JP2008037307A - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーブル部材を操作する機構を省スペースに設置できるようにする。
【解決手段】ヘッドレストの移動機構を備えた車両用シートである。フォームドワイヤ20とこの動きを移動機構に伝える操作機構50及びケーブル部材40とを有する。フォームドワイヤ20は衝突発生時に乗員の背凭れ荷重を受けて後方側に押動される。操作機構50はフォームドワイヤ20に取付けられた可動部材51とバックフレームに固定された固定部材52とこれらの間に交差した姿勢状態で配設された第1及び第2リンク53,54とを有する。第1及び第2リンク53,54は可動部材51を固定部材52に対して接近・離間させる動きによって互いの交差角度を大小させる。ケーブル部材40の下端はアウター部材41の端部が第1リンク53に取付けられた第1スライダ55に繋がれてインナー部材42の端部が第2リンク54に取付けられた第2スライダ56に繋がれている。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両用シートに関する。詳しくは、シートに着座した乗員の頭部を受け止めるヘッドレストの支承部を車両の衝突時にシートバックに対して相対移動させることのできるヘッドレスト移動機構を備えた車両用シートに関する。
従来、自動車の座席用シートには、車両の後面衝突の発生時にヘッドレストを瞬時に前方移動させて乗員の頭部をサポートすることのできるアクティブヘッドレストが採用されているものがある。例えば、下記特許文献1には、車両の後面衝突の発生時に牽引操作されるように配設されたケーブル部材によってヘッドレストが作動するように構成された車両用シートが開示されている。この開示技術では、ケーブル部材の牽引操作される操作側の端部がシートバックの内部に配索されている。そして、ケーブル部材は、車両の後面衝突の発生時に、乗員の背部がシートバックに圧し掛かる背凭れ荷重を受けることによって、牽引操作されるようになっている。
具体的には、ケーブル部材は、管状のアウター部材の内部に線状のインナー部材が挿通された2重構造となっている。そして、このケーブル部材は、アウター部材の操作側の端部がシートバックの骨格部分に一体的に固定されており、インナー部材の操作側の端部がリンク機構から成る操作機構と繋がれている。ここで、操作機構は、2つのリンク部材が直線状に繋がれたかたちで構成されており、腕を曲げたり伸ばしたりできるようになっている。この操作機構は、常時は腕を折曲させた姿勢状態に保持されており、前述した乗員からの背凭れ荷重を受けることによって腕を伸ばす態様で押し動かされる。これにより、操作機構の腕の先端に繋がれたインナー部材の端部がアウター部材から引き出されるかたちで牽引操作される。
特開2006−56358号公報
しかし、上記した従来の技術では、ケーブル部材の牽引操作をするために、操作機構の腕を折曲させた状態から伸ばすためのスペースが必要となる。このようなシートバックの内部に配設される構造物は、他にもランバーサポートや空調等の構造物も配設されるため、可能な限り省スペースに留めることが好ましい。
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、車両の衝突時にヘッドレストを作動操作するケーブル部材の操作機構を省スペースに設置できるようにすることにある。
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートは次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、シートに着座した乗員の頭部を受け止めるヘッドレストの支承部を車両の衝突時にシートバックに対して相対移動させることのできるヘッドレスト移動機構を備えた車両用シートである。シートバックの形状内部に配設された押動部材と、押動部材の動きをヘッドレスト移動機構に伝える伝達機構と、を有する。押動部材は、車両の衝突発生時に乗員の背部がシートバックに圧し掛かる背凭れ荷重を受けて後方側に押し動かされるように配置されている。伝達機構は、ヘッドレスト移動機構に一端が繋がれたケーブル部材と、このケーブル部材の他端に繋がれて車両衝突時における押動部材の動きを受けてケーブル部材の他端を牽引操作する操作機構と、を有する。ケーブル部材は、線状のインナー部材が管状のアウター部材の内部に軸線方向に相対移動可能な状態に挿通された2重構造となっており、他端のインナー部材がアウター部材から引き出される牽引操作が行われることによってヘッドレスト移動機構を作動させ支承部を通常時の初期位置から衝突対応位置に向けて移動させられるようになっている。操作機構は、押動部材と一体的に或いは押動部材の動きに関連して後方側に押し動かされる可動部材と、可動部材が押し動かされる後方側の位置でシートバックと一体的に配設された固定部材と、固定部材と可動部材との間に互いが交差した姿勢状態となるように配設された2つのリンク部材と、を有する。2つのリンク部材は、少なくとも可動部材或いは固定部材の一方に対しては互いの端部間の離間寸法を広げたり狭めたりする方向にスライド移動可能に連結されており、可動部材を固定部材に対して相対的に接近させたり離間させたりする動きによって互いの交差角度を大小させるように連結されている。ケーブル部材の他端と操作機構との繋ぎ構造は、アウター部材の端部が操作機構の一方のリンク部材に繋がれていて、インナー部材の端部が操作機構の他方のリンク部材に繋がれている。ケーブル部材の他端は、押動部材が後方側に押し動かされることにより、操作機構の2つのリンク部材が互いの交差角度を大きくする方向にスライド移動する動きによってインナー部材の端部とアウター部材の端部とが互いに引き離されるかたちで牽引操作される。
この第1の発明によれば、操作機構を構成する2つのリンク部材は、互いに交差して配設されているため、互いのリンク長の重なり合いによりそれらのスライド移動する運動幅が小さく抑えられる。この2つのリンク部材は、可動部材が後方側に押し動かされることによって、ケーブル部材の他端を構成するアウター部材の端部とインナー部材の端部とを互いに引き離すかたちで牽引操作する。したがって、各リンク部材それぞれのスライド移動方向への運動幅が小さく抑えられる。
