JP2006312659A - 重合体粉末、その製造方法、熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

重合体粉末、その製造方法、熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Toru Dobashi
徹 土橋
Takaharu Nakamura
敬治 中村
Koichi Ito
伊藤  公一
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Abstract

【課題】 成形品の発色性を低下させずに、耐衝撃性を向上させることができ、かつ取り扱い性の良好な重合体粉末、その製造方法;耐衝撃性および発色性に優れた成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物;耐衝撃性および発色性に優れた成形を提供する。
【解決手段】 最外層のガラス転移温度が80℃以上であり、かつ体積平均粒子径が500〜1000nmであるグラフト共重合体(A)を含有するラテックスと、体積平均粒子径がグラフト共重合体(A)の1/10以下であるアクリル共重合体(B)を含有するラテックスとを、グラフト共重合体(A)100質量部に対してアクリル共重合体(B)が0.5〜5質量部となる比率で混合し、凝固、回収された重合体粉末を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、重合体粉末、その製造方法、重合体粉末を含有する熱可塑性樹脂組成物および成形品に関する。
自動車、電気・電子機器、プリンタ等のOA機器等の種々の製品に、熱可塑性樹脂からなる成形品が広く用いられている。これら成形品には、耐衝撃性、発色性、成形時の流動性、耐候性等が要求されている。そのため、熱可塑性樹脂には衝撃強度改質剤が配合される。しかし、衝撃強度改質剤を配合した場合、成形品の耐衝撃性と発色性とのバランスが問題となることが多い。
特許公報1には、衝撃強度改質剤として、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合させて得られる、数平均粒子径が300〜2000nmのシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体が開示されている。そして、該グラフト共重合体を配合することにより、成形品の耐衝撃性が向上し、かつ発色性が低下しないとされている。
しかし、このような粒子径の大きなグラフト共重合体粒子を、通常の凝固方法によってラテックス中から粉体として回収しようとした場合、一次粒子の融着が十分に進行しないため、微粉を多量に含んだ粉体が得られる。微粉を多量に含んだ粉体は、取り扱い性が著しく悪く、また乾燥工程において微粉が飛散し、粉体の回収率の低下を招く。
特開2004−359889号公報
本発明の目的は、成形品の発色性を低下させずに、耐衝撃性を向上させることができ、かつ取り扱い性の良好な重合体粉末、その製造方法;耐衝撃性および発色性に優れた成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物;および耐衝撃性および発色性に優れた成形品を提供することにある。
本発明の重合体粉末は、最外層のガラス転移温度が80℃以上であり、かつ体積平均粒子径が500〜1000nmであるグラフト共重合体(A)を含有するラテックスと、体積平均粒子径がグラフト共重合体(A)の1/10以下であるアクリル共重合体(B)を含有するラテックスとを、グラフト共重合体(A)100質量部に対してアクリル共重合体(B)が0.5〜5質量部となる比率で混合し、凝固、回収されたものであることを特徴とする。
本発明の重合体粉末の製造方法は、最外層のガラス転移温度が80℃以上であり、かつ体積平均粒子径が500〜1000nmであるグラフト共重合体(A)を含有するラテックスと、体積平均粒子径がグラフト共重合体(A)の1/10以下であるアクリル共重合体(B)を含有するラテックスとを、グラフト共重合体(A)100質量部に対してアクリル共重合体(B)が0.5〜5質量部となる比率で混合した後、凝固、回収することを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の重合体粉末1〜30質量部と、熱可塑性樹脂99〜70質量部とを含有する[ただし、重合体粉末と熱可塑性樹脂との合計は100質量部である]ことを特徴とする。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
本発明の重合体粉末は、成形品の発色性を低下させずに、耐衝撃性を向上させることができ、かつ取り扱い性が良好である。
本発明の重合体粉末の製造方法によれば、成形品の発色性を低下させずに、耐衝撃性を向上させることができ、かつ取り扱い性が良好な重合体粉末を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、耐衝撃性および発色性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、耐衝撃性および発色性に優れる。
<グラフト共重合体(A)>
グラフト共重合体(A)としては、コア/シェル型のグラフト共重合体が挙げられる。
