JP2008172880A - ブラシレスdcモータの駆動方法及び駆動装置 - Google Patents

ブラシレスdcモータの駆動方法及び駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ブラシレスDCモータにおいて高効率化と電圧変動が発生した場合の安定運転を両立実現する。
【解決手段】インバータ3への供給電圧の状態を認識できる電圧状態認識部7を備えることで、同期駆動運転中に電圧変動が発生した場合でも、モータ電流を一定に保つことなどが可能となり、システムにおける安定性の改善、ひいては脱調停止の抑制といった効果を発揮できる。更に、供給電圧の変化が認識できることで、同期駆動運転中の供給電圧を調整することが可能となり、同期駆動運転中の効率向上といった効果も発揮できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置に関し、更に詳細に言えば、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータを、三相巻線に電力を供給するインバータにより駆動するための方法及びその装置に関するものであり、特に冷蔵庫やエアコンなどの圧縮機を駆動するのに最適なブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置に関するものである。
近年の冷蔵庫は400L以上の大型機種が主力となり、それらの冷蔵庫は、高効率な圧縮機の回転数を可変駆動させるインバータ制御冷蔵庫が大半を占めている。これらの冷蔵庫用圧縮機では高効率化のために、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータを一般的には採用している。また、圧縮機の中という高温、高圧、冷媒雰囲気、オイル雰囲気という環境下にブラシレスDCモータを設置するため、ブラシレスDCモータで通常使われるようなホール素子などの位置検出センサは使用できない。そのために一般的にはモータの逆起電圧や直流電流から回転子の回転位置を検出する方法がよく用いられている。
従来の技術は、例えば、特許文献1に示されている。その従来の技術を図面に従って説明する。図10は従来のブラシレスDCモータ駆動に関する駆動装置のブロック図である。
図10において、商用電源101は、日本の場合周波数50Hzまたは60Hz、電圧100Vの交流電源である。
整流回路102は商用電源101の交流電圧を直流電圧に変換するものである。整流回路102はブリッジ接続された整流用ダイオード102a〜102dと平滑用の電解コンデンサ102e、102fとからなり、図10に示す回路では倍電圧整流回路であり、商用電源101のAC100V入力から直流電圧280Vを得ることができる。
インバータ回路103は、6個のスイッチ素子103a、103b、103c、103d、103e、103fを3相ブリッジ構成されている。また、各々のスイッチ素子には各スイッチ素子の逆方向に還流電流用のダイオードが入っているが本図では省略している。
ブラシレスDCモータ104は、永久磁石を有する回転子104aと3相巻線を有した固定子104bとからなる。インバータ103により作られた3相交流電流が固定子104bの3相巻線に流れることにより、回転子104aを回転させることができる。回転子104aの回転運動はクランクシャフト(図示せず)により、往復運動に変更され、ピストン(図示せず)がシリンダ(図示せず)内を往復運動することにより、冷媒を圧縮する圧縮機の駆動を行う。
逆起電圧検出回路105は、ブラシレスDCモータ104の永久磁石を有する回転子104aが回転することにより発生する逆起電圧から、回転子104aの回転相対位置を検出する。
転流回路106は、逆起電圧検出回路105の出力信号によりロジカルな信号変換を行い、インバータ103のスイッチ素子103a、103b、103c、103d、103e、103fを順次切り換えて駆動する信号を作り出す。
同期駆動回路107は、インバータ103から強制的に所定周波数の出力を出し、ブラシレスDCモータ104を駆動するものであり、転流回路106で生成されるロジカルな信号と同等形状の信号を強制的に所定周波数で発生させるものである。
負荷状態判定回路108は、圧縮機104が運転されている負荷状態を判定するものである。
切替回路109は、負荷状態判定回路108の出力により、圧縮機104のブラシレスDCモータを転流回路106で駆動するか、同期駆動回路107で駆動するかを切り替える。
ドライブ回路110は、切替回路109からの出力信号により、インバータ103のスイッチ素子103a、103b、103c、103d、103e、103fを駆動する。
以上の構成において、次に動作の説明を行う。
負荷状態判定回路108で検出された負荷が、通常負荷の場合、転流回路106による駆動を行う。
逆起電圧検出回路105でブラシレスDCモータ104の回転子104aの相対位置を検出する。次に転流回路106で回転子104aの相対位置に応じてインバータ103を駆動する転流パターンを作り出す。
この転流パターンは切替回路109を通して、ドライブ回路110に供給され、インバータ103のスイッチ素子103a、103b、103c、103d、103e、103fを駆動する。
この動作により、ブラシレスDCモータ104はその回転位置に合致した駆動を行うこととなる。
次に、負荷が増加してきたときの動作について説明する。
ブラシレスDCモータの負荷が増加すると、ブラシレスDCモータの特性により回転数が低下してくる。この状態を負荷状態判定回路108で高負荷状態であると判定し、切替回路109の出力を同期駆動回路107からの信号に切り替える。
このように駆動することにより高負荷時の回転数低下を抑えることが可能となる。
特開平9−88837号公報
しかしながら、従来の構成では、次のような課題があった。
