JP2007161787A - ポリエチレン系多孔質フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】より一層、耐候性および耐光性を向上させたポリエチレン系多孔質フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、無機充填剤を50〜200質量部含んでなるフィルムを、少なくともフィルムの流れ方向に延伸して多孔化した多孔質フィルムであって、前記ポリエチレン系樹脂が、Z平均分子量(Mz)が30万以上であり、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィンとの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含んでなることを特徴とするポリエチレン系多孔質フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレン系多孔質フィルムに関する。詳しくは、建材用途、農業用途、廃棄物処理用途等の屋外で好適に使用することができる耐候性および耐光性が改良されたポリエチレン系多孔質フィルムに関する。
従来から、水蒸気などの気体透過性(透湿性)や液体防漏性(防水性)を併持した多孔質フィルムは、紙おむつや生理用ナプキンなどの衛生材料、乾燥剤や使い捨てカイロなどの機能包装材料、使い捨て手袋や雨合羽などの簡易衣料、ハウスラップなどの防水建材用途、マルチ農法用シートなどの農業用途、糞尿堆積物被覆シートやキャッピングシートなどの廃棄物処理用途などに広く使用されている。特に、防水建材用途、農業用途、廃棄物処理用途は、多孔質フィルムの優れた防水性と透湿性の有効性が認知されるに従って、様々な使用方法が開発されている。
こうした多孔質フィルムの最も一般的な製造方法は、充填剤を充填した樹脂組成物を押出機で熱溶融させてフィルムを成形し、一軸延伸ないしは二軸延伸により充填剤と樹脂とを界面剥離させて多孔化する方法である。この方法により、低コストで透湿性と防水性を併持した多孔質フィルムを得ることができるため、広く用いられている。
さらに、樹脂としてポリエチレン系樹脂を選択すると、特に延伸工程における成形安定性に優れ、良好な透湿性を発現することから、該多孔質フィルムには、ポリエチレン系樹脂が広く用いられている。
しかしながら、前記多孔質フィルムに前述の防水建材用途、農業用途、廃棄物処理用途で必要とされる耐候性および耐光性を付与しようとしても、通常の安定剤配合では、多孔質であるために酸素との接触面積が大きいことや安定剤がブリードアウトしやすいこと、安定剤と無機フィラーとの相互作用などによって、十分な効果を上げることが困難であった。
こうしたことから、多孔質フィルムへの耐候性付与に関していくつかの検討がなされてきた。本発明者等は、既に、酸化チタンと特定のヒンダードアミン系光安定剤とを含む耐候性の優れたポリエチレン系多孔質フィルムを提案している(特許文献1参照)。このポリエチレン系多孔質フィルムは、耐候性促進試験で屋外1年間暴露相当の紫外線を照射しても、該促進試験後の引張伸度が100%以上ある耐候性に優れたフィルムである。
特開2004−131590号公報
近年、屋外用途で使用される多孔質フィルムにおいては、製品ライフの長期化や、使用後の廃棄処分に対する問題から、より高い耐候性を有し、より長期間屋外で使用できるフィルムの開発が望まれている。つまり、特許文献1に記載されたポリエチレン系多孔質フィルムよりも数段、高い耐候性を有する多孔質フィルムが要求されつつある。
したがって、本発明の目的は、透湿性と防水性に優れ、かつ従来よりも更に高い耐候性を有するポリエチレン系多孔質フィルムを提供することにある。
本発明者等は、透湿性と防水性に優れ、かつ高い耐候性と耐光性を有したポリエチレン系多孔質フィルムの開発について鋭意検討した。その結果、多孔質フィルムに特定の線状低密度ポリエチレンを使用することにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、無機充填剤を50〜200質量部含んでなるフィルムを、少なくともフィルムの流れ方向に延伸して多孔化した多孔質フィルムであって、前記ポリエチレン系樹脂が、Z平均分子量(Mz)が30万以上であり、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィンとの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含んでなることを特徴とするポリエチレン系多孔質フィルムである。
