JP4735287B2 - 同期モータの制御装置およびこの同期モータの制御装置を用いた制御方法 - Google Patents

同期モータの制御装置およびこの同期モータの制御装置を用いた制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、同期モータの制御装置およびこの同期モータの制御装置を用いた制御方法に関する。
〔従来の技術〕
近年、同期モータの制御装置(以下、単に制御装置と呼ぶ)では、磁極位置を直接的に検出する位置センサによらずに磁極位置を推定するセンサレス制御方式が広まっている。そして、このセンサレス制御方式の1つに、いわゆる外乱注入方式がある。
この外乱注入方式とは、同期モータの運転条件(例えば、要求される出力トルク)に応じて算出される駆動用の指令値に、磁極位置を推定するための推定用の指令値を高周波の外乱として加算して最終の指令値とし、この最終の指令値を用いて同期モータを制御するとともに磁極位置を推定するものである。
例えば、外乱注入方式の制御装置は、駆動用電圧の指令値を軸成分に変換して得られる駆動用電圧ベクトルに、推定用電圧の指令値からなる推定用電圧ベクトルを高周波の外乱として加算して最終の指令電圧ベクトルとし、この指令電圧ベクトルに基づき同期モータへ電圧を印加するためのPWM信号を合成し、所定のインバータに出力する。そして、この外乱注入方式の制御装置は、推定用電圧ベクトルの加算により生じる各種の変動に応じて磁極位置を推定する(例えば、特許文献1〜3参照)。
例えば、特許文献1に記載の技術によれば、同期モータへの通電量を軸成分に変換して得られる電流ベクトルを、推定用電圧ベクトルに垂直なベクトル、および、推定用電圧ベクトルに平行なベクトルに分解し、これらの内のいずれか一方のベクトルに基づき磁極位置を推定する。また、特許文献2に記載の技術によれば、電流ベクトルの時間的変化量に基づき磁極位置を推定する。
さらに、特許文献3に記載の技術によれば、1つの推定用電圧ベクトル(第1推定用電圧ベクトル)を駆動用電圧ベクトルに加算した第1指令電圧ベクトルに基づき発生する電流ベクトルの変化量(第1電流変化量ベクトル)と、第1推定用電圧ベクトルとは異なる推定用電圧ベクトルを駆動用電圧ベクトルに加算した第2指令電圧ベクトルに基づき発生する電流ベクトルの変化量(第2電流変化量ベクトル)とを算出し、第1電流変化量ベクトルの大きさと第2電流変化量ベクトルの大きさとが略一致するように磁極位置を推定する。
〔従来技術の不具合〕
しかし、これらの技術によれば、磁極位置を推定する過程で、三角関数および逆三角関数等を用いた数学的演算を高頻度で繰り返す必要があり、制御装置による処理負荷が極めて大きい。
特許第3312472号公報 特許第3454212号公報 特許第3578096号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、同期モータの制御装置において、磁極位置を推定する際の処理負荷を低減することにある。
〔請求項1および請求項2の手段〕
請求項1に記載の制御装置は、突極性を有する同期モータの制御装置であって、同期モータの駆動用電圧ベクトルに、磁極位置を推定するための推定用電圧ベクトルを加算して指令電圧ベクトルとし、指令電圧ベクトルに基づき同期モータへの印加電圧を制御する。そして、この制御装置は、同期モータへの通電量の検出値に基づき、この検出値に相当する検出電流ベクトルを算出する検出電流ベクトル算出手段と、検出電流ベクトルの内で、推定用電圧ベクトルの加算により生じる部分を推定用電流ベクトルとして算出する推定用電流ベクトル算出手段と、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積に基づき、磁極位置を推定する磁極位置推定手段とを備える。
また、推定用電圧ベクトルは、推定された磁極位置と平行になるように、かつ、ベクトル方向が反転を繰り返すように算出され、磁極位置推定手段は、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積がゼロに略一致するように磁極位置を推定する。
また、請求項2に記載の制御装置によれば、磁極位置推定手段は、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積がゼロに略一致するように磁極回転数を推定し、磁極回転数の推定値を用いて磁極位置を推定する。
真の磁極位置に対する指令電圧ベクトルの方向(つまり、電圧を印加する方向:印加電圧の位相θv、以下、電圧位相θvとする)を求めることは、磁極位置を推定することに相当する。そして、本発明は、突極性を有する同期モータについて、磁極位置を推定するため、まず、電圧電流位相差(つまり、電圧ベクトルと電流ベクトルとの角度差:以下、位相差θviと呼ぶ)の正負と電圧位相θvの正負とが逆相関を示すことに着目する。
すなわち、本発明は、位相差θviがゼロであれば電圧位相θvはゼロになり、位相差θviが正の値であれば電圧位相θvは負の値になり、位相差θviが負の値であれば電圧位相θvは正の値になることに着目する。
この位相差θviの正負と電圧位相θvの正負との逆相関は、突極性を有する同期モータを外乱注入方式によりセンサレス制御する場合、以下のようにして導き出すことができる。
まず、外乱注入方式により同期モータを制御する場合の電圧方程式は、回転座標系のdq軸成分で表現した場合、下記の数式1のようになる。
〔数式1〕

Figure 0004735287