整流回路102がインバータ103に供給する電圧が安定している状態であれば、制御の安定性が、永久磁石の磁力の強さと固定子104bが作る回転磁界の強さのみに依存する、完全なオープンループ制御である同期駆動回路107で運転中であっても、安定運転を保持できる。しかし、商用電源101の出力する電圧が変動したり、商用電源101や整流回路102の前段のインダクタンス特性により電解コンデンサ102e、102fへの充電量が変動したり、電解コンデンサ102e、102fの静電容量が低い場合にインバータ103に供給する電圧が変動したりする時に、回転子104aの相対位置を検出していないため不安定な運転状態に陥る可能性がある。つまり、ブラシレスDCモータ104の出力限界トルクが(負荷トルクに対して充分にマージンを有している様な状況下では問題無いが、)経年変化などにより初期状態に比べて極度に低下した場合や設計時に予測がつかないほどの非常に大きな負荷トルクを要するシステムで運転した場合などには、不安定な運転状態に陥ることとなった。
また、商用電源101の出力電圧において、瞬時電圧低下が発生した場合に、電解コンデンサ102e、102fの特性(電圧下降時は緩やかに電圧が変化し電圧上昇時には急峻に電圧が変化する特性)から次のような運転状態に陥ってしまう。1)電圧低下により負荷状態判定回路108がトルク不足状態を検出し、切替回路109が同期駆動回路107を選択する。2)電源電圧が復帰してもトルクが過剰な状態を検出するまでの間、切替回路109は同期駆動回路107を選択したままの状態となり、固定子104bや6つのスイッチ素子103aから103fに過剰な電流が流れ続ける。3)場合によっては、トルクが過剰な状態を検出することが出来ず、長時間過剰な電流を流し続けることとなる。
加えて、6つのスイッチ素子103aから103fに流すことが可能な電流の大きさと時間が比較的小さな場合には、前述のように長時間過剰な電流を流すことは、素子の性能劣化を引き起こす可能性がある。
更に、ブラシレスDCモータ104がIPM構造の場合、SPM構造に比べてリラクタンストルクを大きく発生できることから、転流時機を回転子104aに対して早めることで出力トルクを大きくすることが可能となる特徴を有しているため、同期駆動回路107での運転に適していると言える。しかし、同期駆動回路107での運転時には、転流回路106で出力可能な電流よりも大きな電流を実現できるため、前述の過剰な電流の大きさは比較的大きくなってしまう。また、モータが比較的巻込量の多い鉄損低減型の固定子104bを有している場合も、同期駆動回路107で運転することで高速・高出力トルク運転を実現できるが、IPM構造の場合と同様、前述の過剰な電流の大きさは比較的大きくなってしまう。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、インバータへの供給電圧状態に応じてモータに流す電流を制御できるブラシレスDCモータの駆動方法及び駆動装置を提供することを目的とする。また、インバータへの供給電圧状態に応じた波形発生手段の選択が可能となることでより信頼性を向上することができるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明のブラシレスDCモータは、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させた波形を発生する同期駆動波形発生部がモータを駆動する方法を備えており、インバータへの供給電圧の状態に応じてモータに流れる電流を制御することを可能にしたものである。
また、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させた波形を発生する同期駆動波形発生部と回転子の回転位置に応じて波形を発生する位置検出駆動波形発生部とを備えた装置において、インバータへの供給電圧の状態に応じた波形発生手段を選択できるようにすることで、過剰なモータ電流の発生を未然に防止することを可能にした装置である。
また、同期駆動波形発生部がモータを駆動している最中に、インバータへの供給電圧の状態に応じてモータに流れる電流を制御できることで、同期駆動波形発生部がモータを駆動している最中でも電圧を調整することを可能にした装置である。
本発明のブラシレスDCモータは、インバータへの供給電圧の状態に応じてモータに流れる電流量を制御することが可能となり、同期駆動波形発生部による駆動中においても、モータへの印加電圧の変動が直接的にモータ電流に影響することはなくなり、安定性向上の効果を発揮できる。
また、電圧状態に応じて波形発生手段を切り替えることで、過剰なモータ電流の発生を未然に防止することを可能にしたものであり、ピーク電流の抑制、更には半導体素子や回転子中の磁石など、部品信頼性の向上といった効果を発揮できる。
また、インバータへの供給電圧の状態に応じてモータ電流を制御できることで、同期駆動波形発生部がモータを駆動している最中でも電圧を調整することを可能にしたものであり、例えば、安定駆動が可能である通電角の下限レベルまで到達した時には供給電圧を下降させることで、更に高効率な運転を実現できるといった効果を発揮できる。
請求項1に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、前記インバータに供給される電圧を検出する電圧検出回路と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する同期駆動波形発生部とを備え、前記インバータに供給される電圧状態に応じて前記ブラシレスDCモータに流れる電流の制御を可能とするものであり、電圧変動発生中の駆動における安定性向上の効果を発揮できる。
請求項2に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記インバータに供給される電圧を検出する電圧検出回路と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する同期駆動波形発生部と、前記回転子の回転位置に応じて通電角150度以下の波形を出力する位置検出駆動波形発生部と、前記同期駆動波形発生部と前記位置検出駆動波形発生部とをモータの運転状態によって切り替える駆動手段切替判定部とを備え、前記インバータに供給される電圧の状態に応じて前記駆動手段切替判定部が2つの駆動波形発生手段を選択して運転するものであり、長時間過剰な電流を流す状態の回避が可能となり、部品の信頼性向上の効果を発揮できる。
