JP6703392B2 - 制震クランプおよび仮設構造物 - Google Patents

制震クランプおよび仮設構造物 Download PDF

Info

Publication number
JP6703392B2
JP6703392B2 JP2015221512A JP2015221512A JP6703392B2 JP 6703392 B2 JP6703392 B2 JP 6703392B2 JP 2015221512 A JP2015221512 A JP 2015221512A JP 2015221512 A JP2015221512 A JP 2015221512A JP 6703392 B2 JP6703392 B2 JP 6703392B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clamp
temporary
single pipe
energy
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015221512A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017089269A (ja
Inventor
銘崇 劉
銘崇 劉
知巳 兼光
知巳 兼光
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Corp filed Critical Shimizu Corp
Priority to JP2015221512A priority Critical patent/JP6703392B2/ja
Publication of JP2017089269A publication Critical patent/JP2017089269A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6703392B2 publication Critical patent/JP6703392B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Description

本発明は、単管パイプなどを連結して仮設構造物を組み立てる際に使用するクランプに関し、特に大空間の仮設競技施設のような自立した大規模な仮設構造物を組み立てるのに好適な制震クランプおよびこの制震クランプを備えた仮設構造物に関するものである。
近年、一時的に設置されている使用期間が短いという事情や、新設も縮小も解体も簡単に行えるようにするといった目的で、従来使用している建枠などの仮設部材を使用した大規模な仮設構造物(例えば、特許文献1を参照)や、大空間の仮設競技施設がいくつか提案、建設されている。有名なものとしては、2012年のロンドンオリンピックで使用されたホッケー競技場などの仮設競技場が知られている。
これまで仮設部材を用いて組み立てる仮設構造物は、建物の周囲などに組まれていた。このような仮設構造物は、規模としてはそれほど大きくなく、しかも建物と壁繋ぎという部材で連結するなどして、地震荷重による倒れを防止している。しかし、大規模な仮設構造物を自立させて使う場合は、建物などとの繋ぎがないため、地震に対する耐震安全性が問題となる。
枠組足場を用いて大規模な仮設構造物を構築する場合、部材の基本構成は、図14に示すようになる。すなわち、この枠組足場は、2つの門型の建枠1の上部間に架設した敷板2と、2つの建枠1の側部間に設置した一対のX形の交差筋交い3(例えばφ21.7mm×1.9mm)と、この交差筋交い3を補強するX形の単管ブレース4、5(例えばφ48.6mm×2.4mm)と、水平繋ぎ用の水平単管6、7(例えばφ48.6mm×2.4mm)によって構成されている。単管ブレース4、5はXZ面内で斜めに配置されるブレースであり、それぞれY方向内側と外側に配置される。また、水平単管6はX方向繋ぎ材、水平単管7はY方向繋ぎ材として機能する。建枠1の下端はジャッキベース8に係合している。枠組足場の寸法は、例えば幅W=900mm、長さL=1800mm、高さH=1700mmである。図15に示すように、各単管と建枠、単管と単管の交差箇所では、クランプという緊結金具を使って緊結している(例えば、特許文献2、3を参照)。
クランプは、固定片と保持片とこれらを締結するボルトおよびナットを備えたクランプ本体を2つ連結した構成のものがよく知られている。このクランプの種類としては、図16(1)に示すように、2つのクランプ本体が保持するパイプの交差角が直角に固定された直交型クランプや、図16(2)に示すように、2つのクランプ本体が保持するパイプの交差角を自在に調整することのできる自在型クランプなどがある。こうしたクランプでは、緊結の効果を確保するため、3.5kN・cmの締付力(トルク)が要求されている。
