JP2007008242A - 車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 - Google Patents

車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 運転者に違和感を与えることなく車両挙動を制御可能な車両用操舵制御装置を提供すること。
【解決手段】 運転者の操舵トルクに基づいてアシストトルクを付与するパワーステアリング手段を備えた車両用操舵制御装置において、操舵トルクに応じた理想操舵角を算出する理想操舵角推定値算出手段と、運転者の操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、操舵トルクの周波数が高くなるほど小さくなる目標特性を設定する目標特性設定手段と、前記操舵トルクと前記理想操舵角に基づいて、操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、前記目標特性となるように、前記アシストトルクを制御する過渡アシストトルク制御手段と、車両の操舵角に対する車両挙動特性に基づいて、前記理想操舵角を変更する理想操舵角変更手段とを備えた。
【選択図】 図4

Description

本発明は、車両用操舵制御に関し、特に運転者の操舵状態及び車両の走行状態に基づいて、車両挙動を制御する車両用操舵制御装置に関する。
従来、前輪もしくは後輪に補助舵角を付与する車両用操舵制御装置として、特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報には、後輪に補助舵角を付与する車両において、後輪舵角制御系に故障が検出されたときは、後輪補助舵角を中立に戻すように制御することで、車両の安定性を確保している。
特開昭62−152977号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、後輪舵角制御系の正常時と故障時で車両特性が異なるため、運転者に違和感を与える虞があった。すなわち、運転者は車両を操舵する際、目視により前方の角度関係を認識し、その角度関係を通常運転時の経験値等に基づいて筋力、すなわちトルクに変換してステアリングホイールを操舵する。このとき、運転者の意図したトルクによって操舵が行われたとしても、車両の発生するヨーレイト等が異なるからである。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、車両の操舵角に対する車両挙動特性が変化したとしても、運転者に違和感を与えることなく車両挙動を制御可能な車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、運転者の操舵トルクに基づいてアシストトルクを付与するパワーステアリング手段を備えた車両用操舵制御装置において、操舵トルクに応じた理想操舵角を算出する理想操舵角推定値算出手段と、運転者の操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、操舵トルクの周波数が高くなるほど小さくなる目標特性を設定する目標特性設定手段と、前記操舵トルクと前記理想操舵角に基づいて、操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、前記目標特性となるように、前記アシストトルクを制御する過渡アシストトルク制御手段と、車両の操舵角に対する車両挙動特性に基づいて、前記理想操舵角を変更する理想操舵角変更手段と、を備えたことを特徴とする。
よって、車両の操舵角に対する車両挙動特性が変化したとしても、同様の車両挙動または操舵角の特性を得ることが可能となり、運転者に違和感を与えることなく車両挙動の安定化を図ることができる。
以下、本発明の車両用操舵制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
[車両制御システムの構成]
図1は実施例1の車両制御システムを表すシステム構成図である。実施例1の車両には、車速を検出する車速センサ1と、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ2と、運転者の操舵角を検出する操舵角センサ7とが設けられている。
また、運転者の操舵トルクをパワーモータ31によりアシストするパワーステアリングユニット30と、運転者の操舵角に対して前輪4aの舵角を加算・減算制御可能な前輪操舵ユニット40と、後輪5aの舵角を制御可能な後輪操舵ユニット50とが搭載されている。
パワーステアリングユニット30は、アシストコントローラ3と、このアシストコントローラ3の指令に基づいて作動するパワーモータ31から構成され、車両前方に配置されている。前輪操舵ユニット40は、前輪コントローラ4と、この前輪コントローラ4の指令に基づいて作動する前輪アクチュエータ41から構成され、車両前方のインストルメントパネル下方に配置されている。後輪操舵ユニット50は、後輪コントローラ5と、この後輪コントローラ5の指令に基づいて作動する後輪アクチュエータ51から構成され、車両後方の後輪近傍に配置されている。
車速センサ1,トルクセンサ2,アシストコントローラ3,操舵角センサ7及び後輪コントローラ5には、通信制御ポートが設けられ、CAN通信線100により接続されている。このCAN通信線100の通信速度は、10msec毎に各コントローラから出力されるデータを送受信可能に構成されている。
尚、CAN通信線内には、各コントローラから出力されたセンサ信号等が一定周期、または某かのイベント発生毎に出力され、必要なコントローラのみが必要な情報を受け取るように構成されている。
