JP2007083471A - 光学フィルム、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 例えば、広範囲にわたり高コントラスト比を有する見やすい表示を実現可能なIPSモードで動作する液晶表示装置(LCD)の視野角拡大の意味において、液晶表示素子すなわち偏光板の保護フィルムとして用いられるセルロースエステル系樹脂フィルムについて、フィルムの幅手方向に遅相軸を有し、均一なリタデーションを有する光学フィルム、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 セルロースエステル系樹脂を溶融流延製膜法により流延ダイ4から溶融押し出し、冷却ドラム11にて冷却固化して未延伸フィルムとし、連続して該未延伸フィルムの両端部を把持してフィルムの幅手方向に延伸する光学フィルムの製造方法であって、流延ダイ4のウェブ引き取り側リップ5およびウェブ反引き取り側リップ6のエッジの角部横断面の半径Rを、1μm以上、50μm以下とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、液晶表示装置(LCD)等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルムまた有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルム等にも利用することができる光学フィルム、及びその製造方法に関するものである。
液晶表示装置は、従来のCRT表示装置に比べて、省スペース、省エネルギーであることからモニターとして広く使用されている。さらにTV用としても普及が進んできている。このような液晶表示装置には、偏光フィルムや位相差フィルムなどの種々な光学フィルムが使用されている。
ところで、液晶表示装置に用いられる偏光板の偏光フィルムは、延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の片面または両面に、セルロースエステルフィルムよりなる光学フィルムを保護膜として積層されている。また、位相差フィルムは、視野角の拡大やコントラストの向上などの目的で用いられており、ポリカーボネ−ト、脂環式構造を有する重合体、セルロースエステルなどのフィルムを延伸してリタデーションが付与されたものや透明基材上に液晶層を塗設されたものなどである。光学補償フィルムと呼ばれることもある。位相差フィルムの遅相軸が幅手方向であると、偏光板とロール・ツー・ロール貼合することができるので、従来のバッチ貼合から生産効率が著しく改善できる。
これらの光学フィルムでは、光学的な欠陥がなく、リタデーションが均一であることが要求される。特に、モニターやTVの大型化や高精細化が進み、これらの要求品質はますます厳しくなってきている。
光学フィルムの製造方法には、大別して溶液流延製膜法と溶融流延製膜法とがある。前者は、ポリマーを溶媒に溶かして、その溶液を支持体上に流延し、溶媒を蒸発し、さらに必要により延伸してフィルムにする方法である。膜厚の均一性に優れるなどの点から広く採用されてきたが、溶媒の乾燥のため、設備が大型化するなどの問題点を抱えていた。後者は、ポリマーを加熱溶融して支持体上に流延し、冷却固化し、さらに必要により延伸してフィルムにする方法であり、溶媒を乾燥する必要がないので、設備が比較的コンパクトにできるとの利点があるが、膜厚の均一性に劣り、均一なリタデーションが得られないという問題点があった。
従来、溶融流延製膜法を用いて光学フィルムを製造する方法は、例えば下記の特許文献1と2において提案されている。
特開平10−10321号公報 特許文献1には、溶融樹脂を、幅手方向に均一な温度に保たれた冷却ロールと無端ベルトで円弧上に挟み込んで冷却する方法が提案されている。この特許文献1の方法によれば、リタデーションが20nm以下、リタデーションのムラが±5nm以内の光学フィルムが得られることが記載されている。 特開2002−212312号公報 特許文献2には、溶融樹脂を2つの冷却ドラムで挟み込んで冷却する方法が提案されている。この特許文献2の方法によれば、膜厚ムラが5μm以下、リタデーションが10nm以下、リタデーションのムラが2nm以下の光学フィルムが得られることが記載されている。
しかしながら、特許文献1及び2記載の方法で得られたフィルム(未延伸フィルム)を幅手方向に延伸したフィルムを、クロスニコル下で観察すると、全体が均一な暗視野とならずに、明暗のムラが認められるという問題があった。これは、延伸したフィルムのリタデーションが均一でないことを示しており、リタデーションが均一であるなら、全面が暗視野となるはずである。さらにこれらの方法では、フィルムの幅手方向の厚みプロファイルは、冷却ロールと無端ベルトの間隙や冷却ドラム間の間隙で決まってしまうため、延伸フィルムの幅手方向の厚み分布を制御できないという問題があった。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、フィルムの幅手方向に遅相軸を有し、均一なリタデーションを有する光学フィルム、及びその製造方法を提供しようとすることにある。
本発明者は、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、セルロースエステル系樹脂を溶融流延製膜法により流延ダイから溶融押し出し、冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムとし、連続して該未延伸フィルムの両端部を把持してフィルムの幅手方向に延伸する光学フィルムの製造方法において、流延ダイのウェブ引き取り側リップおよびウェブ反引き取り側リップのエッジの角部を、1μm以上、50μm以下とすることにより、セルロースエステル系樹脂フィルムのリタデーションの均一性を改良できることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、セルロースエステル系樹脂を溶融流延製膜法により流延ダイから溶融押し出し、冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムとし、連続して該未延伸フィルムの両端部を把持してフィルムの幅手方向に延伸する光学フィルムの製造方法であって、流延ダイのウェブ引き取り側リップおよびウェブ反引き取り側リップのエッジの角部横断面の半径Rが、1μm以上、50μm以下であることを特徴としている。