特開平10−184050号公報 特開2007−277963号公報 実開平4−62847号公報
ところで、上記の枠組足場の基本構成では、地震力などの水平力を受けた場合、交差筋交いと単管ブレースで地震力に抵抗する。交差筋交いは、水平力を受けると圧縮側部材は座屈し、引張側部材で抵抗することになり、スリップ型の荷重−変形関係となる。また、交差筋交い端部のピン接合部が比較的早期に耐力を保持できなくなるため、エネルギー吸収は期待できない。一方、単管ブレースでは、引張側と圧縮側の両方の部材が抵抗するため、荷重−変形関係は安定する。また、本発明者が枠組足場のエネルギーの吸収について検討したところ(後述の1)、単管ブレースとクランプの間での相対変位で摩擦抵抗力を生じるため、エネルギー吸収も期待できることがわかっている。また、本発明者が単管とクランプの間のエネルギー吸収の有無について検討したところ(後述の2)、このエネルギー吸収量の違いによって仮設構造物全体の耐震性能が大きく異なることがわかっている。
次に、上記の検討内容および結果について説明する。
(1)枠組足場のエネルギーの吸収についての検討
この検討は、制震部材である単管ブレースと交差筋交いの効果確認を目的とし、単管ブレース4本と交差筋交い4本を有する枠組構造からなる試験体A(図17を参照)と、交差筋交い4本を有する枠組構造からなる試験体B(図18を参照)について、敷板位置で正負繰り返し載荷実験を行ったものである。枠組構造の幅Wは900mm、長さLは1800mm、高さHは1700mmである。なお、試験体Aは図14の構成に相当する。実験結果を図19に示す。この図に示すように、試験体Aつまり従来多用されている枠組足場では、エネルギー吸収性能は主に単管ブレースによること、また、エネルギー吸収は主に単管とクランプの間に摩擦が発生したことによることがわかる。
(2)単管とクランプの間のエネルギー吸収の有無の検討
図20(1)および(2)に示すような多数の枠組足場からなる大規模仮設構造物を解析対象として、図20(3)に示すような解析モデルを作成した。そして、この解析モデルに対して地震波を作用させたときの応答を数値解析により求め、単管とクランプの間でのエネルギー吸収の有無による応答の違いを調べた。解析用地震波としては、エルセントロ波(El Centro)1940 NS(最大加速度342cm/sec)を用い、加振方向はX方向とした。解析結果を図21に示す。この図に示すように、単管とクランプの間でのエネルギー吸収の有無によって、大規模仮設構造物に発生する応答加速度や応答変位に対する影響はとても大きいことがわかる。
以上の(1)、(2)の検討結果を考慮して、単管ブレースとクランプ間の摩擦によるエネルギー吸収を積極的に利用する場合、以下のような問題がある。
まず、単管とクランプの間では、図22に示すように、ある特定の狭い箇所だけで接触し、しかもとても高い面圧(50MPa以上)が存在する。ここで、図22(1)は、単管とクランプの感圧紙試験(クランプの締付力(トルク)は3.5kN・cm)の状況写真であり、(2)はクランプの内面、(3)、(4)はそれぞれ感圧紙を外して展開した圧力の分布範囲(左側)、(右側)である。
そのため、地震による揺れが発生した場合は、これらの接触箇所でクランプと単管表面のメッキが磨耗損傷し、耐久性を損ねる可能性がある。また、地震の繰り返しによって断面欠損に至って接触箇所が緩んでしまい、所定の締付力トルクを確保できなくなり、地震エネルギーの吸収性能が低下する可能性がある。また、接触箇所が少なくて、地震のエネルギー吸収量が少ないという問題もある。
このため、単管表面を損傷させずに、従来よりもエネルギー吸収性能を向上させることのできるクランプの開発が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エネルギー吸収性能を向上させることのできる制震クランプおよび仮設構造物を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る制震クランプは、棒状の仮設部材を保持する保持部を有するクランプ本体を2つ連結して構成され、震動エネルギーを吸収する制震機能を有する制震クランプであって、いずれか一方の前記クランプ本体の前記保持部の前記仮設部材と接触する部分に、エネルギー減衰部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る他の制震クランプは、上述した発明において、前記エネルギー減衰部は、前記仮設部材よりも柔らかく、せん断変形可能な摩擦材からなることを特徴とする。
また、本発明に係る他の制震クランプは、上述した発明において、水平に配置された前記仮設部材を前記エネルギー減衰部が設けられていない前記クランプ本体で保持する一方、水平に対して斜めに配置された前記仮設部材を前記エネルギー減衰部が設けられている前記クランプ本体で保持するように構成したことを特徴とする。
