JP2008156190A - フッ化リチウムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粒径が大きく乾燥後の酸素濃度が低く、取り扱い性に優れたフッ化リチウムの製造方法を提供する。
【解決手段】 炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、及び硫酸リチウムからなる群より選択される少なくとも何れか1種のリチウム化合物の濃度が10〜50重量%であるリチウム塩溶液を作製し、前記リチウム塩溶液に対し、10重量%以上60重量%以下のフッ酸を1〜5モル当量の割合で、リチウム塩溶液及びフッ酸を反応器に同時滴下しながら反応させ、安息角が50度以下、且つ、嵩密度が0.75g/cm以上のフッ化リチウムを作製する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、酸素濃度が低く、粒径の大きな粉体流動性にすぐれたフッ化リチウムを製造する方法に関するものである。
フッ化リチウムは、波長0.105〜6μmの光に対して透明で、しかも2.5〜6.0μmの波長領域の赤外光に対しては特に屈折率の分散が大きい。そのため、フッ化リチウム単結晶は、波長1300〜2000Åの領域の紫外分光測定用としても利用されている。
また、フッ化リチウムは、有機物質の蛍光(ルミネッセンス)現象を発光素子として応用した有機EL素子にも注目されている。具体的には、有機膜と接合性に優れた材料として、フッ化リチウム膜を真空蒸着することが検討されている(特許文献1参照)。
更に近年、高電圧、高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池が開発され、携帯電話市場、パソコン等、携帯以外の中型リチウム電子市場等、その需要が急速に伸びている。さらに将来的には高性能な次世代ハイブリッド車向けに、ニッケル水素電池より小型で出力が大きいリチウムイオン二次電池の搭載が期待されている。フッ化リチウムは、リチウムイオン二次電池の電解質として使用される六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)等のリチウム塩の原料でもある。例えば、六フッ化リン酸リチウムの製造方法としては、無水フッ化水素中で五塩化リンとフッ化リチウムを反応させる方法(特許文献2参照)や、リンと金属ハロゲン化物粉末との混合物をフッ素ガスと反応させて、得られる高純度五フッ化リンを、フッ化リチウムと無水フッ化水素中で反応させる方法(特許文献3)が広く知られている。いずれも、原料としてフッ化リチウムが使用されている。
フッ化リチウムの一般的な製法は、炭酸リチウムとフッ酸を直接反応させることによって得られる。しかし、炭酸リチウム、及びフッ化リチウムは、水、及び、濃度の薄いフッ酸への溶解度が極めて低いため、反応と同時に、非常に細かい粒子が析出する。さらに反応は非常に早く、激しいため、この細かい粒子同士が凝集を起こし、実際に得られる粒子は、10μm程度に凝集したものが得られる。このように凝集が起こることで、未反応の炭酸リチウムが粒子内に取り込まれ、いくら高温及び/又は真空下で、乾燥を行っても、未反応炭酸リチウム由来の酸素成分を低減することが出来ない。さらに水溶液での合成系から分離されたフッ化リチウムは含水率が非常に大きく通常の乾燥方法では水分を1000重量ppm以下まで低減することは極めて困難であり、乾燥温度を高くするなどの工夫が必要である。
さらに従来のフッ化リチウムは比表面積が大きい粉末状であり吸湿性に富むため乾燥を行った後、保管中に空気中の水分を容易に吸湿してしまう。また、嵩密度が小さいものは、嵩張るため、同じ容積の容器に入る重量が少なくなるが、嵩密度が大きい場合はその逆で、製品や原料を入れるルツボ、ホッパーあるいはサイロを小型化でき経済上有利である。一方、安息角は、粉末のホーパーやサイロを設計する際に重要な因子になる。安息角が大きい粉末は、流動性が悪く、ホッパー内でブリッジを起こし易い。つまりホッパーやサイロの底部の傾斜を中の粉末の安息角よりも大きくしなければ、内部の粉末は完全には排出されない。逆に安息角の小さな粉末は流動性がよく、ホッパー内でのブリッジ等のトラブルが発生しにくく、且つ、ホッパーやサイロを小型化でき経済上有利である。
その結果、フッ化リチウム単結晶の成長の際に、結晶中に酸素成分が混入し、結晶が白濁する等の問題がある。また、有機EL素子に使用した場合には、真空蒸着によるフッ化リチウム膜の成膜の際に、フッ化リチウム膜が酸化され、これにより、有機EL素子の寿命が低下するという問題がある。更に、空隙率が大きいため、成膜速度が低く、かつ蒸着るつぼに電子ビームが当り、蒸着膜であるフッ化リチウム膜に不純物が混入する等の問題もある。リチウムイオン二次電池の電解質として使用する場合には、原料中の水分や酸素成分と五フッ化リンが反応し、その生成物がオキシフッ化リン(POF)とフッ化水素(HF)等に分解して製品内に混入することがある。これらは、電池反応を阻害するため、好ましくない。更に、これらが電池内に組み込まれた場合、電池が膨張し、重大な問題を引き起こす可能性がある。
