JP2005037872A - 光学素子およびそれを備えた光回路並びに光分波器 - Google Patents

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準治 西井
Tatsuhiro Nakazawa
達洋 中澤
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重雄 橘高
Keiji Tsunetomo
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Abstract

【課題】 光通信における低密度波長多重方式に使用する光分波器は、小型で設置スペースが小さくて済み、温度や湿度に対する耐性が高く安定性に優れ、かつ大量生産が可能でなければならない。
【解決手段】 本発明においては、回折格子30と凹面鏡33、35を同一基板38上に形成した平面光回路型の光分波器を提供する。この回折格子30は、固体からなるリッジ部と溝部の空間とを周期配列して構成されており、その回折格子が固体材料中に埋め込まれ、光導波路構造を有している。この平面光回路は通常にリソグラフィ、エッチング、成膜技術によって容易に作製することができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、光学素子およびそれを備えた光回路並びに光分波器に関する。
インターネットの急速な普及により、光ファイバ通信網の情報伝送容量の増大が強く求められるなか、波長多重(WDM)方式の開発が急速に進められてきた。WDM方式とは、複数の波長の異なる光を用い独立な情報を多重化して伝達する通信技術である。この技術においては、多重化した信号を分離するために波長選択性の良い光分波器が必要となる。
ところで近年、WDM方式による光通信は、これまでの幹線系だけでなく都市内など中近距離系にも適用が進められている。この場合、幹線系のような高密度波長多重(DWDM)方式ではなく、比較的チャンネル幅の広い低密度波長多重(CWDM)方式が主流となる。
CWDM方式における光分波器では、DWDM方式と違って設置スペースが小さいこと(小型化)、温度や湿度に対する耐性が高いこと(高安定性)などの性能が求められるうえに、大量生産が可能(低コスト)でなければならない。
このような要求を実現する一つの手段は、光分波器を光導波路を用いた平面回路型とすることである。平面回路型とする最大の利点は、小型化は当然のこと、基板をリソグラフィとドライエッチング技術によりウェハごとに大量処理できる点である。またシリカ系ガラスを用いた光導波路は光ファイバとの屈折率整合がよく、接続損失が小さいため、実用性が高い。
このような光分波器としては、アレイ導波路型回折格子(AWG、Arrayed Waveguide Gratings)が知られている。AWGとは複数の波長成分を含む光を、複数本の少しずつ光路長の異なる光導波路(光導波路アレイ)に伝搬させ、生じた位相ずれによる回折現象を利用して波長分離を行う素子である。
しかしAWGはもともとDWDM方式用に開発された光分波器であるため、CWDM用に設計してもコスト低減や小型化の効果は小さく、CWDM方式への適用は相応しくない。
一方、反射型、あるいは透過型の回折格子を用いて波長分離を行う光分波器は従来よく知られている。これらは光学部品の組合せによって構成されていたが、この光学系を平面光回路へ集積した分光装置も開発されている(非特許文献1、2参照)。反射型のブレーズ回折格子を用いた平面回路ではAWGに対して数十%以上の小型化が可能であり、回折格子を平面光回路へ集積した光分波器はCWDM用として有望である。
また、近年光集積回路としてフォトニック結晶が盛んに研究されている。フォトニック結晶は、屈折率差の大きな材料を光の波長程度の周期で規則正しく配列させたもので、光の急峻な曲げや完全な閉じ込めなど、従来の均質材料にはない特性を発現させることが可能である。
フォトニック結晶を形成するには、例えば光通信分野ではミクロンからサブミクロンのスケールで周期構造を形成する微細加工技術が必要となる。基板面上に微細なホールや柱状構造を配列させたスラブ型の2次元フォトニック結晶は、一般に電子線描画などの微細パターニング装置とドライエッチング装置を用いて作製される。このように基板表面に微細な周期構造を形成させることは、半導体の微細加工技術の発展とともに比較的容易になってきた。
さらに、基板の垂直方向に周期構造を有するフォトニック結晶も提案されている。このような垂直方向へ周期性を有する2次元あるいは3次元のフォトニック結晶は、偏光分離素子や完全バンドギャップを利用した光共鳴素子の形成を可能とする。具体的な形成方法としては、感光性の高分子樹脂に3方向からレーザを照射し、光の干渉を利用して周期構造を形成したものや、シリカ微小球を基板上に最密充填したもの、基板表面の規則正しい凹凸形状を維持しつつ多層膜を成膜していくといった様々なものが提案されている。しかし、そのような形成方法の多くは、ある特定の位置に点や線の欠陥を導入するといった構造上の自由度に乏しいものである。
これに対して、基板の垂直方向に周期構造を有する自由度の高い3次元フォトニック結晶が報告されている(非特許文献3)。これは、一対の基板上に形成させたライン&スペースの周期構造体同士を貼り合わせ、片方の基板のみを剥離させるという工程を繰り返すことで、積層の周期構造(ウッドパイル型と呼ばれる)を得ている。この形成方法では、各層ごとに周期の一部を除去するか、あるいは周期を変調した構造形成が可能となる。これにより、例えば光を直角に曲げる欠陥導波路や3次元の完全バンドギャップによる反射ミラーなどが報告されている。
S・ヤンツ(S. Janz)、他13名、「光ファイバ通信国際会議論文集(Proceedings of OFC 2002)」、(米国)、2002年、TuK2 クリストファー・N・モーガン(Christopher. N. Morgan)、他4名、「IEEE フォトニクス・テクノロジー・レターズ(IEEE Photonics Technology letters)、(米国)、2002年、第14巻、第9号、p.1303−1305 Susumu Noda, Katsuhiro Tomoda, Noritsugu Yamamoto, Alongkarn Chutian, SCIENCE, vol.289, p.604-606, 2000.
