JP2007321302A - 難燃性全芳香族ポリアミド繊維 - Google Patents

難燃性全芳香族ポリアミド繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】本来全芳香族ポリアミドが持つ機械的物性を保持し、かつ紡糸生産工程において工程安定性及び品質が向上した難燃性芳香族ポリアミド系繊維を提供する。
【解決手段】金属水酸化物を含む全芳香族ポリアミド繊維であって、該金属水酸化物の全芳香族ポリアミド繊維に対する含有率を1〜20重量%、該ポリアミド繊維中の金属水酸化物の平均粒経が5μm以下の範囲に制御することにより、優れた機械的物性保持しつつ、難燃性を向上させた全芳香族ポリアミド繊維が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属水酸化物を含有してなる難燃性の全芳香族ポリアミド繊維に関するものである。
従来、全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)は、耐熱性、機械特性、耐薬品性に優れ、自動車部品、電気・電子部品、機械部品などに広く利用されてきた。しかし、これらの用途においては、全芳香族ポリアミドの更なる耐熱性、難燃性が要求されている。一般にポリマーの耐熱性、難燃性向上の手段として、充填剤、すなわち難燃剤とポリマーとの複合材料の開発が盛んに行われており、これまで、ポリマーの耐熱性や難燃性を向上させる目的で、繊維状、針状のフィラーが難燃化剤として用いられ、耐熱性、難燃性が向上することが知られている。
例えば、特開平11‐100499号公報(特許文献1)には、水酸化マグネシウム及びエラストマーをポリアミド樹脂にそれぞれ30重量%以上、特に3〜20重量%含有させ、難燃性を向上させたポリアミド樹脂が開示されている。
しかしながら、金属水酸化物を繊維中に添加して難燃性を向上させるためには、金属水酸化物を大量に添加しなければならない。その結果、繊維の引張強度、弾性率などの機械的物性が低下すると共に、紡糸工程において生産安定性が著しく低下することがあり、必ずしも難燃性の向上と機械的物性の持続とは両立するとは限らない。
特開平11−100499号公報
本発明の目的は、本来全芳香族ポリアミドが持つ機械的物性を保持し、かつ紡糸生産工程において工程安定性及び品質が向上した難燃性全芳香族ポリアミド系繊維を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、金属水酸化物を含む全芳香族ポリアミド繊維を作製し、かつ該金属水酸化物の全芳香族ポリアミド繊維に対する含有率を特定範囲に選定し、該ポリアミド繊維中の金属水酸化物の平均粒経を一定値以下に制御するとき、優れた機械的物性保持しつつ、難燃性を向上させることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)少なくとも1種の金属水酸化物を含有する全芳香族ポリアミドからなる繊維であって、かつ該金属水酸化物の全芳香族ポリアミド繊維に対する含有率が1〜20重量%であることを特徴とする難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
(2)該ポリアミド繊維中の金属水酸化物の平均粒経が5μm以下であることを特徴とすることを特徴とする上記(1)の難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
(3)該金属水酸化物の吸熱量が200〜600cal/gであることを特徴とする上記(1)又は(2)の難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
(4)全芳香族ポリアミド繊維の限界酸素指数(LOI値)が27以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかの難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
(5)金属水酸化物が水酸化マグネシウムであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかの難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
(6)金属水酸化物が水酸化アルミニウムであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかの難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