本発明のポリエチレン系多孔質フィルムは、従来よりも高い耐候性および耐光性を有する。したがって、このような多孔質フィルムは、特にハウスラップ、屋根下地材、農業用マルチシート、糞尿堆積物被覆シート、廃棄物キャッピングシート、野菜保護シート、木材保護シート等の屋外用途に好適に使用することができる。
以下に、本発明について、詳細に説明する。
本発明のポリエチレン多孔質フィルム(以下、単に多孔質フィルムとする場合もある)は、ポリエチレン系樹脂と無機充填剤とをフィルムを、少なくともフィルムの流れ方向に延伸して多孔化した多孔質フィルムであって、前記ポリエチレン系樹脂が、特定の線状低密度ポリエチレンを含んでなり、かつ、特定の平均分子量を有することを特徴とする、耐候性および耐光性に優れたフィルムである。
本発明において、得られる多孔質フィルムの耐候性および耐光性の指標は、サンシャインカーボンアーク灯で528MJ/mの紫外線(300〜400nm)を照射する耐候促進試験を行い、試験後の多孔質フィルムの引張伸度によって評価したものである。
一般に、建材用途、農業用途、廃棄物処理用途等のように屋外で使用する防水透湿シートは、太陽光に直接暴露されるため、耐候性および耐光性が求められる。その耐候性および耐光性の必要レベルは、各用途や使用環境によって異なるが、一般に建材用途のハウスラップ、農業用途のマルチシート、廃棄物処理用途の糞尿堆積物被覆シート等に使用する多孔質フィルムでは、最低2ヶ月以上、用途によっては1年以上使用できることが必要とされていた。さらに、近年では、前述した屋外用防水透湿シートの製品ライフの長期化や廃棄物低減に対する動きが活発化してきており、製品はもとより製品を構成する各部材についても、高い耐候性および耐光性が要求されている。その中でも、特に多孔質フィルムは防水透湿性を担う中心的部材であり、さらなる耐候性および耐光性の向上が強く望まれている。
そこで、本発明においては、これら屋外用途に好適に使用できる多孔質フィルムの耐候性および耐光性レベルを屋外使用2年間に設定し、太陽光2年間の紫外線量に相当する528MJ/mの紫外線を照射することとした。この時、多孔質フィルムの耐候性および耐光性は、耐候促進試験後の多孔質フィルムのMD(フィルムの流れ方向)における引張伸度が100%以上であることをもって評価することとした。引張伸度は、紫外線劣化による分子量低下の程度を物性面から判断する1つの指標であり、100%保持していれば、近年要求されている性能を更に超え、十分満足するレベルを言える。特に、より耐候性および耐光性を満足するものを得ようとする場合には、太陽光2年間の紫外線量に相当する528MJ/mの紫外線を照射した後、引張伸度が150%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましい。尚、当然のことながら、紫外線照射後の多孔質フィルムの引張伸度が長いほど、長期間使用できることを意味するものである。
本発明の多孔質フィルムで使用されるポリエチレン系樹脂は、Z平均分子量(Mz)が30万以上であり、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含んでなることを特徴とする。
本発明において、Z平均分子量(Mz)とは、後記に詳述する通り、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリエチレン系樹脂の分子量を測定して求めることができるものである。また、無機充填剤を含む多孔質フィルムにおいては、溶剤によりポリエチレン系樹脂を抽出し、得られたポリエチレン系樹脂の分子量をGPCで測定して求めるか、または酸・アルカリにより無機充填剤を溶解させ、得られたポリエチレン系樹脂の分子量をGPCで測定して求めることができる。尚、本発明においては、前記ポリエチレン系樹脂がエチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンと、他のエチレン系樹脂との混合物である場合には、この混合物をGPCで測定することにより、Z平均分子量(Mz)を求めてやればよい。当然のことながら、ポリエチレン系樹脂が、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレン単独のものである場合は、該線状低密度ポリエチレンをGPCで測定することにより、Z平均分子量(Mz)を求めてやればよい。
