JP2007255128A - 建築物の壁面構造およびこの壁面構造に使用される制震パネル - Google Patents

建築物の壁面構造およびこの壁面構造に使用される制震パネル Download PDF

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Abstract

【課題】地震などにより水平変形力が生じた場合に、面材を介してエネルギー吸収を行うことにより制震効果を長期間に亘って維持することのでき、また、それ自身破壊される虞の少ない建築物の壁面構造およびこの壁面構造に好適に使用される制震パネルを提供する。
【解決手段】建築物を構成する柱6、梁30、土台4などの架構Fの内側面に枠材24a、24bを配置し、かつ、これら枠材24a、24bの内側面に略矩形状の弾性部材22を密着させたことを特徴とする。また、弾性部材22の外寸よりも一回り大きく、かつ架構の内寸よりも一回り小さい平板状の面材26を架構Fの内面に接触しないように弾性部材22の外側に密着させることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の壁面構造およびこの壁面構造に使用される制震パネルに関する。
建物の耐震性能をより向上させるために、様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1では、木造建築物の柱などからなる線材の外側に耐火ボードなどの面材を配置し、これらの間に粘弾性体を介在させて釘部材などで固定することが行なわれている。また、特許文献2では、特許文献1のように架構の外側ではなく架構の内部に少なくとも3辺に隙間を確保した状態で矩形の壁体を配置するとともに、配置した後の周囲の隙間に緩衝材を充填することが開示されている。
ところで、特許文献1のような、架構の外側に面材を配置し架構と面材との間を直接釘部材で固定する構造は、線材からなる架構より壁に配した面材の剛性が大きいことで耐震性を発揮する特徴がある。また、この線材からなる架構の内部に筋交い等の一定の変形能力を有する線材を設けて耐震性を発揮させることも行なわれている。ここでの変形能力とは、一定の力を変形でエネルギー吸収できる能力をいい、変形によって破壊に至らない範囲の許容される変形を言う。
特許文献1はいずれも対象としているが、面材と線材間に粘弾性体を設けているので斜材の一定の変形が生じる以前に面材と線材間を固定する釘等は面材部にめり込むなどの局部的な損傷(残留歪み)が生じることになる。面材には、地震時の水平変形によって上下左右方向の変形量は異なり、架構の外側を覆う面材内で不均一な変形が発生することも面材を固定している釘部分の損傷の要因となっている。よって、地震等によって残留ひずみが生じた場合、この面材を交換する際に同時に粘弾性体の交換が必要となる。これらの面材は耐震部材としても寄与させるには線材に細かい間隔で強固に固定するので釘等固定部では釘の曲げ変形や面材に損傷が生じ易い。
一方、線材間に筋交い等の斜材を設ける構造の場合では、木造建築物は面材での耐震性能発揮時より変形し易く揺れは大きくなり易い。そのため、より面材と線材の変形能力の差が顕著になり面材と線材の固定部は損傷を受け易い。
また、特許文献1の場合、架構と面材の間に介在される粘弾性体は樹脂成分からなるため、粘弾性体のエネルギー吸収性能は温度条件により性能はばらつき易い特徴を有している。そのため、このような性質を有する粘弾性体はできるだけ室内側の比較的室外側よりも温度条件が安定する側につけることが望まれている。
このように、線材と面材間に粘弾性体を設ける構造では、線材、面材、とその固定部は小さな地震ややや大きな地震によって徐々に固定度は低下する傾向があると考えられる。
一方、特許文献2の構造は、壁体をRC構造とした場合に好ましく採用することができるが、木造住宅のような小規模の建築物には適していない。すなわち、特許文献2の場合、壁体は架構よりも堅牢でなければならず、結果として重量増になり土台や梁などに対する負担が大きくなる。また、特許文献2の場合、架構と壁体の間において少なくとも3辺以上に隙間が介在されているため、一定以上の水平変形が生じた時にしか壁体に圧縮力が作用することはない。また、特許文献2の場合は、壁体で圧縮力を負担させる構造であるため、RC構造であれば壁体の厚さが相当厚くなってもよいが、木造建築物のような小規模な建築には不向きである。
特開2002−61316号公報 特開2004−278212号公報