一方、下記特許文献4には、アルカリフッ化物の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、フッ酸・フッ化アンモニウムを用いて、酸化物不純物の少ない(<10重量ppm)フッ化リチウムやフッ化ナトリウムを製造する旨の記載がある。更に、製造したフッ化リチウムの酸素濃度に関し、10ppm程度のものが得られた旨の記載がある(段落[0025])。しかし、この値は、フッ化物ガラス中の酸素濃度であり、乾燥後の値ではない。即ち、高温で溶融させた後(ガラス中)の酸素濃度である。
さらに粒度の大きなフッ化カルシウムの回収方法として、下記特許文献5が報告されている。この方法によれば、pH2以下の塩酸酸性条件下で、フッ素含有排液と塩化カルシウム水溶液との反応により、純度が高く、粒度の大きなフッ化カルシウムを効果的に回収出来ると記されている。しかし、この公報によればpH2以下でなければ大きな粒径のフッ化カルシウムを得ることが出来ないことになる。
またこの公報では、[0038]濃厚なフッ酸含有排液を処理する場合には、フッ酸含有排液と塩化カルシウム水溶液の反応で流出した溶液および脱水後の濾液を用いて、濃厚なフッ酸含有排液を希釈するとよい。との記載がある。さらに実施例においても、フッ酸の濃度の最大値は17.2重量%となっている。一般的に希釈された液を反応させることで粒径を大きくすることが可能となる。この公報或いはフッ素含有排水からフッ素を除去する方法などでは、薄い濃度のフッ酸が用いられており、20重量%以上、もしくは50重量%程度の非常に濃いフッ酸との反応で、粒径の大きなものを得る報告はされていない。
特開2005−029418号公報 特開昭60−251109号公報 特開2001−122605号公報 特開2001−106524号公報 特開2005−206405号公報
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、粒径が大きく乾燥後の酸素濃度が低く、取り扱い性に優れたフッ化リチウムの製造方法を提供することにある。一般的に粒径を大きくするためには、希釈された系で反応を行うことが望ましいが、希釈系で反応を行う場合、反応装置が非常に大きくなってしまう。そこで工業化も加味し、20重量%以上、もしくは50重量%程度の高濃度領域で、乾燥後の酸素濃度が低く、粒径の大きなフッ化リチウムを製造する。
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、フッ化リチウムの製造方法について検討した。その結果、下記の方法を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
本発明のフッ化リチウムの製造方法は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、及び硫酸リチウムからなる群より選択される少なくとも何れか1種のリチウム化合物の濃度が10〜50重量%であるリチウム塩溶液を作製し、前記リチウム塩溶液に対し、10重量%以上60重量%以下のフッ酸を1〜5モル当量の割合で、リチウム塩溶液及びフッ酸を反応器に同時滴下しながら反応させ、安息角が50度以下、且つ、嵩密度が0.75g/cm以上のフッ化リチウムを作製するものである。
本発明は、前記濃度範囲のリチウム塩溶液及びフッ酸を同時滴下で反応させることにより、安息角50度以下、嵩密度0.75g/cm以上のフッ化リチウムの製造が可能になる。安息角が50度以下のフッ化リチウムが得られることにより、含水率を低下させ、平均粒径が大きく、粉体流動性の良好なフッ化リチウムが得られる。また、嵩密度が0.75g/cm以上のフッ化リチウムが得られることにより、吸湿性を抑制してその後の乾燥処理を容易なものにする。また、フッ化リチウムを入れるルツボ、ホッパーあるいはサイロを小型化できる。その結果、製造コストを抑制して、取扱い性に優れたフッ化リチウムを製造することができる。
前記リチウム塩溶液は、前記炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、及び硫酸リチウムからなる群より選択される少なくとも何れか1種のリチウム化合物を、硝酸、塩酸、硫酸、及び水からなる群より選択される少なくとも何れか1種に溶解させて得られるものであることが好ましい。
前記リチウム塩溶液とフッ酸の同時滴下は、反応容量1m当たり1時間に10kg以上5000kg未満の速度により行うことが好ましい。
前記の方法に於いては、所定条件下での乾燥後のフッ化リチウムの酸素含有量が1000重量ppm以下であることが好ましい。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明のフッ化リチウムの製造方法によれば、安息角50度以下、嵩密度0.75g/cm以上で、酸素含有量の低いフッ化リチウムを製造できるので、例えば、フッ化リチウム単結晶、有機EL素子のフッ化リチウム膜、リチウムイオン二次電池の電解質用原料としての性能向上が可能になる。
本発明に係るフッ化リチウムの製造方法は、それぞれ所定濃度のリチウム塩溶液及びフッ酸を、反応器に同時滴下しながら反応させて行う。
