繊維乃至13.0mN/dTex−前駆体繊維で炭化せしめることを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  5. 広角X線回折法で測定される結晶サイズLcが2.1乃至2.7nmの範囲にあり、かつストランド弾性率が380GPaを越え、かつ460GPa以下であり、さらに、電子スピン共鳴により測定される伝導電子量が、4.0×1019乃至7.0×1019スピン/gであることを特徴とする炭素繊維。
JP2007155976A 2007-06-13 2007-06-13 ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法、炭素繊維の製造方法、および炭素繊維 Pending JP2008308776A (ja)

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