更に、第2の発明は、上述した第1の発明において、操作機構の2つのリンク部材が互いの交差角度を大小させるスライド移動方向は、シートバックの幅方向となっている。
この第2の発明によれば、2つのリンク部材は、シートバックの幅方向に対して互いの端部間の離間寸法を広狭させる。これにより、ケーブル部材の他端が、シートバックの幅方向に向けて牽引操作される。
次に、第3の発明は、上述した第1又は第2の発明において、操作機構の2つのリンク部材は、線状のワイヤ部材が適宜折り曲げられて形成されている。
この第3の発明によれば、2つのリンク部材を線状のワイヤ部材によって形成することにより、これを板状の部材によって形成する場合と比べると、互いを交差させた状態でスライド運動させる構成を形成し易くなる。また、各リンク部材を可動部材や固定部材に対して枢着させるための枢軸も、それ自体を折曲させるなどして容易に形成可能となる。
次に、第4の発明は、上述した第1から第3のいずれかの発明において、押動部材は、線状のワイヤ部材が適宜折り曲げられて形成されていて、その端部がシートバックに連結された状態として乗員からの背凭れ荷重を受ける初期位置に弾性的に保持されている。操作機構の可動部材は、線状のワイヤ部材として形成された押動部材におけるシートバックの幅方向に延びる横長部位に取り付けられるようになっている。2つのリンク部材の互いの交差角度を大小させるスライド移動方向が、シートバックの幅方向となっている。
この第4の発明によれば、押動部材を線状のワイヤ部材によって形成することにより、線状部材が後方側に揺動する省スペースな構成となる。一方、操作機構は、シートバックの幅方向に対して互いの端部間の離間寸法を広狭させる横向きの配置とされている。そして、この横向き配置の操作機構は、可動部材が線状の押動部材のシートバックの幅方向に延びる横長部位に取り付けられて、可動部材がその横長の広い範囲において横長部位が後方側に揺動する動きを受ける。
次に、第5の発明は、上述した第1から第4のいずれかの発明において、操作機構の2つのリンク部材は、互いに同じリンク長に形成されていて、ケーブル部材の他端の配設向きを維持しながら互いの交差角度を大きくする方向にスライド移動する。
この第5の発明によれば、ケーブル部材は、互いに同じリンク長に形成された2つのリンク部材によって、その配設向きを変えることなく軸長方向に牽引操作される。これにより、ケーブル部材の牽引操作が軸長方向に真っ直ぐに行える。
次に、第6の発明は、上述した第1から第5のいずれかの発明において、操作機構の2つのリンク部材は、可動部材に対しては各々の端部が軸回動可能に枢着されており、固定部材に対しては各々の端部が軸回動可能で、かつ、スライド移動可能に枢着されている。
この第6の発明によれば、2つのリンク部材は、可動部材が後方側に押し動かされることによって、各々の固定部材に枢着されている端部をスライド移動させながら、ケーブル部材の繋がれた部位間の交差角度を大きくさせる。
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、ケーブル部材の他端を牽引操作する操作機構の各リンク部材を交差状に配設したことにより、各リンク部材のリンク長を重合させられると共にそれぞれのスライド移動方向への運動幅も小さく抑えることができる。したがって、操作機構を省スペースに設置することができる。
更に、第2の発明によれば、各リンク部材のスライド移動方向をシートバックの幅方向としたことにより、その上側や下側の位置に設置されるランバーサポートや空調等の他の構造物との干渉を回避するかたちで操作機構を高さ方向に省スペースに設置することができる。
更に、第3の発明によれば、2つのリンク部材を線状のワイヤ部材によって形成したことにより、互いを交差させた状態でスライド運動可能に構成したり、可動部材や固定部材に対する枢軸を形成したりすることが容易に行えるようになる。そして、別途の枢軸が不要となるため、かかる部品点数を削減することができる。
更に、第4の発明によれば、線状に形成された押動部材の横長部位に横向き配置とされた操作機構の可動部材を取り付ける構成としたことにより、かかる構成全体をより省スペースに形成することができる。
更に、第5の発明によれば、ケーブル部材の牽引操作が軸長方向に真っ直ぐに行えるため、かかる操作をスムーズに行うことができる。
更に、第6の発明によれば、ケーブル部材を固定部材に近い位置に配設することができると共に、牽引操作時におけるケーブル部材の前後方向への移動量を小さく抑えることができるため、かかる設置スペースをよりコンパクトにすることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について、図面を用いて説明する。
始めに、実施例1の車両用シートについて図1〜図10を用いて説明する。
ここで、図1には、シートバック2の内部骨組み構造が斜視図によって表されている。本実施例の車両用シートは、シート1に着座した乗員の頭部を受け止めるヘッドレスト3の一部を車両の衝突時にシートバック2に対して相対的に移動させることのできる構成を備えている。ここで、ヘッドレスト3は、シートバック2の上部に設置されており、常時は、この設置された姿勢状態を維持して、乗員の頭部を後方側から支持することのできる状態とされている。しかし、このヘッドレスト3は、図4に示されるように、車両の後面衝突発生時には、乗員の頭部を受け止める前面側の支承部3aを瞬時に前進移動させられるようになっている。すなわち、上記の衝突発生時には、シートバック2やヘッドレスト3から体を前方に浮かした着座姿勢となっている乗員に対して、ヘッドレスト3の支承部3aを後頭部の直ぐ後ろまで接近移動させることができる。これにより、上記の衝突発生時に、頭部が衝突の勢いによって後傾し過ぎないようにサポートすることができ、頸部にかかる負荷を軽減することができる。
