JP2008132780A - 発砲加工紙の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂層(外面)5の表面の少なくとも一部にあらかじめ発泡抑制インキ7と発泡低抑制インキ8を施し、加工紙1を加熱した際に、発泡部分Aと、発泡抑制インキを施した部分7に非発泡部分Cと、低発泡部分Bとが形成される発泡加工紙1の製造法に関し、さらに、発泡低抑制インキの樹脂成分が、少なくともエチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂からなる。
【選択図】図3
Description
この公報は、ポリエチレン樹脂加工紙を加熱し、紙の含有水分の蒸気圧により、表面のポリエチレン樹脂層を発泡させ、凹凸模様を製造する方法である。
また、胴部材の片側壁面が熱可塑性合成樹脂層の発泡層がコーティングまたはラミネートされている胴部材および底板部材から成る紙製容器として、紙カップへの応用が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、ポリオレフィン系樹脂層と紙を主体とする基材層との間に、着色インキによる印刷層を有する断熱性紙容器として、印刷部分で比較的厚い発泡層を持たせる製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
さらに、この発泡加工紙に発泡しない非発泡部分を形成する方法として、熱可塑性樹脂層の一部にスリットを設け、加熱による発泡において非発泡部分を形成する方法、あるいは紙と熱可塑性樹脂層の間に部分的に揮発防止塗布層(特に、水蒸気透過バリア性を有するコーティング材)を設け、その箇所を非発泡部分とする方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
スリットを設ける方法では、表面の熱可塑性樹脂層にのみスリットを入れることが難しいことと、外観上好ましくないなどの欠点があり、また、コーティング材を塗布する方法では、平滑な非発泡面になりにくいなどの欠点があった。
従って、図1に示すように、印刷層と発泡抑制としての揮発防止塗布層の上に最外面の熱可塑性樹脂層を設けるために印刷層の絵柄、表示などを外から確認する視認性に欠けるという欠点があった。
また、前記熱可塑性樹脂層(外面)の表面の少なくとも一部にあらかじめ発泡抑制インキと発泡低抑制インキを施し、前記加工紙を加熱した際に、発泡部分と、前記発泡抑制インキを施した部分に非発泡部分と、低発泡部分とが形成されることを特徴とする。
さらに、前記発泡低抑制インキの樹脂成分が、少なくともエチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂からなることを特徴とする。
また、最外面の熱可塑性樹脂の表面に、絵柄、表示などを印刷する発泡低抑制インキと発泡を抑制する発泡抑制インキを同一工程で印刷加工することにより、加熱の際、絵柄、表示などの印刷部分である非発泡部分と発泡部分、あるいは絵柄、表示などの印刷部分である低発泡部分と発泡部分とを同調させることが容易となり、かつ、最外面の熱可塑性樹脂の表面に発泡低抑制インキで絵柄、表示などの印刷し、その上に発泡抑制インキの印刷を行うため、発泡後の印刷された絵柄、表示などの視認性がよい独特な凹凸の外観を有する発泡加工紙を得ることができる。
まず、図2は、非発泡部分を有していない発泡加工紙11の製造法に係る材料構成を示す図である。
発泡加工紙11は、紙を基材層2として、外面側には中間印刷層3と透明ニス層4が設けられている。
但し、この中間印刷層3と透明ニス層4は、必ずしも必要としない。
また、中間印刷層3と透明ニス層4を設ける順序は、何れの場合も可能である。
さらに、これらの層は熱可塑性樹脂層(外面)5によって、被覆されている。
基材層2の内面側には熱可塑性樹脂層(内面)6がある。
また、基材層2と熱可塑性樹脂層(内面)6との間には、バリア性などを上げるためにアルミニウムなどの金属蒸着層、シリカなどの無機蒸着層などのバリア層を設けることもできる。
また、紙の含水率は、3〜10%、さらに好ましくは、5〜8%の範囲であることが望ましい。
紙の中の水分を蒸発させ、その蒸気圧の力で表面の熱可塑性樹脂層を発泡させる際に、含水率が3%未満であると発泡不足となり、発泡層の厚さが得られなかったり、含水率が10%を越えると発泡表面が破裂した状態となることがあり好ましくない。
この中間印刷層3は、部分的に着色インキで印刷される場合と、全面的に着色インキで印刷される場合とがある。
