JP2007163268A - 酵素電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い感度のセンサーや、高い出力のバイオ燃料電池、高い反応効率の電気化学反応装置として利用することが可能な酵素電極を提供する
【解決手段】導電性基体と、該導電性基体に接触した酵素固定化層と、該酵素固定化層に固定された会合タンパク質および電子伝達メディエーターとを有し、該会合タンパク質が反応基質1から反応生成物1を生じる化学反応を触媒する酵素1と反応基質2から反応生成物2を生じる化学反応を触媒する酵素2との会合タンパク質であり、反応生成物1の少なくとも一つの化学物質が反応基質2の少なくとも一つの化学物質と同一であること、を特徴とする酵素電極。
【選択図】なし

Description

本発明は酵素電極に関する。特に、バイオセンサーやバイオ燃料電池、電気化学反応装置の電極として利用可能な酵素電極に関する。
生細胞内で作られるタンパク質性の生体触媒である酵素は、通常の触媒と比べて温和な条件下で強力に作用する。また、酵素の作用を受けて化学反応を起こす物質である基質の特異性が高く、一般に各酵素は、一定基質の一定反応のみを触媒する。酵素、特に酸化還元酵素におけるこれらの特性を、電極における酸化還元反応に理想的に利用できれば、低過電圧、高選択性の電極が作成可能となる。
酵素電極における低過電圧な電子伝達反応を達成するため技術として、関連した反応に関与する2つの酵素を用いる構成が提案されている。すなわち、反応基質1から反応生成物1を生じる反応を触媒する酵素1と反応基質2から反応生成物2を生じる反応を触媒する酵素2とを同時に用いた電極であって、前記反応生成物1の一部が前記反応基質2の一部を含むような酵素電極が提案されている。
このような電極として例えば次に挙げる例を挙げることができる。
伊倉ら(特許文献1)は、電極系上に形成され、ジアフォラーゼ、デヒドロゲナーゼおよびニコチンアミド−アデニンジヌクレオチドシンセターゼを含む反応層を包含し、該反応層の少なくとも一部を作用電極上に位置し、該反応層中のその部分に含まれるジアフォラーゼ、デヒドロゲナーゼおよびニコチンアミド−アデニンジヌクレオチドシンセターゼが該作用電極の表面に固定されていることを特徴とする酵素電極を開示した(特許文献1)。
特開2003-279525号公報
上述したとおり、反応基質1から反応生成物1を生じる化学反応を触媒する酵素1と反応基質2から反応生成物2を生じる化学反応を触媒する酵素2とを同じ反応層において用いる酵素電極が知られている。しかし、酵素1と酵素2の相対的距離や配向はランダムであり、酵素1により生じた反応生成物1の一部が酵素2の反応基質2の一部として利用されるまでの拡散過程が律速段階になる。そのために、反応基質1から電極までの全体の電子伝達反応は、反応速度や低濃度の基質存在下での反応効率の点で最適化されているとはいえない。すなわち、従来のこの電極をセンサーとして用いた場合には反応基質1の酸化反応に伴って電極で観測される電流の測定値が小さく反応基質1に対する感度が低いという課題があった。本発明が解決しようとする課題は、新規な酵素を利用した酵素電極を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は以下の通りである。
本発明の酵素電極は、導電性基体と酵素を有する酵素電極において、前記酵素が異なる2種以上の酵素タンパク質が会合した会合タンパク質からなることを特徴とする酵素電極である。
本発明のセンサーは、上記構成の酵素電極を、物質を検知するための検知部位として用いることを特徴とするセンサーである。本発明の燃料電池は、上記構成の酵素電極を、アノード若しくはカソードとして用いることを特徴とする燃料電池である。本発明の電気化学反応装置は、上記構成の酵素電極を、反応極として用いることを特徴とする電気化学反応装置である。
本発明により、会合タンパク質を利用した新規な酵素電極が提供される。特に、会合タンパク質として、酵素1(第1の酵素)が関与する反応の生成物を酵素2(第2の酵素)が基質として利用する2種の酵素を会合させた場合には、酵素1と酵素2との相対的距離が近接している。従って、酵素1での反応から電極までの電子伝達反応が効率的に進行する。
このため、本発明の酵素電極を用いたセンサーにおいては基質の酸化に伴う電流値が大きく感度が高い。また本発明の酵素電極を用いた燃料電池においては、高い電流値を取り出すことが出来る。さらに本発明の酵素電極を用いた電気化学反応装置においては、高い反応効率を示す。また、好熱菌由来の酵素を利用した場合は、従来の酵素電極に比較して保存安定性に優れている。さらに本発明の酵素電極に用いられる異なる酵素を会合させた会合タンパク質、例えば酸化還元酵素は、クロマトグラフィーなど煩雑な操作を必要とせず、加温という簡便な操作で、高純度にまで精製が可能である。
本発明の酵素電極は、導電性基体上に、電気化学反応に関与し得る酵素を酵素を固定した構成を有し、この酵素として、異なる2種以上の酵素タンパク質を会合させた会合タンパク質が少なくとも用いられる。なお、酵素の固定化は、必要に応じて行えばよく、本発明においては必須ではない。酵素は、導電性基体上に設けられた酵素固定化層中に固定されていることが好ましい。また、酵素固定化層には、酵素と導電性基体とを電気的に接続する電子伝達メディエーターを更に含むことが好ましい。本発明の効果が得られる2種以上の酵素タンパク質を組み合わせて会合タンパク質を構成することができる。会合タンパク質を構成する2種の酵素タンパク質の好ましい組合せとしては、以下の酵素1(第1の酵素)と酵素2(第2の酵素)の組合せを挙げることができる。
酵素1:
反応基質1(第1の反応基質)から反応生成物1(第1の反応生成物)を生じる化学反応を触媒する。
酵素2:
反応基質2(第2の反応基質)から反応生成物2(第2の反応生成物)を生じる化学反応を触媒する。酵素1が関与する反応の反応生成物1の少なくとも一つの化学物質が、反応基質2の少なくとも一つの化学物質と同一である。
好ましい酵素の組合せの具体例としては以下の組合せを挙げることができる。
(1)酵素1がデヒドロゲナーゼであり、前記酵素2がジアフォラーゼである。
(2)酵素1がアルコールデヒドロゲナーゼであり、酵素2がアルデヒドデヒドロゲナーゼである。この場合、酵素固定化層にさらにジアフォラーゼが固定されていることが好ましい。
(3)酵素1がイソメラーゼであり、酵素2がグルコースデヒドロゲナーゼである。この場合、酵素固定化層にさらにジアフォラーゼが固定されていることが好ましい。
本発明の酵素電極において導電性基体は、酵素固定化層に接触し、酵素電極の使用時には、外部回路と電気的に接続されるものである。この導電性基体としては、酵素固定化層との界面に外部回路と電気的に接続可能な導電性の部分を少なくとも有し、保存、測定時に充分な剛性を有し、電極が使用される条件において充分な電気化学的安定性を有する材ものであればよい。導電性基体の導電性の部分に用いられる材料の例としては、金属、導電性高分子、金属酸化物、炭素材料を挙げることができる。
金属の例としては、Au、Pt、Ag等やこれらのうち少なくとも一種類の元素を含むものがあげらる。これらは、合金であってもよい。また、金属材料はめっき膜や層として用いられても良い。
導電性基体に用いられる導電性高分子の例としては、ポリアセチレン類、ポリアリーレン類、ポリアリーレンビニレン類等のうち少なくともひとつの化合物を含むものが挙げられる。導電性基体の形成に用いられる金属酸化物の例としては、In、Sn、Zn、Ti等のうち、少なくとも一種類の元素を含むものがあげられる。金属酸化物が導電性を有しない場合、あるいは導電性が十分でない場合には、金属酸化物と他の導電性材料を混合して、所望とする導電性を有する導電性基体用の材料とすることができる。このような金属酸化物と混合して用い得る導電材料としては、金属、導電性高分子、炭素材料などが挙げられる。炭素材料の例としては、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン化合物およびこれらの誘導体が挙げられる。また、炭素材料からなる部分が導電性を有しない場合は、他の導電性材料によってこの部分に導電性を付与することができる。また、炭素材料からなる部分が導電性を有する場合でも、他の導電性材料によってこの部分の導電性を向上させてもよい。
導電性基体は少なくとも一部に空隙を有していてもよく、空隙は、一次元、二次元、もしくは三次元的に連結していてよい。一次元に連結した空隙の例としては柱状の空隙、二次元に連結した空隙の例としては、網状の空隙が挙げられる。三次元に連結した空隙の例としては、スポンジ状、微小粒子を接合した後に生じる空隙、またそれらをテンプレートにして作成した構造材料の空隙が挙げられる。それらの空隙は、酵素が導入できる程度、かつ、または基質の流動、拡散が十分に行われる程度に大きく、投影面積に対する実効表面積の比が十分にえられる程度に小さいことが好ましい。空隙の平均径の例としては、5nmから、500μmの範囲、より好ましくは、10nmから10μmが挙げられる。また、空隙を有する導電性基体の厚さは、酵素が導電性基体の深部にまで均一に導入できる程度、かつ、または基質の流動、拡散が十分に行われる程度に小さく、導電性基体の投影面積に対する実効表面積の比が十分にえられる程度に大きい必要がある。この空隙を有する導電性基体の厚さの例としては、100nmから1cm、より好ましくは、1μmから5mmが挙げられる。この空隙を有する導電性基体の投影面積に対する実効表面積の比は、投影面積に対する実効表面積の比が十分にえられる程度に大きい必要があり、その例としては、10倍以上、より好ましくは、100倍以上が挙げられる。
この空隙を有する導電性基体の気孔率は以下の要件(1)〜(3)の少なくとも1つと、要件(4)とを満たすように設定されることが好ましい。
(1)導電性部材の投影面積に対する実効表面積の比が十分にえられる程度に大きい。
(2)充分な酵素、担体量が導入できる程度に大きい。
(3)基質の流動、拡散が充分に行われる程度に大き
(4)充分な機械的強度が得られる程度に小さい。
気孔率の例としては、20%以上99%以下、より好ましくは、30%以上98%以下が挙げられる。
多数の空隙を有する金属製導電性基体としては、発泡金属、電析金属、電解金属、焼結金属、繊維状金属、あるいは、これらの内の1種に、もしくは、複数種に該当する材料が挙げられる。
多数の空隙を有する導電性高分子の製造方法の例としては、以下の方法等の多孔質樹脂の製造に利用されている方法が例示できる。
(1)空隙となる部分を構成する鋳型としての物質を導電性高分子中に配置して所定の形状に成形した後、鋳型としての物質を除く方法。
(2)導電性高分子の前駆体中に空隙となる部分の鋳型としての物質を含有させ、前駆体を重合させて高分子とした後、鋳型としての物質を除く方法。
(3)空隙となる部分を構成する鋳型となる粒子からなる層を形成し、その粒子間の空隙に高分子を充填して層を形成し、この層から粒子を除去する方法。
(4)空隙となる部分を構成する鋳型となる粒子からなる層を形成し、その粒子間の空隙に高分子の前駆体を充填して層を形成し、前駆体を重合させて高分子層としてから粒子を除去する方法。
多数の空隙を有する金属酸化物の製造方法の例としては、電析、スパッタリング、焼結、化学気相成長法(CVD)、電解およびこれらの組合せなどの方法を挙げることができる。
多数の空隙を有する炭素材料の製造方法の例としては、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン化合物、およびこれらの誘導体からなる繊維や粒子などを所定の形状に成形してから焼結する方法を挙げることができる。
本発明の酵素電極が酵素固定化層を有する場合は、酵素固定化層は導電性基体に接触して配置される。すなわち、導電性基体の導電性を有する面上に直接酵素固定化層が積層される。このように導電性基体上に直接酵素固定化層が形成されることで、酵素および必要に応じて添加される電子伝達メディエーターを導電性基体の物理的近傍に捕捉することができる。その結果、必要に応じて電子伝達メディエーターを介した酵素と導電性基体間の速やかな電子伝達反応を促進させ、更に酵素や電子伝達メディエーターの導電性基体近傍からの散逸を防止することによって、酵素電極の繰返し使用を可能にするとともに、酵素電極の耐久性を向上させることができる。
酵素固定化層は、少なくとも酵素(会合タンパク質からなる酵素)を導電性基体の物理的近傍に補足するために用いられる当該分野の業者にとって公知の方法によって作製しうるものである。酵素固定化層を作製する具体的方法として例えば、以下に述べる(1)から(6)の方法を挙げることができる。
(1)共有結合法:
導電性基体表面に直接官能基を導入し、この官能基と酵素とを共有結合させて酵素を固定化する。あるいは導電性基体に接触して配置した担体に官能基を導入し、この官能基と酵素とを共有結合させて酵素を固定化する。
このような共有結合に利用できる官能基として例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等を挙げることができる。
あるいは、アルキルチオールのチオール基が金などの金属に作用して結合し容易に単分子膜(自己組織化単分子膜)を形成できることを利用し、アルキルチオールのアルキル基に予め導入した官能基を介して共有結合により酵素を固定化する。アルキルチオールのアルキル基に予め導入した官能基と酵素との共有結合は、例えば二官能性試薬を用いて形成することができる。代表的な二官能性試薬としては、グルタルアルデヒド、過ヨウ素酸、N,N'−o−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。
(2)架橋法:
グルタルアルデヒド等の架橋剤を用いて、酵素間に架橋を形成して酵素同士を結合させて固定化する。あるいは、酵素にゼラチンやアルブミン等のマトリックス物質を加えて酵素とマトリックス物質との間に架橋を形成することにより、酵素をマトリックス物質と共に固定化する。固定化の際にポリアリルアミンやポリリジンなどの合成高分子を共存させ、酵素固定化層の特性、すなわち膜強度、基質透過特性などを制御することもできる。
(3)包括法:
酵素をアガロース、アガロース分解物、κ−カラギーナン、寒天、アルギン酸、ポリアクリルアミド、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、およびこれらの共重合体等の高分子マトリックス中に封入して固定化する。
(4)吸着法(その1):
担体と酵素との疎水性相互作用を利用した物理吸着により酵素を固定する。この担体としては、ポリアリルアミン、ポリリジン、ポリビニルピリジン、アミノ基で変性したデキストラン(たとえばDEAE−デキストラン)、キトサン、ポリグルタメート、ポリスチレンスルホン酸、硫酸デキストラン等のポリアニオンやポリカチオンからなる担体を用いることができる。担体と酵素との静電相互作用を利用したイオン結合法により担体上に酵素を固定し、この酵素固定化担体を導電性基体に接触させ配置する。
(5)隔膜法:
ポリイミド膜、酢酸セルロース膜、ポリスルホン膜、パーフルオロスルフォン酸の重合体膜(例えば、デュポン社製、商品名「ナフィオン」)等の透過制限膜を隔膜として用い導電性基体上の酵素を被覆して固定する。
(6)吸着法(その2)
遺伝子組換えタンパク質の精製を容易にするために用いられる各種のアフィニティータグを利用して酵素を固定する。例えば、HA(ヘマグルチニン)、FLAG、Myc等のエピトープタグや、GST、マルトース結合タンパク質、ビオチン化ペプチド、オリゴヒスチジンタグを利用して酵素を固定化する。
本発明の酵素電極に用いる会合タンパク質は、異なる2種以上の酵素タンパク質が会合したものである。すなわち、本発明において用いられる会合タンパク質は、複数種の酵素タンパク質をそれぞれ用意して、これらが会合可能な条件にこれらを置くことで形成されるものである。従って、本発明において用いられる会合タンパク質は、遺伝子組換えを利用して製造される2種以上のタンパク質の融合体とは構造的に異なるものである。
本発明の効果が得られる複数種の酵素タンパク質を組み合わせて会合タンパク質を得ることができる。2種のタンパク質を組み合わせる場合の好ましい例としては、先に記載した酵素1と酵素2の組合せを挙げることができる。この場合の会合タンパク質は、酵素1の酵素活性と酵素2の酵素活性を有する多機能酵素である。酵素1の酵素活性により生じる反応生成物1の少なくとも一つの化学物質は、酵素1の物理的近傍に存在する酵素2の反応基質として速やかに利用される。その結果、会合タンパク質による反応基質1から反応生成物2を生じる酵素活性(反応速度)は、酵素1と酵素2がそれぞれ切り離されて存在する場合よりも高くなる。
酵素1と酵素2の具体的組合せは、酵素1による反応生成物1の少なくとも一つの化学物質が酵素2の反応基質2の少なくとも一つの化学物質と同一であれば特に限定されない。酵素1がデヒドロゲナーゼであり、酵素2がジアフォラーゼである場合、基質の酸化反応に伴って酵素電極で観測される電気化学的応答に対する酸素の影響を軽減することができ好適である。また多くのデヒドロゲナーゼはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸を電子および水素原子の受容体として利用している。このことから、ジアフォラーゼと会合するデヒドロゲナーゼの種類を選択することによって、検出対象に対して汎用性の高いセンサーを作製することが可能となる。このようなデヒドロゲナーゼとして例えば、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ、17Bヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、エストラジオール17Bデヒドロゲナーゼ、アミノ酸デヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ、3−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ等を挙げることができる。
例えば、酵素1(第1の酵素)としてグルコースデヒドロゲナーゼを、酵素2(第2の酵素)としてジアフォラーゼ(Dp)を用いてこれらの会合タンパク質を構成要素とする酵素電極を作製した場合には、図1に示す状態を得ることができる。すなわち、導電性基体上には、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)とジアフォラーゼとの会合タンパク質および電子伝達メディエーターを有する酵素固定化層が接触して配置される。この酵素電極にグルコース(第1の反応基質)を作用させた場合、グルコースはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)等の共存下グルコースデヒドロゲナーゼの触媒作用によって酸化さる。その結果、グルコノラクトン(第1の反応生成物)と還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を生じる。そして還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは酸化型電子伝達メディエーターの存在下グルコースデヒドロゲナーゼの物理的近傍に存在するジアフォラーゼの触媒作用によって直ちに酸化される。その結果、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよび還元型の電子伝達メディエーターを生じる。こうして生じる還元型の電子伝達メディエーターは導電性基体に電子を伝達することが出来る。グルコースデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼとが個別に電極上に固定化された従来公知の場合よりも、本発明の酵素電極においては、より効率の高いグルコースから電極への電子伝達が達成される。したがって、このような図1に示す酵素電極は、検出感度の高いグルコースセンサーとして、また出力の大きなグルコース燃料電池として、さらにまた反応効率の高いグルコース電気化学反応装置として利用することができる。
特に好熱菌由来のグルコースデヒドロゲナーゼおよびジアフォラーゼの会合タンパク質を用いることによって耐熱性、耐久性、高温状態での応答性に優れた酵素電極とすることが出来る。
上記例の場合は、第1の反応基質が、グルコースとNAD+であり、第1の反応性生物がグルコノラクトンとNADHである。また、第2の反応基質がNADHとMedoxであり、第2の反応生成物がNAD+とMedredである。すなわち、NADHは第1の反応性生物でもあり、第2の反応基質でもある。
酵素1としてアルコールデヒドロゲナーゼを、酵素2としてジアフォラーゼを用いて酵素電極を作製した場合には、図2に示す状態を得ることができる。すなわち、導電性基体上には、アルコールデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼとの会合タンパク質および電子伝達メディエーターを有する酵素固定化層が接触して配置される。この酵素電極にアルコールを作用させた場合、アルコールはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等の共存下アルコールデヒドロゲナーゼの触媒作用によって酸化される。その結果、アルデヒドと還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生じる。そして還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは酸化型電子伝達メディエーターの存在下アルコールデヒドロゲナーゼの物理的近傍に存在するジアフォラーゼの触媒作用によって直ちに酸化される。その結果、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよび還元型の電子伝達メディエーターを生じる。
酵素1として乳酸デヒドロゲナーゼを、酵素2としてジアフォラーゼを用いて酵素電極を作製した場合には、図3に示す状態を得ることができる。すなわち、導電性基体上には、乳酸デヒドロゲナーゼとジアフォラーゼとの会合タンパク質および電子伝達メディエーターを有する酵素固定化層が接触して配置される。この酵素電極に乳酸を作用させた場合、乳酸はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等の共存下乳酸デヒドロゲナーゼの触媒作用によって酸化される。その結果、ピルビン酸と還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生じる。そして還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは酸化型電子伝達メディエーターの存在下乳酸デヒドロゲナーゼの物理的近傍に存在するジアフォラーゼの触媒作用によって直ちに酸化される。その結果、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよび還元型の電子伝達メディエーターを生じる。
酵素1としてリンゴ酸デヒドロゲナーゼを、また前記酵素2としてジアフォラーゼを用いて酵素電極を作製した場合には、図4に示す状態を得ることができる。すなわち、導電性基体上には、リンゴ酸デヒドロゲナーゼとジアフォラーゼとの会合タンパク質および電子伝達メディエーターを有する酵素固定化層が接触して配置される。この酵素電極にリンゴ酸を作用させた場合、リンゴ酸はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等の共存下リンゴ酸デヒドロゲナーゼの触媒作用によって酸化される。その結果、ピルビン酸と還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生じる。そして還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは酸化型電子伝達メディエーターの存在下リンゴ酸デヒドロゲナーゼの物理的近傍に存在するジアフォラーゼの触媒作用によって直ちに酸化される。その結果、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよび還元型の電子伝達メディエーターを生じる。
酵素1としてグルタミン酸デヒドロゲナーゼを、酵素2としてジアフォラーゼを用いて酵素電極を作製した場合には、図5に示す状態を得ることができる。すなわち、導電性基体上には、グルタミン酸デヒドロゲナーゼとジアフォラーゼとの会合タンパク質および電子伝達メディエーターを有する酵素固定化層が接触して配置される。この酵素電極にグルタミン酸を作用させた場合、グルタミン酸はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等の共存下グルタミン酸デヒドロゲナーゼの触媒作用によって酸化される。その結果、2−オキソグルタル酸と還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生じる。そして還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは酸化型電子伝達メディエーターの存在下グルタミン酸デヒドロゲナーゼの物理的近傍に存在するジアフォラーゼの触媒作用によって直ちに酸化される。その結果、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよび還元型の電子伝達メディエーターを生じる。
酵素1としてアルコールデヒドロゲナーゼを、酵素2としてアルデヒドデヒドロゲナーゼを用いて酵素電極を作製した場合には、図6に示す状態を得ることができる。すなわち、導電性基体上には、アルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼとの会合タンパク質、ジアフォラーゼおよび電子伝達メディエーターを有する酵素固定化層が接触して配置される。この酵素電極にアルコールを作用させた場合、アルコールはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等の共存下アルコールデヒドロゲナーゼの触媒作用によって酸化される。その結果、アルデヒドと還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生じる。さらに生じたアルデヒドはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等の共存下アルコールデヒドロゲナーゼの物理的近傍に存在するアルデヒドデヒドロゲナーゼの触媒作用によって直ちに酸化される。その結果、カルボン酸と還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生じる。このようにして生じた還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは酸化型電子伝達メディエーターの存在下ジアフォラーゼの触媒作用によって酸化され、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよび還元型の電子伝達メディエーターを生じる。こうして生じる還元型の電子伝達メディエーターは導電性基体に電子を伝達することが出来る。またこの酵素電極においてはアルデヒド種が酵素電極近傍に蓄積することが防止され、アルデヒド種による酵素タンパク質の不活性化反応が軽減されるので、酵素電極の活性低下を抑えることができる。アルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼとが個別に電極上に固定化された従来公知の場合よりも、本発明の酵素電極においては、より効率の高いアルコールからカルボン酸への酸化反応が達成され、また電極への電子伝達が達成される。したがって、このような図6に示す酵素電極は、検出感度の高いアルコールセンサーとして、また出力の大きなアルコール燃料電池として、さらにまた反応効率の高いアルコール電気化学反応装置として利用することができる。
特に好熱菌由来のアルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼの会合タンパク質を用いることによって耐熱性、耐久性、高温状態での応答性に優れた酵素電極とすることが出来る。
酵素1としてイソメラーゼを、酵素2としてグルコースデヒドロゲナーゼを用いて酵素電極を作製した場合には、図7に示す状態を得ることができる。すなわち、導電性基体上には、イソメラーゼとグルコースデヒドロゲナーゼとの会合タンパク質、ジアフォラーゼおよび電子伝達メディエーターを有する酵素固定化層が接触して配置される。この酵素電極にフルクトースを作用させた場合、フルクトースはイソメラーゼの触媒作用によって異性化される。その結果、グルコースを生じる。生じたグルコースはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等の共存下イソメラーゼの物理的近傍に存在するグルコースデヒドロゲナーゼの触媒作用によって直ちに酸化され、グルコノラクトンと還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生じる。さらに生じた還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは酸化型電子伝達メディエーターの存在下ジアフォラーゼの触媒作用によって酸化される。その結果、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよび還元型の電子伝達メディエーターを生じる。こうして生じる還元型の電子伝達メディエーターは導電性基体に電子を伝達することが出来る。
本発明の酵素電極を構成する会合タンパク質は三種類以上のタンパク質の会合したものであってもよい。例えば、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼおよびジアフォラーゼの三種類の会合タンパク質を用いて酵素電極を作製した場合には、図8に示す状態を得ることができる。すなわち、導電性基体上には、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼおよびジアフォラーゼの会合タンパク質、電子伝達メディエーターを有する酵素固定化層が接触して配置される。この酵素電極にアルコールを作用させた場合、アルコールはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等の共存下アルコールデヒドロゲナーゼの触媒作用によって酸化され、アルデヒドと還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生じる。さらに生じたアルデヒドはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド等の共存下アルコールデヒドロゲナーゼの物理的近傍に存在するアルデヒドデヒドロゲナーゼの触媒作用によって直ちに酸化される。その結果、カルボン酸と還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを生じる。さらにこのようにして生じた還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは酸化型電子伝達メディエーターの存在下アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼの物理的近傍に存在するジアフォラーゼの触媒作用によって酸化される。その結果、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよび還元型の電子伝達メディエーターを生じる。
(ポリペプチド会合部)
本発明の酵素電極に用いられる会合タンパク質としては、複数種の酵素タンパク質のポリペプチド鎖の一部を会合部として利用してこれらの酵素タンパク質が会合した構成を有するものが好ましい。このペプチドからなる会合部は、各タンパク質の機能(酵素活性)を妨げない上においてはどのような位置にあっても構わない。
各タンパク質の会合部を介した会合は、共有結合及び非共有結合のいずれによるものであってもよい。非共有結合には、ファン・デル・ワールスカ、水素結合、イオン結合、疎水相互作用などが含まれ、これらは会合部、特に会合部に含まれるアミノ酸残基に起因するものである。
2つの酵素タンパク質の会合部を相補的な相互作用を有する2つのペプチド鎖で形成することが好ましい。すなわち、酵素1と酵素2を会合させる場合、酵素1の会合部のペプチド鎖と相補的な相互作用を有するペプチド鎖を酵素2の会合部に配置する。この2種の酵素タンパク質の会合部の組合せを、3種以上の酵素タンパク質から選択した2種の組合せに適用することで、3種の酵素タンパク質を会合させることができる。この場合、相補的な相互作用を有するものであれば、会合部はオリゴペプチドやポリペプチド、更には複数のドメインから形成されるタンパク質であってもよい。具体的には、β−ガラクトシダーゼのアルファドメイン、オメガドメイン等の利用も挙げられる。抗体断片VH、VLをポリペプチド会合部として使用することも可能である。また、天然のタンパク質構造にも多く見られるα−ヘリカルコイルドコイル構造を利用することも可能である。α−ヘリカルコイルドコイル構造は数本のα−ヘリックスが相互作用(会合)しながら巻き付き合った構造である。7残基のアミノ酸がヘリックス2回転に対応し、7つの位置は図9で示すようにa、b、c、d、e、f、gで表記されることが多い。a、dはヘリックス間の会合に重要な疎水アミノ酸(Val、Ile、)やGlu、Lys、Gln、Argが挙げられる。取り分けVal、Ileであることが望ましい。これら会合面のアミノ酸の選択によっては複数のαヘリックスから構成されるコイルドコイルを作ることも可能である。また、a、dの位置にHisを導入することにより共存する金属イオンCo(II)、Ni(II)によりコイルドコイル構造形成を誘導することも可能である。
このようなポリペプチド会合部のモデル構造としては、いくつかの反復アミノ酸を有するペプチドからなる転写因子GCN4、癌遺伝子Fos、Jun等のロイシンジッパ−が挙げられる。
本発明の酵素電極における会合タンパク質は、複数の異なる酵素活性を有する多機能酵素であるので、2種の酵素を会合させる際に、融合するα−ヘリカルコイルドコイルはホモダイマーを形成し難いことが望ましい。このような意味においては、Jun/Fos等のヘテロダイマー、ヘテロ多量体を形成するためのα−ヘリカルコイルドコイルの構造を利用することが望ましい。また、2つのα−ヘリカルコイルドコイルの一方のe、gの位置をGluとし、他方におけるこれらの位置をLysとすることで安定なヘテロコイルドコイル構造が得られることが知られている。このヘテロコイルドコイル構造を2種の酵素タンパク質の会合に利用することができる。
α−ヘリカルコイルドコイル構造を酵素タンパク質のポリペプチド鎖の一部に設けるには、このポリペプチド鎖にα−ヘリカルコイルドコイルを遺伝子組み換え技術を利用して融合する方法が好適に利用できる。
一方、相反した荷電を有する2つのポリペプチド鎖のそれぞれを、2種の酵素タンパク質のそれぞれの会合部とすることも可能である。
上記のペプチド会合部のサイズとしては、各酵素タンパク質の生産性や活性に必要な構造形成を妨げないサイズが選択される。このサイズは、好ましくは、50アミノ酸以下であり、より好ましくは15乃至35アミノ酸である。
