JP2007098325A - フッ素含有水の処理方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理工程の簡素化を図り、かつ、汚泥の発生量を低減して高い水質の処理水が得られるリンを含むフッ素含有水の処理方法および装置を提供すること。
【解決手段】鉄化合物等のように、フッ素と実質的に反応せず、リンと反応する選択的リン不溶化剤を用いてリンを不溶化させ、得られた汚泥を返送して改質する。具体的には、リン酸を含むフッ素含有水をリン不溶化槽21に導入し、鉄等と反応させてリン酸鉄を生成させて不溶化し、フッ素不溶化槽22でカルシウム化合物によりフッ素をフッ化カルシウムとして不溶化させる。固液分離槽24でリン酸鉄およびフッ化カルシウムを含む汚泥を液分と分離し、得られた生成汚泥の一部を化学反応槽25に返送する。化学反応槽25ではpH6.5以下で選択的リン不溶化剤を添加して、返送された汚泥を改質してリン不溶化槽21に送る。
【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素含有水の処理方法および装置に関し、特に、高密度汚泥処理法(High Density Solid、以下「HDS」)法により、リンを含むフッ素含有水を処理する方法および装置に関する。
従来、液晶製造工場等から排出されるフッ素含有水の処理方法として、カルシウム化合物を用いてフッ素イオンをフッ化カルシウムとして不溶化させて固液分離することにより、フッ素を水中から除去する方法が知られている。このようなフッ素含有水の処理方法では、不溶化させたフッ化カルシウムを液分と固液分離することにより大量の汚泥が排出される。そこで、フッ素含有水の処理に伴い発生する汚泥の排出量を削減するため、HDS法と称される処理方法が提案されている(例えば特許文献1)。
HDS法では、フッ素含有水にカルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを不溶化させる中和槽(pH調整槽とも称する)で生成された汚泥(生成汚泥)を改質して、中和槽に返送してフッ素含有水と混合する。例えば、特許文献1に記載された発明によれば、リンを含むフッ素含有水を中和槽に導入し、カルシウム化合物を添加して得られた生成汚泥を化学反応槽に送る。化学反応槽では、生成汚泥に消石灰等のカルシウム化合物を添加し、生成汚泥の表面にカルシウムが配位された汚泥(改質汚泥)を得る。次いで、この改質汚泥を中和槽に導入してフッ素含有水と混合し、pH調整を行なって改質汚泥の表面にフッ化カルシウムを生成させることにより、圧密化して脱水性のよい高濃度汚泥を得る。
ところでカルシウム化合物は、フッ素のみならずリンとも反応することから、フッ素含有水がリンを含む場合にカルシウム化合物を用いると、フッ素とリンとが競合してフッ素およびリンの両方が充分に除去できなくなるおそれがある。このため、フッ素とカルシウム化合物との反応に競争的に作用するフッ素以外のイオン(以下、「競合イオン」と称する)を含むフッ素含有水については、フッ素含有水にカルシウム化合物を添加する前に、凝集剤等を添加してフッ素含有水に含まれる夾雑イオンを予め除去する方法も提案されている(特許文献2)。
特許文献2に記載された方法によれば、リン酸を含むフッ素含有水に塩化第二鉄等の凝集剤を添加してリン酸を不溶化させる。次いで、不溶化されたリン酸化合物を固液分離しリン酸濃度が低減されたフッ素含有水を得、このリン濃度の低いフッ素含有水にカルシウム化合物を添加して、フッ化カルシウムを生成させ、フッ素を不溶性の塩として除去する。この方法によれば、フッ素含有水に含まれるリンを予め除去することで、カルシウム化合物の添加により生成される汚泥の凝集阻害を防止し、また、フッ化カルシウム濃度の高い汚泥を得ることができる。
特開平11−333467号公報 特開平6−63562号公報
しかし特許文献2に記載された方法では、リンを不溶化させた汚泥の圧密化が図れない。一方、不溶化させたリンを含む汚泥をHDS法で化学反応槽に返送して改質する場合、汚泥が膨潤して圧密化が図れず、また、リンが再溶解してカルシウムによるフッ素の不溶化を阻害する場合があることが判明した。さらに、特許文献2ではフッ素除去に先立ち、リンが不溶化されて生成された汚泥を固液分離して除去することから、リン除去工程とフッ素除去工程の間に固液分離を行なう必要もある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、リン酸を含むフッ素含有水の処理方法および装置において、処理工程の簡素化と汚泥の圧縮化とを図り、かつ、汚泥反応槽に返送された汚泥からのリン酸の再溶解を防止できるフッ素含有水の処理方法および装置を提供することを目的とする。
本発明は、フッ素との反応性がリンとの反応性に比して低く、リンを選択的に不溶化させる鉄化合物を含む選択的リン不溶化剤を用いてフッ素含有水に含まれるリンを不溶化し、不溶化されたリンを含む汚泥(リン含有汚泥)を返送して特定pH条件下に改質することを特徴とする。具体的には、本発明は以下を提供する。
