JP2007177381A - フローテータ並びに古紙脱墨処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 各室3a〜3cにおいて、古紙原料液a中に浮遊するインキ粒子と、回転散気管4から噴出された気泡bとが接触してその表面にインキ粒子が付着し、該気泡(フロスc)を各室の上部から溢流させる。古紙原料液aが、上流側の室3a,3bから下流側の室3b,3cに移送される際、仕切板下部の貫通孔10とこれに挿入した回転散気管4の間の間隙からなる原料移送通路11を通過するので、古紙原料液a中のインキ粒子が、回転散気管4から噴出された気泡bと充分に接触する。よって、各室3a〜3cにわたって配置された一本の散気管4から噴出される気泡bに対するインキ粒子の付着効率が向上し、各室毎に散気管を配した場合より小さなエネルギーで同等の脱墨効果を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
一方、特許文献2のフローテータは、回転散気管を一本としたので回転動力が一つで済むなどの利点はあるが、散気管の長手方向に沿って古紙原料液を均一に分散供給することが容易ではなく、古紙原料液中に浮遊するインキ粒子と気泡との接触率が低くなる虞れがある。よって、特許文献1のフローテータと同等の脱墨効果(白色度の向上)を得るために、室数を増やす必要があり、それに伴い、散気管が長尺化、重量化し、騒音や振動が発生する虞れがあるという新たな問題が生じ、エネルギーコストの点でも好ましくない。
仕切板により複数の室に仕切られた処理槽と、
外周面に複数の散気口が形成され、前記仕切板の下部を貫通して全室にわたって配置された散気管と、
前記散気管内に空気を供給して前記散気口から気泡を噴出させるための空気供給手段と、
前記処理槽の下方部に開口して、前記複数の室の内の最上流の室に古紙原料液を導入するための原料導入口と、
前記処理槽の最上流の室から順次下流側の隣室へ前記古紙原料液を移送するための原料移送通路と、
前記処理槽下方部に開口して、前記複数の室の内の最下流の室から前記古紙原料液を排出するための原料排出口と、を具備し、
前記原料移送通路が、前記仕切板の下部に設けた貫通孔と該貫通孔に挿入した前記散気管との間の間隙からなることを特徴とする。
微細な気泡を簡単な構造でより確実に噴出させるためには、前記散気管を駆動回転するための回転駆動手段を備えることが好ましい。この場合、散気管を所定の周速で駆動回転させることで、散気管外周面の夫々の散気口から微細な気泡を噴出させることができる。また、散気管の回転により、各室内で古紙原料液が回流し、インキ粒子と気泡とがより充分に接触するようになる。
微細な気泡を噴出させるために、散気管の外周面に、長孔状の散気口を複数形成すると共に、散気管の回転周速を5〜20m/sとすることが好ましく、14〜19m/sとすることがより好ましい。
回転が遅いと、発生する気泡が大きくインキ粒子との接触が不充分となり白色度が上がらない。また、20m/sを超える回転周速としても白色度の向上が頭打ちとなる。
この場合、各室毎にフロスが溢流するので、脱墨効率(処理量及び白色度向上が同一条件におけるエネルギー効率)をより向上させることが出来る。
この場合、回流層において古紙原料液中のインキ粒子と気泡の接触がなされ、インキ粒子が付着した気泡(フロス)は、静置層において液面に向けて上昇し、フロス層となって各室上部から溢流する。よって、古紙原料液とフロスとがより確実に分離するようになる。
この場合、散気口から噴出する気泡が古紙原料液中に均一に分散して、古紙原料液中のインキ粒子とより充分に接触するようになる。
この場合、古紙原料液が散気管に近接する箇所で供給されるので、古紙原料液中のインキ粒子と気泡がより充分に接触するようになる。
この場合、各室における古紙原料液の滞留が防止されるので、古紙原料液中のインキ粒子と気泡がより充分に接触するようになる。
よって、前記複数の室における隣り合せる室同士の下流側の室に、上流側の室から流入した古紙原料液を、該下流側の室内で回流した後に前記原料移送通路又は前記原料排出口から流出させるためのショートカット防止板を設けることが好ましい。
ショートカット防止板は、上流側の室との仕切りである仕切板に設けた原料移送通路に近接して設けることが好ましく、各室の底面から、前記下部整流板よりも高い位置まで至る高さを有することが好ましい。
仕切板により複数の室に仕切られた処理槽と、
外周面に複数の散気口が形成され、前記仕切板の下部を貫通して全室にわたって配置された散気管と、
前記複数の室の内の最上流の室に古紙原料液を導入する原料導入口と、
前記最上流の室から順次下流側の隣室へ前記古紙原料液を移送する原料移送通路と、
前記複数の室の内の最下流の室から前記古紙原料液を排出する原料排出口と、を有する装置を用い、
前記散気口から噴出した気泡の表面に前記古紙原料液中に浮遊するインキ粒子を付着させ、当該気泡(フロス)を前記処理槽の上部から溢流させて、前記古紙原料液中から前記インキ粒子を除去する古紙脱墨処理方法であって、