本発明において、前記ポリエチレン系樹脂は、Z平均分子量(Mz)が30万以上でなければならない。Z平均分子量(Mz)が、30万未満の場合には、得られる多孔質フィルムの耐候性および耐光性が低下してしまうため好ましくない。さらに、得られる多孔質フィルムの耐候性および耐光性を考慮すると、Z平均分子量(Mz)は、33万以上であることが好ましい。一方、Z平均分子量(Mz)の上限値は、特に制限されるものではないが、フィルムの製膜性、ポリエチレン系樹脂の工業的な生産を考慮すると50万以下であることが好ましい。
本発明において、前記ポリエチレン系樹脂は、Z平均分子量(Mz)が前記範囲を満足し、かつ、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含んでなるものである。特に、エチレンと炭素数が8である1−オクテンとの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンが含まれることが好ましい。また、前記線状低密度ポリエチレンにおいて、炭素数が6以上のα−オレフィンの含有量は、特に制限されるものではないが、フィルムの柔軟性と耐候性および耐光性のバランスを考慮すると、0.5mol%〜5.0mol%であることが好ましい。
本発明において、前記ポリエチレン系樹脂は、Z平均分子量(Mz)が前記範囲を満足すれば、1種類のポリエチレン系樹脂であってもよいし、複数のポリエチレン系樹脂が混合されたものであってもよいが、必ずエチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含んでいなければならない。前記ポリエチレン系樹脂が、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含むことにより、得られる多孔質フィルムの耐候性および耐光性をより一層向上させることができる。
本発明において、前記ポリエチレン系樹脂は、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンと、公知のエチレン系樹脂、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、または、エチレンと炭素数が6未満のα−オレフィンよりなる線状低密度ポリエチレンとの混合物であってもよい。これら混合物の場合は、より得られる多孔質フィルムの耐候性および耐光性を向上させるためには、ポリエチレン系樹脂の中にエチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンが50質量%以上含まれることが好ましい。このような混合物を使用する場合には、本発明で規定するフィルムの耐候性および耐光性を満足し、さらにフィルムの風合いや製膜性等を改善することもできる。
尚、当然のことながら、前記ポリエチレン系樹脂は、Z平均分子量(Mz)が30万以上であるエチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレン単独のものであってもよく、この場合には、耐候性および耐光性がより向上された多孔質フィルムを得ることができる。
本発明において、前記ポリエチレン系樹脂は、その他の物性について特に制限されるものではないが、通常のフィルム製膜が可能な範囲のものを使用することができ、メルトフローレート(MFR)0.5〜10g/10分、密度0.900〜0.960g/cmのものを使用することができる。特に、インフレーション製膜法によりフィルムを製膜する場合には、前記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は0.5〜5.0g/10分であることが好ましい。また、フィルムの柔軟性と耐候性と耐光性のバランスを考慮すると、密度は0.910〜0.940g/cmであることが好ましい。尚、前記ポリエチレン系樹脂が混合物の場合には、混合物のメルトフローレート、密度が前記範囲を満足すればよい。また、前記ポリエチレン系樹脂が、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンのみからなる場合には、該線状低密度ポリエチレンのメルトフローレート、密度が前記範囲を満足すればよい。
本発明において、前記ポリエチレン系樹脂を使用することにより、得られる多孔質フィルムの耐候性および耐光性が飛躍的に向上する理由は明らかではないが、以下の通りに推定される。通常、樹脂の耐候性は、平均分子量が高い、即ち、メルトフローレートが低いものほどよいと考えられている。しかしながら、フィルムとして使用されるポリエチレン系樹脂は、フィルム製膜性を考えた場合、前記範囲のメルトフローレートのものでなければ、製膜加工が困難となる。特に、メルトフローレートが低い場合には、高い耐候性および耐光性は期待できるが、製膜時に機械に負荷がかかり、生産性が大幅に低下してしまう。そこで、メルトフローレートは前記範囲を満足し、かつ、Z平均分子量が30万以上であるポリエチレン系樹脂を使用することにより、フィルムの製膜性を維持し、さらに耐候性向上に有効な高分子量成分を多く存在させることができるため、耐候性および耐光性が向上された多孔質フィルムを得ることができるものと考えられる。