(1) フッ素を含むフッ素含有水に、カルシウム化合物を添加して前記フッ素を不溶化させて除去するフッ素含有水の処理方法であって、 前記フッ素含有水は、リンをさらに含み、 前記フッ素含有水と、フッ素よりリンと優先的に反応して不溶性の塩を生成する鉄化合物を含む選択的リン不溶化剤と、をpH6.5以下で接触させて前記リンが不溶化されたリン含有汚泥を含む懸濁液を得るリン不溶化工程と、 前記リン不溶化工程からの前記懸濁液にカルシウム化合物を添加して前記フッ素が不溶化されたフッ素・リン含有汚泥を含む懸濁液を得るフッ素不溶化工程と、 前記フッ素不溶化工程からの前記懸濁液を固液分離してフッ素・リン含有汚泥と処理水とを得る固液分離工程と、 前記フッ素・リン含有汚泥を含む汚泥にpH6.5以下で前記選択的リン不溶化剤を添加して前記汚泥が改質された改質汚泥を得る汚泥改質工程と、を含み、 前記改質汚泥を前記リン不溶化工程に返送して、リン不溶化工程において前記改質汚泥に含まれる前記選択的リン不溶化剤と前記フッ素含有水に含まれる前記リンとを反応させて前記リンを不溶化させることを特徴とするフッ素含有水の処理方法。
(2) 前記汚泥改質工程において、前記汚泥に、カルシウム化合物をさらに添加する(1)に記載のフッ素含有水の処理方法。
(3) 前記鉄化合物は、塩化第二鉄である(1)または(2)に記載のフッ素含有水の処理方法。
(4) 前記汚泥に添加されるカルシウム化合物は、塩化カルシウムである(2)または(3)に記載のフッ素含有水の処理方法。
(5) 前記フッ素含有水は、100mg/L以上の濃度のリン酸イオンを含む(1)から(4)のいずれかに記載のフッ素含有水の処理方法。
(6) リンとフッ素とを含むフッ素含有水を導入し、pH6.5以下で、前記リンが不溶化されたリン含有汚泥を含む懸濁液を得るリン不溶化槽と、 前記リン不溶化槽からの前記懸濁液を導入し、前記フッ素とカルシウム化合物とを反応させてフッ素が不溶化されたフッ素・リン含有汚泥を含む懸濁液を得るフッ素不溶化槽と、 前記懸濁液を固液分離してフッ素・リン含有汚泥と処理水とを得る固液分離装置と、 前記固液分離装置から得られた前記フッ素・リン含有汚泥を前記リン不溶化槽に返送する汚泥返送路を備える汚泥返送設備と、を含み、 前記汚泥返送設備は、前記汚泥が導入される化学反応槽と、pH6.5以下で前記化学反応槽に、フッ素よりリンと優先的に反応して不溶性の塩を生成する鉄化合物を含む選択的リン不溶化剤を添加する薬注装置と、をさらに備えるフッ素含有水の処理装置。
(7) 前記フッ素含有水に含まれるリン濃度を測定するリン濃度計および/またはフッ素濃度を測定するフッ素濃度計と、 前記リン濃度計および/または前記フッ素濃度計の測定値に基づき前記選択的リン不溶化剤の添加量を制御する制御装置と、をさらに含む(6)に記載のフッ素含有水の処理装置。
本発明は、競合イオンであって、特に、カルシウムイオンと反応して不溶性の塩を生成するイオン態のリン、具体的にはリン酸イオンを含むフッ素含有水の処理に用いられる。
「選択的リン不溶化剤」とは、本明細書では特に、フッ素イオンとの反応性よりイオン態のリンとの反応性が高い物質を意味するものとする。すなわち、選択的リン不溶化剤は、フッ素よりリンと優先的に反応して不溶性の塩を生成することにより、リンを選択的に不溶化させる。選択的リン不溶化剤は、1種類の物質を有効成分とする剤であってもよく、2種以上の物質を有効成分とする剤であってもよい。1種類の物質を有効成分とする選択的リン不溶化剤としては、鉄化合物が挙げられる。2種以上の物質を有効成分とするリン不溶化剤としては、前記化合物とマグネシウム化合物もしくはアンモニウム塩とを共存させる剤が挙げられる。
「リン含有汚泥」とは、本明細書においては、フッ素含有水に含まれるリンが選択的リン不溶化剤と反応して生成された不溶性の塩を含む固形物を意味するものとする。化学反応工程では、リン含有汚泥に選択的リン不溶化剤を添加することで、リン含有汚泥表面の改質を行う。改質された汚泥(改質汚泥)は、リン不溶化工程に返送してリンを含むフッ素含有水と接触させる。
本発明では、リン酸イオンを含むフッ素含有水に選択的リン不溶化剤とカルシウム化合物とを添加することによりフッ素の不溶化物およびリンの不溶化物を含む汚泥(フッ素・リン含有汚泥)を得、このフッ素・リン含有汚泥に、選択的リン不溶化剤を添加して改質する。そして、この改質された汚泥をリン不溶化工程に戻すことで、汚泥の圧密化を図り、リンの再溶解によるフッ化カルシウムの凝集阻害を防止できる。
また本発明では、リン含有汚泥はフッ素除去工程にそのまま送られ、フッ化カルシウムをも含む汚泥(「フッ素・リン含有汚泥」と称する)となるので、リン不溶化工程とフッ素除去工程との間での固液分離を省略できる。
