JP2007306885A - 新規非ヒト動物 - Google Patents

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Abstract

【課題】心的外傷後ストレス障害のモデル動物として有用なアクチビン又はフォリスタチンを前脳で過剰発現する非ヒト動物またはその子孫を提供すること。
【解決手段】アクチビン又はフォリスタチンを前脳で過剰発現し、かつ、アクチビン又はフォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする、非ヒト動物またはその子孫。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な非ヒト動物に関する。具体的には、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子が前脳で過剰発現することができる非ヒト動物に関する。
アクチビン(Activin)は、TGFβ(Transforming growth factor β)スーパーファミリーに属する分泌性因子である。アクチビンは発生初期において分化決定などの重要な役割を演じており、これらのシグナルを乱すと正常な発生ができないことで広く知られている。アクチビンシグナルは、分泌因子であるアクチビンが放出されることから始まる(例えば、非特許文献1〜3参照)。放出されたアクチビンがII型アクチビンレセプター(Type II activin receptor)に結合するとII型アクチビンレセプターが活性化し、I型アクチビンレセプター(Type I activin receptor)を活性化させる。その後、活性化したI型アクチビンレセプターは転写因子であるSmad2/3をリン酸化し、活性化させる。活性化したSmad2/3はSmad4と結合することで核移行し、アクチビンシグナル系の下流にある遺伝子群の転写制御を行う。
アクチビンシグナルは、発生、分化において重要な役割を演じていることで広く知られているが、そればかりでなく、皮膚形成、骨形成、ホルモン分泌等において様々な作用を有している(例えば、非特許文献4、5参照)。また、学習・記憶等への関与も示唆されている(例えば、非特許文献6、7参照)。動物においては、アクチビンβサブユニットをコードする遺伝子として、アクチビンA遺伝子、B遺伝子、C遺伝子、E遺伝子の4種類が存在しており、それぞれ、アクチビンβA、βB、βC、βEをコードしている。これらの機能の相違等については、未だ解明されていない部分が多々あるが、アクチビンはこれらのβsubunitの2つからなる二量体であり、例えば脳では主にβA/βAの組み合わせから成るアクチビンが存在していることが知られている。また、前記4種類の遺伝子のうち、神経活動依存的に神経においてmRNAの発現量が増大するのはアクチビンA遺伝子のみである(例えば、非特許文献6、7参照)。
このような多種多様なアクチビンの機能解明のため、アクチビンシグナル系の様々な遺伝子改変動物が作製されている。例えば、特許文献1には、アクチビン遺伝子が少なくとも脳で過剰発現され、かつ、少なくとも活動量の上昇、情動性の異常、情報処理機構の異常、および学習記憶の異常のいずれかの表現型を有する継代可能な非ヒト動物が記載されている。
また、フォリスタチン(Follistatin)はアクチビン(activin)に結合しアクチビンの機能を特異的に阻害するタンパク質である。フォリスタチンの最初の発見は、脳下垂体ろ胞刺激ホルモンの合成および分泌を抑制する糖鎖のついた単量体タンパク質としてであった(例えば、非特許文献8〜11を参照)。フォリスタチンは細胞外に局在しており、分泌されたアクチビンβサブユニットに1:1に結合してアクチビンの機能を阻害する。
上記のように生体内で様々な機能を持つアクチビンシグナル系に対するフォリスタチンの作用を検討するため、これまでにフォリスタチンをノックアウト、あるいは過剰発現した変異マウスが作製されてきた。例えば、特許文献2には、フォリスタチン遺伝子が少なくとも脳で過剰発現され、かつ、少なくとも活動量の減少、情動性の異常、情報処理機構の低下、および学習記憶の異常のいずれかの表現型を有する継代可能な非ヒト動物が記載されている。
一方、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療や予防薬の開発などのために、PTSDの適切なモデル動物が望まれている。適切なモデル動物があれば、例えば恐怖条件付けテスト等により薬剤の初期スクリーニング等を簡便に行うことができる。しかしながら、現在のところ、PTSDのモデル動物は未だ確立されているとは言い難い。
恐怖記憶の形成は、獲得・固定化のあとに、保持・想起・再固定化・消去などのプロセスからなる複雑な過程を経る。すなわち、いったん強固に形成(固定化)された記憶も、想起に伴い「再固定化」プロセスを経てより安定な記憶として貯蔵されたり、「消去」のプロセスを経て削除されたりする(非特許文献12〜15)。
PTSDの発症には、原因となったストレスによる恐怖記憶の過剰な固定化・再固定化や消去機能の減弱が密接に関与していると考えられる。恐怖記憶の保持・再固定化・消去の分子機構はまだほとんど明らかにされておらず、それらの分子機構が解明されればPTSDにみられる恐怖記憶の過剰固定化・過剰保持の阻害や消去機能促進を主作用とする創薬など臨床応用への展開も可能となる。
Nature, 425, 577-584, 2003 Cell, 103, 295-309, 2000 Trends Endocrinol. Metab., 11, 309-314, 2000 Proc. Sc. Exp. Biol. Med., 214, 114-122, 1997 Proc. Sc. Exp. Biol. Med., 215, 209-222, 1997 FEBS Lett., 382, 48-52, 1996 Neuroscience, 69, 781-796, 1995 Science,247,836-838,1990 Endocrinology,128,3313-3315,1991 Mol.Cell Endocrinol.91,1-11,1993 Endocrinology,128,1434-1440,1991 Neuron, 44, 93-100, 2004 Neuron, 36, 340-343, 2002 Trends Neurosci., 24, 540-546, 2001 Nature, 406, 722-726, 2000 特開2006−75155号公報 特開2006−75156号公報
本発明は、心的外傷後ストレス障害のモデル動物として有用なアクチビン又はフォリスタチンを前脳で過剰発現する非ヒト動物またはその子孫を提供することを解決すべき課題とした。さらに、本発明は、前記動物の製造方法、アクチビン又はフォリスタチンが関与する疾患または記憶障害の治療及び/または予防薬のスクリーニング方法等を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を進めた結果、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子が前脳で過剰発現されている非ヒト動物において、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子の前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できるようにすることによって、心的外傷後ストレス障害のモデル動物を提供できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) アクチビンを前脳で過剰発現し、かつ、アクチビンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする、非ヒト動物またはその子孫。
(2) アクチビン遺伝子がゲノムに挿入されており、ドキシサイクリンの存在の有無により該アクチビン遺伝子の発現のオン・オフを制御することができることを特徴とする、(1)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(3) テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子およびアクチビン遺伝子がゲノムに挿入されており、かつtTAが前脳で発現することにより、ドキシサイクリンの非存在下ではアクチビンの発現がオンになり、ドキシサイクリンの存在下においてはアクチビンの発現がオフになることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(4) テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子が、前脳で活性化されるプロモーターの制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている、(3)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(5) 前脳で活性化されるプロモーターが、CaMKII プロモーターである、(4)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(6) アクチビン遺伝子が、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている、(2)から(5)の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
(7) テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターが、テトラサイクリン応答因子(TRE)である、(6)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(8) 恐怖記憶の長期記憶の保持能力が向上され、かつ恐怖記憶の再固定化能力が向上されている、(1)から(7)の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
(9) 不安情動性及び/又は電気ショック感受性が正常である、(1)から(8)の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
(10) フォリスタチンを前脳で過剰発現し、かつ、フォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする、非ヒト動物またはその子孫。
(11) フォリスタチン遺伝子がゲノムに挿入されており、ドキシサイクリンの存在の有無により該フォリスタチン遺伝子の発現のオン・オフを制御することができることを特徴とする、(10)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(12) テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子およびフォリスタチン遺伝子がゲノムに挿入されており、かつtTAが前脳で発現することにより、ドキシサイクリンの非存在下ではフォリスタチンの発現がオンになり、ドキシサイクリンの存在下においてはフォリスタチンの発現がオフになることを特徴とする、(10)又は(11)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(13) テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子が、前脳で活性化されるプロモーターの制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている、(12)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(14) 前脳で活性化されるプロモーターが、CaMKII プロモーターである、(13)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(15) フォリスタチン遺伝子が、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている、(11)から(14)の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
(16) テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターが、テトラサイクリン応答因子(TRE)である、(15)に記載の非ヒト動物またはその子孫。