印刷の位置、印刷面積の大小、印刷の方法、使用されるインキなどは、従来公知の技術を適宜選択して用いることができる。
透明ニスを塗布する方法としては、印刷やコーティングによる方法がある。
中でも、グラビア印刷による方法が好ましい。
透明ニスの組成は、体質顔料を含んだ合成樹脂が主成分となっている。
合成樹脂としては、硝化綿、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂、アクリル樹脂、これらの2種類以上を混合した樹脂などを用いることができる。
また、体質顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、これらの2種類以上からなる混合物などを用いることができる。
透明ニスの塗布量は、塗布後の乾燥状態で2〜3g/m2 が好ましい。
この熱可塑性樹脂層(外面)5および熱可塑性樹脂層(内面)6は、印刷および透明ニスが施された基材層2の外面と内面に積層される。
積層する方法には、樹脂を熱溶融して塗布する押し出しコーティング法、あるいはフィルムになったものを貼り合わせるラミネート法などがある。
発泡層となる外面の熱可塑性樹脂層(外面)5の厚さは、10〜100μmの範囲が好ましい。
10μm未満または100μmを越えると発泡しにくくなる。
一方、内面の熱可塑性樹脂層(内面)6の厚さは、特に限定されない。
また、内面の熱可塑性樹脂層(内面)6を発泡させずに、外面の熱可塑性樹脂層(外面)5だけを発泡させるために、内面からの水蒸気の蒸発を防ぐ方法として、内面の熱可塑性樹脂は外面の熱可塑性樹脂より軟化点の高い熱可塑性樹脂を用いる。
例えば、ポリエチレン樹脂を例にとれば、軟化点の低い低密度ポリエチレン樹脂を外面の熱可塑性樹脂として用い、軟化点の高い高密度ポリエチレン樹脂を内面の熱可塑性樹脂として用いることができる。
加熱発泡する前の工程で、あらかじめ非発泡部分にしようとする熱可塑性樹脂層(外面)5の表面部分に、図3−aに示すように、発泡抑制インキ印刷部分7と発泡低抑制インキ印刷部分8を設ける。
熱可塑性樹脂層(外面)5の表面上に発泡抑制インキ印刷部分7を設けることによって、図3−bに示すように、加熱による熱可塑性樹脂層(外面)5の発泡を防ぎ、非発泡部分Cを形成している。
つまり、発泡抑制インキが施された発泡抑制インキ印刷部分7の下の部分の熱可塑性樹脂層(外面)5は、加熱されても、流動性が抑えられるため、あるいは水蒸気が透過しにくいことにより発泡が抑えられことになる。
また、発泡低抑制インキ印刷部分8を設けることによって、発泡低抑制インキが施された熱可塑性樹脂層(外面)5の部分は、加熱されても、厚さが2〜10倍程度に発泡し、低発泡部分Bを形成するものの、発泡抑制インキおよび発泡低抑制インキが施されていない部分の5〜20倍程度の厚さとなって発泡部分Aを形成するのと比較するとその程度は少ない。
従って、発泡抑制インキ印刷部分7と発泡低抑制インキ印刷部分8を設けることによって、非発泡部分C、低発泡部分B、そして発泡部分Aの3段階の発泡程度の異なる表面部分を得ることできる。
印刷の加工は、主に、グラビア印刷で行なうことができる。
この発泡低抑制インキは、有色でも、無色でもよい。
印刷でのインキの塗布量は少ないと発泡倍率が高く、多いと発泡倍率が低くなる。
乾燥後で1〜2μmの厚さが好ましい。
例えば、硝化綿、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ケトン樹脂などのいずれかの樹脂の少なくとも一種類を使用する。
印刷の加工は、主に、グラビア印刷で行なうことができる。
発泡抑制インキは、有色でも、無色でもよい。
印刷でのインキの塗布量は、通常あるいは通常以上がよく、乾燥後で3〜5μmの厚さが好ましい。
さらに、中間印刷層の絵柄に合わせて発泡抑制インキ印刷部分7と発泡低抑制インキ印刷部分8を組み合わせて設けることもできる。
坪量220g/m2 、含水率8.0%のカップ原紙の表面に40μmの厚さの低密度ポリエチレン樹脂層を、裏面には、20μmの中低密度ポリエチレン樹脂層を押し出しコーティング法によって設けた。
表面には、絵柄、内容表示およびPOSバーコードを、発泡低抑制インキであるバインダーの樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体のグラビアインキ(商品名−ザ・インクテック株式会社製LOKTRインキ)を用いてグラビア印刷で印刷し、図7に示すように、その上の内容表示、POSバーコードを含む部分を、発泡抑制インキであるバインダーの樹脂が硝化綿のグラビアインキを用いて同一工程のグラビア印刷で印刷した。
