JP2008040278A - 偏光板 - Google Patents

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JP2008040278A JP2006216291A JP2006216291A JP2008040278A JP 2008040278 A JP2008040278 A JP 2008040278A JP 2006216291 A JP2006216291 A JP 2006216291A JP 2006216291 A JP2006216291 A JP 2006216291A JP 2008040278 A JP2008040278 A JP 2008040278A
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Masanori Yoshihara
眞紀 吉原
Tetsuya Toyoshima
哲也 豊嶋
Kohei Arakawa
公平 荒川
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Abstract

【課題】強靭で表面硬度が高く、偏光子と保護層との密着性に優れ、高温高湿下でも偏光度が維持される偏光板、及びこの偏光板を備える液晶表示装置を提供する。
【解決手段】
熱可塑性樹脂を含有する、a層及びb層を少なくとも含んでなり、前記a層の曲げ弾性率がb層の曲げ弾性率より大きく、かつ前記a層が反射防止層側に存在する視認側保護層と、偏光子とを溶剤を含まない活性エネルギー性硬化型接着剤によって積層して偏光板を得る。この偏光板を液晶セルと共に用いて液晶表示装置を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、強靭で表面硬度が高く、高温高湿下でも偏光度が維持される偏光板、及びこの偏光板を備える液晶表示装置に関する。
液晶表示装置等に用いられる偏光板は、偏光子と保護フィルムとからなる積層体である。この偏光板を構成する偏光子としては、ポリビニルアルコールを溶液流延法により製膜したフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ、ホウ酸溶液中で延伸させたフィルムが通常使用されている。
一方、偏光板を構成する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムが広く用いられている。しかし、トリアセチルセルロースフィルムは、防湿性とガスバリア性が悪いので、偏光板の耐久性、耐熱性、機械的強度などが不十分である。
従来から、複数の樹脂を積層することにより、それぞれの樹脂の特徴を生かした多層フィルムを作製することが広く知られている。
例えば、特許文献1には、少なくとも2層以上を有する熱可塑性樹脂シートにおいて、その少なくとも1層が、非晶質ポリオレフィンであることを特徴とする成形用熱可塑性樹脂シート及びその成形体が記載されている。この熱可塑性樹脂シートは、水蒸気バリア性、透明性に優れるとともに、金型との融着性が無く、広い温度範囲で成形が可能であると記載されている。
特許文献2には、ポリスチレン層/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体層/ポリスチレン層のサンドイッチ状積層体からなるポリスチレン系フィルムが記載されている。この積層フィルムは、安価で、透明性、耐衝撃性に優れ、また縦方向又は横方向の引き裂き強度のバランスがよいフィルムであるとされている。
また、偏光板保護フィルムとして多層フィルムを用いる技術も知られている。例えば、特許文献3には、トリアセチルセルロースよりも吸湿度が小さい、正の光弾性定数を有する樹脂層と負の光弾性定数を有する樹脂層とが積層され、光弾性定数が特定値よりも小さいことを特徴とする偏光板保護フィルムが記載されている。さらにこの偏光板保護フィルムは、高温高湿の環境に置かれた場合であっても、表示ムラやコントラストの低下が生じないと記載されている。
特許文献4には、中間層の両側に表面層が積層された3層積層体からなり、少なくとも中間層には紫外線吸収剤が配合されており、中間層の紫外線吸収剤濃度が表面層より高く設定されてなる、波長380nm以下の紫外線透過率が40%以下であるノルボルネン系樹脂フィルムが記載されている。また、この樹脂フィルムは、押出成形時に紫外線吸収剤が揮発することによる外観不良が起こらないと記載されている。
しかしながら、上記特許文献に記載された多層フィルムに関する技術は、いずれも強靭で優れた表面硬度を有する偏光板を得ることはできず、さらなる改良が求められている。
特開平6−255053号公報 特開平8−281882号公報 特開2000−206303号公報 特開2002−249600号公報
本発明は、上記した従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、強靭で表面硬度が高く、高温高湿下でも偏光度が維持される偏光板、及びこの偏光板を備える液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、曲げ弾性率が相対的に大きい熱可塑性樹脂を含むa層と、曲げ弾性率が相対的に小さい熱可塑性樹脂を含むb層を積層してなる積層フィルムと、偏光子とを溶剤を含まない活性エネルギー性硬化型接着剤を介して積層すると強靭で表面硬度が高く、反射防止性に優れ、高温高湿下でも偏光度が維持される偏光板を得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして本発明は、下記のものを含む。
(1) 熱可塑性樹脂を含有する、a層及びb層を少なくとも含んでなり、前記a層の曲げ弾性率がb層の曲げ弾性率より大きく、かつ前記a層が視認側に存在する視認側保護層と、
偏光子とが、溶剤を含まない活性エネルギー性硬化型接着剤を介して積層されてなる、偏光板。
(2) 前記a層とb層の曲げ弾性率の差が0.2GPa〜2.5GPaである(1)に記載の偏光板。
(3) 前記視認側保護層が、共押出法により得られたものであることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の偏光板。
(4) 視認側保護層は紫外線吸収剤を含む(1)〜(3)のいずれか一に記載の偏光板。
(5) (1)〜(4)のいずれか一に記載の偏光板を備える液晶表示装置。
本発明の偏光板は、強靭で表面硬度が高く、耐擦傷性に優れており、さらに偏光子と保護層との密着性にも優れ、高温高湿下でも高い偏光度を維持できるので、液晶表示装置に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の偏光板は、視認側保護層と、偏光子とが積層されてなるものである。また、偏光子には視認側保護層が積層された側の反対側に液晶セル側保護層が積層されていてもよい。
偏光子に視認側保護層を積層するために、溶剤を含まない活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる。
(溶剤を含まない活性エネルギー線硬化型接着剤)
本発明において視認側保護層と偏光子との積層の際に用いる接着剤は活性エネルギー線を照射すると硬化し、且つ溶剤を含まない(溶剤フリー)接着剤である。
ここで「溶剤を含まない」とは、被接着物に塗布する際の接着剤に、溶剤をまったく含まないか、もしくは溶剤含有量が接着剤全重量に対して2重量%未満であることをいう。接着剤中の溶剤含有量はガスクロマトグラフィー等によって測定できる。
