JP2007116768A - 電動機付ターボチャージャ用回転検出装置 - Google Patents
電動機付ターボチャージャ用回転検出装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 センサレス永久磁石同期モータを180°通電方式や正弦波通電方式で制御・駆動する電動機付ターボチャージャの回転状態を高精度に検出する。
【解決手段】 駆動信号が連続的に供給される制御・駆動方式によって制御・駆動されるセンサレス永久磁石同期モータがエンジンに付設されたターボチャージャに取り付けられた電動機付ターボチャージャの回転状態を検出する装置において、永久磁石同期モータに備えられ、当該永久磁石同期モータの回転に応じたパルス信号を出力する回転検出器を具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】 駆動信号が連続的に供給される制御・駆動方式によって制御・駆動されるセンサレス永久磁石同期モータがエンジンに付設されたターボチャージャに取り付けられた電動機付ターボチャージャの回転状態を検出する装置において、永久磁石同期モータに備えられ、当該永久磁石同期モータの回転に応じたパルス信号を出力する回転検出器を具備する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電動機付ターボチャージャ用回転検出装置に関する。
下記非特許文献1には、ターボチャージャに組み込んだPMモータ(永久磁石型同期モータ)の駆動システムが開示されている。PMモータを組み込んだターボチャージャ(ハイブリッドターボチャージャ)は、PMモータの回転子をターボチャージャの回転軸と一体化させたものであり、PMモータの回転動力によってターボチャージャの回転を補助するものである。
本駆動システムは、ターボチャージャの補助用モータであるPMモータとして回転子の回転位置を検出する位置センサを具備しないブラシレスDCモータ(センサレスブラシレスDCモータ)を採用すると共に、当該センサレスブラシレスDCモータを120°通電方式で駆動するものであり、非通電期間に固定子巻線に誘起する誘起電圧を利用して回転子の回転位置を判定することにより各相の駆動電流を生成する。
一方、センサレスブラシレスDCモータの制御技術において、回転子の回転位置を演算によって推定する各種手法が、例えば以下の非特許文献2,3及び特許文献1等に詳細が開示されている。これら各手法は、センサレスブラシレスDCモータを180°通電方式で制御する場合において、センサレスブラシレスDCモータの駆動電流あるいはセンサレスブラシレスDCモータを駆動するインバータの各所電流に所定の演算処理を施すことにより回転子の角速度や回転角を推定するものである。
高田陽介他:「ターボチャージャ用220000 r/min −2kW PMモータ駆動システム」,平成16年電気学会産業応用部門大会講演論文集 竹下隆晴他:「電流推定誤差に基づくセンサレスブラシレスDCモータ制御」,平成7年電気学会全国大会講演論文集 市川真土:「回転座標系で拡張誘起電圧推定によるIPMSMのセンサレス制御」,平成13年電気学会全国大会講演論文集 大沢博:「埋込磁石形PMモータの高性能V/f制御」,テクノフロンティアシンポジウム2004 モータ技術シンポジウム,(社)日本能率協会 特開2005-137106号公報
本駆動システムは、ターボチャージャの補助用モータであるPMモータとして回転子の回転位置を検出する位置センサを具備しないブラシレスDCモータ(センサレスブラシレスDCモータ)を採用すると共に、当該センサレスブラシレスDCモータを120°通電方式で駆動するものであり、非通電期間に固定子巻線に誘起する誘起電圧を利用して回転子の回転位置を判定することにより各相の駆動電流を生成する。
