JP2006520606A - 細胞内成分の分離および蓄積、およびそれに由来するタンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞内オルガネラが高度に濃縮され、実質的に純粋であり、およびその構造上の全体性および機能がよく保たれているような、生物試料からの細胞内オルガネラの分離および蓄積を通じたプロテオーム分画のための方法を提供する。本発明の方法は、それによってプロテオームの複雑性を低減および低存在量タンパク質といった試験が困難なタンパク質の検出および単離を円滑にするための方法を提供する。連続流超遠心分離を用いる生物試料からの細胞内オルガネラの並行分離および単離による、生物試料のプロテオームを前分画するための本発明の方法はまた、たとえば、ローター速度、ローターの大きさ、ローターの形状といった超遠心分離パラメータの調節を通じて容易におよび効果的にスケール調整が可能である。

Description

関連出願/特許および参照文献
2003年3月19日出願の米国仮特許出願第60/455,767号明細書および2003年12月19日出願の米国特許出願公開第10/741,313号明細書に基づく優先権主張がなされる。2001年11月27日出願の米国特許出願公開第09/995,054号明細書を引用する。
本文中に引用される出願および特許のそれぞれ、およびその出願および特許のそれぞれにおいて引用される文書または引用文献のそれぞれ(各発行済み特許の出願中を含む;「出願に引用された文書」)、およびこれらの出願および特許に対応するおよび/またはそれらからの優先権を主張するPCTおよび外国出願のそれぞれ、および出願に引用された文書のそれぞれにおいて引用または参照される文書のそれぞれは、ここに明示的に参照により本開示に含まれる。より一般的に、本文中に引用される文書または参照文献(「本開示に引用された文献」)、および本開示に引用された文献のそれぞれにおいて引用される文書または参照文献のそれぞれ(製造元の仕様書、取扱説明書、などをいずれも含む)は、ここに明示的に参照により本開示に含まれる。
発明の分野
本発明は概して、プロテオミクスの分野、および細胞内プロテオームを利用できる分野に関する。より詳細には、本発明は、プロテオームを構成するタンパク質の改善された検出および分析、特に、低存在量タンパク質の検出および分析を達成するための、生物試料のプロテオームの分画方法に関する。別の一態様では、本発明は、任意の生物試料からの連続流超遠心分離による異なる種類の細胞内オルガネラの平行分離および単離に関する。さらに、本発明の方法は、単離された細胞内オルガネラおよびそれに含まれるタンパク質の純度、濃縮、蓄積、および全体性を提供し、それによって、細胞内プロテオーム、特に低存在量タンパク質を研究および分析するためのより良い戦略を提供する。
プロテオミクスは、生物現象(たとえば、疾患、細胞分化、成長周期、および進化)を、細胞および/または組織のあらゆるタンパク質の機能、細胞内または細胞外位置、相互作用、活性、および量の詳細な知識および評価によって理解することを試みる。そのような理解は、たとえば、疾患の診断、治療、および予防を大きく進歩させる。プロテオミクスは、たとえば、新薬探索、前臨床および臨床研究、臨床診断、獣医学、法医学、農業化学およびバイオ医薬に適用可能である。
ゲノミクスの分野と比較して、しかし、プロテオミクスは著しく高いレベルの複雑性を有すると考えられている。この複雑性は、タンパク質含量、局在、翻訳後修飾、およびタンパク質−タンパク質相互作用における、典型的には時間の関数としての動的変化の結果として生じる。これらの変化は個体、組織、細胞およびオルガネラ間で異なり、および、たとえば、成長、分化、老化、環境変化および疾患に応答して生じる。
現在、プロテオーム構成のすべてのレベルに十分に対応できる単一の戦略は存在しない。さらに、たとえばタンパク質局在のような、動的プロテオーム変化を監視することは、オルガネラレベルでのプロテオーム分析のための特別の方法を必要とする。
細胞成分分画方法は従来から、オルガネラを単離しおよび特徴づけるための、細胞生物学および生化学における主要な方法の一つである(非特許文献1)。これらの手順は、密度勾配遠心分離、フリーフロー電気泳動およびリガンドアフィニティクロマトグラフィーといったさまざまな分離方法を利用する。ほとんどの場合、細胞内オルガネラの調製物は、明確な起源から調製される単一の標的オルガネラについて最適化される。標的オルガネラを単離する以外に、調製物の残りは一般的に残渣と見なされおよび廃棄される。
標的オルガネラを単離することの一例がPriceら(非特許文献2)に記載されており、ここでその著者らは、コロイドシリカの勾配中でCF−6ローター内での連続流ゾーン遠心分離によるホウレンソウ破砕物からの完全な葉緑体の単離および分離を記載している。その著者らは、位相差顕微鏡および葉緑素物質の単位当たり葉緑体特異的タンパク質の濃度によって支持される、葉緑体の回収を報告している。別の一例では、ClineおよびDagg(非特許文献3)は、J−1およびRK−IIといった等密度バンドゾーンローターと共に連続試料流を用いる、他の植物細胞成分からの葉緑体の分離を報告している。
細胞内レベルでのプロテオームにおける動的変化の監視の他の報告は、下記で言及する論文に記載されている。
Dregerら(非特許文献4)は、大部分の分画方法は単一の種類のオルガネラを濃縮するように設計されているため、たとえばタンパク質移行現象といったオルガネラレベルでの動的プロテオーム変化を監視することは非常に困難な課題であることを報告している。その著者らは、当業者がオルガネラ特異的タンパク質移行の解明を行うために、本分野では少なくとも2種類のオルガネラを並行して監視するための新しい細胞分画方法を開発する方法があると報告している。
Dregerら(非特許文献5)は、いくつかのタンパク質が特定の細胞内構造と、特定の生理状態においてのみ関連している可能性があるため、タンパク質移行現象を監視するための方法を改善する必要を報告している。その著者らはたとえば細胞質ゾル画分および核質画分といった主要な細胞画分を分離することが可能であると述べる一方、その著者らは、これらの試験はオルガネラを濃縮せずおよび結果としてオルガネラ特異的タンパク質移行を解明しないため、これらの試験は当業者に動的プロテオーム変化に関する限られた情報しか与えないと報告している。
加えて、Gernerら(非特許文献6)はTCP−1Aタンパク質の細胞局在に及ぼすFas誘導性アポトーシスの作用を分析している。この研究は当業者に、しかし、細胞質ゾル中のどの特定のオルガネラがTCP−1Aタンパク質を獲得しているかに関する情報を提供しない。この情報を得ることは、特定のタンパク質移行現象を遮断または促進することを狙った特異的医薬を設計するために有用となる。
同様の研究がHuberら(非特許文献7)によって総説された。この最近の2003年の総説では、その著者らは、現在の最新技術は、細胞質ゾル,核および膜といった3つの主要な成分への分別遠心分離による細胞の分画を可能にすることを記述している。Gernerらの論文と同様に、これらの研究は、オルガネラ特異的タンパク質局在における動的変化に関する情報を提供しない。
Bonifacino et al.,(2000),Supplement 3-6,John Wiley & Sons,Inc.,NY Price et al.(1973),Analytical Biochemistry 54: 239-246 Cline and Dagg (1978) Methodological Developments in Biochemistry,Longman,p.61-70 Dreger et al.,(2003),Mass.Spec.,22: 27-56 Dreger et al.,(2003) Bur.J.Biochem.,270: 589-599 Gerner et al.,(2000) J.Biol.Chem.275: 39018-39026 Huber et al.(2003) Circulation Research,92: 962-968
現在、本分野において、高い純度および完全性を維持し、それによってたとえば,低存在量タンパク質といったタンパク質についての検出閾値を増す、少なくとも2種類のオルガネラを同時に濃縮、蓄積および分離することができる細胞成分分画方法を開発する必要がまだ存在する。本分野において、細胞内オルガネラの亜型を十分な量で蓄積および分離できおよび定性的に分解してそれによって細胞内オルガネラの亜型のプロテオームプロファイルを決定できる分画方法を開発する必要もまた存在する。
本発明の一態様は、試料、好ましくは生物試料からの、細胞内オルガネラといったオルガネラの分離および蓄積に関する。オルガネラの分離および蓄積は、たとえば、連続流処理による分画によって実施される。連続流処理は、次に、遠心分離機によって生じるような遠心力を利用する。一実施形態では、オルガネラを分離および蓄積するために、連続流超遠心分離機が用いられる。しかし、他の連続流処理を用いることができること、および本発明は超遠心分離機の使用に限定されないことが理解される。オルガネラの内容物は分画される。たとえば、オルガネラを溶解することができ、およびプロテオームがそこから放出されうる。プロテオーム由来のタンパク質およびペプチドは、たとえば、クロマトグラフィー、電気泳動、連続流遠心分離または当該技術分野で認められている他の方法によって分離することができる。分離されたタンパク質およびペプチドは、たとえば、質量分析といった、いくつかの方法によって特徴づけおよび定量的に分析することができる。その後、タンパク質を同定し、可能であれば、特徴づけを行い、および下流用途に使用することができる。
より具体的には、分離および蓄積された細胞内オルガネラ、および分離および蓄積された低存在量タンパク質の両方を、下流用途に使用することができる。そのような用途は、たとえば、細胞内オルガネラおよび/または低存在量タンパク質を販売すること、細胞内オルガネラおよび/または低存在量タンパク質を賃貸すること、細胞内オルガネラおよび/または低存在量タンパク質の使用許諾を与えること、細胞内オルガネラおよび/または低存在量タンパク質における知的財産権を保護すること、および細胞内オルガネラおよび/または低存在量タンパク質に関する情報を随意的に第三者へ提供することができるデータベースに入れることを含む。
この背景において、および本発明の一実施形態に従って、オルガネラを含む試料からオルガネラを濃縮および蓄積する方法であって、a)オルガネラを試料から放出する;b)オルガネラを連続流遠心分離機内の密度勾配中へ導入する;c)少なくとも2種類のオルガネラが密度勾配内で移動するのに十分な遠心力を加える;およびd)少なくとも2種類の細胞内オルガネラを利用できるように、少なくとも2種類の細胞内オルガネラを密度勾配から回収する:工程を含む方法が提供される。
本発明の別の一実施形態では、低存在量タンパク質をオルガネラから蓄積する方法であって、a)オルガネラを含む試料からオルガネラを放出する;b)オルガネラを連続流遠心分離機内の密度勾配中へ導入する;c)オルガネラが密度勾配内で濃縮および蓄積するように遠心力を加える;d)オルガネラを密度勾配から回収する;e)オルガネラを溶解してプロテオームを生成する;およびf)低存在量タンパク質をプロテオームから回収する:工程を含む方法が提供される。
本発明のさらに別の一実施形態では、少なくとも2種類のオルガネラを含む生物試料から少なくとも2種類のオルガネラを分離する方法であって、a)ホモジネート中の試料から少なくとも2種類の細胞内オルガネラを放出する;b)ホモジネートを密度勾配にわたって連続的に流し、および少なくとも2種類のオルガネラのそれぞれが密度勾配中に入り、および、勾配の密度とそれぞれのオルガネラ個々の浮遊密度とが実質的に等しくなるように、密度勾配中の位置へ移動するのに十分な量の遠心力を加える;およびc)少なくとも2種類のオルガネラを密度勾配から単離する:工程を含む方法が提供される。
本発明のさらに別の一実施形態では、生物試料から少なくとも2種類のオルガネラを濃縮および蓄積する方法であって、a)組織または細胞材料から生物試料を得る;b)組織材料をホモジナイズするかまたは細胞材料を溶解して、オルガネラホモジネートを形成する;c)前記オルガネラホモジネートを、密度勾配を有する連続流超遠心分離機へ加える;d)少なくとも2種類のオルガネラが密度勾配内で移動および蓄積するように遠心力を加える;およびe)少なくとも2種類の細胞内オルガネラを利用できるように、少なくとも2種類の細胞内オルガネラを密度勾配から回収する:工程を含む方法が提供される。
本発明のさらに別の一実施形態では、低存在量タンパク質を細胞内オルガネラから蓄積させる方法であって、a)細胞内オルガネラを含む試料から細胞内オルガネラを放出する;b)細胞内オルガネラを連続流遠心分離機内の密度勾配へ導入する;c)細胞内オルガネラが密度勾配内で移動および蓄積するように遠心力を加える;d)細胞内オルガネラを密度勾配から回収する;e)細胞内オルガネラを溶解してプロテオーム懸濁液を生じる;f)低存在量タンパク質をプロテオーム懸濁液から回収する;およびg)低存在量タンパク質を、低存在量タンパク質を販売すること、低存在量タンパク質を賃貸すること、低存在量タンパク質の使用許諾を与えること、低存在量タンパク質における知的財産権を保護すること、低存在量タンパク質に関する情報をデータベースに入れることおよびデータベース中の低存在量タンパク質に関する情報を見ることから成る群より選択される過程に用いる:工程を含む方法が提供される。
本発明のさらに別の一実施形態では、細胞内オルガネラを、前記細胞内オルガネラを含む生物試料から精製および蓄積する方法であって、a)前記生物試料を遠心分離機へ導入する(前記遠心分離機は不連続な層に分離するように適合させた密度勾配溶液を含み、前記層のそれぞれは保持力を有する);およびb)前記生物試料を連続モードで遠心分離して、前記密度勾配溶液内の前記不連続層中に前記蓄積および精製された細胞内オルガネラを作成する(少なくとも2種類の細胞内オルガネラのそれぞれが前記密度勾配溶液内の分離した不連続層内で移動し、前記少なくとも2種類の細胞内オルガネラは前記少なくとも2つの不連続層の保持力にてまたは保持力を僅かに下回って蓄積され、および前記少なくとも2種類の蓄積された細胞内オルガネラは実質的に完全である):工程を含む方法が提供される。
本発明のさらに別の一実施形態では、細胞内オルガネラを蓄積する方法であって、前記細胞内オルガネラを生物試料から十分な収量および純度で得てそこから低存在量タンパク質を単離および検出できるように連続流超遠心分離機を用いる工程を含む方法が提供される。
本発明の別の一実施形態では、少なくとも2つの異なる種類の細胞内オルガネラを蓄積する方法であって、前記少なくとも2つの異なる種類の細胞内オルガネラを生物試料から十分な収量および純度で得てそこから低存在量タンパク質を単離および検出できるように連続流超遠心分離機を用いる工程を含む方法が提供される。
本発明のさらに別の一実施形態では、少なくとも2種類の細胞内オルガネラのプロテオームプロファイルを時間の関数として分析する方法であって、a)少なくとも2種類の細胞内オルガネラを生物試料から第1の時点に放出する;b)その少なくとも2種類の細胞内オルガネラを連続流超遠心分離機内の密度勾配中へ導入する;c)その少なくとも2種類の細胞内オルガネラが密度勾配内で移動するように遠心力を加える;d)その少なくとも2種類の細胞内オルガネラを密度勾配から回収する;e)前記少なくとも2種類の細胞内オルガネラからタンパク質を単離および精製して前記少なくとも2種類の細胞内オルガネラの前記第1の時点でのプロテオームプロファイルを決定する;f)その少なくとも2種類の細胞内オルガネラを第2の生物試料から第2の時点に放出する;g)b)からd)の工程を繰り返す;h)前記少なくとも2種類の細胞内オルガネラからタンパク質を単離および精製して前記少なくとも2種類の細胞内オルガネラの第2の時点でのプロテオームプロファイルを決定する;およびi)前記第1および第2の時点のプロテオームプロファイルを分析して時間の関数としての前記プロテオームプロファイルにおける変化を検出する:工程を含む方法が提供される。
本発明のさらに別の一実施形態では、生物試料の移行タンパク質の移行過程を分析する方法が提供され、前記移行過程は前記生物試料の第1のオルガネラから第2のオルガネラへの時間の関数としてのその移行タンパク質の細胞内移動に関係し、前記時間の関数は少なくとも2つの時点を有し、(a)第1の生物試料の前記第1および第2のオルガネラにおける前記移行タンパク質の相対量を測定するが、前記第1の生物試料は第1の時点で単離されており、下記の工程を含む:前記第1および第2のオルガネラをホモジネートへ放出するのに十分な条件下で第1の生物試料をホモジナイズし、前記第1および第2のオルガネラはそれぞれ細胞内プロテオームを含み、前記ホモジネートを連続流超遠心分離機内の密度勾配へ導入し、第1および第2のオルガネラが密度勾配内で移動するように前記ホモジネートに遠心力を加え、前記第1および第2のオルガネラを前記密度勾配から取り出し、第1および第2のオルガネラの細胞内プロテオームを可溶化し、第1の生物試料の第1および第2のオルガネラ中の前記移行タンパク質を検出し、第1の生物試料の第1および第2のオルガネラ中の検出された移行タンパク質のレベルを測定し、第2の生物試料の前記第1および第2のオルガネラ中の前記移行タンパク質の相対量を測定するが、前記第2の生物試料は第2の時点で単離されておりおよび上記の工程を繰り返す;および前記移行タンパク質の前記移行過程を前記時間の関数として、前記時点のそれぞれで単離された前記生物試料のそれぞれについて第1および第2のオルガネラにおいて前記検出された移行タンパク質の測定レベルを比較することによって分析する:工程を含む方法が提供される。
本発明のさらに別の一実施形態では、細胞内オルガネラおよびその亜型からタンパク質を得る方法であって、a)細胞内オルガネラおよびその亜型を生物試料から放出する;b)細胞内オルガネラおよびその亜型を連続流超遠心分離機内の密度勾配へ導入する;c)細胞内オルガネラおよびその亜型が密度勾配内で1回の運転中に移動および蓄積するように遠心力を加える;およびd)細胞内オルガネラおよびその亜型を密度勾配から回収しおよびそこからタンパク質を得る:工程を含む方法が提供される。
下記の、例として示したがしかし本発明を記載の特定の実施形態だけに限定することを意図しない、発明を実施するための最良の形態は、下記の添付の図面と合わせて非常に良く理解されうる。
本発明のこれらのおよび他の実施形態は、下記の発明を実施するための最良の形態において提供されるかまたはそこから明らかである。
図1および2に示す通り、本発明の一実施形態は、生物試料を組織または細胞の形で得ること;組織をホモジナイズおよび/または細胞を溶解してホモジネートを与えること;随意的に、たとえば核といった特定の物質を除去するために清澄化すること;密度勾配を有する連続流超遠心分離機にホモジネートを供給すること;ホモジネートに遠心力を加えて完全なオルガネラを分離および蓄積すること;オルガネラを回収すること;およびオルガネラをさらに下流の過程に用いることを含む。そのような下流の過程の1つは、低存在量タンパク質をオルガネラから、オルガネラを溶解してプロテオームを放出することによって得る;低存在量タンパク質をそこから分離および蓄積する;低存在量タンパク質を特徴づけ、定量しおよび、可能であれば、同定する;および低存在量タンパク質をさらに下流の過程に用いることを含む。
試料の入手。図1に示す通り、本発明の方法は、当業者に既知である任意の生物試料に、または当業者に既知である任意の方法を用いて任意の起源から単離されたかまたは得られた生物試料を含む任意の試料に適用することができる。
本発明の目的のためには、「生物材料」は、「生物試料」、「生物標本」、または「生物物質」、または当業者に既知である任意の他の類似の変形と同一の意味を有することができ、たとえば、完全な細胞、細胞抽出物、組織、ホモジナイズされた細胞または組織、タンパク質溶液、たとえばオルガネラおよびオルガネラ亜型のような細胞内構造、または当業者が生物材料であると考えるような任意の他の材料を含む、当業者に既知である任意の種類の生物材料をいう。生物材料はまた、任意の溶液、混合物、懸濁液、物質、緩衝液、または、たとえば、そこに添加されたたとえばオルガネラまたはオルガネラ亜型といった生物材料を含む、たとえばリン酸緩衝液のような非生物溶液のような任意の類似物であることができる。より具体的には、本発明の生物材料は、たとえば、任意の原核生物または真核生物;脊椎動物または無脊椎動物;または、たとえば動物、哺乳類、ヒト、鳥類、ウマ、魚類、げっ歯類、昆虫、または植物など、またはその任意の組合せといった任意の動物を含むがそれらに限定されない、任意の既知の生物またはその一部またはウイルスに由来する、生きたまたは死んだ任意の既知の起源、たとえば、臓器、体液、血液、血清、血漿、唾液、涙液、糞便、尿、***、粘液、組織、組織ホモジネート、細胞抽出物、または脊髄液から得ることができる。