前記リチウム塩溶液は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、及び硫酸リチウムからなる群より選択される少なくとも何れか1種のリチウム化合物を、硝酸、塩酸、硫酸、及び水からなる群より選択される少なくとも何れか1種に溶解させて得られるものが好ましい。また、リチウム塩溶液は、市販の物をそのまま使用してもよい。
前記リチウム塩溶液に於けるリチウム化合物の濃度は10〜50重量%であり、好ましくは20〜30重量%、より好ましくは25〜30重量%である。また、フッ酸の濃度は10〜60重量%であり、好ましくは40〜60重量%、より好ましくは50〜55重量%である。リチウム塩溶液及びフッ酸の濃度が低すぎると、反応槽が大きくなり不経済である。その一方、濃度が濃すぎると、得られるフッ化リチウムの平均粒径及び嵩密度が小さくなり、かつ、安息角が大きくなるため好ましくない。
リチウム化合物の溶解に使用する前記水としては特に限定されず、金属不純物の混入していないものが好ましい。より具体的には、蒸留水、純水、超純水、イオン交換水等が挙げられる。
また、リチウム化合物を酸に溶解させる場合、当該酸の濃度は特に限定されないが、一定濃度以上になると白濁する場合がある。従って、酸の濃度としては、70重量%以下であることが好ましく、50重量%未満であることがより好ましく、35重量%以下であることが特に好ましい。また、酸の添加モル倍率は、リチウム化合物に対して5倍以下が好ましく、1.2倍以下がより好ましく、1.1倍以下が更に好ましく、1.07倍以下が特に好ましい。
リチウム塩溶液のpHについては特に範囲は限定されないが、弱酸性〜中性〜弱アルカリ性領域で行うことが好ましい。より具体的には、pH3〜12が好ましく、より好ましくはpH5〜10、さらに好ましくはpH8〜10である。pHが3未満であると、過剰の酸を使用することになり製造コストの抑制が図れない。その一方、pHが12を超えると、過剰のアルカリを使用することになり製造コストの抑制が図れない。また、リチウム塩溶液が空気中の炭酸ガスを吸収して炭酸塩を生成し、製造装置に於ける閉塞等のトラブルが発生する為好ましくない。
前記フッ酸については、グレードは特に限定されるものではなく、市販の工業用グレード・一般グレード・半導体グレード等がそのまま、あるいは適宜濃度調整して使用できる。その中でも、不純物量の少ない半導体グレードの使用が好ましいが、コストの面からは、工業用グレード・一般グレード等が特に好ましい。不純物濃度としては、各金属不純物が1重量ppm以下であれば十分である。
リチウム塩溶液に対するフッ酸の添加割合は1モル当量以上5モル当量以下が好ましく、1モル当量以上3モル当量以下がより好ましく、1.01モル当量以上2モル当量未満が更に好ましく、1.01モル当量以上1.5モル当量未満が特に好ましい。1モル当量以上5モル当量以下とすることにより、フッ化リチウムを安定した収量で得られる。但し、1〜3モル当量以下とすることにより、フッ酸の消費量を極力抑制できると共に、得られるフッ化リチウムの安息角を一層小さくし、嵩密度及び粒径を一層大きくすることができる。
また、本発明を実施するに当たって、リチウム塩溶液及びフッ酸は、それぞれ高純度に精製されたものを用いるのが好ましい。高純度に精製されたリチウム塩溶液が入手できない場合は、粗リチウム塩溶液を精製して用いてもよい。リチウム塩溶液の精製法については一般的な方法として、晶析法、イオン交換法等の公知技術が使用できる。金属不純物については水酸化物沈殿法、硫酸根については硫酸バリウムとして沈殿除去する方法も有効である。なお、反応系における水溶性の不純物については反応液から生成した固体のフッ化リチウムを分離する際に大部分は液側に移行するために、その固液分離操作だけで精製効果がある場合もある。このようにして調整されたリチウム塩溶液は、適時濃度を調整するために、金属不純物の混入していない水、例えば、蒸留水・純水・超純水・イオン交換水などによって希釈しても構わない。
反応槽への原料の供給方法については、本発明はリチウム塩溶液とフッ酸とを同時滴下する。当該方法でのみ、安息角が50度以下、且つ、嵩密度が0.75g/cm以上であり、しかも中心粒径が50μm以上(好ましくは100μm以上)の粉体流動性にすぐれたフッ化リチウムが得られる。更に、リチウム塩溶液とフッ酸の両方を予め反応槽に仕込んでおき、その後リチウム塩溶液とフッ酸とを同時滴下してもよい。一方、フッ酸にリチウム塩溶液を滴下する方法、又はリチウム塩溶液にフッ酸を滴下する方法では、安息角が50度以下、且つ、嵩密度が0.75g/cm以上であり、中心粒径が50μm以上の粉体流動性にすぐれたフッ化リチウムを得ることは困難である。
リチウム塩溶液及びフッ酸の滴下速度は、反応容量1m当たり1時間に10kg以上5000kg未満であることが好ましく、50kg以上2000kg未満であればより好ましく、50kg以上1000kg未満であれば更に好ましく、50kg以上500kg未満であれば特に好ましい。滴下速度が反応容量1m当たり1時間に10kg未満であると、フッ化リチウムの生産性が低下し、コスト上昇に繋がる可能性がある。その一方、反応容量1m当たり1時間に5000kg以上であると、リチウム塩溶液及びフッ酸の供給に、大きな動力が必要となり製造コストの増大を招来する恐れがある。
