JP2007330011A - ブラシレスdcモータの駆動方法及び駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の制御方法では、通電角度を小さくすることでスイッチングロスの低減等が実現でき、ブラシレスDCモータの高速運転時にける高効率化できるといった効果を発揮するものの、低速回転時においてはトルク脈動の影響を受け回転数変動が顕著になってしまうという課題があった。
【解決手段】インバータ3に供給する電圧を制御する電圧調整部8を有することで、低速回転時においても比較的大きな通電角度を保持することが可能となり、トルク脈動のような負荷変動の影響を受け難くなり、回転数変動を抑制できるといった効果を発揮する。
【選択図】図1
【解決手段】インバータ3に供給する電圧を制御する電圧調整部8を有することで、低速回転時においても比較的大きな通電角度を保持することが可能となり、トルク脈動のような負荷変動の影響を受け難くなり、回転数変動を抑制できるといった効果を発揮する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置に関し、更に詳細に言えば、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータを、三相巻線に電力を供給するインバータにより駆動するための方法及びその装置に関するものであり、特に冷蔵庫やエアコンなどの圧縮機を駆動するのに最適なブラシレスDCモータの駆動方法及び駆動装置に関するものである。
近年の冷蔵庫は350L以上の大型機種が主力となり、それらの冷蔵庫は、高効率な圧縮機の回転数を可変駆動させるインバータ制御冷蔵庫が大半を占めている。これらの冷蔵庫用圧縮機では高効率化のために、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータを一般的には採用している。また、圧縮機の中という高温、高圧、冷媒雰囲気、オイル雰囲気という環境下にブラシレスDCモータを設置するため、ブラシレスDCモータで通常使われるようなホール素子などの位置検出センサは使用できない。そのために一般的にはモータの逆起電圧や直流電流から回転子の回転位置を検出する方法がよく用いられている。
従来の技術は、例えば、特許文献1に示されている。その従来の技術を図面に従って説明する。図10は従来のブラシレスDCモータ駆動に関する駆動装置のブロック図である。
図10において、電源101は、モータ3に供給される直流電源である。
インバータ回路102は、6個のスイッチ素子102a、102b、102c、102d、102e、102fを3相ブリッジ構成されている。また、各々のスイッチ素子には各スイッチ素子の逆方向に還流電流用のダイオードが入っているが本図では省略している。
ブラシレスDCモータ103は、永久磁石を有する回転子103aと3相巻線を有した固定子103bとからなる。インバータ102により作られた3相交流電流が固定子103bの3相巻線に流れることにより、回転子103aを回転させることができる。
位置検出回路104は、ブラシレスDCモータ103の永久磁石を有する回転子103aが回転することにより発生する逆起電圧などから、回転子103aの回転相対位置を検出する。
相通電信号生成回路105は、位置検出回路104から出力される位置検出信号をもとに相通電信号を生成する。
パルス幅変調波形生成回路106は、指令電圧からパルス幅変調信号を生成する。このパルス幅変調信号は、通電角度は120°一定のままデューティを0から100%まで変調させた信号である。
通電角変調生成回路107は、指令電圧と位置検出回路104の信号から通電角度変調信号を生成する。この通電角度変調信号は、デューティは100%一定のまま通電角度を60°から120°まで変調させた信号である。
変調波形切替回路108は、位置検出回路104の信号よりブラシレスDCモータ103の回転数を演算し、パルス幅変調波形生成回路106の信号と通電角変調生成回路107の信号を選択する構成としている。
駆動波形生成回路109は、位置検出回路104の出力信号によりロジカルな信号変換を行い、インバータ102のスイッチ素子102a、102b、102c、102d、102e、102fを順次切り換えて駆動する信号を作り出す。
ドライブ回路110は、駆動波形生成回路109からの出力信号により、インバータ102のスイッチ素子102a、102b、102c、102d、102e、102fを駆動する。
以上の構成において、次に動作の説明を行う。
変調波形切替回路108により選択されたパルス幅変調信号または通電角度変調信号をもとに、駆動波形生成回路109にて生成されたスイッチングパタンに応じてドライブ回路110を介してインバータ102を駆動する。変調波形切替回路108により選択された変調信号を、低速運転時にはパルス幅変調にて駆動することでトルク脈動、回転数変動を抑制し、高効率を要する高速運転時には通電角度変調にて駆動することでパワー素子のスイッチング損失を抑制する。
なお、通電角度変調時にはトルク脈動、回転数変動が大きくなる傾向にあるが、モータの見かけ上のイナーシャが大きくなり、実用上問題とならない。
特開2003−219674号公報
しかしながら、従来の構成では、次のような課題があった。
変調波形切替回路108が通電角変調生成回路107を選択している場合に、トルク脈動が実用上問題にならないのは高速運転に限ったことであり、低速運転時にはイナーシャの効果が小さくなるためトルク脈動の影響を大きく受けることになる。また、特に圧縮機などの様に回転運動を往復運動に変換して活用する場合には、トルク脈動の影響はより顕著となる。一方、冷蔵庫のように定常時は比較的低回転で運転するような実施例においては低回転運転時に高効率な運転が必要となるが、低回転運転時にも高効率化が必要となる場合には、トルク脈動の影響を受けて回転変動を生じてしまう従来の技術は不利であった。