一実施形態では、生物試料は細胞である。「細胞」は、本発明によると、通常の生物学的意味において、独立増殖の能力がある最小の、膜で閉じられた物体を意味する。より広い意味で、細胞は真核または原核のどちらかであることができる。加えて、細胞は、多細胞生物、組織、細胞または組織培養、細胞培養中のウイルス感染細胞から、または任意の生物試料から得ることができることが理解される。さらに、細胞、特に真核細胞は、たとえば、オルガネラおよび他の細胞内構造を含む、細胞内構造を含むことが理解される。
「オルガネラ」および「細胞内オルガネラ」は、本発明では同一の意味を有し、当業者に通常の生物学的意味で理解される。オルガネラ、細胞の構成成分を形成する任意の種類の複雑な構造を含み、および典型的には特徴的な機能を果たす。本発明は、たとえばミトコンドリア、葉緑体、ペルオキシソーム、ゴルジ装置、小胞体、核、プロテオソーム、リボソーム、および、たとえば、滑面および粗面ミトコンドリア、初期および後期小胞体といったオルガネラの任意の既知のまたは未知の亜型、または当業者によって理解されるかまたは発見可能である特定のオルガネラの任意の亜型または部分集団を含むその他といった、当業者に既知である任意の生物試料に由来する任意のオルガネラを考慮する。
本発明によると、オルガネラ「亜型」または「部分集団」は、細胞中の特定のオルガネラ集団の、同じ集団の同じ種類のオルガネラの残りとは何らかの形で異なる、小部分をいうことができる。たとえば、オルガネラ亜型は、たとえば、オルガネラの全体的な大きさおよび形、オルガネラの密度、発現されている特徴的なタンパク質集団、オルガネラ膜の組成、または当業者に既知である任意の他の生理学的または形態的差異に基づく違いを含む。一部のオルガネラは、「オルガネラ膜」と呼ばれる膜を含む。
また、オルガネラは、たとえば、特徴的な組の生物分子、特に、細胞の全プロテオームの部分集合として、細胞の全タンパク質成分の部分集合を成す特徴的な組のタンパク質を有することが理解される。たとえばオルガネラといった、細胞内構造に随伴するタンパク質の部分集合、または細胞、組織、またはゲノムのタンパク質成分全体の部分集合を成すタンパク質を、「細胞内プロテオーム」ということができる。特にオルガネラの場合には、オルガネラ特異的タンパク質(オルガネラ膜中に含まれるおよび/または直接的にまたは間接的にオルガネラ膜に結合、一体化、または付着しているタンパク質)を伴う細胞内プロテオームは、「オルガネラプロテオーム」ということができる。オルガネラ亜型は、そのオルガネラを構成するオルガネラの残りの亜型それぞれの一部または全部の組合せから生じるプロテオームから区別することができるような、組成が固有であるプロテオームを有することができる。
「プロテオーム」の語の新造は一般的に、プロテオームを「ゲノム、細胞または組織によって発現されるすべてのタンパク質」と定義したマッコーリー大学(オーストラリア)のMarc Wilkinsの功績とされることを当業者は理解する。たとえば、および本発明の目的のためには、プロテオームの語はタンパク質成分全体をいい、および、ゲノム、細胞、組織、またはオルガネラのすべての発現されたタンパク質を含む。したがって、プロテオームを、たとえば細胞の増殖および/または分化段階、内的および外的環境因子、疾患因子、および当業者に既知である任意の他の因子といったさまざまな異なる因子に応じて変化しうる、ゲノム、細胞または組織によって発現されるタンパク質の動的集成として考えることができる。
一部の場合には、たとえばミトコンドリアおよび葉緑体といった、特定のオルガネラは、それら自身の染色体を含み、それは染色体含有オルガネラに伴われるタンパク質の一部を発現できることが理解される。しかし、オルガネラプロテオームを構成するタンパク質の大部分は細胞の染色体によって発現され、および、たとえば移行および小胞輸送といったさまざまな機構によって目的のオルガネラへ輸送されることを当業者は理解する。
本発明の目的のためには、「プロテオミクス」の語は、生物、器官、組織、細胞外空隙、細胞、またはオルガネラ、またはその任意の組合せにおけるすべてのタンパク質の、たとえば、同定、量、構造および生化学的および細胞的機能を含む特性、およびこれらの特性が空間、時間、および生理学的状態についてどのように変動するかを確立する試みをいう。プロテオミクスは細胞過程の性質を、多数の定義的性質およびタンパク質の挙動、たとえば、タンパク質発現プロファイル、翻訳後修飾、細胞内局在、およびタンパク質−タンパク質相互作用の、空間、時間、および生理学的状態を考慮した特徴づけを通して調べることがさらに理解される。プロテオミクスはタンパク質の同定および定量だけでなく、局在、修飾、相互作用、活性、および、究極的には、それらの機能の決定もまた含む。
生物試料のホモジナイズ/溶解。再び図1を参照すると、生物試料が一旦得られたら、生物試料はホモジナイズおよび/または溶解される。ホモジナイズ工程の産物は、典型的にはホモジネートと呼ばれる。ホモジネートは、本分野で認識されているのと同一の意味を有することが意図される。したがって、ホモジネートは、生物試料のホモジナイズおよび/または溶解後の、生物試料の形態である。ホモジナイズおよび/または溶解の処理を下記にさらに説明する。
ホモジナイズおよび/または溶解に用いられる方法および材料は一般的に本分野で既知である。本発明によると、「ホモジナイズ」および、たとえば、ホモジナイズするまたはホモジナイズ化といった関連する語は、組織を構成する細胞および細胞外材料といった、より小さくおよびより均一な成分への組織の破壊を達成するための、当業者によって用いられるさまざまな方法のうち任意のものをいうことができる。たとえば、組織のホモジナイズは、細胞がお互いおよび何らかの細胞外材料から分離および/または切り離されるように、個々の細胞へ組織を分解することをいうことができる。ホモジナイズおよび/または溶解の語はまた、細胞、たとえば、組織の細胞を、その細胞内成分へ破壊する工程をいうことができる。したがって、本発明によると、ホモジナイズされた組織またはホモジナイズおよび/または溶解された細胞は、たとえばオルガネラを含む、細胞内成分の放出を結果として生じうる。細胞からの細胞内成分、たとえば、オルガネラの「放出」とは、細胞内成分がもう細胞または原形質膜によって閉じ込められたままでないことを意味する。
組織および/または細胞の破壊を実施するためにはさまざまな手法が利用可能であることを当業者は理解する。溶解および/または破壊は、結果としてたとえばオルガネラといった細胞内成分が放出されるような、細胞膜の破壊を生じうることが理解される。ホモジナイズおよび/または溶解条件は、オルガネラ膜の破壊を最小化する一方で細胞膜が破壊されるように調整することができる。オルガネラ膜の溶解を最小化する一方で細胞膜の溶解を達成するようにこれらの条件を調整するための方法は既知であり、およびたとえば、Current Protocols in Cell Biology (1999), Ed.J.S.Bonifacino et al.および Subcellular Fractionation: A Practical Approach,(1997),Ed.J.M.Graham et al.に見出すことができる。
本発明は、生物試料をホモジナイズおよび/または溶解するための、たとえば、任意の化学薬品を基礎とする、機械的方法を基礎とする、圧力を基礎とする、または温度を基礎とする方法といった、当業者に既知のまたは利用可能となる任意の方法を考慮する。たとえば、そのような方法は、シリンジ中のボールベアリングと金属ブロックの狭い環(「ボールベアリングホモジナイザー」)に通すことによって細胞および/または組織に液体せん断力を加えること;高圧下で細胞および/または組織を小さな開口部に通すこと;高圧下で細胞および/または組織を窒素ガスに曝露しおよび次いで、たとえばシリンジ弁のようなニードルバルブに通すこと;細胞を超音波処理して細胞膜を破壊すること;細胞および/または組織を、たとえばツイーン−20またはドデシル硫酸ナトリウム(「SDS」)といった界面活性剤と接触させること;組織および/または細胞を、たとえば等張培地、低張培地、たとえば0.1モルのショ糖溶液といった、浸透圧ストレスを与える溶液と接触させること;およびせん断力を与えること、たとえば、組織および/または細胞をティッシュブレンダー(たとえばWaring(登録商標)ブレンダー、Waring Laboratory、コネチカット州)に導入すること;または上記の方法または当業者に既知である任意の他の別の方法の任意の組合せを含むことができる。
任意の生物材料に由来する特定の起源および/または種類の組織(たとえば、心臓、膵臓、腺、筋肉、骨、腎臓、肝臓、肺、脳、または血液、または他の器官、および、たとえばを含む特定の起源の細胞)を、特定の組織および/または細胞のために設計された方法または手順に従ってホモジナイズできることを当業者は理解する。たとえば、肝細胞は、その特定の組織および/または細胞のホモジナイズまたは溶解のために設計されたホモジナイズ方法を有しうる。細胞および組織ホモジナイズおよび/または細胞溶解の多数の方法二環する情報は、たとえば、Sambrook J.et al.,Molecular Cloning: a Laboratory Manual,2nd edition,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressといった市販の手引書に見出すことができる。
「実質的に完全な」の語は、細胞内成分、特にオルガネラの、ホモジナイズおよび/または溶解の後にオルガネラが細胞から放出される時点、またはたとえば連続流遠心分離処理といった連続流処理の間または後に、または本発明の方法の間の任意の他の時点においてを含む、発明の方法の間の任意の時点における、全体性の相対的程度をいうオルガネラが実質的に完全であるかどうかは、たとえば、オルガネラ特異的マーカーの定量的酵素測定法、オルガネラ特異的マーカーに対するウェスタンブロット、またはたとえば透過型電子顕微鏡法(TEM)のような顕微鏡を用いた目視検査といった当業者に既知である任意の方法によって決定することができる。顕微鏡の使用においては、当業者は、任意の生物起源および/または細胞または組織型に由来するあらゆる種類のオルガネラの形態的特徴および性質を理解し、および、あるオルガネラが完全かどうかを特定の形態的特徴に基づいて判定する方法を理解する。
一実施形態では、オルガネラ全体性は酵素的に測定することができる。たとえば、たとえば本発明の方法に記載のミトコンドリアの調製物のような、目的のオルガネラ調製物を、遠心分離して不溶性部分を沈澱させることができ、不溶性部分は完全なオルガネラおよびたとえば、オルガネラ断片といったその一部を含みうる。上清は、断片化された目的のオルガネラから放出された任意の可溶性タンパク質および/または酵素を含む、任意の可溶性成分を含む。次いで、たとえば目的の所定のオルガネラに特異的である酵素のような、オルガネラ特異的マーカーの相対的レベルまたは量を、オルガネラ沈澱および残りの上清画分の両方に関して測定することができる。沈澱したオルガネラは、オルガネラ特異的マーカーを測定または検出する前に、溶解する必要がある可能性があることが理解される。
当業者は、異なる細胞内オルガネラは、特定のオルガネラの濃縮係数を決定するために検出、測定、または抗体を用いてプロービングすることができる、別々のおよび明瞭な「オルガネラ特異的マーカー」を有することを理解する。たとえば、シトクロム−cオキシダーゼおよび/またはTom20(18kDa)はミトコンドリアを検出するために用いることができる;ベータ−ヘキソサミニダーゼおよび/またはベータ−ガラクトシダーゼはリソソームを検出するために用いることができる;ペルオキシダーゼはエンドソームを検出するために用いることができる;アルカリホスファターゼIおよび/またはNaKATPアーゼ(150kDa)は原形質膜を検出するために用いることができる;アルファ−マンノシダーゼIIおよび/またはGM130(130kDa)および/またはPI15(115kDa)はゴルジ装置を検出するために用いることができる;カタラーゼはペルオキシソームを検出するために用いることができる;乳酸デヒドロゲナーゼは細胞質ゾル画分を検出するために用いることができる;およびRNAおよび/またはBiP/GRP78(78kDa)は粗面小胞体を検出するために用いることができる。好ましくは、ミトコンドリア特異的Tom20(18kDa)、小胞体特異的BiP/GRP78(78kDa)、原形質膜特異的NaKATPアーゼ(150kDa)、ゴルジ特異的GM130(130kDa)、およびゴルジ特異的P115(115kDa)に対する抗体は、本発明の遠心分離された生物試料の画分中の特定のオルガネラの存在を、当業者に既知である、たとえば、ウェスタンブロッティングおよびイムノブロッティングといった当業者に既知である任意の適当な方法を用いて、検出および定量するために用いることができる。これらの抗体は、BD BIOSCIENCES(カリフォルニア州)、STRESSGEN(カナダ、ブリティッシュコロンビア州ビクトリア)といった販売元から、および学界から入手することができる。
したがって、全体性は、オルガネラ調製物を可溶性(上清)および不溶性(固体沈澱)画分へ分解し、オルガネラ特異的マーカーを両方の画分中で測定または検出し、および次いで両方の画分からの相対レベルまたは量を比較することによって評価できる。一般的に、不溶性画分中に含まれるオルガネラ特異的マーカーの量のより高い相対レベル(可溶性画分と比較して)は、オルガネラ全体性のより高い程度に対応することが理解される。好ましくは、本発明は、オルガネラを溶解する工程の前の本発明の任意の工程での、オルガネラの約60%、70%、80%に等しいかまたはそれより大のまたは90%を超える完全性を考慮する。
一実施形態では、オルガネラ全体性は、不溶性画分について測定されたオルガネラ特異的マーカーの相対量を、両方の画分中のオルガネラ特異的マーカーの相対量の合計で割り100倍してパーセント(%)完全性(または全体性)を与えることによって計算することができる。たとえば、ミトコンドリアの調製物を遠心分離して、ミトコンドリア(および、破壊および/または溶解されておりそれによって、たとえば可溶性ミトコンドリアタンパク質といった、ミトコンドリア特異的マーカーを含むオルガネラ内可溶性物質を放出しているミトコンドリアのような、ミトコンドリアの断片)の沈澱および破壊および/または溶解されたオルガネラを含む上清を生じることができる。ミトコンドリア特異的タンパク質および/または酵素(たとえばTom20といったミトコンドリアマーカー)の相対レベルは、次いで可溶性画分および不溶性画分の両方について測定することができる。パーセント全体性は、次いで不溶性画分中のミトコンドリアマーカーの量を不溶性および可溶性画分の両方のミトコンドリアマーカー量の合計で割って100倍し、完全なミトコンドリアを含むミトコンドリア調製物の相対的部分を反映するパーセンテージを得ることによって計算することができる。
ホモジナイズ処理中に緩衝液が一般的に用いられることが当業者に理解される。本発明は、たとえば、たとえばトライトン−X、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などといった界面活性剤、たとえば塩化ナトリウムといった塩、たとえばプロテイナーゼKといったプロテイナーゼ、DNAおよびRNA分解酵素の阻害剤、およびホモジナイズ緩衝液における使用に適した任意の他の追加成分を含む、当業者に既知である任意の適当な緩衝液を考慮する。緩衝液の組成は、生物試料の種類および/または起源によって決めることができることを当業者は理解する。
随意的清澄化工程。図1を再度参照すると、生物試料の細胞および/または組織ホモジネートは、ここでホモジネートは完全なオルガネラを含むが、典型的には、核といった特定の細胞内成分を除去するために「清澄化される」。核は、典型的には、たとえば、他のオルガネラといった試料中の他の成分が、勾配に入ることを阻害する。したがって、核は、本発明の連続流遠心分離過程の前に試料から除去することができる。
遠心分離を含むがそれに限定されない、核の除去に適当である任意の方法が本発明によって考慮される。たとえば、ホモジネートを遠心分離機を用いて清澄化するためには、バッチまたは分析用遠心分離機といった当業者に既知である任意の遠心分離機を、たとえば約500×gから約40,000×gといった適当な相対遠心力(RCF)(×g)にて、使用することができる。遠心分離機は、たとえば、遠心力をホモジネートに加えて、残りのオルガネラでなく核に、遠心分離管の一端へ向かって、たとえば、遠心分離管の底へ向かって、移動させることによって、核を分離する。一実施形態では、本分野で既知である低速清澄化遠心分離機を用いて、ホモジネートを清澄化することができる。低速清澄化遠心分離機は、連続流遠心分離機であることができる。
遠心分離機。図1に示される通り、一旦生物試料がホモジナイズされたおよび/または細胞が溶解されたら、ホモジネートおよび/またはそれに由来する産物は、連続流遠心分離機内の密度勾配へ導入される。
本発明の目的のためには、「連続流遠心分離機」は、注入口および一般的に排出口を持つローターを有することができる遠心分離機または超遠心分離機の一種であり、試料物質は注入口を通じてローター内へ導入し、ローター中にある間に勾配と接触させ、および排出口を通じて出すことができる。連続流遠心分離機は半連続流遠心分離機を包含することができる。
連続流遠心分離機および連続流遠心分離機ローターの任意の既知の遠心分離が本発明によって考慮される。たとえば、連続流ローターは、試料が連続的にまたは断続的に注入口を通して導入されおよび連続的にまたは断続的に排出口を通じて放出されうるように、注入口、または注入口および排出口を有することができる。ローターはまた、排出口なしに注入口を有することができ、試料が連続的にローターに導入されるが、連続的に放出はされないことを可能にする。ローターが回転している場合、勾配を予め生成または予め確立することができる。排出口から放出された試料はまた、勾配にわたる試料物質の複数の「通過」を与えるために、注入口を通してローター内へ連続的にまたは断続的に再循環または再導入することができる。本発明は、オルガネラを濃縮および蓄積するのに十分な、勾配にわたる任意の数の通過を考慮する。
勾配は、運転の最後にローターが回転を続けている間に、連続流遠心分離機のローターから取り出すことができる。その代わりに、新しい勾配材料を、動いているローターに加えることができる。ローター内で一旦新しい勾配が確立すると、別の生物試料のホモジネートといった別の生物試料を、ローター内へ導入しおよび勾配と接触させることができる。この意味で(連続流遠心分離機の操作は、ローターがスピンまたは回転している間に、分離された第1の生物試料を中に有する第1の勾配が取り出され、および、ローターがスピンを続けている間に、第2の生物試料の分離のために新しい容量の勾配材料で置き換えるものである場合)「連続流モード」と呼ばれる。連続流モードは、第1のおよび第2の勾配だけを添加および除去することに限定されず、しかしむしろ、たとえば、遠心分離機のローターを中断または停止しなければならないことなく、任意の数の生物試料を連続して分離し、その間ずっとローターがスピンし続けるように、任意の数の勾配を遠心分離機ローターに連続的に加えおよびそこから除去することができる。
本発明はさらに、生物試料のホモジネートといった、本発明の生物試料は、連続流遠心分離機へ、手動、自動、または半自動の方法で負荷することができることをさらに考慮する。たとえば、適当なセンサーまたはエレクトロニクスを含むロボット工学系を、連続流遠心分離機のローター内への生物試料の自動または半自動負荷を達成するための適当な方法に用いることができる。生物試料の負荷に加えて、勾配材料もまた、連続流遠心分離機のローターへ手動、自動、または半自動の方法で負荷することができ、および、自動化または半自動化系の調節および/またはプログラムのための、任意の適当なロボット、センサー、エレクトロニクス、またはコンピューターシステムおよび/またはソフトウェアを用いることができる。
適当な連続流遠心分離機の例は、AlfaWassermann、Inc.(ニュージャージー州ウエストコールドウェル)によって製造される、KII、PKIIおよびRK型を含むがそれらに限定されないものである。いくつかの代表的なローターモデルは、AW K3−3200、AW PK3−1600、AW PK3−800、AW PK3−400、AWPK3−200、およびAW PK3−100を含むがそれらに限定されない。より高いおよび低い容量のローターは本発明の範囲内にあると考えられる。