尚、滴下速度については、反応容量が大きい場合はそれに応じて滴下速度を速めればよく、小さい場合は滴下速度を遅くすればよい。これにより、上記の操作が実現できる。例えば、反応容量が0.1mであれば、それに応じて1時間に1kg以上、500kg未満の速度で反応器に同時滴下すればよい。
リチウム塩溶液及びフッ酸の滴下時間は、特に限定されるものではないが、0.2〜24時間が好ましく、0.3〜6時間がより好ましく、0.5〜4時間が更に好ましい。生産性を考慮した場合、0.5〜2時間で投入するのが特に好ましい。
反応の際には攪拌を行なうのが好ましいが、攪拌の程度は特に限定されない。しかし、撹拌速度が0.5m/秒未満であると、反応槽内でフッ化リチウムが底部に沈降し、閉塞等のトラブルを生じる場合がある。また、2m/秒を越えると、攪拌に要する動力が大きくなり製造コストが増大する。このため、攪拌の程度は攪拌羽根の先端の周速として0.5m/秒〜2m/秒が好ましい。
反応・熟成時間も特に限定されないが、短い場合は収率が低下する可能性がある。一方、長い場合は生産性が低下する。そのため、反応・熟成時間として、0.5時間以上12時間未満、好ましくは1時間以上10時間未満、さらに好ましくは1.5時間以上8時間未満、その中でも特に好ましくは2時間以上5時間未満である。
同時滴下時、熟成時、濾過、洗浄時の温度も特に限定されるものではないが、低温ほど収率が向上するものの、生産性の面でコスト上昇に繋がる。そのため、好ましくは0℃以上90℃未満、さらに好ましくは10℃以上60℃未満、その中でも特に好ましくは15℃以上50℃未満である。
上記の一連の操作で得られるフッ化リチウムは固液分離される。固液分離の方法としては濾過方法が挙げられ、濾過方法としては、自然濾過、加圧濾過、遠心分離濾過等が挙げられる。
固液分離後は、洗浄操作により、フッ化リチウムの純度を高めるのが好ましい。洗浄操作としては、フッ化リチウムを再度洗浄剤に分散させて行う方法、分離装置内に直接洗浄剤を導入し、フッ化リチウムと接触させて行う方法など公知の方法を単独で、あるいは組み合わせて行うことができる。また、濾過後のろ液には、余剰のリチウム塩溶液、又は酸が多量に含まれている場合がある。この場合、ろ液に対し蒸留等を行い、リチウム塩溶液、又は酸を回収すれば、廃水処理の負荷削減によるコスト低減と有価物の回収で2重の効果をあげることができる。
固液分離により得られたフッ化リチウムは乾燥するのが好ましい。乾燥方法としては、風乾、温熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。乾燥時間は、特に限定されないが、一般には0.5〜72時間である。乾燥温度は200℃未満で行うのが好ましい。200℃以上の温度で行うと、フッ化リチウムの乾燥ではなく焙焼又は溶融になるからである。更に、200℃以上の温度で行うと、乾燥設備が高価になり、大きな熱量が必要となり製造コスト高となる。
従来の製造方法により得られるフッ化リチウムでは、粒径が小さく凝集しているため、付着・吸着水分を除去するのに、相当量の熱量を必要とする。しかも、水分が取り込まれた形で凝集されて、水分が残存する為、乾燥温度が低い場合には、水分除去が不十分になる。その一方、乾燥温度を高くすると、粒子中で水により加水分解したフッ化リチウムが酸化リチウムとなり、酸素成分が多く残留する。この場合、有機EL素子のフッ化リチウム膜に適用すると、光学性能に悪影響を与える。
これに対し、本発明で得られるフッ化リチウムは粒径が大きいため、乾燥処理が容易で、乾燥時に要する熱量も少なくて済む。このため、製造コストを一層低減できる。しかも、本発明の製造方法で得られるフッ化リチウムは、粒子構造中に取り込まれる水分が少なく、焙焼・溶融操作を行わなくとも乾燥処理だけで足りる。更に、フッ化リチウム中の残留酸素成分も1000重量ppm以下、更に500重量ppm以下、特に100重量ppm以下まで低減することができ、用途上非常に良好なものとなる。従って、フッ化リチウム単結晶、有機EL素子のフッ化リチウム膜、リチウムイオン二次電池の電解質用原料として、従来のフッ化リチウムよりもより品質の高い優れた製品の製造が可能となる。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
(実施例1)
炭酸リチウム74gを40重量%硝酸473gに加えて、攪拌溶解を行い、pH5の硝酸リチウム溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂製反応槽を0℃氷浴により冷却しながら、半導体グレードの50重量%フッ酸158gと前記硝酸リチウム溶液を、0.8m/秒の攪拌速度で、全量に対し100g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、8時間の攪拌を行った。
次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。回収した結晶を水で繰り返し洗浄し、その後、105℃で6時間乾燥した。得られた結晶の収量は49.2g(収率95%)であった。
更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ、0.92g/cmであった。また、安息角を測定したところ43度であり、平均粒径は80μmであった。更に、105℃で24時間乾燥後のフッ化リチウム中の酸素濃度は130重量ppmであった。