溶剤としては、n−ヘキサンやシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールのようなアルコール類;アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのようなセロソルブ類;塩化メチレンやクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。
また、本発明に用いる活性エネルギー線硬化型溶剤フリー接着剤は、23℃におけるB型粘度計により測定される粘度が200〜5000mPa・sであると、接着剤の塗布性に優れ好適である。
活性エネルギー線により硬化する溶剤フリー接着剤は、無色透明であれば、特に制限なく、公知のものを使用することができる。活性エネルギー線硬化型溶剤フリー接着剤の主成分となる活性エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの官能基を有する化合物などの活性エネルギー線によりラジカル重合を起こして硬化するもの(光ラジカル重合性化合物);エポキシ基、オキセタン基、水酸基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基等の官能基を有する化合物などの活性エネルギー線により光カチオン反応を起こして硬化するもの(光カチオン重合性化合物);が挙げられる。
光ラジカル重合性化合物として、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート;2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアリールアクリレート;2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸などのアクリル変性カルボン酸;トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートのようなポリエチレングリコールジアクリレート;ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートのようなポリプロピレングリコールジアクリレート;その他、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのような多官能アクリレート;エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ネオペンチルグリコールのアクリル酸安息香酸混合エステルなどその他のアクリレート;これらのメタクリレート体;などが挙げられる。
光カチオン重合性化合物として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのアルコール型エポキシ樹脂;臭素化エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂;ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂等のエポキシ基を有する化合物;フェノキシメチルオキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン等のオキセタニル基を有する化合物が挙げられる。
これらの活性エネルギー線硬化性化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
活性エネルギー線硬化型接着剤には、前述の活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化反応効率を上げる目的で、重合開始剤を配合することができる。重合開始剤は、使用する活性エネルギー線の種類に合わせて選択される。重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、ベンゾインアルキルエーテル系等の光ラジカル重合開始剤;芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等の光カチオン重合開始剤;等が挙げられる。これらは一種単独で若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
ベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
光カチオン重合開始剤は、イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤であっても良いし、非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤であっても良い。また、上記光カチオン重合開始剤は、上記光カチオン重合性化合物の光カチオン重合を効果的に開始および進行させることができることから、波長350nm以上の光で活性化する光カチオン重合開始剤であることが好ましい。
イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤は、特に限定されるものではない。例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩類;鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類;テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどの嵩高い対アニオンを有する光カチオン重合開始剤等が挙げられる。これらのイオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤は、単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、旭電化工業社製の商品名「アデカオプトマーSP150」、「アデカオプトマーSP170」などの「アデカオプトマー」シリーズや、ゼネラルエレクトロニクス社の商品名「UVE−1014」、サートマー社製の商品名「CD−1012」、ローディア社製の商品名「Photoinitiator 2074」等が挙げられる。
非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤は、特に限定されるものではない。例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドホスホナート等が挙げられる。これらの非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤は、単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
重合開始剤の配合量は、通常、活性エネルギー線硬化性化合物100重量部に対し、0.5〜10重量部である。
更に活性エネルギー線硬化型接着剤には、光増感剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機系粒子、無機酸化物粒子、顔料、染料等が配合されていてもよい。
光増感剤を使用することで、反応性が向上し、接着剤硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤は特に限定されるものではないが、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素等が挙げられる。
光増感剤の具体例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体;その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。光増感剤は、活性エネルギー線硬化性化合物を100重量部とした場合に、0.1〜20重量部の範囲内で含有するのが好ましい。