また、前記ポリエチレン系樹脂が、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含んでなることにより、例えば、同じ密度のポリエチレン系樹脂を考えた場合、該ポリエチレン系樹脂中の劣化が起こり易い3級炭素の量が少なくなるため、耐候性および耐光性が向上された多孔質フィルムを得ることができるものと考えられる。
本発明の多孔質フィルムは、ポリエチレン系樹脂が、Z平均分子量(Mz)の要件しか満足しないもの、または、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含むことの要件しか満足しないものとを比較すると、耐候性および耐光性が格段に向上されている。これは、前記ポリエチレン系樹脂のZ平均分子量(Mz)を規定した効果と、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含ませることによる効果との相乗効果や、その他の効果が発揮され、耐候性および耐光性が向上された多孔質フィルムを得ることができるものと考えられる。
本発明の多孔質フィルムにおいて、前記ポリエチレン系樹脂と無機充填剤の配合割合は、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、無機充填剤50質量部〜200質量部である。無機充填剤の配合量が50質量部未満の場合、フィルムを延伸した際の多孔化が十分でなく、透湿性が十分発現しないため好ましくない。また、無機充填剤の配合割合が200質量部を超えると、フィルム成形時に破れ等が発生しやすく生産性が低下するとともに、得られた多孔質フィルムの強度も低下するため好ましくない。
本発明で使用される無機充填剤は、特に制限されることなく、公知の無機充填剤を使用することができる。具体的には、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機塩類、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリカ等の無機酸化物、マイカ、バーミキュライト、タルク等のケイ酸塩類および有機金属塩を用いることができる。また、これらは単独または複数種混合して使用することもできる。これらの中で、コストパフォーマンスおよびポリエチレン樹脂との剥離性を勘案すると、炭酸カルシウムが特に好ましい。
ここで、炭酸カルシウムとしては、純度の良好なカルサイト型の結晶質の石灰石を機械的に粉砕、分級して製造した重質炭酸カルシウムや、炭酸ガス化合法、塩化カルシウムソーダ法、石灰ソーダ等の化学反応により湿式で製造した軽質炭酸カルシウム等の粒子が、制限なく使用できる。
上記した無機充填剤の平均粒子径は、0.1〜10μmであることが好ましい。無機充填剤の平均粒子径が上記範囲にある時、分散性もよく、延伸時に連通孔の形成が容易である上に、成形時のフィルム破れ等が発生しにくく生産性よく製造可能である。
さらには、該無機充填剤が上記平均粒子径を満足する炭酸カルシウムであることが特に好ましい。
本発明の多孔質フィルムにおいて、耐候性および耐光性を向上させるためには、酸化チタンおよびヒンダードアミン系光安定剤を多孔質フィルムに配合することが好適である。これら酸化チタン、ヒンダードアミン系光安定剤、およびその他添加剤等は、特開2004−131590号公報に記載されたものと同じものを使用することができる。
特にそれらの中でも、前記酸化チタンとして、シリカおよびアルミナで表面処理された酸化チタンをポリエチレン系樹脂100質量部に対し、0.5〜10質量部配合することが好ましい。更に、前記ヒンダードアミン系光安定剤として、A)N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンと、B)コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の混合物(重量比A/B:2/8〜8/2)をポリエチレン系樹脂100質量部に対し、1〜5質量部配合することが、ポリエチレン系多孔質フィルムの耐候性および耐光性をさらに向上させることができるため、より好ましい。かかる表面処理酸化チタンは、例えばタイオキサイド社などから、ヒンダードアミン系光安定剤は、例えばチバスペシャルティーケミカルズ社などからすでに市販されている。