尚、嵩密度は、静置法法(JIS K5101−12−1)により測定した。また、安息角は、注入法により測定した。更に、平均粒径は、粒度分布測定器により測定した。また、フッ化リチウム中の酸素濃度は、酸素分析装置により測定した。
(実施例2)
水酸化リチウム84kgを29重量%硫酸851kgに加えて、攪拌溶解を行い、pH3の硫酸リチウム溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂でライニングした反応槽を60℃に保ち、半導体グレードの50重量%フッ酸158kgと前記硫酸リチウム溶液を、1m/秒の攪拌速度で、全量に対し50kg/m・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、6時間の攪拌を行った。
次に、得られた沈殿物を遠心濾過により濾別した。回収した結晶を水で繰り返し洗浄し、その後、105℃で6時間乾燥した。得られた結晶の収量は48.4kg(収率93%)であった。
更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ、0.83g/cmであった。また、安息角を測定したところ49度であり、平均粒径は60μmであった。更に、105℃で12時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は350重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例3)
塩化リチウム85gを純水210gに加えて、攪拌溶解を行い、pH7の塩化リチウム水溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂製反応槽を25℃に保ち、半導体グレードの50重量%フッ酸158gと前記塩化リチウム水溶液を、2m/秒の攪拌速度で、全量に対し150g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、9時間の攪拌を行った。
次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。回収した結晶を水で繰り返し洗浄し、その後、105℃で6時間乾燥した。得られた結晶の収量は46.9g(収率90%)であった。
更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ1.02g/cmであった。また、安息角を測定したところ38度であり、平均粒径は80μmであった。更に、105℃で8時間乾燥後のフッ化リチウム中の酸素濃度は190重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例4)
硝酸リチウム140gを35重量%塩酸110gに加え、さらに超純水100gを加え攪拌溶解を行い、pH5の硝酸リチウムの塩酸溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂製反応槽を45℃に保ち、半導体グレードの50重量%フッ酸102gと硝酸リチウムの塩酸溶液を、0.5m/秒の攪拌速度で、全量に対し200g/L・Hrの滴下速度となるように同時滴下を行った。更に、8時間の攪拌を行った。
次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別した。回収した結晶を水で繰り返し洗浄し、その後、105℃で6時間乾燥した。得られた結晶の収量は45.9g(収率87%)であった。
更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ、0.91g/cmであった。また、安息角を測定したところ44度であり、平均粒径は75μmであった。更に、105℃で6時間乾燥後のフッ化リチウム中の酸素濃度は220重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例5)
炭酸リチウム740gを45重量%硝酸2850gに加えて攪拌溶解を行った後、0.45μmのメンブレンフィルターにてろ過を行い、不溶解成分を除去した。これにより、pH7の硝酸リチウム溶液を作製した。
続いて、フッ素樹脂製反応槽を50℃に保ち、一般グレードの25重量%フッ酸4000gと、前記硝酸リチウム溶液を、0.8m/秒の攪拌速度で、全量に対し300g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、6時間の攪拌を行った。
次に、得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行った。その結果、472gの結晶が得られた(収率91%)。得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ、0.77g/cmであった。また、安息角を測定したところ48度であり、平均粒径は50μmであった。更に、105℃で72時間乾燥後のフッ化リチウム中の酸素濃度は490重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例6)