本発明の偏光板は、視認側保護層を上記活性エネルギー線硬化型接着剤を介して偏光子の一面に貼合し、次いで活性エネルギー線を照射することによって接着剤を硬化させ、視認側保護層を偏光子に固定することによって得られる。
偏光子への接着剤の塗工方法に特別な限定はなく、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。
視認側保護層の偏光子への貼合に先立って、貼合面に、ケン化処理、コロナ処理、プライマ処理、アンカーコーティング処理などの易接着処理が施されていてもよい。
本発明においては活性エネルギー線として、通常、光が用いられる。上記光は特に限定されるものではないが、例えば、マイクロ波、赤外線,可視光、紫外線、X線、γ線等が挙げられる。特に取り扱いが簡便であり、比較的高エネルギーを得られることから紫外線が好適に用いられる。
紫外線を照射するために用いる光源は特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが挙げられる。照射強度は、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、100mW/cm2を超えると、ランプからの輻射熱、重合反応熱等により、接着剤が黄変したり、偏光子自体が劣化する惧れがある。光照射時間は、硬化状況に応じて適宜選択されるものであって、特に限定されないが、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。
(1)視認側保護層
視認側保護層は、熱可塑性樹脂を含有するa層及びb層を少なくとも含むものである。ここで、「熱可塑性樹脂を主たる成分とする」とは、a層及びb層を構成する樹脂成分が熱可塑性樹脂であって、所望により配合剤等が含まれていてもよいという意味である。
(i)a層
a層に含まれる熱可塑性樹脂としては、透明性の高い熱可塑性樹脂であれば、特に制限されないが、光線透過率が80%以上であるものが好ましい。
a層に含まれる熱可塑性樹脂の好ましい具体例としては、ビニル芳香族系重合体、ポリアクリロニトリル系重合体、ポリ(メタ)アクリレート系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル芳香族系重合体としては、ポリスチレン、スチレン及び/又はスチレン誘導体と、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレート及びブタジエンから選ばれる少なくとも一種との共重合体;スチレンと共役ジエンとの共重合体の水素化物(芳香族環の水素化物を含む);等が挙げられる。ここで、スチレン誘導体としては、4−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−メトキシスチレン、4−tert−ブトキシスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレート系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物の単独重合体、(メタ)アクリル酸エステル化合物の2種以上の共重合体、(メタ)アクリル酸エステル化合物と他の共重合性単量体との共重合体等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの意である。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリアクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルの単独重合体、アクリロニトリル、およびアクリロニトリルと共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。アクリロニトリルと共重合可能な単量体としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸グリシジル、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコール(n=1〜9)ジメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカン又はビニルシクロアルケン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン、ビニルシクロヘキセン等のビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香環部分の水素化物等が挙げられる。
また、ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体及びその水素化物であってもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体等が挙げられるが、特に制限はない。
a層の好ましい樹脂としては、ビニル芳香族系重合体、ポリ(メタ)アクリレート系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体及びの水素化物が好ましく、ポリスチレン、スチレン・マレイン酸共重合体、ポリメチルメタクリレート、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物がさらに好ましい。
(ii)b層
b層を構成する熱可塑性樹脂としては、透明性の高い熱可塑性樹脂であれば、特に制限されないが、光線透過率が80%以上であるものが好ましい。
b層を構成する樹脂の好ましい具体例としては、脂環式構造含有重合体、セルロース系重合体、ポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエーテルスルホン系重合体、ビニル芳香族系重合体、ポリオレフィン系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリ(メタ)アクリレート系重合体が挙げられる。これらの重合体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、透明性に優れること等から、脂環式構造含有重合体;セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系重合体が好ましく、透明性、寸法安定性、軽量性等の観点から、脂環式構造含有重合体、セルローストリアセテート、ポリエチレンテレフタレートがより好ましく、低吸湿性、寸法安定性の観点から脂環式構造含有重合体が特に好ましい。
脂環式構造含有重合体は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を有する重合体及び側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれも用いることができる。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲内にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた基材樹脂フィルムを得ることができる。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有重合体における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造含有重合体の具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、及びこれらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体が好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単量体との付加共重合体等が挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系単量体の開環(共)重合体水素化物が特に好ましい。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)等を挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
