JP2007040045A - 木造建築物又は木造建造物の補強構造及び補強方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
木造建築物の構造を補強し、耐震性を付与するとともに、2つ構造材により形成される仕口を正常な角度に維持し、また、変形した仕口の角度を正常な角度に矯正する作用を発揮することができる補強構造であって、簡易且つ短時間に形成が可能である補強構造、及び補強方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
4つの構造材により矩形に形成される木造建築物又は木造建造物の枠組みにおいて、1つの仕口を形成する2つの構造材8、9間に両端が連結される長尺物2と、少なくとも上記仕口に接して設置される補強部材3とを備えて形成される補強構造であって、上記長尺物2が帯部4を本体とし長尺物2両端に構造材8、9に対する固定金物5を有するとともに固定金物5と帯部4との間に長さ調整手段6を有して形成されており、且つ上記補強部材3は、合成樹脂発泡体を本体として形成した。
【選択図】 図1

Description

本発明の木造建築物又は木造建造物の補強構造及び補強方法は、木造軸組建築物における柱、間柱、土台、梁及び胴差等の構造材、木造枠組壁構法建築物における角材等の構造材に適用して防振性及び耐震性を付与された建築物又は建造物の構築に用いられる。特に、残留変形の生じた木造建築物又は木造建造物において、防振性及び耐震性を付与するとともに、上記残留変形を矯正する機能を有する補強構造及びこれを可能とし鉛直方向及び水平方向に対し補強可能な補強方法に関する。
木造建築物又は木造建造物(以下、単に木造建築物と記載する。本発明では木造建築物と記載した場合、特に断りがない限り木造建造物の意味も含まれる。)における耐震性の必要性は近年、益々理解が深まり、その関心度も高い。
特に地震や台風等により被災した場合、構造材よりなる木造建築物の骨組みは、残留変形し、その後の余震等の影響から崩壊する恐れや、建築物が立ち入り禁止勧告を受けることによって、該建築物に入ることができない場合がある。従って、被災後に生じる地震動が良好に吸収、減衰され、また、揺れを軽減させることが必要である。また、残留変形した木造建築物においては、2つの構造材により形成される仕口の角度が変形し、設計時に予定された正常な角度とは異なる箇所が観察される。このように、仕口の角度が設計時に予定された正常な角度(以下、単に「正常な角度」ともいう。)からずれている場合には、垂直方向或いは水平方向の耐力が減少しているので、かかる部分を特に補強し、仕口の角度を正常な位置に修復し、或いはその後の余震等の影響を受けても正常な仕口の角度を維持する必要がある。
これに対し、従来、建築物を補強するための補強構造としては、木造軸組建築物における柱、間柱、土台、梁及び胴差等の構造材、木造枠組壁構法建築物における角材等の構造材、鉄骨建築物における鉄骨等の構造材等の中で互いに接している2つの構造材の間において、筋交い等の補強材を架け渡した補強構造が公知である。具体的なこのような構造として例えば、図10に示すように、一方の構造材101の途中から、他方の構造材102の途中にかけて、木製又は金属製の補強部材103を斜めに接続し、両端部を構造材101、102に固定して建築物を補強してなる補強構造がある。
また、別の補強構造としては、離間した2点に架け渡される軸組補強部材であって、ブレース鋼材等の引張、圧縮荷重に耐え得る補強材本体と、振動の吸収、減衰作用を有する粘弾性体と、この補強材本体の局部坐屈を防止するための補鋼材とを備え、引張側だけでなく、圧縮側でもエネルギー吸収能力を発揮することができる補強部材を用いた補強構造が知られている(特許文献1)。
特開平11−303448号公報
上述した図10に示す従来の補強構造及び特許文献1に記載の補強部材は、いずれも硬質な部材を用い構造材間に接続して建築物の構造を支持するため、既存の仕口の角度を維持する力が働き、特に特許文献1に記載の補強部材を用いた補強構造では、一定の振動吸収、減衰効果が期待される。
しかしながら、上述したいずれの補強構造(補強部材)においても、角度が変形した仕口を正常な仕口の角度に矯正するための作用は発揮されない。また、これら従来の補強部材は、木材や金属製材により形成されているため、重量が重く、緊急時における運搬、設置の際の取扱い性がよくない。さらに上記補強部材を既存の建築物に設置する際には、設置に要する面積を確保するため、図11に示すように設置時に、少なくとも補強部材103の占める面積に相当する壁面104を全て取り除かなければならない。従って、設置作業にかかる手間が大きい。
従って、本発明は、木造建築物の構造を補強し、耐震性を付与するとともに、2つ構造材により形成される仕口を正常な角度に維持し、また、変形した仕口の角度を正常な角度に矯正する作用を発揮することができる補強構造であって、簡易且つ短時間に形成が可能である補強構造、及び補強方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(1)4つの構造材により矩形に形成される木造建築物又は木造建造物の枠組みにおいて、1つの仕口を形成する2つの構造材間に両端が連結される長尺物と、少なくとも上記仕口に接して設置される補強部材とを備えて形成される補強構造であって、上記長尺物が帯部を本体とし長尺物両端に構造材に対する固定金物を有するとともに固定金物と帯部との間に長さ調整手段を有して形成されており、且つ上記補強部材が合成樹脂発泡体を本体として形成されていることを特徴とする木造建築物又は木造建造物の補強構造、
(2)上記長尺物が連結される構造材間に形成される仕口以外の3つの仕口の少なくとも1箇所に、さらに補強部材が設置されていることを特徴とする上記(1)に記載の木造建築物又は木造建造物の補強構造、
(3)上記帯部の引張荷重が980N以上29.4kN以下であり、且つ伸び率が3%以上15%以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の木造建築物又は木造建造物の補強構造、
(4)上記帯部の両端部間に、少なくとも1以上のワイヤーを伸張方向に沿って、一体的に取り付けてなることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載の木造建築物又は木造建造物の補強構造、
(5)上記補強部材が、上記合成樹脂発泡体の一部と接して設けられる架け渡し部材を備えることを特徴とする上記(1)〜(4)に記載の木造建築物又は木造建造物の補強構造、及び