(17) 恐怖記憶の長期記憶の保持能力が抑制されている、(10)から(16)の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
(18) 不安情動性及び/又は電気ショック感受性が正常である、(10)から(17)の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
(19) 下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする、(1)から(9)のいずれかに記載の非ヒト動物の製造方法。
(i)テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれたアクチビン遺伝子を非ヒト動物受精卵に導入する工程;
(ii)前記受精卵を発生させ、得られた非ヒト動物を解析して、該アクチビン遺伝子が導入された個体を選択する工程;及び
(iii)工程(ii)で選択された個体と、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子がゲノムに挿入されている非ヒト動物個体とを交配し、アクチビン遺伝子とテトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子とがゲノムに挿入されている個体を取得する工程。
(20) 下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする(10)から(18)のいずれかに記載の非ヒト動物の製造方法。
(i)テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれたフォリスタチン遺伝子を非ヒト動物受精卵に導入する工程;
(ii)前記受精卵を発生させ、得られた非ヒト動物を解析して、該フォリスタチン遺伝子が導入された個体を選択する工程;及び
(iii)工程(ii)で選択された個体と、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子がゲノムに挿入されている非ヒト動物個体とを交配し、フォリスタチン遺伝子とテトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子とがゲノムに挿入されている個体を取得する工程。
(21) (1)から(9)の何れかに記載の動物に被検物質を投与し、該動物に対して被検物質が与える影響を、該動物のアクチビンの過剰発現が誘導する表現型の変化を指標にして検出することを特徴とする、アクチビンが関与する疾患又は記憶障害の治療及び/または予防薬のスクリーニング方法。
(22) アクチビンが関与する疾患が心的外傷後ストレス障害である、(20)に記載の方法。
(23) (21)又は(22)に記載の方法により選択される物質を製剤化することを特徴とする、アクチビンが関与する疾患又は記憶障害の治療及び/または予防薬の製造方法。
(24) (10)から(18)の何れかに記載の動物に被検物質を投与し、該動物に対して被検物質が与える影響を、該動物のフォリスタチンの過剰発現が誘導する表現型の変化を指標にして検出することを特徴とする、フォリスタチンが関与する疾患又は記憶障害の治療及び/または予防薬のスクリーニング方法。
(25) フォリスタチンが関与する疾患が心的外傷後ストレス障害である、(24)に記載の方法。
(26) (24)又は(25)に記載の方法により選択される物質を製剤化することを特徴とする、フォリスタチンが関与する疾患又は記憶障害の治療及び/または予防薬の製造方法。
本発明によれば、アクチビン又はフォリスタチンを前脳で過剰発現し、かつ、アクチビン又はフォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする非ヒト動物が提供される。該動物は、アクチビン又はフォリスタチンが関与する疾患または記憶障害の治療及び/または予防薬のスクリーニング等に有用である。
以下、本発明を更に詳細に説明するが、以下の構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容のみに特定されるものではない。なお、本明細書において、DNAやベクターの調製等の分子生物学的手法、遺伝子改変動物の作製に関する一般的な手法等は、特に明記しない限り、例えば、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd edition (Sambrook and Russell著、Cold Spring Harbor Laboratory Press刊 (2001))」、「Manipulating the Mouse Embryo. A Laboratory Manual, third edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press刊 (2003))」等の一般的実験書に記載の方法又はそれに準じて行うことができる。
1.本発明の非ヒト動物及びその製造方法
本発明の非ヒト動物は、アクチビン又はフォリスタチンを前脳で過剰発現し、かつ、アクチビン又はフォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする。
本発明の非ヒト動物は、アクチビン又はフォリスタチンを少なくとも前脳において過剰発現し、アクチビン又はフォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できるものであれば、いかなる方法によりアクチビン又はフォリスタチンが過剰発現されたものであってもよい。
アクチビン又はフォリスタチンが過剰発現されているとは、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子の翻訳生成物であるアクチビン又はフォリスタチンが、該動物のいずれかの組織中で同種の野生型動物に比べて多く存在していることを意味する。例えば、通常のELISA法、ウエスタンブロット法等を用いて該動物のいずれかの組織を解析した場合に、検出されるアクチビン又はフォリスタチンの存在量が、野生型動物の同組織におけるアクチビン存在量又はフォリスタチン存在量より多いことを意味する。また、アクチビン又はフォリスタチンをコードしているmRNAの発現量により比較されてもよい。mRNA発現量の解析は、例えば、ノザンブロット法等の公知の手法により行うことができる。なお、本明細書において「アクチビンが発現する」又は「フォリスタチンが発現する」という場合には、アクチビンまたはフォリスタチンをコードするmRNAの生成やアクチビン又はフォリスタチンの生成を意味する。
ここで、アクチビン遺伝子とは、蛋白質であるアクチビンの遺伝情報を担う核酸であり、アクチビンをコードする遺伝子を意味する。アクチビンをコードする遺伝子としては、アクチビンA遺伝子、アクチビンB遺伝子、アクチビンC遺伝子、アクチビンE遺伝子またはこれらの組み合わせ等が挙げられる。これらの機能には大きな差がないと考えられているが、脳においては主にアクチビンβAが存在することが知られていることから、本発明においてはアクチビンA遺伝子が好ましく用いられる。
ここで、フォリスタチン遺伝子とは、蛋白質であるフォリスタチンの遺伝情報を担う核酸であり、フォリスタチンをコードする遺伝子を意味する。フォリスタチンをコードする遺伝子としては、例えば、ヒトフォリスタチンcDNA(配列番号1、又はGenBank accession number: CR541813)等が挙げられる。
本発明の非ヒト動物で、アクチビン又はフォリスタチンが過剰発現する組織は、少なくとも前脳を含み、該動物が上記の行動異常を有する限りいずれの組織でもよい。
また、非ヒト動物としては、ヒト以外の動物であって、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子を導入する場合には、これが発現されるものであればよい。好ましくは哺乳類であり、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ等が挙げられる。より好ましくはげっ歯類であり、さらに好ましくはマウスもしくはラットであり、最も好ましくはマウスである。
本発明の非ヒト動物は、アクチビン又はフォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする。
好ましくは、本発明の非ヒト動物は、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子がゲノムに挿入されており、ドキシサイクリン(DOX)の存在の有無により該アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子の発現のオン・オフを制御することができるような非ヒト動物である。
本発明の一例としては、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子、およびアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子がゲノムに挿入されており、かつtTAが前脳で発現することにより、ドキシサイクリンの非存在下ではアクチビン又はフォリスタチンの発現がオンになり、ドキシサイクリンの存在下においてはアクチビン又はフォリスタチンの発現がオフになる非ヒト動物を挙げることができる。
好ましい態様によれば、本発明の非ヒト動物においては、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子は、前脳で活性化されるプロモーター(例えば、CaMKII プロモーターなど)の制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されており、またアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子は、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーター(例えば、テトラサイクリン応答因子(TRE)など)の制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている。上記したような非ヒト動物は、Tet-OFFシステムを用いてトランスジェニック動物として作成することができる。
Tet-OFF システムとは、Gossen, M. and Bujard, Hらによって開発された哺乳類細胞で働く遺伝子転写制御システムである(PNAS, vol 89, p5547-5551, 1992)。その後、動物個体でも働くことが示されている。
また、本発明の別の例としては、テトラサイクリン制御性リバーストランス活性化因子(rtTA)をコードする遺伝子、およびアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子がゲノムに挿入されており、かつrtTAが前脳で発現することにより、ドキシサイクリンの存在下ではアクチビン又はフォリスタチンの発現がオンになり、ドキシサイクリンの非存在下においてはアクチビン又はフォリスタチンの発現がオフになる非ヒト動物を挙げることができる。
好ましい態様によれば、本発明の非ヒト動物においては、テトラサイクリン制御性リバーストランス活性化因子(rtTA)をコードする遺伝子は、前脳で活性化されるプロモーター(例えば、CaMKII プロモーターなど)の制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されており、またアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子は、テトラサイクリン制御性リバーストランス活性化因子(rtTA)が作用することにより活性化されるプロモーター(例えば、テトラサイクリン応答因子(TRE)など)の制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている。上記したような非ヒト動物は、Tet-ONシステムを用いてトランスジェニック動物として作成することができる。
Tet-ON システムとは、Bujard H. らによって開発された哺乳細胞で働く遺伝子転写制御システムである(Science, vol 268, p1766-1769, 1995)。その後、動物細胞でも働くことが示されている。Tet-ON システムは、テトラサイクリン誘導体のドキシサイクリンがテトラサイクリン制御性リバーストランス活性化因子(rtTA)に結合することにより、rtTA が TRE プロモーター配列に結合し、転写を誘導するシステムである。