他の連続流遠心分離機を本発明によって利用することができる。これらは、たとえば、Beckman CF32Ti、Beckman JCF−Z−標準コア、Beckman JCF−Z小沈澱コア、Beckman JCF−Z大沈澱コア、Beckman Z60、SorvallSS34/KSB、SorvallTZ−28/GK、Sorvall TCF−32(940mlコア付きP32CT)、Sorvall TCF−32、およびHitachiによって製造される、たとえば、遠心分離機CC40、CP40Y、C40CT2−H、C40CTおよびCP60Yを含む。Hitachi遠心分離機はKendro社によって販売されている。
別の一実施形態では、連続流超遠心分離機は沈降速度ゾーン超遠心分離機である。ゾーンローターアセンブリは長年にわたって使用されておりおよびその主題に関して多数の文献が利用可能である。ゾーンローターについての情報は大部分の精製手引書および生化学教科書に含まれている。具体的な情報は、Anderson,An Introduction to Particle Separations in Zonal Centrifuges (National Cancer Institute Monograph No.21,1966); Anderson,Separation of Sub-Cellular Components and Viruses by Combined Rate and Isopycnic Zonal Centrifugation (National Cancer Institute Monograph No.2191966);および、Anderson,Preparative Zonal Centrifugation,in Methods of Biochemical Analysis (1967)に見出すことができ、そのすべてが参照により本開示に含まれる。
本発明の目的のためには、遠心分離機「運転」は、ローターが既に動いておりおよび予め形成された勾配を有するかまたはローターが停止しているかのどちらかで試料がローターに加えられる時点から、試料が遠心分離機によって処理されるまでをいい、たとえば、1回通過(試料の再循環無し)、2回通過(試料が1回再循環される)、3回通過(試料が2回再循環される)、など任意の回数の通貨を含む。通過はローターが停止または減速されないように実施することができる。さらに、試料はまた任意の時間にわたって連続的に再循環することができる。また、遠心分離機運転は定常または可変速度にて実施することができることが考慮されている。
一実施形態では、本発明で利用される遠心分離機運転は、単一回の運転であることができる。たとえば、細胞内オルガネラおよびその亜型の移動、分離および蓄積が1回の遠心分離機運転中に実施される。
典型的には、連続流超遠心分離機運転のための準備および実行は、手動で実施されるか、たとえばコンピューターによって自動化されるか、または手動で実施および自動化の両方の組合せである。好ましくは、遠心分離機を制御することおよび遠心分離手順を計算することのためには、コンピューターおよびソフトウェアが利用される。そのようなコンピューターおよびソフトウェアは、制御画面上に「リアルタイム」で表示される操作パラメータを操作者に提供する。自動化されたプログラムはまた、予め保存されたファイルから、または制御画面を通じて手動で、運転することができる。
一実施形態では、各回の遠心分離機運転中に、オンラインデータ監視および設定パラメータ、運転パラメータ、および警報状態の記録がなされおよびシステム記憶装置へダウンロードされる。そのようなダウンロードはまた、外部のデータ保存場所へ向けることができる。
コンピューター自動化されたか、手動で実施されるか、または両方の組合せである、分離手順は、典型的にはいくつかの変数の操作を含む。そのような変数は、たとえば、標的オルガネラの物理的特性;勾配の形成;および運転パラメータの計算を含む。
分離手順を定義するために有用な標的オルガネラの物理的特性は、たとえば、標的オルガネラの沈降係数(S20ω)および浮遊密度を含む。そのような値は、たとえば、予備実験および実験失敗の数を低減するために有用である。(Rickwood et al.,Centrifugation Essential Data,BIOS Scientific Publishers Limited 1994,Publisher J Wiley & Sons; Preparative Centrifugation : A Practical Approach,Edited by D Rickwood,Oxford University Press 1921;およびMethods in Enzymology,Vol.182: Guide to Protein Purification,Edited by Murray P.Deutscher,Academic Press 1990を参照)。
分離手順はまた典型的には、勾配の知識を含む。勾配は、密度勾配を含みうるがそれに限定されない。密度勾配は、次いで、たとえば、連続勾配、不連続勾配または段階勾配であることができる。勾配物質の選択は、たとえば、その製品、不純物安定性および製品密度に依存する。一般的に用いられる勾配物質は、当業者に既知である任意の適当な勾配物質、および市販されているかまたは当業者によって調製されるものを含む。勾配物質は、:たとえば、塩化セシウム(CsCl)、硫酸セシウム(CsSO)、酒石酸カリウム、または臭化カリウムといったアルカリ金属溶液;たとえば、ショ糖、マンニトール、またはグリセロールといった非電解溶質;たとえば、フィコール(登録商標)400(Pfizer、コネチカット州)といった多糖;たとえば、メトリザミド、ナイコデンツ(登録商標)(Nycomed,Inc.、ニュージャージー州)、イオジキサノール(登録商標)、またはオプティプレップ(登録商標)といったヨウ化非電解質;パーコール(登録商標)(ポリビニルピロリドンで被覆したコロイドシリカ)(Pfizer、コネチカット州)、または当業者に既知である任意の他の適当な物質を含むがそれらに限定されない。
アルカリ金属から成る勾配は、腐食性であるが、低粘度の高密度を生じることができることが理解される。たとえば,勾配物質としてしばしば用いられる塩化セシウムは、典型的には最大約1.9g/cmである高密度を達成することができる。別の一例では、臭化カリウムもまた高密度を形成することができるが、しかし、たとえば25℃といった高温にてのみである。そのような高温は、目的のタンパク質の安定性と両立しない可能性がある。
上述された勾配の例は、ナイコデンツ(登録商標)、オプティプレップ(登録商標)、イオジキサノール(登録商標)およびショ糖を含む。ショ糖は費用効果的な勾配物質でありおよび大部分の操作について十分な密度範囲を利用する(最大約1.3g/cm)。ショ糖勾配の粘度は、バンド形成製品に用いられる急勾配の形成を、または、代替的に、同一ローター内で幅広い製品容量を生じることを、可能にする。急勾配は典型的には、たとえば、非標的タンパク質の進入を最小化すべき場合は、連続流操作のために有効である。ショ糖の粘度はまた、連続流ローター内で長時間にわたって急勾配を形成するために望ましい特性である。対照的に、CsClのような低粘度溶液は、粘度を増加させるためおよび連続流運転中の勾配の目減りを最小化するために、グリセロールといった高粘度物質の負荷を必要とする可能性がある。
本発明は、任意の濃度プロファイルを有する任意の種類の勾配を用いることを考慮する。「濃度プロファイル」は、水平、垂直、対角線、またはその間の任意の方向の勾配に垂直な経路に沿った、勾配媒体または勾配物質の濃度における変化として、当業者に既知となる。したがって、勾配は「直線勾配」、「凸勾配」、「凹勾配」、または「不連続勾配」、または当業者に既知である任意の他の適当な形であることができる。
ショ糖は好ましい密度勾配物質である。表1はホモジナイズされた生物試料に含まれるミトコンドリア、小胞体、原形質膜、およびゴルジ装置の分離のための、ショ糖密度勾配を用いる理論上の分離必要条件を記載する。
Figure 2006520606
上述の通りおよびここに定義する通り、連続流遠心分離機運転は数回の通過を含むことができる。たとえば、ホモジナイズされた生物試料に、本発明の連続流遠心分離機を2回通過させることができる。第1の通過は、20,000RPMにてPK−3−800ローター中で20ml/分(1.2L/時間)の流速を用いて実施することができる。したがって、487スヴェドベリ(S)を超える物質が勾配に進入することが予想される。下記のパラメータを第1の運転に用いることができる:
Figure 2006520606
第2の通過は次いで、40,000RPMにて実施することができる。したがって、122Sを超える物質が勾配に進入することが予想された。下記のパラメータを第2の運転に用いることができる:
Figure 2006520606
代替的に、第2の通過を35,000RPMにてPK−3−800ローター中で20ml/分(1.2L/時間)の流速を用いて実施することができる。したがって、159Sを超える物質が勾配に進入することが予想される。下記のパラメータをそのような代替的運転に用いることができる:
Figure 2006520606
遠心分離を特定のRPM値にて実施するのに用いられる時間の長さは、特定の物質が沈澱となるかどうかを決定し、これは今度は典型的にはその物質のスヴェドベリ値に依存する。たとえば,PK−3−800ローターを35,000RPMにて用いて、53Sを超える物質は典型的には45分間で沈澱となる。120分間の場合には、19.9Sを超える物質は典型的には沈澱となる。両方の場合において、コアおよび容器でのRCF値はそれぞれ74,660×gおよび90,535×gとなる。
下記に示す通り、オルガネラ、たとえば、ミトコンドリア、原形質膜、小胞体、およびゴルジ装置の、既知の理論上の沈降範囲に基づき、沈澱形成に必要な時間を推定することができる。たとえば、ミトコンドリア、原形質膜、小胞体、およびゴルジ装置の既知の沈降範囲は下記の通りである:それぞれ;10,000から50,000S;50から1,000Sおよび100,000から500,000S;1から5,000S;および1,000から10,000S。
異なる速度でオルガネラを沈澱させるために必要な時間を決定することができる。たとえば、20,000RPMにてPK−3−800ローター中で20ml/分試料流速での遠心分離に基づき、下記の成分を沈澱するための時間を下記の表に示す:
Figure 2006520606
35,000RPMにて今度は、下記の成分をPK−3−800ローター中で20ml/分試料流速で沈澱するための時間は下記の通りである:
Figure 2006520606
代替的に、40,000RPMにて、下記の成分をPK−3−800ローター中で20ml/分試料流速で沈澱するための時間は下記の通りである:
Figure 2006520606
特定のスウェドベリ定数を有する特定の成分がバンド形成するための時間を決定することができる。たとえば、下記の表に示す通りの、35,000RPMでのPK−3−800ローター中の45分の第1の通過および120分の第2の通過を用いた遠心分離に基づいて予測を行うことができる。本表はまた、45分および120分の通過後にバンド形成が完了したかどうかを示す。
Figure 2006520606
一実施形態では、ここで考慮する連続流超遠心分離機は、スケール調整可能な分離を提供できるように、異なる形状を有する異なる大きさのローターと共に使用することができる。たとえば、本発明の連続流超遠心分離機は、たとえば、15インチまたは30インチローターといった、異なる大きさのローターを用いて構成することができる。本発明に用いられるローターの形状は、処理することができる試料の容量、沈澱経路の狭さ、および分離に必要な総抵抗時間に影響を与えうることが理解される。さらに、本発明によって考慮される連続流超遠心分離機ローターは、勾配が負荷位置(水平位置)から動作位置(垂直位置)へと移動しおよび産物回収を可能にするために負荷位置へ戻る、「勾配パターン再設定」においても機能することができる。本発明によって考慮されるローターの使用中に、試料物質の流路はローターへ両端(上端または下端)でコアの中央ポートを通じて入ることができ、次いで細長い管状軸を通って流れ、接続された産物ラインまたはチューブで外に出ることができる。
別の一実施形態では、同一のローター長を用いるがしかしローターコアの構成を容量を減少または増加させるように変化させて、スケール分離が実施される。たとえば、参照により本開示に含まれる同時係属の米国特許出願公開第09/995,054号明細書に記載されるように、その方法は典型的には、放射状に突き出した「羽根」を有するもののような異なる設計のコアを用いることを含む。一実施形態では、羽根の寸法を変化させることが、ローターコアによって置換される容量を調節する。たとえば、スケールダウンは、通常は羽根の大きさを最大化しそれによって遠心分離機運転に利用可能な容量を減少させることによって達成される。スケールアップは、次に、典型的には羽根の大きさを最小化しそれによってそれによって遠心分離機運転においてより大きい容量を与えることによって得られる。
たとえばAlfa Wassermann,Inc.によって製造されるもののような異なる大きさのローターを利用してスケール分離を実施するために、いくつかのパラメータが典型的には考慮される。これらのパラメータは、容器のRmax、コアのRmin、容器の×g力、コアの×g力、沈澱するための時間、過渡時間、K係数および試料流速を含むがそれらに限定されない。そのようなパラメータは、分離されている粒子のスヴェドベリ値に依存しうる。
たとえば、1,000Sの粒子についての分離パラメータを、Alfa Wassermann,Inc.によって製造されたもののようなローターについて下に記載する。センチメートルとしてのローターRmax(最大半径)、センチメートルとしてのローターRmin(最小半径)、および超遠心分離機(UCF)ローター最大速度(rpm)は典型的には既知でありおよびローターの製造元によって明記されておりおよび参照により本開示に含まれる。また、ローター容量(ml)およびローターの最大流速(L/時間またはml/分)は製造元から容易に入手可能であることは当業者に既知であり、および参照により本開示に含まれる。
計算されるパラメータはローター相対遠心力(RCF)(×g)である。(Rickwood,1994を参照)。RCFは下記の式を用いて計算することができる:
RCF=11.18×R×(Q/1,000)、ここでRCF=相対遠心力(×g)、R=半径(cm)、およびQ=速度(毎分回転数)である。たとえば、1,000Sの粒子は、PK3−800ローター中で下記のパラメータに基づいて分離することができる:Rmax6.6cm、Rmin5.45cm、ローター最大速度40,500rpm。計算は下記の通りである:
RCF=11.8×6.6×(40,500/1,000)
RCF=73.788 1,640.25
RCF=12,1030.76×g
RCF=121,000×g

同様に、5.45cmのRmin値を有するローターについて、RCFは99,900×gと計算することができる。
計算されるもう1つのパラメータは運転の長さであり、これはK係数の関数である。運転の長さは典型的には「運転時間」または「沈澱所要時間」という。1,000S粒子について運転の長さを決定するために、ローターのK係数は文献から決定しうるかまたは下記の通り計算することができる:
Figure 2006520606
たとえば、1,000S粒子についてのPK3−800ローター(Rmax6.6cm、Rmin5.45cm)のK係数および40,500RPMのローター最大速度は下記の通り計算することができる:
Figure 2006520606
Kはまた交互の速度についても計算することができる。たとえば、35,000rpmまたは20,000rpmの速度では、下記の式が典型的には用いられる:
new=K(Qmax/Qnew
max−ローター最大速度(毎分回転数)
new−新しい設定速度(毎分回転数)。
したがって、20,000rpmの速度でのK係数を計算するためには:
new=K(Qmax/Qnew
new=29.53(40500/20000)
new=29.53×4.100
new=121。
同様に、35,000rpmの設定速度でのK係数は39と計算される。
K係数の決定に際しては、運転時間を次いで計算することができる。たとえば、沈降時間(T)は下記の通り計算することができる:
T=K/S
T−沈降所要時間(時間)
S−沈降係数(S)。
したがって、PK3−800ローター中で20,000rpmの速度で遠心分離される1,000S粒子について、運転時間は下記の通り計算することができる:
T=K/S
T=121/1000
T=0.121時間
T=7分16秒。
別の一実施形態では、運転時間は別の方法で計算することができる。より具体的には、下記の式を用いて、スケール変更可能な遠心分離機運転における第2のローターについての運転時間を決定することができる:
rotor2=Trotor1×(Krotor1/Krotor2
ここでTrotor1は第1のローターについての沈降、Trotor2は第2のローターについての沈降時間、Krotor1は第1のローターについてのK係数、およびKrotor2は第2のローターについてのK係数である。
計算することができるさらに別のパラメータは、試料流速である。試料流速は沈降時間(T)の関数であり、および下記の通り計算される:
F=V/T
F−流速(L/時間)
−素通り容量(L)
T−沈降所要時間。
PK3−800ローターは典型的には50%の素通り容量を有する。したがって、20,000RPMで運転される1,000S粒子について、流速は下記の通り計算することができる:
F=V/T
F=0.4/0.121
F=3.3L/時間
F=55ml/分。
本発明の一実施形態において遠心分離機運転中に、オルガネラは密度勾配内で濃縮されおよび蓄積される(ここで蓄積されるとは、増幅されることも意味しうる)。一実施形態では、少なくとも2種類以上のオルガネラおよび/またはその亜型が、連続流超遠心分離機によって密度勾配内で濃縮および蓄積される。別の一実施形態では、少なくとも2種類以上のオルガネラは、その少なくとも2種類以上のオルガネラで勾配が飽和されるまで蓄積される。本発明の連続流法は、少なくとも2種類以上のオルガネラおよび/またはその亜型を、たとえば、少なくとも2種類以上のオルガネラおよび/またはその亜型中に存在する既知のおよび/または未同定の低存在量タンパク質を単離および同定するために十分な量で有利に蓄積する。本発明の連続流法はまた、生物試料中のオルガネラの集団のプロテオーム全体に対して複雑性が低いプロテオームを有する、オルガネラの特定の亜型の大量の蓄積および濃縮を有利に可能にする。
本発明の目的のためには、「濃縮」は、勾配中の位置での、規格化した条件下で測定された、生物試料中の同一のオルガネラまたはタンパク質と比較した、オルガネラまたはそのタンパク質の倍数(たとえば、1.1X、2X、5X、10X、50X、など)における増加と定義される。より一般的な用語では、濃縮は、元の生物試料中の同一の1つのオルガネラまたは複数のオルガネラの相対量と比較した、特定の勾配画分中の1つのオルガネラまたは複数のオルガネラの相対量における増加に関する。濃縮はまた、それがオルガネラの種類を、オルガネラの種類の密度に対応する密度勾配の不連続な区分へ分離する点で、ホモジネート中の2つのオルガネラ集団の精製の一形式である。
勾配中の特定の位置、特に、特定の勾配画分における、オルガネラまたはそのタンパク質の濃縮を測定するための一般的な手法は、上述のうち任意のものといったオルガネラ特異的マーカーに関してウェスタン分析を実施することである。特に、ウェスタン分析は典型的には、本発明の分離および蓄積方法の結果として得られたおよび対応する元の生物試料の、目的の勾配画分の両方の規格化された量(たとえば、標準化されたおよび/または比較可能な量の材料)を用いて行われる。濃縮は次いで、目的の勾配画分中の測定されたオルガネラ特異的マーカーの相対量を、対応する元の生物試料中の量で割ることによって計算される。
たとえば、および第1の段階として、目的の勾配画分および対応する元の生物試料の総タンパク質濃度は、たとえばブラッドフォードまたはローリータンパク質測定法といった、本分野で認められた方法を用いて標準化される。そのような測定法のための試薬および材料は、当業者によって既知の手順(たとえば、Current Protocols in Biochemistry,John Wiley & Sons,Inc.,1999,Edited by Juan S.Bonifacino)に従って調製することができるかまたは販売元(たとえば、QIAGEN,INC.,カリフォルニア州)から購入することができる。勾配画分および元の生物試料の両方の総タンパク質濃度の測定は、タンパク質、特にそのうちのたとえば膜タンパク質といった不溶性タンパク質を可溶化する工程を含む。可溶化工程は、典型的には、たとえば、SDSまたはトリトン−Xといった適当な界面活性剤を含む。試料のそれぞれにおいてタンパク質が一旦可溶化されれば、残存する膜材料および/または残渣といった不溶性材料は遠心分離によって沈澱され、および、可溶化されたタンパク質を含む残りの上清は除去される。上清のタンパク質濃度は次いで、上述のブラッドフォードおよびローリー測定法といった標準的方法を用いて測定される。