ここで、上記した支承部3aの前進移動は、ヘッドレスト3の内部に組み込まれたヘッドレスト移動機構10の作動によって行われる。このヘッドレスト移動機構10は、支承部3aとヘッドレスト3の支柱となるステー3b,3bとの間に設けられている。このヘッドレスト移動機構10は、4節リンク機構によって構成されており、常時は、図4の仮想線で示されている姿勢状態に保持されて、支承部3aを初期位置の状態に保持している。そして、ヘッドレスト移動機構10は、車両の後面衝突が発生すると、上記の保持状態が解除されると共に、附勢によって支承部3aを前進移動させる方向(矢印で示されている進行方向)に作動する。これにより、ヘッドレスト移動機構10は、同図の実線で示されるように、支承部3aをステー3b,3bに対する通常の初期位置の状態(仮想線状態)から相対的に前方かつ上方に移動させる。このヘッドレスト移動機構10の進行方向への作動は、同図の実線で示されるように、支承部3aを頭部の直ぐ後ろまで接近移動させた衝突対応位置(実線位置)にて規制されるようになっている。ここで、ヘッドレスト移動機構10の初期の姿勢状態は、図5において斜視図で表されている。また、ヘッドレスト移動機構10の作動後の姿勢状態は、図6において斜視図で表されている。
ところで、図1に戻って、ヘッドレスト移動機構10の保持状態を解除する操作は、シートバック2の内部に配索されたケーブル部材40の牽引操作に伴って行われる。ここで、ケーブル部材40は、その上端がヘッドレスト3の内部に配索されてヘッドレスト移動機構10に繋がれており、下端がシートバック2の内部に配索されてその下部側位置に配設された操作機構50に繋がれている。この操作機構50は、車両の衝突発生時に、乗員の背部がシートバック2に圧し掛かる背凭れ荷重を受けることにより、ケーブル部材40の下端を牽引操作する。これにより、ヘッドレスト移動機構10が解除操作されて、支承部3aが通常時の初期位置から衝突対応位置に向けて移送される。
以下、ヘッドレスト移動機構10や操作機構50などの各構成について詳細に説明する。
先ず、ヘッドレスト移動機構10について説明する。すなわち、ヘッドレスト移動機構10は、図6に示されるように、可動リンク11,11、固定リンク12,12、原動リンク13,13及び従動リンク14,14から成る左右一対の4節リンク機構によって構成されている。この左右一対の4節リンク機構は、各リンクの節を連結している長尺棒状の連結軸10a〜10dによって左右の動きが同期して行われるようになっている。
ここで、可動リンク11,11は、支承部3a(図4参照)と一体的に固定されている。この可動リンク11,11は、それらの上端部分が、連結軸10bによって、従動リンク14,14の前端部分にそれぞれリンク連結されている。そして、可動リンク11,11の下端部分は、連結軸10cによって、原動リンク13,13の前端部分にそれぞれリンク連結されている。
また、固定リンク12,12は、ステー3b,3bに一体的に固定された支持ブラケット3c,3cによって構成されている。詳しくは、支持ブラケット3c,3cには、その上端部分や中程の部分に、後方側に突出した腕形状の上腕支持部Au,Auや下腕支持部Al,Alが形成されている。そして、上腕支持部Au,Auが、連結軸10aによって、従動リンク14,14の後端部分にそれぞれリンク連結されている。そして、下腕支持部Al,Alが、連結軸10dによって、原動リンク13,13の後端部分にそれぞれリンク連結されている。
ここで、前述したヘッドレスト3の支柱であるステー3b,3bは、その中程から上側の部分が「く」符号状に前傾した屈曲形状に形成されている。これらステー3b,3bは、図1に戻って、シートバック2の骨格を成すバックフレーム2fのアッパフレームFuに固定されたサポート2s,2sにそれぞれ差し込まれて固定されている。これにより、ヘッドレスト3が、シートバック2の上部に設置された状態として保持されている。ここで、図6に戻って、支持ブラケット3c,3cは、断面「コ」符号状に形成されており、前傾姿勢となっているステー3b,3bの上端部分を「コ」の字の内部に挟み込むかたちで、溶接によってこれらと一体的に固定されている。この支持ブラケット3c,3cは、「コ」の字の開口部をヘッドレスト3の後方に向けた状態でステー3b,3bにそれぞれ固定されている。これにより、「コ」の字の開先が乗員の頭部に向かない設置状態とされている。
また、ヘッドレスト移動機構10は、連結軸10aと連結軸10cとの間に、引張ばねSaが2個掛けられている。これら引張ばねSa,Saは、ヘッドレスト移動機構10を進行の作動方向に附勢している。ここで、ヘッドレスト移動機構10の進行の作動方向とは、図7で見て、原動リンク13,13が連結軸10dを中心に時計回りに回動する方向のことである。
また、原動リンク13,13には、固定リンク12,12との連結部位(連結軸10d)から更に後方側に腕を延び出した形状の係合腕部15が一体的に形成されている。この係合腕部15は、各原動リンク13,13に形成されて左右一対で構成されているが、互いに連結されて一体的な形状となっている。また、図5に示されるように、前述した下腕支持部Al,Alの間には、これらを繋ぐかたちで軸支部材Gbが配設されている。この軸支部材Gbは、図7に示されるように、連結軸10dの後方側に離間した位置に配されており、下腕支持部Al,Alに対して軸回動可能に支持されている。そして、この軸支部材Gbの両端部には、カム形状の保持部材Fb,Fbが一体的に固定されている。ここで、図6に示されるように、紙面内左側の保持部材Fbと同左側の支持ブラケット3cとの間には、引張ばねSbが掛けられている。この引張ばねSbは、互いに一体的な構成となっている各保持部材Fb,Fbを、図7の紙面内時計回り方向に附勢している。これにより、各保持部材Fb,Fbが、上述した係合腕部15と係合可能な姿勢状態に保持されている。
ここで、図7を参照して、係合腕部15には、カム形状の保持部材Fb,Fbと当接可能な係止面15aと、軸支部材Gbと当接可能な当接面15bと、が形成されている。
前者の係止面15aは、係合腕部15の時計回りの回動方向に面を向けて形成されている。この係止面15aは、保持部材Fb,Fbが実線で示される姿勢状態となっているときには、これに突き当てられるかたちで係合する。すなわち、保持部材Fb,Fbや係合腕部15は、互いに偏芯した位置関係にある連結軸10d或いは軸支部材Gbによって軸支されているため、上記の回動附勢力が働くことによって、互いの面当接した部位同士が食込んだ姿勢状態として保持されるようになっている。これにより、保持部材Fb,Fbと係合した係合腕部15を介して、ヘッドレスト移動機構10の進行方向への回動が規制された状態となる。