また、本発明に係る仮設構造物は、仮設物として組み立て解体可能な仮設構造物であって、上述した制震クランプと、前記仮設部材とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る他の仮設構造物は、上述した発明において、2つの建枠と、前記建枠間に架設される敷板と、前記建枠の側部間にX形に設置される交差筋交いと、前記交差筋交いを補強するためにX形に設置される単管ブレースと、前記単管ブレースの端部間に水平に設置される水平単管と、前記制震クランプとを有する枠組足場を複数個備え、前記制震クランプは、前記エネルギー減衰部が設けられている前記クランプ本体で前記単管ブレースを保持する一方、前記エネルギー減衰部が設けられていない前記クランプ本体で前記水平単管または前記建枠を保持することを特徴とする。
本発明に係る制震クランプによれば、棒状の仮設部材を保持する保持部を有するクランプ本体を2つ連結して構成され、震動エネルギーを吸収する制震機能を有する制震クランプであって、いずれか一方の前記クランプ本体の前記保持部の前記仮設部材と接触する部分に、エネルギー減衰部が設けられているので、仮設部材と制震クランプからなる仮設構造物に作用する震動エネルギーは、一方のクランプ本体のエネルギー減衰部によって減衰する。したがって、従来よりもクランプのエネルギー吸収性能を向上させることができるという効果を奏する。また、2つのクランプ本体で保持する双方の仮設部材の軸力が座屈荷重に達することを回避可能である。
また、本発明に係る他の制震クランプによれば、前記エネルギー減衰部は、前記仮設部材よりも柔らかく、せん断変形可能な摩擦材からなるので、クランプ本体からの締め付け力は、仮設部材よりも柔らかい摩擦材を通して仮設部材に伝わる。このため、面圧を分散することができる。また、保持部と仮設部材の表面はこの摩擦材を介して接触するため磨耗損傷が発生せず、所定の耐震機能を継続的に確保することができる。さらに、摩擦材のせん断変形によるエネルギー減衰が見込めるため、震動エネルギーの吸収力も大きくなるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の制震クランプによれば、水平に配置された前記仮設部材を前記エネルギー減衰部が設けられていない前記クランプ本体で保持する一方、水平に対して斜めに配置された前記仮設部材を前記エネルギー減衰部が設けられている前記クランプ本体で保持するように構成したので、例えば、水平に対して斜めに配置された単管ブレースとクランプ本体との間でのエネルギー吸収性能を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る仮設構造物によれば、仮設物として組み立て解体可能な仮設構造物であって、上述した制震クランプと、前記仮設部材とを備えるので、仮設構造物の耐震性能を向上することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の仮設構造物によれば、2つの建枠と、前記建枠間に架設される敷板と、前記建枠の側部間にX形に設置される交差筋交いと、前記交差筋交いを補強するためにX形に設置される単管ブレースと、前記単管ブレースの端部間に水平に設置される水平単管と、前記制震クランプとを有する枠組足場を複数個備え、前記制震クランプは、前記エネルギー減衰部が設けられている前記クランプ本体で前記単管ブレースを保持する一方、前記エネルギー減衰部が設けられていない前記クランプ本体で前記水平単管または前記建枠を保持するので、耐震性能を向上した大規模仮設構造物を実現することができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る制震クランプの実施の形態を示す図である。 図2は、本発明に係る制震クランプの保持部の一例を示す図である。 図3は、本発明に係る制震クランプの保持部の他の一例を示す図である。 図4は、本発明に係る制震クランプの保持部の他の一例を示す図である。 図5は、本発明に係る制震クランプと単管との間の力伝達のイメージ図である。 図6は、試験体の全体概要を示す正面図である。 図7は、試験体の詳細図であり、(1)は部材AのA−A断面図、(2)は部材Aの正面図、(3)は部材BのB−B断面図、(4)は部材Bの正面図である。 図8は、試験体の外観を示した写真図である。 図9は、ひずみ計測位置を示す図であり、(1)は平面図、(2)は正面図である。 図10は、変位計測位置を示す図であり、(1)は平面図、(2)は正面図、(3)はA−A断面図である。 図11は、摩擦材の有無によるエネルギーの吸収の違いを示した荷重−変位関係図である。 図12は、枠組足場における制震クランプの設置箇所の一例を示す図であり、(1)は平面図、(2)は正面図、(3)は側面図である。 図13は、本発明と従来技術の等価剛性を比較した図である。 