第2の段階として、勾配画分および対応する元の生物試料の上清の比較可能な量(等量であることができる)は、同一のまたは別々の装置で、たとえばポリアクリルアミドといった適当なタンパク質分離材料を用いて、別々に電気泳動される。典型的には、一次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動が用いられる。
分離されたタンパク質は、本分野で認められたブロッティングの方法によって、たとえばニトロセルロースのような適当な担体(たとえば、「ブロット紙」)へ転写される。次いで、オルガネラ特異的マーカーの相対量は、本分野で認められたウェスタン分析の方法によって測定することができる。典型的にはウェスタン分析では、オルガネラ特異的マーカーに特異的である一次抗体が、ブロット紙上の分離されたタンパク質と適当な時間にわたって反応させられ、一次抗体がオルガネラ特異的マーカーと、ブロット上に存在するオルガネラ特異的マーカーの量に正比例する量で結合する。
一次抗体の相対量は次いで、たとえば第1の抗体に特異的な二次抗体を導入および検出するといった、任意の適当な手段によって測定される。一次および/または二次抗体は、たとえば蛍光分子、酵素、または発色団といった、検出可能な部分と共有結合していることができる。酵素の場合には、発色基質または蛍光基質といった、検出可能な酵素基質を用いて一次および/または二次抗体を検出することができる。ブロット上に存在する一次および/または二次抗体の量は、次いで、ピクセルといったデジタル形式で測定および表すことができる。
たとえば、ミトコンドリア含有画分中のミトコンドリアの濃度は、目的のミトコンドリア画分および対応する元の生物試料に由来するタンパク質の標準化された量に含まれるミトコンドリア特異的マーカーの相対量を測定することによるウェスタンブロット分析によって測定できる。勾配画分および元の生物試料中のミトコンドリア特異的マーカーの検出は、蛍光標識化一次および/または二次抗体に関して、およびデジタル画像処理および/または写真の使用によって、ブロット上に存在する抗体の蛍光シグナルを検出および定量して、検出することができる。MOLECULAR DYNAMICS,INC(カリフォルニア州)から入手可能なもののような、一次および/または二次抗体の蛍光シグナルの強度を検出および測定する、本分野で認められた任意の機器および/またはコンピューターソフトウェアを用いることができる。
デジタルシグナルの数および/または強度は、ブロット上の一次および/または二次抗体の相対量に相当し、次にはブロット上のオルガネラ特異的マーカーの相対量に相当し、次には試料中の目的のオルガネラの相対量に相当する。濃縮は、目的の勾配画分から測定されたオルガネラ特異的マーカーの相対量の、元の生物試料から測定された値に対する比として決定される。
オルガネラは、本発明に記載の連続流遠心分離機運転の間に、濃縮および蓄積される。たとえば、および上記で説明した通り、密度勾配は、生物試料を導入する前に連続流遠心分離機のローター中で確立することができる。したがって、勾配物質を連続流ローターに加えおよび次いで勾配を確立するのに十分な速度で遠心分離することができる。勾配が一旦確立されれば、生物試料ローターが回転を継続する間に、生物試料をローター内へ導入することができる。前述の通り、生物試料は典型的には生物試料のホモジネートであり、およびオルガネラ、細胞質ゾル成分、および可能な膜断片を含む。随意的におよび生物試料を連続流遠心分離機のローターへ導入する前に、上記で説明した通り、細胞残渣および核といった大きな粒子状物質を除去するため、生物試料を清澄化することができる。
上記で説明した通り、生物試料は連続流遠心分離機の回転しているローター中へ、連続的な方法で導入することができる。たとえば、ローターがスピンを続けている間に、生物試料がローター内へ供給される。生物試料が加えられている間、ローターの速度は一定に留まることができ、またはローターの速度は上昇または低下することができる。試料は、ペリスタルティックポンプを含むがそれに限定されない任意の適当な手段を用いて、ローター内へ導入することができる。さらにおよび以前に説明した通り、試料のローター内への導入は任意の適当な手動、自動、または半自動の方法で実施することができ、および任意の適当なロボット工学および/またはコンピューター制御系の使用を含むことができる。また、たとえば、ローター中の勾配物質の容量より少ない、それと等しい、またはそれより大きい任意の容量を含む、任意の適当な容量の生物試料をローターへ導入することができる。
生物試料がローター内に入り通過を始める際、生物試料はその中の密度勾配と接触する。密度勾配は近位端および遠位端を有し、よって近位端は遠位端よりも低密度にある。勾配の近位端から遠位端へ向かって、勾配は特定の密度プロファイルに従って密度が増加する。前に説明した通り、勾配の密度プロファイルは、濃度プロファイルともいうことができるが、たとえば,直線、凸状、または凹状であることができる。密度勾配はまた、異なる「区域」を構成すると考えることができ、ここで各区域は第1の密度に近位端および第2の密度に遠位端を有し、ここで第2の密度は第1の密度より大きい。
生物試料の特定の成分が勾配に入るかどうかは、その成分の物理的特性および連続流遠心分離機によって用いられるパラメータの両方によって決定される。たとえば、その成分の沈降値および浮遊密度、および、たとえばローターでのRCF(×g)および生物試料の流速といった遠心分離パラメータを含む、そのような物理的特性は、本文書中に既に記載されている。RCF(×g)および流速を含む遠心分離パラメータは、勾配への異なる成分の進入に影響を与えるために、遠心分離機の操作中に増加または減少させることができる。遠心分離機のパラメータ、特にRCF(×g)は、生物試料の導入中を含む、連続流遠心分離機の操作全体にわたって変化させることができる。
生物試料の成分が勾配の近位端に一旦進入したら、遠心分離処理によってその成分に加えられる遠心力が、その成分の浮遊密度および沈降係数を含む、その成分の物理的特性に部分的に依存する速度で、その成分を密度勾配を通って移動させる。その成分は、等密度点に達するまで、勾配を通って移動し、そこで浮遊密度に基づいて濃縮される。
遠心分離機運転中に、前述の通り、生物試料の成分を蓄積できるように、さらなる生物試料を遠心分離機に導入することができる。たとえば、ミトコンドリアおよびその亜型がそれらの浮遊密度と等しい勾配の区域で濃縮される場合、遠心分離機へのミトコンドリアおよびその亜型を含むより多くの生物試料の添加は、結果として勾配のその区域におけるミトコンドリアおよびその亜型の蓄積を生じる。
オルガネラの回収。図1に見られるように、遠心分離機運転が一旦完了すると、勾配中に移動しているオルガネラが回収される。オルガネラを回収するための本分野で認められた任意の方法が本発明の範囲内に入る。たとえば、オルガネラは、勾配の定容量の画分を、手動で、自動で、またはその何らかの組合せで取り、およびたとえば試験管のような容器中に保存および/または入れることによって回収することができる。たとえば勾配の総容量の1/10,000、1/1,000、1/100、または1/10、または勾配の総容量の任意の他の適当な容量といった、任意の適当な画分容量が考えられる。その定容量の画分は同一容量または異なる容量であることができる。さらに、一旦回収されれば、異なる定容量画分を合わせることができる。
画分はまた、指定の密度範囲に基づいて回収することができる。一実施形態では、画分は第1の密度点と第2の密度点との間であっておよびそれらを含む勾配物質と考えることができ、ここで第1のおよび第2の密度点は異なる。たとえば、10%から15%ショ糖の間であっておよびそれらを含むすべての勾配物質を、画分として回収することができる。特定の画分での勾配の密度は、たとえば、DMA 4500、RXA 156、またはRXA 170(ANTON PAAR,GMBH,オーストリア)のような市販の屈折率計を用いて推定または測定することができる。
勾配画分の回収のための、自動、半自動、または手動の、任意の他の方法が考えられおよび本発明の範囲内にある。勾配からの画分の回収のための自動化または半自動化された系を用いて、本発明は、任意の適当なセンサー、エレクトロニクス、または他の有用なおよび/または必要な構成要素を含む、任意の適当なロボット工学系を考慮する。勾配画分を回収するための自動化または半自動化された系は、自動化または半自動化フラクションコレクターということができるが、任意の適当なソフトウェアまたはコンピューターシステムを用いて制御および/またはプログラムすることもできる。自動化および半自動化フラクションコレクターは、独立型装置であることができ、または、別の一実施形態では、搭載装置として連続流遠心分離機と一体化されうる。
オルガネラの分析。図1に記載の通り、オルガネラが一旦回収されれば、オルガネラは本分野で認められた方法によって分析される。たとえば、回収された画分中のオルガネラは、たとえば、ウェスタンブロット分析、酵素測定法、オルガネラ特異的マーカーに特異的な蛍光標識化された抗体を用いた免疫蛍光顕微鏡法、およびたとえば電子顕微鏡法を含む顕微鏡法、または任意の他の既知の方法といった、本分野で既知である任意の適当な方法を用いて同定しおよび/または特徴づけることができる。これらの方法によって、たとえば、ある画分のオルガネラ組成を、たとえば、その画分中に存在する異なる種類のオルガネラの相対量に関して、評価しおよび特徴づけることができる。たとえば、ウェスタンブロット分析をある画分について実施しおよび、たとえば、ミトコンドリア、小胞体、原形質膜、およびゴルジ、といったオルガネラ特異的マーカーの存在について試験することによって、その画分に含まれるこれらのオルガネラそれぞれの相対量を評価することができる。前記の手順に関する情報は、たとえば、Current Protocols in Cell Biology,John Wiley & Sons,Inc.,1999,Edited by Bonifacino et al.または Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,1999,Edited by Juan S.Bonifacinoといった市販の文献に見出すことができる。
また、オルガネラの全体性は、たとえば、定量的酵素測定法、オルガネラ特異的マーカータンパク質に対するウェスタンブロット、および電子顕微鏡法実験といった、本分野における任意の適当な方法によって判定することができる。透過型電子顕微鏡法(TEM)を用いて、オルガネラの同定を行うことができ、および定性的にオルガネラの全体性をそれらの形態(たとえば、大きさ、形、構造的構成、および密度)に関して特徴づけることができ、一般的に形態はオルガネラの機能と相関する。言い換えると、より高い程度の全体性を有するオルガネラは一般的により完全な機能を有する。
オルガネラの用途。本発明によって得られたオルガネラは、プロテオミクスの分野、および他の分野で用いることができる。そのような他の分野は、ゲノミクス、神経化学、免疫化学、生化学、組織学、植物学、植物生化学、自然人類学、法医学および病理学、およびその組合せを含むがそれらに限定されない。当業者はオルガネラをどのようにこれらの分野で利用できるかを理解する。さらに、本発明の方法によって得られたオルガネラは、たとえば、ヒト、動物、家畜およびペット飼育の分野で有用な、診断薬、医薬、化学物質およびワクチンの開発に用いることができる。
タンパク質特徴づけおよび定量。図2はオルガネラ中に存在するタンパク質の特徴づけおよび定量に関する。細胞のプロテオームは異なる種類の細胞内オルガネラおよび構造中へ分割されているため、本発明の方法に記載の、目的の細胞内オルガネラおよび他の細胞内構造の分離、濃縮、および蓄積は、生物試料のプロテオームを「前分画する」ための方法と考えることができる。したがって、オルガネラが一旦分離および精製されれば、完全な生物試料全体のプロテオームが部分プロテオーム成分へ効果的に分けられる。本発明の処理は、生物試料のプロテオームの複雑性を低減しおよびその後のプロテオームのタンパク質成分の分析を容易にする。
オルガネラを溶解する。図2で見られる通り、蓄積されたオルガネラは、本分野で既知である任意の方法によって溶解される。溶解は典型的には、オルガネラの内容物を放出するのに十分な方法で、オルガネラの膜を破壊するように実施される。オルガネラの内容物は、たとえば、オルガネラのプロテオームを含む。
タンパク質およびペプチドを分離する。細胞内オルガネラの濃縮、蓄積、および溶解が一旦達成されれば、単離されたオルガネラそれぞれのタンパク質成分(たとえば、各オルガネラの細胞内プロテオーム)を分析して、低存在量タンパク質といった目的のタンパク質の検出を促進することができる。あるオルガネラの細胞内プロテオームといった、タンパク質およびペプチドの大きな集団を分析するためのさまざまな方法が本分野で既知である。当業者は、本発明の範囲を離れることなく、最も適したタンパク質単離および精製方法を選択することができる。
特定の方法の一例は、二次元(2D)ゲル電気泳動である。細胞内プロテオームといった複雑なタンパク質溶液の二次元ゲル電気泳動は、典型的には本分野では分離されたというが、分かれたポリペプチドのパターンを結果として生じ、ポリペプチドは次いでさらにその同一性について調べることができる。たとえば,ウェスタンブロッティングを用いて、特定の型、種類、または特定のタンパク質またはその断片を、特異的抗体を用いたプロービングによって同定することができる。加えて、質量分析法を用いて、質量分析計によって生成および検出された、結果として生じたポリペプチド断片の分子量プロファイルの、質量分析データベースまたは全ゲノム配列またはポリペプチドデータベースに含まれる情報との比較によって、ゲル中の分離されたタンパク質の同一性を決定することができる。
検出および同定処理は自動化または半自動化することができる。また、当業者に既知であるロボット工学または高処理量機器を用いることができる。
タンパク質を研究するために有用な他の技術はたとえば、順相または逆相といった、HPLC、FPLCなどを用いる液体クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;固定化金属キレートクロマトグラフィー;アフィニティクロマトグラフィー;任意の他のクロマトグラフィー法;タンパク質結合分析;酵母2ハイブリッド分析;三次元構造研究;1Dおよび2Dといったゲル電気泳動;およびごく最近には、タンパク質/ポリペプチドマイクロアレイ、およびバイオインフォマティクスを含む。
タンパク質およびペプチドを分離するための、本発明の範囲内のもう一つの方法は、多次元液体クロマトグラフィー(「MDLC」)であり、これは「MudPIT」ともいう。MudPITは異なる、および部分的に重複する、プロテオーム中のタンパク質の組を同定するための、二次元ゲル電気泳動の代替法として用いられる。二次元ゲル電気泳動のように最初のタンパク質分離工程を用いる代わりに、あるオルガネラについて濃縮した勾配画分といった、生物試料の完全なプロテオームを、最初にトリプシンを用いて消化する。結果として生じるペプチドの複雑な混合物を、強陰イオン交換(SAX)および逆相(RP)カラムの組合せを用いるMDLCによって分離し、および分離されたペプチドはタンデム質量分析(MS/MS)によって分析する。ペプチドのMS/MSから得られた情報は次いで、タンパク質同一性を予測するために用いられる。
プロテオーム分析は典型的には、二次元ゲル電気泳動の高分解能分離技術を、マトリクス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)質量分析の高感度同定能力と組み合わせることによって実施される。この組合せに基づくいくつかの戦略が開発されている。ごく最近、ESI/MS/MSを基礎とする手法が、プロテオーム分析のための補完的または代替的方法として出現している。そのような手法は、複雑な試料の全体的なタンパク質分解消化、その後に実施する1つ以上の反復する直列クロマトグラフィー工程を用いたタンパク質分解混合物の分離、続いて実施する、通常はエレクトロスプレーイオン化インターフェイスによるMS/MSを用いたペプチドの分析を含む。データを得るために用いられる戦略とは独立して、消化されたペプチドの実験的に得られた質量は、得られたデータを特定のデータベース内のすべてのタンパク質に由来するトリプシン消化ペプチドについて理論的に計算される値と一致させるため、データベース検索プログラムへ導入される。
タンパク質およびペプチドを特徴づけおよび定量する。再び図2を参照して、低存在量タンパク質といったタンパク質、および本発明から得られたペプチドを特徴づけおよび定量するための方法は、たとえば、任意の既知の生化学的手法、酵素測定法、抗体免疫反応、リガンド分析、タンパク質/ペプチド質量分析、基質分析、またはその組合せを含む。タンパク質の機能を検証するために用いられる実験の種類は、典型的には、そのタンパク質の予想される機能に関する知識に対応しおよび導かれる。
一実施形態では、タンパク質レベルの相対的定量は、2Dゲルから、たとえば、Nonlinear Dynamics社のPhoretix 2D Evolutionといったコンピューターソフトウェアを用いてデジタル化されたゲル画像のタンパク質/ペプチドスポットの強度を比較することによって得ることができる。放射性同位体コード化アフィニティタグ(ICAT)(APPLIED BIOSYSTEMS、カリフォルニア州)といった、2Dゲルが関係しない他の方法を用いることができる。
ICAT法は、タンパク質と反応する1つの試薬の重い型および軽い型を用いる。この「同位体コード化」に加えて、その試薬は、システインのスルフヒドリル基と反応する化学基であるヨードアセトアミド、および精製を円滑化するアフィニティタグであるビオチンを有する。ICAT実験は典型的には、一方のプロテオームを軽い型の試薬と、および他方のプロテオームを重い型の試薬と反応させることを含む。標識化されたプロテオームはついで合わせられ、および適当なワークフロー機器を用いて分析される。たとえば、トリプシンによって生じた標識化されたペプチドは、分析されているペプチド混合物の複雑性を低減するために、非標識化ペプチドからアフィニティ精製される。アフィニティ精製されたペプチドは次いで分離されおよびMSによって分析される。
ICAT標識化ペプチドの質量スペクトルは典型的には、重い試薬および軽い試薬の質量における差と等しい、質量が異なるイオンの対を含む。それらのペプチドは同一の質量スペクトル中で測定されているため、それらのペプチドの、および従って、2つのプロテオームに含まれるそのタンパク質の相対的定量を得ることが可能である。ICATは、二次元ゲル電気泳動を行うことができないプロテオームまたは部分プロテオームを定量するために有用である。
タンパク質を同定する。当業者に利用可能である任意の同定または分析方法を用いて、本発明によって得られたタンパク質およびペプチドを同定することができる。タンパク質を同定および研究するために有用な技術は、たとえば、質量分析、免疫共沈降、アフィニティクロマトグラフィー、タンパク質結合分析、酵母2ハイブリッド分析、三次元構造研究、およびごく最近には、タンパク質/ポリペプチドマイクロアレイ、およびバイオインフォマティクスを含む。より一般的な同定方法の一部は、MALDI;ESI/MS−MS;およびタンデム質量分析(MS−MS)と組み合わせた2Dゲル電気泳動を含み、通常はエレクトロスプレーイオン化インターフェイスを経由する。
一実施形態では、本発明は、実質的に純粋な形で、特に1つ以上の低存在量タンパク質を、本文書の方法によって蓄積されたオルガネラから、タンパク質を単離および精製する。たとえば、低存在量タンパク質は、本発明の二次元ポリアクリルアミドゲルといったポリアクリルアミドゲルから取り出すことができ、およびそこから標準的な方法を用いて精製することができる。低存在量タンパク質はまた、たとえば、目的の特定の低存在量タンパク質に特異的な抗体を用いる免疫沈降またはイムノアフィニティクロマトグラフィーといった、本分野で認められた他の方法を用いて精製することができる。さらに、および本文書でより詳細に説明される通り、本分野で認められた方法を用いて、目的の低存在量タンパク質をコードする遺伝子をクローニングしおよび宿主生物において発現することができ、および単離しおよび精製することができる。