請求項3に記載の発明は、永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記インバータに供給される電圧を検出する電圧検出回路と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する同期駆動波形発生部と、前記インバータに供給する電圧を調整する電圧制御部とを備え、前記同期駆動波形発生部で運転中に前記インバータへの供給電圧を調整する場合に供給電圧状態に応じて前記ブラシレスDCモータに流れる電流を制御するものであり、同期駆動波形発生部による運転中の効率を改善するといった性能向上の効果を発揮できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、任意の時間流すことのできる電流量が比較的小さな値で規定されている半導体素子からインバータが構成されたものであり、流せる電流量が比較的小さい半導体素子で構成されたインバータで駆動中に、過剰な電流発生を抑制することが可能となり、素子の信頼性向上の効果を発揮できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、ブラシレスDCモータが、巻線の巻込量(ターン数)が比較的多い固定子を有したものであり、巻線の巻込量が比較的多い鉄損低減型の固定子を有するブラシレスDCモータのような同期駆動波形発生部が必要なモータを駆動する場合でも、電圧に応じて電流量を制御することが可能となり、運転の安定性向上や部品の信頼性向上等の効果を発揮できる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、ブラシレスDCモータが、回転子の鉄心に永久磁石を埋め込んでなる回転子であり、かつ突極性をもつ回転子を有したものであり、鉄心に永久磁石が埋め込まれたIPM構造型の回転子を有するブラシレスDCモータのような同期駆動波形発生部が必要なモータを駆動する場合でも、電圧に応じて電流量を制御することが可能となり、運転の安定性向上や部品の信頼性向上等の効果を発揮できる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発明において、ブラシレスDCモータが圧縮機を駆動するものであり、冷蔵庫やエアコンなど高効率で低速な運転から高トルクで高速な運転まで広い運転範囲を必要とされるシステムの圧縮機において、通常運転されている状態である低速領域では効率を向上させ、急冷・急凍・(システムインした)イニシャル時などの高速領域ではトルクを安定して上昇することができるといった効果を発揮することは極めて重要である。また、電圧変動状態を検出し、同期駆動波形発生部にて運転中に電流を制御したり、電圧変動に対して弱い同期駆動波形発生部による運転を禁止したりすることで回転速度変動や、ひいては騒音・振動・ピーク電流を低減する効果についても、静音性・長期信頼性のニーズが極めて高い冷蔵庫やエアコンに搭載される圧縮機において同じく非常に重要である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、圧縮機が冷蔵庫を運転するものであり、圧縮機の不安定状態から未然回避できることで、それが引き起こす脱調停止を防止することが可能となり、冷蔵庫における不冷、鈍冷現象の発生を防止するといった効果を発揮する。また、安定した高速運転を可能とすることによる急冷性能の向上、更には回転数変動、騒音・振動の抑制効果もあり、省エネ、ハイパワー、静音といった多岐にわたるニーズのある冷蔵庫においてこれらの効果は非常に重要である。
以下、本発明による冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における同期駆動波形発生部による駆動に関するブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図である。
図1において、商用電源1は、日本の場合周波数50Hzまたは60Hz、電圧100Vの交流電源である。
整流回路2は商用電源1の交流電圧を直流電圧に変換する。整流回路2はブリッジ接続された整流用ダイオード2a〜2dと平滑用の電解コンデンサ2e、2fと電圧調整回路2gからなり、図1に示すような倍電圧整流回路の場合、商用電源1のAC100V入力から280V程度の直流電圧を得ることができる。ここでは倍電圧整流としたが、電圧調整回路2gは直流電圧可変式のチョッパ回路や倍電圧整流/全波整流の切替方式回路に相当する。加えて、ここではダイオード2b−2d間を結ぶ結合点と電解コンデンサ2e−2f間を結ぶ結合点との間に電圧調整回路2gが配置されているが、インバータ3に供給する電圧を調整できるものであれば、その配置場所まで限定するものではない。また、電圧調整回路2gは調整機能を有さない場合も含む。即ち、整流回路2の構成には、電圧調整回路2gが常時両端を開放した回路(全波整流回路)構成や、電圧調整回路2gが常時両端を短絡した回路(倍電圧整流回路)構成の場合も含む。
インバータ3は、6個のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを3相ブリッジ構成されている。また、各々のスイッチ素子には各スイッチ素子の逆方向に還流電流用のダイオードが入っているが本図では省略している。
ブラシレスDCモータ4は、永久磁石を有する回転子4aと3相巻線を有した固定子4bとからなる。インバータ3により作られた3相交流電流が固定子4bの3相巻線に流れることにより、回転子4aを回転させることができる。回転子4aの回転運動はクランクシャフト(図示せず)により、往復運動に変更され、ピストン(図示せず)がシリンダ(図示せず)内を往復運動することにより、冷媒を圧縮する圧縮機の駆動を行う。なお、スイッチ素子3a(3b)と接続された3相巻線部分をU相巻線、スイッチ素子3c(3d)と接続された3相巻線部分をV相巻線、スイッチ素子3e(3f)と接続された3相巻線部分をW相巻線と呼ぶことにする。