しかし、平面光回路に集積する反射型回折格子は、基板からの高さは数μm程度の微小かつ垂直な回折格子面を形成する必要があり、さらにその回折格子面に反射面としての金属成膜が必要となる。このような構造を作製するためには複雑かつ高度な加工技術が必要となる。
また、回折格子による波長分解能は、回折光の次数と格子数の積に比例することがよく知られている。次数と回折格子の大きさを一定とすると、分解能を向上させるためには格子周期を小さくしなければならない。ブレーズの回折格子では格子周期が波長程度になってくると、偏光方向(TE偏光とTM偏光)による効率差、すなわち偏光依存損失(Polarization Dependent Loss、PDL)が顕著になってくる。逆にPDLを緩和するために周期を大きくすると、格子本数を増やさなければならなくなり、分波器の小型化が困難になる。また回折次数を増やすと、高次の不要な光を他の装置によって除去しなければならなくなるため、効率が当然急減する。
一方、透過型の回折格子を用いた平面光回路では、スラブ導波路内に回折格子を形成するための空間を作る必要がある。しかし、光導波路を構成するためにはその上部にクラッド層を形成する必要があり、その形成時に空間を維持するのが困難である。一般に空気層をクラッドとする光導波路では伝搬モードが多モードになり、偏光による依存性も非常に顕著になる。
次に、周期構造の形成技術に着目してみる。従来技術でも説明したように、基板の垂直方向へ周期構造を形成するには、各層ごとに自由に欠陥などを形成させ、その構造体を積層していく手法が構造の自由度が高いので望ましい。前述の「貼り合わせによる周期構造の形成」は、下地となるパターンの上に新たな層のパターンを重ねていくので、どのようなパターンでも重ねられるというものではなく、用いるパターンに制約がある。つまり、構造の自由度はあまり高くない。
また、貼り合わせを行うには、例えば半導体を基板材料とした場合、500℃の炉内で構造体同士をナノレベルの位置精度で融着し、それらを層数分だけ繰り返すという高度かつ煩雑なプロセスが必要となる。当然、用いる材料も融着可能なものに限定される。また、大面積化も容易ではない。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものである。その目的は、周期構造の自由度が高い光学素子を提供することにある。また、波長分解能が高く、偏波依存が少なく、かつ小型化が可能な光分波器を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、凸部と該凸部の周囲に設けられた凹部とを備えた構造体が前記凹部による空間を有したまま固体中に埋め込まれた光学素子において、
前記構造体が埋め込まれた固体は成膜法により形成された膜であることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学素子において、前記構造体は基板上または基板上に積層された固体層上に設けられ、前記構造体はその上部が成膜法により形成された膜で覆われていることを要旨とする。
このような光学素子は、構造体の埋め込みを成膜法により形成した膜で行っているので、構造体を薄い膜で覆うことができる。即ち、光学素子上に別な光学素子を積層することができる。また、光学素子上にレンズアレイなどの光学部品を設ける際、構造体と光学部品との距離はこの薄膜の厚みとなるので、構造体と光学部品とを近づけることができる。
また、このような光学素子は一般的なリソグラフィ、エッチングおよび成膜技術だけで作製できる。このため、構造体の埋め込みを貼り合わせで行う場合に較べて容易に製造できる。また構造体を光導波路中に形成することが容易で、かつ微細な構造体を破損、汚染から保護でき、耐久性を向上できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光学素子において、前記構造体の凸部または凹部の少なくとも一方は、周期構造を有することを要旨とする。
少なくとも、凸部が周期構造を有するか、または凹部による空間が周期構造を有しているので、この周期構造によって光学特性を制御することができる。この周期構造は繰り返しパターンであり、パターン同士が連結して設けられていても、パターン同士が孤立して設けられていてもよい。また、凸部と凹部の双方が周期構造を有していてもよい。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子において、前記構造体の凸部および凹部の少なくとも一方は、1次元に周期的に配置されていることを特徴とする。
少なくとも、凸部が1次元的に周期配置されるか、または凹部による空間が1次元的に周期配置されているので、凸部または凹部の周期配置によって光学特性を制御することができる。また、凸部と凹部の双方が1次元的に周期配置されてもよい。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子において、前記構造体の凸部および凹部の少なくとも一方は、2次元に周期的に配置されていることを特徴とする。
少なくとも、凸部が2次元的に周期配置されるか、または凹部による空間が2次元的に周期配置されているので、凸部または凹部の周期配置によって光学特性を制御することができる。また、凸部と凹部の双方が2次元的に周期配置されてもよい。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子において、前記構造体の凸部は積層膜であることを要旨とする。
凸部が積層膜で設けられているので、積層膜によっても光学特性を制御できる構成になっている。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子において、前記構造体の凹部は積層膜中に設けられた凹部であることを要旨とする。
凹部が積層膜中に設けられているので、この積層膜によっても光学特性を制御できる構成になっている。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子が積層されていることを要旨とする。
請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子を、同じ構造の光学素子同士で積層させるか、異なった構造の光学素子で積層されているので、さらなる光学特性の向上が行える。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学素子に光学部品が備えられていることを要旨とする。
このように、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学素子に、集光部または光導波路などの光学部品が備えられてもよい。
例えば、光学素子にレンズなどの集光部を備えると、光学素子の光入射側に集光部を設けた場合、平行光をレンズで集光して光学素子に入射できる。また、発散光をレンズで平行光にして光学素子に入射できる。一方、光学素子の光出射側に集光部を設けた場合、光学素子から平行光が出射されとレンズで集光して出射できる。また、光学素子から発散光が出射されるとレンズで平行光にして出射できる。
また、光学素子の光入射側にアレイ状のレンズを設けると、例えば、光学素子への入射位置が異なる複数の入射光を個々のレンズで集光して光学素子へ入射できる。また、光学素子の光出射側にアレイ状のレンズを設けると、例えば、出射位置が異なる複数の出射光を個々のレンズで集光して出射できる。
また、例えば、光学素子に光導波路を備えると、光学素子から出射された光を光導波路へ入射させることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学素子において、前記構造体は凸部と凹部とが周期的に配列している周期構造体であり、前記凹部の深さと幅との比(深さ/幅)が0.5より大きく、かつ前記周期構造体の周期と使用する波長との比が1/20以上、20以下の範囲にあることを要旨とする。
凹部は深さと幅との比(深さ/幅)が0.5より大きくなるように形成されているので、このような形状の周期構造体は上部に被覆膜を成膜しても凹部が埋まることがなく、周期構造体を構成する凹部の空間が維持できる。
