JP2008072839A - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータリレー回路43をオン制御したにも関わらず導通状態とならない場合にはモータリレー回路43を開閉動作させ導通阻害物質の除去を図る(ステップS1〜ステップS4)。所定回数開閉動作を行っても導通阻害物質が除去されないときには強制通電回路50による通電を開始し、駆動モータ12を介さずにモータリレー回路43へ通電を行って、導通阻害物質の焼損を図る(ステップS5〜ステップS7)。強制通電による導通阻害物質の焼損を図りつつ、モータリレー回路43の開閉動作による導通阻害物質の除去を行ってもモータリレー回路43が導通状態とならないとき、モータリレー回路43の導通異常として確定する(ステップS10)。
【選択図】 図3
Description
そのため、何らかによってモータリレーが閉状態とならなかった場合には、通常制御へ移行した後、電流制御が行われて実際に電動モータへの電力供給が開始されたとしても、モータリレーが開状態のままのため電力供給が正常に行われない。その結果として、電動モータへの電流指令値と電動モータに実際に流れた電流値との差が大きくなり、この時点で異常発生と判断されることになる。
実際、モータリレーの動作確認試験等を行った場合に、モータリレー内部に接点接続を妨げたと思われる導通阻害物質が確認されることもある。
モータリレーと電源リレーとが同じタイプのリレー回路で構成されている場合、工程上の差はないことから、導通阻害物質が混入する可能性も同等と考えられる。しかしながら、実際に動作確認試験等を行った場合には、電源リレーには導通異常は発生していない。これは、電源リレーを導通させた場合には突入電流が流れることから、仮に、リレー接点間に導通阻害物質が介在したとしても、突入電流のエネルギによって焼損させてしまっていると推測することができる。
そこで、この発明は上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、制御システム自体は正常であるにも関わらず、導通阻害物質の影響によりシステムダウンとなることを回避することの可能な電動パワーステアリング制御装置を提供することを目的としている。
この請求項2記載の発明によれば、モータリレー回路への通電量が徐々に増加するようにモータリレー回路に対して通電が行われる。
また、請求項3に係る電動パワーステアリング制御装置は、前記導通回復制御手段は、前記モータリレー回路への通電量を、前記モータリレー回路に可動接点の溶着が発生し得ない値に制限することを特徴としている。
この請求項3記載の発明によれば、モータリレー回路への通電量は、モータリレー回路に、可動接点の溶着が発生し得ない値に制限されるため、通電を行うことによりモータリレー回路に溶着が発生することが回避される。
この請求項4記載の発明によれば、モータリレー回路が非導通状態であることが検出されたとき、開閉制御手段によりモータリレー回路の開閉動作が行われるため、モータリレー回路の接点間の導通を妨げる導通阻害物質の除去を図ることが可能となる。
この請求項6記載によれば、通電手段による予め設定した規定時間の通電が終了するまでの間に、モータリレー回路が導通状態であることが検出されないとき、つまり、規定時間通電してもモータリレー回路が導通状態とならないときに、モータリレー回路の異常と判断される。
また、請求項3に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、モータリレー回路への通電量を、モータリレー回路に可動接点の溶着が発生し得ない値に制限するため、通電を行うことによりモータリレー回路に溶着が発生することを回避することができる。
また、請求項5に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、モータリレー回路が非導通状態であることが検出された後、開閉制御手段により前記モータリレー回路を規定回数開閉動作させるまでの間に、モータリレー回路が導通状態であることが検出されないとき、通電手段を作動させ、通電による導通阻害物質の焼損が図られるため、開閉動作により除去可能な導通阻害物質に対して通電による焼損が図られることを回避し、その分、消費電力の低減を図ることができる。
また、請求項7に係る電動パワーステアリング制御装置によれば、モータリレー回路及び電動モータ間に接続される電流供給源と、モータリレー回路と接続される下アームを構成するスイッチ手段とで通電手段を構成しているため、電流供給源、モータリレー回路及び下アームを構成するスイッチ手段とからなる電流経路を容易に形成することができ、且つスイッチ手段をPWM制御することによって、容易にその通電量を制御することができる。
図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図であって、図中、1はステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力がステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aと出力軸2bとを有し、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端はトルク検出手段としてのトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらにユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えばポテンショメータで検出するように構成されている。このトルクセンサ3から出力されるトルク検出値Tは、コントローラ13に入力される。