コア部としては、各種ゴム質重合体が挙げられる。該ゴム質重合体としては、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴム、ポリアルキル(メタクリレート)からなるアクリルゴム等が挙げられる。これらのうち、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムが、低温衝撃強度に優れる点で好ましい。
シェル部としては、コア部にビニル系単量体を1段でグラフト重合させて形成される1層構造のもの、または、前段で得られたグラフト重合体の存在下に、さらにビニル系単量体をグラフト重合させて形成される多層構造のものが挙げられる。シェル部は、メチルメタクリレート90〜100質量%と他のビニル系単量体0〜10質量%とを共重合させて形成されるものが、熱安定性に優れ、かつ熱可塑性樹脂との相溶性に優れる点で好ましい。
コア部とシェル部との比率(コア部/シェル部)は、50/50〜80/20が好ましい。コア部/シェル部がこの範囲にあれば、熱可塑性樹脂に添加した際の耐衝撃性と発色性のバランスが良好となる。
グラフト共重合体(A)は、シェル部の最外層のガラス転移温度が、80℃以上である必要がある。最外層のガラス転移温度が80℃未満では、成形品の発色性が低下する。最外層のガラス転移温度は、最外層が単量体a,b,c・・・からなる共重合体の場合、以下のFox式で求められる。
1/Tg=ma/Tga+mb/Tgb+mc/Tgc+・・・
Tg:共重合体のTg[K]、ma:単量体aの質量分率、Tga:単量体aから得られるホモポリマーのTg[K]、mb:単量体bの質量分率、Tgb:単量体bから得られるホモポリマーのTg[K]、mc:単量体cの質量分率、Tgc:単量体cから得られるホモポリマーのTg[K]。
グラフト共重合体(A)の体積平均粒子径は、500〜1000nmである。グラフト共重合体(A)の体積平均粒子径をこの範囲とすることにより、成形品の耐衝撃性と発色性のバランスが良好となる。特に、300nmより小さい粒子の体積が全粒子体積の20%以下であると、耐衝撃性と発色性のバランスがさらに良好となる。本発明における「体積平均粒子径」は、レ−ザ−回折式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所製)により測定した値とする。
(複合ゴム系グラフト共重合体)
グラフト共重合体(A)の具体例としては、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合させて得られた複合ゴム系グラフト共重合体が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンの含有量は、複合ゴム系グラフト共重合体(100質量%)中、5〜30質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。ポリオルガノシロキサンの含有量が5質量%より少ない場合、成形品の耐衝撃性が不充分となるおそれがある。ポリオルガノシロキサンの含有量が30質量%を超えた場合、成形品の発色性が損なわれるおそれがある。
ポリアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、複合ゴム系グラフト共重合体中の複合ゴムの含有量が50〜80質量%となるように調整されることが、成形品の耐衝撃性と発色性とのバランスの点から好ましい。
複合ゴムの含有量は、複合ゴム系グラフト共重合体(100質量%)中、50〜80質量%が好ましく、60〜75質量%がより好ましい。複合ゴムの含有量が50質量%より少ない場合、成形品の耐衝撃性が不充分となるおそれがある。複合ゴムの含有量が80質量%を超えた場合、成形品の発色性(顔料着色性)が低下し、さらには耐熱性等の他の優れた特性が失われる傾向にある。
(複合ゴム)
複合ゴムは、ポリオルガノシロキサン1〜99質量%とポリアルキル(メタ)アクリレート99〜1質量%とが分離できないように相互に絡み合った構造を有する複合ゴムである。
ポリオルガノシロキサンとしては、ジメチルシロキサンと、ビニル重合性官能基含有シロキサンと、必要に応じてシロキサン系架橋剤とを重合させて得られたビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンが好ましい。
ビニル重合性官能基含有シロキサンは、ビニル重合性官能基を含有し、かつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものである。ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン;β−アクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルエトキシジエトキシメチルシラン、δ−アクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のアクリロイルオキシシランが挙げられる。ビニル重合性官能基含有シロキサンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンの製法としては、ジメチルシロキサンとビニル重合性官能基含有シロキサンとからなる混合物、または、さらに必要に応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物を、乳化剤および水によって乳化してラテックスとし、該ラテックスを、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーまたは高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザーを用いて微粒子化した後、酸触媒によって高温下で重合させ、ついでアルカリ性物質により酸を中和する方法が挙げられる。
