JP2008026958A - 赤外線反射パターン印刷透明シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基板の表面に赤外線反射性の規則性を有する透明パターンが印刷されてなる印刷面を有し、画像表示可能なディスプレイ装置の前面に該印刷面が対向して装着される透明シートであって、該透明パターンを構成するインキが赤外線を反射する材料を含み、該透明パターンは、赤外線の照射及び検知が可能な入力端末を用いて、印刷面の裏側から赤外線を照射し、赤外線の反射パターンを読み取ることで、透明シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である赤外線反射パターン印刷透明シートである。
【選択図】図1
Description
それに対応して、例えば、手書き入力する為のペン及び被書込面を備えた入力手段と、該入力手段による手書き入力時の入力軌跡を読み取る入力軌跡読取手段と、該入力軌跡情報を電子データ化する入力軌跡変換手段と、該入力軌跡変換手段により変換したデータを情報処理装置に対して送信する入力軌跡データ送信手段を備えた書込型入力装置であって、前記入力軌跡読取手段が、被書込面上に形成された位置情報を提供するマークを、ペンに設置されたセンサーで読み取ることにより行われ、該被書込面が、位置情報を提供するマークとして赤外線を吸収する特殊なドットパターンが印刷されている特殊な用紙であり、前記ペンが該被書込面に対して赤外線を照射する赤外線照射部と、該ドットパターンにより反射された赤外線パターンを検知する赤外線センサーを備えている書込型入力装置が提案されている。
また、書込用パネルに感圧式センサーや静電式のセンサー、光センサーなどを設置し、該パネル表面にスタイラス型ペンや指などを使用して手書きした際の筆圧や静電気、影を検知することで入力軌跡を取得するタイプの書込型入力装置も提案されている。
一方、後者の装置であると、被書込パネルに感圧式センサーや静電式のセンサーなどを備えるため、入力装置としては前者の装置に比べ小型化が難しく、重量、厚みが増加してしまう。またコスト的にも高価である。加えて、感圧式センサーや静電式のセンサーは、手や袖口が触れた際には、誤作動する可能性があり、通常のノート等に書く時の様に手の平の小指側側面を接触させてしまう書き方をする場合には、不向きなものとなる。このような装置は、書込パネルに透明な材料を用いディスプレイ前面に設置したり、書込パネル自体にディスプレイ機能を持たせることで、例えばディスプレイに表示された図表に対して手書き入力をするといった直感的でインタラクティブな運用が可能となるが、本方式の場合高価であるため大画面化が難しく、またサイズや重量の軽減が難しい為、携帯電話等の移動体用途にも不向きである。
このような要求を満たす透明シートとして、例えば、特許文献1には、ディスプレイ装置の前面に装着される透明シートであって、入力用電子ペン等による入力軌跡の位置を示すための位置情報を提供可能なドットパターンからなるマークを所定波長の光を照射されて当該入力軌跡読取手段に読み取り可能な光を発光するインキを用いて印刷したものが開示されている。しかしながら、特許文献1には、そのような透明シートを具現化するインキの種類、或いは印刷面の向きや位置情報の配置の工夫などは記載されておらず、透明シートのアイデアもしくは願望が記載されているに過ぎず、具体的な透明シートの例示はない。
すなわち、本発明は、透明基板の表面に赤外線反射性の規則性を有する透明パターンが印刷されてなる印刷面を有し、画像表示可能なディスプレイ装置の前面に該印刷面が対向して装着される透明シートであって、該透明パターンを構成するインキが赤外線を反射する材料を含み、該透明パターンは、赤外線の照射及び検知が可能な入力端末を用いて、印刷面の裏側から赤外線を照射し、赤外線の反射パターンを読み取ることで、透明シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である赤外線反射パターン印刷透明シートを提供するものである。
尚、図示の便宜上、図1に於いては、あたかも透明パターン3がディスプレイ装置5と反対側の面に位置しているかの如く図示されているが、実際には、透明パターン3はディスプレイ装置5と対峙しており、入力端末6と対峙するのは透明基板2の非印刷面である。
ここでいう右手系/左手系とは、直交座標系の取り方の一種であり、右手の親指、人差し指、中指を自然にそれぞれ直交させた状態の中指の方向をx,親指y,人差し指zに取る座標系を右手系、この鏡像が左手系になる。