同期駆動波形発生部5は、デューティを一定にしたまま、出力する周波数と通電角を変化させながらインバータ3のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動する信号を作り出す。この駆動する信号は通電角が180度未満の矩形波を作り出している。また、ここでは矩形波以外でも正弦波や歪波などのそれに準じる波形であってもよい。なお、同期駆動は、モータ自身の自己進角特性を活かすことにより、高トルクが求められる高回転運転領域に適応させた波形発生手段である。更に、電圧状態認識部7が出力する信号に応じて、波形を調整して電流量を制御し、場合によっては同期駆動波形発生部5からの出力を停止するなどをおこなってシステムの安定化を図る機能も有している。
本実施の形態において、同期駆動波形発生部5が出力する波形は、デューティ制御について触れていないが、よりきめ細やかな電流制御を必要とする場合はデューティ制御も必要となる。同期駆動とは、回転子4aの相対位置とは関係なく所定周波数に応じて波形を出力する駆動方法のことを指し、通電角やデューティなどの要素を一定に保つ性質までは限定していない。
ドライブ部6は、同期駆動波形発生部5からの出力信号により、インバータ3のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動する。この駆動によりインバータ3から最適な交流出力をブラシレスDCモータ4に印加し、回転子4aの回転を実現する。
電圧状態認識部7は、電圧検出回路8から出力される信号をもとにして、インバータ3に供給される電圧の情報を同期駆動波形発生部5に出力する。ここで述べた「電圧の情報」とは、電圧の静的な状態を限定するものではなく、単位時間あたりの変化量や変動周期など動的な状態情報も含んでいる。
電圧検出回路8は、インバータ3に供給する電圧、もしくは電圧の状態を検出する。また本実施の形態における電圧検出回路8は、整流回路2で整流、平滑された直流電圧を検出しているが、インバータ3に供給される電圧の状態変化が推測できる部分であれば本発明は有効となるので、この限りではない。例えば、商用電源1の直後の交流電圧を検出する方法でも構わない。交流電圧を検出するとインバータ3に供給される電圧の大小変化を推測できるだけでなく、交流電圧の周波数を検出することで電解コンデンサ2e、2fへの充電頻度も知ることが出来るという部分が、直流電圧の検出と比べた時の長所の1つである。
マイクロコンピュータ9は前述の機能を実現する。これらの機能はマイクロコンピュータのプログラムによって実現可能である。
基準電位Gは本ブロック図中の電位の基準となる点で、整流ダイオード2dと電解コンデンサ2fの接続点における電位にあたる。商用電源1が供給する電圧がAC100Vの場合、この基準電位Gと電解コンデンサ2e−整流ダイオード2cの接続点との間に280V程度の直流電圧を得ることができ、インバータ3に供給されることになる。
次に図1における動作について、図1から図4を用いて説明する。
図2は、本実施の形態1におけるマイクロコンピュータの電流制御動作概略を示したフローチャートである。
まず、STEP21において、電圧検出処理を実行する。具体的には、電圧検出回路8から出力された信号をもとに、電圧の瞬時値を導出する。
次に、STEP22において、電圧状態認識処理を実行する。具体的には、電圧検出処理によって導出された電圧の瞬時値を蓄積し、単位時間の変化量を導出したり、任意の期間の最大値と最小値を導出したり、電圧の時間的変極点を迎える周期を導出したりして、電圧の変化状態を導出する。
また、STEP23において、波形合成処理を実行する。具体的には、電圧状態認識処理によって導出された電圧の変化状態に応じて、適切な電流がモータ4に与えられるように波形を合成する。
最後に、STEP24において、波形出力処理を実行し、スタートに戻る。具体的には、波形合成処理によって合成された波形をドライブ部6に出力する。
なお、マイクロコンピュータ9を構成する電圧状態認識部7、ないしは、同期駆動波形発生部5の要素によって、これらの処理全体を担うが、各STEP(特にSTEP22とSTEP23)を担う構成要素は限定されるものではなく、どの構成要素が担っても良い。
図3は、本実施の形態1における波形を出力するアルゴリズムの1例を示したフローチャートである。すなわち、図2におけるSTEP22とSTEP23の詳細な処理を説明するために、極めて簡単なアルゴリズムで成り立つ一例を示したフローチャートである。
まず、STEP31において、蓄積された電圧情報から任意時間の電圧変化量を算出する。ここでは、極めて簡単な一例として2つの蓄積情報から算出する場合を示した。
次に、STEP32において、通電角調整判断を実行する。具体的には、STEP31で算出された電圧変化量に応じて通電角の調整要否や調整量を判定する。判定の結果、電圧変化量が零の場合はSTEP33に移行する。電圧変化量が負の場合はSTEP34に移行する。電圧変化量が正の場合はSTEP35に移行する。
また、STEP33において、通電角がそのままとなるように波形を合成する。
また、STEP34において、通電角が拡大されるように波形を合成する。この際、電圧の変化量とモータ4の電気的特性から、電流量を一定に保つための通電角調整量が導出され、それをもとに波形を合成する。
最後に、STEP35において、通電角が縮小されるように波形を合成する。この際、電圧の変化量とモータ4の電気的特性から、電流量を一定に保つための通電角調整量が導出され、それをもとに波形を合成する。
なお、ここでは通電角を調整する例を挙げたが、デューティなど電流を一定に保持するように作用する要素であればどんな要素を調整しても本実施例を実現可能である。前述のSTEP34やSTEP35の処理において、デューティを調整する場合、「インバータ3への供給電圧」×(デューティ)=一定」の関係を保持することは、電流を一定に保つための調整手法の一例となる。
すなわち、STEP34ではデューティを大きくする方向へ、STEP35ではデューティを小さくする方向へ調整することで電流を一定に保つことを実現できる。
