JP6589117B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及び成形品 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及び成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及びその成形品に関する。
樹脂製の発泡シートは、一般に、成形性・断熱性・緩衝性等に優れることから、断熱材・緩衝材・食品容器等の用途に幅広く利用されている。中でも、ポリプロピレン系樹脂発泡シートは、耐熱性にも優れるため、電子レンジで加熱調理を行う食品容器の用途に好適に利用されている。しかし、ポリプロピレン系樹脂は低温脆性を示す(低温での耐衝撃性が低い)ため、通常のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、例えば冷凍食品用の容器の用途に適しているとは言えなかった。
ポリプロピレン系樹脂の低温脆性を改善したポリプロピレン系樹脂発泡シートが、例えば特開2001−139717号公報(特許文献1)に開示されている。このポリプロピレン系樹脂発泡シートは、ポリプロピレン系樹脂に、密度0.94〜0.97、190℃におけるメルトインデックスが0.01以上1(g/10分)未満の高密度ポリエチレン樹脂を混合させることにより、低温脆性が改善されている。
しかし、ポリプロピレン系樹脂発泡層の構成材料に高密度ポリエチレン樹脂を含ませることで、当該高密度ポリエチレン樹脂の影響により、発泡層中の気泡の微細化が妨げられてしまう。その結果、発泡シート表面の平滑性が損なわれ、見栄えが低下するという問題があった。
特開2001−139717号公報
ポリプロピレン系樹脂発泡シートにおいて、シート表面の見栄えを良好に維持しながら低温脆性を改善することが望まれている。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡積層シートは、
ポリプロピレン系樹脂発泡層と、前記ポリプロピレン系樹脂発泡層の少なくとも一方の面に積層されたポリスチレン系樹脂非発泡層と、を備え、
前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の構成材料が、ポリスチレン系樹脂50〜80重量%と、ポリオレフィン系樹脂50〜20重量%と、を含む。
この構成によれば、ポリプロピレン系樹脂発泡層への特定組成のポリスチレン系樹脂非発泡層の積層により、成形性を向上させることができ、また、低温脆性を改善することができる。低温脆性の改善のために高密度ポリエチレン樹脂等の他の成分をポリプロピレン系樹脂発泡層に混合させないので、発泡層中の気泡を微細化させることができ、発泡シート表面の平滑性及び見栄えを良好に維持することができる。従って、ポリプロピレン系樹脂発泡シートにおいて、シート表面の見栄えを良好に維持しながら低温脆性を改善することができる。
本発明に係る成形品は、
上述したポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを熱成形してなる。
この構成によれば、シート表面の見栄え及び低温脆性に優れた成形品を提供することができる。
以下、本発明の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
一態様として、
前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の構成材料が、スチレン系熱可塑性エラストマー0〜10重量%をさらに含むことが好ましい。
一態様として、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡層の構成材料が、歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂60〜100重量%と、歪み硬化性を有さないポリプロピレン系樹脂40〜0重量%と、を含むことが好ましい。
一態様として、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡層の構成材料が、歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂だけを含むことが好ましい。
一態様として、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡層における厚さ1mm当たりの気泡数が10〜30であることが好ましい。
一態様として、
前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の厚みが5〜200μmであることが好ましい。
一態様として、
密度が0.15〜0.85g/cmであることが好ましい。
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの模式断面図 カットしたシート片の模式斜視図
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートの実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態のポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1は、ポリプロピレン系樹脂発泡層2と、ポリプロピレン系樹脂発泡層2の一方の面に積層されたポリスチレン系樹脂非発泡層3とを備えている。また、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1は、ポリプロピレン系樹脂発泡層2の他方の面に積層されたポリプロピレン系樹脂非発泡層4をさらに備えている。