炭酸リチウム74gを23重量%硝酸1060gに加えて攪拌溶解を行った後、水酸化リチウムを加えて、pH10.0の硝酸リチウム溶液を調整した。続いて、フッ素樹脂製反応槽を30℃に保ち、半導体グレードの50重量%フッ酸200gと前記硝酸リチウム溶液を、1m/秒の攪拌速度で、全量に対し10g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、12時間の攪拌を行った。
次に、得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、50.4gの結晶が得られた(収率97%)。更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ、0.92g/cmであった。また、安息角を測定したところ41度であり、平均粒径は75μmであった。さらに、105℃6時間乾燥後のフッ化リチウム中の酸素濃度は200重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例7)
水酸化リチウム84gを69重量%硝酸274gに加え攪拌溶解を行い、pH5の硝酸リチウム溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂製反応槽を15℃に保ち、工業用グレードの20重量%フッ酸250gと前記硝酸リチウム溶液を、1m/秒の攪拌速度で全量に対し、100g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、1.5時間の攪拌を行った。
次に、得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、43.2gの結晶が得られた(収率83%)。
更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ0.81g/cmであった。さらに、安息角を測定したところ43度であり、平均粒径は60μmであった。更に、105℃4時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は300重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例8)
硝酸リチウム1400gを純水4420gに加え攪拌溶解を行った後、0.45μmのメンブレンフィルターにてろ過を行い、不溶解成分を除去した。さらに、このろ液をCR11(キレート樹脂)にてイオン交換を行った。これにより、pH7の硝酸リチウム水溶液を作製した。
続いて、フッ素樹脂製反応槽を45℃に保ち、半導体グレードの50重量%フッ酸1400gと前記硝酸リチウム水溶液を、2m/秒の攪拌速度で、全量に対し200g/L・Hrの滴下速度となるように同時滴下を行った。更に、8時間の攪拌を行った。
次に、得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、489gの結晶が得られた(収率93%)。
更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ0.92g/cmであった。また、安息角を測定したところ、40度であり、平均粒径は75μmであった。更に、105℃で9時間乾燥後のフッ化リチウム中の酸素濃度は200重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例9)
炭酸リチウム74gを35重量%塩酸217gに加え攪拌溶解を行い、pH7の塩化リチウム溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂製反応槽を氷浴で0℃に冷却しながら、半導体グレードの50重量%フッ酸156gと前記塩化リチウム溶液を、2.5m/秒の攪拌速度で、全量に対し150g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、3時間の攪拌を行った。
次に、得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、47.0gの結晶が得られた(収率90%)。得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ1.25g/cmであった。また、安息角を測定したところ34度であり、平均粒径は100μmであった。さらに、105℃12時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は80重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例10)
炭酸リチウム104kgを35重量%塩酸310kgに加え攪拌溶解を行い、pH7の塩化リチウム溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂でライニングした反応槽を10℃に保ち、一般グレードの25重量%フッ酸400kgと、調整した塩化リチウム溶液を2m/秒の攪拌速度で、全量に対し250kg/m・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、5時間の攪拌を行った。
