JP2008107372A - 光導波路作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】屈折率制御を容易に且つ高精度で行い、効率良く光導波路を作製することのできる、新しい光導波路作製方法を提供する。
【解決手段】下部クラッド上にSiN層を成膜し、該SiN層上に、作製すべき光導波路コアの平面形状と同じ形状の紫外線不透過領域を持ち、それ以外の領域は紫外線透過領域となっている露光マスクを通して、紫外線を照射する、ことを特徴とする光導波路作製方法。
【選択図】図9
【解決手段】下部クラッド上にSiN層を成膜し、該SiN層上に、作製すべき光導波路コアの平面形状と同じ形状の紫外線不透過領域を持ち、それ以外の領域は紫外線透過領域となっている露光マスクを通して、紫外線を照射する、ことを特徴とする光導波路作製方法。
【選択図】図9
Description
この出願の発明は、光導波路作製方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、屈折率制御をより容易に且つ高精度で行い、効率良く光導波路を作製することのできる、新しい光導波路作製方法に関するものである。
近年の高度情報化の著しい進展にともない、光通信のさらなる大容量化、高機能化を実現すべく、この出願の発明の発明者はすでに、波長アクセスネットワーク用のADD/DROP型フィルタなどとして有用な、リング共振器を用いて入力側光導波路および出力側光導波路相互のADD/DROP動作を行うリング共振器付き光導波路型波長フィルタ(「積層マイクロリング共振器型波長フィルタ」とも呼ぶことができる。ここでは「リング共振器型波長フィルタ」と略称する)を提案している(特許文献1、非特許文献1参照)。
このリング共振器型波長フィルタは、たとえば図1に例示したように、入力側光導波路(1)および出力側光導波路(2)(ここでは両者を併せて「バスライン」と略称する場合がある)を下層クラッドに互いに交差するように埋め込み、その交差部においてリング共振器(3)(「リング導波路」とも呼ぶことができる)を積層する構造を持つ。このため、バスラインは光ファイバとの高効率結合を、リング共振器(3)は半径の微小化によるFSRの拡大を目的として、それぞれに最適設計を行うことができる。また、バスラインの結合比を膜厚制御によって高精度に制御できる。さらには、バスラインをクロスグリッド状に構成し、交差部に積層配置するリング共振器(3)も微小であるので高密度集積化が可能であり、複数のリング共振器(3)を直列、並列、あるいは縦列に接続することによって、様々にフィルタ特性を合成して、透過帯域の平坦化やFSRの拡大等を行うことができるなど、多くの特徴を持つADD/DROP波長フィルタを実現している。
しかしながら、このように優れたリング共振器型波長フィルタにあっても、実際に作製すると、フォトマスクの作製分解能やコア膜厚の不均一性等に起因する作製誤差によって中心波長が設計値からずれることがあったのである。たとえば、リング共振器(3)の半径を50nmずつ微小に異ならせた1×8フィルタアレイ(特許文献1、非特許文献1参照)において、中心波長のチャネル間隔が5.7nmとなるように設計した場合、リング半径と中心波長の関係をプロットすると、たとえば図2に例示したように理論値に対して最大で1.6nmの中心波長誤差が生じることがある。
そこで、この出願の発明の発明者等は、UV感光性ポリマー(ポリシラン)をクラッドに用いたトリミング方法を既に開発しており、それにより9.0nmのトリミング幅を達成している(非特許文献2参照)。
特開2000−298215号公報
S.T.Chu, B.E.Little, W.Pan, T.Kaneko, S.Sato, Y.Kokubun: "An 8 channel Add/Drop filter using vertically coupled microring resonators over a cross grid", Photon.Techn.Lett., vol.11, No.6, pp.691-693 (1999)
S.T.Chu, W.Pan, S.Sato, T.Kaneko, B.E.Little, Y.Kokubun: "Wavelength trimming of a microring resonator filter by means of a UV sensitive polymer overlay", Photon.Techn.Lett., vol.11, No.6, pp.680-690 (1999)