従来、フッ素含有水に含まれるフッ素等を不溶化させて得られた汚泥の改質は、特許文献1に記載されるように、消石灰等を用いてアルカリ条件下で行われている。しかし本発明では、汚泥改質工程はpH6.5以下で行う。同様に、リン不溶化工程もpH6.5以下で行う。本発明に従いpH6.5以下で汚泥を改質することで、リンの再溶解によるフッ素除去効率の低下、および汚泥の膨潤をより効果的に防止できる。pHを6.5以下にするためには、選択的リン不溶化剤または/および後述するカルシウム化合物として中性または酸性のものを用いる方法、塩酸または硫酸等の酸をpH調整剤として添加する方法等が挙げられ、これらを組み合わせてもよい。
選択的リン不溶化剤としては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第一鉄、および硝酸第二鉄等の鉄化合物を採用する。これらの鉄化合物の中でも、塩化第二鉄、硫酸第二鉄等の酸性の鉄化合物が好ましく、特に入手容易性や経済性から塩化第二鉄が好ましい。酸性の鉄化合物を用いることにより、汚泥改質工程およびリン不溶化工程の反応条件がアルカリ性となることを防止できる。すなわち、リン含有汚泥(又はフッ素・リン含有汚泥)がアルカリ条件にさらされると、リン含有汚泥に取り込まれたリン酸鉄の一部が水酸化鉄となって汚泥が膨潤するおそれがあるが、選択的リン不溶化剤として酸性の鉄化合物を用いてpH6.5以下に維持することで、かかる問題を回避できる。
汚泥改質工程では、選択的リン不溶化剤に加え、カルシウム化合物も汚泥に添加してもよい。カルシウム化合物としては、特に限定されず、消石灰(水酸化カルシウム)のようなアルカリ性のカルシウム化合物を用いてもよく、炭酸カルシウムまたは塩化カルシウム等の中性のカルシウム化合物を用いてもよい。鉄化合物として、塩化第二鉄のような酸性の鉄化合物を用いる場合、または汚泥改質工程で塩酸または硫酸等の酸性のpH調整剤を添加する場合等、汚泥改質工程のpHが低い場合は消石灰(水酸化カルシウム)のようなアルカリ性のカルシウム化合物を用いてもよい。
一方、汚泥改質工程に返送する汚泥量が多い場合等、鉄化合物として酸性の鉄化合物を用いても、汚泥改質工程のpHを充分に下げることができない場合がある。このような場合には、汚泥改質工程でカルシウム化合物として塩化カルシウムを用いることで容易に汚泥改質工程およびリン不溶化工程のpHを6.5以下に維持した状態にできる。
本発明によれば、イオン態のリンをリン不溶化剤で予め不溶化させて得られたリン含有汚泥又はフッ素・リン含有汚泥をpH6.5以下の条件下に化学反応工程とリン不溶化工程で反応させることで、汚泥を高密度化してフッ素含有水の処理により発生する汚泥量を低減でき、また、不溶化されたリンを含む汚泥からのリンの再溶解を防止できる。
次に、図面を用いて本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るフッ素含有水の処理装置(以下、単に「処理装置」と称する)11の模式図である。処理装置11は、リン不溶化槽21と、フッ素不溶化槽22と、凝集槽23と、固液分離槽24と、化学反応槽25と、を含む。リン不溶化槽21と、フッ素不溶化槽22と、凝集槽23と、固液分離槽24とはこの順で互いに接続されている。処理装置11は、選択的リン不溶化剤として塩化第二鉄を使用し、フッ素を除去するためのカルシウムイオン源として消石灰、すなわち水酸化カルシウムを用いる場合に適した装置として構成されている。
処理装置11では、リン不溶化槽21およびフッ素不溶化槽22での処理によりフッ素含有水に含まれるリンおよびフッ素等が不溶化されて生成された固形物(以下、「生成汚泥」と称する)は、固液分離槽24で液分と分離される。液分と分離された生成汚泥の一部は返送汚泥として、固液分離槽24と化学反応槽25とを接続する汚泥返送路37を介して固液分離槽24から化学反応槽25に送られる。化学反応槽25には、選択的リン不溶化剤として鉄化合物を添加する薬注装置が少なくとも設けられ、固液分離槽24から送られた返送汚泥を鉄化合物と反応させて改質した後、改質された汚泥をリン不溶化槽21に送る。以下、処理装置11を用いたリンを含むフッ素含有水の処理方法について詳説する。
処理装置11には被処理液として、フッ素と、リン酸イオンを含むフッ素含有水が導入される。被処理液に含まれるフッ素濃度は、50〜500mg/L、特に100〜300mg/L程度であることが好ましく、リン酸濃度は100〜1,000mg/L、特に200〜600mg/L程度であることが好ましい。被処理液には、フッ素およびリン以外の物質が含まれていてもよい。
被処理液は、リン不溶化槽21に接続された原水路30からリン不溶化槽21に導入される。リン不溶化槽21では、化学反応槽25から供給される改質汚泥に保持された鉄化合物と、リンを含むフッ素含有水とを混合することにより、鉄イオンとリン酸イオンとを優先的に反応させてリン酸イオンを不溶化させるリン不溶化工程を行う。