開環重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素化物、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体の水素化物、及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素化することによって得ることができる。
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体を挙げることができる。
また、環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体を挙げることができる。
前記a層及びb層を構成する熱可塑性樹脂の分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲内である。分子量がこのような範囲内にあるときに、視認側保護層となる保護フィルムを製造する場合、フィルムの機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされ好適である。
前記a層及びb層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲内である。ガラス転移温度がこのような範囲内にあるとき、視認側保護層となる保護フィルムを製造する場合、高温・高湿度下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れるフィルムを得ることができる。
前記a層及びb層を構成する熱可塑性樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.0〜6.0、より好ましくは1.1〜4.0の範囲内である。このような範囲内に分子量分布を調整することによって、視認側保護層となる保護フィルムを製造する場合、機械的強度と成形加工性が良好にバランスされたフィルムを得ることができる。
(曲げ弾性率)
視認側保護層は、熱可塑性樹脂を主たる成分とするa層及びb層を少なくとも含み、前記a層の曲げ弾性率がb層の曲げ弾性率より大きいことを特徴とする。
曲げ弾性率は、物体に曲げ荷重をかけた場合の荷重とたわみの比をいい、より詳しくは、規定された2点のひずみをε1、ε2とし、これらに対応する応力をρ1、ρ2とするとき、応力差(ρ2−ρ1)をひずみ差(ε2−ε1)で除した値である。
一般的に強靭なポリマーは曲げ弾性率が小さく、表面硬度の高いポリマーは曲げ弾性率が大きい。視認側保護層として、曲げ弾性率が相対的に大きく表面硬度の高いa層と、相対的に曲げ弾性率が小さく靭性に優れるb層とを組み合わせて形成したものを用い、かつ、前記a層をb層よりも視認側に配置することにより、強靭で、表面硬度が高い視認側保護層を提供するものである。
前記a層の曲げ弾性率は、b層の曲げ弾性率より相対的に大きいものであればよいが、より強靭で、表面硬度が高い偏光板を得る観点で、a層の曲げ弾性率が3GPa以上、好ましくは3〜4GPaであり、b層の曲げ弾性率が3GPa未満、好ましくは0.1〜3GPaであるのが好ましい。a層の曲げ弾性率が4GPaを超えると、不透明または溶融粘度が高くなり、フィルム成形が困難になるおそれがある。また、b層の曲げ弾性率が0.1GPa未満となると、溶融時の粘度が低くなり、フィルム成形が困難になるおそれがある。
前記a層とb層の曲げ弾性率の差は、a層の曲げ弾性率がb層の曲げ弾性率より相対的に大きいものであれば特に制限されないが、好ましくは0.2〜2.5GPa、より好ましくは、0.5〜2.0GPaである。a層とb層の曲げ弾性率の差があまりに小さいと、得られる偏光板の強靭性と表面硬度とのバランスが悪くなるおそれがある。一方、曲げ弾性率の差があまりに大きくなると、フィルム成形時に均一な積層フィルムを成膜するのが困難となるおそれがある。
a層とb層との好ましい組み合わせとしては、透湿性、強靭性及び表面硬度が高度にバランスされることから、a層/b層で表して、ビニル芳香族系重合体/脂環式構造含有重合体、ポリ(メタ)アクリレート系重合体/脂環式構造含有重合体が挙げられる。なかでも、ポリスチレン/脂環式構造含有重合体、スチレン・マレイン酸共重合体/脂環式構造含有重合体、ポリメチルメタクリレート/脂環式構造含有重合体の組み合わせが特に好ましい。
前記視認側保護層は、少なくともa層とb層を含む積層体であればよいが、前記b層を介してa層の反対側にc層をさらに有するものや、a層とb層の間に所望によりx層を介して積層されたものであってもよい。
前記c層は、反射防止フィルムのカールを防止するために設けられ、a層を構成する樹脂とb層を構成する樹脂の双方に親和性がある材質のものから形成することができる。例えば、透明性が高く、a層とb層を構成する樹脂の双方に親和性がある熱可塑性樹脂からなるものが挙げられる。またc層は、a層又はb層と同じ樹脂から形成することもできる。
c層は視認側保護層となる保護フィルムのカールを防止するために設けられるが、その厚みが薄すぎても厚すぎてもカールを防止できない。c層の厚みは、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
前記x層は、a層とb層を構成する樹脂の双方に親和性のある樹脂から形成することができる。例えば、ポリエステルウレタン系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、ポリオレフィン系共重合体、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、環化ゴム、これらの重合体に極性基を導入した変性物、等が挙げられる。これらの中で、ポリオレフィン系共重合体及びその変性物が好適に用いられる。
ポリオレフィン系共重合体としては、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレンと(メタ)アクリル酸エステルに、さらに他の共重合可能な単量体(プロピレン、マレイン酸、酢酸ビニル等)を共重合した三元共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−スチレン共重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジルエステル共重合体;等が挙げられる。
また、これらのポリオレフィン系共重合体に極性基を導入する方法としては、酸化、ケン化、塩素化、クロルスルホン化、不飽和カルボン酸付加、等が挙げられる。これらの中で、不飽和カルボン酸付加が好ましく用いられる。
主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂としては、ポリブタジエン骨格又は少なくともその一部に水素添加したポリブタジエン骨格を有する樹脂が挙げられ、具体的には、ポリブタジエン樹脂、水添ポリブタジエン樹脂、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS共重合体)、その水素添加物(SESB共重合体)等が挙げられる。なかでもスチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物の変性物が好適である。