図14は、従来の枠組足場の構成図であり、(1)は平面図、(2)は正面図、(3)は側面図である。 図15は、従来の枠組足場において単管同士の間を緊結しているクランプの写真図である。 図16は、従来のクランプの一例を示す写真図であり、(1)は直交型クランプ、(2)は自在型クランプである。 図17は、試験体A(単管ブレース+交差筋交い)の図であり、(1)は平面図、(2)は正面図、(3)は側面図である。 図18は、試験体B(交差筋交いのみ)の図であり、(1)は平面図、(2)は正面図、(3)は側面図である。 図19は、試験体A、Bについての荷重−変位関係図である。 図20は、大規模仮設構造物の一例を示す図であり、(1)は解析対象の正面図、(2)解析対象の側面図、(3)は解析モデル図である。 図21は、解析結果を示す図であり、(1)はA4位置の応答加速度、(2)はA3位置の応答加速度、(3)はA2位置の応答加速度、(4)はA1位置の応答加速度、(5)はDX位置の応答変位である。 図22は、単管とクランプの感圧紙試験を示す図であり、(1)は試験状況写真、(2)はクランプの内面写真、(3)、(4)はそれぞれ感圧紙を外して展開した圧力の分布範囲(左側)、(右側)である。
以下に、本発明に係る制震クランプおよび仮設構造物の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[制震クランプ]
まず、本発明に係る制震クランプの実施の形態について説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る制震クランプ10は、固定片12と保持片14との間に鋼製の単管P(棒状の仮設部材)を保持する保持部16を有するクランプ本体18を、連結部20を介して対称的に2つ連結して構成した自在型クランプであり、震動エネルギーを吸収する制震機能を有する。
連結部20は、2つのクランプ本体18の固定片12同士が軸着されてそれぞれ回転自在となっている。固定片12は、単管Pの外周面に沿う湾曲状に形成されており、先端部にはヒンジ部22を介して単管保持用のボルト24が回動自在に設けられている。ボルト24にはナット26が螺着される。
固定片12の基端部には、ヒンジ部28を介して保持片14が開閉自在に軸着されている。保持片14は、単管Pの外周面に沿う湾曲状に形成されており、先端部には、ボルト24を挟持するために切り欠いた挟持部30が形成されている。
クランプ本体18は、保持片14を閉じて保持部16に単管Pを保持し、ボルト24を挟持部30に挟持してから、ナット26をボルト24に締め込んで保持部16の単管Pを固定状態に保持することができる。
本実施の形態では、一方のクランプ本体18の保持部16の単管Pと接触する部分に、エネルギー減衰部としての摩擦材32を設けている。図1の例では、左側のクランプ本体18の保持部16の内面に摩擦材32を設けた場合を例示している。
摩擦材32は、鋼製の単管Pのような金属に対して高い摩擦抵抗力を有し、繰り返し荷重を受けても簡単に千切れたり破損することがなく、高いせん断変形性能と減衰性能を有する柔軟な材料で構成することが好ましい。このような材料としては例えばシリコンゴムがある。摩擦材32の厚さとしては、例えば1〜2mm程度とすることができる。
図2、図3は、摩擦材32の配置例を示したものである。
図2に示すように、摩擦材32は、クランプ本体18と単管Pの間で接触面積が最も大きい場所である腹部34の表面に貼り付け設置してもよい。ここで、腹部34は、保持片14の内面中央から台座状に突設した部分であり、図22(2)の点線で示した四角い部分に相当する。摩擦材32は柔軟性を有するため、クランプ本体18や単管Pの形状に合わせて貼り付けることができる。また、上記の構成を得る場合には、クランプ本体18に摩擦材32を貼り付けるだけの手間で済むことから、従来の方法とほぼ同じ手間、時間で制震クランプ10と単管Pからなる仮設構造物を施工できる。
また、図3に示すように、摩擦材32は、クランプ本体18と単管Pとが接触する部分のほぼ半分に貼り付け設置してもよい。
なお、エネルギー減衰部として摩擦材32を用いる代わりに、図4に示すように、クランプ本体18の腹部34に小さな突起36を複数設けることでエネルギー減衰部を構成してもよい。これにより、クランプ本体18と単管Pの接触面積が増大し、高くなりがちな面圧を緩和することができ、震動エネルギーの吸収性能を増大することができる。
このように、本実施の形態に係る制震クランプ10によれば、単管Pと制震クランプ10からなる仮設構造物に作用する震動エネルギーは、一方のクランプ本体18の摩擦材32のようなエネルギー減衰部によって減衰する。したがって、従来よりもクランプのエネルギー吸収性能を向上させることができる。また、2つのクランプ本体18で保持する双方の単管Pの軸力が座屈荷重に達することを回避可能である。