この数式1において、vdは駆動用電圧ベクトルのd軸成分、vqは駆動用電圧ベクトルのq軸成分、vhdは推定用電圧ベクトルのd軸成分、vhqは推定用電圧ベクトルのq軸成分、Rは電機子コイルの巻き線抵抗、pは微分演算子、ωは角速度(磁極回転数に相当する)、φaは磁石の鎖交磁束、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、idは駆動用電圧ベクトルに起因する電流ベクトル(駆動用電流ベクトルと呼ぶ)のd軸成分、iqは駆動用電流ベクトルのq軸成分、ihdは推定用電圧ベクトルに起因する電流ベクトル(推定用電流ベクトルと呼ぶ)のd軸成分、ihqは推定用電流ベクトルのq軸成分である。
そして、数式1の中で、高周波のみを考慮して、推定用電圧ベクトルおよび推定用電流ベクトルに相当する部分のみを取り出し、微分演算子pをサンプリング周期Δtを用いて表現すると、下記の数式2のようになる。
〔数式2〕

Figure 0004735287
次に、電圧位相θvを用いて推定用電圧ベクトルのdq軸成分vhd、vhqを表すと、下記の数式3のようになる。なお、数式3でvaは、推定用電圧ベクトルの大きさである。
〔数式3〕

Figure 0004735287
この数式3を数式2に当てはめて、推定用電流ベクトルのdq軸成分ihd、ihqについて解くと、下記の数式4のようになる。
〔数式4〕

Figure 0004735287
また、電流位相θiは、推定用電流ベクトルのdq軸成分ihd、ihqを用いると、下記の数式5のようになる。
〔数式5〕

Figure 0004735287
よって、位相差θviは、下記の数式6のように変形できる。
〔数式6〕

Figure 0004735287
ここで、電圧位相θvが微小値であると仮定すると、数式6における最終式は下記の数式7のように変形できる。
〔数式7〕

Figure 0004735287
そして、同期モータが突極性を有する場合、d軸インダクタンスLdはq軸インダクタンスLqよりも小さいので、数式7における(Ld/Lq−1)は常に負の値となる。
以上により、突極性を有する同期モータの場合、位相差θviの正負と電圧位相θvの正負とは逆相関を示す。
次に、本発明は、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積(以下、外積V×Iとする)に着目する。そして、外積V×Iは、推定用電圧ベクトルの大きさと、推定用電流ベクトルの大きさと、位相差θviの正弦関数との積として定義されるので、外積V×Iの正負と位相差θviの正負とは順相関を示す。すなわち、外積V×Iがゼロであれば位相差θviはゼロになり、外積V×Iが正の値であれば位相差θviは正の値になり、外積V×Iが負の値であれば位相差θviは負の値になる。
したがって、外積V×Iの正負と位相差θviの正負とが順相関を示すことと、位相差θviの正負と電圧位相θvの正負とが逆相関を示すこととを併せると、外積V×Iの正負と電圧位相θvの正負とが逆相関を示すことがわかる。このため、外積V×Iの正負により電圧位相θvの正負を推定することができる。
また、外積V×Iは、上記の定義のように位相差θviを直接的に用いなくても、推定用電圧ベクトルおよび推定用電流ベクトルの各成分を用いて簡易な四則演算により算出することができる。例えば、推定用電圧ベクトルを静止座標系のαβ軸成分vhα、vhβで表し、推定用電流ベクトルもαβ軸成分ihα、ihβで表すと、外積V×Iは、下記の数式8により算出できる。
〔数式8〕

Figure 0004735287
以上により、簡易な四則演算により算出できる外積V×Iの正負に応じて、電圧位相θvの正負を推定することができる。このため、磁極位置の推定を行う際に、三角関数および逆三角関数等を用いる頻度を下げることができるので、制御装置による処理負荷を低減することができる。
なお、請求項1、2の手段では、注入される外乱が推定用電圧ベクトルであり、推定用電流ベクトルは、検出電流ベクトルに基づき算出されたものである。
また、推定用電圧ベクトルは、推定された磁極位置と平行になるように算出されるので、駆動用電圧ベクトルに推定用電圧ベクトルが加算されても、推定用電圧ベクトルに応じた出力トルクは発生しない。このため、駆動用電圧ベクトルに推定用電圧ベクトルを加算しても、駆動用電圧ベクトルのみに応じた出力トルクを得ることができる。
さらに、請求項1、2に記載の制御装置によれば、磁極位置推定手段は、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積がゼロに略一致するように推定を行なうものであり、ゼロに略一致させる対象を外積V×Iとしているので、収束計算を行う際に、電機子コイルの巻き線抵抗R、磁石の鎖交磁束φa、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqの影響を除くことができる。このため、収束計算を行う際に、温度等の同期モータの使用条件の影響を除くことができる。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の制御装置によれば、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積は、静止座標系の成分からなる推定用電圧ベクトルと静止座標系の成分からなる推定用電流ベクトルとを用いて算出される。
この手段は、外積V×Iの算出方法の一形態を示すものである。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の制御装置によれば、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積は、回転座標系の成分からなる推定用電圧ベクトルと回転座標系の成分からなる推定用電流ベクトルとを用いて算出される。
この手段は、外積V×Iの算出方法の一形態を示すものである。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の制御装置によれば、磁極位置推定手段は、磁極位置の推定値を用いて算出される磁極回転数の推定値に応じて、磁極位置を推定する際に用いるパラメータを可変する。