(6)木造建築物又は木造建造物における補強方法であって、4つの構造材により矩形に形成される木造建築物又は木造建造物の枠組みにおいて、1つの仕口を形成する2つの構造材間に長さ調整手段を備えた長尺物の両端を連結し、且つ合成樹脂発泡体を備える補強部材を少なくとも上記仕口に接して設置し、上記仕口の角度が正常な角度より大きく変形する力が生じた場合には、上記長尺物が備える長さ調整手段により長尺物の長さを短くするよう調整することによって上記仕口の角度を正常な角度に矯正し、一方、上記仕口の角度が正常な角度より小さく変形する力が生じた場合には、上記補強部材に備わる合成樹脂発泡体により上記圧縮力を吸収して減衰することによって、木造建築物又は木造建造物の枠組みを形成する構造材の位置及び仕口の角度を正常に維持することを特徴とする木造建築物又は木造建造物の補強方法、
を要旨とするものである。
本発明の補強構造は、仕口を形成する構造材間に帯部を本体とし長さ調整手段を有する長尺物が連結されている。これにより、上記構造材間に伸張力がかかった際には、上記長尺物における帯部が伸張し、その結果、上記伸張力を吸収して減衰させることができる。そして、より大きな伸張力が働き、仕口の角度が正常な角度よりも大きくなった場合には、上記長さ調整手段により長尺物の長さを短くするよう調整することによって、仕口の角度を正常な角度に矯正することができる。
また、本発明の補強構造は、合成樹脂発泡体を備える補強部材が上記仕口に接して設置されている。これによって構造材間に圧縮力がかかった際には、上記補強部材における合成樹脂発泡体が圧縮され、その結果、上記圧縮力を吸収して減衰することができる。また、合成樹脂発泡体の弾性力により、正常な角度よりも小さくなった仕口の角度を正常な角度に戻す方向に力が付与される。
即ち、本発明の補強構造であれば、構造材間に圧縮力及び伸張力が働く際に、該圧縮力及び伸張力を吸収して減衰させる効果があり、さらに仕口を正常な角度の状態で維持する作用が働くとともに、角度の変形した仕口に対しては正常な仕口の角度に矯正することが可能である。
さらに、本発明の補強構造は合成樹脂発泡体を備えているため、地震時に生じる振動が構造材間に伝達される場合に、上記合成樹脂発泡体によってこの振動を良好に吸収して減衰することができる。従って、より高い耐震性を得るためには、矩形に形成される木造建築物の枠組みにおいて、1箇所の仕口だけではなく複数の仕口、或いは全ての仕口に補強部材を設置することが望ましい。
帯部の両端部間に少なくとも1以上のワイヤーを伸張方向に沿って、一体的に取り付けることにより、構造材間に伸張力がかかった際、帯部における過度の伸張を防止することができる。また、長期に亘り伸張力の負荷がかかった場合であっても、帯部の伸張を防止又は軽減することができる。さらに、帯部のワイヤー以外の繊維質材料のベルト等が焼失した場合であっても、不燃物のワイヤーは失われることがない。さらにまた、帯部に伸張力がかかった初期段階では、一般にワイヤーの方が、繊維質のベルト等に比べ、より高い引張荷重を備えているため、初期段階の帯部の伸張が、本体を繊維質材料のベルト等のみで構成した場合よりも軽減することができる。
本発明の補強構造を構成する長尺物及び補強部材はいずれも軽量であるため、運搬、又は設置の際の取扱い性に優れている。特に被災後の木造建築物等に緊急に補強することが必要になった際には、輸送手段を問わず二輪車又は人力によっても迅速に部材を現場まで運搬することができ、また、迅速に設置作業を行うことが可能である点で非常に優れている。さらに、既存の木造建築物に本発明の補強構造を形成する際には、実際に設置する壁面、床面又は天井面等の面構造において、帯部や長さ調整手段は上記面構造の表面に露出した状態で設置することができる。従って、本発明の補強構造を上記面構造に設置して形成するためには、上記面構造のうち、長尺物における固定金物及び補強部材の占める面積部分だけを取り除けばよいため面構造の取り壊し作業を最小限に抑えることができ、上述した従来の補強構造と比較して設置作業が容易である。
また、本発明の補強方法であれば、上述のとおり設置の容易な補強構造を用いて、木造建築の構造を容易に補強することができる。即ち、本発明の補強方法は、上記本発明の補強構造を構築することによって、構造材間にかかる伸張力及び圧縮力を吸収して減衰させることができる。これに加えて伸張力により構造材間の仕口の角度が大きく変形する場合には、長さ調整手段により長尺物の長さを調整することによって、正常な仕口の角度に矯正することができる。また、圧縮力により仕口の角度が小さく変形する場合には、合成樹脂発泡体の弾性力により正常な仕口角度に維持する方向に力を与えることができる。上記伸張力及び圧縮力を吸収して減衰する作用及び仕口を正常な角度に維持する作用は、主として合成樹脂発泡体を備える補強構造により発揮されるため、一度本発明の補強構造を設置すれば、特にメンテナンスを必要とせず繰り返し該作用を生じせしめることが可能である。また、仕口の角度を長さ調整手段を用いてベルトの長さを調整することによって正常な角度に矯正する方法は、手動で簡易に繰り返し行うことができる。従って、地震により被災した木造建築物において、その後の余震が繰り返される度に、容易に補強し又は矯正することができる。
以下、本発明の実施態様について図面に基づき詳細に説明する。図1に示す態様の補強構造1は、構造材8〜11により矩形に形成される枠組みにおいて、帯部4、固定金物5及び長さ調整手段6を備える長尺物2が、固定金物5において構造材8と構造材9とに連結されており、且つ構造材8及び構造材9により形成される仕口であって、長尺物2側に位置する仕口に、合成樹脂発泡体を備える補強部材3が設置されて形成されている。上記構成を有する本発明の補強構造1は、構造材8及び構造材9間に伸張力がかかった際には帯部4が伸張することにより該伸張力を吸収して減衰させることが可能である。また、より大きな伸張力がかかり仕口の角度が正常な角度より大きくなった場合には、長さ調整手段6により長尺物2を短くする方向に長さ調整することによって、仕口の角度を正常な角度に矯正することが可能である。一方、構造材8及び構造材9間に圧縮力がかかった際には、補強構造3に備わる合成樹脂発泡体14(図4)により該圧縮力を吸収して減衰することができる。尚、本発明の補強構造は、全面が壁面である面構造や、床面、天井面を構成する面構造を構成する枠組みだけでなく、窓、襖又は出入り口を含む面構造を形成する枠組みにも実施することができる。また、本発明は、窓、襖又は障子等を含む面構造において、垂れ壁を除くこれら窓、襖又は障子等を構成する枠組みにも実施可能である。
上記圧縮力とは、構造材8及び構造材9により形成される仕口の角度が設計時に予定された正常な角度より狭まる方向に働く力である。上記圧縮力には、構造材自体、特に構造材間の結合部分における構造材自体を圧縮変形させ仕口を正常な角度より狭まる方向に変形させる力、或いは構造材を曲げて(即ち撓んだ状態にさせ)仕口を正常な角度より狭まる方向に変形させる力を含む。
また、上記伸張力とは、構造材8及び構造材9により形成される仕口の角度が設計時に予定された正常な角度より広がる方向に働く力である。上記伸張力には、構造材自体、特に構造材間の結合部分における構造材自体を圧縮変形させて仕口を正常な角度より広がる方向に変形させる力、或いは構造材を曲げて(即ち撓んだ状態にさせ)仕口を正常な角度より広がる方向に変形させる力を含む。