また、後者の当接面15bは、軸支部材Gbを受け入れ可能に凹状に湾曲した形状に形成されている。ここで、保持部材Fb,Fbと係止面15aとの係合状態は、後述するケーブル部材40の牽引操作によって保持部材Fb,Fbが反時計回りに回動操作されることによって外される。これにより、係合腕部15は、保持部材Fb,Fbによる回動規制状態が解除され、引張ばねSa,Saの附勢によって進行方向に回動する。そして、この回動により、同図の仮想線で示されるように、今度は当接面15bが軸支部材Gbと当接して、ヘッドレスト移動機構10の進行方向への作動が再び規制された状態となる。
ここで、図4の実線で示されるように、ヘッドレスト移動機構10の進行方向(矢印方向)への作動が軸支部材Gbと係合腕部15との当接によって規制された状態、すなわち支承部3aが衝突対応位置まで移動した状態では、ヘッドレスト移動機構10の姿勢状態は次のようになっている。すなわち、原動リンク13,13や従動リンク14,14は、各々の固定リンク12,12に対する連結軸10dまたは連結軸10aに対し、水平よりも上を向いた姿勢状態となっている。これにより、可動リンク11,11は、支承部3aによって乗員の頭部を受け止める受止荷重を、ヘッドレスト移動機構10を軸支部材Gbとの当接によって規制されている進行方向に回動させる押圧力として作用させる姿勢状態となっている。
したがって、車両の後面衝突の発生時には、支承部3aに後傾に伴う乗員の頭部を受け止める受止荷重が作用しても、支承部3aは、進行方向とは逆方向(矢印の逆方向)に押し戻されない状態として保持される。
ここで、シートバック2の骨格を成すバックフレーム2fの骨組み構造について、図1を用いて説明する。すなわち、バックフレーム2fは、アッパフレームFuと両サイドフレームFs,Fsとが剛結合されることによって、門型の枠形状に形成されている。そして、このバックフレーム2fの枠内には、上部補強板2u、下部補強板2t及び補強部材2rがこれと一体に剛結合されている。これら上部補強板2u、下部補強板2t及び補強部材2rは、それぞれ、両サイドフレームFs,Fsの間に架け渡されてこれらに溶着されて一体的に固定されている。
詳しくは、上部補強板2uは、アッパフレームFuの直ぐ下側で、板面を前方に向けた状態で固定されている。
そして、下部補強板2tは、両サイドフレームFs,Fsの下端側の後方位置で、板面を前方に向けた状態で固定されている。
そして、補強部材2rは、曲板状に形成されており、下部補強板2tの前方位置で、曲板を上方に向けた状態で、下部補強板2tとも一体的に固定されている(図8参照)。この補強部材2rは、図1に戻って、両サイドフレームFs,Fsの間に幅方向に向けて配設された操作軸4aの周囲をその前方側と下方側とから覆うようにして配設されている。ここで、操作軸4aは、シートバック2の幅方向の両側に設けられたリクライニング機構4,4のロック・アンロックの作動状態の切換えを左右で一斉に行えるように操作力の伝達を行う部材である。この操作軸4aは、図8に示されるように、シートバック2における乗員の背凭れ荷重の負荷作用部位(例えば同図のPで示されている部位)から下方側に離間した位置に設けられている。したがって、操作軸4aは、上記背凭れ荷重の作用を受け難いため、車両の後面衝突の発生時においては撓み変形し難くなっている。そして、この操作軸4aの下方側に配設された補強部材2rも、同様に、背凭れ荷重の作用を受け難くなっている。この補強部材2rは、バックフレーム2fに組み付けられるバックパッド等の組付け部材(図示省略)と操作軸4aとが干渉しないようにこれを保護している。
次に、ケーブル部材40について説明する。すなわち、図1に示されるように、ケーブル部材40は、線状のインナー部材42が管状のアウター部材41の内部に軸線方向に相対移動可能な状態に挿通された2重構造となっている。
このケーブル部材40は、図7に示されるように、その上端がヘッドレスト3の内部に配索されてヘッドレスト移動機構10に繋がれている。詳しくは、インナー部材42の上端側の端部は、前述した図示されている左側の保持部材Fbに繋がれている。また、アウター部材41は、ヘッドレスト3の左側に設けられたステー3b及び支持ブラケット3cに一体的に固定されている。なお、アウター部材41は、インナー部材42の通り道をステー3bに対してガイドするためのものであるため、筒状に形成されたステー3bによってこれを兼用させることにより、これを不要とすることもできる。
また、ケーブル部材40の下端は、図2に示されるように、後述する操作機構50に繋がれている。この操作機構50は、図1に示されるように、車両の衝突発生時には、後述するフォームドワイヤ20に押し動かされることにより、インナー部材42の下端側の端部をアウター部材41の下端側の端部から引き離すかたちで牽引操作するように構成されている。したがって、図7に示されるように、インナー部材42の下端側の端部が牽引操作されることにより、保持部材Fb,Fbが引張ばねSbの附勢に抗して反時計回りに回動操作され、ヘッドレスト移動機構10の保持状態が解除される。なお、保持部材Fb,Fbは、インナー部材42の下端側の端部の牽引操作が解除されることにより、引張ばねSbの附勢によって時計回りに回動して牽引操作される前の姿勢状態に戻される。したがって、進行方向に回動したヘッドレスト移動機構10を初期位置の状態に戻し込む操作を行うことにより、保持部材Fb,Fbを係合腕部15の係止面15aと自動的に係合させることができる。
ところで、図1に戻って、上述したアウター部材41は、ヘッドレスト3の内部とシートバック2の内部とに分かれて構成されている。詳しくは、ヘッドレスト3の内部に配索されたアウター部材41は、前述したように、ヘッドレスト3の左側に設けられたステー3b及び支持ブラケット3cに一体的に固定されている。また、シートバック2の内部に配索されたアウター部材41は、その下端側の端部が操作機構50に繋がれている。そして、このアウター部材41の上端側の端部は、シートバック2の上部補強板2uから前方側に突出するかたちで形成された取付板部Tに一体的に固定されている。詳しくは、アウター部材41の上端側の端部は、その端部に形成されたくびれ形状部を、取付板部Tに形成された取付口Muに嵌め込んで内側までスライドさせることによってこれに位置固定されている。