本発明に係る金属水酸化物を含有する全芳香族ポリアミド繊維は、難燃性、引張強度、弾性率に優れており、かつ紡糸工程での生産安定性が大変良好である。したがって、本発明の全芳香族ポリアミド繊維は、マルチフィラメントヤーン、トウ、ステープルファイバー(短繊維)、紡績糸などとして織物、編み物、不織布名殿繊維構造物に形成し、その特性を活かした衣料用、工業用をはじめとする各種分野で有用である。なお、これらの製品を製造するに当り、本発明の全芳香族ポリアミド繊維を他の繊維と組み合わせ、混繊、交撚、混紡、交織、交後などで使用することも可能である。なお、本発明でいう工程安定性とは、24時間連続の紡糸テストにおいて、紡糸用ドープをノズルから吐出する際の糸切れ頻度によって評価される。
本発明における繊維構成ポリマーである全芳香族ポリアミドは、溶液中でのジカルボン酸ジクロライド成分とジアミン成分との低温溶液重合又は界面重合から得ることができる。本発明において使用されるジアミン成分の具体例としては、p‐フェニレンジアミン、2‐クロルp‐フェニレンジアミン、2,5‐ジクロルp‐フェニレンジアミン、2,6‐ジクロルp‐フェニレンジアミン、m‐フェニレンジアミン、3,4’‐ジアミノジフェニルエーテル、4,4’‐ジアミノジフェニルエーテル、4,4’‐ジアミノジフェニルメタン、4,4’‐ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’‐ジアミノジフェニルスルフォンなど、ならびに、これらの芳香環の水素の一部又は全部がハロゲン又はメチルで置換されたものを挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない、これらのジアミン成分は単独で使用してもよく2種以上併用してもよい。上記ジアミンの中でも、ジアミン成分として、p‐フェニレンジアミン、m‐フェニレンジアミン及び3,4’‐ジアミノジフェニルエーテルを単独あるいは2種以上用いるのが好ましい。
また、本発明において使用されるジカルボン酸クロライド成分の具体例としては、ソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、2‐クロルテレフタル酸クロライド、2,5‐ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6‐ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6‐ナフタレンジカルボン酸クロライドなど、ならびこれらの芳香環の水素の一部又は全部がハロゲン又はメチルで置換されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記ジカルボン酸クロライドの中でも、ジカルボン酸クロライド成分として、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライドが好ましい。
本発明における好適な全芳香族ポリアミドの例としては、コポリパラフェニレン・3,4’‐オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミド及びポリメタフェニレンテレフタルアミドなどを挙げることが出来る。
また、全芳香族ポリアミドを重合する際の溶媒の具体例として、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチル‐2‐ピロリドン、N‐メチルカプロラクタムなどの有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどの水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの水溶性ニトリル化合物などが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特に制限されることはない。該溶媒は脱水されていることが望ましい。
この場合、溶解性を挙げるために重合前、重合途中、重合終了時に一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩として例えば、塩化リチウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
本発明の全芳香族ポリアミドの製造において用いられる全芳香族ポリアミド溶液のポリマー濃度は好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%である。ポリマー濃度が0.5重量%未満では、ポリマーの絡み合いが少なく紡糸に必要な粘度が得られない。一方で、ポリマー濃度が30重量%を超える場合、ノズルから吐出する際に不安定流動が起こりやすくなり安定的に紡糸することが困難となる。
また、全芳香族ポリアミドを製造する際、これらのジアミン成分と酸クロライド成分は、ジアミン成分対酸クロライド成分のモル比として好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05で、用いることが好ましい。
この全芳香族ポリアミドの末端は封止されていてもよい。末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としては、例えばフタル酸クロライド及びその置換体、アミン成分としてはアニリン及びその置換体が挙げられる。