より具体的には、例えば構造材8が木造建築物における柱であり、且つ構造材9が木造建築物における土台である場合は、上記柱と上記土台により構成される仕口の正常な角度は90°であることが一般的である。これに対し、上記角度が90°より小さくなる方向に働く力を圧縮力、90°より大きくなる方向に働く力を伸張力という。
また、本発明において、構造材8、9により形成される仕口の角度が正常な角度よりも広がる方向に変形するのに追随して引っ張られる方向を長尺物2の「伸張方向」と言う。また、伸張方向とは反対に、構造材8、9により形成される仕口の角度が正常な角度よりも狭まる方向に構造材が変形するのに追随して圧縮される方向を補強部材3の「圧縮方向」と言う。
尚、本発明において、「仕口」というときは、2つの木造の構造材が直角またはそれ以外の角度をなして結合された場合の結合部分であって、特に本発明の補強部材の設置が予定される側の結合箇所を意味する。例えば、柱間に架け渡される構造材と、該柱とにより形成される仕口が挙げられる。尚、本発明において構造材というときは、特に断りがない限り、柱、土台、梁等だけでなく、柱間に架け渡されるまぐさ、窓台、敷居、中敷居等を含むものとする。また、本発明において「仕口の角度」とは、上記2つの構造材により形成される仕口において、本発明の補強構造の設置が予定される側に形成される角の角度を指す。
本発明の補強構造1は、上述したように、矩形に形成される木造建築物の枠組みにおいて、少なくとも仕口を形成する2つの構造材に長尺物2が連結され、且つ上記仕口であって、長尺物2側に位置する仕口に接して補強部材3が設置されていればよい。従って、本発明の補強構造の別の態様としては、図2に示すように、長尺物2の両端を構造材8と構造材9に連結して設置し、且つ上記枠組み内における4つの仕口の全てに補強部材3を設置して形成することができる。図2に示す補強構造であれば、構造材8及び構造材9間にかかる伸張力を長尺物2により吸収して減衰することができ、また、構造材8及び構造材9により形成される仕口の角度が大きく変形する際には、長さ調整手段6により上記仕口の角度を正常な角度に矯正することができる。一方、構造材8と構造材9、構造材9と構造材10、構造材10と構造材11、又は構造材8と構造材11のいずれかの間に圧縮力がかかる場合には、それぞれの仕口に設置された補強部材3a、3b、3c、3dにより上記圧縮力を吸収して減衰することができる。
また、上記図1及び図2には、長尺物2を構造材8及び構造材9に連結して設置した実施例を示したが、本願発明の補強構造はこれに限定されず、長尺物2が構造材9及び構造材10に連結して設置されていてもよいし(図示せず)、或いは、1つの長尺物2が構造材8及び構造材9に連結され、他の1つの長尺物2が構造材9及び構造材10に連結され、これら2つの長尺物がたすきがけの状態で設置されていてもよい(図3(a)参照)。2つの長尺物がたすきがけの状態で設置されている態様によれば、構造材9及び構造材10間にかかる伸張力も吸収して減衰することができ、また、構造材9及び構造材10により形成される仕口が大きく変形した場合には、正常な角度に矯正することができるので好ましい。
次に、既存の木造建築物において形成した本発明の補強構造について説明する。図3(a)は、構造材8〜11により矩形に形成された枠組みとそれに面して形成された壁面13とからなる木造建築物の既存の壁面に本発明の補強構造を形成した一実施態様を示す斜視図である。図3(a)に示される補強構造は、上記枠組みの4つの仕口それぞれに補強部材3が設置されるとともに、2つの長尺物2がたすきがけの状態で設置されてなる。図3(a)から明らかなとおり、本発明の補強構造を形成する際には、補強部材3及び長尺物2の固定金物5を除く部分は、壁面に接して外部に露出した状態で設置することができるので、かかる部分については壁面の大部分を除去しなくてもよい。すなわち、本発明の補強構造を形成するためには、長尺物2を固定する固定金物5を設置するために要するスペースと、補強部材3を設置するために要するスペースとを確保するために壁面13のごく一部を除去すれば足りる。これに対し、比較として従来より知られる筋交いを既存の建物に実施した例を図11に示す。図11から明らかなとおり、木製或いは金属製の材質からなる従来の筋交い103は一直線上に撓みのない形状で形成されている。従って、2つの構造材間に架け渡して設置する際には、筋交い103が位置する部分及びその周辺の壁面104を全て除去しなくてはならない。従って、既存の木造建築物に設置する際、本発明の補強構造であれば、従来の筋交いを用いる場合に比べて壁面の除去部分の面積が少なくてすみ、設置作業性が向上する。尚、図3(a)には構造材8〜11により形成された矩形の枠組み内の4つの仕口それぞれに補強部材3を設置した例を示したが、本発明はこれに限定されず、少なくとも構造材8及び構造材9より形成される仕口にのみ補強部材3が設置されていればよく、さらに他の仕口のいずれか又は全部に補強部材3が設けられていてもよい。
また、既存の木造建築物において本発明を実施する別の態様として図3(b)を例示する。図3(b)は、垂れ壁31の下方に位置し構造材8〜11により形成された矩形の枠組み内に襖32が設けられた木造建築物の面構造において、本発明の補強構造を形成した一実施態様を示す斜視図である。図3(b)に例示する如く、襖が設けられた枠組みや、或いは窓、障子等が設けられた枠組みにおいて、本発明を実施する場合には、壁面の一部を除去することなく形成可能である。従って、特に緊急に本発明実施する必要がある際等には、より短時間で、且つより容易に本発明を実施することができるという観点から優れている。
以下に、本発明の補強構造に用いられる構成部材についてより詳しく説明する。本発明の長尺物2は、図1に例示するとおり、帯部4、構造材に対する固定金物5、長さ調整手段6を少なくとも有し、さらに、固定金物5と帯部4及び長さ調整手段6と帯部4との連結を助けるために帯部4の両端に連結金属材7が設けられている。長尺物2は、構造材間にかかる伸張力に耐え、且つ、長さ調整手段6により長尺物2の長さを短くするよう調整する際に、長尺物2にかかる力に耐え得るよう各構成部材が連結されていることが必要である。
帯部4は、構造材間に伸張力がかかった際に、上記伸張力に耐え、該伸張力を吸収して減衰する作用を発揮することが望まれる。また、長さ調整手段により長尺物2を短くするよう調整する際に、連結する2つの構造材8及び構造材9と長尺物2とで引張り合う力が生じ、帯部2にも相当の力がかかるため、これに耐え得る引張荷重を備えていることが必要である。従って、帯部4は、引張荷重980N以上24.5kN以下であることが好ましく、引張荷重9.8kN以上19.6kN以下であることがより好ましい。また、帯部4は、伸び率3%以上15%以下であることが好ましく、4%以上6%以下であることがより好ましい。