一方、センサレスブラシレスDCモータの制御技術において、回転子の回転位置を演算によって推定する各種手法が、例えば以下の非特許文献2,3及び特許文献1等に詳細が開示されている。これら各手法は、センサレスブラシレスDCモータを180°通電方式で制御する場合において、センサレスブラシレスDCモータの駆動電流あるいはセンサレスブラシレスDCモータを駆動するインバータの各所電流に所定の演算処理を施すことにより回転子の角速度や回転角を推定するものである。
高田陽介他:「ターボチャージャ用220000 r/min −2kW PMモータ駆動システム」,平成16年電気学会産業応用部門大会講演論文集 竹下隆晴他:「電流推定誤差に基づくセンサレスブラシレスDCモータ制御」,平成7年電気学会全国大会講演論文集 市川真土:「回転座標系で拡張誘起電圧推定によるIPMSMのセンサレス制御」,平成13年電気学会全国大会講演論文集 大沢博:「埋込磁石形PMモータの高性能V/f制御」,テクノフロンティアシンポジウム2004 モータ技術シンポジウム,(社)日本能率協会
ところで、非特許文献1の技術では、非通電期間に固定子巻線に誘起する誘起電圧を利用して回転子の回転位置を判定するが、これはセンサレスブラシレスDCモータの制御・駆動方式として120°通電方式を採用するため可能である。120°通電方式とは異なり、180°通電方式や正弦波通電方式のように駆動信号を連続的にセンサレスブラシレスDCモータに供給する制御・駆動方式では、非通電期間は存在せず、よって誘起電圧は発生しないので、回転子の回転位置を検出することはできない。
一方、非特許文献2,3及び特許文献1の技術は、回転子の回転位置を演算処理によって推定するものであり、正確性に欠ける。すなわち、この推定演算処理は、センサレスブラシレスDCモータを数値モデル化した微分方程式を解くものであり、当該微分方程式の各種係数は、予め固定値として設定したものである。したがって、実際のセンサレスブラシレスDCモータの動作温度の変動や当該変動に起因する駆動電流の変動等が生じた場合に、推定演算処理によって求められた位置推定値は、実際のセンサレスブラシレスDCモータの回転位置とは異なるものとなる。
したがって、現状では、センサレス永久磁石同期モータを180°通電方式や正弦波通電方式で制御・駆動する電動機付ターボチャージャの回転状態を精度良く検出する技術は開発されていない。
一方、非特許文献2,3及び特許文献1の技術は、回転子の回転位置を演算処理によって推定するものであり、正確性に欠ける。すなわち、この推定演算処理は、センサレスブラシレスDCモータを数値モデル化した微分方程式を解くものであり、当該微分方程式の各種係数は、予め固定値として設定したものである。したがって、実際のセンサレスブラシレスDCモータの動作温度の変動や当該変動に起因する駆動電流の変動等が生じた場合に、推定演算処理によって求められた位置推定値は、実際のセンサレスブラシレスDCモータの回転位置とは異なるものとなる。
したがって、現状では、センサレス永久磁石同期モータを180°通電方式や正弦波通電方式で制御・駆動する電動機付ターボチャージャの回転状態を精度良く検出する技術は開発されていない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、センサレス永久磁石同期モータを180°通電方式や正弦波通電方式で制御・駆動する電動機付ターボチャージャの回転状態を高精度に検出することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、駆動信号が連続的に供給される制御・駆動方式によって制御・駆動されるセンサレス永久磁石同期モータがエンジンに付設されたターボチャージャに取り付けられた電動機付ターボチャージャの回転状態を検出する装置において、永久磁石同期モータに備えられ、当該永久磁石同期モータの回転に応じたパルス信号を出力する回転検出器を具備する、という手段を採用する。
第2の解決手段として、上記第1の手段において、回転検出器は永久磁石同期モータの1回転で1パルスのパルス信号を出力する、という手段を採用する。