この手段は、請求項に記載の磁極位置推定手段に関するものである。そして、この手段によれば、例えば、外積V×IにPI演算を施す場合の比例ゲイン、積分ゲイン等のパラメータを、外積V×Iがより早期にゼロに略一致する方に可変することができる。このため、より早期に磁極位置を推定することができる。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の制御装置によれば、磁極位置推定手段は、磁極回転数の推定値に応じて、磁極回転数を推定する際に用いるパラメータを可変する。
この手段は、請求項に記載の磁極位置推定手段に関するものである。そして、この手段によれば、請求項の手段と同様の効果を得ることができる。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の制御装置によれば、磁極位置推定手段は、通電量の指令値の正負と、磁極回転数の推定値の変化率の正負とが異なる場合に、磁極位置の推定値をπだけ変化させて修正する。
これにより、制御装置が磁極を回転させたい方向と、制御装置の指令に応じて磁極が回転しようとする方向とが逆である場合に、推定された磁極のNSを逆転させることができる。このため、同期モータの回転停止や逆回転を防止することができる。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の制御装置は、印加電圧が、電源電圧以下になるように駆動用電圧ベクトルを補正する電圧制限手段を備える。
これにより、確実に推定用電圧を印加することができるので、磁極位置を確実に推定することができる。このため、制御装置の信頼性を高めることができる。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の制御装置によれば、磁極位置推定手段は、印加電圧の内で推定用電圧ベクトルに基づく部分の変動周期を、乱数に基づき決定する。
これにより、推定用電圧の周波数を分散することができるので、駆動用電圧の印加に伴う騒音を低減することができる。
〔請求項10の手段〕
請求項10に記載の制御方法によれば、同期モータの起動後の所定時間で磁極位置を推定し、推定された磁極位置の正方向および負方向の両方向で磁気飽和に達するように印加電圧を与え、正方向で磁気飽和に達した時の通電量および負方向で磁気飽和に達した時の通電量に応じて磁極を判別する。
これにより、同期モータの起動から極めて短時間の内に、磁極位置を推定するとともにNS判別を行うことができる。このため、同期モータの起動後、極めて早期にセンサレス制御が可能になる。
〔請求項11の手段〕
請求項11に記載の制御装置は、通電量の大きさに対して目標値を設定し、通電量の大きさが目標値よりも小さいときに、通電量の大きさが目標値に略一致するように、d軸電流の指令値を増加させる無効電流増加手段を備える。
同期モータへの通電量の大きさが小さい場合、q軸インダクタンスLqとd軸インダクタンスLdとの差(インダクタンス差)が小さいので、磁極位置の推定が困難になり誤差が大きくなる。そこで、誤差の許容範囲を考慮して、通電量の大きさに対して目標値を設定する。そして、通電量の大きさが目標値よりも小さいときには、通電量の大きさを目標値まで増加させてインダクタンス差を大きくする。この際、d軸電流のみを増加させることで、出力トルクに影響を与えることなく、通電量の大きさを増加させることができる。
〔請求項12の手段〕
請求項12に記載の制御装置によれば、同期モータは車両に搭載される車両用モータである。
最良の形態1の制御装置は、突極性を有する同期モータの制御装置であって、同期モータの駆動用電圧ベクトルに、磁極位置を推定するための推定用電圧ベクトルを加算して指令電圧ベクトルとし、指令電圧ベクトルに基づき同期モータへの印加電圧を制御する。そして、この制御装置は、同期モータへの通電量の検出値に基づき、この検出値に相当する検出電流ベクトルを算出する検出電流ベクトル算出手段と、検出電流ベクトルの内で、推定用電圧ベクトルの加算により生じる部分を推定用電流ベクトルとして算出する推定用電流ベクトル算出手段と、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積に基づき、磁極位置を推定する磁極位置推定手段とを備える。
推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積は、静止座標系の成分からなる推定用電圧ベクトルと静止座標系の成分からなる推定用電流ベクトルとを用いて算出される。
また、推定用電圧ベクトルは、推定された磁極位置と平行になるように、かつ、ベクトル方向が反転を繰り返すように算出される。
磁極位置推定手段は、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積がゼロに略一致するように磁極位置を推定する。さらに、磁極位置推定手段は、磁極位置の推定値を用いて算出される磁極回転数の推定値に応じて、磁極位置を推定する際に用いるパラメータを可変する。
また、磁極位置推定手段は、通電量の指令値の正負と、磁極回転数の推定値の変化率の正負とが異なる場合に、磁極位置の推定値をπだけ変化させて修正する。
さらに、この制御装置は、印加電圧が、電源電圧以下になるように駆動用電圧ベクトルを補正する電圧制限手段を備える。
そして、この制御装置を用いた制御方法によれば、同期モータの起動後の所定時間で磁極位置を推定し、推定された磁極位置の正方向および負方向の両方向で磁気飽和に達するように印加電圧を与え、正方向で磁気飽和に達した時の通電量および負方向で磁気飽和に達した時の通電量に応じて磁極を判別する。