ポリプロピレン系樹脂発泡層2は、ポリプロピレン系樹脂を主体とする発泡層である。ポリプロピレン系樹脂発泡層2を構成するポリプロピレン系樹脂は、特に限定されないが、例えばプロピレンの単独重合体、プロピレンと他の単量体とのブロック共重合体、又はプロピレンと他の単量体とのランダム共重合体等であって良い。また、ポリプロピレン系樹脂としては、歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂を含むものを好ましく用いることができる。ここで、「歪み硬化性」とは、ポリプロピレン系樹脂の伸長粘度が歪み速度の増加に伴って急激に上昇する特性を意味する。歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂の一例としては、電子線照射又は化学的架橋によって分岐構造を分子鎖に導入したポリプロピレン系樹脂、或いは、超高分子量成分を混合することによって分子鎖同士の絡み合いを大きくしたポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂は、上記の歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂だけを含むものであっても良いが、歪み硬化性を有さないポリプロピレン系樹脂との混合物であっても良い。歪み硬化性を有さないポリプロピレン系樹脂の一例としては、市販の一般的な直鎖状ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂発泡層2の構成材料が、歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂と歪み硬化性を有さないポリプロピレン系樹脂との両方を含む場合、その配合比は、重量%基準で、60:40〜100:0とすることができる。歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂の含有量を60重量%以上とすることで、独立気泡率の高い発泡体を得ることができ、耐熱性及び機械的強度を向上させることができる。ポリプロピレン系樹脂発泡層2の構成材料における歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂の含有量の好ましい一例は、100重量%である。
ポリプロピレン系樹脂発泡層2には、必要に応じて、微量の添加剤が含まれても良い。添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、造核剤、滑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、及び帯電防止剤等が例示される。
ポリプロピレン系樹脂発泡層2の厚みは、特に限定されないが、例えば0.3〜5mmであって良い。ポリプロピレン系樹脂発泡層2の厚みが0.3mmよりも薄ければ剛性や断熱性が不十分となる可能性があり、5mmより厚ければ成形性が不十分となる可能性がある。ポリプロピレン系樹脂発泡層2の厚みは、好ましくは0.6〜3mmであり、0.8〜2.4mmがさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂発泡層2の独立気泡率は、特に限定されないが、例えば60%以上であって良い。独立気泡率が60%未満であれば剛性や断熱性が不十分となる可能性がある。独立気泡率は、好ましくは70%以上であり、80%以上がさらに好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂発泡層2に含まれる気泡の気泡径は、特に限定されないが、例えば8〜300μmであって良く、好ましくは10〜220μmである。
さらに、ポリプロピレン系樹脂発泡層2における厚さ1mm当たりの気泡数は、特に限定されないが、例えば10〜30であって良い。単位厚み当たりの気泡数が10個未満であれば、断熱性が不十分となる可能性があり、また、シート表面の平滑性が損なわれて見栄えが悪くなるとともに非発泡層3,4が積層しにくくなる可能性がある。逆に、30個を超えて多くなると、脆くなって成形性が不十分となる可能性がある。単位厚み当たりの気泡数は、好ましくは15〜20である。
ポリスチレン系樹脂非発泡層3は、ポリスチレン系樹脂を主体とする非発泡層である。ポリスチレン系樹脂非発泡層3を構成するポリスチレン系樹脂は、特に限定されないが、例えばスチレンの単独重合体、スチレンと他の単量体との共重合体、又はポリスチレンと他の樹脂との混合物等であって良い。他の単量体や他の樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、及びアクリル樹脂等が例示される。中でも、ポリオレフィン系樹脂との混合物を好ましく用いることができ、ポリスチレン系樹脂非発泡層3の構成材料が、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含むことが好ましい。
この場合のポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との配合比は、重量%基準で、50:50〜80:20とすることができる。ポリスチレン系樹脂の含有量が50重量%未満であれば当該ポリスチレン系樹脂非発泡層3を積層することによる低温脆性の改善効果が不十分となる可能性があり、80重量%より多ければポリスチレン系樹脂非発泡層3がポリプロピレン系樹脂発泡層2から剥離しやすくなる可能性がある。ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とのより好ましい配合比は、重量%基準で、55:45〜75:25である。