この積層された積層体を打ち抜き加工で胴部用のブランクにし、紙カップ成型機によって紙カップを作成した。
さらにこの紙カップを、120°Cの乾燥機の中で3分間加熱し、図6に示すように、表面に発泡部分、低発泡部分、非発泡部分を有する発泡加工紙を使用した発泡紙カップ9を得た。
内容表示、POSバーコードを含む部分は、非発泡部分となるため、視認性が非常によく、また、絵柄の部分も低発泡部分となり、十分な視認性を有していた。
さらに、表面の印刷層が発泡部分の表面より高さが低くなることにより、ブランクあるいは製品の状態で重ね合わせた場合に、印刷インキが他の面に移行し汚してしまうという危険がない。
また、最外面の熱可塑性樹脂の表面に、絵柄、表示などを印刷する発泡低抑制インキと発泡を抑制する発泡抑制インキを同一工程で印刷加工することにより、加熱の際、絵柄、表示などの印刷部分である非発泡部分と発泡部分、あるいは絵柄、表示などの印刷部分である低発泡部分と発泡部分とを同調させることが容易となり、かつ、最外面の熱可塑性樹脂の表面に発泡低抑制インキで絵柄、表示などの印刷し、その上に発泡抑制インキの印刷を行うため、発泡後の印刷された絵柄、表示などの視認性がよく、さらに、表面の印刷層が発泡部分の表面より高さが低くなることにより、ブランクあるいは製品の状態で重ね合わせた場合に、印刷インキが他の面に移行し汚してしまうという危険がない独特な凹凸の外観を有する発泡加工紙を得ることができる。
そして、本発明の発泡加工紙は、断熱性容器あるいは表面の凹凸により意匠性を有する容器などとして利用することができるものである。
2 基材層
3 中間印刷層
4 透明ニス層
5 熱可塑性樹脂層(外面)
6 熱可塑性樹脂層(内面)
7 発泡抑制インキ印刷部分
8 発泡低抑制インキ印刷部分
9 発泡紙カップ
11 非発泡部分を有していない発泡加工紙
A 発泡部分
B 低発泡部分
C 非発泡部分
Claims (3)
- 紙を主体とする基材層の外面に、加熱により発泡する熱可塑性樹脂層(外面)を設け、
他方、上記の紙を主体とする基材層の内面に、上記の加熱により発泡する熱可塑性樹脂層(外面)を構成する熱可塑性樹脂より軟化点の高い熱可塑性樹脂層を設けて加工紙を生成し、
次いで、上記の加熱により発泡する熱可塑性樹脂層(外面)の表面の少なくとも一部に、発泡抑制インキと発泡低抑制インキとを使用し、該発泡抑制インキを施した部分、該発泡低抑制インキを施した部分、および、該発泡抑制インキと発泡低抑制インキのいずれも施さない部分を形成し、
しかる後、上記の加工紙を加熱処理し、上記の発泡抑制インキを施した部分に非発泡部分、上記の発泡低抑制インキを施した部分に低発泡部分、および、上記の発泡抑制インキと発泡低抑制インキのいずれも施さない部分に発砲部分を形成した3段階の発砲程度の異なる表面部分を製造することを特徴とする発泡加工紙の製造法。 - 紙を主体とする基材層の外面に、加熱により発泡する熱可塑性樹脂層(外面)を設け、
他方、上記の紙を主体とする基材層の内面に、上記の加熱により発泡する熱可塑性樹脂層(外面)を構成する熱可塑性樹脂より軟化点の高い熱可塑性樹脂層を設けて加工紙を生成し、
次いで、上記の加熱により発泡する熱可塑性樹脂層(外面)の表面の少なくとも一部に、発泡低抑制インキを使用し、光学読み取りコードを印刷し、
しかる後、少なくとも上記の発泡低抑制インキによる光学読み取りコードの印刷部分の上に、透明性のあるインキを使用した発泡抑制インキの印刷部分を形成し、
次に、上記の加工紙を加熱処理し、上記の発泡抑制インキの印刷部分と、上記の発泡低抑制インキを施した部分と上記の発泡抑制インキの印刷部分との重複部分とに非発砲部分、上記の発泡低抑制インキを施した部分と上記の発泡抑制インキの印刷部分との重複部分以外の発泡低抑制インキを施した部分に低発泡部分、および、上記の発泡抑制インキと発泡低抑制インキのいずれも施さない部分に発砲部分を形成した3段階の発砲程度の異なる表面部分を製造することを特徴とする発泡加加工紙の製造法。 - 紙を主体とする基材層が、その一方ないし両面に、中間印刷層と透明ニス層のいずれか一層ないし二層を設けることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載する発泡加工紙の製造法。
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