また、高速運転時において変調波形切替回路108が通電角変調生成回路107を選択している場合に、通電角度は最大でも120°までしか大きくできなかった。さらに、通電角120°の場合には、ブラシレスDCモータ103の位置を検出しながら駆動しているため、進角(電流位相の逆起電圧(回転子が回転することで誘起される電圧)位相に対する進み度合い)は最大でも30°足らずまでしか大きくできなかった。一方、ブラシレスDCモータ103の効率をUPさせる手段として、固定子103aの3相巻線の巻込量を増加させる方法が普及しているが、この方法を採用した場合、通電角度を120°以上にしなければ所望のトルクや回転数を実現できないことがある。また、高効率化の別の方法としてロータの磁石配置構造をIPM(Interior Permanent Magnet)型にする方法も一般的であるが、この方法を採用した場合、進角を30°以上に保持しながら運転しなければブラシレスDCモータ103の持つ出力トルク特性を十分に発揮できないこともある。すなわち、通電角や進角に制限のある従来の技術ではより高速・高トルクな性能を求める場合には不利であった。
例えば、2000から4800r/minの回転数での運転が要求されていると仮定する。従来技術の場合、最大でも通電角度120°、デューティ100%での駆動しかできない。仮に、120°、100%駆動で4800r/min運転を実現できるモータがあると仮定すると、2000r/minの運転をスイッチングロスを抑制するためにデューティ100%運転するには、通電角度を120°より極めて小さくする必要があり、無通電時間の割合が非常に高くなり回転数変動が顕著になってしまう。無論、4800r/minの運転を実現するときの通電角度やデューティが120°、100%よりも小さくなるようなモータを運転する場合には、2000r/minにて運転する際にデューティを100%に保持しようとすると更に通電角度が小さくなることは言うまでもなく、一層回転数変動が大きくなってしまう。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、低回転運転時にもトルク脈動の影響で非効率にならないよう、インバータに供給する電圧を低下させることで、通電角度を比較的大きく保つことのできる、すなわち、無通電状態を比較的小さくし回転数変動を抑制できるブラシレスDCモータの駆動方法及び駆動装置を提供することを目的とする。また、IPM型構造のモータの出力トルク特性をより発揮できるよう、回転子の位置を検出せずに所望の周波数で同期駆動させることで、進角を比較的大きく保つことのできるブラシレスDCモータの駆動方法及び駆動装置を提供することを目的とする。また、この様にすることで、前述のような通電角度を比較的小さくすることで高効率運転が可能となる制御方法の回転数領域をより広くすることが実現できるとともに、通電角度150°超の運転も可能となる。
例えば、回転子の位置を検出しながら運転した場合に、通電角度120°、デューティ100%にて運転できる最大回転数が30r/secだとする。位置検出駆動の場合それ以上に回転数を上昇させようとすると通電角度を大きくするしかないが、同期駆動させて電流位相の逆起電圧(回転子が回転することで誘起される電圧)位相に対する進み度合い(進角)を比較的大きく保つことで、120°通電で運転可能な最大回転数が30r/sec以上にすることができ、2000から4800r/minの回転数で運転可能であるインバータの場合、4800r/min運転を実現するためには通電角度165°、デューティ100%での駆動が必要なモータに対して、2000r/minの運転をスイッチングロスを抑制するためにデューティ100%運転するには、インバータに供給する電圧を半分にすれば、通電角度120°より少し小さくするだけで運転が可能となり、無通電時間の割合が低い状態で運転できるため回転数変動を抑制できる。
本発明のブラシレスDCモータの駆動方法は、ブラシレスDCモータを駆動中に、負荷状態に応じてインバータに供給する電圧や固定子に通電する時間を調整することを可能にしたものである。
また、ブラシレスDCモータを駆動中に、負荷状態に応じて電圧を調整することで、トルク脈動が現れやすい低速運転時においても、比較的大きな通電角度を保持することを可能にした装置である。
また、ブラシレスDCモータを駆動中に、負荷状態に応じて駆動波形発生手段を切り替えることで、回転子の位置を検出していては実現できないような高速・高トルクな運転状況下においても、比較的大きな進角を保持することを可能にした装置である。
本発明のブラシレスDCモータの駆動方法、負荷状態に応じてインバータに供給する電圧や固定子に通電する時間を調整することが可能となり、インバータのスイッチングロスを抑制して効率向上の効果を発揮する。
また、負荷状態に応じて電圧を調整することで、トルク脈動が現れやすい低速運転時においても、比較的大きな通電角度を保持することを可能にしたものであり、トルク脈動が大きくなる低回転運転時において回転数変動の抑制効果を発揮する。
また、負荷状態に応じて駆動波形発生手段を切り替えることで、比較的大きな進角を保持することを可能にしたものであり、回転子の位置を検出していては実現できないような高速・高トルクな運転を比較的小さな通電角度で実現でき、通電時間が短くなり高効率性能が向上する運転領域を拡大できるといった効果を発揮できる。
請求項1に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する波形を出力する駆動波形発生部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記インバータに供給する電圧を調整する電圧調整部とを備え、前記負荷検出回路から出力される信号に応じて前記固定子の相に通電する通電時間の調整を可能とするものであり、インバータのスイッチングロスを抑制して効率向上の効果を発揮できる。
請求項2に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する波形を出力する駆動波形発生部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記インバータに供給する電圧を調整する電圧調整部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する通電時間を調整する通電角調整部とを備え、負荷に応じて電圧や通電角を調整するものであり、トルク脈動が現れやすい低速運転時においても、比較的大きな通電角度を保持することを可能にしたものであり、トルク脈動が大きくなる低回転運転時において回転数変動の抑制効果を発揮できる。