上記の場合において、ポリスチレン系樹脂としては、耐衝撃性ポリスチレン(High Impact Polystyrene;HIPS)を使用しても良い。
また、ポリスチレン系樹脂非発泡層3の構成材料が、スチレン系熱可塑性エラストマーをさらに含んでも良い。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されないが、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)又はその水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)又はその水素添加物、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、及びスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)等を用いることができる。
また、例えば、ポリスチレン系樹脂非発泡層3の構成材料が、ポリスチレン系樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマーとポリオレフィン系樹脂とを含んでも好ましい。この場合、ポリスチレン系樹脂は50〜80重量%、スチレン系熱可塑性エラストマーは0〜10重量%、ポリオレフィン系樹脂は50〜20重量%であることが好ましい。好ましい配合は、ポリスチレン系樹脂が55〜75重量%、スチレン系熱可塑性エラストマーが約5重量%、ポリオレフィン系樹脂が40〜20重量%である。
ポリスチレン系樹脂非発泡層3には、必要に応じて、微量の添加剤が含まれても良い。添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、造核剤、滑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、及び帯電防止剤等が例示される。
ポリスチレン系樹脂非発泡層3の厚みは、特に限定されないが、例えば5〜200μmであって良い。ポリスチレン系樹脂非発泡層3の厚みが5μmよりも薄ければ当該ポリスチレン系樹脂非発泡層3を積層することによる低温脆性の改善効果が不十分となる可能性がある。逆に、200μmより厚ければ成形性が不十分となる可能性があり、また、原料コストが嵩んでしまう。ポリスチレン系樹脂非発泡層3の厚みは、好ましくは5〜100μmであり、10〜50μmがさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂非発泡層4は、ポリプロピレン系樹脂を主体とする非発泡層である。ポリプロピレン系樹脂非発泡層4を構成するポリプロピレン系樹脂は、特に限定されないが、例えばプロピレンの単独重合体、プロピレンと他の単量体との共重合体、又はポリプロピレンと他の樹脂との混合物等であって良い。
ポリプロピレン系樹脂非発泡層4には、必要に応じて、微量の添加剤が含まれても良い。添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、造核剤、滑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、及び帯電防止剤等が例示される。
ポリプロピレン系樹脂非発泡層4の厚みは、特に限定されないが、例えば5〜200μmであって良い。ポリプロピレン系樹脂非発泡層4の厚みが5μmよりも薄ければシート表面の平滑性が損なわれて光沢が低下する可能性がある。逆に、200μmより厚ければ成形性が不十分となる可能性があり、また、原料コストが嵩んでしまう。ポリプロピレン系樹脂非発泡層4の厚みは、好ましくは20〜100μmであり、30〜80μmがさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1の製造方法は、溶融工程と、発泡工程と、シート形成工程と、積層工程とを含む。溶融工程では、各層の樹脂原料をそれぞれ加熱して溶融する。発泡工程では、ポリプロピレン系樹脂発泡層2の溶融樹脂を発泡させる。その際に加える発泡剤としては、例えば炭化水素類、二酸化炭素、窒素、空気、及び水等を用いることができ、これらのうちの二種以上を併用しても良い。シート形成工程では、例えば押出機を用いて、各層の溶融樹脂からシートを形成する。積層工程では、各層のシートを積層する。シート形成工程と積層工程とは、別々の工程として順次実行されても良いし、同時に実行されても良い。すなわち、各層のシートを予めそれぞれ形成した後にそれらを積層しても良いし、各層のシートをそれぞれ押出形成するのと同時にそれらを積層しても良い。いずれにしても、上記の各工程を経て、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1を得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1の全体の厚みは、特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂発泡層2、ポリスチレン系樹脂非発泡層3、及びポリプロピレン系樹脂非発泡層4のそれぞれの厚みに応じたものとなり、例えば0.5〜5.5mmであって良い。ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1の全体の厚みは、好ましくは1〜3mmである。