また、この制御装置により制御される同期モータは、車両に搭載される車両用モータである。
最良の形態2の制御装置によれば、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積は、回転座標系の成分からなる推定用電圧ベクトルと回転座標系の成分からなる推定用電流ベクトルとを用いて算出される。
また、磁極位置推定手段は、印加電圧の内で推定用電圧ベクトルに基づく部分の変動周期を、乱数に基づき決定する。
最良の形態3の制御装置によれば、磁極位置推定手段は、推定用電圧ベクトルと推定用電流ベクトルとの外積がゼロに略一致するように磁極回転数を推定し、磁極回転数の推定値を用いて磁極位置を推定する。さらに、磁極位置推定手段は、磁極回転数の推定値に応じて、磁極回転数を推定する際に用いるパラメータを可変する。
最良の形態4の制御装置は、通電量の大きさに対して目標値を設定し、通電量の大きさが目標値よりも小さいときに、通電量の大きさが目標値に略一致するように、d軸電流の指令値を増加させる無効電流増加手段を備える。
〔実施例1の構成〕
実施例1の制御装置1を、図1に基づいて説明する。
まず、制御装置1により制御される同期モータ2について説明する。同期モータ2は、ステータ(図示せず)に設けられ所定の電源(図示せず)から給電を受ける複数相(例えば、u相、v相、w相の3相)の電機子コイル(図示せず)と、ロータ(図示せず)に装着された磁石(図示せず)との相互作用により、ロータを回転駆動することで出力トルクを得るものである。すなわち、同期モータ2は、インバータ3から電機子コイルに交流の電圧の印加を受けることで、電機子コイルと磁石との間に相互作用を発生させ、ロータを回転駆動して出力トルクを得る。
なお、同期モータ2は、回転座標系のdq軸成分の値で示されたd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqに関し、d軸インダクタンスLdがq軸インダクタンスLqよりも小さい突極性を有する。また、同期モータ2は、例えば、車両に搭載される車両用モータであり、カーエアコンのコンプレッサ、ハイブリッドカーのモータジェネレータ等に適用される。
インバータ3は、各相電機子コイルに対応した上下2段のトランジスタ(図示せず)、すなわち6個のトランジスタを含んで構成され、これらのトランジスタは、制御装置1からPWM信号の入力を受けて作動する。これにより、インバータ3は、所定の電源から供給される直流の電圧を交流の電圧に変換するとともに、電機子コイルごとに位相の異なる電圧を印加する。この結果、電機子コイルに交流の電流が通電されて電機子コイルと磁石との間に相互作用が発生し、ロータが回転駆動されて出力トルクが発生する。
ここで、同期モータ2への通電量は、電流検出部4により検出される。電流検出部4は、インバータ3と各相電機子コイルとを接続する3つの配線の内の少なくとも2つの配線に装着された電流検出センサ(図示せず)により構成される。この電流検出センサは、例えば、CT型電流センサのように配線に対し非接触で通電量を検出するものである。そして、通電量の検出値iu、ivは、検出信号として制御装置1に出力される。
制御装置1は、周知構造のコンピュータであり、通電量の検出値iu、iv等の入力を受けるとともに、これらの検出値や各種の指令値等に基づき各相電機子コイルに電圧を印加するためのPWM信号を合成してインバータ3に出力する。
これにより、制御装置1は、電機子コイルへの給電を制御してロータを回転駆動するとともに、電機子コイルへの給電状態に応じてロータの回転位置(以下、磁極位置と呼ぶ)を推定し、この磁極位置の推定値に応じて電機子コイルへの給電を制御する。つまり、制御装置1は、磁極位置を検出する位置センサによらずに磁極位置を推定することで同期モータ2を制御するセンサレス制御方式を採用するものである。
また、制御装置1は、同期モータ2の運転条件(例えば、要求される出力トルク)に応じて印加される駆動用電圧に、磁極位置を推定するための推定用電圧を外乱として加えて印加することで磁極位置を推定する外乱注入方式によりセンサレス制御を行うものである。
以下、制御装置1を、図1に示す制御ブロックフローを用いて説明する。
まず、制御装置1は、要求される出力トルクに応じて同期モータ2への通電量の指令値を算出する電流指令生成部8、電流の指令値に対する電流の検出値の偏差に応じて同期モータ2に印加すべき駆動用電圧の指令値を算出する電流制御部10、および、駆動用電圧の指令値を制限して補正する電圧制限部11の機能を具備する。
電流指令生成部8は、要求される出力トルク(トルク指令値τ*とする)に応じて、同期モータ2への通電量の指令値を回転座標系のdq軸成分id*、iq*からなる指令電流ベクトル(id*、iq*)として算出する。
電流制御部10は、指令電流ベクトル(id*、iq*)に対する検出電流ベクトル(id、iq)の偏差ベクトルに応じて、駆動用電圧の指令値を、回転座標系のdq軸成分vd*、vq*からなる駆動用電圧ベクトル(vd*、vq*)として算出する。
なお、検出電流ベクトル(id、iq)とは、電流検出部4で検出された通電量の検出値iu、ivを座標変換部14により静止座標系のαβ軸成分iα、iβに変換し、これにより得られる検出電流ベクトル(iα、iβ)を、さらに座標変換部15により回転座標系のdq軸成分id、iqに変換して得られるベクトルである。すなわち、座標変換部14、15は、制御装置1の機能として構成され、通電量の検出値iu、ivに基づき、検出値iu、ivに相当する検出電流ベクトル(iα、iβ)、(id、iq)を算出する検出電流ベクトル算出手段をなす。なお、座標変換部15におけるαβ軸成分iα、iβからdq軸成分id、iqへの変換には、後記する磁極位置の推定値θが用いられる。