また、ペプチド会合部またはその周辺において、会合する一対の会合部間に共有結合を形成させることも会合タンパク質の安定化という点において有効な手段である。具体的に図9に示すモデルにおける2つのポリペプチド会合部の一方のペプチド鎖のa及び/またはdの位置に、あるいはg及び/またはeの位置に、他方のこれらの位置少なくとも1つに対応する位置で、双方の酵素活性を妨げない位置にCysを導入することにより分子間シスフィルド結合を形成させることも可能である。例えば、二本鎖からなるα−ヘリカルコイルドコイルの場合、a−a位置のジスルフィド結合よりもd−d位置のジスルフィド結合を形成させる方がエネルギー的に安定であることが知られている。会合させる酵素タンパク質が三種以上である場合においても適宜選択して導入することが可能である。また、上記と同様な考え方において光架橋基修飾や光架橋基を導入した非天然アミノ酸をペプチドからなる会合部に導入してもよい。この場合、係わる全てのポリペプチドに各一つの光官能基等を導入することはなく、少なくとも二本のポリペプチド鎖に対して会合部及びその周辺に一つの光官能基等が導入されていることが望ましい。3種以上の酵素タンパク質のによる多量体を形成する場合、それらの導入位置は配置を踏まえた上で適宜検討することが好ましい。
各酵素に配置するペプチド会合部は、酵素活性を妨げないような配置になるように設計されることが好ましく、一例として、一般的に酵素ポリペプチド鎖のC末あるいはN末に融合された融合タンパク質として発現したものであることが好ましい。この融合タンパク質は、酵素タンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子の上流、下流、または内部に会合部のアミノ酸配列をコードするDNA配列をそれぞれの読み枠を合わせて連結または挿入した組換え遺伝子を用いて製造することができる。酵素タンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子の内部に会合部のアミノ酸配列をコードするDNA配列を挿入する場合には、会合後のこの酵素タンパク質の機能を阻害しないように挿入部位を選択する。この組換え遺伝子を適当な宿主−ベクター系を用いて組換えタンパク質として発現させ、発現された融合タンパク質を精製した後、夫々のポリペプチド会合部融合タンパク質を混合し、会合タンパク質として再構成して、会合タンパク質を調製することができる。夫々の組換え遺伝子を宿主細胞内で共発現させ、細胞内で発現と同時に会合タンパク質として再構成してもよい。
(スペーサーについて)
会合用の酵素タンパク質のアミノ酸配列への会合部を融合する際に、酵素タンパク質のアミノ酸配列と会合部のアミノ酸配列との間にはスペーサー配列を挿入することができる。スペーサー配列以下の要件を満たすものであることが好ましい。
(1)会合させる各酵素が夫々固有のフォールディングをとることを可能にし、夫々の酵素活性の維持を保証する。
(2)一方の酵素による反応生成物を他方の酵素の基質として利用する2種の酵素の組合せを用いる場合、スペーサーが上記(1)の条件を満たし、かつ、一方の酵素の反応生成物が他方の酵素にできるだけ速やかに拡散により到達可能とする配列及び長さを有する。
上記の(2)のスペーサー配列の長さとしては、およそ3〜400アミノ酸が好ましい。スペーサーの配列としては、上記性質を有するものであれば特には限定されないが、例えば、GGGGS(G:グリシン、S:セリン)、あるいはこの配列単位が2以上5以下程度繰り返されている配列を挙げることができる。また、Patrickの文献(J.Mol.Biol.(1990)211,943-958)に記載される以下の配列を利用することもできる。
(1)セリン(S)、トレオニン(T)および/またはグリシン(G)のみからなる配列(タイプI(STGタイプ))。
(2)セリン、トレオニンおよび/またはグリシンの他、一つの、アスパラギン酸(D)、リジン(K)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、アラニン(A)あるいはプロリン(P)からなるペプチド(タイプII)。
(3)STGタイプIとIIのアミノ酸残基からなる組み合わせ配列(タイプIII(STGDKQNAタイプ))。
(4)タイプIとタイプIIであって、複数個のプロリンを有する配列(タイプIV(Proタイプ))
(5)タイプIIIに含まれるアミノ酸残基の任意の組み合わせであり、少なくとも8つのアミノ酸残基を有している配列(タイプV)の他、GSGSG、SGGSG、NGGGG、EGKSSGSGSESKST、SKSTS、PVPSTPPTPSPSTPPTPSM。
スペーサー配列をコードするDNA配列は、会合用の酵素タンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子と、会合部をコードするDNA配列の間に、これらの夫々の読み枠がずれないようにして挿入すればよく、当該分野の公知の方法を用いて挿入することができる。なお、会合部を会合用の酵素タンパク質のNまたはC末端に結合させる場合は、会合部と会合用の酵素タンパク質のNまたはC末端との間にスペーサーを配置することでは好ましい。また、会合用の酵素タンパク質のポリペプチド鎖の途中に会合部を挿入する場合には、会合部のN末端側及び/またはC末端側にスペーサーを挿入することができる。
会合用の酵素タンパク質を構成する酵素のアミノ酸配列をコードする遺伝子DNA配列は、その機能が同定されていれば、その由来は特に限定されない。
会合用のグルコースデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.47)としては、下記の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子DNAの塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
beta-D-glucose + NAD(P)+ = D-glucono-1,5-lactone + NAD(P)H + H+
そのようなグルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子としては、Bacillus属、例えばBacillus subtilis 168[Nature 390:249-56 (1997)]、Gloeobacter属、例えばGloeobacter violaceus PCC7421[DNA Res 10:137-45 (2003)]、Thermoplasma属、例えばThermoplasma acidophilum DSM 1728[Nature 407:508-13 (2000)]、Thermoplasma volcanium GSS1[Proc Natl Acad Sci U S A 97:14257-62 (2000)]、Picrophilus属、例えばPicrophilus torridus DSM 9790[Proc Natl Acad Sci U S A 101:9091-6 (2004)]、Pyrococcus属、例えばPyrococcus furiosus DSM 3638[Genetics 152:1299-305 (1999)]、Sulfolobus属、例えばSulfolobus solfataricus[Proc Natl Acad Sci U S A 98:7835-40 (2001)]、Sulfolobus tokodaii strain7[DNA Res 8:123-40 (2001)]等に由来するものを挙げることができ、いずれも本発明の会合タンパク質の構成要素として利用することができる。特にPyrococcus furiosus、Sulfolobus solfataricus等由来の酵素は耐熱性があり、本発明に好適に利用し得る。
会合用のアルコールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.1)としては、としては、下記の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子DNAの塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
alcohol + NAD+ = aldehyde or ketone + NADH + H+
そのようなアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子としては、Saccharomyces属、例えばSaccharomyces cerevisiae S288C[Science 274:546-67 (1996)]、Pseudomonas属、例えばPseudomonas aeruginosa PA01[Nature 406:959-64 (2000)]、Pseudomonas putida KT2440[Environ Microbiol 4:799-808 (2002)]、Acinetobacter属、例えばAcinetobacter sp. ADP1[Nucleic Acids Res 32:5766-79 (2004)]、Bacillus属、例えばBacillus subtilis 168[Nature 390:249-56 (1997)]、Lactococcus属、例えばLactococcus lactis subsp. lactis IL1403[Genome Res 11:731-53 (2001)]、Lactobacillus属、例えばLactobacillus plantarum WCFS1[Proc Natl Acad Sci U S A 100:1990-5 (2003)]、Thermus属、例えばThermus thermophilus HB27[Nat Biotechnol 22:547-53 (2004)]、Aquifex属、例えばAquifex aeolicus VF5[Nature 392:353-8 (1998)]、Thermotoga属、例えばThermotoga maritima MSB8[Nature 399:323-9 (1999)]、Methanococcus属、例えばMethanococcus maripaludis S2[J Bacteriol 186:6956-69 (2004)]、Methanosarcina属、例えばMethanosarcina acetivorans C2A[Genome Res 12:532-42 (2002)]、Methanosarcina mazei Goe1[J Mol Microbiol Biotechnol 4:453-61 (2002)]、Thermoplasma属、例えばThermoplasma acidophilum DSM 1728[Nature 407:508-13 (2000)]、Thermoplasma volcanium GSS1[Proc Natl Acad Sci U S A 97:14257-62 (2000)]、Pyrococcus属、例えばPyrococcus horikoshii OT3[DNA Res 5:55-76 (1998)]、Pyrococcus abyssi GE5、Pyrococcus furiosus DSM 3638[Genetics 152:1299-305 (1999), Mol Microbiol 38:684-93 (2000), Methods Enzymol 330:134-57 (2001)]、Aeropyrum属、例えばAeropyrum pernix K1[DNA Res 6:83-101, 145-52 (1999)]、Sulfolobus属、例えばSulfolobus solfataricus[Proc Natl Acad Sci U S A 98:7835-40 (2001)]、Sulfolobus tokodaii strain7[DNA Res 8:123-40 (2001)]、Pyrobaculum属、例えばPyrobaculum aerophilum IM2[Proc Natl Acad Sci U S A 99:984-9 (2002)]等に由来するものを挙げることができ、いずれも本発明の会合タンパク質の構成要素として利用することができる。特にCorynebacterium efficiens 、Thermus thermophilus Aquifex aeolicus、Thermotoga maritima、 Archaeoglobus fulgidus、Pyrococcus horikoshii、Pyrococcus abyssi、Pyrococcus furiosus、Aeropyrum pernix、Pyrobaculum aerophilum等由来の酵素は耐熱性があり、本発明に好適に利用し得る。
会合用のアルデヒドデヒドロゲナーゼとしては、下記の化学反応(1)または(2)を触媒する機能が同定されており、遺伝子DNAの塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
(1)電子受容体としてNADを要求する酵素(EC 1.2.1.3)。
aldehyde + NAD+ + H2O = acid + NADH + H+
(2)電子受容体としてNADまたはNADPを要求する酵素(EC 1.2.1.5)。
aldehyde + NAD(P)+ + H2O = acid + NAD(P)H + H+
なかでも、アセトアルデヒドを酸化するアルデヒドデヒドロゲナーゼとしては、下記の化学反応を触媒する機能(EC 1.2.1.10)が同定されており、遺伝子の塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
acetaldehyde + CoA + NAD+ = acetyl-CoA + NADH + H+
そのようなアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子としては、前記電子受容体としてNADを要求するアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.3)の場合、Acinetobacter属、例えばAcinetobacter sp. ADP1[Nucleic Acids Res 32:5766-79 (2004)]、Bacillus属、例えばBacillus subtilis 168[Nature 390:249-56 (1997)]、Thermus属、例えばThermus thermophilus HB27[Nat Biotechnol 22:547-53 (2004)]、Pyrococcus属、例えばPyrococcus furiosus DSM 3638[Genetics 152:1299-305 (1999), Mol Microbiol 38:684-93 (2000), Methods Enzymol 330:134-57 (2001)]、Aquifex属、例えばAquifex aeolicus VF5[Nature 392:353-8 (1998)]、等を挙げることができ、いずれも本発明の会合タンパク質の構成要素として利用することができる。
また、前記電子受容体としてNADまたはNADPを要求するアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.5)の場合、Caenorhabditis属、例えばCaenorhabditis elegans[Science 282:2012-8 (1998)]、Bacillus属、例えばBacillus thuringiensis 97-27 (serovar konkukian) 等に由来するものを挙げることができ、いずれも本発明の会合タンパク質の構成要素として利用することができる。
また、前記アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.10)の場合、Bacillus属、例えばBacillus cereus ATCC 14579[Nature 423:87-91 (2003)]、Bifidobacterium属、例えばBifidobacterium longum NCC2705[Proc Natl Acad Sci U S A 99:14422-7 (2002)] 等に由来するものを挙げることができ、いずれも本発明の会合タンパク質の構成要素として利用することができる。
特にThermus thermophilus 、Pyrococcus furiosus 、Aquifex aeolicus等由来の酵素は耐熱性があり、本発明に好適に利用し得る。
会合用の乳酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.27)としては、下記の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子の塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
(S)-lactate + NAD+ = pyruvate + NADH + H+
そのような乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子としては、Bacillus属、例えばBacillus subtilis 168[Nature 390:249-56 (1997)]、Lactococcus属、例えばLactococcus lactis subsp. lactis IL1403[Genome Res 11:731-53 (2001)]、Lactobacillus属、例えばLactobacillus plantarum WCFS1[Proc Natl Acad Sci U S A 100:1990-5 (2003)]、Lactobacillus johnsonii NCC 533[Proc Natl Acad Sci U S A : (2004)]、Deinococcus属、例えばDeinococcus radiodurans R1[Science 286:1571-7 (1999)]、Thermus属、例えばThermus thermophilus HB27[Nat Biotechnol 22:547-53 (2004)]、Thermotoga属、例えばThermotoga maritima MSB8[Nature 399:323-9 (1999)]等に由来するものを挙げることができ、いずれも本発明の会合タンパク質の構成要素として利用することができる。特にThermus thermophilus、Thermotoga maritima等由来の酵素は耐熱性があり、本発明に好適に利用し得る。
会合用のジアフォラーゼとしては、ジアフォラーゼ活性が確認されており、遺伝子DNAの塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば、いずれも本発明の会合タンパク質の構成要素として利用することができる。ジアフォラーゼ活性は、メチレンブルーや2,6−ジクロロフェノール−インドフェノールのような人工的電子受容体の存在下に、NADH若しくはNADPHを酸化する反応の触媒活性である。このようなジアフォラーゼ活性を有する酵素としては、NADHまたはNADPHのいずれか、またはその両方に特異性を有するかに基づき次のように分類されている。
EC 1.6.99.1 ; NADPH:(acceptor) oxidoreductase。
EC 1.6.99.2 ; NAD(P)H:(quinone-acceptor) oxidoreductase。
EC 1.6.99.3 ; NADH:(acceptor) oxidoreductase。
EC 1.6.99.5 ; NADH:(quinone-acceptor) oxidoreductase。
EC 1.8.1.4 ; protein-N6-(dihydrolipoyl)lysine:NAD+ oxidoreductase。
EC 1.14.13.39 ; L-arginine,NADPH:oxygen oxidoreductase (nitric-oxide-forming)。
本発明の酵素電極においては、ジアフォラーゼと会合または共存させて用いられるデヒドロゲナーゼがNADPH若しくはNADHのいずれかに基質特異性を有するかにより、該デヒドロゲナーゼと同一の基質特異性を有するジアフォラーゼを選択して用いることが望ましい。
上記(1)のジアフォラーゼを用いる場合には、下記の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子の塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
NADPH + H+ + acceptor = NADP+ + reduced acceptor
そのようなジアフォラーゼ遺伝子としては、Saccharomyces属、例えばSaccharomyces cerevisiae S288C[Science 274:546-67 (1996), Proc Natl Acad Sci U S A 92:3809-13 (1995), EMBO J 13:5795-809 (1994), Nature 357:38-46 (1992), Nature 387:75-8 (1997), Nature 387:78-81 (1997), Nat Genet 10:261-8 (1995), Nature 387:81-4 (1997), Science 265:2077-82 (1994), Nature 387:84-7 (1997), EMBO J 15:2031-49 (1996), Nature 369:371-8 (1994), Nature 387:87-90 (1997), Nature 387:90-3 (1997), Nature 387:93-8 (1997), Nature 387:98-102 (1997), Nature 387:103-5 (1997)], , Candida属、例えばCandida albicans SC5314[Proc Natl Acad Sci U S A 101:7329-34 (2004)],等に由来のものを挙げることができる。
上記(2)のジアフォラーゼを用いる場合には、下記の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子の塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
NAD(P)H + H+ + acceptor = NAD(P)+ + reduced acceptor
そのようなジアフォラーゼ遺伝子としては、Pseudomonas属、例えばPseudomonas aeruginosa PA01[Nature 406:959-64 (2000)], Pseudomonas putida KT2440[Environ Microbiol 4:799-808 (2002)], Bacillus属、例えばBacillus cereus ATCC 14579[Nature 423:87-91 (2003)],等に由来のものを挙げることができる。
上記(3)のジアフォラーゼを用いる場合には、下記の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子の塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
NADH + H+ + acceptor = NAD+ + reduced acceptor
そのようなジアフォラーゼ遺伝子としては、Saccharomyces属、例えばSaccharomyces cerevisiae S288C[Science 274:546-67 (1996), Proc Natl Acad Sci U S A 92:3809-13 (1995), EMBO J 13:5795-809 (1994), Nature 357:38-46 (1992), Nature 387:75-8 (1997), Nature 387:78-81 (1997), Nat Genet 10:261-8 (1995), Nature 387:81-4 (1997), Science 265:2077-82 (1994), Nature 387:84-7 (1997), EMBO J 15:2031-49 (1996),Nature 369:371-8 (1994),Nature 387:87-90 (1997),Nature 387:90-3 (1997),Nature 387:93-8 (1997),Nature 387:98-102 (1997),Nature 387:103-5 (1997)], Pseudomonas属、例えばPseudomonas aeruginosa PA01[Nature 406:959-64 (2000)], Pseudomonas putida KT2440[Environ Microbiol 4:799-808 (2002)], Acinetobacter属、例えばAcinetobacter sp. ADP1[Nucleic Acids Res 32:5766-79 (2004)], Bacillus属、例えばBacillus subtilis 168[Nature 390:249-56 (1997)], Lactobacillus属、例えばLactobacillus plantarum WCFS1[Proc Natl Acad Sci U S A 100:1990-5 (2003)], Deinococcus属、例えばDeinococcus radiodurans R1[Science 286:1571-7 (1999)], Thermus属、例えばThermus thermophilus HB27[Nat Biotechnol 22:547-53 (2004)], Aquifex属、例えばAquifex aeolicus VF5[Nature 392:353-8 (1998)], Pyrococcus属、例えばPyrococcus abyssi GE5, Pyrococcus furiosus DSM 3638[Genetics 152:1299-305 (1999), Mol Microbiol 38:684-93 (2000), , Methods Enzymol 330:134-57 (2001)],等由来のものを挙げることができる。
上記(4)のジアフォラーゼを用いる場合には、下記の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子の塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
NADH + H+ + acceptor = NAD+ + reduced acceptor
そのようなジアフォラーゼ遺伝子としては、Burkholderia属、例えばBurkholderia mallei ATCC 23344[Proc Natl Acad Sci U S A 101:14246-51 (2004)], Haloarcula属、例えばHaloarcula marismortui ATCC 43049[Genome Res 14:2221-34 (2004)]等に由来のものを挙げることができる。
上記(5)のジアフォラーゼを用いる場合には、下記の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子の塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
protein N6-(dihydrolipoyl)lysine + NAD+ = protein N6-(lipoyl)lysine + NADH + H+
そのようなジアフォラーゼ遺伝子としては、Saccharomyces属、例えばSaccharomyces cerevisiae S288C[Science 274:546-67 (1996), Proc Natl Acad Sci U S A 92:3809-13 (1995), EMBO J 13:5795-809 (1994), Nature 357:38-46 (1992), Nature 387:75-8 (1997), Nature 387:78-81 (1997), Nat Genet 10:261-8 (1995), Nature 387:81-4 (1997), Science 265:2077-82 (1994), Nature 387:84-7 (1997), EMBO J 15:2031-49 (1996),Nature 369:371-8 (1994),Nature 387:87-90 (1997),Nature 387:90-3 (1997),Nature 387:93-8 (1997),Nature 387:98-102 (1997),Nature 387:103-5 (1997)], Lactobacillus属、例えばLactobacillus plantarum WCFS1[Proc Natl Acad Sci U S A 100:1990-5 (2003)], Deinococcus属、例えばDeinococcus radiodurans R1[Science 286:1571-7 (1999)], Thermus属、例えばThermus thermophilus HB27[Nat Biotechnol 22:547-53 (2004)], Aquifex属、例えばAquifex aeolicus VF5[Nature 392:353-8 (1998)], Thermotoga属、例えばThermotoga maritima MSB8[Nature 399:323-9 (1999)], Sulfolobus属、例えばSulfolobus solfataricus[Proc Natl Acad Sci U S A 98:7835-40 (2001)], , Sulfolobus tokodaii strain7[DNA Res 8:123-40 (2001)], Pyrobaculum属、例えばPyrobaculum aerophilum IM2[Proc Natl Acad Sci U S A 99:984-9 (2002)]等に由来のものを挙げることができる。
上記(6)のジアフォラーゼを用いる場合には、下記の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子の塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
L-arginine + n NADPH + n H+ + m O2 = citrulline + nitric oxide + n NADP+
そのようなジアフォラーゼ遺伝子としては、Bacillus属、例えばBacillus cereus ATCC 14579[Nature 423:87-91 (2003)],等由来のものを挙げることができる。特にThermus thermophilus 、Thermotoga maritima 、Sulfolobus tokodaii 、Pyrobaculum aerophilum等に由来の酵素は耐熱性があり、本発明に好適に利用し得る。
会合用のリンゴ酸デヒドロゲナーゼとしては、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ活性が確認されており、遺伝子DNAの塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。リンゴ酸デヒドロゲナーゼは次のように分類されている。
(A)EC 1.1.1.37 ; (S)-malate:NAD+ oxidoreductase
(B)EC 1.1.1.38 ; (S)-malate:NAD+ oxidoreductase (oxaloacetate-decarboxylating)
(C)EC 1.1.1.39 ; (S)-malate:NAD+ oxidoreductase (decarboxylating)
(D)EC 1.1.1.40 ; (S)-malate:NADP+ oxidoreductase (oxaloacetate-decarboxylating)
これらの内、EC 1.1.1.37の酵素は化学反応の平衡がリンゴ酸生成側に偏っているので、EC 1.1.1.38、EC 1.1.1.39、EC 1.1.1.40に分類される酵素がより望ましい。そのようなリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子としては、Bacillus属、例えばBacillus cereus ATCC 10987 [Nucleic Acids Res 32:977-88 (2004)]、Bacillus subtilis 168 [Nature 390:249-56 (1997)]、Deinococcus属、例えばDeinococcus radiodurans R1 [Science 286:1571-7 (1999)]、Lactobacillus属、例えばLactobacillus plantarum WCFS1 [Proc Natl Acad Sci U S A 100:1990-5 (2003)]、Pseudomonas属、例えばPseudomonas aeruginosa PA01 [Nature 406:959-64 (2000)]、Pseudomonas putida KT2440 [Environ Microbiol 4:799-808 (2002)]、Pyrococcus furiosus DSM 3638 [Genetics 152:1299-305 (1999), Mol Microbiol 38:684-93 (2000), Methods Enzymol 330:134-57 (2001)]、Saccharomyces属、例えばSaccharomyces cerevisiae S288C [Science 274:546-67 (1996), Proc Natl Acad Sci U S A 92:3809-13 (1995), EMBO J 13:5795-809 (1994), Nature 357:38-46 (1992), Nature 387:75-8 (1997), Nature 387:78-81 (1997), Nat Genet 10:261-8 (1995), Nature 387:81-4 (1997), Science 265:2077-82 (1994), Nature 387:84-7 (1997), EMBO J 15:2031-49 (1996), Nature 369:371-8 (1994), Nature 387:87-90 (1997), Nature 387:90-3 (1997), Nature 387:93-8 (1997), Nature 387:98-102 (1997), Nature 387:103-5 (1997)]、Sulfolobus属、例えばSulfolobus solfataricus [Proc Natl Acad Sci U S A 98:7835-40 (2001)]、Sulfolobus tokodaii strain7 [DNA Res 8:123-40 (2001)]、Thermotoga属、例えばThermotoga maritima MSB8 [Nature 399:323-9 (1999)]、Thermus属、例えばThermus thermophilus HB27 [Nat Biotechnol 22:547-53 (2004)]等に由来のものを挙げることができる。特にThermus thermophilus 、Thermotoga maritima、Pyrococcus furiosus 、Sulfolobus tokodaii等由来の酵素は耐熱性があり、本発明に好適に利用し得る。