また、周期と使用波長との比が1/20以上、20以下の範囲であるので、周期構造体を、例えば、回折格子、フォトニック結晶、偏光分離素子、無反射構造などに応用することができる。特に固体と気体(または真空)とからなる周期構造体を用いることにより、屈折率差が大きくできるため、上記の各素子の性能を向上させることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の光学素子において、前記周期構造体の凹部の深さと幅との比(深さ/幅)が2以上であることを要旨とする。
このように凹部が深く形成されているので、周期構造体は上部に被覆膜を成膜しても凹部が埋まることを抑制でき、周期構造体を構成する凹部の空間をより維持できる。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学素子において、前記周期構造体は、基板または基板上に積層された下部クラッド層と前記周期構造体の上部を被覆する上部クラッド層との間のコア層内に形成され、該コア層の屈折率は前記上部および下部クラッド層の屈折率よりも大きいことを要旨とする。
このような構造の光学素子は、光導波路構造を有しているため、単一モード伝搬を行うことができ、また偏光依存性を低減できるとともに、光ファイバとの結合損失を低減することが可能となる。
請求項13に記載の発明は、前記周期構造体が少なくとも入射光を1次回折する回折格子である請求項12に記載の光学素子Aと、
該光学素子Aが形成されたコア層内に設けられ伝搬光の広がり角を制御して前記光学素子Aに入射する機能を備えた光学素子Bと、
前記光学素子Aにより分波された複数の異なる波長成分を有する光線を集光する光学素子Cと、
を少なくともそれぞれ一つ備えたことを要旨とする。
上記の光学素子を要素として備えることにより、光分波器として機能する平面光回路を提供することができる。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の光回路において、前記光学素子Bに光を入射するチャンネル光導波路と、
前記光学素子Cから出射される波長ごとに分波された光線にそれぞれ結合するチャンネル光導波路アレイと、
を備えたことを要旨とする。
光回路内にチャンネル光導波路、導波路アレイを配置することにより、光回路への光入射、光回路からの出射光の取り出しを容易にすることができる。
請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の光回路において、前記光学素子BおよびCの少なくともいずれか一方が凹面鏡であることを要旨とする。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の光回路において、前記凹面鏡は、それが形成されているコア層と空間との界面の全反射を用いてなることを要旨とする。
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の光回路において、前記光学素子BおよびCは双方とも凹面鏡であり、該凹面鏡が形成されているコア層と空間との界面が放物面の一部からなることを要旨とする。
上記のような凹面鏡は平面光回路内に周期構造体と共通の工程で容易に設けることができる。また、全反射を利用しているので、反射面に金属膜を設けなくてもよい。さらに凹面鏡を放物面形状とすることにより、収差のない集光特性を得ることができる。
請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の光回路において、各部の寸法が以下の条件(1)〜(2)を満たすことを要旨とする。
(1)前記光学素子Aである回折格子の光を回折できる幅が、
2a(λ0/Δλ)/m
以上であること。
(2)前記光学素子Bである凹面鏡の光を反射できる幅が、
2a・cosβ1・(λ0/Δλ)/(m・cosα1
以上であり、かつ前記光学素子Cである凹面鏡の光を反射できる幅が、
2a・cosβ2・(λ0/Δλ)/(m・cosα2
以上であること。
ただし、
α1:前記光学素子Bである凹面鏡への入射角
α2:前記光学素子Cである凹面鏡への入射角
β1:前記光学素子Aである回折格子への入射光束の入射角
β2:前記光学素子Aである回折格子からの出射光束の出射角
a:前記光学素子Aである回折格子の格子周期
Δλ:所定最小波長間隔
λ0:所定中心波長
m:回折次数
とする。
上記の条件に従うことにより、所望の光分波性能を備えた光回路を最小の寸法で実現することができる。
請求項19に記載の発明は、請求項13に記載の光回路と、
前記光学素子Bに光を入射するように配置された光入力部と、
前記光学素子Cから出射される波長ごとに分波された光線にそれぞれ結合するように配置された光出力部と、
を備えたことを要旨とする。
請求項20に記載の発明は、請求項14に記載の光回路と、
前記チャンネル光導波路に光を入射するように配置された光入力部と、
前記チャンネル光導波路アレイに結合するように配置された光出力部と、
を備えたことを要旨とする。
このように構成してあるので、本発明の光回路に外部から光を入射し、また光回路から出射される光を取り出す光ファイバなどを設けることにより、平面光回路型の光分波器を提供することができる。
請求項21に記載の発明は、凸部と該凸部の周囲に設けられた凹部とを有する構造体を前記凹部による空間を有したまま固体中に埋め込む光学素子の製造方法において、
前記構造体を成膜法で形成した膜により埋め込むことを要旨とする。
請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の光学素子の製造方法において、前記構造体を基板上または基板上に積層した固体層上に設け、前記構造体の上部を成膜法で形成した膜により覆うことを要旨とする。
請求項23に記載の発明は、請求項21または22に記載の光学素子の製造方法において、前記構造体を埋め込む膜を、化学気相堆積法、物理気相堆積法または火炎堆積法の少なくともいずれかで行うことを要旨とする。
請求項24に記載の発明は、請求項21〜23のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法において、前記凸部または前記凹部の形成をフォトリソグラフィおよびエッチングで行うことを要旨とする。
本発明によれば、屈折率差の大きな周期構造体を固体内へ埋め込むことができ、多機能な光学素子を形成できる。特に複数波長の光を回折格子を用いて分光する光分波器を小型化することができ、かつ高い効率で偏光依存の少ない波長分離を可能とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の基本となる周期構造体を有する光学素子1の構成を模式的に示した図である。図1(a)が断面図、(b)が平面図である。基板18上にリッジ部11と溝部12とが周期的に配列された周期構造体10を形成し、さらにその上部に被覆層14を形成させる。
ここでいう周期構造体とは屈折率が異なる2種の材料が周期的に配列されたものをいう。周期構造体の具体的な応用としては回折格子やフォトニック結晶、偏光分離素子などが挙げられる。
周期が波長より十分大きいか波長程度の周期構造体では、入射した光が回折する回折格子として機能する。周期が波長と同程度かつ伝搬方向に十分な長さがある場合、それはフォトニック結晶として機能する。
周期が波長より十分小さい場合には、周期構造体は平均的な屈折率をもつ媒体としてしか機能しない。しかし構造に異方性がある場合、周期構造体は偏光分離素子として機能し、構造に異方性がない場合には、表面から基板に向って連続的に屈折率が勾配を持つように設計することで無反射構造が実現できる。
以上をまとめて定量的に示すと、周期構造体の周期aは使用する波長λに対して以下のような範囲で用いることが望ましい。
・λ/20≦a≦λ/10 :偏光分離素子、無反射構造など
・λ/10≦a≦5λ :フォトニック結晶など
・λ/10≦a≦20λ :回折格子など
したがって、本発明の周期構造体は、その周期aを波長λで規格化した値(=a/λ)が1/20から20までの範囲とすることが望ましい。