請求項2の発明は、上記請求項1に記載の光学フィルムの製造方法であって、セルロースエステル系樹脂が、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートよりなる群の中から選ばれた少なくとも1つの樹脂であることを特徴としている。
請求項3の光学フィルムの発明は、上記請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法で製造されたことを特徴としている。
請求項1の発明は、セルロースエステル系樹脂を溶融流延製膜法により流延ダイから溶融押し出し、冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムとし、連続して該未延伸フィルムの両端部を把持してフィルムの幅手方向に延伸する光学フィルムの製造方法であって、流延ダイのウェブ引き取り側リップおよびウェブ反引き取り側リップのエッジの角部横断面の半径Rが、1μm以上、50μm以下であるもので、本発明の光学フィルムの製造方法によれば、リタデーションムラが少ない、良好な光学フィルムを製造することができるという効果を奏する。
請求項2の発明は、上記請求項1に記載の光学フィルムの製造方法であって、セルロースエステル系樹脂が、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートよりなる群の中から選ばれた少なくとも1つの化合物であるもので、本発明によれば、これらのセルロースエステル系樹脂は、光弾性係数が小さく、優れた光学特性を発揮するものであり、製膜後のフィルムの状態で種々の条件下でも寸法変化の少ない位相差用フィルムに好適なセルロースエステル系樹脂フィルムを得ることができるという効果を奏する。
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法で製造されたもので、本発明の光学フィルムは、均一なリタデーション特性を有するものであるという効果を奏する。
そして、このような光学フィルムを液晶表示装置に用いることで、良好な視野角特性を有する液晶表示装置が提供できるという効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、特に液晶表示装置(LCD)の偏光板用保護フィルム等に利用することができる光学フィルムの製造方法に係るものである。
図1は、本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置の概略フローシートである。
同図において、本発明による光学フィルムの製造方法は、セルロースエステル系樹脂フィルムの材料を混合した後、押出し機1を用いて、流延ダイ4から冷却ドラム(キャスティングドラム)上に溶融押し出し、第1冷却ドラム11、第2冷却ドラム12、第3冷却ドラム13の3本の冷却ドラムに順に外接させて、冷却固化して未延伸フィルム(ウェブW)とし、剥離ロール14によって剥離した未延伸フィルム(ウェブW)を、ついで延伸装置16によりフィルム(ウェブW)の両端部を把持して幅手方向に延伸する。
ここで、セルロースエステル系樹脂を流延ダイ4から冷却ドラム上に溶融押し出しし、冷却ドラム上で冷却固化する方法は、溶融流延製膜法と呼ばれている。溶融流延製膜法としては、流延ダイを用いた方法やインフレーション法などの溶融押し出し法、カレンダー法、熱プレス法、射出成形法などがあるが、本発明では、厚さムラが小さく、50〜500μm程度の厚さに加工しやすく、かつ、膜厚ムラやリタデーションのムラを小さくできる流延ダイを用いた方法を採用している。
セルロースエステル系樹脂フィルムの材料は、予め乾燥させておくことが好ましい。真空または減圧乾燥機や除湿熱風乾燥機などで水分を1000ppm以下、好ましくは200ppm以下に乾燥させることが望ましい。
セルロースエステル系樹脂と安定剤などは、溶融する前に混合機等により混合しておくことが好ましいが、可塑剤や紫外線吸収剤、マット剤に関しても溶融する前に混合機等を用いて混合しておくこともできる。混合機としては、V型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合機等、一般的な混合機を用いることができる。
例えば、熱風や真空または減圧下で乾燥したセルロースエステル系樹脂を押出し機1を用いて、押し出し温度200〜300℃程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィルター2などで濾過し、異物を除去する。
供給ホッパー(図示略)から押出し機1へ導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして、酸化分解等を防止することが好ましい。
可塑剤などの添加剤を予め混合しない場合は、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー3などの混合装置を用いることが好ましい。
本発明においては、材料を混合した後に押出し機1を用いて直接製膜する方法以外に、一旦、ペレット化した後、ペレットを押出し機1で溶融して製膜することも可能である。また、融点の異なる複数の材料が混合された系においては、融点の低い材料のみが溶融する温度で一旦、いわゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶融物を押出し機1に投入して製膜することも可能である。熱分解しやすい樹脂や添加剤を使用する場合においては、樹脂の溶融回数を減らす目的で、ペレットを作製せずに直接製膜する方法や、上記のようなおこし状の半溶融物を作ってから製膜する方法が好ましい。