請求項3に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する同期駆動波形発生部と、前記回転子の回転位置に応じて通電角150度以下の波形を出力する位置検出駆動波形発生部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する波形を出力する駆動波形発生部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記インバータに供給する電圧を調整する電圧調整部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する通電時間を調整する通電角調整部とを備え、負荷に応じて前記同期駆動波形発生部と位置検出駆動波形発生部とを切り替えるものであり、比較的大きな進角を保持することが可能となり、回転子の位置を検出していては実現できないような高速・高トルクな運転を比較的小さな通電角度で実現でき、通電時間が短くなり高効率性能が向上する運転領域を拡大できるといった効果を発揮できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、ブラシレスDCモータが、回転子の鉄心に永久磁石を埋め込んでなる回転子であり、かつ突極性をもつ回転子を有したものであり、鉄心に永久磁石が埋め込まれたIPM構造型の回転子を有するブラシレスDCモータのような高効率モータをより一層効率良く運転できるといった効果を発揮する。IPM型モータのような進角制御が必要なモータに対して非常に優れた効果を発揮する装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、ブラシレスDCモータが、巻線の巻込量(ターン数)が比較的多い固定子を有したものであり、巻線の巻込量が比較的多い鉄損低減型の固定子を有するブラシレスDCモータのような高効率モータをより一層効率良く運転できるといった効果を発揮する。巻込量の多い低鉄損型のモータのような高トルクが出力しにくく大きな通電角が必要なモータに対しても非常に優れた効果を発揮する装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明において、ブラシレスDCモータが圧縮機を駆動するものであり、冷蔵庫やエアコンなど高効率で低速な運転から高トルクで高速な運転まで広い運転範囲を必要とされるシステムの圧縮機において、通常運転されている状態である低速領域では効率を向上させ、急冷・急凍・システムインしたイニシャル時などの高速領域ではトルクを安定して上昇することができるといった効果を発揮することは極めて重要である。また、同期駆動波形発生部にて運転中の不安定状態を検出し、通電角度を拡大して出力トルクを上昇させたり回転数を低下させて負荷トルクを下降させたりすることで回転速度変動や、ひいては騒音・振動・ピーク電流を低減する効果についても、静音性・長期信頼性のニーズが極めて高い冷蔵庫やエアコンに搭載される圧縮機において同じく非常に重要である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、圧縮機が冷蔵庫を運転するものであり、安定した高速運転を可能とすることによる急冷性能の向上、更には回転数変動、騒音・振動の抑制効果もあり、省エネ、ハイパワー、静音といった多岐にわたるニーズのある冷蔵庫においてこれらの効果は非常に重要である。
以下、本発明による冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電圧調整部を備えたブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図である。
図1は、本発明の実施の形態1における電圧調整部を備えたブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図である。
図1において、商用電源1は、日本の場合周波数50Hzまたは60Hz、電圧100Vの交流電源である。
整流回路2は商用電源1の交流電圧を直流電圧に変換する。整流回路2はブリッジ接続された整流用ダイオード2a〜2dと平滑用の電解コンデンサ2e、2fと電圧調整回路2gからなり、図1に示すような倍電圧整流回路の場合、商用電源1のAC100V入力から280V程度の直流電圧を得ることができる。ここでは倍電圧整流としたが、電圧調整回路2gは直流電圧可変式のチョッパ回路や倍電圧整流/全波整流の切替方式回路に相当する。
インバータ回路3は、6個のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを3相ブリッジ構成されている。また、各々のスイッチ素子には各スイッチ素子の逆方向に還流電流用のダイオードが入っているが本図では省略している。
ブラシレスDCモータ4は、永久磁石を有する回転子4aと3相巻線を有した固定子4bとからなる。インバータ3により作られた3相交流電流が固定子4bの3相巻線に流れることにより、回転子4aを回転させることができる。回転子4aの回転運動はクランクシャフト(図示せず)により、往復運動に変更され、ピストン(図示せず)がシリンダ(図示せず)内を往復運動することにより、冷媒を圧縮する圧縮機の駆動を行うことができる。なお、スイッチ素子3a(3b)と接続された3相巻線部分をU相巻線、スイッチ素子3c(3d)と接続された3相巻線部分をV相巻線、スイッチ素子3e(3f)と接続された3相巻線部分をW相巻線と呼ぶことにする。
負荷検出回路5は、ブラシレスDCモータ4の永久磁石を有する回転子4aが回転することにより発生する逆起電圧から、回転子4aの回転相対位置を検出できる。なお、回転相対位置の検出用途の他にも還流電流用ダイオードに電流が流れる時間の増減を検出することにより、モータ電流の乱れや負荷状態の変化を検出することも可能である。これらの検出によりモータ電流位相の進み度合いを知ることもできる。本負荷検出回路5は、相対位置信号だけでなく、3相巻線(U、V、W)の基準電位Gに対する電圧と予め設定されている任意の基準電圧とを比較した結果を出力する機能を有する回路である。