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1の全体の密度は、特に限定されないが、例えば0.15〜0.85g/cmであって良い。全体の密度が0.15g/cmよりも小さいと成形品に成形した際の強度や高温での剛性が不十分となる可能性があり、0.85g/cmよりも大きいと成形品に成形した際の断熱性が不十分となる可能性がある。ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1の全体の密度は、好ましくは0.21〜0.55g/cmであり、0.25〜0.35g/cmがさらに好ましい。
本実施形態のポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1によれば、ポリプロピレン系樹脂発泡層2への特定組成のポリスチレン系樹脂非発泡層3の積層により、成形性(特に、深絞り性)を向上させることができ、また、低温脆性を改善することができる。特に、低温脆性の改善のために高密度ポリエチレン樹脂等の他の成分をポリプロピレン系樹脂発泡層2に混合させることなく、低温脆性を改善することができる。ポリプロピレン系樹脂発泡層2に他の成分を混合させないので、発泡層中の気泡を微細化させることができ、発泡シート表面の平滑性及び見栄えを良好に維持することができる。従って、成形性及びシート表面の見栄えを良好に維持しながら、低温脆性を改善することができる。
このようなポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1を用いて熱成形を行うことで、シート表面の見栄え及び低温脆性に優れた成形品を得ることができる。ポリスチレン系樹脂非発泡層3が積層されているので、柔らかく温かみのある質感を成形品に付与することができる。特に、ポリスチレン系樹脂非発泡層3をポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂)との混合物で構成することにより、混合前の各樹脂にはない独特の柔らかく温かみのある質感とパール調の光沢感を成形品に付与することができる。また、発泡層がポリプロピレン系素材なので、耐熱性に優れており、電子レンジでの加熱にも対応可能である。よって、例えば電子レンジでの加熱調理が予定された冷凍食品用の包装用容器に、本発明を好適に適用することができる。
なお、熱成形法としては、例えばプラグ成形法、マッチド・モールド成形法、ストレート成形法、ドレープ成形法、プラグアシスト成形法、プラグアシスト・リバースドロー成形法、エアスリップ成形法、スナップバック成形法、リバースドロー成形法、プラグ・アンド・リッジ成形法、及びリッジ成形法等が例示される。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明についてより具体的に説明する。但し、以下に記載する具体的な実施例によって本発明の範囲が限定される訳ではない。
[実施例1]
ポリプロピレン系樹脂発泡層の樹脂材料として、日本ポリプロ株式会社製のEX4000(100重量%)を準備し、その100重量部に対して造核剤として永和化成工業株式会社製のEE275Fを2.6重量部の割合で加え、リボンブレンダーで均一に混合した。ポリスチレン系樹脂非発泡層の樹脂材料として、PSジャパン株式会社製のHI408と日本ポリプロ株式会社製のBC3BRFとJSR株式会社製のTR2003とを、重量%基準で55:40:5の割合で準備し、これらをリボンブレンダーで均一に混合した。ポリプロピレン系樹脂非発泡層の樹脂材料として、日本ポリプロ株式会社製のBC3BRFを準備した。
ポリプロピレン系樹脂発泡層用の押出機として、40mmφの二軸押出機(プラスチック工学研究所社製、型式:RT−40−S2−36−L、L/D=36)1基を準備した。ポリスチレン系樹脂非発泡層用及びポリプロピレン系樹脂非発泡層用の押出機として、40mmφの単軸押出機(ジー・エム・エンジニアリング社製、型式:VGM40−25、L/D=25)2基を準備した。これらの押出機の先端を2種3層フィードブロック(クローレンジャパン社製、型式:クローレンFGフィードブロック)に装着し、このフィードブロックにTダイを装着した。
ポリプロピレン系樹脂発泡層用の二軸押出機のシリンダー温度を200〜230℃、ポリスチレン系樹脂非発泡層用の単軸押出機のシリンダー温度を210℃、ポリプロピレン系樹脂非発泡層用の単軸押出機のシリンダー温度を210℃に設定し、各押出機のホッパーに樹脂材料を供給して溶融させた。ポリプロピレン系樹脂発泡層用の二軸押出機のシリンダーには、発泡剤として二酸化炭素(液化炭酸ガス)を注入し、さらに混練した。
大気圧下において、共押出法により、ポリプロピレン系樹脂非発泡層、ポリプロピレン系樹脂発泡層、及びポリスチレン系樹脂非発泡層を積層しながら、3層のシート状物を押出形成した。この3層のシート状物を25℃に調節した水冷ロールを通過させて急冷し、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを得た。
また、得られたポリプロピレン系樹脂発泡積層シートから、小型真空圧空成形機(株式会社脇坂エンジニアリング社製、型式:FVS−500型)を用いて、成形品を作製した。ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを、50×40cmのクランプで固定し、設定温度300℃のヒーターで上下から約15秒間加熱した後、差圧形成法により、165×165×56mmの大きさの丼型容器を得た。その際、ポリスチレン系非発泡層が容器外側となり、ポリプロピレン系非発泡層が容器内側となるように、熱成形を行った。
[実施例2]