電圧制限部11は、後記する変調率監視部16からの入力に基づき、駆動用電圧ベクトル(vd*、vq*)の大きさを制限することで、駆動用電圧ベクトル(vd*、vq*)を補正する。なお、変調率監視部16からの入力は、PWM信号の変調率の指令値が100%を超える場合に行われるので、電圧制限部11による補正は、PWM信号の変調率の指令値が100%を超える場合に行われる。
また、制御装置1は、駆動用電圧ベクトル(vα*、vβ*)に、後記する推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)を高周波の外乱として加算し、指令電圧ベクトル(vα*+vhα*、vβ*+vhβ*)とする外乱注入部17の機能を具備する。なお、駆動用電圧ベクトル(vα*、vβ*)は、駆動用電圧ベクトル(vd*、vq*)のdq軸成分vd*、vq*を、座標変換部19により静止座標系のαβ軸成分vα*、vβ*に変換して得られるベクトルである。そして、座標変換部19におけるdq軸成分vd*、vq*からαβ軸成分vα*、vβ*への変換には、後記する磁極位置の推定値θが用いられる。
そして、制御装置1は、座標変換部20で、指令電圧ベクトル(vα*+vhα*、vβ*+vhβ*)を、3相の印加電圧の指令値vu*、vv*、vw*に変換し、さらに、変調率生成部22で、指令値vu*、vv*、vw*、および電源電圧の検出値Vdcに基づき、インバータ3に出力すべきPWM信号の変調率の指令値を算出する。そして、制御装置1は、PWM合成部23で、変調率の指令値に基づくPWM信号を合成しインバータ3に出力する。
また、制御装置1は、変調率生成部22で算出された変調率の指令値が100%を超えたか否かを監視する変調率監視部16の機能を具備する。変調率監視部16は、変調率の指令値が100%を超えた場合に、電圧制限部11に100%からの超過量を出力する。そして、電圧制限部11は、この超過量に基づき駆動用電圧ベクトル(vd*、vq*)の大きさを制限することで、変調率の指令値が100%を超えないように駆動用電圧ベクトル(vd*、vq*)を補正する。
このように、電圧制限部11および変調率監視部16は、印加電圧が電源電圧の検出値Vdc以下になるように駆動用電圧ベクトル(vd*、vq*)を補正する電圧制限手段をなす。
また、制御装置1は、磁極位置を推定する磁極位置推定部24の機能を具備する。
磁極位置推定部24は、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)を算出する推定用電圧ベクトル算出部28、推定用電流ベクトル(ihα、ihβ)を算出する推定用電流ベクトル算出部29、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)と推定用電流ベクトル(ihα、ihβ)との外積V×Iを算出する外積算出部30、外積V×Iに基づき磁極位置の推定値θを算出する推定値算出部31等の機能により構成されている。
ここで、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)とは、推定用電圧の指令値を静止座標系のαβ軸成分vhα*、vhβ*に変換しベクトルとして表したしたものである。また、推定用電流ベクトル(ihα、ihβ)とは、検出電流ベクトル(iα、iβ)の内で、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)の加算により生じる部分を、αβ軸成分ihα、ihβによりベクトルとして表したしたものである。
つまり、磁極位置推定部24は、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)と推定用電流ベクトル(ihα*、ihβ*)との外積V×Iに基づき磁極位置を推定する磁極位置推定手段をなす。
推定用電圧ベクトル算出部28は、推定用電圧が高周波をなすように、推定用電圧の指令値を算出するとともに、この推定用電圧の指令値を静止座標系のαβ軸成分vhα*、vhβ*に変換し推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)とする。
また、推定用電圧ベクトル算出部28は、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)が、推定された磁極位置(つまり、推定値θの方向)と平行になるように算出される。この場合、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)のαβ軸成分vhα*、vhβ*を回転座標系のdq軸成分vhd*、vhq*に変換すると、q軸成分vhq*はゼロになる。よって、αβ軸成分vhα*、vhβ*の値は、磁極位置の推定値θと推定用電圧の指令値(d軸成分vhd*に相当する)とを用いて下記の数式9により求められる。
〔数式9〕

Figure 0004735287
なお、実施例1の推定用電圧ベクトル算出部28は、推定用電圧の指令値vhd*が所定の変動周期(例えば、1制御周期)で、正負に同一の絶対値だけ変化するように、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)を決定する。
推定用電流ベクトル算出部29は、推定用電圧の指令値vhd*の変動周期(例えば、1制御周期)では、検出電流ベクトル(iα、iβ)の内で駆動用電圧ベクトル(vα*、vβ*)により生じる部分(つまり、駆動用電流ベクトル)が変動しないとみなす。そして、推定用電流ベクトル算出部29は、今回の制御処理で算出された検出電流ベクトル(iα、iβ)と、前回の制御処理で算出された検出電流ベクトル(iα、iβ)との差分ベクトルを算出し、この差分ベクトルを推定用電流ベクトル(ihα、ihβ)とする。