これらの重合体の変性物を得るために用いる極性基を導入するための化合物としては、カルボン酸又はその誘導体が好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸;塩化マレイル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸のハロゲン化物、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体;等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物による重合体変性物は、密着性に優れるので、好適に用いることができる。不飽和カルボン酸又はその無水物の中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの不飽和カルボン酸等は、2種以上を混合して用い、変性することもできる。
視認側保護層を製造する方法は特に制限されず、例えば、(i)a層とb層とを別々に成膜し、x層を介してドライラミネーションにより積層して積層体とする方法、(ii)共押出法により成膜して積層体を得る方法等が挙げられる。なかでも、層間剥離強度が大きい積層体を得ることができ、かつ、生産効率が優れることから、(ii)の共押出法が好ましい。共押出法により積層体を得る方法は、具体的には、複数の押出機を用い、a層を構成する樹脂材料とb層を構成する樹脂材料とを多層ダイから押出すことにより成膜するものである。
また、共押出する場合は、本発明の目的を阻害しない範囲で、配合剤を、a層、b層及び/又はc層に添加することができる。
用いる配合剤としては特に限定されず、例えば、滑剤;層状結晶化合物;無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;可塑剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤;等が挙げられる。これらの配合剤は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。配合剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜定めることができる。
滑剤としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、および硫酸ストロンチウムなどの無機粒子、ならびに、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、セルロースアセテート、およびセルロースアセテートプロピオネートなどの有機粒子が挙げられる。滑剤を構成する粒子としては、有機粒子が好ましく、この中でもポリメチルメタクリレート製の粒子が特に好ましい。
滑剤としてゴム状弾性体からなる弾性体粒子を用いることにより、可撓性を付与することができる。ゴム状弾性体としては、アクリル酸エステル系ゴム状重合体、ブタジエンを主成分とするゴム状重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。アクリル酸エステル系ゴム状重合体としては、ブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト等を主成分とするものがある。これらのうち、ブチルアクリレ−トを主成分としたアクリル酸エステル系重合体およびブタジエンを主成分とするゴム状重合体が好ましい。
弾性体粒子は、二種の重合体が層状になったものであってもよく、その代表例としては、ブチルアクリレ−ト等のアルキルアクリレ−トとスチレンのグラフト化ゴム弾性成分と、メチルメタクリレ−ト及び又はメチルメタクリレ−トとアルキルアクリレ−トの共重合体からなる硬質樹脂層とがコア−シェル構造で層を形成している弾性体粒子が挙げられる。
弾性体粒子は、熱可塑性樹脂中に分散した状態における数平均粒径が通常2.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。弾性体粒子の一次粒子径が小さくても、凝集などによって形成される二次粒子の数平均粒径が大きいと、視認側保護層はヘイズ(曇り度)が高くなり、光線透過率が低くなるので、表示画面用には適さなくなる。また、数平均粒径が小さくなりすぎると可撓性が低下する傾向にある。
得られる視認側保護層全体の厚みは、通常30〜200μm、好ましくは40〜150μm、特に好ましくは50〜100μmである。
また、視認側保護層に含まれるa層の厚みは、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。a層の厚みが5μmより薄いと表面硬度を高くすることができなくなる。その一方、厚みが100μmより厚くなると、視認側保護層が脆くなるため好ましくない。
b層の厚みは、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。b層の厚みが5μmより薄いと視認側保護層が脆くなるため好ましくない。その一方、厚みが100μmより厚くなると、視認側保護層の透明性が低下するおそれがある。また、偏光板全体の厚みが増加して、ディスプレイの小型化に支障が生じるおそれがある。
視認側保護層がx層を有するとき、x層の厚みは通常1〜20μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜7μmである。x層の厚みが20μmより厚くなると、表面硬度を高くできなくなるおそれがある。
本発明の偏光板においては、前記視認側保護層は透湿度が低いことが好ましい。後述するように、偏光子は、空気中の水分を吸収して偏光度が徐々に低下する性質があるので、偏光子に透湿度の低い視認側保護層を貼り合わせることにより、耐久性に優れる偏光板を得ることができる。
透湿度は、JIS Z 0208に準拠した方法で測定することができる。
また視認側保護層としては、その片面又は両面に表面改質処理が施されたものを用いることもできる。表面改質処理を行うことにより、低屈折率層や後述するその他の層との密着性を向上させることができる。表面改質処理としては、エネルギー線照射処理や薬品処理等が挙げられる。
エネルギー線照射処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理等が挙げられ、処理効率の点等から、コロナ放電処理、プラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理が特に好ましい。薬品処理としては、重クロム酸カリウム溶液、濃硫酸等の酸化剤水溶液中に浸漬し、その後充分に水で洗浄する方法が挙げられる。薬品処理では、浸漬した状態で振盪すると効果的であるが、長期間処理すると表面が溶解したり、透明性が低下したりするといった問題があり、用いる薬品の反応性、濃度等に応じて、処理時間等を調整する必要がある。
視認側保護層の層構成としては、強靭で表面硬度に優れる視認側保護層が得られることから、a層−x層−b層の3層構造からなる視認側保護層、a層−x層−b層−x層−a層の5層構造からなる視認側保護層が好ましい。
さらに本発明の偏光板は、視認側保護層の外表面にハードコート層、反射防止層、防汚層などの機能層が形成されていても良い。
(ハードコート層)
ハードコート層は、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「1H」以上の硬度を示す、熱や光硬化性の材料から形成されることが好ましい。 ハードコート層が設けられた視認側保護層の鉛筆硬度は4H以上となることが好ましい。視認側保護層の表面層がアクリル系樹脂で構成されている場合には、ハードコート層によって表面の鉛筆強度を4H以上に調整することが容易になる。