なお、ここでは3相巻線(U、V、W)の基準電位Gに対する電圧と予め設定されている任意の基準電圧とを比較する構成としたが、回転子4aの位置検出やモータ電流の状態検出などが可能な手段であれば電流検出などの他の手段を用いた構成でも良い。
通電角調整部6は、負荷検出回路の信号から所望の回転数と回転子4aの実際の回転数とを比較して、3相巻線に通電する時間(通電角度)を調整する。つまり、実際の回転数が所望の回転数に到達していない時は通電角度を拡大し、インバータ回路3のスイッチング損失を抑制したい時には通電角度を縮小する、などのうように調整する。
駆動波形発生部7は、負荷検出回路5の信号に応じて、インバータ3に出力する信号をPWM(パルス幅変調)制御するなどして発生させる。PWM制御とは、パルス幅のデューティ(パルス周期中のオン周期の割合)を上/下させることで出力電圧を上昇/下降させることができる制御である。この出力電圧の上昇/下降により、回転子4aの回転数を上昇/下降させることができる。なお、駆動波形発生部7が発生する波形には、回転子4aの相対位置に応じて所望の回転数で駆動する位置検出駆動波形の他に、相対位置に応ずるのではなく所定の周波数に同期して駆動させることで回転子4aの自己進角特性を活用して、所望の回転数による安定した駆動を実現する同期駆動波形などがある。また、PWM制御を停止してデューティ一定のまま、インバータ3への供給電圧を調整しながら通電角調整部6により通電角度の調整された波形を出力することもできる。
電圧調整部8は、インバータ3に供給する電圧を制御し最適化する機能を有し、効率の良い運転が要求される低回転運転領域においては低い電圧が供給できるように制御し、高トルク性能の要求される高回転運転領域においては高い電圧が供給できるように制御する。すなわち、駆動波形発生部7と同様にインバータ3の出力電圧も調整できることになる。
ドライブ部9は、駆動波形発生部7からの出力信号により、インバータ3のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動する。この駆動によりインバータ3から最適な交流出力をブラシレスDCモータ4に印加し、回転子4aの回転を実現する。
マイクロコンピュータ10は前述の機能を実現する。これらの機能はマイクロコンピュータのプログラムによって実現可能である。
基準電位Gは本ブロック図中の電位の基準となる点で、整流ダイオード2dと電解コンデンサ2fの接続点における電位にあたる。商用電源1が供給する電圧がAC100Vの場合、この基準電位Gと電解コンデンサ2e−整流ダイオード2bの接続点との間に280V程度の直流電圧を得ることができ、インバータ3に供給されることになる。
次に図1における動作について、図1、図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態における電圧調整部による回転数一定駆動時の特性図である。この図において、上図(a)は通電角度を一定に保持しながらインバータ3への供給電圧を制御したときのデューティの変化を描いた特性図であり、横軸は供給電圧、縦軸はデューティを表す。中図(b)はデューティを一定に保持しながら電圧を制御したときの通電角度の変化を描いた特性図であり、横軸は供給電圧、縦軸は通電角度を表す。下図(c)は上図(a)と中図(b)の特性を同じ特性図上に表したものであり、通電角度を一定に保持しながらインバータ3への供給電圧を制御したときのデューティの変化を複数の通電角度に対して描いた特性図であり、横軸は供給電圧、縦軸はデューティを表す。なお、全ての特性図において、横軸については右に行くほど、縦軸については上に行くほど、それぞれの軸に関する値が大きくなる様に描かれている。
まず、上図(a)の通電角度一定・デューティ可変時の特性図について説明する。図のようにインバータ3に供給する電圧を上昇させるほど、デューティは小さくてよく、電圧を下降させる場合には大きなデューティが必要となる。
第2に、中図(b)のデューティ一定・通電角度可変時の特性図について説明する。図のようにインバータ3に供給する電圧を上昇させるほど、通電角度は小さくてよく、電圧を下降させる場合には大きな通電角度が必要となる。
第3に、下図(c)の特性図について説明する。図のようにインバータ3に供給する電圧の変化に対するデューティの特性は図(a)と同様である。そして、通電角度を大きくした場合にはデューティは小さくする必要があり、逆に通電角度を小さくした場合にはデューティは大きくする必要があることがこの図よりわかる。例えば、インバータ3に電圧Aを供給している場合を見ると、通電角度が1から4に大きくなるにつれてデューティが小さくなっていることがわかる。
次に、電圧調整部8がインバータ3に電圧Aを供給しながら運転し、通電角調整部6が通電角度3で制御している場合に、回転数を一定に保ちながらインバータ3への供給電圧を下降させる場合について下図(c)を用いて説明する。通電角度3、供給電圧Aの時のデューティは図より、デューティAであり、供給電圧Bまで下降させたときのデューティは特性図上の電圧Bのポイントを見れば明確であり、通電角度2まで小さくすればデューティは1.4倍程度のデューティBにまで上昇させる必要がある。今度は、デューティを2倍程度に上昇させたいときの電圧と通電角度の調整について説明する。デューティAの2倍のデューティはデューティCであり、このデューティにするためには、供給電圧を電圧Aから電圧Cまで下降させ、尚かつ通電角度を角度3から角度1まで下げる必要があることがこの特性図よりわかる。
以上のように、本実施の形態においてはインバータに供給する電圧を制御できる電圧調整部を備えることで、モータの運転状態に応じて通電角度やデューティを理想的なの大きさに保持したまま駆動することが可能となる。それではここで、具体的な効果について2つ説明する。例えば、トルク脈動などの負荷変動が著しい運転状態においては、通電角度が小さすぎると騒音・振動等が大きくなるが、電圧調整部を備えることで供給電圧を小さくして通電角度を所望の大きさ以上に確保することが可能となり、騒音・振動の低減等の効果を発揮する。また、振動を低減させることで、脱調停止の抑制、ピーク電流の低減によるシステム停止の防止、モータ自身やシステムの信頼性の確保などの効果も発揮することができる。もう一つの効果の例は、低速駆動や低負荷条件下の様なデューティが低くなる運転状態においては、スイッチングロスが増加したり、騒音が顕著になったりするため、供給電圧や通電角度を小さくすることでデューティを所望の大きさ以上に確保することが可能となり、回路損失・騒音の低減等の効果を発揮する。