本発明においては、(1)driverマウスとしてのCaMKIIプロモーター制御のtTAトランスジェニックマウス(tTAマウス)、(2)responderマウスとしてのTREプロモーター制御のフォリスタチンランスジェニックマウス(BIFマウス)と、(3)TREプロモーター制御のアクチビントランスジェニックマウス(BIAマウス)の3種の動物を用いて、本発明の非ヒト動物を作成することができる(図1)。即ち、前脳特異的に、かつドキシサイクリン依存的にアクチビン又はフォリスタチンの発現のオン・オフを制御できるトランスジェニックマウスの作製は、driver マウスとresponderマウスとのかけ合わせにより実現した。その結果、産まれてくる両方の導入遺伝子を持つマウスにおいては、ドキシサイクリン非存在時において前脳にのみアクチビン又はフォリスタチンが過剰発現する。ドキシサイクリンの経口投与(エサに混入)で、その過剰発現は抑制される(Tet-OFF)。ドキシサイクリンの経口投与を止め、通常のエサに切り替えることで、再び前脳でのみアクチビン又はフォリスタチンが過剰発現してくる。前脳以外の領域では、tTAが発現していないので、ドキシサイクリン投与の有無に関わらずアクチビンやフォリスタチンは過剰発現しない。
本発明の非ヒト動物のうち、アクチビンを前脳で過剰発現する非ヒト動物においては、好ましくは、恐怖記憶の長期記憶の保持能力が向上され、かつ恐怖記憶の再固定化能力が向上されている。また、本発明の非ヒト動物のうち、フォリスタチンを前脳で過剰発現する非ヒト動物においては、好ましくは、恐怖記憶の長期記憶の保持能力が抑制されている。また、本発明の非ヒト動物では、好ましくは、不安情動性及び/又は電気ショック感受性は正常である。
恐怖記憶の長期記憶の保持能力の向上又は抑制、並びに恐怖記憶の再固定化能力の向上又は抑制は、以下に記載する動物行動テストで評価することができる。なお、有意差の判定は、公知の一般的統計解析法により行うことができる。また、本発明の非ヒト動物は、上記の特徴以外にも、コントロールの個体と異なる表現型を有していてもよい。
動物行動テストは、例えば、「Current Protocol in Neuroscience (John Wiley & Sons, Inc.)」、「動物の行動機能テスト(生体の化学、医学書院刊、Vol.45、No.5 (1995)」等に記載の公知の方法に準じて行うことができる。また、前記したものに限らず、該非ヒト動物に適用できるものであればいかなるものでも用い得る。恐怖記憶は、恐怖条件付けにより解析することができる。情動性は、明暗テスト(Light and dark test)、強制水泳テスト(Forced swimming test)、高架式十字迷路テスト等で解析することができる。これらのうち幾つかを組み合わせて用いることもできる。
記憶の異常とは、一般に、記憶能力が上昇、もしくは低下することを意味する。このような表現型としては、例えば、恐怖条件付け(Fear conditioning)等の行動テストにおいて記憶能力がコントロールに比べて上昇、もしくは低下しているもの等が挙げられる。記憶の形成は、獲得、固定、保持、想起の4つの相から成るが、分子機構はそれぞれの相で異なる。最近、これらに加え、記憶形成には再固定と呼ばれる5つ目の相がある事が明らかにされつつある。再固定とは、想起することで記憶が一時的に不安定化し、その後タンパク質合成を含む分子カスケードの働きで記憶がさらに強固になることを指す。「学習・記憶の異常」には、これらの相における異常に起因するものも含まれる。
情動性の異常とは、一般に、不安行動、絶望行動、恐怖に対する行動等に異常を有することを意味する。このような表現型としては、例えば、明暗テスト(Light and dark test)において明部の占有時間がコントロールに対して有意に上昇していて不安度合いが減少しているもの、強制水泳テスト(Forced swimming test)における無動時間が、コントロールに比べて有意に短く、絶望に対して抵抗性が上昇しているもの、あるいは、高架式十字迷路テストにおいてむき出しの通路(Open arm)での存在時間がコントロールに比べて有意に上昇していて、高所における恐怖心が低下しているもの等が挙げられる。本発明の非ヒト動物は、好ましくは、上記したような情動性の異常を示さない。
例えば、人工的にアクチビン又はフォリスタチンが過剰発現された動物は、通常、同じ系統の野生型動物と交配し、得られた産仔の中から遺伝子が導入された動物を選択することを繰り返しながら、系統が維持されていく。このとき、生殖能力に異常があり正常な交配が不可能であると、満足に産仔を得ることができず、系統を維持することが困難である。該動物を作製するためには長い時間と労力が必要であるため、安定的に系統を維持して十分な数の産仔を得ることができないと、例えば、これを用いて解析・実験等を安定的に行うことも困難になってしまう。
このような本発明の非ヒト動物の好ましい例としては、上記したような、少なくとも前脳で活性化されるプロモーターの制御下におかれたテトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子と、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれたアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子が導入されている非ヒト動物が挙げられる。
テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子の発現を制御するために使用するプロモーターは、少なくとも前脳で活性化され、導入された非ヒト動物の体内でtTA遺伝子を過剰発現させる能力を有するものであれば、いかなるものでも用い得る。すなわち、前脳のみで活性化されるものでも、前脳に加えて前脳以外の部位でも活性化されるものでもよい。このようなプロモーターを選択して用いることにより、少なくとも前脳でtTAが過剰発現され、これによりドキシサイクリンの非存在下においてアクチビン又はフォリスタチンを過剰発現することができる。
さらに好ましくは、tTAをコードする遺伝子の発現を制御するために使用するプロモーターは、生殖器官で活性化されないものが用いられる。このようなプロモーターを選択することにより、生殖能力に影響を及ぼすことなく、作製された非ヒト動物を安定的に維持することができる。また、より好ましくは、脳神経回路網発達期以降に活性化されるプロモーターが用いられる。脳神経回路網発達期以降とは、生後3週後、好ましくは4週後以降である。このようなプロモーターを用いることにより、脳神経回路網の発達自体に影響を与えないことから、正常に発達した脳神経回路網における脳神経活動でのアクチビン又はフォリスタチンの機能を解析することができる。また、前脳特異的に活性化されるプロモーターを用いることも好ましい。前脳とは、主に大脳半球と間脳から成る部分であり、大脳皮質、視床、嗅球、視床下部、下垂体、大脳基底核、海馬、扁桃核等が含まれ、記憶などに重要な役割を果たす部位と考えられている。この前脳特異的に活性化されるプロモーターを用いれば、前脳において、記憶等にかかわるアクチビン又はフォリスタチンの機能を解析することができる。
tTAをコードする遺伝子の発現を制御するために使用するプロモーターの具体例としては、例えば、前脳特異的に活性化されるプロモーターとして、βCaMKIIプロモーター、神経細胞特異的エノラーゼプロモーター、Thy-1プロモーター等が挙げられる。脳神経回路網発達期以降に活性化され、かつ、前脳特異的に活性化されるプロモーターとして、例えば、αCaMKIIプロモーター(Science, vol 274, pp1678-1683, 1996)が挙げられる。本発明においては、このαCaMKIIプロモーターが特に好ましく用いられる。
一方、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子の発現を制御するためのプロモーターとしては、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターを用いる。このようなプロモーターとしては、テトラサイクリン応答因子(TRE)を挙げることができる。
本発明で言うアクチビン遺伝子とは、蛋白質であるアクチビンの遺伝情報を担う核酸であり、アクチビンをコードする遺伝子を意味する。アクチビンをコードする遺伝子としては、アクチビンA遺伝子、アクチビンB遺伝子、アクチビンC遺伝子、アクチビンE遺伝子等が挙げられる。これらの機能には大きな差がないと考えられているが、脳においては主にアクチビンβAが存在することが知られていることから、本発明においてはアクチビンA遺伝子が好ましく用いられる。アクチビン遺伝子は、これが発現されたときに当該動物内でアクチビンシグナル系において正常に機能する能力を有するアクチビンを生成し得るものであれば、いかなるものでもよい。例えば、ゲノム上のアクチビンをコードする領域等を取得して用いても良いが、本発明においてはcDNAが好ましく用いられる。このようなアクチビン遺伝子としては、例えば、アクチビンβAをコードするアクチビンA遺伝子であって、配列表の配列番号4に記載の塩基配列を有するもの等が挙げられる。
本発明で言うフォリスタチン遺伝子とは、蛋白質であるフォリスタチンの遺伝情報を担う核酸であり、フォリスタチンをコードする遺伝子を意味する。フォリスタチン遺伝子は、これが発現されたときに当該動物内でアクチビンと結合し、アクチビンの機能を阻害する能力を有するフォリスタチンを生成し得るものであれば、いかなるものでもよい。例えば、ゲノム上のフォリスタチンをコードする領域等を取得して用いても良いが、本発明においてはcDNAが好ましく用いられる。このようなフォリスタチン遺伝子としては、例えば、ヒトフォリスタチンをコードするヒトフォリスタチンcDNA(配列番号1、またはGenBank accession number: CR541813)等が挙げられる。
アクチビン遺伝子及びフォリスタチン遺伝子は、作製する非ヒト動物と同種の動物由来のものでも、異種由来のものでもよいが、好ましくは同種由来のものである。また、例えば、前記遺伝子に点突然変異誘発法等を用いて変異を導入したもの等も、生成されたアクチビン又はフォリスタチンが前記したようなアクチビン又はフォリスタチンとしての機能を維持してさえいれば、用いることができる。また、該遺伝子が動物内で発現されたことを確認するために、該遺伝子にタグ蛋白質を共発現させるための塩基配列(以下、これを「タグ配列」と称することがある)等を付加しておき、これを用いることも好ましい。このような構成とすることにより、該遺伝子の発現の有無や度合いをこのタグ蛋白質の発現の有無や度合いにより検出することができるので簡便である。タグ蛋白質としては、例えば、Mycタグ、HAタグ、FLAGタグ等が挙げられる。
また、上記プロモーターの「制御下におかれた」とは、導入された組織内で上記プロモーターが活性化されることにより、その下流の導入すべき遺伝子(即ち、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子、アクチビン遺伝子、又はフォリスタチン遺伝子)の発現が誘導されることを意味し、具体的には、例えば、上記プロモーターの下流に上記した導入すべき所望の遺伝子を連結し、さらに上記タグ配列やターミネーター等の発現制御領域等を適宜連結したDNA(以下、これを「トランスジーン」又は「導入遺伝子」と称することがある)を作製し、これを以下に詳述するような方法で非ヒト動物に導入することにより該状態を作出することができる。トランスジーンの各構成要素の調製、およびそれらを連結する技術等は、それ自体公知の通常用いる方法により行うことができる。
アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子を「導入する」とは、導入を受ける非ヒト動物のゲノム中のいずれかに導入することを意味する。ここで、ゲノム中に前記アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子を含むDNA(トランスジーン)が1コピー以上、好ましくは2コピー以上、より好ましくは3コピー以上導入されたものが、本発明の非ヒト動物として好ましい。