リン不溶化工程は、改質汚泥に含まれるリン酸鉄から水酸化物が生成されることを防止するため、pH6.5以下で行う。pH6.5以下ではカルシウムイオンとリン酸イオンとは反応し難く、リン酸カルシウムの生成は阻害される。一方、pH4〜11の範囲ではフッ化カルシウムの溶解度は低く、カルシウムイオンはフッ素イオンと反応するため、リン不溶化工程においてカルシウム化合物を添加してもよい。
処理装置11のリン不溶化槽21には、カルシウム化合物が添加されるよう、構成されている。具体的には、リン不溶化槽21には、カルシウム化合物貯槽(以下、単に「カルシウム貯槽」)43に貯留されたカルシウム化合物が供給される第2カルシウム路54が接続されている。リン不溶化槽21には攪拌機61が設けられ、改質汚泥路50を介して化学反応槽25から供給される改質汚泥と、被処理液と、カルシウム化合物とを攪拌機61で混合する。かかる操作により、リン不溶化工程では、改質汚泥の表面に保持された鉄イオンとリンとを反応させてリンを不溶化させたリン含有汚泥を得るとともに、フッ素イオンとカルシウムイオンを反応させてフッ化カルシウムを生成させる。
リン不溶化槽21には、pHを上記範囲とするために酸等のpH調整剤を添加するpH調整手段を設けてもよい。例えば、本実施形態においてはpH調整手段として、リン不溶化槽21にpH計Hが取り付けられており、pH計Hの計測値に応じて第2カルシウム路54から供給される消石灰の添加量を制御するよう、制御装置Sが設けられている。また、酸貯槽42に接続された酸添加路52に分岐管(図示せず)を取り付け、この分岐管をリン不溶化槽21に接続することでpH調整手段としてもよい。
リン不溶化槽21は、第1接続路31を介してフッ素不溶化槽22と接続され、リン不溶化槽21からの懸濁液(以下、「リン不溶化懸濁液」と称する)は第1接続路31からフッ素不溶化槽22に送られる。本実施形態では、リン不溶化槽21とフッ素不溶化槽22との間に固液分離槽は設けられておらず、リン不溶化懸濁液は、リン含有汚泥以外に、フッ素イオンとカルシウムイオンとが反応して生成されたフッ化カルシウムを含んだ状態でフッ素不溶化槽22に導入される。
フッ素不溶化槽22では、第3カルシウム路55を介してカルシウム貯槽43に貯留されたカルシウム化合物を添加してフッ素イオンを不溶化させる。具体的には、フッ素不溶化槽22に設けた攪拌機62でリン不溶化懸濁液とカルシウム化合物とを混合することで、フッ化カルシウムの生成を促進し、リン不溶化懸濁液に含まれるフッ化カルシウムを含む汚泥(フッ素・リン含有汚泥)を成長させる。フッ化カルシウムの生成はpH6〜10で促進されることから、フッ素不溶化槽22における反応は上記範囲内のpH条件で行うことが好ましく、特にリン含有汚泥の膨潤を防止しながらフッ化カルシウムの生成を促進するため、pH6〜7.5とすることが好ましい。
フッ素不溶化槽22にも、pHを上記範囲とするためにpH調整剤を添加するpH調整手段を設けてもよい。例えば本実施形態においては、pH調整剤として、水酸化ナトリウム等のアルカリを添加するアルカリ添加路57を備えるアルカリ貯槽47がフッ素不溶化槽22に取り付けられている。処理装置11では、フッ素不溶化槽22にpH計Hが取り付けられており、pH計Hの計測値に応じて第3カルシウム路55から供給される消石灰の添加量を制御するよう、制御装置Sが設けられている。消石灰はpH調整剤を兼ねることから、このような構成とすることによりpH調整ができる。
フッ素除去工程で用いるカルシウム化合物としては、従来、フッ素含有水の処理に用いられる任意のカルシウム化合物を用いることができる。フッ素を不溶化させるために用いるカルシウム化合物は、フッ素不溶化槽22の前段で添加していてもよく、例えば化学反応槽25で返送汚泥に添加することもできる。フッ素不溶化槽22の前段でカルシウム化合物を添加する場合、フッ素不溶化槽22でのカルシウム化合物の添加を省略することもできる。フッ素不溶化槽22の前段と、フッ素不溶化槽22とでカルシウム化合物を添加する場合は各工程で添加するカルシウム化合物の種類は同一でもよく、異なってもよい。
本実施形態では、処理装置11を簡素化するため、カルシウム貯槽43には第1カルシウム路53、第2カルシウム路54、および第3カルシウム路55が接続され、同種のカルシウム化合物を化学反応槽25、リン不溶化槽21、およびフッ素不溶化槽22にそれぞれ添加するよう配設され、これら機材によってカルシウム化合物添加装置が構成されている。なお本発明では、化学反応槽25における汚泥改質工程とフッ素除去工程との好適pH条件が異なることから、例えば、化学反応槽25においては塩化カルシウム等の中性または酸性のカルシウム化合物を添加し、フッ素不溶化槽23にはpH調整剤を兼ねる消石灰等のアルカリ性のカルシウム化合物を添加してもよい。
フッ素不溶化槽22へのカルシウム化合物の添加濃度は、100〜2,500mg−Ca/L、特に400〜1,250mg−Ca/Lとすることが好ましい。また前述したとおり、フッ素不溶化槽22でのフッ素イオンの不溶化に要するカルシウム化合物の一部または全部を化学反応槽25または/およびリン不溶化槽21に添加してもよい。この場合、化学反応槽25に対するカルシウム化合物の添加濃度は、100〜1,250mg−Ca/L、特に400〜1,250mg−Ca/Lとすることが好ましい。一方、リン不溶化槽21に対するカルシウム化合物の添加濃度は、0〜1,250mg−Ca/L、特に0〜300mg−Ca/Lとすることが好ましい。