本発明においては、固体材料と気体(または真空)からなる周期構造体を、固体材料内部に埋め込んだ光学素子を作製する。周期構造体を固体材料内部に埋め込むことにより、耐久性、防汚性を向上させることができる。また単一モード伝搬となる光導波路構造をとることができる。また偏光依存性を低減できると共に、光ファイバとの結合損失を低減することが可能となる。
また、固体と気体(または真空)とからなる周期構造体を用いることにより、大きな屈折率差をもつ周期構造を実現することができる。
周期構造体を固体材料内部へ埋め込むには、基板上に作製した周期構造体の上にそれを覆う層を成膜する方法が考えられる。しかし周期構造体に気体層を用いる場合には、成膜によって気体層を形成する溝が埋まってしまう虞れがあり、それを防ぐ必要がある。
そこで発明者らは、周期構造体上への成膜時における溝への膜の入り込みと周期構造体の形状の関係について調べた。試験用として、異なる溝深さ/溝幅比(アスペクト比)をもった直線状の溝を等間隔で配列した1次元周期構造を用いた。その形成にはリソグラフィとドライエッチング技術を用いた。成膜手段にはシリカや窒化シリコンのような誘電体膜を成膜するのに広く使われるプラズマ化学気相堆積(プラズマCVD)法を用いた。その結果、一般に溝への膜の入り込みはアスペクト比に大きく依存することがわかった。それらの関係式を以下に示す。
アスペクト比ARを次式で定義する。
AR=d/w
ただし、dは基板面に対して垂直方向の溝深さ、wは溝上部の基板面に平行な方向の溝幅である。このとき、ARの値により、溝への膜の入り込みは次のように変化した。
・AR≦0.5のとき:完全に溝が埋め込まれる。
・0.5<AR<2のとき:一部膜の入り込みがあるが、空孔も残る。
・2≦ARのとき:成膜前の溝形状がそのまま維持される。
即ち、気体からなる溝を形成させるためには、高アスペクト比の溝を形成することが必要である。およそアスペクト比が0.5より大きい溝では、多少溝側壁あるいは底部に成膜がされるものの、溝形状とアスペクト比を反映した気体層(空孔)が形成可能なことがわかった。さらにアスペクト比2以上の溝とすることで、ほぼ膜が溝内部へ入り込まず初期の形状を維持した構造が形成可能である。したがって、周期構造体の作製精度からみてアスペクト比2以上とすることがより好ましい。このアスペクト比が大きいほど、溝内部への膜の入り込みを抑制できるので、初期の溝形状がより維持されやすい。例えば、アスペクト比が100では、初期の溝形状が容易に維持できる。
以下に1次元の周期構造体を埋め込んだ実施例を示す。
[実施例1]
埋め込み型1次元周期構造体は次のような手順により作製した。石英ガラス基板上にライン状の金属マスクを等間隔で形成した後、ドライエッチングにより溝を作製した。作製した周期構造体の周期は3μm、溝深さ4μm、アスペクト比3である。この周期構造体の表面にプラズマCVDによりシリカを成膜した。成膜後の周期構造体の断面の電子顕微鏡写真を図2に示す。図から明らかなように、周期構造体がシリカによる被覆層の下に埋め込まれていることがわかる。また溝内部への膜の入り込みも確認されず、埋め込み型の周期構造体の形成が可能であることを実証することができた。
また写真からわかるように周期構造体の上部表面が平坦であるため、周期構造体上に種々の機能素子を形成し、またそれらを繰り返し積層して集積化するといった多様な応用が可能である。
上記の実施例では均質な基板に一定周期の溝を形成することによる1次元周期構造体の作製について説明したが、2次元あるいは3次元の周期構造体を作製することもできる。直交した線状マスクを用いて、均質な基板に直交した溝を形成した2次元周期構造体や、均質基板の代わりに多層膜に対して溝を形成した基板垂直面内の2次元、あるいは3次元の周期構造体なども作製可能である。
本発明では、光学膜の成膜手法として一般的な化学気相堆積(CVD)法(プラズマCVD法を含む)を用いることが望ましい。その他、物理気相堆積(PVD)法、火炎堆積(FHD)法なども用いることができる。基本的には成膜に方向性がなく、比較的成膜速度が速い手法あるいは条件を採用することが望ましい。成膜材料は安定性が高く、屈折率が低いなどの理由からシリカ系材料を用いることが望ましい。基板面に対して垂直方向に多層膜を形成する場合には、屈折率や透過率などを考慮し、各用途に適した材料を用いることが好ましい。
埋め込み量をできるだけ抑制する必要がある場合には、PVD法において一般的なスパッタリング法を用いることが好ましい。スパッタリング法はプラズマ法とイオンビーム法に大別されるが、プラズマ法は成膜成分が方向性を有さない点でより好適である。さらにプラズマ法は高速で大面積成膜が可能といった利点も有している。
また、スパッタリングの反応機構に応じて、物理スパッタリング法、化学的スパッタリング法、反応性スパッタリング法に分類されるが特に限定されない。また、プラズマ生成方法として直流型、RF型、マグネトロン型などがあるが、これについても特に限定はない。それぞれ形成する被覆層の種類、光学特性に応じて使い分ければよい。
[実施例2]
第2の実施例の光学素子として高機能回折格子について説明する。回折格子は、石英ガラス基板へ電子線描画とNiのリフトオフによりマスクパターンを形成した後、ICP−RIEによるドライエッチングにより作製した。埋め込み用の成膜にはシリカをターゲットとした対向式RFスパッタを用いた。図3に作製した埋め込み型回折格子の断面の電子顕微鏡写真を示す。溝幅の縮小は殆どみられず、溝内部への膜の入り込みを抑制した被覆が可能であることがわかる。本回折格子は、90%以上の1次回折効率と5%以下の偏光による損失という良好な特性を示した。また、本回折格子は埋め込みによって機械的強度も高くなっている。
溝内部への成膜を抑制した埋め込みには対向式のスパッタ成膜が有効であり、埋め込みによる設計値からの構造のずれを低減することが可能である。
一方、CVD法には熱CVD法やプラズマCVD法などがある。CVD法は、アモルファスシリコン、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの半導体から絶縁体、さらには金属まで幅広い種類の膜を得ることができる。また、成膜速度、成膜面積が大きいなどの特徴を有する。
特に、光通信では様々な不純物をドープしたシリカ系膜の形成にCVD法が応用されている。例えば、ゲルマニウムをドープすることで屈折率を上げ、光導波路として機能させたり、フッ素をドープして屈折率を低下させることも可能である。また、ボロンやリンをドープすれば軟化点を下げることができる。このようにCVD法は様々な元素をドープすることで膜物性を制御可能であるという特徴を有する。
また、CVD法では成膜する材料と成膜条件によって、被覆形成時に成膜成分の溝への入り込み量に違いが生じる。そこで、この現象を積極的に利用することが好ましい。つまり、周期構造体よりも軟化点の低い材料により埋め込みを行い、その後、熱処理することで周期構造体の形状の制御が可能となる。これについて、次の実施例で説明する。
[実施例3]
第3の実施例として、埋め込み型周期構造体の形状を制御した例について説明する。前述した実施例と同様に、先ず周期溝を石英ガラス基板上に形成させた後、プラズマCVD法を用いて、ガラス転移点を下げる目的でボロンを14モル%添加したシリカを成膜した。その後、800℃、1時間、空気中にて熱処理することで、周期構造体の空間に入っている気体を膨張させ周期構造体の形状制御を行った。
図4に熱処理後の周期構造体の断面の電子顕微鏡写真を示す。先に説明した実施例2の埋め込み型回折格子(図3参照)は、成膜により溝の先端が尖った形状になっていたが、本実施例では熱処理することにより溝の断面形状を楕円にすることができた。これは、周期構造体の空間に入っている気体の熱膨張により、ボロンをドープしたシリカのみが圧迫されることによるものと考えられる。これにより、周期溝の深さと溝幅、成膜成分および熱処理条件を制御することで、例えば球状の空間が配列したような、従来では困難であった周期構造体を形成することができる。
本発明では周期構造を形成する材料に特に限定はなく、誘電体、半導体、金属、有機材料などを用いることができる。しかし、前述のように被覆層の成膜に比較的温度の高い成膜手法を用いることから、熱的に安定な無機材料を用いることが望ましい。
以下具体的に材料の例を挙げる。