また、本発明の非ヒト動物は、継代可能なものであることが好ましい。例えば、一般に外来遺伝子導入動物は、通常、同じ系統の野生型動物と交配し、得られた産仔の中から遺伝子が導入された動物を選択することを繰り返しながら、系統が維持されていく。このとき、生殖能力に異常があり正常な交配が不可能であると、満足に産仔を得ることができず、系統を維持することが困難である。このような動物を作製するためには長い時間と労力が必要であるため、安定的に系統を維持して十分な数の産仔を得ることができないと、例えば、これを用いて解析・実験等を安定的に行うことも困難になってしまう。
すなわち、継代可能であるとは、正常な交配を繰り返すことができることを意味し、好ましくは、交配を繰り返しても本発明の動物の特徴が安定的に維持されるものである。具体的には、例えば、生殖能力が正常で、オス、メスいずれも正常な交配が可能であることが好ましい。また、交配は少なくとも1世代以上、好ましくは2世代以上、より好ましくは3世代以上にわたって安定的に繰り返すことができる。遺伝子型は、ホモ型でもヘテロ型でも安定的に維持されればいずれでもよい。このような性質を有することにより、均質な個体群を継続的に得ることができ、例えば本発明の非ヒト動物を疾患モデル動物として使用する場合等において非常に有用である。
本発明の非ヒト動物は、上記したようなプロモーター、及びアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子等を用いて、それ自体公知の通常用いられる外来遺伝子導入動物の作製方法に準じて作製することができる。
具体的には、アクチビンを前脳で過剰発現し、かつ、アクチビンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする非ヒト動物は、
(i)テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれたアクチビン遺伝子を非ヒト動物受精卵に導入する工程;
(ii)前記受精卵を発生させ、得られた非ヒト動物を解析して、該アクチビン遺伝子が導入された個体を選択する工程;及び
(iii)工程(ii)で選択された個体と、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子がゲノムに挿入されている非ヒト動物個体とを交配し、アクチビン遺伝子とテトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子とがゲノムに挿入されている個体を取得する工程、
によって製造することができる。
また、フォリスタチンを前脳で過剰発現し、かつ、フォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする非ヒト動物は、
(i)テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれたフォリスタチン遺伝子を非ヒト動物受精卵に導入する工程;
(ii)前記受精卵を発生させ、得られた非ヒト動物を解析して、該フォリスタチン遺伝子が導入された個体を選択する工程;及び
(iii)工程(ii)で選択された個体と、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子がゲノムに挿入されている非ヒト動物個体とを交配し、フォリスタチン遺伝子とテトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子とがゲノムに挿入されている個体を取得する工程、
によって製造することができる。
上記製造方法において、例えば、非ヒト動物受精卵の調製、該受精卵へのアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子の導入、該受精卵の発生、該受精卵由来の産仔の取得、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子が導入された個体の選択等は、いずれもそれ自体公知の通常用いられる方法により行うことができる。
また、非ヒト動物としては、ヒト以外の動物であって、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子を前記プロモーター等とともに導入されてこれが発現されるものであればよい。好ましくは哺乳類であり、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ等が挙げられる。より好ましくはげっ歯類であり、さらに好ましくはマウスもしくはラットであり、最も好ましくはマウスである。
以下に、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子を用いて、これをマウス受精卵に導入し、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製する場合を例にあげて具体的に説明する。
アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子は、ヒト又はマウス等のcDNA ライブラリーからRT-PCR法によって増幅して取得することができる。Mycタグ蛋白質の塩基配列は、例えば、公知の該塩基配列を通常の手法により合成したもの等が用いられる。これらの連結は、それ自体公知の通常用いられる方法により行うことができる。さらに、このDNAを、TRE プロモーターを含むプラスミドに挿入すること等によって、これらすべてを連結したDNA(トランスジーン、導入遺伝子)を作製することができる。
次に、得られたDNAをマウス受精卵に導入する。マウスの系統としては、例えば、C57BL等が挙げられる。マウス受精卵は、自然交配によるものを採取してもよいが、過***処理した雌マウスから採取した未受精卵と雄マウスから採取した***を常法により体外受精させて調製された受精卵や、過***処理した雌マウスと雄マウスを交配させたのちに雌マウスから採取した受精卵を用いることもできる。これに、マイクロインジェクション法等により前記DNAを導入し、得られたアクチビン遺伝子導入受精卵を偽妊娠させた雌マウスの卵管に移植して発生させ、出産させればよい。
かくして得られた産仔の中から、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子が導入された個体を選択する。例えば、マウスの尾の先を切り取り、公知のDNA抽出法等の市販キット等を利用してゲノムDNAを抽出し、サザンブロット法、PCR法等を用いてゲノム中に導入されたアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子の有無やコピー数を解析することができる。
次いで、上記で選択されたアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子が導入された個体と、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子がゲノムに挿入されている非ヒト動物個体とを交配することによって、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子と、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子とがゲノムに挿入されている個体(即ち、本発明の非ヒト動物)を取得することができる。
また、上記で選択された個体内で実際にアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子が発現され、アクチビン又はフォリスタチンが生成されていることを確認することが好ましい。さらに、アクチビン又はフォリスタチンと共に発現されるMycタグ蛋白質に対する抗体を利用し、間接的にアクチビン又はフォリスタチンの発現を確認することもできる。このようなアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子の発現確認は、例えば、ELISA法、ウエスタンブロット法等によって行うことができる。また、例えば、アクチビン又はフォリスタチンをコードしているmRNAの発現量により解析されてもよい。また、アクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子とともに前記トランスジーンを構成しているSV40 poly A配列等をプローブとして用いて、間接的にアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子の発現を確認することもできる。このようなアクチビン遺伝子又はフォリスタチン遺伝子の発現確認は、例えば、In situ hybridization法、ノザンブロット法等によって行うことができる。これらの解析は、具体的には、例えば、該動物の各種臓器、組織、細胞等や、これらから調製した抽出液を試料として行えばよい。本発明のマウスとしては、好ましくは、少なくとも前脳でアクチビン又はフォリスタチンが過剰発現されている個体を選択する。好ましくは、本発明のマウスの前脳におけるアクチビン又はフォリスタチンの発現量を解析し、これを野生型マウスの前脳におけるアクチビン又はフォリスタチンの発現量と比較して、野生型マウスよりも発現量の多いものを選択することが好ましい。ただし、特にアクチビン又はフォリスタチンそのものを解析しようとする場合、通常野生型動物の体内で生成されているアクチビン量又はフォリスタチン量は非常に少ないので、通常用いられるELISA法、ウエスタンブロット法等ではアクチビン又はフォリスタチンが検出限界以下となることがある。これに対して本発明の動物ではアクチビン又はフォリスタチンが検出された場合には、本発明の非ヒト動物では同種の野生型動物に比べてアクチビン又はフォリスタチンが多く存在しているということができる。
さらに本発明では、上記で選択された個体において、アクチビン又はフォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを確認することが好ましい。具体的には、Tet-OFF システムを用いた場合は、ドキシサイクリンの非存在下ではアクチビン又はフォリスタチンの発現がオンになり、ドキシサイクリンの存在下においてはアクチビン又はフォリスタチンの発現がオフになることを確認することが好ましい。また、Tet-ON システムを用いた場合は、ドキシサイクリンの非存在下ではアクチビン又はフォリスタチンの発現がオフになり、ドキシサイクリンの存在下においてはアクチビン又はフォリスタチンの発現がオンになることを確認することが好ましい。
かくして得られた本発明のマウスは、好ましくは同系の野生型マウスとの交配を行って、系統を維持することができる。交配を行うごとに、得られた産仔の中でアクチビン又はフォリスタチンを過剰発現している個体を選択する。また、得られるヘテロ型個体の雄と雌を交配することにより、ホモ型個体を得ることもできる。
さらに好ましくは、得られた本発明のマウスを用いて、行動テストを行い、アクチビンを前脳で過剰発現するマウスについては、恐怖記憶の長期記憶の保持能力が向上され、かつ恐怖記憶の再固定化能力が向上されているマウスを選択し、フォリスタチンを前脳で過剰発現するマウスについては、恐怖記憶の長期記憶の保持能力が抑制されているマウスを選択することができる。行動テストは、該マウスに適用できるものであればいかなるものでもよく、複数を組み合わせて行い、総合的に判断することが好ましい。得られた結果は、好ましくは同腹の野生型マウスを用いて得られた結果と比較し、有意差があったものを選択することができる。結果の判定には、例えば、分散分析法(ANOVA)等を用いることができる。また、各行動テストにおける表現型の選択基準は、以上に詳述したとおりである。
2.本発明のアクチビン又はフォリスタチンが関与する疾患または記憶障害の治療及び/または予防薬のスクリーニング方法
2−1.本発明の非ヒト動物を用いるスクリーニング方法
本発明による、アクチビン又はフォリスタチンを前脳で過剰発現し、かつ、アクチビン又はフォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする非ヒト動物は、アクチビン又はフォリスタチンが関与する疾患または記憶障害の治療及び/予防薬のスクリーニングに非常に有用である。アクチビン又はフォリスタチンが関与する疾患としては、例えば、心的外傷後ストレス障害等が挙げられる。また、アクチビン又はフォリスタチンが関与する記憶障害としては、学習記憶障害、老化に伴う記憶障害、脳血管障害に伴う記憶障害、認知症に伴う記憶障害、パーキンソン病に伴う記憶障害、うつ病に伴う記憶障害等が挙げられる。