同様に、前記リレー端子間電圧検出回路26も公知の前記分圧回路の抵抗どうしの接続点に、前記モータリレー回路43の両端の電位をそれぞれ入力し、内部電圧Vrを分圧した中間電圧を基準としてモータリレー回路43のリレー端子間電圧ΔVrを検出する。
これによって、モータ駆動回路18が駆動されていない初期状態やモータリレー回路43が導通状態とならない状態であっても、正常/異常を確定することができるようになっている。
マイクロコンピュータ16では、図示しないイグニッションスイッチがオンとなりマイクロコンピュータ16が起動されたとき、この初期診断処理を実行する。
まず、ステップS1で、モータリレー回路43を導通状態に制御する。つまり、バイポーラトランジスタTRを作動させるためのリレーオン信号Ssを出力する。これによって、バイポーラトランジスタTRがオン状態となり、バッテリ電圧がリレーコイル42に印加され、リレーコイル42が励磁されて可動接点41が作動する。
そして、開閉回数カウンタNが規定値Nth(例えば、“4”)に達したとき、ステップS4からステップS5に移行し、強制通電カウンタMが予め設定したしきい値Mth(例えば“4”)に達したかどうかを判断する。なお、この強制通電カウンタMは、後述の強制通電処理を行った期間を計測するためのカウンタであって、起動時には零にリセットされている。
この強制通電処理では、モータ駆動回路18を構成するHブリッジ回路においてアーム下段のトランジスタのうち、前記モータリレー回路43の可動接点41と接続される電界効果トランジスタFET4のみをPWM制御し、他の電界効果トランジスタFET1〜FET3は開放状態に維持する。
そこで、強制通電処理では、通電電流が徐々に増加するように電界効果トランジスタFET4をPWM制御し、リレー接点間の異物の焼損を図る。また、通電電流には上限値が設けられ、リレー接点間が溶着することを回避するように構成されている。ここで、通電電流が徐々に増加するようにしているのは、過大電流により接点の早期磨耗や溶着を防ぎ、且つより早く接点を閉状態にするためである。
すなわち、まず、ステップS11で、操舵トルクセンサ3、車速センサ15、操舵角センサ14、モータ電流検出回路19、モータ端子間電圧検出回路25、リレー端子間電圧検出回路26等の各種センサや検出回路の検出値を読み込み、ステップS12に移行して、操舵トルクセンサ3で検出したトルク検出値T及び車速センサ15で検出した車速検出値Vに基づいて、公知の手順で操舵補助指令値IM *を算出する。
ω=(ΔVm−IMD・Rm)/K0 ……(1)
ここで、Rmは電動モータ12のモータ巻線抵抗、K0はモータの起電力定数である。
次いで、ステップS22に移行して、微分値Id、比例値ΔIp及び積分値ΔIiを加算してモータ電流指令値IM(=Id+ΔIp+ΔIi)を算出し、次いでステップS23に移行して、前記ステップS23で算出したモータ電流指令値IMをモータ駆動回路18に出力し処理を終了する。
マイクロコンピュータ16は、図示しないイグニッションスイッチがオン状態となると、所定の起動時の処理を行った後、図3の初期診断処理を開始し、リレーオン信号Ssを出力する(ステップS1)。これによって、バイポーラトランジスタTRが導通状態となりバッテリ電圧Vbが励磁コイル42に印加され、可動接点41が作動する。
このとき、可動接点41及び固定接点41a間が導通状態となった場合には、リレー端子間電圧検出回路26で検出されるリレー端子間電圧ΔVrが略零となることから、モータリレー回路43は導通状態となったと判断されてステップS2からそのまま処理を終了する。
一方、モータリレー回路43を導通状態に制御した後の、リレー端子間電圧ΔVrが略零でない場合には、モータリレー回路43に導通異常が生じた可能性があると判断し、ステップS2からステップS3に移行し、モータリレー回路43を開閉動作させた後、再度、リレー端子間電圧ΔVrに基づき、導通状態となったかどうかを判断し(ステップS2)、導通状態とならない間は、ステップS2からステップS4の処理を繰り返し行い、モータリレー回路43を開閉動作させる毎にその導通状態を確認する。
そして、モータリレー回路43に対して通電を行いつつ、モータリレー回路43を開閉動作させ、通電による異物の焼損や、開閉動作による異物の除去を図ることによって、異物が除去され、リレー端子間電圧ΔVrが略零となると、導通状態となったと判断されてステップS2から処理を終了する。
また、モータリレー回路43への通電は、電動モータ12を介さずに、強制通電回路50を介して行っている。したがって、モータリレー回路43への通電を行うことにより電動モータ12が回転することはなく、意図せず、ステアリングホイール1に操舵補助力が作用することにより運転者に違和感を与えることを回避することができる。
また、モータリレー回路43が導通状態となったかどうかの判断は、モータリレー回路43の接点間の電圧を計測することにより判断している。ここで、操舵補助制御処理においては、電動モータ12の端子間電圧を用いて電動モータ12の駆動制御を行っており、電動モータ12の端子間電圧として、電動モータ12のモータリレー回路43と接続される側の電圧Vm−及び他方の電圧Vm+を測定している。したがって、このモータリレー回路43と接続される側の電圧Vm−を、モータリレー回路43の一方の端子側の電圧として用いることができるため、モータリレー回路43の他方の端子側の電圧を計測すればよい。したがって、大幅な回路変更を伴うことなくモータリレー回路43のリレー端子間電圧を検出することができる。