図4は、本実施の形態1における波形出力を停止するアルゴリズムの1例を示したフローチャートである。すなわち、図2におけるSTEP22とSTEP23の詳細な処理を説明するために、極めて簡単な一例を示したフローチャートである。
まず、STEP41において、正常判断処理を実行する。具体的には、電圧変化量や電圧瞬時値が予め設定されていた条件を満足するか否かを判定する。ここでは、その条件を「電圧瞬時値が任意の電圧以上であること。」とする。判定の結果、正常、即ち条件を満足していればSTEP42に移行する。異常、即ち条件を満足していなければSTEP43に移行する。正常判断条件の「任意の電圧」は、たとえば、モータ4の電気的特性やモータ4に要求されている最大出力トルクなどから求められる、最低必要電圧としてもよい。
次に、STEP42において、通常波形合成処理を実行する。この処理の一例としては、図3で示したような処理となる。
また、STEP43において、停止波形合成処理を実行する。この処理は、同期駆動波形発生部5により運転することが困難であると判断され、信頼性を悪化させるような最悪の状況を回避するために実行する。
以上のように、本実施の形態においては電圧検出部がインバータへの供給電圧を検出することにより、低電圧環境下や電圧変動環境下で特に起こる可能性のあるモータ電流の不安定な状態を未然に防止することが可能となり、通電角を調整したり、デューティを変化させたりすることによって電流を一定に保つことで、脱調停止の抑制、ピーク電流の低減によるシステム停止の防止、モータ自身やシステムの信頼性確保などの効果を発揮することができる。また、インバータへの供給電圧が、所望の負荷状況下では安定した運転が不可能となりうるレベルまで、低下、または変動した場合には、同期駆動波形発生部の出力を停止することで、信頼性を悪化させるような最悪な状況を回避することが可能となり、こちらもモータ自身やシステムの信頼性確保などの効果を発揮することができる。
図10に示すような従来の駆動装置では、逆起電圧検出回路105しか有しておらず、インバータ103に供給されている電圧の状態を検出することはできなかった。そこで、電圧検出回路8を有することにより、同期駆動波形発生部5による駆動中において、不安定状態の未然回避が可能となり、運転状態の安定化や信頼性の向上といった効果をもたらす。
また、モータ効率化の手段の1つとして、固定子の巻線量(ターン数)を増加させる方式があるが、この方式ではモータの鉄損を低減できる反面、出力トルクが低下してしまう短所があった。このようなモータにおいて、高速・高トルク駆動を実現するためには、同期駆動制御は有用であるが、この制御の電圧変動に対する耐力向上に対しても、本実施の形態の制御装置は大いに効果を発揮する。高トルク化の手段として、回転子の構造をIPM型構造にする方式があるが、この場合も、逆突極性を活かすことのできる同期駆動制御は有用であるため、IMP構造のモータに対しても本実施の形態は低鉄損型モータと同様の効果を発揮する。
更に、冷蔵庫やエアコンなど近年著しくインバータ化の進んでいる製品において、電源高調波歪みの抑制が不可欠となっている。この抑制方式としては、アクティブフィルタ方式や変圧方式などいろいろな手段があるが、特に冷蔵庫においては、安価でシステムインしやすい“リアクトル方式”が一般的な手段となっている。リアクトル方式は、電源高調波歪みを抑制する一方で、インバータに供給する電力を低減させる短所も有している。この様なインバータへの供給電力が低下した状況下での同期駆動運転の安定化にも、本実施の形態の制御装置が非常に有用である。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における駆動手段切替判定部を備えたブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図である。なお、図5中の構成部品において図1と同じものについては、既に説明しているので割愛する。
図5において、位置検出駆動波形発生部50は、負荷検出回路52の出力信号をもとにロジカルな信号変換を行い、インバータ3のスイッチ素子3a、3b、3c、3d、3e、3fを駆動する信号を作り出す。この駆動する信号は矩形波通電を基本として行っており、通電角が150度以下の矩形波を作り出している。また、ここでは矩形波以外でもそれに準じる波形として立ち上がり/立ち下がりに若干の傾斜を持たせた台形波であってもよい。さらに回転数を一定に保つためにPWM制御のデューティ制御や通電角の制御も行っている。回転位置に従って、ブラシレスDCモータ4の実回転数を検出し、目標回転数との比較を行いながら最適なデューティで運転させることができるため、最も効率的な運転が可能となる。この実回転数の検出は負荷検出回路52の出力信号の一定時間カウントまたは周期測定などによって実現可能である。高効率、低振動が求められる低回転運転領域に適した波形発生手段である。
駆動手段切替判定部51は、位置検出駆動波形発生部50が算出した回転数、その回転数をもとに制御しているデューティや通電角、同期駆動波形発生部5が制御している周波数や通電角、負荷検出回路52からの運転状態情報などをもとに、ブラシレスDCモータ4の運転状態を判断し、インバータ3を動作させる波形を出力する駆動手段を同期駆動波形発生部5か位置検出駆動波形発生部50かを選択し切り替えるものである。たとえば、回転数が低速の場合、位置検出駆動波形発生部50からの信号を選択し、回転数が高速の場合、同期駆動波形発生部5からの信号を選択してインバータ3を動作させる。
負荷検出回路52は、ブラシレスDCモータ4の永久磁石を有する回転子4aが回転することにより発生する逆起電圧から、回転子4aの回転相対位置を検出できる。なお、回転相対位置の検出用途の他にも還流電流用ダイオードに電流が流れる時間の増減を検出することにより、モータ電流の乱れや負荷状態の変化を検出することも可能である。これらの検出によりモータ電流位相の進み度合いを知ることもできる。本負荷検出回路52は、相対位置信号だけでなく、3相巻線(U、V、W)の基準電位Gに対する電圧と予め設定されている任意の基準電圧とを比較した結果を出力する機能を有する回路である。