会合用のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.2, EC 1.4.1.3, EC 1.4.1.4)としては、下記式の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子DNAの塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
L-glutamate + H2O + NAD(P)+ = 2-oxoglutarate + NH3 + NAD(P)H + H+
そのようなグルタミン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子としては、Bacillus属、例えばBacillus subtilis 168[Nature 390:249-56 (1997)]、Deinococcus属、例えばDeinococcus radiodurans R1[Science 286:1571-7 (1999)]、Geobacillus属、例えばGeobacillus kaustophilus HTA426[Nucleic Acids Res 32:6292-303 (2004)]、Lactobacillus属、例えばLactobacillus plantarum WCFS1[Proc Natl Acad Sci U S A 100:1990-5 (2003)]、Pyrococcus属、例えばPyrococcus horikoshii OT3[DNA Res 5:55-76 (1998)]、Pseudomonas属、例えばPseudomonas aeruginosa PA01[Nature 406:959-64 (2000)]、Pseudomonas putida KT2440[Environ Microbiol 4:799-808 (2002)]、Pyrococcus属、例えばPyrococcus abyssi GE5、Pyrococcus furiosus DSM 3638[Genetics 152:1299-305 (1999), Mol Microbiol 38:684-93 (2000), Methods Enzymol 330:134-57 (2001)]、Sulfolobus属、例えばSulfolobus solfataricus[Proc Natl Acad Sci U S A 98:7835-40 (2001)]、Sulfolobus tokodaii strain7[DNA Res 8:123-40 (2001)]、、Thermococcus属、例えばThermococcus kodakaraensis KOD1[Genome Res 15:352-63 (2005)]、Thermus属、例えばThermus thermophilus HB27[Nat Biotechnol 22:547-53 (2004)]、Thermus thermophilus HB8等に由来のものを挙げることができる。特にThermus thermophilus 、Thermotoga maritima、Pyrococcus furiosus 、Sulfolobus tokodaii等由来の酵素は耐熱性があり、本発明に好適に利用し得る。
会合用のイソメラーゼ(キシロースイソメラーゼ)(EC 5.3.1.5)としては、下記式の化学反応を触媒する機能が同定されており、遺伝子DNAの塩基配列または酵素のアミノ酸配列が既知のものであれば利用できる。
D-xylose = D-xylulose
そのようなイソメラーゼ遺伝子としては、Bacillus属、例えば、Bacillus subtilis 168 [Nature 390:249-56 (1997)], Lactococcus属、例えば、Lactococcus lactis subsp. lactis IL1403 [Genome Res 11:731-53 (2001)]、Thermotoga属、例えば、Thermotoga maritima MSB8 [Nature 399:323-9 (1999)] 等に由来のものを挙げることができる。特にThermotoga maritima由来の酵素は耐熱性があり、本発明に好適に利用し得る。
本発明の酵素電極に用いられる会合タンパク質において、酵素活性の機能単位が単鎖のポリペプチド(モノマー)ではない場合であっても、以下に述べる何れかの構成を採用することによって本発明の目的を達成することができる。
(1)何れかの酵素の機能単位がホモオリゴマーである場合:
例えば機能的なポリペプチド構成がαn [n>1の整数]と表されるとする。更に、ポリペプチド会合部のポリペプチドをβと表わすとする。この酵素を会合タンパク質の会合要素とするためには、融合ポリペプチド(α::β)に加えて、ホモオリゴマーを機能単位とする酵素の構成ポリペプチド(α)を宿主細胞内で共発現させる。このことによって(αn::β)なるポリペプチド構成の融合タンパク質を取得すればよい。共発現されるべき2つのポリペプチド(α::βとα)は、同一のプラスミド上にコードされていても、また相異なるプラスミド上にコードされていてもよい。ただし相異なるプラスミドを用いる場合には、両者のプラスミドは不和合性を持たないことが必要である。この系では目的とする融合タンパク質(αn::β)に加えて、αnやαn-x(α::β)x [xはn+1> x > 0なる整数]などといったペプチド構成の目的外タンパク質が生成し得る。これらは例えば夫々の分子量の違いにより、ゲルろ過法や限外ろ過法を用いて分画・精製できる。また融合ポリペプチドα::βに精製用のタグをさらに融合して発現させてもよい。なおαn-x(α::β)x [xはn+1> x > 0なる整数]なる構成の融合タンパク質でも、酵素活性が保持されていれば、本発明の酵素電極に用いられる会合タンパク質の会合要素として供し得る。
(2)何れかの酵素の機能単位がヘテロオリゴマーである場合:
例えば機能的なポリペプチド構成がαnα' [ただしα'はα以外のポリペプチド鎖をまとめて表現するものとし、nはn>0の整数とする]と表わされるとする。更に、ポリペプチド会合部のポリペプチドをβと表わすとする。この酵素を会合タンパク質の会合要素とするためには、融合ポリペプチド(α::β)に加えて、ヘテロオリゴマーを機能単位とする酵素の構成ポリペプチド(α及びα')を宿主細胞内で共発現させる。このことによって、(αnα'::β)なる構成の融合タンパク質を取得すればよい。共発現されるべきポリペプチド鎖(α::β、αおよびα')は、同一のプラスミド上にコードされていても、また相異なるプラスミド上にコードされていてもよい。ただし相異なるプラスミドを用いる場合には、両者のプラスミドは不和合性を持たないことが必要である。この系では目的とする融合タンパク質(αnα'::β)に加えて、αn-xα'(α::β)x [xはn+1> x > 0なる整数]やαnα'といったペプチド構成のタンパク質が生成し得る。これらは例えば夫々の分子量の違いにより、ゲルろ過法や限外ろ過法を用いて分画・精製できる。なおαn-xα'(α::β)x [xはn+1> x > 0なる整数]なる構成の融合タンパク質でも、酵素活性が保持されていれば、本発明の酵素電極に供し得る。このような融合タンパク質の生成を抑えるためには、ヘテロオリゴマーの構成ユニットの内、機能的な構成の中で最も数の少ないもの、すなわちn=1となるものをαとして選択することが望ましい。n=1のαを選択できる場合には共発現されるべきポリペプチド鎖はα::βおよびα'のみでよい。またこの場合、融合ポリペプチドα::βに精製用のタグをさらに融合して発現させてもよい。
また上記(1)から(2)の何れの場合において、細胞内共発現系ではなく、in vitro無細胞タンパク質合成系を採用することもできる。この場合、in vitroタンパク質合成装置にて夫々の構成ポリペプチドを合成後、これらを混合することによって目的のポリペプチド構成を持つ融合タンパク質を形成させることができる。
次に、会合用の酵素タンパク質の遺伝子組換えを利用した生産方法について説明する。
会合用の酵素タンパク質のアミノ酸配列をコードするDNAを、適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、様々な宿主内での会合用の酵素タンパク質の発現を可能とする組換えベクターを構築することができる。当業者ならば、当該技術分野での常法に従い、任意の宿主細胞内で機能的な会合タンパク質を構成するタンパク質発現ベクターを構築することができる。プロモーターは既知のものから適宜選択するか、あるいは新たに調製したものでもよい。また通常の技術を用いて修飾(例えば、プロモーターを交換する)することによって、会合タンパク質を構成するタンパク質を高レベルに産生させることができる発現ベクターを構築することができる。
会合タンパク質を構成するタンパク質発現ベクターで形質転換するために用いられる宿主細胞は、大腸菌等の原核細胞、酵母等の真核細胞のいずれでもよく、さらには一般的に利用されている高等生物の細胞でもよい。宿主細胞としては、微生物[原核生物(細菌、例えば大腸菌や枯草菌等)、真核生物(例えば酵母)]、動物細胞又は培養植物細胞が挙げられる。微生物としては原核細胞微生物や酵母が好ましい。原核細胞微生物としては、特にEscherichia属に属する菌株(例えば、E.coli等)が好ましい。酵母としては、特にSaccharomyces属に属する株(例えば、S.cerevisiae)やCandida属に属する株(例えば、C.boidinii)が好ましい。好ましい動物細胞株は例えば、マウスL929細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などである。
宿主細胞として細菌、特に大腸菌を使用するのに適した、発現ベクターは既知であり、例えば、lacプロモーターやtacプロモーター等の慣用のプロモーターを有するものを挙げることができる。酵母での会合用の酵素タンパク質の発現のための発現ベクターとしては、GALプロモーターやAODプロモーター等のプロモーターを含有するものが好ましい。又、哺乳動物細胞での会合用の酵素タンパク質のための発現ベクターとしては、SV40プロモーター等のプロモーターを有するものが挙げられる。しかしながら、操作及び入手の容易さを考慮して、宿主細胞としては原核性宿主が好ましく、特に大腸菌が好ましい。原核性宿主−ベクター系については、多くの成書があり、当該技術分野で既知であるが、以下に簡単に説明する。(例えばMolecular Cloning:A LABOLATORY MANUAL, Cold SpringHarbor Laboratory Press参照。)
会合用の酵素タンパク質をコードするDNAを大腸菌で発現させるには、大腸菌を用いた形質転換に適するプラスミドのプロモーターの下流に該DNAを挿入する。後述する実施例では、大腸菌での1つの態様の発現が記載されている。その他の態様での発現は、例えば、会合用の酵素タンパク質をコードするDNAを適当な酵素で処理することにより会合タンパク質コードするDNA断片を得、これを適当なベクターに組み込むことにより様々な宿主で会合用の酵素タンパク質を発現させることができる。この処理に用いる酵素としては、例えば制限酵素、アルカリホスファターゼ、ポリヌクレオチドキナーゼ、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼなどが利用できる。
会合用の酵素タンパク質の発現ベクターによる宿主細胞の形質転換方法は既知であり、Molecular Cloning:A LABOLATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載の方法で行うことができる。例えば、原核細胞宿主の場合は、コンピテントセル作製法、真核性宿主の場合は、コンピテントセル作製法、哺乳動物細胞の場合はトランスフェクション法、エレクトロポレーション法により行うことができる。次いで、得られた形質転換体を適当な培地に培養する。培地は、炭素源(例えばグルコース、メタノール、ガラクトース、フルクトース等)及び無機また有機窒素源(例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、カザミノ酸等)を含有していてよい。所望により、培地に他の栄養源(例えば無機塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム)、ビタミン類(例えばビタミンB1)、抗生物質(例えばアンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン等))を加えてもよい。哺乳動物細胞の培養には、イーグル培地が適当である。
形質転換体の培養は、通常、pH6.0〜8.0、好ましくはpH7.0、25〜40℃、好ましくは30〜37℃で8〜48時間行えばよい。生産された会合用の酵素タンパク質が培養液中に存在しているときは、培養物を濾過又は遠心分離する。精製は、回収した培養液上清から、天然又は合成のタンパク質を構成するタンパク質の精製、単離に用いられる常法を用いて行うことができる。この処理には、例えば透析、ゲル濾過、会合タンパク質を構成するタンパク質に対するモノクロナール抗体を用いてのアフィニティカラムクロマトグラフィー、適当な吸着剤を用いてのカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を利用することができる。生産された会合用の酵素タンパク質が培養形質転換体のペリプラズム及び細胞質中に存在するときは、濾過や遠心分離によって細胞を集め、それらの細胞壁及び/又は細胞膜を、たとえば超音波及び/又はリゾチーム処理によって破壊して細胞破砕物を得る。この細胞破砕物に適当な水溶液(例えば緩衝液)を混合し、常法によって、会合タンパク質を構成するタンパク質を精製することができる。
大腸菌中で生産された会合タンパク質を構成するタンパク質を再生(リフォールディング)する必要があるときは、これを常法によって行うことができる。
特に好熱菌由来の会合酵素を調製する場合には、上記細胞破砕液を70℃以上の温度で恒温保持することにより宿主常温菌由来のタンパク質を凝集させ、該凝集体を遠心分離操作などで除去することにより、簡便に精製することが出来る。また活性を有するフォールドへ変換することが出来る。
尚、用途に応じて会合用の酵素タンパク質および会合タンパク質は完全に精製されていなくとも良く、次の(1)〜(7)のいずれかであっても良い。
(1)生細胞:ろ過又は遠心分離等の通常の方法で培養物から分離された細胞。
(2)乾燥細胞:(1) に記載の生細胞を凍結乾燥又は真空乾燥したもの。
(3)細胞抽出物:(1)又は(2) に記載の細胞を通常の方法(例えば有機溶媒中での自己溶菌、アルミナや海砂と混合しての摩砕、又は超音波処理)で処理して得られたもの。
(4)酵素溶液:(3)に記載の細胞抽出物を常法通り精製するか部分精製することにより得られたもの。
(5)精製酵素:(4)に記載の酵素溶液をさらに精製し、不純物を含まないもの。
(6)酵素活性を有するフラグメント:(5)に記載の精製酵素等を適当な方法で断片化処理することにより得られたペプチドフラグメント。
本発明の酵素電極に用いられる会合用の酵素タンパク質は、例えば組換え大腸菌の細胞内で生合成させた場合には、フラビン化合物、金属原子(Fe、Cu、Moなど)、ヘム等などの補欠分子族が結合したホロ酵素として取得できることが多い。特に生合成時にこれらの補欠分子族を予め培地中に添加しておくことにより、ホロ酵素の回収率を増加させることできる。しかし無細胞タンパク質合成装置などを用いてin vitroで会合タンパク質を構成するタンパク質のペプチドを取得した場合などでは、補欠分子族の結合していないアポ酵素として取得される。この場合には取得されたアポ酵素を、これら補欠分子族を添加したバッファー中で保持する工程を加えることによって、ホロ酵素を再構成することができる。
遺伝子工学的に常用される方法を用いることにより、会合用の酵素タンパク質のアミノ酸配列中に適宜、1個ないし複数(数個)のアミノ酸の置換、欠失、挿入、転移あるいは付加したごとき変異を導入した相当するタンパク質を製造することができる。こうした変異・変換・修飾法としては、日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子研究法 II 」、p105(広瀬進)、東京化学同人(1986);日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA 技術)」、p233(広瀬進)、東京化学同人(1992);R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods inEnzymology", Vol. 154, p. 350 & p. 367, Academic Press, New York (1987);R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in Enzymology", Vol. 100, p. 457 & p. 468, Academic Press, New York (1983);J. A. Wells et al., Gene, 34: 315, 1985;T. Grundstroem et al., Nucleic Acids Res., 13: 3305, 1985 ;J.Taylor et al., Nucleic Acids Res., 13: 8765, 1985;R. Wu ed., "Methodsin Enzymology", Vol. 155, p. 568, Academic Press, New York(1987) ;A. R. Oliphant et al., Gene, 44: 177, 1986などに記載の方法が挙げられる。例えば合成オリゴヌクレオチドなどを利用する位置指定変異導入法(部位特異的変異導入法)、 Kunkel 法、 dNTP[αS]法(Eckstein) 、亜硫酸や亜硝酸などを用いる領域指定変異導入法等の方法が挙げられる。
上記の各種の方法で得られた会合用の酵素タンパク質の遺伝子塩基配列を基に、化学的な手法でこの酵素タンパク質のアミノ酸残基を修飾することもできる。更には、ペプチダーゼなどの酵素を用いて上記の各種の方法で得られた会合用の酵素タンパク質を修飾したり、部分分解したりしてその誘導体などにすることができる。このペプチダーゼとしては、例えばペプシン、キモトリプシン、パパイン、ブロメライン、エンドペプチダーゼ、エキソペプチダーゼなどを用いることができる。
また精製用タグや移行シグナル配列を融合した融合タンパク質として会合用の酵素タンパク質を発現させてもよい。こうした精製用タグや移行シグナル配列を融合した会合タンパク質を構成するタンパク質の産生は遺伝子工学的に常用される融合産生法を用いることができ、精製用タグを融合した会合用の酵素タンパク質はその精製用タグ部を利用してアフィニティクロマトグラフィーなどで精製することや、前述した酵素固定化層を形成するための固定化タグとしての利用が可能である。
すなわち、会合用の酵素タンパク質は、1個以上のアミノ酸残基が同一性の点で天然のアミノ酸残基と異なるもの、あるいは、1個以上のアミノ酸残基の位置が天然のものと異なるものであってもよい。また、会合用の酵素タンパク質としては、天然のタンパク質に特有なアミノ酸残基が1個以上欠けている欠失類縁体であってもよい。この欠失したアミノ酸残基の個数としては、例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10個の範囲を挙げることができる。また、会合用の酵素タンパク質としては、天然のタンパク質に特有のアミノ酸残基の1個以上が他の残基で置換されている置換類縁体であってもよい。この置換アミノ酸残基の個数としては、例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10個などの範囲を挙げることができる。会合用の酵素タンパク質としては、天然のタンパク質に特有のアミノ酸残基の1個以上のアミノ酸残基が付加されている付加類縁体であってもよい。このアミノ酸残基の付加数は、例えば、1〜80個、好ましくは1〜60個、さらに好ましくは1〜40個、さらに好ましくは1〜20個、特には1〜10個などの範囲を挙げることができる。これは酵素の天然のタンパク質の特徴であるドメイン構造がそれぞれ維持されていれば、会合用の酵素タンパク質に、所望の活性を有する天然のタンパク質と実質的に同等の一次構造コンフォメーションあるいはその一部を有しているものも含まれてよいと考えられる。さらに会合用の酵素タンパク質に、天然のタンパク質と実質的に同等の所望とする生物学的活性を有しているものも含まれてよいと考えられるからである。したがって上記のごとき変異体は、全て本発明の酵素電極における会合タンパク質として使用できる。
会合用の酵素タンパク質としての変異型のタンパク質は、例えば、配列表の配列番号15, 16, 27, 28, 36, 44, 61, 62, 73, 74, 82, 90, 98, 106, 114, 115, 121, 122, 128, 129, 135, 136, 150, 151, 152, 157, 158若しくは159で示されるアミノ酸配列と高い相同性を有し、所望とする酵素活性が維持されているものが挙げられる。この相同性としては、70%より高い相同性を有しているものが挙げられる、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上の相同アミノ酸配列を有するものが挙げられる。
酵素の天然のタンパク質と「実質的に同等」とはタンパク質の活性、例えば、触媒活性、生理的な活性、生物学的な活性が実質的に同じであることを意味する。アミノ酸の置換、欠失、あるいは挿入は、しばしばポリペプチドの生理的な特性や化学的な特性に大きな変化を生じさせない場合がある。こうした場合、その置換、欠失、あるいは挿入を施されたポリペプチドは、そうした置換、欠失、あるいは挿入のされていないものと実質的に同一であるとされる。アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換体としては、そのアミノ酸が属するところのクラスのうちの他のアミノ酸類から選ぶことができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、トリプトファン、メチオニンなどが挙げられる。極性(中性)としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げられる。陽電荷をもつアミノ酸(塩基性アミノ酸)としては、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられ、陰電荷をもつアミノ酸(酸性アミノ酸)としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
(電子伝達メディエーター)
本発明の酵素電極における電子伝達メディエーターは、酵素と導電性基体間の電子授受反応を促進し、測定感度・電流密度を高めるために電極系に含有される物質である。本発明の酵素電極に使用される電子伝達メディエーターとしては、上記のような物質である限り特に限定されない。例えば、中心金属とその配位子からなる金属錯体またはそのイオン化物、メタロセン類、フェナジンメトサルフェート、1−メトキシ−フェナジンメトサルフェート、キノン類など、およびこれらの誘導体などを挙げることができる。
金属錯体化合物としては、中心金属として、Os、Fe、Ru、Co等の内から選ばれる少なくとも1種類を含むものが挙げられる。中心金属への配位子としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1、2、3−または1、2、4−トリアゾール等およびそれらの誘導体を挙げることができる。
金属錯体及びそのイオン化物としては、具体的には、オスミウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル等の金属とビピリジンとから形成されるビピリジン錯体、フェリシアンイオン、オクタシアノタングステン酸イオン、オクタシアノモリブデン酸イオン等の金属錯体イオンを挙げることができる。
メタロセン類としては、例えばフェロセン、1,1'- ジメチルフェロセン、フェロセンカルボン酸、フェロセンカルボキシアルデヒド等のフェロセン誘導体を挙げることができる。
これらの電子メディエーターは本発明の効果を損なわない範囲内でその2種以上を組み合わせて用いることもできる。
電子メディエーターは、本発明の酵素電極に全構成成分の0.5〜10重量%、好適には1〜5重量%含有される。ここで全構成成分とは導電性基体上の酵素固定化層に含まれる成分である。
(電極系の構成)
本発明の酵素電極に、電子の授受を行なう配線を接続することで各種用途に利用できる酵素電極デバイス(バイオセンサ、燃料電池、および電気化学反応装置)を作製することができる。このデバイスは、上記の板状(あるいは膜状またはの層状)の酵素電極を単層で、あるいは、その複数を用いて構成することができる。その複数を用いる場合は、互いの表面と裏面が対向するように積層配置することができる。なお、複数の場合は、各酵素電極の特性を均一としても、異なる特性の酵素電極の組み合わせが含まれるようにしてもよい。例えば、後述する燃料電池における場合にように、アノードとカソードとが交互に配置されるようにすることができる。このデバイスは、電極を単層から多層へと段数を変更することで、要求される電圧、出力に対応することができる。酵素電極の触媒としての酵素は、一般に電気化学の分野で用いられている貴金属触媒(例えば白金)と比較して、高い基質選択性を有する。そのため、一方の電極と、他方の電極における反応物質を隔離する機構を必要とせず、その結果、デバイスを簡素化することが可能となる。
(センサ)
本発明の好ましいひとつの形態であるセンサは、本発明にかかる酵素電極を物質を検知するための検知部位として用いる構成を有する。代表的な構成としては、酵素電極を作用電極として、参照電極及び対極とセットで使用し、酵素電極で(電極に固定した酵素の機能により)検知可能な電流を検知する構成を挙げることができる。この電流の有無や量を検知して、これらの電極が接している液体中の物質の有無や量を検出することができる。具体的には図8に示す構成のセンサを挙げることができる。
図8のセンサは、作用電極4、白金線対極5、銀塩化銀参照電極6を有して構成され、それぞれの電極にはリード線7、8、9が配線され、ポテンショスタット10と接続されている。このセンサを、蓋2で密閉可能なウォータージャケットセル1内の試料溶液3の貯溜領域に配置する。作用電極に電位を印加して定常電流を測定することで、電解質中での基質の検出を行うことができる。なお、不活性ガス雰囲気での測定が必要な場合は、ガスチューブ12の外部末端のガス吹き込み口11から窒素などの不活性ガスを導入する。また、温度は、温調水流入口13及び温調水排出口14を利用した温度調節用の液体の供給により行うことができる。
(燃料電池)
本発明の好ましいひとつの形態である燃料電池は、酵素電極をアノードまたはカソードの少なくとも一方として用いることを特徴とする。この場合にも、酵素電極は、板状や層状として単層で、あるいは2以上の層の積層構造として用いることができる。更に、積層構造とした場合に、積層方向にアノードとカソードを所定の配列に配置してもよい。代表的な構成としては、燃料となる物質を含む電解液を貯溜し得る反応槽と、反応槽中に所定の間隔で配置されたアノードとカソードとを有し、このアノード及びカソードの少なくとも一方に本発明にかかる酵素電極を用いた構成を挙げることができる。なお、この燃料電池は電解液を補充あるいは循環させるタイプや、電解液の補充や循環しないタイプとすることができる。この燃料電子は、酵素電極が使用できるものであれば、燃料の種類、構造、機能などは制限されない。この際、酵素電極の触媒として用いられている酵素は、高い基質選択性を有するため、一方の電極と、他方の電極における反応物質を隔離する機構を必要とせず、その結果、デバイスを簡素化することが可能となる。この燃料電池は、電極反応の触媒として用いる酵素に特有の高い触媒作用によって、物質を低い過電圧で酸化還元できることにより、高い駆動電圧を得ることが可能であり、高い安定性、電流密度によって、長寿命、高出力化が可能となる。
燃料電池の一例を図9に示す。この燃料電池のセルの構成は先に図8に示したセンサでの基質測定用装置とほぼ同一であり、同一部材には同じ番号を付している。図8で示したセンサの代わりに、アノード15とカソード16を多孔質ポリプロピレンフィルム17を介して積層した構成の電極ユニットを用い、チューブ12を介して酸素ガスをセル内に導入して、燃料電池として作用させる。
(電気化学反応装置)
本発明の好ましいひとつの形態である電気化学反応装置では、電極反応の触媒として用いる酵素に特有の基質の高い選択性、触媒能を得ることができる。これに加えて、電気化学反応の特徴である、反応の定量性を更に得ることが可能である。その結果、高選択的、高効率で定量的に制御可能であり、担体と複数のメディエーターを用いた酵素電極による、高い安定性、電流密度によって、長寿命、高出力化が可能となる。この場合にも、酵素電極は、板状や層状として単層で、あるいは2以上の層の積層構造として用いることができる。代表的な構成として、一対の電極と必要に応じて設けられた参照電極とを反応液を貯溜し得る反応層内に配置して、一対に電極間に電流を流して、反応液中の物質に電気化学的反応を起させて目的とする反応生成物、分解物などを得る構成を挙げることができる。この場合、一対の電極の少なくとも一方に本発明にかかる酵素電極を用いることができる。反応液の種類や反応の条件などにかかる装置構成は、酵素電極が利用できるものであれば特に限定されない。例えば、酸化還元反応による反応生成物の取得や、目的とする分解物の取得などに利用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の方法は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における酵素電極を用いたセンサー、燃料電池及び電気化学反応装置としては、酵素電極を代える以外は以下の構造の装置を共通して用いる。
(センサー)
センサーの共通の構造を図10に模式的に示す。酵素電極を作用電極4として用いて、各酵素電極の測定対象とするセンサーを構成する。対極5は白金線、参照極6は銀/塩化銀電極で構成する。これらの電極は、それぞれポテンショスタット10を介して電流などを測定する。試料溶液3としては、測定対象の化合物を所定濃度で含む溶液(例えば緩衝水溶液)である。測定温度は、恒温循環槽によって37℃に保持される。測定対象化合物の定量は、次のようにして行う。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位を印加する。このとき、試料溶液3中の測定対象化合物は、用いた酵素電極と反応し、作用電極4を介した電子の移動による電流が生じる。この電流を測定する。
(燃料電池)
燃料電池の共通の構造を図11に模式的に示す。この装置では、酵素電極をアノード電極15として用いる。カソード電極16は0.5cm2の白金板からなる。電解質溶液3は、酵素電極と反応して電流を発生させることのできる化合物等を含む緩衝液からなる。アノード電極15とカソード電極16は、間に多孔質ポリプロピレンフィルム(厚さ20μm)17を挟んで配置され、これを蓋2付のウォータージャケットセル1中の電解液溶液3中(10mL)に配置する。測定温度は、恒温循環槽によって37℃に保持される。それぞれのリードをポテンショスタット(東方技研、モデル2000)10に接続し、−1.2Vから0.1Vまで電圧を変化させ、電圧−電流特性を測定した。
(電気化学反応装置)
図10に示した装置を電気化学反応装置として使用する。この場合、酵素電極を作用電極4として用い、銀塩化銀電極を参照電極6に、白金線を対極5とした三極セルを構成する。原料を含む緩衝液電解液を試料溶液3として使用し、その温度を恒温循環槽によってこれを37℃に保持する。ウォータージャケットセル1中窒素雰囲気下0.3VvsAg/AgClの電位を100分間印加し、生成物を高速液体クロマトグラフィーで定量する。
(酵素調製法)
また、形質転換体からの酵素の取得には以下の方法1または2を用いた。
(方法1)
形質転換体を、抗生物質としてアンピシリン及びストレプトマイシンの両方を添加したLB培地10mLで一晩プレ・カルチャーする。その後、その0.2mLを、100mLのLB-Amp培地に添加し、30℃、170rpmで4時間振とう培養する。その後IPTGを添加 (終濃度 1mM) し、37℃で4~12時間培養を続ける。IPTG 誘導した形質転換体を集菌 (8000×g、 2分、4℃) し、1/10 量の 4℃ PBSに再懸濁する。凍結融解およびソニケーションにより菌体を破砕し、遠心 (8000×g、 10分、4℃)して固形夾雑物を取り除く。目的の発現タンパク質が上清に存在することをSDS-PAGEで確認した後、誘導発現されたHisタグ融合タンパク質をニッケルキレートカラムを用いて精製する。
(方法2)
プレ・カルチャー用のLB培地に抗生物質としてアンピシリンのみを使用する以外は方法1と同様にして酵素を得る。
(実施例1)
Bacillus subtilis由来のグルコースデヒドロゲナーゼ(busGDH)とPseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)との会合タンパク質(His-busGDH-FosおよびppuDp-Jun)[配列番号15、16]の調製
Bacillus subtilis [ATCC 27370]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、805bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatGGATCCGtatccggatttaaaaggaaaagtcgtcgct-3' (BamHI) [配列番号1]
5'-aataatAAGCTTaccgcggcctgcctggaatgaaggatattg-3' (HindIII) [配列番号2]
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-busGDH発現ベクターpETDuet-busGDHを作製する。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGcttgtgaatgtactgatcgtccacgctcac-3' (NdeI) [配列番号3]