前輪コントローラ4,後輪コントローラ5には、通信制御ポートが設けられ、CAN通信線200により接続されている。このCAN通信線200の通信速度は、1msec毎に各コントローラから出力されるデータを送受信可能に構成されている。尚、上述したように、後輪コントローラ5には、2つの通信制御ポートが設けられ、CAN通信線200とCAN通信線100の両方に接続されている。
〔パワーステアリングシステム〕
実施例1の車両には、運転者の操舵トルク、操舵角速度及び車速に基づいて第2ステアリングシャフトに定常アシストトルクを付与すると共に、後述する過渡アシストトルクを付与するパワーステアリングシステムが搭載されている。このパワーステアリングシステムは、低速CAN通信線100に接続され、車速センサ1、操舵角センサ7、前輪コントローラ4及び後輪コントローラ5から各種信号を送受信する。
パワーモータ31は、ピニオンに接続された第2ステアリングシャフト外周に固定されたウォームホイールとウォームギヤを介して接続されている。パワーモータ31の駆動により、運転者の操舵トルクが演算により設定された所望の値となるように、アシストトルクを付与する。
パワーモータ31には、パワーモータ31の回転角を検出する回転角センサが設けられ、アシストコントローラ3に出力される。アシストコントローラ3内には、各種センサ値に基づいて演算された目標アシストトルクを算出するアシストトルク算出部301と、パワーモータ31の制御量を回転角センサの検出値に基づいて制御するトルク制御部302と、パワーモータ31に対して電流値を出力するドライバ部303が設けられている。
〔4輪アクティブステアシステム〕
実施例1の車両には、ある車速で運転者がある操舵角を発生させた場合には、操舵フィーリングや車両挙動特性としてこの程度のヨーレイトと横加速度を達成するのが最適であるという理論に基づき、前後輪に補助舵角が付与される4輪アクティブステアシステムが搭載されている。すなわち、ヨーレイトセンサや横加速度センサ等によるフィードバック制御系では、運転者の操舵意図を反映したものではなく、実際に発生した車両挙動に基づいて制御を開始するため、応答遅れを生じると共に、運転者の操舵意図に沿った最適な車両挙動特性を得られない。そこで、操舵角と車速に対しフィードフォワード制御によって車両挙動が発生する前に前後輪補助舵角が設定され、素早い応答を確保している。
(前輪操舵ユニットの構成について)
前輪アクチュエータ41は、ステアリングホイールとラック&ピニオン機構との間のステアリングシャフト上に設けられている。ステアリングシャフトはステアリングホイールに接続された第1ステアリングシャフトと、ピニオンに接続された第2ステアリングシャフトから構成され、前輪側モータ42の駆動により、第1ステアリングシャフトの回転角に対する第2ステアリングシャフトの回転角を加減算可能に制御する。尚、この前輪アクチュエータは周知の技術であるため、説明を省略する。
前輪側モータ42には、前輪側モータ42の回転角を検出する前輪側モータ回転角センサ43が設けられ、前輪コントローラ4に出力される。前輪コントローラ4内には、目標舵角に対する前輪側モータ42の駆動量を演算する演算部401と、前輪側モータ42の制御量を前輪側モータ回転角センサ43の検出値に基づいてフィードバック制御するサーボ制御部402と、前輪側モータ42に対して電流値を出力する前輪側ドライバ403が設けられている。
(後輪操舵ユニットの構成について)
後輪アクチュエータ51は、左右後輪5aの間に設けられている。左右後輪5aは平行リンクにより連結され、このリンクの一辺を後輪側モータ52により車幅方向に移動させると、平行リンクの弾性変形によって後輪5aに舵角が発生する。尚、この後輪アクチュエータは周知の技術であるため、説明を省略する。
後輪側モータ52には、後輪側モータ52の回転角を検出する後輪側モータ回転角センサ53が設けられ、後輪コントローラ5に出力される。後輪コントローラ5内には、目標舵角に対する後輪側モータ52の駆動量を演算する演算部501と、後輪側モータ52の制御量を後輪側モータ回転角センサ53の検出値に基づいてフィードバック制御するサーボ制御部502と、後輪側モータ52に対して電流値を出力する後輪側ドライバ503と、操舵角センサ7により検出された操舵角と車速に基づいて前後輪の目標舵角を演算する目標値演算部504が設けられている。前輪コントローラ4は、この前輪の目標舵角に基づき、前輪側モータ42を制御する。
(4輪アクティブステア制御構成)
CAN通信線100に接続された後輪コントローラ5では、CAN通信線100に接続された操舵角センサ7からの操舵角情報、及びCAN通信線100に接続された車速センサ1からの車速情報を受信し、目標値演算部504において、この2つの値に基づく目標前輪舵角と目標後輪舵角を演算する。目標前輪舵角は後輪コントローラ5からCAN通信線200を介して前輪コントローラ4に出力される。
前輪コントローラ4では、受信した目標前輪舵角となるように前輪側モータ42を駆動する。このとき、サーボ制御部402及び前輪側ドライバ403では、前輪側モータ回転角センサ43の検出値及び電流センサ等の値に基づいて1msec毎に制御量が演算され、200μsec毎に前輪側モータ42に出力する。このような処理は、マルチタスク処理等によって実行され、CPUの処理能力に応じて適宜割り付けられる。
後輪コントローラ5では、演算した目標後輪舵角となるように後輪側モータ52を駆動する。このとき、サーボ制御部502及び後輪側ドライバ503では、後輪側モータ回転角センサ53の検出値及び電流センサ等の値に基づいて1msec毎に制御量が演算され、200μsec毎に後輪側モータ52に出力する。