なお、図2(b)に示したような、印刷面の裏側から透明基板2を透視して透明パターン3を入力端末6で検知した場合の座標情報の座標系が左手系となる透明シート1を、そのまま裏返して印刷面側から入力端末6で検知した場合、透明パターン3が提供する座標系は図2(c)に示すように右手系となってしまう。このとき、透明パターン3から位置情報を算出する為のアルゴリズムによっては、パターンが鏡像になると座標を正常に算出できなくなる場合もある。
なお、本発明において、透明パターンが規則性を有するとは、赤外線反射により位置情報を提供可能な機能を有する程度に規則性を有するという意味であって、例えば、図3に示すように、一見不規則なパターン配列であっても、前記機能を有していれば、規則性を有する透明パターンに含まれる。
前記透明基板としてTACフィルム等の高分子フィルム等の溶媒に溶解乃至膨潤し易い物を用いる場合には、後述する透明パターン印刷時に使用するコーティング液中の溶媒で基板が侵されないように、透明パターンが印刷される側にバリア層を設けることが好ましい。この場合、バリア層が後に詳述する配向膜を兼ねるようにしても良く、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)やHEC(ヒドロキシエチルセルロース)等の水溶性物質をバリア層として用いれば良い。
さらに、本発明の赤外線反射パターン印刷透明シートの背後にあるディスプレイ装置の視認性を確保するために、印刷面の裏側に反射防止層や防眩層等を設けても良い。反射防止層の材質としては、特に限定されず、通常のディスプレイ用透明シートやレンズの分野において用いられているものが使用できる。例えば、弗化マグネシウム、弗素系樹脂等の低屈折率物質の薄膜と、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム等の高屈折率物質の薄膜とを該低屈折率の薄膜が最表面になる様、交互に積層した誘電体多層膜等が代表的なものである。
また、防眩層としては、透明樹脂材料に防眩性を付与するための無機又は有機の微粒子を分散させたものを用いることができる。透明樹脂材料としては、各種の透明樹脂、例えば光学分野において用いられている樹脂が好適に用いられ、無機微粒子としては、シリカ、アルミナを例示することができる。有機微粒子としては、好ましくは屈折率1.40〜1.60の樹脂ビーズを例示することができる。
なお、本発明において、赤外線の波長は特に限定されないが、通常好ましく用いられるのは、800〜2500nmの近赤外領域の光であり、特に800nm〜950nmに選択反射ピーク波長を有するものが好ましい。
前記液晶材料は、コレステリック液晶相を呈する液晶材料であって、赤外線領域の波長に対して波長選択反射性を持つ固定化されたコレステリック構造を有し、コレステリック規則性を有するものであれば特に限定されるものではないが、重合性のネマチック液晶に重合性のカイラル剤を混合した重合性のカイラルネマチック液晶材料(重合性モノマーもしくは重合性オリゴマー)、又は高分子コレステリック液晶材料を使用することができる。
本発明においては、上記重合性液晶材料の中でも、3次元架橋可能な重合性モノマー又は重合性オリゴマーを用いることが好ましく、重合性官能基としてアクリレート構造を有しているとさらに好ましい。
尚、上記コレステリック構造を呈する(発現する)液晶材料としては、赤外線領域の少なくとも一部の波長に於いて高反射率(通常5〜50%程度)を呈するものであれば、本来、可視光線領域の波長に於いて必ずしも高透過性は要求されない。それは、仮に上記コレステリック構造を呈する液晶材料が完全不透明であったとしても当該液晶材料の非形成部(余白部)の面積を適度に大きく取り、其処からの透過光を利用すれば、当該透明パターン全体としては、所望の透明性を得ることは可能だからである。但し、当該液晶材料自体の可視光線透過率は高い方が好ましいことは勿論である。そして、通常、かかるコレステリック構造を呈する液晶材料は、高反射波長域を赤外線領域に持って行くと、可視光線領域に於いては、数μm程度の厚みで70%程度以上の可視光線透過率を得る。一方、赤外線領域に於いては5〜50%程度の高反射率を得ることが一般的である。また、上記重合性液晶材料がコレステリック相を呈する温度範囲については特に制限はなく、コレステリック相の状態で3次元架橋により固定化できれば良いが、コレステリック相を呈する温度が30〜140℃の範囲にある材料は、パターン印刷時の乾燥工程と、液晶の相転移を同時に行えるため好ましい。