本発明において、フィルム製膜に用いる押出し機1は、単軸押出し機でも2軸押出し機でも良い。材料からペレットを作成せずに直接製膜する場合では、適当な混練度が必要であるため、2軸押出し機を用いることが好ましいが、単軸押出し機でも、スクリューの形状をマドック型、ユニメルト型、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより、適度の混練が得られ、製膜が可能となる。1軸押出し機においても、2軸押出し機においても、ベント口を設け、真空ポンプなどを用いて、ベント口からガスを除去することが望ましい。一旦、ペレットやおこし状の半溶融物を作製する場合は、単軸押出し機でも2軸押出し機でも良い。
押出し機1内および押出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか、あるいは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
押出し機1内の樹脂の溶融温度は、樹脂の粘度や吐出量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なるが、一般的には、成形材料のガラス転位温度(Tg)に対して、ガラス転移温度(Tg)以上、ガラス転移温度(Tg)+100℃以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは溶融温度は、ガラス転移温度(Tg)+10℃以上、ガラス転移温度(Tg)+90℃以下である。押出し時の溶融粘度は、10〜100000ポイズ、好ましくは100〜10000ポイズである。また、押出し機1内での樹脂の滞留時間は短い方が好ましく、5分以内、より好ましくは3分以内、最も好ましくは2分以内である。滞留時間は、押出し機の種類、押出す条件にも左右されるが、材料の供給量や、L/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮することが可能である。
押出し機1のスクリューの形状や回転数等は、樹脂の粘度や吐出量等により適宜選択される。本発明において、押出し機1でのせん断速度は、好ましくは1/秒〜10000/秒、より好ましくは5/秒〜1000/秒、もっとも好ましくは10/秒〜100/秒である。ギアポンプ噛み込み防止、メインフィルタ負荷低減のため、押出し機1の出側にプレフィルターを設けることが好ましい。
例えば必要に応じて、50/80/100メッシュのスクリーンや金属繊維の焼結フィルターを設けることが好ましい。オンラインチェンジ可能なタイプを使用することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行なうことが好ましい。また、プレフィルターの下流にフィルター2を設けることが好ましい。ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し、接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。濾過精度を粗、密と連続的に複数回繰り返した多層体としたものが好ましい。また、濾過精度を順次上げていく構成としたり、濾過精度の粗、密を繰り返す方法をとることで、フィルターの濾過寿命が延び、異物やゲルなどの補足精度も向上できるので好ましい。濾過精度は、0.5μm以上、50μm以下が好ましい。
本発明においては、押出し機1を用いてセルロースエステル系樹脂フィルムの材料を流延Tダイ4から溶融押し出しし、第1冷却ドラム11、第2冷却ドラム12、及び第3冷却ドラム13の3本の冷却ドラムに順に外接させて、表面矯正し、冷却固化して未延伸フィルムとする。
流延ダイ4から押出された材料が最初に接触する冷却ドラムを第1冷却ドラム11とすると、材料が流延ダイ4から第1冷却ドラム11に接触するまでの時間は短い方が好ましく、10秒以内、好ましくは5秒以内、最も好ましくは2秒以内である。また、流延ダイ4から第1冷却ドラム11までの距離は、10mm以上、100mm以下が好ましい。
上記の流延ダイ4は、セルロースエステル系樹脂の押出し成形フラット延伸法製膜に用いる押出しダイである。ここで、押出し成形フラット延伸法製膜とは、平行スリットを有する流延ダイ4から溶融ポリマーを押し出し、フィルム状に成形し、ついでロール、テンター等により、逐次又は同時に縦、横の二軸方向に延伸してフィルムに成形する方法である。セルロースエステル系樹脂の場合、一般的には、ロールに周速差を設けて縦方向に1.05〜2.0倍に延伸し、テンターにより横方向に1.05〜2.0倍に延伸し、ついで熱固定する方法がとられる。
本発明は、光学フィルムの製造方法において、流延ダイ4のウェブ引き取り側リップ5および/またはウェブ反引き取り側リップ6のエッジの角部横断面の半径Rが、1μm以上、50μm以下である特徴を有するものである。
流延ダイ4のウェブ引き取り側リップ5および/またはウェブ反引き取り側リップ6のエッジの角部横断面の半径Rを、50μm以下とすることにより、エッジへの付着物の発生を抑えることができ、リタデーションを均一化することができる。エッジの角部横断面の半径Rが、1μm未満であれば、エッジ角が傷付きやすくなり、リタデーションムラの発生の原因となるので、好ましくない。
なお、この実施形態においては、フィルムの両面に対して平滑性を高めるために、第1冷却ドラム11、第2冷却ドラム12に続いて、第3冷却ドラム13が配置されている。
溶融流延製膜法において、流延ダイ4に傷や異物が付着すると、スジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥のことをダイラインと呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押出し機1から流延ダイ4までの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。
また、樹脂の付着を防止するために、配管内壁の表面粗さは小さいことが好ましく、0.3s以下が好ましい。配管内面に硬質クロムメッキを行ない、バフ研磨することが好ましい。