一般に用いられる酸クロライドとジアミンの反応においては生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩を併用できる。
反応の終了後、必要に応じて塩基性の無機化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどを添加し中和反応する。
反応条件は特別な制限を必要としない。酸クロライドとジアミンとの反応は、一般に急速であり、反応温度は例えば−25℃〜100℃好ましくは−10℃〜80℃である。
このようにして得られる全芳香族ポリアミドは、アルコール、水などの非溶媒に投入して、沈殿せしめ、粒子状、パルプ状にして取り出すことができる。これを再度他の溶媒に溶解して成形に供することもできるが、重合反応によって得た溶液をそのまま成形用溶液として用いることができる。再度溶解させる際に用いる溶媒としては、全芳香族ポリアミドを溶解するものであれば特に限定はされないが、上記全芳香族ポリアミドの重合に使用される溶媒が好ましい。
本発明の全芳香族ポリアミド系フィラメントが高い難燃性を有する理由としては、金属水酸化物の加熱による吸熱分解反応である。したがって、該金属水酸化物としては熱量が200〜600cal/gのものが好適である。さらに、理由は定かではないが該芳香族ポリアミドフィラメント中の金属水酸化物の全芳香族ポリアミド繊維フィラメントに対する含有率を1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%とし、かつ、その平均粒子径を5μm以下、好ましくは0.1〜4μmの範囲内に制御することで、少ない添加量で高い難燃性が得られると共に、紡糸工程での安定生産が実現される。
すなわち、全芳香族ポリアミド繊維の断面をとり、該繊維中の金属水酸化物を透過型電子顕微鏡(以下、TEMという)を用いて観察したとき、該金属水酸化物の平均粒子径が5μm以下となるように添加することにより、難燃性の向上と機械的物性、生産安定性の持続が達成される。
本発明で使用される金属水酸化物は、無毒性で火災時に有毒ガスや腐食性ガスを発生させないで、低発煙性のものが好適である。該金属水酸化物の吸熱量は上述したように200〜600cal/gであることが好ましい。
本発明において使用される金属水酸化物の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。中でも水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが特に好ましい。上記の金属酸化物は単独で使用することもでき、2種類以上併用することもできるが。2種以上併用する場合は、金属水酸化物の添加量は全金属水酸化物の合計量が上記の範囲となるように調整する。例えば、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムを併用するときは両者の合計が全芳香族ポリアミド繊維フィラメントに対する含有率が1〜20重量%、特に1〜15重量%となるようにする。
本発明において、繊維の物性を損なわない範囲で、金属水酸化物以外のフィラーを併用することができる。用いるフィラーとしては、繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、全芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物、カーボンナノチューブ、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボンなどが挙げられる。上記のフィラーは2種以上を併用することもできる。
なお、本発明に使用する上記のフィラーはその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
本発明で使用される金属水酸化物は、無毒性で火災時に有毒ガスや腐食性ガスを発生させないで、低発煙性のものが望ましい。そして、金属水酸化物は平均粒子径が5μm以下であることが好ましく、平均粒子径が5μmを超えると、本発明における添加量では難燃性の向上効果が小さいだけでなく、生産安定性も著しく低下するため好ましくない。なお、本発明で特に好適に使用される金属水酸化物は平均粒子径1〜3μmの水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムである。本発明の全芳香族ポリアミド繊維では、全芳香族ポリアミド繊維の全重量に対し、金属水酸化物が1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは3〜15重量%の範囲で含まれることが好ましい。該含有量が1重量%未満であると難燃性の向上が見られず、一方、該含有量が20重量%を超えると紡糸工程における生産安定性を維持することが困難となる。