本発明の低存在量タンパク質は、いずれの特定の分類にも限定されないことを意図する。低存在量タンパク質は、細胞中のその相対量またはコピー数に基づいて低存在量タンパク質に分類することができる。たとえば、典型的な細胞は、少なくとも10個の固有のタンパク質種を有しおよびコピー数に関して桁数の「動的範囲」を有する(すなわち、10コピー未満から10より大)、約10個のタンパク質分子を有することが既知である。「動的範囲」とは、細胞中のタンパク質が示す、コピーの最低数からコピーの最高数までの範囲である。細胞中の約9,000種類のタンパク質は、細胞当たり約1,000コピーよりも少数で存在し、および「低存在量タンパク質」として知られる。細胞中の低存在量タンパク質の合計は、一般的に細胞の質量の約3%未満を構成する。たとえば、チロシンキナーゼは、細胞当たり30〜40コピーの範囲で存在する。さらに、ある種の低存在量タンパク質は、約ピコモル(pM)すなわち10−9から約フェムトモル(fM)すなわち10−12濃度で、たとえば約10−9濃度で、約10−12濃度で、または約10−9を下回る濃度で存在しうる。
低存在量タンパク質は、既知のタンパク質分析機器および/または方法を用いて検出するのが一般的に困難である。たとえば、2Dゲル電気泳動との関連では、低存在量タンパク質は、低いコピー数および/またはより存在量の多いタンパク質との重複のため、「スポット」(ゲル上の電気泳動によって分離されたポリペプチド)として検出するのが困難でありうる。本発明は、細胞当たり約750、500、250または100コピー未満で存在するものさえ、または細胞当たり約1コピーで存在するものさえ、既知のまたは未知の、細胞内または細胞外(たとえば間質空間中のタンパク質、神経伝達物質およびシグナル伝達タンパク質)の、任意の低存在量タンパク質を考慮する。
特徴づけられた既知のおよび未知のタンパク質のタンパク質応用。
再び図2を参照すると、低存在量タンパク質といった、本発明の方法によって得られたタンパク質を利用するための多数の方法が存在する。たとえば、本発明の方法によって得られたタンパク質は、ヒト、動物、家畜およびペット飼育の分野で有用な、診断薬、医薬、化学物質およびワクチンの開発に用いることができる。
本発明の1つの応用は、2組の生物試料間のプロテオーム変化をまたは時間の関数として分析する方法を提供する。時間は、生検といった、生物試料が採取される時点に関係する。この実施形態では、少なくとも2種類の細胞内オルガネラが、生物試料から、典型的には本分野で認められたホモジナイズまたは溶解手順によって放出される。その少なくとも2種類の細胞内オルガネラは、次いで連続流超遠心分離機内の密度勾配へ導入される。その少なくとも2種類の細胞内オルガネラが密度勾配内を移動するように、好ましくは約100,000×gまたはそれより大の遠心力が加えられる。一実施形態では、遠心分離は1回の運転で実施される。遠心分離後、その少なくとも2種類の細胞内オルガネラは密度勾配から回収される。その少なくとも2種類の細胞内オルガネラに由来するタンパク質は、次いで単離されおよび精製され、その少なくとも2種類の細胞内オルガネラの、第1の時点でのプロテオームプロファイルが決定される。この処理はまた、単一の種類の細胞内オルガネラを用いて実施することができる。
第2の生物試料が提供され、およびその少なくとも2つの異なる種類の細胞内オルガネラがそれから放出される。その少なくとも2種類の細胞内オルガネラは、次いで連続流超遠心分離機内の密度勾配へ導入される;およびその少なくとも2種類の細胞内オルガネラが、好ましくは1回の運転中に密度勾配内を移動するように、遠心力が加えられる。遠心分離後、その少なくとも2種類の細胞内オルガネラは密度勾配から回収される。その少なくとも2種類の細胞内オルガネラに由来するタンパク質は、単離されおよび精製され、その少なくとも2種類の細胞内オルガネラの、第2の時点でのプロテオームプロファイルが決定される。処理のこの部分はまた、単一の種類のオルガネラを用いて実施することができる。最後に、第1および第2の時点でのプロテオームプロファイルが、本分野で認められた方法によって分析され、プロテオームプロファイルにおける変化が時間の関数として検出される。そのような発明は、たとえば、疾患状態の分析において、および個人の、または異なる個人の群のプロテオームプロファイル比較する際に、応用することができる。
もう一つのタンパク質用途実施形態では、タンパク質移行現象を本発明の方法を用いて分析することができる。より具体的には、移行過程は、時間の関数としての、1つの移行タンパク質および/または複数の移行タンパク質の細胞内および/または細胞間移動に関係する。第1の生物試料の、第1のおよび第2の種類のオルガネラに含まれる移行タンパク質の相対量がまず測定される。その手順は、たとえば、第1および第2のオルガネラをホモジネート中へ放出するのに十分な条件下で、第1の生物試料をホモジナイズすることを含み、第1および第2のオルガネラはそれぞれ細胞内プロテオームを含む。ホモジネートは次いで連続流超遠心分離機内の密度勾配へ導入される。第1および第2のオルガネラが密度勾配内を移動するように、遠心力がホモジネートに加えられる。第1および第2のオルガネラは密度勾配から取り出され、および第1および第2のオルガネラの細胞内プロテオームは続いて可溶化される。可溶化後、第1の生物試料の第1および第2のオルガネラに含まれる移行タンパク質は次いで検出され、および検出された移行タンパク質のレベルが測定される。
第2の生物試料は、第1の生物試料に沿って同様に処理される。すなわち、第2の生物試料は第1および第2のオルガネラをホモジネート中へ放出するのに十分な条件下でホモジナイズされ、第1および第2のオルガネラはそれぞれ細胞内プロテオームを含む。第2の生物試料に由来するホモジネートは次いで連続流超遠心分離機内の密度勾配へ導入される。第1および第2のオルガネラが密度勾配内を移動するように、遠心力がホモジネートに加えられる。第1および第2のオルガネラは密度勾配から取り出され、および第1および第2のオルガネラの細胞内プロテオームは続いて可溶化される。可溶化後、第2の生物試料の第1および第2のオルガネラに含まれる移行タンパク質は次いで検出され、および検出された移行タンパク質のレベルが測定される。
第1および第2の生物試料の1つの移行タンパク質および/または複数の移行タンパク質が検出されおよび測定された後、移行過程が分析される。たとえば、時間の関数としての移行タンパク質の移行過程が、第1および第2の時点での生物試料のそれぞれについての、第1および第2のオルガネラ中の検出された移行タンパク質の測定レベルを比較することによって決定される。
本発明はさらに、図19(A)(3〜4)に示す通り、オルガネラタンパク質の分析および分離、および、その低存在量タンパク質の検出および/または同定に関する情報は、データベースへ供給、送信、またはそこで保存して、後の時点で同一のまたは別のユーザーによって評価することができることをさらに考慮する。本発明は、プロテオームの前記タンパク質を分離または低存在量タンパク質を検出する方法の間に生成または回収されたどのデータも、第三者へ送信または移動することができることを考慮する。たとえば、二次元ゲル上で分離されたタンパク質のパターンに関する画像データまたはゲルの分離されたタンパク質の発現の異なるレベルに関する情報は、たとえば電子メールによって、または、インターネットまたは、第三者への、データベースへのまたはデータベースからの、研究所、個人、または研究グループへの、ネットワークを通じて、電子的に送信することができる。データはまた、ワールドワイドウェブまたは他の国際通信ネットワークといったネットワークへ電子的に転送(たとえば「投稿」)することができる。
本発明のデータベースは多数の異なる形式および/または構造を持つことができ、および情報の電子的保存および検索のための任意の既知の手順を用いることができることを当業者は理解する。本発明はさらに、商業目的でデータベースへのアクセスを提供することを考慮する。アクセスは、ワールドワイドウェブといった国際通信ネットワークを通じた電子的アクセスであることができる。
質量分析によってといった、本発明によって考慮された検出方法により、低存在量タンパク質が一旦検出されれば、そのタンパク質またはタンパク質断片の完全なアミノ酸配列は全ゲノム配列データベースから入手することができる。本発明はさらに、比較配列分析法による、目的の低存在量タンパク質の推定される機能の評価を考慮する。そのような方法は本分野でよく知られており、および、デスクトップコンピューターまたはワークステーション上でローカルで利用可能な、またはワールドワイドウェブといったネットワークを通じて利用可能な、目的のアミノ酸配列(たとえば、「クエリー配列」)をデータベース中に含まれるアミノ酸配列と比較して、類似の配列を有する、機能が既知であるポリペプチドを同定するためのアルゴリズムを使用するコンピューターソフトウェアに関する。この一般的手法は、「ホモロジー検索」とすることができる。ホモロジー検索は、クエリー配列についての機能を積極的に同定はせず、しかし、特定の配列は同一のまたは類似の機能を共有するという可能性を確立するのみである。たとえば低存在量タンパク質といった、目的のタンパク質の機能をさらに確認または検証するために、実験を実施することができる。
したがって、本発明の低存在量タンパク質は、たとえばGenBank、Swiss−Prot、およびProtein Data Bankなどといったさまざまなデータベース中のタンパク質配列に対する比較配列分析(たとえば、ホモロジー検索)に基づいて、予想される機能を割り当てることができる。アミノ酸配列に関連して「パーセント同一性」の語は、最大一致するように整列した際の、2つの配列に含まれる同一である残基をいう。配列類似性または同一性を測定するために用いることができる、いくつかの異なるアルゴリズムが本分野で知られている。たとえば、ポリペプチド配列は、NCBI BLASTpおよび/またはGCGバージョン6.1にあるプログラムのFASTAを用いて比較することができる。FASTAはクエリー配列と検索配列の間の最高重複の領域の整列およびパーセント配列同一性を提供する。
代替的に、DNAまたはRNAに関連して、ヌクレオチド配列類似性またはホモロジーまたは同一性は、MyersおよびMillerの("Optimal Alignments in Linear Space",CABIOS 4,11−17,1988)およびNCBIにて利用可能である「Align」プログラムを用いて決定することができる。「類似性」または「同一性」または「ホモロジー」の語は、たとえばヌクレオチド配列に関して、2つの配列間のホモロジーの定量的尺度を示すことが意図される。パーセント配列類似性は、(Nref−Ndif)*100/Nrefとして計算することができ、ここでNdifは整列した際に2つの配列に含まれる同一でない残基の総数であり、およびNrefは配列のうち一方に含まれる残基の数である。したがって、DNA配列AGTCAGTCは配列AATCAATCと75%の配列類似性を有する(Nref=8;Ndif=2)。代替的にまたは加えて、配列に関して「類似性」は、2つの配列のうち短い方に含まれるヌクレオチドの数で割った、同一のヌクレオチドを有する位置の数をいい、ここで2つの配列の整列はWilburとLipmanのアルゴリズム(Wilbur and Lipman,1983 PNAS USA 80: 726)に従って決定することができ、たとえば、20ヌクレオチドの大きさのウィンドウ、4ヌクレオチドの単語長、およびギャップ失点4、およびコンピューター補助分析を用いれば、整列を含む配列データの解釈は、市販のプログラム(たとえば、Intelligenetics TM Suite,Intelligenetics Inc.、カリフォルニア州)を用いて便利に実施することができる。RNA配列が類似している、またはDNA配列とある程度の配列同一性を有するといわれる場合、DNA配列中のチミジン(T)はRNA配列中のウラシル(U)と等価と考えられる。
目的の所定のタンパク質、特に低存在量タンパク質について、推定または予想機能が一旦確認されれば、特許出願を作成しおよび適当な国内および/または国際特許局へ出願することができる。出願は、たとえば、機能がホモロジー検索から予測される、目的のタンパク質を対象とすることができる。請求項は、たとえば、目的のタンパク質のアミノ酸配列、その予測される機能に基づくその効用、または、前記の目的タンパク質をコードするDNAを有する任意のクローニングベクターまたは発現ベクターを対象とすることができる。
本発明は、図19(C)(8)に見られる通り、低存在量タンパク質といった目的のタンパク質の予測される機能を検証することをさらに考慮する。検証は、いずれも当業者に既知である、生化学的、免疫学的、生理化学的、タンパク質構造的、および遺伝子的方法を用いて実施することができる。一実施形態では、図19(B)(7)に見られる通り、本発明は目的のタンパク質をコードする核酸配列をクローニングすることを考慮する。目的のタンパク質をコードする遺伝子、遺伝子断片、またはヌクレオチド配列をクローニングするためにはさまざまな戦略を用いることができる。たとえば、縮重ヌクレオチドプローブを、目的のタンパク質の配列に基づいて作製することができ、およびDNAのコード部分を有するプラスミドまたはベクタークローンについてDNAまたはcDNAライブラリをスクリーニングするために用いることができる。別の一例では、目的のDNAをコードするヌクレオチド配列を、目的のタンパク質の配列に基づくプライマーを用いたPCRによって増幅することができる。さらに、コードヌクレオチド配列の転写調節領域を得るために、クローニング工程を続いて実施することができる。ヌクレオチド配列は、生物材料の元の起源からだけでなく、類似の配列を共有する別の起源の生物材料からも得ることができる。
コードヌクレオチド配列が一旦クローニングされれば、それをさらに発現ベクターへ組み込み、宿主細胞中で発現し、単離し、および次いでさらに分析して、目的のタンパク質の機能を実験によって評価および確認することができる。したがって、検出された低存在量タンパク質といった、本発明のポリペプチドは、組み換えによって産生され、および単細胞宿主中で発現されうる。宿主において外来DNA配列の高い発現レベルを得るために、配列は一般的に、選択された宿主において機能する転写および翻訳発現調節配列と調節可能に結合することができる。好ましくは、発現調節配列、および目的の遺伝子は、選択マーカーをさらに含む1つの発現ベクターに含まれうる。
本発明のポリペプチドをコードするDNA配列は、シグナル配列をコードしてもしなくてもよい。発現宿主が真核宿主であれば、成熟した糖タンパク質が真核宿主から分泌されるようにシグナル配列がコードされるのが一般的に好ましい。
アミノ末端メチオニンは、本発明の組成物に含まれる発現されたポリペプチドに存在してもしなくてもよい。末端メチオニンが発現宿主によって切断されない場合,必要に応じて、末端メチオニンを標準的方法によって化学的に除去することができる。
幅広い発現宿主/ベクターの組合せを、本発明の医薬組成物およびワクチンに用いられるWNVポリペプチドをコードするDNA配列を発現するのに用いることができる。真核宿主に有用な発現ベクターは、たとえば,ウシパピローマウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、サイトメガロウイルス、およびレンチウイルスを含むレトロウイルスに由来する発現調節配列を含むベクターを含む。細菌宿主に有用な発現ベクターは、細菌プラスミド、たとえばpBluescript、pGEX−2T、pUCベクター、colE1、pCR1、pBR322、pMB9およびそれらの誘導体、pET−15を含む大腸菌由来のもの、RP4といった広宿主域プラスミド、ファージDNA、たとえば、ラムダファージの多数の誘導体、たとえばXGT10およびXGT11、および他のファージを含む。酵母細胞に有用な発現ベクターは、2μプラスミドおよびその誘導体を含む。昆虫細胞に有用なベクターはpVL941を含む。
加えて、幅広い発現調節配列、すなわちDNA配列と調節可能に結合した場合にその発現を調節する配列のうち任意のものを、本発明の組成物に用いられるポリペプチドを発現するために、これらのベクター中で用いることができる。そのような有用な発現調節配列は、前出の発現ベクターの構造遺伝子に随伴する発現調節配列を含む。有用な発現調節配列の例は、たとえば、SV40またはアデノウイルスの初期および後期プロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、T3およびT7プロモーター、ラムダファージの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の調節領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖系酵素に対するプロモーター、たとえばPho5のような酸ホスファターゼのプロモーター、酵母接合系のプロモーター、および、原核または真核細胞またはそのウイルス、およびそのさまざまな組合せの遺伝子の発現を調節することが知られている他の構成性または誘導性プロモーター配列を含む。
「宿主細胞」の語は、組み換えDNA分子が導入されている1つ以上の細胞をいう。本発明の宿主細胞は、細菌、酵母、動物、昆虫および植物細胞を含むがそれらに限定される必要は無い。宿主細胞は単細胞であることができ、または液体培養、単層などとして組織培養中で増殖させることができる。宿主細胞はまた、直接的にまたは間接的に由来することができる。
幅広い単細胞宿主細胞が、本発明の医薬組成物に用いられるポリペプチドをコードするDNA配列を発現するのに有用である。これらの宿主は、大腸菌、Pseudomonas、Bacillus、Streptomyces、真菌、酵母、Spodoptera frugiperda(SF9)といった昆虫細胞、CHOおよびマウス細胞、COS1、COS7、BSC1、BSC40、およびBMT10といったアフリカミドリザル細胞のような動物細胞、およびヒト細胞、および植物細胞の細胞株といったよく知られた真核および原核宿主を含みうる。
宿主細胞は、核酸が細胞内へ細胞外環境から移行する際に、核酸によって「形質転換される」。核酸を細胞へ輸送する任意の方法を用いることができる;その語は、本文書中に別に指定しない限り、核酸を細胞へ送り込む特定の方法を意味せず、また特定の細胞型が輸送の対象であることを意味しない。
「発現調節配列」とは、遺伝子発現(すなわち、転写、RNA形成および/または翻訳)を調節する核酸配列である。発現調節配列は、たとえば、選択された宿主細胞または生物(たとえば、原核および真核宿主の間で)、転写単位の種類(たとえば、どのRNAポリメラーゼが配列を認識しなければならないか)、その遺伝子が通常発現される細胞型(および、今度は、その細胞型に通常存在する生物因子)に応じて変わりうる。
「プロモーター」はそのような発現調節配列の1つであり、および、ここでは、下流(3')核酸配列の転写を調節、制御および/または指示する一連の核酸配列をいう。ここでは、プロモーターは、ポリメラーゼII型プロモーターの場合におけるTATA配列のような、転写開始位置に近い必須の核酸配列を含む。
「構成性」プロモーターとは、大部分の環境条件および発生条件下で活性なプロモーターである。「誘導性」プロモーターとは、少なくとも1つの環境条件または発生条件下で不活性でありおよびその条件を変えることによって「動作」に切り替えることができるプロモーターである。「組織特異的」プロモーターは、ある生物の特定の組織型において活性であるが、同一の生物に由来する別の組織型においては活性でない。同様に、発生に調節されるプロモーターは宿主生物の、全部でなく一部の発生段階中に活性である。
発現調節配列はまた、転写開始部位から数千塩基対も離れて位置しうる遠位エンハンサーまたはレプレッサー配列を含みうる。それらはまた、RNA形成(たとえば、適切な場合には、キャッピング、スプライシング、3'末端形成、およびポリアデニル化);翻訳(たとえば、リボソーム結合部位);および翻訳後修飾(たとえば、グリコシル化、リン酸化、メチル化、プレニル化、など)に必要な配列を含む。
「調節可能に結合した」の語は、核酸発現調節配列(たとえばプロモーター、または一連の転写因子結合部位)と第2の核酸配列との間の機能的結合をいい、ここで発現調節配列が第2の配列に相当する核酸の転写を指示する。
本文書で言及したポリペプチドを発現するために、すべてのベクターおよび発現調節配列が等しく良好には機能しないことはもちろん理解すべきである。また、同一の発現系を用いて、すべての宿主が等しく良好には機能しない。しかし、当業者は、必要以上の実験なしに、および本発明の範囲を離れることなく、これらのベクター、発現調節配列および宿主間の選択を行うことができる。たとえば、ベクターの選択において、ベクターは宿主内で複製されるため宿主は典型的には考慮されるべきである。ベクターのコピー数、そのコピー数を調節する能力、もしあれば、組み込みを調節する能力、およびそのベクターによってコードされる抗生物質または他の選択マーカーといった他のタンパク質の発現もまた考慮されるべきである。