また、前輪4a及び後輪5aの補助舵角は、タイヤの向きを直接変更する制御であり、言い換えると、タイヤと路面との間に発生するタイヤ力の主に横力をアクチュエータにより直接制御することとなる。このとき、各アクチュエータにフェール等が発生すると、車両の挙動(特に旋回状態)に直接影響を与える虞があるため、常にフェールチェックを実行する必要がある。そこで、前輪コントローラ4では、CAN通信線200を介して後輪側のフェール関連情報(例えばアクチュエータ信号等)を複数回送受信し、目標値演算部504により新たな目標値が演算されるまでの間、常に監視する。同様に、後輪コントローラ5では、CAN通信線200を介して前輪側のフェール関連情報(例えばアクチュエータ信号等)を複数回送受信し、目標値演算部504により新たな目標値が演算されるまでの間、常に監視する。
図2は上記車両のシステムを表す車両モデルである。ドライバが操舵トルクを入力すると、ステアリングホイールが回転運動を行う。この回転運動によって発生する操舵角が目標値演算部504に入力され、操舵角及び車速等に基づいて目標前後輪舵角が演算される。この目標前後輪舵角に基づいて、前輪操舵ユニット(401,402,403)及び後輪操舵ユニット(501,502,503)により前輪側モータ42及び後輪側モータ52に駆動指令が出力される。
運転者の操舵トルクと前輪側モータ42のモータトルクが加算されたトルク値がアシストトルク算出部301に入力されると共に、アシストトルク算出部301によって算出されたアシストトルクが加算された合計トルクがラック&ピニオン機構に伝達される。この合計トルクは、ラック&ピニオン機構により回転トルクからラック軸を軸方向に移動させる推力変換が行われ(図2中kは推力変換係数を表す)、ラック軸の並進運動により前輪が転舵することで前輪実舵角が発生する。尚、前輪実舵角が発生する際には、路面からスリップ角に応じて変化する操舵反力トルクが作用する。この操舵反力トルクについては後述する。
図3はアシストトルク算出部301の構成を表す制御ブロック図である。アシストトルク算出部301は、トルクセンサ2により検出された操舵トルク、車速及び操舵角速度等に基づいて定常アシストトルクを算出する定常アシストトルク制御部311と、車両の走行状況に応じて後述するトルク−操舵角特性が目標特性となるように、操舵トルクと操舵反力トルクに基づいてアシストトルクを制御する過渡アシストトルク制御部312から構成されている。
図4は過渡アシストトルク制御部312の構成を表す制御ブロック図である。過渡アシストトルク制御部312内には、理想操舵角推定値を算出する理想操舵角推定値算出部312aと、この理想操舵角推定値に基づいて仮想補助舵角を推定する仮想補助舵角推定値算出部312bと、2輪モデルに基づく操舵反力トルク推定値Trk(s)を算出する操舵反力トルク推定値算出部312cと、2輪モデルに基づいて操舵トルクに対する操舵角の実特性を算出する実特性算出部312dと、2輪モデルに基づいて操舵トルクに対する操舵角の目標特性を算出する目標特性算出部312eと、失陥時に車両モデルを変更する失陥時制御部312f(特許請求の範囲に記載の理想操舵角推定値変更手段に相当)から構成されている。
以下、過渡アシストトルク算出を下記式(1)に示す。
(式1)
Tassist(s)=Tdr(s)・〔{Ref(s)/(k×Strg(s))}−1〕+Trk(s)
Tassist(s):過渡アシストトルク量
Tdr(s):定常アシスト込みのドライバの操舵トルク
Trk(s):操舵反力トルク
Ref(s):操舵トルクから操舵角への目標伝達関数
Strg(s):ラック軸推力から操舵角の伝達関数
k:トルクからラック軸力への変換係数
である。
ドライバ入力トルクTdr(s)はパワーステアリングシステムが有するトルクセンサ2を用いることによって検知でき、k×Strg(s)は操舵系各部品のイナーシャ、マス・ダンピングなどの諸元によって算出することが可能である。
図5は定常アシストトルクが付与された位置から、前輪実転舵角が発生するまでの間を目標前輪舵角特性Ref(s)に置き換えた対応関係を表す図である。ここで、目標前輪舵角特性Ref(s)を制御系で一般的な(0次/2次)伝達関数で規定すると、下記式(2)により表される。
(式2)
Ref(s)=(Gain×ωn 2)/(s2+2ζωns+ωn 2)
ζ:目標減衰係数
ωn:目標固有振動数
Gain:操舵トルク−前輪実舵角の実特性定常ゲイン
である。
ζ・ωnは車両により任意に適した値に設定することが可能であり、Gainは実特性算出部312dにおいて、車両モデルを基に、以下の式(3)により表される。
(式3)
Gain[rad/Nm]=k[1/m]/(Gain_betaf_4WAS・Gain_Frk
Gain_betaf_4WAS:単位操舵角あたりの前輪スリップ角ゲイン
Gain_Frk :単位前輪スリップ角あたりのラック反力ゲイン[N/rad]
である。
Gain_Frkは車速に対する依存性がなく車両諸元により求まり、下記式(4)により表される。
(式4)
Gain_Frk=((CP1[N/rad]×CT[m])/(NAL[m]×NAL効率))×2(2輪分)×SAT係数
CP1:前輪一輪分のコーナリングパワー
CT:キャスタートレール
NAL:ナックルアーム長
NAL効率:ナックルアームリンク効率
SAT係数:セルフアライニングトルク係数
である。
Gain_betaf_4WASは下記式(5)により表される。
(式5)
Gain_betaf_4WAS={(Ratio_AFS)/N}−A
A=(Lf/Vx)・(Ratio_AFS×Gain_yaw_front+Ratio_RAS×Gain_yaw_rear)
+(1/Vx)・(Ratio_AFS×Gain_Vy_front+Ratio_RAS×Gain_Vy_rear)
Gain_yaw_front:単位操舵角ヨーレイトゲイン
Gain_yaw_rear:単位後輪舵角ヨーレイトゲイン
Gain_Vy_front:単位操舵角横速度ゲイン
Gain_Vy_rear:単位後輪舵角横速度ゲイン
Ratio_AFS:単位操舵角あたり前輪舵角