酸触媒の添加方法としては、酸水溶液をシロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合する方法;シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンの粒子径制御のしやすさを考慮すると、ミセル形成能のない酸水溶液を、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合し、重合する方法が好ましい。
シロキサン混合物、乳化剤、水および/または酸触媒を混合する方法としては、高速攪拌によって混合する方法、ホモジナイザー等の高圧乳化装置によって混合する方法等が挙げられる。ホモジナイザーを用いる方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が狭くなるため、好ましい方法である。
乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ましい。アニオン系乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。特に、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類;硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類等が挙げられる。酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸が好ましい。ミセル形成能のない鉱酸を用いた場合、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径分布を狭くすることができ、ポリオルガノシロキサンラテックスの乳化剤成分に起因する成形品の外観不良を低減させることができる。
ポリオルガノシロキサンの体積平均粒子径は、200〜1000nmが好ましく、250〜500nmがより好ましい。ポリオルガノシロキサンの体積平均粒子径が200nm未満の場合、複合ゴムを得るために必要なポリアルキル(メタ)アクリレート量が多くなるため、耐衝撃性が損なわれるおそれがある。ポリオルガノシロキサンの体積平均粒子径が1000nmを超えると、成形品の外観、耐衝撃性が低下するおそれがある。
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレートと多官能性アルキル(メタ)アクリレートとの重合体である。
ポリアルキル(メタ)アクリレートは、ポリオルガノシロキサンラテックスに、アルキル(メタ)アクリレートと多官能性アルキル(メタ)アクリレートとからなるアルキル(メタ)アクリレート成分を含浸させた後、重合させることによって形成される。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート;ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。成形品の耐衝撃性および成形光沢を考慮すると、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートが好ましく、n−ブチルアクリレートが特に好ましい。
多官能性アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1、3−ブチレングリコールジメタクリレート、1、4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。多官能性アルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
複合ゴムは、ポリオルガノシロキサンラテックス中にアルキル(メタ)アクリレート成分を添加し、通常のラジカル重合開始剤を作用させて重合することによって製造される。
アルキル(メタ)アクリレートを添加する方法としては、ポリオルガノシロキサンラテックスとアルキル(メタ)アクリレートと一括で混合する方法;ポリオルガノシロキサンラテックス中にアルキル(メタ)アクリレートを一定速度で滴下する方法が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。これらのうち、レドックス系開始剤が好ましく、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたものが特に好ましい。
(ビニル系単量体)
ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタアクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等が挙げられる。ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。これらのうち、シェル部の主たる構成成分としてメチルメタクリレートを用いることが好ましく、メチルメタクリレート90〜100質量%とアルキルアクリレートとを併用することが、熱可塑性樹脂組成物の成形加工時の熱安定性の点からさらに好ましい。なお、ビニル系単量体は、シェル部の最外層のガラス転移温度が80℃以上となるように選択される必要がある。
<アクリル共重合体(B)>
アクリル共重合体(B)としては、アルキル(メタ)アクリレートの共重合体が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルプロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート等のアルキルアクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系アルケニル化合物等が挙げられる。
アクリル共重合体(B)のガラス転移温度は、20℃以下であることが好ましい。アクリル共重合体(B)のガラス転移温度が20℃を超える場合、重合体粉末中の微粉の割合を少なくするために、グラフト共重合体(A)ラテックスとアクリル共重合体(B)ラテックスとを混合して凝固する際の温度を高くする必要が生じ、通常の凝固設備で重合体粉末を製造することが困難となる等、アクリル共重合体(B)を添加する効果が小さくなる。アクリル共重合体(B)のガラス転移温度は、上述のFoxで求められる。
アクリル共重合体(B)の体積平均粒子径は、グラフト共重合体(A)の1/10以下である必要がある。アクリル系共重合体(B)の体積平均粒子径がこの範囲よりも大きくなると、グラフト共重合体(A)ラテックスとアクリル共重合体(B)ラテックスとを混合し、凝固させ、これらを充分に融着させるために、アクリル共重合体(B)の添加量を多くする必要があり、成形品の耐衝撃性が充分に発現しなくなる。
アクリル共重合体(B)は、乳化剤の存在下、ラジカル重合開始剤を作用させてアルキル(メタ)アクリレートを乳化重合することにより製造される。
乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ましい。アニオン系乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。特に、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが、少量の添加量で体積平均粒子径を小さくすることができるため、好ましい。
乳化剤の添加量は、アクリル共重合体(B)100質量部に対して0.5〜5質量部が好ましい。乳化剤の添加量が0.5質量部未満では、アクリル共重合体(B)の体積平均粒子径を目的とする範囲にすることが困難となる。乳化剤の添加量が5質量部を超えると、体積平均粒子径を小さくすることは可能であるが、得られた重合体粉末中に多量の乳化剤が残存することとなり、残存乳化剤の分解に起因する成形品の外観不良を引き起こすおそれがある。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。これらのうち、レドックス系開始剤が好ましく、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたものが特に好ましい。
<重合体粉末>
本発明の重合体粉末は、グラフト共重合体(A)を含有するラテックスと、アクリル共重合体(B)を含有するラテックスとを、グラフト共重合体(A)100質量部に対してアクリル共重合体(B)が0.5〜5質量部となる比率で混合し、凝固、回収されたものである。
アクリル共重合体(B)の量は、グラフト共重合体(A)100質量部に対して0.5〜5質量部である。アクリル共重合体(B)の含有量をこの範囲とすることにより、グラフト共重合体(B)としての特性を損なうことなく、微粉の発生の少ない取り扱い性の良好な粉体を得ることができる。
<重合体粉末の製造方法>
本発明の重合体粉末は、グラフト共重合体(A)を含有するラテックスと、アクリル共重合体(B)を含有するラテックスとを、グラフト共重合体(A)100質量部に対してアクリル共重合体(B)が0.5〜5質量部となる比率で混合した後、凝固剤を添加して凝固させ、これを回収することにより製造される。
グラフト共重合体(A)のみのラテックスに凝固剤を添加した場合、微粉の含有量が多くなり、取り扱い性が著しく悪い重合体粉末が得られる。
また、グラフト共重合体(A)ラテックスに凝固剤を添加して凝析させた後に、アクリル共重合体(B)を添加した場合、アクリル共重合体(B)だけが凝集する可能性が高くなる。そのため、グラフト共重合体(A)を充分に融着させるために、アクリル共重合体(B)の添加量を多くする必要があり、成形品が充分な耐衝撃性を発現することが困難となる。