得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、69.0kgの結晶が得られた(収率94%)。得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ0.89g/cmであった。さらに、安息角を測定したところ41度であった。また、平均粒径は70μmであった。さらに、120℃5時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は310重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例11)
塩化リチウム85gを純水320gに加え攪拌溶解を行い、pH5の塩化リチウム溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂製反応槽を20℃に保ち、工業用グレードの10重量%フッ酸500gと前記塩化リチウム溶液を、1m/秒の攪拌速度で、全量に対し180g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、1.5時間の攪拌を行った。
得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、45.5gの結晶が得られた(収率88%)。
更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ1.02g/cmであった。さらに、安息角を測定したところ、37度であった。また、平均粒径は80μmであった。さらに150℃3時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は160重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
さらに、固液分離を行った際の濾液を125℃で蒸留を行い、塔頂から得られた蒸気留分を―10℃で冷却した。この溶液の組成分析を行った。その結果、HF濃度:3重量%、HCl濃度:17重量%のフツ塩酸を回収できたことが確認された。
(実施例12)
炭酸リチウム740gを35重量%塩酸2300gに加え攪拌溶解を行い、pH6の塩化リチウム溶液を作製した。続いてフッ素樹脂製反応槽を氷浴で0℃に冷却しながら、半導体グレードの50重量%フッ酸2000gと前記塩化リチウム溶液を、2m/秒の攪拌速度で、全量に対し300g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、6時間の攪拌を行った。
得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、494gの結晶が得られた(収率95%)。
更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ0.89g/cmであった。さらに、安息角を測定したところ、42度であった。また、平均粒径は70μmであった。さらに105℃48時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は250重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
さらに、固液分離を行った際の濾液を125℃で蒸留を行い、塔頂から得られた蒸気留分を―5℃で冷却した。この溶液の組成分析を行った。その結果、HF濃度:2重量%、HCl濃度:20重量%のフツ塩酸を回収できたことが確認された。
(実施例13)
硫酸リチウム220gを純水401gに加え、攪拌溶解を行い、pH7の硫酸リチウム水溶液を作製した。続いてフッ素樹脂製反応槽を20℃に保ち、半導体グレードの50重量%フッ酸240gと前記硫酸リチウム水溶液を1.5m/秒の攪拌速度で、全量に対し50g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、6時間の攪拌を行った。
得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、45.3gの結晶が得られた(収率87%)。更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ1.17g/cmであった。また、安息角を測定したところ37度であり、平均粒径は85μmであった。さらに105℃36時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は100重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(実施例14)
炭酸リチウム74gを9重量%硫酸1100gに加え攪拌溶解を行い、pH7の硫酸リチウム溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂製反応槽を20℃に保ち、一般グレードの25重量%フッ酸165gと前記硫酸リチウム溶液を、0.75m/秒の攪拌速度で、全量に対し200g/L・Hrの滴下速度となるようにして同時滴下を行った。更に、9時間の攪拌を行った。