前記原料移送通路が、前記仕切板の下部に設けた貫通孔と該貫通孔に挿入した前記散気管との間の間隙であり、前記古紙原料液が前記原料移送通路を通って下流側の隣室へ移送される際に前記散気管の外周を通過することを特徴とする。
前述した理由から、前記散気管が駆動回転することが好ましい。
このため、各室にわたって配置された一本の散気管から噴出される気泡に対するインキ粒子の付着効率が向上し、散気管の長尺化・重量化やこれに伴う騒音・震動の発生などを招くことなく、各室毎に散気管を配した場合と同等の脱墨効果(白色度の向上)を得ることができる。
よって、散気管が一本であるため、散気管を各室毎に備える場合に比べ、装置の小型化・簡素化、保守点検の簡便化を図ることが出来、さらに、散気管を回転させる場合は回転動力が一つで済み、動力コストの低減にも寄与し得るなど、多くの効果を有する。
図1は本例のフローテータAの構造を簡略して示す縦断正面図、図2は図1の(X)−(X)線に沿う断面図、図3は図2の(Y)−(Y)線に沿う断面図、図4はショートカット防止板の記載を省略した内部構造を示す簡略斜視図、図5は回転散気管の詳細を示す拡大正面図である。
また、処理増1の上端部における回転散気管4の軸方向に沿って左右両側には、フロス層dから溢流するフロスcを外部に排出するためのフロス樋9が設けられており、フロス樋9の仕切板50を乗り越えて溢流するフロスcがフロス樋9を伝わってフロス排出口51から排出されるようになっている。
各仕切板2は、フロス樋9の仕切板50より高い位置まで存在している。
前記一対の回転軸4b,4bは、不図示の軸受によって回転自在に支持され、一方の回転軸4bを回転駆動手段の駆動源に連結して、回転散気管4が所定の周速で駆動回転するように構成されている。また、両方の回転軸4bは、空気供給手段のコンプレッサに接続され、該コンプレッサからの所底流量の圧縮空気がドラム部4a内に供給されて、それぞれの散気口4cから噴出すようになっている。
従って、駆動源の作動で回転散気管4が回転し、コンプレッサから供給される圧縮空気がそれぞれの散気口4cから微細な気泡bとなって噴出され、各室3a〜3c内の古紙原料液a中に微細な気泡bが噴出されると共に、各室3a〜3c内において古紙原料液aが、回転散気管4の回転方向に沿って回流し、インキ粒子と気泡とが充分に接触する。
空気供給量Gは、例えば、三室に仕切られた処理槽1の総容量(フロス層dより下方の液層の容量)が15〜35m3である場合、250〜900Nm3/時であることが好ましい。
原料移送通路11における古紙原料液の流速は、0.05〜0.2m/sであることが好ましい。
また、処理量を同じにして原料移送通路11の面積を変えることにより原料移送通路11における古紙原料液aの流速を変更する場合は、原料移送通路11における古紙原料液aの流速が0.05〜0.2m/sであることが好ましい。流速が0.05m/sより遅くなると、古紙原料液aと気泡bの接触機会が減少するため白色度の向上が妨げられるため好ましくない。一方、古紙原料液aの流速を速くしすぎても白色度の向上が頭打ちとなる。流速が0.2m/sより速くなると、白色度が頭打ちとなると共に、原料移送通路11の面積が狭くなるため、流路抵抗が大きくなってエネルギー効率が低下することも予想され、好ましくない。
そして、回転駆動手段の作動で、回転散気管4を所定の周速で回転させると共に、空気供給手段から所定の割合で圧縮空気を供給して、各室3a〜3c内の下部から微細な気泡bを古紙原料液a中に吹き込み、この気泡bの表面に、古紙原料液a中に浮遊するインキ粒子を付着させ、該インキ粒子が付着した気泡(フロスc)を、処理槽1の上部から溢流させ、フロス樋9で回収して処理槽外部に排出する。また、上流側の室3a,3bの古紙原料液aは、原料移送通路11を通って下流側の室3b,3cに移送されるが、その際、仕切板2下部の貫通孔10とこの貫通孔に挿入した回転散気管4との間の間隙からなる原料移送通路11を通過するので、古紙原料液a中のインキ粒子が、回転散気管4から噴出された気泡bと充分に接触する。よって、各室3a〜3cにわたって配置された一本の回転散気管4から噴出される気泡bに対するインキ粒子の付着効率が向上するため、各室毎に散気管を配した場合より小さなエネルギーで同等の脱墨効果(白色度の向上)を得ることができる。
(試験1)
本発明に係るフローテータとして、図1〜図5で説明した構成で、三室に仕切られた処理槽を有し、処理槽の総容量(フロス層より下方の液層の容量)が28m3であるテスト機(実施例)を用意した。従来のフローテータとして、特許文献1(特開平11−200270号公報の図1)に開示されるように、各室毎に回転散気管が設置された構成で、二室に仕切られた処理槽を有し、処理槽の総容量(フロス層より下方の液層の容量)が75m3であり、気液分離槽を有するテスト機(比較例)を用意した。
これらのテスト機と、同一条件で製造し所定の白色度を有する古紙原料液を用いて、原料液処理量(ADT/d)、白色度(%)の向上、圧縮空気の供給量、回転散気管の周速などを所定の条件にして、古紙原料液の脱墨処理を行った。