図10に示すような従来の駆動装置では、インバータ102に供給する電圧を制御する機能を有していなかったため、低回転運転時の通電角度が非常に小さくなりトルク脈動などの負荷変動の影響を顕著に受けて回転数変動が大きくなっていた。そこで、インバータに供給する電圧を制御する電圧調整部8を備えることにより、低回転運転時の通電角度を所望の大きさ以上に保持することができ、その結果、無通電時間の割合を低く保つことが可能となり、騒音・振動・回転数変動の抑制といった効果をもたらす。他にも、電圧調整部8を備えることにより、デューティを所望の大きさ以上に保持することができ、その結果、スイッチングロスやモータから発生される磁気音を低減することが可能となり、損失・騒音の抑制といった効果ももたらす。
また、モータ効率化の手段の1つとして、固定子の巻線量(ターン数)を増加させる方式があるが、この方式ではモータの鉄損・銅損を低減でき高効率な低速運転が実現できる反面、電流が流しにくく従来の技術では十分なトルクを出力できず高速運転に不利であるという短所があった。そこで、インバータに供給する電圧を制御する電圧調整部8を備えることにより、このようなモータに対して、高トルク・高速運転時には供給電圧を大きくすることができ、その結果低損失・低回転での駆動から高トルク・高回転での駆動まで広範囲な運転が可能となる。無論従来の技術でも、予め高トルク・高回転が実現できる電圧を供給するような回路構成にしておけば高速側の課題は解消されるが、低損失・低回転での運転時にも必要以上の電圧を供給することになり、巻数多量型のモータのせっかくの長所である高効率性能を十分に引き出せず、更には、回転数変動が生じるほど小さな通電角度で制御する必要も生じることとなり、通電角度を調整できる従来技術の長所をも発揮できない可能性があった。
図3は、本実施の形態における駆動手段切替判定部を備えたブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図である。なお、図3中の構成部品において図1と同じものについては、既に説明しているので割愛する。
同期駆動波形発生部30は、デューティを一定にしたまま、出力する周波数を変化させながらインバータ3のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動する信号を作り出す。なお、同期駆動は、モータ自身の自己進角特性を活かすことにより、高トルクが求められる高回転運転領域に適応させた波形発生手段である。同期駆動波形発生部による駆動信号は、基本的には、通電角度が180度未満の矩形波であるが、矩形波以外でも正弦波や歪波などのそれに準ずる波形であってもよい。
本実施例において、同期駆動波形発生部30が出力する波形は、デューティ一定としているが、よりきめ細やかな制御を必要とする場合はこの限りではない。同期駆動とは、回転子4aの相対位置とは関係なく所定周波数に応じて波形を出力する駆動方法のことを指し、通電角度やデューティなどの要素を一定に保つ性質までは限定していない。
位置検出駆動波形発生部31は、負荷検出回路5の位置信号をもとにロジカルな信号変換を行い、インバータ3のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動する信号を作り出す。さらに回転数を一定に保つためにPWM制御のデューティ制御も行っている。回転位置に従って、ブラシレスDCモータ4の実回転数を検出し、目標回転数との比較を行いながら最適なデューティで運転させることができるため、最も効率的な運転が可能となる。この実回転数の検出は負荷検出回路5の出力信号の一定時間カウントまたは周期測定などによって実現可能である。高効率、低振動が求められる低回転運転領域に適した波形発生手段である。また、位置検出駆動波形発生部31による駆動信号は矩形波通電を基本として行っているが、矩形波以外でもそれに準ずる波形として立ち上がり/立ち下がりに若干の傾斜を持たせた台形波であってもよい。
なお、位置検出駆動波形発生部31による駆動の場合、位置を検出しながら駆動する性質上、負荷検出回路5が電圧検出方式である場合、通電角度は150°未満、進角は30°未満(但し、通電角度が大きくなるほど進角制限は30°よりも小さくなる。)と限定されてしまうことを補足しておく。
駆動手段切替判定部32は、位置検出駆動波形発生部31が算出した回転数、その回転数をもとに制御しているデューティ、同期駆動波形発生部30が制御している周波数、通電角調整部6が制御する通電角度、負荷検出回路5からの運転状態情報や、冷蔵庫等の用途におけるシステムの温度状態といった要素に基づいてブラシレスDCモータ4の運転状態などを判断しながら、インバータ3を動作させる波形を出力する駆動手段として同期駆動波形発生部30か位置検出駆動波形発生部31かを選択し切り替えるものである。例えば、回転数が低速の場合、位置検出駆動波形発生部31からの信号を選択し高効率な運転を実現し、回転数が高速の場合、同期駆動波形発生部30からの信号を選択して高トルク名運転を実現しつつインバータ3を動作させる。更に、同期駆動波形発生部30による駆動中には、負荷検出回路5が出力する信号から回転子4aの相対位置を検出するのではなく、運転状態の安定性を判断し、異常を検出した場合には保護停止などをおこなってシステムの安定化を図る機能も駆動手段切替判定部32が有している。
次に図3における駆動手段切替判定部の動作について、図3から図6を用いて説明する。
まず、駆動手段切替判定部の概略動作について図3と図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態における駆動手段切替判定部の概略動作を示したフローチャートである。
まず、STEP41において、駆動手段切替判定部32の選択している駆動手段がどちらの波形発生手段かを判定する。その判定の結果、位置検出駆動波形発生部31を選択していればSTEP42に、同期駆動波形発生部30を選択している場合はSTEP44に移行する。