基板材料としては、例えば、ソーダ石灰ガラスやホウ珪酸ガラスなどの酸化物ガラス、カルコゲン化物ガラスやハロゲン化物ガラスなどの非酸化物ガラス、オキシナイトライドガラスやカルコハライドガラスなどの混合ガラスなども用いられる。また、シリカ、シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、B、P、Ge、F、Tiなどをドープしたシリカ、InPやGaAsなどの半導体のような真空成膜により形成可能な材料も基板材料として使用可能である。また場合によっては、PMMAなどの高分子や、ゾルゲル法で形成した膜なども適用可能である。
また、多層膜も基板材料として用いることができる。具体的にはシリカ、チタニア、酸化タンタル、シリコン、窒化シリコン、酸化アルミナ、フッ化マグネシウムなどからなる光学多層膜が挙げられる。
上記の材料は、当然、周期構造を形成する材料としても用いることができる。また被覆層にはシリカや半導体に代表される真空成膜により形成可能な材料が適用できる。
また加工には半導体微細加工技術を応用することが望ましく、そのためシリカ、窒化シリコン、チタニアなどの誘電体や、シリコンやInPなどの半導体のような加工精度の高い材料が望ましい。
本発明における周期構造体は固体材料と気体の周期配列であるため、その屈折率差は30%以上と大きくなる。したがって、大きい屈折率差を必要とする、あるいは屈折率差が大きい方が性能上有利となる光学素子(例えばフォトニック結晶、偏光ビームスプリッタ、高効率透過型回折格子)を作製する場合には、本構造は非常に好適である。また、窒化シリコンや半導体のように高屈折率の材料を用いれば、より屈折率差を大きくすることができる。逆に屈折率の低いシリカにおいても十分大きな屈折率差は確保できるため、化学的にも物理的にも非常に安定なシリカ系の光学素子の作製にも適している。
[実施例4]
第4の実施例の光学素子は光導波路構造を有し、その光導波路内に周期構造体である回折格子が埋め込まれている。図5に、この光学素子1の断面図(a)と平面図(b)を示す。基板(図示を省略する)上に下部クラッド層28、コア層26が設けられ、その上を上部クラッド層24が覆っている。コア層内の一部に回折格子20が形成されている。回折格子20の周期構造は固体のリッジ層21と溝部22からなる空気層との周期配列によって構成されている。なお、下部クラッド層28は基板によって代用することもできる。
コア層26の屈折率を上下クラッド層24、28の屈折率に対して大きくすることにより、光導波路構造が形成され、コア層26に導入された光はコア層内に閉じ込められて伝搬する。光導波路内に形成された回折格子20に平行な入射光92が入射すると、光は波長と回折格子の周期、コア層の屈折率で決まる回折角をもって出射され、この回折光93は再びコア層を伝搬する。本構成によると、従来の回折格子を用いた光学系のように基板面に垂直な方向ではなく、面内方向に光を伝搬させることができ、光回路として集積、小型化が可能となる。
本実施例においては以下のような条件により単一モード伝搬が可能な光導波路構造を作製した。
・波長 :1.55μm
・上部クラッド層:シリカ(屈折率1.455)
・下部クラッド層(基板):シリカ(屈折率1.455)
・コア層 :Geドープシリカ(屈折率1.460)、
厚さ 5μm
もし上部クラッド層を形成しなければ、単一モードを得るコア層の厚さは1μm以下となり、外部からの入出力光の結合が困難になるだけでなく、屈折率差あるいは歪みが大きいため、偏波依存性や界面での伝搬損失も当然大きくなる。即ち、上部クラッド層を形成することにより、波面の制御が容易な単一モードでの伝搬が、現実的な設計値で可能となる。また上部クラッド層の形成は回折格子の保護、耐久性、耐汚染性の観点から好ましいことは言うまでもない。
ここで周期が波長程度である透過型回折格子は光の伝搬方向に厚みを持たせることで、体積効果が生じる。シリカからなる矩形溝回折格子の場合、シミュレーションによると、波長1.46〜1.58μmにおいて偏光依存損失PDL(=10×log10(TE偏光における1次回折効率/TM偏光における1次回折効率))が0.1dB以下、1次回折効率が94%以上という非常に優れた特性が得られる(計算にはRCWA (Rigorous Coupled Wave Analysis ) 法によるプログラム(Grating Solver Development社製GSOLVER ver4.20b)を使用した)。
計算に用いた条件は次の通りである。
・リッジの屈折率:1.46(波長1.55μmにおける値)
・溝部の屈折率 :1.00(波長1.55μmにおける値)
・リッジ部の幅 :0.85μm
・溝部の幅 :0.60μm
・光伝搬方向の幅:3.15μm
・入射角度 :20°
例えば応用分野を光通信に向けると光ファイバより導かれる光は光ファイバの状態によって様々な偏光状態となり、現実的にその偏光状態を予測することは困難である。そのため偏波方向を制御する部品をシステムに付加しなければならず、それは当然コスト上昇につながる。したがって、このような回折格子を用いることにより、偏波に依存した損失を抑えることができ、システム構築に非常に有利になる。ここでは矩形形状の回折格子を例として挙げたが、三角形状や先だけが尖った形状など、様々な形状で優れた特性が得られ、形状は特に限定はされない(小山次郎、西原浩著「光波電子光学」、コロナ社、1978年、第4章、参照)。
前述した回折格子の性能は屈折率1.46と1.00の周期構造によって実現できるため、溝部を空気のまま内部へ埋め込む技術が必要となる。光通信波長帯(波長1.3〜1.5μm付近)の場合、シリカ系導波路の厚さは5μm程度であるので、格子溝のアスペクト比は8程度となり、実施例1で説明したようにコア材料と空気との周期構造をもった埋め込み透過型回折格子の形成が可能となる。
本構成は、特にコア材料に限定はなく、一般的なGeドープシリカだけでなく、高屈折率の窒化シリコンやシリコンでも形成可能である。しかし光通信用の光分波器として用いる場合には、性能、外部との接続などの面で有利な、シリカ/Geドープシリカ系の光導波路を5μm程度のコア厚さで用いることが好ましい。
以上、周期が波長程度かつ体積効果を有する透過型回折格子を用いることで、偏波依存、光ファイバとの接続などに有利な埋め込み型光導波路内に回折格子を作製することができ、さらに回折特性も非常に優れたものが得られることがわかる。
[実施例5]
図6には本実施例の光分波器50の平面模式図を示した。基板38上にスラブ光導波路が形成され、光の分波は実施例4で説明した光導波路内に埋め込まれた透過型回折格子30によってなされる。同一基板上の光導波路内には回折格子に光を入射するための凹面鏡33と回折格子を透過した光を出射するための凹面鏡35も形成され平面光回路50aが形成されている。この平面光回路50aには、光を入射するための光ファイバなどからなる光入力部37、波長ごとに光を外部へ出力するための光出力部39が取り付けられ、全体として光分波器50が構成されている。
次に、この光分波器50の動作について説明するため、構成要素と光学パラメータを示した光学系の概念図を図7に示す。光入力部37からコア層(スラブ導波路)へ入った光51は光導波路の開口数(NA)に従い扇状に広がりながら伝搬する。この光を凹面鏡33によって広がり角が小さい平行光束52に変換して、回折格子30に所定の入射角度で入射させる。回折格子30により入射光は波長成分ごとに方向の異なる光束53となり、それぞれが凹面鏡35により異なる点に集光されて、光出力部39に結合する。
ここで、光分波器が分離すべき最小の波長間隔の入射波長をλ1、λ2とし、その平均波長をλ0(=(λ1+λ2)/2)とする。このとき、回折格子30により波長λ1とλ2の光束が回折される角度の差を、Δψ(単位はラジアン)とする。
また光導波路のNAは下式で定義される。
NA=(n1 2−n0 20.5=n1・sinθ
ただし、n1はコア層の屈折率、n0はクラッド層の屈折率である。ここでは、簡単のため上下のクラッド層の屈折率が等しい対称光導波路とし、屈折率差(n1−n0)は0.01程度であるとする。光ファイバからコア層へ入射した光はおよそθの広がり角度をもって伝搬する。
ここで、図7に示すように、光分波器のパラメータを以下のように定義する。
入射側凹面鏡の有効径:D1
出射側凹面鏡の有効径:D2