なお、上記実施の形態においては、電動モータ12の端子間電圧を用いて電動モータ12の駆動制御を行う場合について説明したが、これに限るものではなくモータ電流検出回路19で検出されるモータ電流に基づいて駆動制御を行う場合であっても適用することができる。
また、上記実施の形態においては、電動モータ12の一方の端子とモータ駆動回路との間にモータリレー回路が介挿されている場合について説明したがこれに限るものではなく、電動モータ12の各端子とモータ駆動回路との間のそれぞれにモータリレー回路が介挿されている場合であっても適用することができ、この場合には、他方の電流供給ラインにも強制通電回路を設け、この強制通電回路とモータリレー回路とこのモータリレー回路と接続されるFET3とからなる電流経路を構成すればよく、前記強制通電回路は、両電源供給ラインで共通としてもよい。
ここで、上記実施の形態において、リレー端子間電圧検出回路26及び図3のステップS2の処理が導通状態検出手段に対応し、強制通電回路50及びトランジスタFET4が通電手段に対応し、図3のステップS2からステップS10の処理が導通回復制御手段に対応している。
また、図3のステップS3及びステップS4の処理が開閉制御手段に対応している。
また、強制通電回路50が電流供給源に対応し、トランジスタFET4がスイッチ手段に対応している。
2 ステアリングシャフト
3 トルクセンサ
8 ステアリングギヤ
10 減速ギヤ
12 電動モータ
13 コントローラ
14 操舵角センサ
15 車速センサ
16 マイクロコンピュータ
18 モータ駆動回路
19 モータ電流検出回路
20 Hブリッジ回路
21 FETゲート駆動回路
25 モータ端子間電圧検出回路
26 リレー端子間電圧検出回路
41 可動接点
41a 固定接点
42 リレーコイル
43 モータリレー回路
50 強制通電回路
TR バイポーラトランジスタ
Claims (8)
- 操舵系に対して操舵補助力を付与する電動モータと、
当該電動モータを駆動制御するモータ駆動回路と、
前記モータ駆動回路と前記電動モータとの間の電力供給ラインを遮断する常開型の可動接点を有するモータリレー回路と、
前記モータリレー回路の実際の導通状態を検出する導通状態検出手段と、
前記電動モータを介さずに前記モータリレー回路へ通電を行う通電手段と、
前記モータリレー回路が導通状態に制御されているにも関わらず前記導通状態検出手段で前記モータリレー回路が非導通状態であることを検出したとき、前記通電手段を作動させて前記モータリレー回路の接点間の導通を妨げる導通阻害物質の焼損を図るための通電を行う導通回復制御手段と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。 - 前記導通回復制御手段は、前記モータリレー回路への通電量が徐々に増加するように前記通電手段を制御することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記導通回復制御手段は、前記モータリレー回路への通電量を、前記モータリレー回路に可動接点の溶着が発生し得ない値に制限することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記導通回復制御手段は、前記導通状態検出手段で前記モータリレー回路が非導通状態であることを検出したとき、前記モータリレー回路を開閉動作させる開閉制御手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記導通回復制御手段は、前記導通状態検出手段で前記モータリレー回路が非導通状態であることを検出した後、前記モータリレー回路を、前記開閉制御手段により予め設定した規定回数開閉動作させるまでの間に、前記導通状態検出手段で前記モータリレー回路が導通状態であることが検出されないとき、前記通電手段を作動させることを特徴とする請求項4記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記導通回復制御手段は、前記通電手段による予め設定した規定時間の通電が終了するまでの間に、前記導通状態検出手段で前記モータリレー回路が導通状態であることが検出されないとき、前記モータリレー回路の異常と判断することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 前記モータ駆動回路は、前記電動モータへの駆動電流を制御するHブリッジ回路を備え、前記Hブリッジ回路の各相の上アームと下アームとの間に前記電動モータが接続され、前記Hブリッジ回路と前記電動モータとの間に前記モータリレー回路が介挿された電動パワーステアリング制御装置であって、
前記通電手段は、前記モータリレー回路及び前記電動モータ間に接続される電流供給源と、前記モータリレー回路と接続される前記下アームを構成するスイッチ手段とで構成され、
前記導通回復制御手段は、前記電流供給源による電流供給の開始を制御すると共に、前記スイッチ手段をPWM制御することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。 - 前記通電手段は、電流供給源と、当該電流供給源と前記モータリレー回路との間に直列に接続される通電制御用の複数のスイッチング素子とを有し、
前記導通回復制御手段は、前記モータリレー回路へ非通電時には前記複数のスイッチング素子を遮断制御し、通電時には前記複数のスイッチング素子を導通制御することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の電動パワーステアリング制御装置。
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