フッ素不溶化槽22は、第2接続路32を介して凝集槽23と接続され、フッ素不溶化槽22からの懸濁液(以下、「フッ素・リン不溶化懸濁液」と称する)は第2接続路32から凝集槽23に送られる。凝集槽23においては、凝集剤貯槽49に貯留された凝集剤を凝集剤路59からフッ素・リン不溶化懸濁液に添加し、攪拌機63で混合して固形物を凝集させる。具体的には、凝集剤により、フッ素・リン不溶化懸濁液に含まれるリンの不溶化物およびフッ素の不溶化物等を含む微細な固形物を凝集させ、固形物の沈降性を高める。凝集槽23後段には、第3接続路33を介して固液分離槽24が設けられ、凝集された固形物が処理水と分離され、生成汚泥が得られる。
凝集槽23に添加される凝集剤は特に限定されず、汚泥、特に無機汚泥の凝集に用いられる任意の凝集剤を用いればよい。具体的には、アニオン、カチオン、ノニオン等の各種ポリマーを成分とする有機系の凝集剤を用いることができる。特に、アクリル系ポリマーやアクリルアミド系ポリマーが好適に使用できる。
フッ素除去工程は、上述したフッ素の不溶化工程、凝集工程、および固液分離槽24におけるフッ化カルシウムと液分との固液分離工程を含むが、固液分離槽24の形式によっては凝集工程および固液分離工程は省略することもできる。本実施形態では固液分離槽24は重力沈降により固形物を沈殿させて液分と分離させる沈殿装置で構成されているが、固液分離槽24の形式はこれに限られず、例えば遠心分離機、または膜分離装置等の任意の固液分離装置を用いることができる。固液分離槽24として膜分離装置のように凝集工程および/または固液分離工程を必要としないものを用いれば凝集槽23は省略してもよい。
固液分離槽24には、処理水を取り出す処理水路35、フッ素・リン含有汚泥を含む固形物を取り出す排泥路36が接続され、排泥路36の途中には取り出された固形物の一部を返送汚泥として化学反応槽25に供給する汚泥返送路37が接続されている。返送汚泥として化学反応槽25に返送する汚泥量は、固液分離槽24で得られる固形物(生成汚泥)全体に対する比である「返送汚泥量/生成汚泥量」の値(汚泥返送比)が20〜30となるよう返送することが好ましい。
固液分離槽24から化学反応槽25に返送された返送汚泥は、pH6.5以下の条件で少なくとも鉄化合物と混合して、返送汚泥表面の水酸化物を脱水縮合して圧密化するとともに、汚泥表面に鉄を吸着させて改質する。このため化学反応槽25には、鉄化合物添加路(以下、単に「鉄添加路」と称する)51を備える鉄化合物貯留槽(以下、単に「鉄貯槽」と称する)41が設けられ、また返送汚泥と鉄化合物とを混合する攪拌機65が設けられている。かかる鉄添加路51と鉄貯槽41は、選択的リン不溶化剤を添加する薬注装置を構成し、汚泥返送路37、化学反応槽25、鉄添加路51、および鉄貯槽41は汚泥返送設備を構成している。
本実施形態では、選択的リン不溶化剤として鉄化合物のみを用いる例を示すが、選択的リン不溶化剤は、鉄化合物に加えてpH6.5以下の条件でフッ素よりもリンと優先的に反応する物質を含む剤であれば特に限定なく採用できる。具体的には上述した物質を含む固体、液体、またはスラリー状等の任意の形態の剤を用いることができる。化学反応槽25に対する選択的リン不溶化剤の添加濃度は、リンの当量〜3倍当量の割合とすることが好ましく、本発明では特に、化学反応槽25における汚泥改質工程がpH6.5以下で行われるよう必要に応じてpH調整剤を添加する。
pH調整剤としては特に限定されず、返送汚泥のpHおよび選択的リン不溶化剤の種類等に応じて適宜選択すればよく、例えば上述した塩酸等の酸等が使用できる。処理装置11では、酸添加路52を備える酸貯槽42がpH調整手段として設けられ、塩酸の注入により化学反応槽25のpH条件の調整を行う。
化学反応槽25における汚泥改質工程では、少なくとも、リン不溶化工程で生成されリン酸鉄を含むリン含有汚泥を改質すればよいが、本実施形態のように返送汚泥にはリン含有汚泥以外に、フッ素除去工程で生成されるフッ素の不溶化物も含まれる。このため、汚泥改質工程では鉄化合物等の選択的リン不溶化剤のみならず、フッ素除去に用いるカルシウム化合物も添加し、フッ素含有汚泥も改質するようにしてもよい。
具体的には本実施形態のように、化学反応槽25に第1カルシウム路53を介してカルシウム化合物を添加する。このように化学反応槽25にカルシウム化合物をも添加することで、リン含有汚泥とフッ素含有汚泥とを改質して圧密化することができ、処理装置11全体から発生する汚泥の排出量を低減できる。また、リン不溶化槽21とフッ素不溶化槽22との間に固液分離装置等を設けてリン含有汚泥を除去する必要がないため、処理装置11全体の簡素化を図れる。