入射側の平行光束の幅:P1
出射側の平行光束の幅:P2
回折次数:m
回折格子の溝の総数:N
回折格子の溝周期:a
光軸と入射側鏡面の交点における、鏡面法線と光軸との角度:α1
光軸と出射側鏡面の交点における、鏡面法線と光軸との角度:α2
回折格子への入射角:β1
回折格子からの出射角:β2
導波路部分の屈折率:n
回折格子における波長分解能は、下式のように回折次数mと溝の総数Nの積で決定される。
λ0/Δλ=m・N
ただし、上記の式は、遠視野での波長間隔としてエアリーディスクの半径を採用したものである。2波長を明瞭に分離するには、エアリーディスクの直径程度の間隔が必要なので、
λ0/Δλ=mN/2 (1)
を回折格子の解像力とする。
(1)式より、回折格子の幅D0は、
0=a・N=2a(λ0/Δλ)/m
回折格子へ入射する光束の幅P1は、
1=D0・cosβ1=2a・cosβ1・(λ0/Δλ)/m
入射側凹面鏡の有効径D1は、
1=P1/cosα1=2a・cosβ1・(λ0/Δλ)/(m・cosα1
となる。出射側は同様に、
2=2a・cosβ2・(λ0/Δλ)/(m・cosα2
である。以上述べた関係により、図7に示した光分波器の各要素の最小サイズが決定される。
また、上記のD1に対応する入射側凹面鏡の開口数NA1は、入射部37の開口数をカバーするように、凹面鏡の曲率を選ぶ必要がある。
出射部の焦点間隔Sは出射側のエアリーディスク直径なので、出射側凹面鏡の開口数NA2を用いて
S=1.22λ0/NA2
により表される。導波路部分の製作方法などにより、Sの値の下限が設定されている場合は、出射側の開口数NA2を小さくしてSを大きくする必要がある場合も考えられる。
以上述べた設計値は、波長分解力を確保しつつ光分波器全体を最小化する場合のものである。したがって、例えば上記の値よりも溝の総数や光束の幅を大きくして余裕を持たせた設計とすることもできる。そうすることによって、
・Sの値を上述した値より大きくしてクロストークを減らす
・凹面鏡部での光束のけられを減らして損失を低減する
といった効果がある。
また凹面鏡は、空間とコア層の材料との界面を利用することにより、周期構造体と共通の溝加工工程で簡単に作製できる。ここで屈折率の高い媒体から屈折率の低い媒体へ光が伝搬するとき、ある角度範囲では光は低屈折率媒体へは出射せずに、界面で全反射することはよく知られている。その角度γは臨界角と呼ばれ以下の式で表される。
sinγ=nair/n1=1/n1
ここで、nairは空気の屈折率である。
そこで凹面鏡に入射する光が臨界角条件を満たすように設計することで、凹面鏡表面に金属成膜の必要がなくなり、また理論的には反射損失はほぼゼロとなる。さらに、本構成では凹面鏡は集光点からの光を平行光に変換する(あるいは逆の)機能を持っている。そこで凹面曲線を放物線の一部とすることで収差のない完全な集光点あるいは平行光が得られる。したがって、前述の全反射条件と、放物面の条件を満たす形状により、損失を最小限に抑えた最適な凹面鏡が得られる。
ここでは集光あるいはコリメートに一対の凹面鏡を用いたが、同様の機能を発揮する他の光学素子、例えば光導波路型レンズを配置してもよい。ただし作製の容易さの観点から凹面鏡を用いる方が好ましい。また一つの凹面鏡あるいはレンズによって、伝搬光を集光してもよく、この場合には光路のどこかに回折格子を配置すればよい。
以上説明した構成による光分波器は、回折格子、光導波路ともに偏波依存性が極めて低いことから、偏波補償装置が不要なこと、平面光回路型かつ超小型であるためリソグラフィ技術のみで基板上に大量に作製可能なことなどの特徴を有しており、低コスト、省スペースが必要とされる分野で非常に好適である。
[実施例6]
本実施例の光分波器50の平面模式図を図8に示す。この光分波器50は、光入出力部をチャンネル光導波路47、49とし、かつ他の要素(回折格子40、凹面鏡43、45)と光回路内に一体化した。なお、この場合も各チャンネル光導波路に結合する光ファイバなどが必要であるが、図示は省略した。これにより光ファイバなどから直接光を入射する実施例5の構造では入射角度や焦点距離の調整が必要であったが、本実施例の光回路では光ファイバなどを各チャンネル光導波路に結合するだけでよく、煩雑な調整作業が不要となる。また光導波路を用いれば、出射部における集光点は10μm程度の間隔にすることが可能であり、さらなる小型化が可能となる。
次に、本実施例の平面光回路型光分波器50の具体的な光学系の構成例を図9および図10に示す。図9は伝搬光の光路を模式的に示したものである。光入力部のチャンネル光導波路から入射した光51は凹面鏡43で平行光52に変換され、回折格子40に入射する。回折格子40を透過した分波光53は凹面鏡45で光出力部のチャンネル光導波路アレイの端面に集光される。
凹面鏡43、45はいずれも放物面鏡とする。各パラメータは以下の通りである。
・入射波長: 1.51、1.53、1.55、1.57μm
・光導波路のNA: 0.17
・回折格子の周期a: 1.45μm
・回折格子の幅D: 1mm
・凹面鏡の焦点距離f:1.68mm
・凹面鏡の曲率半径: 1mm
・光出力部集光点間距離S: 17.4μm
以上の構成より、波長間隔20nmの光を分波することができる。また光出力部の焦点面Pは凹面鏡45の放物面の軸Cに対して、回折格子40からの出射角度(格子垂線と出射光との角度)分だけ傾けることで、より最適なスポット径が得られる。
図10は前記の光学設計に従って作製した、本発明による平面光回路型光分波器の具体的形状の一例を示したものである。光の入射端面PIおよび出射端面POを平行平面とするため光入力部のチャンネル光導波路47の一部を曲げ導波路としている。素子の大きさはおよそ5mm×8mmとなり、非常に微小な光分波器が得られることがわかる。
当然、光出力部の光導波路アレイから波長の異なる光を入射し、これらを合波して、入力側の導波路から出力することも可能である。さらにここでは4波長の合分波を示したが、チャンネル数は当然増やすことが可能であり、波長幅も狭くすることが可能である。
また光回路の回路配置には上記の条件さえ満たせば制限はなく、図11に示すような種々の配置が考えられる。光回路50aは、上記実施例のような点対称型(図11(a))以外に、図11(b)、(c)に示すような線対称型配置も可能である。また、光路が交叉する形や図11(d)に示すような光入力部と光出力部が同一端面にあるような配置も可能である。
以下に第5もしくは第6の実施例についての作製手順を説明する。本光分波器の作製にはフォトリソグラフィによるパターニングとドライエッチングによる溝加工を用いる。作製手順を図12により説明する。基板78上に必要に応じて下部クラッド層68を成膜する。さらにその上にコア層66を成膜する(図12(a))。成膜手法としてはCVD法や火炎堆積法などが低損失で良質な膜ができることが知られているが、特に限定はされない。
次に、光回路型の光分波器の構成要素を作製するための金属マスクをいわゆるリフトオフ法で作製する。先ず、紫外線、電子線、X線などのエネルギー照射によって感光する材料(以下レジストという)をコア層66表面にスピンコートした後、適切な露光手法により所望の構成要素のパターンを作製する。次に、レジストパターン上に金属膜を成膜する。成膜手法はスパッタリング法や真空蒸着法などを用いることができ、金属膜にはクロムやタングステンシリサイド、ニッケルなどを用いることができる。特に、リフトオフ法を用いる場合には、フォトレジストの損傷やパターニング精度の向上の観点から、真空蒸着法や方向性スパッタリング法を用いることが望ましい。
不要な金属膜をレジストパターンとともに除去することで、金属マスク69のパターンが形成される(図12(b))。レジストと金属成膜の順序を入れ替えて、エッチングにより金属マスク69のパターンを形成させる手法も当然可能である。ただしこの場合は金属として容易にエッチングされる材料を選択することが望ましい。
次に、イオンエッチング装置を用いてコア層66の溝加工を行って、リッジ部21と溝部22とが周期配列した周期構造体(回折格子)60を形成する。合わせて他の光学素子、光導波路など、光分波器の構成要素を作製する。エッチング装置は被加工材料に適したものを選択すべきであるが、大面積を能率良く加工するには、誘導結合プラズマ(ICP)や磁気中性線放電(NLD)のような高密度プラズマによる反応性イオンエッチング法を用いることが望ましい。残存する金属マスクは腐食液、ドライエッチングなどで除去すればよい(図12(c))。