また、高いガラス転移点を有し、加熱後冷却することにより常温でガラス状態に固化することが可能な液晶ポリマー(高分子コレステリック液晶)を用いることもできる。これらの材料も同様に、液晶分子をコレステリック規則性を有した液晶の状態のままで光学的に固定化することができ、光学シートとしての取り扱いが容易な、常温で安定したパターンを形成することができるからである。
さらに、前記液晶ポリマーとしては、液晶を呈するメソゲン基を主鎖、側鎖、あるいは主鎖および側鎖の両方の位置に導入した高分子、コレステリル基を側鎖に導入した高分子コレステリック液晶、特開平9−133810号公報に開示されているような液晶性高分子、特開平11−293252号公報に開示されているような液晶性高分子等を用いることができる。
また、本発明において、前述した液晶材料により透明パターンを印刷する際、重合性モノマー又は重合性オリゴマーやカイラル剤を溶媒に溶解したコーティング液を用いると好ましい。
この溶媒としては、材料に対し十分な溶解性を持つ限り特に限定されず公知のものを用いれば良く、例えば、アノン(シクロヘキサノン)、シクロペンタノン、トルエン、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、MIBK(メチルイソブチルケトン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMA(N,N−ジメチルアセトアミド)、酢酸メチル、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル等の一般的な溶媒や、それらの混合溶媒が挙げられる。
前記赤外線反射顔料とは、近赤外線領域で反射を示す(着色)顔料であり、JIS A5759で定義される建築用熱線遮蔽及びガラス飛散防止フィルムで規定されている分光反射率(Rλi)により算出される日射反射率で780〜2100nmの波長領域で積分反射率が50%以上の近赤外線反射着色顔料であり、無機系赤外線反射顔料と有機系赤外線反射顔料に大別される。
また、赤外線や遠赤外線反射性能、熱線反射性能を有する三酸化アンチモンやジクロム酸アンチモン、SiO2(石英)、Al2O3(アルミナ)、MgO−Al2O3−SiO2(コージェライト)、Ca2P2O7(アパタイト)、MnO2、Fe2O3、ZrO2、ZrSiO4(ジルコン)、FeTiO3(イルメナイト)、Cr2O3、FeCr2O4(クロマイト)、V2O5、Bi2O3、MoO3、SnO2、ZnO、ThO2、La2O3、CeO2、Pr6O11、Nd2O3、Y2O3等の無機粉体も目的の波長で所望の反射率を示す場合は好ましく用いられる。
この他、特開2004−4840号公報に記載の、天然または合成雲母、別の葉状珪酸塩、ガラス薄片、薄片状二酸化珪素または酸化アルミニウム等の透明支持材料と、金属酸化物の被覆とからなる干渉顔料なども用いることができる。
これらの中でも、特に、AB820ブラック、AG235ブラック、ピグメントブラック28、ピグメントブラック27が好ましい。
これらの中でも、特に、フタロシアニンα、フタロシアニンβ、ハロゲン化フタロシアニンが好ましい。
前記赤外線反射顔料を用いて、インキを調製する際に、前記顔料の分散性を向上するために分散剤を用いても良く、分散剤の種類としては特に限定されず公知のものを用いれば良く、市販されている具体的な例としては、例えば、ディスパービック183、110、111、116、140、161、163、164、170、171、174、180、182、2000、2001、2020(商品名;ビックケミー株式会社製)等が挙げられる。
なお、分散剤の量は、前記顔料100質量部に対して、1〜50質量部であると好ましい。
この溶剤としては、特に限定されず公知のものを用いれば良く、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールのようなアルコール類、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、3−メトキシプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類、ジアセトンアルコールのようなケトール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、イミド樹脂等が挙げられる。