凝固剤としては、多価の金属塩が挙げられる。多価の金属塩としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛等の、ハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。これらのうち、酢酸カルシウムが、グラフト共重合体(A)、アクリル共重合体(B)の製造に用いられた乳化剤であるアルキルベンゼンスルホン酸系乳化剤と反応した後の生成物の反応性が低く、熱可塑性樹脂組成物を成形加工する際の分解ガスの発生が起こりにくいため、好ましい。
グラフト共重合体(A)ラテックスとアクリル系共重合体(B)ラテックスとを混合し、重合体粉末を凝固、回収する際には、通常、複数の槽を用いる。均一で所望の粒子径の重合体粉末(C)を得るために、各槽のスラリー濃度、凝固剤添加量、温度、攪拌回転数、重合体の滞在時間は、適宜制御される。
各層のスラリー濃度(固形分)が5〜20質量%の範囲になるように、ラテックスを供給することが好ましい。スラリー濃度が5質量%未満では、生産性が悪くなるのみならず、重合体粉末中の微粉が多くなるおそれがある。スラリー濃度が20質量%を超えると、ラテックスが凝集したスラリーの粘度が著しく高くなるために、攪拌が困難となるおそれがある。
凝固剤の添加量は、グラフト共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)との混合物(固形分)100質量部に対して、固形分換算で0.5〜10質量部が好ましい。凝固剤の添加量が0.5質量部未満では、凝集が完結せずに、収率が低下するおそれがある。凝固剤の添加量が10質量部を超えると、重合体粉末に残存する金属塩の量が多くなるために、熱可塑性樹脂組成物を成形加工する際に、分解が進行しやすくなり、成形外観の悪化等の問題を引き起こすおそれがある。
各槽の温度および攪拌条件を、3槽に分かれた設備について説明する。
第1槽は、ラテックスに凝固剤が添加される槽である。第1槽の温度は、40〜70℃が好ましい。第1槽の温度が40℃未満では、重合体が凝集してスラリーとなった際に、その粒子径が小さくなりすぎるため、攪拌が困難となり、さらには、重合体粉末中の微粉の割合が高くなり、取り扱い性の悪化を招くおそれがある。第1槽の温度が80℃を超えると、スラリーとなった際の粒子径が大きくなりすぎるため、重合体粉末を乾燥させる際に長時間を必要とし、さらには、凝固剤として用いた金属塩が充分に洗い流されないために、熱可塑性樹脂組成物を成形加工する際の分解の原因となるおそれがある。
第2槽は、第1槽で得られたスラリーの粒子径を均一に制御するとともに、第3槽に送られる前の予備加熱の槽の役割を果たす。第2槽の温度は、第1槽の温度+10〜30℃が好ましい。第2槽の温度が第1槽の温度+10℃未満では、第3槽に送られたスラリーの温度を充分に温度を高くすることが困難となり、融着が充分に進行せず、重合体粉末中の微粉の割合が高くなるおそれがある。第2槽の温度が第1槽の温度+30℃を超えると、融着は充分に進行するものの、微粉と粗粉とが混在した重合体粉末が得られ、取り扱い性の良好な重合体粉末を得ることが困難となるおそれがある。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、一般に知られているほとんど全ての熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂樹脂の具体例としては、塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の硬質、半硬質、軟質の含塩素系樹脂;ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリレート−スチレン共重合体(MS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル樹脂(ASA)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂(AES)等のスチレン系樹脂(St系樹脂);ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂(Ac系樹脂);ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂);ポリアミド系樹脂(PA系樹脂);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂(PEs系樹脂);ポリ乳酸樹脂、熱可塑性ポリビニルアルコール樹脂、ポリブチレンサクシネート、その他生分解性を有する天然原料、石油原料由来の環境適応樹脂(生分解性樹脂);(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレン系樹脂(PPS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)等のエンジニアリングプラスチックス;スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレン等の熱可塑性エラストマー(TPE);PC/ABS等のPC系樹脂/St系樹脂アロイ、PVC/ABS等のPVC系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABS等のPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA系樹脂/TPEアロイ、PA/PP等のPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PBT系樹脂/TPE、PC/PBT等のPC系樹脂/PEs系樹脂アロイ、ポリオレフィン系樹脂/TPE、PP/PE等のオレフィン系樹脂どうしのアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PA等のPPE系樹脂アロイ、PVC/PMMA等のPVC系樹脂/Ac系樹脂アロイ等のポリマーアロイが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。