外積算出部30は、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)と推定用電流ベクトル(ihα、ihβ)とを用いて、下記の数式10により外積V×Iを算出する。
〔数式10〕

Figure 0004735287
推定値算出部31は、外積V×Iがゼロに略一致するように磁極位置の推定値θを算出する。すなわち、推定値算出部31は、外積V×Iとゼロとの差分(つまり、外積V×I)に対し、比例ゲインKp、積分ゲインKiを用いてPI演算を施すことで、推定値θを算出する。なお、比例ゲインKpおよび積分ゲインKiは、推定値θを微分して算出される磁極回転数の推定値ωに応じて可変される。
また、推定値算出部31は、磁極回転数の推定値ωを積分した値で、推定値θを補正する。さらに、推定値算出部31は、補正後の推定値θを、通電量の指令値i*の正負と、磁極回転数の推定値ωの変化率の正負とが異なる場合に、磁極位置の推定値θをπだけ変化させて修正する。
ここで、推定用電圧は、推定値θの方向に印加されるので、推定値θが真の磁極位置からずれている場合、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)も真の磁極位置からずれる。この結果、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)と推定用電流ベクトル(ihα、ihβ)との間に位相差θviが発生し、外積V×Iが生じる。
そして、この外積V×Iについては、上記の〔数式1〕〜〔数式8〕を用いた説明により、次のことがわかっている。すなわち、外積V×Iの正負は、電圧位相θvの正負と逆相関を有し、外積V×Iがゼロに略一致すれば、電圧位相θvはゼロに略一致することがわかっている。そして、電圧位相θvは、真の磁極位置に対する推定用電圧の印加方向のずれ量に相当するから、PI演算により外積V×Iがゼロに略一致するように、推定値θの算出を繰り返せば、推定値θを真の磁極位置に略一致させることができる。
そして、推定値算出部31で算出された推定値θは、座標変換部15において、αβ軸成分iα、iβをdq軸成分id、iqに変換する際に用いられ、また、座標変換部19において、dq軸成分vd*、vq*をαβ軸成分vα*、vβ*に変換する際に用いられる。また、この推定値θは、推定用電圧ベクトル算出部28において、αβ軸成分vhα*、vhβ*を算出する際にも用いられる。
以上のような制御ブロックフローにより、制御装置1は、同期モータ2の起動後の所定時間で磁極位置を推定する。これにより、制御装置1は、同期モータ2の起動後の所定時間で、磁極位置の推定値θを真の磁極位置に略一致させる。
その後、制御装置1は、磁極のNS判別を行う。すなわち、制御装置1は、推定された磁極位置の正方向および負方向の両方向で磁気飽和に達するように印加電圧を与える。そして、制御装置1は、正方向で磁気飽和に達した時の通電量および負方向で磁気飽和に達した時の通電量に応じて、磁極のNS判別を行う。
〔実施例1の効果〕
実施例1の磁極位置推定部24は、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)と推定用電流ベクトル(ihα、ihβ)との外積V×Iに基づき磁極位置を推定する。
ここで、電圧位相θv(真の磁極位置に対する推定用電圧の印加方向のずれ量)の正負は、上記の〔数式1〕〜〔数式8〕を用いた説明により、外積V×Iの正負から推定することができる。また、外積V×Iは、αβ軸成分vhα*、vhβ*、およびihα、ihβを用いて、簡易な四則演算により算出することができる。したがって、簡易な四則演算により算出できる外積V×Iを用いて、磁極位置を推定することができる。このため、磁極位置を推定する際に、三角関数および逆三角関数等を用いる頻度を下げることができるので、制御装置1の処理負荷を低減することができる。
また、推定用電圧ベクトル算出部28は、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)が、推定された磁極位置と平行になるように算出される。
これにより、駆動用電圧ベクトル(vα*、vβ*)に推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)が加算されても、推定用電圧ベクトル(vhα*、vhβ*)に応じた出力トルクは発生しない。このため、外乱としての推定用電圧を駆動用電圧に加えて印加しても、駆動用電圧のみに応じた出力トルク、つまり、同期モータ2の運転条件に応じた出力トルクを得ることができる。
また、磁極位置推定部24は、外積V×Iがゼロに略一致するように磁極位置を推定する。
これにより、PI演算による収束計算を行う際に、電機子コイルの巻き線抵抗R、磁石の鎖交磁束φa、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqの影響を除くことができる。このため、収束計算を行う際に、温度等の同期モータ2の使用条件の影響を除くことができる。
また、磁極位置推定部24は、推定値θを微分して算出される磁極回転数の推定値ωに応じて、比例ゲインKpおよび積分ゲインKiを可変する。
これにより、外積V×Iがより早期にゼロに略一致する方に、比例ゲインKpおよび積分ゲインKiを可変することができる。このため、磁極位置の推定値θを、より早期に真の磁極位置に略一致させることができる。
また、磁極位置推定部24は、通電量の指令値i*の正負と、磁極回転数の推定値ωの変化率の正負とが異なる場合に、磁極位置の推定値θをπだけ変化させて修正する。
これにより、制御装置1が磁極を回転させたい方向と、制御装置1の指令に応じて磁極が回転しようとする方向とが逆である場合に、推定された磁極のNSを逆転させることができる。このため、同期モータ2の回転停止や逆回転を防止することができる。