第3の解決手段として、上記第1または第2の手段において、回転検出器の出力を角速度信号に変換する信号変換器を更に具備する、という手段を採用する。
第4の解決手段として、上記第1〜第3いずれかの手段において、回転検出器はホール素子を用いて永久磁石同期モータの回転を検出する、という手段を採用する。
本発明によれば、永久磁石同期モータの回転に応じたパルスを出力する回転検出器を具備するので、駆動信号が連続的に供給される制御・駆動方式によって制御・駆動されるセンサレス永久磁石同期モータを備える電動機付ターボチャージャの回転状態を精度良く検出することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電動機付ターボチャージャ用回転検出装置及びその関連機器の機能構成を示すブロック図である。この図1において、符号1はモータ駆動装置、2は電動機付ターボチャージャ、3A,3Bは電流検出器、4は速度検出器、5はモータ制御装置である。これら各構成要件のうち、本電動機付ターボチャージャ用回転検出装置は、電動機付ターボチャージャ2に1つ備えられた回転検出器2c及び速度検出器4によって構成されている。
図1は、本実施形態に係る電動機付ターボチャージャ用回転検出装置及びその関連機器の機能構成を示すブロック図である。この図1において、符号1はモータ駆動装置、2は電動機付ターボチャージャ、3A,3Bは電流検出器、4は速度検出器、5はモータ制御装置である。これら各構成要件のうち、本電動機付ターボチャージャ用回転検出装置は、電動機付ターボチャージャ2に1つ備えられた回転検出器2c及び速度検出器4によって構成されている。
モータ駆動装置1は、図示するように直流電源1a、昇圧回路1b及びインバータ1cから構成されており、また電動機付ターボチャージャ2は、永久磁石型同期モータ2a、ターボチャージャ2b及び回転検出器2cから構成されている。モータ駆動装置1は、直流電源1aから出力された直流電圧(電源電圧)に基づいてモータ駆動信号(交流信号)を生成して永久磁石型同期モータ2aを駆動するものである。直流電源1aは、1あるいは複数のバッテリを直列接続したものであり、所定の直流電圧を昇圧回路1bに出力する。昇圧回路1bは、必要に応じて設けられるものであり、直流電源1aから供給された直流電圧を昇圧してインバータ1cに供給する。インバータ1cは、モータ制御装置5から供給されるPWM信号に基づいて昇圧回路1bから供給された直流電圧をスイッチングすることにより、図示するようにU相、V相及びW相からなる3相のモータ駆動信号を生成する。
永久磁石型同期モータ2aは、回転子が永久磁石から形成されると共に回転子の回転(回転位置、回転速度あるいは/及び回転数)を検出するセンサを具備しないセンサレス永久磁石型同期モータであり、補助用モータとしてターボチャージャ2bの回転を補助するものである。ターボチャージャ2bは、周知のようにタービンとコンプレッサとから構成されるものであり、補機としてエンジンに付設されている。
回転検出器2cは、永久磁石型同期モータ2aの回転を所定の検出手法を用いて検出するものである。より詳細には、回転検出器2cは、回転子の磁力をホール素子で検出し、回転子の1回転毎に1パルス(N極の位置を示すパルス)となるパルス信号を速度検出器4に出力する。
電流検出器3Aは、上記インバータ1cのU相出力端と永久磁石型同期モータ2aのU相固定子巻線とを接続するU相駆動信号線に設けられており、上記U相出力端からU相固定子巻線に流れるモータ駆動電流Iuを検出して下記モータ制御装置5に出力する。一方、電流検出器3Bは、上記インバータ1cのV相出力端と永久磁石型同期モータ2aのV相固定子巻線とを接続するV相駆動信号線に設けられており、上記V相出力端からV相固定子巻線に流れるモータ駆動電流Ivを検出して下記モータ制御装置5に出力する。