Ratio_RAS:単位操舵角あたり後輪舵角
Lf:車両重心と前車軸間の距離
Vx:車速
である。
Ratio_AFSやRatio_RASは車速毎の4輪アクティブステア制御によって決定される値であり、図6のRatio_AFSと車速の関係を表すマップ、及び図7のRatio_RASと車速の関係を表すマップに示すように、車速に対応したマップとして予め保持しておいてもよいし、後輪コントローラ5から通信により各Ratioを得るようにしてもよく、特に限定しない。また、前後輪舵角に対するヨーレイトゲインや横速度ゲインは、車両挙動特性と車速により2輪モデルを用いて決定される特性である。よって、式(3)のGainは定数もしくは車速依存式により構成されることから、Gain自体を図8に示すGainと車速の関係を表すマップに示すように実特性算出部312dに車速依存マップとして保有しておいても良い。
上述したように、目標前輪舵角特性Ref(s)は、入力された操舵トルクに対する理想的な操舵角を表している。そこで、理想操舵角推定値算出部312aでは、入力された操舵トルクに基づいて、目標前輪舵角特性Ref(s)により理想操舵角を算出する。
仮想補助舵角推定値算出部312bでは、理想操舵角に基づいて、上述した4輪アクティブステアシステムの制御ロジックを用いて仮想補助舵角推定値を算出する。
操舵反力トルク推定値算出部312cでは、4輪アクティブステア制御を行うことを考慮した2輪モデルにおいて、仮想補助舵角推定値算出部312bにより算出された前後輪補助舵角を用いることで、前輪スリップ角を推定し、前輪スリップ角と操舵反力トルクが略比例関係にあることから操舵反力トルク推定値Trk(s)を算出する。
実特性算出部312dで求められたGainを基に、目標特性算出部312eにおいて式(1)の計算を行い、必要な過渡アシストトルクを求めることが可能となる。この求められた過渡アシストトルクに通常の定常トルクを加えたトルクがパワーステアリングシステムによって補償すべきトルクとなる。
失陥時制御部312fでは、4輪アクティブステアシステムからフェール信号を受信したときは、操舵反力トルク推定値算出部312cに対し、失陥時用のRatio_AFS,Ratio_RASを出力する。
(論理構成)
すなわち、過渡アシストトルク制御部312では、下記の論理構成に基づいて設定されている。
(ステップ1)運転者の操舵トルクが検出されると、その操舵トルクに応じた理想的な操舵角が得られるように過渡アシストトルク制御が行われる。よって、結果として得られる実際の操舵角は理想操舵角(もしくはそれに近しい値)となることを前提とできる。
(ステップ2)次に、実際の操舵角が理想操舵角となったときには、4輪アクティブステア制御ロジックを参照することによって、どの程度の補助舵角が与えられるか(仮想補助舵角推定値)が分かる。
(ステップ3)この仮想補助舵角推定値を用いれば、車両に発生するであろうスリップ角ひいては操舵反力トルクが算出できる。
上記各ステップは、言い換えると、過渡アシストトルク制御部312は、操舵トルクのみに基づいて車両に発生する現象を全て推定し、その推定された車両状態に応じてアシストトルクを決定しており、実際の車両状態に係わる閉ループ系(例えば操舵角センサや各種アクチュエータ駆動量等をフィードバックして参照する系)を構成することがない。よって、車両モデルにずれがあったとしても、制御対象をトルクとして操舵トルクを用いて制御しているため、操舵角に影響を与えることなく安定した操舵トルク-操舵角特性を得ることができることが分かる。
ここで、過渡アシストトルク制御について説明する。図9は比較例1の特性を表す図である。この比較例1では、運転者の操舵トルク,車速に基づいてアシストトルクを付与するパワーステアリングシステムを搭載した車両を用いた。図9は、この比較例1における車両の操舵トルク周波数に対する操舵角/操舵トルクのゲイン特性を表す。図9に示すように、操舵トルク周波数の特定領域において、車速の上昇と共に操舵トルクに対して操舵角が急激に大きくなる。操舵トルク入力に対する車両挙動のダンピングを良くすることは、操舵トルク入力に対する操舵角のダンピングを良くすることと同意である。なぜなら、操舵角から車両挙動が発生し(車両2輪モデルの運動方程式)、車両挙動から操舵トルクが決まるからである(操舵系の運動方程式)。
運転者が操舵トルクを付与すると、操舵角は操舵トルクと路面から操向輪に作用する操舵反力トルク、操舵系に作用するフリクション等の釣り合い関係によって操舵角が決定される。このとき、車速の上昇に伴い操向輪に作用するスリップ角特性が変化すると、このスリップ角特性は路面から作用する操舵反力トルクと相関があり、操舵反力トルクの低下を招く。よって、操舵角のオーバーシュート等を招く虞があった。
そこで、車両モデルを用いて路面反力を推定し、この値に基づいて理想の操舵トルク-操舵角相関を得られるようにアシストトルクを制御することで、操舵角のオーバーシュートを抑制し、安定した車両挙動を得ることとした。
過渡アシストトルク制御は、上述したように車両モデルから路面反力を推定しているため、車両モデルが走行状況に応じて変化する4輪アクティブステアシステム搭載車では、前輪実転舵角や後輪舵角を考慮する必要がある。そこで、これら前輪実転舵角や後輪舵角を考慮(理想操舵角推定値算出部312a,仮想補助舵角推定値算出部312b等)し、過渡アシストトルク制御に反映させることで、車両システムに応じた過渡アシストトルク制御を達成している。
尚、この車両モデルの考慮が成されないときは、やはり正確なスリップ角の推定が行えず、それに伴い路面反力推定も不十分となる。すなわち、単にコンベンショナルな車両に適用する過渡アシストトルク制御を4輪アクティブステアシステム搭載車に適用しても、適正な制御が行えないことを意味している。