流延ダイ4の内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。流延ダイ4周辺に樹脂から揮発成分が析出し、ダイラインの原因となる場合があるので、揮発成分を含んだ雰囲気は吸引することが好ましい。また、静電印加等の装置にも析出する場合があるので、交流を印加したり、他の加熱手段で析出を防止することが好ましい。
流延ダイ4はシートやフィルムを製造するために用いられるものであれば、特に限定はされないが、コートハンガーダイが好ましい。リップ部間隙tは、0.1mm以上、2mm以下が好ましく、ランド部長さLは、5mm以上、50mm以下が好ましい。L/tが、10以上となることが好ましい。
第1冷却ドラムに密着した直後の樹脂の厚みをhとすると、フィルムの厚みが70μm以上、100μm未満の場合には、t/hを10以下とし、50μm以上、70μm以下の場合には、t/hを15以下とし、50μm未満の場合には、t/hを20以下とすることが好ましい。t/hを前記の値にすることで、リボンの伸張を抑え、流れ方向のリタデーションを小さく保つことができる。
厚み調整機構としては、幅手方向に分割して温度を調整するヒーター式、機械的にリップ開度を調整する手動ボルト方式、あるいは、ヒーターによりボルトの伸縮を利用してリップ開度を調整するヒートボルト方式などを使用することが好ましい。
流延ダイ4の材質としては、ニッケル、ハードクロム、炭化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、超鋼、セラミック(タングステンカーバイド、酸化アルミ、酸化クロム)などを溶射もしくはメッキし、表面加工としてバフ、#1000番手以降の砥石を用いるラッピング、#1000番手以上のダイヤモンド砥石を用いる平面切削(切削方向は樹脂の流れ方向に垂直な方向)、電解研磨、電解複合研磨などの加工を施したものなどがあげられる。ダイリップの好ましい材質は、流延ダイ4と同様である。また、シャークスキン防止のためには、リップと樹脂の摩擦を減らすことが重要であり、これには、例えばDual Spiral Systems Inc.社製のセラミックコーティング((商品名K05MFC)を使用することが好ましい。また、ダイリップの表面精度は0.5S以下が好ましく、0.2S以下がより好ましい。
本発明において、流延ダイ4から押出された材料は、冷却ドラムにて冷却、表面矯正される。流延ダイ4から押出された材料が最初に接触する冷却ドラムを第1冷却ドラム11とすると、材料が流延ダイ4から第1冷却ドラム11に接触するまでの時間は短い方が好ましく、10秒以内、好ましくは5秒以内、最も好ましくは2秒以内である。また流延ダイ4から第1冷却ドラム11までの距離は、3mm以上、100mm以下が好ましい。
第1冷却ドラム11に密着する直前の樹脂の温度はTg以上であることが好ましく、より好ましくはTg+50℃以上である。樹脂の温度を高く保つことで、リボンの伸張により発生する流れ方向のリタデーションを小さくすることができる。流延ダイ出口から樹脂が第1冷却ドラム11に密着する直前のエアギャップにおいて樹脂を保温することが好ましい。保温方法としてはマイクロ波による誘導加熱、赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等が好ましく利用できる。赤外線ヒーターは、電気式、ガス式、オイル式あるいはスチーム式の遠赤外セラミックヒーターが利用できる。
上記のように、セルロースエステル系樹脂を流延ダイ4から冷却ドラム11、12、13上に溶融押し出するが、冷却ドラムの温度調整は、冷却ドラム内部に水や油などの熱媒体を流すことにより調整することが好ましい。
本発明において、流延ダイ4からセルロースエステル系樹脂が流出する際、昇華物等による流延ダイ4や冷却ドラムの汚染を防ぐため、流延ダイ4付近に吸引装置をつけることが好ましい。吸引装置は、装置自体が昇華物の付着場所にならないようヒーターで加熱するなどの処置を施すことが必要である。また、吸引圧が大きすぎると、段ムラなどフィルム品質に影響を及ぼす、逆に、小さすぎると、昇華物を効果的に吸引できないため、適当な吸引圧とする必要がある。
本発明において、フィルムと冷却ドラムは密着することが好ましい。フィルムと冷却ドラムを密着させる方法としては、タッチロールを用いて押し付けること、静電密着法、エアーナイフ、減圧チャンバーなどが使用できる。
冷却ドラムは1本以上であれば良いが、フィルムの両面に対して平滑性を高めるために2本以上とし、両面とも冷却ドラムに接触させることが好ましい。また、冷却ドラムには、クリーニングロール等の清掃設備を付与することも可能である。冷却ドラムの温度ムラは0.5℃以下が好ましい。速度ムラはO.5%以下が好ましい。冷却ドラム表面はハードクロムメッキを使用することができるが、これに限定されない。表面粗度は0.1s以下が好ましい。タッチロールの材質としては金属、または金属ロールの周りに樹脂、ゴムなどを巻いたものを用いることができる。また、金属ロールの周りに樹脂、ゴムなどを巻き、さらにその周りに金属を巻いたロールを用いることもできる。さらに、ロール幅手中央部からロールサイドへ行くに従い、径を変化させたクラウンロールを用いることもできる。
また、タッチロールに密着する直前のフィルム温度は、Tg以上が好ましく、より好ましくはTg+50℃以上である。
本発明において、Tダイ4から溶融状態のフィルム状のセルロースエステル系樹脂を、第1冷却ドラム11、第2冷却ドラム12、及び第3冷却ドラム13に順次密着させて搬送しながら冷却固化させ、未延伸のセルロースエステル系樹脂フィルム(ウェブ)を得る。第3冷却ドラム13から剥離ロール14によって剥離した冷却固化されたフィルム(ウェブ)は、ダンサーロール(フィルム張力調整ロール)を経て延伸機16に導き、そこでフィルムを幅手方向に延伸する。この延伸により、フィルム中の分子が配向される。