非ヒト動物の行動テストは、既に様々な精神疾患または記憶障害のモデル動物において各種精神疾患または記憶障害の治療及び/予防薬のスクリーニングに用いられており、各行動テストにより得られる結果がヒトのどのような疾患または記憶障害と同様の症状と考えられるかについて、多くの知見が得られている。例えば、学習記憶の行動テストであるモリス水迷路(Morris water maze)、恐怖条件付け(Fear conditioning)、オブジェクト認識テスト(Object recognition test)等において成績が低下した場合は、ヒトの学習記憶障害、老化に伴う記憶障害、アルツハイマー病等の認知症による記憶障害、脳血管障害に伴う記憶障害、パーキンソン病等の神経性疾患に伴う記憶障害、うつ病に伴う記憶障害等と関連していると考えられている。また、恐怖条件付けにおいて記憶の再固定の増強または低下が見られた場合は、心的外傷後ストレス障害等と関係していると考えられる。
そこで、本発明の非ヒト動物に被検物質を投与し、この被検物質が該動物に与える影響を、該動物が有する前記のような表現型の変化を指標にして検出することにより、アクチビン又はフォリスタチンが関与する疾患または記憶障害の治療及び/予防薬のスクリーニングを行うことができる。
被検物質としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液等が挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。具体的には、本発明の非ヒト動物に被検物質を投与し、前記行動テストを行って、被検物質が該動物に与える影響を解析する。好ましくは、無処理の対照動物を用いた行動テストを行い、これと結果を比較して解析する。これらの非ヒト動物に被検物質を投与する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射等が用いられ、非ヒト動物の種類、症状、被検物質の性質等に鑑みて適宜選択すればよい。また、被検物質の投与量についても、同様に適宜選択することができる。
本発明の動物のうちアクチビンを前脳で過剰発現する動物では、恐怖記憶の長期記憶の保持能力が向上し、かつ恐怖記憶の再固定化能力が向上している。従って、被験物質をこの動物に投与し、恐怖記憶の長期記憶の保持能力の変化、及び/又は恐怖記憶の再固定化能力の変化を評価することにより、アクチビンが関与する疾患または記憶障害の治療及び/予防薬をスクリーニングすることができる。また、本発明の動物のうちフォリスタチンを前脳で過剰発現する動物では、恐怖記憶の長期記憶の保持能力が抑制されている。従って、被験物質をこの動物に投与し、恐怖記憶の長期記憶の保持能力の変化を評価することにより、フォリスタチンが関与する疾患または記憶障害の治療及び/予防薬をスクリーニングすることができる。
2−2.本発明のスクリーニング方法により得られた物質の製剤化方法
上記2−1に記載の本発明のスクリーニング方法により選択された物質を、それ自体公知の通常用いられる方法により製剤化し、該物質を有効成分として心的外傷後ストレス障害等の精神疾患または記憶障害の治療及び/または予防薬を調製することができる。
本発明の薬剤に有効成分として含まれる物質は、生理学的に許容されるそれらの塩、水和物並びに溶媒和物等であってもよい。例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などの薬学的に許容し得る塩などがあげられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などがあげられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩があげられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などとの塩があげられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸などとの塩があげられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルチニンなどとの塩があげられ、酸性アミノ酸との好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。
本発明の薬剤に有効成分として含まれる物質は、それ自体単独で、心的外傷後ストレス障害等の疾患または記憶障害の患者に投与することもできるが、複数の有効成分を2種以上含むこともできる。また、薬理学的に許容される製剤用添加物等を用いて医薬品組成物として調製し、これを投与するのが好ましい。例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、マイクロカプセル剤、リポソーム製剤、トローチ、舌下剤、液剤、エリキシル剤、乳剤、懸濁剤等として経口的に、あるいは無菌の水性液もしくは油性液として製造した注射剤や、座剤、軟膏、貼付剤等として非経口的に使用できる。これらは例えば、該化合物を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和し、充填又は打錠等の当業界で周知の方法を用いて製造することができる。これらの医薬品組成物における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
例えば、錠剤、カプセル剤等に混和することができる添加剤としては、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴム等の結合剤、結晶性セルロース等の賦形剤、セルロース、マンニトール、又はラクトース等の充填剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸等の膨化剤、澱粉、ポリビニルポリピロリドン、澱粉誘導体、又はナトリウム澱粉グリコラート等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤、ショ糖、乳糖又はサッカリン等の甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリー等の香味剤等が用いられる。また、錠剤は必要に応じて腸溶性コーティング剤等を用いてコーティングを施すこともできる。カプセルについては、前記の添加剤にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。
また例えば、注射剤として用いる無菌医薬品組成物は、注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油等の天然産出植物油等を溶解又は懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウム等)等が用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80TM、HCO-50等)等と併用することができる。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と併用することができる。また、上記の医薬品組成物には、例えば、緩衝剤(リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)、無痛化剤(塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン等)、安定剤(ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(ベンジルアルコール、フェノール等)、及び酸化防止剤等を配合してもよい。かくして調製される注射用の水性液は、通常、該化合物を上記のような媒体に溶解させて濾過滅菌してから、適当な滅菌済みバイアル又はアンプルに充填して製造される。安定性を高めるために、該医薬品組成物を凍結させた後にバイアル中の水を真空下で除去してもよい。油性液についても水性液の場合と実質的に同様に製造できるが、該化合物を上記媒体に懸濁させた後にエチレンオキシド等により滅菌することによって好適に製造できる。
かくして得られる医薬品組成物は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや、ヒト以外の哺乳動物に対して、心的外傷後ストレス障害、又は記憶障害等の治療及び/または予防薬として投与することができる。該組成物に含まれる有効成分である前記物質の投与量は、対象疾患、症状、対象臓器、投与対象、投与方法等により差異はあるが、例えば、経口投与する場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき約0.01〜10mg、好ましくは約0.1〜5mg、より好ましくは約0.1〜2mgである。また、非経口的に投与する場合、例えば、注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合は、一日につき約0.01〜3mg程度、好ましくは約0.01〜2mg程度、より好ましくは約0.01〜1mg程度を静脈注射により投与するのが好ましい。また、一日の投与量を一〜数回に分けて投与するのが望ましい。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を同様に投与することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1:Tet-OFF システムを用いた前脳特異的フォリスタチン発現マウス(responder マウス)の作製
本発明で利用されるDOX依存的前脳特異的フォリスタチン発現マウスの獲得には、responder マウスとdriverマウスの2種類の独立した系統のマウスを掛け合わせた。
DriverマウスはCaMKIIプロモーターで発現が制御されるtTA遺伝子が導入されたトランスジェニックマウス (以下、tTAマウスと称する。図ではtTAと表記する)を利用した。tTA マウスはJackson社 (Stock Number, 003010)から購入後、学習実験解析によく使われるC57BL/J系統のマウスと独自に10回以上掛け合わせた動物を利用した。Genotypeの判定は、tTA遺伝子特異的な配列を認識するプライマーA及びB(図1)を用いたPCRにより行った。
プライマーA:TGCCGCCATTATTACGACAA (配列番号5)
プライマーB:TCCTCGCCGTCTAAGTGGAG (配列番号6)
ゲノムDNAはマウス尾部より回収したものを用いた。PCR条件は、酵素はKOD dash (タカラ酒造)を使用し、温度条件は98℃2分→(98℃30秒→65℃15秒→74℃30秒)×30で行った。
Responderマウスの導入遺伝子は、 TRE プロモーターを含むpBI-G プラスミド(クロンテック社)を利用した。用いたヒトフォリスタチンのcDNA配列を、配列番号1に示した。フォリスタチン配列はヒトcDNA ライブラリーからLA-Taq (タカラ酒造) を用いたRT-PCR法によって増幅して取得した。 Mycタグ配列は公知の配列を利用した(配列番号2及び3)。Mycタグ配列含むプライマーを用いたPCR法により、フォリスタチンのC末側へMycタグの付加を行った。pBI-GのマルチクローニングサイトのNotI siteへ、XhoI, FseI, PacI, HindIII, AscI siteを含んだDNA断片を挿入し, マルチクローニングサイトで使用できる制限酵素サイトを増やした。その後、フォリスタチン-MycのAscI-XhoI断片をこのプラスミドへ挿入後、BsaIとSapIで切断を行い直鎖の導入遺伝子を作製した (図1)。この導入遺伝子 (10ng/μl)をC57BL/jマウス受精卵の前核内へ顕微注入することによって、トランスジェニックマウス(以下BIFマウスと称する。図ではBIFと表記する)を作製した。具体的には、発現ベクターDNAを顕微注入した受精卵を偽妊娠マウス卵管に移植し、当該仮親マウスから遺伝子組み換えマウスを分娩されることにより作成することができる。産仔マウスが組み換え体であることは、当該マウス尾部を切断し、その組織から抽出したゲノムDNAをEcoRI制限酵素処理をした後、SV40 polyA断片を32Pラベルしたプローブを用いたサザンブロット法により判別を行った。F1以降の産仔は、PCR法によりgenotype判定を行った。プライマーは下記の4種類を使用した。
プライマーC:TATTCGCGTAAGGAAATCCA (配列番号7)
プライマーD:GCCGAGTTTGTCAGAAAGCA (配列番号8)
プライマーE: CCCCACTTTGCGTTTCTTCT (配列番号9)
プライマーF: TCCTTGCTCAGTTCGGTCTT (配列番号10)