速度検出器4は、上記パルス信号をその繰り返し周波数に応じた直流電圧に変換する一種の信号変換器(F/Vコンバータ)であり、上記直流電圧を角速度検出値ωkとしてエンジン制御装置(ECU)に出力する。
続いて、モータ制御装置5は、上記インバータ1cをPWM制御することによって永久磁石型同期モータ2aの回転を制御するものであり、図示するように減算器5a、速度制御器5b、電流制御器5c、座標変換器5d,5f、ロータ位置・速度推定器5e及びPWM(Pulse Width Modulation)信号発生器5gから構成されている。
減算器5aは、上位制御装置であるエンジン制御装置(ECU)から供給される角速度目標値ω0とロータ位置・速度推定器5eから出力された角速度推定値ωeとの差分を速度誤差Δωとして演算し速度制御器5bに出力する。速度制御器5bは、一種のPID制御器であり、上記速度誤差Δωに所定の比例積分・微分演算を施することにより速度誤差Δωに対応する電流操作量Iqsを演算して電流制御器5cに出力する。
電流制御器5cは、上記電流操作量Iqs、エンジン制御装置(ECU)から供給される電流操作量Ids、座標変換器5dから入力される駆動電流検出量Iq,Idに基づいて電流操作量Iqs,Idsに各々対応する電圧操作量Vq,Vdを演算してロータ位置・速度推定器5e及び座標変換器5fに出力する。電流制御器5cは、一種のPID制御器であり、各電流操作量Iqs,Idsに所定の比例積分・微分演算を各々施することにより電圧操作量Vq,Vdを生成する。
座標変換器5dは、電流検出器4A,4Bによって各々検出されたU相及びV相のモータ駆動電流Iu,Iv(検出量)に基づいて永久磁石型同期モータ2aの回転子上に固定された2次元座標系(q軸とd軸とからなる座標系)上におけるq軸の駆動電流検出量Iqとd軸の駆動電流検出量Idを生成する。より詳細には、座標変換器5dは、上記モータ駆動電流Iu,Ivに基づく内部演算によってW相のモータ駆動電流Iwを求め、U相、V相及びW相からなる3次元座標系上のモータ駆動電流Iu,Iv,Iwに所定の座標変換を施すことにより上記駆動電流検出量Iq,Idを求める。上記q軸は、回転子の回転面上において永久磁石のS極とN極との対向方向に設定された座標軸であり、d軸は、上述したq軸に直交する座標軸である。
ロータ位置・速度推定器5eは、上記駆動電流検出量Iq,Id及び電圧操作量Vq,Vdに基づいて永久磁石型同期モータ2aの回転状態を推定するものである。ロータ位置・速度推定器5eは、例えば、内部に永久磁石型同期モータ2aを模擬したモータモデルを備えており、このモータモデルに電圧操作量Vq,Vd及び駆動電流検出量Iq,Idを入力信号として角速度推定値ωe及び回転角推定値θeを演算する。ロータ位置・速度推定器5eは、このような手法で推定した回転角推定値θeを座標変換器5d,5fにそれぞれ出力すると共に角速度推定値ωeを上記減算器5aに出力する。
なお、センサレス永久磁石型同期モータの回転制御では、一般的にセンサレス永久磁石型同期モータの角速度及び回転角等を何らかの方法で推定し、その推定値に基づいてセンサレス永久磁石型同期モータをベクトル制御あるいはV/f制御する。ロータ位置・速度推定器5eにおける角速度推定値ωe1及び回転角推定値θeの推定手法は、非特許文献2に記載されて手法と同等なものであるが、非特許文献3,4及び特許文献1には、センサレス永久磁石型同期モータの回転制御における角速度及び回転角等の推定手法について開示されている。したがって、ロータ位置・速度推定器5eにおける角速度推定値ωe1及び回転角推定値θeの推定手法に上記非特許文献3,4及び特許文献1に開示された手法を用いても良い。
座標変換器5fは、上記ロータ位置・速度推定器5eから入力された回転角推定値θeに基づいて電流制御器5cから入力された上記q軸及びd軸に対応する電圧操作量Vq,VdをU相、V相及びW相からなる3次元座標系上の電圧操作量Vu,Vv,Vwに変換し、当該電圧操作量Vu,Vv,VwをPWM信号発生器5gに出力する。