ここで、図1に示されるように、上部補強板2uの前面には、ダンパー60が取り付けられている。このダンパー60は、アウター部材41の上端側から出ているインナー部材42の経路途中に介在するかたちで設けられている。ここで、図10には、ダンパー60の内部構造が表されている。
同図に示されるように、ダンパー60は、内部にシリコンオイル(粘性体)が充填された筒部61と、この筒部61に対して上下方向にスライド移動可能に組み付けられた軸部62と、を有する。前者の筒部61の上面部分には、上側からくるインナー部材42が接続されている。また、後者の軸部62の下側部分には、下側からくるインナー部材42が接続されている。このダンパー60は、軸部62の上端側に形成された仕切り板62aによって筒部61の内部空間が上下に仕切られており、軸部62の上下移動に伴って、シリコンオイルが仕切り板62aに形成された流通孔62bを流通するようになっている。すなわち、シリコンオイルが流通孔62bを流通する動きによって、筒部61に対する軸部62の相対的な上下移動が許容されている。この仕切り板62aは、筒部61との間に設けられた圧縮ばね64により、常時は、実線で示された上方側の位置に附勢されて保持されている。
また、仕切り板62aには、流通孔62bの下側の開口部を開閉することのできる開閉弁63が設けられている。この開閉弁63は、常時は流通孔62bの下側の開口部を解放した状態に保持されている。そして、開閉弁63は、下側のインナー部材42が速い速度で下方側に引張り込まれると、流通孔62bを上方側に向けて流通しようとするシリコンオイルの粘性抵抗に押圧されて、流通孔62bの開口部を下側から閉鎖する。これにより、筒部61に対する軸部62の相対的な下方向への移動が規制され、下側のインナー部材42と上側のインナー部材42とが一体となって下方側に引張り込まれるようになる。
また、この開閉弁63は、下側のインナー部材42が遅い速度で下方側に引張り込まれる場合には、シリコンオイルの粘性抵抗による押圧力の作用が小さいため、流通孔62bを解放したままの状態を維持する。したがって、筒部61に対する軸部62の相対的な下方向への移動が許容されるため、下側のインナー部材42が引張り込まれても上側のインナー部材42は引張り込まれずにいる。
なお、本実施例では、車両の後面衝突の発生によって衝撃的な大きな背凭れ荷重が発生し、これによってインナー部材42が速い速度で引張り込まれようとする動きに対して、開閉弁63が閉鎖されるように設定されている。そして、通常の着座使用に伴う背凭れ荷重によってインナー部材42が遅い速度で引張り込まれようとする動きに対しては、開閉弁63は閉鎖されないように設定されている。すなわち、通常の着座使用時には、インナー部材42を引張り込んでしまうような比較的大きな背凭れ荷重がかかっても、この引張り込まれたインナー部材42の動きをダンパー60の内部で吸収することができるため、保持部材Fb,Fbが作動しないように制限することができる。
次に、操作機構50について説明する。ここで、図2には、操作機構50の分解斜視図が表されている。また、図3には、操作機構50の組付け状態が斜視図によって表されている。
図2に示されるように、操作機構50は、可動部材51と、固定部材52と、第1リンク53と、第2リンク54と、第1スライダ55と、第2スライダ56と、から成る。ここで、第1リンク53が本発明の一方のリンク部材に相当し、第2リンク54が本発明の他方のリンク部材に相当する。
詳しくは、可動部材51は、横長状の板部材として形成されている。この可動部材51は、図3に示されるように、その前面側に形成された横長状の嵌合溝51a,51aにフォームドワイヤ20の横長部位22が嵌め込まれることにより、これと一体的に取り付けられている。ここで、フォームドワイヤ20が本発明の押動部材に相当する。そして、可動部材51には、その後面に形成された長孔状の掛入溝51bの両端部に、第1リンク53や第2リンク54の前側の端部がそれぞれ軸回動可能に枢着されている。この可動部材51は、図3に示されるように、フォームドワイヤ20の横長部位22に取り付けられた状態では、その幅方向の両側に配設された後述する屈曲ばね30,30に挟まれた姿勢状態となる。これにより、可動部材51は、その幅方向への移動が規制された状態として保持される。
次いで、固定部材52は、横長状の板部材として形成されている。この固定部材52は、その前面が、幅方向の中央部を境に両端の裾に向けて後方側に傾斜した山状に形成されている。そして、この山状に形成された傾斜面の上縁部位や下縁部位には、第1スライダ55や第2スライダ56を幅方向にスライド移動可能に嵌め込むことのできるガイド部位52a,52bがそれぞれ形成されている。この固定部材52は、バックフレーム2fの下部補強板2tに一体的に固定されている。
次いで、第1リンク53は、線状のワイヤ部材がC字状に折り曲げられた形状に形成されている。この第1リンク53は、その紙面内右側に表されている縦方向を向いたC字の両端部位が、第1スライダ55に形成された掛入溝55c,55cにそれぞれ掛け入れられることによってこれに軸回動可能に枢着される枢軸部位53a,53aとして形成されている。そして、第1リンク53は、図2の紙面内左側に表されている縦長の部位が、可動部材51に形成された長孔状の掛入溝51bの紙面内左側の端部に掛け入れられることによってこれに軸回動可能に枢着される枢軸部位53bとして形成されている。
次いで、第2リンク54は、線状のワイヤ部材の中央部分がC字状に折り曲げられた形状に形成されている。この第2リンク54は、その紙面内左側に表されている縦方向を向いた両端部位が、第2スライダ56に形成された掛入溝56c,56cに掛け入れられることによってこれに軸回動可能に枢着される枢軸部位54a,54aとして形成されている。この第2リンク54は、C字状に折り曲げられた中央部分を第2スライダ56の背裏側から挿通させることにより、その両端部位が第2スライダ56の上下の掛入溝56c,56cにそれぞれ掛け入れられるようになっている。そして、第2リンク54は、図2の紙面内右側に表されているC字状に折り曲げられた中央部分が、第1リンク53のC字の内部に挿通されて互いが交差した姿勢状態で、可動部材51に形成された長孔状の掛入溝51bの紙面内右側の端部に掛け入れられることによってこれに軸回動可能に枢着される枢軸部位54bとして形成されている。