フィルムを幅手方向に延伸する方法は、公知のテンターなどを好ましく用いることができる。特に延伸方向を幅手方向とすることで、偏光フィルムとの積層がロール形態で実施できるので好ましい。幅手方向に延伸することで、セルロースエステル系樹脂フィルムからなる光学フィルムの遅相軸は幅手方向になる。
一方、偏光フィルムの透過軸も、通常、幅手方向である。偏光フィルムの透過軸と光学フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した偏光板を液晶表示装置に組み込むことで、液晶表示装置の表示コントラストを高くすることができるとともに、良好な視野角が得られるのである。
上記延伸機16における延伸条件は、所望のリタデーション特性が得られるように、温度、倍率を選ぶことができる。通常、延伸倍率は1.1〜2.0倍、好ましくは1.2〜1.5倍であり、延伸温度は、フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度をTgとすると、通常、Tg〜Tg+50℃、好ましくはTg〜Tg+40℃の温度範囲で行なわれる。延伸倍率が小さすぎると、所望のリタデーションが得られない場合があり、逆に大きすぎると、フィルムが破断してしまう場合がある。延伸温度が低すぎると、フィルムが破断してしまう場合があり、高すぎると、所望のリタデーションが得られない場合がある。
フィルムの幅手方向の延伸は、制御された均一な温度分布下で行なうことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
上記の方法で作製したセルロースエステル系樹脂フィルムFのリタデーション調整や寸法変化率を小さくする目的で、フィルムを長さ方向や幅手方向に延伸または収縮させてもよい。長さ方向に収縮するには、例えば、幅手延伸を一時クリップアウトさせて長さ方向に弛緩させる、または横延伸機の隣り合うクリップの間隔を徐々に狭くすることによりフィルムを収縮させるという方法がある。後者の方法は一般の同時二軸延伸機を用いて、縦方向の隣り合うクリップの間隔を、例えばパンタグラフ方式やリニアドライブ方式でクリップ部分を駆動して滑らかに徐々に狭くする方法によって行なうことができる。必要により任意の方向(斜め方向)の延伸と組み合わせてもよい。長手方向、幅手方向とも0.5%から10%収縮させることで光学フィルムの寸法変化率を小さくすることができる。
光学フィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、仕上がりのフィルムとして、本発明において使用される膜厚範囲は30〜200μmで、最近の薄手傾向にとっては40〜120μmの範囲が好ましく、特に40〜100μmの範囲が好ましい。フィルムの平均膜厚は、所望の厚さになるように、押し出し流量、流延ダイ4の流延口の間隙、冷却ドラムの速度等をコントロールすることで調整できる。
フィルム端部をスリッター17により製品となる幅にスリットして裁ち落とした後、エンボスリング18及びバックロール19よりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施し、巻取り機20によって巻き取ることにより、光学フィルム(巻き)F中の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。ナール加工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、変形しており、フィルム製品として使用できないので、切除されて、原料として再利用される。
以上のようにして得られた幅手方向に延伸されたセルロースエステル系樹脂フィルムは、延伸により分子が配向されて、一定の大きさのリタデーションを持つ。通常、フィルムの面内方向リタデーション(Ro)は20〜200nm、厚み方向リタデーション(Rt)は90〜400nmであり、フィルムの面内方向リタデーション(Ro)が20〜100nm、厚み方向リタデーション(Rt)が90〜200nmであることが好ましい。また、RtとRoの比:Rt/Roは、0.5〜2.5が好ましく、特に1.0〜2.0が好ましい。
なお、フィルムの遅相軸方向の屈折率Nx、進相軸方向の屈折率Ny、厚み方向の屈折率Nz、フィルムの膜厚をd(nm)とすると、
Ro=(Nx−Ny)×d
Rt={(Nx+Ny)/2−Nz}×d
として表される。
リタデーションのバラツキは小さいほど好ましく、通常15nm以内、好ましくは10nm以下、より好ましくは4nm以下である。
遅相軸方向の均一性も重要であり、フィルム幅手方向に対して、角度が−5〜+5°であることが好ましく、さらに−1〜+1°の範囲にあることが好ましく、特に−0.5〜+0.5°の範囲にあることが好ましい。
このようにして、本発明の溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法で成形されたセルロースエステル系樹脂フィルムは、溶液流延製膜法で成形された樹脂フィルムと異なり、厚み方向リタデーション(Rt)が小さいとの特徴があり、このようなセルロースエステル系樹脂フィルムを延伸することにより、面内方向リタデーション(Ro)を発現し易くできるとの特徴も有する。また、延伸倍率を大きくする必要がないので、破断の危険性が小さく、安定に生産できる。
本発明の光学フィルムの製造方法において、セルロースエステル系樹脂は、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートよりなる群の中から選ばれた少なくとも1つの樹脂であることが好ましい。
上記セルロースエステル系樹脂のアセチル基の置換度は、少なくとも1.5以上であることが、得られるフィルムの寸法安定性に優れるので好ましい。セルロースエステル系樹脂のアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。セルロースエステル系樹脂の分子量は、数平均分子量として50,000〜300,000、とくに60,000〜200,000であることが、得られるフィルムの機械的強度が強くできるので好ましい。