PWM信号発生器5gは、上記電圧操作量Vu,Vv,Vwに基づいてインバータ1cをスイッチング動作させるためのPWM信号を生成してインバータ1cに出力する。モータ制御装置5は正弦波通電方式に基づいて動作するものであり、したがってPWM信号発生器5gは、インバータ1cが永久磁石型同期モータ2aの全回転角(360°)に亘ってモータ駆動信号を出力するようにPWM信号を出力する。
次に、このように構成された電動機付ターボチャージャ用回転検出装置の動作について、図2をも参照して詳しく説明する。
図2は、電動機付ターボチャージャ2の回転数変化を示すものである。電動機付ターボチャージャ2は、エンジンの排ガスによってタービンが駆動されることによって回転数が上昇する一方、永久磁石型同期モータ2aによる補助(アシスト)によっても回転数が上昇する。永久磁石型同期モータ2aによるアシストは、図示する「電動アシスト」で示すように、電動機付ターボチャージャ2の回転数を高速上昇させるために行われるものである。永久磁石型同期モータ2aのアシストによって、電動機付ターボチャージャ2の回転数は、例えば低速回転数a1から10万回転を超える高速回転a1まで急速上昇する。
モータ制御装置5は、エンジン制御装置(ECU)から入力される動作指示信号Jによって「電動機アシスト」が指示されると、モータ駆動装置1を作動させることによって永久磁石型同期モータ2aの駆動を行う。すなわち、電動機アシスト時においては、モータ駆動信号が各相の駆動信号線を介してインバータ1cから永久磁石型同期モータ2aに供給され、永久磁石型同期モータ2aが回転駆動される。
そして、電流検出器3A,3Bは、上記モータ駆動信号に基づくU相及びV相のモータ駆動電流Iu,Ivを座標変換器5dに出力し、当該座標変換器5dは、もう1相つまりW相のモータ駆動電流IwをU相及びV相のモータ駆動電流Iu,Ivから算出し、3相(U相,V相及びW相)のモータ駆動電流Iu,Iv,Iwに回転角推定値θeに応じた要素からなる変換マトリクスを用いて座標変換処理を施すことにより、永久磁石型同期モータ2aに固有のq軸−d軸座標系におけるq軸の駆動電流検出量Iqとd軸の駆動電流検出量Idを生成する。
また、この電動機アシスト時には、エンジン制御装置(ECU)から角速度目標値ω0が減算器5aに入力されると共に、同じくエンジン制御装置(ECU)から上記駆動電流検出量Idの目標値に相当する電流操作量Idsが電流制御器5cに入力される。ここで、上記電流操作量Idsは「0」に設定される。
減算器5aは、上記角速度目標値ω0とロータ位置・速度推定器5eから入力された永久磁石型同期モータ2aの角速度推定値ωeとの差分を演算することにより速度誤差Δωを生成し、速度制御器5bは、速度誤差Δωに比例積分・微分処理を施すことによって上記駆動電流検出量Idに対応する電流操作量Iqsを生成する。そして、電流制御器5cは、上記電流操作量Iqs,Idsに比例積分・微分演算を各々施することにより、永久磁石型同期モータ2aに印加すべき駆動電圧に相当する電圧操作量Vq,Vdを生成する。
そして、ロータ位置・速度推定器5eは、永久磁石型同期モータ2aの回転子に固定設定されたq軸−d軸座標系におけるq軸の駆動電流検出量Iq及び電圧操作量Vq並びにd軸の駆動電流検出量Id及び電圧操作量Vdを入力信号として角速度推定値ωe及び回転角推定値θeを推定する。そして、この回転角推定値θeを用いることにより座標変換器5fは電圧操作量Vq,VdをU相、V相及びW相からなる3次元座標系上の電圧操作量Vu,Vv,Vwに変換し、PWM信号発生器5gは、これら電圧操作量Vu,Vv,Vwに基づいてインバータ1cをスイッチング動作させるためのPWM信号を生成してインバータ1cを駆動する。
一方、動作指示信号Jが「電動機アシスト」を指示しない場合(非電動機アシストの場合)には、モータ駆動装置1の作動を停止して永久磁石型同期モータ2aの駆動を行わない。このようにモータ駆動装置1が作動を停止した状態において、電動機付ターボチャージャ2は、エンジンの回転に同期して回転することになる。