さらに、グラフト共重合体のような相溶化剤を併用してもよい。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の重合体粉末1〜30質量部と、熱可塑性樹脂99〜70質量部とを含有する[ただし、重合体粉末と熱可塑性樹脂との合計は100質量部である]ものである。重合体粉末が1質量部未満では、成形品の耐衝撃性が充分に発揮されない。重合体粉末が30質量部を超えると、熱可塑性樹脂本来の性質が損なわれるおそれがあり、また、成形品の耐衝撃性および外観が低下する傾向が見られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本来の目的を損なわない範囲で、顔料、染料等の着色剤;ガラス繊維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維等の補強剤または充填剤;2、6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、4、4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤;トリス(ミックスド、モノまたはジニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト等のフォスファイト系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートジアステリアルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤;2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;ビス(2、2、6、6)−テトラメチル−4−ピペリジニル)等の光安定剤;ヒドロキシルアルキルアミン、スルホン酸塩等の帯電防止剤;エチレンビスステアリルアミド、金属石鹸等の滑剤;テトラブロムフェノールA、デカブロモフェノールオキサイド、TBAエポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマー、三酸化アンチモン、TPP、リン酸エステル等の難燃剤等の各種添加剤を適宜配合し、さらに望ましい物性に調節してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、溶融混合法で調製することが好ましい。また、必要に応じて少量の溶剤を使用してもよい。使用する装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等が挙げられる。これらを回分的または連続的に運転する。成分の混合順は特に限定されない。このようにして調製された熱可塑性樹脂組成物は、ペレット状に加工してもよい。
<成形品>
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものでる。成形法としては、射出成形、押出成形、ロール成形等、公知の成形法が挙げられる。
本発明の成形品は、例えば、建材、自動車、玩具、文房具等の雑貨、OA機器、家電機器等の耐衝撃性が必要とされる用途に広く利用される。
以下、実施例により本発明を説明する。本実施例において、『部』および『%』は特に断らない限り『質量部』および『質量%』を意味する。
(体積平均粒子径)
参考例におけるラテックス中のグラフト共重合体(A)およびアクリル共重合体(B)の体積平均粒子径は、レ−ザ−回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA910)を用いて測定した。
(ガラス転移温度)
グラフト共重合体(A)の最外層、およびアクリル共重合体(B)のガラス転移温度は、第5版ポリマーハンドブックのガラス転移温度の数値を用い、Foxの式により算出した。
(融着強度)
実施例における重合体粉末の融着強度は、以下のように測定した。
凝固操作により得られた重合体粉末を、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA910)に、0.1%の界面活性剤の入った蒸留水とともに入れ、粒子径分布を測定した。ついで、40Wの強度で超音波を5分間照射した後、再度粒子径分布を測定した。それぞれの粒子径分布より粒子径が10μm以下の粒子の比率を体積基準により算出し、重合体粉末の融着強度として示した。
(アイゾット衝撃強度)
成形品のアイゾット衝撃強度の測定は、ASTM D 258の方法によった。
(顔料着色性)
成形品の顔料着色性(発色性)は、JIS Z 8729(L*a*b*表色系による物体色の表示方法)により測定して得られたL*の値を比較して、評価した。