発現調節配列の選択において、さまざまな因子もまた考慮されるべきである。これらは、たとえば、プロモーター配列の相対強度、その調節可能性、および本発明に記載されるペプチドのDNA配列との、特に可能な二次構造に関する適合性を含む。単細胞宿主は、選択されたベクターとの宿主の適合性、医薬組成物に用いられる糖タンパク質をコードするDNA配列によってコードされる産物の毒性、それらの分泌特性、ポリペプチドを正しく折りたたむ能力、発酵または培養の栄養要求性、およびそのDNA配列によってコードされる産物の、単細胞宿主からの生成の容易さの検討に基づいて選択すべきである。
これらのパラメータの中で、発酵または他の大スケール培養に際して、医薬組成物に用いられる産物をコードするDNA配列を発現する、さまざまなベクター/発現調節配列/宿主の組合せを当業者は選択することができる。
本発明に記載されるポリペプチドは、本文書中に別に記載するさまざまな従来法のうち任意のものを用いて、発酵または細胞培養から単離し、および精製することができる。当業者は、本発明の範囲を離れることなく、最も適した単離および精製方法を選択することができる。ポリペプチドが膜結合型であるかまたはリポタンパク質であるとみられる場合は、ポリペプチドは、そのようなタンパク質について本分野で既知である方法を用いて、たとえば、さまざまな適当な界面活性剤の内任意のものを用いて、単離することができる。
目的のタンパク質の機能が実験によって一旦知られるかまたは検証されたならば、たとえば目的の低存在量タンパク質といった目的のタンパク質、そのアミノ酸配列、その機能および/または生物活性、その付随するヌクレオチド配列、およびその付随するヌクレオチド配列を持つクローニングベクターおよび発現ベクターを対象とする国内または国際特許を出願することによって保護されうる、有用な知的所有権を持つことができる。特に、目的のタンパク質の検証された機能は、国内または国際特許を得るための有用性必要条件を実際に確立しうる。上記の工程によって生成された情報、特に、低存在量タンパク質といった目的のタンパク質の検証された機能はまた、たとえば、製薬企業、バイオテクノロジー企業、データベースサービス、バイオインフォマティクス企業、または私立または公立の研究所といった第三者ユーザーへ配布または伝達することができる。本発明は、図20(C)(11−12)に示す通り、オルガネラタンパク質の分析および分離、および、その低存在量タンパク質の検出および/または同定に関する情報は、データベースへ供給、送信、またはそこで保存して、後の時点で同一のまたは別のユーザーによって評価することができることをさらに考慮する。
本発明はさらに、それぞれファクシミリ、電子メール、電話、またはワールドワイドウェブといった国際通信ネットワークによるようなデジタル方式によって伝達される、たとえば同定されたタンパク質のアミノ酸配列または前記の同定されたタンパク質をコードする核酸分子、特定の1または複数のオルガネラの疾患関連プロテオームプロファイルに関する情報、たとえば医薬といった特定の刺激の適用に際した特定の1または複数のオルガネラのプロテオームプロファイルにおける変化に関する情報を開示するデータを伝達する方法を包含する。たとえば、データは、ウェブサイト投稿を経由してたとえばそこへの購読または選択/保護アクセスによって、および/または電子メールを経由しておよび/または電話、IR、ラジオ、テレビまたは他の周波数シグナルを経由して、および/またはケーブルおよび/または衛星通信による電子シグナルを経由して、および/またはディスク、コンパクトディスク(CD)、コンピューター、ハードドライブ、または電子的形態の情報の入った他の装置の移動を経て、および/または書面形式の情報の、たとえば、ファクシミリ伝送を経由した伝達などによって、伝達することができる。したがって、本発明は、本発明に従って実施しおよびそこから情報を;たとえば、そのデータまたは情報の一部または全部を、たとえば、治療薬、測定法および診断検査およびその他といった製品の製造に利用する、1以上の相手へ伝達する使用者を包含する。本発明は、本発明の方法および/または方法の使用に由来する情報を含むデータまたは情報を保存または受信または送信するための、ディスク、CD、コンピューター、または他の装置または手段を包含する。したがって、本発明は本文書で考察される方法を実施しおよびその結果を伝達することを含む、情報を伝達するための方法を包含する。
さらに、本発明は、有利にたとえば料金といった代償と交換に、本文書の方法またはオルガネラ、タンパク質、化合物、組成物、またはそれらに由来する製品の一部または全部を実施または使用し、およびその1または複数の結果を通信または伝達または公表することを含む事業を行う方法を包含する。有利に、情報の通信、伝達または公表は、電子的手段を経由する、たとえば、インターネットまたは電子メールを経由するか、または本文書で考察する任意の他の伝達手段による。したがって、本発明は、オルガネラ、タンパク質、組成物、化合物、およびそれらに由来する製品、および本発明の方法を含む事業を行う方法を包含する。
したがって、第一者「クライアント」は、第二者「ベンダー」の情報を、たとえば、本文書で述べられた伝達手段のうち任意のものを経由して(予め用意された情報または低存在量タンパク質の特定のアミノ酸配列に関して特に注文された情報)、たとえばインターネット経由(たとえばウェブサイトへ打ち込まれた請求)または電子メール経由のように電子的手段を経由して情報を請求するように、請求することができる。ベンダーはその情報を、たとえば、本文書で述べられた伝達手段のうち任意のものを経由して、有利にはインターネット(たとえば保護または購読または選択アクセスウェブサイト)または電子メールといった電子的手段を経由して、送信することができる。情報は、本文書の方法の一部または全部を実施すること、または請求に応じた本文書の方法の使用、または本文書の方法の一部または全部を実施し、および本文書の方法の一部または全部を実施することまたは本文書のアルゴリズムの使用に由来する情報のライブラリを作製することに由来しうる。請求への対応は、したがって、クライアントにライブラリへのアクセスを許可すること、または請求に対応したライブラリからデータを選択することによることができる。
したがって、本発明はさらに、本文書の方法または装置を実施または使用することに由来する、たとえば電子的形式(たとえば上述の伝達形式)の、情報の収集物を包含する。
本発明は、加えて、本発明およびその多数の利点のよりよい理解を与える下記の説明的で非限定的な実施例によって説明される。
下記の実施例は、さまざまな実施形態を本発明に従って説明するために示される。下記の実施例は、しかし、決して本発明を限定しないことが意図される。
実施例1.肝組織からのミトコンドリア、ゴルジ、小胞体、および原形質膜の並行単離、精製および濃縮
肝臓のホモジナイズ。約100gのラット肝臓を、組織単離前に一夜絶食させた雄のウィスターラット(150〜200g)から採取した。肝臓は、5容のホモジナイズ緩衝液(0.5Mショ糖、20mM HEPES−KOH、5mM MgCl、Roche社のEDTA非含有プロテアーゼ阻害剤混合物を添加)中で、ワーリングブレンダー(10秒間低速、10秒間高速、および10秒間低速)を用いてホモジナイズした。ホモジナイズ後に、核分離後の上清が、4〜5000×gにて10分間の遠心分離によって得られた。第1の核分離後の遠心後に、上清を慎重にデカントした。核分離後の上清は等しい容量の希釈緩衝液(20mM HEPES−KOH、pH 7.2、5mM MgCl)の添加によって、等張条件へ平衡化させた。
連続流超遠心分離。連続流遠心分離のために、ショ糖勾配をPK3−800ローター中に作成し、その後にラット肝ホモジネートを装置に供給した。約20ml/分の流速を使用し、およびPKIIは、最初は1回目の通過について20,000rpmにて、および次いで2回目の通過について最大速度40,000rpmにて操作した。流出液からの試料を採取しおよび後で測定して、標的オルガネラについて捕捉効率を決定した。オルガネラに、すべてのホモジネートが系へ供給された後に追加の時間を与え、バンド形成密度へ到達させた。ローターを制御により停止させ、およびローター内容物を底部から25ml部分標本として取り出した。
別の実験では、PK3−800ローターを緩衝液(250mMショ糖、20mM HEPES−KOH、pH 7.2、5mM MgCl)で満たし、およびローターを10,000rpmにて回転することによって系から空気を除去した。空気が系から無くなるまで、ラインを通る流速を300ml/分へ増加させおよびローターを通る流れを数回逆転させた。ローターを停止させ、および勾配物質(すなわちショ糖)を、ローター容量の半分を満たすまでポンプで入れた(約400ml)。
自動操作下でローターを最大速度(35,000rpmまたは40,000rpm)へ加速した。緩衝液の流速は約40ml/分にて勾配形成の間は維持された。ホモジネートプールが処理のため一旦準備できたら、ローター速度は20,000rpmへ低下された。ホモジネートは20ml/分にて供給し、および流出物質は回収しおよび後での分析のため試料を保存した。
供給を切り替えて緩衝液に戻し、およびローター速度を35,000または40,000へ高めた。20,000rpm供給から回収された流出液を、次いでPKIIへ20ml/分にて再供給した。流出液は回収しおよび後での分析のため試料を保存した。
供給を切り替えて緩衝液に戻し、およびラインを空にした。次いで流れを止め、およびローター内の物質を45分間または2時間バンド形成させた。ローターを制御により停止させ、および画分を直ちに回収した。部分標本を調製しおよび−80℃にて保存した。作業用部分標本は即時の分析のために4℃に維持した。
遠心分離後のオルガネラの同定。遠心分離後に、単離されたオルガネラの全体性、分離、および濃縮を、ウェスタンブロッティング、酵素測定法および電子顕微鏡法によって判断した。これらの実験の結果を図3〜6に要約する。
図3は、ミトコンドリア、ゴルジ、小胞体、および原形質膜およびその亜型の、これらのオルガネラの上述の通りの分離および蓄積後の、ショ糖勾配の異なる画分中の相対分布を示す。図のX軸は、オルガネラ含量について測定した画分のそれぞれに対応する。Y軸は、対応するショ糖勾配画分で検出された、これらのオルガネラおよびその亜型のそれぞれについて調べた勾配の範囲内の集団と相対的な、これらの4種類のオルガネラおよびその亜型の割合を示す。Y2軸は、勾配の対応する画分それぞれについてショ糖の割合を示す。図3は、勾配中の異なるおよび明確な位置における、これらのオルガネラおよびその亜型それぞれの分布を示す。
図4は、ミトコンドリア、ゴルジ、小胞体、および原形質膜およびその亜型の、これらのオルガネラの上述の通りの分離および蓄積後の、ショ糖勾配の異なる画分中の相対濃縮を示す。図のX軸は、相対オルガネラマーカー反応について測定した画分のそれぞれに対応する。Y軸は、対応するショ糖勾配画分で検出された、これらのオルガネラおよびその亜型のそれぞれについて調べた勾配の範囲内の集団と相対的な、これらの4種類のオルガネラおよびその亜型の相対オルガネラマーカー反応(ピクセル)を示す。Y2軸は、勾配の対応する画分それぞれについてショ糖の割合を示す。図4は、本発明の方法を用いて、勾配中の異なるおよび明確な位置における、これらのオルガネラおよびその亜型それぞれの相対濃縮を示す。
図5は単離されたオルガネラの高い全体性レベルを示す(典型的に本分野で見られる値を上回る)。データは、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ装置、および原形質膜、およびその亜型がそれぞれ、76.3%(小胞体)、72.6%(ミトコンドリア)、89.3%(ゴルジ)、および72.7%(原形質膜)の全体性レベルを達成したことを示す。全体性は、本発明のオルガネラ調製物の可溶相と不溶相の間の、オルガネラ特異的酵素活性のレベルを比較することによって測定した。不溶性画分(オルガネラ)の酵素活性は、可溶性画分(上清)および不溶性画分の両方について測定された総酵素活性と相対的に比較した。
小胞体についての全体性は、定量的酵素測定法、オルガネラ特異的マーカータンパク質に対するウェスタンブロット、および電子顕微鏡実験によって全体的に決定した。特に、沈澱および上清は、オルガネラ特異的マーカー酵素およびタンパク質について並行して測定した。沈澱中のマーカーの、60%を超えるレベルでの検出は、完全性/全体性を示す。対照的に、上清中でのマーカータンパク質の検出は、オルガネラの外周に障害が生じていることを示す徴候である。ウェスタンブロットについては、オルガネラ特異的マーカーを検出するために、純度を測定する方法に用いられたのと同一の抗体を用いた。具体的には、抗BiP/GRP78抗体(BD BIOSCIENCES)を用いて小胞体を検出した。
透過型電子顕微鏡法(TEM)もまた、オルガネラの全体性をその形態(大きさ、形、構造的構成)に関して定性的に特徴づけるために用いられ、形態は機能と相関する。オルガネラ完全性を電子顕微鏡法によって判断するために、分画手順に由来する試料を、以降の操作からの損傷の可能性を回避するために、遠心分離機運転の直後に回収した。試料は、各オルガネラについて文献で報告されている予想密度範囲に基づいて選択した。選択された画分を沈澱し、および4%ホルムアルデヒド、1%グルタルアルデヒドを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4の溶液で固定し、および調製に必要になるまで4℃にて保存した。試料を包埋し、切片を作製し、酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛を用いて染色し、およびZeiss電子顕微鏡を用いて観察した。
図6は、粗抽出物試料および上記の分画方法後の小胞体画分のTEMを比較する。粗抽出物のTEMと比較して、ER画分中に存在する細胞内構造はほぼ小胞体のみであることが認められる。この観察は、本発明の分画方法によって得られる高い程度の純度および濃縮を定性的に明らかにする。調べてみるとさらに、粗試料およびER試料の両方においてオルガネラの超構造は外観上高度に完全であり、定量的に決定された高レベルの全体性と一致する(図2)。
実施例2.HeLa細胞からのプロテオーム分析のためのミトコンドリア、小胞体、ゴルジ、および原形質膜の並行単離、精製および濃縮
HeLa細胞は重炭酸ナトリウム(Amresco,#0865)、10%ウシ胎仔血清(Paragon BioServices,#30101121)および50ug/mlゲンタマイシン(Amresco,#0304)を添加したJoklik改変SMEM(Sigma,#61100−103)中で培養した。細胞はローラーボトルから40L完全制御バイオリアクターへ、200Lバイオリアクターへの接種のためにスケールアップした。リアクターは1.0×10細胞/mlの密度で播種した。
3日後、細胞をリアクターから採集し、および十字流ろ過によって8リットルの容量へ濃縮し、それを続いて2000rpmにて12分間遠心分離した。細胞沈澱をDPBS(Invitrogen,#14190−136)で洗浄および再懸濁し、および次いで再び2000rpmにて12分間遠心分離した。上清を除去し、および細胞沈澱を−80℃にて30gの部分標本で保存した。
HeLa細胞沈澱を−80℃保存から取り出した。沈澱を融解し、プールし、および5容のホモジナイズ緩衝液(0.25Mショ糖、20mM HEPES−KOH、pH 7.2、5mM MgCl、Roche社のEDTA非含有プロテアーゼ阻害剤混合物)中で、Dounceホモジナイザー(25回)を用いてホモジナイズした。ホモジナイズ後に、核分離後の上清が、4000×gにて10分間の遠心分離によって得られた。第1の核分離後の遠心後に、上清をデカントした。核の沈澱を次いで、ブレンダー(10秒間低速、10秒間高速、および10秒間低速)(緩衝液5容の中で)および上記で用いたのと同一の遠心分離パラメータを用いて再処理し、第2の核分離後の上清を生じた。第2の核分離後の上清をデカントし、および第1の核分離後の上清と合わせた。結果として生じたプールされたホモジネートは、オルガネラの分画のためにPKIIに使用した。粗ホモジネートの部分標本は、後での分析のために−80℃にて保存した。
所定の画分のオルガネラ総含量を測定しおよび画分間で比較するため、各試料についての屈折率を、アッベ屈折計を用いて測定した。パーセント(%)ショ糖は、屈折率測定値から計算することができる。代替的に、パーセント(%)ショ糖は、CRC Handbook of Chemistry and Physics (Ed.R.Weast,CRC Press Inc.,58th Edition)といった参考書中の、パーセントショ糖に対する屈折率の変換表によって得ることができる。図11は、ホモジナイズおよび遠心分離されたHeLa細胞の、回収された遠心分離後画分についてのパーセントショ糖含量を表す。この図は、図7および8(下記)に図辞された画分および本実施例と直接に関係する。
単離されたオルガネラの完全性および濃縮を試験するために、単離された画分を、電子顕微鏡法分析、ウェスタンブロッティングおよびコハク酸デヒドロゲナーゼ酵素測定法の組合せに供した。
オルガネラ単離の完全性について試験するために、分画由来の試料を、以降の操作からの損傷の可能性を回避するために、運転の直後に回収した。試料は、各オルガネラについて文献で報告されている予想密度範囲に基づいて選択した。選択された画分を沈澱し、および4%ホルムアルデヒド、1%グルタルアルデヒドを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4の溶液で固定し、および調製に必要になるまで4℃にて保存した。試料を包埋し、切片を作製し、酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛を用いて染色し、およびZeiss電子顕微鏡を用いて観察した。
ウェスタンブロッティングおよび酵素測定法を標準化するため、オルガネラ含有画分のタンパク質濃度をブラッドフォード測定法(BIO−RAD、#500−0006)によって測定した。試料はクマシー試薬と共に5分間室温にてインキュベートし、および吸光度を測定した(595nm)。標準曲線はBSA(Pierce、#23210)を用いて作製した。
オルガネラ含有画分のタンパク質濃度を測定後、その画分は、各画分を既知のオルガネラ特異的マーカーに対する抗体を用いてウェスタン(イムノブロット)ブロットによってスクリーニングすることによって、オルガネラ組成に関して確認した。オルガネラ含有画分からの等量のタンパク質抽出物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、次いで適当な抗体を用いてオルガネラ特異的マーカーの検出を行った。たとえば、抗Tom20抗体(BD BIOSCIENCES)を用いてミトコンドリアを検出し、抗GM130/P115抗体(BD BIOSCIENCES)を用いてゴルジを検出し、抗BiP/GRP78抗体(BD BIOSCIENCES)を用いて小胞体を検出し、および抗NaKATPアーゼ抗体(アイオワ大学)を用いて原形質膜を検出した。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動を実施するために、試料は1.0mm×10ウェルまたは1.5mm×15ウェル、4〜12%ビス−トリス勾配ミニゲル(INVITROGEN、#NP0335またはNP0323)のどちらかに負荷する前に、4×NuPAGE SDS試料緩衝液(INVITROGEN、#NP0007)および50mM DTTと混合した。試料は約40分間150VにてMES SDS泳動緩衝液を用いて電気泳動した。総タンパク質分析については、ゲルはクマシーブルー含有40%メタノール、10%酢酸中で0.5時間染色し、および続いて10%メタノール、10%酢酸溶液中で脱色した。免疫反応バンドはECL検出(#RPN2108、ECLウェスタンブロッティング分析システム、AMERSHAM,INC.)を用いて検出し、およびKodakデジタルサイエンス1D画像分析ソフトウェア(KODAK)を用いて定量した。
ウェスタンブロッティングに加えて、酵素測定法、たとえば、コハク酸デヒドロゲナーゼ酵素測定法を、回収された画分の単離されたオルガネラの全体性をさらに評価するために実施した。これらの実験のために、オルガネラ画分の試料各50ulをコハク酸ナトリウム(Sigma、#S2378)の0.01M溶液を含む0.05Mリン酸緩衝液、pH7.5の0.3mlと共にインキュベートした。37℃にて10分間のインキュベート後、p−ヨードニトロテトラゾリウムバイオレット(INT)(Sigma、#18377)の2.5mg/ml溶液を含む0.05Mリン酸緩衝液、pH7.5の0.1mlを加えた。チューブを37℃にて10分間インキュベートした。反応を、5:5:1(v,v,w)の比の酢酸エチル:エタノール:トリクロロ酢酸の1.0mlの添加で停止した。吸光度を490nmにて測定する前に、チューブを15,000rpmにて1分間遠心分離した。これらの実験の結果を図7〜11に要約する。