また、電圧制限部11および変調率監視部16は、印加電圧が電源電圧の検出値Vdc以下になるように駆動用電圧ベクトル(vd*、vq*)を補正する。
これにより、確実に推定用電圧を印加することができるので、磁極位置を確実に推定することができる。このため、制御装置1の信頼性を高めることができる。
また、制御装置1は、同期モータ2の起動後の所定時間で磁極位置を推定した後、推定された磁極位置の正方向および負方向の両方向で磁気飽和に達するように印加電圧を与え、正方向で磁気飽和に達した時の通電量および負方向で磁気飽和に達した時の通電量に応じて、磁極を判別する。
これにより、同期モータ2の起動から極めて短時間の内に、磁極位置を推定するとともにNS判別を行うことができる。このため、同期モータ2の起動から極めて早期にセンサレス制御が可能になる。
実施例2の制御装置1を、図2を用いて説明する。なお、実施例1と同様の機能を有する部分は同一の符号を用い説明を省略する。
実施例2の制御装置1によれば、外積算出部30は、推定用電圧ベクトル(vhd*、0)と、推定用電流ベクトル(ihd、ihq)とを用いて外積V×Iを算出する。ここで、推定用電圧ベクトル(vhd*、0)は、推定用電圧の指令値をdq軸成分vhd*、0に変換しベクトルとして表したものである。また、推定用電流ベクトル(ihd、ihq)は、検出電流ベクトル(id、iq)の内で、推定用電圧ベクトル(vhd*、0)の加算により生じる部分をdq軸成分ihd、ihqによりベクトルとして表したものである。
なお、推定用電圧ベクトル(vhd*、0)のq軸成分がゼロであるのは、推定用電圧を推定された磁極位置と平行になるように印加するためである。
また、推定用電流ベクトル(ihd、ihq)の算出方法は実施例1の推定用電流ベクトル(ihα、ihβ)の算出方法と同様である。
また、実施例2の外乱注入部17は、駆動用電圧ベクトル(vd*、vq*)に推定用電圧ベクトル(vhd*、0)を加算して、dq軸成分vd*+vhd*、vq*からなる指令電圧ベクトル(vd*+vhd*、vq*)を求める。そして、座標変換部19で、指令電圧ベクトル(vd*+vhd*、vq*)は、静止座標系のαβ軸成分vα*+vhα*、vβ*+vhβ*からなる指令電圧ベクトル(vα*+vhα*、vβ*+vhβ*)に変換される。
また、実施例2の推定用電圧ベクトル算出部28は、印加電圧の内で推定用電圧ベクトル(vhd*、0)に基づく部分の変動周期を、乱数に基づき決定する。すなわち、推定用電圧ベクトル算出部28は、推定用電圧の指令値vhd*の変動周期を、乱数発生部32からの入力に基づき可変する。なお、乱数発生部32とは、乱数を発生させる機能である。これにより、推定用電圧の周波数を分散することができるので、駆動用電圧の印加に伴う騒音を低減することができる。
実施例3の制御装置1を、図3を用いて説明する。なお、実施例1と同様の機能を有する部分は同一の符号を用い説明を省略する。
実施例3の制御装置1によれば、推定値算出部31は、外積V×Iがゼロに略一致するように磁極回転数の推定値ωを算出する。すなわち、推定値算出部31は、外積V×Iに対し、比例ゲインKpおよび積分ゲインKiを用いてPI演算を施すことで、推定値ωを算出する。そして、推定値算出部31は、推定値ωを積分して磁極位置の推定値θを算出する。また、比例ゲインKpおよび積分ゲインKiは、PI演算により算出される磁極回転数の推定値ωに応じて可変される。
実施例4の制御装置1を、図4を用いて説明する。なお、実施例1と同様の機能を有する部分は同一の符号を用い説明を省略する。
実施例4の制御装置1は、検出された通電量の大きさ(つまり、検出電流ベクトル(id、iq)の大きさ)に対して目標値を設定し、通電量の大きさが目標値よりも小さいときに、通電量の大きさが目標値に略一致するように、d軸電流の指令値id*を増加させる無効電流増加部34(無効電流増加手段)の機能を備える。
同期モータ2への通電量の大きさが、例えば、図5に示すIaのように小さい場合、q軸インダクタンスLqとd軸インダクタンスLdとの差(インダクタンス差)が小さいので、磁極位置の推定が困難になり誤差が大きくなる。そこで、誤差の許容範囲を考慮して、通電量に対して目標値Ibを設定する。そして、通電量の大きさが目標値Ibよりも小さいときには、通電量の大きさを目標値Ibまで増加させてインダクタンス差を大きくする。この際、d軸電流の指令値id*のみを増加させることで、出力トルクに影響を与えることなく、通電量の大きさを増加させることができる。
制御装置の制御ブロックフローを示す構成図である(実施例1)。 制御装置の制御ブロックフローを示す構成図である(実施例2)。 制御装置の制御ブロックフローを示す構成図である(実施例3)。 制御装置の制御ブロックフローを示す構成図である(実施例4)。 通電量の大きさとdq軸インダクタンスとの相関図である(実施例4)。
符号の説明
1 制御装置
2 同期モータ
11 電圧制限部(電圧制限手段)
14 座標変換部(検出電流ベクトル算出手段)
15 座標変換部(検出電流ベクトル算出手段)
16 変調率監視部(電圧制限手段)
24 磁極位置推定部(磁極位置推定手段)
34 無効電流増加部(無効電流増加手段)
(iα、iβ) 検出電流ベクトル
(id、iq) 検出電流ベクトル
(vα*、vβ*) 駆動用電圧ベクトル
(vd*、vq*) 駆動用電圧ベクトル
iu 通電量の検出値
iv 通電量の検出値
(vhα*、vhβ*) 推定用電圧ベクトル
(vhd*、0) 推定用電圧ベクトル
(vα*+vhα*、vβ*+vhβ*) 指令電圧ベクトル
(vd*+vhd*、vq*) 指令電圧ベクトル
Vdc 電源電圧の検出値(電源電圧)
V×I 外積
Kp 比例ゲイン(パラメータ)
Ki 積分ゲイン(パラメータ)
θ 磁極位置の推定値
ω 磁極回転数の推定値