なお、化学反応槽25のpHについては従来のHDS法によるフッ素含有汚泥の改質においては、アルカリ条件とされているが、本発明ではpH6.5以下とする。化学反応槽25のpHをかかる条件に維持するために、pH調整剤の添加量を制御する制御装置を化学反応槽25に取り付けてもよい。本実施形態では、化学反応槽25にpH計Hが取り付けられており、pH計Hの計測値に応じて第1カルシウム路53から供給される消石灰、または/および酸添加路52から添加される酸の添加量を制御する制御装置Sが設けられている。
次に、図2を参照して本発明の第2実施形態に係るフッ素含有水の処理装置(以下、単に「処理装置」)12について説明する。処理装置12は、選択的リン不溶化剤として塩化第二鉄を使用し、カルシウム化合物としては中性の塩化カルシウムを使用する場合に適した装置として構成されている。以下、図1の処理装置11と同一機材については同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
処理装置12は、原水路30の途中に被処理液が貯留される原水槽20が設けられ、化学反応槽25のpHを調整するpH調整手段が化学反応槽25に取り付けられていない点で処理装置11と異なっている。原水槽20にはリン濃度計Pおよびフッ素濃度計Fが取り付けられている。処理装置12にはさらに、リン濃度計Pの計測値に基づいて化学反応槽25に対する鉄化合物の添加量を制御する第1制御装置Sと、フッ素濃度計Fの計測値に基づいて化学反応槽25に対するカルシウム化合物の添加量を制御する第2制御装置Sも設けられている。
第1制御装置Sおよび第2制御装置Sは、制御装置S、S、Sと同様の構成で、例えば、コントローラ、およびインバータ等で構成される。コントローラは、プログラマブルロジックコントローラまたはシーケンサ等で構成され、リン濃度計Pおよびフッ素濃度計Fのそれぞれの濃度計から送られるデジタルおよび/またはアナログの入力信号に応じて、デジタルおよび/またはアナログの出力信号を出力する。一方、インバータは、コントローラからの出力信号に応じて鉄添加路51および/または第1カルシウム路53に設けられた送液ポンプの回転数および/または電磁弁等の開度等を調整するよう、構成されている。なお、図面では制御装置を構成する各部材は図示されていない。
また処理装置12では制御装置S、は、フッ素不溶化槽22に取り付けたpH計H、の計測値に応じ、第3カルシウム路55からのカルシウム化合物の添加量ではなく、アルカリ添加路57からのアルカリ添加量を制御するよう、構成されている。この処理装置12においては、原水槽20に導入された被処理液のリン濃度およびフッ素濃度に応じて、化学反応槽25への鉄化合物およびカルシウム化合物の添加量が制御される。このため、被処理液の流量変動を調節し、また、被処理液のリンおよびフッ素濃度の変化に応じて鉄化合物等の薬剤の注入量を容易に適正化できる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明についてさらに詳細に説明する。
[実施例1]
実施例1として、図1に示す第1実施形態に係る処理装置11を用い、合成排水であって、フッ素150mg/Lおよびリン酸200mg/Lを含むフッ素含有水を被処理液として処理した。
選択的リン不溶化剤としては、塩化第二鉄(FeCl)の水溶液(濃度38質量%)を用い、化学反応槽25への添加量を840mg/Lとした。また、カルシウム貯槽43にはカルシウム化合物として濃度10質量%の消石灰のスラリーを貯留した。消石灰は、第1カルシウム路53から化学反応槽25に対して50mg/L、第2カルシウム路54からリン不溶化槽21に対して500mg/L、第3カルシウム路55からフッ素不溶化槽22に対して350mg/Lとなるよう、添加した。凝集槽23には、凝集剤としてポリアクリルアミドの部分加水分解物を主成分とする高分子凝集剤(ポリマー)を4mg/Lの添加量で添加した。
また、固液分離槽24で得られた生成汚泥の一部を、汚泥返送比(返送汚泥量/生成汚泥量)が30となるよう、化学反応槽25に返送した。かかる条件で処理したところ、化学反応槽25における汚泥改質工程のpHは5.0〜5.4、リン不溶化槽21におけるリン不溶化工程のpHは4.9〜5.2、フッ素不溶化工程でのpHは6.7〜7.2であり、処理水路35から取り出された処理水のフッ素の平均濃度は7.6mg/L、リンの平均濃度は0mg/Lとなった。また、汚泥圧密性測定のため、排泥路36から引抜かれた引抜き汚泥を30分沈降させたところ、界面は当初の70%の高さとなり、その際の固形物(SS)濃度は200g/Lになり、良好な沈降性と高い汚泥濃度が得られた。以下、当初の界面高さに対し、引抜き汚泥を30分沈降させた時の界面高さをSV30(%)と表す。
[比較例1]
比較例1として、選択的リン不溶化剤、すなわち塩化第二鉄を用いることなく、カルシウム化合物のみで実施例1のフッ素含有水を処理した。具体的には、化学反応槽25への塩化第二鉄の添加を行わず、代わりに、酸貯槽42から濃度35質量%の塩酸の水溶液を化学反応槽25に添加して化学反応槽25およびリン不溶化槽21のpHを実施例1と同じ値に調整した。