また、上記反応硬化型樹脂、すなわち、熱硬化型樹脂及び電離放射線硬化型樹脂の少なくともいずれかを使用することが好ましい。熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基((メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、スチリル基、ビニル基等)及びカチオン重合性基(エポキシ基、チオエポキシ基、ビニルオキシ基、オキセタニル基等)の少なくともいずれかの官能基を有する樹脂で、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等が挙げられる。
前記電離放射線硬化型樹脂には、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いても良い。光増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンが含まれる。
なお、バインダー成分の量は、前記コーティング液100質量部に対して、通常5〜80質量部、好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは20〜40質量部である。
また、前記赤外線反射顔料の濃度は透明インキ全量に対して5〜60質量%であると好ましい。また、分散剤の添加量を考慮すると、赤外線反射顔料の量は前記コーティング液に含まれる固形分100質量部中の30〜85質量部、好ましくは40〜80質量部、さらに好ましくは50〜70質量部である。
本発明における透明パターンは、特許文献1にも例示されており、例えばドットの形状を複数設定し、平面内に於いて、所定範囲内に配置されたこれら複数形状のドットの組み合わせをパターン化したもの、縦横に配置した罫線の太さを変えて、所定範囲内の前記罫線の重なり部分の大きさの組み合わせをパターン化したようなもの、x、y座標の値を直接ドットの縦横の大きさと結びつけたもの等が挙げられるが、特に簡素で好適なものとしては、縦横に等間隔に並ぶ基準点を設定して、この基準点に対して上下左右に変位したドットを配置し、これらドットの当該基準点からの相対的な位置関係を利用する方法が挙げられる。この方法はドットのサイズを小さく一定にできるため入力装置の高分解能化に有利である。
なお、本発明においては、前述のように、透明シートの印刷面の裏側から赤外線の反射パターンを読み取ることで、透明シート上における入力端末の位置に関する情報を得るものであるため、上記手法により透明パターンを形成する場合には、座標系の右手系、左手系の関係が、印刷面の裏側から透明基板を透視して見た際に提供される座標情報の座標系と、ディスプレイ装置の画像表示面を入力端末側から見た座標系の両者を共に一致させることが重要である。
なお、赤外線反射材料としてコレステリック構造を有する液晶材料を用いる場合には、コレステリック構造による反射は、コレステリック螺旋と同じ向きの円偏光のみを反射する性質があるため、最大でも50%程度にしか到達しない。
コレステリック構造による反射の場合、一般に印刷厚みが厚い方が反射強度が大きくなるが、厚すぎると液晶の配向性の乱れや透明性の低下、乾燥負荷増大を招くため、赤外線反射パターンの印刷厚みは通常1〜20μm程度であり、好ましくは3〜10μm程度である。
また、赤外線反射材料として赤外線反射顔料を用いる場合、赤外線反射パターンの印刷厚みは0.1μm以上であれば良いが、通常は1〜20μm程度である。一般的に膜厚が厚いほど反射率は向上するが、着色も濃くなり透明性を損なうので適宜調整する必要がある。
このような透明シートを、画像を表示中のディスプレイの前に置くとモアレが発生する。モアレとは、ある程度の規則性がある繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、それらの周期のずれにより視覚的に発生する縞模様のことである。CRTやLCD,プラズマディスプレイなどの画像表示装置は、微細な発光ドットの配列により画像を表現しており、この場合のモアレは、ディスプレイの発光ドットの配列が前記ドットパターンと干渉することで発生する。
本発明では、透明基板2の表面に透明パターンを印刷し、かつ、上記透明化層9を設けることによって、このモアレが全く発生しないか、又は発生しても、実用上、目視にて目立たず、画像認識上支障ない程度にモアレを低減することができる。
即ち、ドットパターンのレンズ效果を低減せしめ、モアレ(縞)を低減する為には、ドトパターンと周囲の空気層との屈折率差の段差の低減と共に、ドットパターン及び透明化層と空気との界面の凹凸段差も低減せしめることが好ましい。透明パターンを覆う厚さで透明化層が形成されてなる場合も透明化層の表面の凹凸段差は可視光線の波長(0.38〜0.78μm)に比べて小さいことが好ましく、特に0.15μm程度以下の平坦性が有ることが好ましい。また、透明パターンの表面の凹凸が光を散乱することにより、パターンが少し白っぽく見えるような場合は、パターン表面を完全に覆う厚みで透明化層を形成することが効果的である。