図7は、ミトコンドリア、小胞体、および原形質膜およびその亜型の、これらのオルガネラの上述の通りの分離および蓄積後の、ショ糖勾配の異なる画分中の相対分布を示す。図のX軸は、オルガネラ含量について測定した画分のそれぞれに対応する。Y軸は、対応するショ糖勾配画分で検出された、これらのオルガネラおよびその亜型のそれぞれについて調べた勾配の範囲内の集団と相対的な、これらの3種類のオルガネラおよびその亜型の割合を示す。Y2軸は、勾配の対応する画分それぞれについてショ糖の割合を示す。図7は、勾配中の異なるおよび明確な位置における、これらのオルガネラおよびその亜型それぞれの分布を示す。
図8は、ミトコンドリア、小胞体、および原形質膜およびその亜型の、これらのオルガネラの上述の通りの分離および蓄積後の、ショ糖勾配の異なる画分中の相対濃縮を示す。図のX軸は、相対オルガネラマーカー反応について測定した画分のそれぞれに対応する。Y軸は、対応するショ糖勾配画分で検出された、これらのオルガネラおよびその亜型のそれぞれについて調べた勾配の範囲内の集団と相対的な、これらの3種類のオルガネラおよびその亜型の相対オルガネラマーカー反応(ピクセル)を示す。Y2軸は、勾配の対応する画分それぞれについてショ糖の割合を示す。図8は、本発明の方法を用いて、勾配中の異なるおよび明確な位置における、これらのオルガネラおよびその亜型それぞれの相対濃縮を示す。
実施例3:HeLa細胞を用いた比較濃縮試験
上記の実施例2で示した実験条件を参照して、比較濃縮を下記のデータに従って試験した。
図9および10は、本発明の方法によって達成される濃縮のレベル比較を示す。濃縮は、オルガネラ特異的マーカーおよび/または酵素のウェスタンブロットまたは酵素測定法を用いることによって、特定の目的画分からのシグナル/活性を別の画分または分画前の生物試料の元の粗抽出物中に存在するシグナル/活性と対照して、定性的に測定することができる。相対濃縮は、別のオルガネラ画分と相対的な、オルガネラ画分中のマーカータンパク質の蓄積に基づいて測定することができる。さらに、濃縮は、目的オルガネラについてのオルガネラ特異的マーカー酵素の、別の画分または粗ホモジネート中の同一マーカーの活性と相対的な、活性によって測定することができる。図9は、抗NaKATPアーゼ抗体によって生物試料の画分のそれぞれから検出された、NaKATPアーゼのウェスタンブロットを示す。
図10は、試料の画分のそれぞれからの、NaKATPアーゼの測定レベルを示す。図9および10の比較は、画分14および15がNaKATPアーゼの最高の相対レベルを有することを示す。NaKATPアーゼは原形質膜についてのオルガネラ特異的マーカーであるため、本データは画分14および15が原形質膜の最高の濃度を有することを示唆する。
オルガネラ全体性および濃縮をウェスタンブロッティングおよび/または酵素測定法によって測定するために、最初に、タンパク質含量をブラッドフォード法に基づく測定法(Bio−Rad、#500−0006)によって測定した。試料はクマシー試薬と共に5分間室温にてインキュベートし、および吸光度を測定した(595nm)。標準曲線はBSA(Pierce、#23210)を用いて作成した。
ウェスタンブロッティングの前に、試料は1.0mm×10ウェルまたは1.5mm×15ウェル、4〜12%ビス−トリス勾配ミニゲル(INVITROGEN、#NP0335またはNP0323)のどちらかに負荷する前に、4×NuPAGE SDS試料緩衝液(INVITROGEN、#NP0007)および50mM DTTと混合した。試料は約40分間150VにてMES SDS泳動緩衝液を用いて電気泳動した。総タンパク質分析については、ゲルはクマシーブルー含有40%メタノール、10%酢酸中で0.5時間染色し、および続いて10%メタノール、10%酢酸溶液中で脱色した。
ポリアクリルアミドゲル電気泳動を実施するために、試料は1.0mm×10ウェルまたは1.5mm×15ウェル、4〜12%ビス−トリス勾配ミニゲル(INVITROGEN、#NP0335またはNP0323)のどちらかに負荷する前に、4×NuPAGE SDS試料緩衝液(INVITROGEN、#NP0007)および50mM DTTと混合した。試料は約40分間150VにてMES SDS泳動緩衝液を用いて電気泳動した。総タンパク質分析については、ゲルはクマシーブルー含有40%メタノール、10%酢酸中で0.5時間染色し、および続いて10%メタノール、10%酢酸溶液中で脱色した。免疫反応バンドはECL検出(#RPN2108、ECLウェスタンブロッティング分析システム、AMERSHAM,INC.)を用いて検出し、およびKodakデジタルサイエンス1D画像分析ソフトウェア(KODAK)を用いて定量した。コハク酸デヒドロゲナーゼ酵素測定法のために、ホモジネート各50ulを、コハク酸ナトリウム(Sigma.#S2378)の0.01M溶液を含む0.05Mリン酸緩衝液、pH7.5の0.3mlとインキュベートした。37℃にて10分間のインキュベート後、p−ヨードニトロテトラゾリウムバイオレット(INT)(Sigma、#18377)の2.5mg/ml溶液を含む0.05Mリン酸緩衝液、pH7.5の0.1mlを加えた。チューブを37℃にて10分間インキュベートした。反応を、5:5:1(v,v,w)の比の酢酸エチル:エタノール:トリクロロ酢酸の1.0mlの添加で停止した。吸光度を490nmにて測定する前に、チューブを15,000rpmにて1分間遠心分離した。
実施例4.オルガネラ画分の細胞内プロテオームの2Dゲル電気泳動および質量分析による分析が新規タンパク質を明らかにする
実施例1および2によって与えられる画分のオルガネラの細胞内プロテオームを、2Dゲル電気泳動および質量分析によってさらに分析した。細胞内オルガネラプロテオームを分析するため、タンパク質は二次元ゲル電気泳動(「2D−GE」)によって分離した。2D−GEはタンパク質の複雑な混合物を分離するための強力な手法であることが当業者によって認められる。電場の中のすべてのタンパク質は、その立体配座、分子サイズ、および電荷に応じた一定の距離を移動する。2D−GEはこれらのパラメータのうち後2者を、タンパク質の高分解能分離を可能にするために利用する。第1の次元では、等電点電気泳動が用いられ、タンパク質をその等電点に基づいて分離する。第2の次元では、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動が用いられ、タンパク質をその分子量に従って分画する。結果は、XおよびY座標を割り当てられたタンパク質スポットの配列である。
ここでは、オルガネラ溶解に続いての、オルガネラタンパク質抽出物の分離は、2D−GEによって実施され、および検出はクマシーブルー、銀染色またはサイプロ・ルビー(登録商標)(MOLECULAR PROBES)のどれかを用いた。オルガネラタンパク質抽出物は、すべてクマシーブルー、銀、またはサイプロ・ルビー(登録商標)で染色した、2D−GEゲル上で分画された未分画粗抽出物と相対的に比較した。2Dゲルのデジタル画像は、Z3(登録商標)ソフトウェア(COMPUGEN)またはProgenesis(登録商標)ソフトウェア(NON LINEAR)を用いて作成および注記した。結果として生じた画像は重ね合わせ、共通のおよび新規スポット、特に低存在量タンパク質を同定した。
等電点電気泳動工程は、Bio−Radの7cmのIPGストリップを用いて全pH範囲(3〜10)にわたって実施した。SDSPAGEは次いでプレキャストNuPAGE4〜12%ビス−トリスズームゲルを分子量標準品と共に用いて実施した。試料は2連で泳動し、一方のゲルはクマシーで、および他方のゲルは銀で染色した。オルガネラ画分および粗ホモジネートは、2−Dゲル中間物を用いて質量分析に供し、およびMALDIによって分析した。
図12は、実施例1のラット肝組織の粗抽出物(A)、および小胞体画分(B)のタンパク質スポットパターンを比較する。粗抽出物ゲルと比較して、小胞体ゲルは、顕著に大きなプロテオーム内容、すなわち、より多数の目視できるおよび/または検出可能なタンパク質またはポリペプチドスポットを示す。
小胞体画分の分析について図12で示す2Dゲル結果に加えて、同様の2Dゲル分析を、ミトコンドリア、原形質膜、およびゴルジ装置を含む画分について実施した(データ記載せず)。結果として生じる2Dゲルはさらに質量分析によって分析した。図12(A)のゲルのいくつかのスポット、およびミトコンドリア、原形質膜、およびゴルジ装置画分についてのゲルを、質量分析によって分析した。各スポットについて測定された、結果として生じるペプチドプロファイルを、たとえばGENBANKおよびSWISS−PROTといった既知のペプチドプロファイルデータベースに対して比較し、タンパク質スポットの同一性を、もしあれば、決定した。
結果は、粗抽出物の2Dゲル中に存在しないかまたは検出できない多数のタンパク質を、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ装置、および原形質膜画分中に検出できたことを示した。さらに、オルガネラ画分のそれぞれの2Dゲル上に見出されたタンパク質は、広い範囲の分子量,すなわち約80〜125kDの高分子量から約20kD未満の低分子量を有することが見出された。従って、結果は、本発明の方法はどれか特定の分子量に関して偏らないまたは限定されないことを示唆する。開始生物材料の2Dゲル上に観察できず、および、オルガネラ含有画分の2Dゲル上では低強度であったいくつかのタンパク質スポットを、質量分析によって分析した。HeLa細胞(データ記載せず)およびラット肝組織の両方に由来する試料を調べた。ラット肝組織について調べたタンパク質スポットのうち、約50%がSWISS−PROTに寄託されたタンパク質と合致することが見出された。また、タンパク質スポットの約50%の同一性は、配列分析およびGENBANK中の既知の配列に対する比較によって確認された。必要に応じて、非ラットデータベースについてホモロジー検索を実施した。ラット肝組織からの結果を図21Aおよび21Bに示す。
既存のデータベース中の既知のタンパク質に対する一致を有するタンパク質の同一性に基づき、本発明の方法は、代謝酵素、プロテオソーム成分、翻訳因子、受容体、免疫成分(補体)、およびリボソームタンパク質を含むさまざまなタンパク質を検出した。
実施例5.ゴルジおよび原形質膜画分の細胞内プロテオームの2Dゲル電気泳動および質量分析による分析は、ペプチジル−プロリルcis−transイソメラーゼ(シクロスポリンA結合タンパク質)の翻訳後変異体または他の変異体の検出を実証する
実施例2に記載のHeLa細胞から単離されたゴルジ装置および原形質膜を含む別々の画分、およびHeLa粗抽出物を、2Dゲル電気泳動および質量分析によって分析した。画分は溶解されてオルガネラに含まれたタンパク質を放出した。ブラッドフォード測定法(Bio−Rad、#500−0006)を用いて、ゴルジ試料、原形質膜試料、および粗抽出物試料に含まれるタンパク質濃度を測定した。次に、上記に概説した通り、試料それぞれに由来するタンパク質の等しい量について2Dゲル電気泳動を実施した。前述の通り、2Dゲルは適当に染色してタンパク質スポットを可視化し、および次いでProgenesis(登録商標)ソフトウェア(NON LINEAR)によって画像処理した。
図13Bは、粗抽出物、ゴルジ画分、および原形質膜画分の2Dゲル電気泳動の結果を示す。それぞれが3つの独立した2Dゲルから3連で与えられている。図13Aはゴルジ試料3の拡大を示し、およびタンパク質スポット12、13、および14を示す。スポット12、13、および14はゴルジおよび原形質膜画分の両方で認められるように見える;しかし、同一のスポットは粗抽出物試料においては認められない。したがって、スポット12、13、および14は、低存在量タンパク質に相当する可能性が高い。
質量分析をスポット12、13、および14について実施し、それらに含まれるポリペプチドを同定した。図14は、ペプチドスポットのそれぞれについての質量分析データを示す。表は各スポットについて、検出されたペプチド断片の配列(左から右へN末端からC末端への方向で示す)および各断片についての平均分子質量の両方を列記する。図14を検討すると、同一のまたは実質的に重複するペプチド断片が検出されているのを認めることができ、そのことは、スポット12、13、および14のそれぞれが同一のタンパク質であることと合致する。したがって、タンパク質のそれぞれは同一のまたは実質的に同一の分子質量であり、これはそれらのゲル上端からの等しい移動距離と合致する。しかし、2Dゲル電気泳動はタンパク質を2つの次元で、すなわち一方向では分子質量に基づいておよびもう一方向では電荷に基づいて分離するため、そのタンパク質の総電荷は、電気泳動によって分離される程度まで異ならなければならない。したがって、この観察は、タンパク質スポット12、13、および14が、同一のタンパク質の3つの異なる翻訳後変異型または他の変異型であることを示唆する。おそらく、1つのスポットが未修飾タンパク質産物に相当し、および残りのスポットが2種類の独自の翻訳後修飾されたかまたはアミノ酸置換された変異体に相当する。おそらく3つすべてが異なる変異体に相当する。
その結果は本発明の2つの利益を実証する。まず、結果は、低存在量タンパク質、たとえば、粗抽出物中では検出できないが本発明の方法によって調製されたオルガネラ画分中では検出されるタンパク質の、検出における感度の増大を示す。次に、結果は、本発明の分画方法は、低存在量タンパク質の異なる変異体の分離および検出の向上を与えることを実証し、プロテオームの複雑性の多くがタンパク質翻訳中またはその後に起こるタンパク質の多数の修飾に由来することを考慮すると(このことは、たとえば、酵素活性、溶解度、および安定性といったタンパク質の特徴を変化させる)、このことは長所である。
実施例6.さまざまなオルガネラ画分の細胞内プロテオームの2Dゲル
電気泳動および質量分析による分析
二次元ゲル電気泳動が、本発明の方法に従って調製されたさまざまなオルガネラ画分について実施された。結果として生じるゲルは適当に染色し、およびProgenensis(登録商標)ソフトウェアを用いて前述の通り画像処理した。質量分析は上記の通り複数のタンパク質スポットについて実施した。各タンパク質スポットについて同定された、結果として生じたペプチド断片は、GENBANKおよびSWISS−PROTを含む既存のデータベースに含まれるタンパク質の配列と比較した。
図15、図16、図17、および図18はそれぞれ、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ、および原形質膜についての結果を示す。各図で、図Aはオルガネラ画分のそれぞれについて、分離された細胞内プロテオームの完全な2Dゲル画像を示す。完全な粗抽出物ゲルは示していない。丸印は、質量分析によって検出されたタンパク質スポットの位置を示す。また各図について、図Bは3つの個別の2Dゲルについて、3連の図Aのゲルの局部的部分を示す。図Bの上列は、同様に3つの個別の2Dゲルから3連で示される、粗抽出物2Dゲルの対応する部分図を示す。
粗抽出物およびオルガネラ画分2Dゲルの部分画像の比較から、多数のタンパク質スポットが、オルガネラ画分の図では見えるが、粗抽出物の図には存在しないことがわかる。特に、各オルガネラの2Dゲルには存在しないタンパク質スポットは、オルガネラ画分ゲル画像のそれぞれについて丸で囲んである。したがって、このことは、オルガネラ画分ゲル中に存在しているタンパク質スポットは、粗抽出物試料中では検出できないタンパク質であることを示唆する。図Aでは、各図のゲルの各スポットは質量分析によって前述の通り分析された。
本実施例は、本発明の分画方法が、本発明の方法によって調製された細胞内画分中のタンパク質の検出を提供し、前記タンパク質が対応する粗抽出物中に検出されないことを実証する。
実施例7.以後のプロテオーム比較試験のための健常および疾患膵組織からの小胞体および原形質膜の並行単離、精製および濃縮
膵臓ホモジナイズ。これらの実験のために、20個体の健常および糖尿病ウィスターラット(各150〜200g)は、断頭、解剖および膵臓採取の前に一夜絶食させる。膵臓(合計100グラム)は5容のホモジナイズ緩衝液中でホモジナイズし、およびワーリングブレンダーを用いる機械的せん断法によるホモジナイズに供する。
ホモジナイズ後、ホモジネートを4〜10,000×gにて10〜20分間遠心分離することによって、核分離後の上清を得る。上清を次いで、プロテアーゼ阻害剤を添加した希釈緩衝液の等容量の添加によって等張条件へ調節する。
連続流遠心分離。ラット膵臓ホモジネートを、予め作成したショ糖勾配があるPK3−800ローターに供給する。約10〜30ml/分の流速を使用し、およびPKIIは、最初は1回目の通過について15,000〜25,000rpmにて、および次いで2回目の通過について最大速度40,500rpmにて操作する。遠心分離機運転の終わりに、内容物を底部から25ml画分として取り出す。各画分からの試料を分析し、ERおよび原形質膜といった標的オルガネラについての捕捉効率を決定する。
単離されたオルガネラの全体性および濃度はウェスタンブロッティング、酵素測定法および電子顕微鏡法によって決定する。これらの実験のためには、原形質膜およびERを含む画分を溶解しおよびそれに含まれるタンパク質含量をブラッドフォード測定法(Bio−Rad、#500−0006)によって測定する。試料をクマシー試薬と共に5分間室温にてインキュベートし、および吸光度を595nmにて測定する。標準曲線はBSA(Pierce、#23210)を用いて作成する。
原形質膜およびER含有画分のタンパク質濃度の測定後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動のために、試料は1.0mm×10ウェルまたは1.5mm×15ウェル、4〜12%ビス−トリス勾配ミニゲル(INVITROGEN、#NP0335またはNP0323)のどちらかに負荷する前に、4×NuPAGESDS試料緩衝液(INVITROGEN、#NP0007)および50mM DTTと混合する。試料は約40分間150VにてMES SDS泳動緩衝液を用いて電気泳動する。総タンパク質分析については、ゲルはクマシーブルー含有40%メタノール、10%酢酸中で0.5時間染色し、および続いて10%メタノール、10%酢酸溶液中で脱色する。
画分はオルガネラ組成物の濃度について、原形質膜検出のために抗NaKATPアーゼ抗体および小胞体検出のために抗BiP/GRP78を用いて各画分をウェスタンブロットによってスクリーニングすることによって測定する。画分はECL検出(#RPN2108、ECLウェスタンブロッティング分析システム、AMERSHAM,INC)を用いて特徴づけ、およびKodakデジタルサイエンス1D画像分析ソフトウェアを用いて定量する。
単離されたオルガネラの全体性を評価するためには、走査型電子顕微鏡法(TEM)を用いた。
オルガネラ完全性を電子顕微鏡法によって判断するために、分画手順に由来する試料を、以降の操作からの損傷の可能性を回避するために、遠心分離機運転の直後に回収する。試料は、ERおよび原形質膜について文献で報告されている予想密度範囲に基づいて選択する。選択された画分を沈澱し、および4%ホルムアルデヒド、1%グルタルアルデヒドを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH7.4の溶液で固定し、および以降の調製まで4℃にて保存する。選択後、試料を包埋し、切片を作製し、酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛を用いて染色し、およびZeiss電子顕微鏡を用いて観察する。
加えて、オルガネラ全体性および完全性を判断するために、コハク酸デヒドロゲナーゼ酵素測定法を実施する。これらの実験のために、オルガネラ画分の試料50ulをコハク酸ナトリウム(Sigma、#S2378)の0.01M溶液を含む0.05Mリン酸緩衝液、pH7.5の0.3mlと共にインキュベートする。37℃にて10分間のインキュベート後、p−ヨードニトロテトラゾリウムバイオレット(INT)(Sigma、#18377)の2.5mg/ml溶液を含む0.05Mリン酸緩衝液、pH7.5の0.1mlを加える。チューブを37℃にて10分間インキュベートする。反応を、5:5:1(v,v,w)の比の酢酸エチル:エタノール:トリクロロ酢酸の1.0mlの添加で停止する。吸光度を490nmにて測定する前に、チューブを15,000rpmにて1分間遠心分離した。
インシュリン受容体が健常対糖尿病ラットの膵組織中の原形質膜またはERに局在しているかどうかを判断するために、単離されたオルガネラを溶解し、および結果として生じるタンパク質を、実施例9に記載の通り2−DPAGE分析に供する。健常および糖尿病ラットについてのゲルを次いで比較し、インシュリン受容体の局在を確認する。
実施例8.糖尿病ラットのマレイン酸ロシグリタゾン処理前後のインシュリン受容体の細胞局在の分析。