得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、49.2gの結晶が得られた(収率95%)。更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ0.97g/cmであった。また、安息角を測定したところ39度であり、平均粒径は80μmであった。さらに105℃6時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は135重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(比較例1)
フッ素樹脂製反応槽を氷浴で0℃に冷却しながら、炭酸リチウム74gを攪拌下、(水溶性のリチウム塩にせず直接)半導体グレードの50重量%フッ酸82.4g中へ、2m/秒の攪拌速度で、200g/L・Hrの滴下速度となるように加えた。その後、3時間の攪拌を行った。
次に、得られた沈殿物を吸引濾過により濾別し、回収した結晶を水にて繰り返し洗浄を行った後、105℃で6時間乾燥した。得られた結晶の収量は49.3g(収率95%)であった。更に、XRDにより解析を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ0.35g/cmであった。また、安息角を測定したところ65度であり、平均粒径は10μmであった。さらに、105℃12時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は1500重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(比較例2)
本比較例に於いては、特開2001−106524号公報に記載の方法によりフッ化リチウムの製造を行った。即ち、水酸化リチウム7.66gを超純水1000gに溶解し、50重量%濃度の半導体用フッ酸溶液26mlを加え、スターラで8時間の攪拌を行った。攪拌後に生成したリチウム沈殿物を、濾過・洗浄した。その後、室温で脱水・乾燥し、フッ素ガスを用いて60℃で乾燥処理を行った。さらに、LiF・HF中のHF分を脱離させるため、190℃で6時間の乾燥を行った。得られた結晶の収量は3.8gであった。
更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ0.21g/cmであった。また、安息角を測定したところ80度であり、平均粒径は10μmであった。さらに190℃乾燥後の粉末中の酸素濃度は1800重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。
(比較例3)
炭酸リチウム74gを69重量%硝酸450g中に加え攪拌溶解を行い、硝酸リチウム溶液を作製した。続いて、フッ素樹脂製反応槽中に半導体グレードの50重量%フッ酸156gを加え20℃に保ちながら、前記硝酸リチウム溶液を2m/秒の攪拌速度で200g/L・Hrの滴下速度となるようにして滴下を行った。更に、45℃で12時間の攪拌を行った。
得られた結晶の固液分離を行い、固体をリパルプ洗浄し、乾燥を行ったところ、47.1gの結晶が得られた(収率91%)。更に、得られた結晶のXRD測定を行ったところ、LiFであることが分かった。そこで、このLiFの嵩密度を測定したところ0.59g/cmであった。さらに、安息角を測定したところ、56度であった。また、平均粒径は20μmであった。さらに105℃8時間乾燥後の得られたフッ化リチウム中の酸素濃度は1350重量ppmであった。尚、嵩密度、安息角、平均粒径、酸素濃度の測定方法は、前記実施例1と同様とした。

Claims (4)

  1. 炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、及び硫酸リチウムからなる群より選択される少なくとも何れか1種のリチウム化合物の濃度が10〜50重量%であるリチウム塩溶液を作製し、
    前記リチウム塩溶液に対し、10重量%以上60重量%以下のフッ酸を1〜5モル当量の割合で、リチウム塩溶液及びフッ酸を反応器に同時滴下しながら反応させ、安息角が50度以下、且つ、嵩密度が0.75g/cm以上のフッ化リチウムを作製するフッ化リチウムの製造方法。
  2. 前記リチウム塩溶液は、前記炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、及び硫酸リチウムからなる群より選択される少なくとも何れか1種のリチウム化合物を、硝酸、塩酸、硫酸、及び水からなる群より選択される少なくとも何れか1種に溶解させて得られるものであることを特徴とする請求項1に記載のフッ化リチウムの製造方法。
  3. 前記リチウム塩溶液とフッ酸の同時滴下は、反応容量1m当たり1時間に10kg以上5000kg未満の速度により行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のフッ化リチウムの製造方法。
  4. 所定条件下での乾燥後のフッ化リチウムの酸素含有量が1000重量ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のフッ化リチウムの製造方法。
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