次に、STEP42において、駆動手段を同期駆動波形発生部30に切り替える必要があるかどうかを判定する。この判定の結果、切り替える必要があると判断した場合はSTEP43に移行する。ここで判定の条件としては、位置検出駆動波形発生部31から出力されるデューティ、通電角調整部6から出力される通電角度、負荷検出回路5から出力されるブラシレスDCモータの運転状態、本装置が実現しようとしている目標の運転周波数、といった様々な情報の全部ないしは一部を用いて判断する。ただし、この判定条件は一例であり、本実施の形態を限定するものではなく、駆動手段を切り替える上で有用で有ればその他の条件でもよい。
そして、STEP43において、位置検出駆動波形発生部31から同期駆動波形発生部30に波形発生手段を切り替える。
また、STEP44において、駆動手段を位置検出駆動波形発生部31に切り替える必要があるかどうかを判定する。この判定の結果、切り替える必要があると判断した場合はSTEP45に移行する。ここで判定の条件としては、負荷検出回路5から出力されるブラシレスDCモータの運転状態、通電角調整部6から出力される通電角度、電圧調整部8が送出する電圧調整回路2gへの出力信号、本装置が実現しようとしている目標の運転周波数、同期駆動波形発生部30から出力されるデューティ、といった様々な情報の全部ないしは一部を用いて判断する。ただし、この判定条件は一例であり、本実施の形態において限定するものではなく、駆動手段を切り替える上で有用であればその他の条件でもよい。
最後に、STEP45において、同期駆動波形発生部30から位置検出駆動波形発生部31に波形発生手段を切り替える。
続いて、図4の駆動手段切替判定部の概略動作における、STEP42“切替判定1”,STEP43“切替処理1”の動作について図3と図5を用いてもう少し具体的に説明する。
図5は、本実施の形態における位置検出駆動波形発生部による駆動中の駆動手段切替動作を示したフローチャートである。なお、本図は具体的事例の1つを示したものであり、駆動手段を切り替える際に有用であれば他の方法でも良い。
まず、STEP51において、通電角調整部6が、位置検出駆動波形発生部31から出力されるデューティ情報をもとに通電角度を調整する必要があるかどうかを判定する。判定の結果、通電角度を拡大方向に調整する必要がある場合はSTEP52に、逆に縮小方向に調整する必要がある場合は、STEP53に移行する。
また、STEP52において、通電角調整部6が通電角度を拡大し、拡大した通電角度情報を駆動手段切替判定部に出力し、STEP54に移行する。
また、STEP53において、通電角調整部6が通電角度を縮小し、縮小した通電角度情報を駆動手段切替判定部に出力する。
また、STEP54において、駆動手段切替判定部32が、通電角調整部6から出力される通電角度情報にをもとに同期駆動波形発生部30に切り替える必要があるかどうかを判断する。この判断の結果、駆動手段を切り替える必要があればSTEP55に移行する。この判定方法は、通電角調整部6から出力された通電角度と予め設定された任意の角度との大小比較により判断する。例えば、通電角度が135°以上の時に駆動手段を切り替えるように判定条件を設定しておけば、位置検出駆動波形発生部31を選択中にドライブ部9に出力される信号は135°以下の通電角度となる。因みに、位置検出駆動波形発生部31を選択中の駆動信号の通電角度は150度以下という制限がるため、判定条件の通電角度としては150°以下の値を設定する。
最後に、STEP55において、駆動手段切替判定部32が、同期駆動波形発生部30を選択する。
続いて、図4の駆動手段切替判定部の概略動作における、STEP44“切替判定2”,STEP45“切替処理2”の動作について図3と図6を用いてもう少し具体的に説明する。
図6は、本実施の形態における同期駆動波形発生部による駆動中の駆動手段切替動作を示したフローチャートである。なお、本図は具体的事例の1つを示したものであり、駆動手段を切り替える際に有用であれば他の方法でも良い。
まず、STEP61において、通電角調整部6が、負荷検出回路5から出力される運転状態情報をもとに通電角度を調整する必要があるかどうかを判定する。判定の結果、通電角度を縮小方向に調整する必要がある場合はSTEP62に、逆に拡大方向に調整する必要がある場合は、STEP63に移行する。具体的には、電流位相の逆起電圧位相(回転子4aが回転することで誘起される電圧)に対する進みの程度(進角)が比較的小さい場合には通電角度を縮小する必要があると判断し、逆に進角が比較的大きい場合には通電角度を拡大する必要があると判断する。
また、STEP62において、通電角調整部6が通電角度を縮小し、縮小した通電角度情報を駆動手段切替判定部に出力し、STEP64に移行する。
また、STEP63において、通電角調整部6が通電角度を拡大し、拡大した通電角度情報を駆動手段切替判定部に出力する。なお、同期駆動波形発生部30を選択中の駆動信号は矩形波通電を基本としており、通電角が180°未満の矩形波を作り出している。よって、本処理においては、予め180°未満の通電角度上限リミッタを設けておく。
また、STEP64において、駆動手段切替判定部32が、通電角調整部6から出力される通電角度情報にをもとに位置検出駆動波形発生部31に切り替える必要があるかどうかを判定する。この判定の結果、駆動手段を切り替える必要があればSTEP65に移行する。この判定方法は、通電角調整部6から出力された通電角度と予め設定された任意の角度との大小比較により判断する。例えば、通電角度が135°以下の時に駆動手段を切り替えるように判定条件を設定しておけば、同期駆動波形発生部30を選択中にドライブ部9に出力される信号は135°以上の通電角度となる。因みに、位置検出駆動波形発生部31を選択中の駆動信号の通電角度は150度以下という制限がるため、判定条件の通電角度としては150°以下の値を設定する。
最後に、STEP65において、駆動手段切替判定部32が、位置検出駆動波形発生部31を選択する。
なお、図5のSTEP54“通電角度判定”における判定条件としてあらかじめ設定されてい通電角度を、図6のSTEP64“通電角度判定”における判定条件の通電角度より大きくすることで、駆動手段切替動作の切替判断にディファレンシャルを持たせることが可能となることをここで補足しておく。