本発明に係る全芳香族ポリアミドフィラメントは、金属水酸化物を含有していないものに比較して、LOI値(限界酸素指数)を10%以上向上させることが可能であり、好ましい態様ではLOI値は27以上、例えば27〜30になり、優れた難燃性を示す。しかも、金属水酸化物を含有していないものと同等の機械的物性及び紡糸時の生産安定性を維持することができる。
本発明において、上記全芳香族ポリアミド系フィラメントの製造方法としては特に限定はされないが、全芳香族ポリアミド、金属水酸化物及び溶媒からなる紡糸用溶液(ドープ)を調製し、得られたドープをノズルより吐出し、貧溶媒からなる凝固浴中で凝固し、乾燥させることにより製造することができる。
また、紡糸用ドープに使用される溶媒としては、上記の全芳香族ポリアミドの作製溶媒、全芳香族ポリアミド及び金属水酸化物をそれぞれ溶解及び分散させることができる溶媒を使用することができる。これらの溶媒は2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特にその種類は制限されない。
また、紡糸用ドープのポリマー濃度、すなわち全芳香族ポリアミドの濃度は0.05〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%が好ましい。
全芳香族ポリアミド、金属水酸化物及び溶媒から実質的になる紡糸用ドープの調製方法としては、例えば、
(A)全芳香族ポリアミドの溶液に金属水酸化物を加える方法、
(B)全芳香族ポリアミドの溶液と金属水酸化物のスラリーとを混合する方法、
(C)金属水酸化物のスラリーに全芳香族ポリアミドを添加し溶解する方法、及び
(D)全芳香族ポリアミドの重合時に金属水酸化物を添加する方法、
などが挙げられる。
さらに、本発明における紡糸用ドープには、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐候剤、染料、帯電防止剤、導電性ポリマー、その他の重合体などを添加することもできる。
上記方法によって得られた紡糸用金属水酸化物含有ドープを用いて、湿式法、半乾半湿式法などにより紡糸して繊維状に成形し、溶媒を除去した後、乾燥することで本発明の全芳香族ポリアミド系フィラメントを製造することができる。
このフィラメントは、通常、紡糸後に延伸が施されるが、延伸方法としては、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸、又は乾燥糸状態での加熱延伸など行うことができる。延伸倍率については、特に制限はないが、1.05倍以上であることが好ましく、さらには1.1倍以上であることが好ましい。この延伸倍率をコントロールすることで得られる全芳香族ポリアミド系フィラメントの伸度及び強度を制御することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく具体的に説明する。ただし、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例中の物性は下記の方法により測定した。
(a)繊維の機械的物性
引張強度の測定は、株式会社オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC−1210Aを用い、ASTM法のD885に基づき実施した。
(b)金属水酸化物の粒子径
該繊維中の金属水酸化物の粒子を透過型電子顕微鏡(以下、TEMという)を用いて観察し、無作為に選んだ箇所の100個の粒子の直径(非円形の粒子は長径)を測定し、それらの平均値をもって、平均粒径とした。
(c)限界酸素指数
限界酸素指数の測定は、JIS L‐1091 E法に準拠した測定法にて測定を実施した。
(d)吸熱量
吸熱量の測定は、理学社製TAS‐200を用いた示差走査熱量測定により実施した。
(e)工程安定性
工程安定性はm24時間紡糸テストにおけるノズルでの糸切れ回数を測定し、以下のランキングに区分した。
◎:糸切れ1回
○:糸切れ2〜3回
△:糸切れ4回以上
×:紡糸不可
[実施例1]
限界酸素指数及び機械的物性評価に供する芳香族ポリアミドフィラメントの原糸は、以下の手順で製造した。この際、芳香族ポリアミドに含有させる金属水酸化物としては表1に示す水酸化マグネシウムを使用した。
水酸化マグネシウムの分散は、浅田鉄工株式会社製ビーズミル(Nano Grain Mill)を用いて行い、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下、NMPと略す)中に6重量%となるように、NMP分散体を調製した。この時、メディアとして、0.3mmのジルコニアビーズを使用した。