なお、ここでは3相巻線(U、V、W)の基準電位Gに対する電圧と予め設定されている任意の基準電圧とを比較する構成としたが、回転子4aの位置検出やモータ電流の状態検出などが可能な手段であれば電流検出などの他の手段を用いた構成でも良い。
次に図5における動作について、図2、図3、図5、図6を用いて説明する。
なお図2、図3は、実施の形態1におけるマイクロコンピュータの電流制御動作を示したフローチャートであったが、本図は本実施の形態2におけるフローチャートとしても意味を成す図であるので、ここでも同図を用いて説明し、説明の重複する部分は割愛する。
図2におけるSTEP23では、波形合成処理を実行するが、負荷検出回路52から出力される信号に応じて、位置検出駆動波形発生部50によって実行するのか、同期駆動波形発生部5によって合成するのかは、駆動手段切替判定部51によって選択されることとなる。
その他のSTEPに関しては、実施の形態1と同様であり、また、本実施の形態2においても、マイクロコンピュータ9を構成する、電圧状態認識部7、同期駆動波形発生部5、位置検出駆動波形発生部50、駆動手段切替判定部51のいずれかの要素によって、図2の処理全体を担うが、各STEP(特にSTEP22とSTEP23)を担う構成要素は限定されるものではなく、どの構成要素が担っても良い。
図6は、本実施の形態2における同期駆動波形発生部による波形合成を禁止するアルゴリズムの1例を示したフローチャートである。すなわち、図2におけるSTEP22とSTEP23の詳細な処理を説明するために、極めて簡単なアルゴリズムで成り立つ一例を示したフローチャートである。
まず、STEP61において、正常判断処理を実行する。具体的には、電圧変化量や電圧瞬時値が予め設定されていた条件を満足するか否かを判定する。ここでは、その条件を「電圧瞬時値が任意の電圧以上であること。」とする。判定の結果、正常、即ち条件を満足していればSTEP62に移行する。異常、即ち条件を満足していなければSTEP63に移行する。正常判断条件の「任意の電圧」は、たとえば、モータ4の電気的特性やモータ4に要求されている最大出力トルクなどから求められる、同期駆動波形発生部による駆動が可能な最低必要電圧としてもよい。
次に、STEP62において、通常波形合成処理を実行する。この処理の一例としては、図3で示したような処理となる。図3の処理は、本実施の形態2においては、同期駆動波形発生部5による駆動の場合でも、位置検出駆動波形発生部50による駆動の場合でも、どちらでも良い。2つの波形発生部の切替は、負荷検出回路52の出力に応じて、駆動手段切替判定部51が実行する。
また、STEP63において、同期駆動波形合成禁止処理を実行する。この処理は、同期駆動波形発生部5により運転することが困難であると判断され、信頼性を悪化させるような最悪の状況を回避するために実行する。例えば、位置検出駆動波形発生部50による運転中に本STEPを実行する場合は、同期駆動波形発生部5への切替を禁止することになり、同期駆動波形発生部5による運転中に実行する場合には、位置検出駆動波形発生部50へ速やかに切り替えるか、ドライブ部6への出力を速やかに停止することとなる。
以上のように、本実施の形態においては電圧検出部がインバータへの供給電圧を検出することにより、低電圧環境下や電圧変動環境下で特に起こる可能性のあるモータ電流の不安定な状態を未然に防止することが可能となり、回転子の相対位置を検出せずに駆動する同期駆動波形発生部による駆動を禁止することで、脱調停止の抑制、ピーク電流の低減によるシステム停止の防止、モータ自身やシステムの信頼性確保などの効果を発揮することができる。
図10に示すような従来の駆動装置では、逆起電圧検出回路105しか有しておらず、インバータ103に供給されている電圧の状態を検出することはできなかった。そこで、電圧検出回路8を有することにより、同期駆動波形発生部5による駆動中において、不安定状態の未然回避が可能となり、運転状態の安定化や信頼性の向上といった効果をもたらす。
また、モータ効率化の手段の1つとして、固定子の巻線量(ターン数)を増加させる方式があるが、この方式ではモータの鉄損を低減できる反面、出力トルクが低下してしまう短所があった。このようなモータにおいて、高速・高トルク駆動を実現するためには、同期駆動制御は有用であるが、この制御の弱点である「電圧変動時に不安定な状態に陥りやすい特性」をカバーすることに対しても、本実施の形態の制御装置は大いに効果を発揮する。高トルク化の手段として、回転子の構造をIPM型構造にする方式があるが、この場合も、逆突極性を活かすことのできる同期駆動制御は有用であるため、IMP構造のモータに対しても本実施の形態は低鉄損型モータと同様の効果を発揮する。
更に、冷蔵庫やエアコンなど近年著しくインバータ化の進んでいる製品において、電源高調波歪みの抑制が不可欠となっている。この抑制方式としては、アクティブフィルタ方式や変圧方式などいろいろな手段があるが、特に冷蔵庫においては、安価でシステムインしやすい“リアクトル方式”が一般的な手段となっている。リアクトル方式は、電源高調波歪みを抑制する一方で、インバータに供給する電力を低減させる短所も有している。この様なインバータへの供給電力が低下した状況下での同期駆動運転の禁止を実現でき、信頼性を悪化させる状況を未然に回避できる本実施の形態の制御装置が非常に有用である。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における電圧制御部を備えたブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図である。なお、図7中の構成部品において図1と同じものについては、すでに説明しているので割愛する。
図7において、電圧制御部70は、整流回路2の中の電圧調整回路2gを操作して、インバータ3に供給する電圧を制御する。電圧を制御することによって、同期駆動波形発生部5による駆動中の運転効率を向上させる事も可能となる。詳説すると以下の通りである。同期駆動波形発生部5による運転においては、回転子4aの位置を検出せずに運転するために、インバータ3への供給電圧が過剰な場合には、ブラシレスDCモータ4に対して適切な進角で運転できないことがある。即ち、非効率的に(遅れ制御にて)運転することとなる。そこで、モータの電気的特性やシステムに必要な出力トルク等から導出される適切な電圧値に比べてインバータ3への供給電圧が過剰となっていることを電圧状態認識部7が認識し、その電圧情報をもとに電圧制御部70が供給電圧を適切に調整することができれば、適切な進角での効率的な運転が可能となるわけである。