上記引張荷重が980N未満であると、大きな伸張力がかかった際に、帯部4が破断する恐れがあるので好ましくなく、一方、24.5kNを越える引張荷重を有している場合であっても強度面からは問題がない。但し、構造材間に24.5kNを越える引張荷重が必要とされる程度に強い伸張力がかかった際には、帯部4が破断する前に構造材に対する固定金物5が破損する可能性があるので、この観点からは帯部4の引張荷重の上限としては24.5kN程度が適当である。また、上記伸び率が3%未満であると、伸び量が少なく、伸張力を吸収し減衰させる効果が良好に発揮されず、一方、15%を越える伸び率では伸張力がかかった際の初期伸び量が大きく、これにより仕口の角度の初期変形量が大きくなるため、元の角度に復元させることが困難となり好ましくない。
上記の帯部4の引張荷重は、JIS D 4604−1995 7.4ウェビング試験(1.1)に従って測定された値である。詳しくは、試験片をクランプ間距離が220mmとなるように引張試験機に取付け、引張速度毎分100mmで荷重を加え、試験片が破断した時の荷重を測定することにより得られた荷重値を引張荷重とした。
また、帯部4の伸び率は、JIS D 4604−1995 7.4ウェビング試験(1.3)に従って測定された値である。詳しい測定方法は、まず試験片をクランプ間距離が220mmとなるように引張試験機に取付け、試験片が緊張するように200Nの初期荷重を加える。その距離内に標点距離200mmの目盛り線を引き、引張りを開始し、引張荷重毎分100mmで荷重を与え、荷重が11.1kNに達したとき、標点距離を測定する。標点距離をL(mm)とし、伸び率をδ(%)としたとき、δ=(L−200)÷200×100により算出される値δを伸び率とした。
上述した帯部4に用いられる材料の例としては、天然繊維或いは合成繊維を用いた織物或いは編物を主体として形成されたベルトを用いることができ、例えば自動車部品として用いられるウェビング材を転用することができる。ただし本発明の帯部4は、上述に限定されるものではない。
帯部4の両端部間に少なくとも1以上のワイヤーを伸張方向に沿って、一体的に取り付けることにより、構造材間に伸張力の負荷がかかった際、帯部における過度の伸張を防止することができる。また、長期に亘り伸張力がかかった場合であっても、帯部の伸張を防止又は軽減することができる。さらに、帯部のワイヤー以外の繊維質材料のベルト等が焼失した場合であっても、不燃物のワイヤーは失われることがない。さらにまた、帯部に伸張力がかかった初期段階では、一般にワイヤーの方が、繊維質のベルト等に比べ、より高い引張荷重を備えているため、初期段階の帯部の伸張が、本体を繊維質材料のベルト等のみで構成した場合よりも軽減することができる。ここで、伸張方向とは、伸張力が働く方向を意味する。さらに、伸張力とは、構造材8及び構造材9により形成される仕口の角度が設計時に予定された正常な角度より広がる方向に働く力である。
次に、帯部4の両端部間に1のワイヤーを伸張方向に沿って、一体的に取り付けた例を図面に基づいて説明する。図7(a)は、その全体図であり、同図(b)は、(a)のX−Y線拡大断面図である。ワイヤー26は、被覆材28とベルト27に覆われており、帯部4の両端部に設けられる連結金属材7と一体に構成されている。上記段落番号0026の効果を奏するためには、ワイヤー26と連結金属材7は、一体に構成されていることが必要である。ワイヤー26の材料としては、各種金属を用いることができるが、ステンレス鋼線等の合金鋼が耐食性、耐熱性、耐衝撃性等において優れているので好ましい。ベルト27の材料としては、天然繊維或いは合成繊維を用いた織物或いは編物が挙げられる。被覆材28の材料としては、合成樹脂、ゴム等が挙げられる。被覆材28とベルト27は、その間にワイヤー26を挟んだ状態で、熱による溶着又は接着剤を用いて貼着される。ただし、本発明におけるワイヤー26、ベルト27及び被覆材28の材料、帯部4へのワイヤーの取り付け方法は、上述したものに限定されるものではない。また、本発明におけるワイヤー26の数は1に限定されず、2以上のワイヤーを用いることもできる。
上記長尺物2における長さ調整手段とは、構造材間に長尺物2が架け渡された状態で、該長尺物2の長さを調整することのできる手段であればいずれの手段を用いてもよいが、手作業或いはスパナ等の簡易な工具の使用によって操作可能であることが望ましい。本発明に用いることのできる長さ調整手段としては、例えばターンバックルが挙げられる。ターンバックルの例としては、JIS規格建築用ターンバックル JIS A 5540−1982がある。ただし本発明に用いられるターンバックルはこれに限定されるものではない。また、本発明に用いるターンバックルとしては、耐荷重が9.8kN〜29.4kN程度のものが好ましい。かかる範囲の耐荷重のターンバックルを用いて本発明を実施すれば、手動にてバックルを回転させることにより、数100Nの引き寄せ力を得ることができる。
また、本発明に用いることのできる別の長さ調整手段としては、ベルトの巻き取り構造と逆転止めの爪を有するロック部とを備えるバックルが挙げられ、より具体的な例としては、例えばラチェットバックルが挙げられる。上記ラチェットバックルであれば、手動でベルトを0.5kN〜2kN程度の力で引張り、引き寄せることにより調整用のベルトの長さを短く調整し、逆転止めの爪で該ベルトを所望の長さで固定することができる。また、このとき10〜40kN程度の耐荷重が好ましい。例えば公知のラチェットバックルとしては、アンクラジャパン(株)のラチェットバックルであって、耐荷重30kN以上のものを用いることができる。
但し、本発明に用いられる長さ調整手段は上述に限定されるものではなく、本発明を建築物の枠組み構造において実施した際に、手動或いは簡易な工具を使用するだけで長尺物の長さを調整することができる程度の引き寄せ力において、充分な耐荷重を発揮することのできる手段であれば、いずれの手段を用いてもよい。上記長さ調整手段2を用いる本発明であれば、長尺物2が連結する構造材間に伸張力がかかり、該構造材により形成される仕口の角度が正常な角度よりも大きくなってしまった場合に、長尺物2の長さが短くなるように調整することによって該長尺物2の両端と連結される構造材を引き寄せることができ、結果として仕口の角度を正常な角度に修正することができる。
尚、長さ調整手段をこれと隣接する他の部材に連結するために、該長さ調整手段の両端には一般的に金属製の固定金物材が設けられているが、この金属製の固定金物材は、他の部材に連結しやすいようにその先端がフック形状であってもよいし(例えば図8に示す長さ調整手段6の両端部分を参照)、或いは、先端がリング状に閉じられた形状であってもよい(例えば図1に示す長さ調整手段6の両端部分を参照)。特に、リング状に閉じられた形状が採用された金属製の固定金物材であれば、長さ調整手段の長手方向に対して強い力がかかった際にも、破損することなくその形状を維持することができるという観点から好ましい。