ポリスチレン系樹脂非発泡層の樹脂材料の組成を、HI408:BC3BRF:TR2003=65:30:5(重量%)としたことを除いては実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及び成形品を得た。
[実施例3]
ポリスチレン系樹脂非発泡層の樹脂材料の組成を、HI408:BC3BRF:TR2003=70:25:5(重量%)としたことを除いては実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及び成形品を得た。
[実施例4]
ポリスチレン系樹脂非発泡層の樹脂材料の組成を、HI408:BC3BRF:TR2003=75:20:5(重量%)としたことを除いては実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及び成形品を得た。
[比較例1]
ポリスチレン系樹脂非発泡層の樹脂材料の組成を、HI408:BC3BRF:TR2003=85:10:5(重量%)としたことを除いては実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及び成形品を得た。
[比較例2]
ポリスチレン系樹脂非発泡層の樹脂材料の組成を、HI408:BC3BRF:TR2003=45:50:5(重量%)としたことを除いては実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及び成形品を得た。
[比較例3]
ポリスチレン系樹脂非発泡層を設けずにポリプロピレン系樹脂発泡層の両面にポリプロピレン系樹脂非発泡層を設けたことを除いては実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート及び成形品を得た。
[評価]
実施例1〜4及び比較例1〜3のポリプロピレン系樹脂発泡積層シートについて、シート全体の厚み、非発泡層の厚み、シート全体の密度、独立気泡率、及び単位厚み当たりの気泡数を測定した。また、実施例1〜4及び比較例1〜3の成形品について、成形性、見栄え、及び耐寒性を評価した。
<シート全体の厚み、非発泡層の厚み、単位厚み当たりの気泡数>
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートから、120mm×120mmの大きさの試験片を切り出し、厚み方向の断面を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型式:JCM−6000Plus)によって撮影倍率40倍で撮影した。撮影画像において、試験片を幅方向に4等分する箇所(図2において黒塗りの三角形で示す30mm間隔の3箇所)での厚みを計測し、それらの平均値を求めてシート全体の厚みとした。また、撮影画像において、上記箇所でのシート表面から気泡周縁までの最短距離を計測し、それらの平均値を求めて非発泡層の厚みとした。また、撮影画像において、上記箇所での厚み方向に沿う垂線に重なる気泡の数を計数し、それらの平均値をシート全体の厚みで徐算して小数点以下を四捨五入し、単位厚み当たりの気泡数とした。
<密度>
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートから、40mm×40mmの大きさの試験片を切り出し、電子比重計(ミラージュ貿易社製、型式:ED−120T)を用いて、水中置換法によって密度を測定した。
<独立気泡率>
ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートから、幅方向にほぼ均等となる位置(3箇所)において30mm×40mmの大きさの試験片を切り出し、電子天秤(島津製作所製、型式:AUW220)及び厚さ測定用ゲージ(ミツトヨ社製デジマチックキャリパー、型式:CD−10CX)を用いて、試験片の重量及び体積を計測した。3個の試験片を重ね合わせて積層体とし、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、型式:1000型)を用いて、ASTMD−2856に準拠した1−2−1気圧法によって積層体の体積を測定し、以下の式により独立気泡率を算出した。
独立気泡率[%]=(Vx−Vw)/(Va−Vw)×100
ここで、Vxは空気比較式比重計による積層体の体積[cm]であり、Vwは3枚の試験片の総重量[g]÷比重[g/cm]であり、Vaは3枚の試験片の総体積(見かけ体積)[cm]である。
<成形性>
得られた成形品について、偏肉の有無や型決まり状況等の外観を目視観察し、全体として良好なものを「○」、劣るものを「×」、どちらとも言えないものを「△」とした。
<見栄え>
得られた成形品について、表面の光沢の有無等の外観を目視観察し、全体として良好なものを「○」、劣るものを「×」、どちらとも言えないものを「△」とした。
<耐寒性>
200gの水を入れた成形品を−40℃で24時間保冷した後、80cmの高さから、床面に対して水平姿勢で落下させた。その後、割れの有無を目視観察し、割れが見つからなかったものを「○」、割れが生じていたものを「×」とした。
以上の結果を、表1にまとめた。なお、比較例1では、成形後にポリプロピレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂非発泡層とが剥離してしまい、成形品に関する各種評価を行えなかった(「−」と表示)。
Figure 0006589117