更に、図3における電圧調整部及び駆動手段切替判定部の連動について図3、図7、図8、図9を用いて説明する。
まず、図3における電圧調整部及び駆動手段切替判定部の概略動作の一例について図3、図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態における電圧調整部及び駆動手段切替判定部の動作を示したフローチャートである。なお、本図は事例の1つを示したに過ぎず、電圧調整部と駆動手段切替部とが動作することで前述の発明の効果を発揮する方法であれば他の方法でも良い。
まず、STEP71において、モータの運転状態情報をもとにインバータ3に供給する電圧を調整する必要があるかどうかを判断する。この判断の結果、供給電圧を降圧方向に調整する必要がある場合にはSTEP72に移行し電圧調整回路8が処理を実行する。また、供給電圧を昇圧方向に調整する必要がある場合にはSTEP73に移行し電圧調整回路8が処理を実行する。そして、供給電圧を調整する必要がない場合にはSTEP74に移行し駆動手段切替判定部32が処理を実行する。ここで判定の条件としては、本装置が実現しようとしている目標の運転周波数、駆動手段切替判定部32が選択している波形発生手段の種類、負荷検出回路5から出力されるブラシレスDCモータの運転状態、通電角調整部6から出力される通電角度、電圧調整部8が送出する電圧調整回路2gへの出力信号、同期駆動波形発生部30から出力されるデューティ、といった様々な情報の全部ないしは一部を用いて判断する。ただし、この判定条件は一例であり、本実施の形態において限定するものではなく、電圧調整部の動作と駆動手段切替部の動作とを相互に効率よく動作し、かつ、前述の発明の効果を発揮する上で有用であればその他の条件でもよい。なお、このような処理構成にすることによって、供給電圧の調整動作と駆動手段の切替動作が同時に行われることが無く、運転の安定性を保持できる。
また、STEP72において、電圧調整部8が電圧調整回路2gに指令を送出して、インバータ3に供給する電圧を調整(降圧)する。
そして、STEP73において、電圧調整部8が電圧調整回路2gに指令を送出して、インバータ3に供給する電圧を調整(昇圧)する。
最後に、STEP74において、駆動手段切替判定部32が駆動波形発生手段を切り替える。なお、この処理に関する詳細な内容は、図4から図6の説明にて既に述べているのでここでは割愛する。
続いて、図7の電圧調整部及び駆動手段切替判定部の概略動作より、安定性を保持するための動作について図3,図8を用いて説明する。
図8は、本実施の形態における駆動手段切替判定部を備えた装置における電圧調整の安定性を確保するための動作を示したフローチャートである。なお、本図は具体的事例の1つを示したものであり、駆動手段を切り替える際に有用であれば他の方法でも良い。また、図7と同じ処理については処理番号を同じにして説明を割愛する。
まず、STEP81において、本装置が実現しようとしている目標の運転周波数から、電圧の調整が必要かどうかを判断する。この判断の結果、供給電圧を調整する必要がある場合にはSTEP82に移行し、調整の必要がない場合にはSTEP83に移行する。例えば、低速運転中に目標周波数の指令が高くなった場合や、逆に高速運転中に指令が低くなった場合に供給電圧の調整が必要と判断する。なお、低速・高速の判定条件のしきい値は、モータのトルク特性やシステムの出力特性などから予め設定しておく。
次に、STEP82において、駆動手段切替判定部32が選択している波形発生手段に応じて電圧調整処理を実行してもいいかどうかを判断する。この判断の結果、供給電圧を降圧方向に調整する必要があり且つ電圧を調整してもよい場合にはSTEP72に移行し、昇圧方向に調整する必要があり且つ電圧を調整してもよい場合にはSTEP73に移行し、電圧を調整してはいけない場合にはSTEP822に移行する。ここで電圧を調整しても良いかどうかの判定の条件としては、電圧を調整しても安定した運転を持続できるかどうかで判定する。具体的な一例としては、駆動手段切替判定部32が位置検出駆動波形発生部31を選択中には調整可能と判断し、同期駆動波形発生部30を選択中には調整すると安定性を持続できないと判断する。これは、同期駆動は前述のように回転子4aの相対位置を検出せずに運転しているため、電圧変動が発生した場合には、ピーク電流や異音・騒音・振動などを発生したり、更には脱調停止を引き起こす可能性があるために、安定性を持続できない恐れもあるからである。なお図から明らかではあるが、STEP72、STEP73の処理を実行後はSTEP821に移行する。
そして、STEP821において、電圧調整部8がインバータ3に供給する電圧の調整を終了した時点で終了フラグをセットするなどして調整の終了を明示する。
また、STEP822において、駆動手段切替判定部32によって駆動手段を位置検出駆動波形発生部31に切り替える。本処理は、図7で説明した処理よりも更に運転を安定化させるために非常に重要である。
そして、STEP83において、駆動手段切替判定部32によって駆動手段を切り替える。STEP83の処理の詳細については、図4から図6の説明にて既に述べているのでここでは割愛する。
この様にすることで、駆動手段の切替処理が確実に電圧調整終了後に実行されるようになり安定性を確保することが可能となる。
続いて、図8の電圧調整の更なる安定性を確保するために必要なSTEP822“駆動手段切替2”の具体的処理について図3と図9を用いて説明する。
図9は、本実施の形態における駆動手段切替判定部を備えた装置における電圧調整の安定性を確保するための駆動手段切替動作を示したフローチャートである。なお、本図は具体的事例の1つを示したものであり、駆動手段を切り替える際に有用であれば他の方法でも良い。また、全ての処理に関して図6と同じ処理であるため処理番号を同じにして具体的な処理内容についての説明を割愛する。
この様にすることで、インバータ3に供給する電圧の調整が必要で、尚かつ、駆動手段切替判定部32が同期駆動波形発生部30を選択している場合には、位置検出駆動波形発生部31への切替が可能になるまで通電角調整部6によって通電角度が縮小され、その通電角度情報をもとに駆動手段切替判定部32は位置検出波形発生部31を選択できると判断し駆動手段を切り替えるようになる。すると、図8のSTEP82“駆動手段判定”において、供給電圧を調整可能と判断され、電圧の調整を電圧調整部8が開始する。この様に、電圧調整処理と波形発生手段切替処理が同時に実行されなくなるだけでなく、電圧変動に対して弱体である同期駆動波形発生部30による駆動が確実に終了した後に電圧が調整されるようになる。