次いで、第1スライダ55は、縦長の駒形状に形成されている。この第1スライダ55には、ケーブル部材40のアウター部材41の下端部が取り付けられている。この第1スライダ55の前面側の中央部には、アウター部材41の下端部に形成されたくびれ形状部を前面側から嵌め込むことのできる窪み形状のアウター取付口55aが形成されている。この第1スライダ55は、その後面側の上下の部位に形成された係合部位55bを固定部材52に形成されたガイド部位52aの紙面内右側の端部からスライド移動させて嵌め込むことにより、固定部材52の傾斜面に沿って幅方向にスライド移動可能な状態として組み付けられる。
次いで、第2スライダ56は、第1スライダ55よりも縦長の駒形状に形成されている。この第2スライダ56には、ケーブル部材40のインナー部材42の下端部が取り付けられている。この第2スライダ56の前面側の中央部には、インナー部材42の下端部に形成されたT字状の掛部を前面側から掛け入れることのできるインナー取付口56aが形成されている。この第2スライダ56は、その後面側の上下の部位に形成された係合部位56bを固定部材52に形成されたガイド部位52bの紙面内左側の端部からスライド移動させて嵌め込むことにより、固定部材52の傾斜面に沿って幅方向にスライド移動可能な状態として組み付けられる。
上記構成の操作機構50は、図9に示されるように、その組付け状態では、可動部材51を固定部材52の設置されている後方側に向けて接近させたり離間させたりする動きによって、第1リンク53と第2リンク54との交差角度を大小させる態様でスライド移動する。詳しくは、第1リンク53及び第2リンク54は、可動部材51が後方側に押し動かされる前の状態(実線状態)では、互いの固定部材52に枢着された後方側の端部のスライド位置が幅方向の中央部に位置しており、互いの離間寸法が狭い状態となっている。そして、第1リンク53及び第2リンク54は、可動部材51が後方側に押し動かされることにより、互いの後方側の端部を幅方向にスライド移動させながら、ケーブル部材40が繋がれている後方側の交差角度を大きくする。これにより、ケーブル部材40は、インナー部材42の端部とアウター部材41の端部とが互いに引き離されるかたちで牽引操作される。
ここで、同図に示されるように、第1リンク53及び第2リンク54は、互いに同じリンク長に形成されている。また、固定部材52の前面側の傾斜面は、左右対称の勾配に形成されている。したがって、ケーブル部材40の横向きに配索された下端側のインナー部材42やアウター部材41の各端部は、第1リンク53や第2リンク54のスライド移動時には、その配設向きが維持された状態で牽引操作される。これにより、ケーブル部材40の牽引操作が軸長方向に真っ直ぐに行えるようになっている。
また、第1リンク53や第2リンク54は、可動部材51が後方側に押し動かされる動きを受けて、第1スライダ55や第2スライダ56を固定部材52の前面側に形成された傾斜面に沿ってスライド移動させるようになっている。これにより、可動部材51が後方側に押し動かされる動きが第1スライダ55や第2スライダ56を幅方向にスライド移動させる押圧力として変換され易くなり、第1リンク53や第2リンク54にかかる負荷が軽減されている。また、第1リンク53や第2リンク54は、それらの各端部が可動部材51や固定部材52に対して枢着されており、かかる負荷が各々のリンク長方向にのみ作用するため、曲げの負荷がかかり難くなっている。
次に、図1に戻って、フォームドワイヤ20について説明する。すなわち、フォームドワイヤ20は、乗員の背凭れ荷重を弾性的に受け止めるための支承部材として構成されている。このフォームドワイヤ20は、線状のワイヤ部材を折曲させることによってU字状にひと繋ぎに形成されている。
そして、フォームドワイヤ20は、その縦方向に延びる2本の縦長部位21,21の上端部分21u,21uが、上部補強板2uの前面側に取り付けられたクリップC,Cにそれぞれ下側から挿通されている。これにより、フォームドワイヤ20は、上部補強板2uに対して上下方向への移動が可能な状態としてこれに連結されている。
このフォームドワイヤ20は、図8に示されるように、その後方側への押圧力を受けていない自由状態時には、実線で示された初期状態の姿勢形状を維持することのできる剛性を備えている。また、フォームドワイヤ20は、その後方側に押圧される背凭れ荷重が除荷されることにより、それ自体の弾性によって、再び元の初期状態の姿勢形状(実線で示された形状)に戻されるようになっている。
また、フォームドワイヤ20の下端部分に形成された横方向に延びる横長部位22は、その幅方向の両端部に設けられた一対の屈曲ばね30,30によって、下部補強板2tに対して弾性支持されている。この屈曲ばね30,30は、フォームドワイヤ20による乗員の背凭れ荷重を弾性的に受け止める支持力をアシストかたちで作用する。ここで、屈曲ばね30,30は、側面視で「く」符号状に形成されており、図1に示されるように、「く」の字の前端側に幅方向に屈曲して形成された前腕部位31,31がカシメによりそれぞれフォームドワイヤ20の横長部位22と一体的に固定されている。また、屈曲ばね30,30の後端側に幅方向に屈曲して形成された後腕部位32,32は、下部補強板2tの一部が前方側に切り起こされて形成されたばね掛部H,Hにそれぞれ掛着されている。
この屈曲ばね30,30は、図8に示されるように、乗員の背凭れ荷重を受けることによってフォームドワイヤ20が後方側に押し動かされると、横長部位22と下部補強板2tとの間で「く」符号状の開口形状を閉じる態様で撓み変形する。そして、屈曲ばね30,30は、この撓み変形に伴って、フォームドワイヤ20の横長部位22を上方側に押し出す方向に附勢力を作用させる。これにより、フォームドワイヤ20は、同図の仮想線で示されるように、その後方側への移動時には、上記屈曲ばね30,30の附勢力によって、上方側に微小にスライド移動するようになっている。このフォームドワイヤ20の上方側への移動は、その上端部分21u,21uがクリップC,Cに対してそれぞれ上方側に移動する動きによって吸収されるようになっている。