最後にCVD法により、上部クラッド層64を成膜する(図12(d))。前述したが、このとき回折格子の溝部には膜が入り込まないように条件を設定する。
以上のように本発明の光導波路型光分波器は、従来のリソグラフィ加工により簡易に作製が可能である。
本発明の光分波器は、光線の向きを逆とすれば複数波長の光を単一の光ファイバに送りこむ光合波器として使用できることは、言うまでもない。
さらに本発明では回折格子を複数配置してもよい。これにより波長分散はその個数に比例して大きくなる。DWDM方式のように、波長間隔が非常に狭い場合には、こうすることで波長分解能を高めることができ、素子寸法を小さく維持できる。このとき導波路部と回折格子部はリソグラフィにより一体成形することから、工程の増加はなく、コストアップには殆どつながらないという利点をもつ。
一方、光記録分野では近年DVDをはじめとして、大容量化を目指した記録デバイスの開発が進められている。このような記録情報の大容量化に伴い、記録・読み出し速度の高速化が求められることは明らかである。その一つとして多波長による同時記録・読み出しが挙げられる。これは複数の波長を多重した光を光ヘッドへと導き、そこで分波することで複数波長の光による書き込みあるいは読み込みを行い、情報の平行処理を可能とするシステムである。この場合、光ヘッドはディスクの上を走査させることを考えれば小型であることが必須であり、本発明はこのようなシステムへの組み込みに好適である。
なお、実施例1から実施例3では主に矩形の周期溝についての実施例を示したが、周期構造体にはその他の形状も適用できる。以下に具体例を説明する。
周期構造体は、周期を有する軸方向によって、1次元、2次元、3次元に分類される。
先ず、図13に、例として1次元周期構造体の平面図を示す。図13(a)に示す周期構造体100は、固体101中に円柱の溝部102が空間を有したまま1次元で周期配列して埋め込まれている。図13(b)では固体101中に三角柱の溝部103が、図13(c)では四角柱の溝部が、それぞれ空間を有したまま埋め込まれている。図のY軸が周期を有する軸である。溝部は5角形以上の多角形や、楕円、その他不規則な形状であってもよい。
図14に示す周期構造体110は、固体101中にパターン110Aが周期配列した例である。このパターン110Aは、Y軸方向に対して溝部111の間隔や幅が変化してもよく、またZ軸方向へ構部111の長さが変化してもよい。この図14に示す周期構造体110は2次元構造であるが、周期配列する方向は1次元である。
なお、1次元周期構造体では、四角形の溝をある辺に垂直な軸で配列したときのように、溝部あるいはリッジ部同士が密着すると周期構造が形成されない場合は除く。
また、図13と図14では凹部としての溝部が周期配列した場合を説明したが、リッジ部からなる凸部が周期配列した構造であってもよく、さらに凹部と凸部の双方が周期配列した構造であってもよい。
また基板面に対して垂直な方向(X軸方向)の溝部あるいはリッジ部の断面は、矩形でなくともよい。例えば、樽型になっていてもよく、また、円錐、角錐、あるいはテーパ状や逆テーパ状になっていてもよい。また、基板面に対して垂直な方向から傾いた斜めな溝部が互いに平行に形成されていてもよい。このように、溝部あるいはリッジ部は基板面に対して必ずしも垂直に設ける必要はなく、溝部あるいはリッジ部が不規則、あるいは非対称に設けられていてもよい。前述した高機能回折格子は四角溝の1次元周期構造体の応用例である。
次に、2次元周期構造体の例を説明する。2次元周期構造体は基本的には上記1次元周期構造体を2次元的に配列したものであってもよい。
図15に、例として2次元周期構造体の平面図を示す。図15(a)に示す周期構造体120では、固体101中に四角柱の溝部121が空間を有したまま格子状に配列して埋め込まれている。図15(b)は三角柱の溝部122を三角格子に配列したものである。
図15(c)は円柱の溝部123を互いに接するように正方格子状に配列したものである。溝部同士が接しているので、固体101から孤立した凸部101aが形成されており、この凸部101aも正方格子状に配列している。
図15(d)は三角柱の溝を互いの頂点が接するように三角格子状に配列したものである。溝部同士が接しているので、固体101から孤立した凸部101bが形成されており、この凸部101bも三角格子状に配列している。
このように2次元配列には、正方格子、三角格子、多角格子、あるいは同心円のような配列形状があり、その配列周期が変調してもよいい。例えば円形の穴を正方配列させたフォトニック結晶中に一列だけ欠陥部(穴を形成させない領域)を導入すれば、埋め込み型のフォトニック結晶欠陥導波路が実現できる。また同心円状に円形のライン溝を、適宜周期を変調させて配置した場合には埋め込み型のバイナリブレーズドグレーティングレンズが形成可能となる。
さらに多層膜を1次元配列で矩形溝に加工すれば、2次元の周期構造体となる。例えばシリカ/シリコンのような屈折率差の大きい多層膜に四角溝(ライン&スペース溝)を形成させれば、偏光分離素子として機能を発現することが可能である。
なお、図15では凹部としての溝部が周期配列した場合を説明したが、リッジ部からなる凸部が周期配列した構造であってもよい。
また多層膜を2次元配列で加工すれば3次元の周期構造体となる。図16に、多層膜からなる四角柱の凸部が正方配列した3次元周期構造体の一例を示す。この3次元の周期構造体130は、膜131と膜132とを積層した多層膜130Aを正方配列したものである。
なお、図16では積層膜からなる凸部が周期配列した場合を説明したが、積層膜に設けた凹部が周期配列していてもよい。
本発明の光学素子は表面が平坦であることから、光学素子をさらに積層させることができる。例えば、図17に2つの埋め込み型周期構造体を有する光学素子150を示す。この光学素子150は、図1に示した光学素子1の被覆層14上に、リッジ部141と溝部142とが周期配列した周期構造体140を形成し、被覆層151で被覆して構造体140からなる別の光学素子を積層した場合である。
このように、本発明の光学素子は被覆層が平坦であることから、単純な平面層だけでなく、多層膜あるいは別な周期構造体を形成させることが可能となる。例えば平坦な被覆層は面発光レーザや、受光素子を実装するプラットフォームとして利用できる。また前記のような周期構造体を形成させた場合にはさらに被覆層の形成が可能となるため、原理上は制限なく周期構造体を積層させることができる。
また周期構造体だけでなく、レンズなどの球面の凹凸形状や、それらをアレイ化したレンズアレイ、三角プリズム形状や、プリズムアレイなども光学素子上に積層してもよい。特に、埋め込みのできない構造は最上面に形成することが好ましい。また被覆層に構造体を形成する場合、下層の構造体の真上に形成させる必要性はなく、自由な位置に形成してもよい。
図18に、例として、光学部品としてのレンズを複数設けた光学素子160をを示す。この光学素子160は、図1に示した光学素子1の被覆層14上に、レンズ161がアレイ状に配列されている。周期構造体10に入射する光あるいは周期構造体10から出射する光をレンズ161で集光したり、あるいは平行光に変換することができる。
図19に、例として、光学部品としての光導波路を設けた光学素子170を示す。この光学素子170は、図1に示した光学素子1の被覆層14上に、光導波路171を設けた例である。周期構造体10から出射する光を光導波路171に入射させることができる。
このように、本発明の光学素子にはレンズアレイや光導波路を設けることができるので、より集積化された光学素子を提供することができる。
また本発明では光分波器のみならず実施例1で説明したように、フォトニック結晶や偏光分離素子など、その他の性能を有する素子を作製することが可能である。光の伝搬方向も基板面内(光導波路内)だけでなく基板面に垂直な方向においても機能させることができる。光導波路内では光の合分波、偏光分離、遅延素子などの光機能集積回路が一体成形でき、一方、基板面に垂直な方向では最上層の被覆層表面が平坦なことからレンズアレイを形成させるなどの基板面に垂直な方向の光集積素子が作製可能となる。