図11は高車速時において、実施例1の4輪アクティブステアシステムと過渡アシストトルク制御を備えた車両の車両挙動特性と、過渡アシストトルク制御無しの車両挙動特性とのシミュレーション結果を表すタイムチャートである。その時の操舵トルクに対する操舵角の周波数応答は、図10の実線特性となり、ダンピングが良くなることが分かる。操舵トルクは、ある一定のトルクがステップ入力されるものとし、この操舵トルクの入力に対する車両挙動を示す。
図11に示すように、操舵トルクがステップ入力されると、過渡アシストトルク制御無しの車両にあっては、アシストトルクが若干与えられ、また、路面からの反力トルクが小さいことに起因して操舵角がオーバーシュートする。このオーバーシュートにより、操舵角に応じて目標前後輪舵角を設定する4輪アクティブステアシステムでは、前輪側では操舵角に応じて減算制御が行われ、後輪側では操舵角に応じて同相制御が行われる。このとき、ヨーレイト及び横加速度には、オーバーシュートが発生し、車両の安定性が十分とは言えない。
これに対し、過渡アシストトルク制御を備えた車両では、操舵トルクのステップ入力が与えられると、路面からの反力トルクが小さいことが演算により分かっており、逆向きのアシストトルクが付与される。すなわち、運転者の操舵トルクをアシストする側ではなく、抵抗を与える側に付与される。これにより、操舵角のオーバーシュートが抑制され、所望のヨーレイト及び横加速度が得られていることが分かる。
本発明では、操舵トルク入力に対する車両挙動の理想形を実現することを狙いとする。つまり、人間−自動車系を考慮した場合、高速走行時において運転者は主に操舵トルクを入力として車両運動を制御しているといわれており、操舵トルクに対する車両挙動(横加速度やヨーレイト)のゲインを周波数に関係なく力を一定に保つことにより、人間にとって扱い易い車両になるはずである。
そこで、実際の操舵トルクに対する車両挙動をみると、車両の操舵トルク入力に対する車両挙動の周波数特性は、図9に示すように、高速になると所定周波数におけるダンピングが悪化するという問題がある。
したがって、実施例1では、過渡的な操舵トルクが検出されたとき、例えば、レーンチェンジを行い操舵トルクが変化した場合に、切り過程(操舵トルクが増加)では操舵トルクの変化方向の略逆側へアシストトルクが発生することで操舵トルクが増加し、戻し過程(操舵トルクが減少)でも操舵トルクの変化方向の略逆側へアシストトルクが発生することで操舵トルクが減少する構成になっているので、同じ車両挙動が発生しても操舵トルク変化が大きくなり、操舵トルクに対する車両挙動のゲインを低下させる。その結果、図10に示すダンピングが改善され、運転者へ違和感を与えることなく、良好な操舵フィーリングが得られる。
また、操舵トルクの入力周波数が高くなると、逆アシストトルクの出力を大きくするため、高速走行時におけるレーンチェンジ等の早い操舵に対して、逆方向のアシスト量が多くなり、ステアリングホイールが重くなる。よって、運転者の急操舵を防止でき、車両操舵量に対する車両挙動、すなわち、ステア特性をアンダーステアとすることができるため、車両の走行安定性を向上できる。
このような構成にすることにより、操舵トルク入力に対する操舵角や車両挙動のダンピングが良くなり、周波数に関係なくゲインの上昇を防ぐことができる。
(4輪アクティブステアシステム失陥時における過渡アシストトルク制御)
次に、上記制御構成において、4輪アクティブステアシステムが失陥し、このシステムを停止した場合の処理について、図12のフローチャートに基づいて説明する。
ステップ101では、操舵トルクと車速情報を読み込む。
〔4輪アクティブステアシステム異常検出処理〕
ステップ102では、4輪アクティブステアシステムに異常が検出されたかどうかを判断し、異常が検出されたときはステップ107へ進み、それ以外のときはステップ103へ進む。尚、4輪アクティブステアシステムの異常は、前輪コントローラ4及び/又は後輪コントローラ5内で行われるフェールチェック処理等から失陥時制御部312fに対し、フェール信号が供給される。尚、具体的なフェールチェック処理としては、例えば、前輪側モータ42や後輪側モータ52の温度上昇の監視処理や、電流値の監視処理や、各種センサ等の監視処理が行われる。これら各監視処理の結果、4輪アクティブステアシステムにフェールが発生したと判断された場合には、フェール信号がパワーステアリングシステムに供給されると共に、所定のアクティブステア停止処理が実行された後、アクティブステアシステムが停止される。このとき、前後輪に補助舵角が与えられている状態で失陥した場合には、中立に戻した後、システムが遮断する。ただし、緊急停止した場合には、中立からずれた位置(オフセット角有り)で停止してもよく、特に限定しない。
〔4輪アクティブステアシステム正常時処理〕
ステップ103では、車速情報により操舵トルクに対する前輪実舵角の実特性を算出する。尚、このとき、図6のRatio_AFSと車速の関係を表すマップ、及び図7のRatio_RASと車速の関係を表すマップから車速情報に応じたゲインを設定する。
ステップ104では、車速情報及び操舵トルク情報に基づいて目標トルク特性を算出する。
ステップ105では、操舵トルク情報に基づいて理想操舵角を算出する。
ステップ106では、理想操舵角より仮想前後輪舵角を算出する。
〔4輪アクティブステアシステム失陥時処理〕
ステップ107では、車速情報より操舵トルクに対する前輪実舵角の実特性を算出する。尚、このとき、失陥時制御部312fから操舵反力トルク推定値算出部312cに対しRatio_AFS=1,Ratio_RAS=0が出力される。
ステップ108では、車速情報及び操舵トルク情報に基づいて目標トルク特性を算出する。
ステップ109では、操舵トルク情報に基づいて理想操舵角を算出する。
ステップ110では、理想操舵角より仮想前後輪舵角を算出する。
〔操舵反力トルク推定値算出処理〕