本発明は、このような実状に鑑み、例えば、地震などにより水平変形力が生じた場合に、変形に対して損傷の恐れのない弾性能力を有する部材(弾性部材)によってエネルギー吸収するとともに、面材を介してエネルギー吸収を行い制震効果を長期間に亘って維持することができ、またそれ自身が建物の存置期間内に多々生じる小規模は地震や中規模な地震によって損傷を受けることなく何度もその制震性能を発揮できる建築物の壁面構造およびこの壁面構造に好適に使用される制震パネルを提供することを目的としている。また、弾性部材の制震能力特性をより効果的に発揮できる補強方法および弾性部材全体に建物変形を伝達できることもあわせて目的とする。
上記目的を達成するたけの本発明に係る壁面構造は、
建築物を構成する柱、梁、土台などの架構の内側面に枠材を配置し、かつ、これら枠材の内側面に略矩形状の弾性部材を密着させたことを特徴としている。
このような構成の壁面構造によれば、弾性部材が釘や金物などで積極的に止められていないので、破損対策を施すことができる。また、弾性部材は少なくとも1面がその弾性部材よりも硬い面材で覆われているので、水平変形力が生じた場合に、その水平変形力を弾性部材により吸収することができる。
ここで、本発明では、前記弾性部材の外寸よりも一回り大きく、かつ前記架構の内寸よりも一回り小さい平板状の面材を用意するとともに、この面材を前記架構の内面に接触しないように前記弾性部材の外側に密着させることが好ましい。
このような構成であれば、水平方向への変形力が生じた場合に、弾性部材から面材を介して外方の架構に力を逃がすことができる。また、弾性部材の面外方向への変形を抑えることができる。
さらに、弾性部材の面外変形を拘束できることにより弾性部材のエネルギー吸収力が増大する。また、面材と枠材間の摩擦力もエネルギー吸収に寄与する。
また、本発明では、前記面材は前記枠材に対して少なくとも水平方向に移動可能に取付けられていることが好ましい。また、前記面材は、枠材に対して鉛直方向に移動可能であっても良い。
このような構成であれば、地震などにより架構が変形移動しようとした場合に、面材と枠材を固定する接合部は破損することなく相対的に移動できる。また、地震初期では、面材と架構とはぶつかることなく面材は保護されるので、弾性部材を面外に拘束し続けることが可能になる。
また、本発明は、前記面材と前記枠材とは、前記面材あるいは前記枠材に形成された長孔およびこの長孔内に挿通される螺子等との組み合わせにより、水平方向に移動可能に取付けられていることが好ましい。
このような構成であれば、容易な構造で面材を枠材に対して水平方向にスライド自在に取付けすることができる。
ここで、前記面材の前記架構に対する水平方向への移動可能距離は、前記架構を構成する1つの枠高さの1/50〜1/200であることが好ましい。
このような構成であれば、建物変形が大きくなりすぎた時に、面材は架構に接するので、架構の変形を前記枠材や前記弾性部材を介することなく抑制する効果が発揮できる。
また、前記面材と前記弾性部材との主面には、一方に凸部、他方に凹部がそれぞれ形成され、これらの凸部と凹部が互いに嵌合されることにより位置決めされていても良い。
このような構造であれば、面材と弾性部材との間の位置決めが良好で、加えて接触面積の増大ならびに嵌合が行なわれるので、接着剤などを介在させずにこれら弾性部材と面材との間を固定することができる。また、面材と弾性部材は、釘場などで緊結しなくて良いのでコストも安価になる。
さらに、本発明は、前記枠材は、前記枠材は、前記架構の四隅部に接しないように組み込まれていることが好ましい。
このような構造であれば、枠材に取付けられた弾性部材は地震時に隅角部が架構などに接しないので、弾性部材の隅角部が局所的に潰されてしまうことがなく、弾性部材全面の変形による大きなエネルギー吸収が得られる。
また、前記枠材と前記面材との当接面には、粘弾性材が介在されていることが好ましい。これによって、面材と枠材の摩擦が更に大きくなり、エネルギー吸収が増大する。
本発明に係るパネルは、建築物を構成する柱、梁、土台などの架構の内側面に配置されるパネルであって、
略矩形状の弾性部材と、
前記弾性部材の少なくとも周囲3辺に配置され、前記弾性部材を前記架構の内面に密着させて配置する枠材と、
前記枠材に対して少なくとも水平方向に移動可能に取付けられた平板状の面材と、から構成されていることを特徴としている。
このようなパネルであれば、例えば、木造建築物、小規模な架台、工作物等の制震パネルとして有効に用いることができる。