本発明は、光通信システムあるいは光ディスク用ピックアップ装置などに用いられる波長の異なる光を分離する装置に利用可能である。
本発明の埋め込み型周期構造体を有する光学素子の模式図。 本発明の埋め込み型周期構造体の電子顕微鏡写真。 本発明の埋め込み型回折格子の電子顕微鏡写真。 本発明の埋め込み型周期構造体の電子顕微鏡写真。 本発明の回折格子を備えた光導波路型光学素子の模式図。 本発明の平面光回路型光分波器の構成を示す模式図。 本発明の平面光回路型光分波器の光学配置を説明する図。 本発明の平面光回路型光分波器の他の構成を示す模式図。 本発明の平面光回路型光分波器の光学配置の例を示す図。 本発明の平面光回路型光分波器の光学配置の例を示す図。 本発明の平面光回路型光分波器の光学配置の変形例を示す図。 本発明の平面光回路の作製工程を示す図。 本発明の1次元周期構造体の模式図。 本発明の1次元周期構造体の模式図。 本発明の2次元周期構造体の模式図。 本発明の3次元周期構造体の模式図。 本発明の埋め込み型周期構造体を有する光学素子の模式図。 本発明のレンズアレイを有する光学素子の模式図。 本発明の光導波路を有する光学素子の模式図。
符号の説明
1、150、160、170 光学素子
10、100、110、120、130、140 周期構造体
11、141 リッジ部
12、142 溝部
14、151 被覆層
18、38、78 基板
20、30、40、60 回折格子
24、64 上部クラッド層
26、66 コア層
28、68 下部クラッド層
33、35、43、45 凹面鏡
37 光入力部
39 光出力部
47 チャンネル光導波路
49 チャンネル光導波路アレイ
50 光分波器
69 金属マスク
161 レンズ
171 光導波路

Claims (24)

  1. 凸部と該凸部の周囲に設けられた凹部とを備えた構造体が前記凹部による空間を有したまま固体中に埋め込まれた光学素子において、
    前記構造体が埋め込まれた固体は成膜法により形成された膜であることを特徴とする光学素子。
  2. 前記構造体は基板上または基板上に積層された固体層上に設けられ、前記構造体はその上部が成膜法により形成された膜で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記構造体の凸部または凹部の少なくとも一方は、周期構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 前記構造体の凸部および凹部の少なくとも一方は、1次元に周期的に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子。
  5. 前記構造体の凸部または凹部の少なくとも一方は、2次元に周期的に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子。
  6. 前記構造体の凸部は、積層膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子。
  7. 前記構造体の凹部は、積層膜中に設けられた凹部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子が積層されていることを特徴とする光学素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学素子に光学部品が備えられていることを特徴とする光学素子。
  10. 前記構造体は凸部と凹部とが周期的に配列している周期構造体であり、前記凹部の深さと幅との比(深さ/幅)が0.5より大きく、かつ前記周期構造体の周期と使用する波長との比が1/20以上、20以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学素子。
  11. 前記周期構造体の凹部の深さと幅との比(深さ/幅)が2以上であることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  12. 前記周期構造体は、基板または基板上に積層された下部クラッド層と前記周期構造体の上部を被覆する上部クラッド層との間のコア層内に形成され、該コア層の屈折率は前記上部および下部クラッド層の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学素子。
  13. 前記周期構造体が少なくとも入射光を1次回折する回折格子である請求項12に記載の光学素子Aと、
    該光学素子Aが形成されたコア層内に設けられ伝搬光の広がり角を制御して前記光学素子Aに入射する機能を備えた光学素子Bと、
    前記光学素子Aにより分波された複数の異なる波長成分を有する光線を集光する光学素子Cと、
    を少なくともそれぞれ一つ備えた光回路。
  14. 前記光学素子Bに光を入射するチャンネル光導波路と、
    前記光学素子Cから出射される波長ごとに分波された光線にそれぞれ結合するチャンネル光導波路アレイと、
    を備えた請求項13に記載の光回路。
  15. 前記光学素子BおよびCの少なくともいずれか一方が凹面鏡であることを特徴とする請求項13または14に記載の光回路。
  16. 前記凹面鏡は、それが形成されているコア層と空間との界面の全反射を用いてなることを特徴とする請求項15記載の光回路。
  17. 前記光学素子BおよびCは双方とも凹面鏡であり、該凹面鏡が形成されているコア層と空間との界面が放物面の一部からなることを特徴とする請求項16に記載の光回路。
  18. 各部の寸法が以下の条件(1)〜(2)を満たすことを特徴とする請求項17に記載の光回路。
    (1)前記光学素子Aである回折格子の光を回折できる幅が、
    2a(λ0/Δλ)/m
    以上であること。
    (2)前記光学素子Bである凹面鏡の光を反射できる幅が、
    2a・cosβ1・(λ0/Δλ)/(m・cosα1
    以上であり、かつ前記光学素子Cである凹面鏡の光を反射できる幅が、
    2a・cosβ2・(λ0/Δλ)/(m・cosα2
    以上であること。
    ただし、
    α1:前記光学素子Bである凹面鏡への入射角
    α2:前記光学素子Cである凹面鏡への入射角
    β1:前記光学素子Aである回折格子への入射光束の入射角
    β2:前記光学素子Aである回折格子からの出射光束の出射角
    a:前記光学素子Aである回折格子の格子周期
    Δλ:所定最小波長間隔
    λ0:所定中心波長
    m:回折次数
    とする。
  19. 請求項13に記載の光回路と、
    前記光学素子Bに光を入射するように配置された光入力部と、
    前記光学素子Cから出射される波長ごとに分波された光線にそれぞれ結合するように配置された光出力部と、
    を備えたことを特徴とする光分波器。
  20. 請求項14に記載の光回路と、
    前記チャンネル光導波路に光を入射するように配置された光入力部と、
    前記チャンネル光導波路アレイに結合するように配置された光出力部と、
    を備えたことを特徴とする光分波器。
  21. 凸部と該凸部の周囲に設けられた凹部とを有する構造体を前記凹部による空間を有したまま固体中に埋め込む光学素子の製造方法において、
    前記構造体を成膜法で形成した膜により埋め込むことを特徴とする光学素子の製造方法。
  22. 前記構造体を基板上または基板上に積層した固体層上に設け、前記構造体の上部を成膜法で形成した膜により覆うことを特徴とする請求項21に記載の光学素子の製造方法。
  23. 前記構造体を埋め込む膜を、化学気相堆積法、物理気相堆積法または火炎堆積法の少なくともいずれかで行うことを特徴とする請求項21または22に記載の光学素子の製造方法。
  24. 前記凸部または前記凹部の形成をフォトリソグラフィおよびエッチングで行うことを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
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