〔参考例1〕
ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)の製造:
オクタメチルシクロテトラシロキサン100部に対して、テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部を混合して、シロキサン系混合物を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.00部を溶解した蒸留水150部を添加し、ホモミキサ−にて10000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、上記エマルションを入れ、硫酸0.20部と蒸留水31.8部との混合物を3分間にわたり投入した。
このエマルションを80℃に加熱した状態で、7時間維持した後、冷却した。ついで、この反応物を室温で12時間保持した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)を得た。
ポリオルガノシロキサンラテックスの一部を180℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、32.1%であった。また、このラテックス中のポリオルガノシロキサンの体積平均粒子径は384nmであった。
〔参考例2〕
グラフト共重合体(A−1)の製造:
ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)31.15部(固形分換算で10.0部)をセパラブルフラスコに採取し、蒸留水200部を添加、混合した後、n−ブチルアクリレート(BA)59.1部、アリルメタクリレート(AMA)0.9部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.24部の混合物を添加した。
このセパラブルフラスコに窒素気流を通じることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、50℃まで昇温した。液温が50℃となった時点で硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.24部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始した。ブチルアクリレートの重合を完結させるため、1時間この状態を維持し、ポリオルガノシロキサンとポリブチルアクリレートとの複合ゴムのラテックスを得た。
このラテックスの液温が65℃に低下した後、メチルメタクリレート(MMA)28.5部、BA1.5部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.21部の混合液を1時間にわたって滴下し、重合させた。滴下終了後、温度60℃以上の状態を1時間保った後、冷却し、複合ゴムにメチルメタクリレートおよびn−ブチルアクリレートがグラフト重合したグラフト共重合体(A−1)のラテックスを得た。最外層のガラス転移温度および体積平均粒子径を表1に示す。
〔参考例3〕
グラフト共重合体(A’−2)の製造:
複合ゴムにグラフト重合させるMMAおよびBAの量を表1に示す量に変更した以外は、参考例2と同様にしてグラフト共重合体(A’−2)のラテックスを得た。最外層のガラス転移温度および体積平均粒子径を表1に示す。
Figure 2006312659
〔参考例4〕
アクリル共重合体(B−1)の製造:
冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、MMA50部、BA50部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、蒸留水192部を仕込み、窒素気流下で1時間攪拌した後、50℃まで昇温した。
液温が50℃となった時点で硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.24部を蒸留水30部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始した。重合が終了した後、1時間保持してラジカル重合を完結させ、アクリル共重合体(B−1)のラテックスを得た。ガラス転移温度および体積平均粒子径を表2に示す。
〔参考例5〕
アクリル共重合体(B’−2)の製造:
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの量を表2に示す量に変更した以外は、参考例4と同様にしてアクリル共重合体(B’−2)のラテックスを得た。ガラス転移温度および体積平均粒子径を表2に示す。
〔参考例6〕
アクリル共重合体(B’−3)の製造:
MMAおよびBAの量を表2に示す量に変更した以外は、参考例5と同様にしてアクリル共重合体(B’−3)のラテックスを得た。ガラス転移温度および体積平均粒子径を表2に示す。
Figure 2006312659
〔実施例1〕
重合体粉末(C−1)の製造:
グラフト共重合体(A−1)ラテックス(100部、固形分換算)およびアクリル共重合体(B−1)ラテックス(2部、固形分換算)を混合した後、1.5%の酢酸カルシウム水溶液100部の入った60℃の攪拌槽に10分間かけて添加し、凝析させた。ついで、95℃まで昇温して、さらに10分間攪拌を続け、固化を完了した。凝固物を濾布を用いて分離した後、充分に水洗し、70℃の乾燥機で12時間乾燥させ、ブレンド操作による重合体粉末(C−1)を得た。粒子形態および融着強度を表3に示す。
〔比較例1〕
重合体粉末(C’−2)の製造:
グラフト共重合体(A−1)ラテックス(100部、固形分換算)を1.5%の酢酸カルシウム溶液の入った90〜95℃の攪拌槽に10分間かけて添加し、凝析させた後、アクリル共重合体(B−1)ラテックス(2部、固形分換算)を添加した。ついで、95℃まで昇温して、さらに10分間攪拌を続け、固化を完了した。凝固物を濾布を用いて分離した後、充分に水洗し、70℃の乾燥機で12時間乾燥させ、後添加操作による重合体粉末(C’−2)を得た。粒子形態および融着強度を表3に示す。
〔比較例2〕
重合体粉末(C’−3)の製造:
アクリル共重合体(B−1)ラテックスをアクリル共重合体(B’−2)ラテックスに変更し、凝析温度を70℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてブレンド操作による重合体粉末(C’−3)を得た。粒子形態および融着強度を表3に示す。
〔比較例3〕
重合体粉末(C’−4)の製造:
アクリル共重合体(B−1)ラテックスをアクリル共重合体(B’−2)ラテックスに変更した以外は、比較例1と同様にして後添加操作による重合体粉末(C’−4)を得た。粒子形態および融着強度を表3に示す。
〔比較例4〕
重合体粉末(C’−5)の製造:
アクリル共重合体(B−1)ラテックスをアクリル共重合体(B’−3)ラテックスに変更し、凝析温度を80℃に変更し以外は、実施例1と同様にして重合体粉末(C’−5)を得ようとしたが、固化温度を100℃以上にしても固化しなかった。粒子形態および融着強度を表3に示す。
〔比較例5〕
重合体粉末(C’−6)の製造:
グラフト共重合体(A−1)ラテックスをグラフト共重合体(A’−2)ラテックスに変更し、アクリル共重合体(B−1)ラテックスをアクリル共重合体(B’−3)ラテックスに変更し、凝析温度を50〜60℃に変更し、固化温度を70〜75℃に変更した以外は、比較例1と同様にして後添加操作による重合体粉末(C’−6)を得た。粒子形態および融着強度を表3に示す。
Figure 2006312659
〔実施例2〕
重合体粉末(C−1)5部と、ポリカーボネート(出光石油株式会社製、タフロンFN1700A)95部と、カーボンブラック0.1部とを配合して、ヘンシェルミキサーで4分間混合した後、30mmΦ二軸押し出し機にて溶融混練し、ペレット状に賦型して熱可塑性樹脂組成物を得た。また、射出成形によって、1/4インチアイゾット試験片および10cm角の平板を得て、アイゾット衝撃強度および顔料着色性の評価に用いた。
〔比較例6〕
重合体粉末(C−1)を重合体粉末(C’−4)に変更した以外は、実施例2と同様にして1/4インチアイゾット試験片および10cm角の平板を得て、アイゾット衝撃強度および顔料着色性の評価に用いた。
〔比較例7〕
重合体粉末(C−1)を重合体粉末(C’−6)に変更した以外は、実施例2と同様にして1/4インチアイゾット試験片および10cm角の平板を得て、アイゾット衝撃強度および顔料着色性の評価に用いた。
Figure 2006312659
表3および表4の結果から明らかなように、本発明の重合体粉末は、融着強度が強いため、微粉の発生が少なく取り扱い性の良好な重合体粉末であり、これらの重合体粉末を用いた成形品は、色相測定で得られたL*値が低く、優れた顔料着色性を示した。また、機械特性にも優れていた。
本発明の重合性粉末を配合した熱可塑性樹脂組成物からなる成形品は、耐衝撃性と発色性とのバランスが良好であり、建材、自動車、玩具、文房具等の雑貨、OA機器、家電機器等の耐衝撃性が必要とされる用途に広く利用される。

Claims (4)

  1. 最外層のガラス転移温度が80℃以上であり、かつ体積平均粒子径が500〜1000nmであるグラフト共重合体(A)を含有するラテックスと、体積平均粒子径がグラフト共重合体(A)の1/10以下であるアクリル共重合体(B)を含有するラテックスとを、グラフト共重合体(A)100質量部に対してアクリル共重合体(B)が0.5〜5質量部となる比率で混合し、凝固、回収された重合体粉末。
  2. 最外層のガラス転移温度が80℃以上であり、かつ体積平均粒子径が500〜1000nmであるグラフト共重合体(A)を含有するラテックスと、体積平均粒子径がグラフト共重合体(A)の1/10以下であるアクリル共重合体(B)を含有するラテックスとを、グラフト共重合体(A)100質量部に対してアクリル共重合体(B)が0.5〜5質量部となる比率で混合した後、凝固、回収することを特徴とする重合体粉末の製造方法。
  3. 請求項1に記載の重合体粉末1〜30質量部と、
    熱可塑性樹脂99〜70質量部と
    を含有する[ただし、重合体粉末と熱可塑性樹脂との合計は100質量部である]熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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