上記条件以外は、実施例1と比較例1とは同じ条件で処理を行ったところ、比較例1において処理水路35から取り出された処理水のリンの平均濃度は0mg/Lで実施例1と同じであったが、フッ素の平均濃度は18mg/Lとなり悪化した。なお、汚泥の沈降性は実施例と同等であった。
実施例1および比較例1について、各槽に対する添加薬剤の種類および濃度を表1に示し、処理水の平均水質、汚泥の性状(SV30の値およびSS濃度)、並びに化学反応槽25およびリン不溶化槽21のpHを表2に示す。なお、消石灰の添加量については、化学反応槽25、リン不溶化槽21、およびフッ素不溶化槽22それぞれに対する添加量を示し、以下の表中では、リン不溶化槽21は「リン槽」、フッ素不溶化槽22は「フッ素槽」と省略し、「−」は薬剤を添加していないことを示す。
Figure 2007098325
Figure 2007098325
表1および表2に示すように、本発明によれば、フッ素の除去効率を高め、かつ、汚泥を圧密化して含水率を低下させることができる。
[実施例2]
次に実施例2として、化学反応槽25に対する消石灰の添加量を350mg/Lに増やし、リン不溶化槽21に対する消石灰の添加量を200mg/Lに減らした。また、化学反応槽25にはpHを調整するために比較例1で用いた塩酸を300mg/Lの添加量で添加し、さらに、フッ素不溶化槽22に濃度10%の水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を325mg/Lの添加量で添加した。
上記条件以外の条件は実施例1と同じ条件で実施例1のフッ素含有水の処理を行なったところ、化学反応槽25のpHは4.9〜5.2、リン不溶化槽21のpHは4.8〜5.9となった。また、処理水路35から取り出された処理水のフッ素の平均濃度は7.2mg/L、リンの平均濃度は0mg/L、引抜き汚泥のSV30は85%、SS濃度は60g/Lと大幅に低下した。
[比較例2]
比較例2として、化学反応槽25に塩酸の添加を行なわず、フッ素不溶化槽22への水酸化ナトリウム溶液の添加を行わなかった以外は、実施例2と同じ条件で実施例1のフッ素含有水を処理した。比較例2においては、化学反応槽25のpHは6.7〜7.2、リン不溶化槽21のpHは5.0〜6.5となった。この結果、処理水路35から取り出された処理水のリンの平均濃度は0mg/Lであったが、フッ素の平均濃度は14mg/Lとなり、引抜き汚泥のSV30は65%、SS濃度は190g/Lとなった。
[実施例3]
そこで実施例3として、化学反応槽25に対する消石灰の添加量を150mg/Lとし、リン不溶化槽21に対する消石灰の添加量を400mg/Lとした。その他の条件は比較例2と同じとし、化学反応槽25に塩酸の添加も、フッ素不溶化槽22への水酸化ナトリウム溶液の添加も行わなかった。
上記条件でフッ素含有水の処理を行なったところ、化学反応槽25への消石灰の添加量を減らしたことで、化学反応槽25のpHは5.9〜6.3となり、リン不溶化槽21のpHは4.5〜6.0となった。また、処理水路35から取り出された処理水のフッ素の平均濃度は9.7mg/L、リンの平均濃度は0mg/L、排泥路36から引抜かれた汚泥の平均含水率は65質量%となった。
実施例2、実施例3、および比較例2について、各槽に対する添加薬剤の種類および濃度を表3に示し、処理水の平均水質、汚泥の性状(SV30の値およびSS濃度)、並びに化学反応槽25およびリン不溶化槽21のpHを表4に示す。
Figure 2007098325
Figure 2007098325
表3および表4から、本発明によれば、化学反応槽25への消石灰の添加量を多くしても、化学反応槽25のpHを6.5以下とすることでフッ素の除去率の低下を防止し、かつ、汚泥の膨潤を防止できることが示された。
[実施例4]
実施例4として、図2に示す第2実施形態に係る処理装置12を用い、合成排水であって、フッ素200mg/Lおよびリン酸500mg/Lを含むフッ素含有水を被処理液として処理した。
選択的リン不溶化剤としては、実施例1で用いた塩化第二鉄を用い、添加量は2,100mg/Lとした。一方、カルシウム化合物としては、消石灰に代えて塩化カルシウム(CaCl)の水溶液(濃度15質量%)を用いた。塩化カルシウムは、第1カルシウム路53から化学反応槽25に対して110mg/L、第2カルシウム路54からリン不溶化槽21に対して1,100mg/L、第3カルシウム路55からフッ素不溶化槽22に対して665mg/Lとなるよう、添加した。フッ素不溶化槽22には実施例2で用いた水酸化ナトリウムを添加量1,200mg/Lを添加し、凝集槽23には実施例1で用いたポリマーを4mg/Lの添加量で添加した。