次に図7における動作について、図3、図7、図8、図9を用いて説明する。
なお図3は、実施の形態1におけるマイクロコンピュータの電流制御動作を示したフローチャートであったが、本図は本実施の形態3におけるフローチャートとしても意味を成す図であるので、ここでも同図を用いて説明し、説明の重複する部分は割愛する。また図8は、実施の形態1における図2と類似しているので、共通の処理については符号を同じものとして説明を割愛する。
図8は、本実施の形態3におけるマイクロコンピュータの電流制御動作概略を示したフローチャートである。
まず、図8におけるSTEP80では、電圧制御処理を実行する。具体的には、電圧制御部70により、インバータ3に供給する電圧を変化させる。電圧制御部70が処理を実行する条件としては、目標の運転回転速度が変化する時や、負荷の状態(モータが出力すべきトルクなど)が変化した時などであり、低速・低トルク方向への変化の場合は、インバータ3に供給する電圧を低めに変化させ、高速・高トルク方向への変化の場合は、インバータ3に供給する電圧を高めに変化させるのが、一般的な制御方法となる。
その他のSTEPに関しては、実施の形態1と同様であり、また、本実施の形態3においても、マイクロコンピュータ9を構成する、電圧状態認識部7、同期駆動波形発生部5、電圧制御部70のいずれかの要素によって、図8の処理全体を担うが、各STEP(特にSTEP22とSTEP23)を担う構成要素は限定されるものではなく、どの構成要素が担っても良い。
次に、図9で、電圧制御処理を実行した時のインバータ供給電圧の時間的変化をグラフに示す。ここでは、最も簡単な例の一つとして、電圧調整回路2gを接続・非接続状態に変化させる事で、整流回路2が倍電圧整流状態・全波整流状態に変化し、インバータ3への供給電圧を変化させた場合をグラフに示すことにする。また、整流状態を変化させる手段として、比較的簡単な手段である機械式接点型リレーを用いた場合を例としている。つまり、リレーをオフした時に全波整流状態に変化し、オンした時に倍電圧整流状態に変化することとなる。
図9は、本実施の形態3における電圧制御部がインバータに供給する電圧を調整した時の時間的変化の一例を示した特性図である。上側にある図9(a)が倍電圧整流状態から全波整流状態へ整流回路2の状態を変化させた場合、下側にある図9(b)が全波整流状態から倍電圧整流状態へ整流回路2の状態を変化させた場合の特性図である。
図9(a)からもわかるように、100msec近傍でリレーをオフすると、少し遅れてインバータ3への供給電圧は数百msec掛けて半分程度にまで下降する。これは、電解コンデンサ2e,2fの作用により時定数遅れを帯びながら放電していくため、供給電圧が緩やかに変化していくからである。このような変化の場合は、電圧検出速度としては比較的低速での処理が可能であり、概ね数msecオーダーの検出周期でも電流を一定に保つような制御が可能となる。具体的な電流制御の方法は、極めて簡単な一例を図3に示した通りであり、内容については実施の形態1にて説明済みであるので割愛する。
図9(b)からもわかるように、300msec近傍でリレーをオンすると、インバータ3への供給電圧は十数msec〜数十msec掛けて2倍程度にまで上昇する。オン直後に上昇開始しないのは、リレーをオンしてから、[電解コンデンサの充電電圧]<[ダイオードブリッジの出力する電圧]の関係が成立するまでの間は電解コンデンサ2e、2fへの充電が実施されないからである。
そのため、リレーをオンしてから少しの遅れを伴って一方の電解コンデンサへの充電が開始される。充電開始から上の関係が成立している間は、交流電源1の電圧波形に応じて充電が実施され、充電完了後他方においても上の関係が成立している間は充電が実施されることになるため、無負荷(電解コンデンサ2e、2fの放電量が最小)の場合でも、3分の2周期から6分の5周期の時間(電源周波数50Hzの場合:13から17msec/60Hzの場合:11から14msec)を費やし、負荷が高くなるほど電解コンデンサ2e、2fへの充電中における電解コンデンサの放電される量が大きくなるのでそれ以上の時間を費やすこととなって、供給電圧が2倍程度になるまでに上述のような時間が必要となる。このような変化の場合は、電圧検出速度としては比較的高速な処理が必要となり、概ね数十から数百μsecオーダーの検出周期でないと電流を一定に保つような制御が不可能となる。具体的な電流制御の方法は、極めて簡単な一例を図3に示した通りであり、内容については実施の形態1にて説明済みであるので割愛する。
以上のように、本実施の形態においては電圧検出部がインバータへの供給電圧を検出することにより、電圧変動に対して比較的弱い傾向にある同期駆動波形発生部による駆動中においてもインバータへの供給電圧を制御することが可能となり、同期駆動波形発生部による運転の効率向上といった効果を発揮できる。また、通電角を調整したり、デューティを変化させたりすることによって電流を一定に保つことで、脱調停止の抑制、ピーク電流の低減によるシステム停止の防止、モータ自身やシステムの信頼性確保などの効果を発揮することができる。
図10に示すような従来の駆動装置では、逆起電圧検出回路105しか備えておらず、インバータ103への供給電圧の状態を検出することはできなかった。そこで、電圧検出回路8を有することにより、同期駆動波形発生部5による駆動中において、不安定状態の未然回避が可能となり、同期駆動中の電圧調整による高効率化といった効果をもたらす。