前記透明樹脂層に用いる樹脂としては、後述の如くドットパターンとの屈折率差が十分小さく、ドットパターンに比べて読み取りに使用される赤外線の反射率及び吸收率が十分低い、可視光線及び読取りに使用される赤外線に対して透明な樹脂であれば特に限定は無く、透明基板や透明パターンを形成するインキ等への密着性などを勘案して公知の樹脂を適宜採用すれば良く、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、耐久性、耐溶剤性等の点から、架橋により硬化するタイプの樹脂が好ましく、更には、電離放射線により短時間で架橋させることができる電離放射線硬化性樹脂が好ましい。この電離放射線硬化性樹脂は、透明パターンによる凹凸を埋め易いという点では、無溶剤又は無溶剤に近い状態で塗工形成できるため有利である。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂、硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
其の他、カチオン重合性官能基を有する樹脂、例えばエポキシ樹脂等も用いることができる。
透明樹脂層は、前記樹脂に加え、通常は溶剤と、その他必要に応じ各種添加剤、色素等とを含む組成物を、塗液又はインキとして用いて、塗工法や印刷法等の公知の層形成法で形成することが出来る。具体的には、透明パターンを印刷済みの透明基板の該印刷面に対して、ロールコート、コンマコート、ダイコート等の塗工法、又は、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法により形成すれば良い。印刷法は任意形状での部分形成が容易であるが、塗工法でも間欠塗工で部分形成可能である。
粘着層としては、透明性が得られるものであれば特に限定されず、公知の粘着剤を適宜採用すれば良い。粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、又は、天然ゴム系、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合樹脂などのゴム系樹脂等である。粘着層は、このような成分のみからなっていても良く、前述した透明樹脂層の成分に混合して形成されていても良い。
粘着層は、これら樹脂等からなる粘着剤組成物を用いて、塗工法の公知の層形成法で形成することが出来る。なお、粘着層は、赤外線反射パターン印刷面に直接形成しても良く、剥離シートの剥離面に形成してから、この粘着層付き剥離シートを、粘着層側の面で赤外線反射パターン印刷面に加圧ローラ等でラミネートしても良い。直接形成する場合は、剥離シートを一度粘着層表面にラミネートしておき、他の表面基材と張り合わせる際に剥がして用いても良く、粘着層形成後、すぐに他の表面基材とラミネートしても良い。
接着層としても、粘着層同様に、透明性が得られるものであれば特に限定されず、公知の接着剤を適宜採用すれば良い。接着剤としては、例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられ、なかでも、ウレタン系接着剤が接着力等の点で好ましい。なお、この様なウレタン系接着剤としては、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤等があり、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等の各種ヒドロキシル基含有化合物と、トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等の各種ポリイソシアネート化合物を含む2液硬化型ウレタン樹脂を利用した接着剤である。
接着層は、これら樹脂等からなる接着剤組成物を用いて、塗工法の公知の層形成法で形成することが出来る。なお、接着層は、赤外線反射パターン印刷面に直接形成しても良く、貼り合わせる表面基材の接着面に形成しても良く、透明パターン印刷面と表面基材の接着面の両方に形成しても良い。これらの基材の接着すべき面を向かい合わせにして加圧ローラ等でラミネートすることで接着が可能となる。
その場合の透明樹脂層の材質としては、前記電離放射線硬化型樹脂、前記電離放射線硬化型樹脂と溶剤可溶な熱可塑性樹脂との混合物、又は前記熱硬化型樹脂の三種類が好ましく、前記電離放射線硬化型樹脂からなるとさらに好ましい。