5'-aataatCTCGAGcgtcagcgggtacaacgcttcatcgaactg-3' (XhoI) [配列番号4]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-busGDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-busGDH、ppuDp共発現ベクターpETDuet-busGDH-ppuDpを作製する。
次に、5'末端リン酸化合成オリゴDNA(以下の配列番号5及び配列番号6)をTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。
5'-AAGCTTggcggcggcagcggcggcggcagcctgaccgataccctgcaggcggaaaccgatcagctggaagataaaaaaagcgcgctgcagaccgaaattgcgaacctgctgaaagaaaaagaaaaactggaatttattctggcggcgtattaaC-3' [配列番号5]
5'-TTAAGttaatacgccgccagaataaattccagtttttctttttctttcagcaggttcgcaatttcggtctgcagcgcgctttttttatcttccagctgatcggtttccgcctgcagggtatcggtcaggctgccgccgccgctgccgccgccA-3' [配列番号6]
このDNA断片(2本鎖)を、pETDuet-busGDH/ppuDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl II の認識サイトに挿入することによって、His-busGDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Fos配列[配列番号7]を融合した融合タンパク質とppuDpの共発現ベクターpETDuet-busGDH-Fos/ppuDpを作製する。
次に、5'末端リン酸化合成オリゴDNA(以下の配列番号8及び配列番号9)をTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。
5'-TCGAGggcggcggcagcggcggcggcagccgtattgcgcgtctggaagaaaaagtgaaaaccctgaaagcgcagaacagcgaactggcgagcaccgcgaacatgctgcgtgaacaggtggcgcagctgaaacagaaagtgatgaactattaaC-3' [配列番号8]
5'-CTAGGttaatagttcatcactttctgtttcagctgcgccacctgttcacgcagcatgttcgcggtgctcgccagttcgctgttctgcgctttcagggttttcactttttcttccagacgcgcaatacggctgccgccgccgctgccgccgccC-3' [配列番号9]
このDNA断片(二本鎖)を、pETDuet-busGDH-Fos/ppuDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-busGDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Fos配列[配列番号7]を融合した融合タンパク質とppuDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Jun配列[配列番号10]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-busGDH-Fos/ppuDp-Jun [配列番号11]を作製する。
次にBacillus subtilis [ATCC 27370]のゲノムDNA鋳型にして、以下の配列番号12の合成オリゴDNA及び以下の配列番号2のDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、805bpのDNA増幅産物を得る。
5'- aataatCCATGGcgccggatttaaaaggaaaagtcgtcgctattacagga-3' (Nco I) [配列番号12]
5'-aataatAAGCTTaccgcggcctgcctggaatgaaggatattg-3' (HindIII) [配列番号2]
このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、busGDH発現ベクターpCDFDuet-busGDHを作製する。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]のゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGcttgtgaatgtactgatcgtccacgctcac-3' (NdeI) [配列番号3]
5'-aataatCTCGAGtcacgtcagcgggtacaacgcttcatcgaa-3' (XhoI) [配列番号13]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-busGDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、busGDH、ppuDp共発現ベクターpCDFDuet-busGDH-ppuDp [配列番号14]を作製する。
発現ベクターpETDuet-busGDH-Fos/ppuDp-JunおよびpCDFDuet-busGDH-ppuDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
[比較例1]対照としてのbusGDHおよびppuDpの調製
Bacillus subtilis [ATCC 27370]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、約800bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATatgtatccggatttaaaaggaaaagtcgtcgct-3' (NdeI)[配列番号17]
5'-aataatCTCGAGaccgcggcctgcctggaatgaaggatattg-3' (XhoI)[配列番号18]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、busGDH-His発現ベクターpET21-busGDHを作製する。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、配列番号3の合成オリゴDNA及び配列番号4の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuDp-His発現ベクターpET21-ppuDpを作製する。
発現ベクターpET21-busGDHおよびpET21-ppuDpをそれぞれ個別に、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
これらの形質転換体を個々に用いて方法2により酵素を調製した。
(実施例2)グルコースセンサー
酵素電極の構成を図12に模式的に示す。導電性基体20は直径3mmのグラッシーカーボンである。導電性基体20上には、実施例1で調製したBacillus subtilis由来のグルコースデヒドロゲナーゼ(busGDH)とPseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)との会合タンパク質(His-busGDH/ppuDp)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)を用いた架橋により以下の配合比で固定されている。
・His-busGDH-Fos/ppuDp-Jun(busGDH:0.3ユニット、ppuDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
酵素電極部の作製は上記成分の各水溶液を電極上で混合後、室温で2時間以上放置、乾燥させることにより行う。
この酵素電極部を、図10における作用電極4として用いる。また、試料溶液3としては、所定濃度のグルコース、および1mM NADを含む0.1M PIPES−NaOH緩衝水溶液(pH7.5)を用いる。作用電極4に所定の電位を印加すると、試料溶液3中のグルコースはグルコースデヒドロゲナーゼの存在下でグルコノラクトンに酸化され、この反応でNADがNADHに還元される。次に、グルコースデヒドロゲナーゼに会合したジアフォラーゼの存在下でNADHはNADに酸化され、この反応で電子伝達メディエータであるフェロセンが酸化され、フェリシニウムイオンが生成される。作用電極4には参照極6に対して所定の電位が印加されているため、フェリシニウムイオンは作用電極4から電子をうけとりフェロセンに還元される。作用電極4での電子の移動による電流を測定することにより、試料溶液中のグルコース濃度に応じた還元電流の変化を測定するを測定する。
測定結果の一例を図13に示す。図13は、作用電極4において測定された還元電流の変化量とグルコース濃度の関係図(直線のA)である。
(比較例2)グルコースセンサー
基体上に比較例1で調製したBacillus subtilis由来のグルコースデヒドロゲナーゼ(busGDH)、Pseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)をPEGDEにより以下の配合で架橋固定する以外は実施例2と同様にして酵素電極を得る。
・busGDH:0.3ユニット
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極部を用いて実施例2と同様にしてグルコースセンサーを構成し、作用電極4での電子の移動による電流を測定することにより、試料溶液中のグルコース濃度に応じた還元電流の変化を測定する測定する。
比較例2における測定結果の一例を図13のBとして示すAで示した実施例2の場合よりも比例係数は小さい値である。
実施例2と比較例2から、実施例2のグルコースセンサーの方が、比較例2のグルコースセンサーよりも、グルコース濃度に対する感度が高く、より低濃度のグルコースを定量出来ることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているグルコースデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じである。それにもかかわらず、実施例2の酵素電極においては、グルコースデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例3)グルコース燃料電池
導電性基体として0.5cm2のグラッシーカーボンを用いる以外は実施例2と同様にして酵素電極を作製する。得られた酵素電極は図12の構成を有する。
この酵素電極を、図11のアノード電極として用いて燃料電池を作製する。電解質溶液3は、100mM塩化ナトリウム、5mMグルコース、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)である。アノード電極15とカソード電極16間に所定の電圧を印加し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:988μA/cm2
・最大電力:101μW/cm2
(比較例3)グルコース燃料電池
実施例1の酵素を用いる以外は実施例3と同様にして図14の構成の酵素電極及び図11の構成の燃料電池を作製し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:297μA/cm2
・最大電力:32μW/cm2
実施例3と比較例3から、実施例3のグルコース燃料電池の方が、比較例3のグルコース燃料電池よりも、電流密度が高く、より大きな電流を取り出せることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているグルコースデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じである。それにもかかわらず、実施例3の燃料電池においては、グルコースデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例4)グルコース電気化学反応装置
実施例3で作製した酵素電極を用い図10に示す電気化学反応装置を作製した。100mM塩化ナトリウム、5mMグルコース、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)電解液を試料溶液3として使用し、窒素雰囲気下0.3VvsAg/AgClの電位を100分間印加し、生成物を高速液体クロマトグラフィーで定量する。反応電解液からは、グルコノラクトンが検出され、反応電荷量と、生成グルコノラクトン量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。
(比較例4)グルコース電気化学反応装置
比較例3で作製した酵素電極を用いる以外は実施例4と同様にして、電気化学反応装置を作製し、グルコースを基質としてグルコノラクトンの生産を行った。反応電解液からは、グルコノラクトンが検出され、反応電荷量と、生成グルコノラクトン量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。しかしながら実施例4の場合よりも単位時間あたりの反応電荷量は小さい値であることがわかる。
実施例4と比較例4から、実施例4のグルコース電気化学反応装置の方が、比較例4のグルコース電気化学反応装置よりも、単位時間あたりの反応電荷量が高く、より効率的にグルコースをグルコノラクトンに変換出来ることが明らかとなる。酵素電極上に固定されているグルコースデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じである。それにもかかわらず、実施例4の電気化学反応装置においては、グルコースデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例5)Pyrococcus furiosus由来のグルコースデヒドロゲナーゼ(pfuGDH)とPyrococcus horikoshii由来のジアフォラーゼ(phoDp)との会合タンパク質(His-pfuGDH-FosおよびphoDp-Jun)[配列番号27、28]の調製
Pyrococcus furiosus [ATCC 43587]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、799bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatGGATCCGaacattttaataacagcttcttcaagagga-3' (BamHI) [配列番号19]
5'-aataatAAGCTTaagaagaacgctcctagtcattgctccatc-3' (HindIII) [配列番号20]
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuGDH発現ベクターpETDuet-pfuGDHを作製する。
次にPyrococcus horikoshii KT2440 [ATCC 700860]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGaagatagtagttataggatctggaactgct-3' (NdeI) [配列番号21]
5'-aataatCTCGAGtgacttaaattttctcatggccatttc-3' (XhoI) [配列番号22]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-pfuGDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuGDH、phoDp共発現ベクターpETDuet-pfuGDH-phoDpを作製する。
次に、実施例1と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号5の及び配列番号6)を用いてDNA断片を調製する。このDNA断片を、pETDuet-pfuGDH-phoDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-pfuGDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Fos配列[配列番号7]を融合した融合タンパク質とphoDpの共発現ベクターpETDuet-pfuGDH-Fos/phoDpを作製することができる。
次に、実施例1と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号8の及び配列番号9)を用いてDNA断片を調製する。このDNA断片を、pETDuet-pfuGDH-Fos/ppuDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-pfuGDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Fos配列[配列番号7]を融合した融合タンパク質とphoDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Jun配列[配列番号10]を融合した融合タンパク質発現ベクターpETDuet-pfuGDH-Fos/phoDp-Jun [配列番号23]を作製することができる。
次にPyrococcus furiosus [ATCC 43587]のゲノムDNA鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、797bpのDNA増幅産物を得る。
5'- aataatCCATGGcgattttaataacagcttcttcaagaggaataggcttc-3' (Nco I) [配列番号24]
5'-aataatAAGCTTaagaagaacgctcctagtcattgctccatc-3' (HindIII) [配列番号20]
このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuGDH発現ベクターpCDFDuet-pfuGDHを作製する。
次にPyrococcus horikoshii KT2440 [ATCC 700860]のゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGaagatagtagttataggatctggaactgct-3' (NdeI) [配列番号21]
5'-aataatCTCGAGtcatgacttaaattttctcatggccatttc-3' (XhoI) [配列番号25]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-pfuGDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuGDH、phoDp共発現ベクターpCDFDuet-pfuGDH-phoDp [配列番号26]を作製する。
発現ベクターpETDuet-pfuGDH-Fos/phoDp-JunおよびpCDFDuet-pfuGDH-phoDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
(比較例5)対照としてのpfuGDHおよびphoDpの調製
Pyrococcus furiosus [ATCC 43587]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、約800bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATatgaacattttaataacagcttcttcaagagga-3' (NdeI)[配列番号29]
5'-aataatCTCGAGaagaagaacgctcctagtcattgctccatc-3' (XhoI)[配列番号30]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuGDH-His発現ベクターpET21-pfuGDHを作製する。
次にPyrococcus horikoshii KT2440 [ATCC 700860]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、配列番号21の合成オリゴDNA及び配列番号22の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、phoDp-His発現ベクターpET21-phoDpを作製する。
発現ベクターpET21-pfuGDHおよびpET21-phoDpをそれぞれ個別に、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
これらの形質転換体を個々に用いて方法2により酵素を調製した。
(実施例6)グルコースセンサー
実施例5で調製した酵素を用いる以外は実施例2と同様にして図12の構成の酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-pfuGDH-Fos/phoDp-Jun(pfuGDH:0.3ユニット、phoDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
次に、この酵素電極を用いる以外は実施例2と同様にしてグルコースセンサーを構成し、試料溶液中のグルコース濃度に応じた還元電流を測定する。実施例6における測定結果の一例を図13のC(Aよりも傾きは大きくなる。)として示す。
(比較例6)グルコースセンサー
比較例5で調製した酵素を用いる以外は実施例6と同様にして図14の構成の酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・pfuGDH:0.3ユニット
・phoDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を用いる以外は実施例6と同様にして図10の構成のグルコースセンサーを構成し、試料溶液中のグルコース濃度に応じた還元電流を測定する。
比較例6における測定結果の一例を図13のDに示す。Cで示した実施例6の場合よりも比例係数は小さい値であった。実施例6と比較例6から、実施例6のグルコースセンサーの方が、比較例6のグルコースセンサーよりも、グルコース濃度に対する感度が高く、より低濃度のグルコースを定量出来ることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているグルコースデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じである。それにもかかわらず、実施例6の酵素電極においては、グルコースデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例7)グルコース燃料電池
実施例5で調製した酵素を用いる以外は実施例3と同様にして図12の構成の酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-pfuGDH-Fos/phoDp-Jun(pfuGDH:0.3ユニット、phoDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を用いる以外は実施例3と同様にして、図10の構成の燃料電池を構成し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:1321μA/cm2
・最大電力:126μW/cm2
(比較例7)グルコース燃料電池
比較例5で調製した酵素を用いる以外は実施例7と同様にして図14の構成の酵素電極を作製する。酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・pfuGDH:0.3ユニット
・phoDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を用いる以外は実施例7と同様にして燃料電池を構成し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:423μA/cm2
・最大電力:41μW/cm2
実施例7と比較例7から、実施例7のグルコース燃料電池の方が、比較例7のグルコース燃料電池よりも、電流密度が高く、より大きな電流を取り出せることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているグルコースデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じである。それにもかかわらず、実施例7の燃料電池においては、グルコースデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例8)グルコース電気化学反応装置
実施例7で作製した酵素電極を用いる以外は、実施例4と同様にして図10に示す構成の電気化学反応装置を構成し、電気化学反応を行った。反応電解液からは、グルコノラクトンが検出され、反応電荷量と、生成グルコノラクトン量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。
(比較例8)グルコース電気化学反応装置
比較例7で作製した酵素電極を用いる以外は、実施例8と同様にして図10に示す構成の電気化学反応装置を構成し、電気化学反応を行った。反応電解液からは、グルコノラクトンが検出され、反応電荷量と、生成グルコノラクトン量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。しかしながら実施例8の場合よりも単位時間あたりの反応電荷量は小さい値であることがわかる。
実施例8と比較例8から、実施例8のグルコース電気化学反応装置の方が、比較例8のグルコース電気化学反応装置よりも、単位時間あたりの反応電荷量が高く、より効率的にグルコースをグルコノラクトンに変換出来ることが明らかとなる。酵素電極上に固定されているグルコースデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じである。それにもかかわらず、実施例8の電気化学反応装置においては、グルコースデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例9)Saccharomyces cerevisiae由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(sceADH)とPseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)との会合タンパク質(His-sceADH-FosおよびppuDp-Jun)[配列番号36、16]の調製
Saccharomyces cerevisiae [ATCC 47058]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1075bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatGGATCCGccttcgcaagtcattcctgaaaaacaaaag-3' (BamHI) [配列番号31]
5'-aataatAAGCTTtttagaagtctcaacaacatatctaccaac-3' (HindIII) [配列番号32]
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-sceADH発現ベクターpETDuet-sceADHを作製する。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、配列番号3の合成オリゴDNA及び配列番号4の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-sceADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-sceADH、ppuDp共発現ベクターpETDuet-sceADH-ppuDpを作製する。
次に、実施例1と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号5の及び配列番号6)を用いてDNA断片を調製する。このDNA断片を、pETDuet-sceADH-ppuDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-sceADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Fos配列[配列番号7]を融合した融合タンパク質とppuDp共発現ベクターpETDuet-sceADH-Fos/ppuDpを作製することができる。
次に、実施例1と同様にして、5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号8および配列番号9)からDNA断片を調製する。このDNA断片を、pETDuet-sceADH-Fos/ppuDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-sceADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Fos配列[配列番号7]を融合した融合タンパク質とppuDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Jun配列[配列番号10]を融合した融合タンパク質発現ベクターpETDuet-busGDH-Fos/ppuDp-Jun [配列番号33]を作製することができる。
次にSaccharomyces cerevisiae [ATCC 47058]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'- aataatCCATGGcgtcgcaagtcattcctgaaaaacaaaaggct-3' (Nco I) [配列番号34]、および
5'-aataatAAGCTTtttagaagtctcaacaacatatctaccaac-3' (HindIII) [配列番号32]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1073bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、sceADH発現ベクターpCDFDuet-sceADHを作製する。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]のゲノムDNAを鋳型にして、配列番号3の合成オリゴDNA及び配列番号13の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-sceADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、sceADH、ppuDp共発現ベクターpCDFDuet-sceADH-ppuDp [配列番号35]を作製する。
発現ベクターpETDuet-sceADH-Fos/ppuDp-JunおよびpCDFDuet-sceADH-ppuDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
[比較例9]対照としてのsceADHおよびppuDpの調製
Saccharomyces cerevisiae [ATCC 47058]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATatgccttcgcaagtcattcctgaaaaacaaaag-3' (NdeI)[配列番号37]および
5'-aataatCTCGAGtttagaagtctcaacaacatatctaccaac-3' (XhoI)[配列番号38]
をプライマーとして用いてPCRを行い、約1074bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、sceADH-His発現ベクターpET21-sceADHを作製する。
次に、Pseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、配列番号3の合成オリゴDNAおよび配列番号4の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuDp-His発現ベクターpET21-ppuDpを作製する。
発現ベクターpET21-sceADHおよびpET21-ppuDpをそれぞれ個別に、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
これらの形質転換体を個々に用いて方法2により酵素を調製した。
(実施例10)アルコールセンサー
導電性基体20は直径3mmのグラッシーカーボンであり、導電性基体20上に実施例9で調製したSaccharomyces cerevisiae由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(sceADH)とPseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)との会合タンパク質(His-sceADH-Fos/ppuDp-Jun)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-sceADH-Fos/ppuDp-Jun(sceADH:0.3ユニット、ppuDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってアルコールセンサーを構成する。試料溶液3としては、所定濃度のアルコール(エタノール)、および1mM NADを含む0.1M PIPES−NaOH緩衝水溶液(pH7.5)を用いる。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位を印加する。このとき、試料溶液3中のアルコールはアルコールデヒドロゲナーゼの存在下でアセトアルデヒドに酸化され、この反応でNADがNADHに還元される。次にアルコールデヒドロゲナーゼに会合したジアフォラーゼの存在下でNADHはNADに酸化され、この反応で電子伝達メディエータであるフェロセンが酸化され、フェリシニウムイオンが生成される。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位が印加されているため、フェリシニウムイオンは作用電極4から電子をうけとりフェロセンに還元される。作用電極4での電子の移動による電流を測定することにより、試料溶液中のアルコール濃度に応じた還元電流を測定する。
[比較例10]アルコールセンサー
比較例9で調製した酵素を用いた以外は、実施例10と同様にして酵素電極を作製し、更に、図10に示す構成のセンサーを作製する。酵素電極の各成分の配合は以下のとおりである。
・sceADH:0.3ユニット