上記長尺物2における固定金物5は、長尺物2の両端に位置し、構造材8及び構造材9と長尺物2とを連結し固定ならしめるための部材である。例えば図1に示すように、L字型の金具を用いることができる。図1に示す固定金物は上記L字型金物を構造材8及び構造材9に対し、スクリューねじ、釘、或いはボルトとナット等を用いて強固に固定し、該金物に予め他の部材を通すための穴部を設けることにより形成される。但し、本発明の補強構造における固定金物5は上述に限定されるものではなく、長尺物2を構造材間に強固に連結して固定することができるものであればいずれのものを使用してもよい。
尚、上記長尺物2を構成する部材は、前述したように帯部4、固定金物5、長さ調整手段6を少なくとも有していることが必要であるが、本願発明の趣旨を逸脱しない限り、他の部材を適宜用いることが可能である。例えば、図1に示すように、帯部4と長さ調整手段6、及び長さ調整手段6と固定金物5とを連結するために、これらの部材間に金属製のシャックルを用いることができる。
次に、本発明の補強構造に用いられる補強部材3について説明する。本補強部材3は、上述のとおり合成樹脂発泡体を備えており、これにより構造材間にかかる圧縮力を吸収して減衰する作用を発揮せしめるためにこれら構造材により形成される仕口に接して配置される。上記作用を良好に発揮させるために、上記合成樹脂発泡体が、2つ構造材の向かい合う側面と密接に接して固定され、これにより構造材から補強部材3に圧縮力が良好に伝達されることが望ましい。
また、本発明における補強部材3は、図4に示すとおり合成樹脂発泡体14と接する架け渡し部材15を設けて、構造材8及び構造材9間にかかる伸張力に対する吸収、減衰作用を発揮せしめることができる。かかる作用を有する補強部材3であれば、長尺物2が担う伸張力の吸収、減衰作用の一部を該補強部材3に負担させることができ、本発明の補強構造1の補強効果をより向上させることができる。
上記架け渡し部材15を備えた補強部材3の例を図5を用いて説明する。図5に示す補強部材3は、合成樹脂発泡体14と、帯状体16及び発泡樹脂角金物17を有してなる架け渡し部材15とを備えて形成される。合成樹脂発泡体14は、構造材8と接する側面20、構造材9と接する側面21及び架け渡し部材15と接する側面22とを有し、側面20と側面21とから形成される角が、構造材8と構造材9とから形成される仕口の角度と略同等に形成されてなる。一方、架け渡し部材15は、その両端に発泡樹脂角金物17を有し、発泡樹脂角金物に帯状体通し穴19を設け、この帯状体通し穴19に帯状体16の各端部を通して折り返し、該折り返し部分を縫製して、発泡樹脂角金物17と帯状部16とを一体化して形成される。そして、合成樹脂発泡体14の側面20及び側面21を、構造材8及び構造材9にそれぞれ接して設置し、側面22側に架け渡し部材15を接した状態で、留め具18を用い、発泡樹脂角金物17を介して、構造材に固定する。補強部材3を構造材間に固定しやすくするために、発泡樹脂角金物17及び合成樹脂発泡体14に予め留め具18用の挿通孔(図示せず)を設けておき、これら挿通孔を位置合わせして留め具18を挿通させることが望ましい。さらに構造材の適切な位置にも、留め具18用の穴(図示せず)を設けておくことがさらに望ましい。合成樹脂発泡体14は、構造材8及び構造材9間に加わる圧縮力を吸収可能であり、また、帯状体16は、構造材8及び構造材9間に加わる伸張力を吸収可能である。
上記架け渡し部材15の本体として用いられる帯状体16は、天然繊維或いは合成繊維を用いた織物或いは編み物により形成することができる。該帯状体16において伸張力を吸収、減衰させるためには、帯状体16の引張荷重は、980N以上49kN以下であることが望ましく、より望ましくは4.9kN以上24.5kN以下であり、さらに望ましくは4.9kN以上19.6kN以下である。引張荷重が980N未満であると、構造材間に伸張力がかかった際に、帯状体16が切れる等の破損が生じ易いため望ましくない。一方、49kNを越える引張荷重を示す帯部3であっても、強度面からは問題がない。但し、構造材間に24.5kNを越える引張荷重が必要とされる程度に強い伸張力がかかった際には、帯状体16が破損する前に構造材に対する補強部材3の発泡樹脂角金物が破損する可能性があるので、この観点からは帯状体16の引張荷重の上限としては24.5kN程度が適当である。
帯状体16の伸び率は、3%以上20%以下であることが望ましく、より望ましく3%以上10%以下であり、より望ましくは3%以上5%以下である。伸び率が3%未満であると、構造材間に伸張力がかかった際に帯状体16の伸び量が少なく、良好に伸張力を吸収することができないため好ましくない。一方、伸び率が20%を越えると、伸張力がかかった際の初期伸び量が大きく、これにより仕口の角度の初期変形量が大きくなるため、元の角度に復元させることが困難となり好ましくない。
上記帯状体16の引張荷重は、上述した帯部4の引張荷重の測定方法と同様にJIS D 4604−1995 7.4ウェビング試験(1.1)に従って測定された値である。また、上記帯状体16の伸び率は、上述した帯部4の伸び率の測定方法と同様にJIS D 4604−1995 7.4ウェビング試験(1.3)に従って測定された値である。帯状体16には、帯部4と同じ材質のものを用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。
上記帯状体16により、効率よく伸張力を吸収して減衰させるためには、補強部材3を設置した際に、上記帯状体16が撓みのない状態で且つ、合成樹脂発泡体14に接して構造材間に架け渡されることが重要である。特に帯状体16に147N以上の張力がかかった状態で設置されることが好ましく、245N以上の張力がかかった状態であることがより好ましく、294N以上の張力がかかった状態であることがさらに好ましい。147N以上の張力がかけられた状態で帯状体16を構造材間に架け渡すことにより、伸張力が良好に該帯状体16に伝達され、これにより帯状体16が良好に伸張し、その結果、良好に上記伸張力が吸収、減衰される。また、帯状体16の長期耐力だけを考えれば147N以上1.96kN以下の張力を有した状態で設置することが可能である。ただし、補強部材3を簡易な工具を用いて人力だけで容易且つ迅速に設置可能とするためには、帯状物16に392N以下の張力がかかった状態で設置することが適当である。