次に、本発明のポリエチレン系多孔質フィルムを製造する一般的な方法について説明する。
先ず前記ポリエチレン系樹脂と前記無機充填剤、必要により配合する酸化チタン、安定剤、添加剤等の混合及び造粒方法は、特に限定されず、公知の方法が採用できる。例えば通常のヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等で混合した後、一般に高混練タイプの2軸押出機、タンデム型混練機等でストランドカット、ホットカット、アンダーウォーターカットなどの方法で混練、ペレット化する。また、無機充填剤のマスターバッチを使用することもできる。
次いで、本発明においては、上記のペレット化したものを押出機の先端に装着したサーキュラダイ又はTダイでフィルム状に成形し、1軸もしくは2軸延伸法等の公知の方法で多孔質フィルムとする。本発明においては、特に低いメルトフローレートの樹脂の製膜に適したサーキュラダイを使用したインフレーション製膜による製膜が好ましい。
上記の製膜されたシートは、ロール延伸法またはテンター延伸法等の公知の方法により、常温以上、樹脂の軟化点未満の温度範囲で、少なくとも1軸方向に延伸することにより、規定した多孔質フィルムを得ることができる。延伸倍率は、特に制限されることはないが、面積延伸倍率1.1〜3.5倍である時、気体透過度と機械物性がバランスした多孔質フィルムを得ることができる。また、延伸は一段延伸でも多段延伸でもよく、必要に応じて延伸後に熱処理を行っても良い。該多孔質フィルムと通気性補強材を熱融着により積層する際の生産性を勘案すると、熱処理を行いフィルムの熱収縮率を緩和した方が好ましい。
本発明において、多孔質フィルムの耐候性および耐光性はその厚みに依存するところが大きく、厚みが厚いほど耐候性に優れるが、使用するポリエチレン系樹脂が特定のZ平均分子量(Mz)を満足し、しかもエチレンと炭素数が6以上のα−オレフィン共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含んでなることにより、得られる多孔質フィルムの耐候性および耐光性を保持できる。特に、厚みが10〜200μmであるとき、厚みによる耐候性および耐光性の改善効果が大きいだけでなく、コストパフォーマンスに優れ、フィルムの引裂強度に優れた多孔質フィルムを得ることができるため好ましい。さらに好ましくは、厚さ20〜120μmのとき上記のバランスが優れている。
また、本発明の多孔質フィルムは、近年屋外用途で要求されている高い耐候性および耐光性を満足するために、太陽光2年間の紫外線量に相当する528MJ/mの紫外線を照射する耐候促進試験を行った後のMDにおける引張伸度を100%以上、好ましくは150%以上、更に200%以上のものとすることが好ましい。また、近年屋外用途で要求されている高い耐候性および耐光性を満足するために、さらに、前記引張伸度を満足し、かつ引張伸度保持率(引張伸度保持率(%)=(促進試験後の引張伸度/促進試験前の引張伸度)×100)が50%以上のものとすることが好ましい。
さらに、本発明の多孔質フィルムにおいて、太陽光2年間の紫外線量に相当する528MJ/mの紫外線を照射した後の耐水圧は、10kPa以上、好ましくは50kPa以上保持していることが好ましい。また、太陽光2年間の紫外線量に相当する528MJ/mの紫外線を照射した後の透湿度は、1000g/m24Hr以上、好ましくは3000g/m24Hr以上を保持していることが好ましい。
また、本発明の多孔質フィルムは、通気性補強材と積層することにより、建材用途、農業用途、廃棄物処理用途等の耐候性や耐光性を必要とする防水透湿シート等に好適に使用できる。この通気性補強材の種類、積層方法なども、特開2004−131590号公報に記載されたもの、方法等を採用することができる。
また、本発明の多孔質フィルムおよびその積層シートは、特に制限されることなく、例えば、熱または接着層を介しての製袋加工や中接加工等のシール加工、またはアルミ蒸着による遮熱性付与、導電性物質のコーティング等による導電性付与、その他各種物質の塗布、コーティング等による防滑性や撥水性付与等の機能性付与を目的とした加工、または印刷、エンボス加工等の意匠性付与を目的とした加工等の2次加工を行うこともできる。
以下、実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。尚、実施例及び比較例に記載した物性値は以下に示す方法によって測定したものである。
1)ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)の測定