また、前記電離放射線硬化型樹脂と前記溶剤可溶な熱可塑性樹脂との混合物においては、熱可塑性樹脂を添加することにより、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。透明基材の材料がTAC等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂の好ましい具体例として、セルロース系樹脂、例えばニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
|n1−n3|>|n1−n2| ・・・(A)
(n1:透明パターンの屈折率(=赤外線反射材料の屈折率)、n2:透明化層の屈折率、n3:空気の屈折率(=約1.00))
透明シートが、式(A)を満たせば、ドットパターンと周囲の空気層との屈折率段差は軽減され、ドットパターンのレンズ効果によるドットパターン可視化が低減される為、一応の透明化及びモアレ軽減効果は得られるが、透明パターンの屈折率と透明化層の屈折率の差は小さい方が好ましく、下記式(B)を満たすとより大きな効果が得られるため好ましい。
|n1−n2|≦0.14 ・・・(B)
ここで手書き入力情報を扱う情報処理装置としては、携帯電話、PDA等の各種携帯端末や、パーソナルコンピュータ、テレビ電話、相互通信機能を備えたテレビジョン、インターネット端末などが例示できる。
ペン型入力端末6の動作としては、ペン先を図3に示すような透明パターンが印刷された印刷面の裏面に接触させてなぞるように描画すると、ペン型入力端末6がペン先に加わった筆圧を検知し、CMOSカメラが作動して、ペン先近傍の所定範囲を赤外線照射部から発する所定波長の赤外線で照射するとともに、パターンを撮像する(パターンの撮像は、例えば、1秒間に数10から100回程度行われる)。ペン型入力端末6が読取データ処理装置7を具備する場合には、撮像したパターンをプロセッサで解析することにより手書き時のペン先の移動に伴うペン先の位置座標の時間変化、即ち入力軌跡を数値化・データ化して入力軌跡データを生成し、その入力軌跡データを情報処理装置へ送信する。
なお、プロセッサ、メモリ、Bluetooth技術等を利用したワイヤレストランシーバ等の通信インタフェース、及びバッテリ等の部材は、図1に示すように、読取データ処理装置7として、ペン型入力端末6の外部に有っても良い。この場合には、ペン型入力端末6は読取データ処理装置7にコード8で接続されていても、電波、赤外線等を用いて無線で読取データを送信しても良い。尚、この様に読取データ処理装置7がペン型入力端末6の外部に別体として設置される場合は、電源は商用交流電源から供給することも可能である。
この他、入力端末6は、特開2001−243006号公報に記載された読取器のようなものであっても良い。
また、読取データ処理装置7は、特開2003−256137号公報のように入力端末6に内蔵されていても良く、また、ディスプレイ装置を備える情報処理装置に内蔵されていても良い。また、読取データ処理装置7は、ディスプレイ装置を備える情報処理装置に無線で位置情報を送信しても良く、コード等で接続された有線接続で送信しても良い。
ディスプレイ装置5に接続された情報処理装置は、読取データ処理装置7から送信されてきた軌跡情報に基づき、ディスプレイ装置5に表示する画像を順次更新することによって、入力端末6で手書き入力した軌跡を、紙の上にペンで書いたかのようにディスプレイ装置上に実時間的に表示することが出来る。
本発明の赤外線反射パターン印刷透明シートは、液晶ディスプレイに装着すれば、液晶保護シートとしても使用可能なものとなる。
このような装着手段として、例えばバックル状のものをディスプレイ装置のコーナ部に引っ掛けるようなものや、ディスプレイ装置の端部を挟み込むようなものなどが挙げられるが、簡単で好適な具体的態様としては、ディスプレイ装置の前面に装着するような場合において、ディスプレイ装置に接触する接触面側に設けられ、ディスプレイ装置に貼り付けるための接着性又は粘着性を有する貼着具が挙げられる。また、貼着具としては、透明シートに一体的に取り付けられた接着性又は粘着性を有するものや、接触面に直接塗装された接着剤や粘着剤などをも含むものが挙げられる。