上記帯状体16を備える補強部材3に伸張力が伝達された際に、該補強部材3によって該伸張力が吸収し減衰される作用は以下のとおり説明される。構造材間に伸張力が生じるとこれに架け渡されている架け渡し部材15に備えられた帯状体16に該伸張力が伝達され、帯状体16自体が良好に伸張するとともに、上記構造材により形成される仕口方向に向って帯状体16の位置が移動しようとする力が発生する。上記移動しようとする力の発生により帯状体16と接する合成樹脂発泡体14の側面22に圧力がかかり、該合成樹脂発泡体14が圧縮される。この結果、上記伸張力は、帯状体16自体の伸張により吸収し減衰されるとともに、帯状体16から圧力を受けて合成樹脂発泡体14が圧縮することによっても吸収し減衰されるのである。このとき、上記架け渡し部材15は、少なくとも、構造材に固定される両端部を2つの支点として有する。これに加えて架け渡し部材15、特に帯状体16において、第3の支点を与えることにより、伸張力が発生した際に、ベルト材3の伸張作用が促されるとともに、ベルト材3から合成樹脂発泡体14に対する圧力がかかり易くなり合成樹脂発泡体14の圧縮作用も促されるので好ましい。上記第3の支点を与える具体的な方法としては、帯状体16に接する合成樹脂発泡体14の側面22部分を、構造材8及び構造材9により形成される仕口とは反対の方向に凸状に湾曲して形成する方法がある。かかる形状の合成樹脂発泡体14とこれに接する帯状体16を備える補強構造において伸張力がかかると、合成樹脂発泡体14における凸状の湾曲部の頂点が上記第3の支点となる。
上述した態様の架け渡し部材15は、軽量な帯状体16を本体としているため、運搬時或いは設置時の取扱い性に優れており、特に緊急時には、施工を要する現場まで輸送手段を限定せず素早く運搬することが可能であり、且つ短時間に設置することが可能であるため好ましい。また、上記帯状体16を備える架け渡し部材と合成樹脂発泡体14とを有する本発明の補強構造であれば、金属等の硬質な部材を本体としていないため変形させ易い。従って、被災した木造建築物において仕口が正常な角度よりも小さく、或いは大きく変形した箇所を補強する場合に、該仕口を形成する構造材間における望ましい位置に容易に設置することができる点で優れている。
また、別の態様の補強部材3として、上述とは別の架け渡し部材15を用いた補強部材3について説明する。上述とは別の架け渡し部材15としては、金属製の部材で形成されたばね体を本体とし、その両端に構造材に対する発泡樹脂角金物を備える態様のものが挙げられる。上記架け渡し部材15には、1つ或いは2つ以上のばね体が備えられていてよい。特に1つのばね体を備える態様では、構造材間に架け渡された架け渡し部材15と2つの構造材から形成される空間に合成樹脂発泡体14が圧縮された状態で充填されて形成されていることが重要である。また、2つ以上のばね体を備える態様においては、ばね体と構造材間とにより形成される空間だけでなく、複数のばね体間に形成される空間にも合成樹脂発泡体14が圧縮した状態で充填されて形成されていることが重要である。
上記架け渡し部材15を備えた補強部材3の例を図6を用いて説明する。図6に示す補強部材3は、構造材8及び構造材9に板ばね23及び板ばね24が固定され、且つこれらばね間に空間が形成され、この空間にばね同士を連結し耐力を与えるための金属製部材25が設けられるとともに、該空間が合成樹脂発泡体14bで充填されて形成される。また、板ばね4と構造材8及び構造材9とにより形成される空間に合成樹脂発泡体14aが充填されている。上記板ばね24は、構造材8及び構造材9により形成される仕口側に凸となるよう湾曲している板ばねから構成されている。そして板ばね24の両端に予め設けられたボルト挿通孔にボルト18を挿通し、構造材8及び構造材9に固定される。また、上記板ばね23は、構造材8及び構造材9により形成される仕口とは反対の方向に凸となるよう湾曲している板ばねが用いられ、板ばね24に積層されて固定されている。構造材8及び構造材9の間に圧縮力がかかると板ばね23及び板ばね24が撓み、これに連動して合成樹脂発泡体14が変形する。この結果、上記圧縮力が合成樹脂発泡体14に良好に伝達され吸収される。一方、構造材8及び構造材9の間に伸張力がかかると板ばね23及び板ばね24が伸張し、これに連動して合成樹脂発泡体14が変形する。この結果、上記伸張力が合成樹脂発泡体14に良好に伝達され吸収される。
上述したばね体を備える補強構造1に伸張力がかかった際に、該伸張力が吸収、減衰される作用は以下のとおり説明される。構造材間に伸張力が生じると、これに架け渡されている架け渡し部材15に備えられたばね体に該伸張力が伝達され、ばね体自体が良好に伸張するとともに、該伸張に伴いばね体の形状が変形する。上記ばね体の形状の変形によりばね体と接する合成樹脂発泡体14bの側面に圧力がかかり、該合成樹脂発泡体14bが圧縮される。この結果、上記伸張力は、ばね体自体の伸張により吸収され減衰されるとともに、ばね体から圧力を受けて合成樹脂発泡体14bが圧縮することによっても吸収、減衰されるのである。尚、上記ばね体を備える架け渡し部材15であれば、伸張力の吸収、減衰作用だけでなく、圧縮力の吸収、減衰作用も発揮するため、合成樹脂発泡体14aが担う圧縮力の吸収、減衰作用の一部を該ばね体に負担させることができ、本発明の補強構造1の補強効果をより向上させることができる。
上記ばね体としては、例えば、JIS G4801に規定される鋼材を用いて形成されたばね鋼からなる板ばねが挙げられる。上記板ばねは、復元力が強いため、構造材に対してかかる圧縮力及び伸張力に対し、圧縮方向及び伸張方向に良好に変形し、その変形を素早く復元することが出来る。その結果、圧縮力及び伸張力を良好に吸収、減衰させるだけではなく、仕口を正常な角度に維持する効果にも優れ建築物の耐久性を向上させる。特に複数の板ばねを重ねてなる重ね板ばねは、大きな応力に対応可能な補強部材を容易に得ることができる。従って、特に高い補強効果を望む場合には、上記ばね体を備える態様の補強構造1を実施することが望ましい。
上述した補強部材3に用いられる合成樹脂発泡体14は、2つの構造材間に設置された際に、圧縮状態で固定されていることが望ましい。圧縮状態の合成樹脂発泡体14であれば、構造材間にかかる圧縮力が合成樹脂発泡体14に効率よく伝達され、該圧縮力を良好に吸収し減衰することができる。また、建築物が応力を受けた際に建築物の揺れを小さくする働きと、建築物の揺れを吸収して早期に揺れを小さくする効果が良好に発揮される。更に、構造材である柱や梁等の木材が痩せた場合に、合成樹脂発泡体14と構造材との間にすき間ができないという利点がある。
以下に、合成樹脂発泡体14を圧縮状態で構造材間に設置するための方法を説明する。まず仕口の角度が正常な箇所、或いは仕口の角度の変形が微量である箇所に本発明の補強部材3を形成する際には、合成樹脂発泡体の寸法よりも構造材上における取付け位置を若干小さく設定し、これにあわせて合成樹脂発泡体14を設置すれば、合成樹脂発泡体14を圧縮状態で設置することができる。例えばスクリューねじ等の留め具を用いて、合成樹脂発泡体14を構造材に固定する例を用いてより具体的に説明する。まず合成樹脂発泡体14の設置が予定される構造材上において仕口から距離Aの位置に留め具用の穴を設ける。また、構造材と接する合成樹脂発泡体14の側面において側面8及び側面9により形成される角から距離Bの位置に留め具用の穴を設ける。この時、距離Bが距離Aより2〜10%程度長くなるよう各穴の位置を調整して形成する。そして設置の際に上記2つの留め具用穴を一致せさて固定すれば、合成樹脂発泡体14を圧縮された状態で設置することができる。