ハードコート層用材料としては、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリル系、ウレタンアクリレート系などの有機ハードコート材料;および、二酸化ケイ素などの無機ハードコート材料;などが挙げられる。なかでも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、ウレタンアクリレート系および多官能アクリレート系ハードコート材料の使用が好ましい。
このハードコート層は、その屈折率nHが、その上に積層する低屈折率層の屈折率nLとの間に、nH≧1.53、及びnH 1/2−0.2<nL<nH 1/2+0.2、の関係を有することが、反射防止機能を発現させるために好ましい。
このハードコート層には、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、耐熱性、帯電防止性、防眩性などの向上を図る目的で、各種フィラーを含有せしめてもよい。さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤などの各種添加剤を配合することもできる。
(反射防止層)
本発明の偏光板を例えばディスプレイの表示画面に用いる場合には、前記ハードコート層の上に、さらに反射防止層が積層されていることが好ましい。反射防止層は、外光の移りこみを防止するための層である。このような反射防止層が積層された偏光板は、入射角5°、430〜700nmにおける反射率が2.0%以下であるとともに、550nmにおける反射率が1.0%以下であることが好ましい。反射防止層の厚みは、0.01μm〜1μmが好ましく、0.02μm〜0.5μmがより好ましい。このような反射防止層としては、例えば、前記ハードコート層よりも屈折率の小さい、好ましくは屈折率が1.30〜1.45である低屈折率層を積層したもの、無機化合物からなる低屈折率層と無機化合物からなる高屈折率層とを繰り返し積層したもの、などを挙げることができる。
低屈折率層を形成する材料は、基材又はハードコート層よりも屈折率の低いものであれば特に制限されないが、例えば、紫外線硬化型アクリル系樹脂等の樹脂系材料、樹脂中にコロイダルシリカ等の無機微粒子を分散させたハイブリッド系材料、テトラエトキシシラン等の金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル系材料等が挙げられる。前記例示した低屈折率層を形成する材料は、重合済みのポリマーであってもよいし、前駆体となるモノマーまたはオリゴマーであってもよい。また、それぞれの材料は、表面に防汚染性を付与するためのフッ素基を含有する化合物を含むことが好ましい。
前記フッ素基を含有するゾル−ゲル系材料としては、パーフルオロアルキルアルコキシシランを例示できる。パーフルオロアルキルアルコキシシランとしては、たとえば、一般式:CF3(CF2nCH2CH2Si(OR)3(式中、Rは、炭素数1〜5個のアルキル基を示し、nは0〜12の整数を示す)で表される化合物が挙げられる。具体的には、たとえば、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのなかでも前記nが2〜6の化合物が好ましい。
低屈折率層は、熱硬化性含フッ素化合物または電離放射線硬化型のフッ素化合物の硬化物からなることが好ましい。該硬化物の動摩擦係数は、好ましくは0.03〜0.15であり、水に対する接触角は好ましくは90〜120度である。硬化性の含フッ素高分子化合物としてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、架橋性官能基を有する含フッ素共重合体が挙げられる。
架橋性官能基を有する含フッ素重合体はフッ素含有モノマーと架橋性官能基を有するモノマーとを共重合することによって、又はフッ素含有モノマーと官能基を有するモノマーとを共重合し次いで重合体中の官能基に架橋性官能基を有する化合物を付加させることによって得ることができる。
含フッ素モノマーとしては、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等のフルオロオレフィン類;ビスコート6FM(大阪有機化学製)、M−2020(ダイキン製)等の(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。
架橋性官能基を有するモノマー又は架橋性官能基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基を有するモノマー;アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレートなどのヒドロキシル基を有するモノマー;メチロールアクリレート、メチロールメタクリレート;アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどのビニル基を有するモノマー;アミノ基を有するモノマー;スルホン酸基を有するモノマー;等を挙げることができる。
低屈折率層を形成するための材料としては、耐傷性を向上できる点で、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等の微粒子をアルコール溶媒に分散したゾルが含まれたものを用いることができる。前記微粒子は、反射防止性の観点から、屈折率が低いものほど好ましい。このような微粒子は、空隙を有するものであってもよく、特にシリカ中空微粒子が好ましい。中空微粒子の平均粒径は、5nm〜2,000nmが好ましく、20nm〜100nmがより好ましい。ここで、平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求められる数平均粒径である。
低屈折率層の厚さは特に制限されないが、0.05〜0.3μm程度、特に0.1〜0.3μmとするのが好ましい。
(防汚層)
前記低屈折率層の防汚性を高めるために、前記低屈折率層の上(観察側)にさらに防汚層を設けてもよい。防汚層は、表面に撥水性、撥油性、耐汗性、防汚性などを付与できる層である。防汚層を形成するために用いる材料としては、フッ素含有有機化合物が好適である。フッ素含有有機化合物としては、フルオロカーボン、パーフルオロシラン、又はこれらの高分子化合物などが挙げられる。また、防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法、化学的気相成長法、湿式コーティング法等を用いることができる。防汚層の平均厚みは好ましくは1〜50nm、より好ましくは3〜35nmである。
また、これらの層の他に、さらに、防眩層、ガスバリア層、透明帯電防止層、プライマー層、電磁波遮蔽層、下塗り層等のその他の層を視認側保護層に設けてもよい。
以上のような機能層を形成する場合には、形成させる面に化学的処理を施すことが好ましい。化学的処理の手段としては、例えば、コロナ放電処理、スパッタ処理、低圧UV照射処理、プラズマ処理などが挙げられる。また、本発明の視認側保護層は、前記化学的処理に加えて、機能層との密着性強化や防眩性付与を目的として、エッチング、サンドブラスト、エンボスロール等による機械的処理が施されていても良い。
これらの機能層の形成方法に格別な限定はなく、各機能層の形成に一般的な方法を採用すればよい。
(偏光子)
本発明に用いる偏光子としては、偏光子としての機能を有するものであれば、特に限定はされない。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系やポリエン系の偏光子が挙げられる。