ここで、前記枠材と前記面材とは、長孔とこの長孔に挿通される螺子部材等により、少なくとも水平方向に移動可能に取付けられていることが好ましい。
このような構成であれば、面材が枠材に対して容易に水平方向に移動自在にすることができるので、課題の一つである面材と枠材の固定具(釘など)は破損しない。
また、本発明では、前記枠材と前記架構との当接面には、粘弾性部材が介在されていることが好ましい。
このように、枠材との間で擦れあう接合面に粘弾性体が介在されていれば建物の制震性能を向上させることができる。
本発明に係る建築物の壁面構造によれば、架構の内部空間に枠材を介して配置される弾性部材により、エネルギー吸収を行なうことができる。更に、面材と枠材間の摩擦力もエネルギー吸収に寄与する。また、エネルギー吸収を行なった場合であっても破損されることがない。さらに、弾性部材は枠材に密着させて固定するので地震時、水平移動時による破損の虞はない。
また、地震初期では、面材と架構とはぶつかることなく面材は保護されるので、弾性部材を面外に拘束しつつ受けることが可能になる。
さらに、架構の大きさより一回り小さい面材を架構に接触しないように枠材に取付けた
場合には、水平移動力が生じる地震発生時などにこの面材で荷重を受けることができる。
しかも、面材を枠材に対して水平方向に移動可能に取付ければ、地震発生時などに面材は架構の内側で水平方向に移動し、面材が弾性部材を拘束する。また、面材と枠材の摩擦力で、架構の変形を面材で防止することができる。
このように、本発明では、地震発生時などに弾性部材かつそれを拘束する面材を破損することなくエネルギー吸収を行なうことができるので、何度の地震に対しても均一に制震効果を発揮することができる。
加えて、本発明の制震パネルによれば、上記のような壁面構造を容易に形成することができる。また、建物の存在する長期間にわたり生じる小さな地震ではパネルは損傷を受けることなく、2つの異なる物体(弾性部材と粘弾性体)を有するパネルとして有効に働く。
以下、図面に示した本発明の実施例について説明する。
図1〜図6は、本発明の一実施例による建築物の壁面構造を示したもので、特に木造建築物に適用した例を示したものである。
本実施例の壁面構造は、図1〜図3に示したように、基礎2の上に土台4が設けてあり、この土台4の上に通し柱、管柱、間柱などの柱6が一定間隔ごとに設けてある。また、これらの柱6に対して筋交い8が差し渡されている。なお、この筋交い8は、1本のみならず交差するように二本設けても良い。本実施例では、2本の柱6、6と土台4、図示しない梁などで構成される四角形の架構Fの枠内空間に、以下に後述する制震パネル20が嵌めこまれている。
制震パネル20は、弾性部材22が枠材に嵌っていて、弾性部材22を覆うようにして面材が接していれば良いが、例えば図4に分解して示したように、略矩形状の発泡合成樹脂からなる弾性部材22と、弾性部材22の上下左右の小口端面に配置される枠材24a、24a、24b、24bと、弾性部材22の室内側あるいは室外側のいずれかに対向して配置される平板状の面材26とから構成されている。この面材26の高さSおよび幅Pは、弾性部材22の高さLおよび幅Mよりも、一回り大きく形成されていることが好ましい。要は面材26が弾性部材22に対向して配置され、架構Fの枠内に配置されていれば良い。
上記弾性部材22は、木材と同等以上の弾力性があればよいが、例えば発泡合成樹脂断熱材、木材などから形成されていることが好ましく、具体的には、硬質の発泡ポリスチレン、硬質の発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレンなどが好適である。この中でも特にビーズ発泡ポリスチレン、ビーズ発泡ポリプロピレンなどが好適である。
上記一対の枠材24a、および一対の枠材24bは、架構Fの角部に接触しないように、各辺の中央側に配置される。これらの枠材24a、24bは、鋼製の部材、プラスチック、木材などから形成されているが、木材で構成されていることがより好ましい。また、枠材24a、24bは、土台4の幅よりも若干幅が狭い。このように、枠材24a、24bが土台4の幅よりも若干幅が狭く形成されることにより、枠材24aを土台4の上に載せた場合、あるいは枠材24bを柱6に沿わせた場合に、この枠材が土台4あるいは柱6から幅方向に突出することはない。これら枠材24a、24bのうち、弾性部材22の短辺側に配置される一対の枠材24aには、例えば、水平方向に長い長孔25aが両端部に形成されている。一方、弾性部材22の長辺側に配置される一対の枠材24bにも、長孔