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
このセンサーを用いて実施例10と同様にしてエタノールに応じた還元電流の変化を測定する。実施例10と比較例10における測定結果の相違は、図10のAとBの相違に類似する。
実施例10と比較例10から、実施例10のアルコールセンサーの方が、比較例10のアルコールセンサーよりも、アルコール濃度に対する感度が高く、より低濃度のアルコールを定量出来ることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているアルコールデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例10の酵素電極においては、アルコールデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例11)アルコール燃料電池
導電性基体20は0.5cm2のグラッシーカーボンであり、導電性基体20上に実施例9で調製したSaccharomyces cerevisiae由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(sceADH)とPseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)との会合タンパク質(His-sceADH-Fos::ppuDp-Jun)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-sceADH::ppuDp(sceADH:0.3ユニット、ppuDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を図11のアノード電極として用いて燃料電池を作製する。電解質溶液3は、100mM塩化ナトリウム、5mMアルコール(エタノール)、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)である。アノード電極15とカソード電極16間に所定の電圧を印加し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
短絡電流密度:821μA/cm2
最大電力:80μW/cm2
[比較例11]アルコール燃料電池
比較例9で調製した酵素を用いる以外は実施例11と同様にして酵素電極を作製する。酵素電極に固定した成分の配合は以下のとおりである。
・sceADH:0.3ユニット
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を用いる以外は実施例11と同様にして図11に示す構成の燃料電池を作製し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:246μA/cm2
・最大電力:25μW/cm2
実施例11と比較例11から、実施例11のアルコール燃料電池の方が、比較例11のアルコール燃料電池よりも、電流密度が高く、より大きな電流を取り出せることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているアルコールデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例11の燃料電池においては、アルコールデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例12)アルコール電気化学反応装置
実施例11で作製した酵素電極を用い、図10n構成の電気化学反応装置を作製する。100mM塩化ナトリウム、5mMアルコール、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)電解液を試料溶液3として使用し、所定の条件で電位を印加し、生成物を液体高速クロマトグラフィーで定量する。反応電解液からは、反応電解液からは、アセトアルデヒドが検出され、反応電荷量と、生成アセトアルデヒド量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。
[比較例12]アルコール電気化学反応装置
比較例11で作製した酵素電極を用いる以外は、実施例12と同様にして図10に示す構成の電気化学反応装置を構成し、電気化学反応を行った。反応電解液からは、アセトアルデヒドが検出され、反応電荷量と、生成アセトアルデヒド量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。しかしながら実施例12の場合よりも単位時間あたりの反応電荷量は小さい値であることがわかる。
実施例12と比較例12から、実施例12のアルコール電気化学反応装置の方が、比較例12のアルコール電気化学反応装置よりも、単位時間あたりの反応電荷量が高く、より効率的にアルコールをアセトアルデヒドに変換出来ることが明らかとなる。酵素電極上に固定されているアルコールデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例12の電気化学反応装置においては、アルコールデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例13)Pyrococcus furiosus由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(pfuADH)とPyrococcus horikoshii由来のジアフォラーゼ(phoDp)との会合タンパク質(His-pfuADH-Fos/phoDp-Jun)[配列番号44、28]の調製
Pyrococcus furiosus [ATCC 43587]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatGGATCCGtttttcctaaagactaagattatcgaggga-3' (BamHI) [配列番号39]、および
5'-aataatAAGCTTatctccatagaaggccctctcataaattct-3' (HindIII) [配列番号40]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1147bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuADH発現ベクターpETDuet-pfuADHを作製する。
次にPyrococcus horikoshii KT2440 [ATCC 700860]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、配列番号21の合成オリゴDNAおよび配列番号22の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-pfuADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuADH、phoDp共発現ベクターpETDuet-pfuADH-phoDpを作製する。
次に、実施例1と同様にして、5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号5および配列番号6)を用いてDNA断片(二本鎖)を調製する。このDNA断片を、pETDuet-pfuADH-phoDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-pfuADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Fos配列[配列番号7]を融合した融合タンパク質とphoDpの共発現ベクターpETDuet-pfuADH-Fos/phoDpを作製することができる。
次に、実施例1と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号8および配列番号9)からDNA断片(二本鎖)を調製する。このDNA断片を、pETDuet-pfuADH-Fos/ppuDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-pfuADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Fos配列[配列番号7]を融合した融合タンパク質とphoDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGS−Jun配列[配列番号10]を融合した融合タンパク質発現ベクターpETDuet-pfuADH-Fos/phoDp-Jun [配列番号41]を作製することができる。
次にPyrococcus furiosus [ATCC 43587]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'- aataatCCATGGcgttcctaaagactaagattatcgagggaagg-3' (Nco I) [配列番号42]、および
5'-aataatAAGCTTatctccatagaaggccctctcataaattct-3' (HindIII) [配列番号40]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1145bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuADH発現ベクターpCDFDuet-pfuADHを作製する。
次にPyrococcus horikoshii KT2440 [ATCC 700860]のゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA配列番号21および配列番号25をプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-pfuADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuADH、phoDp共発現ベクターpCDFDuet-pfuADH-phoDp [配列番号43]を作製する。
発現ベクターpETDuet-pfuADH::phoDpおよびpCDFDuet-pfuADH-phoDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。こうして得られる好熱菌由来の酵素を用いて、酵素電極等を構成することができる。
(実施例17)Lactobacillus plantarum由来の乳酸デヒドロゲナーゼ(lplLDH)とGluconobacter oxydans由来のジアフォラーゼ(goxDp)との会合タンパク質(His-lplLDH-Dzip1およびgoxDp-Dzip2)[配列番号61、62]の調製
Lactobacillus plantarum [ATCC 10241]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatGGATCCGtcaagcatgccaaatcatcaaaaagttgtg-3' (BamHI) [配列番号47]、および
5'-aataatAAGCTTtttattttctaattcagctaaaccgtcgtt-3' (HindIII) [配列番号48]
をプライマーとして用いてPCRを行い、982bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-lplLDH発現ベクターpETDuet-lplLDHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA配列番号49および配列番号50をプライマーとして用いてPCRを行い、1428bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-lplLDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-lplLDH、goxDp共発現ベクターpETDuet-lplLDH-goxDpを作製する。
次に5'末端リン酸化合成オリゴDNA:
5'-AGCTTggcggcggcagcggcggcggcagcggcggcggcagcaccgtggcgcagctggaagaaaaagtgaaaaccctgcgtgcgcagaactatgaactgaaaagccgtgtgcagcgtctgcgtgaacaggtggcgcagctggcgtaaC -3' [配列番号51]、および
5'-TTAAGttacgccagctgcgccacctgttcacgcagacgctgcacacggcttttcagttcatagttctgcgcacgcagggttttcactttttcttccagctgcgccacggtgctgccgccgccgctgccgccgccgctgccgccgccA -3' [配列番号52]
をTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。このDNA断片を、pETDuet-lplLDH-goxDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入することによって、His-lplLDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とgoxDpの共発現ベクターpETDuet-lplLDH-Dzip1/goxDpを作製する。
次に5'末端リン酸化合成オリゴDNA:
5'-TCGAGggcggcggcagcggcggcggcagcggcggcggcagcagcgtggatgaactgcaggcggaagtggatcagctgcaggatgaaaactatgcgctgaaaaccaaagtggcgcagctgcgtaaaaaagtggaaaaactgtaaC-3' [配列番号54]、および
5'-CTAGGttacagtttttccacttttttacgcagctgcgccactttggttttcagcgcatagttttcatcctgcagctgatccacttccgcctgcagttcatccacgctgctgccgccgccgctgccgccgccgctgccgccgccC-3' [配列番号55]
をTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。
このDNA断片を、pETDuet-lplLDH-goxDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-lplLDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とgoxDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-lplLDH-Dzip1/goxDp-Dzip2[配列番号57]を作製する。
次にLactobacillus plantarum [ATCC 10241]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'- aataatCCATGGcgagcatgccaaatcatcaaaaagttgtgtta-3' (Nco I) [配列番号58]、および
5'-aataatAAGCTTtttattttctaattcagctaaaccgtcgtt-3' (HindIII) [配列番号48]
をプライマーとして用いてPCRを行い、980bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、lplLDH発現ベクターpCDFDuet-lplLDHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]のゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATATGtgcgatacgttcgatctgattgttgttggt-3' (NdeI) [配列番号49]、および
5'-aataatCTCGAGtcagatatgcagcgggccgtcgaaggccgc-3' (XhoI) [配列番号59]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1428bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-lplLDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、lplLDH、goxDp共発現ベクターpCDFDuet-lplLDH-goxDp [配列番号60]を作製する。
発現ベクターpETDuet-lplLDH-Dzip1/goxDp-Dzip2およびpCDFDuet-lplLDH-goxDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
[比較例17]対照としてのlplLDHおよびgoxDpの調製
Lactobacillus plantarum [ATCC 10241]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATatgtcaagcatgccaaatcatcaaaaagttgtg-3' (NdeI)[配列番号63]および
5'-aataatCTCGAGtttattttctaattcagctaaaccgtcgtt-3' (XhoI)[配列番号64]
をプライマーとして用いてPCRを行い、約980bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、lplLDH-His発現ベクターpET21-lplLDHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATATGtgcgatacgttcgatctgattgttgttggt-3' (NdeI) [配列番号49]、および
5'-aataatCTCGAGgatatgcagcgggccgtcgaaggccgccag-3' (XhoI) [配列番号50]
をプライマーとして用いてPCRを行い、約1428bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、goxDp-His発現ベクターpET21-goxDpを作製する。
発現ベクターpET21-lplLDHおよびpET21-goxDpをそれぞれ個別に、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
これらの形質転換体を個々に用いて方法2により酵素を調製した。
(実施例18)乳酸センサー
導電性基体20は直径3mmのグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例17で調製したLactobacillus plantarum由来の乳酸デヒドロゲナーゼ(lplLDH)とGluconobacter oxydans由来のジアフォラーゼ(goxDp)との会合タンパク質(His-lplLDH-Dzip1/goxDp-Dzip2)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-lplLDH-Dzip1/goxDp-Dzip2(lplLDH:0.3ユニット、goxDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによって乳酸センサーを構成する。試料溶液3としては、所定濃度の乳酸(L‐乳酸)、および1mM NADを含む0.1M PIPES−NaOH緩衝水溶液(pH7.5)を用いる。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位を印加する。このとき、試料溶液3中の乳酸は乳酸デヒドロゲナーゼの存在下でピルビン酸に酸化され、この反応でNADがNADHに還元される。次に前記乳酸デヒドロゲナーゼに会合したジアフォラーゼの存在下でNADHはNADに酸化され、この反応で電子伝達メディエータであるフェロセンが酸化され、フェリシニウムイオンが生成される。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位が印加されているため、フェリシニウムイオンは作用電極4から電子をうけとりフェロセンに還元される。作用電極4での電子の移動による電流を測定することにより、試料溶液中の乳酸濃度に応じた還元電流を測定する。
[比較例18] 乳酸センサー
比較例17で調製した酵素を用いる以外は実施例18と同様にして図26の構成の酵素電極を作製する。酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・lplLDH:0.3ユニット
・goxDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによって乳酸センサーを構成し、実施例18と同様にして乳酸濃度に応じた還元電流の変化を測定する。
実施例18と比較例18における測定結果の相違は、図13のAとBの相違に類似する。
(実施例19)乳酸燃料電池
導電性基体20は0.5cm2のグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例17で調製したLactobacillus plantarum由来の乳酸デヒドロゲナーゼ(lplLDH)とGluconobacter oxydans由来のジアフォラーゼ(goxDp)との会合タンパク質(His-lplLDH-Dzip1/goxDp-Dzip2)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-lplLDH-Dzip1/goxDp-Dzip2(lplLDH:0.3ユニット、goxDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を図11のアノード電極として用いて燃料電池を作製する。電解質溶液3は、100mM塩化ナトリウム、5mM乳酸(L‐乳酸)、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)である。アノード電極15とカソード電極16の間に所定の電圧を印加し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:1331μA/cm2
・最大電力:121μW/cm2
[比較例19]乳酸燃料電池
比較例17で調製した酵素を用いる以外は実施例19と同様にして図26に示す構成の酵素電極を作製した。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・lplLDH:0.3ユニット
・goxDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を用いる以外は実施例19と同様にして図11に示す構成の燃料電池を作製し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:397μA/cm2
・最大電力:38μW/cm2
実施例19と比較例19から、実施例19の乳酸燃料電池の方が、比較例19の乳酸燃料電池よりも、電流密度が高く、より大きな電流を取り出せることが明らかとなった。酵素電極上に固定されている乳酸デヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例19の燃料電池においては、乳酸デヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例20)乳酸電気化学反応装置
実施例19で作製した酵素電極を用い図10に示す電気化学反応装置を作製する。100mM塩化ナトリウム、5mM乳酸(L‐乳酸)、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)電解液を試料溶液3として使用し、窒素雰囲気下0.3VvsAg/AgClの電位を100分間印加し、生成物を高速液体クロマトグラフィーで定量する。反応電解液からは、ピルビン酸が検出され、反応電荷量と、生成ピルビン酸量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。
[比較例20] 乳酸電気化学反応装置
比較例19で作製した酵素電極を用いる以外は実施例20と同様にして図10に示す電気化学反応装置を作製し、電気化学反応を行なう。反応電解液からは、ピルビン酸が検出され、反応電荷量と、生成ピルビン酸量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。しかしながら実施例20の場合よりも単位時間あたりの反応電荷量は小さい値であることがわかる。
実施例20と比較例20から、実施例20の乳酸電気化学反応装置の方が、比較例20の乳酸電気化学反応装置よりも、単位時間あたりの反応電荷量が高く、より効率的に乳酸をピルビン酸に変換出来ることが明らかとなる。酵素電極上に固定されている乳酸デヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例20の電気化学反応装置においては、乳酸デヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例21)Thermotoga maritima由来の乳酸デヒドロゲナーゼ(tmaLDH)とThermotoga maritima由来のジアフォラーゼ(tmaDp)との会合タンパク質(His-tmaLDH-Dzip1およびtmaDp-Dzip2)[配列番号73、74]の調製
Thermotoga maritima [ATCC 43589]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatGGATCCGaaaataggtatcgtaggactcggaagggtt-3' (BamHI) [配列番号65]、および
5'-aataatAAGCTTaccgctggtgttctggtgcttgttctcttc-3' (HindIII) [配列番号66]
をプライマーとして用いてPCRを行い、979bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-tmaLDH発現ベクターpETDuet-tmaLDHを作製する。
次にThermotoga maritima [ATCC 43589]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATATGtacgatgctgtgatcataggaggaggaccc-3' (NdeI) [配列番号67]、および
5'-aataatCTCGAGcagatgaatgggttttcctgagaccccttc-3' (XhoI) [配列番号68]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1371bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-tmaLDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-tmaLDH、tmaDp共発現ベクターpETDuet-tmaLDH-tmaDpを作製する。
次に、実施例15と同様にして配列番号51および配列番号52からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-tmaLDH-tmaDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-tmaLDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtmaDpの共発現ベクターpETDuet-tmaLDH-Dzip1/tmaDpを作製することができる。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA配列番号54および配列番号55からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-tmaLDH-Dzip1/tmaDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-tmaLDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtmaDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-tmaLDH-Dzip1/tmaDp-Dzip2[配列番号69]を作製することができる。
次にThermotoga maritima [ATCC 43589]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'- aataatCCATGGcgataggtatcgtaggactcggaagggttggt-3' (Nco I) [配列番号70]、および
5'-aataatAAGCTTatctccatagaaggccctctcataaattct-3' (HindIII) [配列番号66]
をプライマーとして用いてPCRを行い、977bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、tmaLDH発現ベクターpCDFDuet-tmaLDHを作製する。
次にThermotoga maritima [ATCC 43589]のゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATATGtacgatgctgtgatcataggaggaggaccc-3' (NdeI) [配列番号67]、および
5'-aataatCTCGAGtcacagatgaatgggttttcctgagacccc-3' (XhoI) [配列番号71]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1371bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-tmaLDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、tmaLDH、tmaDp共発現ベクターpCDFDuet-tmaLDH-tmaDp [配列番号72]を作製する。
発現ベクターpETDuet-tmaLDH-Dzip1/tmaDp-Dzip2およびpCDFDuet-tmaLDH-tmaDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。こうして得られる好熱菌由来の酵素を用いて、酵素電極等を構成することができる。
(実施例25)Pseudomonas putida由来のリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(ppuMDH)とGluconobacter oxydans由来のジアフォラーゼ(goxDp)との会合タンパク質(His-ppuMDH-Dzip1およびgoxDp-Dzip2)[配列番号82、62]の調製
Pseudomonas putida [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatGGATCCGtcagacctgaaaaccgccgctctcgaatat-3' (BamHI) [配列番号77]、および
5'-aataatAAGCTTgccgttgaacacttcatccacgctggtcag-3' (HindIII) [配列番号78]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1288bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-ppuMDH発現ベクターpETDuet-ppuMDHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号49および配列番号50)をプライマーとして用いてPCRを行い、1428bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-ppuMDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-ppuMDH、goxDp共発現ベクターpETDuet-ppuMDH-goxDpを作製する。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号51および配列番号52)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-ppuMDH-goxDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-ppuMDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とgoxDpの共発現ベクターpETDuet-ppuMDH-Dzip1/goxDpを作製することができる。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号54および配列番号55)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-ppuMDH-Dzip1/goxDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入する。その結果、His-ppuMDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とgoxDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-ppuMDH-Dzip1/goxDp-Dzip2[配列番号79]を作製する。
次にPseudomonas putida [ATCC 47054]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'- aataatCCATGGcggacctgaaaaccgccgctctcgaatatcac-3' (Nco I) [配列番号80]、および
5'-aataatAAGCTTgccgttgaacacttcatccacgctggtcag-3' (HindIII) [配列番号78]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1286bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuMDH発現ベクターpCDFDuet-ppuMDHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]のゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号49および配列番号59)をプライマーとして用いてPCRを行い、1428bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-ppuMDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuMDH、goxDp共発現ベクターpCDFDuet-ppuMDH-goxDp [配列番号81]を作製する。