プライマーCとDでは、酵素はKOD dash (タカラ酒造)を使用し、温度条件は98℃2分→(98℃30秒→60℃15秒→74℃30秒)×30でPCRを行った。プライマーEとFでは、酵素はKOD dash (タカラ酒造)を使用し、温度条件は98℃2分→(98℃30秒→65℃15秒→74℃30秒)×30でPCRを行った。
BIFマウスとtTAマウスを交配させることで、両方の導入遺伝子を有するダブルトランスジェニックマウス (以下、BIF/tTAマウスと称する。図ではBIF/tTAと表記する)を得ることができる。この時のgenotypeの判定は、それぞれの導入遺伝子に反応するプライマーを用いたPCR 法により行った。BIF/tTAマウスにおいては、前脳特異的にtTAが発現する。tTAはTRE プロモーター配列に対して特異的に結合し、その下流のフォリスタチン発現を正の制御を行う。tTAはドキシサイクリン(DOX)に特異的に結合し、該結合状態においては、TRE配列には結合することができない。そのため、DOXによりフォリスタチン発現はOFFになる(図2)。エサに混ぜることにより、DOXは脳内に到達することが可能な化合物である。前脳以外の領域ではtTAが発現していないため、DOXの有無に関わらず常にフォリスタチンの過剰発現はないと期待できる。また、tTAの発現はCaMKII プロモーター制御下にあるので、生後3週齢以降において発現が生じる。すなわち、脳の基本的構造が完成する3週齢以降にフォリスタチンは過剰発現してくるので、発生の初期段階に対するフォリスタチン過剰発現の影響は少ないと考えられる。BIFマウス及びBIF/tTAマウスはともに、正常に生育し、身体的特徴(姿、体重、身長、毛並み、腕力)に異常は見あたらず、雄雌ともに正常な生殖が可能であった。
実施例2:Tet-OFF システムを用いた前脳特異的アクチビン発現マウス(responderマウス)の作製
本発明で利用されるDOX依存的前脳特異的アクチビン発現マウスの獲得には、responder マウスとdriverマウスの2種類の独立した系統のマウスを掛け合わせた。
DriverマウスはCaMKIIプロモーターで発現が制御されるtTA 遺伝子が導入されたトランスジェニックマウス(以下、tTAマウスと称する。図ではtTAと表記する)を利用した。tTAマウスはJackson社 (Stock Number, 003010)から購入後、学習実験解析によく使われるC57BL/J系統のマウスと独自に10回以上掛け合わせた動物を利用した。Genotypeの判定は、tTA遺伝子特異的な配列を認識する下記のプライマーA及びB (図1)を用いたPCRにより行った。
プライマーA:TGCCGCCATTATTACGACAA (配列番号5)
プライマーB:TCCTCGCCGTCTAAGTGGAG (配列番号6)
ゲノムDNAはマウス尾部より回収したモノを用いた。PCR条件は、酵素はKOD dash (タカラ酒造)を使用し、温度条件は98℃2分→(98℃30秒→65℃15秒→74℃30秒)×30で行った。
Responderマウスの導入遺伝子は TRE プロモーターを含むpBI-G プラスミド(クロンテック社)を利用した。 用いたマウスアクチビンのcDNA配列を配列番号4に示した。マウスアクチビン配列はマウスの脳の海馬からRT-PCR法によって増幅して取得した。Mycタグ配列は公知の配列を利用した(配列番号2及び3)。Mycタグ配列含むプライマーを用いたPCR法により、アクチビンのC末側へMycタグの付加を行った。まず、pBI-GのマルチクローニングサイトのNotI siteへ、XhoI, Fse I, Pac I, Hind III, Asc I siteを含んだDNA断片を挿入し, マルチクローニングサイトで使用できる制限酵素サイトを増やした。その後、アクチビン-MycのAscI-XhoI断片をこのプラスミドへ挿入後、AseIで切断を行い直鎖状の導入遺伝子を作製した(図1)。この導入遺伝子(10ng/μl)をC57BL/jマウス受精卵の前核内へ顕微注入することによって、トランスジェニックマウス(以下、BIAマウスと称する。図ではBIAと表記する)を作製した。具体的には、発現ベクターDNAを顕微注入した受精卵を偽妊娠マウス卵管に移植し、当該仮親マウスから遺伝子組み換えマウスを分娩されることにより作成することができる。産仔マウスが組み換え体であることは、当該マウス尾部を切断し、その組織から抽出したゲノムDNAをEcoRI制限酵素処理をした後、SV40 polyA断片を32Pラベルしたプローブを用いたサザンブロット法により判別を行った。F1以降の産仔は、PCR法によりgenotype判定を行った。プライマーは下記の4種類を使用した。
プライマーC:TATTCGCGTAAGGAAATCCA (配列番号7)
プライマーD:GCCGAGTTTGTCAGAAAGCA (配列番号8)
プライマーG: CTCCCCACTTTGCGTTTCTT (配列番号11)
プライマーH: ATCTCCACATACCCGTTCTC (配列番号12)
プライマーCとDでは、酵素はKOD dash (タカラ酒造)を使用し、温度条件は98℃2分→(98℃30秒→60℃15秒→74℃30秒)×30でPCRを行った。プライマーGとHでは、酵素はKOD dash (タカラ酒造)を使用し、温度条件は98℃2分→(98℃30秒→65℃15秒→74℃30秒)×30でPCRを行った。
これらBIAマウスとtTAマウスを交配させることで、両方の導入遺伝子を有するダブルトランスジェニックマウス (以下、BIA/tTAマウスと称する。図ではBIA/tTAと表記する)を得ることができる。この時のgenotypeの判定には、それぞれの導入遺伝子に反応するプライマーを用いたPCR法により行った。
BIA/tTAマウスにおいては、前脳特異的にtTAが発現している。tTAはTRE プロモーター配列に対して特異的に結合し、その下流のアクチビン発現を誘導する。tTAはDOXに特異的に結合し、該結合状態においてはTRE配列には結合することができない。そのため、DOXによりアクチビン発現はOFFになる(図2)。エサに混ぜることにより、DOXは脳内へ到達することが可能な化合物である。前脳以外の領域ではtTAが発現していないため、DOXの有無に関わらず常にアクチビンの過剰発現は無いと期待できる。しかも、tTAの発現はCaMKII プロモーター制御下にあるので、生後3週齢以降において発現が生じる。つまり、脳の基本的構造が完成する3週齢以降にアクチビンは過剰発現してくるので、発生の初期段階に対するアクチビンの過剰発現の影響は少ないと考えられる。BIAマウス及びBIA/tTAマウスはともに、正常に生育し、身体的特徴(姿、体重、身長、毛並み、腕力)に異常は見あたらず、雄雌ともに正常な生殖が可能であった。
実施例3:導入遺伝子の発現部位
得られたBIF/tTAマウスおよびBIA/tTAマウスにおいて、フォリスタチンおよびアクチビンがそれぞれDOX制御により前脳特異的な発現を示すか否かを、Xgal染色法とフォリスタチン抗体およびアクチビン抗体をそれぞれ用いたELISA法で検定した。
BIFマウスおよびBIAマウスの導入遺伝子には、TREプロモーターの下流にフォリスタチン遺伝子やアクチビン遺伝子に加えてLacZ遺伝子が挿入されている(図1)。このため、これらのマウスにおいて、フォリスタチンおよびアクチビンの発現パターンはLacZと同様となる。LacZは大腸菌由来の酵素である。LacZは酵素反応により無色のXgalを青色の物質へと変換させる。そのため、固定組織をXgal液に浸すこと(Xgal染色)により、LacZの発現場所を青色として認識することが可能である。
8週齢のBIF/tTAマウスおよびBIA/tTAマウスから脳を取り出し、直後にドライアイスへの暴露による凍結を行った。その後、クライオスタットを用い、厚さ20μmのコローナル切片を作製した。その切片を固定液 (1% ホルマリン, 0.2%グルタール, 0.02% NP-40 in PBS (KCl 0.2g/l, KH2PO4 0.2g/l, NaCl 8.0g/l, Na2HPO4 1.15g/l)) で室温で5分固定を行い、その後、PBS液で3回洗浄を行った。Xgal液(Xgal 1mg/ml, 5mM Potassium Ferrocyanide, 5mM Potassiumm Ferricynide, 5mM MgCl2, 0.02% NP-40, 0.02% deoxycholate)に浸し、室温での反応を3時間行った。反応後、PBSで2回洗浄を行い、4%パラホルムアルデハイド液で再び固定を20分間行った後、50%グリセロール液で封入を行った。
BIF/tTAマウス、BIA/tTAマウスのいずれにおいても海馬のCA1、扁桃体及び大脳皮質の一部でのフォリスタチンまたはアクチビンの発現が確認された(図3)。
次に、脳内におけるフォリスタチン量、アクチビン量そのものを、フォリスタチン抗体、アクチビン抗体を用いたELISAで定量した(Follistatin, R and D system社, Follistatin Immunoassay;Activin, Oxford Bio-Innovation社、Activin A Assay kit)。海馬を摘出後、 液体窒素で素早く凍結を行い、−80℃にて保存を行った。 海馬4mgに対して300μlの Lysis buffer (0.32M sucrose, 5mM Tris-HCl pH7.0, Protease inhibitor cocktail (Sigma))でホモゲナイズを行った後、その溶解液100μlを各検定kitで反応を行なった。これらのkitでは、 使用するアクチビン抗体及びフォリスタチン抗体に付加されたHRP酵素による吸光度変化を利用して、アクチビン及びフォリスタチン濃度を推定するものである。濃度推定に使用するStandardは付属の精製アクチビン及びフォリスタチンを用いた。Wild typeマウス、BIFマウス、およびBIAマウスの海馬からはフォリスタチン, アクチビンはいずれも検出されなかった。BIF/tTAマウスから摘出した海馬及び大脳皮質からはフォリスタチンが検出できた。一方、BIF/tTAマウスからの延髄及び小脳からはフォリスタチンは検出されなかった。また、BIA/tTAマウスから摘出した海馬及び大脳皮質からはアクチビンが検出されたが、延髄及び小脳からはアクチビンは検出されなかった。
図4は、DOX(Doxycycline Hyclate, シグマ社)によるBIF/tTAマウスの海馬におけるフォリスタチンの発現制御をフォリスタチン抗体を用いたELISA法により検定した結果を示す。四角印の線は、DOX投与3日間、×印の線はDOX投与7日間における結果を示す。DOX投与3日間で、フォリスタチンの発現量はゼロになり、その後普通エサに切り替える事で、フォリスタチンの発現量は再び上昇して来た。
図5は、DOX(Doxycycline Hyclate, シグマ社)によるBIA/tTAマウスの海馬におけるアクチビンの発現制御をアクチビン抗体を用いたELISA法により検定した結果を示す。DOX投与3日間で、アクチビンの発現量はコントロール動物と同レベルまで低下し、その後普通エサに切り替えることで、アクチビンの発現量は再び上昇して来た。
以上の結果は、BIF/tTAマウスおよびBIA/tTAマウスは、海馬におけるフォリスタチンあるいはアクチビン発現がDOXにより厳密に制御されるトランスジェニックマウスであることを示している。
実施例4:恐怖条件付け
文脈依存的恐怖条件付けは、図6の装置を用いて行った。この箱の床は金属グリッドになっており、電気が流れるようになっている。この箱にマウスを投入後電気ショックを与えることで、マウスは「この箱が危険である」という恐怖を記憶する。マウスがこのことを記憶しておれば、次に同箱に投入する事(電気ショックなしでも)でマウスは、Freezing反応と呼ばれる特有の怯え行動を示す。Freezing反応はコンピューターを利用した自動解析により判断した。
実施例5:学習時にフォリスタチンの発現がOFFのマウスにおける恐怖記憶の保持
記憶の形成は、4つのプロセス、すなわち獲得、固定、保持、想起に分ける事ができる。図7は、BIF/tTAマウスにおいて、DOX投与により、獲得−固定−保持−想起のいずれの状態においても、フォリスタチン発現をOFFにした時の恐怖条件付け試験の結果を示す。電気ショック条件は、0.5mA の電気刺激を一秒間一分間隔で三回行った。箱への投入時間は合計6分である。BIF/tTAマウスは24時間後の長期記憶はコントロールのBIFマウスと同じように正常であった。このことは、学習行動実験前のフォリスタチン発現は、脳の機能に影響を与えないことを示している。