ステップ111では、目標前後輪舵角より操舵反力トルク推定値を算出する。
〔過渡アシストトルク算出処理〕
ステップ112では、操舵反力トルク推定値と目標トルク特性を加算し、過渡アシストトルクを算出する。
(4輪アクティブステアシステム失陥時における過渡アシストトルク制御の作用)
次に、上記フローチャートに基づく作用について説明する。図13は高車速時において、実施例1の4輪アクティブステアシステムと過渡アシストトルク制御を備えた車両の車両特性と、4輪アクティブステアシステムが失陥した状態で4輪アクティブステアシステム正常時と同じ過渡アシストトルク制御を行った車両挙動特性とのシミュレーション結果を表すタイムチャートである。
図13に示すように、操舵トルクがステップ入力されると、図12で説明したように、正常時には、操舵トルクのステップ入力が与えられると、路面からの反力トルクが小さいことが演算により分かっており、逆向きのアシストトルクが付与される。すなわち、運転者の操舵トルクをアシストする側ではなく、抵抗を与える側に付与される。これにより、操舵角のオーバーシュートが抑制され、所望のヨーレイト及び横加速度が得られていることが分かる。このとき、4輪アクティブステア制御では、運転者の操舵角に応じて減算制御が行われ、後輪側では操舵角に応じて同相制御が行われる。よって、操舵角よりも小さな転舵角となるような減算制御が行われているため、実際の転舵角は、図13の操舵角(実線)に示すよりも小さな転舵角となる。
これに対し、4輪アクティブステア制御無し(失陥時)の車両にあっては、運転者の操舵角と転舵角が一対一の関係となるため、車両の操舵角に対する車両挙動特性が変化し、転舵角は減算制御時に比べて大きめとなる。このとき、過渡アシストトルク制御側では、小さな転舵角を前提として過渡アシストトルクを演算するため、路面からの反力トルクが小さいと推定してしまう。実際には操舵角に一対一に対応した転舵角となっているため、結果として操舵角がオーバーシュートする。このオーバーシュートにより、ヨーレイト及び横加速度には、オーバーシュートが発生し、車両の安定性が十分とは言えない。
図14は高車速時において、実施例1の4輪アクティブステアシステムと過渡アシストトルク制御を備えた車両の車両特性と、4輪アクティブステアシステムが失陥した状態で4輪アクティブステアシステム失陥時用の過渡アシストトルク制御を行った車両挙動特性とのシミュレーション結果を表すタイムチャートである。
図14の点線に示すように、操舵トルクがステップ入力されると、4輪アクティブステア制御無し(失陥時)の車両にあっては、運転者の操舵角と転舵角が一対一の関係となるため、転舵角は減算制御時に比べて大きめとなる。このとき、過渡アシストトルク制御側では、操舵角と転舵角が一対一に対応していることを前提として(すなわち、車両の操舵角に対する車両挙動特性が変化したことを前提として)過渡アシストトルクを演算(Ratio_AFS=1,Ratio_RAS=0)するため、路面からの反力トルクを適正に推定できる。よって、所望の車両挙動特性となる理想操舵角が分かっているため、その理想操舵角となるように過渡アシストトルクは逆向きのアシストトルクが大きめに出力される。すると、操舵角は小さくなり、4輪アクティブステア制御正常時に近い車両挙動特性が得られていることが分かる。
尚、高車速時に操舵トルクがステップ入力された場合について説明したが、例えば、低車速時にも同様の作用効果が得られる。具体的には、4輪アクティブステアシステム正常時では、操舵角に対して加算制御が行われる。よって、4輪アクティブステアシステム失陥時であって低車速時には、アシストトルクを大きめに与えることで、運転者の操舵トルクに対する操舵角が大きめとなるように制御すればよい。
これにより、4輪アクティブステアシステム失陥時であっても、正常時に近づくような車両挙動特性を得ることができる。ただし、単に前輪側の操舵角を制御しただけでは、例えば後輪舵角制御によって得られる特性は得られないため、正常時に後輪舵角制御が大きく作用するシーンにおいて、失陥時用の過渡アシストトルク制御を行ったとしても、あくまで車両挙動特性を近づけることができるのみであり、同じ挙動を達成するわけではない。
また、4輪アクティブステアシステム失陥時にオフセット角が存在する場合であっても、実施例1では、操舵角を用いて制御していないため、過渡アシストトルク制御には特に影響はない。
以上説明したように、実施例1の車両用操舵制御装置にあっては、下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)車両の実特性に基づいて理想操舵角を変更する理想操舵角変更手段として、失陥時制御部312fを設け、4輪アクティブステアシステム失陥時には、過渡アシストトルク制御部312の理想操舵角を変更することとした。よって、車両の操舵角に対する車両挙動特性が変化したとしても、運転者に違和感を与えることなく車両挙動の安定化を図ることができる。
(2)4輪アクティブステアシステムの異常(失陥)が検出されたときは、4輪アクティブステアシステムを停止し、理想操舵角推定値算出部312aでは、4輪アクティブステアシステムにより達成する車両特性に近づくように理想操舵角を変更することとした。具体的には、Ratio_AFS=1にセットし、Ratio_RAS=0にセットした。よって、4輪アクティブステアシステム失陥時であっても、過渡アシストトルク制御が、正常時に近づくように車両挙動特性を制御することができる。
次に、実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図15は実施例2の過渡アシストトルク制御部の構成を表す制御ブロック図である。実施例1では、操舵トルクから理想操舵角を算出し、この理想操舵角から4WAS制御ロジックを用いて仮想操舵角推定値を算出したのに代えて、実施例2では前輪実転舵角を用いる点が異なる。