本発明のセルロースエステル系樹脂中には、種々の目的で可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤、帯電防止剤、難燃剤、染料及び油剤などの添加剤を含有させることができる。
可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリナフチルホスフェート、トリキシリルホスフェート、アリーレンビス(ジアリールホスフェート)エステル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル系可塑剤、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート及びジ−2−エチルヘキシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート及びブチルフタリルブチルグリコレート等のグリコール酸エステル系可塑剤、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸系可塑剤、ジプロピレングリコールベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、1,3−ジブチレングリコールジベンゾエート、テトラエチレングリコールジベンゾエート、トリメチロールプロパントリアセテート、トリメチロールプロパントリベンゾエート等の多価アルコールエステル系可塑剤、その他にトリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)などを挙げることができる。必要に応じて上記のうち2種類以上の可塑剤を併用して用いてもよい。これらの添加量は、可塑剤の効果とブリードアウトの兼ね合いから、セルロースエステル系樹脂に対して1%〜30%が好ましい。
また、ポリエステルエーテル、ポリエステル−ウレタン、ポリエステルなどもブレンドすることで可塑性を改良できるので好ましく用いることができる。
ポリエステルエーテルとしては、炭素原子8〜12個の芳香族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸(例えばテレフタール酸、イソフタール酸、ナフタレンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)、炭素原子2〜10個の脂肪族グリコールまたは脂環式グリコール類(例えば、エチレンジオール、プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1,5−ペンタンジオール)、エーテル単位の間に炭素原子2〜4個を有するポリエーテルグリコール類(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコールを構成要素とするコポリエステルエーテル)が好ましい。ポリエステルエーテルの配合量は、主たる樹脂に対して5〜30重量%が好ましい。配合量をこの範囲とすることで良好な可塑性を呈するフィルムが得られる。
ポリエステル−ウレタンとしては、ポリエステルとジイソシアナートとの反応により得られるポリエステル−ウレタンが挙げられる。下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 2007083471
一般式(1)中、lは、2、3または4を表わし、mは、2、3または4を表わし、nは、1〜100を表わす。Rは、構造単位式(2)〜(7)に示す構造単位のいずれかを表わす。なお、構造単位式(2)中、pは2〜8を表わす。
ポリエステル−ウレタンを構成するポリエステルとしては、グリコール成分が、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、または1,4−ブタンジオールであり、二塩基性酸成分が、コハク酸、グルタル酸、またはアジピン酸からなる両末端ヒドロキシル基を有するポリエステルであり、その重合度nは1〜100である。ポリエステルの分子量として、1,000〜4,500に当るものが特に望ましい。
ポリエステル−ウレタンを構成するジイソシアナート成分としては、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等のポリメチレンイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、p,p′−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート等が挙げられる。中でも、トリレンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナートがポリウレタン化した場合、セルロースエステル系樹脂との相溶性が秀れているので好ましい。
ポリエステル−ウレタンの分子量は、2,000〜50,000が好ましく、さらに5,000〜15,000が好ましい。ポリエステル−ウレタンの合成は、上記のポリエステルとジイソシアナートとを混じ攪拌下加熱させる常法の合成法により、容易に得ることができる。また、原料のポリエステルも常法により、相当する二塩基性酸、またはこれらのアルキルエステル類とグリコール類とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法が、あるいはこれらの酸の酸クロリドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法により、末端基がヒドロキシル基となるよう適宜調整すれば容易に合成することができる。
ポリエステル−ウレタンの配合量は、主たる樹脂に対して5〜30重量%が好ましい。配合量をこの範囲とすることで良好な可塑性を呈するフィルムが得られる。
ポリエステルとしては、ポリエチレングリコールと脂肪族二塩基性酸とからなるポリエステルで、その平均分子量は700から10,000が好ましい。
ポリエチレングリコールは、一般式が
HO−(CHCH−O)−H
(式中、nは、整数である)で表される。nは4以下が好ましい。
また、脂肪族二塩基性酸とは、一般式が
HOOC−R−COOH