図8は、DOX7日間連続投与時の、保持期間1週間の長期記憶の結果を示す。電気ショック条件は上記と同じである。この条件においても、BIF/tTAマウス はBIFマウスと同じく一週間の長期記憶が正常であった。
実施例6:恐怖記憶の保持期間中にフォリスタチンが過剰発現するマウスにおける恐怖記憶の消去
次に、DOX投与を刺激条件前の三日間のみ行い、同一電気ショック条件での一週間の長期記憶テストを行った(図9)。この条件では、フォリスタチンの発現は、獲得時のみOFFであり、保持/想起時には発現している。その結果、BIF/tTAマウスはBIFマウスに比べ有意に一週間後のFreezing レベルが低かった。この結果は、保持/想起時にアクチビン機能を阻害すると記憶が消去されることを示している。
実施例7:短期記憶テスト
図10では保持期間1時間の短期記憶のテストを行った。このとき、DOX非投与で行っているので、脳内でフォリスタチンが発現している。BIF/tTAマウスはBIFマウスと同様のFreezing反応を示した。すなわち、短期記憶は正常であった。
実施例8:アクチビン発現マウスにおける長期記憶保持の促進
アクチビン誘導型のBIA/tTAマウスを用いて実験を行った。前脳特異的DOX制御のBIA/tTAマウスも、DOXによる導入遺伝子の発現制御は、BIF/tTAマウスと同様であった。
BIA/tTAマウスにおける文脈依存的恐怖条件付けに用いた電気ショックは、0.2mA、0.5秒を3秒間隔で4回である。この条件は、 BIF/tTAマウスを用いた実験(実施例5)の条件よりもマイルドであり、動物にとっては恐怖記憶を覚えにくい条件刺激である。Trainingの前に3日間だけDOXを投与し、恐怖記憶の保持テストを3週間後に行った(図11)。すなわち、アクチビンはTraining時には発現誘導されておらず、保持/想起時に誘導されてくる。BIA/tTAマウスのfreezing レベルはBIAマウスに比べ有意に高かった。このことは、保持/想起時の前脳でのアクチビン過剰発現により、記憶が強固に固定されていることを示している。
実施例9:アクチビン発現マウスにおける恐怖記憶の再固定の促進
実施例8と同条件で、保持期間が1週間の試験を行った(図12)。この試験(Test 1)においては、BIA/tTAマウスとBIAマウスの間においてfreezing反応に有意な差は観察されなかったが、次の日に再び箱へ投入(Test 2)したところ、BIA/tTAマウスでは有意にfreezingレベルが高かった。この結果は、脳内のアクチビン機能の増強により、恐怖記憶の再固定化が促進されることを示している。
実施例10:不安情動性テスト
BIF/tTAマウスとBIA/tTAマウスの不安情動性をOpen field testとlight and dark testで検定した。
Open field testは、高い壁に囲まれた30cm×30cmの四方形(室町科学株式会社)の中にマウスを30分間放置することで、平常状態でのマウスの行動パターンを測定するテストである。一般にマウスは初めての場所では警戒心が強いため壁際部分を好み、真ん中の開放部位には滞在しない傾向にある。この真ん中の占有時間は、risk-taking behaviorと呼ばれ、積極度合いの高さを示す。DOX非投与時におけるBIF/tTAマウスにおいては、risk-taking behaviorはBIFマウスと同様の結果を示した(図13)。
Light and dark testは、高い壁で囲まれた四方形を明るい場所(light)と暗い場所(dark)の二つに区分し、それぞれの領域をマウスが自由に行き来できるように、穴が空いている(室町科学株式会社)。マウスをこの装置に30分間放置し、不安行動を測定することができる。マウスは通常、暗部を好み、明部には出てこない傾向にあるので、それぞれの占有時間を測定することで、マウスの不安度合いを知る事ができる。DOX非投与時のBIF/tTAマウスにこの試験を行ったところ、BIFマウスとの差は観察されなかった(図13)。
また、DOX非投与時のBIA/tTAマウスの不安情動性を測定するために、同様の試験を行った。Risk taking behavior もLight and dark testも正常であることが判明した(図14)。
以上の結果はフォリスタチンやアクチビンの過剰発現時においても、BIF/tTAマウスやBIA/tTAマウスの不安情動性は正常であり、恐怖を指標とする恐怖条件付け課題への適用に問題がない事を示している。
実施例11:電気ショック感受性テスト
DOX非投与時において、BIA/tTAマウスとBIF/tTAマウスに対して電気ショックに対する感受性を試験した。恐怖条件付けに用いた装置にマウスを入れ、足下の金属グリッドより様々な強度の電気ショックを与え、マウスがrunning(走りまわる), vocalizing(悲鳴を上げる), jumping(跳び上がる)を示す最小の電流値を求めた。Running, vocalizing, jumpingのいずれの項目においても、コントロールマウス群(BIAマウス、BIFマウス)と有意な差は観察されなかった(図15)。すなわち、BIA/tTAマウスとBIF/tTAマウスは電気ショックに対してコントロールマウスと同様の感受性を示した。
本発明の非ヒト動物は、心的外傷後ストレス障害等のアクチビン又はフォリスタチンが関与する疾患または長期記憶障害のモデル動物として用いることができる、これによりアクチビン又はフォリスタチンが関与する疾患や記憶障害の治療及び/予防薬のスクリーニングを行うことができる。
図1は、Driverマウスと2種のResponderマウスに導入した導入遺伝子の構造を示す。 図2は、本発明のトランスジェニックマウスにおけるドキシサイクリン依存的な導入遺伝子の発現制御を示す。 図3は、本発明のトランスジェニックマウス(BIF/tTAマウスおよびBIA/tTAマウス)における導入遺伝子の発現を示す。 図4は、ドキシサイクリンによるBIF/tTAマウスの海馬におけるフォリスタチンの発現制御をフォリスタチン抗体を用いたELISA法により検定した結果を示す。Hippoは海馬(hippocampus)を示す。 図5は、ドキシサイクリンによるBIA/tTAマウスの海馬におけるアクチビンの発現制御をアクチビン抗体を用いたELISA法により検定した結果を示す。 図6は、文脈依存的恐怖条件付けに用いた装置を示す。 図7は、BIF/tTAマウスにおいて、ドキシサイクリン投与により、獲得−固定−保持−想起のいずれの状態においても、フォリスタチン発現をOFFにした時の恐怖条件付け試験の結果を示す。 図8は、BIF/tTAマウスにおいて、ドキシサイクリン7日間連続投与時の、保持期間1週間の長期記憶の結果を示す。 図9は、BIF/tTAマウスにおいて、ドキシサイクリン投与を刺激条件前の三日間のみ行い、同一電気ショック条件での一週間の長期記憶テストを行った結果を示す。 図10は、BIF/tTAマウスにおいて、保持期間1時間の短期記憶のテストを行った結果を示す。 図11は、BIA/tTAマウスにおいて、Trainingの前に3日間だけドキシサイクリンを投与し、恐怖記憶の保持テストを3週間後に行った結果を示す。 図12は、BIA/tTAマウスにおいて、恐怖記憶の再固定の促進を調べた結果を示す。 図13は、ドキシサイクリン非存在下でのBIF/tTAマウスの不安情動性テストの結果を示す。 図14は、ドキシサイクリン非存在下でのBIA/tTAマウスの不安情動性テストの結果を示す。 図15は、BIF/tTAマウス及びBIA/tTAマウスにおける電気ショック感受性テストの結果を示す。
[配列表]
SEQUENCE LISTING
<110> Mitsubishi chemical corporation
<120> A model animal of posttraumatic stress disorder
<130> A61378A
<160> 12
<170> PatentIn version 3.1
<210> 1
<211> 1035
<212> DNA
<213> human
<400> 1
atggtccgcg cgaggcacca gccgggtggg ctttgcctcc tgctgctgct gctctgccag 60
ttcatggagg accgcagtgc ccaggctggg aactgctggc tccgtcaagc gaagaacggc 120
cgctgccagg tcctgtacaa gaccgaactg agcaaggagg agtgctgcag caccggccgg 180
ctgagcacct cgtggaccga ggaggacgtg aatgacaaca cactcttcaa gtggatgatt 240
ttcaacgggg gcgcccccaa ctgcatcccc tgtaaagaaa cgtgtgagaa cgtggactgt 300
ggacctggga aaaaatgccg aatgaacaag aagaacaaac cccgctgcgt ctgcgccccg 360
gattgttcca acatcacctg gaagggtcca gtctgcgggc tggatgggaa aacctaccgc 420
aatgaatgtg cactcctaaa ggcaagatgt aaagagcagc cagaactgga agtccagtac 480
caaggcagat gtaaaaagac ttgtcgggat gttttctgtc caggcagctc cacatgtgtg 540
gtggaccaga ccaataatgc ctactgtgtg acctgtaatc ggatttgccc agagcctgct 600
tcctctgagc aatatctctg tgggaatgat ggagtcacct actccagtgc ctgccacctg 660
agaaaggcta cctgcctgct gggcagatct attggattag cctatgaggg aaagtgtatc 720
aaagcaaagt cctgtgaaga tatccagtgc actggtggga aaaaatgttt atgggatttc 780
aaggttggga gaggccggtg ttccctctgt gatgagctgt gccctgacag taagtcggat 840
gagcctgtct gtgccagtga caatgccact tatgccagcg agtgtgccat gaaggaagct 900
gcctgctcct caggtgtgct actggaagta aagcactccg gatcttgcaa ctccatttcg 960
gaagacaccg aggaagagga ggaagatgaa gaccaggact acagctttcc tatatcttct 1020
attctagagt ggtaa 1035
<210> 2
<211> 33
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Myc-tag
<400> 2
gaggaacaga agctgatcag tgaggaagac ctg 33
<210> 3
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Myc-tag
<400> 3
Glu Glu Gln Lys Leu Ile Ser Glu Glu Asp Leu
1 5 10
<210> 4
<211> 1275
<212> DNA
<213> mouse
<400> 4
atgcccttgc tttggctgag aggatttctg ttggcaagtt gctggattat agtgaggagt 60
tcccccaccc caggatccga ggggcacggc tcagccccgg actgcccgtc ctgtgcgctg 120
gccacccttc cgaaggatgg acctaactct cagccagaga tggtagaggc tgtcaagaag 180
cacatcttaa acatgctgca cttgaagaag agacccgatg tcacccagcc ggtgcccaag 240
gcggcgcttc tcaacgcgat cagaaagctt catgtgggta aagtggggga gaacgggtat 300
gtggagatag aggacgacat tggcaggagg gccgaaatga atgaactcat ggagcagacc 360
tcggagatca tcacctttgc cgagtcaggc acagccagga agacactgca ctttgagatt 420
tccaaggaag gcagtgacct gtcagtagtg gagcgtgcag aagtgtggct cttcctgaaa 480