失陥時制御部312fには、4輪アクティブステアシステム失陥時の前輪実舵角及び操舵角センサ値を記憶する記憶部が設けられている。フェール信号を受信すると、記憶部に記憶された値からオフセット値を算出し、Ratio_AFS=1,Ratio_RAS=0及びオフセット値を操舵反力トルク推定値算出部312aに出力する。
実施例1で説明したように、本願では、定常アシストトルクが付与された位置から、前輪実転舵角が発生するまでの間を目標前輪舵角特性Ref(s)に置き換えた式(2)を含む式(1)により過渡アシストトルクTassist(s)を算出している。このとき、実特性算出部312dで求められたGainを基に、目標特性算出部312eにおいて式(1)の計算を行うことから、Ratio_AFSとRatio_RASを変更することは、Gainを変更することを表し、このGainの変更は目標特性算出部312eにおいて、目標特性を変更することを表している。このように、車両の操舵角に対する車両挙動特性が変化した場合、その変化に応じて目標特性を変更することで、車両の安定化を図っている。
また、実施例2の過渡アシストトルク制御では、前輪実舵角をフィードバックしているため、4輪アクティブステアシステム失陥時において、前輪実舵角にオフセット角があると、誤った前輪実舵角情報に基づいて過渡アシストトルク制御が成されるため、適正な特性を得られない。
よって、オフセット値はシステム失陥時の前輪実舵角、操舵角センサ値を記憶しておくことで算出する。そのため、操舵角センサの値に算出したオフセット値を加減算することで前輪のオフセットを補正でき、適切に過渡アシスト制御を行うことができる。
以上説明したように、実施例2の車両用操舵制御装置にあっては、下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(3)車両の操舵角に対する車両挙動特性に基づいて目標特性を変更する目標特性変更手段として、失陥時制御部312fを設け、4輪アクティブステアシステム失陥時には、過渡アシストトルク制御部312の目標特性算出部312eの特性を変更することとした。よって、車両の操舵角に対する車両挙動特性が変化したとしても、運転者に違和感を与えることなく車両挙動の安定化を図ることができる。
(4)4輪アクティブステアシステムの異常(失陥)が検出されたときは、4輪アクティブステアシステムを停止し、目標特性算出部312eにおいて、4輪アクティブステアシステムにより達成する車両特性に近づくように目標特性を変更することとした。具体的には、Ratio_AFS=1にセットし、Ratio_RAS=0にセットした。よって、4輪アクティブステアシステム失陥時であっても、過渡アシストトルク制御が、正常時に近づくように車両挙動特性を制御することができる。
以上説明したように、実施例1,2に記載の車両用操舵制御装置にあっては、4輪アクティブステアシステムが失陥したとしても、パワーステアリング機構により過渡アシストトルク制御を行うことで、車両挙動特性を正常時に近づけるように制御することが可能となり、運転者に違和感を与えることなく車両の安定性を向上することができる。尚、実施例1,2では、4輪アクティブステアシステムについて説明したが、前輪側のみ補助舵角を付与するフロントアクティブステアシステムや、後輪側のみ補助舵角を付与するリアアクティブステアシステムを搭載した車両にも同様に適用できる。
実施例1の車両制御システムを表すシステム構成図である。 実施例1の車両のシステムを表す車両モデルである。 実施例1のアシストトルク算出部の構成を表す制御ブロック図である。 実施例1の過渡アシストトルク制御部の構成を表す制御ブロック図である。 実施例1のアシストトルク算出部を目標前輪舵角特性に置き換えた対応関係を表す図である。 実施例1のRatio_AFSと車速の関係を表すマップである。 実施例1のRatio_RASと車速の関係を表すマップである。 実施例1のGainと車速の関係を表すマップである。 比較例における車両の操舵トルク周波数に対する操舵角/操舵トルクのゲイン特性を表す図である。 実施例1の操舵トルクに対する操舵角の周波数応答と、従来例の操舵トルクに対する操舵角の周波数応答とを表す特性図である。 実施例1の高車速時における車両挙動特性と、過渡アシストトルク制御無しの車両特性とのシミュレーション結果を表すタイムチャートである。 実施例1の4輪アクティブステアシステムが失陥し、このシステムを停止した場合の処理を表すフローチャートである。 実施例1の4輪アクティブステアシステムと過渡アシストトルク制御を備えた車両の車両挙動特性と、4輪アクティブステアシステムが失陥した状態で4輪アクティブステアシステム正常時と同じ過渡アシストトルク制御を行った車両挙動特性とのシミュレーション結果を表すタイムチャートである。 実施例1の4輪アクティブステアシステムと過渡アシストトルク制御を備えた車両の車両挙動特性と、4輪アクティブステアシステムが失陥した状態で4輪アクティブステアシステム失陥時用の過渡アシストトルク制御を行った車両挙動特性とのシミュレーション結果を表すタイムチャートである。 実施例2の過渡アシストトルク制御部の構成を表す制御ブロック図である。
符号の説明
1 車速センサ
2 トルクセンサ
3 アシストコントローラ
4 前輪コントローラ
5 後輪コントローラ
7 操舵角センサ
30 パワーステアリングユニット
31 パワーモータ
40 前輪操舵ユニット
50 後輪操舵ユニット

Claims (8)

  1. 運転者の操舵トルクに基づいてアシストトルクを付与するパワーステアリング手段を備えた車両用操舵制御装置において、
    操舵トルクに応じた理想操舵角を算出する理想操舵角推定値算出手段と、