Ld d軸インダクタンス
Lq q軸インダクタンス
θvi 位相差
θv 電圧位相(印加電圧の位相)
i* 通電量の指令値
Ib 通電量の大きさの目標値
V・I 内積
(iα*+ihα*、iβ*+ihβ*) 指令電流ベクトル
(id*+ihd*、iq*+ihq*) 指令電流ベクトル

Claims (12)

  1. 突極性を有する同期モータの制御装置であって、
    前記同期モータの駆動用電圧ベクトルに、磁極位置を推定するための推定用電圧ベクトルを加算して指令電圧ベクトルとし、この指令電圧ベクトルに基づき前記同期モータへの印加電圧を制御する同期モータの制御装置において、
    前記同期モータへの通電量の検出値に基づき、この検出値に相当する検出電流ベクトルを算出する検出電流ベクトル算出手段と、
    前記検出電流ベクトルの内で、前記推定用電圧ベクトルの加算により生じる部分を推定用電流ベクトルとして算出する推定用電流ベクトル算出手段と、
    前記推定用電圧ベクトルと前記推定用電流ベクトルとの外積に基づき、前記磁極位置を推定する磁極位置推定手段とを備え
    前記推定用電圧ベクトルは、推定された磁極位置と平行になるように、かつ、ベクトル方向が反転を繰り返すように算出され、
    前記磁極位置推定手段は、前記推定用電圧ベクトルと前記推定用電流ベクトルとの外積がゼロに略一致するように前記磁極位置を推定することを特徴とする同期モータの制御装置。
  2. 突極性を有する同期モータの制御装置であって、
    前記同期モータの駆動用電圧ベクトルに、磁極位置を推定するための推定用電圧ベクトルを加算して指令電圧ベクトルとし、この指令電圧ベクトルに基づき前記同期モータへの印加電圧を制御する同期モータの制御装置において、
    前記同期モータへの通電量の検出値に基づき、この検出値に相当する検出電流ベクトルを算出する検出電流ベクトル算出手段と、
    前記検出電流ベクトルの内で、前記推定用電圧ベクトルの加算により生じる部分を推定用電流ベクトルとして算出する推定用電流ベクトル算出手段と、
    前記推定用電圧ベクトルと前記推定用電流ベクトルとの外積に基づき、前記磁極位置を推定する磁極位置推定手段とを備え、
    前記推定用電圧ベクトルは、推定された磁極位置と平行になるように、かつ、ベクトル方向が反転を繰り返すように算出され、
    前記磁極位置推定手段は、前記推定用電圧ベクトルと前記推定用電流ベクトルとの外積がゼロに略一致するように磁極回転数を推定し、この磁極回転数の推定値を用いて前記磁極位置を推定することを特徴とする同期モータの制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の同期モータの制御装置において、
    前記推定用電圧ベクトルと前記推定用電流ベクトルとの外積は、静止座標系の成分からなる推定用電圧ベクトルと静止座標系の成分からなる推定用電流ベクトルとを用いて算出されることを特徴とする同期モータの制御装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の同期モータの制御装置において、
    前記推定用電圧ベクトルと前記推定用電流ベクトルとの外積は、回転座標系の成分からなる推定用電圧ベクトルと回転座標系の成分からなる推定用電流ベクトルとを用いて算出されることを特徴とする同期モータの制御装置。
  5. 請求項に記載の同期モータの制御装置において、
    前記磁極位置推定手段は、前記磁極位置の推定値を用いて算出される磁極回転数の推定値に応じて、前記磁極位置を推定する際に用いるパラメータを可変することを特徴とする同期モータの制御装置。
  6. 請求項に記載の同期モータの制御装置において、
    前記磁極位置推定手段は、前記磁極回転数の推定値に応じて、前記磁極回転数を推定する際に用いるパラメータを可変することを特徴とする同期モータの制御装置。
  7. 請求項1または請求項2に記載の同期モータの制御装置において、
    前記磁極位置推定手段は、前記通電量の指令値の正負と、磁極回転数の推定値の変化率の正負とが異なる場合に、前記磁極位置の推定値をπだけ変化させて修正することを特徴とする同期モータの制御装置。
  8. 請求項1または請求項2に記載の同期モータの制御装置において、
    前記印加電圧が、電源電圧以下になるように前記駆動用電圧ベクトルを補正する電圧制限手段を備えることを特徴とする同期モータの制御装置。
  9. 請求項1または請求項2に記載の同期モータの制御装置において、
    前記磁極位置推定手段は、前記印加電圧の内で前記推定用電圧ベクトルに基づく部分の変動周期を、乱数に基づき決定することを特徴とする同期モータの制御装置。
  10. 請求項1または請求項2に記載の同期モータの制御装置を用いた制御方法において、
    前記同期モータの起動後の所定時間で前記磁極位置を推定し、
    推定された磁極位置の正方向および負方向の両方向で磁気飽和に達するように印加電圧を与え、
    正方向で磁気飽和に達した時の通電量および負方向で磁気飽和に達した時の通電量に応じて磁極を判別することを特徴とする制御方法
  11. 請求項1または請求項2に記載の同期モータの制御装置において、
    前記通電量の大きさに対して目標値を設定し、前記通電量の大きさが前記目標値よりも小さいときに、前記通電量の大きさが前記目標値に略一致するように、d軸電流の指令値を増加させる無効電流増加手段を備えることを特徴とする同期モータの制御装置。
  12. 請求項1または請求項2に記載の同期モータの制御装置において、
    前記同期モータは車両に搭載される車両用モータであることを特徴とする同期モータの制御装置。
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