発現ベクターpETDuet-ppuMDH-Dzip1/goxDp-Dzip2およびpCDFDuet-ppuMDH-goxDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
[比較例25]対照としてのppuMDHおよびgoxDpの調製
Pseudomonas putida [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATatgtcagacctgaaaaccgccgctctcgaatat-3' (NdeI)[配列番号83]および
5'-aataatCTCGAGgccgttgaacacttcatccacgctggtcag-3' (XhoI)[配列番号84]
をプライマーとして用いてPCRを行い、約1290bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuMDH-His発現ベクターpET21-ppuMDHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号49および配列番号50)をプライマーとして用いてPCRを行い、約1420bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、goxDp-His発現ベクターpET21-goxDpを作製する。
発現ベクターpET21-ppuMDHおよびpET21-goxDpをそれぞれ個別に、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
これらの形質転換体を個々に用いて方法2により酵素を調製した。
(実施例26)リンゴ酸センサー
酵素電極の構成を図30に示す。導電性基体20は直径3mmのグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例25で調製したPseudomonas putida由来のリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(ppuMDH)とGluconobacter oxydans由来のジアフォラーゼ(goxDp)との会合タンパク質(His-ppuMDH-Dzip1/goxDp-Dzip2)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-ppuMDH-Dzip1/goxDp-Dzip2(ppuMDH:0.3ユニット、goxDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってリンゴ酸センサーを構成する。試料溶液3としては、所定濃度のリンゴ酸、および1mM NADを含む0.1M PIPES−NaOH緩衝水溶液(pH7.5)を用いる。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位を印加する。このとき、試料溶液3中のリンゴ酸はリンゴ酸デヒドロゲナーゼの存在下でピルビン酸に酸化され、この反応でNADがNADHに還元される。次に前記リンゴ酸デヒドロゲナーゼに会合したジアフォラーゼの存在下でNADHはNADに酸化され、この反応で電子伝達メディエータであるフェロセンが酸化され、フェリシニウムイオンが生成される。(作用電極4には参照極6に対して300mVの電位が印加されているため、)フェリシニウムイオンは作用電極4から電子をうけとりフェロセンに還元される。作用電極4での電子の移動による電流を測定することにより、試料溶液中のリンゴ酸濃度に応じた還元電流を測定する。
[比較例26]リンゴ酸センサー
比較例25で調製した酵素を用いる以外は実施例26と同様にして図32の構成の酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・ppuMDH:0.3ユニット
・goxDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってリンゴ酸センサーを構成し、実施例26と同様にして試料溶液中のリンゴ酸濃度に応じた還元電流の変化を測定する。実施例26と比較例26における相違は、図13のAとBの相違に類似する。
(実施例27)リンゴ酸燃料電池
図30に酵素電極の構成を示す。導電性基体20は0.5cm2のグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例25で調製したPseudomonas putida由来のリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(ppuMDH)とGluconobacter oxydans由来のジアフォラーゼ(goxDp)との会合タンパク質(His-ppuMDH-Dzip1/goxDp-Dzip2)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-ppuMDH-Dzip1/goxDp-Dzip2(ppuMDH:0.3ユニット、goxDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を図11のアノード電極として用いて燃料電池を作製する。電解質溶液3は、100mM塩化ナトリウム、5mMリンゴ酸、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)である。アノード電極15とカソード電極16の間に所定の電圧を印加し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:1026μA/cm2
・最大電力:99μW/cm2
[比較例27]リンゴ酸燃料電池
比較例25で調製した酵素を用いる以外は実施例27と同様にして酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・ppuMDH:0.3ユニット
・goxDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を用いて図11の構成の燃料電池を作製する。電解質溶液3として、100mM塩化ナトリウム、5mMリンゴ酸、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)を用いる以外は実施例27と同様にして、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:298μA/cm2
・最大電力:31μW/cm2
実施例27と比較例27から、実施例27のリンゴ酸燃料電池の方が、比較例27のリンゴ酸燃料電池よりも、電流密度が高く、より大きな電流を取り出せることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているリンゴ酸デヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例27の燃料電池においては、リンゴ酸デヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例28)リンゴ酸電気化学反応装置
実施例27で作製した酵素電極を用い図10に示す電気化学反応装置を作製する。100mM塩化ナトリウム、5mMリンゴ酸、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)電解液を試料溶液3として使用し、窒素雰囲気下0.3VvsAg/AgClの電位を100分間印加し、生成物を高速液体クロマトグラフィーで定量する。反応電解液からは、ピルビン酸が検出され、反応電荷量と、生成ピルビン酸量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。
[比較例28]リンゴ酸電気化学反応装置
比較例27で作製した酵素電極を用いる以外は実施例28と同様にして図10の構成の電気化学反応装置を作製し、電気化学反応を行なう。反応電解液からは、ピルビン酸が検出され、反応電荷量と、生成ピルビン酸量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。しかしながら実施例28の場合よりも単位時間あたりの反応電荷量は小さい値であることがわかる。
実施例28と比較例28から、実施例28のリンゴ酸電気化学反応装置の方が、比較例28のリンゴ酸電気化学反応装置よりも、単位時間あたりの反応電荷量が高く、より効率的にリンゴ酸をピルビン酸に変換出来ることが明らかとなる。酵素電極上に固定されているリンゴ酸デヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例28の電気化学反応装置においては、リンゴ酸デヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例29)Pyrococcus furiosus由来のリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(pfuMDH)とThermotoga maritima由来のジアフォラーゼ(tmaDp)との会合タンパク質(His-pfuMDH-Dzip1およびtmaDp-Dzip2)[配列番号90、74]の調製
Pyrococcus furiosus [ATCC 43587]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatGGATCCGgctaggatcactgaggaacaaagaaggaaa-3' (BamHI) [配列番号85]、および
5'-aataatAAGCTTagtaatgtactgtttccttctttcatttaa-3' (HindIII) [配列番号86]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1327bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuMDH発現ベクターpETDuet-pfuMDHを作製する。
次にThermotoga maritima [ATCC 43589]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATATGtacgatgctgtgatcataggaggaggaccc-3' (NdeI) [配列番号67]、および
5'-aataatCTCGAGcagatgaatgggttttcctgagacccc-3' (XhoI) [配列番号68]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1371bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-pfuMDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuMDH、tmaDp共発現ベクターpETDuet-pfuMDH-tmaDpを作製する。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号51および配列番号52)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-pfuMDH-tmaDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuMDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtmaDpの共発現ベクターpETDuet-pfuMDH-Dzip1/tmaDpを作製することができる。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号54および配列番号55)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-pfuMDH-Dzip1/tmaDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuMDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtmaDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-pfuMDH-Dzip1/tmaDp-Dzip2[配列番号87]を作製することができる。
次にPyrococcus furiosus [ATCC 43587]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'- aataatCCATGGcgaggatcactgaggaacaaagaaggaaactt-3' (Nco I) [配列番号88]、および
5'-aataatAAGCTTagtaatgtactgtttccttctttcatttaa-3' (HindIII) [配列番号86]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1325bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuMDH発現ベクターpCDFDuet-pfuMDHを作製する。
次にThermotoga maritima [ATCC 43589]のゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATATGtacgatgctgtgatcataggaggaggaccc-3' (NdeI) [配列番号67]、および
5'-aataatCTCGAGtcacagatgaatgggttttcctgagacccc-3' (XhoI) [配列番号71]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1371bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-pfuMDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuMDH、tmaDp共発現ベクターpCDFDuet-pfuMDH-tmaDp [配列番号89]を作製する。
発現ベクターpETDuet-pfuMDH-Dzip1/tmaDp-Dzip2およびpCDFDuet-pfuMDH-tmaDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。こうして得られる好熱菌由来の酵素を用いて酵素電極等を構成できる。
(実施例33)Burkholderia mallei由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(bmaEDH)とGluconobacter oxydans由来のジアフォラーゼ(goxDp)との会合タンパク質(His-bmaEDH-Dzip1およびgoxDp-Dzip2)[配列番号98、62]の調製
Burkholderia mallei [ATCC 23344]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatGGATCCGtcttcgcaatcgcagtccccgtccgtcgcg-3' (BamHI) [配列番号93]、および
5'-aataatAAGCTTggggtacagaccgcgcatttcgcgcgccat-3' (HindIII) [配列番号94]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1324bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-bmaEDH発現ベクターpETDuet-bmaEDHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号49および配列番号50)をプライマーとして用いてPCRを行い、1428bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-bmaEDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-bmaEDH、goxDp共発現ベクターpETDuet-bmaEDH-goxDpを作製する。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号51および配列番号52)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-bmaEDH-goxDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入することによって、His-bmaEDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とgoxDpの共発現ベクターpETDuet-bmaEDH-Dzip1/goxDpを作製することができる。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号54および配列番号55)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-bmaEDH-Dzip1/goxDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-bmaEDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とgoxDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-bmaEDH-Dzip1/goxDp-Dzip2[配列番号95]を作製する。
次にBurkholderia mallei [ATCC 23344]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'- aataatCCATGGcgtcgcaatcgcagtccccgtccgtcgcgcag-3' (Nco I) [配列番号96]、および
5'-aataatAAGCTTggggtacagaccgcgcatttcgcgcgccat-3' (HindIII) [配列番号94]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1322bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、bmaEDH発現ベクターpCDFDuet-bmaEDHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]のゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号49および配列番号59)をプライマーとして用いてPCRを行い、1428bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-bmaEDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、bmaEDH、goxDp共発現ベクターpCDFDuet-bmaEDH-goxDp [配列番号97]を作製する。
発現ベクターpETDuet-bmaEDH-Dzip1/goxDp-Dzip2およびpCDFDuet-bmaEDH-goxDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
[比較例33]対照としてのbmaEDHおよびgoxDpの調製
Burkholderia mallei [ATCC 23344]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATatgtcttcgcaatcgcagtccccgtccgtcgcg-3' (NdeI)[配列番号99]および
5'-aataatCTCGAGggggtacagaccgcgcatttcgcgcgccat-3' (XhoI)[配列番号100]
をプライマーとして用いてPCRを行い、約1320bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、bmaEDH-His発現ベクターpET21-bmaEDHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号49および配列番号50)をプライマーとして用いてPCRを行い、約1420bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、goxDp-His発現ベクターpET21-goxDpを作製する。
発現ベクターpET21-bmaEDHおよびpET21-goxDpをそれぞれ個別に、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
これらの形質転換体を個々に用いて方法2により酵素を調製した。
(実施例34)グルタミン酸センサー
導電性基体20は直径3mmのグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例33で調製したBurkholderia mallei由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(bmaEDH)とGluconobacter oxydans由来のジアフォラーゼ(goxDp)との会合タンパク質(His-bmaEDH-Dzip1/goxDp-Dzip2)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-bmaEDH-Dzip1/goxDp-Dzip2(bmaEDH:0.3ユニット、goxDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってグルタミン酸センサーを構成する。試料溶液3としては、所定濃度のグルタミン酸、および1mM NADを含む0.1M PIPES−NaOH緩衝水溶液(pH7.5)を用いる。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位を印加する。このとき、試料溶液3中のグルタミン酸はグルタミン酸デヒドロゲナーゼの存在下で2−オキソグルタル酸に酸化され、この反応でNADがNADHに還元される。次に前記グルタミン酸デヒドロゲナーゼに会合したジアフォラーゼの存在下でNADHはNADに酸化され、この反応で電子伝達メディエータであるフェロセンが酸化され、フェリシニウムイオンが生成される。(作用電極4には参照極6に対して300mVの電位が印加されているため、)フェリシニウムイオンは作用電極4から電子をうけとりフェロセンに還元される。作用電極4での電子の移動による電流を測定することにより、試料溶液中のグルタミン酸濃度に応じた還元電流を測定する。
[比較例34] グルタミン酸センサー
比較例33で調製した酵素を用いる以外は実施例34と同様にして図38の構成の酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・bmaEDH:0.3ユニット
・goxDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってグルタミン酸センサーを構成し、実施例34と同様にして試料溶液中のグルタミン酸濃度に応じた還元電流の変化を測定する。
実施例34と比較例34との相違は、図13におけるAとBとの相違に類似する。
(実施例35)グルタミン酸燃料電池
酵素電極の構成を図36に示す。導電性基体20は0.5cm2のグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例33で調製したBurkholderia mallei由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(bmaEDH)とGluconobacter oxydans由来のジアフォラーゼ(goxDp)との会合タンパク質(His-bmaEDH-Dzip1/goxDp-Dzip2)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-bmaEDH-Dzip1/goxDp-Dzip2(bmaEDH:0.3ユニット、goxDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を図11のアノード電極として燃料電池を作製する。電解質溶液3は、100mM塩化ナトリウム、5mMグルタミン酸、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)である。アノード電極15とカソード電極16の間に所定の電圧を印加し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:1226μA/cm2
・最大電力:106μW/cm2
[比較例35]グルタミン酸燃料電池
比較例33で調製した酵素を用いる以外は実施例35と同様にして図38の構成の酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・bmaEDH:0.3ユニット
・goxDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を図11のアノードとして燃料電池を作製し、実施例35と同様にして電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:387μA/cm2
・最大電力:34μW/cm2
実施例35と比較例35から、実施例35のグルタミン酸燃料電池の方が、比較例35のグルタミン酸燃料電池よりも、電流密度が高く、より大きな電流を取り出せることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているグルタミン酸デヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例35の燃料電池においては、グルタミン酸デヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例36)グルタミン酸電気化学反応装置
実施例35で作製した酵素電極を用い図10に示す電気化学反応装置を作製する。100mM塩化ナトリウム、5mMグルタミン酸、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)電解液を試料溶液3として使用し、窒素雰囲気下0.3VvsAg/AgClの電位を100分間印加し、生成物を高速液体クロマトグラフィーで定量する。反応電解液からは、2−オキソグルタル酸が検出され、反応電荷量と、生成2−オキソグルタル酸量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。
[比較例36]グルタミン酸電気化学反応装置
比較例35で作製した酵素電極を用いる以外は実施例36と同様にして電気化学反応装置を作製し、電気化学反応を行なう。反応電解液からは、2−オキソグルタル酸が検出され、反応電荷量と、生成2−オキソグルタル酸量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。しかしながら実施例36の場合よりも単位時間あたりの反応電荷量は小さい値であることがわかる。
実施例36と比較例36から、実施例36のグルタミン酸電気化学反応装置の方が、比較例36のグルタミン酸電気化学反応装置よりも、単位時間あたりの反応電荷量が高く、より効率的にグルタミン酸を2−オキソグルタル酸に変換出来ることが明らかとなる。酵素電極上に固定されているグルタミン酸デヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例36の電気化学反応装置においては、グルタミン酸デヒドロゲナーゼとジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、NAD/NADHを介した両酵素間の電子授受が速やかに行われるためと考えられた。
(実施例37)Pyrococcus furiosus由来のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(pfuEDH)とThermotoga maritima由来のジアフォラーゼ(tmaDp)との会合タンパク質(His-pfuEDH-Dzip1およびtmaDp-Dzip2)[配列番号106、74]の調製
Pyrococcus furiosus [ATCC 43587]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatGGATCCGgttgagcaagacccctatgaaattgttatt-3' (BamHI) [配列番号101]、および
5'-aataatAAGCTTgtgcttgacccatccacggtcaagcattgc-3' (HindIII) [配列番号102]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1282bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuEDH発現ベクターpETDuet-pfuEDHを作製する。
次にThermotoga maritima [ATCC 43589]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号67および配列番号68)をプライマーとして用いてPCRを行い、1371bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-pfuEDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuEDH、tmaDp共発現ベクターpETDuet-pfuEDH-tmaDpを作製する。
次に実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号51および配列番号52)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-pfuEDH-tmaDpの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuEDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtmaDpの共発現ベクターpETDuet-pfuEDH-Dzip1/tmaDpを作製することができる。
次に実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号54および配列番号55)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-pfuEDH-Dzip1/tmaDpの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuEDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtmaDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-pfuEDH-Dzip1/tmaDp-Dzip2[配列番号103]を作製することができる。
次にPyrococcus furiosus [ATCC 43587]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'- aataatCCATGGcggagcaagacccctatgaaattgttattaag-3' (Nco I) [配列番号104]、および
5'-aataatAAGCTTgtgcttgacccatccacggtcaagcattgc-3' (HindIII) [配列番号102]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1280bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuEDH発現ベクターpCDFDuet-pfuEDHを作製する。
次にThermotoga maritima [ATCC 43589]のゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号67および配列番号71)をプライマーとして用いてPCRを行い、1371bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-pfuEDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuEDH、tmaDp共発現ベクターpCDFDuet-pfuEDH-tmaDp [配列番号105]を作製する。
発現ベクターpETDuet-pfuEDH-Dzip1/tmaDp-Dzip2およびpCDFDuet-pfuEDH-tmaDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。こうして得られる好熱菌由来の酵素を利用して酵素電極等が構成できる。
(実施例41)Saccharomyces cerevisiae由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(sceADH)とGluconobacter oxydans由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(goxALDH)との会合タンパク質(His-sceADH-Dzip1およびgoxALDH-Dzip2)[配列番号114、115]の調製
Saccharomyces cerevisiae [ATCC 47058]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatGGATCCGccttcgcaagtcattcctgaaaaacaaaag-3' (BamHI) [配列番号31]、および
5'-aataatAAGCTTtttagaagtctcaacaacatatctaccaac-3' (HindIII) [配列番号32]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1075bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-sceADH発現ベクターpETDuet-sceADHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATATGacggcatctctccgttgcgaagtggcagcg-3' (NdeI) [配列番号109]、および