この水酸化マグネシウム分散体及びNMPを、固有粘度3.3のコポリパラフェニレン・3,4’‐オキシジフェニレンテレフタルアミド(共重合モル比が1:1の芳香族ポリアミド)の濃度6重量%のNMP溶液中に、得られるドープ中の水酸化マグネシウムの含有量が芳香族ポリアミドの全重量を基準として5重量%となる割合で添加し、温度80℃下4時間撹拌混合した。得られたドープを用い、孔数667ホールの紡糸口金から吐出し、半乾半湿式紡糸法によりエアーギャップ約10mmを介してNMP濃度30重量%の水溶液中に紡出し凝固させた後、水洗、乾燥し、次いで、温度500℃下で10倍に延伸した後、巻き取ることにより水酸化マグネシウムが良好に分散した状態で添加されたパラ型芳香族ポリアミド繊維を得た。
その結果、得られた芳香族ポリアミド繊維(水酸化マグネシウム添加原糸)は、総繊度1100dtex、フィラメント数667フィラメント、単糸繊度1.65detx/フィラメントであり、強度は24.0cN/dtex、限界酸素指数(LOI)は27.2であった。また、得られた芳香族ポリアミド繊維中の水酸化マグネシウムの平均粒経は1.1μmであった。その限界酸素指数及び機械的物性、工程調子などを評価した結果を表1に示す。
[実施例2]
添加する水酸化マグネシウムの含有量が芳香族ポリアミドの全重量を基準として10重量%となる割合で添加する以外は実施例1と同様にして、水酸化マグネシウム添加原糸を作成し、その原糸の限界酸素指数及び機械的物性評価を実施した。得られた繊維中水酸化マグネシウムの平均粒経は1.7μmであった。その結果を表1に示す。
[実施例3]
添加する水酸化マグネシウムの含有量が芳香族ポリアミドの全重量を基準として15重量%となる割合で添加する以外は実施例1と同様にして、水酸化マグネシウム添加原糸を作成し、その原糸の限界酸素指数及び機械的物性評価を実施した。得られた繊維中の水酸化マグネシウムの平均粒経は2.0μmであった。その結果を表1に示す。
[実施例4]
添加する水酸化マグネシウムの含有量が芳香族ポリアミドの全重量を基準として10重量%となる割合で添加し、かつNMP分散体の調製の際にビーズミルを使用しないこと以外は実施例1と同様にして、水酸化マグネシウム添加原糸を作成し、その原糸の限界酸素指数及び機械的物性評価を実施した。得られた繊維中の水酸化マグネシウムの平均粒経は7.0μmであった。その結果を表1に示す。
Figure 2007321302
[比較例1〜3]
添加する水酸化マグネシウムの含有量を変える外は実施例1とほぼ同様にして実験を行った。なお、比較例2では水酸化マグネシウムの含有量が過大のため、紡糸時に紡糸口金のノズルでの糸切れが多発して、製糸が不可能であった。それらの結果を表2に示す。
Figure 2007321302
表1及び表2より明らかなように、水酸化マグネシウムを添加した芳香族ポリアミド繊維は、未添加の繊維に比べ、限界酸素指数が向上することが認められる。水酸化マグネシウムの添加量は、15重量%まではLOI値は上昇するが、添加量が30重量%を越えると、紡糸時に紡糸口金のノズルでの糸切れが多発して水酸化マグネシウム添加原糸は得られない。添加量が同じであれば、平均粒経の小さい方が難燃性に優れる。また、吸熱量の多い水酸化アルミニウムの方が水酸化マグネシウムに比べ、難燃性に優れる。
[実施例5]
添加する金属水酸化物を水酸化アルミニウムにした以外は実施例1と同様にして、水酸化アルミニウム添加原糸を作成し、その原糸の限界酸素指数及び機械的物性評価を実施した。得られた芳香族ポリアミド繊維中水酸化アルミニウムの平均粒経は1.2μmであった。その結果を表3に示す。
Figure 2007321302
本発明に係る金属水酸化物を含有する全芳香族ポリアミド繊維は、難燃性、引張強度、弾性率及び紡糸工程での生産安定性が大変良好であるため、これらの特性が要求される衣料用素材、工業用資材など広い分野で有効に使用される。

Claims (6)

  1. 少なくとも1種の金属水酸化物を含有する全芳香族ポリアミドからなる繊維であって、かつ該金属水酸化物の全芳香族ポリアミド繊維に対する含有率が1〜20重量%であることを特徴とする難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
  2. 該ポリアミド繊維中の金属水酸化物の平均粒経が5μm以下であることを特徴とするを特徴とする請求項1記載の難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
  3. 該金属水酸化物の吸熱量が200〜600cal/gであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
  4. 繊維の限界酸素指数(LOI値)が27以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
  5. 金属水酸化物が水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
  6. 金属水酸化物が水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の難燃性全芳香族ポリアミド繊維。
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