マレイン酸ロシグリタゾン(別名アバンディア、GSK社)は、2型糖尿病患者へ糖コントロールのために投与されるよく知られた医薬である。この医薬の作用の根本にある分子的基礎は未知であり、および近年の研究は、インシュリン分泌の改善、およびインシュリン受容体存在量およびシグナル伝達における変化での、ロシグリタゾンの役割を示唆した(Diabetes,volume 52,pages 1943−1948,2003)。本実施例は、ロシグリタゾンの分子的基礎、具体的にはインシュリン受容体の細胞局在を変化させる本医薬の役割をさらに解明するための、本発明の使用を説明する。
これらの実験のために、成体ウィスターラットをケージ当たり4個体の群で、試料および水を容易に摂取できるように飼育する。薬物処理はいずれも動物の一般的福祉に影響しないように設計される。マレイン酸ロシグリタゾンは飲水中でラットに投与される。処理の終わりに、ラットは断頭によって屠殺する。膵臓(合計100グラム)を、薬物処理ありまたは無しの、約20個体の糖尿病ラットから採取する。ロシグリタゾン処理無しの糖尿病ラットを対照として用いる。
膵臓のホモジナイズ。ロシグリタゾン処理の前および後のラットから採取した膵臓を、ワーリングブレンダーを使用した機械的せん断法によってホモジナイズする。ホモジネートを4〜10,000×gにて10〜20分間遠心分離することによって、核分離後の上清を得る。上清を次いで、プロテアーゼ阻害剤を添加した希釈緩衝液の等容量の添加によって等張条件へ調節する。
結果として生じたSIホモジネートを、上述と同一の破壊条件および同一の遠心分離条件を用いて再処理して、第2の核分離後の上清を生じる。第2の核分離後の上清は、等張条件と平衡化し、およびPKII(Alfa Wasserman)遠心分離機のための供給材料として使用する。
連続流遠心分離。これらの実験のために、ショ糖勾配をPK3−800ローター中に作成し、その後にラット膵臓ホモジネートを遠心分離機に供給する。約10〜30ml/分の流速を使用し、およびPKIIは、最初は1回目の通過について15,000〜25,000rpmにて、および次いで2回目の通過について最大速度40,500rpmにて操作する。流出液からの試料を捕捉し、およびさらに分析して、ERおよび原形質膜についての捕捉効率を決定する。これらのオルガネラに、すべてのホモジネートが系へ供給された後に追加の時間を与え、密度へ到達させる。ローターを制御により停止させ、および内容物を底部から25ml部分標本として取り出す。
遠心分離後に、単離されたERおよび原形質膜の完全性および濃縮を、ウェスタンブロッティング、酵素測定法および電子顕微鏡法によって、実施例7に記載の通り測定する。
ロシグリタゾン処理の前および後のインシュリン受容体の細胞局在における変化を判断するために、単離されたオルガネラを溶解し、およびさらに、実施例9に記載の通り2−D PAGEに供する。
実施例9:原形質膜およびERプロテオームの2Dゲル電気泳動による分析
実施例7および8によって与えられた画分のERおよび原形質膜の細胞内プロテオームは、2Dゲル電気泳動によってさらに分析される。細胞内プロテオームを分析するために、タンパク質は二次元ゲル電気泳動によって分離される。ERおよび原形質膜抽出物の分離は、オルガネラ溶解に続いて、2D−PAGEによって実施され、および検出はクマシーブルー、銀染色またはサイプロ・ルビー(Molecular Probes)のいずれかによる。2Dゲルのデジタル画像は、Z3ソフトウェア(Compugen)またはProgenesisソフトウェア(Nonlinear)を用いて作成および注記される。結果として生じた画像を重ね合わせて、インシュリン受容体に相当するスポットを同定する。
このように、ERおよび原形質膜のタンパク質スポットパターンを分析し、およびロシグリタゾン処理の前および後の糖尿病膵組織におけるインシュリン受容体局在を、健常膵組織におけるインシュリン受容体局在と比較する。
本実施例は、2Dゲル電気泳動を伴うPKII系によって得られた細胞内画分を組み合わせることが、細胞内プロテオミクスの主要な目標の1つ、すなわち、タンパク質移行現象を監視することを、当業者が達成するのを可能にする方法を説明する。
実施例10.タンパク質を検出するための、細胞に含まれるそのコピー数と相対的な、必要な生物材料の理論量の推定
図22Aおよび22Bは、本発明の連続流処理を用いることの利益を説明する。たとえば、その図は、典型的には細胞に含まれるタンパク質のコピー数について50ngの検出限界に達する必要があった、開始生物材料の具体的な量に必要な蓄積の倍数を示す。一実施形態では、図22Aを参照して1×10(9)細胞の開始生物材料を考えると、細胞当たり1コピーで存在するタンパク質について50ngの検出限界に達するためには、細胞数において819倍の濃縮を用いる必要がある。
本文書に記載された本発明の実施形態との多数の同等物のうち任意のものを、必要以上の実験なしに、当業者は認識するかまたは確認することができる。そのような同等物のすべては本発明の範囲内にあると考えられおよび下記の請求項によって包含される。
別に説明されない限り、本文書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。本文書に記載されたものと同様のまたは同等の方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、適当な方法および材料は下に記載される。本文書で言及されるすべての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により本開示に含まれる。矛盾の際は、用語の説明を含め、本明細書が支配する。加えて、材料、方法、および実施例は一例に過ぎず、および限定的であることは意図されない。
本発明の好ましい実施形態およびその改変が本文書で詳細に説明されているが、本発明はそれらの正確な実施形態および改変に限定されないこと、および付属の請求項によって定義される本発明の精神および範囲を離れることなく他の改変および変法が当業者によって作用されることが理解されるべきである。
図1は、オルガネラの分離および蓄積の方法を表すフローチャートである。本発明の一実施形態。 図2はタンパク質特徴づけおよび定量の方法を示すフローチャートである。 図3はラット肝について回収された画分におけるミトコンドリア、小胞体、ゴルジ、および原形質膜の割合を示す。 図4はラット肝について回収された画分におけるミトコンドリア、小胞体、ゴルジ、および原形質膜の濃縮を示す。 図5は調製物of(1)小胞体(76.3%)、(2)ミトコンドリア(72.6%)、(3)ゴルジ体(89.3%)、および(4)原形質膜(72.7%)の調製物についてパーセント(%)全体性を示す。 図6は、本発明の方法によって調製された、ラット肝細胞の粗抽出物試料および小胞体画分のオルガネラ内容および超微細構造を比較する透過型電子顕微鏡写真を表す。 図7はHeLa細胞について回収された画分におけるミトコンドリア、小胞体、ゴルジ、および原形質膜の割合を示す。 図8はHeLa細胞について回収された画分におけるミトコンドリア、小胞体、ゴルジ、および原形質膜の濃縮を示す。 図9は本発明の方法による特定のオルガネラの濃縮のレベルを示す。 図10は図7に示される各画分について定量されたシグナルを示す。 図11は、ホモジナイズされたおよび遠心分離されたHeLa細胞の、回収された遠心分離後画分について、ショ糖含量のパーセンテージを示す。 図12は、粗抽出物(CE)試料および小胞体(ER)の画分についての2Dゲル電気泳動分析の比較を示す。 図13は、細胞粗抽出物、ゴルジ画分、および原形質膜画分の2Dゲル電気泳動分析の結果を示す。 図14は図13のスポット12、13、および14についての質量分析データを示す。 図15は、ラット肝細胞粗抽出物および小胞体画分の2Dゲル電気泳動分析の結果を示す。 図16は、ラット肝細胞粗抽出物およびミトコンドリア画分の2Dゲル電気泳動分析の結果を示す。 図17は、ラット肝細胞粗抽出物およびゴルジ画分の2Dゲル電気泳動分析の結果を示す。 図18は、ラット肝細胞粗抽出物および原形質膜画分の2Dゲル電気泳動分析の結果を示す。 図19は、本発明の方法に関する情報を第三者へ提供するためのフローチャートを示す。 図20は、本発明の方法から流れる知的財産権を保護するためのフローチャートを示す。 図21Aは本発明の方法から得られたペプチド配列を用いたホモロジー検索の結果を示す。 図21Bは本発明の方法から得られたペプチド配列を用いたホモロジー検索の結果を示す。 図22Aは2Dゲル分析を用いたタンパク質の検出限界およびタンパク質検出限界に達するために必要な生物材料の推定量を、タンパク質コピー数と相対的に示す。図22Aは細胞に関する。 図22Bは2Dゲル分析を用いたタンパク質の検出限界およびタンパク質検出限界に達するために必要な生物材料の推定量を、タンパク質コピー数と相対的に示す。図22Bは組織に関する。

Claims (39)

  1. オルガネラを含む試料からオルガネラを回収する方法であって、
    a)オルガネラを試料から放出させる;
    b)オルガネラを連続流遠心分離機内の密度勾配へ導入する;
    c)少なくとも2種類のオルガネラが密度勾配内を移動するのに十分な遠心力を加える;および
    d)前記少なくとも2種類のオルガネラを密度勾配から回収する;工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記オルガネラが、オルガネラの亜型を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記試料が生物試料であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記生物試料が、臓器、体液、血液、血清、血漿、唾液、涙液、糞便、尿、***、粘液、組織、組織ホモジネート、細胞抽出物、または脊髄液、あるいはそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 前記連続流遠心分離機が連続流超遠心分離機であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 前記連続流遠心分離機がゾーンローターを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. オルガネラを販売し、オルガネラを賃貸し、オルガネラの使用許諾を与え、オルガネラにおける知的財産権を保護し、オルガネラに関する情報をデータベースに入れ、またはデータベースに収められたオルガネラに関する情報を見ることによって、前記回収された少なくとも2種類のオルガネラを利用する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  8. 密度勾配が、塩化セシウム、硫酸セシウム、非電解溶質、多糖、ヨウ化非電解質、およびポリビニルピロリドンで被覆したコロイドシリカから成る群より選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 前記放出工程が、ホモジナイズおよび/または溶解を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  10. 前記少なくとも2種類のオルガネラのそれぞれが浮遊密度を有し、前記遠心力が、該少なくとも2種類のオルガネラを、勾配密度中のそれぞれの浮遊密度と実質的に等しい密度へ移動させるのに十分なものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  11. 前記少なくとも2種類のオルガネラが、1回の運転中に前記密度勾配内を移動することを特徴とする請求項1記載の方法。
  12. 前記回収された少なくとも2種類のオルガネラが、少なくとも約60パーセント完全であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  13. 少なくとも2種類のオルガネラを溶解して、タンパク質を含むプロテオームを生じさせる工程;および、前記プロテオームからタンパク質を回収する工程;をさらに含むことを特徴とする請求項1または10記載の方法。
  14. 前記回収されたタンパク質が低存在量タンパク質であることを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 前記回収されたタンパク質が、細胞当たり約100コピー未満の量で細胞中に存在することを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. 前記回収されたタンパク質が、細胞当たり約1コピーの量で細胞中に存在することを特徴とする請求項15記載の方法。
  17. 前記少なくとも2種類のオルガネラが、密度勾配中で濃縮および蓄積されることを特徴とする請求項1または10記載の方法。
  18. 前記連続流超遠心分離機が、約100mlから約8リットルの容量を有するローターを含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
  19. 低存在量タンパク質をオルガネラの集団から得る方法であって、あるオルガネラ種が該オルガネラ種を回収した際に検出可能な量の低存在量タンパク質を含むのに十分な量で密度勾配の一区域内に濃縮および蓄積されるのに十分な大きさで遠心力を加えながら、オルガネラの集団を連続流遠心分離機内の密度勾配へ導入する工程を含むことを特徴とする方法。
  20. オルガネラの集団を密度勾配へ導入する前に、ホモジナイズしたおよび/または溶解させた生物試料からオルガネラの集団を放出させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
  21. 低存在量タンパク質を回収する工程をさらに含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
  22. 低存在量タンパク質の回収がオルガネラを溶解することを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
  23. 低存在量タンパク質が実質的に純粋な形で単離されることを特徴とする請求項22記載の方法。
  24. 密度勾配に遠心力を連続的に加えながら、オルガネラの集団を連続的または断続的に導入することを特徴とする請求項19または21記載の方法。
  25. 低存在量タンパク質を販売し、低存在量タンパク質を賃貸し、低存在量タンパク質の使用許諾を与え、低存在量タンパク質における知的財産権を保護し、低存在量タンパク質に関する情報をデータベースに入れ、またはデータベース中の低存在量タンパク質に関する情報を見ることによって、低存在量タンパク質を利用する工程をさらに含むことを特徴とする請求項24記載の方法。
  26. 少なくとも2種類のオルガネラを生物試料から分離する方法であって、
    a)生物試料をホモジナイズしておよび/または細胞材料を溶解してホモジネートを形成する;
    b)密度勾配を含む回転している連続流超遠心分離機に、前記ホモジネートを連続的または断続的に供給および再循環する;
    c)前記超遠心分離機内の密度勾配への供給工程中およびその後に、少なくとも2種類の細胞内オルガネラが密度勾配内のある位置で濃縮および蓄積されるように遠心力を加える;および
    d)前記少なくとも2種類の細胞内オルガネラのそれぞれを、密度勾配中のそれぞれの位置から回収する;工程を含むことを特徴とする方法。
  27. あるオルガネラ種を得る方法であって、回転している連続流超遠心分離機に複数のオルガネラ種を含む生物試料を通して、1つのオルガネラ種を該1つのオルガネラ種から低存在量タンパク質を単離および検出するのに十分な量で生物試料から濃縮および蓄積させる工程を含むことを特徴とする方法。
  28. 前記低存在量タンパク質が、細胞当たり約100コピー未満で細胞中に存在することを特徴とする請求項27記載の方法。
  29. 前記低存在量タンパク質が、細胞当たり約10コピー未満で細胞中に存在することを特徴とする請求項28記載の方法。
  30. 前記低存在量タンパク質が、細胞当たり約1コピーで細胞中に存在することを特徴とする請求項28記載の方法。
  31. 異なる少なくとも2種類のオルガネラのプロテオームプロファイルを分析する方法であって、
    a)少なくとも第1および第2の種類のオルガネラを含み、該第1および第2のオルガネラ種は異なる種類のオルガネラであって、第1のオルガネラ種は第1のオルガネラを含みおよび第2のオルガネラ種は第2のオルガネラを含み、第1および第2のオルガネラのそれぞれが浮遊密度を有する、第1の生物試料を得る;
    b)前記第1および第2のオルガネラを前記第1の生物試料から放出させる;
    c)前記第1のオルガネラが密度勾配内で該第1のオルガネラの浮遊密度と実質的に等しい密度の第1の位置へ移動するのに十分で、かつ前記第2のオルガネラが密度勾配内で、第2のオルガネラの浮遊密度と実質的に等しい密度の前記第1の位置と同じかまたは異なる第2の位置へ移動するのに十分な、遠心力を加えながら、前記第1および第2のオルガネラを連続流遠心分離機内の密度勾配へ導入する;
    d)前記第1のオルガネラおよび第2のオルガネラを回収する;
    e)第1のタンパク質を前記第1のオルガネラから、そして第2のタンパク質を前記第2のオルガネラから単離する;および
    f)前記第1のタンパク質および第2のタンパク質のプロテオームプロファイルを分析する;工程を含むことを特徴とする方法。
  32. a)少なくとも第3および第4の種類のオルガネラを含み、該第3および第4のオルガネラ種は異なる種類のオルガネラであって、第3のオルガネラ種は第3のオルガネラを含み、そして第4のオルガネラ種は第4のオルガネラを含み、第3および第4のオルガネラオルガネラのそれぞれが浮遊密度を有する、第2の生物試料を得る;
    b)請求項31の工程b)、c)およびd)を、前記第1および第2のオルガネラの代わりに第3のオルガネラおよび第4のオルガネラを用いて繰り返す;
    c)第3のタンパク質を前記第3のオルガネラから、そして第4のタンパク質を前記第4のオルガネラから単離する;および
    d)前記第3のオルガネラおよび第4のオルガネラのプロテオームプロファイルを分析する工程をさらに含むことを特徴とする請求項31記載の方法。
  33. 前記第1のオルガネラ種が前記第3のオルガネラ種と同一であり、さらに前記第2のオルガネラ種が前記第4のオルガネラ種と同一であることを特徴とする請求項32記載の方法。
  34. 前記第1のオルガネラのプロテオームプロファイルが前記第3のオルガネラと比較され、さらに前記第2のオルガネラのプロテオームプロファイルが前記第4のオルガネラと比較されることを特徴とする請求項33記載の方法。
  35. 前記第1の生物試料がある起源から第1の時点に得られたものであり、そして前記第2の生物試料が同一の起源から第2の時点に得られたものであることを特徴とする請求項34記載の方法。
  36. 前記同一の起源が、1または複数の生きている宿主であることを特徴とする請求項35記載の方法。
  37. 前記同一の起源が、1つの生きている宿主であることを特徴とする請求項36記載の方法。
  38. 第1および第2のオルガネラを含む生物試料における第1の時点および第2の時点でのタンパク質の移行を分析する方法であって、
    a)第1の時点に、下記の工程によって得られる生物試料の第1のオルガネラ中のタンパク質を得る;
    i)第1の生物試料を、第1のタンパク質を含むある密度を有する第1のオルガネラをホモジネート中へ放出させるのに十分な条件下でホモジナイズする;
    ii)回転している連続流超遠心分離機の密度勾配へ前記ホモジネートを導入する;
    iii)密度勾配内で前記第1のオルガネラが該第1のオルガネラの密度と実質的に等しい密度勾配中の位置へ移動するように、遠心力を超遠心分離機からホモジネートへ加える;
    iv)前記第1のオルガネラを密度勾配から取り出す;
    v)前記第1の生物試料の第1のオルガネラに含まれる第1のタンパク質を検出および特徴づける;
    b)第2の時点に得られた生物試料を用いて上記(a)(i)から(a)(v)の工程を実施して、第2の時点に得られた生物試料由来の第2のオルガネラ中の第1の種類と同一の種類のタンパク質である第2のタンパク質を得る;および
    c)前記第1および第2のタンパク質の位置を比較する;工程を含む方法。
  39. 前記第1のオルガネラが複数の第1のオルガネラを含み、前記第2のオルガネラが複数の第2のオルガネラを含み、前記第1のタンパク質が複数の第1のタンパク質を含み、さらに前記第2のタンパク質が複数の第2のタンパク質を含むことを特徴とする請求項38記載の方法。
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