以上のように、本実施の形態において電圧調整部に加えて駆動手段切替機能を有することで、電圧を上昇させることでインバータに供給する電力を増大させるとともに、進角を大きく保ったまま制御できるようにすることで弱め界磁も働くため、より高トルク・高回転での駆動が実現できる。裏を返すと、より大きな進角をもって制御する必要のあるIPM型配置の回転子や電流の流しにくい高インダクタンス型の固定子を備えた、高効率特性を持つブラシレスDCモータをより高トルク・より高回転で駆動させることが可能となり、低損失・低回転が必要な運転時に通電角度を小さくしてスイッチングロスを低減する効果を発揮する本実施例において、駆動手段切り替え機能を備えることは非常に有用となる。また、電圧調整動作と駆動手段切替動作を完全に分離し、更には、同期駆動波形発生部による駆動中には電圧調整動作を実行しないき機能を有することで、ピーク電流や異音・騒音・振動などの発生、ひいては脱調停止を防止することが可能となり、運転安定性の保持を実現でき、この機能を備えることは極めて有用である。
図10に示すような従来の駆動装置には無かった、インバータ102に供給する電圧を制御する機能を有するだけに留まらず、駆動手段切替判定部32を備えることで、高効率なブラシレスDCモータのよりワイドレンジな運転が可能となり、低回転時の高効率性能と高回転時の高トルク性能とを併せ持つ装置を具現化できる。
更に、冷蔵庫やエアコンなど近年著しくインバータ化の進んでいる製品において、低速から高速までワイドレンジな運転を実現することは極めて有効である。また、インバータ製品においては電源高調波歪みの抑制が不可欠となっており、この抑制方式としては、特に冷蔵庫においては、安価でシステムインしやすい“リアクトル方式”が一般的な手段となっている。リアクトル方式は、電源高調波歪みを抑制する反面、インバータに供給する電力を低減させ、その結果高トルク・高回転での運転を実現しにくくなるという短所も併せ持っている。この様なインバータにおいて、供給電力を上昇させるだけでなく、弱め界磁の働きによりモータ電流を増加させて出力トルクを向上できる本実施の形態の制御装置は非常に有用である。
以上の様に本発明にかかるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置は、騒音・振動の低減、脱調停止の防止、ピーク電流発生の抑制、駆動効率の向上、出力トルクの向上などの効果を発揮することが可能となるので、家庭用・産業用を問わずブラシレスDCモータを搭載したさまざまな用途にも適用できる。
3 インバータ
4 ブラシレスDCモータ
4a 回転子
4b 固定子
5 負荷検出回路
6 通電角調整部
7 駆動波形発生部
8 電圧調整部
30 同期駆動波形発生部
31 位置検出駆動波形発生部
32 駆動手段切替判定部
4 ブラシレスDCモータ
4a 回転子
4b 固定子
5 負荷検出回路
6 通電角調整部
7 駆動波形発生部
8 電圧調整部
30 同期駆動波形発生部
31 位置検出駆動波形発生部
32 駆動手段切替判定部
Claims (7)
- 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する波形を出力する駆動波形発生部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記インバータに供給する電圧を調整する電圧調整部とを備え、前記負荷検出回路から出力される信号に応じて前記固定子の相に通電する通電時間の調整を可能とするブラシレスDCモータの駆動方法。
- 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する波形を出力する駆動波形発生部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記インバータに供給する電圧を調整する電圧調整部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する通電時間を調整する通電角調整部とを備え、負荷に応じて電圧や通電角を調整するブラシレスDCモータの駆動装置。
- 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する同期駆動波形発生部と、前記回転子の回転位置に応じて通電角150度以下の波形を出力する位置検出駆動波形発生部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する波形を出力する駆動波形発生部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記インバータに供給する電圧を調整する電圧調整部と、前記負荷検出回路から出力される信号をもとにして前記固定子の相に通電する通電時間を調整する通電角調整部とを備え、負荷に応じて前記同期駆動波形発生部と位置検出駆動波形発生部とを切り替えるブラシレスDCモータの駆動装置。
- ブラシレスDCモータが、回転子の鉄心に永久磁石を埋め込んでなる回転子であり、かつ突極性をもつ回転子を有したものである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
- ブラシレスDCモータが、巻線の巻込量(ターン数)が比較的多い固定子を有したものである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
- ブラシレスDCモータが圧縮機を駆動するものである請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
- 圧縮機が冷蔵庫を運転するものである請求項6に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
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