    運転者の操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、操舵トルクの周波数が高くなるほど小さくなる目標特性を設定する目標特性設定手段と、
    前記操舵トルクと前記理想操舵角に基づいて、操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、前記目標特性となるように、前記アシストトルクを制御する過渡アシストトルク制御手段と、
    車両の操舵角に対する車両挙動特性に基づいて、前記理想操舵角を変更する理想操舵角変更手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
    前輪に補助舵角を付与し、所望の車両挙動特性を達成する前輪補助舵角付与手段と、
    前記補助舵角付与手段の異常を検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段により異常が検出されたときは、前記前輪補助舵角付与手段を停止する停止手段と、
    を設け、
    前記理想操舵角変更手段は、前記前輪補助舵角付与手段の異常が検出されたときは、前記前輪補助舵角付与手段により達成する車両挙動特性に近づくように前記理想操舵角を変更することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両用操舵制御装置において、
    後輪に補助舵角を付与し、所望の車両挙動特性を達成する後輪補助舵角付与手段と、
    前記補助舵角付与手段の異常を検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段により異常が検出されたときは、前記補助舵角付与手段を停止する停止手段と、
    を設け、
    前記理想操舵角変更手段は、前記後輪補助舵角付与手段の異常が検出されたときは、前記後輪補助舵角付与手段により達成する車両挙動特性に近づくように前記理想操舵角を変更することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  4. 運転者の操舵トルクに基づいてアシストトルクを付与するパワーステアリング機構を備えた車両用操舵制御装置において、
    操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、操舵トルクの周波数が高くなるほど小さくなる目標特性を設定する目標特性設定手段と、
    操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、前記目標特性となるように、前記アシストトルクを制御する過渡アシスト制御手段と、
    車両の操舵角に対する車両挙動特性に基づいて、前記目標特性を変更する目標特性変更手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  5. 請求項4に記載の車両用操舵制御装置において、
    前輪に補助舵角を付与し、所望の車両挙動特性を達成する前輪補助舵角付与手段と、
    前記補助舵角付与手段の異常を検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段により異常が検出されたときは、前記前輪補助舵角付与手段を停止する停止手段と、
    を設け、
    前記目標特性変更手段は、前記前輪補助舵角付与手段の異常が検出されたときは、前記前輪補助舵角付与手段により達成する車両挙動特性に近づくように前記目標特性を変更することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  6. 請求項4または5に記載の車両用操舵制御装置において、
    後輪に補助舵角を付与し、所望の車両挙動特性を達成する後輪補助舵角付与手段と、
    前記補助舵角付与手段の異常を検出する異常検出手段と、
    前記異常検出手段により異常が検出されたときは、前記補助舵角付与手段を停止する停止手段と、
    を設け、
    前記目標特性変更手段は、前記後輪補助舵角付与手段の異常が検出されたときは、前記後輪補助舵角付与手段により達成する車両挙動特性に近づくように前記目標特性を変更することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  7. 運転者の操舵トルクに基づいてアシストトルクを付与するパワーステアリング手段を備えた車両用操舵制御方法において、
    操舵トルクに応じた理想操舵角を算出し、運転者の操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、操舵トルクの周波数が高くなるほど小さくなる目標特性を設定し、前記操舵トルクと前記理想操舵角に基づいて、操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が前記目標特性となるように、前記アシストトルクを制御する過渡アシストトルク制御を行い、車両の操舵角に対する車両挙動特性に基づいて前記理想操舵角を変更することを特徴とする車両用操舵制御方法。
  8. 運転者の操舵トルクに基づいてアシストトルクを付与するパワーステアリング機構を備えた車両用操舵制御装置において、
    操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、操舵トルクの周波数が高くなるほど小さくなる目標特性を設定し、操舵トルクに対する車両挙動または操舵角の特性が、前記目標特性となるように、前記アシストトルクを制御する過渡アシスト制御を行い、車両の操舵角に対する車両挙動特性に基づいて前記目標特性を変更することを特徴とする車両用操舵制御方法。
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