また、クランプ本体18からの締め付け力は、単管Pよりも柔らかい摩擦材32を通して単管Pに伝わる。このため、面圧を分散することができる。また、要する締め付け力も摩擦材32を設けない場合と変わらない。また、保持部16と単管Pの表面はこの摩擦材32を介して接触するため磨耗損傷が発生せず、所定の耐震機能を継続的に確保することができる。
さらに、図5に示すように、クランプ本体18と単管Pの間で摩擦抵抗力のほかに摩擦材32のせん断変形によるエネルギー減衰が見込めるとともに、クランプ本体18と単管Pの接触面積が増大するため、震動エネルギーの吸収力も大きくなる。このため、制震クランプ10と単管Pを組み合わせた仮設構造物の耐震性能を向上することができる。
上記の実施の形態において、図14に示したような枠組足場を多数組み合わせた大規模な仮設構造物を構築する場合、水平単管6、7を摩擦材32が設けられていないクランプ本体18で保持する一方、単管ブレース4、5を摩擦材32が設けられているクランプ本体18で保持するように構成することが好ましい。このようにすれば、単管ブレース4、5とクランプ本体18との間でのエネルギー吸収性能を向上させることができ、クランプを多用する大規模な仮設構造物の耐震性能を大きく向上させることができる。
[本発明の効果の検証]
次に、本発明の効果を検証するために行った実験について、図6〜図13を参照しながら説明する。
本実験は、上記の制震クランプ10のエネルギー減衰性能を確認することを目的として、単管同士を連結するクランプを模擬した試験体に対して繰り返し載荷実験を行ったものである。この実験は、比較のために、一方に摩擦材(シリコンゴム)を備える本発明の制震クランプを用いた試験体と、摩擦材を備えない従来のクランプを用いた試験体について行った。
試験体は、図6および図7に示すように、上側の部材Bと下側の部材Aによって構成されている。部材Bは、2つの単管(φ48.6mm×2.4mm)を鋼板(PL32)に溶接で連結したものである。部材Aは、2つのクランプ本体(φ48.6用)を鋼板(PL32)に溶接で連結したものである。この試験体に対して、図8に示すように、上下方向に正負繰り返し載荷(10回)を行い、各所におけるひずみ、変位を計測した。また、荷重はロードセルの荷重を記録した。
図9に、ひずみ計測位置を示す。この図に示すように、1軸ひずみゲージを単管の表と裏に設置してこの位置のひずみを計測する。図10に、変位計測位置を示す。この図に示すように、各所においてX、Y、Z方向変位(X1、Y1、Z1等)を計測する。単管とクランプの相対変位量に相当する横軸の変位は、横軸の変位=(Z5+Z6)/2−(Z3+Z4)/2の算定式により求めることとした。
図11に、実験により得られた摩擦材の有無によるエネルギーの吸収の違いを示した荷重−変位関係図を示す。この図に示すように、摩擦材を備える場合も備えない場合も初期剛性はほぼ同じである。また、クランプが摩擦材を備える場合には、1つのクランプで摩擦材を備えない場合のほぼ3倍のエネルギーを吸収できることがわかる。このため、仮設構造物の全体に、摩擦材を備えるクランプを多数使用すれば、エネルギー減衰の効果はより大きくなると考えられる。
図12は、枠組足場における制震クランプの設置箇所の一例を示したものである。この図に示すように、単管ブレース4、5の両端で単管ブレース4、5と水平単管6、7を制震クランプ10を介して連結する場合には、単管ブレース4、5側に摩擦材32を備えるクランプ本体18を装着する。この場合、建枠側は使用しない。
また、単管ブレース4、5と建枠1を連結する場合には、単管ブレース4、5側に摩擦材32を備えるクランプ本体18を装着する。この場合、水平単管6、7側には使用しない。
このように、摩擦材32を備える一方のクランプ本体18を単管ブレース4、5に装着するとともに、他方のクランプ本体18については水平単管6、7または建枠1に装着して確実に締結するようにする。このようにすれば、摩擦材32による制震効果を発揮しやすくなる。
なお、周知のとおり、保持部16にゴムなどの滑り止め材を設けたクランプは一般によく知られている。滑り止め材を設けることで、保持部16に単管を装着した際のがたつきを減らせるが、その反面、がたつきの減少により震動エネルギーの吸収性能が低下するおそれがある。また、単管の端部同士を連結するクランプに滑り止め材を設けた場合、剛性が大きくなるため、固有周期が短くなり、地震による応答加速度が大きくなる可能性がある。大規模な仮設構造物になればなるほど、頂部の応答加速度は大きくなる。また、単管の端部の拘束力が大きくなり、単管が座屈しやすくなる。したがって、単管などの仮設部材の負担する力が大きくなり、座屈などの構造上の問題が生じるおそれがある。