本電動機付ターボチャージャ用回転検出装置では、上述した電動機アシスト時及び非電動機アシスト時の何れの状態であっても、回転検出器2cが永久磁石型同期モータ2aの回転子の位置に対応するパルス信号を常時出力する。そして、速度検出器4は、このようなパルス信号を、その繰り返し周波数に対応する直流電圧に変換することにより角速度検出値ωkをエンジン制御装置(ECU)に常時出力する。
図3は、回転検出器2cが出力するパルス信号と速度検出器4が出力する角速度検出値ωkとの関係を模式的に示すものである。この図に示すように、電動機アシスト時及び非電動機アシスト時の何れの状態であっても、回転検出器2cは永久磁石型同期モータ2aの回転子が1回転する度に1つのパルス信号を出力する。すなわち、このパルス信号の繰返し周期Tは、永久磁石型同期モータ2aの角速度に対応したもの、つまり角速度が大きい程狭くなる。したがって、このようなパルス信号を速度検出器4に入力すると、その出力つまり角速度検出値ωkは、上記繰返し周期Tに応じた電圧レベルの信号、つまり繰返し周期Tが短い程高い電圧レベルとなる。
このような本実施形態によれば、センサレス永久磁石型同期モータである永久磁石型同期モータ2aを補助モータとして用いているにも拘わらず、回転検出器2cが出力するパルス信号に基づいて電動機アシスト時及び非電動機アシスト時における永久磁石型同期モータ2aの回転状態を角速度検出値ωkとして精度良く検出することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では速度検出器4を設けることによって角速度検出値ωkを電動機付ターボチャージャ2の回転状態を示す信号としてエンジン制御装置(ECU)に出力する構成を採用したが、速度検出器4を削除し、回転検出器2cから出力されるパルス信号をエンジン制御装置(ECU)に出力するようにしても良い。この場合、永久磁石型同期モータ2aの回転子の回転位置が回転状態を示す信号としてエンジン制御装置(ECU)に供給されることになる。
(1)上記実施形態では速度検出器4を設けることによって角速度検出値ωkを電動機付ターボチャージャ2の回転状態を示す信号としてエンジン制御装置(ECU)に出力する構成を採用したが、速度検出器4を削除し、回転検出器2cから出力されるパルス信号をエンジン制御装置(ECU)に出力するようにしても良い。この場合、永久磁石型同期モータ2aの回転子の回転位置が回転状態を示す信号としてエンジン制御装置(ECU)に供給されることになる。
(2)上記実施形態では永久磁石同期モータの1回転で1パルスのパルス信号を出力する回転検出器2cを用いたが、本発明はこれに限定されない。1回転で複数のパルスを出力する回転検出器を用い、当該回転検出器の出力を速度検出器4に入力しても良い。
(3)上記実施形態における回転検出器2cはホール素子を検出素子として用いるものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。回転検出器は、ホール素子以外の検出素子(例えば磁気抵抗素子)を用いたものであっても良い。
(4)上記実施形態では速度検出器4としてF/V変換器を用いたが、当該F/V変換器に代えてPLL(Phas Locked Loop)回路を用いてパルス信号を直流電圧に変換するるもの、あるいはパルス信号をマイコンを用いてソフトウエア処理することにより直流電圧に変換するものを用いても良い。