25b、25bが形成されている。これら枠材24a、24bに長孔25a、25bを形成する数は、実施例に何ら限定されない。
上記面材26は、構造用合板などの適宜な強度を有する板材から形成されている。この面材は木質系が好ましいが、鉄板、軽量コンクリート板あるいは石膏ボードも使用できる。そして、面材26には、上記枠材24a、24bの長孔25a、25bに対応する位置に、それぞれ長孔状の螺子挿通孔27が形成されている。さらに、構造用合板などからなる面材26の高さ(縦方向の長さ)S及び幅(横方向の長さ)Pは、弾性部材22の高さL及び幅Mよりも一回り大きくされている。また、面材26の高さS及び幅Pは、図3に示した架構Fの内寸(高さTおよび幅U)よりも小さい。
そして、架構Fの隅角部には、図3に示したように略L字状の隙間32が確保されている。隙間32の幅Vを確保することにより、図3のX部を拡大して示した図5のように、面材26は、架構Fに対して接触していない状態で枠内に嵌めこまれる。なお、この隙間32の幅Vは、面材26の水平方向への移動可能距離を示しているが、この幅Vは架構Fを構成する枠高さの1/50〜1/200、好ましくは1/100〜1/200であることが望ましい。このような割合で幅Vが設定されていれば水平変形時における架構の拘束をバランス良く行なうことができる。また、建物変形が大きくなり過ぎたときに、面材26は架構Fに接するので、架構の変形を介すことなく抑制する効果が期待できる。
一方、弾性部材22と枠材24a、24a、25b、25bとは、一体化されていてもよく、または現場で組み込んでも構わない。
さらに、面材26と枠材24a、24bとは、それぞれ螺子部材34が、十字形を構成する長孔25aおよび螺子挿通孔27間に挿通される。これにより、面材26は土台4、梁30などの横架材に対して、少なくとも水平方向に移動可能に設置されている。
また、周囲4つの枠材24a、24bと面材26との間には、図3のY部の拡大図である図6に示したように、帯状に粘弾性体37を介在させることが好ましい。このように粘弾性体37を介在させることにより、螺子部材34の周辺が緩んできた場合にも、面材26と枠材24aとの相対ずれを利用して粘弾性体37を変形させることができる。これにより、小さい振動であっても優れた制震性能を発揮することができる。これらの粘弾性体37は,水平方向の枠材24a,24aのみならず、上下方向の枠材24b、24bにも介在させることが好ましい。
本発明の一実施例による制震パネル20は、上記のように形成されているが、これらの制震パネル20を建築物の壁内に組付ける場合には、2本の横架材と2本の縦部材との間の空間内に嵌め込めば良い。この場合、面材26は、架構Fとの間に枠材24a、24bを介して取付けられているので、架構Fに対してはどの部分も接触することがない。また、架構Fの隅角部に対して、弾性部材22が接触することもない。
また、本実施例において、弾性部材22が上下左右の枠材24a,24bで囲まれた枠内から外れなければ、枠材24a、24bと面材26との間にクリアランスがあっても、これら枠材24a、24bで画成された枠内部の大きさよりも少し大きい面材26を押し込んで形成しても構わない。
このようにして制震パネル20が架構F内に設置された場合に、地震が生じ架構Fに水平移動力が生じると、周囲4つの枠材24a、24a、24b、24bに対して面材26が相対的に水平方向に移動する。そして、移動した方向の柱部材6の内面に面材26が当接する。すなわち、図3の姿勢から架構Fの梁30が、図7に示したように右方向に相対的に移動すれば、制震パネル20は左上角部と右下角部で柱6,6に接近する。これにより、制震パネル20の面材26は土台4と梁30とで押しつけられるので、面材26は全
体的な面の剛性によって、壁の変形を抑制する。また、このときの圧縮力は、弾性部材22、面材26ならびに枠材24a、24bを介して柱、土台、梁などの周囲の枠体に分散して逃がすことができる。また、弾性部材22は、隅角部が架構Fに当接することがないので、その角部が破損したり、局部変形が生じてしまうことはない。
このよう本実施例では、比較的大きな水平変形に対しては面材26を介してエネルギーを吸収することができる。これにより、架構Fの変形を抑制することができる。また、エネルギー吸収を行なったときに、弾性部材22および面材26が破損されてしまうことを極力防止することができる。