しかしながら、このように優れたトリミング方法にあっても、さらに改良すべき点のあることが、この出願の発明の発明者等による更なる研究によって見出された。
すなわち、トリミング後の中心波長に経時変化が生じてしまい、せっかくトリミングしても時間が経つにつれて中心波長が設計値からずれてくるのである。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑み、高精度で、且つ経時変化の少ない安定した中心波長トリミングを行うことのできる、新しい波長フィルタの中心波長トリミング方法を基に、屈折率制御を容易に且つ高精度で行い、効率良く光導波路を作製することのできる、新しい光導波路作製方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、下部クラッド上にSiN層を成膜し、該SiN層上に、作製すべき光導波路コアの平面形状と同じ形状の紫外線不透過領域を持ち、それ以外の領域は紫外線透過領域となっている露光マスクを通して、紫外線を照射する、ことを特徴とする光導波路作製方法を提供し、第2には、SiN層にSiH4(モノシラン)ベースSiNを用いることを特徴とする光導波路作製方法を提供し、第3には、SiN層に4MS(テトラメチルシラン)ベースSiNを用いることを特徴とする光導波路作製方法を提供する。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、紫外線照射によるコア等価屈折率の高精度且つ高安定な変化効果を利用して、屈折率制御をより容易に且つ高精度で行い、効率良く光導波路を作製することのできる、新しい光導波路作製方法が提供される。
以下に、添付した図面に沿って実施例に基づき本発明の実施の形態を詳しく説明する。
実施例の説明に先立ち、中心波長トリミング方法について述べる。
[中心波長トリミングの原理]
リング共振器型波長フィルタは、入力側光導波路(1)の入力ポートから波長多重した光波を入射させると、導波路交差部に積層配置されたリング共振器(3)で共振波長の光波のみが出力側光導波路(2)のドロップポートに出射し、それ以外の波長の光波は入力側光導波路(1)のスルーポートから出射する構造になっており(図1、図3参照)、共振波長は主にリング半径と等価屈折率で決まる。
リング共振器型波長フィルタは、入力側光導波路(1)の入力ポートから波長多重した光波を入射させると、導波路交差部に積層配置されたリング共振器(3)で共振波長の光波のみが出力側光導波路(2)のドロップポートに出射し、それ以外の波長の光波は入力側光導波路(1)のスルーポートから出射する構造になっており(図1、図3参照)、共振波長は主にリング半径と等価屈折率で決まる。
トリミング時の等価屈折率の変化による中心波長のシフト量Δλ0は、次式で表される。ここで、Rはリング半径、Nは共振次数、Δηeqは等価屈折率の変化量である。
この出願の発明では、屈折率が約2.0と大きい超高屈折率差導波路用コア材料としてSiNに着目した。ここでリングコア用SiNの屈折率変化について述べる。
実際にプラズマCVD装置により成膜したSiH4(モノシラン)ベースSiN膜と4MS(テトラメチルシラン)ベースSiN膜に紫外線を照射して、プリズムカプラによって屈折率変化量を測定した。いずれもSiN膜の厚さは約2.8μmであり、基板はSiである。その結果、図4に例示したように、SiH4ベースSiN膜では、4時間の紫外線照射で−1.3×10-2という大きな屈折率変化が観測でき、また、水素ローディングを行わなくても屈折率の経時変化が見られず、極めて有用な特性を持つことがわかった。
これは、材料自体が多量のH2を含むことにより水素ローディングを行った場合と同様に経時変化抑止効果が得られたことによるものと考えられる。
次に、同じ条件でSiH4ベースSiN膜と4MSベースSiN膜に紫外線を照射した場合の屈折率変化量を、図5に比較して例示する。図5より、4MSベースSiN薄膜ではほとんど屈折率の変化が見られない。両者の屈折率がほぼ等しいことから、リングコア材料としてSiH4ベースSiNを用い、バスライン材料として4MSベースSiNを用いれば、等価屈折率を近づけることができ、さらにリング共振器に紫外線を照射したときのバスラインの屈折率変化を考慮する必要がなくなる。