偏光子の製造方法は特に限定されない。PVA系の偏光子を製造する方法としては、PVA系フィルムにヨウ素イオンを吸着させた後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後にヨウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムへのヨウ素イオン吸着と一軸延伸とを同時に行う方法、PVA系フィルムを二色性染料で染色した後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に二色性染料で吸着する方法、PVA系フィルムへの二色性染料での染色と一軸延伸とを同時に行う方法が挙げられる。また、ポリエン系の偏光子を製造する方法としては、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に脱水触媒存在下で加熱・脱水する方法、ポリ塩化ビニル系フィルムを一軸に延伸した後に脱塩酸触媒存在下で加熱・脱水する方法等の公知の方法が挙げられる。
(液晶セル側保護層)
本発明に用いる液晶セル側保護層は、前述の視認側保護層と同じものであってもよいし、従来から偏光板に用いられている保護層であってもよい。
液晶セル側保護層は、1mm厚における、400〜700nmの可視領域の光線透過率が80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の材料で形成したものが好適である。
この従来から偏光板に用いられている保護層を構成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロースエステル、脂環式オレフィンポリマーなどを挙げることができる。脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05−310845号公報又は米国特許第5179171号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報又は米国特許第5202388号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報(国際公開99/20676号公報)に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン開環重合体及びその水素添加物等を挙げることができる。
偏光子に液晶セル側保護層を積層する方法に格別な制限はなく、例えば、液晶セル側保護層となる保護フィルムを必要に応じて接着剤などを介して偏光子と積層する一般的方法を採用することができる。液晶セル側保護層を偏光子に貼合する際の接着剤としては、前述の活性エネルギー線硬化型接着剤を用いてもよいし、従来公知の接着剤であってもよい。
本発明の偏光板は、前述の視認側保護層、偏光子、及び液晶セル側保護層以外に、複屈折性を示すフィルムを液晶セル側保護層側に積層されたものであってもよい。この場合には、液晶セル側保護層は光学的に等方であることが好ましく、具体的にはReは10nm以下が好ましく、より好ましくは5nm以下である。Rthはその絶対値が10nm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm以下である。
複屈折性を示すフィルムとしては、熱可塑性樹脂を含有するフィルムを延伸したもの、無延伸の熱可塑性樹脂フィルム上に光学異方性層を形成したもの、熱可塑性樹脂を含有するフィルム上に光学異方性層を形成した後、さらに延伸したもの等を挙げることができる。複屈折性を示すフィルムは、単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよい。
また液晶セル側保護層として前記のような複屈折性を示すフィルムを用いてもよい。
複屈折性を示すフィルムを液晶セル側保護層として用いた場合、又は複屈折性を示すフィルムを液晶セル側保護層側に積層した場合には、色補償、視野角補償等の光学補償の機能を備え、液晶表示装置の視認性が向上する。
本発明の好ましい偏光板は、前記視認側保護層が第1番目の熱可塑性樹脂層を前記偏光子側に向けて積層されており、第1番目の熱可塑性樹脂層の、380nm〜780nmの範囲の波長における屈折率n1(λ)と、ポリビニルアルコールの、380nm〜780nmの範囲の波長における屈折率nb(λ)とが、式〔1〕の関係を満足するものである。
|n1(λ)−nb(λ)|≦0.05 式〔1〕
また、本発明の好ましい偏光板は、前記視認側保護層の第1番目の熱可塑性樹脂層が偏光子側に向いて積層されており、該第1番目の熱可塑性樹脂層の波長380nmにおける屈折率n1(380)及び波長780nmにおける屈折率n1(780)と、前記偏光子に含有させるポリビニルアルコールの波長380nmにおける屈折率nb(380)及び波長780nmにおける屈折率nb(780)とが、式〔2〕の関係を満足する。
||n1(380)−nb(380)|
−|n1(780)−nb(780)||≦0.02 式〔2〕
すなわち可視光領域の上限付近の波長における第1番目の熱可塑性樹脂層の屈折率と偏光子に含有されるポリビニルアルコールの屈折率との差が、下限付近の波長におけるその差と、それほど違わないということである。特に、||n1(380)−nb(380)|−|n1(780)−nb(780)||≦0.01であることが好ましい。なお、n1(380)、及びn1(780)はそれぞれの波長における主屈折率の平均値である。nb(380)及びnb(780)は無配向のポリビニルアルコールの屈折率である。
本発明の偏光板はJIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「3H」以上の硬度を示すことが好ましく、「4H」以上の硬度を示すことがより好ましい。
<液晶表示装置>
本発明の偏光板を用いて、本発明の液晶表示装置を製造することができる。液晶表示装置は、通常、光源と、入射側偏光板と、液晶セルと、出射側偏光板とがこの順に、配置されてなるものである。本発明の偏光板は、当該装置の出射側(視認側)に備える。なお、本発明の液晶表示装置には、さらに、位相差板、輝度向上フィルム、導光板、光拡散板、光拡散シート、集光シート、反射板などを備えていてもよい。
本発明について、実施例および比較例により、より詳細に説明する。なお、部及び%は特に断りが無い限り質量基準である。
実施例および比較例で得た保護フィルムを下記の方法により評価した。
<各樹脂層の膜厚>
保護フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトーム(大和工業社製、RUB−2100)を用いてスライスし、走査電子顕微鏡を用いて断面を観察し測定した。
<曲げ弾性率の測定>
基材樹脂層のa層とb層の曲げ弾性率は、JIS K 7171に準じて、引っ張り試験機(オートグラフAG−100kNIS、島津製作所社製)を使用して測定する。
結果は表1に記載した。
(偏光子の作製)
波長380nmにおける屈折率が1.545、波長780nmにおける屈折率が1.521で、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、2.5倍に一軸延伸し、ヨウ素0.2g/L及びヨウ化カリウム60g/Lを含む30℃の水溶液中に240秒間浸漬し、次いでホウ酸70g/L及びヨウ化カリウム30g/Lを含む水溶液に浸漬すると同時に6.0倍に一軸延伸して5分間保持した。最後に、室温で24時間乾燥し、平均厚さ30μmで、偏光度99.95%の偏光子Pを得た。
(保護フィルムの作製)
ポリメチルメタクリレート樹脂(ガラス転移温度Tg=110℃;以下「PMMA1」と記すことがある)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型一軸押出機に投入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの一方に供給した。