また、固液分離槽24で得られた生成汚泥の一部は、汚泥返送比(返送汚泥量/生成汚泥量)が20となるよう、化学反応槽25に返送した。かかる条件で処理したところ、化学反応槽25における汚泥改質工程のpHは4.0〜4.5、リン不溶化槽21のpHは5.5〜5.9であり、処理水路35から取り出された処理水のフッ素の平均濃度は7.8mg/L、リンの平均濃度は0mg/L、引抜き汚泥のSV30は65%、SS濃度は220g/Lとなった。
[実施例5]
実施例5として、塩化カルシウムの全量を化学反応槽25に添加した以外は実施例4と同じ条件とした処理を行なったところ、処理水路35から取り出された処理水のリンの平均濃度は0mg/L、フッ素の平均濃度は7.2mg/Lとなり、引抜き汚泥のSV30は65%、SS濃度は250g/Lとなった。
実施例4および実施例5について、各槽に対する添加薬剤の種類および濃度を表5に示し、処理水の平均水質、汚泥の性状(SV30の値およびSS濃度)、並びに化学反応槽25およびリン不溶化槽21のpHを表6に示す。
Figure 2007098325
Figure 2007098325
表5および表6に示すように、本発明によればリン酸濃度が高いフッ素含有水を処理するために、大量の鉄化合物およびカルシウム化合物を添加する場合でも、汚泥の膨潤を防止し、かつ、リン酸の再溶解による処理水質の悪化を防止できる。
本発明は、液晶製品等の製造時に排出される、リンを含むフッ素含有水の処理に適用できる。
本発明の第1実施形態に係るフッ素含有水の処理装置の模式図である。 本発明の第2実施形態に係るフッ素含有水の処理装置の模式図である。
符号の説明
11、12 フッ素含有水の処理装置
21 リン不溶化槽
22 フッ素不溶化槽
23 凝集槽
24 固液分離槽
25 化学反応槽(汚泥返送設備)
37 汚泥返送路
41 鉄化合物貯留槽(薬注装置)
51 鉄化合物添加路(薬注装置)
P リン濃度計
F フッ素濃度計
、S、S1P、S、S 制御装置

Claims (7)

  1. フッ素を含むフッ素含有水に、カルシウム化合物を添加して前記フッ素を不溶化させて除去するフッ素含有水の処理方法であって、
    前記フッ素含有水は、リンをさらに含み、
    前記フッ素含有水と、フッ素よりリンと優先的に反応して不溶性の塩を生成する鉄化合物を含む選択的リン不溶化剤と、をpH6.5以下で接触させて前記リンが不溶化されたリン含有汚泥を含む懸濁液を得るリン不溶化工程と、
    前記リン不溶化工程からの前記懸濁液にカルシウム化合物を添加して前記フッ素が不溶化されたフッ素・リン含有汚泥を含む懸濁液を得るフッ素不溶化工程と、
    前記フッ素不溶化工程からの前記懸濁液を固液分離してフッ素・リン含有汚泥と処理水とを得る固液分離工程と、
    前記フッ素・リン含有汚泥を含む汚泥にpH6.5以下で前記選択的リン不溶化剤を添加して前記汚泥が改質された改質汚泥を得る汚泥改質工程と、を含み、
    前記改質汚泥を前記リン不溶化工程に返送して、リン不溶化工程において前記改質汚泥に含まれる前記選択的リン不溶化剤と前記フッ素含有水に含まれる前記リンとを反応させて前記リンを不溶化させることを特徴とするフッ素含有水の処理方法。
  2. 前記汚泥改質工程において、前記汚泥に、カルシウム化合物をさらに添加する請求項1に記載のフッ素含有水の処理方法。
  3. 前記鉄化合物は、塩化第二鉄である請求項1または2に記載のフッ素含有水の処理補法。
  4. 前記汚泥に添加されるカルシウム化合物は、塩化カルシウムである請求項2または3に記載のフッ素含有水の処理方法。
  5. 前記フッ素含有水は、100mg/L以上の濃度のリン酸イオンを含む請求項1から4のいずれかに記載のフッ素含有水の処理方法。
  6. リンとフッ素とを含むフッ素含有水を導入し、pH6.5以下で、前記リンが不溶化されたリン含有汚泥を含む懸濁液を得るリン不溶化槽と、
    前記リン不溶化槽からの前記懸濁液を導入し、前記フッ素とカルシウム化合物とを反応させてフッ素が不溶化されたフッ素・リン含有汚泥を含む懸濁液を得るフッ素不溶化槽と、
    前記フッ素不溶化槽からの前記懸濁液を固液分離してフッ素・リン含有汚泥と処理水とを得る固液分離装置と、
    前記固液分離装置から得られた前記フッ素・リン含有汚泥を前記リン不溶化槽に返送する汚泥返送路を備える汚泥返送設備と、を含み、
    前記汚泥返送設備は、前記汚泥が導入される化学反応槽と、pH6.5以下で前記化学反応槽に、フッ素よりリンと優先的に反応して不溶性の塩を生成する鉄化合物を含む選択的リン不溶化剤を添加する薬注装置と、をさらに備えるフッ素含有水の処理装置。
  7. 前記フッ素含有水に含まれるリン濃度を測定するリン濃度計および/またはフッ素濃度を測定するフッ素濃度計と、
    前記リン濃度計および/または前記フッ素濃度計の測定値に基づき前記選択的リン不溶化剤の添加量を制御する制御装置と、をさらに含む請求項6に記載のフッ素含有水の処理装置。
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