(5)また、上記実施形態では電流検出器3A,3Bによってモータ駆動電流Iu,Ivを検出し、このモータ駆動電流Iu,Ivをモータ制御装置5に供給することにより永久磁石型同期モータ2aの回転子に固有のq軸−d軸座標系における駆動電流検出量Iq,Idを演算するが、これに代えて、図4に示すように昇圧回路1bからインバータ1cに供給される電源電流Ipを電流検出器3Cによって検出し、この電源電流Ipをモータ制御装置5Aに供給することにより駆動電流検出量Iq,Idを演算するようにしても良い。また、このような駆動電流検出量Iq,Idの演算に代えて、電源電流Ipからモータ駆動電流Iu,Iv,モータ駆動電流Iv,Iw,モータ駆動電流Iu,Iwあるいはモータ駆動電流Iu,Iv,Iwを演算するようにしても良い。
この場合のモータ制御装置5Aは、図5に示すようにモータ制御装置5に相電流再現器5hを付加した構成となる。この相電流再現器5hは、PWM信号発生器5gから供給されるPWM信号及びロータ位置・速度推定器5eから供給される回転角推定値θeに基づいて電源電流Ipを3相のモータ駆動電流Iu,Iv,Iwに変換する。また、モータ制御装置5では座標変換器5dにおいてU相及びV相のモータ駆動電流Iu,IvからW相のモータ駆動電流Iwを演算するようにしたが、モータ制御装置5Aでは相電流再現器5hにおいてW相のモータ駆動電流Iwを生成するので、座標変換器5d’は座標変換処理のみを行う。
なお、図4の装置では、電流検出器3Cを電源の+側に設けて電源電流Ipを検出するようにしたが、電源の−側に電流検出器3Cを設けて電源電流Ipを検出するようにしても良い。
なお、図4の装置では、電流検出器3Cを電源の+側に設けて電源電流Ipを検出するようにしたが、電源の−側に電流検出器3Cを設けて電源電流Ipを検出するようにしても良い。
(6)また、図6は、図4に示した装置の変形例を示すブロック図である。この図に示すように、インバータ1cは、3相モータである永久磁石型同期モータ2aを駆動するものなので、各相(U相,V相及びW相)に対応した3つのスイッチアーム1d〜1fを備えている。図4の装置では、昇圧回路1bからインバータ1cに供給される電源電流Ipを検出したが、本変形例に係る装置ではスイッチアーム1d〜1fに流れるアーム電流Iaを電流検出器3Dで検出して上述したモータ制御装置5Aに供給する。なお、図6では、電流検出器3DをU相のスイッチアーム1dに設けているが、他の相つまりV相あるいはW相のスイッチアーム1e,1fに設けるようにしても良い。
(7)さらに、上記実施形態では電流検出器3A,3BによってU相及びV相のモータ駆動電流Iu,Ivを検出し、座標変換器5dが上記U相及びV相のモータ駆動電流Iu,Ivに基づいてW相のモータ駆動電流Iwを算出するが、電流検出器で検出するモータ駆動電流はモータ駆動電流Iu,Ivに限定されない。任意の2相のモータ駆動電流を検出し、当該2相のモータ駆動電流に基づいて残りの1相を演算するようにすれば良い。
1…モータ駆動装置、2…電動機付ターボチャージャ、2c…回転検出器、3A,3B…電流検出器、4…速度検出器、5…モータ制御装置
Claims (4)
- 駆動信号が連続的に供給される制御・駆動方式によって制御・駆動されるセンサレス永久磁石同期モータがエンジンに付設されたターボチャージャに取り付けられた電動機付ターボチャージャの回転状態を検出する装置であって、
前記永久磁石同期モータに備えられ、当該永久磁石同期モータの回転に応じたパルス信号を出力する回転検出器を具備することを特徴とする電動機付ターボチャージャ用回転検出装置。 - 回転検出器は、永久磁石同期モータの1回転で1パルスのパルス信号を出力することを特徴とする請求項1記載の電動機付ターボチャージャ用回転検出装置。
- 回転検出器の出力を角速度信号に変換する信号変換器を更に具備することを特徴とする請求項1または2記載の電動機付ターボチャージャ用回転検出装置。
- パルス発生器はホール素子を用いて永久磁石同期モータの回転を検出することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の電動機付ターボチャージャ用回転検出装置。
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