同時に、脂環式オレフィンポリマー(日本ゼオン社製「ゼオノア1060R」;吸水率0.01%未満、以下「NB」と記すことがある)を、目開き10μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型の一軸押出機に導入し、押出機出口温度260℃で溶融樹脂をダイスリップの表面粗さRaが0.1μmであるマルチマニホールドダイの他方に供給した。
同様に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンケミカル社製「EVAFLEX」;以下、「EVA」と記す)についてもマルチマニホールドダイの他方に供給した。
そして、溶融状態のポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA1)、脂環式オレフィンポリマー(NB)、及び接着剤として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を、それぞれマルチマニホールドダイから260℃で吐出させ、130℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、その後、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、PMMA1からなるa層(15μm)−接着層(4μm)−NBからなるb層(32μm)−接着層(4μm)−PMMA1からなるa層(15μm)の3層構成からなる、幅600mm、厚さ80μmの保護フィルムを共押出成形により得た。保護フィルムのa層の曲げ弾性率は3.3GPaであり、b層の曲げ弾性率は2.0GPaであった。
(活性エネルギー線硬化型接着剤1の調製)
末端アクリル変性ポリブタジエン(日本曹達社製、「R−45ACR」)35重量部、イソボロニルアクリレート60重量部、及び1−ヒドロキシ−シクロフェニル−フェニルケトン3重量部を混合して活性エネルギー線硬化型接着剤1を得た。
(活性エネルギー線硬化型接着剤2の調製)
3−エチル−3〔(フェノキシ)メチル〕オキセタン(東亞合成社製「PhOX」)95重量部、ポリブタジエン系エポキシ化合物3重量部、脂環エポキシ化合物(ユニオンカーバイド社製「ERL4206」)3重量部、及びアンチモン系スルホニウム塩化合物(旭電化工業社製「SP−170」)3重量部を混合して活性エネルギー線硬化型接着剤2を得た。
実施例1
偏光子Pの両面に活性エネルギー線硬化型接着剤1を介して保護フィルムを貼り合わせ、積算光量3000mJ/cm2の紫外線を照射し偏光板1を得た。
実施例2
活性エネルギー線硬化型接着剤1に替えて、活性エネルギー線硬化型接着剤2を用いた以外は実施例1と同様にして偏光板2を得た。
比較例1
偏光子Pの両面にポリビニルアルコール(クラレ社製、「PVA203」)の10%水溶液を滴下し保護フィルムを貼り合わせ、130℃で10分間加熱して偏光板3を得た。
<可撓性試験>
偏光板を1cm×5cmに打ち抜いて試験フィルムを得た。得られた試験フィルムを3mmφのスチール製の棒に巻きつけ、巻きつけたフィルムが棒のところで折れるか否かをテストした。合計10回テストを行い、折れなかった回数によって下記指標で可撓性を表す。
○:割れたフィルム片が0枚
△:割れたフィルム片が1枚
×:割れたフィルム片が2枚以上
<液晶表示性能の評価試験>
市販の液晶モニター(IPSモードの20V型液晶モニター)から、液晶セルを挟んでいる偏光板及び視野角補償フィルムのうち、視認側に設置されている、偏光板及び視野角補償フィルムを剥がし取り、実施例及び比較例で得た偏光板1〜3を該液晶セルに設置した。次いで、背景を黒表示で白文字を表示させて、正面から視線を上下左右に移動させ、その際に白文字が読み取れなくなる角度を測定する。
(密着性)
JIS−K5600−5−6記載のクロスカット法で接着性を求めた。具体的には100個の升目状の切り傷を、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、粘着テープ(ニチバン社製、商品名:CT24)を升目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に付着させた。次いで粘着テープを垂直に引き剥がした。テープ剥離面を目視により観察し、以下の基準にて評価した。
○:カットの縁が滑らかで、剥がれが無い
×:剥がれが見られる
(偏光度変化)
10インチ四方の大きさに切り出した2枚の偏光板を用意し、偏光軸が平行になるように重ね合わせ偏光板の対角線交点における透過率(H0)をJIS Z8701の2度視野(C光源)により、分光光度計を用いて測定した。次に偏光軸が直交するように重ね合わせ偏光板の対角線交点における透過率(H90)を同様にして測定した。この測定値から下記式に基づき偏光度を算出した。
偏光度(%)=[(H0-H90)/(H0+H90)]1/2×100
(H0及びH90は、視感度補正したY値である。)
次いで2枚の偏光板を下記1.〜5.の環境下に順次さらした後、同様にして偏光板の対角線交点における偏光度を求め、高温高湿下の放置前後での偏光度の変化を求めた。
1.高温環境:80℃、湿度50%、500時間
2.高温高湿度環境その1:温度60℃、湿度90%、500時間
3.高温高湿度環境その2:温度80℃、湿度90%、100時間
4.低温環境:−30℃、湿度10%、500時間
5.耐水環境:温度80℃、湿度90%にて、積層フィルム上にウエットティッシュを載せて30分放置する。
○:偏光度の変化量が0.5%以下
×:偏光度の変化量が0.5%より大きい
(耐湿性)
市販の液晶モニター(IPSモードの20V型液晶モニター)から、液晶セルを挟んでいる偏光板及び視野角補償フィルムのうち、視認側に設置されている、偏光板及び視野角補償フィルムを剥がし取り、実施例及び比較例で得た偏光板1〜3を液晶セルに再貼合した。
組みなおした液晶表示装置を、80℃、95%RHの恒温恒湿室に24時間放置し、次いで20℃、40%RHの恒温恒湿室に24時間放置する操作を20回繰り返した。保護層の各層間及び偏光子と保護層との間の積層状態を目視観察し、剥離して白く見える部分が偏光板の端から1mm以上の長さであれば×、1mm未満の長さであれば○として評価した。
<傷つき性試験>
JIS K5600−5−4を参考にして、JIS S 6006に規定する4Hの試験用鉛筆を45度の角度に傾けた状態で、500gの荷重を掛け、偏光板を構成する保護フィルムの表面(偏光子側とは反対側の面)を5mm程度引っかく試験を行った。この試験を5回実施し、以下の基準で傷の付き具合を判定した。
○:5回すべてに傷が付かなかった
△:5回のうち1回分に傷が付いた
×:5回のうち2回分以上に傷が付いた
Figure 2008040278


Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂を含有する、a層及びb層を少なくとも含んでなり、前記a層の曲げ弾性率がb層の曲げ弾性率より大きく、かつ前記a層が視認側に存在する視認側保護層と、
    偏光子とが、溶剤を含まない活性エネルギー性硬化型接着剤を介して積層されてなる、
    偏光板。
  2. 前記a層とb層の曲げ弾性率の差が0.2GPa〜2.5GPaである請求項1記載の偏光板。
  3. 視認側保護層が、共押出法により得られたものであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の偏光板。
  4. 視認側保護層は紫外線吸収剤を含む請求項1〜3のいずれか一に記載の偏光板。
  5. 請求項1〜4のいずれか一に記載の偏光板を備える液晶表示装置。
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