5'-aataatCTCGAGggcgtccgccgaaccgccatacacatcgga-3' (XhoI) [配列番号110]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1560bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-sceADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-sceADH、goxALDH共発現ベクターpETDuet-sceADH-goxALDHを作製する。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号51および配列番号52)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-sceADH-goxALDHの制限酵素Hind IIIおよびAflIIの認識サイトに挿入することによって、His-sceADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とgoxALDHの共発現ベクターpETDuet-sceADH-Dzip1/goxALDHを作製することができる。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号54および配列番号55)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-sceADH-Dzip1/goxALDHの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-sceADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とgoxALDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-sceADH-Dzip1/goxALDH-Dzip2[配列番号111]を作製することができる。
次にSaccharomyces cerevisiae [ATCC 47058]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号34および配列番号32)をプライマーとして用いてPCRを行い、1073bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、sceADH発現ベクターpCDFDuet-sceADHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]のゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATATGacggcatctctccgttgcgaagtggcagcg-3' (NdeI) [配列番号109]、および
5'-aataatCTCGAGtcaggcgtccgccgaaccgccatacacatc-3' (XhoI) [配列番号112]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1560bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-sceADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、sceADH、goxALDH共発現ベクターpCDFDuet-sceADH-goxALDH [配列番号113]を作製する。
発現ベクターpETDuet-sceADH::goxALDHおよびpCDFDuet-sceADH-goxALDHを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号3および配列番号4)をプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuDp-His発現ベクターpET21-ppuDpを作製する。
発現ベクターpET21-ppuDpを、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
[比較例41]対照としてのsceADHおよびgoxALDHの調製
Saccharomyces cerevisiae [ATCC 47058]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号37および配列番号38)をプライマーとして用いてPCRを行い、約1074bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、sceADH-His発現ベクターpET21-sceADHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA:
5'-aataatCATATGacggcatctctccgttgcgaagtggcagcg-3' (NdeI) [配列番号109]、および
5'-aataatCTCGAGggcgtccgccgaaccgccatacacatcgaa-3' (XhoI) [配列番号110]
をプライマーとして用いてPCRを行い、1557bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、goxALDH-His発現ベクターpET21-goxALDHを作製する。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号3および配列番号4)をプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuDp-His発現ベクターpET21-ppuDpを作製する。
発現ベクターpET21-sceADH、pET21-goxALDHおよびpET21-ppuDpをそれぞれ個別に、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
これらの形質転換体を個々に用いて方法2により酵素を調製した。
(実施例42)アルコールセンサー
導電性基体20は直径3mmのグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例41で調製したSaccharomyces cerevisiae由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(sceADH)とGluconobacter oxydans由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(goxALDH)との会合タンパク質(His-sceADH-Dzip1/goxALDH-Dzip2)、Pseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-sceADH-Dzip1/goxALDH-Dzip2(sceADH:0.3ユニット、goxALDH:0.6ユニット)
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってアルコールセンサーを構成する。試料溶液3としては、所定濃度のアルコール(エタノール)、および1mM NADを含む0.1M PIPES−NaOH緩衝水溶液(pH7.5)を用いる。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位を印加する。このとき、試料溶液3中のアルコールはアルコールデヒドロゲナーゼの存在下でアセトアルデヒドに酸化され、この反応でNADがNADHに還元される。次に前記アルコールデヒドロゲナーゼに会合したアルデヒドデヒドロゲナーゼの存在下でアセトアルデヒドはカルボン酸に酸化されると同時にNADがNADHに還元される。アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼの両酵素反応により生成したNADHはジアフォラーゼの存在下でNADに酸化され、この反応で電子伝達メディエータであるフェロセンが酸化され、フェリシニウムイオンが生成される。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位が印加されているため、フェリシニウムイオンは作用電極4から電子をうけとりフェロセンに還元される。作用電極4での電子の移動による電流を測定することにより、試料溶液中のアルコール濃度に応じた還元電流の変化を測定する。
(比較例42)アルコールセンサー
比較例41で調製した酵素を用いる以外は実施例42と同様にして図44の構成の酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・sceADH:0.3ユニット
・goxALDH:0.6ユニット
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってアルコールセンサーを構成し、実施例42と同様にして試料溶液中のアルコール濃度に応じた還元電流を測定する。実施例42と比較例42における相違は、図13における相違と類似する。
(実施例43)アルコール燃料電池
酵素電極の構成を図42に示す。導電性基体20は0.5cm2のグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例41で調製したSaccharomyces cerevisiae由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(sceADH)とGluconobacter oxydans由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(goxALDH)との会合タンパク質(His-sceADH-Dzip1/goxALDH-Dzip2)、Pseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPoly(ethylene glycol) diglycigyl ether(PEGDE)により架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-sceADH-Dzip1/goxALDH-Dzip2(sceADH:0.3ユニット、goxALDH:0.6ユニット)
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を図11のアノード電極として燃料電池を作製する。電解質溶液3は、100mM塩化ナトリウム、5mMアルコール(エタノール)、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)である。アノード電極15とカソード電極16の間に所定の電圧を印加し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:1621μA/cm2
・最大電力:173μW/cm2
(比較例43)アルコール燃料電池
比較例41で調製した酵素を用いる以外は実施例43と同様にして図44の構成の酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・sceADH:0.3ユニット
・goxALDH:0.6ユニット
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を図11のアノードとして燃料電池を作製し、実施例43と同様にして電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:503μA/cm2
・最大電力:51μW/cm2
実施例43と比較例43から、実施例43のアルコール燃料電池の方が、比較例43のアルコール燃料電池よりも、電流密度が高く、より大きな電流を取り出せることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているアルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、およびジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例43の燃料電池においては、アルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、単位時間内に生成するNADHの量が多いためと考えられた。
(実施例44)アルコール電気化学反応装置
実施例43で作製した酵素電極を用い図10に示す電気化学反応装置を作製する。100mM塩化ナトリウム、5mMアルコール、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)電解液を試料溶液3として使用し、窒素雰囲気下0.3VvsAg/AgClの電位を100分間印加し、生成物を高速液体クロマトグラフィーで定量する。反応電解液からは、カルボン酸(酢酸)が検出され、反応電荷量と、生成カルボン酸(酢酸)量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。
(比較例44)アルコール電気化学反応装置
比較例43で作製した酵素電極を用いる以外は実施例44と同様にして電気化学反応装置を作製し、電気化学反応を行なう。反応電解液からは、カルボン酸(酢酸)が検出され、反応電荷量と、生成カルボン酸(酢酸)量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。しかしながら実施例44の場合よりも単位時間あたりの反応電荷量は小さい値であることがわかる。
実施例44と比較例44から、実施例44のアルコール電気化学反応装置の方が、比較例44のアルコール電気化学反応装置よりも、単位時間あたりの反応電荷量が高く、より効率的にアルコールをカルボン酸に変換出来ることが明らかとなる。酵素電極上に固定されているアルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、及びジアフォラーゼの量は同じである。それにもかかわらず、実施例44の電気化学反応装置においては、アルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、単位時間内に生成するNADHの量が多いためと考えられた。
(実施例45)Pyrococcus furiosus由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(pfuADH)とThermus thermophilus由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(tthALDH)との会合タンパク質(His-pfuADH-Dzip1/tthALDH-Dzip2)[配列番号121、122]の調製
Pyrococcus furiosus [ATCC 43587]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号39及び配列番号40)をプライマーとして用いてPCRを行い、1147bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuADH発現ベクターpETDuet-pfuADHを作製する。
次にThermus thermophilus [ATCC BAA-163]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1614bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGcgcaaggcggcaggcaagtacgggaacacc-3' (NdeI) [配列番号116]
5'-aataatCTCGAGaagccccagcacctccccccagggcgtggg-3' (XhoI) [配列番号117]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-pfuADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuADH、tthALDH共発現ベクターpETDuet-pfuADH-tthALDHを作製する。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号51及び配列番号52)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-pfuADH-tthALDHの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtthALDHの共発現ベクターpETDuet-pfuADH-Dzip1/tthALDHを作製することができる。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号55及び配列番号55)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-pfuADH-Dzip1/tthALDHの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtthALDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-pfuADH-Dzip1/tthALDH-Dzip2[配列番号118]を作製する。
次にPyrococcus furiosus [ATCC 43587]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号42及び配列番号40)をプライマーとして用いてPCRを行い、1145bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuADH発現ベクターpCDFDuet-pfuADHを作製する。
次にThermus thermophilus [ATCC BAA-163]のゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1614bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGcgcaaggcggcaggcaagtacgggaacacc-3' (NdeI) [配列番号116]
5'-aataatCTCGAGttaaagccccagcacctccccccagggcgt-3' (XhoI) [配列番号119]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-pfuADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuADH、tthALDH共発現ベクターpCDFDuet-pfuADH-tthALDH [配列番号120]を作製する。
発現ベクターpETDuet-pfuADH-Dzip1/tthALDH-Dzip2およびpCDFDuet-pfuADH-tthALDHを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
次にPyrococcus horikoshii KT2440 [ATCC 700860]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号21及び配列番号22)をプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、phoDp-His発現ベクターpET21-phoDpを作製する。
発現ベクターpET21-phoDpを、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。こうして得られる酵素を利用して、酵素電極を構成できる。
(実施例49)Bacillus subtilis由来のグルコースデヒドロゲナーゼ(busGDH)とEscherichia coli由来のキシロースイソメラーゼ(ecoISO)との会合タンパク質(His-busGDH-Dzip1/ecoISO-Dzip2)[配列番号128、129]の調製
Bacillus subtilis [ATCC 27370]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号1及び配列番号2)をプライマーとして用いてPCRを行い、805bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-busGDH発現ベクターpETDuet-busGDHを作製する。
次にEscherichia coli [ATCC 29425]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGcaagcctattttgaccagctcgatcgcgtt-3' (NdeI) [配列番号123]
5'-aataatCTCGAGtttgtcgaacagataatggtttaccagatt-3' (XhoI) [配列番号124]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-busGDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-busGDH、ecoISO共発現ベクターpETDuet-busGDH-ecoISOを作製する。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号51及び配列番号52)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-busGDH-ecoISOの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入することによって、His-busGDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とecoISOの共発現ベクターpETDuet-busGDH-Dzip1/ecoISOを作製することができる。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号55及び配列番号55)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-busGDH-Dzip1/ecoISOの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-busGDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とecoISOのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-busGDH-Dzip1/ecoISO-Dzip2[配列番号125]を作製することができる。
次にBacillus subtilis [ATCC 27370]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号12及び配列番号2)をプライマーとして用いてPCRを行い、805bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、busGDH発現ベクターpCDFDuet-busGDHを作製する。
次にEscherichia coli [ATCC 29425]のゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGcaagcctattttgaccagctcgatcgcgtt-3' (NdeI) [配列番号123]
5'-aataatCTCGAGttatttgtcgaacagataatggtttaccag-3' (XhoI) [配列番号126]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-busGDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、busGDH、ecoISO共発現ベクターpCDFDuet-busGDH-ecoISO [配列番号127]を作製する。
発現ベクターpETDuet-busGDH::ecoISOおよびpCDFDuet-busGDH-ecoISOを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号3及び配列番号4)をプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuDp-His発現ベクターpET21-ppuDpを作製する。
発現ベクターpET21-ppuDpを、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
(比較例49)対照としてのbusGDHおよびecoISOの調製
Bacillus subtilis [ATCC 27370]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号17及び配列番号18)をプライマーとして用いてPCRを行い、約800bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、busGDH-His発現ベクターpET21-busGDHを作製する。
次にEscherichia coli [ATCC 29425]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1341bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGcaagcctattttgaccagctcgatcgcgtt-3' (NdeI) [配列番号123]
5'-aataatCTCGAGtttgtcgaacagataatggtttaccagatt-3' (XhoI) [配列番号124]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ecoISO-His発現ベクターpET21-ecoISOを作製する。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(胚列番号3及び配列番号4)をプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuDp-His発現ベクターpET21-ppuDpを作製する。
発現ベクターpET21-busGDH、pET21-ecoISOおよびpET21-ppuDpをそれぞれ個別に、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。
これらの形質転換体を個々に用いて方法2により酵素を調製した。
(実施例50)フルクトースセンサー
酵素電極の構成を図48に示す。導電性基体20は直径3mmのグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例49で調製したBacillus subtilis由来のグルコースデヒドロゲナーゼ(busGDH)とEscherichia coli由来のキシロースイソメラーゼ(ecoISO)との会合タンパク質(His-busGDH-Dzip1/ecoISO-Dzip2)、Pseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPEGDEにより架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-busGDH-Dzip1/ecoISO-Dzip2(busGDH:0.3ユニット、ecoISO:0.6ユニット)
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってフルクトースセンサーを構成する。試料溶液3としては、所定濃度のフルクトース、および1mM NADを含む0.1M PIPES−NaOH緩衝水溶液(pH7.5)を用いる。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位を印加する。このとき、試料溶液3中のフルクトースはキシロースイソメラーゼの存在下でグルコースに変換される。次に前記キシロースイソメラーゼに会合したグルコースデヒドロゲナーゼの存在下でグルコースはグルコノラクトンに酸化されると同時にNADがNADHに還元される。生成したNADHはジアフォラーゼの存在下でNADに酸化され、この反応で電子伝達メディエータであるフェロセンが酸化され、フェリシニウムイオンが生成される。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位が印加されているため、フェリシニウムイオンは作用電極4から電子をうけとりフェロセンに還元される。作用電極4での電子の移動による電流を測定することにより、試料溶液中のフルクトース濃度を測定する。
(比較例50)フルクトースセンサー
比較例49で調製した酵素を用いる以外は実施例50と同様にして図50の構成の酵素電極を作製する。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・busGDH:0.3ユニット
・ecoISO:0.6ユニット
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってフルクトースセンサーを構成し、実施例50と同様にしてフルクトース濃度に応じた還元電流を測定する。
実施例50と比較例50との相違は、図13のAとBの相違に類似する。
(実施例51)フルクトース燃料電池
酵素電極の構成を図48に示す。導電性基体20は0.5cm2のグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例49で調製したBacillus subtilis由来のグルコースデヒドロゲナーゼ(busGDH)とEscherichia coli由来のキシロースイソメラーゼ(ecoISO)との会合タンパク質(His-busGDH-Dzip1/ecoISO-Dzip2)、Pseudomonas putida由来のジアフォラーゼ(ppuDp)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPEGDEにより架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-busGDH-Dzip1/ecoISO-Dzip2(busGDH:0.3ユニット、ecoISO:0.6ユニット)
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を図11におけるアノード電極として燃料電池を作製する。電解質溶液3は、100mM塩化ナトリウム、5mMフルクトース、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)である。アノード電極15とカソード電極16の間に所定の電圧を印加し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:1106μA/cm2
・最大電力:101μW/cm2
(比較例51)フルクトース燃料電池
比較例49で調製した酵素を用いる以外は実施例51と同様にして図50の構成の酵素電極を作製した。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・busGDH:0.3ユニット
・ecoISO:0.6ユニット
・ppuDp:0.6ユニット
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を用いる以外は実施例51と同様にして燃料電池を作製し、電圧−電流特性を測定し、以下の結果を得た。
・短絡電流密度:310μA/cm2
・最大電力:31μW/cm2
実施例51と比較例51から、実施例51のフルクトース燃料電池の方が、比較例51のフルクトース燃料電池よりも、電流密度が高く、より大きな電流を取り出せることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているグルコースデヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、およびジアフォラーゼの量は同じであるにもかかわらず、実施例51の燃料電池においては、グルコースデヒドロゲナーゼとキシロースイソメラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、グルコースを介したフルクトースからグルコノラクトンへの変換・酸化反応が速やかに行われ、結果として単位時間内に生成するNADHの量が多いためと考えられた。
(実施例52)フルクトース電気化学反応装置
実施例51で作製した酵素電極を用い図10に示す電気化学反応装置を作製する。100mM塩化ナトリウム、5mMフルクトース、および1mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチドを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)電解液を試料溶液3として使用し、窒素雰囲気下0.3VvsAg/AgClの電位を100分間印加し、生成物を高速液体クロマトグラフィーで定量する。反応電解液からは、グルコノラクトンが検出され、反応電荷量と、生成グルコノラクトン量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。
(比較例52)フルクトース電気化学反応装置
比較例51で作製した酵素電極を用いる以外は実施例52と同様にして電気化学反応装置を作製し、電気化学反応を行なう。反応電解液からは、グルコノラクトンが検出され、反応電荷量と、生成グルコノラクトン量には、高い相関関係があり、反応が定量的に進行することがわかる。しかしながら実施例52の場合よりも単位時間あたりの反応電荷量は小さい値であることがわかる。
実施例52と比較例52から、実施例52のフルクトース電気化学反応装置の方が、比較例52のフルクトース電気化学反応装置よりも、単位時間あたりの反応電荷量が高く、より効率的にフルクトースをグルコノラクトンに変換出来ることが明らかとなる。酵素電極上に固定されているグルコースデヒドロゲナーゼ、キシロースイソメラーゼ、及びジアフォラーゼの量は同じである。それにもかかわらず、実施例52の電気化学反応装置においては、グルコースデヒドロゲナーゼとキシロースイソメラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、グルコースを介したフルクトースからグルコノラクトンへの変換・酸化反応が速やかに行われ、結果として単位時間内に生成するNADHの量が多いためと考えられた。
(実施例53)
Pyrococcus furiosus由来のグルコースデヒドロゲナーゼ(pfuGDH)とThermotoga maritima由来のキシロースイソメラーゼ(tmaISO)との会合タンパク質(His-pfuGDH-Dzip1およびtmaISO-Dzip2)[配列番号135、136]の調製
Pyrococcus furiosus [ATCC 43587]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号19及び配列番号20)をプライマーとして用いてPCRを行い、799bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuGDH発現ベクターpETDuet-pfuGDHを作製する。