また、このような使い方が可能であれば、位置情報を提供するパターンが印刷された一のシートを分割し、それぞれのシートが異なる座標範囲を示すようにすることが可能になる。このようなシートを用いる場合、例えば隣接したディスプレイ装置に対して連続した座標を示すシートを適用すれば、入力データに連続性を与えることが出来る。また、1つの入力装置に対し異なる座標範囲の透明シートを複数切り替えて使用することで、それぞれの透明シートに対し異なる意味を付与することが出来る。
実施例1
(1)赤外線反射性の透明パターン用塗工液の調製
両末端に重合可能なアクリレート構造、中央部にメソゲン構造、前記アクリレートとの間にスペーサーを有し、ネマチック−アイソトロピック転移温度が110℃付近であるモノマー(前記化合物(11)で示される分子構造を有するもの、平均屈折率n1=1.56)100質量部と、両末端に重合可能なアクリレートを有するカイラル剤(上記化学式(12)で示される分子構造を有するもの)3.3質量部とをアノンに溶解させたシクロヘキサノン(以下、アノンと略称)溶液を調製した。なお、このアノン溶液には、4質量部の光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン株式会社製、ルシリン(登録商標)TPO)を添加した。
濃度が2質量%となるように純水に溶かしたヒドロキシエチルセルロース(HEC)溶液を、バーコートによって透明基板としての透明なトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚み80μm、桍化処理済)上にコーティングし、乾燥後、100℃で成膜することで(膜厚0.2μm)配向膜付きの透明基板を作製した。得られた基板上に、前述の赤外線反射パターン用塗工液をインキとして、グラビア印刷法によりドットパターンの印刷を行なった。次に、加熱乾燥させると同時に液晶のコレステリック相転移を進行させた。
そして、上記印刷物に紫外線を照射し、塗膜中の光重合開始剤から発生するラジカルによってモノマー分子とカイラル剤のアクリレートを3次元架橋してポリマー化させ、長方形領域中に透明な円盤状(ただし若干真中が厚い)のドットパターンを、図3の平面図に示すように、各ドットを正方格子点から所定の座標だけ偏移させて2次元配置させた透明シートを作製した。このときのパターンの膜厚は約4μmであり、ドットのサイズは円盤の直径が約100μmであった。また、ドットの間隔は平均約300μmであった。
尚、印刷したドットパターンは、先ず印刷面の側から見た際に提供される座標情報の座標系(右手系/左手系)がディスプレイ装置の画像表示面を入力端末側から見た座標系(右手系/左手系)と同じになるように設計し、更にそれをそのまま鏡像にしたパターンとした。
(3)粘着層形成用塗工液の調製
粘着層形成用塗工液は、アクリル系樹脂の粘着剤(綜研化学製、SKダイン2094:固形分25.0%、溶媒は酢酸エチルとメチルエチルケトン)を200質量部に対して、架橋剤(綜研化学製、E−5XM)を0.5質量部、希釈溶剤(トルエン/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/6/1、質量比)を60質量部の割合で配合して調製した。
実施例1で作製した赤外線反射パターン透明シートのパターン印刷面に対し、上記(3)にて調製した粘着層形成用塗工液をテーブルコーターで塗布、乾燥させ、粘着層を形成した。粘着層の質量は約28g/m2であった。粘着層を一時保護する為に、粘着層面に対し離型シート(帝人デュポン製、ピューレックスA31、厚さ38μm)を貼りあわせ、粘着層付き赤外線反射パターン透明シートを作成した。
この粘着層付き透明シートを所定の大きさの矩形にカットした後、離型シートをはがし、液晶ディスプレイの画像表示面に貼り付けた。このときドットパターン印刷面(粘着層側)は液晶ディスプレイの画像表示面に対向している。この、ディスプレイ前面に貼付された赤外線反射パターン透明シートの表面(パターン印刷面の裏面)に対し、赤外線を照射してその反射光を画像として検知するペン型センサーで読み取ったところ、赤外線反射ドットによる反射パターンを検知することができた。また、この透明シートを、画像を表示中の液晶ディスプレイの前面に重ねたところ、モアレはほとんど見えなかった。
このため、手軽に使用することができ、実用性能が高く、携帯電話、PDA等の各種携帯端末や、パーソナルコンピュータ、テレビ電話、相互通信機能を備えたテレビジョン、インターネット端末などの種々の情報処理装置に用いることができる。
2:透明基板
3:透明パターン
4:配向膜
5:ディスプレイ装置
6:入力端末(ペン型)
7:読取データ処理装置
8:コード
9:透明化層
i:赤外線
r:反射光
Claims (18)