次に、本実施例の使用方法について説明する。
すなわち、図4の仮想線に示されるように、ヘッドレスト3の通常時の初期状態では、支承部3aが初期位置の状態で保持されている。そして、図8を参照して、車両の後面衝突が発生すると、その勢いで乗員の背部がシートバック2に大きく圧し掛かり、フォームドワイヤ20が後方側に押し動かされる。これにより、操作機構50によってケーブル部材40の下端が牽引操作され、図7に示されるように、保持部材Fb,Fbによるヘッドレスト移動機構10の保持状態が解除される。そして、これにより、ヘッドレスト移動機構10は、引張ばねSa,Saの附勢によって、係合腕部15の当接面15bが軸支部材Gbと当接する位置まで進行方向(矢印方向)に回動する。これにより、同図の仮想線で示されるように、支承部3aが初期位置の状態(実線状態)から前方かつ上方に移動した衝突対応位置の状態となり、同位置で頭部が後傾してくるのを待ち受ける状態となる。そして、図4に戻って、支承部3aが衝突対応位置(実線位置)まで移動したことにより、支承部3aにかかる頭部の後傾に伴う受止荷重は、ヘッドレスト移動機構10を軸支部材Gbによって規制されている進行方向に回動させる押圧力として作用する。したがって、支承部3aは、上記の受止荷重を受けても進行方向とは逆方向に押し戻されることはなく、乗員の頭部を衝突対応位置で受け止める。
なお、衝突対応位置(実線位置)まで移動させた支承部3aを元の初期位置(仮想線位置)の状態に戻すには、ヘッドレスト移動機構10を引張ばねSa,Saの附勢に抗して進行方向(矢印方向)とは逆の回動方向に戻し込むように操作すればよい。これにより、図7の実線で示されている姿勢状態に附勢により保持されている保持部材Fb,Fbに、係合腕部15の係止面15aを自動的に係合させることができ、支承部3aを再び初期位置の状態に保持することができる。
このように、本実施例の車両用シートによれば、ケーブル部材40の下端を牽引操作する操作機構50の各リンク部材(第1リンク53及び第2リンク54)を交差状に配設したことにより、各リンク部材のリンク長を重合させられると共にそれぞれのスライド移動方向への運動幅も小さく抑えることができる。したがって、操作機構50を省スペースに設置することができる。更に、第1リンク53及び第2リンク54のスライド移動方向をシートバック2の幅方向としたことにより、その上側や下側の位置に設置されるランバーサポートや空調等の他の構造物との干渉を回避するかたちで、操作機構50を高さ方向に省スペースに設置することができる。更に、第1リンク53及び第2リンク54を線状のワイヤ部材によって形成したことにより、互いを交差させた状態でスライド運動可能に構成したり、可動部材51や固定部材52に対する枢軸を形成したりすることが容易に行える。そして、別途の枢軸が不要となるため、かかる部品点数を削減することができる。更に、線状に形成されたフォームドワイヤ20の横長部位22に横向き配置とされた操作機構50の可動部材51を取り付ける構成としたことにより、かかる構成全体をより省スペースに形成することができる。更に、ケーブル部材40の牽引操作が軸長方向に真っ直ぐに行えるため、かかる操作をスムーズに行うことができる。更に、ケーブル部材40の下端を第1リンク53や第2リンク54の後方側の端部に繋いだことにより、ケーブル部材40を固定部材52に近い位置に配設することができると共に、牽引操作時の前後方向への移動量を小さく抑えることができるため、かかる設置スペースをよりコンパクトにすることができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例について説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。
例えば、ヘッドレスト移動機構は、押引操作されたケーブル部材によって、直接、進行方向に向けて押引操作される構成であってもよい。このようにヘッドレスト移動機構を直接操作して作動させる構成は、特開2005−104259号公報等の文献に開示されている。
また、押動部材として、線状のワイヤ部材を折り曲げて形成したフォームドワイヤを示したが、面状の板部材などの異なる部材を用いることもできる。但し、この場合には、操作機構の可動部材との連結に、上記実施例とは異なる別途の組み付け構造が必要となる。また、フォームドワイヤの横長部位と操作機構の可動部材とが一体に取り付けられたものを示したが、これらが互いに分離して配置され、フォームドワイヤが後方側に押し動かされることによって可動部材がこれに当接して押し動かされる構成であっても良い。
また、操作機構の2つのリンク部材が互いの交差角度を大小させるスライド移動方向は、必ずしもシートバックの幅方向(横向き配置)となっていなくても良い。しかし、シートバックの内部には、操作機構の上側や下側の位置にランバーサポートや空調等の他の構造物が配置されることがある。したがって、操作機構やケーブル部材がこのような他の構造物と干渉しないように設置する工夫が必要となる。
また、2つのリンク部材が線状のワイヤ部材によって形成されたものを示したが、これらを板状部材によって形成することもできる。但し、この場合には、2つのリンク部材を互いにスライド運動可能に交差させる構成がとり難くなったり、それらの端部を可動部材や固定部材に対して枢着させるために別途の枢軸部品が必要となったりして、構成が煩雑となることがある。
また、2つのリンク部材が互いに異なるリンク長に形成されていたり、固定部材の前面側の傾斜面の勾配が左右で対称となっていない構成であっても構わない。但し、この場合には、ケーブル部材の牽引操作に伴って、ケーブル部材の向く方向が変わってしまうことがあるため、牽引操作がスムーズに行えなかったり、ケーブル部材が他の構造部材と干渉したりすることがあるため、留意が必要である。
また、2つのリンク部材が、可動部材に対してスライド移動可能に枢着されていても良い。
シートバックの内部構造を表した斜視図である。 操作機構の分解斜視図である。 操作機構の組付け状態を表した斜視図である。 ヘッドレストの作動機構を側面視によって表した構成図である。 ヘッドレスト移動機構の初期の姿勢状態を表した斜視図である。 ヘッドレスト移動機構の回動後の姿勢状態を表した斜視図である。 ヘッドレスト移動機構の回動前後の動きを側面視によって表した構成図である。 フォームドワイヤの変形態様を表した側面図である。 図8のIX−IX線断面図である。 インナー部材とダンパーとの取付け構造を表した構成図である。