表1から明らかなように、実施例1〜4の成形品はいずれも成形性及び耐寒性に優れており、見栄えも良好であった。これに対して、比較例1〜3の成形品は、成形性及び耐寒性が不十分であるか、剥離してしまってその評価自体が行えなかった。比較例3の結果と実施例1〜4の結果とを比較すると、ポリプロピレン系樹脂発泡層へのポリスチレン系樹脂非発泡層の積層により、成形性が向上しているとともに低温脆性が改善されていることが分かる。また、比較例1,2の結果と実施例1〜4の結果とを比較すると、ポリプロピレン系樹脂発泡層に積層するポリスチレン系樹脂非発泡層の組成が特定組成であって初めて、成形性の向上効果や低温脆性の改善効果が発現していることが分かる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1がポリプロピレン系樹脂発泡層2の片面にポリスチレン系樹脂非発泡層3を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、ポリスチレン系樹脂非発泡層3がポリプロピレン系樹脂発泡層2の両面に備えられても良い。
(2)上記の実施形態では、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1がポリプロピレン系樹脂発泡層2とポリスチレン系樹脂非発泡層3とに加えポリプロピレン系樹脂非発泡層4をさらに備えている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えばポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1がポリプロピレン系樹脂非発泡層4を備えずに、ポリプロピレン系樹脂発泡層2とポリスチレン系樹脂非発泡層3だけを備えても良い。
(3)各層の具体的な樹脂材料、その組成、厚み、独立気泡率、気泡径、及び気泡数等は、求められる特性に応じて適宜変更されて良い。
(4)上記の実施形態では、共押出法によってポリプロピレン系樹脂発泡層2とポリスチレン系樹脂非発泡層3とポリプロピレン系樹脂非発泡層4とを積層する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば押出ラミネート法や熱ラミネート法等の他の方法で各層を積層しても良い。
(5)上記の実施形態において、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート1が、少なくとも一方の面に積層された印刷フィルム層をさらに備えても良い。この場合において、ポリスチレン系樹脂非発泡層3に積層される印刷フィルム層は、印刷が施されたポリプロピレン系樹脂フィルム又はポリスチレン系樹脂フィルムとすることができる。また、ポリプロピレン系樹脂非発泡層4に積層される印刷フィルム層は、印刷が施されたポリプロピレン系樹脂フィルムとすることができる。
(6)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
1 ポリプロピレン系樹脂発泡積層シート
2 ポリプロピレン系樹脂発泡層
3 ポリスチレン系樹脂非発泡層
4 ポリプロピレン系樹脂非発泡層

Claims (7)

  1. ポリプロピレン系樹脂発泡層と、前記ポリプロピレン系樹脂発泡層の少なくとも一方の面に積層されたポリスチレン系樹脂非発泡層と、を備え、
    前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の構成材料が、ポリスチレン系樹脂50〜80重量%と、ポリオレフィン系樹脂50〜20重量%と、を含み、
    前記ポリプロピレン系樹脂発泡層の構成材料が、歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂60〜100重量%と、歪み硬化性を有さないポリプロピレン系樹脂40〜0重量%と、を含むポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
  2. ポリプロピレン系樹脂発泡層と、前記ポリプロピレン系樹脂発泡層の少なくとも一方の面に積層されたポリスチレン系樹脂非発泡層と、を備え、
    前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の構成材料が、ポリスチレン系樹脂50〜80重量%と、ポリオレフィン系樹脂50〜20重量%と、を含み、
    前記ポリプロピレン系樹脂発泡層の構成材料が、歪み硬化性を有するポリプロピレン系樹脂だけを含むポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の構成材料が、スチレン系熱可塑性エラストマー0〜10重量%をさらに含む請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
  4. 前記ポリプロピレン系樹脂発泡層における厚さ1mm当たりの気泡数が10〜30である請求項1からのいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
  5. 前記ポリスチレン系樹脂非発泡層の厚みが5〜200μmである請求項1からのいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
  6. 密度が0.15〜0.85g/cmである請求項1からのいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡積層シート。
  7. 請求項1からのいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを熱成形してなる成形品。
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