一方、仕口の角度が正常な角度より小さい角度に変形している箇所に本補強部材を用いる際には、構造材と接する合成樹脂発泡体14の2つの側面により形成される角を設置する仕口の正常な角度と同じ角度で形成するとともに、上記距離A及び上記距離Bを等しく設定する。そして合成樹脂発泡体14を構造材間に嵌め込むようにして設置し、上記2つの留め具用穴を一致せさて固定すれば、合成樹脂発泡体14を圧縮された状態で設置することができる。
圧縮変形可能な合成樹脂発泡体14としては、5%圧縮時の圧縮応力が2500kPa以下であることが好ましく、2000kPa以下であることがより好ましい。また、圧縮時の圧縮応力の下限値は、50kPa以上であることが好ましく、80kPa以上であることがより好ましい。5%圧縮時の圧縮応力があまりにも小さくなりすぎると建築物が応力を受けた際に、揺れを小さくする働きと、揺れを吸収して早期に揺れを小さくする働きとが乏しくなる虞がある。
また、上記合成樹脂発泡体14が圧縮状態で固定されて補強部材3が形成されると、長期間にわたってその圧縮状態が維持されることになる為、合成樹脂発泡体14の圧縮永久歪が12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
上記の合成樹脂発泡体14の圧縮永久歪は、JIS K 6767−1977に従って測定された値である。但し、試験片の厚さの25%圧縮する際の圧縮スピードは10mm/分とする。また、上記5%圧縮時の圧縮応力は、JIS K 6767−1977における圧縮硬さ測定方法に従って、試験片を初めの厚さの10%圧縮して得られた圧縮応力−歪曲線から5%圧縮時の圧縮応力を読み取ったものである。
合成樹脂発泡体14を形成する樹脂の具体的な例としては、以下の合成樹脂が挙げられる。スチレンの単独重合体樹脂、スチレンと他のモノマーとから製造されたスチレン系共重合体樹脂、スチレンの単独重合体樹脂又は/及びスチレン系共重合体樹脂とスチレン−ブタジエンブロック共重合体との混合物、ゴム状重合体の存在下でスチレン系モノマーを重合することによって得られるゴム変性スチレン系樹脂(耐衝撃性ポリスチレン)、或いは上記したスチレン系の樹脂と他の樹脂又は/及びゴム状重合体との混合物等の、スチレン成分比率が50重量%以上であるポリスチレン系樹脂或いはポリスチレン系樹脂組成物;エチレンの単独重合体樹脂、エチレンと他のモノマーとから製造されたエチレン系共重合体樹脂、エチレンの単独重合体樹脂又は/及びエチレン系共重合体樹脂にスチレン系モノマー等のビニルモノマーを含浸させて重合してなるグラフト変性エチレン系樹脂、或いは上記エチレン系の樹脂と他の樹脂又は/及びゴム状重合体との混合物等の、エチレン成分比率が50重量%以上であるポリエチレン系樹脂或いはポリエチレン系樹脂組成物;プロピレンの単独重合体樹脂、プロピレンと他のモノマーとから製造されたプロピレン系共重合体樹脂、プロピレンの単独重合体樹脂又は/及びプロピレン系共重合体樹脂にスチレン系モノマー等のビニルモノマーを含浸させて重合してなるグラフト変性プロピレン系樹脂、或いは上記プロピレン系の樹脂と他の樹脂又は/及びゴム状重合体との混合物等の、プロピレン成分比率が50重量%以上であるポリプロピレン系樹脂或いはポリプロピレン系樹脂組成物;熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;或いは上記した樹脂の2以上の混合物等が挙げられる。合成樹脂発泡体14は、上記樹脂を公知の発泡手段により発泡させることで得られる。
本発明の補強部材3に用いられる合成樹脂発泡体14の寸法は、建築物の構造に応じて適宜変更可能である。合成樹脂発泡体14の厚み(構造材間に設置された際に、合成樹脂発泡体と接する構造材の幅方向の寸法)は、取り付けられる構造材の幅(合成樹脂発泡体と接する面の幅寸法)に対して20%以上120%以下、より好ましくは30%以上100%以下であることが好ましく、且つ50〜200mmであることが好ましい。構造材の厚みに対して合成樹脂発泡体14の厚みが20%未満であると、構造材に設置した際に、良好に圧縮力を吸収することができず、また、120%以下にすることにより効率よく圧縮力を吸収することができ、経済的不利益が発生しないので好ましい。尚、上記合成樹脂発泡体14の厚みを構造材の厚みの50%以下に形成し、これを複数並列して構造材に設置し、合成樹脂発泡体14の厚みの和が上記範囲内であってもよい。
合成樹脂発泡体14において構造材と接する側面の長手方向の寸法は、本発明の実施される箇所、建築物の規模等にあわせて適宜決定することができる。好ましい側面の長手方向の寸法としては25cm以上90cm以下、より好ましくは30cm以上50cm以下である。上記側面の長さが25cm未満であると、補強構造全体の寸法が小さくなり過ぎ、これを用いて形成された補強構造では充分な補強効果を得られない場合がある。また、上記側面の寸法が90cm以上である合成樹脂発泡体14を用いた補強部材3において、より大きい補強効果が得られ得る。ただし、各部材が大きくなるため運搬及び設置時における取扱い性が低下し、特に被災後において緊急に設置が必要とされる場合においては望ましくない。尚、本発明に用いられる合成樹脂発泡体おいて、上記構造材と接する側面に予め高減衰ゴムシートを貼り付けておくこともできる。上記高減衰ゴムシートを貼り付けた合成樹脂発泡体14を構造材間に設置することにより、より高い振動減衰効果を発揮することができる。高減衰ゴムシートの厚みは1〜5mm程度、好ましくは2〜3mm程度である。上記厚みを1mm以上とすることで、高い減衰効果が期待でき好ましい。また、上記厚みが5mm以下であれば、ゴムシートの面積が側面の面積より小さくても、上記ゴムシートを備える合成樹脂発泡体部材14を構造材間に設置した際に、該合成樹脂発泡体14と構造材との間に実質的に隙間を発生させずに設置、固定することができるので好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂組成物も含む)発泡体は、軽量な上に5%圧縮時の圧縮応力及び圧縮永久歪を上記した特定数値範囲内にすることが容易であるので、圧縮変形可能な合成樹脂発泡体14として最も好ましいものの一つである。5%圧縮時の圧縮応力及び圧縮永久歪が上記特定範囲内のポリプロピレン系樹脂発泡体は、例えば、株式会社ジェイエスピーから商品名「ピーブロック」として市販されている商品の中で、発泡倍率(=基材樹脂の密度/発泡体の見かけ密度)が5〜30倍のものがある。
以上に説明した本発明の補強構造を形成することによって、木造建築物の構造を補強する本発明の補強方法を実施することができる。本発明の木造建築物の補強方法は、少なくとも以下の方法を備えるものである。
(I)構造材間に伸張力がかかり、該構造材間に形成される仕口の角度が正常な角度より大きく変形する方向に力が生じた場合には、帯部4の伸張により上記伸張力を吸収し減衰し、さらにより大きい伸張力がかかり上記仕口の角度が変形した場合には、長尺物2に備えられた長さ調整手段6により長尺物2の長さを短くするよう調整することによって上記仕口の角度を正常な角度に維持し、又は正常な角度に矯正する方法。