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されない。
例えば、上記実施例では、面材26と弾性部材22との間を単に平面と平面で対向させるのではなく、互いに対面する主面同士に、図8に示したように、凹凸嵌合部を設けることもできる。すなわち、図8では、面材26の表面に凸部36を形成し、この凸部36に相当する凹部38を弾性部材22に形成している。なお、この凹部38は、貫通した孔38であっても良い。
このようにすれば、面材26の凸部36と、弾性部材22の凹部38とを嵌め合わすことにより、互いの位置決めを容易にすることができる。なお、凸部36の表面に粘弾性体37を介在させることが好ましい。また、面材26は、図8に示したように、弾性部材22の両側に配置することもできる。このように、弾性部材22を両側から挟持すれば、弾性部材22を一対の面材26,26で強固に一体化することができ、弾性部材の制震性能もさらに高められる。さらに、図8において、紙面の手前側(左側)に配置された面材26と、弾性体22との間にも凹凸嵌合部を設けることもできる。
また、これら面材26の凸部36と、弾性部材22の孔38の形状は、図8に示した直線状に限定されず、図9(A)、(B)、(C)、(D)に示したように、それぞれ十字、角、○、あるいはプラスとマイナスの組み合わせなど、どのようなものであっても良い。
また、弾性部材22の両側に面材26、26を配置する場合に、一方の面材26は図10〜図12に示したように、弾性体22と略同形状でなく、小型化することもできる。すなわち、図10では、一方の面材26’は、筋交い状に弾性体22に対して斜めに配置されるものである。図11では、一方の面材26’’は、弾性部材22の略半分の大きさである。図12では、コーナ部だけの4つの三角形要素40から面材を構成している。図12では、4つの三角形要素40から面材を構成している。この場合には、図13に示したように、梁30などの横架材と柱6などの縦部材との間に、小さな隙間Wを確保して三角形要素40を取り付ければなお良い。
さらに、図14に示したように、面材26,26を弾性部材22の両側に配置する場合には、小口端面に配置される枠材24a、24bの形状を断面凸状とし、これに螺子部材34を取付ければ良い。但し、この場合にも水平方向の枠材24a、24bに形成される螺子挿通孔は、長孔とすることが好ましい。
このような制震パネル20は、建築物の1階あるいは2階以上にも勿論適用可能である。また、部屋と部屋との仕切り壁、あるいは開口周囲の壁面などにも適用可能である。
また、上記実施例では、面材26は、上下の枠材24a、24aに対して水平方向に移動可能であるが、左右の枠材24b、24bに対して鉛直方向に移動可能であっても良い。要は、面材26が水平方向に移動可能であれば良い。
また、上記実施例では、粘弾性体37が枠材24a、24bとこれに対応する面材26との間に介在されているが、枠材24a、24bと架構Fとの間に粘弾性材を介在させることもできる。あるいは、枠材24a、24bと弾性部材22との間に、粘弾性体37を介在させることもできる。
本発明は、木造住宅において有効に適用可能であるが、木造建築以外にも適用可能である。木造住宅の場合、弾性部材22として発泡合成樹脂が採用され、面材26として発泡合成樹脂パネルよりも強固な構造用合板などが適用されるが、軽量鉄骨に採用する場合には、弾性部材22を石膏ボードなどとし、コンクリート板、鋼製板を面材26として使用することもできる。要は、弾性部材22に対して面材26が相対的に高硬度であれば、本発明を適用可能である。
また、上記実施例では、筋交い8を設けているが、この筋交い8が存在しない壁面にも適用可能である。
さらに、制震パネル20を架構Fの内部に嵌め込む場合に、図15に示したように、例えば、枠材24aなどに位置決め用の突起42を設け、梁30などに突起を係止するため凹部44を設け、これらの組合わせにより枠材の位置決めを容易にすることができる。
また、枠材24a、24bは、弾性部材22の四隅部で接してもかまわないが枠24a、24b同士は、水平変形時に触れないように離れていることが好ましい。
さらに、上記実施例では、架構Fの四隅部分に隙間が形成され、この部分の断熱性が一部損なわれる虞があるが、これを改善するには、隙間となる四隅部分に別途弾性部材を嵌め込めば良く、これにより十分な断熱気密性能を得ることができる。