次にThermotoga maritima [ATCC 43589]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1356bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGgcagaatttttcccagaaatcccaaagatt-3' (NdeI) [配列番号130]
5'-aataatCTCGAGcctcagttctgctattgtcttcactatgta-3' (XhoI) [配列番号131]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-pfuGDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuGDH、tmaISO共発現ベクターpETDuet-pfuGDH-tmaISOを作製する。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号51及び配列番号52)からDNA断片(二本鎖)を得る。このDNA断片を、pETDuet-pfuGDH-tmaISOの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuGDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtmaISOの共発現ベクターpETDuet-pfuGDH-Dzip1/tmaISOを作製する。
次に、実施例17と同様にして5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号54及び配列番号55)からDNA断片を得る。このDNA断片を、pETDuet-pfuGDH-Dzip1/tmaISOの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuGDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip1配列[配列番号53]を融合した融合タンパク質とtmaISOのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip2配列[配列番号56]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-pfuGDH-Dzip1/tmaISO-Dzip2[配列番号132]を作製する。
次にPyrococcus furiosus [ATCC 43587]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号24及び配列番号20)をプライマーとして用いてPCRを行い、797bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuGDH発現ベクターpCDFDuet-pfuGDHを作製する。
次にThermotoga maritima [ATCC 43589]のゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1356bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGgcagaatttttcccagaaatcccaaagatt-3' (NdeI) [配列番号130]
5'-aataatCTCGAGtcacctcagttctgctattgtcttcactat-3' (XhoI) [配列番号133]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-pfuGDHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuGDH、tmaISO共発現ベクターpCDFDuet-pfuGDH-tmaISO [配列番号134]を作製する。
発現ベクターpETDuet-pfuGDH::tmaISOおよびpCDFDuet-pfuGDH-tmaISOを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンおよびストレプトマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
次にPyrococcus horikoshii KT2440 [ATCC 700860]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号21及び配列番号22)をプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pET-21a(+) (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、phoDp-His発現ベクターpET21-phoDpを作製する。
発現ベクターpET21-phoDpを、E.coli BL21(DE3)に常法に従い形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。こうして得られる酵素を用いて、酵素電極等を構成できる。
(実施例57)
Saccharomyces cerevisiae由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(sceADH)、Gluconobacter oxydans由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(goxALDH)およびPseudomonas putida 由来のジアフォラーゼ(ppuDp)との会合タンパク質(His-sceADH-Dzip3、goxALDH-Dzip4/ppuDp-Dzip4およびppuDp-Dzip5)[配列番号150、151、152]の調製
Saccharomyces cerevisiae [ATCC 47058]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号31及び配列番号32)をプライマーとして用いてPCRを行い、1075bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-sceADH発現ベクターpETDuet-sceADHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1560bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGacggcatctctccgttgcgaagtggcagcg-3' (NdeI) [配列番号109]
5'-aataatCTCGAGggcgtccgccgaaccgccatacacatcgga-3' (XhoI) [配列番号110]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-sceADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-sceADH、goxALDH共発現ベクターpETDuet-sceADH-goxALDHを作製する。
次に以下の配列番号137の5'末端リン酸化合成オリゴDNA及び配列番号138のDNAをTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。
5'-AGCTTggcggcggcagcggcggcggcagcggcggcggcagcgcggaaattgcggcgattgaatatgaacaggcggcgattaaagaagaaattgcggcgattaaagataaaattgcggcgattaaagaatatattgcggcgatttaaC-3' [配列番号137]
5'-TTAAGttaaatcgccgcaatatattctttaatcgccgcaattttatctttaatcgccgcaatttcttctttaatcgccgcctgttcatattcaatcgccgcaatttccgcgctgccgccgccgctgccgccgccgctgccgccgccA-3' [配列番号138]
このDNA断片を、pETDuet-sceADH-goxALDHの制限酵素Hind IIIおよびAflIIの認識サイトに挿入することによって、His-sceADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip3配列[配列番号139]を融合した融合タンパク質とgoxALDHの共発現ベクターpETDuet-sceADH-Dzip3/goxALDHを作製する。
次に5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号140及び配列番号141)をTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。
5'-TCGAGggcggcggcagcggcggcggcagcggcggcggcagcgaaaaaattgcggcgattaaagaagaacaggcggcgattgaagaagaaattcaggcgattaaagaagaaattgcggcgattaaatatctgattgcggcgatttaaC-3' [配列番号140]
5'-CTAGGttaaatcgccgcaatcagatatttaatcgccgcaatttcttctttaatcgcctgaatttcttcttcaatcgccgcctgttcttctttaatcgccgcaattttttcgctgccgccgccgctgccgccgccgctgccgccgccC-3' [配列番号141]
このDNA断片を、pETDuet-sceADH-Dzip3/goxALDHの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-sceADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip3配列[配列番号139]を融合した融合タンパク質とgoxALDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip4配列[配列番号142]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-sceADH-Dzip3/goxALDH-Dzip4[配列番号143]を作製する。
次にSaccharomyces cerevisiae [ATCC 47058]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号34及び配列番号32)をプライマーとして用いてPCRを行い、1073bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、sceADH発現ベクターpCDFDuet-sceADHを作製する。
次にGluconobacter oxydans [ATCC 621H]のゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1560bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGacggcatctctccgttgcgaagtggcagcg-3' (NdeI) [配列番号109]
5'-aataatCTCGAGtcaggcgtccgccgaaccgccatacacatc-3' (XhoI) [配列番号112]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-sceADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、sceADH、goxALDH共発現ベクターpCDFDuet-sceADH-goxALDH [配列番号113]を作製する。
次にPseudomonas putida KT2440 [ATCC 47054]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、725bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCCATGGttgtgaatgtactgatcgtccacgctcacc-3' (NcoI) [配列番号144]
5'-aataatAAGCTTcgtcagcgggtacaacgcttcatcgaactg-3' (HindIII) [配列番号145]
このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHin dIIIで消化切断し、pCOLADuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuDp発現ベクターpCOLADuet-ppuDpを作製する。
また、Pseudomonas putida KT2440のゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号3及び配列番号13)をプライマーとして用いてPCRを行い、729bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCOLADuet-ppuDpの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、ppuDp共発現ベクターpCOLADuet-ppuDp/ppuDpを作製する。
次に以下の配列番号146の5'末端リン酸化合成オリゴDNA及び配列番号147のDNAをTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。
5'-AGCTTggcggcggcagcggcggcggcagcggcggcggcagcgcggaaattgcggcgattaaatataaacaggcggcgattaaaaacgaaattgcggcgattaaacaggaaattgcggcgattgaacagatgattgcggcgatttaaC-3' [配列番号146]
5'-TTAAGttaaatcgccgcaatcatctgttcaatcgccgcaatttcctgtttaatcgccgcaatttcgtttttaatcgccgcctgtttatatttaatcgccgcaatttccgcgctgccgccgccgctgccgccgccgctgccgccgccA-3' [配列番号147]
このDNA断片を、pCOLADuet-ppuDp/ppuDpの制限酵素Hind IIIおよびAflIIの認識サイトに挿入することによって、ppuDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip5配列[配列番号148]を融合した融合タンパク質とppuDpの共発現ベクターpCOLADuet-ppuDp-Dzip5/ppuDp[配列番号149]を作製する。
発現ベクターpETDuet-sceADH-Dzip4/goxALDH-Dzip5、pCDFDuet-sceADH-goxALDHおよびpCOLADuet-ppuDp-Dzip5/ppuDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリン、ストレプトマイシンおよびカナマイシンに対する耐性株として選別することができる。この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製した。
(実施例58)アルコールセンサー
酵素電極の構成を図54に示す。導電性基体20は直径3mmのグラッシーカーボンである。導電性基体20上に実施例57で調製したSaccharomyces cerevisiae由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(sceADH)、Gluconobacter oxydans由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(goxALDH)およびPseudomonas putida 由来のジアフォラーゼ(ppuDp)の会合タンパク質(His-sceADH-Dzip3/goxALDH-Dzip4/ppuDp-Dzip5)、及びフェロセン結合ポリアリルアミン(Fc−PAA)がPEGDEにより架橋されて固定されている。この酵素電極に固定された成分の配合は以下のとおりである。
・His-sceADH-Dzip3/goxALDH-Dzip4/ppuDp-Dzip5(sceADH:0.3ユニット、goxALDH:0.6ユニット、ppuDp:0.6ユニット)
・Fc-PAA:16μg
・PEGDE:10μg
この酵素電極を、図10における作用電極4として用いることによってアルコールセンサーを構成する。試料溶液3としては、所定濃度のアルコール(エタノール)、および1mM NADを含む0.1M PIPES−NaOH緩衝水溶液(pH7.5)を用いる。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位を印加する。このとき、試料溶液3中のアルコールはアルコールデヒドロゲナーゼの存在下でアセトアルデヒドに酸化され、この反応でNADがNADHに還元される。次に前記アルコールデヒドロゲナーゼに会合したアルデヒドデヒドロゲナーゼの存在下でアセトアルデヒドはカルボン酸に酸化されると同時にNADがNADHに還元される。さらにアルコールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼの両酵素反応により生成したNADHは両酵素に会合したジアフォラーゼの存在下でNADに酸化される。この反応で電子伝達メディエータであるフェロセンが酸化され、フェリシニウムイオンが生成される。作用電極4には参照極6に対して300mVの電位が印加されているため、フェリシニウムイオンは作用電極4から電子をうけとりフェロセンに還元される。作用電極4での電子の移動による電流を測定することにより、試料溶液中のアルコール濃度に応じた還元電流の変化を測定する。
実施例58と比較例42すると、実施例58のアルコールセンサーの方が、比較例42のアルコールセンサーよりも、アルコール濃度に対する感度が高く、より低濃度のアルコールを定量出来ることが明らかとなった。酵素電極上に固定されているアルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼの量は同じである。それにもかかわらず、実施例58の酵素電極においては、アルコールデヒドロゲナーゼとアルデヒドデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼが会合しているために、両酵素が物理的近傍に保持されている。このため、単位時間内に生成するNADHの量が多いためと考えられる。
実施例58の酵素を用いて、アルコール燃料電池等も構成できる。
(実施例61)Pyrococcus furiosus由来のアルコールデヒドロゲナーゼ(pfuADH)、Thermus thermophilus由来のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(tthALDH)およびPyrococcus horikoshii由来のジアフォラーゼ(phoDp)との会合タンパク質(His-pfuADH-Dzip3、tthALDH-Dzip4およびphoDp-Dzip5)[配列番号157、158、159]の調製
Pyrococcus furiosus [ATCC 43587]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号39及び配列番号40)をプライマーとして用いてPCRを行い、1147bpのDNA増幅産物を得る。
このDNA増幅産物を制限酵素BamHIおよびHind IIIで消化切断し、pETDuet-1(Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuADH発現ベクターpETDuet-pfuADHを作製する。
次にThermus thermophilus [ATCC BAA-163]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1614bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGcgcaaggcggcaggcaagtacgggaacacc-3' (NdeI) [配列番号116]
5'-aataatCTCGAGaagccccagcacctccccccagggcgtggg-3' (XhoI) [配列番号117]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pETDuet-pfuADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、His-pfuADH、tthALDH共発現ベクターpETDuet-pfuADH-tthALDHを作製する。
次に5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号137及び配列番号138)をTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。
5'-AGCTTggcggcggcagcggcggcggcagcggcggcggcagcgcggaaattgcggcgattgaatatgaacaggcggcgattaaagaagaaattgcggcgattaaagataaaattgcggcgattaaagaatatattgcggcgatttaaC-3' [配列番号137]
5'-TTAAGttaaatcgccgcaatatattctttaatcgccgcaattttatctttaatcgccgcaatttcttctttaatcgccgcctgttcatattcaatcgccgcaatttccgcgctgccgccgccgctgccgccgccgctgccgccgccA-3' [配列番号138]
このDNA断片を、pETDuet-pfuADH-tthALDHの制限酵素Hind IIIおよびAfl IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip3配列[配列番号139]を融合した融合タンパク質とtthALDHの共発現ベクターpETDuet-pfuADH-Dzip3/tthALDHを作製する。
次に5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号140及び配列番号141)をTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。
5'-TCGAGggcggcggcagcggcggcggcagcggcggcggcagcgaaaaaattgcggcgattaaagaagaacaggcggcgattgaagaagaaattcaggcgattaaagaagaaattgcggcgattaaatatctgattgcggcgatttaaC-3' [配列番号140]
5'-CTAGGttaaatcgccgcaatcagatatttaatcgccgcaatttcttctttaatcgcctgaatttcttcttcaatcgccgcctgttcttctttaatcgccgcaattttttcgctgccgccgccgctgccgccgccgctgccgccgccC-3' [配列番号141]
このDNA断片を、pETDuet-pfuADH-Dzip3/tthALDHの制限酵素Xho IおよびAvr IIの認識サイトに挿入することによって、His-pfuADHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip3配列[配列番号139]を融合した融合タンパク質とtthALDHのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip4配列[配列番号142]を融合した融合タンパク質の共発現ベクターpETDuet-pfuADH-Dzip3/tthALDH-Dzip4[配列番号153]を作製する。
次にPyrococcus furiosus [ATCC 43587]のゲノムDNA鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号42及び配列番号40)をプライマーとして用いてPCRを行い、1145bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHind IIIで消化切断し、pCDFDuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuADH発現ベクターpCDFDuet-pfuADHを作製する。
次にThermus thermophilus [ATCC BAA-163]のゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1614bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCATATGcgcaaggcggcaggcaagtacgggaacacc-3' (NdeI) [配列番号116]
5'-aataatCTCGAGttaaagccccagcacctccccccagggcgt-3' (XhoI) [配列番号119]
このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCDFDuet-pfuADHの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、pfuADH、tthALDH共発現ベクターpCDFDuet-pfuADH-tthALDH [配列番号120]を作製する。
次にPyrococcus horikoshii [ATCC 700860]から常法に従いゲノムDNAを調製する。このゲノムDNAを鋳型にして、以下の合成オリゴDNAをプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。
5'-aataatCCATGGagatagtagttataggatctggaactg-3' (NcoI) [配列番号154]
5'-aataatAAGCTTtgacttaaattttctcatggccatttcagc-3' (HindIII) [配列番号155]
このDNA増幅産物を制限酵素Nco IおよびHin dIIIで消化切断し、pCOLADuet-1 (Novagen社製)の同じ制限酵素サイトに挿入することによって、phoDp発現ベクターpCOLADuet-phoDpを作製する。
また、Pyrococcus horikoshiiのゲノムDNAを鋳型にして、合成オリゴDNA(配列番号21及び配列番号25)をプライマーとして用いてPCRを行い、1344bpのDNA増幅産物を得る。このDNA増幅産物を制限酵素Nde IおよびXho Iで消化切断し、pCOLADuet-phoDpの同じ制限酵素サイトに挿入することによって、phoDp共発現ベクターpCOLADuet-phoDp/phoDpを作製する。
次に5'末端リン酸化合成オリゴDNA(配列番号146の及び配列番号147)をTEバッファー中で、等量混合し、加熱後徐冷することによってアニーリングする。
5'-AGCTTggcggcggcagcggcggcggcagcggcggcggcagcgcggaaattgcggcgattaaatataaacaggcggcgattaaaaacgaaattgcggcgattaaacaggaaattgcggcgattgaacagatgattgcggcgatttaaC-3' [配列番号146]
5'-TTAAGttaaatcgccgcaatcatctgttcaatcgccgcaatttcctgtttaatcgccgcaatttcgtttttaatcgccgcctgtttatatttaatcgccgcaatttccgcgctgccgccgccgctgccgccgccgctgccgccgccA-3' [配列番号147]
このDNA断片を、pCOLADuet-phoDp/phoDpの制限酵素Hind IIIおよびAflIIの認識サイトに挿入することによって、phoDpのC末側に会合部位配列GGGSGGGSGGGS−Dzip5配列[配列番号148]を融合した融合タンパク質とphoDpの共発現ベクターpCOLADuet-phoDp-Dzip5/phoDp[配列番号156]を作製する。
発現ベクターpETDuet-pfuADH-Dzip3/tthALDH-Dzip4、pCDFDuet-pfuADH-tthALDHおよびpCOLADuet-phoDp-Dzip5/phoDpを常法に従いE.coli BL21(DE3)に形質転換する。形質転換体は抗生物質アンピシリン、ストレプトマイシンおよびカナマイシンに対する耐性株として選別することができる。
この形質転換体を用いて方法1により酵素を調製する。こうして得られる酵素を用いて、酵素電極や燃料電池を構成できる。
なお、以上実施例、比較例を用いて本発明につき説明したが、好熱菌由来の酵素の会合タンパク質を用いた方が、常温菌由来の酵素の会合タンパク質を用いた場合に比して、時間が経過しても検出感度の低下がより少なく、耐久性に優れている。また、これらの酵素を用いて燃料電池を構成した場合にも、好熱菌由来の酵素の方が、時間経過に対する出力低下の傾向は、より小さい。
本発明の酵素電極における一形態として、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)とジアフォラーゼ(Dp)との会合タンパク質を構成要素とする酵素電極の概念図である。 本発明の酵素電極における一形態として、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)とジアフォラーゼ(Dp)との会合タンパク質を構成要素とする酵素電極の概念図である。 本発明の酵素電極における一形態として、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)とジアフォラーゼ(Dp)との会合タンパク質を構成要素とする酵素電極の概念図である。 本発明酵素電極における一形態として、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)とジアフォラーゼ(Dp)との会合タンパク質を構成要素とする酵素電極の概念図である。 本発明の酵素電極における一形態として、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EDH)とジアフォラーゼ(Dp)との会合タンパク質を構成要素とする酵素電極の概念図である。 本発明の酵素電極における一形態として、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)とアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)との会合タンパク質を構成要素とする酵素電極の概念図である。 本発明の酵素電極における一形態として、イソメラーゼ(ISO)とグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)との会合タンパク質を構成要素とする酵素電極の概念図である。 本発明の酵素電極における一形態として、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)およびジアフォラーゼ(Dp)の会合タンパク質を構成要素とする酵素電極の概念図である。 本発明の実施の形態におけるポリペプチド会合部模式図である。 本発明の酵素電極を用いて構成したセンサーの概念図である。 本発明の酵素電極を用いて構成した燃料電池の概念図である。 本発明の実施例に係るグルコースデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼとの会合タンパク質を構成要素とする酵素電極部の概念図である。 実施例2に係るグルコースセンサーを用いて測定された基質濃度と電流密度の関係を示す図である。 本発明の比較例に係るグルコースデヒドロゲナーゼとジアフォラーゼとを構成要素とする酵素電極部の概念図である。
符号の説明
1 ウォータージャケットセル
2 蓋
3 試料溶液
4 作用電極
5 白金線対極
6 銀塩化銀参照電極
7 作用極リード
8 対極リード
9 参照極リード
10 ポテンショスタット
11 ガス吹込み口
12 ガスチューブ
13 温調水流入口
14 温調水排出口
15 アノード
16 カソード
17 多孔質ポリプロピレンフィルム
18 ガス排出口
19 電解質溶液
20 導電性基体

Claims (11)

  1. 導電性基体と酵素を有する酵素電極において、前記酵素が異なる2種以上の酵素タンパク質が会合した会合タンパク質からなることを特徴とする酵素電極。
  2. 前記酵素は、前記導電性基体に固定化されており、且つ前記酵素と前記導電性基体とは、電子伝達メディエーターを介して電気的に接続されている請求項1記載の酵素電極。
  3. 前記酵素は、第1の反応基質から第1の反応生成物を生じる化学反応を触媒する第1の酵素と、第2の反応基質から第2の反応生成物を生じる化学反応を触媒する第2の酵素と、の会合タンパク質からなり、
    該第1の反応生成物の少なくとも一つの化学物質が、該第2の反応基質の少なくとも一つの化学物質と同一である請求項1または2記載の酵素電極。
  4. 前記第1の酵素がデヒドロゲナーゼであり、前記第2の酵素がジアフォラーゼである請求項3に記載の酵素電極。
  5. 前記デヒドロゲナーゼが、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼから成る群より選ばれた少なくとも1種である請求項3に記載の酵素電極。
  6. 前記第1の酵素がアルコールデヒドロゲナーゼであり、前記第2の酵素がアルデヒドデヒドロゲナーゼであり、前記酵素固定化層にさらにジアフォラーゼが担持されている請求項3に記載の酵素電極。
  7. 前記第1の酵素がイソメラーゼであり、前記第2の酵素がグルコースデヒドロゲナーゼであり、前記酵素固定化層にさらにジアフォラーゼが担持されていることを特徴とする請求項3に記載の酵素電極。
  8. 前記会合タンパク質を構成する複数の酵素タンパク質の少なくとも一種類の酵素タンパク質が好熱菌由来である請求項1から7のいずれかに記載の酵素電極。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の酵素電極を、物質を検知するための検知部位として用いることを特徴とするセンサー。
  10. 請求項1乃至8のいずれかに記載の酵素電極を、アノード若しくはカソードとして用いることを特徴とする燃料電池。
  11. 請求項1乃至8のいずれかに記載の酵素電極を、反応極として用いることを特徴とする電気化学反応装置。
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