ここで、ADTはパルプ風乾重量(水分を10%含んだパルプの重量)、dは1日、白色度の向上は、原料導入口と原料排出口における原料液を採取して測定した白色度(%)の差を表し、白色度はJIS P 8148:2001に準拠して測定した。
前述した実施例のテスト機を実施例1とすると共に、各室3b,3c内のショートカット防止板40を除去したテスト機(実施例2)を用意し、これらテスト機により、前記した実施例と同条件で脱墨処理を行った結果、白色度同一の条件(白色度の向上8.4の条件)で原料液処理量において実施例1が実施例2に比し10%程度増加しており、且つ、電力原単位において実施例1が実施例2に比し10%程度低減されていた。この結果から、本発明において、ショートカット防止板を設けることがより効果的であることが確認できた。
前述した実施例1のテスト機を用い、回転散気管の周速を変えて、原料液処理量、白色度の向上が同条件になるよう脱墨処理を行った結果、周速5〜20m/sの範囲において好ましい電力原単位が得られ、14〜19m/sの範囲においてより好ましい結果が得られることが確認できた。
1:処理槽
2:仕切板
3a,3b,3c:室
4:回転散気管(散気管)
4c:散気口
6:原料導入口
7:原料排出口
10:貫通孔
11:間隙(原料移送通路)
20:上部整流板
30:下部整流板
40:ショートカット防止板
50:フロス樋の仕切板
Claims (10)
- 古紙原料液が供給される処理槽の下部から気泡を吹き込み、この気泡の表面に前記古紙原料液中に浮遊するインキ粒子を付着させ、当該気泡を前記処理槽の上部から溢流させて、前記古紙原料液中から前記インキ粒子を除去するようにしたフローテータであって、
仕切板により複数の室に仕切られた処理槽と、
外周面に複数の散気口が形成され、前記仕切板の下部を貫通して全室にわたって配置された散気管と、
前記散気管内に空気を供給して前記散気口から気泡を噴出させるための空気供給手段と、
前記処理槽の下方部に開口して、前記複数の室の内の最上流の室に古紙原料液を導入するための原料導入口と、
前記処理槽の最上流の室から順次下流側の隣室へ前記古紙原料液を移送するための原料移送通路と、
前記処理槽下方部に開口して、前記複数の室の内の最下流の室から前記古紙原料液を排出するための原料排出口と、を具備し、
前記原料移送通路が、前記仕切板の下部に設けた貫通孔と該貫通孔に挿入した前記散気管との間の間隙からなることを特徴とするフローテータ。 - 前記散気管を駆動回転するための回転駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のフローテータ。
- 前記仕切板は、各室における古紙原料液およびその上に形成されるフロス層を隣室と仕切る高さを有することを特徴とする請求項1又は2記載のフローテータ。
- 前記処理槽内における前記散気管の上方に上部整流板が配置され、各室の下部において古紙原料液が回流する回流層の上方で且つ前記フロス層の直下に、前記古紙原料液の静置層が形成されることを特徴とする請求項3記載のフローテータ。
- 前記上部整流板と前記散気管の間に、前記散気口から噴出する気泡を古紙原料液中に分散させるための下部整流板が配置されていることを特徴とする請求項4記載のフローテータ。
- 前記原料導入口が、前記最上流の室内において前記散気管に近接して設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフローテータ。
- 前記処理槽の内底面における外縁部分に、前記古紙原料液の滞留防止のための丸みを持たせたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフローテータ。
- 前記複数の室における隣り合った室同士の下流側の室に、上流側の室から流入した古紙原料液を、該下流側の室内で回流した後に前記原料移送通路又は前記原料排出口から流出させるためのショートカット防止板を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフローテータ。
- 仕切板により複数の室に仕切られた処理槽と、
外周面に複数の散気口が形成され、前記仕切板の下部を貫通して全室にわたって配置された散気管と、
前記複数の室の内の最上流の室に古紙原料液を導入する原料導入口と、
前記最上流の室から順次下流側の隣室へ前記古紙原料液を移送する原料移送通路と、
前記複数の室の内の最下流の室から前記古紙原料液を排出する原料排出口と、を有する装置を用い、
前記散気口から噴出した気泡の表面に前記古紙原料液中に浮遊するインキ粒子を付着させ、当該気泡を前記処理槽の上部から溢流させて、前記古紙原料液中から前記インキ粒子を除去する古紙脱墨処理方法であって、
前記原料移送通路が、前記仕切板の下部に設けた貫通孔と該貫通孔に挿入した前記散気管との間の間隙であり、前記古紙原料液が前記原料移送通路を通って下流側の隣室へ移送される際に前記散気管の外周を通過することを特徴とする古紙脱墨処理方法。 - 前記散気管が駆動回転することを特徴とする請求項9記載の古紙脱墨処理方法。
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