- 透明基板の表面に赤外線反射性の規則性を有する透明パターンが印刷されてなる印刷面を有し、画像表示可能なディスプレイ装置の前面に該印刷面が対向して装着される透明シートであって、該透明パターンを構成するインキが赤外線を反射する材料を含み、該透明パターンは、赤外線の照射及び検知が可能な入力端末を用いて、印刷面の裏側から赤外線を照射し、赤外線の反射パターンを読み取ることで、透明シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 座標系の右手系、左手系の関係が、前記印刷面の裏側から透明基板を透視して見た際に提供される座標情報の座標系と、ディスプレイ装置の画像表示面の座標系とで両者が一致する請求項1に記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記赤外線を反射する材料が、赤外線領域の波長に対して波長選択反射性を持つ、固定化されたコレステリック構造を有する液晶材料である請求項1又は2に記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記赤外線を反射する材料が、赤外線反射顔料を含有するものである請求項1又は2に記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記透明パターンが800nm〜950nmに選択反射ピーク波長を有する請求項1〜4のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記透明パターンがドットパターンである請求項1〜5のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記透明基板の表面に、前記透明パターンとほぼ同じ厚さ、又は前記透明パターンを覆う厚さで透明化層が形成されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記透明基板の表面に、前記透明パターンとほぼ同じ厚さで透明化層が形成されてなる場合において、(透明パターンの厚さ)−(透明化層の厚さ)が0.15μm以下である請求項7に記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記透明化層が、電離放射線により架橋が形成される透明樹脂層である請求項7又は8に記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記透明化層が接着層又は粘着層である請求項7〜9のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 下記式(A)を満たす請求項7〜10のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
|n1−n3|>|n1−n2| ・・・(A)
(n1:透明パターンの屈折率、n2:透明化層の屈折率、n3:空気の屈折率) - 下記式(B)を満たす請求項7〜11のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
|n1−n2|≦0.14 ・・・(B)
(n1:透明パターンの屈折率、n2:透明化層の屈折率) - 前記透明パターンの厚さが1〜20μmである請求項1〜12のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記透明基板の印刷面の裏側に少なくとも1層の機能層を有する請求項1〜13のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記機能層がハードコート層、反射防止層及び防眩層から選ばれる少なくとも1種である請求項14に記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記ディスプレイ装置に装着するための装着手段を備えている請求項1〜15のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 前記装着手段が、ディスプレイ装置に接触する接触面側に設けられ、ディスプレイ装置に貼り付けるための接着性又は粘着性を有する貼着具である請求項16に記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
- 切り離し可能なものである請求項1〜17のいずれかに記載の赤外線反射パターン印刷透明シート。
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