図13は、本発明と従来技術の等価剛性を比較した図である。この図に示すように、従来の一般的なクランプの保持部に滑り止め材を付加すると剛性が増加する。この場合、上述したように単管の端部の拘束力が大きくなり、単管が座屈しやすくなる。これに対し、本発明の制震クランプでは、初期剛性は従来の一般的なクランプとほぼ同じである。特に、本発明の制震クランプでは、摩擦材の変形による減衰作用によって揺れが減少するだけではなく、さらに揺れが大きくなり変位が大きくなると、摩擦材の変形により剛性が減少して固有周期が長くなり、制震効果を発揮するようになる。このため、本発明によれば、単管の軸力が座屈荷重に到達する前に、摩擦材の変形によりエネルギー吸収され、単管の座屈を未然に防止することができる。
[仮設構造物]
次に、本発明に係る仮設構造物の実施の形態について説明する。
本発明の実施の形態に係る仮設構造物は、仮設物として組み立て解体可能な仮設構造物であって、上述した本発明の制震クランプ10と、単管Pとを備えたものである。単管P同士の連結に制震クランプ10を用いることで、仮設構造物の耐震性能を向上することができる。
ここで、図14に示したような枠組足場を多数組み合わせて、図20に示すような大規模な仮設構造物を構築してもよい。この場合、枠組足場は、図14に示すように、2つの建枠1と、建枠1間に架設される敷板2と、建枠1の側部間にX形に設置される交差筋交い3と、交差筋交い3を補強するためにX形に設置される単管ブレース4、5と、単管ブレース4、5の端部間に水平に設置される水平単管6、7と、クランプとして本発明の制震クランプ10を有する構成とする。制震クランプ10は、摩擦材32が設けられているクランプ本体18で単管ブレース4、5を保持する一方、摩擦材32が設けられていないクランプ本体18で水平単管6、7または建枠1を保持するように設定する。このようにすれば、単管ブレース4、5とクランプ本体18との間でのエネルギー吸収性能を向上させることができ、耐震性能を向上した大規模仮設構造物を実現することができる。
以上説明したように、本発明に係る制震クランプによれば、棒状の仮設部材を保持する保持部を有するクランプ本体を2つ連結して構成され、震動エネルギーを吸収する制震機能を有する制震クランプであって、いずれか一方の前記クランプ本体の前記保持部の前記仮設部材と接触する部分に、エネルギー減衰部が設けられているので、仮設部材と制震クランプからなる仮設構造物に作用する震動エネルギーは、一方のクランプ本体のエネルギー減衰部によって減衰する。したがって、従来よりもクランプのエネルギー吸収性能を向上させることができる。また、2つのクランプ本体で保持する双方の仮設部材の軸力が座屈荷重に達することを回避可能である。
また、本発明に係る他の制震クランプによれば、前記エネルギー減衰部は、前記仮設部材よりも柔らかく、せん断変形可能な摩擦材からなるので、クランプ本体からの締め付け力は、仮設部材よりも柔らかい摩擦材を通して仮設部材に伝わる。このため、面圧を分散することができる。また、保持部と仮設部材の表面はこの摩擦材を介して接触するため磨耗損傷が発生せず、所定の耐震機能を継続的に確保することができる。さらに、摩擦材のせん断変形によるエネルギー減衰が見込めるため、震動エネルギーの吸収力も大きくなる。
また、本発明に係る他の制震クランプによれば、水平に配置された前記仮設部材を前記エネルギー減衰部が設けられていない前記クランプ本体で保持する一方、水平に対して斜めに配置された前記仮設部材を前記エネルギー減衰部が設けられている前記クランプ本体で保持するように構成したので、例えば、水平に対して斜めに配置された単管ブレースとクランプ本体との間でのエネルギー吸収性能を向上させることができる。
また、本発明に係る仮設構造物によれば、仮設物として組み立て解体可能な仮設構造物であって、上述した制震クランプと、前記仮設部材とを備えるので、仮設構造物の耐震性能を向上することができる。
また、本発明に係る他の仮設構造物によれば、2つの建枠と、前記建枠間に架設される敷板と、前記建枠の側部間にX形に設置される交差筋交いと、前記交差筋交いを補強するためにX形に設置される単管ブレースと、前記単管ブレースの端部間に水平に設置される水平単管と、前記制震クランプとを有する枠組足場を複数個備え、前記制震クランプは、前記エネルギー減衰部が設けられている前記クランプ本体で前記単管ブレースを保持する一方、前記エネルギー減衰部が設けられていない前記クランプ本体で前記水平単管または前記建枠を保持するので、耐震性能を向上した大規模仮設構造物を実現することができる。
以上のように、本発明に係る制震クランプおよび仮設構造物は、クランプのエネルギー吸収性能を向上させるのに有用であり、特に、大空間の仮設競技施設、観客用仮設スタンドのような自立した大規模な仮設構造物を組み立てるのに適している。
10 制震クランプ
12 固定片
14 保持片
16 保持部
18 クランプ本体
20 連結部
22 ヒンジ部
24 ボルト
26 ナット
28 ヒンジ部
30 挟持部
32 摩擦材(エネルギー減衰部)
34 腹部
36 突起
P 単管(仮設部材)