符号の説明
1 シート
2 シートバック
2f バックフレーム
Fs サイドフレーム
Fu アッパフレーム
2s サポート
2u 上部補強板
T 取付板部
Mu 取付口
C クリップ
2t 下部補強板
H ばね掛部
2r 補強部材
3 ヘッドレスト
3a 支承部
3b ステー
3c 支持ブラケット
4 リクライニング機構
4a 操作軸
10 ヘッドレスト移動機構
10a〜10d 連結軸
11 可動リンク
12 固定リンク
13 原動リンク
14 従動リンク
15 係合腕部
15a 係止面
15b 当接面
Sa 引張ばね
Sb 引張ばね
Au 上腕支持部
Al 下腕支持部
Gb 軸支部材
Fb 保持部材
20 フォームドワイヤ(押動部材)
21 縦長部位
21u 上端部分
22 横長部位
30 屈曲ばね
31 前腕部位
32 後腕部位
40 ケーブル部材
41 アウター部材
42 インナー部材
50 操作機構
51 可動部材
51a 嵌合溝
51b 掛入溝
52 固定部材
52a ガイド部位
52b ガイド部位
53 第1リンク(一方のリンク部材)
53a 枢軸部位
53b 枢軸部位
54 第2リンク(他方のリンク部材)
54a 枢軸部位
54b 枢軸部位
55 第1スライダ
55a アウター取付口
55b 係合部位
55c 掛入溝
56 第2スライダ
56a インナー取付口
56b 係合部位
56c 掛入溝
60 ダンパー
61 筒部
62 軸部
62a 仕切り板
62b 流通孔
63 開閉弁
64 圧縮ばね
P 背凭れ荷重の負荷作用部位

Claims (6)

  1. シートに着座した乗員の頭部を受け止めるヘッドレストの支承部を車両の衝突時にシートバックに対して相対移動させることのできるヘッドレスト移動機構を備えた車両用シートであって、
    前記シートバックの形状内部に配設された押動部材と、
    該押動部材の動きを前記ヘッドレスト移動機構に伝える伝達機構と、を有し、
    前記押動部材は、車両の衝突発生時に乗員の背部がシートバックに圧し掛かる背凭れ荷重を受けて後方側に押し動かされるように配置されており、
    前記伝達機構は、前記ヘッドレスト移動機構に一端が繋がれたケーブル部材と、該ケーブル部材の他端に繋がれて車両衝突時における押動部材の動きを受けてケーブル部材の他端を牽引操作する操作機構と、を有し、
    前記ケーブル部材は、線状のインナー部材が管状のアウター部材の内部に軸線方向に相対移動可能な状態に挿通された2重構造となっており、他端のインナー部材がアウター部材から引き出される牽引操作が行われることによって前記ヘッドレスト移動機構を作動させ前記支承部を通常時の初期位置から衝突対応位置に向けて移動させられるようになっており、
    前記操作機構は、前記押動部材と一体的に或いは該押動部材の動きに関連して後方側に押し動かされる可動部材と、該可動部材が押し動かされる後方側の位置で前記シートバックと一体的に配設された固定部材と、該固定部材と前記可動部材との間に互いが交差した姿勢状態となるように配設された2つのリンク部材と、を有し、
    該2つのリンク部材は、少なくとも前記可動部材或いは固定部材の一方に対しては互いの端部間の離間寸法を広げたり狭めたりする方向にスライド移動可能に連結されており、前記可動部材を前記固定部材に対して相対的に接近させたり離間させたりする動きによって互いの交差角度を大小させるように連結されており、
    前記ケーブル部材の他端と前記操作機構との繋ぎ構造は、前記アウター部材の端部が前記操作機構の一方のリンク部材に繋がれていて、前記インナー部材の端部が前記操作機構の他方のリンク部材に繋がれており、
    前記ケーブル部材の他端は、前記押動部材が後方側に押し動かされることにより、前記操作機構の2つのリンク部材が互いの交差角度を大きくする方向にスライド移動する動きによってインナー部材の端部とアウター部材の端部とが互いに引き離されるかたちで牽引操作されることを特徴とする車両用シート。
  2. 請求項1に記載の車両用シートであって、
    前記操作機構の2つのリンク部材が互いの交差角度を大小させるスライド移動方向は、前記シートバックの幅方向となっていることを特徴とする車両用シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両用シートであって、
    前記操作機構の2つのリンク部材は、線状のワイヤ部材が適宜折り曲げられて形成されていることを特徴とする車両用シート。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両用シートであって、
    前記押動部材は、線状のワイヤ部材が適宜折り曲げられて形成されていて、その端部がシートバックに連結された状態として乗員からの背凭れ荷重を受ける初期位置に弾性的に保持されており、
    前記操作機構の可動部材は前記線状のワイヤ部材として形成された押動部材におけるシートバックの幅方向に延びる横長部位に取り付けられるようになっており、前記2つのリンク部材の互いの交差角度を大小させるスライド移動方向がシートバックの幅方向となっていることを特徴とする車両用シート。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両用シートであって、
    前記操作機構の2つのリンク部材は、互いに同じリンク長に形成されていて、前記ケーブル部材の他端の配設向きを維持しながら互いの交差角度を大きくする方向にスライド移動することを特徴とする車両用シート。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の車両用シートであって、
    前記操作機構の2つのリンク部材は、前記可動部材に対しては各々の端部が軸回動可能に枢着されており、前記固定部材に対しては各々の端部が軸回動可能で、かつ、スライド移動可能に枢着されていることを特徴とする車両用シート。
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