(式中、Rは、脂肪族二価炭化水素基である)で表される蓚酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などであり、炭素数9以下が好ましい。
ポリエステルの合成は、常法により、上記二塩基性酸またはこれらのアルキルエステル類とグリコール類とのポリエステル化反応、またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成することができる。
ポリエステルの配合量は、主たる樹脂に対して5〜30重量%が好ましい。配合量をこの範囲とすることで良好な可塑性を呈するフィルムが得られる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が適当であり、その具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。とくに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕及びトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、その効果を得るために、セルロースエステル系樹脂に対し、重量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがとくに好ましい。
本発明において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明において、有用な紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を好ましく使用できる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
これらの紫外線吸収剤の配合量は、セルロースエステル系樹脂に対して、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、さらに0.1〜5重量%が好ましい。使用量が少なすぎると紫外線吸収効果が不十分の場合があり、多すぎるとフィルムの透明性が劣化する場合がある。紫外線吸収剤は熱安定性の高いものが好ましい。
本発明では、フィルムの滑り性を付与するために、微粒子を添加することが好ましい。本発明で用いられる微粒子としては、溶融時の耐熱性があれば無機化合物または有機化合物どちらでもよく、
無機化合物としては、例えば、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、さらに好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムである。中でもヘイズを小さく抑えることができることから、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)等の商品名を有する市販品が好ましく使用できる。
本発明の光学フィルムは、上記の光学フィルムの製造方法で製造されたもので、本発明の光学フィルムは、均一なリタデーション特性を有するものである。
そして、このような光学フィルムを液晶表示装置に用いることで、良好な視野角特性を有する液晶表示装置を提供することができる。
本発明により得られる光学フィルムは、偏光フィルムの少なくとも片面に貼り合わせることにより楕円偏光板とすることができる。
偏光フィルムは、従来から使用されている、例えば、ポリビニルアルコールフィルムの如きの延伸配向可能なフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して縦延伸したものである。偏光フィルム自身では、十分な強度、耐久性がないので、一般的にはその両面に保護フィルムとしての異方性のないセルローストリアセテートフィルムを接着して偏光板としている。本発明により得られる光学フィルムは、上記保護フィルム付きの偏光板に貼り合わせて作製してもよいし、また保護フィルムも兼ねて、直接偏光フィルムと貼り合わせて作製してもよい。
特に、本発明により得られる光学フィルムは幅手方向に遅相軸を有しているため、偏光フィルムと、裁断することなく長尺ロール同士で貼り合わすことができ、偏光板の生産性が飛躍的に向上する。
偏光板はその片面または両面に感圧性接着剤層(例えば、アクリル系感圧性接着剤層など)を介して剥離性シートを積層した貼着型のもの(剥離性シートを剥すことにより、液晶セルなどに容易に貼着することができる)としてもよい。
このようにして得られた偏光板が、液晶セルの片面または両面に設けられ、これを用いて、液晶表示装置が得られる。
広範囲にわたり高コントラスト比を有する見やすい表示を実現可能な画像表示装置、特にIPSモードで動作する液晶表示装置は、液晶層を挟持する一対の基板からなるIPSモードにて駆動される液晶セルと、当該液晶セルの両側に直交状態に配置される一対の偏光板とを有する液晶表示装置であって、少なくとも一方の偏光板の液晶セル側に、本発明のセルロースエステル系樹脂フィルムが備えられているものである。
なお、本発明によるセルロースエステル系樹脂フィルムは、その他、反射防止用フィルムあるいは光学補償フィルムの基材としても使用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1と2
セルロースアセテートプロピオネート 100重量部
60℃で24時間真空乾燥済のアセチル基の置換度1.95、
プロピオニル基の置換度0.7、数平均分子量75,000
可塑剤
(1) トリフェニルフォスフェイト 10重量部
(2) エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
紫外線吸収剤
(1) チヌビン109 0.5重量部
(2) チヌビン171 0.5重量部
(3) チヌビン326 0.3重量部
酸化防止剤 0.01重量部
(1) 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
(2) ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
