JP2007165729A - インダクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 開磁路を構成するインダクタの放熱性を向上させること。
【解決手段】 表面を絶縁性の皮膜により被覆された、導電性を有する巻線30と、巻線30が巻回され、開磁路を構成するコア20と、を有する基板実装型のインダクタ10において、巻線30の表面積の10%以上70%以下の範囲で接触するように、巻線30とコア20との間にシリコーン樹脂32を介在させる。
【選択図】 図3
【解決手段】 表面を絶縁性の皮膜により被覆された、導電性を有する巻線30と、巻線30が巻回され、開磁路を構成するコア20と、を有する基板実装型のインダクタ10において、巻線30の表面積の10%以上70%以下の範囲で接触するように、巻線30とコア20との間にシリコーン樹脂32を介在させる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、携帯電話、パーソナルコンピュータ、テレビ等の各種電気機器に用いられるインダクタに関する。
近年、大電流に耐えることが可能なインダクタが多数開発されている。これらインダクタを構成しているコイルに大電流を流すと、当該コイルから多量の熱が発生する。この発熱により、回路上に配置されている他の電子部品の特性が劣化し、電子機器全体に悪影響を与える可能性があるため、当該コイルから発生する熱を効率良く放熱することが要求されている。
コイルの放熱性を高めることを目的として、従来から、巻芯と該巻芯に巻回される巻線との間に樹脂を充填したインダクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されているインダクタ部品60は、図6に示すように、中脚61と、この中脚61の外側に対向するように設けられる外脚62と、これらの中脚61と外脚62とを連接する連接脚63と、を有した閉磁路磁芯64を備えており、この閉磁路磁芯64の中脚61の外周に平角線により形成されたコイル65を巻回し、閉磁路磁芯64における中脚61、外脚62および連接脚63とコイルとの間の空間である充填部66を樹脂67で充填している。
インダクタ部品60は、閉磁路を構成しているため、容易に、コイル65の表面全体を樹脂によって完全に覆うことができる。しかし、開磁路を構成しているインダクタの場合には、磁芯とコイルとの接触部分の面積が比較的小さくなるので、コイルからの熱を効果的に放出することが難しい。このため、開磁路を構成するインダクタの場合、放熱性が低下するといった深刻な問題がある。
本発明は、上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、開磁路を構成する場合であっても、放熱性の高いインダクタを提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、導電性を有する巻線と、巻線が巻回され、開磁路を構成するコアと、を有する基板実装型のインダクタにおいて、巻線の表面積の10%以上70%以下の範囲で接触するように、巻線とコアとの間にシリコーン樹脂を介在させたものである。
このように構成した場合には、巻線の表面積の10%以上70%以下がシリコーン樹脂によって覆われ、残りの部分が露出している。そのため、巻線に発生した熱を、シリコーン樹脂を介してコアから放出することができると共に、巻線から直接空気中に放熱することが可能となる。したがって、巻線に発生した熱を効率良く外部に放出することが可能となる。このため、発熱によって起因する電気機器等に配置される他の電子部品の故障を防止することできる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、シリコーン樹脂の熱伝導率を1.8W/m・K以上としたものである。このように構成した場合には、放熱性がさらに良好なものとなる。
本発明によると、開磁路を構成するインダクタの放熱性が向上する。
以下、本発明の一実施の形態に係るインダクタ10について、図面を参照しながら説明する。
図1は、インダクタ10の構成を示す側面図である。図2は、インダクタ10を面実装される側(すなわち回路基板側)から見た平面図である。図3は、図2におけるインダクタ10をA−A線で切断した状態を示す側断面図である。なお、以下の説明において、下方側とは、後述するフランジ部25が存在する側を指し、上方側とは、フランジ部25が存在しない側を指すものとする。
インダクタ10は、面実装タイプのインダクタであり、図1に示すように、釘形状を有する釘型コア20と、当該釘型コア20に巻回される銅製の巻線30と、から主に構成されている。
釘型コア20は、図1および図2に示すように、巻芯22と、巻芯22の下方側に設けられたフランジ部25と、から構成されている。巻芯22は、直径約6.5mm、長さ約14.5mmを有する円柱形状を有している。また、フランジ部25は、その外径が巻芯22の外径より大きい直径約11mm、厚さ約6mmの円板形状を有している。また、図2に示すように、フランジ部25には、その外周面において対向する2つの部位からフランジ部25の中心に向かって切り欠かれた溝部25a,25aが形成されている。釘型コア20は、ニッケル系のフェライトから構成されているが、これに限られることなく、他の磁性材料から構成されるものでも良い。