センシュー科学社製の高温GPC装置を用い、以下の条件で、ポリエチレン系樹脂の分子量を測定し、Z平均分子量(Mz)を測定した。
溶媒:オルトジクロルベンゼン、流速:1.0ml/分、カラム温度:145℃、検出器:高温示差屈折検出器、カラム:SHODEX UT807(1本)、806M(2本)、802.5(1本)、試料濃度:0.1重量%、注入量:0.50ml。
2)厚さ
JIS K 6734法に準じてダイヤルゲージにて測定した。
3)通気度
JIS P 8117に準じて王研式透気度計にて測定した。
4)透湿度
JIS Z 0208に準じて測定した。測定温度40℃、湿度90%の条件下で測定した。
5)引張伸度
JIS K 7127に準じて、試験片幅25mm、引張速度200mm/minの条件で測定した。
6)耐候性および耐光性
耐候性および耐光性の評価は、屋外2年間曝露に相当する紫外線量を照射する耐候促進試験を行った後の多孔質フィルムのMD方向における引張伸度の値により評価した。
まず、JIS A 1415に準拠して耐候性試験を行った。耐候促進装置としてサンシャインカーボンアーク灯を使用したサンシャインウェザーメーター(機種名 S80 スガ試験機(株)製放射照度255W/m<300〜700nm>)を用いた。耐候性試験は、上記耐候促進装置により、ブラックパネル温度63℃、18/120分間水噴霧の条件下で紫外線部(300〜400nm)の全照射強度が528MJ/mとなるように紫外線を照射して行った。
上記耐候促進試験を行った後、JIS K 7127に準じて、試験片幅25mm、引張速度200mm/minの条件で、耐侯促進試験後多孔質フィルムのMD方向における引張伸度を測定した。引張伸度の測定はn=5で行い、その平均値が100%以上であれば耐候性および耐光性が良好であると評価した。
実施例1
表1に示す、線状低密度ポリエチレン(プライムポリマー製、商品名:MORETEC0138N)100質量部に対して、炭酸カルシウム(カルファイン製、商品名:LAC2000)120質量部、酸化チタン(タイオキサイド製、商品名:R−TC30)4.0質量部、ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名:Tinuvin111FLD)2.0質量部を添加してなる配合で、混合・造粒、フィルム成形を行った。
造粒はベント付φ30mm二軸押出機を用いて、シリンダー温度180℃でストランド状に押出し、水槽で冷却後に5mm程度にカットし・乾燥してペレットとした。次に、上記ペレットをインフレ成膜機にて、押出温度180℃で溶融成膜した後、60℃に加熱したロール間で2.0倍の延伸倍率でMDに延伸し、さらに200℃に加熱したマンドレル延伸機で1.3倍の延伸倍率でTDに延伸し、ポリエチレン系多孔質フィルムを得た。
このようにして得られた多孔質フィルムについて測定した物性値を表2に示した。得られた多孔質フィルムは、良好な透湿度を有しており、且つ耐候促進試験後の引張伸度も200%以上の高い伸度を有していた。
実施例2〜4
線状低密度ポリエチレンを表2に示す種類に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて多孔質フィルムを得た。結果を表2に示した。得られた多孔質フィルムは、良好な透湿度を有しており、かつ耐侯促進試験後の引張伸度も150%以上の高い伸度を有していた。
比較例1〜3
線状低密度ポリエチレンを表3に示す種類に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて多孔質フィルムを得た。結果を表3に示した。得られた多孔質フィルムは、良好な透湿度を有していたが、耐候促進試験後の引張伸度が100%以下であり、耐候性が著しく低下した。
Figure 2007161787
Figure 2007161787
Figure 2007161787

Claims (1)

  1. ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、無機充填剤を50〜200質量部含んでなるフィルムを、少なくともフィルムの流れ方向に延伸して多孔化した多孔質フィルムであって、前記ポリエチレン系樹脂が、Z平均分子量(Mz)が30万以上であり、エチレンと炭素数が6以上のα−オレフィンとの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレンを含んでなることを特徴とするポリエチレン系多孔質フィルム。
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