gtccccaagg ctaacagaac caggaccaaa gtcaccatcc gtctatttca gcagcagaag 540
cacccacagg gcagcttggac acgggggatg aggccgagga aatgggctta aagggggag 600
aggagtgaac tgttgctatc agagaaagta gttgatgctc ggaagagtac ctggcacatc 660
tttccagtgt ccagcagcat ccagcgcctg ctggaccagg gaaagagttc cctggacgtg 720
cggattgctt gtgagcagtg ccaggagagt ggtgccagtc tagtgcttct gggcaagaag 780
aagaagaaag aggtggatgg agatgggaag aagaaagatg ggagtgacgg agggctggaa 840
gaggaaaagg aacagtcaca tagacctttc ctcatgctgc aggctaggca gtccgaagac 900
caccctcatc gcaggcgtag gcggggcttg gagtgcgacg gcaaggtcaa catttgctgt 960
aagaaacagt tctttgtcag cttcaaggac attggctgga atgactggat cattgctccc 1020
tctggctatc acgccaatta ttgtgagggg gagtgcccaa gccacatagc aggcacctct 1080
gggtcctcgc tctccttcca ctcaacagtc attaaccact accgcatgag gggtcacagc 1140
ccctttgcca accttaagtc atgctgtgtg cccaccaagc tgagacccat gtccatgctg 1200
tattacgatg atggtcaaaa catcatcaaa aaggacattc aaaacatgat tgtggaggag 1260
tgtggctgct cctag 1275
<210> 5
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 5
tgccgccatt attacgacaa 20
<210> 6
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 6
tcctcgccgt ctaagtggag 20
<210> 7
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 7
tattcgcgta aggaaatcca 20
<210> 8
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 8
gccgagtttg tcagaaagca 20
<210> 9
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 9
ccccactttg cgtttcttct 20
<210> 10
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 10
tccttgctca gttcggtctt 20
<210> 11
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 11
ctccccactt tgcgtttctt 20
<210> 12
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 12
atctccacat acccgttctc 20

Claims (26)

  1. アクチビンを前脳で過剰発現し、かつ、アクチビンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする、非ヒト動物またはその子孫。
  2. アクチビン遺伝子がゲノムに挿入されており、ドキシサイクリンの存在の有無により該アクチビン遺伝子の発現のオン・オフを制御することができることを特徴とする、請求項1に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  3. テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子およびアクチビン遺伝子がゲノムに挿入されており、かつtTAが前脳で発現することにより、ドキシサイクリンの非存在下ではアクチビンの発現がオンになり、ドキシサイクリンの存在下においてはアクチビンの発現がオフになることを特徴とする、請求項1又は2に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  4. テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子が、前脳で活性化されるプロモーターの制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている、請求項3に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  5. 前脳で活性化されるプロモーターが、CaMKII プロモーターである、請求項4に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  6. アクチビン遺伝子が、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている、請求項2から5の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
  7. テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターが、テトラサイクリン応答因子(TRE)である、請求項6に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  8. 恐怖記憶の長期記憶の保持能力が向上され、かつ恐怖記憶の再固定化能力が向上されている、請求項1から7の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
  9. 不安情動性及び/又は電気ショック感受性が正常である、請求項1から8の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
  10. フォリスタチンを前脳で過剰発現し、かつ、フォリスタチンの前脳での過剰発現のオン・オフを人為的に制御できることを特徴とする、非ヒト動物またはその子孫。
  11. フォリスタチン遺伝子がゲノムに挿入されており、ドキシサイクリンの存在の有無により該フォリスタチン遺伝子の発現のオン・オフを制御することができることを特徴とする、請求項10に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  12. テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子およびフォリスタチン遺伝子がゲノムに挿入されており、かつtTAが前脳で発現することにより、ドキシサイクリンの非存在下ではフォリスタチンの発現がオンになり、ドキシサイクリンの存在下においてはフォリスタチンの発現がオフになることを特徴とする、請求項10又は11に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  13. テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子が、前脳で活性化されるプロモーターの制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている、請求項12に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  14. 前脳で活性化されるプロモーターが、CaMKII プロモーターである、請求項13に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  15. フォリスタチン遺伝子が、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれた状態でゲノムに挿入されている、請求項11から14の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
  16. テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターが、テトラサイクリン応答因子(TRE)である、請求項15に記載の非ヒト動物またはその子孫。
  17. 恐怖記憶の長期記憶の保持能力が抑制されている、請求項10から16の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
  18. 不安情動性及び/又は電気ショック感受性が正常である、請求項10から17の何れかに記載の非ヒト動物またはその子孫。
  19. 下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の非ヒト動物の製造方法。
    (i)テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれたアクチビン遺伝子を非ヒト動物受精卵に導入する工程;
    (ii)前記受精卵を発生させ、得られた非ヒト動物を解析して、該アクチビン遺伝子が導入された個体を選択する工程;及び
    (iii)工程(ii)で選択された個体と、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子がゲノムに挿入されている非ヒト動物個体とを交配し、アクチビン遺伝子とテトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子とがゲノムに挿入されている個体を取得する工程。
  20. 下記(i)〜(iii)の工程を含むことを特徴とする請求項10から18のいずれかに記載の非ヒト動物の製造方法。
    (i)テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)が作用することにより活性化されるプロモーターの制御下に置かれたフォリスタチン遺伝子を非ヒト動物受精卵に導入する工程;
    (ii)前記受精卵を発生させ、得られた非ヒト動物を解析して、該フォリスタチン遺伝子が導入された個体を選択する工程;及び
    (iii)工程(ii)で選択された個体と、テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子がゲノムに挿入されている非ヒト動物個体とを交配し、フォリスタチン遺伝子とテトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)をコードする遺伝子とがゲノムに挿入されている個体を取得する工程。
  21. 請求項1から9の何れかに記載の動物に被検物質を投与し、該動物に対して被検物質が与える影響を、該動物のアクチビンの過剰発現が誘導する表現型の変化を指標にして検出することを特徴とする、アクチビンが関与する疾患又は記憶障害の治療及び/または予防薬のスクリーニング方法。
  22. アクチビンが関与する疾患が心的外傷後ストレス障害である、請求項20に記載の方法。
  23. 請求項21又は22に記載の方法により選択される物質を製剤化することを特徴とする、アクチビンが関与する疾患又は記憶障害の治療及び/または予防薬の製造方法。
  24. 請求項10から18の何れかに記載の動物に被検物質を投与し、該動物に対して被検物質が与える影響を、該動物のフォリスタチンの過剰発現が誘導する表現型の変化を指標にして検出することを特徴とする、フォリスタチンが関与する疾患又は記憶障害の治療及び/または予防薬のスクリーニング方法。
  25. フォリスタチンが関与する疾患が心的外傷後ストレス障害である、請求項24に記載の方法。
  26. 請求項24又は25に記載の方法により選択される物質を製剤化することを特徴とする、フォリスタチンが関与する疾患又は記憶障害の治療及び/または予防薬の製造方法。
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