巻芯22の外周には、その外側を皮膜に被覆された直径約2mmの銅製の巻線30が巻回されている。ただし、巻線30の材質は、銅に限定されることなく、他の導電性の良好な金属であっても良い。巻線30は、フランジ部25の上端面25bに当接するように巻芯22に3回転半巻回されている。したがって、巻線30は、フランジ部25における上端面25bから上方側に向かって6mm〜8mmの領域に巻回されている。また、巻線30の両末端30a,30aは、溝部25a,25aの内部を通過して、フランジ部25の下端面25cから下方側に向かって突出し、不図示の回路基板に接続されている。
また、図3に示すように、巻芯22の外周面と巻線30の巻回部分において巻芯22と対向する面とが形成する空間部27、並びに、巻線30の巻回部分の上端部30bおよび下端部30cには、熱伝導性に優れたシリコーン樹脂32が塗布されている。シリコーン樹脂32を用いる理由は、次の通りである。熱伝導性の高さだけに着目すれば、シリコーン樹脂32よりも、メタル素の接着剤の方が好ましい。しかし、メタル素の接着剤を用いると、インダクタ10の製造あるいは使用過程で巻線30に傷がつくと、ショートを起こす危険性がある。このため、高絶縁性と高熱伝導性を兼ね備えたシリコーン樹脂32を用いている。
シリコーン樹脂32は、巻線30における内側の半円部分(表面積の50%)と接触するように塗布されている。したがって、図3において、巻線30の外側の半円部分は、シリコーン樹脂に覆われていない。ただし、シリコーン樹脂32を塗布する領域を巻線30における内側の半円部分の面積に限定されることなく、巻線30の表面積の10%以上70以下の範囲とするようにしても良い。また、シリコーン樹脂32としては、熱伝導率が1.8W/m・K以上のものが好適に用いられている。さらに、シリコーン樹脂32を巻芯22に塗布しやすくするために、巻芯22には、予めアルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤を塗布するのが好ましい。なお、巻線30の両末端30a,30aと上記不図示の回路基板との接続部において、半田等の上からシリコーン樹脂32を塗布しても良い。これにより、巻線30の熱が、シリコーン樹脂32を通じて、空気中へ逃がしやすくなる。
次に、釘型コア20の巻芯22に何も塗布しない場合と、エポキシ樹脂もしくはシリコーンの樹脂32を塗布した場合の巻線30の放熱性を実験にて比較した。
巻線30に電流を流さない場合の巻線30の初期温度は24度とした。ここで、巻芯22に何も塗布しない場合、巻線30に50Aの直流電流を流すと、巻線30の温度は104度となり初期温度から80度上昇した。一方、巻芯22にエポキシ樹脂を塗布した場合、巻線30に50Aの直流電流を流すと、巻線30の温度は99度となり初期温度から75度上昇した。さらに、巻芯22にシリコーン樹脂32を塗布した場合、巻線30に50Aの直流電流を流すと、巻線30の温度は53度となり初期温度から29度上昇した。以上の結果から、巻芯22にシリコーン樹脂32を塗布した場合には、巻芯22に何も塗布しない場合およびエポキシ樹脂を塗布した場合と比較して、巻線30の放熱性が顕著に高くなることがわかった。
次に、インダクタ10の製造工程について説明する。
まず、巻芯22におけるフランジ部25の上端面25bから上方側に向かって8mm〜10mmの外周面(シリコーン樹脂が塗布される領域)に界面活性剤を塗布する。次に、界面活性剤が塗布された領域にシリコーン樹脂32を塗布する。次に、予め巻回された巻線30を釘型コア20の上方から上端面25bに当接するように、巻芯22の外側に配置させる。そして、巻線30の両末端30a,30aを、溝部25a,25aの内部に配置させる。以上のような工程により、インダクタ10は完成する。
図4は、インダクタ10に塗布するシリコーン樹脂32の熱伝導率とインダクタ10の放熱性との関係を示す図である。
図4において、縦軸は、巻線32と釘型コア20との温度差を示しており、横軸は、巻線32の温度を示している。また、縦軸の温度差は、その値が小さいほど放熱性が良いことを意味する。図4から明らかなように、熱伝導率が0.4W/m・Kのシリコーン樹脂32を用いた場合と比較して、熱伝導率が2.1W/m・Kのシリコーン樹脂32を用いた場合の方が、巻線32と釘型コア20との温度差(以下、単に温度差という。)が小さい。また、熱伝導率が0.4W/m・Kのシリコーン樹脂32を用いた場合、巻線32の温度が120度以上になると温度差の傾きが大きくなっているのに対し、熱伝導率が2.1W/m・Kのシリコーン樹脂32を用いた場合の温度差の傾きは、巻線の温度に関わらずほぼ一定となっている。この結果から、熱伝導率の優れたシリコーン樹脂32を用いると放熱性が優れたものとなることが分かる。また、熱伝導率が0.4W/m・Kのシリコーン樹脂32を用いた場合、巻線32の温度が120度以上になると温度差の傾きが大きくなっていることから、巻線32の温度が上昇するにつれて放熱性の良し悪しに顕著な差が生じることが分かる。
図5は、インダクタ10の構成を示す図であり、巻線30が釘型コア20の上方に配置された状態のインダクタ10の側面図である。
インダクタ10では、釘型コア20において巻線30の位置を上下に移動させることでインダクタ10のインダクタンス値が変化する。本実施の形態では、インダクタ10のインダクタンス値は、巻線30がフランジ25に当接した状態で最大となる。例えば、巻線30の巻回数が、2回転半である場合、図1に示すように巻線30がフランジ25に当接した状態でのインダクタ10のインダクタンス値は300nHとなるのに対し、図4に示すように巻線30が巻芯22の上方に配置されている場合のインダクタンス値は200nHとなる。また、巻線30の巻回数が、3回転半である場合、図1に示すように巻線30がフランジ25に当接した状態でのインダクタ10のインダクタンス値は500nHとなるのに対し、図4に示すように巻線30が巻芯22の上方に配置されている場合のインダクタンス値は400nHとなる。