また、本発明は、新たに住宅を建築する場合のみならず、既設の住宅に耐震性能を向上させるためのリフォーム、あるいは増改築を行なう際にも適用可能である。
図1は本発明の一実施例に係る制震パネルが採用された建築物の壁構造を示した斜視図である。 図2は図1の断面図である。 図3(A)は図1に示した壁構造の概略正面図で、図3(B)はその側断面図である。 図4は図1に採用された制震パネルの分解斜視図である。 図5は図3に示したX部分の拡大図である。 図6は図3に示したY部分の拡大図である。 図7は建築物に水平方向の力が加わって架構が変形した場合の概略図である。 図8は他の実施例による制震パネルの概略分解斜視図である。 図9(A),(B),(C),(D)は、それぞれ面材と弾性部材との凹凸嵌合部の例を示した概略図である。 図10は本発明のさらに他の実施例による制震パネルの分解斜視図で、一方の面材として筋交い状の面材を配置した場合の分解斜視図である。 図11は本発明のさらに他の実施例による制震パネルの分解斜視図で、一方の面材として通常の略半分の大きさの面材を用いる場合の斜視図である。 図12は、本発明のさらに他の実施例により制震パネルの分解斜視図で、一方の面材を4つの三角形の構成要素で面材を構成する場合の分解斜視図である。 図13は図12に示した制震パネルを用いた場合の架構に対する嵌め込み状態を示した正面図である。 図14は弾性部材の両側に面材を配置して中央の弾性部材を挟持する場合の構造を示す断面図である。 図15は本発明の他の実施例による制震パネルの一部を示したもので、図6相当図である。
符号の説明
2 基礎
4 土台
6 柱
20 制震パネル
22 弾性部材
24a,24b 枠材
25a 長孔
26 面材
27 螺子挿通孔
30 梁
32 隙間
34 螺子部材
36 凸部
37 粘弾性体
38 凹部
40 三角形要素
F 架構

Claims (11)

  1. 建築物を構成する柱、梁、土台などの架構の内側面に枠材を配置し、かつ、これら枠材の内側面に略矩形状の弾性部材を密着させたことを特徴とする建築物の壁面構造。
  2. 前記弾性部材の外寸よりも一回り大きく、かつ前記架構の内寸よりも一回り小さい平板状の面材を用意するとともに、この面材を前記架構の内面に接触しないように前記弾性部材の外側に密着させたことを特徴とする請求項1に記載の建築物の壁面構造。
  3. 前記面材は前記枠材に対して少なくとも水平方向に移動可能に取付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の建築物の壁面構造。
  4. 前記面材と前記枠材とは、前記面材あるいは前記枠材に形成された長孔およびこの長孔内に挿通される螺子等との組み合わせにより、水平方向に移動可能に取付けられていることを特徴とする請求項3に記載の建築物の壁面構造。
  5. 前記面材の前記架構に対する水平方向への移動可能距離は、前記架構を構成する1つの枠高さの1/50〜1/200であることを特徴とする請求項3に記載の建築物の壁面構造。
  6. 前記面材と前記弾性部材との主面には、一方に凸部、他方に凹部がそれぞれ形成され、これらの凸部と凹部が互いに嵌合されることにより位置決めされていることを特徴とする請求項2に記載の建築物の壁面構造。
  7. 前記枠材は、前記架構の四隅部に接しないように組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の建築物の壁面構造。
  8. 前記枠材と前記面材との当接面には、粘弾性材が介在されていることを特徴とする請求項1に記載の建築物の壁面構造。
  9. 建築物を構成する柱、梁、土台などの架構の内側面に配置されるパネルであって、
    略矩形状の弾性部材と、
    前記弾性部材の少なくとも周囲3辺に配置され、前記弾性部材を前記架構の内面に密着させて配置する枠材と、
    前記枠材に対して少なくとも水平方向に移動可能に取付けられた平板状の面材と、から構成されていることを特徴とする制震パネル。
  10. 前記枠材と前記面材とは、長孔とこの長孔に挿通される螺子部材等により、少なくとも水平方向に移動可能に取付けられていることを特徴とする請求項8に記載の制震パネル。
  11. 前記枠材と前記架構との当接面には、粘弾性部材が介在されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の制震パネル。
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