紫外線照射時間に対する屈折率の変化から中心波長のシフト量を算出した結果を、図6に例示する。リング半径10μm、コア幅1.5μm、コア厚1.5μmのリング共振器を仮定すると、4時間照射で最大11.5nmの中心波長シフトが得られることがわかった。
また、中心波長は紫外線照射時間に対して線形に変化しており、照射時間による中心波長シフト量の制御が容易であることがわかる。
ここで、実際にSiH4ベースSiN膜をリングコアに用いてリング共振器型波長フィルタ(リング半径R=10nm)を作製し、それに対して紫外線照射を行い、中心波長シフト量を測定した。図7はその測定結果の一例を示したものである。この図7から明らかなように、実際には上記算出した理論値−11.4nmよりも大幅に大きなシフト量である−12.4nmを得ることができた。また、トリミング後の中心波長の測定結果の一例は図8に示したとおりであり、250時間以上にわたり経時変化は観測されていない。
したがって、中心波長のシフト効果および経時変化抑止効果ともに極めて優れたトリミング方法を実現できたことがわかる。
なお、以上の例ではリング共振器型波長フィルタを中心に説明したが、この出願の発明の中心波長トリミング方法は当然、それ以外の様々な波長フィルタ、たとえばマッハツェンダー型波長フィルタ、ファブリ・ペロー型波長フィルタ、アレイ導波路格子型波長フィルタなど、に適用できることは言うまでもなく、それぞれのコアにSiN(好ましくはSiH4ベースや4MSベースSiN)を用いればよい。いずれの波長フィルタであっても同様に優れたトリミングを実現できるのである。
以上の知見に基づくこの出願の発明の実施例について述べる。
この出願の発明によれば、上述したとおりの紫外線照射によるコア等価屈折率の高精度且つ高安定な変化効果を利用することで、高効率な光導波路の作製を実現することができる。
従来では、光導波路を作製するために、何らかの方法で屈折率を変化させてコアを形成することが知られているが、その屈折率変化の制御を高精度且つ高安定で行う技術は実現されていなかった。そこで、この出願の発明は以下に詳細に説明する光導波路作製方法を提供する。
図9は、この光導波路作製方法を説明するための図である。この図9に例示したように、まずSi等の基板(10)上にSiO2等の下部クラッド(20)をRFスパッタ法等により成膜し、その上にSiN層(30)を成膜する。続いてこのSiN層(30)上に、作製したい光導波路コアの平面形状と同じ形状の紫外線不透過領域(51)を持ち、それ以外の領域は紫外線透過領域(52)となっている露光マスク(50)を通して、紫外線を照射する。これにより、SiN層(30)において、紫外線不透過領域(51)により紫外線が遮られた領域は屈折率が変化せずにコアとなり、それ以外の紫外線透過領域(52)下の領域は屈折率が変化してクラッドとなる。後はこの上に上部クラッド(40)を成膜すればよい。
これによれば、コア材料としてSiNを用い、且つそれに対する紫外線照射を行うことで、屈折率制御をより容易に且つ高精度で行い、高効率で光導波路を作製することができるのである。もちろんSiN層(30)にSiH4ベースSiNまたは4MSベースSiNを用いることが好ましいのは、前述のトリミング方法と同様であり、また水素ローディングをさらに適用してもよい。
この出願の発明は以上の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
10 基板
20 下部クラッド
30 SiN層
40 上部クラッド
50 露光マスク
51 紫外線不透過領域
52 紫外線透過領域
20 下部クラッド
30 SiN層
40 上部クラッド
50 露光マスク
51 紫外線不透過領域
52 紫外線透過領域
Claims (3)
- 下部クラッド上にSiN層を成膜し、該SiN層上に、作製すべき光導波路コアの平面形状と同じ形状の紫外線不透過領域を持ち、それ以外の領域は紫外線透過領域となっている露光マスクを通して、紫外線を照射する、ことを特徴とする光導波路作製方法。
- SiN層にSiH4(モノシラン)ベースSiNを用いることを特徴とする請求項1記載の光導波路作製方法。
- SiN層に4MS(テトラメチルシラン)ベースSiNを用いることを特徴とする請求項1記載の光導波路作製方法。
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