また、モータ効率化の手段の1つとして、固定子の巻線量(ターン数)を増加させる方式があるが、この方式ではモータの鉄損を低減できる反面、出力トルクが低下してしまう短所があった。このようなモータにおいて、高速・高トルク駆動を実現するためには、同期駆動制御は有用であるが、この制御の弱点である「電圧過剰時に非効率な運転状態に陥りやすい特性」をカバーすることに対しても、本実施の形態の制御装置は大いに効果を発揮する。高トルク化の手段として、回転子の構造をIPM型構造にする方式があるが、この場合も、逆突極性を活かすことのできる同期駆動制御は有用であるため、IMP構造のモータに対しても本実施の形態は低鉄損型モータと同様の効果を発揮する。
更に、冷蔵庫やエアコンなど近年著しくインバータ化の進んでいる製品において、電源高調波歪みの抑制が不可欠となっている。この抑制方式としては、アクティブフィルタ方式や変圧方式などいろいろな手段があるが、特に冷蔵庫においては、安価でシステムインしやすい“リアクトル方式”が一般的な手段となっている。リアクトル方式は、電源高調波歪みを抑制する一方で、インバータに供給する電力を低減させる短所も有している。この様なインバータへの供給電力が低下した状況下での同期駆動運転は有効であり、同期駆動運転の高効率化を実現できる本実施の形態の制御装置が非常に有用である。
以上の様に本発明にかかるブラシレスDCモータの駆動方法及びその装置は、騒音・振動の低減、脱調停止の防止、ピーク電流発生の抑制、駆動効率の向上、出力トルクの向上などの効果を発揮することが可能となるので、家庭用・産業用を問わずブラシレスDCモータを搭載したさまざまな用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における同期駆動波形発生部による駆動に関するブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図 本発明の実施の形態1におけるマイクロコンピュータの電流制御動作概略を示したフローチャート 本発明の実施の形態1における波形を出力するアルゴリズムの1例を示したフローチャート 本発明の実施の形態1における波形出力を停止するアルゴリズムの1例を示したフローチャート 本発明の実施の形態2における駆動手段切替判定部を備えたブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図 本発明の実施の形態2における同期駆動波形発生部による波形合成を禁止するアルゴリズムの1例を示したフローチャート 本発明の実施の形態3における電圧制御部を備えたブラシレスDCモータの駆動装置のブロック図 本発明の実施の形態3における電圧制御部を備えたマイクロコンピュータの電流制御動作概略を示したフローチャート (a)本発明の実施の形態3における電圧制御部がインバータに供給する電圧を調整した時の時間的変化の一例を示した特性図(b)同実施の形態における電圧制御部がインバータに供給する電圧を調整した時の時間的変化の一例を示した特性図 従来のブラシレスDCモータ駆動に関する駆動装置のブロック図
符号の説明
3 インバータ
4 ブラシレスDCモータ
4a 回転子
4b 固定子
5 同期駆動波形発生部
8 電圧検出回路
50 位置検出駆動波形発生部
51 駆動手段切替判定部
52 負荷検出回路
70 電圧制御部

Claims (8)

  1. 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、前記インバータに供給される電圧を検出する電圧検出回路と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する同期駆動波形発生部とを備え、前記インバータに供給される電圧状態に応じて前記ブラシレスDCモータに流れる電流の制御を可能とするブラシレスDCモータの駆動方法。
  2. 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記インバータに供給される電圧を検出する電圧検出回路と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する同期駆動波形発生部と、前記回転子の回転位置に応じて通電角150度以下の波形を出力する位置検出駆動波形発生部と、前記同期駆動波形発生部と前記位置検出駆動波形発生部とをモータの運転状態によって切り替える駆動手段切替判定部とを備え、前記インバータに供給される電圧の状態に応じて前記駆動手段切替判定部が2つの駆動波形発生手段を選択して運転するブラシレスDCモータの駆動装置。
  3. 永久磁石を有する回転子と三相巻線を有する固定子からなるブラシレスDCモータと、前記三相巻線に電力を供給するインバータと、モータの運転状態情報からモータの負荷状態を検出する負荷検出回路と、前記インバータに供給される電圧を検出する電圧検出回路と、所定周波数を変化させながらその周波数に同期させて通電角180度未満の波形を出力する同期駆動波形発生部と、前記インバータに供給する電圧を調整する電圧制御部とを備え、前記同期駆動波形発生部で運転中に前記インバータへの供給電圧を調整する場合に供給電圧状態に応じて前記ブラシレスDCモータに流れる電流を制御するブラシレスDCモータの駆動装置。
  4. 任意の時間流すことのできる電流量が比較的小さな値で規定されている半導体素子からインバータが構成されたものである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  5. ブラシレスDCモータが、巻線の巻込量(ターン数)が比較的多い固定子を有したものである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  6. ブラシレスDCモータが、回転子の鉄心に永久磁石を埋め込んでなる回転子であり、かつ突極性をもつ回転子を有したものである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  7. ブラシレスDCモータが圧縮機を駆動するものである前記請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
  8. 圧縮機が冷蔵庫を運転するものである前記請求項7に記載のブラシレスDCモータの駆動装置。
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