Claims (3)

  1. 棒状の仮設部材を保持する保持部を有するクランプ本体を2つ連結して構成され、震動エネルギーを吸収する制震機能を有する制震クランプであって、
    いずれか一方の前記クランプ本体の前記保持部の前記仮設部材と接触する部分に、エネルギー減衰部が設けられており、
    水平に配置された前記仮設部材を前記エネルギー減衰部が設けられていない前記クランプ本体で保持する一方、水平に対して斜めに配置された前記仮設部材を前記エネルギー減衰部が設けられている前記クランプ本体で保持するように構成したことを特徴とする制震クランプ。
  2. 仮設物として組み立て解体可能な仮設構造物であって、
    請求項1に記載の制震クランプと、前記仮設部材とを備えることを特徴とする仮設構造物。
  3. 2つの建枠と、前記建枠間に架設される敷板と、前記建枠の側部間にX形に設置される交差筋交いと、前記交差筋交いを補強するためにX形に設置される単管ブレースと、前記単管ブレースの端部間に水平に設置される水平単管と、前記制震クランプとを有する枠組足場を複数個備え、
    前記制震クランプは、前記エネルギー減衰部が設けられている前記クランプ本体で前記単管ブレースを保持する一方、前記エネルギー減衰部が設けられていない前記クランプ本体で前記水平単管または前記建枠を保持することを特徴とする請求項に記載の仮設構造物。
JP2015221512A 2015-11-11 2015-11-11 制震クランプおよび仮設構造物 Active JP6703392B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015221512A JP6703392B2 (ja) 2015-11-11 2015-11-11 制震クランプおよび仮設構造物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015221512A JP6703392B2 (ja) 2015-11-11 2015-11-11 制震クランプおよび仮設構造物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017089269A JP2017089269A (ja) 2017-05-25
JP6703392B2 true JP6703392B2 (ja) 2020-06-03