上記材料の混合物を、図1に示す2軸式押出し機を用いて230℃で溶融混合し、ペレット化した。このペレットを用いて、Tダイ4から溶融物をフィルム状に冷却ドラム上に、溶融温度250℃で溶融押し出しし、冷却固化させて未延伸セルロースアセテートプロピオネート樹脂フィルム(ウェブ)を得た。
なお、実施例1と2では、流延ダイ4のウェブ引き取り側リップ5およびウェブ反引き取り側リップ6のエッジの角部横断面の半径Rが異なる流延ダイを用いて、2種類のセルロースアセテートプロピオネート樹脂フィルムを得た。
ついで、剥離ロール14によって剥離したセルロースアセテートプロピオネート樹脂フィルム(ウェブ)を、連続してテンター16に導入し、幅手方向に160℃で1.5倍延伸した後、幅手方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部をスリッター17により製品となる幅にスリットして裁ち落とした後、エンボスリング18及びバックロール19よりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施し、巻取り機20によって巻き取ることにより、幅1.4m、膜厚80μmの2種類のセルロースアセテートプロピオネートフィルムFを得た。
なお、リップエッジのRの測定は、先端R部をシリコーン印象材(株式会社松風 デントシリコーンV)により型取りし、R部をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製 VHX−200)で観察することにより行なった。
実施例1と2で得られた光学フィルムについて、下記のようにして、リタデーションの均一性の評価を行なった。得られた結果を表1に示した。
なお、セルロースアセテートプロピオネートフィルムのガラス転移温度(Tg)は144℃であった。
(リタデーションの均一性)
実施例1と2で得られたフィルムを、偏光板によるクロスニコル下、すなわち、直交状態(クロスニコル状態)に配置した2枚の偏光子で挟み、一方の偏光板の外側から光を当て、他方の偏光板の外側から目視で観察し、下記基準でリタデーションの均一性のランク付けをした。
ランク 基準
A: 光の透過はなく、全体に均一な暗視野
B: 部分的にスジ状の明暗が認められる
C: 部分的に強いスジ状の明暗が認められる
比較例1と2
比較のために、上記実施例1と2の場合と同様に実施するが、これらの比較例1と2では、本発明の範囲外の条件により、セルロースアセテートプロピオネートフィルムを製造した。すなわち、比較例1では、流延ダイ4のウェブ引き取り側リップ5のエッジの角部横断面の半径:Rを、本発明の範囲外である63μmとした流延ダイを用いた。比較例2では、流延ダイ4のウェブ引き取り側リップ5およびウェブ反引き取り側リップ6のエッジの角部横断面の半径Rを、本発明の範囲外である80μmとした流延ダイを用いた。
比較例1と2においては、これらの条件以外は、上記実施例1の場合と同様にして、厚み80μmのセルロースアセテートプロピオネートフィルムを得た。
得られた光学フィルムについて、実施例1と同様にして、リタデーションの均一性を評価し、得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
Figure 2007083471
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1と2では、セルロースアセテートプロピオネートフィルムについて、いずれもランクAの評価を有するものであり、光の透過はなく全体に均一な暗視野を有しており、リタデーションムラが少なく、良好な光学フィルムとしてのセルロースアセテートプロピオネートフィルムを製造することができた。
これに対し、比較例1では、セルロースアセテートプロピオネートフィルムについて、ランクBの評価を有するものであり、部分的にスジ状の明暗が認められ、リタデーション特性が均一でなく、光学フィルムとして充分に使用できないものであった。また、比較例2では、セルロースアセテートプロピオネートフィルムについて、ランクCの評価を有するものであり、部分的に強いスジ状の明暗が認められ、リタデーション特性が均一でなく、光学フィルムとして全く使用できないものであった。
本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置の1つの実施形態を示す概略フローシートである。 流延ダイの詳細を示す拡大横断面図である。
符号の説明
1:押出し機
2:フィルター
3:スタチックミキサー
4:流延ダイ(押出し成形用ダイ)
5:引き取り側リップ
6:反引き取り側リップ
7:コーナーカット部
11:第1冷却ドラム
12:第2冷却ドラム
13:第3冷却ドラム
14:剥離ロール
15:ダンサーロール
16:延伸機
17:スリッター
18:エンボスリング
19:バックロール
20:巻き取り機
W:ウェブ(フィルム)
F:巻き取られた光学フィルム

Claims (3)

  1. セルロースエステル系樹脂を溶融流延製膜法により流延ダイから溶融押し出し、冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィルムとし、連続して該未延伸フィルムの両端部を把持してフィルムの幅手方向に延伸する光学フィルムの製造方法であって、流延ダイのウェブ引き取り側リップおよびウェブ反引き取り側リップのエッジの角部横断面の半径Rが、1μm以上、50μm以下であることを特徴とする、光学フィルムの製造方法。
  2. セルロースエステル系樹脂が、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートよりなる群の中から選ばれた少なくとも1つの樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法で製造されたことを特徴とする、光学フィルム。
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