このように巻線30が、フランジ25に当接した状態の方がインダクタ10のインダクタンス値は大きくなる。これは、巻線30の長さ方向の中心が釘型コア20の重心の近くに位置しており、このような状態では、釘型コア20中には多くの磁束が通過するためである。一方、巻線30の当該中心が釘型コア20の重心から離れた状態、すなわち、巻線30が釘型コア20の上方に位置する状態では、釘型コア20の中を通過する磁束は少なくなる。このため、インダクタ10のインダクタンス値は小さくなる。このように、インダクタ10のインダクタンス値は、釘型コア20における巻線30の位置が上下に移動することで変化する。
また、巻線30の巻数を2回転半から3回転半に増やすことにより、インダクタンス値は200nH増える。一方、同じ巻数の巻線30を釘型コア20の巻芯22に沿って上下移動させることにより、インダクタンス値は100nH増える。したがって、インダクタ10では、釘型コア20における巻線30の巻数を変えるよりも、巻線30の位置を上下に移動させる方が、インダクタ10のインダクタンス値を微調整できる。
以上のように構成されたインダクタ10では、巻線30の表面積の半分がシリコーン樹脂32によって覆われ、残りの部分が露出している。そのため、巻線30に発生した熱を、シリコーン樹脂32を介して釘型コア20から放出することができると共に、巻線30に発生した熱を巻線30から直接空気中に放出することが可能となる。したがって、巻線30に発生した熱を効率良く外部に放出がすることが可能となる。このため、発熱によって起因する電気機器等に配置される他の電子部品の故障を防止することできる。
また、インダクタ10では、シリコーン樹脂32の熱伝導率が1.8W/m・K以上のものを採用している。このため、図4から分かるように、インダクタ10の放熱性が優れたものとなる。また、巻線32の温度が120度以上ではさらに放熱性が良好となる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
上述の実施の形態では、釘型コア20は、巻芯22の直径約6.5mm、長さ約14.5mmを有する巻芯22と、直径約11mm、厚さ約6mmを有するフランジ部25とから構成されているが、巻芯22およびフランジ部25の寸法をこれらの値に限定せず、他の値としても良い。
また、上述の実施の形態では、巻線30の巻回数は3回転半としたが、これに限定することはなく、他の巻回数としても良い。
また、上述の実施の形態では、コアを釘型コア20としているが、これに限定されることなく、ドラム型コア、T型コアまたがPOTコア等他の種類のコアを用いるようにしても良い。
本発明のインダクタは、携帯電話、パーソナルコンピュータ、テレビ等の各種電子機器を製造または使用する産業において利用可能である。
10…インダクタ
20…釘型コア
30…巻線
32…シリコーン樹脂
20…釘型コア
30…巻線
32…シリコーン樹脂
Claims (2)
- 導電性を有する巻線と、
上記巻線が巻回され、開磁路を構成するコアと、
を有する基板実装型のインダクタにおいて、
上記巻線の表面積の10%以上70%以下の範囲で接触するように、上記巻線と上記コアとの間にシリコーン樹脂を介在させた構成を備えることを特徴とするインダクタ。 - 前記シリコーン樹脂の熱伝導率は、1.8W/m・K以上であることを特徴とする請求項1記載のインダクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005362307A JP2007165729A (ja) | 2005-12-15 | 2005-12-15 | インダクタ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005362307A JP2007165729A (ja) | 2005-12-15 | 2005-12-15 | インダクタ |
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JP2005362307A Pending JP2007165729A (ja) | 2005-12-15 | 2005-12-15 | インダクタ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009076806A (ja) * | 2007-09-25 | 2009-04-09 | Tdk Corp | コイル部品用コア部材及びコイル部品 |
US11111392B2 (en) | 2009-10-30 | 2021-09-07 | 3M Innovative Properties Company | Optical device with antistatic property |
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2005
- 2005-12-15 JP JP2005362307A patent/JP2007165729A/ja active Pending
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