Family

ID=58769828

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015221512A Active JP6703392B2 (ja) 2015-11-11 2015-11-11 制震クランプおよび仮設構造物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6703392B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6929580B1 (ja) * 2020-12-25 2021-09-01 株式会社リキマン 締め付け金具を用いた仮設構造物の耐力評価方法
CN115492347B (zh) * 2021-06-17 2024-04-05 中建二局第一建筑工程有限公司 抗震脚手架

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4853819U (ja) * 1971-10-16 1973-07-11
JPH08210436A (ja) * 1995-02-06 1996-08-20 Oyo Kagaku Kenkyukai:Kk 制振構造体,制振材用素材,制振材およびその製造方法
JP2000008604A (ja) * 1998-06-19 2000-01-11 Fumio Fujiki パイプ用クランプ及びクランプ装置
JP2002061707A (ja) * 2000-08-17 2002-02-28 Hayakawa Rubber Co Ltd 制振構造及び制振材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017089269A (ja) 2017-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Chan et al. Evaluation of yielding shear panel device for passive energy dissipation
Tsai et al. Research and application of double-core buckling restrained braces in Taiwan
TWI458880B (zh) Free solution of the system
Cardone et al. Experimental behaviour of R/C frames retrofitted with dissipating and re-centring braces
Saeedi et al. Seismic assessment of steel frames with triangular-plate added damping and stiffness devices
JP2005330802A (ja) 座屈抑制ブレース付きのフレーム
JPH0721259B2 (ja) エネルギー吸収組立体及び該エネルギー吸収組立体を備える構築物
JP4624048B2 (ja) スリット板バネとこれを使用した耐震支柱および建築物の耐震補強構造
JP6703392B2 (ja) 制震クランプおよび仮設構造物
KR101372087B1 (ko) 단위 모듈러 지진하중 흡수장치를 이용한 철골구조물 보강방법
Lin et al. Bolted beam-to-column connections for built-up columns constructed of H-SA700 steel
JP2013057207A (ja) 鉄骨柱の露出型柱脚構造
KR101541845B1 (ko) 에너지 소산형 가새댐퍼
KR101525930B1 (ko) 자동복원형 수동댐퍼
Vasdravellis et al. Dynamic response of composite frames with different shear connection degree
Lee et al. Exposed column-base plate connections bending about weak axis: I. Numerical parametric study
JPH05156709A (ja) 直線状建造物構造、その能力向上方法及び連結具
JP2012219553A (ja) 制振構造
TW202100848A (zh) 撐桿材
JP2008285899A (ja) 柔要素制震構造部材と柔剛混合制震構造
Zamani et al. Experimental investigation of steel frames braced with symmetrical pairs of y-shaped concentric bracings
Park et al. Cyclic loading tests of steel dampers utilizing flexure-analogy deformation
Vargas et al. Experimental investigation of the structural fuse concept
KR101291009B1 (ko) 가새 실험용 지그기구
Costa et al. Out-of-plane in situ cyclic testing of unreinforced stone masonry walls with distributed loads

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180615

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190521

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191126

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200421

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200508

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6703392

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150