(II)構造材間に圧縮力がかかり、該構造材間に形成される仕口の角度が正常な角度より小さく変形する方向に力が生じた場合には、上記補強部材3に備わる合成樹脂発泡体14の圧縮により上記圧縮力を吸収し減衰するとともに、合成樹脂発泡体14の弾性力により上記仕口の角度を正常な角度に戻す方向に力を発揮させることによって、上記仕口の角度を正常な角度に維持する方法。
また、これに加えて、補強部材3に架け渡し部材15を備えることによって、上記(I)及び(II)の方法をより良好に実施することができる。即ち、帯状体16を備える架け渡し部材15を用いる場合には、上述したとおり帯状体16によっても伸張力を吸収し減衰する作用を発揮させることができるため、上記(I)の方法をさらに良好に実施することができる。また、ばね体を備えて形成された架け渡し部材15を用いることよって、上述したとおりさらに圧縮力を吸収して減衰する効果が向上するため、上記(II)の方法において仕口の角度を正常な角度に復元することが出来る点で好ましい。
次に本発明の補強方法を概念図を用いて説明する。本発明の補強方法は図8(a)に示すように構造材8が傾斜し構造材8及び構造材9により形成される仕口の角度が正常な角度より大きく変形した箇所において実施することができる。図8(a)の如き箇所においては、まず図8(b)に示すように長尺物2を設置し、次いで長尺物2に備えられた長さ調整手段6により、長尺物2の長さが短くなるよう調整することによって傾斜した構造材8を正常な位置まで、或いはそれに近づくように引き起こす。これによって仕口が正常な角度になるよう矯正することができ、補強部材3を容易に設置することが可能である。図8(c)に示すように長尺物2及び補強部材3を備えることによって、その後に生じる伸張力及び圧縮力を繰り返し吸収して減衰することができる。
また、本発明の補強方法は、図9(a)に示すように構造材8が傾斜し構造材8及び構造材9により形成される仕口の角度が正常な角度より小さく変形した箇所において実施することができる。図9(a)の如き箇所においては、まず図9(b)に示すように狭まった仕口に押し込むようにして補強部材3を設置し、合成樹脂発泡体14の弾性力を利用して構造材8を正常な位置まで、或いはそれに近づくように押す。次いで図9(c)に示すように構造材8及び構造材9間に長尺物を連結して設置する。これにより図8(c)と同様に、その後に生じる伸張力及び圧縮力を繰り返し吸収して減衰することができる。
また、本発明の補強方法は、仕口の角度が正常に維持されている構造材間において、予備的に長尺物2と補強部材3を設置し、その後に生じる伸張力及び圧縮力を調整することもできる。
以上説明した本発明の補強構造及び補強方法の実施態様を説明する記載は、あくまでも例示であって本発明をこれに限定するものではない。本発明は、仕口を形成する構造材間に連結して長尺物が設けられ、且つ少なくとも上記仕口に補強部材が設置される補強構造或いは、上記(I)及び(II)の方法を実施可能とする補強方法が達成されるならば、設置箇所、構成部材、設置順序等は、以上に説明した記載に限定されず適宜変更することが可能である。
本発明の補強構造の一実施態様を示す斜視図である。 本発明の補強構造の一実施態様を示す断面図である。 (a)及び(b)は、既存の木造建築物に本発明の補強構造を実施した一実施態様を示す斜視図である。 本発明の補強構造に用いられる補強部材を示す概念図である。 本発明の補強構造に用いられる補強部材の一実施形態を示す斜視図である。 本発明の補強構造に用いられる補強部材の一実施形態を示す断面図である。 (a)は、本発明の補強構造に用いられる帯部の一実施形態を示す全体図、(b)は、(a)のX−Y線拡大断面図である。 本発明の補強方法を説明する概念図である。 本発明の補強方法を説明する概念図である。 従来の補強部材の実施を示す斜視図である。 従来の補強部材の実施を示す斜視図である。
符号の説明
1 本発明の補強構造
2 長尺物
3 補強部材
4 帯部
5 固定金物
6 長さ調整手段
7 連結金属材
8 構造材
9 構造材
10 構造材
11 構造材
12 構造材
13 壁面
14 合成樹脂発泡体
15 架け渡し部材
16 帯状体
17 発泡樹脂角金物
18 留め具
19 帯状体通し穴
20 側面
21 側面
22 側面
23 板ばね
24 板ばね
25 金属製部材
26 ワイヤー
27 ベルト
28 被覆材
31 垂れ壁
32 襖
80 柱
81 柱
82 土台
83 梁
101 構造材
102 構造材
103 補強部材
104 壁面

Claims (6)

  1. 4つの構造材により矩形に形成される木造建築物又は木造建造物の枠組みにおいて、1つの仕口を形成する2つの構造材間に両端が連結される長尺物と、少なくとも上記仕口に接して設置される補強部材とを備えて形成される補強構造であって、上記長尺物が帯部を本体とし長尺物両端に構造材に対する固定金物を有するとともに固定金物と帯部との間に長さ調整手段を有して形成されており、且つ上記補強部材が合成樹脂発泡体を本体として形成されていることを特徴とする木造建築物又は木造建造物の補強構造
  2. 長尺物が連結される構造材間に形成される仕口以外の3つの仕口の少なくとも1箇所に、さらに補強部材が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の木造建築物又は木造建造物の補強構造
  3. 帯部の引張荷重が980N以上29.4kN以下であり、且つ伸び率が3%以上15%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の木造建築物又は木造建造物の補強構造
  4. 帯部の両端部間に、少なくとも1以上のワイヤーを伸張方向に沿って、一体的に取り付けてなることを特徴とする請求項1〜3に記載の木造建築物又は木造建造物の補強構造
  5. 補強部材が、上記合成樹脂発泡体の一部と接して設けられる架け渡し部材を備えることを特徴とする請求項1〜4に記載の木造建築物又は木造建造物の補強構造
  6. 木造建築物又は木造建造物における補強方法であって、4つの構造材により矩形に形成される木造建築物又は木造建造物の枠組みにおいて、1つの仕口を形成する2つの構造材間に長さ調整手段を備えた長尺物の両端を連結し、且つ合成樹脂発泡体を備える補強部材を少なくとも上記仕口に接して設置し、上記仕口の角度が正常な角度より大きく変形する力が生じた場合には、上記長尺物が備える長さ調整手段により長尺物の長さを短くするよう調整することによって上記仕口の角度を正常な角度に矯正し、一方、上記仕口の角度が正常な角度より小さく変形する力が生じた場合には、上記補強部材に備わる合成樹脂発泡体により上記圧縮力を吸収して減衰することによって、木造建築物又は木造建造物の枠組みを形成する構造材の位置及び仕口の角度を正常に維持することを特徴とする木造建築物又は木造建造物の補強方法
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